407:◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:28:48.69 ID:E9gL7dPDO
ロレンス「…ん」
ロレンス「(リビングの方が明るいな…)」
ロレンス「…」ムクッ
408: 2013/03/03(日) 23:31:47.61 ID:fd9Lq4uho
窓から射す星空の明かりが頼りのリビング。
片膝を抱えるようにして椅子に座るホロがいた。
お酒の入ったグラスをもう片方の手に持ち、彼女は、
ベランダに続く窓から月を眺めていた。
尾の先の綺麗な白が、月明かりでほんのりと浮かび上がる。
光芒の中に佇むそんな彼女のことを、俺はただ美しいと思う。
409: 2013/03/03(日) 23:33:49.47 ID:E9gL7dPDO
カラン
ホロ「おや、ぬしよ」
ホロ「ごめん。起こしてしまったかの」
ロレンス「いや、そう言うわけじゃないよ」
ロレンス「と言うか、どうしたんだ? こんな夜中に」
ホロ「何だか今日は眠れなくての」
ホロ「くふ、我ながら子どもみたいでありんす」
410: 2013/03/03(日) 23:35:42.24 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「それで一人酒か」
ロレンス「俺も誘ってくれればよかったのに」
ホロ「眠っておるぬしを起こすわけにもいかんじゃろ」コク
ロレンス「しかし、こうして俺も目が覚めてしまった」
ホロ「ふふ、ではぬしにも入れよう」
ロレンス「悪いな」
411: 2013/03/03(日) 23:37:41.33 ID:E9gL7dPDO
ロレンス「そう言えば、今日は満月か」コク
ホロ「うむ」
ホロ「…なんじゃぬしよ、まさか月に当てられて」
ホロ「わっちがこうして起きておるのかと勘繰ったのではあるまいな?」
ロレンス「まあな」カラン
ロレンス「…そうであっても驚かない」
ロレンス「(あんなに幻想的な様子を目にしてしまうとなおさらだ)」
ホロ「たわけ」
412: 2013/03/03(日) 23:40:06.22 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「何か不眠の理由があるというわけでは」
ホロ「ありんせん。本当に、ただ何となく目が覚めてしまっただけじゃ」
ホロ「あんまり心配せんでくりゃれ?」
ロレンス「別にホロのことを信用していないわけではないよ」コク
ロレンス「だが俺は、ホロも知っての通り抜けている男だからな」
ロレンス「一人で納得してしまうと、よく失敗する」
ホロ「ふむ」
413: 2013/03/03(日) 23:41:18.02 ID:E9gL7dPDO
ホロ「なので用心深く、ということじゃな」
ホロ「うむ。殊勝な心がけじゃ」
ホロ「じゃがあまりしつこく心配することも決してよいことではない」
ロレンス「ああ。ほどほどに、な」
ホロ「うむ」
ホロ「まあそれが容易ではないからこそ、ぬしはいつも失敗しておるのじゃがな」
ロレンス「…耳が痛いよ」
414: 2013/03/03(日) 23:43:35.56 ID:fd9Lq4uho
カラン…
ホロ「とはいえ、それが最もぬしらしいところでありんす」
ホロ「じゃからわっちは、ぬしのそう言うところに惚れたんじゃと思う」
ロレンス「…たわけなところってことか」
ホロ「くふ、そうじゃな」
ホロ「思い込み、間違え、余計なことをする」
ホロ「けれどぬしはいつだって真剣じゃ」
ホロ「そんな姿を見ておって惚れぬとあっては、嘘でありんす」
ロレンス「…はは。やけにストレートに褒めるな」
ロレンス「何と言うか、さすがに照れる」ポリポリ
415: 2013/03/03(日) 23:45:06.62 ID:E9gL7dPDO
ホロ「まあ、アマーティのこともあった」
ホロ「お互いもう少し素直になろうと決めたのは、ついこの前のことでありんす」
ロレンス「…ああ」
ロレンス「まったく。もう初々しいと言える時期なんて、とうに過ぎたのにな」ハハ
ホロ「くふ。そうは言っても一緒になって、ここに来てからまだ日は浅い」
ホロ「その点わっちらは、まだまだじゃと言うことでありんす。浮かれず精進せんとの」
ロレンス「肝に銘じておくよ」
ホロ「んむ」
416: 2013/03/03(日) 23:46:14.73 ID:fd9Lq4uho
ホロ「何だか話しておったらお腹が空いた」
ホロ「なにか軽くつまめるものでも作ろうかの」ガタッ
ロレンス「悪いな」
ホロ「ううん。料理は妻の務めじゃからな」
ホロ「…余りもので、パスタでもするかの」
ロレンス「それはいい。そうすると、次はワインにするか」
ホロ「おお、いいの」
417: 2013/03/03(日) 23:47:58.84 ID:E9gL7dPDO
ホロ「お待ちどう」コト
ホロ「ベーコンとほうれん草がメインの、ペペロンチーノじゃ」
ロレンス「…美味い」モグモグ
ホロ「うむ。我ながら上出来じゃ」モグモグ
ロレンス「前は俺がいつも料理をしていたのになぁ」
ロレンス「こうして残り物で料理できるまでになるとは、感慨深い」モグ゙
ホロ「くふ、褒め言葉だと思っておくでありんす」
418: 2013/03/03(日) 23:53:31.52 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「ごちそうさま」
ホロ「おそまつでありんす」カチャ
ロレンス「…さて。そろそろ寝ないと、明日がまずい」
ホロ「うむ。ぬしには、わっちの分も外で十分働いてもらわんとの」
ロレンス「ああ。ホロのためにも、ばりばり稼がないとな」
ホロ「くふ。嬉しい」
ロレンス「…何だか、そうあんまり素直に言われてしまうと、拍子抜けしてしまうな」
ホロ「くふふ♪」
419: 2013/03/03(日) 23:55:16.11 ID:E9gL7dPDO
ゴソ
ホロ「暖かいの」
ロレンス「二人だからな」
ホロ「そうじゃな」
ギュ
ホロ「…お休み、ぬしさま」
ロレンス「ああ。お休み、ホロ」
424: 2013/03/04(月) 14:47:33.32 ID:FMpw3WG0o
チーン
ロレンス「…む」パチッ
ロレンス「…」クンクン
ロレンス「いいにおいがするな…」
ムクッ
425: 2013/03/04(月) 14:50:31.43 ID:FMpw3WG0o
ホロ「おお、ぬしよ。やっと起きたかや。おはよう」
ロレンス「…おはよう」
ホロ「ひどい寝ぐせじゃ」クスクス
ホロ「ほれ、とっとと顔を洗って来んす。朝餉の用意はできておるぞ」
ロレンス「…うん」
426: 2013/03/04(月) 14:50:58.52 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…」
ホロ「何じゃ、ぼけーっと突っ立って」
ホロ「まだ寝ぼけておるのかや?」
ロレンス「…いや…」
ロレンス「いいもんだよな。朝起きたら、誰かが食事の用意をしてくれているってのは」
ホロ「…」
ホロ「何を唐突にたわけたことを…」ハア
ホロ「本当にまだ夢うつつのようじゃな?」
427: 2013/03/04(月) 14:51:48.13 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…そんなことはないさ」
ロレンス「そうか、今のは少し間違ったか」
ホロ「は?」
ロレンス「朝起きたら、ホロが。」
ロレンス「こうして俺のために食事を用意してくれているというのが、幸せだ」
ホロ「…」
ホロ「…」//
ホロ「べぇ。朝から甘ったる言葉じゃ。ごちそうさま」
ホロ「じゃが、いやな気はせんの」
ロレンス「はは」
428: 2013/03/04(月) 14:53:24.30 ID:FMpw3WG0o
ホロ「まったく、ぬしさまと言うお人は」
ホロ「いいからほら、顔を洗って来てくりゃれ?」
ホロ「食事にしよう。一緒に、の」
ロレンス「ああ」スタスタ
ホロ「…くふ。まったく」//
429: 2013/03/04(月) 14:54:04.96 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「では。頂きます」
ホロ「んむ。おあがり」
ロレンス「…」モグモグ
ロレンス「今日はなにか、用があったかな」
ホロ「ん、そうじゃな」モグ
ホロ「…特別何もないの。いつも通り買い物にはいかないとならんが」
ロレンス「そうか」
430: 2013/03/04(月) 14:55:24.54 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「今日はうちでのんびりしようか」
ホロ「そうじゃな」モグモグ
ホロ「何も休日じゃから、遠出せんとならないわけではないし」
ホロ「わっちはぬしといられれば、まあよいからの」
ロレンス「まあって何だよ」
ホロ「まあはまあ、じゃ」
ホロ「くふふ、誇ってよいのじゃぞ?」
ホロ「この賢狼が、ぬしだけいれば何事も“まあ”満足すると言っておるのじゃからな」
ロレンス「釈然としないな」
431: 2013/03/04(月) 14:56:18.28 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「ふん」モグモグ
ホロ「くふ、拗ねるでない」
ホロ「まったくぬしは可愛いお人じゃ」
ロレンス「…俺はきっと、一生こうやってお前にからかわれ続けるんだろうなぁ」
ホロ「…」
ロレンス「…どうかしたか?」
ホロ「ううん、なんでも」モグモグ
ホロ「(そういうことをさらっと言うから、ぬしはたわけなんじゃ)」
ロレンス「?」
432: 2013/03/04(月) 14:57:17.12 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「おいしかった。ごちそうさま」
ホロ「んむ。さて、ぬしには食後のコーヒーじゃな」ガタ
ロレンス「っと、その前に片づけをしてしまおう」
ロレンス「その方が、気分よく一服できるだろう」ガチャ
ホロ「なんじゃ、わっちがやるのに」
ロレンス「それこそ、一人でのんびりしていたって、ホロと同じで俺も面白くないさ」
ホロ「そうかや…くふ」
ホロ「ありがと」
433: 2013/03/04(月) 14:58:17.49 ID:FMpw3WG0o
ホロ「はい、コーヒー」コト
ロレンス「ありがとう」
ホロ「わっちは、コーヒーは苦くて飲めないので、ココアにした」
ロレンス「…食後のココアか」
ロレンス「想像しただけで胃がもたれそうだ」
ホロ「ぬしも一口どうかや?」
ロレンス「遠慮するよ」
434: 2013/03/04(月) 14:59:04.27 ID:FMpw3WG0o
ズズ
ホロ「ぬしの方こそ」
ホロ「よくコーヒーを、何も入れずに飲めるの。わっちには無理じゃ」
ロレンス「味をおいしいと思って飲んでいるかと言えば、そう言うわけでもないしな」
ホロ「そう言うものかや?」ズズ…
ロレンス「インスタントの安物だからかもしれないが」
ロレンス「まあ、食後の胃を休めてるつもりで飲んでいるよ俺は」
ホロ「ふぅん」
435: 2013/03/04(月) 14:59:58.40 ID:FMpw3WG0o
ホロ「さて、一服したし」
ホロ「ぬしよ、手を」
ロレンス「? ん」
パシッ
ホロ「くふ、では」タタッ
ロレンス「お、おい。引っ張るなよ」ガタッ
ロレンス「一体、どこに行くんだ」
436: 2013/03/04(月) 15:00:41.02 ID:FMpw3WG0o
ホロ「ほりゃっ」
バフッ
ロレンス「…子どもか、お前は」
ホロ「くふふ、ぬしが言うのなら子どもでかまわぬ」
ホロ「ほら、ぬしよ」
ロレンス「なんだ」
ホロ「ぎゅーっ」
ギュッ
ロレンス「…抱き返せばいいのか」
ホロ「それを聞いては台無しでありんす」
438: 2013/03/04(月) 15:01:37.61 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…何だか、恥ずかしいな」
ホロ「いつも一緒に寝ているのに、今さら何を恥ずかしがるんじゃ」クス
ロレンス「…いや、何でだろうな」
ホロ「早く早く。わっちからぬしを抱きしめておるだけではさみしいでありんす」
ロレンス「わ、分かったよ」
ロレンス「…」
ギュ
439: 2013/03/04(月) 15:02:40.55 ID:FMpw3WG0o
ホロ「くふふ♪」
ロレンス「…で? 二度寝がしたかったのか?」
ホロ「ううん。別に寝る気はないけど」
ホロ「眠くもないのに、ぼーっとふとんで過ごすのって、なんかいいじゃろ」
ロレンス「…まあ」
ロレンス「確かに、すごく贅沢な時間の使い方のような…気がしないでもない」
ホロ「そうそう、そんな感じじゃ」
440: 2013/03/04(月) 15:06:47.67 ID:FMpw3WG0o
ホロ「と、言うことで」
ホロ「しばらくは、こうしてまったりしよう、ぬしよ」
ロレンス「もちろん構わないが」
ホロ「…くふふ」
ロレンス「…ホロがいいなら、な」ギュ
ホロ「…♪」パタパタ
444: 2013/03/04(月) 23:16:03.32 ID:27g++3R6o
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「…」
ホロ「…」スー…
ロレンス「…そりゃあベッドにいたら寝てしまうよな…」チラ
ロレンス「もう三時か」
スリスリ
ホロ「…♪」
ロレンス「…まあ、いいか…たまには、こんな日があっても」
ナデナデ
ホロ「♪」スー…
445: 2013/03/04(月) 23:18:27.67 ID:eICgqagDO
ホロ「…ふが」
ロレンス「お、目が覚めたか」
ホロ「…」トロン
ロレンス「おはよう、ホロ」
ホロ「…」ボーッ
ロレンス「はは、間抜けな顔」
ホロ「…くふ」
446: 2013/03/04(月) 23:20:11.32 ID:27g++3R6o
ホロ「ん」
ロレンス「…っ、んむ」
ホロ「…くふふー、ぬしさまじゃー」
ホロ「おはよぅ」ギュー、スリスリ
ロレンス「…っ」
ロレンス「ホロ、お前まだ寝ぼけて…」
ホロ「…」スー…
ロレンス「…不意打ちはずるいぞ、まったく」ハア
447: 2013/03/04(月) 23:22:27.71 ID:eICgqagDO
・ ・ ・ ・ ・
ホロ「寝過ぎたでありんす!」
ロレンス「…」キーン
ロレンス「うるさい。耳元で叫ぶな」
ホロ「眠っての! 元気いっぱいなんじゃーっ!」
ロレンス「がーっ! やめろ、このっ」
ホロ「うははー」ゴロゴロー
448: 2013/03/04(月) 23:23:28.84 ID:27g++3R6o
ホロ「さて、それじゃあ買い物に行こうかの」
ホロ「ぬしよ、何か食べたい物はあるかや?」
ロレンス「そうだなぁ」
ロレンス「…そうだ、それなら」ゴソ
ホロ「?」
449: 2013/03/04(月) 23:24:49.11 ID:eICgqagDO
ゴトッ
ホロ「…これは?」
ロレンス「社長に日本酒を頂いた。先日のお詫びだと言ってな」
ホロ「…」
ホロ「か、確実に根に持っておるの」
ロレンス「…俺もそう思う」
ロレンス「できるだけ、早いうちに二人で謝りに行くか」
ホロ「う、うむ。ぜひそうさせてくりゃれ」
450: 2013/03/04(月) 23:25:37.40 ID:27g++3R6o
ロレンス「まあ、それはともかく」
ロレンス「せっかくだから、この日本酒をおいしく飲める料理がいいかな、と」
ホロ「…ふむ」
ホロ「…日本酒と言うとなんじゃ?」
ロレンス「さっぱりしたものじゃないか?」
ホロ&ロレンス「「…」」
451: 2013/03/04(月) 23:26:49.47 ID:eICgqagDO
ホロ「…まあ、ぶらぶらしながら決めるかや」
ロレンス「そうだな」
ロレンス「とりあえず出かけよう」
ホロ「うむ」
452: 2013/03/04(月) 23:28:58.53 ID:27g++3R6o
ガチャ
ロレンス「もう三月か」
ロレンス「今日は確かに春らしい陽気だ」
ホロ「ようやく暖かくなって来たの」
ホロ「これじゃと、今日は冷酒の方がいいかもしれぬの」
ロレンス「ちなみに社長は冷酒の方が好きだな」
ホロ「…ちょっと冷やしに戻るでありんす」ガチャ、バタバタ
ロレンス「はは」
453: 2013/03/04(月) 23:30:57.40 ID:eICgqagDO
ホロ「のう、ぬしよ」
ホロ「…決して余計な意味を込めるのではないが」
ロレンス「うん?」
ホロ「焼き魚なんかはどうかの」
ロレンス「…焼き魚か。確かに日本酒に合いそうだ」
ホロ「んむ」
ロレンス「…そうだな。では俺が買いに行くよ」
ホロ「え」
454: 2013/03/04(月) 23:32:55.69 ID:27g++3R6o
ロレンス「…何だよ」
ホロ「いや、そうか。そう来るかや」
ホロ「えっと、どうしてぬしが買いに行こうと思うのかや?」
ロレンス「そりゃ、…俺の目の前でお前がアマーティと会うのは、楽しくないからな」
ホロ「…あ、そう」
ホロ「いささか狭量すぎる気もするがの」クスクス
455: 2013/03/04(月) 23:34:50.78 ID:eICgqagDO
ホロ「まあぬしの好きにすればよい。どうせ普段の買い物でいつも顔を合わせておるし」
ロレンス「そうかい」
ホロ「くふ、拗ねるでない」
ロレンス「拗ねてない」
ホロ「そうかや」
ホロ「くふ♪」
456: 2013/03/04(月) 23:36:20.58 ID:27g++3R6o
ホロ「では、わっちはあちらのスーパーに行っておるでありんす」
ロレンス「ああ。どの魚がいいかは、アマーティに任せるよ」
ホロ「んむ。そこでまで意地を張らぬ辺り、余計な心配はせんでよさそうじゃ」
ホロ「じゃ。またあとでの」
ロレンス「うん」
457: 2013/03/04(月) 23:45:12.64 ID:eICgqagDO
・ ・ ・ ・ ・
ガラガラガラ
アマーティ「ありがとうございました」ペコ
ロレンス「いえ。では、また」クルッ
ロレンス「っと」
ホロ「…」
ロレンス「何だ、待っていてくれたんだな」
ロレンス「余計な心配はしないんじゃなかったのか?」
ホロ「…ん、んむ」
ロレンス「…」
458: 2013/03/04(月) 23:46:22.58 ID:27g++3R6o
ロレンス「…フード、ずれているぞ」
ホロ「あ」
ロレンス「まったく」ギュ
ホロ「わぷ」
ロレンス「それで? そんなところに突っ立って、聞き耳を立てていたのか」
ホロ「そ、そんな言い方ないじゃろ」
ホロ「…つい、どんな会話を交わすのかと気になってしまいんす」
ホロ「じゃが結局はよく聞こえんかったんじゃ。信じてくりゃれ?」
459: 2013/03/04(月) 23:49:00.19 ID:eICgqagDO
ロレンス「そうか」
ホロ「本当じゃからなっ」
ホロ「…それでその」
ホロ「一体、何を話し込んでおったのかの?」
ロレンス「初めからそう素直に聞けばいいだろ?」
ホロ「そうは言っても、の…」
ロレンス「…」クス
ロレンス「…」ナデナデ
ホロ「…むぅ…」
ロレンス「別に大した話はしていないよ。それこそ本当だ」
460: 2013/03/04(月) 23:50:19.34 ID:27g++3R6o
ロレンス「そうだ、アマーティがホロのことを褒めていたぞ」
ホロ「?」
ロレンス「大吟醸酒に焼き魚の提案は、さすがだと言っていた」
ホロ「…む」
ホロ「それは嬉しいが、聞き様によっては」
ホロ「男どものデリカシーのないこと、って感じじゃな」
ロレンス「それは邪推だよ」ハハ
ロレンス「…あとは謝ってもいたな」
ホロ「…ん? わっちにかや?」
461: 2013/03/04(月) 23:52:33.25 ID:eICgqagDO
ロレンス「ああ。悲しませてしまって申し訳ない、と」
ロレンス「あの野郎、それで俺には謝らないと来てる」
ロレンス「なるほど若いくせに、肝の据わったいい雄って感じだな」
ホロ「…そうじゃな」
ホロ「って。ぬしがそんなことを言っては、わっちが反応に困ってしまいんす」
ロレンス「そりゃそうだ、お前を困らせるために言ったんだから」
ホロ「…ぬしのたわけ」
ロレンス「はは」
462: 2013/03/04(月) 23:55:52.16 ID:27g++3R6o
ロレンス「まあ、そんな他愛もない話だよ」
ロレンス「大したことないだろう?」ポン
ホロ「…うむ」
ロレンス「さ、買い物の続きだ。焼き魚だけでは食卓が寂しい」
ロレンス「他にも何か、作ってくれるんだろ?」
ホロ「…くふ。もちろんじゃ」
ホロ「そうじゃな、さて何にしようかの」
465: 2013/03/05(火) 15:05:36.91 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
パチッ
ホロ「ただいまでありんす」
ロレンス「ただいまっと」ガサ
ホロ「ぬしよ、もしよければ」
ホロ「今のうちに風呂に入ってしまえばどうかの?」
ホロ「その間にわっちは食事の準備をしておくでありんす」
466: 2013/03/05(火) 15:08:51.00 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「そうだな。それもいいか」
ロレンス「今日はのんびりするがテーマだしな」
ホロ「そうじゃったな」クス
ロレンス「先に風呂に入って、ゆっくりと晩酌ってのは悪くない」
ロレンス「…しかしそれでは」
ホロ「?」
ロレンス「ホロはいつもと変わらないだろ?」
467: 2013/03/05(火) 15:10:51.86 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…それはまあ…そうじゃろ」
ホロ「いや、それは気にするところではないぞぬしよ」
ロレンス「そうか?」
ロレンス「…いや、それなら正直に言おう」
ホロ「んむ?」
ロレンス「ホロと一緒にお風呂に入りたいです」
ホロ「 」ブッ
468: 2013/03/05(火) 15:11:46.94 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…」
ロレンス「…」
ホロ「…」
ホロ「…ともかく、先にお湯を張っておいてくりゃれ…」
ホロ「わ、わっちは、その間にできることを、しておくでありんすの」
ロレンス「語尾がおかしくなっているぞ」
ホロ「そんなことないです」
ロレンス「お前の敬語って違和感がすごいな」
469: 2013/03/05(火) 15:13:57.41 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「照れているのか?」
ホロ「い、いいから早く行きんす!」
ロレンス「この間も一緒に入ったじゃ
ホロ「き、聞こえんの! わっちには聞こえないでありんす!」
ロレンス「…まったく。分かったよ、行って来る」スタスタ
ホロ「…」
ホロ「(な、何がまったくじゃ! それはわっちの台詞じゃろうに!)」//
ホロ「あ、あのたわけめ…覚えておれ…」
470: 2013/03/05(火) 15:16:24.22 ID:zb4ZeLFRo
トントン
ホロ「よし、と」
ロレンス「溜まったぞー」
ホロ「お、ちょうどよいの」
ホロ「一通り、あとは風呂上がりに火を入れればよいようにしてある」
ロレンス「…本当に料理は上達したよな。手際もいいし」
ホロ「ふふん」フンス
ロレンス「(今さらだが…)」
ロレンス「(俺の嫁が可愛いです)」
ホロ「…なに間の抜けた顔をしておるんじゃ」
ホロ「…」
471: 2013/03/05(火) 15:18:15.42 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「ねえ、ぬしよ」
ロレンス「うん?」
ホロ「…えっと」
ホロ「もしそう思うなら、…わっちのこと、褒めてくりゃれ?」
ロレンス「 」
ホロ「…」ジッ
ロレンス「(ホ、ホロが頭を撫でて欲しそうに)」
ロレンス「(上目遣いでこちらを見ている、これは―――)」
ホロ「…ぬしよ。のう」
ロレンス「お、おう」
472: 2013/03/05(火) 15:19:45.91 ID:zb4ZeLFRo
スッ…
ホロ「くふ」
ガッ
ロレンス「へ?」
ホロ「なーんて、言うと思ったかや!」
ロレンス「…!?」ペシッ
ロレンス「いてっ」
ホロ「ふん、さっきのお返しでありんす」
ホロ「せいぜいわっちに見惚れたじゃろ。じゃが、それでお預けじゃ」
ホロ「くふふ、たわけめ」タタッ
ロレンス「なっ、お前」
473: 2013/03/05(火) 15:20:58.29 ID:zb4ZeLFRo
ピタッ
ホロ「と、言うわけで」
ロレンス「…ん?」
クルッ
ホロ「さきに風呂で待っておるからの」
ホロ「早く来て、くりゃれ?♪」
ロレンス「…っ」
ホロ「じゃあのー」ペタペタ
ホロ「…これで何とか、攻守逆転できたかの…」//
ホロ「わっちまで何をやっておるのやら…」//
474: 2013/03/05(火) 15:21:47.45 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「…」
ロレンス「…」
ロレンス「…風呂、行くか」
478: 2013/03/05(火) 22:40:14.45 ID:zb4ZeLFRo
ガラ
ホロ「お、来たかや」
ロレンス「…うん」
ホロ「ほれ、座ってくりゃれ? 背中を流すでありんす」
ロレンス「…うん」
ホロ「なんじゃ、緊張しておるのかや?」
ホロ「この前も一緒に入ったばかり、じゃろ?」
ロレンス「…うるさい」
ホロ「くふふ」
479: 2013/03/05(火) 22:42:04.87 ID:zb4ZeLFRo
ザバッ
ゴシゴシ
ホロ「痛くはないかや?」
ロレンス「ああ。気持ちいいよ」
ホロ「くふ。それは何よりじゃ」
ゴシゴシ
ホロ「…ぬしの背中は大きいの」
ロレンス「まあ、男だからな」
ホロ「これ。そう言うことではありんせん」
ロレンス「…そうか?」
ホロ「そうじゃ」
480: 2013/03/05(火) 22:44:21.63 ID:zb4ZeLFRo
ザバッ
ホロ「よし。綺麗になったの」
ロレンス「ああ、ありがと…」
ピトッ
ロレンス「…ホロ?」
ホロ「…くふ。なあ、ぬしよ」
ロレンス「…うん」
ホロ「いつもありがと」
ロレンス「…何だ突然」
481: 2013/03/05(火) 22:45:49.33 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「何となくの」
ホロ「こんなわっちが、今こうして幸せなのは」
ホロ「ぬしのおかげじゃからな」
ホロ「たまにはこうして、感謝の言葉を口にせんとの」
ロレンス「…らしくないって言ったら、怒るか?」
ホロ「ううん。自覚はあるから、気にしないでありんす」
ロレンス「自覚はあるんだな…」
482: 2013/03/05(火) 22:47:33.34 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「まあ、感謝しているのはお互い様だ」
ロレンス「ほら、いつまでも座っていたら体が冷える。湯船に浸かろう」
ホロ「うむ」
ホロ「その方が、もっとぬしにくっつくことができるしの」
ロレンス「…はいはい。もう動揺はしないからな」
ホロ「それは残念」
483: 2013/03/05(火) 22:50:25.71 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
ホロ「では」
ロレンス「はい」
パキ
ホロ「…なんだか、緊張するの」
ロレンス「何をだよ」ハハ
484: 2013/03/05(火) 22:51:11.62 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…行くでありんす」
ロレンス「おう」
ホロ「…」
トクトクトク…
ホロ「…っと。こんなもんかの」
ロレンス「ありがとう。今度は俺が入れるよ」
ホロ「んむ」
トクトクトク…
485: 2013/03/05(火) 22:52:06.40 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「頂きます」
ロレンス「…」ズズ
ロレンス「うん。おいしい、…と、思う」
ホロ「なんじゃその生煮えな感想は」ズズ
ロレンス「…未だに日本酒は飲み慣れていないからな」
ロレンス「正直、飲み易いかどうかの違いしか分からない」
ホロ「…まあ、わっちも同じじゃけど」
ロレンス「だよな」
486: 2013/03/05(火) 22:53:28.17 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
チビチビ
ロレンス「…今日は本当に、思う存分のんびりできたな」
ホロ「昼寝も散々したしのー」
ロレンス「おかげさまで、元気いっぱいだ」
ホロ「どこがかや?」
ロレンス「…妙なかんぐりはよしてくれ」
ホロ「くふ」
ロレンス「(酔い始めたな、こいつ…)」
487: 2013/03/05(火) 22:54:55.18 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「…今日も月が綺麗だな」
ホロ「そうじゃな」
ホロ「…」チビ
ホロ「のう、肩を借りてもいいかや」
ロレンス「どうぞ」
ホロ「ありがと」
コテッ
488: 2013/03/05(火) 22:55:57.47 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…わっちはの」
ロレンス「うん」
ホロ「これからも、ぬしとこうして」
ホロ「のんびりとお酒を飲めたら、もう十分幸せでありんす」
ロレンス「…酒はいるんだな」
ホロ「む」
ロレンス「なるほど。“まあ”から“もう十分”までに必要なのは酒だったか」
ホロ「…」
489: 2013/03/05(火) 22:57:39.21 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「茶化すではありんせん」プイッ
ロレンス「言いだしっぺはお前じゃないか」
ホロ「…むぅ」
ロレンス「はは」
ロレンス「…よしよし」ナデナデ
ホロ「ん…」
490: 2013/03/05(火) 23:01:12.79 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「ま、ホロとこんな時間を過ごすためにも、また明日から」
ロレンス「俺はしっかり働かなきゃな」
ホロ「くふ。そうじゃの」
ホロ「わっちも、ぬしのために頑張るでありんす」
ロレンス「うん。よろしく」
ホロ「こちらこそ。よろしくの、ぬしよ」
* 終わり
引用: ホロ「忙しいの」
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