1: 2008/08/10(日) 21:11:08.84 ID:M9MKB/GN0
悟空「オラに・・・永遠の若さがあれば・・・・」
15: 2008/08/10(日) 21:36:47.79 ID:vT+GsJTrO
全銀河を揺るがしたあの戦いから早25年が経った
あんなに元気だった妻に痴呆の症状が現れ、生活の全てを妻に依存していた私は息子夫婦の誘いもあり妻を老人ホームに預けて息子夫婦の世話になることとなった
あんなに元気だった妻に痴呆の症状が現れ、生活の全てを妻に依存していた私は息子夫婦の誘いもあり妻を老人ホームに預けて息子夫婦の世話になることとなった
16: 2008/08/10(日) 21:45:07.92 ID:vT+GsJTrO
その頃には私も、老化の遅いという特性をもってしても力の衰えを、「老い」感じるようになっていた
息子夫婦の家での生活は快適だった
元来細々とした家事の手伝いなど出来ないと認められていた私は、特に時間を拘束されることはなく暮らしていた
息子夫婦の家での生活は快適だった
元来細々とした家事の手伝いなど出来ないと認められていた私は、特に時間を拘束されることはなく暮らしていた
17: 2008/08/10(日) 21:59:10.57 ID:vT+GsJTrO
今朝は少し遅い朝食を独りでとった
息子がナントカという学術賞とやらを貰うらしく、嫁と二人朝早く出掛けて行ってのだ
その話を聞き私はできる限りの謝辞を息子に伝えてはみたが、苦笑いする息子夫婦の目は「アンタにはわからないことだ」と言っているように見えた
冷めた味噌汁を啜りながら今日の予定を考える
今日は又古い友人と修行でもしながら周囲への愚痴でも言い合うとしよう
息子がナントカという学術賞とやらを貰うらしく、嫁と二人朝早く出掛けて行ってのだ
その話を聞き私はできる限りの謝辞を息子に伝えてはみたが、苦笑いする息子夫婦の目は「アンタにはわからないことだ」と言っているように見えた
冷めた味噌汁を啜りながら今日の予定を考える
今日は又古い友人と修行でもしながら周囲への愚痴でも言い合うとしよう
18: 2008/08/10(日) 22:15:19.61 ID:vT+GsJTrO
正午過ぎ、約束した天空へ向かう
奴の姿は見えない
住人の若い方の緑に尋ねると今日はまだ来ていないとのことだ
「誘えば時間通り必ず来るのがあいつの長所だろ~」
つい思ってもないことが口を付き自分に腹が立つ
もう一匹の緑が神妙な顔つきでこちらを見ていたが、どうせこいつは昨晩の我が家の出来事を知っているのだろう
歳の功だとか言ってくだらない話など聞きたくない
少し離れたふちに腰掛けてしばらく待つ事にした
奴の姿は見えない
住人の若い方の緑に尋ねると今日はまだ来ていないとのことだ
「誘えば時間通り必ず来るのがあいつの長所だろ~」
つい思ってもないことが口を付き自分に腹が立つ
もう一匹の緑が神妙な顔つきでこちらを見ていたが、どうせこいつは昨晩の我が家の出来事を知っているのだろう
歳の功だとか言ってくだらない話など聞きたくない
少し離れたふちに腰掛けてしばらく待つ事にした
19: 2008/08/10(日) 22:31:08.82 ID:vT+GsJTrO
午後一時を回った頃奴はやってきた
さっきの緑同様に表情に影があるようにも見えたが、一時間近く待たされ腹が立っていた
おら達の因縁はこの程度なのか、決着を付けたくはないのか
と口撃する
こう言えば奴はいつも生え際の後退したツンツン頭を震わせながらしどろもどろするのだ
私は戦闘とは又違う加虐敵な充足を得るために相手の挙動に目を配った
さっきの緑同様に表情に影があるようにも見えたが、一時間近く待たされ腹が立っていた
おら達の因縁はこの程度なのか、決着を付けたくはないのか
と口撃する
こう言えば奴はいつも生え際の後退したツンツン頭を震わせながらしどろもどろするのだ
私は戦闘とは又違う加虐敵な充足を得るために相手の挙動に目を配った
20: 2008/08/10(日) 22:47:56.92 ID:vT+GsJTrO
しかしながら今日の奴の口から出てきたのは、いつもの言い訳がましい家の用事だとか妻の機嫌だとかいう話ではなかった
朝、妻が倒れた
急いで病院に連れて行ったが余命幾何もないらしい
それだけ言い放つと奴はその場に腰砕けとなりへたりこんでしまった
この様子を遠間から見ていた緑達がやって来て屋内へ連れてゆく
宇宙人にさらわれたデコッパゲはゆっくりとした足取りで神殿の応接間へ向かってゆく
私は言い様のない不安と焦燥を覚えその場に立ち尽くした
朝、妻が倒れた
急いで病院に連れて行ったが余命幾何もないらしい
それだけ言い放つと奴はその場に腰砕けとなりへたりこんでしまった
この様子を遠間から見ていた緑達がやって来て屋内へ連れてゆく
宇宙人にさらわれたデコッパゲはゆっくりとした足取りで神殿の応接間へ向かってゆく
私は言い様のない不安と焦燥を覚えその場に立ち尽くした
21: 2008/08/10(日) 22:58:19.45 ID:vT+GsJTrO
雲より高いこの場所故に唯唯碧いだけの空が広がる
私は老い、或いは病んでこの世を去った数多くの友人達と、そして立身を強く助けてくれた彼女を想い、少しだけ泣いた
私は老い、或いは病んでこの世を去った数多くの友人達と、そして立身を強く助けてくれた彼女を想い、少しだけ泣いた
28: 2008/08/10(日) 23:28:34.40 ID:vT+GsJTrO
しばらくして神殿の応接間に通される
長椅子に寝かされたプライドと破壊の象徴は普段より一回り小さく見えた
仕事が終わり次第息子が迎えにくるそうで、それまで二人で少し話した
「今日はこんなだが次は貴様を倒してやるからな」
「ああ、そんときは言い勝負しようぜ」
―取り留めのない会話がふいに途絶える
「医者は、日常生活で違和感があったハズだって言うんだ
気付かなかった俺のせいだ」
長椅子に寝かされたプライドと破壊の象徴は普段より一回り小さく見えた
仕事が終わり次第息子が迎えにくるそうで、それまで二人で少し話した
「今日はこんなだが次は貴様を倒してやるからな」
「ああ、そんときは言い勝負しようぜ」
―取り留めのない会話がふいに途絶える
「医者は、日常生活で違和感があったハズだって言うんだ
気付かなかった俺のせいだ」
29: 2008/08/10(日) 23:39:10.96 ID:vT+GsJTrO
彼の口から出た言葉は汚物だった
そして私はその汚物をゴミとして記憶の底に沈めていた
私の表情が曇ったのを知ってか知らずか、彼は続ける
「残りの時間はアイツのしたいようにさせてあげたいんだ
だからしばらくは貴様に付き合ってやること、できなくなるかもしれん」
また驚かされた
私は彼との関係をゴーマンなじじいの遊び相手をやってあげている、程度に考えていた
そして私はその汚物をゴミとして記憶の底に沈めていた
私の表情が曇ったのを知ってか知らずか、彼は続ける
「残りの時間はアイツのしたいようにさせてあげたいんだ
だからしばらくは貴様に付き合ってやること、できなくなるかもしれん」
また驚かされた
私は彼との関係をゴーマンなじじいの遊び相手をやってあげている、程度に考えていた
30: 2008/08/10(日) 23:46:11.50 ID:vT+GsJTrO
先刻のような台詞を盾に今まで随分彼を引きずり回した
どうせ暇なんだろと昼夜の別なく呼び出したし、一度は娘の成人式会場から瞬間移動で無理矢理連れ出したこともあった
どうせ暇なんだろと昼夜の別なく呼び出したし、一度は娘の成人式会場から瞬間移動で無理矢理連れ出したこともあった
32: 2008/08/10(日) 23:56:02.27 ID:vT+GsJTrO
思いもかけぬ友の言葉に返す言葉が見付からない
友は黙り、絶えがたい沈黙を予感して鼓動が早まるのを感じたが、その不安は懐かしい気配の近付いてくることで解消された
迎えが来たようだ
友は黙り、絶えがたい沈黙を予感して鼓動が早まるのを感じたが、その不安は懐かしい気配の近付いてくることで解消された
迎えが来たようだ
33: 2008/08/11(月) 00:10:18.39 ID:JgoIExAcO
迎えと緑達が部屋に入る前に大事な質問をしなければ
声を落して聞く
「あのさぁ、その…ボールでなんとかするってのはダメなのか?」
答の決まった質問だった
そら、最初の答えだ
毎度のモンだ
「貴様が無理だったように病気は治せないんじゃないのか」
…ホラ
そこでいつも通り、更に静かに続ける
「ルールだって、頼めば変えてくれるじゃん」
その後もやっぱりいつも通り
寂しそうな顔をして首を横に振る
声を落して聞く
「あのさぁ、その…ボールでなんとかするってのはダメなのか?」
答の決まった質問だった
そら、最初の答えだ
毎度のモンだ
「貴様が無理だったように病気は治せないんじゃないのか」
…ホラ
そこでいつも通り、更に静かに続ける
「ルールだって、頼めば変えてくれるじゃん」
その後もやっぱりいつも通り
寂しそうな顔をして首を横に振る
35: 2008/08/11(月) 00:26:09.12 ID:JgoIExAcO
「アイツは俺達なんかより頭のいい女だ
そんなことすぐに考え付く
アイツが望むならたとえ誰に反対されても、また地獄に落とされる定めになっても何億人頃してでも願いを叶えてやるさ
でも気が付いて病名告げられたアイツは治してくれ、も痛みを止めてくれも言わなかった
『約束あるんでしょ、いってらっしゃい』くらいなもんだ
口ではいろいろ言ってても実際には一度も若さを願ったりはしなかった
この歳になってやっと解る
ウチのカーチャンは俺達なんかよりよっぽど強いよ」
そんなことすぐに考え付く
アイツが望むならたとえ誰に反対されても、また地獄に落とされる定めになっても何億人頃してでも願いを叶えてやるさ
でも気が付いて病名告げられたアイツは治してくれ、も痛みを止めてくれも言わなかった
『約束あるんでしょ、いってらっしゃい』くらいなもんだ
口ではいろいろ言ってても実際には一度も若さを願ったりはしなかった
この歳になってやっと解る
ウチのカーチャンは俺達なんかよりよっぽど強いよ」
39: 2008/08/11(月) 00:48:07.56 ID:JgoIExAcO
想定していた答えだった
でも、強さという測りは私達が共有する絶対神のハズだ
ふいにどす黒い感情が現れ、例えば幼い頃の傷が化膿して
そこを血が出るまでかきむしりたいようなそんな気持ちに―
その時扉が開き、緑達とスーツ姿の美男子が入ってきた
でも、強さという測りは私達が共有する絶対神のハズだ
ふいにどす黒い感情が現れ、例えば幼い頃の傷が化膿して
そこを血が出るまでかきむしりたいようなそんな気持ちに―
その時扉が開き、緑達とスーツ姿の美男子が入ってきた
42: 2008/08/11(月) 01:09:44.20 ID:JgoIExAcO
「父さん!ごめんなさい遅くなって」
高そうなスーツは汗でびちょびちょだ
ここまで飛ぶだけでこんなに大汗というのは考え難い
心配からくる冷や汗が妥当か
「すまんな、今日は午後商談があったんだろ?」
「そんなの関係ないよ、ウチの会社はそんなことじゃ潰れないよ
それより一緒に家に帰ろう」
私の息子達に重なって見えた
先程の言葉も、彼の心のあり様が清くなったということだ
そう思い直すと又涙が浮かんだ
高そうなスーツは汗でびちょびちょだ
ここまで飛ぶだけでこんなに大汗というのは考え難い
心配からくる冷や汗が妥当か
「すまんな、今日は午後商談があったんだろ?」
「そんなの関係ないよ、ウチの会社はそんなことじゃ潰れないよ
それより一緒に家に帰ろう」
私の息子達に重なって見えた
先程の言葉も、彼の心のあり様が清くなったということだ
そう思い直すと又涙が浮かんだ
45: 2008/08/11(月) 01:32:22.22 ID:JgoIExAcO
隅に移り、鼻を啜っていると三人が毛布で包まれたホウレン草を運び出していた
ホウレン草はさすがに自力では飛べないそうで、帰りは飛行機を使うということだ
それにしても先程からスーツからの目線が痛い
気を利かせて屋外まで瞬間移動させろ、ということだったか
今日はもうこれ以上何処にも角を立てたくないので帰り際「いやぁ、済まねぇな」
と一言伝えることにした
それに対する応えが衝撃の一日の衝撃8合目となった
「今頃になって『済まない』、ですって!
父も母も貴方に何も言いませんが何なんですか貴方は?
父を毎度毎度連れ回して
父は妹の晴れ着姿をずっと楽しみにしてたのに
たまに家にくればご飯ばっかり食べて『じゃあまたな』って何様なんですか一体?」
ホウレン草はさすがに自力では飛べないそうで、帰りは飛行機を使うということだ
それにしても先程からスーツからの目線が痛い
気を利かせて屋外まで瞬間移動させろ、ということだったか
今日はもうこれ以上何処にも角を立てたくないので帰り際「いやぁ、済まねぇな」
と一言伝えることにした
それに対する応えが衝撃の一日の衝撃8合目となった
「今頃になって『済まない』、ですって!
父も母も貴方に何も言いませんが何なんですか貴方は?
父を毎度毎度連れ回して
父は妹の晴れ着姿をずっと楽しみにしてたのに
たまに家にくればご飯ばっかり食べて『じゃあまたな』って何様なんですか一体?」
48: 2008/08/11(月) 01:59:32.37 ID:JgoIExAcO
考えてもみない言葉が返ってきた
またもや衝撃
今日は一日通してそうらしい
口ごもっていると、助手席に詰め込まれたホウレン草王子が引き取ってくれた
「ま、まあ本人も悪いと思ってたみたいだし
俺は何とも思ってないから今後暇な時にアイツの見舞いに来てくれ」
「あ、ああ」
「お前も自分の家族を大事にしろよな
…もういいだろう、出してくれ」
「ッ…分かりました、皆さん今日は父を助けていただきありがとうございました」
「気にするな、俺達は対したことはしてないし出来ない
もし奴が病院食を食えんようなら相談にこい
今のうちに幾つか千豆を作って貰っておくから
俺達に出来るのはそれくらいだ」
「ありがとうございます
それじゃ…」
飛行機はけたたましい発進音と共に飛び立ち、すぐに見えなくなった
その後、先の約束通り二人は下の塔へ降っていった
私はというと、さっき鼻を啜ってからずっと奥歯に違和感を感じていて爪でこそぐのに必氏になっていた
やっと取れたのは「味噌汁」と書かれたプラスチック袋の切れ端
裏には10年前の刻印がしてあった
速度とクオリティが維持できないので
申し訳ないんですがここで
俺達の冒険(ryとさせていただきます
またもや衝撃
今日は一日通してそうらしい
口ごもっていると、助手席に詰め込まれたホウレン草王子が引き取ってくれた
「ま、まあ本人も悪いと思ってたみたいだし
俺は何とも思ってないから今後暇な時にアイツの見舞いに来てくれ」
「あ、ああ」
「お前も自分の家族を大事にしろよな
…もういいだろう、出してくれ」
「ッ…分かりました、皆さん今日は父を助けていただきありがとうございました」
「気にするな、俺達は対したことはしてないし出来ない
もし奴が病院食を食えんようなら相談にこい
今のうちに幾つか千豆を作って貰っておくから
俺達に出来るのはそれくらいだ」
「ありがとうございます
それじゃ…」
飛行機はけたたましい発進音と共に飛び立ち、すぐに見えなくなった
その後、先の約束通り二人は下の塔へ降っていった
私はというと、さっき鼻を啜ってからずっと奥歯に違和感を感じていて爪でこそぐのに必氏になっていた
やっと取れたのは「味噌汁」と書かれたプラスチック袋の切れ端
裏には10年前の刻印がしてあった
速度とクオリティが維持できないので
申し訳ないんですがここで
俺達の冒険(ryとさせていただきます
49: 2008/08/11(月) 02:03:05.04 ID:aoaz4oJT0
乙!
ネタを溜めていつか再開してくれ!
ネタを溜めていつか再開してくれ!
50: 2008/08/11(月) 02:06:46.62 ID:RY0Fucrz0
なんという…いやだなこんな世界
スレタイ的に考えると石仮面かぶっちゃいそうだが
乙でした
スレタイ的に考えると石仮面かぶっちゃいそうだが
乙でした
41: 2008/08/11(月) 00:49:48.04 ID:aoaz4oJT0
せつねぇwwwww
44: 2008/08/11(月) 01:32:12.00 ID:RY0Fucrz0
やべえ悲しい
51: 2008/08/11(月) 02:07:11.52 ID:Yg1eeb64O
面白かった!お疲れ
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります