1: 2018/08/15(水) 04:01:42.25 ID:TejnHRCr0
2: 2018/08/15(水) 04:08:12.96 ID:uTs5BY8io
着ぐるみ
3: 2018/08/15(水) 07:44:42.33 ID:TejnHRCr0
もしも戸山香澄が着ぐるみだったら
香澄(もうすぐ憧れの高校生活!)
香澄(やっぱり最初のインパクトが大事だよね……何か変わった格好で学校に行ってみようかな?)
香澄(うーん、変わった格好……そうだ、昨日アニメで星形のマスクをかぶった人がいたし、それを真似してみよう!)
――時は流れ花咲川女子学園入学式、校庭にて
ザワザワ...ナニアレ...ホシ?
香澄(ふふふ……みんなの視線が私に集まっているのが分かる)
香澄(あっちゃんとお母さんには必氏で止められたけど、押し切ってよかった!)
香澄(髪型も星をイメージしたものにするっていう隙を生じぬ二段構えだし!)
香澄「さってと、私のクラスはー、っと……わっ」ドン
山吹沙綾「あ、ごめ――えっ」
香澄「ううん、こっちもぶつかってごめんね。あれ、何かいい匂いが……」
沙綾「あー……うん……」
沙綾(なんだろうこの子、星形のマスク被ってる……関わらない方がいいかも)
香澄「そういえば朝ごはん食べてなかったなぁ」
沙綾「あ、ちょっと急ぐから……ぶつかってごめんね、それじゃ!」
香澄「……行っちゃった。人見知りする人なのかな? っと、それより私のクラスは……」
氷川紗夜「ちょっと、そこの新入生の方」
香澄「んーっと」
紗夜「そこの変なもの被った新入生!」ガシッ
香澄「……え、私?」
紗夜「あなた以外にいないわよ、被り物なんてしてる人は。それより、その被り物は?」
香澄「はい、星です!」
紗夜「質問が悪かったかしらね。どうしてそれを被っているのかしら」
香澄「私は星だからです!」
紗夜「…………」
紗夜「…………」
紗夜「……そう。詳しい話は生徒指導室で聞きます。ついてきてください」
香澄「え、ちょ、私これから入学式が……」
紗夜「そんな格好で参加させるとでも? いいからついてきなさい」
香澄「うわー」ズルズル
……………………
4: 2018/08/15(水) 07:45:32.74 ID:TejnHRCr0
香澄「結局マスクは没収されちゃったし、入学式にも出れなかった」
香澄「マスクの下、星の髪型しといて良かった~。備えあれば憂いなし、だね!」
香澄「ところで、どうしてかクラスのみんなの距離が遠いような気がする」
香澄「もしかして自己紹介で変なこと言っちゃったかなぁ」
沙綾「…………」
香澄「あ、朝の……おーい!」
沙綾「え?」
香澄「えっと、確か山吹沙綾ちゃん! だよね?」
沙綾「あ、ああ、うん」
香澄「私、戸山香澄! よろしくね!」
沙綾「うん、よろしく……」
沙綾(……朝は関わっちゃダメな人だと思ったけど……普通の子、なのかな?)
沙綾「朝の……えーっと、マスク? はどうしたの?」
香澄「いやぁ、あれね? 風紀委員の先輩に見つかって没収されちゃった」
香澄「それでそのままお説教されて、入学式に間に合わなかったんだ……」
沙綾「へぇ、それは災難……だったね?」
香澄「うん……でもほら、この髪見て! ちゃーんとマスクの下も星だし、隙を生じない二段構えだよ!」
沙綾「ネコミミじゃなかったんだ、それ」
香澄「えー? どこからどう見ても星だよ~」
沙綾「なんで、えーっと、香澄ちゃんはそんなに星にこだわるの?」
香澄「呼び捨てでいいよ!」
沙綾「あ、うん」
香澄「それで、星にこだわる理由はね、小さな頃に星の鼓動を聞いたから!」
香澄「あの時に確信したんだ。私は星だって。夜空に輝く星になる運命があるんだって!」
沙綾「……へぇー」
――キーンコーンカーンコーン...
