1: 2007/03/06(火) 18:27:09.75 ID:Uweuyroq0

28: 2007/03/06(火) 19:00:28.22 ID:bAXKqb/1O
「そしたら…レナが…レナが…」



圭一の手が小刻に震え、目からは涙がとめどなく溢れていた。

俺は少しでも圭一が落ち着くように肩に手をかけてやった。


「落ち着くんだ…深呼吸して…心配ないから。話がしづらいのなら俺をゴミの山まで案内してくれるかい?」


「はい……阿部さん…本当に…本当にすいません…。」


「………謝るんじゃねぇ。……謝るな。」
くそみそテクニック スクリーンクリーナー 阿部さん

35: 2007/03/06(火) 19:12:47.01 ID:bAXKqb/1O
バンに乗って移動する事約10分……圭一が言う問題のゴミの山に到着した。


「ここがそうか?」


圭一が静かにうなづく。


「あの……阿部さ………」


「黙ってろ!!今は何も聞きたくない!!」

38: 2007/03/06(火) 19:22:30.69 ID:bAXKqb/1O
ゴミの山に足を踏み入れる。
不法投棄だろうか……生活家電から工事現場の廃材までゴミは様々だ。


「あの…そこです…。」


圭一が指さす方向に目を向ける…。


絶句した。少し開けた空き地のようになっているそこは一面が血の海で、周りのゴミや草木にも血が飛び散っていた。


錆びにも似た濃厚な血の臭いが鼻をついた。


そしてその血の海のちょうど中心に………仰向けになって倒れているレナがいた。


彼女の傍らにはコスモスの花びらをあしらった可愛らしい傘が開いたまま転がっていた。

45: 2007/03/06(火) 19:34:42.81 ID:bAXKqb/1O
「おい、圭一……お前…どうかしちまったんじゃないのか?」


「彼女がその……やってる最中に隠していたナタで……いきなり…それで怖くて……」


「…逆にナタを奪って頃した………そうなのか?」


再び圭一は静かにうなづいた。


阿部は血の海の中に足を踏み入れた。レナの非難がましく見開かれた目が空を睨んでいた。


胸にナタでメッタ斬りにされた傷跡が生々しく残っている。



制服ははだけて胸が露になっている……そして捲り上げられたスカートと片足の途中までずり下げられた白いパンツ……からかすかに血がにじんでいた。



57: 2007/03/06(火) 19:47:12.74 ID:bAXKqb/1O
ふ…と、阿部の脳裏にあらぬ光景が浮かんだ。


圭一が放課後、突然レナをゴミ山に呼び出す。


そして、ゴミ山でコスモス柄の傘をさして、圭一を待つレナ……その背後からナタを携えて忍びよる圭一。


ナタを携えた圭一に気付き、うろたえるレナに襲いかかる圭一。

傘はその時にレナの手から離れ、地面へ…。


あとは圭一がレナを襲い、口封じにナタでメッタ斬りにして頃す。


頃したはいいが氏体の処理に困り、誰かの助けが必要になる。そこで白羽の矢がたったのが俺……阿部高和………。

71: 2007/03/06(火) 20:07:20.03 ID:bAXKqb/1O
「おい、圭一…」


「はい。」


「……ちょっとこっちへ来てみろ」


「え?…でも……阿部さ…」


「いいからこっちへ来い!!」


俺の怒鳴り声に圭一がビクンと小さくすくみ上がる。

圭一がしぶしぶゆっくりと……なるべく氏体を見ないようにこちらへ歩いて来る。


「お前…俺に何か隠し事なんかしてないよな?」


「……何をいきなり」


「してないよな?」

84: 2007/03/06(火) 20:13:12.46 ID:bAXKqb/1O
「……してません。」


「俺の……俺の目を見ろ……」


「阿部さん……。」


「見ろ!……いいか!これは冗談でした、で済む事態じゃねぇんだ。…お前がレナを…レナを頃したんじゃないんだよな?」


「違います……違います…。」


「いいか……俺だってお前を助けてやりたい…出来る限りの事をしてやりたい………だがそれにはまず本当の事を知らなくちゃならない。…分かるな?」


「……はい。」

92: 2007/03/06(火) 20:21:18.14 ID:bAXKqb/1O
その時だった…突然誰かが咳き込む音が聞こえた……。

レナだ……レナが息を吹き返したのだ。


苦しげにあえぐような呼吸が聞こえた。レナは肩で息をしている。


「……痛い……痛いよ……誰か…助けて……」


悲痛な懇願の声がレナの口から漏れた。


圭一の怯えようといったらなかった。

105: 2007/03/06(火) 20:28:47.36 ID:bAXKqb/1O
阿部はレナに声をきかれないように小声で圭一に話しかけた。


「息を吹き返したぞ……一体これからどうするんだ?…診療所へ連れてけばまだ間に合うぞ。それともこのままとどめをさすのか?」


「……分かりません……分かりません…許して…許して……。」


ガタガタと圭一が震える。


「…とりあえず彼女をガレージへ運ぶぞ…ていいな?」

119: 2007/03/06(火) 20:36:34.58 ID:bAXKqb/1O
俺は彼女に近付くと屈みこんで、はだけた制服を直して、ボタンを止めてやった。このままだと不憫で仕方がない。


「…阿部さ…ん……助けて…圭一くん……圭一くんが…。」


阿部は答えずに無言のままパンツをはかせてやった。白いパンツに血がにじむ……。

141: 2007/03/06(火) 20:46:07.21 ID:bAXKqb/1O
阿部はレナを抱き上げ、バンのトランクに詰め込んだ。


「え?……私を…どうする気なの……怖い…怖いよ……阿部さん…怖いよ…。」


レナの悲痛な叫び声がトランクから聞こえた。


圭一はずっと耳を閉じて震えたままだった。


どうする気なんだ……お前は彼女をどうする気なんだ…。

阿部は自分自身に問いかけた…。


答えは……返ってこない

155: 2007/03/06(火) 20:59:57.02 ID:bAXKqb/1O
レナの胸の傷は恐怖のためか…はたまた単に傷が浅かったのか…それ以上出血はしなかった。


ガレージに運び、彼女を机に寝かせる。


「いや……もう…止めて…帰りたい…家に帰りたいよ…。」


レナが泣きながら阿部にすがりつく。


「圭一……一体これからどうするつもりなんだ。」


「やむを得ません診療所にいきましょう……」

186: 2007/03/06(火) 21:22:17.59 ID:bAXKqb/1O
「イヤッ!……診療所イヤッ!……アソコはいや……お願い!…あそこだけは…アソコはだけは連れてかないで!」


診療所という単語を聞いた途端にレナはすさまじい拒否反応を起こした。


「…診療所にいかなきゃ…傷の手当てが出来ないだろう?」


「……お願い!あそこにいくんなら…お願い!ここでして!お願い!」

201: 2007/03/06(火) 21:32:24.03 ID:bAXKqb/1O
レナは目を見開き、机の端を掴んで泣き始めた。


「仕方がない……俺が診療所に連れてく…。レナ?レナ?……ここでは手当てが出来ない…診療所に連れてく。」


「ヤダ!…ヤダ!…お願い!阿部さん!…家に帰りたい!帰して!…お母さん!お母さん!助けて!」


まるでだだをこねた子供のように泣きじゃくり、悲鳴をあげる。


「レナ…レナ!行かなきゃ駄目なんだ!ばい菌が入ったらどうするんだい?」

212: 2007/03/06(火) 21:40:12.37 ID:bAXKqb/1O
手がつけられない程に暴れるレナ…。一体なんなんだよ!!


「ラチがあかない…おい圭一……そっちを押さえてろ車に運ぶぞ。診療所へ連れてくんだ。」


「イヤッ!イヤッ!…お願い離して!…氏にたくない!氏にたくないよ!」


「何をいってるんだ…氏ぬだなんて…。」


「…阿部さん……診療所行くの止めません?…やっぱり頃しましょう…。」


圭一がぼそりとそう言った…。

壊れてる…何かが壊れ始めている…。

235: 2007/03/06(火) 21:52:15.86 ID:bAXKqb/1O
「何を言ってるんだ圭一…気は確か?」


「だってそうじゃないですか……阿部さん。生かしておいても我々にメリットは何もないし、おまけに診療所にいくのにダダをこねる始末…。俺は勿論ですが…阿部さん、あなたも逮捕されるんですよ?」


圭一のこの言葉にはグサリときた。的確だ…的確なのだ。


もしレナを診療所に運び込めば俺達の犯罪も白日の下に晒される…。

やはりレナを頃すしかないのだろうか…。


阿部はレナの方をチラリと向く。

今の会話が聞こえていたのだろう…顔を真っ青にしている。


「氏にたくない…氏にたくない……お願い…家に帰りたい。」

248: 2007/03/06(火) 21:59:11.22 ID:bAXKqb/1O
「…馬鹿馬鹿しい…人の命にメリットもデメリットもあるもんか!俺は逮捕されようがなんだって構わない!レナを助けるからな!」


俺はレナを担ぎ上げた。レナの暴れようといったらなかった。


「圭一…お前はここで頭でも冷やしてろ。レナは俺が診療所へ運ぶ。」


「阿部さん……後悔はしませんね…。」


「……ああ…。」

254: 2007/03/06(火) 22:01:04.66 ID:bAXKqb/1O
>>245

別にいいぜ。俺に著作権とかそういう概念は無いんだぜ?

265: 2007/03/06(火) 22:06:44.16 ID:bAXKqb/1O
「阿部さんは何もわかってない!……アソコは恐ろしい所なの!夜なんかに行ったら何が起こるか分からない!…イヤッ…嫌だ!」


レナが車内で叫び声をあげまくる。
言ってる事が支離滅裂だ。


「大丈夫だ!心配ない!……入江先生はいないが……鷹野さんがいる。安心しろ。」


「そんなの余計駄目じゃない!……止めて…お願い!阿部さん!このまま家に帰してよ!…帰りたい!」


「ああ…だが手当てが先だ。家に帰るのはそれからだ。…大丈夫だ。心配ない。診療所には俺もついてくから。」

294: 2007/03/06(火) 22:25:07.95 ID:bAXKqb/1O
診療所に着いた…昼間に見た診療所とは違い、夜の診療所は一層不気味だった。


「さあ…レナ、行こう。……心配ない。俺が側についてるから。」


俺はレナの手を優しく握り締めた。彼女のか細く、それでいて柔らかい手の平が阿部さんの手を握り返す。


「……約束だよ…阿部さん、ずっと一緒にいてね。」


「所で…レナ?」


「なに?」


「お前が圭一を襲おうとしたってのは…本当なのか?」

304: 2007/03/06(火) 22:32:00.43 ID:bAXKqb/1O
「教えてもいいけど……阿部さん…誰にも言わない?」


彼女のクリクリとした可愛らしい目が不安そうに俺を見つめる


「…ああ。神に誓うよ……。で…真相は一体なんなんだ?」


「実はね…この傷つけたのも、私と交わったのも…圭一くんじゃないんだ。」


「え?………詳しく聞かせて貰えるかい?」

316: 2007/03/06(火) 22:36:22.26 ID:bAXKqb/1O
「確かに圭一君を呼び出したのは私…………告白するために呼び出したの…。」


阿部は心底ホッとした。
圭一が襲った訳でもなければ、レナがさそった訳でもない…じゃあ一体誰が…。


「それで…どうしたんだい?」

328: 2007/03/06(火) 22:42:31.13 ID:bAXKqb/1O
「私…傘をさしてまってたの…そしたら、しばらくして圭一君が来たの…でもね…圭一君がいきなり倒れたの…ナタの柄で頭をあの人に殴られて…。」


圭一の頭と手についていた擦り傷…これで説明がつく…。


「それで圭一君気絶して………多分記憶が混濁して……自分が私に襲われたと…思いこんだみたい。」

342: 2007/03/06(火) 22:52:26.92 ID:bAXKqb/1O
俺はレナの手を一層強く握り締めた。
レナの目は涙でうるんでいた。


「おしえてくれないか?……あの人とは…一体誰なのかを…」


「それは…x。」


コンコン!


唐突に車のサイドガラスをノックされて、阿部は飛び上がるほど驚いた。


「あら、阿部さん……こんな時間に診察ですか?」


鷹野三四だ。

364: 2007/03/06(火) 23:16:07.90 ID:bAXKqb/1O
「あ…ああ、ちょっと見てもらいたいんだ…彼女の傷を。」


「ふぅん…じゃあちょっと診療所まで来てもらえる?」


鷹野はレナを一瞥すると、診療所の方を指さした。

365: 2007/03/06(火) 23:19:19.64 ID:bAXKqb/1O
「阿部さん……。」


レナが俺の袖にしがみつく。レナは震えていた。


「大丈夫…心配ないさ。さあ…行こう。」


俺は車を降りた。


「さあ…阿部さん…こちらです。」

369: 2007/03/06(火) 23:25:05.86 ID:bAXKqb/1O
「さあ…上がって下さい…今診察の準備をしますから。」


俺は震えるレナの手を引きながら、診療所の玄関から待合室へと向かった。
相変わらず酷い腐臭がする。


「阿部さん……怖いよ…怖い。」


レナが泣き出した。可愛らしい目から涙がこぼれ、グズグズと鼻をすする。


「心配いらないよ、レナ…。この阿部さんがついてるじゃないか。」

379: 2007/03/06(火) 23:31:02.60 ID:bAXKqb/1O
「阿部さん…診察の準備が出来ました。それとこの子には安静が必要みたいです。入院の準備もしておきますね。」


「ああ、ありがとうございます…。それで…診察は誰が…。」


「私がやります…。」


鷹野は聴診器を取り出した。
そしてレナの制服のボタンを一つ一つ外していく……。


「ヒッ……ンッ…」


再び彼女の傷だらけの胸と…O房が露になる。

388: 2007/03/06(火) 23:36:41.89 ID:bAXKqb/1O
鷹野が遠慮なしにレナの成長途中のふっくらしたO房に聴診器をあてる。それもわざとらしく…。


「何故……わざわざ待合室で診察をするんですか?」



「ご存じないんですか?入江先生が診察室で自殺なさって以来、血の臭いがこびりついてとれなくて……それに……」


「それに…なんです?」


「入江先生の幽霊がでるようになって…今は封鎖してます。」

397: 2007/03/06(火) 23:42:27.54 ID:bAXKqb/1O
「そんな…そんな馬鹿な事が…。」


「いえ…本当ですよ。それに夜な夜な病院の中を歩き回るからたまりません……ほら!阿部さんの後ろに!」


鷹野が俺の後ろの廊下を指さす。


俺は慌てて振り返った…誰もいない…。


「クックッ…冗談です。からかっただけですよ。」


この女…一体何を考えてるんだ…。

410: 2007/03/06(火) 23:47:39.58 ID:bAXKqb/1O
「彼女は入院させます。阿部さんは一旦お引き取り願いますか?」


「…阿部さん……側にいて…お願い……。」


「鷹野さん…出来れば入院はちょっと…」


「阿部さん…ちょっとお話があります。」


鷹野が強引に俺の腕を引っ張り、廊下の奥へと連れこんだ。


「一体どうしたんですか?」


「阿部さん、あなたはここには来なかった…それでいいかしら…。」

412: 2007/03/06(火) 23:48:44.75 ID:bAXKqb/1O
>>408


打撲による意識の混濁…あるいは………。

426: 2007/03/06(火) 23:58:36.44 ID:bAXKqb/1O
「鷹野さん!アンタ何を言って……。」


「あなたはここには存在しなかった…そしてレナちゃんも…。」


「………一体なんのつもりなんだ!」


「あとは私に任せて下さい…そうすれば全てが丸く修まります。」


「…俺にどうしろと?」


「レナちゃんを入院させて下さい…大丈夫です。あとは私たちが何とかします。」

433: 2007/03/07(水) 00:03:39.03 ID:mAb+hCYEO
「…冗談じゃない!帰らせてもらう!」


「アナタ……聞きわけはいいほうだと思ってたのに…残念ね。」


「今日は薬を貰って帰らせてもらう。……アンタ…狂ってる!」


「あらそう…。じゃあ勝手にすればいいじゃない!」


「ああ…そうさせてもらう!」


「言っとくけど……夜道の背後には気をつける事ね……。」

441: 2007/03/07(水) 00:08:01.55 ID:mAb+hCYEO
「黙れこの野郎!掘るぞ!」


俺は激情にまかせて看護婦を突き飛ばした。


「キャッ……痛い…。」


「とにかくだ…おれは脅しになんか屈しないからな。必ずお前の化けの皮を剥いでやる!いいな!」


俺は踵をかえすと待合室に戻り、無言でレナを抱き上げ、診療所から出た。

久しぶりに爽快な気分だった。

484: 2007/03/07(水) 00:42:20.56 ID:mAb+hCYEO
すまない……今日はこのぐらいで…勘弁して下さる?

610: 2007/03/07(水) 15:30:30.46 ID:mAb+hCYEO
ごめんね。遅筆でごめんね。


不定期でごめんね。


代わりにスレッドたててくれた>>1ごめんね。

613: 2007/03/07(水) 15:38:14.12 ID:mAb+hCYEO
とりあえずレナを車に載せる。

俺は一息つくと何ヶ月も止めていたタバコに火をつけた。



タバコの煙が目にしみる。


「レナ……お前の胸の傷は致命傷ではなかった……。これが何を意味してるのか分かるな?」


「あの人からの……警告…余計な事を喋るなって…。」

626: 2007/03/07(水) 16:12:12.81 ID:mAb+hCYEO
「そうだ。いつでもお前を殺せるという意思表示だな。……教えてくれないか?あそこでおこった本当の事を…。」


「そんな事したら私……オヤシロ様に…祟られる……。」


「……分かった…。言いたくないならそれでいい…だが、圭一を呼び出したのは単に告白のためじゃないだろ?なんなんだ?」


「……私…圭一君の事が憎かったの……だって…だって……私がここまで圭一君の事を想っているのに…圭一君は阿部さんと……だから憎かった…壊したかった…私だけの物にしたかった!!!」


突然レナが大声を上げた。
あの氏んだ爬虫類のような目で…。
俺の背中を冷たい何かが通り過ぎる。

629: 2007/03/07(水) 16:21:21.30 ID:mAb+hCYEO
「だから…本当は昨日も今日も圭一君を頃すつもりで来たのよ……分かる?阿部さん……。」


「ああ…分かった…。」


車内に重い空気が流れる。
俺はフィルターまで到達したタバコを窓から投げ捨てた。今更自然保護などもう関係ない!!


「それで……お願いがあるんだ。」


「…なに?」


「本当に誰にもいわない…言わないから…お前を襲った本当の犯人を教えてくれないか?。」

631: 2007/03/07(水) 16:36:51.11 ID:mAb+hCYEO
「阿部さん…誓って…誰にも言わない?…でないと私…オヤシロ様に殺されちゃう…。」


「レナ……信じてくれ…誰にも言わないよ。」


「阿部さん…私…怖くて…不安で…それで…」


レナの冷たい手が開いた胸の部分からつなぎの中に入る…中でいやらしくうごめく。

657: 2007/03/07(水) 18:33:22.94 ID:mAb+hCYEO
「レナ……レナ…今夜は俺の家に泊まれ…不安なのは仕方がないさ。」


「阿部さん……ありがとう…。」


レナの目が涙でうるむ…。


「なあに…心配するな。この阿部さんのボディガードだぜ?
ケビンコスナーよりも頼もしいぜ?」

661: 2007/03/07(水) 18:38:08.31 ID:ARXXOQ+N0
阿部VSセガール ふと頭に浮かんだ・・・

666: 2007/03/07(水) 18:53:01.10 ID:mAb+hCYEO
家に着く。雨は依然として強く降り続く…。


阿部は玄関を開けて彼女を家に招き入れた。


「さあ……ここだ、メシにしようか…。何がいい?やっぱりカレーライスだな。」


「ねぇ阿部さん…?少し胸が苦しいの…見てくれる?」

676: 2007/03/07(水) 19:14:22.78 ID:mAb+hCYEO
「レナ…いけないよ……。」


俺はレナの露になった胸元から目をそらした。刃の方で斬られた傷は浅いが、峰で殴られた痣は脆そうな胸元には相当痛々しかった。

これほど強く殴られたら…最悪…氏…。


「阿部さんにも見てもらいたいの…あたしの本当の姿を…。」


胸が密着する形でレナが阿部にすりよる。心地よい感触が阿部の背中を走る。

683: 2007/03/07(水) 19:24:38.21 ID:mAb+hCYEO
「阿部さん……もう頼れるのはあなたしかいないの…お願い…私を守って…。」


「レナ…。」


こんな…いけない!レナとは友達だ!こんな男と女の関係になっちゃいけない…こんな…こんな…。


「レナ…ごめんよ…お前を確かに守ってやる……だがお前を抱けない…すまない。」


「なんで…?阿部さん本当にゲOだったの?」


「………………。」


「何で圭一君はよくて私は駄目なの!ねぇ!何で!?そんなに私に魅力がない?そんなに私が嫌い?ねぇ…抱いてよ…阿部さん…阿部さん!!」


「………すまない…抱けないんだ…。」

685: 2007/03/07(水) 19:27:03.43 ID:ZvpfhDWX0
抱いてよバーニィ!

687: 2007/03/07(水) 19:29:22.68 ID:mAb+hCYEO
「ウッ…クッ…グスッ…酷いよ阿部さん…。酷いよ…。」


「…お前も含めて皆とは……友達のままでいたいんだ…。頼む…俺の気持ちを分かってくれ。」


「うん…分かった……グスッ…取り乱してごめんね…。」


「……体…冷えただろ?風呂に入ってこいよ。温まるから…な?俺はカレーライスを作って待ってるから、先に入って来い…。」


「うん…ありがとう…阿部さん。」

702: 2007/03/07(水) 19:35:43.23 ID:mAb+hCYEO
レナは立ち上がり…風呂場へ向かった。俺は煮たってグツグツいっている鍋に向かい、カレーの出来具合を確認する。

うん…上出来だ。


俺はカレーを皿によそい、テーブルに置いた。二人分。


一つは俺…一つはレナ…。
カレーは湯気を立てて、食べられる瞬間を今か今かと待っている。


外で雷がなる…。

707: 2007/03/07(水) 19:40:38.19 ID:mAb+hCYEO
20分が経過し…30分…とうとう一時間が経った…。


遅い……いくらなんでも…。


阿部は椅子から立ち上がるとすっかり冷めてしまったカレーライスにラップをした。

「レナ!…カレーライス冷めちゃったぞ!そろそろ上がれよ…。」


返事はない。

724: 2007/03/07(水) 19:49:44.92 ID:mAb+hCYEO
「レナ?…どうした?何かあったのか?」


やはりあんな酷い怪我をした女の子を風呂にいれたのが行けなかったのか…軽い消毒と止血剤…それと抗生物質の投与だけしかしていない。


傷口は浅い……だが、ナタの峰での打撲は…分からない…もしかしたら…打撲が考えていたよりも重大な怪我だったのかも…。


俺は急いで風呂場へ向かった。脱衣所にはきちんと畳まれた泥だらけのレナの制服と下着…それに俺が貸したパジャマがある…まだ風呂場にいる!
俺は風呂場のドアに手をかけた。

「レナ?レナ?…入るぞ!」

731: 2007/03/07(水) 19:56:55.74 ID:mAb+hCYEO
返事はなかった…。

畜生!俺が…俺が風呂に入れなんて言わなきゃ…。

そんな後悔を胸に、阿部は風呂場のドアを押し開けた!



「そんな……そんな……」


レナはそこにはいなかった…。


盛んに湯気を立てる湯船……開け放たれたドア…そして湯船に浮かんだ洗面器に何か入っている……。何だこれは…。
阿部は洗面器を覗きこんだ。

「うわぁ…何でこんなことに?何で…何で?」


そこに入っていたのは…血で何か書かれた紙切れと……。


…剥がされて間もない人間の生爪数枚……。

745: 2007/03/07(水) 20:08:41.71 ID:mAb+hCYEO
「鑑定の結果……この爪は竜宮礼奈の物である可能性が極めてたかいという結果がでました。…そしてこの書面に書かれた血文字の血も…彼女の物である可能性が極めて高い…。」


俺はビニール袋に入れられて机の上に置かれた血文字の手紙を睨みながら、大石の話を聞いていた。


【貴様は喋りすぎた!】


そう書かれている…。
ふざけるんじゃない!!
俺の中で何かが壊れていく…人として大切な何かが…。


「この爪は…多分ペンチのような物で剥がされたのだと思います…相当痛かったでしょうねぇ…阿部さん…聞きませんでした?…悲鳴とか苦痛の叫びとか…。」


「いえ……聞いていません…。」

772: 2007/03/07(水) 20:31:29.23 ID:mAb+hCYEO
「本当ですか?…相当な苦痛ですよ?…生爪を剥ぐなんて…。それも女の子の生爪をだなんて…。本当に聞いてません?」


大石が俺の顔を覗きこむようにしてたずねた。


「ええ……聞いていません…。くどいですね…さっきから…。」


「すいませんねぇ…くどいのは刑事の専売特許でしてね。それと…窓枠と浴室の床に泥が付着していました…多分犯人は窓から土足で侵入して被害者を拷問した後、拉致したのでしょう…。何か見ませんでしたか?」


「いえ…何も…。」


「そうですか……では…あなたその時何処にいました?」


「居間で食事の用意をしてました…カレーライスです。」

781: 2007/03/07(水) 20:38:50.79 ID:mAb+hCYEO
「そうですか……。では最近彼女に何か変わった様子はありませんでしたか…?」


おれは大石にそう聞かれてドキッとした。色々と当てはまる事がある……だがこの刑事相手にそれらの事を話す事は躊躇われた。


「いえ……何も…。」


「そうですか……では阿部さん…最後の質問です…いいですかな?」


「………はい、なんでしょう。」


「年頃の女の子を家に招き入れて、風呂にまで入れさせて…アンタ一体何しようとしてたんですか?」

797: 2007/03/07(水) 20:51:13.95 ID:mAb+hCYEO
「……いえ…ただ…彼女が怯えてたので…カレーライスをごちそうして……。」


「ごちそうして……ヤろうって訳ですか?…ンッフッフ…うらやましい限りですねぇ…阿部さん。是非とも私も仲間にいれてもらいたい…。」


「そんなんじゃねぇよ!!何が言いたいんだアンタ!いい加減にしろ!!」

802: 2007/03/07(水) 20:56:06.80 ID:mAb+hCYEO
「しかしですね……阿部さん。アナタの周りで不可解な事が起きすぎだ…。入江先生の自殺もそうですし。…あなたの家に寄った後ですよ?彼が自頃したのは…。遺書も不可解で…」


「……遺書を見せて下さい…。何が書いてあったんですか…。」


「……証拠品を見せる訳にはいきません…。」


「……そうやって…そうやって誤魔化すつもりなのか?!」

811: 2007/03/07(水) 21:03:13.24 ID:mAb+hCYEO
「…誤魔化してはいません……規則でしてね…部外者に見せる訳にはいかないのです…。」


「……ああ…そうかい…刑事がそう言えばなんだって誤魔化せるもんな?」


「……いい加減にして下さいよ、阿部さん。……私を怒らせない方がいい…。」


刑事が睨みをきかせて俺の方を眺めた…。

どうやら一歩も引かないつもりらしい…。

畜生!このタコ野郎…。

823: 2007/03/07(水) 21:11:02.53 ID:mAb+hCYEO
「大石さん…大石さん……大変です!」


「何だ?取り調べ中だぞ!」


睨みあいが続く中、取り調べ室のドアが唐突に開き、大石の部下らしき人物が大慌てで入って来た。


「実は………。」


部下と思われる人物が大石に耳打ちする…大石の顔がみるみるうちに厳しい顔付きになる……。


「そうか…分かった……阿部さん、竜宮レナが発見されたそうです…。」


「発見……された…?」


良くない響きに俺は嫌な予感……いや、必然的な予感を感じた…。


「レナ……。」

828: 2007/03/07(水) 21:15:17.43 ID:mAb+hCYEO
「阿部さん…現場に同行願いますか?」


うなだれた俺の肩に大石の分厚い手が置かれる…。


「はい…分かりました…。」


俺は大石に従った。

831: 2007/03/07(水) 21:20:48.78 ID:mAb+hCYEO
現場は村はずれのゴミ山…。

立ち入り禁止の黄色いテープが周囲に巻かれ、何台もの警察車両が脇の国道で回転灯を光らせていた。


「阿部さん…ホトケを見ますか?」


パトカーを運転していた大石がバックミラーでこちらを睨みながらたずねて来た。


「あまり気持ちのいいものではありませんがね…拷問して殺されたそうですから…。」


「……いえ…見せて下さい」

842: 2007/03/07(水) 21:36:36.84 ID:mAb+hCYEO
パトカーから出て、ゴミ山の方へと警察関係者を縫うようにして歩いていく……。


「名前は竜宮礼奈……性別は女……全裸で発見…全身に拷問を受けた痕跡あり…拷問の痕跡とは…どれどれ……こりゃ酷いな…ホトケに同情するぜ…。」


大石が渡された資料に目を通して、そう呟く。
一体レナはどんな目にあって氏んだのだろうか……それを考えると胸が張り裂けそうになる。


しばらくすすむと…ちょうど警察官が白い布を被せられた何かを担架で運ぼうとしている最中だった。

白い布には所々血がにじんでいた。

851: 2007/03/07(水) 21:46:36.25 ID:mAb+hCYEO
「阿部さん…見ますか…顔を…。」


「ええ…お願いします……。」


大石は白い布の前で手を合わせて拝んでから、それを捲り上げた。


阿部の中でとうとう何かが音を立てて壊れた。


恐怖と苦痛のためか、レナの顔は真っ青になっていた。…生前に悲鳴でも上げたのだろうか…氏後もなお、その口は大きく開かれ、目は非難がましく空を見上げていた。


「これが…これがレナなんですか……?」


「彼女…生きたまま肋骨を抜かれてました。直接の氏因はその外傷性ショックによる窒息氏ですよ。…痛かったんでしょうね……脳が氏を選ぶほど…。」

873: 2007/03/07(水) 21:52:40.41 ID:mAb+hCYEO
俺の中で蓄積された何かが一気に放出され、そしてそれが全身へと流れ込む…。


そして、俺は泣いた…大声をだして……入江先生のために……レナのために……皆のために…そして自分自身のために…。


何故だ!何故彼女がこんな酷い目にあわなくちゃならない!あんまりだ!不条理だ!……あまりにも。

894: 2007/03/07(水) 22:00:25.52 ID:mAb+hCYEO
全てが修復不可能なまでに崩壊してしまった…。もう後戻りは出来ない…。

俺に残された使命…それは、レナの敵をうち、この村の謎を解き明かす事だ!


今思えばそもそも何故こんな村に住むことになったのだろうか…。

俺さえ来なければ…こんなことにはならなかった…。

909: 2007/03/07(水) 22:14:37.17 ID:mAb+hCYEO
「こりゃ酷いな……コイツは膝の皿まで抜かれてる……氏後抜かれた事を願いたいね…。」


「……許せない…許さないよ!」


阿部はこの時決意した……もう元通りにならないのなら…せめて…せめて皆には幸せな暮らしを送ってもらいたい…。

936: 2007/03/07(水) 22:24:32.56 ID:mAb+hCYEO
大石の尋問を終えると阿部は、とりあえずガレージへ戻った…。


シャッターが開けたままになっていて、電気が付けっぱなしのままだ。

圭一がいない。まあ当然か。あれから何時間もたっている…帰ったのだろう…きっと…。


阿部は道具箱からドライバーを取り出して、つなぎの腰に挟んだ。

いつでも俺を頃しに来てみろ!俺は絶対に氏なないからな!

次回:阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです。【その4】


引用: ひぐらしのなく頃に阿部高和が雛見沢村に引越して来たようです