唯「えっ？どうして？」

澪「どうしてって……今時お金出して買うのはおかしいだろ」

唯「なんで？」

澪「あ、まさか唯知らないのか？」

唯「何を？」

澪「今はファイル共有とかで大抵の物はタダで手に入るんだよ」

唯「へー！凄ーい！」

紬「それって違法なんじゃ……」

律「私はよくわかんないからやらないけどな」

梓「……そういうの、良くないと思います」

澪「使える物は使えば良いんだよ」

澪「唯も欲しいゲームとか音楽とかあったら落としてあげるよ」

唯「ほんと！？モンハンやりたーい」

紬「だ、だめよ唯ちゃん！」

唯「ほえ？」

紬「ちゃんとお金払わないと、作ってる人にお金がいかなくなるのよ」

唯「それっていけないの？」

紬「お金が無いと会社が維持出来なくなって……唯ちゃんの好きなゲームも作れなくなるの」

唯「ええー！！」

澪「大袈裟な」

梓「大袈裟じゃないです！塵も積もればなんとやらです！」

澪「梓はバカ正直に買ってそうだもんな」

梓「当たり前です」

澪「購入厨め」

梓「違法ダウンロードは万引きと一緒ですよ！」

澪「落とすだけなら罪じゃない」

唯「よ、よく解んないよ」

律「止めとけ止めとけ、解んない事には関わらないのが一番だぞ」

唯「うん……」

澪「そういう姿勢が情弱を生むんだ」

紬「み、澪ちゃんもちゃんとお小遣い貯めて買いましょう？」

澪「お小遣いは服とか買うのに使うし……回せないよ」

梓「バイトしたら良いじゃないですか」

澪「ゲーム買うのにバイトなんてバカらしい」

律「止せ止せ、澪はどっぷりだから説得出来ないって」

梓「……」

澪「昨日発売されたばっかりの新作やろうっと」

平沢家

唯「って事があってね」

憂「今問題になってる奴だね」

唯「タダなら嬉しいけど……悪い事はしたくないなぁ」

憂「うん、それで良いんだよ」

唯「うーん……でもタダかぁ」

憂「もう、めっ！」

唯「うへ……ごめんなすって」

テレビ『ポケットモンスター新作発売！』

唯「あ、新しいポケモンだ！やりたーい！」

憂「私は白が良いなぁ」

唯「じゃあ私は黒にしよ」

唯（でもお金無いよ……）

翌日

唯「おはよー」

律「うぃっす」

紬「おはよう」

和「遅いわよ」

唯「えへへ、夜更かししてて」

律「どーせマンガでも読んでたんだろ」

唯「違うよー」

澪「ふあぁ……おはよ」

和「あら、珍しく澪も遅いのね」

澪「ちょっとね……あ、唯これ頼まれた奴」

唯「う、うん、ありがと」

和「なにそれ？」

唯「な、何でもないよ！」

澪「多分ちゃんと動くと思うけど」

唯「う、うん」

紬「……」

律「んな事より、私も弟にポケモン付き合わされて眠い」

和「子どもねぇ」

律「なんかタマゴ孵すためにめっちゃ走らされた」

和「はぁ？」

律「しかも私が必氏に誕生させたポケモンにケチつけるんだぜー。ムカついたからしめてやった」

澪「改造すれば早いのに」ﾎﾞｿﾘ

唯「ちょっとトイレ行ってくるー」

律「いてらー」


トイレ

唯「……ほんとに出来るのかなぁ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

唯「スイッチオン」

唯「わ！凄い、ちゃんと始まった」

唯「うひょー！出来る出来る！」

唯「凄い凄い！タダだし、ちゃんと使えるし、最高だよ！」

ｶﾞﾁｬ

紬「……唯ちゃん」

唯「む、ムギちゃん！？」

紬「今なにか隠したわね？」

唯「き、気のせいだよ」

紬「怒らないから言って」

唯「む、ムギちゃんおかしいよ？」

紬「こういうのは慣れたら終わりよ……魔がさしたじゃ済まないわ」

唯「……」

紬「ゲーム会社の人が一生懸命作ったのよ？きちんと対価を払わないといけないわ」

唯「……む、ムギちゃんには関係無いよ！」ﾀﾞｯ

紬「唯ちゃん！」

澪「というわけで、聡のパーティは役割理論的に雑魚なんだ」

律「なにがなんだか全く解らん！」

和「ポケモンって難しいゲームなのね」

律「いや簡単簡単、ピカチュウがチューチュー言ってるだけだぞ」

和「それも違う気がするわ」

唯「……」

律「お、えらく長かったなー、大きい方か？」

唯「……」

律「踏ん張ったけど出なかったパターンか？」

和「律、黙って」

部室

梓「そうですか、唯先輩が……」

紬「今なら止められると思うんだけど」

梓「解りました！私がなんとかします！」

紬「お願いね」

梓「任せてください！唯先輩は澪先輩にそそのかされたに違いないです！」

ｶﾞﾁｬ

唯「こんちはー」

律「おっす」

澪「うっす」

梓「唯先輩！澪先輩！」

唯「な、なに？」

澪「なんだ？」

梓「カバンを貸してください！」

唯「な、なんで？」

梓「なんででもです！」

律「何か怒ってるぞ……大人しく従っとけ」

唯「うん……はい」

梓「……」ｺﾞｿｺﾞｿ

澪「先輩のカバンを漁るなんて失礼じゃないか？」

梓「盗人に言われたくないです」

澪「これだから購入厨は」

梓「あった！このROMですね！」

唯「あ……」

梓「こんなもの、こうです！」

ｸﾞｼｬ！

澪「あー！！」

唯「ふ、踏み潰した……」

梓「当然の結果です！」

唯「酷いよあずにゃん！」

梓「目が覚めましたか？」

紬「これは唯ちゃんの為なのよ」

唯「せっかく澪ちゃんがくれたのに……」

梓「どうせ違法ダウンロードしたソフトでしょう？」

唯「違うよ！」

梓「えっ？」

唯「私、新しいポケモンやりたいけどお金無いから、古いのを澪ちゃんに譲ってもらったのに……」

澪「古いから動くか不安だったけど、ちゃんと使えたみたいだったのにな」

唯「憂と一緒にやるはずだったのに……あずにゃんのバカー！！」

梓「……」

紬「……」

律「あーあ……」

梓「……ってます」

澪「ん？」

梓「そもそもそのROM自体が違法ダウンロードした奴に決まってます！！」

澪「お前、それはいくらなんでも……」

梓「ふ、普段から疑われるような事をするから悪いんです！」

紬「もういいわ梓ちゃん……一緒に謝りましょう」

梓「ぐっ……」

唯「うわぁぁぁぁん！！」

律「唯、泣くなって、ポケモンくらいやるから」

唯「ふえ？」

律「弟の付き合いで予約したんだけど、私はあんまり乗り気じゃないし、唯に貸すよ」

唯「りっちゃん……」

澪「ほら、謝罪しろよ」

梓「ぐぐ……」

律「澪も調子に乗るな」

澪「なんだよ？」

律「ダウンロードとかが良くないのは事実だろ。あんまり自慢する事じゃないぞ」

澪「……」

律「だからって梓やムギも証拠も無しに難癖つけるなよ」

紬「反省します」

梓「…………はい」

律「唯もこれに懲りたら余計な事に興味持つなよ」

唯「うん！」

律「さ、下らない話はここまでにしてお茶にしようぜ！」

澪「……偽善」

律「へいへい、何とでも言え」

その夜、田井中家

律「いやー、澪もバカだねー……どんどん規制が厳しくなってるのにいつまで続けるんだか」

律「お金はちゃんと動かすに限るよ」

聡「姉ちゃん、頼まれてたゲームとかフィギュア買ってきたぞ」

律「サンキュー。ほれ、お駄賃」

聡「それにしても、何で同じの何個も買うんだ？」

律「売るんだよ」

聡「買ったばっかなのに？」

律「売るために買ったんだって……ま、店で直接買えない可哀想な人の為に、私が代わりに買って届けてあげるのさ」

聡「ふーん」

律「さぁて値段設定は……手堅く三割増しからいきますか」ｶﾁｶﾁ

おわり

すっきりまとめたね
乙でした