1: 2009/05/06(水) 13:59:54.05 ID:Fd0OjR360
今まで本当に色々な世界を巡ってきた。
圭一がいない世界もあったし、みんなが症候群にかかった世界もあった。

しかし、こんな世界は始めて。

「お、梨花ちゃん おはよう」

「み、みぃ・・・・・・ おはようなのですよ、圭子」

さいころの目とかもうそういう次元じゃない。
ここは、圭一が女になっている世界。
ひぐらしのなく頃に令 色尊し編 2巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)
3: 2009/05/06(水) 14:06:35.74 ID:Fd0OjR360
前原圭子、最近引っ越してきた前原屋敷の ご令嬢。
ボーイッシュな雰囲気の女の子。

「梨花ちゃん 僕を見つめてどうしたの?」

私のにぱー☆とは違った爽やかな笑顔を見せる。
っていうか、僕ッ子被ってるんですけど

「い、いえ・・・・・・ 何でもないのです」

圭子が首を傾げ「そう?」という声を背に自分の席へと小走りで向かった。
圭一のことを知っているだけに、物凄く寒気がする。

9: 2009/05/06(水) 14:13:16.74 ID:Fd0OjR360
授業中も、圭一とは違いまじめだった。
きちんとノートを取り、寝ている魅音を起こし、レナの分からないところを解説する。

コツン、と頭に軽い痛みを感じた。

「古手さん、前原さんじゃなくて教科書を見なさい」

「みぃ、ごめんなさいなのです」

先生が黒板に向かい、生徒に背を向けたのを見計らって再び圭子の方を見ると
圭子が私に向かって微笑んでいた。

13: 2009/05/06(水) 14:19:29.67 ID:Fd0OjR360
「それじゃ、部活を始めるよ!」

1日の授業が終わると同時に魅音が叫ぶ。
その叫び声にいつものメンバーが集まる。

ただ、いつもと違うのは圭一ではなく圭子ということ。

「オーッホッホッホ! 今日はこの私が華麗に優勝してみせますわッ!」

「メ、メイド服の圭子ちゃんを・・・・・・お持ち返りするんだよ!だよ!」

「梨花ちゃんも早くきなよー」

ランドセルにパパッと荷物を入れて、皆の元へと向かった。

18: 2009/05/06(水) 14:24:21.76 ID:Fd0OjR360
結果から言えば、優勝したのは私。
ビリは圭子。

「梨花ちゃんは強いなぁ」

圭子がしみじみと言う。

「圭ちゃんが勝負に出すぎるんだよ、もう少し冷静にならないとね」

魅音は人の事を言えるのかな・・・・・・?

「僕の言う事を聞いてもらうですよ、圭子」

勝利者こそが絶対のこの部活。
圭子の顔が少々ひきつった。

20: 2009/05/06(水) 14:29:32.89 ID:Fd0OjR360
「本当にこんな事でいいのかい?」

「圭子は僕の言う事を大人しく聞けばいいのですよ、にぱー☆」

私が命じたことは、「僕の荷物を持って一緒に帰る」。
圭子がどういう罰ゲームを想像していたかは知らないが、唖然としていた。

「どうせなら私の荷物も持つように言ってくださいまし・・・・・・」

沙都子がぶつぶつと言いながら私と圭子の間を歩く。

「沙都子は優勝していないからダメなのですよ」

23: 2009/05/06(水) 14:36:30.51 ID:Fd0OjR360
「みぃ、ようやく家に着いたのです」

圭子が荷物を降ろす。
やはり2人分は重たかったのだろうか、肩をまわしている。

「そういえば梨花ちゃんって沙都子と2人で暮らしているんだよね」

「ええ、そうですわ」

私の代わりに沙都子が答える。

「そう、何かあったら僕に言ってくれれば協力するよ」

「それじゃ」と爽やかな笑顔をふりまき、圭子が歩き出した。

26: 2009/05/06(水) 14:46:30.58 ID:Fd0OjR360
今日の夕食の当番は沙都子。
台所からトントンと軽快な音が聞こえてくる。

「明日こそは私が勝ちますわッ!」

包丁を使いながら明日に向けて気を高めている。

「みぃ、僕がいる限りそれは不可能なのです」

沙都子が「きぃぃい!」と奇声を発する。

・・・・・・平和だ。

29: 2009/05/06(水) 14:53:55.26 ID:Fd0OjR360
沙都子の作った料理が机に並ぶ。
美味しそうな味噌汁、野菜炒め

いくつか前の世界で沙都子が圭一に作ったことを思い出す。
少し気に入っていた世界だったなぁ。

「なーに遠い目をしているんですの? 味は保障しますわ」

「それじゃ食べてみるのですッ!」

沙都子が「頂きます」を言う前にフライングで野菜炒めを口に運んだ。

「あ、こらッ!」

沙都子も追うように箸を持つ。

美味しい。

33: 2009/05/06(水) 15:01:55.25 ID:Fd0OjR360
あっという間に食べ終わった。
量は結構あったと思ったのになぁ。

「美味しかったのですよ、沙都子」

沙都子がにぃっと子供染みた、あどけない笑顔をする。

「それは良かったですわ」

作るのは1人でも、後片付けは2人でする。
そうでもしないと、感謝している気にならない。

「僕は茶碗を洗うから沙都子は机を拭いて欲しいのです」

35: 2009/05/06(水) 15:08:19.18 ID:Fd0OjR360
1日のうちにやるべき事を全て終え、あとは眠るだけになった。

「梨花ァー、もう電気消しても大丈夫ですの?」

眠たそうに目をこする沙都子。

「ええ、僕ももう少ししたら寝るのです」

電気が消えると同時に沙都子が布団に倒れこむ。
やがて「すぅ・・・・すぅ・・・・」と寝息が聞こえてくる。

「・・・・・・」

「羽入、この世界の事がわかった?」

37: 2009/05/06(水) 15:12:42.89 ID:Fd0OjR360
スッと羽入が姿を現す。
半透明だし、浮いているし、私以外が見たら幽霊だと思うだろう。

「あぅあぅ・・・・・ぼくは幽霊なんかじゃないのですッ!」

しまった、口に出ていたらしい。

「うるさいわね。それでこの世界はどうなの?」

羽入が少し頬を膨らませながら質問に答える。

「この世界は圭一が女になっている以外には、特に変わりはないのです」

38: 2009/05/06(水) 15:18:52.65 ID:Fd0OjR360
「・・・・・・それだけ?」

自信満々に胸を張りながら「はいなのです」と答えた。
1日かけて調べまわって、それだけ?

「まぁいいわ・・・・・・、また何か分かったら教えて」

頭が痛い、もう寝よう。

「梨花、今度こそは頑張るのです」

スッと消える羽入を細めで見送ってから、意識が消えた。

40: 2009/05/06(水) 15:28:24.55 ID:Fd0OjR360
「梨花ァ! 起きてくださいまし!」

ゆさゆさ、と揺さぶられる。

「みぃ・・・・・・あと5分だけ時間が欲しいのです」

「後5分も何も今すぐに家を出ないと遅刻ですわよッ!」

チラッと時計を見ると、あと10分で始業のベルがなる時間だった。
仕方なく、「ふあぁ」と欠伸をしながら起きた。

「早く着替えて顔を洗わないと大ピンチですわッ!」

41: 2009/05/06(水) 15:35:37.86 ID:Fd0OjR360
散々だった。
慌てていたから道で転ぶし、学校では智恵に怒られるし、弁当は忘れるし。

「梨花・・・・・、おなかすきましたわ」

「沙都子、あと2分で弁当の時間なのですよ」

もう魅音達に少しずつ分けてもらうしか
この飢えを乗り切る方法はなかった。

キンコンカンコン

チャイムが鳴ると同時に、机を移動した。
もちろん、魅音の席に

「くっつけるのですよ、ぺたー☆」

43: 2009/05/06(水) 15:40:25.59 ID:Fd0OjR360
「なるほど、寝坊して弁当を忘れたんだね」

魅音が手を差し出してくる。
神の手か、と手を握る

「仲間だね、梨花ちゃん!沙都子!」

「みぃ、魅ぃも寝坊しちゃったのですか?」

魅音が横に首を振る。
じゃあどうして・・・・・・?

「おじさん、家に忘れてきたんだよ」

45: 2009/05/06(水) 15:43:16.82 ID:Fd0OjR360
「ん、僕の弁当を分けようか?」

圭子が話を聞いていたらしく、弁当を差し出す。

「ほ、本当にいいのかい圭ちゃん・・・・・・ おじさん食べちゃうよ?」

台詞だけ見るとただの変態にしか見えない魅音がひょいとから揚げをつまむ。

「あ、レナのお弁当も一緒に食べて欲しいな」

レナも弁当を差し出す。

「圭子の玉子焼きおいしいのです」

「レナさんの野菜炒めも絶品ですわ!」

48: 2009/05/06(水) 15:46:46.95 ID:Fd0OjR360
2つのお弁当を5人で食べた。

お腹こそ膨れなかったものの、何故か満たされた。

「いやー、おいしかったねー! 実に美味しかった」

魅音が満足そうに頷きながら言う。
確かに、味も見た目も申し分なかった。

「このお礼は今度の綿流しの時にさせてもらうよッ!」

綿流し・・・・・・
完全に忘れてた。

「あと一週間後かぁ、楽しみだねぇ」

49: 2009/05/06(水) 15:50:55.20 ID:Fd0OjR360
「綿流しって何かな?」

そうか、圭子は転校してきたばっかりだから知らないのか。

「えっとね、綿流しっていうのはお祭りなんだよ!だよ!」

「その日は部活でたくさん盛り上がるよー!」

各々が、自分の中の綿流しを説明する。
私にとって綿流しは惨劇の始まりに過ぎない。

「へぇ、それは面白そうだね」


はい、前編終わり
途中のgdgd感といい飽きといい、慣れないSSは書くもんじゃないと思った

67: 2009/05/06(水) 19:03:15.96 ID:Fd0OjR360
今日眠れば、明日は綿流しのお祭り。
沙都子は明日に備えてもう寝てしまっている。

しかし、1つ気になることがある。
この世界はまだ、誰も発症していない。

「羽入、どういうことなの?」

「どういうことも何も・・・・・・、この世界に雛見沢症候群は存在しないみたいなのです」

何を言っているの・・・・・・?
それじゃ、この世界では惨劇が起こらないということ?

「梨花、喜んでほしいのです! ようやく運命を打ち負かしたんですよ?!」

69: 2009/05/06(水) 19:09:39.08 ID:Fd0OjR360
どうしても素直に喜べない。
私達はこの瞬間のために100年の時を繰り返していたはずなのに。

「あははは・・・・・・何よそれ、じゃあ圭一はずぅっと圭子のままだっていうの!?」

羽入が首をゆっくりと縦に振る。

「そう・・・・・・」

圭子は悪い奴じゃない。
だが、圭一こそが私に運命の破り方を教えてくれた。

そんな圭一のいない世界に意味なんてあるの?

「私が・・・・・・、自らこの世界から退場したらどうなるの?」

私の口元が緩む。

70: 2009/05/06(水) 19:15:53.62 ID:Fd0OjR360
羽入が目を大きく見開く。

「梨花! あなたが自分で何を言っているのか分かっているのですかッ!?」

そりゃ怒るでしょうね、羽入も私と一緒に旅をしたのだから。
でもそれなら、圭一の存在がどれくらい大きいものかも分かるでしょう?

「梨花! ・・・・・・お願いですから氏ぬなんて言わないで欲しいです」

気が付いたら、羽入は泣いていた。

「梨花だって・・・・・・、泣いているのです」

73: 2009/05/06(水) 19:20:25.98 ID:Fd0OjR360
その後、布団に入ったものの一睡も出来ずに朝を迎えた。

「梨花ァ! そろそろ魅音さん達との約束の時間ですわよー」

着物姿で沙都子が微笑んでいた。

「みぃ、女の子は色々と時間がかかるのですよ」

沙都子が一瞬納得した顔を見せたが、直ぐにその意味に気づく。

「キィイイ! 私も女の子でございますわッ!」

私の家からは、今日も明るい声が漏れていた。

74: 2009/05/06(水) 19:26:54.73 ID:Fd0OjR360
「お、ようやく来たみたいだねー」

魅音が私たちに手を振っている。
魅音も、レナも、圭子もみんな着物姿だった。

「梨花、走りますわよッ!」

沙都子がダダっと走る。
走る勢いで着物がずれて妙にいやらしい。

「みぃ! 僕も走るのです!」

沙都子に追いつこうと私も全力で駆け出した。

75: 2009/05/06(水) 19:32:50.15 ID:Fd0OjR360
「んー、同着ってとこだねー」

「2人とも早かったんだよ!だよ!」

ゼェゼェと息を切らす沙都子と私。
お互いに目を合わせて笑った。

「梨花ちゃんも沙都子も着物が似合うね」

圭子がポンポンと私と沙都子の頭を叩く。
叩く、という表現を使うにはあまりにも優しく。

「け、圭子さんも着物が似合ってましてよ?」

77: 2009/05/06(水) 19:39:16.63 ID:Fd0OjR360
「ははは、僕みたいに男っぽい人には似合わないかと心配だったんだよ」

圭子があどけなく笑う。

「みぃ、圭子はちゃんとした女の子なのです」

圭子の顔が瞬く間に赤く染まる。
「はわわわ・・・・・・」と慌てる様子が少し可愛かった。

「はっはーん・・・・・圭ちゃん、さては女の子扱いされるのに慣れていないね?」

魅音が言うの?

79: 2009/05/06(水) 19:44:59.02 ID:Fd0OjR360
「し、失礼な・・・・・・!」

圭子が顔を赤くしながら否定する。
もちろん、魅音には逆効果だが。

「どれ、おじさんが本当に女の子なのか確かめてあげようじゃないかッ」

魅音の手が圭子の胸を掴んだ。
少し、うらやましかった。

「ま、まだお昼なのに何をやっているのかな!かなァ!」

レナパンチが2人を沈めた。
巻き込まれた圭子が少しかわいそう。

81: 2009/05/06(水) 19:51:42.93 ID:Fd0OjR360
「こんなところで油を売っていないで早く行きませんこと?」

沙都子が足踏みをしながら言う。

「そうだねぇ、少し祭りの手伝いもしたいしね」

圭子がニッと笑いながら私の視線と同じ高さまでしゃがんだ。
そして、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「今日の奉納演舞、楽しみにしているよ?」

何度奉納演舞をしただろうか。
多分、この村では誰よりも自信がある。

「みぃ、任せてくださいなのです」

83: 2009/05/06(水) 19:56:15.81 ID:Fd0OjR360
お祭りの会場は古手神社なので、来た道を逆戻りした。

「どうせなら待ち合わせ場所を神社にすればよかったね」

圭子が申し訳なさそうに言う。

「みぃ、毎年の事だから気にしていないのです」

圭子が「ごめんね」と少し物悲しく微笑んだ。

「ほらほら、お祭りの日だってのにそんなしんみりしないの!」

85: 2009/05/06(水) 20:03:02.98 ID:Fd0OjR360
古手神社につくと、知り合いに呼ばれて魅音とレナが人ごみに消えていった。

「僕達、取り残されちゃったね」

圭子が私と沙都子の手を握る。
沙都子の顔が赤くなっている、多分今の圭子は沙都子にとって「ねーねー」なのだろう。

「残り物には福があるのです」

「お、どういう福なのか興味があるよ」

「僕達の家に入れてあげるのですよ、にぱー☆」

91: 2009/05/06(水) 20:08:55.15 ID:Fd0OjR360
布団を片付けるのを忘れていた。
みっともない所を見せてしまったなぁ。

「みぃ、今片付けるから少し待っていてほしいのです」

私と沙都子がそれぞれの布団へと向かい、畳む。

「僕も手伝うよ」

圭子が布団をひょいと持ち上げる。

「軽々と持ち上がりましたわ・・・・・・」

沙都子が少々驚く。

94: 2009/05/06(水) 20:14:58.09 ID:Fd0OjR360
窓から「おーい、沙都子ー! お茶の葉ないー?」
と、魅音の声が聞こえる。

「今持っていきますわー!」

と沙都子が答える。

「それじゃ、少々席をはずしますわ」

ペコっと一礼して、玄関を出る。

「とうとう2人きりになっちゃったね」

「みぃ、圭子が男だったら食べられてしまうのです」

96: 2009/05/06(水) 20:21:46.29 ID:Fd0OjR360
予期せぬうちに、圭子と2人きりになった。
ある意味、これはチャンスなのかもしれない。

「圭子、1つ聞いてもいいですか?」

圭子は窓の外を見ていたらしく、不意の質問に少し驚いていた。

「え、あぁ 構わないよ」

本当に、わずかな可能性を信じて質問した。

「圭子・・・・・・いえ、圭一は覚えているですか?」

99: 2009/05/06(水) 20:27:48.67 ID:Fd0OjR360
「圭一・・・・・・? 梨花ちゃんは何を言っているんだい?」

微笑みながらも、顔は少々ひきつっていた。
だが、ここで引いてしまっては折角のチャンスをムダにする。

「覚えているですか? レナと戦ったことを、圭一自身がレナを頃してしまったことを!」

仮に圭子に記憶が残っていたとしたらどうなるのだろう。
この世界にはもう惨劇など用意されていないのに。

だが、聞かずにはいられなかった。

「覚えているのですか? 覚えていないのですか?」

102: 2009/05/06(水) 20:33:11.80 ID:Fd0OjR360
「・・・・・・どうして梨花ちゃんは僕の夢の話を知っているんだろうね」

夢・・・・・・。
そう、夢で見たんだ。

「僕は仲間を信じているんだ、なのにこんな夢を見てしまって・・・・・・」

目から大粒の涙がこぼれる。

「それに・・・・・・、やけにリアルで・・・・・・」

圭子の声が少し震える。

「・・・・・・もう、この話はやめよう」

105: 2009/05/06(水) 20:36:59.57 ID:Fd0OjR360
さすがに、これ以上追求できなかった。
今までの私の経験は圭子の中では"夢"になっている。

それでも、何も知らないよりはマシだ。

「みぃ、変なこと聞いてごめんなのです」

圭子が私の頭に手を置き、くしゃくしゃと撫で回す。

「いや、僕も人に話せて少し楽になったよ」

目に涙を溜めた笑顔が少しまぶしかった。

107: 2009/05/06(水) 20:41:15.67 ID:Fd0OjR360
玄関の方が賑やかになってきた。
多分、みんなが戻ってきたのだろう。

「やぁやぁ圭ちゃん梨花ちゃん、待たせたねぇ」

先頭に魅音、その後ろをレナと沙都子。

「祭りまで時間もあるし、トランプでもしよう」

魅音が着物に手を入れてトランプを取り出す。
いつでも携帯しているのかな・・・・・・。

「もちろん、罰ゲームもあるからねー」

108: 2009/05/06(水) 20:46:10.23 ID:Fd0OjR360
今回は、優勝が圭子
ビリが私だった。

「お、お手柔らかにお願いするのです」

圭子が青ざめた私の顔を見て笑う。

「それじゃ、僕からの命令は」

緊張が部屋を包む。
「ごくり」と魅音が喉を鳴らす音がとても大きく聞こえた。

「梨花ちゃんの悩みを言ってくれないかな」

109: 2009/05/06(水) 20:50:49.84 ID:Fd0OjR360
「悩み・・・・・・と言いますと?」

正直、意外だった。
「今日の祭りはメイド服でー」とか言われると思っていた。

「さっきの梨花ちゃんの顔があまりにも辛そうだったんでね」

「もしアレだったら話さなくてもいいよ」と、圭子が付け足す。

私の悩み・・・・・・。
話したい、けど話すと圭子に辛い思いをさせる。

いや、圭子はそれを覚悟しているのかもしれない。
なら話さない方が失礼。

111: 2009/05/06(水) 20:54:17.45 ID:Fd0OjR360
自分の置かれている状況、今まで実際に体験した世界の話。
そして、この世界にはいて他の世界にはいない圭子の話。

全てを話した。
というか、少し話したらもう止まらなかった。

「梨花ちゃん、これって何かのアニメの話かな?かな?」

アニメ・・・・・・、まぁそう思われても仕方のない内容かもしれない。
信じてもらえなかった いや、聞いてもらえただけマシか。

「梨花ちゃん、僕は信じるよ」

圭子だけ、私の目を真っ直ぐに見て微笑んでいた。

113: 2009/05/06(水) 20:58:30.97 ID:Fd0OjR360
「そうね、私も梨花ちゃんを信じるよ」

魅音が言う。

「梨花ちゃん、ごめんね 私も信じる」

レナが言う。

「梨花、私は最初から梨花を信じておりましてよ?」

沙都子が言う。

いい友達にめぐり合えた。
本当に、素晴らしい仲間。

圭子も性別は違えど、確かに圭一だった。

114: 2009/05/06(水) 21:02:11.01 ID:Fd0OjR360
「相談して・・・・・・、本当に良かったのです」

私は本当にバカだった。
こんなにも素晴らしい仲間がいるのに何が「自ら退場」よ。

本当にバカみたい。

惨劇がない世界が1番に決まっているのに。

「それで、僕達はどうすればいいのかな?」

どうすればいいもなにも、もう私の考えは決まっている。

115: 2009/05/06(水) 21:07:02.29 ID:Fd0OjR360
「いつまでも・・・・・・、僕と友達でいて欲しいのです」

精一杯の笑顔で言った。

少し照れくさかったが、場の空気から気にしなくてもいいだろう。

「うん、僕からもよろしくね!」

圭子が手を差し出す。
もちろん、両手でそれを握る。

「それじゃ、お祭りが始まるよッ!」

誰もがこの物語はハッピーエンドで終わると思っていた。
もちろん、私も例外じゃない。

117: 2009/05/06(水) 21:14:53.79 ID:Fd0OjR360
「・・・・・・」

どうやら、あの崖から落ちたらしい。
崖といっても、2・3メートル程度の高さだけど。

「羽入、結局あの世界で私はどうなってしまったの?」

羽入が申し訳なさそうに姿を現す。

「僕が間違っていたのです・・・・・・ どうやら梨花はあの世界では最初からL5だったのです」

嘘、私が症候群にかかるなんて・・・・・・?

「梨花だからこそ、自我を保っていられたのです」

122: 2009/05/06(水) 21:20:25.55 ID:Fd0OjR360
あれだけ素晴らしい世界だったのに。

自然と涙がこぼれる。

「おーい、梨花ちゃん大丈夫かーい?」

圭一・・・・・いや、圭子が手を振っている。

「け、圭子なのです・・・・・・」

「ふふ、梨花ちゃん 男の子が簡単に泣いたらダメだよ?」

fin

オチの弱さry
書き溜めなしで書くのは久しぶりだなぁ、gdgdだなぁ・・・・・・
原作の設定を多少無視してごめんなさい

123: 2009/05/06(水) 21:23:01.68 ID:0osuiWxKP
梨花君と圭子ちゃんのにゃんにゃんは?

125: 2009/05/06(水) 21:26:55.76 ID:v28ZXxpMP
乙なのです

128: 2009/05/06(水) 21:48:19.90 ID:Fd0OjR360
何か圭一が女になったことを生かしきれてなかった
読んでくれてありがとう

また何かのSSでよろしくお願いします

引用: 梨花「な、何なのよ・・・・・・この世界」