1: 2006/12/22(金) 19:03:11.51 ID:7CYDh27r0
さて、立てるか・・・

2: 2006/12/22(金) 19:08:29.57 ID:7CYDh27r0

3: 2006/12/22(金) 19:14:06.94 ID:7CYDh27r0

4: 2006/12/22(金) 19:14:56.30 ID:7CYDh27r0

5: 2006/12/22(金) 19:15:26.04 ID:7CYDh27r0

番外編 
天使の思い出

【ローゼンメイデン】金糸雀 『天使の思い出』

48: 2006/12/22(金) 23:45:57.92 ID:s2HzDIm8O
TimeAfterTime(仮)

「・・・ここは、どこなんだ」
僕はつっ立っていた
無限に広がる真っ白な世界
「・・・ン」
誰かの声が聞こえる
「誰だ・・・」
ふと足下を見ると漆黒の羽根と真紅の薔薇が散らばっていた
アリスゲームの後のように・・・
(羽根・・・薔薇・・まさか!!)
突然、激しい痛みが頭を襲う
(・・・ッ!!)
「・・ュン!!」
またどこからか声が聞こえる
(誰だ、誰なんだ!!)
「一体誰なんだよ!!!」

バサッ
「ハァ・・ハァ・・」
とてつもない量の汗をかいたようだ
その証拠にシーツには海洋図ができあがっていた
周りを見渡すと、点滴や心拍計そして机の上にティーセットが置いてあったが、そのティーセットに使用された形跡はなかった
「ジュン」
声のする方向へ頭を向けると柔かいはずの朝の光が棘のように目に突き刺さる
それと同時に目に入ってくるシルエット
ツインテールの髪型をした女性が一人、そこにいた

50: 2006/12/23(土) 00:04:33.20 ID:hyhdTYZHO
「気が付いたのね、ジュン」
「真紅...」
「汗だくなのだわ。着替えを持ってくるから待ってて頂戴」
病室の隅に置いてあるボストンバッグの中から真紅はTシャツを取りだし、ジュンに渡した
「着替えなさい」
「あ、あぁ・・・ありがとう」
いつもと変わらない真紅の表情
そして、
「着替え終わったら紅茶を入れて頂戴」
いつものように紅茶を入れろと言ってくる
怪我しているにも関わらずだ
「あぁ、わかった」
二つ返事で了承してしまったがその前にここにはお湯がないだろと心の中で呟くが、ご丁寧にうちの台所にあるはずのヤカンと病室そなえつけのIHヒーターがあった
着替えを済ましてベッドを降りてヤカンに水をくんでお湯を沸かしいつもの様に紅茶を入れる
その間、真紅は一言も口にせず、俺が紅茶を入れるのを見ていた

51: 2006/12/23(土) 00:24:47.13 ID:hyhdTYZHO
俺が紅茶を入れる時、彼女は基本的に黙って見ていて、出されると一言だけ礼を言い、最初の一口を飲んでから喋りだす
今回も例外ではないようだ
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
一口飲んで彼女は
「そう言えば、あなたに入れてもらった紅茶を飲むのは久しぶりね」
そう言えばそうかもしれない
水銀燈と出会ってから一度たりとも入れた覚えがない
「そ、そうか・・・」
「でも、変わらないのだわ・・・紅茶の味は・・・おいしいのだわ」
「あ、ありがと・・」
「それに・・・」
「何??」
「優しい味がするのだわ」
彼女の言葉が心に突き刺さる
あんなことをしてしまった俺にいつも通り接してくれる彼女への罪悪感が一気にこみあげてくる
「本当に・・優しいのかな・・」
「えぇ。優しすぎるくらいに優しいのだわ」
そして、うつ向きながら
「でなきゃ、こんな優しい味出せないわ・・・飲む人の事を思いやってるのがよくわかるのだわ」
「真紅・・・」
彼女がティーカップを置いてすぐ、俺に抱きついてきた
「・・・ッ!!真紅!?」

「・・もう、どこにも行かないで頂戴・・・」
彼女は泣いていた

53: 2006/12/23(土) 00:39:58.16 ID:hyhdTYZHO
「し、真紅・・・」
「お願いだから・・ジュン・・お願い・・・」
俺は真紅に何も言うことができなかった
できることはただ1つ
彼女を、真紅を抱き締めることだけだった
俺は忘れていた
彼女の温もりを、側にいてくれることの有り難みを、そして彼女に対する純粋な気持を・・・

30分ほどそのままの状態だった
彼女がようやく落ち着き腕をほどく
「真紅・・・」
「何??ジュン」
今度は、俺が彼女に抱きつく
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
謝ったところで済むものではないが、俺にはそうすることしかできなかった
だが、彼女は優しく抱き締めてくれた

その優しい時間をぶち壊すかの如く、ドアの方から声がした

54: 2006/12/23(土) 00:56:26.30 ID:hyhdTYZHO
「ったぁく朝っぱらから分厚い野郎共ですぅ。ちったぁ時間考えろですぅ。」
語尾に特徴がある毒舌と床まで届く勢いのロングヘアにオッドアイの女性がそこにはいた
俺たちはビックリしてお互いの腕をほどいた
「翠星石・・・ノックぐらいしろよ」
「ドア空けっぱなしで抱き合ってるようなヤツが言えたことかですぅ。」
「・・・ちょっとは考えて欲しいのだわ」
目を真っ赤にし、この上ない説得力を引き連れて彼女は言う
そらそうだ
「そんなことよりチビ人間!!てめぇまた真紅を泣かしやがったですねぇ!!今日と言う今日は絶対に許さんですぅ!!」
真紅を完全にスルーし、俺にその毒舌をぶちまけ、
「もうやめて、翠星石」
彼女がそれを制止しようとする
「し、真紅はなぁにを言いやがるですかぁ!?コイツは真紅を裏切ったんですよぉ??どうしてこんな野郎をかばうですか??」
「やめなよ翠星石」
翠星石を制止する声が彼女の後ろから聞こえた

57: 2006/12/23(土) 01:22:38.69 ID:hyhdTYZHO
「そ、蒼星石!?いつの間にいやがったですかぁ??驚かすなですぅ」
「いや、さっきからいたんだけど・・・」
「・・・//。そ、それより何で蒼星石までこんなチビをかばうですか??」
「僕はジュン君をかばったつもりはないよ??」
「じゃあ何なんですかぁ!?」
「その前に言うことあるんじゃない??」
「何も言うことなんざねーですぅ!!」
「ごめんねジュン君。えぇと、とりあえず大丈夫??」
「あ、あぁ。何とかな」
「それはよかった。それとこれ・・・」
蒼星石が鞄の中から何かを取りだし、俺に手渡した
「・・・俺の腕時計??」
「うん。歯車の調子がイマイチだったから整備させてもらったよ。最近時計が早く進んでたでしょ??」
彼女は祖父の後を継ぎを時計屋を営んでいる
この腕時計も、彼女からの結婚祝いだった
「・・・ありがとう」
「気にしないで。ほら、翠星石!!君も何か持ってきたんでしょ??」
「ったく、しゃーないですねぇ」
ふてくされながらも、花束とお手製のスコーンを持ってきてくれたようだ
ちなみに彼女は花屋の主人だ
「翠星石と蒼星石に100万回感謝しやがれですぅ。それからチビ人間!!今度真紅を泣かすような事をしたらお前を八つ裂きにして串刺にして火炙りの刑にしてやるですぅ」
相変わらず、口の減らない花屋だ

58: 2006/12/23(土) 01:36:20.53 ID:hyhdTYZHO
「翠星石、蒼星石今日は来てくれてありがとうなのだわ」
「気にしないで」
「真紅が礼を言う必要ねーですよ」
「ジュンが紅茶を入れてくれたから飲んでいくといいのだわ。ちょうどお茶菓子もあることだし」

「それじゃあお言葉に甘えて頂いていくね」
「蒼星石がそう言うならしゃーねぇです、翠星石も付き合ってやるですぅ」

「真紅、紅茶冷めてるぞ」
「・・・ジュン」
「入れなおします」
俺は再び紅茶を入れることになった
「それにしてもジュン君大したことなくてよかったね」
「えぇ、ホントに・・・」
「そういや蒼星石、さっきはどうしてチビのことかばったりしたですか??」
「だからかばったんじゃないよ」
「じゃあ何ですか??」
「・・・翠星石って意外と鈍いんだね」
「ど、どぉいう意味ですかそれは!!」
「何も言わなくていいんだよ・・何も」
会話が途切れる
一瞬だけそちらの方に目をやると、いつもの様に真紅が俺を見ていた

61: 2006/12/23(土) 01:55:19.39 ID:hyhdTYZHO
ピーッ!!
ヤカンの凄まじい笛の音を聞き、IHヒーターの出力を下げる
そしていつもの手順で紅茶を入れ、3人に出した
「どうぞ」

「「「いただきます(ですぅ)」」」

「おいしい・・・」
「チ、チビにしちゃあ上出来ですぅ(い、いつも真紅達とやってるお茶会で真紅が入れる紅茶より旨いですぅ・・)」
「ホントに、おいしいわ」
「ありがと」
「なぁに自惚れてやがるですかこのチビ人間!!翠星石は別に誉めた訳じゃないですからね!!」
「はいはい」
「翠星石、スコーン頂くのだわ」
「さっさと食べるですぅ」

「・・・うまい」
本音が出た。本当にうまかったから
「あったりまえですぅ。翠星石にとってこれくらいは朝飯前ですぅ」
病室でのお茶会はあっと言う間に流れて行き、時計の針は11時を指そうとしていた
その時翠星石が真紅に何か耳打ちして、すぐに2人は病室を出て行った

64: 2006/12/23(土) 02:14:06.36 ID:hyhdTYZHO
(あいつらどこ行くんだろ・・・)
「ジュン君、ちょっといいかな??」
蒼星石はあの時の、廊下に呼び出した時の表情をしていた
「・・・何??」
「日常がどれだけ大事なものかわかってくれた??」
何のことだろうと思ったが彼女は更に続ける
(あいつらどこ行くんだろ・・・)
「ジュン君、ちょっといいかな??」
蒼星石はあの時の、廊下に呼び出した時の表情をしていた
「・・・何??」
「日常がどれだけ大事なものかわかってくれた??」
何のことだろうと思ったが彼女は更に続ける
「僕達姉妹に日常の有り難みを教えてくれたのはジュン君、君なんだよ」
「・・・どういうこと??」
「僕達姉妹は元々戦うことを背負わされて産まれてきたんだ。それはジュン君もよく知ってると思う」
「僕はね、ジュン君。誰かを蹴落としてでもアリスゲームに勝って、お父様に会いたい、アリスになりたいと思ってた。でも僕のその思いや考えは翠星石に真紅、雛苺や金糸雀と過ごす楽しい毎日経験することによって変わっていったんだ」

65: 2006/12/23(土) 02:32:06.27 ID:hyhdTYZHO
「もちろん双子の姉である翠星石とは昔からずーっと一緒だったよ。僕が翠星石を守らなきゃって思ってたし現に今も思ってる。でもそれだけじゃないんだ。
僕はアリスゲームで翠星石を守ることができなかった。水銀燈に負けて。本当なら僕は今ジュン君と会話することができないし、時計屋になることもなかった。でも僕は生きてる。なぜだと思う??
水銀燈が僕のローザミスティカを自分の命が危険に晒されると知りながら取り出してくれたんだ。真紅も雛苺に同じことをした。
僕が今こうして生きていられるのは水銀燈のおかげなんだ。それに今は僕が願っていた日常を手に入れることができた。ジュン君やのりが教えてくれた日常をね。だから僕は当たり前の日常に物凄く感謝してる。僕等が思っている当たり前のことの多くは当たり前じゃないんだ。
だからこそジュン君には真紅とすごす当たり前の日常に感謝してほしいんだ。今回ジュン君は少し道に迷ってしまったけど、もう大丈夫だよね??」
「・・あぁ。ありがとう蒼星石」
「じゃあ、ジュン君のこと信じてるからね」
蒼星石は安堵の表情を浮かべた

67: 2006/12/23(土) 03:20:08.13 ID:hyhdTYZHO
「それとジュン君、紅茶おいしかったよ。またお茶会呼んでね」
「それは真紅に言ってくれ」
「それじゃあ僕はそろそろおいとまするよ。翠星石達もそろそろ戻って来るだろうし」
「あ、蒼星石ぃ~翠星石もそろそろ帰るですぅ」
さすがは双子だ。
「それじゃあジュン君、お大事に」
「養生してろですぅ」
「ありがとう。2人とも」

2人は帰って行った
「真紅、翠星石と何話してたんだ??」
「なんでもないのだわ。ジュン。」
「・・・真紅。」
気付くと俺はまた真紅に抱きついていた
「ちょっと・・・どうしたの??」
「今まで本当にごめんなさい・・・これからはずっと真紅の側に・・・もうどっかに行ったりしないから・・・」
「・・・ジュン」
「真紅、愛してる・・・」


僕は蒼星石に大切な事を教えられた
ありふれた日常が如何に大切か
その日常に感謝するこころが如何に大事か
彼女、真紅がいるという当たり前の日常に感謝しながら俺はもう一度彼女と歩いて行きたいと思う。

もう、迷わない

<終>

68: 2006/12/23(土) 03:21:45.73 ID:fLCpkzcJ0
乙。真紅幸せになれて良かったわあ

69: 2006/12/23(土) 03:24:06.49 ID:hyhdTYZHO
最後まで駄文にお付きあい頂きありがとうございました
初めて投下させてもらったので・・・
これからはもっとマシな文が書けるように頑張っていきます
途中でアドバイスを入れてくださった>>60氏にお礼申し上げます

それではおやすみなさい

72: 2006/12/23(土) 04:12:55.67 ID:AXN+OdNi0
>>69

引用: 本妻は真紅、不倫相手に水銀燈 感動をありがとう!!