1: 2012/12/23(日) 06:57:24.07 ID:J1osoJEa0
<203X年、12月27日 PM4:00 ゆうの家>
J( 'ー`)し「ふーっ、大掃除ってホントたいへん」ゴシ ゴシ
J( 'ー`)し ~♪
J( 'ー`)し ~~♪
ゆう(あ。カーチャンまた掃除しながら、いつもの『あの曲』唄ってら)
ゆう「おーいカーチャン!」
J( 'ー`)し「ん、なぁに?」
ゆう「ちょっとケンの家に行ってくるわ」
J( 'ー`)し「わかった。ゆうくんの軽音部……バンド関係?」
ゆう「まーな」
J( 'ー`)し「そうなの。晩ゴハンまでには帰ってきてね~」
ゆう「ああ」
2: 2012/12/23(日) 06:58:25.51 ID:J1osoJEa0
主な登場人物
ゆう:カーチャンの息子。中一。バンドではギター&ボーカル担当。
背が小さくて暴走しがちキャラ。ギターはまだ下手。
ケン:ゆうのバンド仲間その1。中一。キーボード・鍵盤担当。
(だから『ケン』)
思い込んだら一直線なオタクキャラ。耳がいい。
カツヲ:ゆうのバンド仲間その2。中一。ドラム担当。
(ドラム→叩く→たたき→鰹のたたき→『カツヲ』)
リズムキープに定評のあるリア充キャラ。ブレーキ役。
J( 'ー`)し:ゆうのカーチャン。夫と息子と3人暮らし……だと思う。
人物の名前ありSSにアレルギーがある方もいるとは思いますが、
『男』や『母』とかだとなんだか上手く回せなかったのと、
ネタを仕込んでいるからなのでその点ご了承ください。
世界観は、203X年。どこかの日本。
1の妄想や願望や偏見やクロさや好みがたぶん多分に含まれております。注意
基本的には、『オリジナル』要素の強い『けいおん!』もの。そして『カーチャン』もの……?
4: 2012/12/23(日) 06:59:47.03 ID:J1osoJEa0
<ケンの家>
ゆう「ちわー。おじゃましまーす」
カツヲ「来たかー」
ケン「遅いぞこのヤロウ」
ゆう「悪ぃわりぃ」
ゆう「で、例の件はどうなった?」
カツヲ「あぁ、出させてもらえるってさ、ライブハウス。前座でだけど」
ゆう「うわっ、マジかよ!」
ケン「あぁ、俺たちの初ライブだ!!!」
ゆう「うっひゃほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ケン・カツヲ「!?」
ケン「はしゃぎすぎだろ」
カツヲ「ははははは」
5: 2012/12/23(日) 07:00:25.75 ID:J1osoJEa0
ゆう「や、だってバンド結成してもうすぐ1年だぜ」
ゆう「ようやく初ライブができるんだ。そりゃ燃えるだろうが!」
ゆう「それでそれで、日時は?」
ケン「3月29日。午後7時から」
ゆう「うおおおお、テンションあがってきたーっ!」
カツヲ「今日が12月27日だから、まるまる3か月後になるね」
ゆう「何曲くらい演奏できそうなんだ」
カツヲ「それがさぁ、無理言って出させて貰えるから……」
ケン「1曲だけだ。正真正銘、前座の前座だからな」
ゆう「あーそうか……まぁしゃーないか」
6: 2012/12/23(日) 07:01:09.24 ID:J1osoJEa0
ゆう「1曲だけでもいいや」
ゆう「その1曲に俺らの全てを掛けて、会場の空気をアツーく沸かせてやろうぜ!」
ケン「あぁ、今からガッツリ練習していこう」
カツヲ「細かな準備もしてかなきゃいけないから、忙しくなりそうだ」
ゆう「さて、肝心の曲だけど何にするかね?」
カツヲ「……それなんだけど」
ケン「僕としては、是非ともこの曲をやりたい」
ゆう「お、どれよ?」
ケン「今から再生する」
ポチッ
7: 2012/12/23(日) 07:01:50.17 ID:J1osoJEa0
(再生中)
ゆう「………………」
カツヲ「………………」
ケン「…………~♪」
8: 2012/12/23(日) 07:02:45.19 ID:J1osoJEa0
ゆう「え、マジでこの曲やるの?」
ケン「もちろん」
ゆう「……」
カツヲ「……」
ケン「……」
9: 2012/12/23(日) 07:03:26.58 ID:J1osoJEa0
ゆう「嫌だ! こんな曲歌えない!」
ケン「何っ!?」
ケン「そりゃぁ、今までバンドでやったことない曲で、難しいとは理解できるが……」
ケン「君はあれか? 頑張ることすらせず諦めると?」
ゆう「がんばるとかじゃねーよ。曲がイヤなんだよこの野郎!」
カツヲ「代わりの曲探した方がいいと思うよ。オレも……」
ゆう「なんでよりによって!」
ゆう「初ライブで、俺たち全員男子中学生なのにっ!!」
ゆう「演奏するのが『ふわふわ時間』なんだよ!!!」
ドンッ!
10: 2012/12/23(日) 07:04:15.01 ID:J1osoJEa0
ゆう「ありえねーだろ。このチョイス!」
ケン「何がありえないって? 論理的に説明してみよ」
ゆう「常識的に考えて当たり前だろ! クサってんのかお前の頭!?」
ケン「何だと、この……!」
カツヲ「ま、ま、まて。落ちつこう2人とも」
11: 2012/12/23(日) 07:04:43.66 ID:J1osoJEa0
カツヲ「正直、俺も初ライブで『ふわふわ時間』やるのは反対なんだ」
ケン「ほぅ、カツヲもか」
ゆう「ほら見ろ、2対1で俺らが正義~多数決ーっ」
ゆう「男なのにあんな曲やる奴なんてオタクしかいねーよ!」
カ チ ン !
ケン「オイ、表出ろ。男同士コブシで語り合おうじゃないか」
ゆう「上等! 受けて立ってやんよ!」
カツヲ「ま、ま、待って! ケンカするな2人とも!」
ガルルルルルルルル
12: 2012/12/23(日) 07:05:22.60 ID:J1osoJEa0
ゆう「バカ野郎!」
ケン「アホ野郎!」
ゆう「オタク!」
ケン「ぬけさく!」
ゆう「ガリ勉!」
ケン「赤点魔!」
ゆう「もやしメガネ!」
ケン「豆粒ドチビ!」
ガルルルルルルルル
カツヲ(もー……)
『バンドの結束が3下がった』
13: 2012/12/23(日) 07:05:56.02 ID:J1osoJEa0
カツヲ「なぁ、聞いてくれ2人とも」
ゆう「何だよ細マッチョ!」
ケン「黙っててくれ色黒マン!」
カツヲ「……」
ガツン!ガツン!!
