1: 2008/10/18(土) 23:21:21.66 ID:a0NZ0rez0

私は柊家四女の柊つかさ。

三女のかがみは双子のお姉ちゃんで、一緒の学校へ通っている。

一緒の学校に通うくらいだから、もちろん仲は良い。

だけど、どれだけ仲が良くても、所詮姉妹…。

それ以上でもそれ以下でもない。

私は…、本当の意味でお姉ちゃんが好き。

でも、それっていけない事だよね。

私はどうしたらいいんだろう…。


3: 2008/10/18(土) 23:24:43.97 ID:a0NZ0rez0
こなた「おはよー!つかさ、かがみっ」

いつもの待ち合わせ場所でこなちゃんと合流する。

…お姉ちゃんと二人きりの時間はここまで。

かがみ「おーす」

つかさ「おはよー、こなちゃん」

こなた「…かがみ…?」

かがみ「ん、何よ…?」

こなたは目を細くしてかがみを見渡し、ニヤっとした笑みを浮かべるのだった。

6: 2008/10/18(土) 23:31:36.11 ID:a0NZ0rez0
こなた「…やっぱり、ちょっと太ったでしょ!」

かがみ「…!?わ、分からないと思ったのにぃ…!」

こなた「私の目はごまかせないのだよ、はっはっはっ」

つかさ「お姉ちゃん、ここ最近お菓子よく食べてたもんねー」

かがみ「うぅ…、分かっちゃいるのに…っ!手が止まらないのよぉ!」

こなちゃんはよくお姉ちゃんのこと観察してるなぁ…。
私なんか全然気付かなかったよ。
気付いても言わなかったと思うけど…。

こなた「まーまーっ、太っててもかがみはかわいいから平気だよっ」

こなたはそう言うと、かがみに抱きつき、お腹の辺りをむにむにとする。

かがみ「だぁー!太ってるって言うな!抱きついてお腹を揉むなぁぁー!」

こなた「うひゃぁ、かがみ様ご乱心…!恐ろしやー」

かがみ「ったく…。まぁ、これからは食べるのを控えなきゃね…。あ、電車着たわよ」

7: 2008/10/18(土) 23:36:17.61 ID:a0NZ0rez0
こなちゃんは積極的だよなぁ…。
私もお姉ちゃんに抱きついたり、じゃれ合ったりしてみたいよ。
…私とお姉ちゃんが他人だったらなぁ…。

こなた「つかさー!?おぉーい!」

つかさ「へ…っ?」

かがみ「ちょっ…早く乗りなさいよ!」

つかさ「あっ…、待っ…!」

プシュー

閉まる電車のドア。動き出す電車。

窓に引っ付いて「つかさぁー!」と言ってそうなこなた。

「やれやれ」と言った感じでため息をついているかがみ。

勢い余ってホームの下に落ちそうになる、一人残されたつかさ…。

8: 2008/10/18(土) 23:42:34.39 ID:a0NZ0rez0
はうぅ…、ボーっとしちゃってた…。
そういえば頭がさっきから少し痛いかも…。
クラクラするし…、もしかして風邪かな…。

ブーッ、ブーッ

つかさ「電話…。あ、お姉ちゃんだ」

つかさはポケットから携帯を取り出し、電話に出る。

かがみ「ちょっとつかさぁ!どこまで…ドジなのよ!」

つかさ「あ…ははっ。…何か、頭が痛くてボーっとしちゃってた…。ゴホッ!ゴホッ…」

かがみ「頭痛に咳って…、それ風邪じゃないの!?平気なの?」

つかさ「う…ん、どうだろう。…ちょっとダメかも」

かがみ「…そっか。家まで一人で帰れるわよね?学校のほうには私とこなたで伝えておくから、家で安静にしてなさい」

つかさ「分かった…。ごめんね、お姉ちゃん」

かがみ「何で謝るのよ。私こそつかさが大変なのに気付いてあげられなくてごめんね。―――うん、じゃあまた後でね」

かがみは電話を切る。

9: 2008/10/18(土) 23:45:00.97 ID:a0NZ0rez0
こなた「つかさ、風邪?」

かがみ「そうみたい。学校に着いたら黒井先生に言いましょ」

こなた「そだねー。放課後お見舞いに行くよ」

かがみ「うん、ありがとう。私も何かお菓子買っていってあげなきゃ」

こなた「自分で食べちゃだめだよ?」

かがみ「食べないっつの!」

二人はいつもの調子に戻るのだった。

12: 2008/10/18(土) 23:49:02.96 ID:a0NZ0rez0
つかさ「あ、席空いてた…。……ふぅ」

帰路に着くつかさ。

今来た道を仕方なく戻るのだった。

…お姉ちゃん、私のこと心配してくれてた。…嬉しいなぁ。
それにしても何で風邪だって家で気付かなかったんだろう…。
私って本当にドジ…。

そんなことを考えながらも、つかさは無事自宅へと着いたのだった。

つかさ「んしょ…。はぁ、はぁ…」

制服からパジャマに着替え終えるつかさ。

容態は結構悪そうで、経っているのも辛そう見える。

つかさがベッドに潜り込むと、母のみきが心配そうな顔をしてつかさの部屋に入ってくる。

13: 2008/10/18(土) 23:52:56.79 ID:a0NZ0rez0
みき「つかさ…、平気?はい、体温計」

みきはつかさに体温計を手渡す。

つかさ「ありがと、お母さん」

みき「何かあったらいいなさいね?」

つかさは体温計を脇に挟む。

つかさ「うん、分かった」

みきは一階へと降りてゆく。

つかさは天井を見て、体温計が鳴るのを待つ。

―――ピピピッ、ピピピッ

つかさ「ん…。ふぅ…、38,2℃か…。安静にしてないとなぁ…」

つかさは体温計を箱にしまい、枕元に置く。

そしてつかさは目を閉じ、睡眠をとるのだった。

16: 2008/10/18(土) 23:57:19.73 ID:a0NZ0rez0
???「―――だねっ」

声が聞こえる…。誰だろう?

眠りから覚めたつかさの意識は徐々にはっきりとしていく。

???「かがみと同じでつかさの寝顔もかわいいねっ」

この声はこなちゃん?…お姉ちゃんの声も聞こえる。
二人がいるって事は…、もう夕方なんだ。

つかさは目を開いて、起き上がる。

かがみ「あ、起きたわね。体調は平気?」

つかさ「う…ん、朝よりはラクになったよ」

こなた「おはよー、つかさっ。そだ、お見舞いで色々なマンガ持って来たよぉー!」

そう言うとこなたはカバンから様々なマンガを取り出し、つかさの机に置く。

17: 2008/10/19(日) 00:02:30.71 ID:tXGt61Oq0
つかさ「ありがと、こなちゃん」

かがみ「私はお菓子とか買ってきたわよー」

つかさ「お姉ちゃんも、わざわざありがとー」

かがみ「ううん。そうだ、風邪薬飲んだ?」

つかさ「…あ、そう言えば飲んでないや」

かがみ「そう、ちょっと持ってくるわね」

かがみは一階へと薬を取りに行った。

こなた「つかさつかさーっ」

つかさ「ん、何?こなちゃん」

こなたは先ほど取り出したマンガの一冊を取り出し、つかさに見せる。

こなた「これ!オススメだよ!」

つかさ「…どんなお話?」

こなた「んとね…。禁断の恋愛!兄妹モノだよ!」

18: 2008/10/19(日) 00:08:20.28 ID:tXGt61Oq0
つかさ「きんしん…そーかん?」

こなた「うむっ、兄が妹に恋しちゃう、いけない話なんだー…いてっ」

かがみ「お前は妹に何を教えてるんだっ!」

薬を取って戻ってきたかがみがこなたを小突く。

こなた「マンガの説明してただけだよぅ。かがみも読む?」

かがみ「いや、いい。…ほら、薬と水よ、飲みなさい」

つかさ「うん、ありがとう。お姉ちゃん」

つかさはかがみから薬と水を受け取り、薬を口の中に放り、水を一気に飲み干す。

つかさ「ぷはぁっ…」

薬を飲み終えたつかさは再び横になる。

かがみ「じゃあ、私とこなたは部屋に戻るから、何かあったら呼んでね?」

つかさ「うん、分かった」

こなた「つかさ、早く元気になってね♪」

つかさ「ありがとー。頑張るねっ」

二人は部屋から立ち去る。

19: 2008/10/19(日) 00:14:21.42 ID:tXGt61Oq0
…ふぅ。
二人とも、ありがとう。
こなちゃんとお姉ちゃんの声を聞いて、少し元気が出たよ。
……汗で服がベタベタだ…。

つかさはベッドから降り、他の服に着替える。

時々、かがみの部屋から笑い声が聞こえる。

つかさは机に置いてあるマンガが目に入った。

つかさ「きんしん…そうかんだっけ。禁断の恋愛…。これだ」

こなたに勧められたマンガを手に取り、ベッドへと戻った。

―――えぇっ!兄妹なのに…こんなことしちゃっていいの…?
…ひゃあ…、こんなことしちゃ…っ。

つかさはしばらくしてマンガを読み終える。

つかさ「これが…こういう世界も…あるんだ…」

見たことも無い世界を目の当たりにしたつかさは、すっかりとはまってしまい、二巻、三巻とマンガを読み進めていった。

20: 2008/10/19(日) 00:18:44.55 ID:tXGt61Oq0
こなた「つかさーっ、私帰るねー。…お、早速読んでるねっ!どう、楽しいでしょ?」

つかさ「うん、これすっごく楽しいね!」

こなた「でしょでしょ♪じゃ、またねつかさー」

つかさ「うん、じゃねー」

かがみはこなたを見送りに行く。

つかさはその後もマンガを読み続けるのだった。

21: 2008/10/19(日) 00:23:01.75 ID:tXGt61Oq0
その後、つかさは安静にしていたので、次の日の朝には体調も良くなった。

かがみ「つかさ、おはよう。どう、調子は?」

つかさ「さっき体温測ったら平熱だったよっ。気分もすっきりしてるし、学校行けそうだよ」

かがみ「うん、良かった。じゃあ早く用意しなさいよー」

つかさ「はぁい」

しばらくしてつかさ達は学校へと着く。

つかさ「ゆきちゃん、おはよーっ」

みゆき「あ、つかささん。おはようございます。風邪は平気ですか?」

つかさ「うん。一日で治っちゃった!」

みゆき「それは良かったです」

つかさは席へ着く。

そして、何事も無く授業は進み、そして昼食。

22: 2008/10/19(日) 00:28:16.97 ID:tXGt61Oq0
かがみ「おっす」

こなた「やほ、かがみ。食べよー」

いつも通り、三人は昼食を取る。

こなた「―――でさー。その二人が百合だったんだよーっ」

かがみ「百合って…そんな大声で言うなよ。ホント、こなたの将来が心配だわ」

こなた「えー、いいじゃん、百合。ねぇ?かがみん?」

こなたはかがみの手を握る。

かがみ「良くないだろ!」

つかさ「百合って…、お花の話?」

こなた「いや、違うよ」

つかさ「じゃあ、何?」

こなた「むふふ、知りたい?」

こなたが不敵な笑みでつかさを見る。

25: 2008/10/19(日) 00:33:17.95 ID:tXGt61Oq0
つかさ「…う、うんっ、知りたい」

こなた「じゃあかがみ、説明したげてー」

かがみ「はぁ?何で私なのよ…」

つかさキラキラとしたつぶらな瞳でかがみを見る。

かがみ(うっ…、何にも知らない綺麗な瞳…。いいのかなぁ…)

かがみ「う、…っと、その……」

つかさ「教えて?お姉ちゃんっ」

かがみ「…女同士が…、愛し合う…事、よ」

段々と声が小さくなっていったが、かがみは百合の説明をつかさにした。

つかさ「そうなんだ。ありがと、お姉ちゃん」

……女同士がそんなことをする世界もあるんだ…。
―――兄妹同士で愛し合う、女同士で愛し合う百合…。
この二つがあるなら…姉妹同士で愛し合っても…いいのかな?
……いいよね、妹が姉を好きでも。

26: 2008/10/19(日) 00:38:26.70 ID:tXGt61Oq0
でも、私がお姉ちゃんのこと好きなんて言ったら…、どう思うんだろう…。
普通だったら、おかしいと思うよね…。

こなた「つかさー、授業始まるよっ」

つかさ「…あ、うん」

つかさは席へと戻る。

…お姉ちゃんとこなちゃんは凄く仲が良い。
こなちゃんはお姉ちゃんのことが好きなのかな…。
もしそうだったら…。後で聞いてみようかな。

ななこ「おーいっ!柊ー、平気かー?」

つかさ「はっ…!ね、寝てませんよ……!?」

つかさの発言にクラスが爆笑する。

ななこ「おいおい…。目開けながら寝てたのかぁ?まだ風邪が引いてないんとちゃうか?」

つかさ「はぅぅ…、ちょっと頭…痛いです」

28: 2008/10/19(日) 00:43:41.78 ID:tXGt61Oq0
ななこ「そか。誰か柊を保健室に連れてってやれー」

こなた「はいっ!私が行きますー。べ、別にサボりたいとかそういうんじゃないですよ!?」

ななこ「まだ何も言ってないわ…。まぁいい、連れてってやれー」

こなた「はーい。つかさ、行こ」

こなたはつかさを引き連れて教室を出る。

つかさ「はぁっ…はぁ…。風邪がぶり返しちゃったかも…」

こなた「そうかもねー。平気?」

つかさ「……うん」

そうだ…、今こなちゃんと二人っきりだし…、あのこと聞いてみよう…。

つかさ「…こなちゃん」

こなた「ん?どしたの?」

つかさ「…こなちゃんは…その…、お姉ちゃんのこと、好き?」

こなた「それはどういう意味で?もしかして百合的な意味で?」

つかさ「う、うん」

29: 2008/10/19(日) 00:48:25.59 ID:tXGt61Oq0
保健室に着く。

こなた「失礼しまーす、病人ですよー!」

ふゆき「あら、あなたは…小早川さんの…。元気そうに見えますよ?」

こなた「いやいや、私でなく、こっちのつかさっ」

ふゆきはつかさをベッドへと案内する。

ふゆき「泉さんはどうします?…休んじゃいますか?」

こなた「んー、じゃあちょっと!」

ふゆき「はい。暴れないで静かにしていてくださいね」

こなたはつかさが寝ているベッドへ向かう。

こなた「つかさっ」

こなたは小声でつかさに話しかける。

こなた「私、かがみの事…好きだよ。と言っても告白とかそういうのは勿論しないけどねー」

つかさ「……そうなんだ」

31: 2008/10/19(日) 00:59:08.75 ID:tXGt61Oq0
やっぱりこなちゃんはお姉ちゃんのこと好きなんだ…。
…と言うことは、私のライバル…。

つかさ「こなちゃん…いや、こなたのクセに…!」

つかさは誰にも聞こえないように、そう言った。

恋のライバルはあだ名で呼ばない、そういった感じだった。

こなた「ん?何か言った?」

つかさ「ううん、別に」

こなた「あ、私そろそろ戻るねー。先生に怒られそうだしっ!……あと、さっきのはあんまり気にしないでね?自分でも変だなーって思ってるし…。あーあ、いい出会いとかどこかに転がってないかねぇ…。じゃ、つかさまたね!後でかがみと来るよー」

つかさ「……………」

こなたをライバルと決め込んだつかさは、こなたの言っていたことなど最早耳には入らずに、布団に潜り込んでいた。

……うぅ、苦しいよぅ。
お姉ちゃん……ぐすっ。

つかさは泣きながら、眠りに着いた。

33: 2008/10/19(日) 01:03:30.89 ID:tXGt61Oq0
―――チャイムの鳴る音が聞こえる。
授業の終わりの合図?それとも始まりの合図?…分からない。
誰かが近づいてくる音がする。
…枕元が少し湿っている。
私…、泣いてたんだ。

