銀「あなた、真紅との三角関係に勝って桜田ジュンと暮らしてたんでしょう？うまくいってないの？」

翠「うまく…いってたつもりだってですぅ…昨日までは……ｸﾞｽ」

銀「何かあったの？」

翠「ジュンの奴、わたしに黙ってずっと真紅と会ってたですぅ！」

銀「あー、もう泣かないでよ。ティッシュなんてないんだからぁ。……はい、新聞紙」

翠「こんなの鼻かむ紙にもなりゃしねーですぅ……ｸﾞｽ」

銀「（ピキッ）……それで？」

翠「昨日、お菓子の材料と紅茶を買いに行った帰りに…」

銀「紅茶…言っておくけど、うちには出がらしのティーバックを干したのしかないわよぉ」

翠「偶然喫茶店に連れ立って入っていくジュンと真紅を見かけたですぅ」

銀「喫茶店…たまにお冷飲みに行くお店かしらぁ」

翠「二人で楽しそうに甘いものなんか食べて…」

銀「甘いもの…その喫茶店からごっそりもらってきたガムシロップと角砂糖ならあるけど、食べる？」

翠「水銀燈！真面目に聞いてるですか！」

銀「聞いてる、聞いてるからそうカリカリしないでよ。乳酸菌摂って…摂って…私もずいぶん摂ってないわぁ…orz」

翠「何勝手に落ち込んでるですか！こんなもの、食えるかですぅ！（ポイッ）」

銀「ああっ！貴重な角砂糖が地面に！三秒ルール、三秒ルール（ぱくっ）」

翠「…話をするのが面倒になってきたですぅ。ええと、それで夕食後にジュンを問い詰めたら、最初はシラを切ってたんですけど…」

銀「待った。ちなみに夕食の献立は？」

翠「…その時は気が立ってたから、手抜きしたですぅ。市販のパスタを茹でて、自作ソースをかけたスパゲッティと
　　適当に野菜をちぎったサラダだったですぅ」

銀「ふふふ、栄養バランス的に見て、ほ○弁の廃棄をもらってきたわたしの勝ちのようねぇ」

翠「なに勝ち誇ってるですか。それで、隙を見てジュンの携帯を奪ったら、真紅からのメールが何通も…ｸﾞｽ」

銀「携帯ねぇ…わたしも昔は使ってた時代があったわねぇ」

翠「この動かぬ証拠を突きつけたら、ジュンもさすがに白状したですぅ。三ヶ月くらい前から会ってたって…
　　こんなの酷いですぅ！」

銀「わたしは三ヶ月くらい一人ぼっちだったわぁ…」

翠「それであったま来て、荷物をまとめて部屋を飛び出してきたですぅ。昨日の夜はネカフェに泊まったですけど、
　　そうそうお金を使うわけにもいかないですぅ。それでここへ来たですぅ」

銀「それにしても、どうしてうちなのぉ？金糸雀や雛苺のところにでも行けばよかったじゃなぁい」

翠「ダメです、すぐにジュンに見つかるですぅ。その点ここなら安心ですぅ。ジュンもまさか、誇り高い翠星石が
　　こんな社会の掃き溜めに身を潜めるなんて思いもしないはずですぅ」

銀「……喧嘩を売りに来たのぉ？…まあいいわぁ、しばらく泊めてあげる。でも自分の食い扶持は自分で稼ぐのよ」

翠「任せるですぅ！お料理お掃除お洗濯、翠星石にできないことはないですぅ！」

銀「…この家のどこを掃除するって言うの？じゃあ、この服洗ってきて。ここしばらく雨で洗濯できなかったのよぉ」

翠「ラジャーですぅ」

銀「はい、石鹸」

翠「…レモン石鹸ですぅ」

二時間後
翠「今帰ったですぅ」

銀「遅かったわね。どこまで洗いに行ったのぉ？」

翠「すぐそこのコインランドリーですぅ」

銀「はぁ！？…あ、乾燥機まで！」

翠「当然ですぅ」

銀「おばかさぁん！そこの川で洗えばよかったのよ！貴重なお金を洗濯なんかに使うなんて、ほんとにおばかさんだわ！」

翠「でも…」

銀「いい、翠星石？ここで生きたかったら、できるだけカ口リーにお金を使うのぉ。水はただなんだから、次からは手で洗ってきなさい」

銀「まったく、わたしが二時間かけて稼いだお金が水の泡じゃなぁい」

翠「水銀燈はどうやって稼いできたですかぁ？」

銀「地道に自動販売機の周りを探ってたわぁ。ビンやアルミ缶の回収も実入りはいいみたいだけど、まだ新入りのわたしには
　　なかなか古参の縄張りに入っていけないのよぉ」

翠「……それでいくら見つけてきたですか？」

銀「270円。今日は大漁だったわぁ」

翠「今時喫茶店でお茶もできないですぅ」

銀「あとは、これね」

翠「何ですぅ、それ？タバコの吸殻…？」

銀「（ホジホジ）こうやって、吸い残しの部分をほじくりだして…あーもぉ！フィルターの際まで吸う男は嫌いよ」

翠「そうやってタバコの葉を集めてどうするですか？」

銀「そうねぇ、大体こんなものでいいわぁ。街でもらってきたチラシの紙を切って…ペロっと。それからこれで葉っぱを
　　くるくる…ペロッ。よし、できたわぁ」

翠「水銀燈、いつからタバコを？」

銀「おばかさぁん、わたしが吸うんじゃないわよ。こう見えても両切りの銀ちゃんブレンドと言われて結構評判いいのよぉ」

翠「人にあげるですか？」

銀「物々交換よぉ。じゃあ行きましょう。今日は二人分だから、いつもの倍の30本ってところかしらぁ」

翠「水銀燈、紙を巻く時ペロペロ舐めてたですぅ」

銀「だってそうしないとくっつかないじゃなぁい。紙巻タバコの基本よぉ」

翠（絶対別の点で評判とってるですぅ……）

銀「ここよぉ。ゲンさんこんばんはぁ」

ホームレス「よお、銀ちゃんか。タバコ持ってきてくれたのかい？」

銀「ええそうよぉ。でも今日は二人分なのぉ」

翠「こ、こんばんはですぅ」

ホームレス「お、新顔か。別嬪さんだねぇ。じゃあ今日はサービスでチキン南蛮弁当二つ、20本でいいよ」

銀「わぁ！ゲンさんありがとう。愛してるわぁ」

翠（水銀燈、たくましいですぅ…）

翠（……でも、ここにいたら水銀燈はきっとダメになるですぅ…）

銀「美味しい、翠星石？」

翠「ま、まぁまぁですぅ」

銀「そうよねぇ、こんなに美味しいのに廃棄なんてばかげてるわよねぇ。…あ、お箸は捨てないでとっておいてね。
　　明日の朝洗って乾かすから」

翠「わかったですぅ。ごちそうさまですぅ」

銀「美味しかったわぁ。お茶でも飲む？出がらしの出がらしだけど、まだ結構出るわよぉ」

翠「い、いやいいですぅ」

銀「そぉ？じゃあ、懐中電灯の電池ももったいないし、もう寝ましょうか」

翠「この懐中電灯はどうしたですか？」

銀「捨ててあったのを修理しただけよぉ。電池は市の回収ボックスからごっそり頂戴してきた内の、まだ少し使える奴を
　　ちびちび使ったり、廃品回収の電化製品に入れっぱなしなのをもらってきてるわぁ」

翠「……え、エコロジーですぅ」

銀「じゃあ、荷物は一番奥に置いてね。盗られると悪いから。毛布は一枚しかないけど、わたしは新聞紙で寝るから使っていいわよぉ」

翠「か、鞄にバスタオルが入ってるからそれで寝るですぅ。そのどっかから拾ってきたとおぼしき毛布は水銀燈が使っていいですぅ（ゴソゴソ）」

銀「そう？じゃ遠慮なく。（パチッ）それじゃ、おやすなさぁい」

翠「おやすみなさいですぅ」

翠（なんだか水銀燈の生活を見てたら、翠星石の悩みなんてどうでもよくなってきたですぅ…）

翠（決めたですぅ。翠星石が水銀燈を社会復帰させるですぅ。明日から早速頑張るですぅ）

翠「起きるです！水銀燈！」
銀「なぁに？もう起きてるわよぅ、日が出てるうちに行動したほうが、夜に夜更かししないで懐中電灯の電池も減らないし特だわぁ」
翠「ご飯にするです、元気な朝は蒼星石のスコーンから！・・・・って蒼星石は居なかったですか・・・」
銀「スコーンなんて食べられるわけないじゃなぁい、賞味期限切れの蒸しチーズパンならたまに」
翠「あるですか？さっさと食べようですぅ」
銀「あるわけないじゃなぁい、コンビニの廃棄なんて縄張りに強くないと頂けないわぁ」
翠「・・・はぁ・・・そうですか、なんかないのですか？」
銀「血糖値をあげるためにガムシロップだったら食べていいけど、基本的に朝は食べないのよぅ？」
翠「なにを言ってるですか！朝はちゃんと食べなきゃだめですぅ」
銀「お相撲さんが朝にご飯食べない理由を知ってるぅ？こっちの世界も同じよぅ、なるべく午後に食べて蓄えるのよぅ」
翠「うぅ・・・ひもじいですぅ・・・」

>>67
まじか。大変だなぁ。５年前コンビニでバイトしてた時は普通に出してたけど、その時ですらゴミ捨て場にカギつけてたからなぁ・・

翠「お腹すいたですぅ・・・お腹がグーグー鳴ってるですぅ」
銀「お、お腹・・・」
翠「・・・あ！？ご、ごめんです水銀燈・・・」
銀「いいのよぅ、気にしてないわぁ。それにお腹がないと空腹感もあんまり無いから特だわぁ」
翠（ポジティブすぎるです水銀燈・・・）
銀「今日は日曜日だから競馬場に行くわよぅ」
翠「け、競馬場ですかぁ？ダメですぅ！そんなギャンブルにうつつを抜かしているからこんな生活に」
銀「違うのよぅ、日曜の競馬場は人が沢山いるからお金も沢山落ちてるのよぅ」
翠「そ、そうなのでぃすか？」

銀「さ、付いたわよぉ」
翠「人がいっぱいいるですぅー、それに屋台も・・・フランクフルトに焼きそば・・・ゴクリ」
銀「後で買ってあげるわよぅ、さぁ行くわよぅ」
翠「あ、待つです水銀燈～、ってなんだか入場料がいるみたいですよ水銀燈？」
銀「15歳未満は入場料いらないのよぅ」
翠「・・・私たち15年以上生きてるですぅ。嘘は良くないですぅ」
銀「し、身長とか見た目は15歳以下・・・でしょう？ドールだけれど」
翠「・・・もしバレたらどうやって身分を証明するでぃすか？」
銀「わ、わかったわよぅ。空を飛んで行きましょう」

銀「どぉ？どれくらい見つかった翠星石？」
翠「ぜ～んぜん無ぇですよ水銀燈ぃ」
銀「ちょっとぉ？つり銭の出るだけ見てたってダメよぅ、こうやって・・・んしよ」
翠「や、やめるです水銀燈！誇り高きローゼンメイデンともあろう者が這いつくばって・・・」
銀「・・・ふふふ・・・誇り高きローゼンメイデンがホコリまみれの服で小銭集めなんてねぇ・・・」
翠「す、水銀燈・・・」
銀「わｗほらぁｗ見つかったわよぅ。100円だわぁ」
翠「・・・100円のために・・・」
銀「ヤクルト２本買ってもお釣りがくるわよぅ」

翠「水銀燈！水銀燈！」
銀「なぁに？500円玉でも見つかったのぉ？」
翠「財布です財布！！中には・・・ひぃふぅみぃ・・・五千円入ってるです！」
銀「あらぁ・・・無くした人は困ってるでしょうねぇ」
翠「ごご、五千円あればネカフェで数日は・・・」

パァン！！

翠「・・・な、何するです水銀燈・・・痛いですぅ」
銀「あなた、お父様の名を汚すつもり？ローゼンの娘ともあろうものが窃盗はよくないわ！」
翠「・・・こ、こんな生活なら落ちたも同然ですぅ・・・」
銀「私わね翠星石、自分のプライドは落としても自分に嘘は付かないわ・・・さ、届けに行くわよ」

受付「おやまあ、偉いなぁ。落とした財布を届けにきてくれるなんて」
銀「拾ったのはこの子よぉ！汚らわしい手でなでなでしないでくれるぅ！？」
翠「わ、わたしは・・・」
受付「おお、そうだったか偉い偉い、お嬢ちゃんたちお父さんと一緒にきたのかい？」
銀「お、お父様は・・・」
受付「じゃあお母さんとかい？」

ガチャ

爺さん「あのう・・・ちょっと財布を落としてしまったんじゃが・・・茶色い財布でオグリキャップのストラップの付いてる・・・・」
受付「もしや、これではないですか？」
爺さん「おお！これじゃこれじゃ！ああ・・・よかったよかった」
受付「この子たちが拾って届けてくれたんですよ」

爺さん「おお、嬢ちゃんたちが拾ってくれたのかい？ありがとうよ」
銀「ちょ、だから拾ったのはこの子よぉ！汚らわしい手でなでなでしないｄ（ｒｙ」
爺さん「今日は孫が初出馬する日でな、観戦に来たのじゃよ。帰りの電車賃をなくすところじゃった」
翠「孫が出馬・・・？じいさんの孫は馬なんでぃすか？」
爺さん「ほっほっほｗ旗手じゃよ、今日の第３レースに出るんじゃ」
翠「ほー、なんかすげーでぃす」
爺さん「もうすぐ始まるのぉ。よかったらジュースでも奢りたいから一緒に応援してくれないじゃろか」
銀「いいわよぉ、ちょうど喉が渇いていたところだから」
翠「しゃ、しゃ～ねぇな～です。一緒に応援してやるです」

銀「はぁ・・・・ピルクル美味しいわぁ・・・」
翠「じじいの孫はどの馬で出るでぃすか？」
爺さん「あー、あれじゃあれじゃ、１番の馬じゃ」
銀「どれぇ？見えないわぁ」
爺さん「ほれ、あの銀毛の・・・え～と確か馬名はアイアンメイデンじゃったかのぅ」
翠「１番で銀毛のアイアンメイデン・・・？」
銀「あらぁ運命を感じるわねぇ。毛艶も良いし気品に溢れる馬だわぁ」
爺さん「どれ、馬券でも買うかのぅ・・・おや？これはしまった」
銀「どうしたのぉ？」
爺さん「あと4700円で、帰りの電車賃が4650円なんじゃ・・・これじゃあ買えんのぅ・・・」
翠「一体どこから来てるでぃすかぁ？」
爺さん「田舎なもんでのぅ電車で５時間かけて来たんじゃ。孫のためならこれくらい」
銀「・・・し、しかたないわねぇ、片脚、担いでげてもいいわよぉ」

翠「まったく、銀毛の馬は弱いですぅ、倍率100倍ってどんだけでぃすか」
銀「う、うるさいわね。他人の評価なんて意味はないのよ、勝つのはアイアンメイデンだわぁ」
爺さん「ほれ、始まったみたいじゃ」

銀「ほら！頑張りなさいアイアンメイデン！序盤から出遅れてどうするの！！」
翠「遅いですぅ！もっとしっかり走れですぅ！！このチビ馬！」
銀「ちょ、ちょっと！私の馬に向かってなんて事言うの！」
翠「水銀燈の馬じゃねえじゃねぇですか」
銀「そ、そうだったわ、つい興奮して。ごめんなさぁい」
爺さん「お、前に出てきたぞ、それ行け！」
翠「勝つですぅ！勝たないと馬肉にしてやるですぅ！」

数日後・・・


真「それにしても何なの？この苺大福の山は」
雛「うにゅういっぱいなのー」
翠「う、うるさいですぅ。真紅にもクンクン人形買ってやったんだから、少しは喜ぶがいいですぅ！」
真「ま、翠星石にしては上出来なのだわ、それにしてもジュンと喫茶店に居たのを見たくらいで家出なんて」
翠「う、うるさいですぅ。まさか翠星石の誕生日パーティを内緒で打ち合わせしてるなんて知らなかったんですぅ」
真「のりと雛苺は口が軽いし、他の場所でジュンと打ち合わせするしかないでしょう？」
雛「昨日のケーキは美味しかったのー」
翠「だ、だったら家の押入れとかで内緒話すればいいですぅ、紛らわしいですぅ」
真「あら？やきもち？」
翠「ち、違ぇです！」

翠「はぁー、まったく真紅ったらムカツクですぅ・・・でも良かったです。
　　さて蒼星石にも何か買ってやるとするです・・・ん、あれは水銀燈？おーい水銀燈？」
銀「ガサゴソ・・・・ん？なぁに翠星石、どうしたのぉ？」
翠「それはこっちのセリフですぅ！せっかくあの馬券でお金が手に入ったのに何してるでぃすか！」
銀「見てわからないのぉ？ゴミ漁りよぉ」
翠「それはわかるでぃす！お金はどうしたでぃすか！？」
銀「あぁ、あれねぇ・・・落としちゃったわぁ」
翠「お、落としたでぃすってぇ！？んもう！水銀燈はドジですねぇ！」
銀「う、うるさいわね。さ、仕事の邪魔よあっち行きなさぁい」
翠「・・・水銀燈・・・よかったらジュンの家に来ないでぃすか？水銀燈も仲直りしてみんなで暮らすです」
銀「はぁ？私は誇り高きローゼンメイデンの第１ドールよぉ。他人の力なんて借りないわぁ」
翠「・・・水銀燈」



水銀燈が手に入れたお金をメグの手術代にした事は誰も知らない。おわり。

ｲｲﾊﾅｼﾀﾞﾅｰ

＞翠「もう足がｽﾃｨｯｸですぅ～」

吹いたｗｗｗｗ外人っぽいｗｗｗｗ