ゆう「アタマ痛ッ!」
ケン「目から、火が出た;;」
カツヲ「よーし、いいか。現状を確認しよう」
カツヲ(2人とも石頭だな。手ぇイタイ)
14: 2012/12/23(日) 07:06:25.98 ID:J1osoJEa0
カツヲ「さて、聞いてくれるよな」
ゆう「お、おう」
ケン「も、もちろんです」
カツヲ「まず1つ、3か月後にライブがある」
カツヲ「軽音部はあるのに文化祭などに出させてくれない中学のルールで、俺たちは人前で演奏したことがまるでない」
ゆう「部活紹介の場ですら禁止って、なんなんだろうな」
ケン「学校の先生が言うには、上の方からのお達しだそうだ」
ケン「『生徒のために、生徒に悪影響を与えかねない音楽の発表は全面禁止』だとか」
ゆう「しょーもなー」
ゆう「歌うたうのが犯罪かっての。なーんでややこしくするんかね?」
カツヲ「オレも学校は、もっと大事なとこを教えないと駄目だと思うわ」
15: 2012/12/23(日) 07:07:06.22 ID:J1osoJEa0
カツヲ「で、2つ目。俺らは1年前からバンドを組んでるけど、やっぱりライブも全然したことない」
ゆう「ひたすら部室で、基礎練習とセッションの日々ですよ」
ケン「アホが。基礎練習おろそかにすれば上達なんて見込めんぞ」
ゆう「だからって部室に閉じこもってばっかでも飽きる!」
ゆう「誰か、他の人に聴いてもらえない音楽なんて無意味だ!!!」
ケン「何を言う。音源をネットにアップしたりはしてただろ」
ゆう「あー、でもなぁ」
カツヲ「ネットに載せても、反応や感想は殆どなかったよね」
ゆう「そう、それ」
ケン「まぁ、知名度皆無な中学生バンドの演奏を聴くモノ好きはいないわな」
カツヲ「そうだね」
ゆう「……」
16: 2012/12/23(日) 07:07:55.27 ID:J1osoJEa0
ゆう「存在を知ってもらえるというレベルですら、ハードルは意外と高いよなぁ。はぁ……」
ケン「……」
カツヲ「3つ目。というわけで、次のライブがオレらにとって初めての、きちんとした発表の機会だ!」
カツヲ「だから……ってわけでもないけど、オレら3人ともも、聴いてくれる人にも納得できるものをやりたい」
ケン「それは僕も同じだ」
ゆう「俺も俺も」
カツヲ「『ふわふわ時間』ってのは……男がやるには、ちょっと、違和感があるというか、恥ずかしい……」
ケン「バカな。男性中心バンドでも『ふわふわ時間』演奏してるトコはあるもんだぞ!」
カツヲ「けど……」
ゆう「や、そーゆーのは、お前含め完全にアッチ側の人間だ」
ゆう「俺らとは違う人種だよ。違和感を感じないってのは、無理だ」
ケン「おいおい。僕はぜんぜん普通だよ」
17: 2012/12/23(日) 07:10:53.03 ID:J1osoJEa0
カツヲ「4つ目。これがオレにとって最大の懸念なんだけど、ウチにはベースがいない」
カツヲ「あの曲やるのにベースが居ないと、迫力に欠けるんじゃないかなぁ?」
ゆう「あぁ、そこらへんはデカいかもな」
ケン「ベース……ベースなぁ」
カツヲ「リズムキープと曲の安定感っていうならドラムの守備範囲だけど」
カツヲ「ベースの音は曲にとって、リズムと芯の強さに繋がるとオレは思うんだ」
カツヲ「ベースや芯に強さがないと、全体的なバランスが崩れてくるというか……」
ゆう「ベースは芯の強さ……それカツヲの音楽理論?」
カツヲ「そうだね」
18: 2012/12/23(日) 07:11:21.26 ID:J1osoJEa0
カツヲ「あと最後に、この『ふわふわ時間』はオレらが生まれるより昔の、」
カツヲ「えーと、20年くらい前の曲だしね。有名だけどちょーっと古いかな、と」
ケン「なるほど、分かった」
19: 2012/12/23(日) 07:12:17.54 ID:J1osoJEa0
ゆう「まとめると、『折角の初ライブだから万全で臨みたい』てことだな」
カツヲ「それはザックリまとめすぎ!」
ケン「なぁカツヲ。前3つはともかく、ベースはどうしたいと考えてるんだ?」
ケン「今からまた、メンバー募集をするのか?」
カツヲ「しても見込みは……なさそうだよね」
カツヲ「1年間さんざん、メンバー募集してきたのに、それでも3人のままだから」
ゆう「『ふわふわ時間』が出た、20年くらい前は軽音ブームで、中高生でバンドやるヤツも多かったらしいけど」
ゆう「今じゃもう絶滅状態だしな。俺ら一つの学校内でギター・ドラム・キーボードが揃っただけでも上出来か?」
ケン「そもそも学生や若者の数が当時から激減しているからな」
カツヲ「あぁ、そうなんだ」
ケン「まさしく『人類は衰退しました』」
カツヲ「?」
ゆう「なんじゃそりゃ?」
ケン「僕が小学校の時よく読んでた小説だけど……まぁいいや」
20: 2012/12/23(日) 07:12:51.72 ID:J1osoJEa0
ー
ケン「脱線したが、」
ケン「僕は納得できないな。少なくとも“男が『ふわふわ時間』をするのが駄目”だなんてのは」
カツヲ「えええええ……」
ゆう「よーし、じゃぁそこらは俺が説明してやるよ」
ケン「ほぅ、お前が?」
ゆう「あぁ、っても俺の音楽理論、俺の音楽持論になるけれど」
ケン「ふむ、聞かせて貰おうか」
ゆう「まず男……と限定するのは違うか」
ゆう「とにかく俺にとって、あの曲のあの歌詞には、熱量を乗せられねぇ!」
カツヲ「ほー」
ケン「熱量を乗せる……だと!?」
ゆう「よそのバンドは知らんけど、このバンドのボーカルは俺だからな」
ゆう「俺ができないから、このバンドであの曲は無理だ!」
ケン「脱線したが、」
ケン「僕は納得できないな。少なくとも“男が『ふわふわ時間』をするのが駄目”だなんてのは」
カツヲ「えええええ……」
ゆう「よーし、じゃぁそこらは俺が説明してやるよ」
ケン「ほぅ、お前が?」
ゆう「あぁ、っても俺の音楽理論、俺の音楽持論になるけれど」
ケン「ふむ、聞かせて貰おうか」
ゆう「まず男……と限定するのは違うか」
ゆう「とにかく俺にとって、あの曲のあの歌詞には、熱量を乗せられねぇ!」
カツヲ「ほー」
ケン「熱量を乗せる……だと!?」
ゆう「よそのバンドは知らんけど、このバンドのボーカルは俺だからな」
ゆう「俺ができないから、このバンドであの曲は無理だ!」
21: 2012/12/23(日) 07:13:52.38 ID:J1osoJEa0
ケン「なら、お前ができないって理由をくわしく」
ゆう「おう」
ゆう「俺はボーカルだから、歌詞の意味と、その歌い方には絶対こだわりたい!」
ケン「……ふむ」
カツヲ「……うん!」
ゆう「そもそも、」
ゆう「歌詞っていうのは……いや歌詞を書いた人の中には、伝えたい想いってのがあってだな」
ゆう「想いを聞き手の耳に届けて、その鼓膜と魂を揺さぶりたいって願ってるんだよ!」
カツヲ「ふむふむ」
ケン「んで?」
ゆう「で、歌詞の書き手と聞き手の間にいるのが、俺のパート、ボーカルじゃん!」
ゆう「ボーカルの役目は、そういう歌詞の核を正しく飲み込んで、」
ゆう「それに自分の感性と情熱と熱量を混ぜ込んで、腹の底からの声にして吐き出すもんなんだよ!」
ケン・カツヲ「「??」」
22: 2012/12/23(日) 07:14:44.79 ID:J1osoJEa0
ゆう「それをするには、ボーカル本人が歌詞の世界観を経験・実感してる必要がある!」
ゆう「なぜなら、経験が抜け落ちてると歌詞の肉付けが上手くいかないと言うか、」
ゆう「歌詞と一致した経験なしに歌おうとしたら、歌詞の核が抜け出てしまうから!」
ゆう「いや、歌詞の表面だけをなぞるって方が正しいか!?」
ケン「うーむ……」
カツヲ「なんとなく、わかるよ」
ゆう「あと聞き手もその、歌詞の世界観を経験をしているのが望ましい!」
ゆう「英語を知らない人間が英語の歌詞を理解できないように」
ゆう「歌詞の経験がない人間には、その歌詞の本質を理解するのは不可能だからな!」
23: 2012/12/23(日) 07:16:04.96 ID:J1osoJEa0
ゆう「そこで肝心のあの曲は……」
ゆう「主人公にとっては“キミ”って存在が、いつも心の中にあるって歌詞な訳だけど」
ゆう「俺にとっても、聞き手にとっても……いやもう人類全員の生き様が、」
ゆう「あの曲が出た、昔のそれとはまるで違ってて、」
ゆう「ふわふわせずにセカセカ生きる、ふわふわせずにカッチリ生きる。列を乱せば殴られる」
ゆう「油断してたら刺されて終わり。そんな危険が降り注ぐ、雨ざらしの世界で生きてるから……」
ゆう「だからみんな傷つけられないように、自分を守るのに手一杯!」
ゆう「自分の心の中には、自分だけしか居ないっていうのが、イマの人間だと思うんだよ!」
24: 2012/12/23(日) 07:17:37.24 ID:J1osoJEa0
ケン「???」
カツヲ「どういう……ことなの?」
ゆう「今は年末・大晦日でさ、ゆっくりできる訳だけど」
ゆう「ふだん毎日の生活を思い出してくれよ。めっちゃ忙しくね?」
ケン「あぁ」
カツヲ「それはそうだね」
ゆう「俺ら中学とか、小学・高校なんかの生徒は朝早くからガッコに行ってさ」
ゆう「大学受験とか社会出た時に役立つらしい勉強をずーっとしてるじゃん」
ゆう「んで、授業が終われば休む間もなくおけいこ・塾でまた勉強!」
ゆう「部活とか、自由な、好きな事する時間は ちょ びっ と し か ね ぇ !」
カツヲ「うん。練習時間は実際あんまり取れてない」
ケン(タスク管理の問題だと僕は思うぞ?)
25: 2012/12/23(日) 07:18:15.89 ID:J1osoJEa0
ゆう「わずかな時間を見つけて、好きな事をしようとしてもだな」
『将来困っても知らないよ』『もっと凄いヤツが同い年にいる』
『才能ないのによくやるねぇ』『貧乏になる自由はありますよ』
『無駄無駄無駄』『過程などどうでもよかろう。結果がすべて』
ゆう「だなんて他人を見下したいだけの誰かが、無責任に横ヤリ入れてくる!」
ゆう「大学生になったらなったで」
ゆう「やれ“コミュ力”だの“常識”だの“空気読力”だの付けろだと強要されてく」
ゆう「『サークルは、就職で“役に立つ”から入るものです』なんて馬鹿げたのも」
ゆう「リーマンになっても“上司にとって都合いい”が付く“やりがい”を持たされて」
ゆう「その上司も、株主やら政府の命令で右往左往して」
ゆう「株主とか政府も、株やら税金の数字に踊らされている!」
カツヲ「ちょ、ちょい待ち。何の話なの!?」
ケン「『ふわふわ時間』から、どうしてこうなった?」
26: 2012/12/23(日) 07:18:50.81 ID:J1osoJEa0
ゆう「あぁ、スマン。まぁ要するに、この現代社会……」
ゆう「いや、モダンタイムスは!」
ケン・カツヲ(!?)
ゆう「だれもかれも、人工的な“圧力”で上から横から後ろから押さえつけられて、」
ゆう「姿のない誰かが自分勝手に作った、キマリゴトの歯車にいつの間にか乗せられて、」
ゆう「目の前に用意されたルートからはみ出さず、潰されない様に怯えながらしか、生きていけないんだよ!」
カツヲ(なんで言い直したんだろう“現代社会”?)
ケン(横文字、“モダンタイムス”て言いたかっただけだろな)
ゆう(この前見たチャップリン映画みたく、社会を風刺する俺カッケー!)
27: 2012/12/23(日) 07:19:46.09 ID:J1osoJEa0
ゆう「だから、まぁ、えーとあれだよ」
ゆう「急かされて生きてる人間みんなは、他人を想うヒマなんか皆無」
ゆう「イマを生きてる俺たちは、自分の“意思”じゃなく“圧力”に操られて生かされてるから、」
ゆう「“意思”を持って誰かを想う歌や歌詞ってのは、イマの価値観に合わなくて、聞き手の魂を揺さぶれないんだ」
ゆう「声に熱い想いを込めようとしても、ただデシベルに、音量の数値に変わるだけで」
ゆう「誰の心にも記憶にも響かず届かずに、カベや地面に吸い込まれてくだけの」
ゆう「歴史には意味のない、冷たい騒音になりはてる」
28: 2012/12/23(日) 07:20:17.14 ID:J1osoJEa0
ゆう「……ともかく俺は、誰かを想う気持ちってのがいまいちピンとこねーし、客もそうだと思う」
ゆう「いわゆる一つの『恋? なにそれオイシイの?』だ」
ゆう「だから、あの歌詞の、あの歌は唄いたくねー」
カツヲ「……なるほど」
ケン「すごいな」
ケン・カツヲ(中二病が)
ゆう「いやいや、それほどでもねーよww」
ケン・カツヲ「……」
29: 2012/12/23(日) 07:21:12.52 ID:J1osoJEa0
ゆう「逆に俺が歌いたいのは、」
ゆう「『俺はここにいる。こんなちっぽけな才能でたった1人、毎日なんとか生きている』」
ゆう「ってのを大声で叫ぶ、俺と、時代の生き様に合った歌」
ケン「ほぅ」
カツヲ「そういうのはいいよね。オレも好きだよ」
ゆう「もしくは、俺ら1人1人を“圧力”なしでも結び付けられるような、」
ゆう「昨日今日明日だけじゃなく、長い間一つにし続けられるような、“引力”のある歌だ」
カツヲ「うんうん」
ケン「イマじゃ、そんな曲はなかなか無いよな」
ケン「お偉いさんが用意した、売らせたい・流行らせたい曲しか表に出てこない」
カツヲ「本当にいい曲が生まれてても、陰に隠れちゃうんだよね」
ゆう「そういうのって悲しいわな」
30: 2012/12/23(日) 07:21:58.34 ID:J1osoJEa0
ゆう「俺さ、曲のごり押しってサイテーだと思う」
ゆう「いい曲だとしても外から“圧力”なんて加えたら、曲そのものの“引力”が分解してしまうから」
ケン「コイツはまた抽象的な事を……」
カツヲ「いやいや、でも分かる。分かるよ」
ゆう「聞き手の人生・経験・価値観に引っかかって、心に沁み込まれてくのが名曲なのに」
ケン(えええ、何言ってんだコイツ?)
カツヲ「うんうん」
ゆう「“圧力”を加えたら、聞き手の人生・経験・価値観の方が、曲に押し込まれ変形しちゃうんだよ!」
ケン(なるほどワカラン)
カツヲ(いーこと言うなぁ)
31: 2012/12/23(日) 07:22:29.71 ID:J1osoJEa0
ゆう「なんか焦点がだいぶブレたけど、」
ゆう「よーするに俺は『ふわふわ時間』を、感情込めて歌えないんだわ。ライブは他のにしてほしい!」
ケン「はぁ……」
ケン「おーけー。そんなロックな理由があるんなら反対できんな」
ゆう「ふむふむ。分かってくれたか」
カツヲ「ごめんな、ケン」
ケン「だがな、お前の話は間違いがあるぞ!」
ゆう「なにぃっ!?」
カツヲ「?」
32: 2012/12/23(日) 07:23:06.87 ID:J1osoJEa0
ケン「お前は『急かされて生きる人間はみんな、他人を想う余裕なんて皆無』と言ったが」
ケン「それは間違いだ。完全にな!」
ゆう「なん……だと……!?」
カツヲ(うわ、ケンまで語り始めた!)
ケン「どれだけ急かされようとも、“圧力”があろうとも、」
ケン「人は何かを、誰かを想い愛する事は止められないっ!!!」
どんっ!!!
33: 2012/12/23(日) 07:23:33.75 ID:J1osoJEa0
ゆう「へぇ。その根拠は!?」
カツヲ(……)
ケン「根拠は、ここにいるカツヲが“誰かを愛する体現者”だからだっ!」
ゆう「ナ、ナンダッテー!」
カツヲ「……」
カツヲ「ええっ!オレかよ!?」
カツヲ「オ、オレが何をしたっていうんだよ!?」
34: 2012/12/23(日) 07:24:05.90 ID:J1osoJEa0
ケン「僕たちは、勉強に習い事に部活練習と忙しい!」
ケン「文字通り、“心を無くす”ほどに!」
ケン「だが、カツヲはそんな状況でも……」
ゆう「そ、そんな状況でも……!?」
ケン「好きな女子に告白し、その人とカップルになった!」
ゆう「ええええええええええええええええええええええ!?」
ゆう「マジでマジでマジでマジ?冗談抜きでマジマジでッ!?」
カツヲ「あっ、それか……」
ゆう「うっうっうええええええ!? マジ話でかっ!??」
カツヲ「お、おう。マジですよ」
ゆう「う、うっわあああああああああああああああああぁ!!」
35: 2012/12/23(日) 07:24:47.27 ID:J1osoJEa0
ゆう「知らんかった知らんかった、マジ知らんかったあああああ!」
ゆう「えっえっえっえっ!?なんでなんで、いつ、誰に告白したんだよ!?」
カツヲ「その、3日前に……4組の吉田さんに……」
ゆう「うおええええええっ!?? 吉田に!? カツヲは吉田さんが好きだったのかよ!」
カツヲ「お、おう///」
ゆう「うっわ、全然知らんかった。全然知らんかったああああああああ!!」
ゆう「ナンでなんでなんでなんでだああああああああああああああ!???」
ゆう「めでたいめでたい、めっさめでたい!!!」
カツヲ「お、おう///」
36: 2012/12/23(日) 07:25:21.76 ID:J1osoJEa0
ゆう「ってか、まてよ……」
ゆう「同じバンドメンバーなのに、好きな人とか告白したこととか全然知らんかったのは」
ゆう「マジでちょっと本気で冗談じゃなく悲しくて切なくて寂しくて、ヘコむよぉぉぉ……orz」
ケン「……」
カツヲ「……」
37: 2012/12/23(日) 07:25:52.95 ID:J1osoJEa0
ケン「カツヲがお前にそれを教えなかったのはな……」
ゆう「うん?」
ケン「お前はテンション上がると周りが見えなくなって」
ケン「余計な事する、いらねー奴だと思われてるからだよぉぉぉ!」
ゆう「う、うわあああああああああああああああああああああああああ(号泣)!!!」
カツヲ「違う違う、そうじゃ、そうじゃない!」
ケン「おいおい、嘘はよくないぞぉぉぉ!コイツはいらねーヤツだぁぁぁ!」
ゆう「うわああああああああああああああああああああああああああ(号泣)!!!」
カツヲ「だぁ、もう……」
ケン「はっはっはっはっは!」
『バンドの結束が6下がった!』
38: 2012/12/23(日) 07:26:26.33 ID:J1osoJEa0
ゆう「ひっぐ……えっぐ……」
ケン「あっはっは、こいつをからかうのは面白いなぁww」
ゆう「おまっ、マジ氏ね……いや、マジ殺スカラ」
ゆう「ひっぐ……えっぐ……」
カツヲ「違うんだ、違うんだよ」
カツヲ「吉田さんの事をみんなに言わなかったのは、なんとなく気恥ずかしかったからだ」
カツヲ「告白したってことをケンに伝えたのも、ほんの30分前だし」
ゆう「ひっぐ……そうなのかっ!?」
ケン「あぁ」
カツヲ「のけ者にしたいとか、そんなんじゃないんだよ」
39: 2012/12/23(日) 07:27:02.56 ID:J1osoJEa0
カツヲ「ごめんな。けど、吉田さんと恋人同士になれたことを喜んでくれてありがとう!」
ゆう「そんな、俺なんて……」グスッ
ゆう「じゃあ今度、カツヲと吉田さんがデートとかするときギター持ってって、」
ゆう「後ろの方でいい感じなBGMを、弾き語ってるわ……」グスッ
カツヲ「……う、うん。ありがとう」
カツヲ(気持ちは嬉しい)
ケン(マジいらねー)
40: 2012/12/23(日) 07:27:42.53 ID:J1osoJEa0
ケン「……」
カツヲ「……」
ゆう「……」
ケン「つかれたな」
カツヲ「うん」
ゆう「……おお」
ケン「休憩しようか」
ケン「お茶淹れてくる、ちょっと待っててくれ」
ゆう「すまんな」
カツヲ「ありがとう」
ケン「えーと、お茶っ葉は……どこだっけ…………」
ガサゴソ
42: 2012/12/23(日) 07:28:35.72 ID:J1osoJEa0
<前半のおまけ>
ゆう「そういえば、ケンの兄ちゃん姉ちゃんらは今日いないん?」
カツヲ「みんな出かけてるって」
カツヲ「カンイチロウさんは婚活パーティに行ってる」
ゆう「思うんだけど、あれってコスパどうなんだ?」
ゆう「成功確率とかって、宝くじと同じ程度だと俺はにらんでんだけど」
カツヲ「オレの親戚も連戦連敗らしい」
ゆう「俺らみたいにバンドとか組んだ方が、まだ出会いとかあるんじゃねーかな?」
カツヲ「かもね」
ゆう「そういえば、ケンの兄ちゃん姉ちゃんらは今日いないん?」
カツヲ「みんな出かけてるって」
カツヲ「カンイチロウさんは婚活パーティに行ってる」
ゆう「思うんだけど、あれってコスパどうなんだ?」
ゆう「成功確率とかって、宝くじと同じ程度だと俺はにらんでんだけど」
カツヲ「オレの親戚も連戦連敗らしい」
ゆう「俺らみたいにバンドとか組んだ方が、まだ出会いとかあるんじゃねーかな?」
カツヲ「かもね」
43: 2012/12/23(日) 07:29:08.49 ID:J1osoJEa0
カツヲ「キンジロウさんは仕事でカリブ海の方に出張だって」
ゆう「遠いなーっ!日本の裏側までかよ!」
カツヲ「今回は一ヶ月程度で帰国だけど、次は10年間出向しっぱなしになるだろうって」
ゆう「きっついなオイ」
ゆう「あれ、確かあの人って、近々結婚するとかじゃなかったか?」
カツヲ「だからお嫁さんと、一緒にカリブ行く行かないで大ゲンカしてるとかしてないとか」
ゆう「うえええええええ……」
44: 2012/12/23(日) 07:29:54.34 ID:J1osoJEa0
カツヲ「クミさんは就職活動」
ゆう「この年末12月27日。年の瀬ですらシューカツって、まじキチOイ」
カツヲ「大変だよな。1年近く就活しても仕事見つからない人も多いんでしょ?」
ゆう「イマじゃもう、若者の半分はニートだってニュースで出てたな」
カツヲ「でも、忙しそうに夜中まで仕事してる大人もいるのにね……」
ゆう「半分はニートでプラプラ、もう半分は『明るく楽しく14時間労働』!」
カツヲ「……」
ゆう「どんな国だってんだ。あーっ、こんな社会で大人になりたくねー」
カツヲ「……」
45: 2012/12/23(日) 07:30:39.74 ID:J1osoJEa0
ケン「ホワチャチャチャチャ」
ケン「アチャー!」
ゆう「い、いきなりなんだ!?」
カツヲ「どうしたの大丈夫?」
ケン「あちちあち……」
ケン「大丈夫だ問題ない。思ったより急須が熱くてな」
ケン「さて……と」
ケン「みなさん、お茶が入りましたよ~」
カツヲ「ありがとう」
ゆう「サンキュ。ところで茶菓子はないのか?」
ケン「あいにく、ウチは毎月余るほどお菓子を貰える名家じゃないんで」
47: 2012/12/23(日) 07:31:49.34 ID:J1osoJEa0
ズズズズズ
ゆう「しかしまー」
ゆう「カツヲと吉田さんがくっつく事になるとは、驚きだ」
ゆう「中一や中二で恋だとかって、展開早くね?」
カツヲ「そ、そうかな?」
ケン「それはお前の勘違いだよ」
ケン「“正義”はカツヲと吉田さんの方にある」
ゆう「ふーむ……」
ズズズズズ
53: 2012/12/23(日) 10:11:07.56 ID:J1osoJEa0
>>47の続き
<後半>
ケン「あぁ、でも『ふわふわ時間』演奏したかったなぁ……」
カツヲ「ええええ」
ゆう「まだ言うかコノヤロー」
ケン「……」
『バンドの結束が1下がった』
<後半>
ケン「あぁ、でも『ふわふわ時間』演奏したかったなぁ……」
カツヲ「ええええ」
ゆう「まだ言うかコノヤロー」
ケン「……」
『バンドの結束が1下がった』
54: 2012/12/23(日) 10:11:51.82 ID:J1osoJEa0
ケン「逆に聞きたいんだが……」
ゆう「ん?」
ケン「お前は『ふわふわ時間』を否定してるけど、」
ケン「練習の空き時間にあの曲のフレーズ、よくギターで弾いてるだろう?」
ゆう「え?」
カツヲ「そうそう、それはあるよね。俺も気になってた」
ゆう「ええっ? 俺そういう事してたの?」
カツヲ「してたしてた」
ケン「してるしてる」
ゆう「あー。無意識のうちに弾いてたのか……」
55: 2012/12/23(日) 10:12:43.30 ID:J1osoJEa0
ゆう「いや、俺のカーチャンがあの曲好きでさ、しょっちゅう唄ってんだよね」
ケン「へぇ」
カツヲ「そうなんだ」
ゆう「掃除やら洗濯、料理の空き時間なんかにいっも唄ってんだ」
ゆう「俺が赤ん坊のころも、子守唄代わりに唄ってたとかどうとか」
ケン「ふむ」
カツヲ「20年前の、僕らの親が20代の時に大ヒットした曲だから」
カツヲ「そういうこともあるのかな??」
ゆう「だから俺の生活圏、家の中ではあの曲が溢れてて」
ゆう「カーチャンのくせが、俺にも沁み込んじゃねーかね?」
ケン「ふむふむ……」
56: 2012/12/23(日) 10:13:40.58 ID:J1osoJEa0
ケン「しかし『ふわふわ時間』。20年経過しても愛されてる曲だとは」
ケン「流石はあのムギさんが作った曲、やはり素晴らしい……」
カツヲ「ケンはHTTのムギさんの大ファンなんだよなー」
ゆう「あれ、そうだったんか?」
ケン「あぁ、そうだったんよ」
ケン「僕が小さかったころ、兄者たちと一緒に放課後ティータイムのライブに行ったことがあるんだが……」
カツヲ「ええっ、あのバンドって最近でも活動してたの?」
ケン「しているな。もっともイマはレコード会社とは契約打ち切ってフリー状態に」
ケン「それと、ここ数年間は年に1回程度の活動になってるそうだが」
ゆう「あー、そうそう……」
ゆう「……俺のカーチャンもそんなこと言ってたわー」
57: 2012/12/23(日) 10:14:25.24 ID:J1osoJEa0
ケン「幼い時に兄弟で見に行った、HTTのライブ」
ケン「沸き立つ客席を前に、個性はバラバラ、だけど息の合った音を奏でるメンバーたち」
ケン「5,6年前の光景なんだが、未だに僕の心のなかに焼き付いていて離れない!」
ケン「特に、キーボードのムギさんの姿は!」
ケン「あぁ、麗しのムギさん……イマどうしてらっしゃるのだろうか」
ゆう(……)
カツヲ「へー、ケンにはそんな思い出があるんだね」
58: 2012/12/23(日) 10:15:07.39 ID:J1osoJEa0
ケン「そんなムギさんに憧れて近づきたくて」
ケン「僕はキーボード・鍵盤に興味を持った」
ゆう(……)
カツヲ「いいはなしだなー」
カツヲ「そうか、それがケンがキーボードを始めた理由なんだ」
ゆう「……俺らって、けっこうお互いの事知らないよな」
ケン「……だな。話してないな」
59: 2012/12/23(日) 10:15:49.22 ID:J1osoJEa0
ケン「カツヲはどうなんだ、なんでドラムをやろうと思った?」
カツヲ「オレはね、音ゲーから入ったんだ」
ゆう「あー、カツヲは音ゲーマニアだからな」
ゆう「この前一緒にゲーセンに行った時も、いくつか音ゲーしてたけども」
ゆう「どのゲームでも全国ランキングに入ってやがった」
ケン「えっ、ヤバい。カツヲ、ヤバい!」
カツヲ「1人だけでするゲームだけじゃ物足りなくなって、実際の演奏もやりたくなった」
カツヲ「それで、特にリズム感が大事になる、ドラムをね」
ケン「ふむ」
ゆう「そういう理由があったのか」
60: 2012/12/23(日) 10:16:43.98 ID:J1osoJEa0
ケン「お前は?」
ゆう「俺は……またカーチャンの影響だろうな」
ゆう「俺のカーチャンも学生時代にバンドしてて、ギター&ボーカルしてたんだよ」
カツヲ「えっ」
ケン「初耳だ」
ゆう「ま、そんな母親のもとに生まれたからかしらんが、」
ゆう「俺が小1の時には既に、家にあったギターをオモチャ代わりに遊んでて」
ゆう「カラオケとか行った時にもカーチャンに発声法とか仕込まれて……」
ゆう「気づいたら、今に至る」
カツヲ「わー、ギター&ボーカルのサラブレッドだなぁ」
ケン「環境に恵まれてても、練習しないから下手くそのままだけどな」
ゆう「うるせぇ」
61: 2012/12/23(日) 10:17:11.43 ID:J1osoJEa0
ケン「けど事実だろ」
ゆう「ぐぬぬぬ……」
カツヲ「そうか、お前のお母さんもバンドしてたのかぁ……」
カツヲ「20年前が羨ましい。当時はバンド人口も多かっただろうになぁ」
ケン「お前のカーチャンも、HTTに影響されたクチなのか?」
ゆう「…………あぁ、そうだな」
ケン「うんうん、流石はムギさんのいる放課後ティータイムだ!」
カツヲ(あれ、何か違和感が……?)
62: 2012/12/23(日) 10:17:49.32 ID:J1osoJEa0
ケン「あぁ、ムギさん。ムギさん」
ケン「……ほんと、今どこで何をしてらっしゃるんだろう」
カツヲ「オレらの母親と同年代くらいだから」
ゆう「……まぁ40あたりのオバハンになってるな」
ケン「年齢なんてどうでもいい」
ケン「何歳だろうが、あの人は楽しくバンドを、音楽をしてるに違いない!」
ケン「スポットライトを浴びながら金色の髪を揺らし、」
ケン「キーボードと指先で、キラキラ輝く音を奏でるムギさん!」
ケン「幼い時に僕が見た、あの光景にもう一度、触れてみたいもんだ……」
カツヲ「おー」
ゆう「あー」
63: 2012/12/23(日) 10:18:27.60 ID:J1osoJEa0
ケン「分かってくれるか、この感じ?」
ゆう「おう」
カツヲ「分かるよ!」
ケン「うおぉぉぉぉ!」
カツヲ「金髪ロングの女性と楽器の組み合わせって、なんか良さげな気がする」
ケン「そうそう」
ゆう「あぁ、それには賛成。大賛成!」
64: 2012/12/23(日) 10:18:55.69 ID:J1osoJEa0
ゆう「キーボードとかもいいけれど、」
ゆう「金髪ロングの女性と何かの楽器ってなら、……俺はバイオリンの方が好みだなぁ」
ゆう「上品で柔らかな、バイオリンの音色と髪の金色」
ゆう「それらが空中に ふっ と溶けて流れてく」
ゆう「そういうシチュエーションが個人的にグっとくる」
カツヲ「うんうん。イイね」
ケン「なるほど、それもアリだな」
65: 2012/12/23(日) 10:19:53.38 ID:J1osoJEa0
カツヲ「オレはドラムだな。担当楽器だからかもだけど」
カツヲ「金色の長い髪をハチャメチャに振り乱しながら、」
カツヲ「これでもかっ、ってくらいドラムをドカドカ叩きまくる!」
カツヲ「そんな野性味溢れる姿に、なんだか燃える」
ゆう「うおおお、それはそれでカッケー!」
ケン「見てみたいな、それも」
66: 2012/12/23(日) 10:21:05.40 ID:J1osoJEa0
「金髪ロングならエレキも映えるな!」「ああ!」
「三味線とかも!」「シブい!」
「クラシックピアノ!」「味がある!」
「アコギだっていいよな!」「そうそう!」
「フルート・サックス・トランペット!」「まぶしい!」
―――――――――
――――――
―――
67: 2012/12/23(日) 10:21:47.02 ID:J1osoJEa0
ゆう「うーむ、金髪ロングと楽器のコンボ……」
ケン「絵になるな!いいものだな……!!」
カツヲ「だな!」
ゆう「だなっ!!」
『3人の好みが一致した!』
『3人の心が一つになった!!』
『バンドの結束が20上がった!!!』
68: 2012/12/23(日) 10:22:21.65 ID:J1osoJEa0
カツヲ「……」
ケン「……」
ゆう「……」
カツヲ「そういえば、そもそも何の話してたっけ?」
ゆう「金髪ロングの楽器弾き女子は絵になる」
カツヲ「そうだけどそうじゃなくて……」
ケン「初ライブで何を演奏するかだ」
カツヲ「そうそう、それそれ」
ゆう「忘れてた」
69: 2012/12/23(日) 10:23:11.72 ID:J1osoJEa0
ケン「……」
ケン「僕が言いだしたことだけど、『ふわふわ時間』はやっぱ無しでいこう」
カツヲ「……思い入れがあるみたいだけど、ホントにいいのか?」
ケン「……僕はあの曲やムギさん個人にもだけど、彼女の居場所でもある、」
ケン「メンバーの呼吸がぴったり合うバンド、HTTにも憧れていたんだ。思い出したよ」
70: 2012/12/23(日) 10:23:49.21 ID:J1osoJEa0
ケン「……僕は昔見た、僕が憧れた光景に、なんとしても近づきたい!!!」
ゆう「……」
カツヲ「……」
ケン「けど、あの日に存在していた曲だからって、バカ正直に僕らのバンドで演奏してみても、」
ケン「そもそも奏者の力量が違いすぎるし、バンドの個性も、性別も、時代背景もさっぱり違うから」
ケン「きっとあの光景にはたどり着けない。冷静に考えれば、そんな気がする」
71: 2012/12/23(日) 10:24:32.51 ID:J1osoJEa0
ケン「それでも、あの日の何かを僕らの手でも再現ができるとしたら、」
ケン「それはバンドの“まとまり”と“勢い”しかないと思う。それだけは手を伸ばして、掴んでみたい」
カツヲ「おおーっ!」
ゆう「熱いな」
ケン「……芯の部分を大切にして、僕らなりの感性と情熱と熱量を混ぜ込めば」
ケン「良い音楽がやれる……そうなんだろ!?」
カツヲ「…………おっ!」
ゆう「……わかってんじゃねーか、よっしゃ!」
ゆう「どっかの誰かが用意してくれた光景に見とれてるんじゃなく」
ゆう「俺たちでまた別の、新しい光景を作りだしたろうじゃねーか!」
ケン「そうだ。誰も見たことがないけど、琴線に触れる何かをな」
カツヲ「いいな。こんな感じ、なんだかロックだ」
72: 2012/12/23(日) 10:25:10.08 ID:J1osoJEa0
ゆう「じゃ、俺らがまとまれる様な何かを、みんなで探すとしますかね」
カツヲ「先はまだ長いけど、力を合わせていいライブを目指していこう」
ケン「あぁ、頑張ろう。やれるよな、僕らなら」
ゆう「やったろうじゃん!」
ケン・カツヲ「おう!」
73: 2012/12/23(日) 10:29:53.79 ID:J1osoJEa0
―――――――――
――――――
―――
ゆう「しかし……」
ゆう「ライブの曲、けっきょく何がいいかねぇ」
カツヲ「オレたちでも演奏できて、個性も出せる曲って難しいなぁ」
ケン「うーむ……」
カツヲ「ってあぁ、いつの間にかこんな時間だ」
カツヲ「もう帰らなきゃ」
ケン「じゃぁ“僕らがまとまれる曲を探す”のは宿題にして、今日は解散で」
ゆう「あとそれと、一応“ベース探し”もしてこうぜ」
ケン「そうそう、それもやっていこう」
74: 2012/12/23(日) 10:30:37.06 ID:J1osoJEa0
カツヲ「悪いけど、急ぐから一足先に帰るよ」
ケン「おうお疲れ」
ゆう「またな」
カツヲ「じゃーねー!」
タッタッタ
ゆう「んじゃ、俺も帰るわ」
ケン「あぁ、ちょっと待ってくれ」
ゆう「どした?」
75: 2012/12/23(日) 10:31:08.18 ID:J1osoJEa0
ケン「……今日は、お前を色々とからかったりして、悪かったな。ごめん」
ゆう「いいよいいよ、気にすんな。俺も大概だから。ま、楽にいこうぜ!」
ゆう「色々言われたけど、特に、俺の演奏がまだまだ未熟なのは違いねーし」
ゆう「そういうダメ出しならドンドンしてくれよ」
ケン「そうか、じゃぁ頑張ってくれ。頑張って練習してくれ!」
ゆう「あぁ、『男子三日会わざれば刮目して見よ』だ!」
ゆう「次の練習セッションじゃ、2人をビビらすような腕になってるからな」
ゆう「楽しみに待ってろよ!」ビシッ
ケン「あぁ、頼む」
ゆう「じゃーなー」
ケン「おう」
76: 2012/12/23(日) 10:32:06.56 ID:J1osoJEa0
<道路・帰り道>
テクテクテク
ゆう「はぁ~……」
ゆう(しかし、今日はあいつらに俺の持論を、恥ずかしい持論を語ってしまったorz)
ゆう(熱くなると、つーい語りたくなっちゃうんだよなぁ……なんでだろ。反省しなきゃな)
ゆう(ま、いいか。切り替え切り替え!)
ゆう「さてさて、曲探しにメンバー募集に練習っと」
ゆう「いろいろあるけれど、」
ゆう「何から始めますかねぇ……?」
??「あっ、あれは……」
ゆう「あー、そうだ」
ゆう(ゲン担ぎに、近くの神社にお参りしにいくか!)
??(ふふふっ、付いていこーっとv)
77: 2012/12/23(日) 10:32:36.20 ID:J1osoJEa0
ー
<神社・境内>
ゆう「神社に到着ッと!」
ゆう「正月も近いから、神社の内ではその準備してるのな」
ゆう「年開けたらたくさん人が集まるんだろうなぁ……」
ゆう「俺らのバンドで、いつか本格的なライブをする時も、たくさんの人を集められる様になりたいもんだ」
ゆう「さて、お賽銭お賽銭。お参りお参り……」
カチャッ チャリリリーン
ガシャガシャ
ゆう(初ライブで演奏できる、いい曲が見つかりますように!)
ゆう(あと、俺の演奏が上達しますように!)
ゆう(あと、俺らのベースも見つかりますように!)
ゆう(ナンマンダブナンマンダブ……)
ゆう「っし!」
パンパン!!
<神社・境内>
ゆう「神社に到着ッと!」
ゆう「正月も近いから、神社の内ではその準備してるのな」
ゆう「年開けたらたくさん人が集まるんだろうなぁ……」
ゆう「俺らのバンドで、いつか本格的なライブをする時も、たくさんの人を集められる様になりたいもんだ」
ゆう「さて、お賽銭お賽銭。お参りお参り……」
カチャッ チャリリリーン
ガシャガシャ
ゆう(初ライブで演奏できる、いい曲が見つかりますように!)
ゆう(あと、俺の演奏が上達しますように!)
ゆう(あと、俺らのベースも見つかりますように!)
ゆう(ナンマンダブナンマンダブ……)
ゆう「っし!」
パンパン!!
78: 2012/12/23(日) 10:33:16.64 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「ワッ!」
ゆう「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!?」
ゆう「って、カーチャン!? なんだよっ、イキナリ脅かすな!?」
J( 'ー`)し「ごめんごめん」テヘペロ
J( 'ー`)し「お参り?」
ゆう「うん。まぁ、いろいろと」
J( 'ー`)し「ふーん……あっ!」
J( 'ー`)し「今、ケンちゃん家からの帰りよね?どんな用事だったの?」
ゆう「あー、それは……」
ティコン!
ゆう(ま、マズイ!)
79: 2012/12/23(日) 10:34:03.09 ID:J1osoJEa0
ゆう(ここで正直に『ライブやる』って言ったら、)
ゆう(カーチャンの性格的に『私もゼッタイ見に行く~』とか言いかねん!)
ゆう(人前で演奏するのに恥だとかはないけれど、)
ゆう(カーチャンがライブ会場に来て、演奏を見られるのだけはダメだ。氏ぬ!)
ゆう「……」
J( 'ー`)し(?)
J( 'ー`)し(どうして黙っているんだろう……)
ティコン!
J( 'ー`)し「ははーん、さては……」
ゆう(なに、心読まれたっ!?)
80: 2012/12/23(日) 10:34:31.73 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「男の子たちで集まって、恋バナですな!?」
ゆう「えーっ!?」
ズルッ
J( 'ー`)し「あれ? 違った?」
ゆう「い、いや。そうです。その通りです」
ゆう(まぁウソではないな)
ゆう「カツヲが彼女作ったんだ。その話してた」
J( 'ー`)し「あらあら、やっぱりそんなお年頃なのねー」
ゆう「どんなだよ」
J( 'ー`)し「ゆうくんにも彼女できたら、教えてねー」
ゆう「あー、はいはい」
81: 2012/12/23(日) 10:35:13.92 ID:J1osoJEa0
ゆう「で、カーチャンは買い物の帰りだよな? 買い物袋あるし」
J( 'ー`)し「そうよ。今日は鍋よ、鍋!」
ゆう「そのミカン袋とか重くね、俺が持ってくわ」
J( 'ー`)し「いいよいいよ、私が持つわ」
ゆう「あーもう、いいから貸せ!」
ぐいっ
ゆう「よし、じゃぁ行くぞ!」
J( 'ー`)し「あらあら……」
J( 'ー`)し「ゆうくんも気が利くようになったのね~」
J( 'ー`)し「エライエライ」
なでなで
ゆう「あー、アタマを撫でるな。うっとおしい!」
82: 2012/12/23(日) 10:35:46.22 ID:J1osoJEa0
<ゆうの自宅>
J( 'ー`)し「ただいまー」
ゆう「ただいま、ミカンはこたつの上に置いとくから」
J( 'ー`)し「ええ。お願い」
83: 2012/12/23(日) 10:36:44.30 ID:J1osoJEa0
―
―――
――――――
ゆう「よしよし、ミカン設置完了っと」
J( 'ー`)し「うーさむいさむい」
ガサゴソ
ゆう「っておい、カーチャン!?」
J( 'ー`)し「ん?」
ゆう「んじゃねーよ、いつの間にコタツに入り込んでんだ!」
ゆう「買ってきた食材はどうしたんだよ!?」
J( 'ー`)し「キッチンに置いてきたわ~。まだ冷蔵庫には入れてないけど、寒いし、」
J( 'ー`)し「ちょっとの間だけなら外に置いてても傷まないでしょ」
ゆう「ええええええええ……」
J( 'ー`)し「それに今は寒い冬、コタツの引力には勝てないしね~」
ゆう「……」
84: 2012/12/23(日) 10:37:21.67 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「ほらほら、ゆうくんもコタツの中入りなさい。風邪ひいちゃうよ」
ゆう「……わかったよ。そうするよ」
ガサゴソ
J( 'ー`)し「冬のコタツっていいよね~」
ゆう「そーだな」
J( 'ー`)し「日本人に生まれて、ほんと良かったわ~」
ゆう「うん」
J( 'ー`)し「ねぇ、ミカンとって」
ゆう「ほら」
J( 'ー`)し「ありがと」
ゆう「……」
J( 'ー`)し「……」
85: 2012/12/23(日) 10:37:55.55 ID:J1osoJEa0
ゆう「なぁ、カーチャン?」
J( 'ー`)し「どうしたの?」
ゆう「今日さ、ケンとカツヲとお互いの音楽理論についても話してたんだけど、」
J( 'ー`)し「うんうん!」
ゆう「カーチャンには何か、バンド経験者としての音楽理論とか持論とかある?」
J( 'ー`)し「そうねぇ、」
J( 'ー`)し「技術的な事は抜きしてて……忘れちゃいけないことが2つあるわね」
ゆう「へぇ、1つは?」
J( 'ー`)し「曲に、自分の想いを乗せて演奏すること!」
ゆう「……///」
ゆう「んと、そういう中二病の精神論みたいなのはケッコーですから。はい」
J( 'ー`)し「何よー。大事なコトよー」プンスカ!