カーテンが開く。

ふゆき「柊さん、平気ですか?」

つかさ「……はい…」

ふゆきはつかさの目元を見て、泣いていたことに気付く。

ふゆき「……さっき、泉さんやお姉さんが様子を見に来てましたが、呼んでも起きないので戻っていきましたよ」

つかさ「…じゃあもう…、授業が…」

ふゆき「はい。…体温、測ります?」

答えを待たずに、ふゆきはポケットから体温計を取り出し、つかさに手渡す。

体温計を受け取ったつかさは体温を測る。

34: 2008/10/19(日) 01:10:00.88 ID:tXGt61Oq0
ふゆき「…何か、悩みでもあるのですか?」

つかさ「………」

ふゆき「私でよければ、聞きますよ」

つかさは俯く。

ふゆき「…まぁ、無理にとは言いません。泣いた跡があったのが少し気になったので…」

少しの沈黙の後、つかさは口を開く。

つかさ「………普通とは違う悩み…なんです。…人には言えないような」

ふゆき「うふふ、私にだって人に言えない悩み、ありますよ?……それを聞いても私はどうにも出来ないかもしれませんが、話すだけで多少はラクになると思いますよ」

つかさ「……私、好きな人がいるんです」

ふゆきは話の続きを静かに待つ。

36: 2008/10/19(日) 01:15:53.22 ID:tXGt61Oq0
つかさ「…その人は…お姉ちゃんで…、どうしていいか分からなくて…」

ふゆき「そうなんですか…」

体温計が鳴る。

ふゆき「―――平熱ですね。さっきゆっくり寝ていたので治ったんでしょう」

ふゆきは続ける。

ふゆき「…それで、柊さんはどうしたいんです?」

つかさ「……変だとは分かっていても…、一緒になりたい、です」

ふゆき「そうですか…」

はうぅ…。
絶対、天原先生におかしい人だって思われたよね…。

つかさは再び俯く。

と、そこへひかるが保健室に入り込んでくる。

38: 2008/10/19(日) 01:18:49.73 ID:tXGt61Oq0
ひかる「ふゆきーっ!サボ……体調が悪い、休ませろー」

ふゆき「あ、桜庭先生。サボりはダメですよ。…それと、学校では――」

ひかる「ん、柊の妹がいるじゃん。どうしたんだー?」

つかさ「えっと…、体調が悪くて…」

ひかる「そか。じゃあ私もおやすみっ!」

ふゆき「桜庭先生~…。もうっ」

ふゆきはあきれた様な顔をした後、再びつかさの方を向く。

39: 2008/10/19(日) 01:24:31.84 ID:tXGt61Oq0
ふゆき「…柊さん。その…外国ではそういうのが普通の所もあるんですよ?」

つかさ「そ、そうなんですか…」

ふゆきはにっこりと微笑む。

ふゆき「柊さん、どうするかは柊さんに任せますよ。私は何も出来ないですし…」

つかさ「は、はいっ…。私…頑張ります。変な話なのに…聞いてくれてありがとうございました…」

ふゆき「いえいえ。あ、もう6限目終わりますね」

ふゆきがそう言うと、丁度授業終了のチャイムが鳴る。

鳴り終わって、しばらくした後にかがみが来る。

かがみ「お、起きてるわね…、って桜庭先生…。いないと思ったらこんな所にいたんですか…」

ひかる「おー、柊、どうしたぁー?」

かがみ「どうした…って、帰りのホームルーム来なかったじゃないですかっ!皆帰っちゃいましたよ?」

ひかる「あー。すまんな、忘れてたわ」

かがみ「…天原先生、よく注意して置いてください…」

ふゆき「はい、分かりました。それより妹さんがお待ちですよ?」

40: 2008/10/19(日) 01:27:48.31 ID:tXGt61Oq0
かがみ「あ、はい。…つかさ、平気?」

つかさ「うん。……B組はまだホームルーム?」

かがみ「もうすぐ終わると思うけど、こなたとかは?」

つかさはこなたと言う言葉に過剰に反応する。

つかさ「こな…た。……いいよ、帰ろう」

立ち上がるつかさ。

かがみ「…カバンとかは?」

つかさ「もう持ってるよ。お姉ちゃん、帰ろう」

つかさはかがみの手を引く。

かがみ「ちょっ…、つかさぁー!」

ふゆき「お大事に、柊さん」

柊姉妹は保健室を後にする。

42: 2008/10/19(日) 01:39:23.15 ID:tXGt61Oq0
ひかる「……いいのか?あんなこと言って」

ひかるがベッドから起き上がる。

ふゆき「…何がでしょう?」

ひかる「姉妹同士とか、女同士とかだよ」

ふゆき「どうなんでしょうね。…人の生き方はそれぞれですからねぇ」

ひかる「ふん。人それぞれか…。じゃあ、ふゆき…」

ふゆき「結婚してくれーっ、は異性に言いましょね」

ひかる「っけ。まぁいいんだけどさ…」

43: 2008/10/19(日) 01:43:31.78 ID:tXGt61Oq0
―――昇降口に向かうつかさと、引き摺られるかがみ。

かがみ「ねぇ、つかさ…。どうしたのよ?」

つかさ「………っ」

かがみ「分かったわよ。逃げないから離して」

つかさは手を離し、立ち止まる。

静まり返る廊下。

遠くからは生徒達の騒がしい声が聞こえてくる。

つかさ「…お姉ちゃん…」

44: 2008/10/19(日) 01:47:59.79 ID:tXGt61Oq0
かがみ「ん?」

つかさ「うぅ…っ。お姉ちゃぁん…」

つかさはかがみに抱き付く。

かがみ「つかさ…」

つかさ「ぐすっ…。お姉ちゃん…」

かがみ「どうしたのよ…。んっ…!」

つかさはかがみの目を見ると、目を瞑り、かがみに口付けをする。

かがみ「んんぅ…!ぷはっ…。つ、つか…さ?」

つかさ「…ごめんなさい、お姉ちゃん…」

つかさはかがみから離れ、申し訳なさそうな顔をして、後ずさりをする。

かがみは何が起きたのか分からず、目を見開いている。

つかさ「…お姉ちゃん…。大好きっ!」

そう言うとつかさは昇降口へと走り出す。

かがみ「…っ!つ、つかさ…!」

かがみがつかさを呼び止めるが、つかさはそのまま去ってしまった。

47: 2008/10/19(日) 01:53:37.46 ID:tXGt61Oq0
…っはぁ、はぁ…。
や、やっちゃった…。
お姉ちゃんに…キスしちゃったよ…。
どうしよう…、絶対おかしく思われてる…。
……もう家に…居れない…!

つかさ「はぁっ…はぁっ…。え、駅…だ」

…お姉ちゃんが帰ってくる前に、一旦家に帰って…しばらく……、家を出よう。

つかさは駅のホームのベンチに座る。

つかさ「ぐすっ…。うぅ…、えぅっ…」

つかさは、また泣いていた。

どうしてだろう、涙が止まらないよ……。

49: 2008/10/19(日) 01:59:46.51 ID:tXGt61Oq0
泣きじゃくるつかさ。

涙を制服の袖で拭いていると、目の前からハンカチが差し出される。

つかさ「ぐしゅっ…お、お姉ちゃ…?」

かがみ「ほら、少しは人の目くらい気にしなさいよ…」

とりあえずハンカチを受け取り、涙と鼻水を拭くつかさ。

つかさ「……どうして…、追いかけてきたの?」

素朴な疑問にかがみは悩む。

かがみ「うーん…。まぁ…その、あんな事されたら、追いかけるわよ」

つかさ「…お姉ちゃんは怒ってないの?…私を変だとは思わないの…?だって…私…」

かがみはしゃがみ込み、つかさと目線を合わせる。

かがみ「…バカねぇ、つかさは。私がこんなことで怒るわけないでし。…そりゃあ私もびっくりしたけどさ…。つかさは…本気なのよね?あんなことするくらいだし。………つかさが本気なら、私も本気で考えてみるわよ?」

姉の言葉にまた泣きそうになるつかさ。

51: 2008/10/19(日) 02:08:45.30 ID:tXGt61Oq0
かがみ「ほら…、泣かないの」

かがみはつかさの頭を撫でて、立ち上がる。

…ありがとう、お姉ちゃん。
こんな妹に本気で向き合ってくれて…、それだけでも嬉しいよ…。
どんな結果が返ってきても…、受け入れよう。

かがみ「電車、来たわよ」

二人は電車に乗り込む。

扉が閉まり、電車が動き出した…その直後。

かがみ「あ、電話だ…」

電話に出たかがみは、小声で喋る。

かがみ「もしもしこなた?うん、今電車。…ちょっと急用が出来たから先に出ちゃった。……つかさも一緒よ。うん、平気。うん、じゃあね」

……こなたの事を忘れてた。
こなたもお姉ちゃんの事を……いや、大丈夫…。
だってお姉ちゃんはこなたやゆきちゃんよりも私を選んでここに来てくれたんだから…。

52: 2008/10/19(日) 02:16:02.30 ID:tXGt61Oq0
それに、告白やキスまでしたした私のほうが、立場的には優位……じゃ、ないかぁ…。
…私達、姉妹だもんね。
そういう世界はあるとはいえ、ごく一部だろうし…。
もし…こなたにお姉ちゃんを奪われるようなことがあったら…、その時は―――。
……いや、これ以上は考えちゃいけない気がする。
それに奪われるって…、まだ私のものになったわけじゃないし…何考えてるんだろ、私。
そうだよ…、やる事はやったんだし、後はお姉ちゃんの返事を待つしかないよね。

つかさは姉の返事を待つことを決めるのだった…。

55: 2008/10/19(日) 02:30:56.46 ID:tXGt61Oq0
つかさ「―――はい。じゃあ、桜庭先生にも伝えてください。…はい」

つかさは電話を切る。

そして、かがみの部屋へと向かう。

…今日、朝起きたらお姉ちゃんが熱を出していた。
原因は…、昨日私が学校でお姉ちゃんにキスしてしまったからだろう。
私は、一日お姉ちゃんの看病をすることを決め、先生に連絡をしたのだった。
…もちろん私は風邪は完治し、熱も引いたのだった。

つかさ「…お姉ちゃん、おしぼり持って来たよ」

かがみ「悪いわね、つかさ…」

かがみはつかさからおしぼりを受け取り、自分の額に乗せる。

つかさ「…私こそ、ごめんなさい。風邪だったのに…あんな事しちゃって…」

つかさは申し訳なさそうに、かがみに謝る。

かがみ「…うん、平気よ。それよりつかさ…」

つかさ「…何?お姉ちゃん」

かがみ「自分は元気なのに学校休んだのって…やっぱり、私が好きだから?」

かがみはストレートにつかさの思いを聞く…。

56: 2008/10/19(日) 02:44:50.14 ID:tXGt61Oq0
つかさ「う…ん。ごめんなさい……っ」

つかさは硬く目を閉じ、俯く。

かがみ「そっか…。別に怒ってないから顔を上げて?」

つかさは言われたとおり顔を上げる。

今にも泣きそうな顔をしていた。

かがみ「……私、考えたわよ。返事」

かがみは自分の手元を見て、つかさを見ようとはしない。

表情はどこか複雑だ。

つかさは静かに返事を待つ。

かがみ「やっぱり姉妹でそう言うのは……って最初は思ったわ。…でも、、私にもつかさにも…その、出会いみたいなの全然無いじゃない?男のね。……そう考えてるうちに、姉妹で…って言うのも……悪くは無いかなー…なんて思っちゃったり…」

話が一旦そこで途切れる。

つかさは俯いている。

かがみ「…つかさは、その…、私と…エOチなことしたいーっ!…とか思ってるの?」

58: 2008/10/19(日) 02:54:53.00 ID:tXGt61Oq0
つかさは顔を上げて驚いた表情をする。

つかさ「女同士で…なんて出来るの…?」

かがみ「……。まったく、やっぱりつかさは純粋なのね…」

つかさ「はぅぅ…。思ってないよ。…よく分からないし」

かがみ「…やり方とか知ってたら、どうなのよ」

かがみは再びつかさに問う。

つかさ「……多分、したいと思っちゃうかも…」

かがみ「そっか…。まぁ…私もね、どうしていいか分からないの。それなりの覚悟も必要だと思うしさ」

つかさ「…お姉ちゃんは……私のこと…、好き?」

つかさは一番聞きたかったことを、かがみに聞く。

60: 2008/10/19(日) 03:10:55.53 ID:tXGt61Oq0
かがみ「……本当の意味での好きか、そうじゃないかの二択なら…、そうじゃない方になる…わね」

つかさ「そっか。そうだよね。やっぱり私がおかしかったんだね…」

かがみ「…そんな事無いわよ。そうね…、ポジティブに言うなら、…私がつかさのこと、好きになるようにしてみなさい!ってところね」

つかさ「私が…お姉ちゃんのことを…。お姉ちゃんは、姉妹とか女同士とか、そういうのは……」

かがみ「愛に…身分も、国境も、年齢も、性別も……そういうのは関係ないと思うわ。もちろん、姉妹でもね」

かがみはつかさに、そう言い切った。

62: 2008/10/19(日) 03:25:30.48 ID:tXGt61Oq0
つかさ「お姉ちゃん…」

かがみ「だからさ、私をその気にさせてみて?」

つかさ「…うん。私頑張るね!」

かがみ「何か応援するのも変だが…、頑張れつかさっ」

つかさとかがみは笑い合うのだった。

つかさ「―――よいしょ…っと」

つかさはかがみの額におしぼりを乗せてあげる。

つかさ「…ねぇ、お姉ちゃん」

かがみ「ん、何?」

つかさ「その…気になってたんだけど、女同士で…エOチなことって、どんなことを…」

かがみ「……ホントに…。普通のやつの男を女に代えれば、大体そうなるんじゃないの?」

つかさ「普通のを…。……っ!」

つかさはきちんと理解できたのか、顔が赤くなる。

かがみ「…分かったようね?」

つかさ「…うん。ちょっと私には早い…かな。えへへ」

64: 2008/10/19(日) 03:36:15.05 ID:tXGt61Oq0
かがみ「はぁー、いきなり『やりたい!』だなんて言い出さなくて良かったわ…」

つかさ「い、言わないよっ!私…そんなエOチじゃないもん…」

つかさは頬を膨らます。

かがみ「…まぁ、つかさだもんね」

つかさ「何それー!」

かがみは楽しそうに笑うのだった。

かがみ(…そっか。一番つかさの事知ってるの、私なんだよね。…いつもどこか抜けてて、ドジで、危なっかしくて…。良く言うなら守ってあげたくなるっていうのかな。)

かがみ(…本当に純粋だし、男と付き合ったら色々と危険だったりするわよねぇ…。私がつかさを好きになれば、つかさを守ってあげられるし…それでつかさは幸せに……。うぅーん、色々と悩みどころよねぇ……)

そんなことを考えたりしているうちに、かがみは眠りについてしまった。

67: 2008/10/19(日) 03:43:30.89 ID:tXGt61Oq0
つかさ「お姉ちゃん、寝た?」

かがみ「……すぅ、すぅ」

良かった、気持ちよさそうに寝てる。
…その気にさせてみて、かぁ。
完全拒否じゃなかったから良かったけど……難しいよなぁ…。

つかさはかがみのおしぼりを再び取り替える。

つかさ「お姉ちゃん…」

布団から出ていたかがみの手を、つかさは優しく握る。

つかさ「あったかいや、お姉ちゃんの手」

かがみの手を握って安心したのか、つかさもいつの間にかうたた寝してしまった。

70: 2008/10/19(日) 03:48:54.64 ID:tXGt61Oq0
―――…ここは、教室?
教室には私を含め、いつもの四人がいる。
…夢かな。私とお姉ちゃん、今日学校休んでるはずだし…。

かがみ「何よ、こなた。私に話したいことって…」

こなた「うん…。ここだとあれだから…、ちょっと来てっ!」

こなたはかがみの手を引く。

つかさ(ちょっと!どこいくの?)

しかしつかさの声は二人に届かなかった。

こなた「みゆきさん…。今日は先に帰ってて!ごめんねー」

みゆき「はい、分かりました」

つかさ(ゆきちゃん?……もしかして、私が休んだときの夢なのかな…)

みゆきにもつかさの声は届かなかった。

つかさ(お姉ちゃん達、いったいどこへ…。私の姿は誰にも見えないみたいだし…)

つかさは二人の後を追いかけた。

71: 2008/10/19(日) 03:56:48.31 ID:tXGt61Oq0
かがみ「ねぇ、こなた…。話って何よ?」

こなた「………」

かがみ「手、痛いわ。逃げやしないから…離して?」

こなたは手を離し、立ち止まる。

静まり返る廊下。

遠くからは生徒達の騒がしい声が聞こえてくる。

こなた「…かがみ…」

つかさ(この…場面、前にどこかで…)

かがみ「ん?」

つかさ(…そうだ。昨日の私とお姉ちゃんだ……!)

73: 2008/10/19(日) 04:03:04.38 ID:tXGt61Oq0
こなた「うぅ…っ。かがみぃ…」

こなたはかがみに抱き付く。

つかさ(だ、だめ…!その先は…っ!)

つかさは二人の間に割って入ろうとする。

がしかし、二人にどうしても近づけなかった。

かがみ「こなた…」

こなた「ぐすっ…。かがみ…」

つかさ(だめ…!聞きたくない…!見たくない!)

つかさは耳を塞ごうとするが、手が動かず、目も閉じない。

ただただ、こなたとかがみのやり取りを見るしか出来なかった。

かがみ「どうしたのよ…。んっ…!」

こなたはかがみの目を見ると、目を瞑り、かがみに口付けをする。

74: 2008/10/19(日) 04:08:47.46 ID:tXGt61Oq0
つかさ(いやあぁぁあぁっ!!!やめてっ!私のお姉ちゃん……に…)

しかし無常にも時は進む。

かがみ「んんぅ…!ぷはっ…。こ、こな…た?」

こなた「…ごめんね、かがみ…」

こなたは台本通りに後ずさりをする。

同様にかがみも台本通りに目を見開いて驚いていた。

つかさ(何なの…?この悪夢は…!どうして私にこんなものを見せるの…?だめ…!それ以上は言わないでぇぇ!!)

こなた「…かがみ…。大好きっ!」

つかさ(い、やあぁぁぁぁ……ぁ………っ)

絶望したつかさは廊下にヒザを付いて倒れこみ、そして目の前が真っ暗になるのだった。

76: 2008/10/19(日) 04:17:03.66 ID:tXGt61Oq0
つかさ「―――ぅ。…はっ!」

つかさは悪夢から目覚める。

つかさ「っはぁ…はぁ…!何、あの夢…」

つかさは起き上がる。

かがみはすやすやと眠っている。

つかさ「…寝汗がべっしょりだ…」

つかさはとりあえず着替える。

あの夢…、何だか嫌な予感がする。
正夢にでもなりそうな……。
どうしよう…。

つかさ「…家が随分静かだけど、誰もいないのかな」

つかさは一階へ降りる。

案の定、家に人はいなかった。

78: 2008/10/19(日) 04:24:23.49 ID:tXGt61Oq0
お姉ちゃんと二人きり、か。
何も無かったら素直に喜べたけど…、どうしてもあの夢が気になっちゃう…。

つかさはかがみの部屋へと戻る。

つかさ「もう…皆下校して家についてる時間かぁ…」

かがみは相変わらず、気持ちよさそうに眠っている。

つかさ「…平気、だよね」

その時、インターホンが鳴った。

80: 2008/10/19(日) 04:36:15.72 ID:tXGt61Oq0
誰だろう…、まさか…。

つかさは一階に降りて、玄関の扉を恐る恐る開く。

こなた「あ、つかさー。お見舞いに来たよっ」

つかさ「…何の用?」

こなた「お見舞いだって。お邪魔しまーっす」

こなたはつかさを通り過ぎ、家に上がる。

つかさ「……何で、私の邪魔をするの…?」

つかさは手を握り締め、震わせる。

このままだと、夢と同じでお姉ちゃんをこなたに取られちゃう…!

つかさ「カッターナイフ…。これだ…!」

つかさは近くにあったカッターナイフを手に取り、ポケットに忍び込ませる。

そして、一歩一歩二階へと上がって行く。

84: 2008/10/19(日) 04:42:33.96 ID:tXGt61Oq0
つかさ「…こなたをお姉ちゃんに近づかせてはだめ…」

ゆっくりとかがみの部屋の扉を開く。

つかさ「あ、あれ?」

しかし、こなたは部屋にはおらず、かがみが寝ているだけだった。

…どこ?
もしかして、私の部屋?

つかさは自室へと向かう。

こなた「あ、つかさ。もう体は平気?」

こなたはつかさの体調を心配する。

つかさ「うん、平気だよ」

こなた「かがみは?寝てる?」

つかさ「うん」

つかさは淡々と返事をする。

こなた「つかさ…?何か怖いよ?……どしたの?」

こなたはつかさの様子がおかしいことに気付く。

86: 2008/10/19(日) 04:51:19.12 ID:tXGt61Oq0
…怖い?
…私が?
……私を…、

つかさ「私をこんな風にしたのは…!こなただあぁぁぁ!!こなたさえ居なければ…っ!こなたさえ…っ…!」

つかさはポケットからカッターナイフを取り出し、その先端をこなたに向ける。

こなたは少し驚くが、動じずにつかさの目を見る。

こなた「…私が何か、つかさにした?」

つかさ「うるさい!」

つかさは疑心暗鬼に陥っていた。

こなたを見ていると、悪夢を思い出し、何もかもが信じられなくなってしまっていた。

こなた(おぉ…?何かよく分からないけど…、私氏亡フラグ?)

つかさ「はぁ…っ、はぁっ…!私の邪魔をしないで…!」

こなた「つかさ、落ち着こうよ」

しかし、つかさはぶつぶつと何かを言っており、聞く耳を持っていない。

刺激をしたら、今にでも襲い掛かってきそうな雰囲気だ。

91: 2008/10/19(日) 04:56:51.96 ID:tXGt61Oq0
こなた(さっきからかがみの事ばっかり言ってる…?…もしかして……)

こなた「つかさっ!…もしかして、私がかがみの事、好きだって言ったのを気にしてるの?」

つかさ「…そうだよ。こなたは私の邪魔をして…、私からお姉ちゃんを奪うんだ…!今日もそのために来たんでしょ!?ねぇ!!……そんな事させないんだから」

つかさは手に持っているカッターナイフを振り上げて、こなたに向けて振り下ろす。

こなた「…っく!」

避けようと思えば避けられる距離。

だがしかし、こなたは避けずに目を瞑り、覚悟を決める。

つかさは躊躇せずにカッターナイフを振り下ろした。

こなた「…………っ」

94: 2008/10/19(日) 05:03:28.17 ID:tXGt61Oq0
しかし、つかさの使い方が悪かったのか、刃先は襟に食い込み、首の付け根を少し切る程度で済んだ。

こなた(…刃物は引かなきゃよく切れないからね…。引かれてたら氏んでたかも…っ)

つかさの目はまだ狂気に満ちている。

こなた「つかさ、私が冗談好きなのは知ってるよね」

しかし、つかさは答えずに手を震わせている。

こなた「私、つかさがかがみのこと好きなの知ってて、かがみが好きって言ったんだ」

つかさの目がさらに険しくなる。

こなたはつかさがちゃんと話が聞けていることが分かると、そのまま話を続ける。

こなた「だけど今日…、つかさが私よりかがみが好きって事が改めて分かったよ…。実は今日、つかさに誤りに来たんだ」

つかさ「…何を…?」

こなた「つかさはこんなにかがみが好きなのに、軽々しくあんなこと言っちゃってごめんって」

つかさ「ぅ…嘘だ…!そんな事言って……」

こなた「うぅん。…つかさ、ごめんなさい。私は…つかさからかがみは取らないよ。絶対に」

こなたがそう言うと、つかさはカッターナイフの刃をしまい、床に倒れこむ。

96: 2008/10/19(日) 05:07:35.23 ID:tXGt61Oq0
こなた「わ、分かってくれた?」

つかさ「…私こそごめんなさい…。私…、こな…ちゃんに酷いことしちゃった…」

つかさは正気を取り戻したのか、こなたに謝罪をする。

こなた(こ、これは…惨劇回避…だよね?適当なこと言ったけど…当たってたのかな…?当たってたよね…。という事は姉妹で百合の…!)

つかさ「それにしても…こなちゃん、いつから…知ってたの?」

こなた「ふぇ!?…あ、会ったときからだよ!」

つかさ「そうなんだ…。こなちゃんって凄いや」

こなたの誤解も無事に解けてしまい、こなたはつかさの恋を応援すると約束したのだった。

98: 2008/10/19(日) 05:13:31.20 ID:tXGt61Oq0
こなた「そそ、つかさ」

つかさ「ん?」

こなた「このマンガ貸してあげる!主人公がつかさと同じような境遇なんだよ」

つかさ「へぇー。ありがとう、読んでみるねっ」

そして気付いた頃には、二人はいつもと同じ感じになっていたのだった。

二人の楽しそうな声を聞いてかがみが目を覚ます。

かがみ「うー…ん…」

かがみ(こなたがお見舞いに来てるのかな?)

かがみ「よい…しょ」

かがみは立ち上がる。

かがみ(…だいぶ楽になったわね。…寝てる間もつかさが看病してくれたのかしら)

かがみは自分が寝てる間に、つかさが頑張って自分の看病をしている姿を思い浮かべ、くすりと微笑むのだった。

101: 2008/10/19(日) 05:20:50.46 ID:tXGt61Oq0
こなた「あ、かがみやほー」

つかさ「お姉ちゃん、起きたんだ」

かがみ「おーす」

こなたはドス黒い笑顔でかがみに近づく。

かがみ「な、何よ…?」

こなた「聞いたよぉ…?かがみぃー!実の妹を好きにさせてしまうなんて中々やるねーっ!」

かがみ「なっ…!?つかさ!言ったの!?」

つかさ「うん!私、こなちゃんに応援してもらってるんだー」

こなた「ふふふ。かがみも頑張れっ!」

103: 2008/10/19(日) 05:23:05.76 ID:tXGt61Oq0
かがみ「ったく!…どこまで知ってるのよ…」

こなた「さぁねーっ。さて、二人は元気そうだし、私は帰るとするよー」

つかさ「うん、分かったー。こなちゃん、またねー」

かがみ「何だか釈然としないが…、じゃあね」

こなたは柊家を出る。

こなた(これから、あまりかがみと仲良く出来ないのが残念だけど…、面白いしいいやっ)

どこまでもお気楽なこなただった。

105: 2008/10/19(日) 05:26:48.07 ID:tXGt61Oq0
―――それから、何事も無く月日は流れていった。
かがみはつかさを好きになろうと努力をし、つかさは全力でかがみに愛をささげて、こなたは相変わらずいつも通りだった。
もちろん、自分達が異端であることは分かっていたので、二人っきりの時以外は、誰がどう見ても中のよい姉妹に見えるように演じていた。

つかさ「でねっ、昨日はお姉ちゃんと二人で一緒に出かけたんですよーっ」

ふゆき「そうなんですか。お姉さんは好きになってくれそうですか?」

つかさ「う…、どうなんだろう。まだ分からないです…」

ふゆき「自分が信じなければ、相手も好きになってくれませんよ?」

つかさ「はぅぅ…、そうですよね…!」

とまぁこんな感じで、たまにふゆきに相談に乗ってもらったりもしている。

107: 2008/10/19(日) 05:31:54.11 ID:tXGt61Oq0
こなた「つかさにプレゼント!」

つかさ「え?ジュース…?」

こなた「うん、かがみの飲みかけのジュース奪ってきた」

つかさ「えぇ…っ」

こなた「さぁ…っ!これで間接キスをおお…!いてっ」

かがみ「お前は…、いきなりジュース奪ったと思ったら…」

こなた「ほら、つかさっ!取られる前にぃ!」

つかさ「えいっ!ゴクゴク…」

つかさはこなたからジュースを受け取り、飲み干す。

かがみ「…間接キスしたいのは分かるが、せめて残してくれよな…。まだ一口しか飲んでないのに…っ」

つかさ「え…へへへ」

108: 2008/10/19(日) 05:41:24.80 ID:tXGt61Oq0
つかさ「お姉ちゃん…、私のこと…好きになれた…?」

かがみ「…どうなんだろう。…まだ分からないわ。」

つかさ「そっかぁ…」

かがみ「…もうすぐ卒業じゃない。卒業式の日に返事するってのはどう?」

つかさ「う、うん。それまで頑張るね…!」

とまぁ、こんな約束もしたり。


こなた「で、どうなんだい?つかさはさっ」

かがみ「……ぶっちゃけると、結構…気になったり…」

こなた「おぉ♪着実に進んでいってるねぇ。最近のつかさかわいいもんねー」

かがみ「そ、そうね…っ」

こなた「もう告白しちゃいなって!」

かがみ「…卒業の日に返事するって決めたのよ」

こなた「ほほう…。こりゃあ卒業の日が楽しみだねぇ…」

かがみもこなたに相談に乗ってもらっていたりしている。

109: 2008/10/19(日) 05:46:06.70 ID:tXGt61Oq0
―――そして、高校卒業の日。

長ったらしい式も、感動で包まれ無事に終わり、最後のホームルームも終わった。

かがみ「おー、卒業おめでとうー」

こなた「かがみもねっ」

つかさ「やっぱ、いつもの四人が集まったね」

みゆき「そうですねー。私はいつも見ているだけのような気もしましたが…」

こなた「いやいや、みゆきさんがいるだけで萌えっ!」

かがみ「お前は最後もそんなテンションなのか…」

こなた「暗くても嫌でしょーに」

110: 2008/10/19(日) 05:50:56.81 ID:tXGt61Oq0
こなた「いやー、それにしてもやっぱ三年なんてあっという間だったねー」

みゆき「そうですねー」

つかさ「最初は長いって思ってても、いざ終わってみるとやっぱり短かったように感じるよねー」

かがみ「そうね…。まぁ私は長く感じたけどね。……つかさ、ちょっと来てくれる?」

そう言ってかがみはつかさを人気の無い場所へ誘い込んでいった。

その様子を見送るこなた。

こなた(ついにこの日かぁ。…二人の悩みをそれぞれ聞いてきたけど、長かったよね、ここまで。…頑張れ。かがみ…、つかさ…)


かがみ「…つかさ…、あのね、私…」


赤い夕焼け色に染まった屋上への階段。そこには幸せそうな姉妹二人が抱き合っていたのであった。




115: 2008/10/19(日) 06:23:32.53 ID:tXGt61Oq0
かがみ「…つかさ…、あのね、私…つかさのこと、好きに…なれたわよ」

つかさ「…本当?」

かがみ「うん。嘘で好きなんて言わないわよ…」

つかさ「そうだね…。疑ってごめん」

かがみ「ううん、いいのよ」

そこは屋上へと続く階段。

とても静かで、窓からは真っ赤な夕焼けが差し込んでくるのだった。

つかさ「…もう、自信を持って言っていいんだよね…。大好きって…」

かがみ「うん、いいのよ…」

つかさ「私、この時が来たら絶対にしたい!って事が三つあるんだ」

かがみ「ん、言ってみ?」

116: 2008/10/19(日) 06:24:58.67 ID:tXGt61Oq0
つかさ「一つ目は、これからお姉ちゃんのことを呼ぶときはかがみって呼ぶ事」

つかさ「二つ目は、これからかがみの事を、何があっても一生愛す事」

つかさ「三つ目は、これからかがみと一緒に、氏ぬ事」

つかさはポケットからあのときのカッターナイフを取り出す。

そして、躊躇無くかがみの腹部に突き刺す。

117: 2008/10/19(日) 06:25:19.48 ID:tXGt61Oq0
かがみ「つかさ…」

つかさ「かがみ…っ」

かがみの手にも、カッターナイフ。

そしてそのカッターナイフは、つかさの腹部に突き刺さっており、かがみ同様、血が流れ出していた。

つかさ「あはは…、お姉ちゃん頃した後に氏ぬつもりだったのに…、その必要は無さそうだね」

かがみ「…私もつかさを頃した後に、氏ぬつもりだったわよ…。だけど二人で同じ事するなんて…やっぱり私達、姉妹なのよね…」

つかさ「ふふふ、そうだね…!」

かがみ「…二人で、氏んで…、永遠に愛しましょう!」

つかさ「うん…!今まで、ありがとね…。こんな妹のために…」

かがみ「私こそ…。つかさ、大好きよ、愛してる…!」

つかさ「かがみ…っ。私も大好き。愛してるよ!」

118: 2008/10/19(日) 06:26:20.18 ID:tXGt61Oq0
永遠の愛を約束した二人は、寄り添い、抱き合い、キスをする。

二人の傷は致命傷では無かったが、このまま手当てをしなければいずれ氏に至ってしまうものだった。

二人はゆっくりと手を取り合い、階段を上りきり、屋上の踊り場へと出る。

そして、二人はそこに座り込み、横渡った。

血が耐える事無くドクドクと流れてゆく。

そして二人の意識は遠のいてゆく…。

かがみ「つかさ…」

つかさ「かがみ…」

「大好き」

赤い血で染まった屋上の階段。そこには幸せな顔をしている姉妹の氏体が、二つ転がっているだけだった。


終わり

119: 2008/10/19(日) 06:27:36.10 ID:LeQTlljk0
なぜこんな終わりにした

120: 2008/10/19(日) 06:29:36.40 ID:S14RJ18Y0
曽根崎心中ですね。わかります。

121: 2008/10/19(日) 06:31:39.88 ID:LeQTlljk0
曽根崎心中って氏んだように見せかけて、どこかへ駆け落ちしたって話じゃなかったっけ

122: 2008/10/19(日) 06:33:00.88 ID:tXGt61Oq0
ハッピーエンドで終わらせたい人は>>110で読み終えてね!
こんな所まで読んで下さってありがとうございました。
支援してくれた方にも感謝!書いてる途中でにやけてました。
では、おやすみなさい…(*´・ω・`)

132: 2008/10/19(日) 10:57:13.27 ID:tXGt61Oq0
まだ残ってたww

134: 2008/10/19(日) 11:43:23.59 ID:tXGt61Oq0
無理やりな所もありますが、続き書きますw

138: 2008/10/19(日) 11:53:32.08 ID:tXGt61Oq0
つかさ「ぅ…、痛ッ…」

血溜りの中から起き上がるつかさ。

辺りはすっかり暗くなっており、人の気配も無かった。

卒業式ということもあって、学校の隅々まで警備が行き届かなかったようだ。

つかさ「……かがみ?」

つかさは隣に横たわっているかがみに触れる。

しかし返事は無い。

つかさ「…私、氏ねなかったんだ…」

かがみに比べると、つかさの傷は若干浅く、まだ氏に至るほど出血はしていなかった。

139: 2008/10/19(日) 11:59:59.19 ID:tXGt61Oq0
かがみ「……っ」

つかさ「…か、かがみっ!…まだ心臓が動いてる…」

かがみ「つ…かさも……、氏ねなかったんだ…ッ」

かがみもまだ生きてはいたが、かなりの重症のようだ。

つかさ「……かがみ、刺しておいて何だけど…、やっぱり私、まだかがみと一緒に生きて生きたいよぅ…」

かがみ「………でもどうせ、私達なんて世間から変な目で見られるだけなのよ…?」

つかさ「……保健室に行こう。開いてるか知らないけど…。それで、手当てをして、生き残ることが出来たら、二人でどこか遠くに行こうよ……」

かがみ「そう…ね。こうも氏に損なっちゃ、逆に生きたくなるわよね…。つかさ、連れて行って」

つかさ「う、うん…」

140: 2008/10/19(日) 12:09:04.98 ID:tXGt61Oq0
暗い廊下を壁伝いに歩いていく、つかさ。

肩には重症のかがみを抱えて、保健室へと向かうのだった。

つかさ「……やっぱ開いてないか…」

かがみ「もう…、外も夜みたいだしね…」

諦めの表情を見せるかがみ。

つかさ「……職員室に行こう。保健室の鍵を探してくるよ」

かがみ「…任せるわ」

つかさはかがみを保健室の目の前に横にして寝かせる。

そして、つかさは傷を抑えながら職員室に向かって走ってゆく。

141: 2008/10/19(日) 12:19:55.96 ID:tXGt61Oq0
つかさ「はぁ…、はぁ…っ。…職員室、電気付いてる…?」

つかさは警戒しながらも職員室に音を立てないように向かう。

そして、扉を開けて少し中を覗こうとした瞬間―――。

つかさ「ひ、ひゃあぁぁ!?」

ふゆき「ひ、柊さん…?どうしてここに…?」

つかさ「天原先生こそ…?」

ふゆき「私は少し仕事が残ってましたので…って、どうしたんですか、その傷は?」

ふゆきはつかさの制服が血で汚れているも目に入る。

夜の学校でこんな生徒に会ったらびっくりだ。

つかさ「先生…っ、何も言わずに来て下さい…。お願いします…っ」

ふゆき「………分かりました。保健室ですね?」

ふゆきは保健室の鍵を取り出し、二人は保健室へと向かう。

142: 2008/10/19(日) 12:27:06.39 ID:tXGt61Oq0
つかさ「かがみ…っ!まだ…、生きてる?」

保健室前に着いたつかさはかがみに駆け寄る。

かがみ「…何とかね。あ…、天原先生…?」

ふゆき「お姉さんのほうも…重症ですね。中に入って、治療しましょう」

ふゆきは保健室の鍵を開け、二人をベッドに寝かせる。

ふゆき「………何があったかは聞きませんが、取り合えず治療しますよ?…痛いかもしれませんが我慢してくださいね」

ふゆきはかがみの治療からはじめる。

かがみは既に痛覚が麻痺しているのか、特に騒いだりもしなかった。

143: 2008/10/19(日) 12:38:06.61 ID:tXGt61Oq0
つかさ「……一緒に氏のうと思ったんです、かがみと」

ふゆき「………どうしてですか?」

つかさ「私、かがみに必氏で好きになってもらおうとしていると…だんだん空しくなっていったんです」

つかさの話の続きを待ちながら、かがみの治療を続けるふゆき。

つかさ「……かがみのことはもちろん好きだけど…、好きになってもらって、一緒になって…、本当にそれでいいのかって思うときがあって」

ふゆき「…それで色々と考えているうちに、二人で自頃してしまおうと…」

つかさ「はい…。どうせ私たちは異端だし、どうせなら―――って。かがみも考えていることは一緒だったんです」

かがみ「えぇ。…だけどやっぱり氏ねなくて…、氏ねなかったら…今まで氏のうと思っていたことが嫌になって……」

ふゆき「そうですか……。はい、かがみさんの治療終わりです。痛いのによく耐えましたね…。かなり出血していましたが、もう平気でしょう」

かがみ「…ありがとうございます」

ふゆきは「いえいえ」と言って立ち上がり、つかさのほうへ向かう。

そして、つかさの治療をはじめる。

145: 2008/10/19(日) 12:49:00.02 ID:tXGt61Oq0
かがみ「………私達、これからどうしたらいいと思います?」

ふゆき「今までどおり、普通にしていたらいいんじゃないんですか?」

かがみ「…でも……」

ふゆき「これまでも、普通を装ってこれたのでしょう?ならそれを続ければいいと思いますよ?」

ふゆき「……ちょっとキツイ言い方になるかもしれませんが、あなた達は深く考えすぎです。知られていないながらも、そういうのは日本でも結構あるんですよ?この程度の事で氏のうと思う覚悟でそんな事してるんだったらやめてしまえ!……です」

ふゆきはニコッっと笑う。

ふゆき「まぁ、生き方は人それぞれですからね。この後どうするかは、二人に任せますよ?」

146: 2008/10/19(日) 12:54:39.30 ID:tXGt61Oq0
かがみ「……遠くに行こうと思ってます。誰も知らないような」

ふゆき「大学はどうするんです?柊さんは折角いい大学に入れたのに…、捨ててしまうんですか?」

かがみ「…で、でも…」

ふゆき「やはり深く考えすぎです。…色々あって疲れているんでしょうね。一緒に居たいなら、家を出て近場で二人暮らしをすればいいじゃないですか。姉妹で二人暮らしなんて、珍しくないですよ?」

かがみ「……そう、です…か?」

ふゆき「えぇ。別に知っている人がいたって、隠しておけばいいんですよ」

ふゆきはつかさの治療を終え、器具をしまい始める。

ふゆき「廊下の血は…、私が処理しておきます。二人は…制服血だらけですね。どうしましょう」

つかさ「洗っていいですか…?少しは目立たなくなるかも…っ」

147: 2008/10/19(日) 12:58:38.18 ID:tXGt61Oq0
つかさは立ち上がり、制服を脱ぎ始める。

つかさ「かがみ、脱げる…?」

かがみ「えぇ。…でも立つのは少しきついわ」

つかさ「分かった、洗うね」

ふゆき「…では、洗っていてください。私は廊下で掃除してますので…」

そう言ってふゆきは掃除器具を持って廊下に出て行く。

保健室に残される二人。

水の音だけが響いている。

148: 2008/10/19(日) 13:08:25.74 ID:tXGt61Oq0
かがみ「……血、落ちそう?」

つかさ「うん。平気そうだよ」

かがみ「…そっか。……天原先生って、いい人ね」

つかさ「そうだね。…こんな変な話も普通に聞いてくれるし」

かがみ「…これからどうする?私は深く考えずに、普通につかさと二人暮らしがしたいな」

つかさ「私も、かがみと二人で暮らしたい…。やっぱ氏のうなんて思ってたのが今じゃおかしく感じるよ…」

かがみ「ふふっ…、私もよ。疲れて、色々考えすぎになってたのよね…」

つかさは制服を洗い終わり、隣にあった洗濯機で脱水をしはじめる。

ついていた血は、あまり目立たないくらいに落ちていた。

150: 2008/10/19(日) 13:14:35.70 ID:tXGt61Oq0
制服が脱水し終わるまで、布団を羽織るつかさ。

かがみにも布団を掛けてあげるのだった。

かがみ「ありがと…。やっぱ冷えるわね」

つかさ「そうだねー」

洗濯機の音だけが鳴っている保健室。

しかし、つかさの電話の音が鳴る。

つかさ「…あ、こなちゃんだ…。もしもし」

こなた「お、つかさーっ!どうだった!?」

つかさ「…うん、上手く行ったよ。こなちゃん、色々と相談に乗ってくれてありがとうっ」

こなた「いやいや、私は聞いてただけだし。おめでとう、つかさ!…かがみもそこにいる?」

つかさ「うん、代わろうか?」

つかさはかがみに電話を渡す。

151: 2008/10/19(日) 13:20:49.37 ID:tXGt61Oq0
こなた「かがみ、おめでとー♪末永くお幸せにっ」

かがみ「お前は…、こっちの気も知らないでお気楽なやつだな…」

こなた「ほぇ?何がだい?」

かがみ「何でもないわよ。つかさに戻すわね」

つかさ「あ、もしもし?」

こなた「まぁ、つかさもよく頑張ったよ。努力すればいずれ実るってねー」

つかさ「あはは…、ありがとう、こなちゃん」

こなた「じゃ、私はこれでっ!待ったねー♪」

電話が切れる。

153: 2008/10/19(日) 13:32:35.98 ID:tXGt61Oq0
かがみ「そういえば、家に連絡しないとね。心配してると思うし」

つかさ「そうだね」

つかさは家に連絡を入れる。

とても刺し合って倒れていたなんて言えないので、卒業式だからこなたたちとはしゃいでいたと言うことにしておいた。

つかさ「…天原先生の手伝いしてくるね。かがみは休んでて?」

かがみ「うん。待ってるわ」

つかさはふゆきの所へと向かう。

ふゆきは血を辿って、もうすでに屋上の踊り場の清掃作業に入っていた。

つかさ「先生っ…、手伝います…」

ふゆき「あ…、柊さん。じゃあー、バケツの水組み替えてきてくれます?」

つかさ「は、はいっ」

つかさは真っ赤な血で染まったバケツを受け取り、洗面所へ行く。

ふぅ…。
一人って、怖い。
早く…、水変えて戻ろう…。

つかさは急いでバケツに水を汲み、ふゆきのもとへと戻った。

154: 2008/10/19(日) 13:43:45.40 ID:tXGt61Oq0
かがみ(――つかさ、下着姿で手伝いに行ったけど…、寒くないのかな)

保健室ではかがみが横たわっている。

ピーッ、ピーッ

脱水が終わり、合図が鳴る。

かがみ(んしょ…、痛…)

かがみは起き上がり、洗濯機から制服を取り出し、乾燥機に放り込み、乾燥をはじめる。

かがみ「よし…、乾くまでもうすこし横になってよう…」

かがみは再びベッドへ。

155: 2008/10/19(日) 13:52:39.32 ID:tXGt61Oq0
―――しばらくして、つかさとふゆきが戻ってくる。

つかさ「かがみ…、平気?」

かがみ「えぇ。制服、乾燥機に入れておいたわ」

つかさ「ありがとう。…掃除も終わったよ」

かがみ「そっか。先生、ありがとうございます…」

ふゆき「いえいえ。あ…、制服乾いたようですね」

ふゆきが乾燥機から二人の制服を取り出し、二人に手渡す。

二人は着替え終わる。

ふゆき「…それでは、もう帰りますか?」

つかさ「はい。これまで色々と…ありがとうございました」

つかさはふゆきに深々とお辞儀をする。

157: 2008/10/19(日) 13:58:59.45 ID:tXGt61Oq0
ふゆき「どういたしまして。…そういえば、これでお別れですね。柊さんの悩みももう聞けないんですねー…」

ふゆきは少し残念そうな顔をする。

ふゆき「二人とも、これからも頑張ってくださいね」

つかさ「は、はい!」

かがみ「はい」

ふゆきは二人を職員室からの出口へと連れて行く。

そして、ふゆきに最後の別れを告げ、二人は帰路へとつくのだった。

158: 2008/10/19(日) 14:07:12.63 ID:tXGt61Oq0
かがみ「つかさ…」

つかさ「ん?」

かがみ「…ありがとね。…つかさが諦めてたら二人で氏んでたわよね」

つかさ「そだね…。でもこれからどうするかも決まったし、頑張ろうよっ」

かがみ「そうね……」

かがみはつかさに寄り添い、手をつなぐ。

つかさ「か、かがみ…っ」

かがみ「恋人同士なんだから、手をつなぐのは当たり前でしょ?」

つかさ「えへへ…そうだね。かがみ、大好きだよ…っ」

かがみ「うん。私も…っ」

二人は誰も居ない校門の前で、キスをし合った。

そして、いつもの帰り道を辿り、やっとのことで家に着くのだった。

159: 2008/10/19(日) 14:18:00.47 ID:tXGt61Oq0
―――ピンポーン、とインターホンが鳴る。

かがみ「来たようね」

つかさ「はーい、今出まーすっ」

つかさは玄関の扉を開ける。

扉を開けると、そこにはワクワクした顔をしたこなたが。

こなた「やほーいっ!二人とも元気ー?」

つかさ「こなちゃん、いらっしゃい」

こなた「お邪魔します。や、かがみ♪」

かがみ「おっす。久しぶりね」

つかさとかがみが二人暮らしを始めて数日後、こなたは二人の家に呼ばれたのだった。

二人の家は、かがみの大学とつかさの大学の間辺りにあり、まだ家具も少ないが、二人でバイトをしてそれなりに頑張っている。

161: 2008/10/19(日) 14:26:05.77 ID:tXGt61Oq0
こなた「それにしても二人暮らしするなんて思ってなかったよ」

かがみ「いいじゃないの、好きなんだしさ」

かがみはそう言ってつかさに抱きつく。

こなた「おぉ…!かがみもいい感じになりましたなぁ♪」

かがみ「うるさいわね。こなたはどうなのよ?」

こなた「私?わたしはー…、何人も嫁が居るよ、ネトゲにねっ」

かがみ「何人もかよ…。ま、いいけどさ」

つかさ「はい、こなちゃん。お茶だよ」

こなた「ありがとつかさー。いやぁ、二人を見てると和むねーっ」

こんな感じで、こなたはたまに二人の家に来ては、和んだりしていた。

163: 2008/10/19(日) 14:27:49.91 ID:tXGt61Oq0
―――私たちはその後も二人暮らしを続けて、
お姉ちゃんと協力し合い、時には困難を乗り越えたりもして、
ずっと、幸せに過ごしていったのだった。
私は柊家四女の柊つかさ。
三女のかがみは双子のお姉ちゃんで、私の大好きな人。
お姉ちゃん、これからもずっと一緒にいようねっ。

終わり

164: 2008/10/19(日) 14:28:51.01 ID:Zf4dDCocO

165: 2008/10/19(日) 14:32:54.37 ID:UaIXqzFc0
乙ハッピーエンドで安心した

引用: つかさ「こなちゃん…いや、こなたのクセに…!」