香澄「あ、もうチャイム。それじゃあね、さーや!」
沙綾「うん……」
沙綾(やっぱりちょっと変な子だ……悪い子じゃなさそうだけど……)
5: 2018/08/15(水) 07:46:05.02 ID:TejnHRCr0
――放課後――
香澄「はぁー、やっぱりこのマスク、被り心地がいいなぁ」
香澄「でもこれ被ってるとみーんな目を逸らすんだよね。どうしてだろ?」
香澄「あれ、なんだろうこれ……星のシール?」
香澄「あ、あっちにも……」
香澄「……なるほど、これは星の導きだ!」
香澄「ふふふ、私の隠しきれない星力がきっとキラキラドキドキしているものに導いてくれてるんだ」
香澄「よーっし、この先に何があるのか確かめよう!」
6: 2018/08/15(水) 07:46:38.73 ID:TejnHRCr0
――流星堂――
香澄「星の終着点はここ……蔵?」
香澄「とりあえず入ってみよう!」
香澄「おっじゃましまーす!」
香澄「ん、なんだろうあれ、大きな星のシールが貼ってあるケース?」
市ヶ谷有咲「そこまでだ、両手を挙げ――うわぁ!?」
香澄「きゃあ!?」
有咲「な、な、なんだよお前!?」
香澄「えっ!? え、なに!?」
有咲「星形のマスク!? 手慣れた窃盗犯か!? だ、だとしても……負けねーからな!!」
香澄「ちょ、危ない! ハサミこっちに向けないで! お気に入りのマスクなのこれ!」
有咲「う、うるせー! そうやって惑わす気だろこの泥棒め!」
香澄「違うよ、違うって! 星を辿ったらここに着いただけなの!」
有咲「ど、ど、泥棒はみんなそう言うんだ!」
香澄「待って待って! あなたのハサミ持ってる手、すっごい震えてるから! 危ない危ない!」
有咲「べ、べべ別に怖がってなんかねーからな! つ、つ、通報するぞこのやろー!」
香澄「ちょ、警察は勘弁してー!!」
7: 2018/08/15(水) 07:47:16.62 ID:TejnHRCr0
―しばらくして―
有咲「えーっと、それじゃあお前は花女の生徒で、星のシールを辿ったらここに着いた、と」
香澄「うん。その、蔵に勝手に入っちゃってごめんね?」
有咲「あーいや……まぁここは質屋だからいいんだけどさ……」
有咲(なんだよコイツ……見た目は通報待ったなしのヤベー奴なんだけど、話してみると普通だし……)
香澄「ねぇねぇ、このケース開けてみてもいい?」
有咲「あー……まぁいいよ」
有咲(でも話してみると普通な奴ほどヤベーってこともあるしな。ここはあんま刺激しない方がいいか……)
香澄「わーい、ありがと! それじゃあ……わー! 星のギターだ!」
有咲「…………」
ランダムスター<シャラーン
香澄「すごい、音が鳴ったよ!」
有咲「……そうだな」
香澄「これも売り物なの?」
有咲「……まぁ、多分」
香澄「へぇ~! 星のギターかぁ、いいなぁ!」
有咲「……そんなにギターが気になるなら、ライブハウスにでも行ってみればいいんじゃねーの?」
香澄「ライブハウス! そういうのもあるんだ! どこにあるの?」
有咲「……いや、知らねーけど」
香澄「そっかぁ。あ、じゃあ今から一緒に探して行ってみない?」
有咲「…………」
有咲(これ、断っていいのかな……。断った瞬間豹変して、『じゃあしょうがないし、あなたを貰ってくね?』とか言われて人身売買の道具にされたりしねーよな……?)