86: 2012/12/23(日) 10:38:47.79 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「音楽に限ったことじゃないだろうけど」
J( 'ー`)し「曲の形だけ、上辺だけ整えても、そこに自分の本当のハートが込められてないなら、」
J( 'ー`)し「どんだけスゴイ演奏をしてても、虚しく苦しくなるだけだからねっ!」
ゆう「……それって」
ゆう「コンビニやファミレスの店員が、大きな声出して笑顔で接客してたとしても」
ゆう「その理由が“接客マニュアルに書かれてるから”だとしたら」
ゆう「そんな店員はマニュアルに操られる、無機質なロボットと同じだー。みたいなアレ?」
J( 'ー`)し「そうそう。そうかもねー」
J( 'ー`)し「人間は“心ここに在らず”で生きてたらダメなのよ」
87: 2012/12/23(日) 10:40:33.52 ID:J1osoJEa0
ゆう「じゃ、2つ目は?」
J( 'ー`)し「バンド仲間と仲良くすること!」
ゆう「……」
J( 'ー`)し「1人だけじゃ、バンドってできないじゃない」
ゆう「あぁ」
J( 'ー`)し「けど何人か集まれば、そのメンバーは性格も、音楽の嗜好も違ったりする」
ゆう「うん」
J( 'ー`)し「真面目なコとおちゃらけたコで、バンドに打ち込む姿勢が合わなかったり、」
J( 'ー`)し「演奏のリズムや、人間としてのリズムが違うせいで、いざこざが起きたり、」
J( 'ー`)し「他にも腕前や上達スピードが違って、気まずくなったりもある!」
ゆう「……」
88: 2012/12/23(日) 10:41:18.57 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「けどね、でもね」
J( 'ー`)し「それでもみんなの心が一つになれて、曲をいい感じに演奏できたとき、」
J( 'ー`)し「そこには色んな嫌なとこも吹き飛ばせる程の、スッゴイ楽しさがあるの!」
ゆう「……」
J( 'ー`)し「そんな感情を知って、忘れないように、壊れないように、」
J( 'ー`)し「あと誰かを傷つけないようにするのが大事ね!」
ゆう「ふーん……」
J( 'ー`)し「あっ、『心が一つに』って言っても、気難しく気負う事はないのよ」
J( 'ー`)し「バンドメンバーで一緒に食べたお菓子がおいしかったとか、」
J( 'ー`)し「学校のマドンナが僕らの演奏を認めてくれそうとか、そんな小さなことでもいいの」
ゆう「たははは、マドンナかぁ……」
ゆう「なるほどなるほど。教えてくれてありがとカーチャン」
J( 'ー`)し「どういたしまして!」
89: 2012/12/23(日) 10:41:59.60 ID:J1osoJEa0
ゆう「……そういえば」
ゆう「話変わるけど、カーチャンは放課後ティータイムのムギさんと知り合いなんだよな」
J( 'ー`)し「うん」
ゆう「ケンが、ムギさんのファンだったんだよ。で、HTTのライブに行きたいそうなんだ」
J( 'ー`)し「えっ、ケンちゃんが!? ムギちゃんのファンでライブに行きたい!?」
ゆう「あぁ。HTTが次にやるライブはいつなのか、知ってない?」
J( 'ー`)し「うーん……」
J( 'ー`)し「ゴメンね、分からないわ。と言うのも、みんなお仕事や家の用事が立て込んでて」
J( 'ー`)し「イマじゃなかなか集まれなくなってるのよ。だから……次のライブは未定です」
ゆう「あちゃー……」
J( 'ー`)し「それでもみんなイマでも仲良しだから、そんな遠くないうちにきっとあるわ」
90: 2012/12/23(日) 10:42:34.75 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「あっ、でもサインとかならすぐ用意できるんじゃないかな?」
ゆう「おっ、イイなサイン!」
J( 'ー`)し「ムギちゃんに連絡すれば送ってもらえると思うわ」
ゆう「おおっ、頼むよ。きっとケンのやつ喜ぶよ!」
J( 'ー`)し「他のメンバー、りっちゃんとかのサインも一緒ににどうかな?」
ゆう「お~っ、できるならお願いします」
91: 2012/12/23(日) 10:43:05.85 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「オッケーオッケー。じゃぁ私のサインもついでに付けたげる!」
ゆう「おいおい。ダメだ、カーチャンのはいらない」
J( 'ー`)し「ええっ!?どーしてっ!??」
ゆう「いや、だって……」
J( 'ー`)し「うわああああああああああああん!!!」
J( 'ー`)し「実の息子がイジワルしてくる~~~~」
ゆう「えっ、えええええええ。いやいやいや……」
ピンポーン
92: 2012/12/23(日) 10:43:39.62 ID:J1osoJEa0
宅配便「ちわー。お届けものでーす!」
ゆう「はい!今行きまーす!」
ゆう「宅配便来たから俺行ってくるわ」
J( 'ー`)し「うええええええええええええええん……」
ゆう「いつまでも泣いてんじゃねーよ、ほら」
ゆう「買ってきた鍋の材料、放置しっぱなしじゃなかったか!?」
J( 'ー`)し「あらやだいけない!」
93: 2012/12/23(日) 10:44:18.45 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し「じゃ、そっちはお願いね」
J( 'ー`)し「私は晩御飯作りをガンバルから!」
ゆう「はいよ」
おしまい
94: 2012/12/23(日) 10:45:05.79 ID:J1osoJEa0
おつかれさまでした
以上です。
以上です。
95: 2012/12/23(日) 10:46:53.94 ID:J1osoJEa0
J( 'ー`)し ←今作のカーチャンが何者なのかは明言しません。
元々はコイツだーってのはあったんですが……
というのも、
「けいおんキャラが男と結婚して子供産んだとかないわー。マジないわー」な人もいるでしょうし、
1自身も、書き直してる時に、
「このキャラって20年後こうなる? むしろあのキャラだったって方が面白いかも」という感触が…
ムギの知り合いでギターができるキャラなのは確かです。でも誰なのかは1にも分からなくなりました。
もう原作画面に出てないモブキャラかもしれません。読者様にブン投げます。すみません。
とりあえず、姐さんにはいい人見つかって欲しいなぁと単行本読んでて思った。
元々はコイツだーってのはあったんですが……
というのも、
「けいおんキャラが男と結婚して子供産んだとかないわー。マジないわー」な人もいるでしょうし、
1自身も、書き直してる時に、
「このキャラって20年後こうなる? むしろあのキャラだったって方が面白いかも」という感触が…
ムギの知り合いでギターができるキャラなのは確かです。でも誰なのかは1にも分からなくなりました。
もう原作画面に出てないモブキャラかもしれません。読者様にブン投げます。すみません。
とりあえず、姐さんにはいい人見つかって欲しいなぁと単行本読んでて思った。
97: 2012/12/23(日) 10:51:58.44 ID:J1osoJEa0
<後半のおまけ・エピローグ>
ナレーション「さーて、この後の展開は!?」
カツヲ「カツヲです」
カツヲ「いやー、HTTとアイツのカーチャンがああいう関係だったとは……」
カツヲ「そしてベースのサポメンも探してくれたのには、本当に感謝です!」
カツヲ「『うわー、カーチャンがライブを見に来るorz』って、アイツは嘆いてましたけどね」
カツヲ「さて、この後は」
澪、最初はイヤがる
純と幸は快諾
上島の流れで出演は澪!
の3本(?)です。
(どんなライブになったかも皆さんのご想像にお任せします)
(やっぱり、ここから先を書いてみたかったなぁ……)
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります