1: 2008/02/11(月) 22:36:50.34 ID:Pu4JDsyT0


ピンポーン

巴「桜田くーん」

巴「あれ…おかしいな………」



2: 2008/02/11(月) 22:42:49.83 ID:Pu4JDsyT0
巴「……今日で3日目……」

巴「いつもなら雛苺が飛び出してきて、桜田君とお姉さんが出てくるはずなのに……」

巴「……旅行かしら……でも、旅行なら雛苺から何か連絡があるはずよね……」

巴「あら?ガスのメーターは回っているわね………」



ヒュルルルルル


蒼星石「あれ?あの人は……」

4: 2008/02/11(月) 22:45:26.52 ID:Pu4JDsyT0
蒼星石「こんにちは」

巴「あら、こんにちは」

蒼星石「あの……」

巴「ねえ蒼星石、桜田君たち知らない?もう3日も家にいないみたいなんだけど……」

蒼星石「やっぱり……実は僕も翠星石たちを探しているんです」

巴「えっ?」

7: 2008/02/11(月) 22:51:11.09 ID:Pu4JDsyT0
蒼星石「ちょうど一週間前だったかなぁ……
    夢の中で翠星石が僕に何か叫んでいるような夢を見て、
    何だろうと思って、次の日なんとなく家に来てみたら、
    もうその時に誰もいなくなってたんだ」

巴「一週間も前から?」

蒼星石「ええ……旅行にでも行っちゃったのかなぁって……
    ハブにされたのかな僕……ハハハ……」

巴「ちょ、ちょっと待って。そんな落ち込み方はよくないわ。
  旅行ではないと思うわ。だってずっと、ガスのメーターが
  元気に回っているんですもの」

蒼星石「えっ…… あ、本当だ。でもこれって」

巴「少なくとも、家の中のガス製品が動いているって事よ」

蒼星石「まさか……ガス漏r」

巴「あわわわ」

8: 2008/02/11(月) 22:53:23.22 ID:Pu4JDsyT0
巴「ちょ、つ、通報しなくちゃ!通報つうほうt」

蒼星石「落ち着いて。巴さんが家の周りうろうろしてたら不審者だから、
   僕がちょっと家の中の様子見てきます」





蒼星石「………」

巴「ど、どうだったの……?」

蒼星石「TVが……」

巴「TVが?」

蒼星石「TVがついてました」

11: 2008/02/11(月) 22:55:36.22 ID:Pu4JDsyT0
巴「こっ、ここここれはガガガガガ」

蒼星石「おっ、落ち着いて!

巴「ひっ、雛苺ーーーーー!!」

蒼星石「あっ、待って!!」


ばたーーーん

巴「……はぁはぁ…ドアが………」

蒼星石「開いてる………

12: 2008/02/11(月) 22:57:13.61 ID:Pu4JDsyT0
巴「と、とりあえず入ってみましょう……」

蒼星石「そ、そうだね………」

巴「雛苺ーー!桜田くーーーーん!!!」

蒼星石「翠星石ーーーー!!真紅ーーー!!」


巴「ガスのにおいはしないけど………」

蒼星石「返事もしない……」

14: 2008/02/11(月) 23:02:57.56 ID:Pu4JDsyT0
巴「と、とりあえず、私はリビングを探してみるわ」

蒼星石「じゃあ、僕は2Fの方から……」


ガチャ

巴「……本当にテレビがついたままだわ……
  ………それに床暖房も………ガスの温水式のやつなのね……
  ガスのメーターはこれだったのね………あら?

  

  ……こ、紅茶が5人分、置いてある………飲んだ形跡が……ない………」

17: 2008/02/11(月) 23:09:47.48 ID:Pu4JDsyT0
巴「やっぱり何かあったんだわ!!おかしいわ!!」
   何か危険な気がするわ!蒼星石!!蒼星石!!」

ガチャ

巴「蒼星石!上にいるの?!」

トントントントン

ガチャ

巴「蒼星石ー!!」

ガチャ

巴「………蒼星石?」


19: 2008/02/11(月) 23:10:36.69 ID:Pu4JDsyT0
ガチャ

巴「そう………」

ガチャ




巴「な、



  何なの……?

  どうしてなの………?




  どうして蒼星石がどこにもいないの………?」

20: 2008/02/11(月) 23:11:39.00 ID:Pu4JDsyT0
巴「……………」









巴「いやあああああああああああああああ!!!」



23: 2008/02/11(月) 23:13:57.06 ID:Pu4JDsyT0
路上――――




巴「い…いや…


  な…何なの……


  何がどうなってるの………



  うう…


  雛苺…   どこにいるの……



  ………
 

  そ、そうだわ……他のドールズに訊いてみたら、何かわかるかもしれないわ…」

28: 2008/02/11(月) 23:17:47.54 ID:Pu4JDsyT0
金糸雀「きょっぉはみっちゃんの~特別シュガー入りの
    たっまご焼きっなのかしら~~♪」

金糸雀「せっかくだからぁ、真紅たちに見せびらかしに
    行ってやるのかしら~~ うふふふふ♪」



巴「あっ、あれは金糸雀!!」

金糸雀「あら?ヒナの元祖なのかしら」

巴「ちょうど良かったわ!金糸雀、お願い、助けて!!
  雛苺たちが、雛苺たちが大変なの!!」

金糸雀「何かあったのかしら」

30: 2008/02/11(月) 23:21:14.54 ID:Pu4JDsyT0
巴「かくかくしかじか」

金糸雀「…ひえぇ~、怖いのかしら~~……」


巴「何か、何かがおかしいのよ…
  お願い、一緒に桜田君の家に来て!!」

金糸雀「う~~…でもカナ一人じゃ不安なのかしら~……
    そんな現象聞いた事もないし…う~……」


33: 2008/02/11(月) 23:25:24.84 ID:Pu4JDsyT0
巴「あっ、ねえ、あなたのバイオリンで、
  音波とか出せないの?家の中で……いいえ、
  家の中に何かがあるのなら、それに反応するかもしれないし、
  外から鳴らせば、安心でしょ?」

金糸雀「それは近所迷惑かしら」

巴「そんな事言ってる場合じゃないでしょ。
  これじゃあローザミスティカ集まらないんじゃない?」

金糸雀「それも嫌かしら~……うう…… 

    しょうがないかしら……やるかしら」

巴「ありがとう!」

35: 2008/02/11(月) 23:28:23.54 ID:Pu4JDsyT0
金糸雀「巴、耳をふさぐかしら」

巴「わかったわ」



ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ


巴「うっ、うるさ……!」


イイイイイイイイイイイイイイイイ

金糸雀「あっ!」


イイイイイイィィィィィ


巴「…ふう、どうしたの?」

金糸雀「こ、これは………」

37: 2008/02/11(月) 23:33:26.69 ID:Pu4JDsyT0
金糸雀「家の中の空間が………歪んでるかしら………」

巴「く、空間が歪んでるって……どういう……」

金糸雀「音波が等間隔に広がるんじゃなくて、家に向かった音波だけが
    消えていっちゃってるかしら………」

巴「つ、つまり…」

金糸雀「いなくなった6人は………
    その歪んだ空間に……飲まれちゃったのかもしれないかしら………」


42: 2008/02/11(月) 23:36:49.13 ID:Pu4JDsyT0
巴「く、空間に飲まれるって…飲まれたらどうなっちゃうの…?」

金糸雀「わからないかしら……ただ、
    家にはうかつに入らない方がいいかしら……」

巴「どうすれば……」

金糸雀「カナだけじゃどうしていいかわからないかしら……
    nのフィールドから、他の姉妹たちに呼びかけてみるわ……」

巴「他の姉妹に?」

43: 2008/02/11(月) 23:41:17.11 ID:Pu4JDsyT0
nのフィールド――――


巴「ここが金糸雀の部屋?」

金糸雀「かしら~」

巴「(服だらけ…ファッション好きなのかしら…)」

金糸雀「残りは水銀燈と薔薇水晶だけど、性格が性格なだけに、
    簡単に協力してくれるとは思えないけど……
    まあやるしかないかしら~……」


ごめん、アニメ版の6~7話くらいのメンツだと思って。

46: 2008/02/11(月) 23:53:27.17 ID:Pu4JDsyT0
めぐ「ねえ、水銀燈」

水銀燈「何よ」

めぐ「何か歌って」

水銀燈「はぁ!?」

めぐ「ね、水銀燈の声を聞くと、私、とっても安心するの。ね、お願い」

水銀燈「い・や・よ。なぁんで私が貴方なんかのために歌わなきゃならないのよ」

めぐ「あら、ひょっとして水銀燈……  自信がないんだ」

水銀燈「バッ、ちがっ、そんなんじゃないわよ!
    ぁあたしの歌声はねぇ、お父様だけにしか聴かせたくないのよ!
    貴方なんかが聴いていいシロモノじゃあないのよ」

めぐ「頭撫でてあげるから。ほら、な~でな~で」

水銀燈「あっ、ちょっ、こら、やめっ、やめなさい!」

金糸雀「水銀燈~~~~」

水銀燈「はぁはぁ……あ、あら??この声は……」

48: 2008/02/12(火) 00:03:04.87 ID:Fxi4JZwY0
水銀燈「………なるほどねぇ………って、別にそんなメンツの事なんか
    っっどぉうだっていいじゃないのよっ!!
     むしろライバルが減ってより素晴らしい事じゃないの。
    違うぅ?」

金糸雀「いや、ローザミスティカ集まらないから」

水銀燈「ぐっ……そういやそうだった………」

金糸雀「頭悪いかしら」

水銀燈「え?なんて?」

金糸雀「な、何でもないかしら。……そんなわけで、力を貸してほしいかしら」

水銀燈「…………っったわよぉ、今回だけは協力してあげるわぁ」

巴「あ、ありがとう水銀燈!」

金糸雀「さて次が問題かしらぁ……」

52: 2008/02/12(火) 00:10:26.96 ID:Fxi4JZwY0
薔薇水晶「はい…旦那さま」

エンジュ「ハァハァ…うっ!!」

白崎「ん~~、何かさびしいなぁ… よしっ、じゃあ、
   語尾になんかつけてみよっか!」

エンジュ「ふぅ…語尾に何つけたってキモいだけだろ…」

薔薇水晶「はい、旦那さま♪」

エンジュ「うっ!!」

白崎「ん~~、何か違うなぁ… もっと別のがいいかな…」

エンジュ「ふぅ…いい加減時間の無駄だと思わないか?」

薔薇水晶「はい、旦那さま(笑)」

エンジュ「な…うっ!!」


金糸雀「バラバラ~~~~」

薔薇水晶「あら?…あの声は……」

59: 2008/02/12(火) 00:18:33.33 ID:Fxi4JZwY0
金糸雀「……というわけで力を貸してほしいかしら」

薔薇水晶「……ダメです…私は今は若奥様……
     夕方に帰ってくる旦那さまのために、お風呂を沸かさなければ……」

金糸雀「それなら大丈夫かしら。今は、TOTOやトステムを筆頭にナショナルも含め
    魔法びん浴槽が一般的だから、お昼過ぎの今お風呂湧かしても、
    夕方には2度くらいしか湯温は下がらないかしら。 
    だから今沸かしておいても問題ないのかしら」

薔薇水晶「魔法…びん…… お父様、うちは魔法…びん…なのですか…?」

エンジュ「え?ああ、うちには魔法びんくらい普通にあるけど」

薔薇水晶「そう… 良 か っ た … 」

エンジュ「いいよ、どっか出掛けたいんだろう?行っといで」

薔薇水晶「はい…旦那さま」

金糸雀「素人の浅知恵に引っかかるなんて、さすがバカ水晶なのかしら」

65: 2008/02/12(火) 00:29:08.13 ID:Fxi4JZwY0
桜田家――――


巴「ここよ」
金糸雀「や…やっぱしちょっと怖いのかしら」
水銀燈「フン、所詮ガキね。こんなのただの家じゃない」
薔薇水晶「……お風呂……」


バタン

金糸雀「二手に分かれるかしら」

水銀燈「あたしは一人でいいわよぉ。貴方たちなんか足手まといになるだけだしぃ」

巴「ダメよ。4人で動かないと、蒼星石の二の舞よ。
  たとえ歪みに飲まれても、4人でいれば、雛苺たちを
  それぞれ助けられる確率は上がるわ」

薔薇水晶「……賛成…です……」

水銀燈「はぁーぁ。戦隊ごっこしてんじゃないのよ。馬鹿馬鹿しい」

金糸雀「あっ、ちょっと水銀燈、単独行動はダメかしらー」

巴「あっ、金糸雀」

68: 2008/02/12(火) 00:34:26.11 ID:Fxi4JZwY0
巴「ちょっと二人とも―――」

ぎゅっ

薔薇水晶「…動かないで……下さい……感じる……危ない……」

巴「えっ…  ああぅ


ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ











70: 2008/02/12(火) 00:35:39.30 ID:Fxi4JZwY0











巴「う……」

薔薇水晶「大丈夫…ですか……」

巴「う…うぇ…気持ち悪い……」

薔薇水晶「……見て下さい………」

巴「え    えええっ、  こ、 ここは!!」

77: 2008/02/12(火) 00:48:54.27 ID:Fxi4JZwY0
   土佐豊「オラッ、もう一丁だ!!」

   時天空「部屋がこんな時だからこそ俺たちゃもっと稽古厳しくやらないといけねえんだ!!」

巴「こ……ここは………」

薔薇水晶「毒の抜けた……時津風部屋……」

    時津海「逮捕された3人の分も頑張るんだ!」

    豊ノ島「まだまだ、テッポウあと500回!!」

巴「み、妙に清々しい稽古場だわ!!」

    翠星石「おらおらー、ヘルニアで休場とか情けないですぅ!!
        その四股名は飾りですかぁ?さっさと申し合いに参加するですぅ!!」

バキッ ビシッ

    霜鳳「いっ、ぎゃあっ、翠星石親方、やめて下さい!腰はまだ完治してないんです!!
       今悪化して幕下にでも落ちたら、嫁に顔向けできない!休ませて下さい!!」

巴「はっ!!」

    翠星石「言い訳は聞かんですぅ!!申し合いが無理ならスリ足で50周回れですぅ!!」

薔薇水晶「鬼…軍曹………」

87: 2008/02/12(火) 00:57:10.19 ID:Fxi4JZwY0
翠星石「――いや、ジュンをからかってやろうと思って
    後ろからこっそり近づいていってたら
    めまいがして、いつの間にかここにいたんですぅ」

巴「どうして馴染んでるの」

翠星石「そりゃあ、やるからには楽しくしてないとつまんないですぅ。
    割と向いてるかもしれないですぅ」

巴「とにかく、蒼星石はあなたの事をすごく心配していたのよ。
  帰りましょう」

翠星石「帰り方はわかるです。ただ…」

巴「ただ?」

翠星石「巴たちは偶然ここに飛ばされたから良かったけど、
    チビカナの言う事が本当だとすると、
    他の5人が無事という保証はない…ですぅ。
    遥か空の上に突然飛ばされてたりしたら…」


91: 2008/02/12(火) 00:58:36.11 ID:Fxi4JZwY0
巴「どうすれば…」

翠星石「夢の扉を開くです。そこからなら、真紅たちの意識に
たどりつけるかもしれんです」

薔薇水晶「ちゃんこ…おいしい…」


96: 2008/02/12(火) 01:03:26.49 ID:Fxi4JZwY0
一方その頃

金糸雀「水銀燈、バラバラたちも消えちゃったのかしらー」

水銀燈「…そのようね…まあ、ただ黙って空間に飲まれるのは癪だわ。
    まずは原因を突き止めましょう。『異空間への入口』……
    何か心あたりはないかしら?」

金糸雀「え…?
    んー…… 

    nのフィールド?」

水銀燈「そう、そしてこの家にはその入口を司る媒体がある。
    貴方、知ってるわよね?」

金糸雀「あっ、鏡!」

水銀燈「ご明答。さあ、そこの納戸へ行きましょう」

101: 2008/02/12(火) 01:05:48.41 ID:Fxi4JZwY0
金糸雀「すっ、水銀燈!鏡が…!」

水銀燈「!!」



ゴォォォォォォォ

金糸雀「す、吸い込まれる…!!
    きゃああああああああああーーーっ!!」

水銀燈「金糸雀!!」

104: 2008/02/12(火) 01:13:28.60 ID:Fxi4JZwY0
翠星石「……これは…この扉は……」

巴「扉が2つ?」

翠星石「5人のうち、2人は意識を失っているです。
    眠っているか、気絶しているか……」

107: 2008/02/12(火) 01:20:09.85 ID:Fxi4JZwY0
雛苺「あ かなりあなの~」


金糸雀「…ほえ? ひ、ヒナ……?」

水銀燈「くっ!!かな………なぁに、雛苺じゃないの。
   何よここ、このおもちゃ」

雛苺「あっ、蹴ったりしたらイヤなの~」

金糸雀「雛苺…どうしてここに?」

雛苺「わかんないの」

水銀燈「ムダよ。お子様に何聞いたって、ストレスが溜まるだけよ」

雛苺「あのね、ヒナ、ジュン登りしようと思ったの。
   それでね、ジュンの後ろからこっそり近づいてみたの。
   それでねそれでね、近づいたと思ったら
   ぐるーんぐるーんて回って、気がついたらここにいたのよ」

水銀燈「意味が分からないわ」

金糸雀「日本語でおk」

137: 2008/02/12(火) 06:47:32.79 ID:Fxi4JZwY0

水銀燈「とにかく、こんな所いたくないわ。さっさと戻りましょう」

雛苺「えっ、つまんないの~」

金糸雀「ダメよヒナ、巴が心配していたかしら」

雛苺「えっ…… トモエが……」

金糸雀「一週間もいなくなって、巴泣いてたかしら」

雛苺「うにゅ……わかったの、帰るの~」

金糸雀「そうよ、巴が喜ぶかしら」

水銀燈「そうね、ところで……」

金糸雀「どうしたの?」

水銀燈「この部屋からどうやって出ればいいの?」

139: 2008/02/12(火) 06:58:16.59 ID:Fxi4JZwY0
金糸雀「あ…あら?」

雛苺「出口がどこにもないの~」

水銀燈「………」

金糸雀「カナ知ってるかしら。こういうのは、どっかにからくり扉があるはずかしら。
    テレビでやってたかしら」

雛苺「あはっ、かなりあ、何で壁叩いてるの?ヒナもやるの~」

水銀燈「やめなさい。無駄よ」

金糸雀「水銀燈?」

水銀燈「……やっぱり何かおかしいわ。金糸雀、今考えるのは『出口がどこか』でなくて、
    『どうして鏡の入口からすぐ雛苺の所に来れて、その扉が今消えてしまっているのか』よ」

金糸雀「……か、かしら……」

雛苺「????
   よくわかんないの~」


140: 2008/02/12(火) 07:01:58.73 ID:Fxi4JZwY0
巴サイド

巴「ど、どうするの?夢の扉に入るの?」

翠星石「……そうするしかないですぅ。少なくとも、ここで途方に暮れているよりは
    情報が得られるですから」

薔薇水晶「……行きましょう」

巴「でも扉は2つあるわ」

翠星石「適当な方に全員で入るです」

薔薇水晶「…行きましょう…」

141: 2008/02/12(火) 07:07:16.37 ID:Fxi4JZwY0
片方の扉の中

翠星石「………こ、ここは………」

巴「学校?」

翠星石「だーあれもいないです」

薔薇水晶「教室……」

ガラッ

翠星石「やっぱりいないですぅ」

巴「あら?あの机の上………」

翠星石「こ…これは……」

薔薇水晶「セk」

巴「ラクロスのラケットね」

翠星石「今なんか口走りやがりませんでしたか?薔薇水晶」

142: 2008/02/12(火) 07:13:16.61 ID:Fxi4JZwY0
翠星石「まあ学校でラクロスのラケットって事は、
   ここはのりの夢でほぼ間違いないと思うです。
   のりはどっかで寝てるって事ですぅ」

巴「お姉さんはこの夢の中にいるのかしら?」

翠星石「まあ普通はこの敷地内で何かしていると思うです。
    そうじゃなきゃ学校なんて出来てないですから」

薔薇水晶「でも…何故…誰もいないの……」

巴「そこが私も疑問だわ」

翠星石「ラケットがあるって事は、のりはそれをわざわざイメージしてる
    夢を見てるって事です」

巴「じゃあ、グラウンドかしら」

薔薇水晶「行ってみましょう」

143: 2008/02/12(火) 07:16:14.18 ID:Fxi4JZwY0
グラウンド―――

巴「翠星石の言う通りだわ。ラクロス部が練習してる」

翠星石「あっ、のりですぅ!」


のり「……あら、翠星石ちゃん、巴ちゃん!
   おおーい!」

パコッ

のり「あだっ」

薔薇水晶「……」

145: 2008/02/12(火) 07:28:15.11 ID:Fxi4JZwY0
巴「かくかくしかじか」
のり「えっ……じゃあ、私、もう一週間も行方不明って事になってるの?」

巴「ええ……それで、家にいた時、何がどうなってたのかなって」

のり「…ん~……私は、キッチンで洗いものしてて、ダイニングの椅子に座って、
   ちょっと牛乳飲んでたら、眠くなっちゃって……
   少し寝ようと思ってそのまま……」

巴「その時の、ジュン君や翠星石はどうしてましりた?」

のり「うーん……そうねぇ…どうだったかな…」

巴「ほら、確か、紅茶を淹れておやつの時間にしようとしてませんでした?」

のり「あっ、そうよそうよぅ、3時になったからお茶することにしたの。
   で、淹れたんだけど、ジュン君と真紅ちゃんがいつまで経っても
   降りてこないから、ヒナちゃんと翠星石ちゃんに呼びに行ってもらったのよぅ」

翠星石「そうですぅ。ただ呼びに行ってもつまらないので、脅かそうとしたら、
    私はいつの間にか時津風部屋にいたのですぅ」

146: 2008/02/12(火) 07:28:48.49 ID:Fxi4JZwY0
のり「…ほえ?時津風部屋? で、翠星石ちゃんが下りてこないから、
  今度はヒナちゃんに行ってもらったんだけど……」

巴「ひょっとして雛苺も?」

のり「ええ…で、待ち疲れて寝ちゃった……
   だったと思ったけど……
   え?じゃあ、これって夢なの?」

翠星石「ですぅ」


195: 2008/02/12(火) 21:40:36.94 ID:Fxi4JZwY0
>>1です
保守してくれてたおまいらの漢気に感謝

198: 2008/02/12(火) 21:45:07.34 ID:Fxi4JZwY0
のり「そう…ゆ…め…」


巴「!?お姉さん!」

薔薇水晶「消えた……」

翠星石「のりが眠りから覚めた証拠ですぅ。
    ただ、問題は、現実ののりは、一体どこに行ってしまったのかですが…」

巴「とにかく、それならここにいる必要はないんじゃない?
  戻りましょうか」

199: 2008/02/12(火) 21:53:52.39 ID:Fxi4JZwY0
水銀燈・金糸雀サイド

金糸雀「カナのバイオリンで、壁を攻撃してみようかしら。
    どこか音波の拡がりが崩れる場所があれば、
    そこが怪しいって事だし…」

水銀燈「……」

雛苺「わーい、わーい、みんな一緒に遊ぶの~」

金糸雀「水銀燈…何か言ってほしいかしら」

水銀燈「別にいいんじゃない?好きにおやんなさい」


ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ

水銀燈「うるさっ」

ギイイイイイイィィィィィィ

水銀燈「……?」

ギイイイイイィィィィ



金糸雀「はぁ……はぁ………だ、ダメかしら………何の意味も………」

水銀燈「いいえ、金糸雀。お手柄よぉ」

200: 2008/02/12(火) 22:00:22.89 ID:Fxi4JZwY0
金糸雀「…へ?お手柄??」

水銀燈「貴方のバイオリンが無ければ、気づかなかったかもしれないわねぇ」

雛苺「どうしたの?二人とも、一緒に遊ぶの~」



ヒュンッ


金糸雀「ちょ、水銀燈!ヒナ攻撃してどうするの!」

水銀燈「よく見なさい」

金糸雀「え…あ!」

ボシュウウウゥゥゥゥ……


金糸雀「消えた……でも、どうして?」

水銀燈「貴方のバイオリンを間近に聴いて、耳を塞がないコが
    いると思う?普通に考えて」

203: 2008/02/12(火) 22:11:01.62 ID:Fxi4JZwY0
金糸雀「え…じゃあ、今いたヒナは偽者ってことかしら」

水銀燈「少し違うと思うわぁ」

金糸雀「違う?」

水銀燈「あの子は質問したらそれに答えた。つまり、ここに意思が存在した。
    まして、それが異空間に来た時の出来事だった。
    だから、平たく言えばあの子のココロの一部…何て言うのかしら…
    残留思念とでも言っておくわ。
    それが『残ってた』というのが、多分一番近い表現ね」

金糸雀「じゃあ…本当のヒナは……」

水銀燈「ちょっとちょっとぉ、私は物知り博士じゃないのよぉ。
    そんな事まで推測なんて出来ないわよ」

金糸雀「そ、そう……」

水銀燈「ただ、『残ってた』が正しい表現だとしたら、この密閉空間から、
    どこかへ抜ける扉があるはず。………あら?」

金糸雀「さっきの消えた時の煙が…天井に吸い込まれて……」

水銀燈「ははん」

205: 2008/02/12(火) 22:22:07.07 ID:Fxi4JZwY0
水銀燈「あそこが扉ね。ただ…その前に……」

金糸雀「うう…なんだかわけのわからない事だらけかしら……」

水銀燈「金糸雀」

金糸雀「え?」

水銀燈「考える事と、悩み続ける事は違うわよぉ?それに…」

金糸雀「かしら…」

水銀燈「考えても今はしょうがないじゃなぁい。
    出口を探す事が先決よぉ」

水銀燈「さ、行きましょう」

金糸雀「水銀燈…」

207: 2008/02/12(火) 22:30:17.91 ID:Fxi4JZwY0
巴サイド

翠星石「こ…ここは……」

巴「な……」

薔薇水晶「何も………」

翠星石「黒、ですぅ…」

巴「何もない、真っ暗闇……」

薔薇水晶「動かない方がいい……です……固まりましょう…」

巴「う…ううっ……寒気が……
  ね、ねえ翠星石、こんな世界の夢を見る人もいるの……?」

翠星石「……ご、ごく……ごくまれに、夢の扉を開くと
    こういう場所に出る事があるです……ただ…」

巴「ただ?」

翠星石「これは…この扉の主は……夢は、見ていない…
    寝ているわけでもない……
    けど、起きていない……
    そもそも脳の機能が…動いていない…」

巴「?どういう……」

翠星石「生命活動が、停止している……です」

209: 2008/02/12(火) 22:34:55.70 ID:Fxi4JZwY0
巴「せ、生命って……!!!
  そ、それじゃあ、……………氏んでる…って、こと?」

翠星石「で、ですぅ」

巴「ああっ、そんな……!」

薔薇水晶「………動揺………二人とも………ここはあまり長くいない方が……」

翠星石「……そ、そうです。ここは何だかよくない気がするです…
    巴!ほら、早く脱出するです!!」

240: 2008/02/13(水) 01:20:22.72 ID:IcOkUygf0

翠星石「はぁ…はぁ…」

巴「………翠星石」

翠星石「はいですぅ?」

巴「…氏んでるって、一体、誰が……
  …桜田くん
  …真紅?
  ……それとも、雛苺?」

翠星石「…わかんないです」

巴「桜田君ちにいた時は、誰にも何も変な所とかなかったの?」

247: 2008/02/13(水) 01:32:19.48 ID:IcOkUygf0
翠星石「んー……………別に変な所とかは……」

巴「消える前は、皆何してたの?」

翠星石「ん~~~……憶えてないですぅ……」

巴「何でもいいのよ、たとえば顔色が悪かった、とか」

翠星石「…そ…う…ですねぇ……私は…
    のりも言ってたように、お茶にするのでジュンたちを
    呼びに行った、って事くらいしか……
    のりは台所でお菓子準備してて……
    チビ苺はわかんないです……たぶんリビングでテレビとか観てたのかも……
    ジュンたちは2階の部屋にいて……
    真紅は…う~ん…いつもなら読書してた頃だとは……
    チビ人間はパソコンに向かってたです…」

巴「翠星石からは、他の4人におかしな所は別に見えなかったのね?」

翠星石「はいですぅ」

249: 2008/02/13(水) 01:34:02.27 ID:IcOkUygf0
薔薇水晶「(……私、空気化しつつある…かも…)」

251: 2008/02/13(水) 01:38:08.05 ID:IcOkUygf0
巴「とにかく、もう一度桜田君のうちに戻りましょう。
  こんな相撲部屋にいたってしょうがないわ」

翠星石「うう…も、もうちょっと霜鳳に稽古を……」

巴「ヘルニアに鞭打って稽古させるとマジで引退するからやめなさい」


薔薇水晶「……ところで」

巴「うん?」

薔薇水晶「どうやって戻りましょう…?」

253: 2008/02/13(水) 01:41:29.09 ID:IcOkUygf0
巴「ここはそういえば東京なのかしら」

翠「東京ですよ」

巴「…歩いて帰る…?」

薔「流石にそれは…」

翠「稽古場の鏡からnのフィールドに出て、そこ経由で戻るです」

巴「そうしましょう」


時津海「鏡?ああ、いいですよ、どうぞ」

255: 2008/02/13(水) 01:47:33.29 ID:IcOkUygf0
水銀燈・金糸雀サイド



水銀燈「ここは……」

金糸雀「ゴミ置き場?」

水銀燈「見憶えがあるわ……真紅たちのミーディアムの
    心の世界……」

金糸雀「ジュン君の?」

水銀燈「ええ…」

金糸雀「あっ…!入口が……」


水銀燈「後もどりは出来ない、ってわけね……」

258: 2008/02/13(水) 01:56:59.06 ID:IcOkUygf0
金「はぁ~…それにしても…」

銀「?」

金「何でこんなことになったのかしら」

銀「……」

金「いきなり5人も消えてしまって、蒼星石も消えてしまって…
  あげく巴たちまで…… 
  雛苺の幽霊みたいなのまで……
  鏡もおかしな事になってるし……」

銀「幽霊?」

金「そーよ、あれって幽霊みたいなものじゃない」

銀「幽霊……」

金「…どーかしたかしら?」

銀「何でもないわぁ」


銀「そうね…幽霊……いえ、まさか…ね…」

297: 2008/02/13(水) 09:00:27.08 ID:IcOkUygf0
起きました

現状 

○水銀燈   →金糸雀と共に鏡の部屋からnのフィールドへ
○金糸雀   →水銀燈と共に鏡の部屋からnのフィールドへ
○翠星石   →時津風部屋で発見。巴、薔薇水晶と共にnのフィールドへ
×蒼星石   →冒頭、桜田家で行方不明に
×真紅    →行方不明
×雛苺    →行方不明。鏡の部屋で残留思念を水銀燈たちが確認
○薔薇水晶  →巴、翠星石と共にnのフィールドへ
○柏葉巴   →翠星石、薔薇水晶と共にnのフィールドへ
×桜田ジュン →行方不明
×桜田のり  →眠りから覚めるが行方不明

298: 2008/02/13(水) 09:01:25.19 ID:IcOkUygf0
翠「うっっっ、っっごほっ、げほげほっっ」

巴「わっ、ごほごほっ」

薔「くっ……!けふっけふっ」

翠「な、何ですげほっ、ここはっ、ごほっ、ごほっ」

巴「ちょ…すご…ごほっ…煙……!ごほっ」

薔「そ…それに…熱…けほっ」

翠「前が見えないです…こふっ」

巴「二人ともしゃがんで! …熱っ!地面がゴツゴツしてて熱い…!」

翠「う、上は多少明るいです…木の根で空から見渡してみるですぅ!!
  スィドリーム!!」

にょきにょきにょきにょきにょき

翠「二人とも、つかまるですぅ!」


303: 2008/02/13(水) 09:12:53.05 ID:IcOkUygf0
巴・薔「っ……!!」

にょきにょきにょきにょき

翠「ぷあっ!」

巴「周りがようやく見えるようになったわ…!」

薔「ここは…!」

巴「…な…何これ……」

翠「地上が真っ赤っ赤ですぅ…」

巴「あれは…あれは…信じたくないけど…溶岩よ……」

薔「溶岩…」

巴「しかもどこまでも続いている…この真下のは………山……火山??」

翠「と…とんでもねー原始時代ですぅ……」

巴「な、なんだか…何をどうしていいのか……」

翠「と、とにかく、扉を探すです。早くしないと、こんな所に木なんか
  生やしてたら、そのうち燃え始めてしまうですぅ……」

巴「燃え……もう燃え始めてるじゃないの!翠星石、下、した!」

翠「えっ…わぎゃああ!!火が!火が!!」

304: 2008/02/13(水) 09:13:58.77 ID:IcOkUygf0
薔「二人とも、私にしっかり掴まってて下さい……」

巴「えっ?」

翠「薔薇水晶!?何を…」

薔「早く……」

キィィン

翠「あっ!扉が!」

ギィィ…

薔「飛び込みますよ……」

巴「わきゃあっ」

306: 2008/02/13(水) 09:16:52.89 ID:IcOkUygf0
水銀燈・金糸雀サイド

金「はぁー、何だか疲れたかしら…」

銀「そうね…どこまで行ってもゴミの山ばかり……」

金「…あら?」

銀「何?あっ」

金「蒼星石の帽子かしら!何でこんなところに……?」

銀「……………」

金「でも、これがここにあるという事は、蒼星石は、少なくとも
  ジュンの家にいた後、ここにも来たって事になるの…かしら?」

銀「…そうだといいけど……   金糸雀」

金「何かしら?」

銀「命が惜しければ、私から離れないで。それと」

金「命って…」

銀「他のドールが出てきても、油断しない事。いいわね」

金「???…わ、わかったかしら」

307: 2008/02/13(水) 09:22:16.53 ID:IcOkUygf0
金「…ねえ、何か聞こえないかしら?」

銀「……足音……?」

金「ち…近づいてくる…」

銀「チッ…金糸雀、構えてなさい」

ザッザッザッ

銀「!!」

?「きゃあっ!」

金「ひゃあっ!」

?「…び、びっくりしたぁ……か、金糸雀ちゃん……?
  それに……水銀燈ちゃん………」

金「の…のり?」

のり「よ、良かったぁ……」

銀「……………」

308: 2008/02/13(水) 09:23:51.36 ID:IcOkUygf0
金「のり…どうしてここに?」

のり「わからないのよ…私寝てて、起きたらここにいたの……」

銀「…………」

金「真紅たちは?」

のり「それもわからないの……ごめんねぇ~、役立たずで……」

金「そっ、そんな事ないかしら。…真紅たちを探しているんだけど、
  良かったら一緒に……」

銀「金糸雀!」

金「びくっ」

銀「私さっき何て言った?」

金「う…で、でも……」

銀「のり、それ以上私たちに近づかないで。悪いけど」

のり「えっ…な、何?ど、どうしたの…?」

309: 2008/02/13(水) 09:24:52.20 ID:IcOkUygf0
金「まっ、待つかしら水銀燈!」

銀「何よ、何か文句でもあるの!?」

金「そうかしら!確かに何が起こってるのかわからないし、
  姉妹が4人も消えてる以上、油断しちゃだめっていうのは
  わかるけど、行方不明だったのりが見つかっただけでも
  良しとしないと……」

銀「わかってるわよ。ただ、それはそれよ。
  こちらが無警戒にnのフィールドで出会ったものに接していい理由には
 ならないわ」

金「そんな…」

銀「はっ」

銀「金糸雀!あぶなっ…!」

金「えっ」

しゅるるるるるるるるる

金「きゃあああーーーっっ!!」

313: 2008/02/13(水) 09:33:32.26 ID:IcOkUygf0
銀「金糸雀!!今のは…苺わだち!?
  のり、やっぱりあなた……!」

のり「えっ、えっ?な、何????
   あっ、危ないっ」

銀「えっ」

ヒュウウウウウウウウウ



グサッ!!!



銀「うっ」




銀「な……こ…これ……」

のり「は…鋏が………」

銀「何…な…」


ドサッ

315: 2008/02/13(水) 09:40:32.75 ID:IcOkUygf0
巴サイド

巴「こっっ、今度は寒いわっっっ」

翠「雪が……」

薔「私の…フィールドです……」

巴「ううううっっ……お…お腹が……」

翠「ど、どうしたですぅ?」

巴「な、何でも…うううっ!
  ね…ねえ薔薇水晶……」

薔「…はい…」

巴「お願い、あの、ト、トイレない?洋式の……私……もうダメ……」

翠「……」

薔「……ないです……」

巴「いやああああああああああああああ」

319: 2008/02/13(水) 10:05:33.34 ID:IcOkUygf0

翠「…巴遅いですねぇ……
  雪くらいで何がどうしたというのですか?」

薔「あまり…深く関わらない方が……」

翠「そうは言っても…あの建物の裏にダッシュしてから、
  もう20分になるですよ?
  いくら何でも心配ですぅ」

薔「…もう少し待ちましょう…」

翠「う~ん、もう私は待てんです。ちょっくら見てくるですぅ」

薔「ちょ…やめてあげ……」

翠「イヤです」

翠「トモエ~~~~何してるですかぁ~~~~?」

薔「……どうして私が照れてるのかしら……」

324: 2008/02/13(水) 10:10:43.86 ID:IcOkUygf0
更に30分後

翠「さ、さあ、これからどうするか考えるです」

巴「…………………………」

薔「………」

翠「なっ、何二人とも黙ってるですか?
  いっ、今は一刻も早く桜田家に戻らないと、ですぅ」

巴「…………ごめんね………私のお腹が……弱かったせいで……フフフフフフフフ」

翠「えっ、やっ、いやあ、なっ、なななななな何を言ってるですか?
  べっ、別にそれを言ってるわけじゃないですぅ…」

薔「……………」

巴「ぐすっ…いいわ、私もう泣かない!
  ええ、そうよ、女の子同士ですもの!何を泣く必要があるのかしら!?
  ねぇ!?あはははははははは」

翠「あ…あは…あはは……」

薔「……そろそろ本題に………」

326: 2008/02/13(水) 10:23:33.99 ID:IcOkUygf0
薔「…そもそも…この現象の原因がつかめないと……」

巴「わかっている事を書き出してみましょう。
  そうよ、蒼星石が、ちょうど翠星石、貴方が消えた一週間前に
  貴方が叫ぶ夢を見たと言ってたわ」

翠「夢で…ですか?
  う~ん…あっ、そうです、いきなり別の場所に出たもんで、
  残りの真紅たちが気になって、助けを求めたですぅ」

薔「でもそのうち相撲部屋の指導に熱が入っていた、と……」

翠「う、うるさいです」

巴「で、お姉さんの話では、
  お茶の時間になっても、真紅と桜田君が下りてこないから、
  翠星石、雛苺の順に、2階に上がってもらった…
  で、翠星石は、部屋に入って、桜田君を驚かそうとしたら
  いきなり相撲部屋に行きついた……
  雛苺まで下りてこなくなったので、お姉さんは少しうとうとして
  寝てしまって、あの夢を見ていた…」

翠「です……」

薔「………」

327: 2008/02/13(水) 10:29:11.23 ID:IcOkUygf0
薔「それまで、何の変哲もなかったのに、
  何故いきなりあんな現象が……」

巴「桜田君の部屋で翠星石が別の所に飛ばされたのが始まり…?
  なのだとしたら……」

翠「…まあ、ああいう『突然別の世界、場所に行く扉が出来る』みたいな
  現象は、薔薇乙女以外に出来る奴なんていないと思うです」

薔「ええ……」

巴「じゃあ、こういう事?
 『薔薇乙女の誰かが、何かが原因で、あそこで翠星石を別の所に
  飛ばさざるを得ない状況になっていた』
  ……そういう事よね?」

328: 2008/02/13(水) 10:36:01.32 ID:IcOkUygf0
巴「そこから雛苺も消え、お姉さんも眠った後消えて…
  金糸雀の言葉を借りると…

  『家に向かって発した音波だけが消えてしまうようになった…
   家の中の空間が歪んでしまった』

翠「…まあ、扉を作る事は日常的に出来ても、
  家全体を歪ませる事なんてよっぽどですぅ。
  力も物凄く使うし……」

薔「………翠星石」

翠「何です?」

薔「その日の貴方の行動、憶えている限りを教えて……
  よく憶えてない事は『よく憶えてない』でいいから、
  『確実にこうだった』という事だけ………」

334: 2008/02/13(水) 10:54:11.05 ID:IcOkUygf0
翠「えっと……朝起きた時は、
  チビ人間はもうパソコンしてたです。
  真紅が本読みながら『のりが朝ごはん手伝ってほしいそうよ』
  と言ってたので、眠かったけどリビングに下りていったです。
  そしたら、雛苺がくんくん観てて、のりが
  『パン焼くの手伝って~』って言ったから手伝ったです」

薔「……………」

巴「…その後は?」

翠「それからはずっと雛苺と二人でくんくん観てたです。
  のりは午前中買い物…あやや、確実な事だけですよね……
  多分買い物だと思うけど出掛けていって、
  暇だったので雛苺とお菓子食べたり、くんくんのビデオ観て
  過ごしたですぅ」

薔「………………」


335: 2008/02/13(水) 10:54:45.97 ID:IcOkUygf0
翠「お昼は花丸ハンバーグでした。真紅が下りてきて、
  『ジュンはいらないって』と言って、4人で食べたです。
  真紅はそれから上に戻って、のりは1階の掃除してたです。
  私は雛苺と、お昼寝したです」

巴「………」

翠「それから、のりが言ってたように3時のお茶の時間になったので、
  とりあえず最初私が二人を呼びにいったです。
  で、二人呼んだんですけど返事がなかったので、部屋に入って
  ジュンを驚かそうとしたら別のとこにワープしちゃったです」

薔「…………待って」

340: 2008/02/13(水) 11:09:53.96 ID:IcOkUygf0
翠「何です?薔薇水晶」

薔「そこまででいいわ…… 今度は逆に質問するから、答えて……」

翠「??何ですかぁ…??」

巴「( ・ω・)?」

薔「質問するわよ……まずひとつ。その日真紅のミーディアムと喋った?」

翠「その日は喋ってないです。すぐ真紅に下に行けと言われたので」

薔「そう………じゃあ、もうひとつ。
  真紅は、くんくんの番組よりも読書が好きなの?」

翠「まっさかぁ。真紅はくんくんがあれば誰よりも先に…………
 
  あっ」

薔「そう…………」

巴「どういう事?真紅がやったとでも言うの?」

薔「いえ、まだ断定は出来ません………ただ………
  私の仮説が当たっているとするなら…………」

翠「………」

薔「急いであの家に戻りましょう………水銀燈と金糸雀の身も危ない……」

343: 2008/02/13(水) 11:25:01.50 ID:IcOkUygf0
翠「ひゃっ」

どたっ

巴「わっ危ないっ」

薔「……戻ってきましたね………」

翠「さあ、もう一度突入するです」

巴「でも……また飛ばされたりしたら……」

薔「二人ともちょっと待ってて」

翠「えっ?何…………」


344: 2008/02/13(水) 11:25:23.41 ID:IcOkUygf0
薔「………………

  ………………

  ………………

  はあっ!!!!」




ピキイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィン





巴「うわ…ぁ」

翠「……家全体を…………水晶で………」

薔「家全体を私の力で覆ってしまえば、他のドールの力で作られているものは
  効果を発揮しません………」

翠「どっかでこんな標本みた事あるです……確かアニメの11」

薔「おほん。今はそんな事より、一刻を争うのです。急ぎましょう!!」

巴「捻じ伏せた……」

348: 2008/02/13(水) 11:29:50.21 ID:IcOkUygf0
翠「やっぱりもう水銀燈も金糸雀もいないですぅ……」

巴「何か手掛かりないかしら」

薔「………」

翠「あっ、水銀燈の羽根ですぅ!ほら、あの廊下の角!」

巴「本当だわ!」

たたたっ

巴「どうしてこんな所に……」

薔「答えは一つでしょうね……奥を……」

翠「!!羽根が……」

巴「部屋の奥の鏡に向かって…落ちてる……」

薔「あそこです……行きましょう」

349: 2008/02/13(水) 11:34:27.12 ID:IcOkUygf0
翠「わぷっ」

巴「ここは……」

薔「ぬいぐるみだらけ……の……出口のない部屋……」

翠「雛苺の世界ですぅ?」

巴「いいえ…あの子の世界はもっと広いし、カラフルよ。
  こんなに殺風景な壁じゃないわ……」

薔「何かあるかもしれません…
  翠星石は壁を…
  巴さんは私と一緒にぬいぐるみを…調べましょう……」

巴「え…ええ……」

351: 2008/02/13(水) 11:41:02.10 ID:IcOkUygf0
翠「ん~…壁は何にもないですぅ……」

薔「……」

巴「………ん?このぬいぐるみ……
  何かチカチカ光ってるわ………」

薔「割いてみましょう」

巴「……ちょっと残酷だけど、しょうがないわね……」

キラン

巴「あっ、ベリーベル!」

キイイイイィィィン

薔「閉じ込められていたのですね………」

翠「えっ、なぁんでこんな所に????」

キィン キィン

翠「えっ、天井?」


352: 2008/02/13(水) 11:44:05.63 ID:IcOkUygf0
ヒューーン

翠「消えたですぅ…」

薔「ひょっとしたら……」

ヒュウ

翠「あっ、薔薇水晶まで!!」

巴「行きましょう」

******

翠「こ…ここは…」

巴「ゴミ置き場?」

翠「違うです。ジュンの夢の世界ですぅ」

薔「静かに。足音がする………」

ザッ ザッ ザッ

巴「だ、誰…?」

のり「ふえ~ん」

翠「あっ、のりですぅ!」

355: 2008/02/13(水) 11:50:44.92 ID:IcOkUygf0
のり「あっ、3人とも!!無事だったのね!…良かったぁ…ふええ」

巴「誰か抱いて……
  
  す、

  水銀燈???」


巴「どうしてここに?」

のり「わからないわ…気がついたらここにいたのよ……」

翠「水銀燈はどうしちゃったです…?金糸雀は…?」

のり「水銀燈ちゃん、氏んじゃったかもしれないの……うう…」

薔「何があったのかkwsk」

358: 2008/02/13(水) 11:54:46.03 ID:IcOkUygf0
のり「…というわけなの…
   そしたら、水銀燈ちゃんの身体から、宝石みたいなのが
   飛び出して、どこかへ飛んでいっちゃった……」

翠「まさか…雛苺と蒼星石が………い、いや、何がどうなってるのか……」

薔「………

  その宝石はどの方向に飛んでいったのです……?」

のり「……うう…あ…あの、小高い丘の………」

翠「あそこですか……におうです……」

361: 2008/02/13(水) 12:04:09.41 ID:IcOkUygf0
金「や、やめるかしら…何でこんな事……」

ズバッ

金「う…」

キイイイィィィン

「これで4つめ…………これなら…………」

翠「ちょーっと待ったぁぁ!!」

「!?」

薔「観念しなさい………」

巴「な…金糸雀………」

薔「そのローザミスティカを戻すのです………
  私のお姉様………

  いいえ……   




  真紅」

364: 2008/02/13(水) 12:11:08.47 ID:IcOkUygf0
真紅「邪魔をする気?」

翠星石「真紅っ!どうしてこんな事やってるです!!」

真紅「貴方には関係ないわ」

薔薇水晶「いいえ、あるわ………」

真紅「……………」

ヒュッ

367: 2008/02/13(水) 12:16:28.07 ID:IcOkUygf0
ガキィンンンン!

薔「くっ…!」

紅「…その程度?

  はっ!!」

薔「きゃあっ!!」

巴「きゃっ」

翠「や、やめるです!!真紅!!
  どうしたのですか!?」

紅「どうもしないわ。薔薇水晶が向かってきたから弾いただけよ」

翠「弾いたって……」

紅「私は今のところ、貴方たちに何かするつもりはないわ
  邪魔をしないというのなら………

  入って」

薔「くっ………」

巴「真紅……」

翠「…………」

369: 2008/02/13(水) 12:20:06.32 ID:IcOkUygf0
ガチャ

薔「!!」

翠「こ…これは…

  蒼星石!!
  
  雛苺も!!」

巴「ね…寝てるの……?それとも……」

紅「二人のローザミスティカは私が奪ったわ。
  そこののりが抱いてる、水銀燈のも、ね……」

巴「そんな…ひどい…!」

翠「……………真紅ううううううううううううっっっ!!!!!」

がしゃん

紅「殴りたければ殴って頂戴。許されるとは思っていないもの」

370: 2008/02/13(水) 12:22:37.06 ID:IcOkUygf0
のり「あ…あの…ジュン君は……」

紅「そこの…カーテンを開けて頂戴」

翠「よくもっ!よくもっ!よくもっ!よくもっ!よくもっ!」

バキッ ガッ

巴「翠星石……」

薔「…………………」

のり「翠星石ちゃん…………」

374: 2008/02/13(水) 12:32:09.56 ID:IcOkUygf0
シャーーーーーーー

のり「!!ジュ、ジュン君・・?」

巴「桜田君!?」

翠「はぁ…はぁ…う…そ…蒼星石…蒼星石ぃっ!!!
  うわあああああん!!」

紅「……ごめんなさい……」

のり「顔色が………」

巴「ね、寝てるの…?いえ…まさか……」

紅「心臓は動いてるわ。ただ………」



紅「ただ…………」



紅「い くら … 呼 んで も … どう し て も ……」

378: 2008/02/13(水) 12:40:56.46 ID:IcOkUygf0
紅「…………ジュン……」

のり「真紅ちゃん……」

巴「あっ………真紅」

紅「ジュン………ほら…4つめのローザミスティカなのよ……
  ねえ…

  私…… もういちいち『紅茶淹れろ』とか… 言わないから……

  部屋で暴れたりも絶対しないわ……

  ……そうだわ…料理ものりに教えてもらって……

  …花丸ハンバーグは無理でも……
  
  クッキーくらいは『美味しい』って言ってもらえるようにするわ……

  …ねえ、もう寝たふりしなくて…いいから………

  ……『真紅』って……」

383: 2008/02/13(水) 12:53:44.57 ID:IcOkUygf0
紅「………………………」

薔「…真紅……何が…あったのです…?」

紅「……あの日………」

紅「私が起きた時……ジュンはとてもつらそうだった………」

紅「それは私のせい………」

紅「3人のミーディアムとして生活して……そうよね…今考えると体力が持ってるだけでも…」

紅「…私はジュンにこう言ったわ…」

紅「『ジュン…どうしたの?』って……」

紅「ジュンは何も答えなかった…いいえ、机に突っ伏しているだけで…」

紅「もうその時、今思えば意識はなかったのよ………」

紅「ああ私のせいだ、私が契約したから…雛苺とも契約したから……」

紅「その時は冷静に物事を見られなかった……」

387: 2008/02/13(水) 12:59:34.16 ID:IcOkUygf0
紅「そのうち雛苺が起きてきた…私はジュンの異変を気づかれないように…」

紅「下に行くよう促した……翠星石にも同じように………」

紅「必氏で考えたわ……どうしたらいい、どうすればジュンは回復するのか……」

紅「お昼の間も、下りていかなかったらおかしいから下りていって取り繕ったけど…」

紅「いずれ分かる事…いつまでもごまかし通せるほど私は利口じゃないし、皆は馬鹿じゃない……」

紅「そのタイミングで翠星石が上がってきて……ジュンに近寄っていった…」

紅「咄嗟だったわ……どこかも指定すらせず、他の場所に飛ばした……」

紅「次には、おそらく雛苺が上がってくる……その時……思いついたのよ……」

紅「皆のローザミスティカを集めて、それでこちらから力を与えれば……って………」

390: 2008/02/13(水) 13:08:45.57 ID:IcOkUygf0
紅「私は入ってきた雛苺を後ろから攻撃してローザミスティカを奪った……」

紅「もう戻れなかった………のりを眠らせて………」

紅「蒼星石たちに気づかれないように……動かなくなった雛苺とのりを連れて……」

紅「ここに来たの……」

紅「雛苺だけでダメなら…次…そんな恐ろしい考えだけで行動していたわ……」

紅「邪魔はされたくない……その考えで…家全体の空間を歪ませた……」

紅「それでも入ってこられた時のために……鏡の部屋を密閉空間にして……」

紅「この夢の世界には来られないようにした……つもりだった……」

紅「ふふ…まさか…ベリーベルが隠れていたなんて、ね………」

紅「たまたま戻ってきた時に…蒼星石とばったり会った…」

紅「不意打ちで気絶させて……トドメを刺した……」

紅「だから…私は……許されちゃいけないの…………」

紅「誰よりも卑怯で…独善的で…………」

393: 2008/02/13(水) 13:14:54.02 ID:IcOkUygf0
カタ

翠「この子は………真紅……」

翠「皆を助けるために……わざわざ探しにきてくれてたのですよ……」

翠「それを……お前は………」

翠「蒼星石だけじゃない………金糸雀も……………あの水銀燈も……」

巴「……………」

紅「ごめんなさい……………ごめ…なさい………」




薔「真紅」

紅「え……」


グサッ

445: 2008/02/13(水) 15:38:45.18 ID:IcOkUygf0
巴「なっ」

のり「きゃっ」

翠「薔薇水晶!!」



紅「あ………」

ドサッ


巴「何を…!」

447: 2008/02/13(水) 15:43:00.95 ID:IcOkUygf0
薔「いいから」


キィィィィィィン


のり「わあ…」

翠「ローザミスティカ…!」

ヒュン

ヒュン

ヒュン

ヒュン

翠「皆のところへ還っていくです……」

キィン

薔「残りは…真紅のローザミスティカ……」


449: 2008/02/13(水) 15:45:00.19 ID:IcOkUygf0
薔「…………」

翠「薔薇水晶……」

巴「………」


翠「……どうするつもりです?」

薔「……………」












453: 2008/02/13(水) 15:59:49.84 ID:IcOkUygf0





紅「ん…………」

雛「真紅、しんくー」

蒼「良かった、目を覚ましたみたいだ」

銀「全く、誰のためにここまで来てあげたと思ってるの。感謝なさいよぉ」

金「ふぅ…良かったかしら」

紅「………み………みんな………わ…私……私は…………」

翠「真紅、せっかく全員ここに揃ってるのですから、みんなでチビ人間に
  力を貸してやるです。感謝しやがれですぅ」

薔「……………」

456: 2008/02/13(水) 16:06:36.33 ID:IcOkUygf0
紅「…でも…どうやって………?」

翠「知らんですよそんなの。とりあえず、指輪が媒介なのですから、
  全員でジュンの指輪に手を重ねてみるですぅ」


雛「わーい、ヒナ一番のりなのー」

金「目を覚ましてほしいかしら」

蒼「大丈夫だよ、全員いるんだから」

銀「仕方がないわねぇ……今回だけよ。ったく……」

薔「…じゃあ私も……」

翠「ジュン……」

紅「………」


457: 2008/02/13(水) 16:08:21.53 ID:IcOkUygf0

翠「何やってるです真紅、ちゃっちゃと重ねるです」

紅「…でも………」

翠「誤解すんなです。お前のためじゃないです」

翠「ジュンのためです……」


紅「……………」

紅「わかったわ」

紅「……… みんな、ありがとう………」




キイイイイイイィィィィィィィィ

459: 2008/02/13(水) 16:15:55.25 ID:IcOkUygf0
パアアアアァァァァァァァァ

巴「!!桜田君の身体が……!」

翠「……も、もうちょっとですぅ…!」

蒼「くっ………!」

雛「ジュン、元気になってなの…!」

紅「ジュン…お願い……」

紅「紅茶も自分で淹れる……」

紅「部屋も一週間に一回掃除する……」

紅「アリスになんてなれなくたっていい……」

紅「貴方との契約も、破棄したっていい……」

紅「貴方が望むのなら、私は違うところに行く……」

紅「だから…お願い………」


紅「目を覚まして!! ジュン!!!」


カッ

463: 2008/02/13(水) 16:24:05.30 ID:IcOkUygf0
――――数日後――――


雛「え~ん、トモエ~、翠星石がいじめるの~」

巴「あらあら…」

翠「翠星石はなーんにも知らないですぅ。勝手に泣いてるだけです」

蒼「ちょっと翠星石、君が悪いんだろ」

翠「何がです」

蒼「僕は知ってるよ。雛苺の苺大福食べてたのを」

翠「な、なんの事ですぅ?しょ、証拠があるというのなら出してほしいですぅ」

蒼「いや、証拠はないけど……実はあれ、消費期限一週間前のだったんで、
  それで心配してるだけなんだけど」

翠「ちょ、ちょっと、何ですって!?食べる前にそれくらい確認してほしいですぅ!」

蒼「ほら自白した」

翠「うぎっ……」

雛「え~~~ん」

巴「あらあら…新しいの買ってあげるから…」

466: 2008/02/13(水) 16:34:53.19 ID:IcOkUygf0
めぐ「ねえ水銀燈、ちょっと相談があるんだけど」

銀「なぁに」

めぐ「実はね……ちょっとツテで、ラジオ番組に出ないかって話が来てるの」

銀「あらぁ、出ればいいじゃない。まぁ、一人で勝手に出演して、
  本番中に憤氏とか、最高なネタが出来るだけかもしれないけどぉ。あーっはっはっはっはおかしい」

めぐ「あら、貴方が出るのよ?」

銀「えっ、何で!?」


467: 2008/02/13(水) 16:35:25.61 ID:IcOkUygf0
めぐ「水銀燈の事を話したら面白そうだからって」

銀「はぁ!?何勝手に人の個人情報垂れ流してんのよ!!

めぐ「大丈夫よ、ちゃんとまともにギャラも出るから」

銀「そういう問題じゃないのよ!」

めぐ「そう…お金が入ったら、水銀燈の大好きな、今冬限定くんくん節分セットが、買えるんじゃないかと思ったんだけど……」

銀「はっ……ま、まあ、どうせ暇だし……出てあげてもいいわよぉ?」

めぐ「あらそう…良かったわ。快諾って伝えとくね」

銀「え、ええ、構わないわよぉ」

めぐ「ちゃんと本番までに、何話すか考えといてね」

銀「そうねぇ……せっかくだから、こないだの真紅のバカ泣き顔の事でも話そうかしらねぇ……うふふ」

469: 2008/02/13(水) 16:40:11.17 ID:IcOkUygf0
白崎「じゃあ今度は笑顔の練習でもしてみようか」

薔「……(ニッコリ)」

エンジュ「ハァハァ…うっ!」

白崎「ん~~~い~いよぉ薔薇水晶!!最っ高の笑顔だねぇ!」

エンジュ「ふぅ…笑顔の練習とかしてる時点でダメだろ…」

薔「旦那さま…そんな事言わずに、ね?私とイイ事しましょ?うふふ(ニッコリ)」

ガタタタッッ

エンジュ「う…うあああっ!!!」

白崎「ん~~い~いねえ~、最近なんかいい事でもあったのかい?」

薔「うふふ……ひ・み・つ☆」

エンジュ「うっ!!!」

エンジュ「ふぅ…いいから呼び込みにいけよ…このダメ店員が…」

472: 2008/02/13(水) 16:42:54.54 ID:IcOkUygf0
のり「さあ、クッキーが焼けたわよぅ。みんなー」

翠「はーいですぅ」

雛「楽しみなの~」

のり「翠星石ちゃん、上の2人呼んできてくれない?」

翠「了解ですぅ」

翠「ジュ~~ン、真紅~~~」

477: 2008/02/13(水) 16:48:08.78 ID:IcOkUygf0
紅「ジュン……」

ジュン「ん?何だ?」

紅「……本当に…良かったのかしら……」

ジュン「何が?」

紅「私……ここにいても………」

ジュン「……」

紅「今の私は、貴方を守る事なんて出来ない……」

紅「時間の再生も、薔薇の花びらを操る事も……」

紅「扉を開く事すら出来ない……」

紅「定期的に、誰かがネジを巻かないと、いずれ止まってしまう……」

紅「私は………」

ジュン「いいよ」

478: 2008/02/13(水) 16:50:28.30 ID:IcOkUygf0
ジュン「それでいいんだ、真紅。僕は」

紅「……」

ジュン「契約なんて、またお前の気が向いたらいくらでもしてやる」

紅「ジュン……」

ジュン「それよりも」

ジュン「お前にそばにいてほしい」

紅「………ありがとう………」

紅「本当に………ありがとう」




翠「ジュ~~ン、真紅~~~」


ジュン「クッキーが焼けたみたいだな」

紅「ええ…そうね…」

ジュン「行くか」

紅「ええ……きゃっ」

483: 2008/02/13(水) 16:56:21.86 ID:IcOkUygf0
紅「ジュ…ジュン………」

ジュン「ん?抱っこは嫌だったか?」

紅「…い…いいえ…」


ぎゅっ

紅「嬉しいわ……」

ジュン「ん」


484: 2008/02/13(水) 16:57:31.32 ID:IcOkUygf0
ジュン「さ、今日はお前の焼いたクッキー全部もらうからな」

紅「えっ」

ジュン「練習してたんだろ?」

紅「ちょ…何で知ってるの」

ジュン「指がところどころ傷ついてるし、たまにクッキーのにおいもしてたから、
    なんとなく言ってみただけ」

紅「何よ……いじわる」

翠「二人とも~~~早くするです~~~」

紅「今行くわ」

ジュン「ん」

キィ


ガチャ



        ローゼンメイデン適当話  完

487: 2008/02/13(水) 16:59:30.46 ID:CsXm+O100


( ;∀;)バラシーカワイイナー

488: 2008/02/13(水) 16:59:33.80 ID:rpO8qhyTO
ふぅ・・・

よかったぜ、おつかれさまでした

494: 2008/02/13(水) 17:03:26.29 ID:IcOkUygf0
まずは読んでくれたみんな、保守してくれてたみんな、
こんな超遅筆に付き合ってくれてありがとうございました。


515: 2008/02/13(水) 18:07:12.32 ID:IcOkUygf0
ひとつ補完

エピローグの最初で巴が桜田家にいる理由ですが、まあ真紅が
誰とも契約をしてない状態になってる以上、
それだと雛苺も止まってしまうため、それを防ぐために
雛苺単体で巴と再契約して、巴の家に戻り、
今日は巴と二人で桜田家に遊びにきた…という感じで考えといて下さい。


引用: ローゼンメイデン適当話「あれ…桜田君が出てこない…………」