香澄「どしたの?」
有咲「ああ、いや、えーっと……」
香澄「あ、そういえば名乗ってなかったね! 私、戸山香澄! あなたは?」
有咲「え? えっと、私は市ヶ谷……有咲」
香澄「有咲だね! ねーねー、一緒にライブハウス行ってみよーよ!」
有咲「……分かったよ」
有咲(断ると後がこえーし、ここは素直に頷いとこ……)
有咲「つか、お前ライブハウスの場所知ってんの?」
香澄「知らない! 調べてみるね!」
有咲「ああ……って、お前、そのギターは置いてけよ?」
香澄「うん!」
8: 2018/08/15(水) 07:48:23.42 ID:TejnHRCr0
――翌日 朝の教室――
沙綾「へぇ、それでバンドをやろうって思ったんだ」
香澄「うん! すごかったなぁ、昨日のライブハウス! すごくキラキラしててカッコよかったんだ!」
沙綾「へぇ……。ところで、香澄。今日は星のマスクは?」
香澄「校門で紗夜先輩にとられちゃった」
沙綾「……そう」
沙綾(今日も被ってきてたんだ)
香澄「私も星のバンド、組みたいなぁ」
沙綾「星のバンドって?」
香澄「みーんなでキラキラしたお星さまになるバンド!」
沙綾(全員がマスク被った香澄みたいになるのかな……)
香澄「あ、そうだ、沙綾もそういうの、興味な」
沙綾「ごめん興味ないかな」
香澄「そっかぁ。有咲にも同じこと言われちゃったなぁ」
沙綾(普通は断るよ……)
――ガラッ
牛込りみ「…………」
香澄「あ、あの子……」
沙綾「え?」
9: 2018/08/15(水) 07:48:50.41 ID:TejnHRCr0
香澄「おーい!」
りみ「……え? きゃっ」
香澄「牛込さん、だよね? 昨日ライブハウスにいたよね!」
りみ「え、う、うん……」
香澄「バンドに興味あるの? そしたら星のバンド、一緒に組まない!?」
りみ「ほ、星のバンド……?」
香澄「うん! キラキラしてて最高のバンド!」
りみ「え、えっと……」
沙綾「こらこら、香澄。困ってるから離してあげなさいって」
香澄「あ、うん。牛込さん、ごめんね?」
りみ「う、ううん……」
香澄「それで、どうかな?」
りみ「……その、ごめんなさい」
香澄「そっかぁ。まぁ仕方ないよね!」
香澄「ねぇねぇ、よくライブハウスに行くの?」
りみ「う、うん、まぁ……」
香澄「へーそうなんだ! そしたらバンドのこととかにも詳しい? 私に色々教えて欲しいな!」
りみ「え、えっと……」
沙綾「こーら。そんなグイグイ来られると困るって」
香澄「あ、ごめん」
りみ「う、ううん。その、私でよければ……お話するよ?」
香澄「ほんと!? ありがと、りみりん!」
りみ「りみりん?」
香澄「りみだからりみりん! 私のことは香澄でもなんでもいいよ!」
りみ「えっと、じゃあ香澄、ちゃん?」
香澄「うん!」
沙綾(……やっぱり悪い子じゃないんだなぁ。変ではあるけど)
10: 2018/08/15(水) 07:49:17.76 ID:TejnHRCr0
――2週間後――
香澄(ライブハウスに行った次の日にランダムスターを見に行くと、有咲が私に税込み1080円でランダムスターを譲ってくれることになった)
香澄(そんなに安くていいの? って聞いたら、代わりに学校でお昼ご飯を一緒に食べて欲しいと言われた)
香澄(ライブハウスがなんだかんだ楽しかったし、そういう友達付き合いに憧れていたらしい。可愛いなぁ有咲)
香澄(じゃあ一緒に星のバンドを、と持ちかけたら食い気味に断られちゃったけど)
香澄(なんだかんだで沙綾とりみりんと有咲でお昼ご飯を食べることが日常になって、私はギターの練習も日課になった)
香澄(りみりんのお姉ちゃんがバンドをやっていて、りみりんも音楽関係のことに詳しいから色んなことを教えてもらった)
香澄(日課と言えば、校門で紗夜先輩にマスクを取られないようにするのも日課だ)
香澄(最近は紗夜先輩の目をかいくぐることも出来るようになってきた。でもそのあとついうっかり廊下ですれ違ったりして没収されちゃうんだけど)
香澄(被り心地いいですよ、と無理矢理紗夜先輩に被せたこともあったなぁ)
香澄(確かに悪くないかもしれないわね、って呟いてたのになぁ、紗夜先輩)
香澄(でも最近は紗夜先輩の攻略法を見つけた)
香澄(ランダムスターを背負っていくと、なんだかんだで見逃して貰える)
香澄(『まぁ……もうギターくらいでとやかく言いませんし、私の根負けです』とこの前ため息交じりに言われた)
香澄(だけどそれはそれでなんだか寂しいから、今日は全身星の着ぐるみで登校してみた)
香澄(そしたら紗夜先輩にキレられちゃって着ぐるみとギターを没収されちゃった)
香澄「もう、紗夜先輩ってば、ああ言えばこう言うんだから」
香澄(……って、生徒指導室で言ったらいつもよりも長いお説教が始まった)
香澄(ようやく解放されたのが午後5時過ぎ。気付けば2時間もお説教されていた)
香澄(私は取り戻したマスクを被ってギターを背負い、着ぐるみは学校に置いておこうと教室を目指すのだった)
11: 2018/08/15(水) 07:49:56.99 ID:TejnHRCr0
――花女 1-A教室――
香澄「……あれ、ギターの音が聞こえる」
香澄「こんな時間に誰か残ってるのかな……」
――ガラ
花園たえ「銀河を砕くせんーりつー♪」シャラーン
香澄「わっ……」
たえ「ひびかせーたー……ん?」
香澄「あ、邪魔しちゃってごめ――」
たえ「あ、ヘンタイさんだ」
香澄「ヘンタイ!?」
たえ「うん。氷の冷笑、鬼の風紀委員氷川紗夜の天敵、星のヘンタイ戸山香澄」
香澄「ヘンタイじゃないよ!」
たえ「え、そうなの? 星の人じゃないの?」
香澄「私が星だってことは否定しないけど!」
たえ「やっぱりヘンタイさんだ」
香澄「違うってばー!」
たえ「でも、その背負ってるギター……」
香澄「ランダムスタ子がどうしたの?」
たえ「やっぱり変態だ」
香澄「えぇ? ギターには名前を付けるものだって有咲が言ってたよ?」
たえ「ううん、名前を付けるのは私もやってるよ。ただ、ランダムスター持ってる人は大抵変わり者だから」
香澄「あ、そうなんだ」
たえ「うん」
香澄「えっと、花園さんだよね? 花園さんもギター弾くの?」
たえ「うん。私とギターは一緒だから」
12: 2018/08/15(水) 07:50:26.16 ID:TejnHRCr0
香澄「へぇ~! すごく上手だったけど、結構前からやってるの?」
たえ「子供のころから弾いてるよ。でもまだまだ全然」
香澄「わ、それでまだまだ全然なら私はもっとダメダメだよー!」
たえ「戸山さんはまだ始めたばっかりなの?」
香澄「香澄でいいよ!」
たえ「あ、うん。じゃあ私もおたえでいいよ」
香澄「うん! それでね、おたえ。私は始めてから2週間なんだ~。最近はようやくメジャーコードが半分くらい押さえられるようになったばっかり」
たえ「そうなんだ」
香澄「そうなんだ~。ねぇねぇおたえ、良かったらギター、教えて欲しいな」
たえ「ん、いいよ」
香澄「ほんと!?」
たえ「うん。ヘンタイさんの言うことを断ると何されるか分かったもんじゃない、って聞いたし」
香澄「えーなにそれ! 私なにもしないし、そもそもヘンタイじゃないってば~!」
たえ「でも山吹さんと牛込さんに『星のバンドやらない?』って聞いてるよね?」
香澄「あ、おたえも一緒に星のバンドやりたい?」
たえ「私は……うーん、悩みどころだ」
香澄「おお……即答で断られなかったの初めて……」
たえ「楽しそうだけど、そうだね、他のバンドメンバーが集まって、ギターが足りなかったらまた誘って」
香澄「うん! あ、おたえもこういう星のマスク、欲しい?」
たえ「ウサギのなら欲しい」
香澄「ウサギかぁ。ちょっと探してみるね!」
たえ「楽しみにしてるよ」
13: 2018/08/15(水) 07:51:01.08 ID:TejnHRCr0
