1: 2008/04/23(水) 06:08:59.38 ID:UwPV2AAkO
一章 終わる世界

高校卒業間近に私は念願の免許をゲットした
車は親に頼み込み何とか安い軽を買ってもらう事ができた
明日は柊とあやのを乗せて初のドライブの予定だ
嬉しくて我慢できなかった私は夜中にこっそり家を抜け出しまだ眠っている街へと車を走らせた
かがみ「すごい!日下部運転上手ね!」
あやの「みさちゃんカッコいいわ」
友人達の喜ぶ顔が頭に浮かぶ
みさお(きっとみんなビックリするってヴぁ♪)

ドンッ!!!!!

4: 2008/04/23(水) 06:19:58.13 ID:UwPV2AAkO
みさお「っっ!!」
大きな音と物凄い衝撃
咄嗟に急ブレーキをかける
キキーッ!!
しばらくして車は止まった
みさお「ど、動物だ、だ、だよなな…」
確かめたいが怖くてドアを開ける事ができない
もしも…人だったら…
嫌だ!考えたくない!
神様に祈りながらドアをそーっと開けて恐る恐る後方を確認する

それは…あった…

みさお「うう、う嘘だろっ?」

そこにいたのはバックライトに照らされている血まみれの少女だった…

7: 2008/04/23(水) 06:28:29.27 ID:UwPV2AAkO
みさお「そんな…」
足元が崩れて奈落の底に吸い込まれていくような錯覚
血の気が引いて貧血を起こし倒れそうになる…
みさお(人生おしまいだってヴぁ…)

少女「……ぅう」
みさお「!!!」
まだ生きてる!
急いで歩みよる
しかし少女に近付くほど自分がした事の重大さに気付かされた
おびただしいほどの出血
ありえない方向に曲がった足
とても正視できない傷口…
みさお「ごめんね…ごめん」
混乱した私は震える声で謝る事しかできない
少女「…ま……ま……」

14: 2008/04/23(水) 06:39:17.75 ID:UwPV2AAkO
病院…
みさお「今!助けてあげるからな!」
少女「ママ……ま…ま…」
私は後部座席に少女を寝かせると急いで車を発進させた
みさお(ここから一番近い病院は…)
何とか冷静に自分の頭を働かせようとする
ププーッ!!
みさお「!!」
ダメだ…こんな頭じゃまた事故っちゃう
病院…病院どこ?
どうしよう
どうしよう
どうしよう
早くしないとこの子氏んじゃう!
みさお「…だ、だ、大丈夫か?生きてるか…?」
少女「…」

26: 2008/04/23(水) 06:48:57.83 ID:UwPV2AAkO
みさお「おい…嘘だろ…?」
車を停車させ震える手を少女の口へと運ぶ
息…してない…
背中が凍り付く
車内にはガチガチと音を立てる私の歯の音だけが響いていた

みさお「わたし…ひと…ころし…ちゃっ」

みさお「ウワアァアアァーー!」

34: 2008/04/23(水) 06:59:51.14 ID:UwPV2AAkO
人頃し
刑務所
遺族

頭の中で色んな事がぐるぐる回る
僅かな希望もない
私はもう人頃しなんだ
みさお(明日…楽しくドライブをして…また平凡な毎日を送るはずだったのに…)

警察に行こう…

嫌だ…逮捕されたくない…

みさお「もし逃げたらどうなるんだろう…」
私は自分から出てきた考えにゾッとした…

38: 2008/04/23(水) 07:07:03.34 ID:UwPV2AAkO
悪魔が私に囁く
誰かに見られたか?
目撃者がいなければお前は無実だ
最初から少女なんていなかった
お前はただドライブを楽しんでいただけじゃないか
じゃあそこにあるものはどうすればいい?

みさお「氏体を隠さなきゃ…」
再び車を発進させた私は驚くほど冷静だった
このまま捕まっても一生幸せなんてありえない
どうせ…捕まるなら…
私は山奥へと急いだ

54: 2008/04/23(水) 07:23:53.42 ID:UwPV2AAkO
2章 私、見たよ…

みさお「もぐもぐ…ごっくん」
あやの「みさちゃんホラ沢山あるからそんなにがっつかないの」
みさお「いやぁ~あやのの作ったクッキーはやっぱりまいう~だなぁ」
あの事件の後私は逮捕される事なく平凡な大学生活を送れていた
少女の氏体は誰も寄付かないような山奥に埋めた
車の血痕を処理して家族には電柱にぶつけたと話した
慣れというのは恐ろしいもので罪の意識も次第に薄れていった
それでも毎日新聞に目を通したがそれらしい事件の記事はなかった
私はこのまま幸せな日々が続くと思っていた…

58: 2008/04/23(水) 07:36:51.24 ID:UwPV2AAkO
事件から約半年が経ったある日の事
私は大学の帰りにスーパーに寄って大好物のミートボールを大量に買い込んだ
みさお(バイトの給料も入ったしな~これくらい贅沢してもいいよかぁ♪)
みさお「~♪」
ルンルン気分でアパートへ帰るとポストに封筒が入っていた
みさお(私に手紙なんて珍しいなぁ)
綺麗な文字で私の名前が書いてあった
差出人は…わからなかった
部屋に戻った私は少しワクワクしながら封筒を開封した
みさお「!!!」

61: 2008/04/23(水) 07:49:53.50 ID:UwPV2AAkO
みさお「な、なんだよコレ…」
封筒の中には便箋が一枚
真ん中に小さく何か書かれている

私、見たよ

それを見た瞬間全身に鳥肌が立った
血まみれの少女がフラッシュバックする
みさお「だ、誰だよ…」
落ち着かないと…
そうだ、まだ事件の事だと決まった訳じゃない
みさお「タチの悪い悪戯だよな…」
気味が悪くなり手紙を伏せた
みさお「!!」
よく見ると手紙の後ろにも何か書かれている
みさお「ヒィっ!」
それを見た私は更に恐怖のどん底へ突き落とされた

「人頃し」


76: 2008/04/23(水) 08:10:30.09 ID:UwPV2AAkO
私は買ってきたミートボールにも手をつけずベッドで布団にくるまり震えていた
封筒には消印も切手もない
相手は間違いなく私の住所を知っている
あの事件の事も
でもどうしても分からない事がある
どうして今ごろになってこんな事をする?
何故警察は私を捕まえにこないのか
考えても考えても答えは出てこない
相手の目的がわからない事が私を更に不安にさせた…
みさお(一体誰何だよぉ…怖いよぉ…)

80: 2008/04/23(水) 08:20:31.55 ID:UwPV2AAkO
3章 目には目を…

あの手紙が届いてからも特に変わった事も起きなかった
しかし目撃者がいたという事実に変わりはなく私は怯える日々を過ごした
手紙が届いてから二週間後柊から変な電話があった
かがみ「もしもし日下部?昨日はごめんね…電話出れなくて」
みさお「へっ?何の話?」
かがみ「とぼけないでよ!電話してきたのアンタでしょ?」

86: 2008/04/23(水) 08:31:07.68 ID:UwPV2AAkO
ちょっと休憩
絶望の世界って何だよ

216: 2008/04/23(水) 20:02:23.80 ID:UwPV2AAkO
>>214
>>215
おk
ただし期待はすんな
早くは書けない

222: 2008/04/23(水) 20:20:32.40 ID:UwPV2AAkO
みさお「誰かと勘違いしてんじゃねぇの?」
かがみ「いや確かに日下部の着信が私の携帯に残ってるし…覚えないの?昨日の夜よ」
記憶を辿ってもやはり電話なんかしていない
かがみ「変ねぇ…無言だったけど留守電も入ってたのに…故障かしら…」
電話を切った私は携帯の発進履歴を見た
あった…
昨日の夜10時26分
確かに私は柊に電話している
みさお「おっかしーなぁ…電話した覚えなんかないし…)
昨日この時間は好きなバラエティ番組が終ってお風呂に入ってたはず…
みさお「ヒィィィッ!」
あの時、家の中に誰かが居たのか?

225: 2008/04/23(水) 20:29:47.86 ID:UwPV2AAkO
その日の内に鍵を業者に頼んで替えてもらった
一応、盗られた物がないかチェックしたが何も盗まれていなかった
念の為、飲み物や食べ物は全部捨てた
みさお(怖いよぉ…)
家の中に居ても誰かに見られてる気がする
警察には相談できない…
恨まれる覚えは十二分にある
みさお(でも、どうして私に危害を加えなかったんだろう?)
相手は警察に行かなかった…恐らく自分の手で私に復讐する為だろう
でも部屋にまで侵入してきたのになぜ何もしなかった…
何も…?
みさお「柊が危ないっ!!」

233: 2008/04/23(水) 20:41:54.78 ID:UwPV2AAkO
みさお「柊ぃ~!」
私は家を飛び出していた
柊が危ない!
猛スピードで運転しながら電話を取り出す
みさお「クソっ!何で電話出ねーんだよ!まさかもう…」
頭に沸いてくる最悪のイメージを振り払いながら運転に集中する
みさお「無事でいてくれよ…頼むから…」

柊家に到着した私はインターホンを連打した
みさお「柊ぃ~!柊ぃ~!」
ドアが開いた…

238: 2008/04/23(水) 20:48:05.70 ID:UwPV2AAkO
かがみ「日下部?何よこんな時間に…」
よかった…
柊は無事だった
私はホッと胸を撫で下ろす
みさお「大丈夫か?怪我はないか?」
かがみ「ちょっと!一体何の話?」
私は困ってしまう
どう説明すればいいんだろう
目撃者が柊を狙ってる…なんて言える訳がない
みさお「ちょっと柊の顔を見たくなってさ…へへ…」
かがみ「何よソレ…変な子w折角来たんだから少し上がってく?」
みさお「なんかわりぃな…お邪魔します!」

245: 2008/04/23(水) 20:56:42.92 ID:UwPV2AAkO
みさお「わりぃな…こんな時間に…」
かがみ「本当よ!」
柊はそう言いながらクッキーを持って来てくれた
かがみ「これこの子が作ったの、よかったら食べて」
つかさ「えへへお口に合うかわかんないんだけど…」
みさお「もぐもぐごっくん…うん!うめーぞぉ柊の妹」
つかさ「あ…ありがとう」
みさお「…なぁ、何でもいいから最近変な事なかったか?どんな些細な事でもいいから」
かがみ「う~ん…特にないわ」
みさお「そっか…ならいいんだ…急に来ちゃって悪かったな」
かがみ「うん…あっ!そうだ!ねぇ聞いてよ今日車で轢かれそうになったのよ!」
みさお「!!!」

265: 2008/04/23(水) 21:26:06.26 ID:UwPV2AAkO
柊の話よると大学帰りに狭い道を歩いていると前から猛スピードで車がやってきたらしい
車のナンバーは無くフルスモークの怪しい車で咄嗟に避けなければ氏んでいたとの事だった
私は柊に充分気をつけるように言って柊家を後にした
間違ないなく相手は柊を狙っている…
大切な人を失う辛さを私に思い知らせる為だろうか?
警察に白状しようか…
ダメだどうしても捕まりたくない…

やっぱり最後は自分が一番可愛いんだ私は…
どうしても本当の事を言う勇気はなかった
その日は全く眠れなかった

272: 2008/04/23(水) 21:36:13.93 ID:UwPV2AAkO
最終章 制裁

あの事件から一年が経った
柊の事が心配だったがあの日から特に何も無く平和な日々が戻ってきた
結局あれは何だったんだろう…私はもうほとんど忘れかけていた
そんなある日の事
みさお「今日はあやのん家でご馳走が食えるぞぉ!」
大学から帰ってアパートに帰るとポストに封筒が入っていた
嫌な予感がする
やはり差出人の名前はない…
みさお「アイツだ……」
私は恐る恐る封筒を開いた

278: 2008/04/23(水) 21:46:12.96 ID:UwPV2AAkO
またあの時の様に便箋が一枚だけ入っていた
「あの子が眠ってる場所に来てください」
みさお「…いやだ…いやだ!…」
頭に血まみれの少女を埋めた時の事がちらつく…
みさお(きっと私を頃す気なんだ……)
絶対に行くもんか!
私は部屋に入り全ての鍵を占めて布団に潜りこんだ…
プルルルルル
突然の着信に心臓が止まりそうになる
恐る恐る画面を覗くとあやのからの電話だった
泣きそうな声で電話に出る
みさお「あやの~」

284: 2008/04/23(水) 21:54:33.72 ID:UwPV2AAkO
あやの「ギャアアアアアアアアアアッー!!」
耳をつんざく叫び声に思わず携帯を落としてしまう
みさお「あやの!あやのどうしたんだ?」
あやの「みさちゃん助けて!助けてェー!!」
みさお「あやのぉ!どこにいるんだ?」
あやの「お願いもうやめて…イヤ…みさちゃぁぁん!」
ブツッ…
ツーツーツー
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう…
あやのがあやのが殺されちゃう…
心臓が破裂しそうになって息が苦しい
私は家にあったバッドを持って家を飛び出した

295: 2008/04/23(水) 22:13:34.69 ID:UwPV2AAkO
車に出せる最大限のスピードを出してあの山に向かう
みさお「あやの…あやのぉ!」
やっぱり悪い事をしたらバチが当たるんだ
私が馬鹿だった…
あの時、助けを呼んでいたらこんなことにはならなかった
車を止めてあの場所に向かう
驚くほど静かな森の中に自分の足音だけが響く
少女を埋めた場所には誰もいなかった
みさお「あやのぉー!」
ガサガサッ…
みさお「!!」
音がした方を振り返ると倒れているあやのを見つけた
どうやら縛られているようだ
みさお「あやの!今助けてやるからな」
あやの「ダメッ!!みさちゃん!後ろ!!」
振り返った瞬間強い衝撃を受けて意識が遠のいていった…

303: 2008/04/23(水) 22:20:37.85 ID:UwPV2AAkO
みさお「んん…っ…」
ここは…倉庫?
みさお「痛っ…」
後頭部を強く打たれたようだ
頭がズキズキと痛む…
よく見ると全身を縛られていた…
殺される…
コツ
コツ
コツ…
足音が近付いくる
みさお「ヒィィィッ!!!」

「目が覚めた?」
みさお「!!!」

396: 2008/04/23(水) 23:39:26.59 ID:UwPV2AAkO
みさお「あやの!!大丈夫だったのかっ!」
あやの「うん、みさちゃんも今助けてあげるからね…えいっ!」

グシャ!!

みさお「ギャアアアアっ…」
あやの「あら左足折れちゃったかな?みさちゃん痛い?」
あやのはいつもの笑顔で私のバットを持っていた
みさお「あやの…がっ…どうして…っ」
あやの「どうしてだと思う?」
みさお「あの子の…知り合いか…?」
あやの「そうよ…みさちゃんが頃した女の子はね…私のいとこ」

399: 2008/04/23(水) 23:40:28.72 ID:UwPV2AAkO
あやの「一年前の今日にね…コンビニに行ったっきり突然いなくなったの…」
あやのは悲しそうな顔で話しはじめた
あやの「その日の内に捜索願いを出したわ…でも見つからなかった」
みさお「でも何で私だって…」
あやの「次の日のドライブ覚えてる?私、事情を話して車で一緒に探してもらうつもりだった…」
そこであやのは振り返って私を睨む
あやの「でもね車に乗り込んだらねシートの下にリボンを見つけたの」
ポケットからリボンを取り出すとあやのは涙を流しはじめた
あやの「コレはねあの子の誕生日に私が買ってあげたものなの…」

402: 2008/04/23(水) 23:41:05.73 ID:UwPV2AAkO
あやの「私によくなついてくれて本当に可愛い妹みたいな存在だった…」
みさお「あやの…」
あやの「私はみさちゃんを疑い始めたわ…車の傷の事もあったし…でも…」
あやの「信じてた…だって人を頃した人間があんな笑顔でいられるわけないもの…」
みさお「事故だったんだよ…ごめん…あやの…」
あやの「何よりみさちゃんを信じてたから…で、確かめる為にあの手紙を送ったの」

403: 2008/04/23(水) 23:42:06.66 ID:UwPV2AAkO
あやの「あの慌てぶりを見てわかったわ…」
みさお「許して…あやの…」
あやのの顔が歪んでいく
あやの「出来れば自首して欲しかった…でもみさちゃんは何もしなかった…」
みさお 「ちがうんだ…ちがうんだ…」
あやの「柊ちゃんに危険が及んでものうのうと生き続けた!!」
みさお「ひぃっ…」
あやのは急に笑顔になる
それが私を不安にさせる…
あやの「今日はあの子の誕生日なの…一年間も土の中じゃあ可哀相でしょ?」
みさお「お願い…許して…自首するから…」

405: 2008/04/23(水) 23:43:29.55 ID:UwPV2AAkO
あやの「だから電話の後付けさせてもらったわ、迫真の演技だったでしょ?」
みさお「そんな…」
あやの「さっきねあの子の骨見つけたよ…」
みさお「自首するからっ!許してあやの友達だろ?」
あやの「もういいのよ…みさちゃん」
あやのは私の頭を撫でて耳元で囁く
あやの「人頃し」
みさお「ひぃっ!」
あやの「さてとお喋りはもうお終い…みさちゃん?」
みさお「助けて…」

あやの「お仕置きよ」
あやのはいつもの笑顔でそう言うとバットを振り上げた


407: 2008/04/23(水) 23:43:47.20 ID:jMOXwbZl0
オワタ

409: 2008/04/23(水) 23:44:10.84 ID:/8phjY7XO
ヴァットエンド

411: 2008/04/23(水) 23:44:47.86 ID:WEs+2lrC0
バットエンドwwwwwwww

412: 2008/04/23(水) 23:44:51.85 ID:NF++2fYW0
これはバットエンドですね

423: 2008/04/23(水) 23:47:54.28 ID:UwPV2AAkO
んん…好きだけど違うよ
あんな上手く書けない
遅くてすまんかった

425: 2008/04/23(水) 23:48:14.68 ID:NIGmFNBX0

引用: みさお「ひ、ひ、人を轢いちまったってヴぁ…」