1: 2009/01/17(土) 22:40:02.07 ID:MeNmxxZ00
女「…ようこそ、運び屋へ」

???「…失礼。報酬と引き換えに様々な物を運んでくれると聞いたんだが…君がそうかね?」

女「ええ、そうよ。何でも運ぶわよ!」

???「では、表にある荷物を北の鉱山都市マデュラまで運んで欲しい。場所は大公の屋敷だ」

女「危険物なら料金はたんまり頂くけど?」

???「…大丈夫だ。少なくとも旅の途中で魔物に襲われる心配はないだろう」

女「…(この強烈な匂い…、…ドラゴンの卵ね)」

???「…無理なら他の同業者にでも頼むとしよう」

女「…いいわ!引き受けましょう。料金は10万ゼニー頂きます」

???「…ではよろしく頼む。期限は1週間だ。それを過ぎると…」

女「言われなくても3日で運んでみせるわ!(…卵が孵って食われるって訳ね)」

???「無事に着いたらこの紹介状を見せろ。中に入れてくれるだろう。」

女「OK!では、明日早速出発するわ。」

3: 2009/01/17(土) 22:41:15.08 ID:MeNmxxZ00
女「さて、略奪者対策に色々準備しとかないとね…弾薬の補給と…
  それから…あいつらどこに行ったのかしら…まったく」



……

???「…ただいまー!」

女「…友か。あんたどこ行ってたの?」

友「えへへ、そこの露店で買い物してたんだよぉ~」

女「あんたねぇ…無駄遣いしちゃあダメっていつも言ってるでしょ?」

友「あうぅ、ごめんなさい…。」

女「そんなことより、仕事よ!あいつはどこに行ってるの?」

友「昨日夜中に出掛けたっきり帰ってきてないよ?」

女「そう…探してきてくれる?多分、酒場にいると思うから。」

友「はぁーい!」

4: 2009/01/17(土) 22:42:57.31 ID:MeNmxxZ00
女「…………」

友「一晩中ドンチャン騒ぎしてたみたいだよ?…事務所まで連れてくるの大変だったし…
  起こしちゃう?」

女「ええ、お願い」

友「おーい、男さーーん!」

男「んん~、もうちょい寝かせてくれ…」

友「ダメだよぉー、女が仕事の話するんだからぁ!」

男「うーん、仕事…?仕事入ったのか?社長?」

女「ええ!出発は明日よ。友は食料買い出し、男はバギーのメンテナンス!」

男「どこまで行くんだ?」

女「北の鉱山都市マデュラまで行くわ。…早くメンテナンスしてきなさい!!!」

男「おおぅ!?わ、悪い!」

友「じゃあ、買い出し行ってくるねぇ!」

男「…待て、俺も一緒に行こう。燃料と弾薬買いにいかねーと」

友「じゃ、いこー!」

5: 2009/01/17(土) 22:45:28.91 ID:MeNmxxZ00
誰も見てなくても頑張って続けます

-翌日-

女「…良い天気ね、砂嵐が発生しないうちに出発しましょう。」

男「了解。バギーの準備は出来てるぜ!」

友「出発しんこー!」

女「積荷もしっかり固定してるわね…行きましょう!」

-ドラゴンの卵を乗せて一行は荒野を抜け、鉱山都市マデュラへと向かう-



……

………

友「…でね!その露店で良い物買っちゃったの!これ!」

男「ん~?なんだそりゃ?」

友「私もよくわかんないんだけど、綺麗だったから買っちゃった♪」

女「へぇ、綺麗ね…見せてくれる?」

友「はい!女なら何か分かるかな?」

7: 2009/01/17(土) 22:50:07.30 ID:MeNmxxZ00
女「…ふむ…見た目は四角形のただの宝石ね…なんか書いてある」

友「どこどこ?読める??」

女「うーん、『神……鍵……』読めないわ…」

友「鍵??もしかして…お宝の鍵!?」

女「そうかもしれないわね、マデュラに着いたら鑑定頼んでみましょ」

友「お宝だったら良いなぁー♪」



……

-事務所を発ってから2日目-

男「社長、積荷の中身ドラゴンの卵だろ?」

女「そうよー」

男「やっぱりなー…臭くてまいるぜ…」

女「はいはい、我慢しなさい。報酬はたんまり頂いてるんだから」

男「ほう…給料は期待していいのかな?社長?」

女「♪」

8: 2009/01/17(土) 22:52:22.96 ID:MeNmxxZ00
所々、補足説明加えながら進みます。
その方が世界観に近付けるかと思うので、御了承下さい。


ドラゴン-…世界で最も賢明な魔物。凶暴であり極めて長寿である。
      それ故ドラゴンから採れる鱗、牙などは高値で取引されている。
      中には人語を解するドラゴンもいると言われているが定かではない。
      ドラゴン達は独特の匂いを発しており、卵も同様の匂いを発する。
      旅人達はドラゴンの体液から生成された香水を使い魔物から身を守っている。

-鉱山都市マデュラ-…ヴォルガス山脈の麓にある鉱山都市。
          地下に眠る豊富な鉱石によって急速に発展してきた。
          世界各地から集まる職人達が腕を磨き、競い合う事で
          質の良い兵器、防具または乗り物などが盛んに開発されている。

-ヴォルガス山脈-…大陸の中心に横たわる巨大な山脈。
         凶暴な魔物の縄張りになっている為、誰も登ろうとはしない。
         稀に登ろうとする命知らずがいるが帰って来る者はいなかった。

9: 2009/01/17(土) 22:54:33.00 ID:MeNmxxZ00
-商業都市ドラグニール-…周囲を荒野に囲まれた厳しい土地にある都市。
            だが、北に鉱山都市マデュラ、東にアシュラム王国
            西にタインボード共和国、南にガルバリアン連邦があり、
            その中心に位置するドラグニールは貿易の中継点として栄え、
            様々な地方の特産品などが1箇所に集まる唯一の都市。
            また移動のしやすさから女達を始め多くの運び屋達が拠点を置いている。
            
-略奪者-…旅人や運び屋を襲い生計を立てている者達の総称。
     また、遺跡と呼ばれる建造物が風化により出現する事があり、
     遺跡を荒らして財宝を売り捌く事もある。
     独自に開発した乗り物を使い集団で狩りを行っている。
     
-遺跡-…世界中で目撃されている古代に建てられたと思われる建造物の総称。
    遺跡が発見された場合、第一発見者の属する国、都市から
    調査隊が派遣される。遺跡の大きさによって調査隊の人数も変わってくる。
    アシュラム王国が所有している『アスタリア神殿』が最も巨大な事で
    知られている。発見されて15年経つが、いまだに内部の全容は明らかになっていない。

10: 2009/01/17(土) 22:56:43.48 ID:MeNmxxZ00
男「(ご機嫌だな…!期待出来そうだ)」



……

………

友「…女!北東2キロ先に砂埃!」

女「止まって!!望遠鏡貸して!」

友「はいっ!」

女「……略奪者か、まだこっちには気付いてないわね」

男「どうする?このまま行くと鉢合わせになるぜ?迂回するなら引き返さねーと」

女「あれは斥候か…見つからないようにやり過ごしましょ!」

友「分かった!」

12: 2009/01/17(土) 22:59:19.34 ID:MeNmxxZ00
略奪者「………」



……

女「…行ったみたいね、友、周囲に気をつけてね。男!速度落としてゆっくり!」

男「了解、社長!」

女「丁度いい具合に岩がゴロゴロしてるわね…」

友「隠れながら進めそうだね!」

女「ええ、ここを通って行きましょ」

-説明-

運び屋-…運び屋はそれぞれ独自の乗り物を使用しており略奪者、魔物対策に武装している。
     女達が愛用しているバギーは一般のバギーとは異なり、10人まで乗り込める
     大型バギーに改良されてある、大きくて目立つが強度、速度共に最上級と言える。
     おまけに機関銃座も装備されており略奪者に襲われても返り撃ちにしてきた
     頼もしい乗り物。他にも様々な兵器が搭載されているらしい。
     友はバクちゃんと呼んでいる。

14: 2009/01/17(土) 23:02:05.23 ID:MeNmxxZ00
話考えてて自分でもかなり厨二だと思った

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
男「いくら頑丈だからと言って本隊に囲まれたらさすがにやべーからなぁ」

女「そうね、この先は大峡谷だったわね?」

男「ああ、谷底通って行くんだろ?」

女「ええ、そこに入ればとりあえずは安心ね」

男「そうだな」

女「友、運転お願い」

友「え、ええ!?私が運転するの!?」

女「当たり前じゃない、私と男は気付かれた時の為に機関銃座に着くわ」

友「ううぅー、出来るかなぁ…」

女「大丈夫よ、風食や侵食で底は比較的平坦になってるし、横転する事はないわ」

友「が、頑張る!」

15: 2009/01/17(土) 23:04:40.36 ID:MeNmxxZ00
-説明-

-大峡谷-…地殻変動によって断崖絶壁がそびえたつ起伏の激しい地形。
     川が流れていた形跡があるが、現在では干からびており、
     谷底を進めるようになっている。侵食や風食によって
     谷底は比較的平坦になっており、多くの旅人達がここを通っている。
     また、断崖絶壁の上には遺跡が数箇所発見されている。

なんか質問あればどぞ

16: 2009/01/17(土) 23:06:48.43 ID:MeNmxxZ00
-続き-

女「友、気付かれたら一気に行くわよ!」

男「こっちは準備OKだ!」

友「分かった!、ゆーっくり行くよぉ…」

-ノロノロとバギーが岩を盾に進む…-



……

女「斥候はいなくなったみt…」

-言い掛けた瞬間、角笛が鳴り響いた-

女「気付かれた!!友!!」

友「はぁい!!いっくよぉ!」

-バギーが物凄い音をたて、速度をぐんぐん上げていく!-

-だが、略奪者の乗ったバイクが真後ろに取り付いた!-

17: 2009/01/17(土) 23:08:24.30 ID:MeNmxxZ00
男「後ろに取り付かれたぞっ!!」

女「撃てぇ!!」

-激しい銃撃音が辺りに響き渡る-

-真っ赤に染まる銃身-

-男の照準が略奪者を捉えた-

略奪者「!!」

-バイクはバランスを崩し、地面に叩きつけられその場で爆発した-

18: 2009/01/17(土) 23:10:46.16 ID:MeNmxxZ00
男「よし!ざまあみろ!」

女「本隊が来る前に大峡谷に入るわよ!」

友「うんっ!」



……

………

女「…追っ手は見当たらないわね」

男「なんとか大峡谷に入れたし、友、運転代わるぞ」

友「ふぇ~、腕が痛いよぉ~」

女「友、休んでていいわよ、見張りは私がするから」

友「じゃあ、お言葉に甘えま~す♪」

女「大峡谷を抜けたらマデュラはすぐそこね」

男「そうだな、ちっとここらで休憩にするか?」

女「ダメよ、追っ手がくるかもしれない。もう少し進みましょ。」

男「了解」

19: 2009/01/17(土) 23:13:21.83 ID:MeNmxxZ00
見てる人いる?(゚Д゚ )

-2日目深夜-
友「…すぅー…すぅー…」

女「気持ちよく眠ってる…よほど疲れてたみたいね」

男「そりゃあ、な。あんだけ運転したんだ。疲れるに決まってる」



……

男「…そういやぁ、社長はなんで運び屋になったんだ?」

女「珍しい事聞くのね」

男「俺だって気になる事はあるさ」

女「ま、両親も運び屋だったし、私も運び屋になるんだってその時は思ってたしね」

男「両親は?」

女「氏んだわ…15年前にね、荷物を運んでいる最中だった…ドラゴンに襲われたの、
  一瞬の出来事だったわ。私はバギーから放り出されて川に落ちてね…
  気が付くと随分と下流の方に流されてたみたい。辺りを見ると上流の方で黒煙があがってたわ…」

20: 2009/01/17(土) 23:16:40.84 ID:MeNmxxZ00
女「私は川辺でワンワン泣きじゃくっていた…」

女「そこに旅人が通りがかってね、拾われたの。気が付くと旅人の胸の中で泣いてたわ」

男「そうか…(その旅人が…)」

女「それから一緒に各地を旅してたんだけど、旅人が足を悪くしちゃってね
  続けられなくなったの。それであのドラグニールに住み着いたのよ。
  両親とそう変わらない年だったし、いつの間にかお父さんって呼ぶようになってたわ」

女「そんなお父さんも6年前に病気で氏んじゃってね…氏ぬ間際にお父さんはこう言った。
 『お前の両親は偉大な運び屋であり、そしてアスタリア神殿を発見した偉大な人物だった。
  両親が運んでいた積荷を探せ…あれは危険な物だ…』って…。
  積荷は跡形も無く消えていたらしいわ…。恐らく略奪者が奪って行ったんでしょうね」

女「そして、1人で泣いてる時に友と出会った…『なんで泣いてるの?』って聞かれてさ、
  泣きながら説明してた。そしたら、『よしよし、私も一緒だよ。泣かないで…
  泣いてたら旅人さんと両親が悲しむよ?』って抱きしめてくれたの…温かかった」

女「それからだね、いつでもどこでも私達は一緒だった。お互いの寂しさを包みこむように…
  そして、考えるようになったの、両親は何を運んでいたんだろう?って
  聞いても依頼人との秘密だって言って教えてくれなかった」

21: 2009/01/17(土) 23:18:56.14 ID:MeNmxxZ00
規制とかされないよね?大丈夫だよね?


男「そうか…、社長の両親がアスタリア神殿の第一発見者…」

女「お父さんに言われた通り、私は積荷を探すことにしたわ
  友に言ったら私も手伝う!って言ってくれた。
  …そして、私達は運び屋になった。
  運び屋なら色々な情報が入ってくるからね」

男「なるほどな…俺が入る前にそんな事があったのか…」

女「…話してたら眠くなっちゃった………zzz」

男「寝ちまったか…おやすみ、社長」

-3日目 朝-

友「おっはよーー!!!」

女「…んん、うるさい…」

男「朝っぱらから元気だな…」

友「えっへへー、熟睡しちゃってごめんねぇ
  私が運転するから男は寝ておきなよ!」

男「おう、頼んだ…徹夜で見張りはきつい…」

22: 2009/01/17(土) 23:22:46.97 ID:MeNmxxZ00
女「ふぁあ~…このペースで行けば日が落ちる頃にはマデュラに到着するわね」

友「だね!」

友「……見えてきたよ!!」

女「ふー、疲れたわね…早くシャワー浴びたいわ…」

友「うん、一緒にお風呂はいろ!」

女「ええ、もちろん」

24: 2009/01/17(土) 23:25:23.42 ID:MeNmxxZ00


……

………

-鉱山都市マデュラ 南門-
女「ここで待ってて」

男「了解」

警備兵「マデュラへようこそ。入国手続きはこちらです、どうぞ」

女「よろしく。…!(この匂い…)」



……

警「入国手続きは終了です。どうぞお入りください」

女「ありがとう」

25: 2009/01/17(土) 23:27:19.35 ID:MeNmxxZ00
支援ありがとう。頑張る。




……ガヤガヤ,ガヤガヤ

友「わぁ~賑やかだねぇ!」

男「あぁ、世界中から腕に自信のある職人が集まってくるからなぁ
  それに今は採掘シーズンだ、採れたてホヤホヤの鉱石を
  入手しようと職人達が張り切ってっからな」

友「へぇ~~!お祭りみたい!」

女「大公の屋敷は…この大通りを真っ直ぐ行った所ね」

友「早く渡してお祭り見にいこ!」

女「お風呂入るんじゃなかったの?それに、今日は日が暮れてるし
  早く荷物を送り届けなくちゃ…お祭りは明日にしましょ」

友「えー!そんなぁ…」

女「明日にしなさい」

友「はーい…」

28: 2009/01/17(土) 23:29:29.94 ID:MeNmxxZ00
門番「止まれ!何か用か?」

女「運び屋だ。積荷を届けにきた。これが紹介状だ」

門番「…話は聞いている、よく無事に届けてくれたな
   大公がお待ちだ。入れ」

女「ありがとう、2人共ここで待ってて」

友、男「了解!」

執事「こちらでお待ち下さい。まもなく大公様がお見えになられます」



……

大公「…待たせてすまないね、よく積荷を無事に運んでくれた…礼を言うぞ」

女「こちらこそ、夜分遅くに尋ねてしまい申し訳ございません。
  3日以内にお届けすると言った以上約束を破る訳には参りませんので」

大公「…良い良い、主らにまた依頼する事があるかもしれんがその時はよろしく頼むぞ」

女「今後ともよろしくお願い致します…では」

大公「ご苦労だった」

30: 2009/01/17(土) 23:31:19.95 ID:MeNmxxZ00
大公「あの女…どこかで見たような…執事、あやつらを監視しておけ
   それと、鍵の行方は掴めたか?」

執事「申し訳ございません…未だに行方は…」

大公「そうか…、下がれ」



……

女「さて、宿も確保出来たし…友!お風呂行くわよ!」

友「はーい!!3日ぶりのお風呂~♪」

男「俺は酒場でも行くかな」

女「男、お風呂入らないの?」

男「風呂より先に酒飲みたいんだよ、風呂は後で行くとするわ」

女「分かったわ、飲みすぎて倒れないようにしなさいよ?」

男「分かってるって!じゃ行ってくるぜ、社長!」

女「まったく…」

友「女ーー!早くいこー!」

女「はいはい、行きましょ!」

33: 2009/01/17(土) 23:34:28.26 ID:MeNmxxZ00
-酒場-

…ガヤガヤ

……ガヤガヤ

男「お、ここか!随分賑わってるな!」

店主「いらっしゃい!お、見ない顔だねぇ、旅人さんかい?」

男「いんや、運び屋だ。ビールくれ!」

店主「あいよ!運び屋さんかい!何運んできたんだ?」

男「悪いが依頼人との秘密なんでね、言えないんだ。すまんな」

店主「そりゃあ残念だ!そういやあ最近運び屋の数がめっきり増えたなぁ」

男「そうなのか?採掘シーズンだし珍しい事じゃないだろ?」

店主「いんやぁ、数ヶ月前から急に増えてきたんだよ!
   それに行き先はほとんど大公様のお屋敷だ!」

男「…大公の屋敷へ?ふむ…」


34: 2009/01/17(土) 23:36:02.45 ID:MeNmxxZ00
職人「店主よぉ!だから言ってるじゃねーか!ヒック
   戦争するつもりなんだよ、ウチの大公様はよぉ!」

男「戦争!?それホントか!?」

職人「ああ!工房じゃあ、もっぱらの噂だぜぇ!
   アスタリア神殿を乗っ取るってえ噂だ!」

男「アスタリア神殿を?あの神殿はアシュラム王国の所有物だぞ?
  それにマデュラの戦力では到底…(そうか!…それでドラゴンを…)」

男「……一応、社長に話すか」



……

………


-アシュラム王国-…女の両親が所属していた国。1000年以上の歴史を持ち
         アシュラム騎士団によって秩序が守られている。
         銃などが発達してきた現在でも剣、槍、盾を使った騎士団が
         主流となっているが、銃等の近代兵器を取り入れるべき
         との声が大きくなっており近代化に向け、技術革新が
         盛んに行われている。緑に囲まれた豊かな王国。

35: 2009/01/17(土) 23:37:45.33 ID:MeNmxxZ00
-風呂場-

女「…友あんたまたでかくなったんじゃないの?」

友「えぇ?変わんないよぉ」

女「嘘ね…この大きさは…えいっ!」

友「ひゃあ!どこ触ってるのぉ女~!」

女「いいじゃない、減るもんじゃないし…私にも分けてほしいわ…」

友「お、女ぁ~…揉まないで…あぅ、んんっ」

女「ほれほ~れ~」

友「こ、このぉ~、仕返しだ!」

女「ちょ、ちょっと!や、辞めてっ…はうっ…ん…」

友「うふふ~、人の胸で遊んだ罰だよぉ~」

女「…ぁぅ……ご、ごめんってば…ひゃ…」

男「………(こ、これは…素晴らしい!早く帰ってきて正解だったぜ!!)」

36: 2009/01/17(土) 23:39:56.75 ID:MeNmxxZ00
男「…(も、もうちょっとで……見える!!)」

ガタッ!

女「誰だ!!」

友「ひえ!?」

男「(やっべぇえええええ!!バレた!!どうする!そうだ!ネコの真似を…)
  ………にゃぁ~~ん」

女「…なんだ、ネコか……………とでも言うと思ったか?男…!」

男「お、思ってません…ハイ…」

女「うふふ、さてどうしてくれようか?覗き屋さん…」

男「ご、ご勘弁を…」

女「問答無用!!!!」

男「うぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!」

37: 2009/01/17(土) 23:42:16.58 ID:MeNmxxZ00
女「男、お前は減給だ」

男「そ、そんなぁぁぁぁぁぁ」

友「お風呂場覗いた罰だよ!」

男「と、友まで…ううぅ」



……

………
 
男「…社長、ちょっと良いか」

女「何だ?」

男「さっき酒場で聞いたんだが、大公が戦争するかもしれないって
  酔っ払いが話してたんだ」

女「戦争?どこと?」

男「アシュラム王国と」

女「はぁ?話にならないでしょう。数以前の問題よ、それ」

38: 2009/01/17(土) 23:44:23.68 ID:MeNmxxZ00
女「マデュラには略奪者が襲撃してきた時に備えての自警団があるのみ。
  アシュラム王国には騎士団がいる、それに近代兵器を取り入れてるって話だし」

男「それなら心配ないだろう、恐らく戦力の問題なら解決してるはずだ」

女「…!そうかドラゴンを使う気ね…」

男「ああ、しかも俺達が運んできた奴だけじゃないだろうよ
  運び屋が頻繁に大公の屋敷に入ってるらしい。ここ最近な」

女「でも、ドラゴンを制御できるなんて…そんな事出来るの?」

男「制御する方法を編み出したのかもな…じゃなきゃ
  戦争しかけるなんて馬鹿な事しねーさ」

女「…明日、情報収集もかねて色々見て回りましょう」

男「了解!」

友「お祭り見に行こうねぇ~!」

40: 2009/01/17(土) 23:48:42.32 ID:MeNmxxZ00
-翌日-

女「さて、じゃあ手分けして情報集めましょう!」

男「おれは大工房まで行ってみる。最新兵器を手に入れるチャンスだしな!」

友「じゃあ、私は広場の露店巡りしてくるねぇ!」


女「あんたたち…あくまで情報収集が目的よ?
  じゃあ、夕暮れに酒場で落ち合いましょ!」

女「あっと、忘れる所だった!2人共!給料よ!」

友「わぁーい!何買おっかなぁ♪」

男「…社長、あのちょっと少ないような…
  お願いします!お金貸してください!!」

女「はぁ…しょうがないわね…ほら!ちゃんと返しなさいよ?」

男「恩にきる!これで新しい武器買えるぜ!」

女「じゃあ、また後で会いましょう」



執事「バラけたか…、私は広場に向かった女を追う。お前達は残りの2人を追え。見逃すなよ」

部下「「了解」」

42: 2009/01/17(土) 23:50:35.43 ID:MeNmxxZ00
男「うおおおお!すげえええ!!」

男「最新のガトリング砲!グレネードランチャーまで!」

職人「そこの旦那ぁ!ここにある兵器は開発途中だ!
   欲しいんなら向こうの兵器ショップに行ってくれ!
   そこなら最新の兵器が置いてあるぜ!」

男「おぅ!邪魔して悪いな!ありがとよ!
  …向こうか、行ってみるか!」



男「邪魔するよぉ~♪」

店主「いらっしゃい!自由に見てってくれ!」



……

男「色々と良い物があるな…うーん、機関銃座はあるし、狙撃銃も持ってるしな…」

44: 2009/01/17(土) 23:53:29.37 ID:MeNmxxZ00


-続き-
店主「ダンナァ!これなんかどうだい?
   昨日完成したばかりの対戦車誘導兵器だ!」

男「おお!ミサイルか!」

店主「照準器の中心に目標を捕らえ続けることで
   自動的にミサイルが誘導され命中する仕組みだ!
   大型の魔物に襲われてもこれがあれば安心だぜ!」

男「買う!!後は、手榴弾と煙幕弾もくれ!あー後、弾薬も買うぜ!」

店主「まいどありぃ!」

男「ふっふっふ、早速頼れる相棒に取り付けるとするか!」

男「…っと忘れる所だった!聞き込みしながら宿に戻るか!」



……

45: 2009/01/17(土) 23:55:58.32 ID:MeNmxxZ00
-補足説明-

-大工房-…鉱山都市マデュラが誇る世界最大の工房。大半の職人達はここで腕を磨き、
     競い合い、兵器を開発している。主に開発するのは近代兵器。中でも
     銃器の開発、改良は頻繁に行われている。
開発が完了した兵器は工房内にある兵器ショップに売り出される。

-対戦車誘導兵器-…戦車または大型の魔物を攻撃するために用いられる兵器。
         しかし、ミサイルは飛翔速度が砲弾に比べて非常に遅い為に
         動きの素早い魔物には効果は望めない。
         最近では小型軽量化を目指し、日々改良が加えられている。

47: 2009/01/17(土) 23:57:21.89 ID:MeNmxxZ00
-広場-

友「わぁあ~~、人一杯だなぁ!」

友「あ!食料とか買っとかないとね!」

友「そういえば、あの四角形の宝石…女が鑑定屋さんに持って行くって言ってたなぁ
  後で見にいこっと!」

執事「…四角形の石?まさか、鍵の事か…?大公様に報告する必要があるな…」



……

友「綺麗なネックレス…ペアになってるんだぁ~
  女と私の分買っていこうかな…ふふ、喜んでくれるよね!」

露店商「そちらのネックレス買って行くかい?」

友「うん!買います♪」

露店商「ありがとう、またいらっしゃいね」

友「さて!情報収集開始!」


48: 2009/01/18(日) 00:00:29.01 ID:C7a1psVs0
女「鑑定屋はここね…」

鑑定屋「いらっしゃいませ!ご用件はなんでしょう?」

女「この石を鑑定してくれる?」

鑑定屋「ほう…、合成宝石ですな…現在の技術では創り出す事は不可能とされていますが…」

女「合成宝石…という事は古代人が創り出したって事ね」

鑑定屋「そうですな。古い文献に製造方法が載っていたのですが
    欠落が激しく残念ながら解明されておりません」

女「…その文字、読める?」

鑑定屋「…お待ちを。…ふむ、この文字は…アストリア神殿文字ですかな…
    仕事で何度か神殿に行った事がありましたから見覚えがあります…
    それに、資料もあります…申し訳ありませんが、お時間を頂けますかな?」

女「かまわないわ」

49: 2009/01/18(日) 00:02:14.01 ID:C7a1psVs0
-補足説明-

-天然宝石-…カットや研磨を除き、(模倣宝石に対して)人の手が加わっていない宝石。

-合成宝石-…天然宝石と同一の成分から科学的に作り出された宝石。
       天然宝石と化学成分・物理特性・内部構造が同じである。
       採算性の問題から、工業用宝石として使用されることが多い。
      
-処理宝石-…天然宝石に外観の改良、改変処理が加えられた物。
       天然宝石に含められることが多い。

-人造宝石-…天然宝石とは異なる物質を使用して作り出された、天然宝石様の宝石。

-アストリア神殿文字-…アストリア神殿内部、外部の壁などに書かれている文字。

50: 2009/01/18(日) 00:05:16.02 ID:C7a1psVs0
見てる人いるのかな○| ̄|_

友「戦争するかもって噂が広まってるなぁ…戦争の事しか話聞けなかったな」

友「…女や男がきっと凄い情報集めてるよね!ウン!鑑定屋いこっと!」



……

大公「なんだと!?昨日の運び屋が持っているだと!?」

執事「はい、独り言を呟いていたので耳を澄まし聞いたところ四角形の石、と…
   大公様がお探しになられている鍵ではないかと…、ご報告に。
   それと、監視の報告では女は鑑定屋にいるとの事です」

大公「現在では合成宝石を創り出す技術は無い…まさか運び屋が
   持っておったとはな…今すぐに奪ってまいれ!」

執事「かしこまりました」

大公「15年前、ドラゴンが暴走しなければ今頃は…いまいましい略奪者どもめ…まあよい!
   いよいよだ!もうすぐ…もうすぐ神殿の全てがわしの手に!…そして世界を!!」



……

51: 2009/01/18(日) 00:07:09.58 ID:C7a1psVs0
女「時間かかってるわね…」

友「女ーー!」

女「あら、買い物は良いの?」

友「うん!食料もバッチリ!あ、これ!女にプレゼント!」

女「…ネックレス?ってあんたねぇ、無駄遣いするなって言ってるでしょ?」

友「あぅ…お、女が喜ぶと思って…」

女「…冗談よ、綺麗ね…ありがとう、友」

友「…うん!私も同じの買ったの!お揃いだよ!」

女「ホントね…ふふ、なんだか恋人同士みたいね」

友「恋人?!…わ、私は女が良いなら恋人になってm」

鑑定屋「お待たせしました、解読が完了しましたが…おや、お邪魔でしたかな?」

女「かまわないわ、聞かせて?」

友「むぅ…」

53: 2009/01/18(日) 00:10:40.63 ID:C7a1psVs0


鑑定屋「ごほん!では…読みますぞ…
   『アストリア神殿中枢部-許可無く立ち入る事を禁ずる-
アストリア神殿制御室-許可無く立ち入る事を禁ずる-
    アストリア神殿動力炉-許可無く立ち入る事を禁ずる-
    アストリア神殿機械兵団管理庫-許可無く立ち入る事を禁ずる-
    以上を破った者には罰を与える』とありますな」

女「機械兵団…(マデュラ大公の狙いはそれ?…)」

鑑定屋「これは歴史的大発見ですぞ!これでアストリア神殿の調査は
    飛躍的に進むでしょう!」

女「…そうね」

執事「おやおや…聞いてはならない事を聞いてしまいましたな…」

友「きゃあ!」

女「!…あ、あなたはマデュラ大公の!……友を離しなさい!!」

執事「ふ、その石と交換ですよ運び屋。もうご存知でしょうが…
   その石は神殿の各部屋に行く為の鍵であり、罠を解除する鍵でもあるのですよ。
   大公様は15年前から今までその鍵を探していたのです」

女「15年前から…?まさか…」

55: 2009/01/18(日) 00:13:35.37 ID:C7a1psVs0
執事「最初は貴女にはまったく気付きませんでした…なんせ15年前の事でしたからね…
   しかし、よく見るとどことなく母親の面影がある…もうお気付きでしょう?
   15年前、貴女のご両親が運んでいた積荷の中身…それがその鍵なのですよ!」

女「…!」

執事「大公様はどうしても鍵が欲しかった…そこでまだ研究途中であった
   制御装置を取り付けたドラゴンに襲わせたのです」

女「そんな…!!そんな物の為に私の両親は…!!」

執事「…しかし、研究途中の制御装置ではドラゴンを完全な支配下に置く事は出来なかった…
   暴れ回るドラゴンをやっとの思いで仕留めた時には鍵は既に略奪者に奪われていました」

友、女「…」

執事「…さぁ、昔話はもう良いでしょう!鍵を置いて下がれ!」

女「…分かったわ。その代わり友を離して!」

執事「良いでしょう…鍵を拾いこちらまで持ってきなさい。
   変な真似はしないように…出来れば女性は撃ちたくないのでね…」

友「は、はい…」

-鍵を拾い執事に手渡した…-

執事「…ご苦労。下がりなさい!
   ふふふ、これで大公様の願いが叶う…」

62: 2009/01/18(日) 00:45:11.69 ID:C7a1psVs0
女「友!大丈夫!?」

友「だ、大丈夫…」

執事「さて…私はこれで失礼させていただきますが…
   貴女方は少々知りすぎてしまっている…お前達!」

部下「「はっ」」

執事「頃しておきなさい、鑑定屋もです。
   では、皆さんごきげんよう…」

鑑定屋「い、命だけはご勘弁をぉ!」

部下「悪く思うなよ」

女「こんなところで氏んでたまるもんですかっ!!」

-女は一気に手を振りかざし、握っていた煙幕弾を地面に叩きつけた-

-白煙が店内を覆う-

女「このぐらいのピンチで運び屋やってられるかぁ!!」

部下「くそ!」

女「ちょっと眠ってな!」

友「えいっ!」

63: 2009/01/18(日) 00:47:44.76 ID:C7a1psVs0
部下「うぐっ!」

女「逃げるわよ!鑑定屋!あんたも逃げた方がいいわ!」

鑑定屋「え、ええ!そうします!まだ氏にたくありませんから!」

友「で、でも鍵はどうするの!?取り返さないの!?
  やっと…やっと積荷の中身が見つかったのに!」

女「…私だってくやしいよ!!今すぐ取り返してやりたいよ!!」

友「!!…ご、ごめんなさい…」

女「…ごめん、つい…。今は逃げよう…武器も何もないから…」

友「…うん」



-その頃-

男「……かっこいいぜ、相棒…!対戦車誘導兵器を搭載したお前にもはや敵はないぞ!」

男「はーっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

65: 2009/01/18(日) 00:49:22.09 ID:C7a1psVs0
執事「お待たせしました、大公様…こちらがお探しになられていた鍵にございます」

大公「おぉ…ようやく…ようやくこの手に…!これでわしの願いが!!」

執事「……」

大公「執事よ!ドラゴンの準備は出来ておるな!?」

執事「…出来ております。ですが、女が運んできたドラゴンはまだ孵っておりませんが…」

大公「1匹いないところで変わりはせぬ!ただちにアストリア神殿へ向けて侵攻せよ!」

執事「…かしこまりました、神殿でお待ちしております」



……

女「男ーーーーーー!!!!!!」

男「おおう!??な、なんだ!?どうした!?」

女「いますぐバギーの発進準備!!!」

男「なんでだよ!?」

女「話は後でする!急げ!」

男「りょ、了解!!」

66: 2009/01/18(日) 00:53:14.73 ID:C7a1psVs0


警備兵「執事様より、運び屋を殺せとのご命令だ!見付け次第射殺せよ!」



……

警備兵「いたぞっ!大型バギーに乗ってる!門を閉じるよう伝えろ!」

男「おいおいおい!撃ってきたぞ!冗談じゃねーぞ!社長何したんだ!?」

女「今は逃げる事に集中しなさい!ここから一番近い門は!?」

友「えっと、西門だよ!!」

女「西門から脱出するわよ!」

男「後でちゃんと説明してくれよ!?」

女「つべこべ言わずに前見なさい!来てるわよ!」

男「うお!やっべぇ!戦車だ!!!」

女「撃ってくる!避けろぉ!!!」

男「こんのやろおおおおおおおお!!」

67: 2009/01/18(日) 00:55:54.73 ID:C7a1psVs0
-間一髪、戦車の砲撃をかわすバギー-

男「あっぶねぇ…!」

女「ボケっとすんな!装填してるうちに突っ切れ!!」

男「社長!運転代わってくれ!」

女「何するつもり!?」

男「ふっふー、新しい兵器を試すのさ!」

女「ちょっと!また武器買ったの!?今の武装で十分でしょ!」

男「まぁ、見てなって!!…照準合わせ良し!距離良し!対戦車誘導兵器!発射!」

-戦車に向かって凄いスピードでミサイルが飛んでいく…-

操縦士「ま、まずい!ミサイルだ!脱出しろ!」

砲撃手「ま、待ってくれ!!…うわあああああああああああああ!!」

-見事に命中し、戦車は大破した-

男「ヒューーー♪さっすが最新型♪」

女「す、凄い威力…」

友「う、うん…」

68: 2009/01/18(日) 00:58:06.83 ID:C7a1psVs0
女「今の内ね!男!後ろ任せたわよ!友!ナビお願い!」

男「任された!!」

友「うん!」



……

警備兵「急げ!門を閉じろ!」

女「まずい!門が閉まる!男!」

男「あいよぉ!!ミサイルぶっ放すぜぇ!」

警備兵「来たぞ!撃てぇ!!」

男「照準合わせ良し!距離良し!対戦車誘導兵器!発射!!」

警備兵「ま、まずい!!避けろぉぉ!!」

-爆音と共に破壊される門-

女「良くやった!減給はこれでチャラにしてやる!」

男「やりぃ!」

女「脱出するわよ!!」

69: 2009/01/18(日) 01:01:03.67 ID:C7a1psVs0


……

女「…ふう、逃げ切れたわね…」

男「一体何があったんだよ?」

女「ええ、一から説明するわ…」

友「…お、女!あれ…!」

女「何?…!あ、あれは…ドラゴン!」

男「おいおい…100匹は超えてるぞ!!」

女「あの方角…アストリア神殿に向かったわね…」

友「戦争が始まっちゃうの…?」

女「そうね…。…私がもっと早く鍵の事に気付いていればこんな事には…!」

友「仕方ないよ…、積荷の中身が何なのか私達何も知らなかったんだから…」

女「…とにかくドラグニールに戻りましょう」

70: 2009/01/18(日) 01:03:56.66 ID:C7a1psVs0


……

女「15年前…両親を襲ったドラゴンはマデュラ大公の差し金だった…
  奴は研究途中だった制御装置を使いドラゴンに襲わせたのよ…」

男「…」

女「そうだ…思い出したわ!私は一度あの顔を見ている!
  神殿が発見されてすぐに発掘準備に入ったんだけど、アシュラム王国には
  大規模な発掘する機材が無かった…そこでマデュラに機材を借りに行ったのよ…
  そこで、マデュラ大公を見た…。交渉は成立し、大量の機材を借りる事になったの…
  使用説明と発掘協力の為に執事と数人の職人が同行してきたわ」

友「だから母親の面影があるって…言ってたんだあの執事…」

女「そうね…そして、神殿の発掘が始まった。
  私は危険だって言われて内部には入れなかったけど…
  かなり悲惨な状況っていうのは理解出来たわ…入った人間が無事に出てくる、
  なんて事は無かった…そして内部の調査は断念し、外部の発掘を進めたのね」

女「外部の発掘が進んで、神殿を守るように4つの遺跡が顔を出した、その中の1つから
  財宝が発見されたらしいわ…それがあの鍵だったんでしょうね」

女「鍵を発見した人が両親にアシュラム王国まで運んで解読してくれって言ってきたの
  依頼された両親は快く引き受け、一度アシュラム王国に行く事になったわ」

71: 2009/01/18(日) 01:05:49.28 ID:C7a1psVs0
女「解読が終わるまでかなり時間かかってたわね…資料も何も無い状態だったし
  大勢の研究者達が寝る間を惜しんで解読に没頭していた…」

女「そしてアシュラム王国に滞在して約1ヶ月後に解読が完了した。
  私はその時、城下町で遊んでたから知らなかったけど…
  鑑定屋が言った通りの内容だったんでしょうね」

女「そして再び鍵をアストリア神殿に運んでいた最中に両親を…」

男「許せねぇな…マデュラ大公!」

友「…私が、私が鍵を買わなければこんな事には…」

女「ううん…気にする事はないわ、友。
  …遅かれ早かれマデュラ大公は鍵を見つけていたでしょう」

友「でも…わたしのせいで…」

女「……取られたら、取り返してやればいいのよ!」

友、男「!」

女「絶対に取り返してみせるわ!両親とお父さんの願い、想いを無駄にはしない!」

男「おう!一泡吹かせてやろうじゃあねーか!」

友「…うん!頑張ろう!!」

72: 2009/01/18(日) 01:08:18.65 ID:C7a1psVs0
大公「女達は逃がしてしまったか…まあよい、たった3人で何か出来る訳でもあるまい」

大公「それより、民衆は広場に集めたな?」

部下「はい、全ての民が集まっております」

大公「では、行こう」

…ガヤガヤ 何が始まるんだ?

…大公様の演説って聞いたけど…ガヤガヤ

…さっき飛んで行ったドラゴンと関係あるのか?

…さっき運び屋が大暴れした件じゃないのか?

大公「マデュラの民よ!わしから皆に伝える事がある!
   15年前!アストリア神殿が発見された事は皆知ってるだろう!
   その後アシュラム王国は15年にも及ぶ年月の調査をしたにも拘らず!
   未だに神殿の調査が終わってはいない!これはどういう事を意味するか!
   アシュラム王国は神殿の技術を独占しようとしておるのだ!
   そして神殿の技術を使い世界を我が物にしようとしておる!!」

…本当か?

…でも、罠だらけで内部に入れないって話じゃ?

大公「良いか!アシュラム王国は神殿の技術を使い我等を滅ぼすつもりなのだ!
   このまま黙ってやられるのを待つのか?!我が民よ!」

73: 2009/01/18(日) 01:09:42.60 ID:C7a1psVs0
…攻め込まれる前に攻め込むんだ!!

…そうだ!アシュラム王国に攻め込もう!

大公「そうだ!わしはアシュラム王国の野望を知り必ず打ち砕いてやると誓った!
   皆も見たであろう!先ほどのドラゴンの軍勢を!
   必ず彼等が神殿を汚している者どもを追い払ってくれるだろう!
   そして我等は神殿を守り!そこから我等の新しい歴史が開くのだ!!!
   民よ!わしに着いて来い!厳しい旅になるだろう!略奪者が襲ってくるやもしれん!
   だが!神の都が我等を待っておる!素晴らしい世界が待っておるだろう!」

…着いて行くぞぉ!

…私もお供します!

…俺もだ!

大公「すぐに旅の準備に入れ!出発は明日、明朝になる!
   共に新たな歴史を開こうではないか!!」

…オォォォ!!!

……マデュラ大公万歳!!

………万歳!万歳!

大公「これで良い…!アシュラム王国には悪いが我が帝国の為の礎となって貰おう…!」

75: 2009/01/18(日) 01:12:03.61 ID:C7a1psVs0
女「さて…まさかこんな形でマデュラを後にするとは思ってなかったから
  ドラゴンの香水買ってないけど、どうしましょうか」

男「さて、どうしましょう友さん?」

友「うーん、どうしましょう男さん?」

女「…はぁ。とりあえず、周囲を警戒しながら進むしかないわね…地図見せて」

友「西門から出てきちゃったから、直接大峡谷には行けないよぉ…?」

女「そうね…うーんウェルム高原を南下して…大峡谷に向かいましょう」

男「ウェルム高原か…確かにそれが一番近道だな…ミサイルもあるし、
  巨人族に遭遇しても大丈夫だろ」

女「…彼等は縄張りを侵した者達を決して許さない…見つかれば執拗に追ってくるわ
  見つからないように慎重に行かなくちゃ…」

男「わーってるよ!」

76: 2009/01/18(日) 01:16:48.85 ID:C7a1psVs0
-一方その頃、ドラゴンに乗りアストリア神殿に向かった執事達-

執事「見えたな!お前達!一気に急降下して蹴散らすぞ!」

-ドラゴンの軍勢が一気に上空へと羽ばたき、そして神殿に向け急降下した-

騎士「お、おい!あれは!ド、ドラゴンだ!ドラゴンの襲撃だぞー!」

執事「散開して個別に焼き払えっ!!」

騎士「射手部隊!構えろ!!ギリギリまで引き付けろ!近付いてきた所を狙うんだ!
   ……今だ!!放てええ!!!!」

-射手部隊の無数の矢がドラゴンを捉える-

部下「くそ!お、落ちる!うわあああ!!」

執事「ふん、無駄なあがきを…!炎の雨を降らせてやれ!」

騎士「くそ、上空に…!今の内に退避しろ!!」

執事「逃がしはせん…!さあ、ドラゴンよ!お前の力を見せてみろ!」

執事「焼き払え!!」

-執事の命令と共にドラゴンが炎の雨を降らす-

騎士「うわああああああああ!!」

77: 2009/01/18(日) 01:18:47.21 ID:C7a1psVs0
-神殿を守っていた騎士達は炭となって風の中に消えていった…-

執事「ふ…これがドラゴンの力か…!素晴らしい!!」

部下「執事様!生き残りはいないようです」

執事「念の為周辺を捜索しておけ、今アシュラム王国に知られるのは少しばかり面倒だ」

部下「はっ!」

執事「さて、後は…大公様のご到着を待つばかり、か…」



……

………

騎士「隊長…皆!…王に報告しなければ!」

-タッタッタッタ…-

78: 2009/01/18(日) 01:21:38.19 ID:C7a1psVs0
-一方その頃…鉱山都市マデュラから脱出した女達-
-巨人族に見つからないように慎重にウェルム高原を南下していた…-

友「異常なーし!」

女「ご苦労様、何度か巨人の姿が見えたけど…今の所見つかってないわね」

男「見つかってたら必氏こいて逃げてるところだよ」

友「ふふ、そうだね!」

女「…今頃ドラゴン達が神殿を制圧してる所かしら」

男「おいおい、マデュラから神殿まで1週間はかかる距離だぞ?いくらドラゴンでも…」

女「ドラゴンを侮っちゃあダメよ、彼等が全速力で行けば半日で神殿に着くわ」

友「そんなに速いんだ…ドラゴンって」

女「そうね…大公がドラゴンと機械兵団の力を使えば
  あっという間に世界制服出来るんじゃないかしら…
  最もそれが狙いだと思うけど…」



……

-そして、1週間後-

80: 2009/01/18(日) 01:24:55.86 ID:C7a1psVs0
執事「お待ちしておりました、大公様。長旅でお疲れでしょう…少し休まれては?」

大公「そうはいってられん、すぐに神殿を起動させる!」

執事「…しかし、民も長旅で疲れております、ここは少し休息にした方が…」

大公「くどいぞ!!執事よ、今日の為に何年待ったと思っておる?」

執事「…かしこまりました」

大公「中枢部に行く前に罠を解除しに行くぞ」

執事「かしこまりました、こちらです」



……

大公「これだな…」

-鍵を台座の四角形の窪みにはめ込む-

…キーノソウニュウヲカクニン…トラップカイジョシマス。

…………

…トラップノカイジョヲカンリョウシマシタ。

大公「良し…!神殿中枢部に向かうぞ!」

82: 2009/01/18(日) 01:28:17.14 ID:C7a1psVs0
大公「素晴らしい!!!ここが中枢部か!これで神殿の全てはわしの物…!」

大公「この台座に鍵を差し込めば神殿が起動する!フフフフハハハハハ!!」

執事「…残念ながら、神殿は大公様の物にはなりませんよ」

大公「…?何を言っておる?バカな事を申すn」

ードシュ!!ー

大公「!!…キ、キサマ…!!なんのつもり…だ」

執事「くくく、茶番はここまでですよ、大公よ…
   無能な貴方には有能な執事にしか見えなかったでしょうな…
   ふふふ、年老いた貴方に神聖アストリア帝国の皇帝は務まらない…!」

大公「キ…サマ…最初から…!!ぐふっ!」

執事「おやおや、苦しそうだ…もうすぐ楽にしてあげますよ…
   …そうそう、貴方を暗頃した犯人は神殿を守っていた騎士という事にしておきます
   生き残った騎士が仲間の仇を取るために我々の後をつけていた…
   ふふ、良いシナリオでしょう?」

大公「…ぐ…許さ…ん………」

ードサッ!ー

83: 2009/01/18(日) 01:32:57.83 ID:C7a1psVs0
執事「氏んだか…もう少し楽しみたかったが…
   大公よ、貴方には帝国のための礎となって頂く…」

-鍵を拾い台座に差し込む執事…-

…キーノソウニュウヲカクニン……エネルギージュウデンカイシ

……アストリアシンデン、フジョウシマス

執事「さあ!私の時代が幕を開く!!ハーーッハッハッハッハッハッハ!!!!」

…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

84: 2009/01/18(日) 01:35:37.13 ID:C7a1psVs0
-突然の地響きと共に民達が慌てふためく…-

…ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

…な、なんだ!?地震か!?

…うわあぁあ!!

-ゆっくり…ゆっくりと地面に埋まっていた神殿の全てが顔を出し…-

         -空高くに浮上した-

執事「素晴らしい!これが神聖アストリア帝国の浮遊都市!!
   かつて世界の全てを支配していた帝国の復活だ!!」

…う、浮いてる…!!

…マジかよ!

…これが、神の都…!!

執事「民達よ!!聞けぇ!!」

…ザワザワザワ

…この声、執事様か?

…大公様は?出て来ないのか?

88: 2009/01/18(日) 02:00:36.53 ID:C7a1psVs0
執事「大公様は卑劣にも神殿を守っていたアシュラム王国の生き残りに暗殺された!!」

…そんな!?

…卑怯なアシュラム王国め!!

…大公様の仇を討つんだ!!

執事「そうだ!大公様は神殿まで我々を導いてくれた偉大なお方だ!
   アシュラム王国を決して許してはならない!!」

…アシュラムを滅ぼせぇ!!

…そうだ!

執事「私は今ここに!!神聖アストリア帝国の復活を宣言する!!!
   我が帝国に敵は無い!!再び過去の栄光をこの手に取り戻すのだ!!!」

…オオオオオオオオオ!!!!!

…アストリア帝国!万歳!万歳!

…万歳!万歳!万歳!万歳!万歳!万歳!



……

                   第1章   完

89: 2009/01/18(日) 02:02:11.05 ID:C7a1psVs0
連投規制されてた○| ̄|_
訂正→アストリアじゃなくてアスタリアです、ごめんなさい

今回はここまでで終わりです。

90: 2009/01/18(日) 02:04:44.32 ID:C7a1psVs0
また続き書けたら投稿したいと思いますーではでは(・∀・)/~~

92: 2009/01/18(日) 02:09:06.46 ID:kj+dEo/D0
これに前作品があるかどうかで読むかどうか決める

93: 2009/01/18(日) 02:11:13.90 ID:C7a1psVs0
>>92
ないよ。ちなみに初めて書いた。

103: 2009/01/18(日) 03:29:46.38 ID:kqKJHJuyO
追い付いた…と思ったら終わってたw

2章も楽しみにしとく

引用: 女「…ようこそ、運び屋へ」