――1ヵ月後――
香澄(ひょんなことでおたえと話すようになってから、ギターのことを色々教えてもらった)
香澄(そのままなし崩しに沙綾と有咲とりみりんとのお昼ご飯におたえも加わることになった)
香澄(ついでに2週間かけて作ったウサギのマスクをおたえにプレゼントしたらすごく喜ばれた。それからライブハウスで使ってるっていう良いシールドを貰った)
香澄(『これが噂に聞くプレゼント交換……憧れの行動だ』と感慨深げだったのが印象に残っている)
香澄(それからおたえはウサギのマスク、私は星のマスクを被って登校してみた)
香澄(校門で服装チェックをしていた紗夜先輩の目が今までに見たことないくらい冷え切っていたのが印象的だった)
香澄(『最近胃が痛い』と呟いているのを聞いたから、そこで胃薬をプレゼントしたらなんとも言えない表情をされた)
香澄(そしてその日の放課後はおたえと一緒に3時間ほどお説教されて楽しかった)
香澄(どうしてだろう。何故か紗夜先輩を見ると無茶なことを目の前でやって叱られてみたい衝動に駆られてしまう)
香澄(おたえにその気持ちを話してみたら『ちょっと分かる』って言ってくれたのが嬉しかった)
香澄(おたえと一緒に着ぐるみで登校したらどうなるんだろう、ってちょっと興味があるけど、流石にそれはやり過ぎだと思うからやめておくことにした)
香澄(ともあれ、私の高校生活はそんな風に続いていく)
香澄(そしてゴールデンウィークも明けたある日の放課後のことだった)
14: 2018/08/15(水) 07:51:34.16 ID:TejnHRCr0
――花女 中庭――
香澄「いやぁ、今日も紗夜先輩に怒られちゃった」
有咲「お前、全然反省してねーよな」
香澄「紗夜先輩に叱られるのってなんだか楽しいんだ」
たえ「うん、楽しい。紗夜先輩、言われてるほど怖い人じゃないしね」
りみ「氷川先輩……大丈夫かな……」
沙綾「うーん……」
弦巻こころ「見つけたわ!」
香澄「ん?」
こころ「あなたがトヤマカスミね!」
香澄「うん、そうだよ~」
有咲「げ、弦巻こころ……」
沙綾「知ってるの、有咲?」
有咲「花咲川の異空間って呼ばれてるやべー奴だよ」
りみ「……星のマスク被ってる香澄ちゃんとどっちが、その、大変かな?」
有咲「…………」
有咲「そんな変わんねーかも」
たえ「じゃあ案外普通の人かもね」
沙綾「だね」
りみ「よかったぁ」
15: 2018/08/15(水) 07:52:05.10 ID:TejnHRCr0
こころ「あたし、楽しいことを探しているの!」
こころ「聞いた話によると、あなたっていつも楽しそうなことをしているみたいじゃない!」
香澄「楽しい、って言うより、キラキラドキドキしてることをやってるんだよ!」
こころ「キラキラドキドキ! それは素敵な響きね! その話、あたしにも聞かせてくれないかしら?」
香澄「うん、いいよ!」
こころ「それじゃあ早速、あたしの家に行きましょう!」
香澄「うん! あ、みんなはどうす」
有咲「遠慮しとく」
沙綾「家の手伝いあるから」
りみ「ごめんね?」
たえ「私はいいよ」
香澄「そっかぁ。じゃあおたえと私だけだね」
こころ「分かったわ! それじゃあ案内するわね!」
16: 2018/08/15(水) 07:52:36.12 ID:TejnHRCr0
――弦巻邸――
こころ「それじゃあ香澄は星のバンドを目指してるのね!」
香澄「うん! 無敵で最強の夢だよ!」
たえ「私は人がいないならそれを手伝うよ、っていう感じかな」
こころ「いいわね、バンド! すごく楽しそうだわ!」
香澄「でしょでしょ! こころんは話が分かるな~!」
こころ「あたしも一緒に楽しみたいわ!」
香澄「それじゃあ星のバンド、組もうよ!」
こころ「ええ!」
たえ「こころは何か楽器が弾けるの?」
こころ「楽器は弾いたことないわ。でも、やろうと思えばなんだって出来るわ!」
香澄「だね! 情熱があればなんでも出来るよ!」
たえ「そうだね。それじゃあギターは2人いて、こころは何でも出来るとして……あとはドラムとベースがいればいいかな」
香澄「よーし、それじゃあ」
こころ「早速街に探しに行きましょう!」
たえ「そうだね」
17: 2018/08/15(水) 07:53:47.78 ID:TejnHRCr0
――駅前――
こころ「どこかにいい人がいないかしら?」
たえ「ドラムとか持ち歩いてる人がいればいいんだけど」
香澄「ドラムかぁ……大きいし、そうそう持ち歩けるものじゃ……」
松原花音「ふえぇ……楽器屋さんどこぉ……?」
香澄&こころ&たえ「いた!」
花音「ふぇ!?」
香澄「確保~!」
こころ「それ~!」
たえ「お~」
花音「な、なに……!? 星形のマスク被った人とウサギのマスク被った人と……!?」
こころ「あたし、花咲川女子学園高等部1年生の弦巻こころ!」
香澄「同じく戸山香澄です!」
たえ「花園たえだよ」
こころ「あなたは?」
花音「え、あ、花咲川の制服……」
花音(もしかしてこの子たち……最近噂になってる1年生の問題児さんたち……?)
花音「わ、わた、私は松原花音……花咲川の2年生……です」
香澄「先輩! 松原先輩!」
こころ「花音ね!」
たえ「松原先輩ですね」
香澄「それ、ドラムですよね? 松原先輩、ドラムやるんですか!?」
花音「え、や、やってるけど、これはもう売るつもりで……」
こころ「売ってしまうの? それはもったいないわ! せっかくだからここで一緒に演奏してみましょうよ!」
花音「え、えっ!?」
18: 2018/08/15(水) 07:54:13.92 ID:TejnHRCr0
たえ「ギター持ってきておいて良かったね」
香澄「うん!」
こころ「じゃああたしが歌うわね!」
香澄「よろしく、こころん!」
花音「そ、そんなめちゃくちゃな……」
たえ「ロックってきっとそういうものだと思う」
こころ「そうよ! それじゃあ花音、よろしくお願いするわ!」
花音「だ、だめです……私にはそんな……人前でやるほど上手じゃないし……」
香澄「大丈夫です! 私なんてギター初めてから1ヵ月ちょっとですから!」
香澄「誰かからこう見られるからとか、そういうんじゃなくて、自分自身が楽しむことを考えましょうよ!」
たえ「流石星のヘンタイ。言葉の重みが違うね」
香澄「えへへ、そんなに褒められると照れちゃうよ」
花音「え、えっと、でも、そんな勇気は私……」
こころ「勇気がないならあたしがあげるわ! えい!」ギュ
たえ「私もあげますよ、松原先輩」ギュ
香澄「あ、私も私も~!」ギュ
花音「ふぇ、わ、分かりましたから、そんなに抱き着かないでください~!」
こころ「これで花音の勇気もまんたんね! それじゃあみんな、行くわよー!」
香澄「おー!」
たえ「おー」
花音「ふえぇ……」
19: 2018/08/15(水) 07:54:47.61 ID:TejnHRCr0
―ちょっと離れたところ―
奥沢美咲「はぁ……バイトの面接遅れるって……ちゃんと段取り組んどいてよ」
美咲「ん? なんか騒がしい……」
こころ「ららららー♪ らららーららら~♪」
香澄「いぇーい!」ジャーン♪
たえ「しゃらーん」ジャジャーン♪
花音「ふぇぇぇ……」ツッタンタタタン
美咲「うわぁ、花咲川の異空間と星のヘンタイのコンボ……」
美咲「ヤバイ人の寄せ鍋状態だよ……見ないでおこう……」
「遅れてごめんなさい、バイトに応募された方ですよね」
美咲「あ、はい。奥沢美咲と――」
……………………
20: 2018/08/15(水) 07:55:14.22 ID:TejnHRCr0
こころ「楽しかったわね!」
香澄「うん!」
たえ「ふふ、少し震えたね」
花音「あ、あの……」
こころ「花音、あなたってとっても演奏が上手なのね!」
花音「え?」
香澄「ね! 花音先輩すごい!」
たえ「震えるぞビート、燃え尽きるほどヒート、っていう感じだったね」
花音「え、あの……」
こころ「これなら素敵なバンドになりそうね!」
香澄「そうだね! あとはベースを探せばオッケーだよ!」
たえ「花音先輩、これからよろしくお願いします」
花音「え?」
こころ「それじゃあ次は商店街でやりましょうか!」
香澄「了解!」
たえ「オッケー」
花音「ええ!?」
21: 2018/08/15(水) 07:56:17.15 ID:TejnHRCr0
――商店街――
ミッシェルin美咲「え、これで?」
「はい、それで。頑張って下さい」
ミッシェル「……マジかぁ。着ぐるみでティッシュ配りかぁ……」
ミッシェル(道理で内容の割に時給がいい訳だよ……)
こころ「それじゃあ次はこのあたりで……」
香澄「はっ! あれは!」
たえ「どうしたの、香澄?」
ミッシェル「ん……げっ!?」
ミッシェル(弦巻こころと戸山香澄のご一行……なんでこっちにまで)
香澄「アレだ……私が目指すべきものはアレなんだ!」
こころ「アレ? わー、クマさんね!」
香澄「そう、あのクマのような星の着ぐるみ……それを着てライブをすることが私の使命!」
こころ「キグルミ?」
たえ「じゃあ私はウサギで」
花音「え、あの……」
こころ「よく分からないけど、あのクマさんが必要なのね! それじゃあベースとしてスカウトしましょう!」
香澄「うん!」
こころ「おーい、クマさーん! あたしたちと一緒に遊びましょー!」
ミッシェル(うわこっち来た! お願いだから来ないでよ! 巻き込まないで!)
ミッシェル(商店街広報の人、どうにかして!)
「え、ちょっとお嬢さん……」
黒服「商店街の広報の方ですか? ちょっとこちらへ……」
―黒服さん誠心誠意お話し中―
「……分かりました、そういうことであれば、ミッシェルはお譲りしましょう」
ミッシェル「ちょっ……」
22: 2018/08/15(水) 07:56:53.36 ID:TejnHRCr0
こころ「あなた、ミッシェルって言うのね! 今日からあなたは私たちのバンドのベースよ!」
香澄「よろしくね、ミッシェル! それと負けないよ!」
ミッシェル(いや、訳が分からないんだけど!?)
たえ「ふふ、これでバンド結成だね」
花音「えっと、あの……」
たえ「大丈夫です、花音先輩。ギターが私と香澄で、ドラムが花音先輩、ベースにクマさん、ボーカルがこころ」
たえ「これで5人揃いました」
花音「そ、そういうことじゃ……」
こころ「たえの言う通りね! それじゃあ早速バンドの名前を決めましょうか!」
香澄「だね! ポップでスターな名前がいいな!」
たえ「ウサギがいいな」
こころ「世界を笑顔にするバンドがいいわ!」
23: 2018/08/15(水) 07:57:42.83 ID:TejnHRCr0
ミッシェル(あー……なんかこれもう何やってもダメなやつかも……)
花音「…………」
ミッシェル(あの子もなんか放心してるし――)
花音「……でも、確かに楽しかったし……勇気を出して変わるチャンス、なのかな……」
ミッシェル(あれぇー? なんだか前向きなこと呟いてますねー?)
こころ「よーし、それじゃああたしの家で、みんなで考えましょう!」
香澄「そうだね!」
たえ「うん」
花音「わ、分かりました……!」
香澄「とりあえずみんなで着ぐるみ着ようよ!」
こころ「キグルミ? って何かしら?」
たえ「……なりたい自分になれるもの、かな?」
こころ「それは素敵なものね!」
ミッシェル「…………」
ミッシェル(……なにこれ)
その後、星のヘンタイ戸山香澄と花女の異空間弦巻こころが率いるキグルミバンドが色んなところで色々な意味で話題になるのでしたとさ
もしも戸山香澄が着ぐるみだったら おわり
24: 2018/08/15(水) 07:59:40.86 ID:TejnHRCro
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