1: 2008/03/01(土) 16:18:52.52 ID:xXXhGh2k0
キョン「………」
長門「……あ、あのっ」
キョン「……ん?俺?」
長門「あの……これ……」
キョン「えっ……」
長門「……よかったら」
キョン「…??……」
長門「………そ、それじゃ」
キョン「あ、ちょっと!」

 タッタッタッ

キョン「……」

2: 2008/03/01(土) 16:19:32.04 ID:xXXhGh2k0
谷口「ようキョン!見てたぜ」
キョン「谷口……」
谷口「お前、長門有希と知り合いだったのか?」
キョン「……長門有希……いや……」
谷口「怪しいな……何渡されたんだよ。ラブレターか?」
キョン「それが……」
谷口「……ん?なんだそれ。入部届けって」
キョン「俺もよくわからん」
谷口「確か俺様のデータによると、長門有希は文芸部所属だったな。
   相当な無口らしいが……おおかた一日中本でも読んでるんだろ」
キョン「そうなのか?」
谷口「よくはわからんがな。もしかして人足りなくて困ってるんじゃないのか?
   この時期に勧誘するくらいならな」
キョン「………」

3: 2008/03/01(土) 16:19:59.86 ID:xXXhGh2k0
谷口「どうすんだよそれ」
キョン「どうするって……」
谷口「なんなら俺がもらってやろうか?」
キョン「いや、それは断る。なぜかわからんがお前に渡すのは危険な気がするからな」
谷口「んだよそれ……というか、何でお前なんだ?」
キョン「さあ……」
谷口「……まあいいや、早く帰ろうぜ」
キョン「……ああ」


長門「………」

4: 2008/03/01(土) 16:20:33.91 ID:xXXhGh2k0
 ~翌日~

 コンコン

長門「……どうぞ」
 
 ガチャ

キョン「失礼します」
長門「…!!…」
キョン「えっと……長門さん?でいいんだよな?」
長門「……うん」
キョン「昨日貰ったこれなんだが……どういうことなんだ?」
長門「……え……っと……」
キョン「………」
長門「……そ…その……」
キョン「??」

5: 2008/03/01(土) 16:21:11.25 ID:xXXhGh2k0
長門「こ、ここは文芸部で……」
キョン「うん」
長門「……す」
キョン「………」
長門「………」
キョン「う……うん、そうか!文芸部なのか!」
長門「………」
キョン「え~……っと」
長門「………」
キョン「いつもは何してるんだ?」
長門「……本を読んだり……とか……」
キョン「……とか?」
長門「……してる」
キョン「………」

8: 2008/03/01(土) 16:22:55.70 ID:xXXhGh2k0
長門「………」
キョン「そっそうか!そうだよな、文芸部だもんな!
    そりゃ本も読むよな」
長門「………」
キョン「………」
長門「………」

キョン「その本、面白いのか?」
長門「……うん」
キョン「………」
長門「………」


キョン「あの……俺、読書の邪魔だったかな?」
長門「ううん……邪魔じゃない」
キョン「そうか」
長門「……そう……」

10: 2008/03/01(土) 16:24:06.68 ID:xXXhGh2k0
キョン「あの、今日来てよかったのか?」
長門「……うん……良かった」
キョン「……そうか」
長門「……(コクッ)」
キョン「あ、俺の事はいいから……読書続けてくれ」
長門「……そう」
キョン「適当にここの本読んでいるからさ。これ、読んでいいか?」
長門「いい」
キョン「そうか」
長門「………」ペラッ
  ・
  ・
  ・

11: 2008/03/01(土) 16:24:53.21 ID:xXXhGh2k0
キョン「………」
長門「………」ペラッ


キョン「もう下校の時間じゃないか」
長門「……」パタン
キョン「……じゃ、俺は帰るよ」
長門「あ……」
キョン「……?」

長門「あ……の……」
キョン「………」
長門「………」

12: 2008/03/01(土) 16:25:25.63 ID:xXXhGh2k0
キョン「え~……っと」
長門「………」

キョン「その、何だ……明日もまた来ていいか?」
長門「…!!…う、うん…っ…」コクッ
キョン「そっか……」
長門「………」
キョン「じゃ、また明日な。長門」
長門「あ……」

 バタンッ

長門「………」

長門「名前……呼んでくれた……」

  ・  ・  ・

17: 2008/03/01(土) 16:28:06.81 ID:xXXhGh2k0
 ガチャ
キョン「よう」
長門「あ……」
キョン「あ、ノックしてなかったな。スマン」
長門「……ううん、いい……」
キョン「よいしょっと」

長門「………」
キョン「……今日も本読みに来たぜ」
長門「……うん」
キョン「あ、俺の事は気にしなくていいからさ。続けてくれ」
長門「うん……わかった」

キョン「………」
長門「………」ペラッ
  ・
  ・
  ・

20: 2008/03/01(土) 16:28:42.89 ID:xXXhGh2k0
キョン「そういや、ここって文芸部だろ」
長門「うん」
キョン「本を読むのはわかるが……何か書いたりしないのか?
    小説とか」
長門「えっ……!!!」

キョン「………」
長門「えっと……そのっ……///」
キョン「………」
長門「そ……それは…」

キョン「……そっか」
長門「えっ……!?」
キョン「いや、いいんだ。何でもない」
長門「……(ドキドキ)」

23: 2008/03/01(土) 16:29:18.54 ID:xXXhGh2k0
キョン「いつかできたらさ、俺に一番最初に読ませてくれよ」
長門「えっ!!……」
キョン「……ダメか?」
長門「う、ううんっ……わかった……」
キョン「………」
長門「………いい」

キョン「そっか……楽しみにしてるよ」
長門「……うん…///」

キョン「………」ペラッ
長門「………(ドキドキ)」
キョン「………」ペラッ

長門「……ふぅ……」

25: 2008/03/01(土) 16:30:19.51 ID:xXXhGh2k0
  ・
  ・
  ・
キョン「そろそろ帰るか……」
長門「……」パタン
キョン「……そういや、まだ渡してないものがあったな」
長門「……え…」
キョン「ほら」

長門「!!……これ……」
キョン「いや、その……俺も結構暇だしさ。谷口とかとツルんでるより
    本読んでみるのもいいかなって……」
長門「………」
キョン「それに、見た感じ……部員は君しかいないんだろ?」
長門「……うん」
キョン「その……俺で良ければ……」
長門「う、うん……」

キョン「よろしくな、長門」
長門「!!あ、あ……りがと……う…」

34: 2008/03/01(土) 16:33:50.90 ID:xXXhGh2k0
キョン「もう時間だな……途中まで一緒に帰らないか?」
長門「!!えっ……」

キョン「嫌か?」
長門「ううんっ!……イヤじゃ…ない……」
キョン「……そっか」
長門「……そう……」

キョン「……ほら、早くしないと校門閉まっちまうぜ」
長門「う、うんっ」

 バタンッ

  ・  ・  ・

44: 2008/03/01(土) 16:38:24.72 ID:xXXhGh2k0
 ピーンポーン
朝倉「長門さん、私よ」
長門「………」
 ガチャ
長門「……朝倉さん……どうしたの?」
朝倉「ん、ちょっとね。上がっていいかしら」
長門「……うん」

朝倉「んしょ……っと……ねえ長門さん、わたし見ちゃったの」
長門「……?」
朝倉「……今日、キョン君と一緒に帰ってたでしょ」
長門「…え…!!!えっと……!」

朝倉「長門さん、キョン君とお友達だったかしら?」
長門「さ…最近……」
朝倉「ふうん……」
長門「………」

49: 2008/03/01(土) 16:39:45.07 ID:xXXhGh2k0
長門「あの、それで…?」
朝倉「ううん、別にそれだけよ。もしかして長門さん、
   彼に言い寄られてるんじゃないかって思って心配してたから」
長門「ち、ちが……!」
朝倉「わかってるわよ、冗談。なんか仲良さそうにしてたもんだからね。
   ちょっと妬けちゃったな」
長門「……えっ…!?」

朝倉「あら、顔真っ赤にしちゃって」
長門「もう…///…朝倉さん…!!」
朝倉「ふふ、可愛いわね。」
長門「………」
朝倉「あら、怒らないでよ」
長門「…べ…別に…っ…」

56: 2008/03/01(土) 16:43:33.26 ID:xXXhGh2k0
朝倉「彼、優しそうだものね。長門さんとお似合いじゃないかしら」
長門「あ、朝倉さんっ…!」
朝倉「まっ、長門さんの選んだ人ならね。私は手は出さないから安心して♪」
長門「もう……!」

朝倉「さてと……私は宿題があるから帰らなきゃ。長門さんの横にいたら
   こっちまで顔赤くなっちゃうわ」
長門「………///」
朝倉「それじゃあね。また明日来るわ」
長門「う、うん……おやすみなさい」
 
 バタンッ

長門「…………はぁ…」

  ・  ・  ・

60: 2008/03/01(土) 16:48:24.94 ID:xXXhGh2k0
 キーンコーンカーンコーン
 ~昼食時~

ザワザワ……ザワザワ……

生徒A「でさ、でさっ………」
生徒B「……マジ?……ヤバくね……キャハハッ」

長門「………」パクパク

生徒C「…おいw……なんだよそれ……」
生徒D「……ハハッ……だっせw………」

長門「………」モグモグ


63: 2008/03/01(土) 16:49:14.27 ID:xXXhGh2k0
生徒A「……チョーうけるんだけど……キャハハ………」

   「あっ!!!」

 バシャーン

長門「………」ポタ…ポタ…

70: 2008/03/01(土) 16:53:50.68 ID:epVIZ0eH0

生徒A「きゃああっ!!ご、ごめん!!」
長門「………」ポタ…ポタ…
生徒A「大丈夫!?ごっごめんね長門さん!?」
長門「……いい」
生徒A「ホントごめん!!すぐ拭くからねっ!!」
長門「………」

生徒B「ちょっとアンタ……何やってんのよ」
長門「………」

71: 2008/03/01(土) 16:54:28.76 ID:epVIZ0eH0
生徒B「アンタ長門さんの事嫌いだったっけ?」
生徒A「ちょっと!変な事言わないでよ!」
長門「………」

生徒B「だって~長門さんって存在感無いもんね。まるで物置みたいじゃん。
    100人乗っても大丈夫なんじゃないの」
生徒A「プッ!!クスクスww」

長門「………」

生徒A「あっ……」

78: 2008/03/01(土) 16:56:27.72 ID:epVIZ0eH0

生徒A「ご、ごめん!!」
長門「……っっ…!!」タッタッタッ
 
 バタンッ

生徒A「あ、長門さん!?待って!!」
生徒B「あーあ、泣かしちゃった」
生徒A「ちょっと、何て事言うの!?長門さん行っちゃったよ!?」
生徒B「いいって、ほっときなよ。どうせ先生に告げ口する勇気もないだろうし」
生徒A「そ、そういう問題じゃないでしょ!!?」


83: 2008/03/01(土) 16:58:17.55 ID:epVIZ0eH0

生徒B「まあまあ。いいから早く食べよ。長門さん、いてもいなくても
    変わらないし……それにアンタだって笑ってたじゃん」
生徒A「それは……」

生徒B「どうせ次の時間になったら戻ってきて本読んでるでしょ。
    そのとき謝ったらいいじゃん」
生徒A「そうかな……」
生徒B「そうだって。ほら、食べよ」

生徒A「………」


84: 2008/03/01(土) 17:00:39.06 ID:epVIZ0eH0
 タッタッタッ
  ・
  ・
  ・
 バタンッ

長門「……はぁ、はぁ……」

長門「……はぁ……」

長門「……くすん……」

長門「……グスッ…!…うぅ……」

長門「ウッ…ヒック…!!!…」

長門「……くすん…!…ひんっ……」

105: 2008/03/01(土) 17:06:40.20 ID:epVIZ0eH0

長門「…ウッ…ヒック………」
  「……グスッ……うぅ……」
 ガチャ

長門「ひっ!!?」

キョン「よう…いたのか」
長門「……うっ……うん……ヒック…!」
キョン「!!おい、どうした長門!?」
長門「……えっ…えっ……グスッ…!」


106: 2008/03/01(土) 17:07:25.08 ID:epVIZ0eH0

キョン「長門!?何かあったのか!?」
長門「うぅ……うわぁああん!!!」
 ガシッ
キョン「な、長門……!!!」
長門「うぅぅうう……ヒック…!…」

キョン「………」
長門「……えっ……ヒグッ……」


113: 2008/03/01(土) 17:09:15.10 ID:epVIZ0eH0

キョン「………」
長門「……うぅううう……」
キョン「………」
長門「……うっ……くすん……」

キョン「………」
長門「……すんっ……」

キョン「……大丈夫か?」
長門「……う……うん……」
キョン「……どうしたんだよ……何があった?」
長門「な、何でも……ない……」


115: 2008/03/01(土) 17:10:29.16 ID:epVIZ0eH0

キョン「何でもないわけないだろ。言ってみろ」
長門「ほ……ほんとに……何でもないの…」
キョン「……っ……!」
長門「………」


117: 2008/03/01(土) 17:11:48.47 ID:epVIZ0eH0

長門「……くすん……」
キョン「……ほら……ハンカチあるぞ」
長門「…あ…ありがと……グスッ」
キョン「………」
長門「………」

キョン「なあ……」
長門「……なに?」
キョン「このままの体勢は、ちょっと……その……
    いろいろマズいんじゃないかと思うんだが」
長門「あっ……!!ごごごめんなさいっ!」
 バッ
長門「ご、ごめんっ……ね…!」
キョン「いや、構わないさ……」
長門「………」
キョン「………」


128: 2008/03/01(土) 17:16:36.96 ID:epVIZ0eH0

キョン「なあ……」
長門「……うん」
キョン「その……俺達、同じ文芸部員だよな」
長門「?……うん…」
キョン「部員も二人しかいないしさ」
長門「……うん」
キョン「つまり、俺とお前だけなわけだ……」
長門「………」


130: 2008/03/01(土) 17:17:13.78 ID:epVIZ0eH0

キョン「その……まだ長門の事よく知らないではあるんだけどさ……
    もっと俺を頼ってくれよ……」
長門「……!!」
キョン「俺もさ、入ったからには長門の力になりたいと思ってるし……
    何もできないかもしれないけど……相談相手くらいにはなると思うぜ?」
長門「……」
キョン「………」


142: 2008/03/01(土) 17:22:31.41 ID:epVIZ0eH0

長門「……くすん……」
キョン「……長門?」
長門「ご、ごめん……グスッ」
キョン「いや、謝らなくてもいいけど……」
長門「そ、そうだね……ごめん……グスッ」
キョン「………」

長門「あ……また、ごめんって言った……ヒグッ」
キョン「いや、いいよ……」


149: 2008/03/01(土) 17:24:22.30 ID:epVIZ0eH0

長門「あ……ありがと」
キョン「………」
長門「ごめん……私…嬉しくて……グスッ」
キョン「……そっか……」
長門「……うん……」
キョン「………」


211: 2008/03/01(土) 18:30:00.60 ID:m5Uzjd6+0

長門「もう……大丈夫だから……グスッ」
キョン「そうか」
長門「うん……」
キョン「何かあったらいつでも言ってくれよ……泣いてちゃ可愛い顔が台無しだ」
長門「えっ…!!えっ……と……え…!?」

キョン「あ、いやっ、何でもない!ただの妄言だ!気にしないでくれ!」
長門「そ、そそそ……そっか…!」
キョン「そう……だ……うん」
長門「え……と…」

212: 2008/03/01(土) 18:30:25.05 ID:m5Uzjd6+0

キョン「はは……なんだか照れてきたな……」
長門「……わ、わたしも……」
キョン「お、やっと笑ってくれたな」
長門「えっ!?……あ!…えっと……!」
キョン「ははは……」

長門「……も……もう……っ…!」
キョン「すまんすまん……ははっ」
長門「……いじわる…っ!…」

キョン「ごめんって。怒らないでくれよ」
長門「……ううん……怒っては…いない……」
キョン「そっか」
長門「……そう」


214: 2008/03/01(土) 18:32:58.55 ID:m5Uzjd6+0

長門「……ハンカチ、洗って返す…ね…」
キョン「いいって。気にするなよ」
長門「…あ……うん……」

キョン「メシはもう食ったのか?」
長門「ちょっと……だけ」
キョン「パン一個余ってるんだ。食わないか」
長門「……うん…!」


216: 2008/03/01(土) 18:35:14.04 ID:m5Uzjd6+0

キョン「……なあ、昼飯の時はここで食べていいか?」
長門「……うん」
キョン「でも俺カギ持ってないんだよな」
長門「あ……じゃあ…こr」
キョン「なあ、昼飯の時はここ来て部室開けてくれよ」
長門「え……?」

キョン「一緒に食べようぜ」
長門「えっ……!!」


217: 2008/03/01(土) 18:37:51.01 ID:m5Uzjd6+0

キョン「……迷惑か?」
長門「うっ……ううん!!迷惑じゃ……ない……」
キョン「そうか……」
長門「えっと……その……」
キョン「ん?」

長門「……ありがと」
キョン「……いいさ」

  ・  ・  ・


228: 2008/03/01(土) 19:28:58.12 ID:m5Uzjd6+0

キョン「………」
長門「………」ペラッ
キョン「……長門、それ面白いか?」
長門「……うん」
キョン「どんな話なんだ?」
長門「えっと……ユニーク…」
キョン「そうか……読み終わったら俺にも貸してくれよ」
長門「……わかった」ペラッ


231: 2008/03/01(土) 19:31:34.67 ID:m5Uzjd6+0

キョン「……なあ長門」
長門「……なに?」
キョン「前から聞こうと思ってたんだが……どうして俺を誘ってくれたんだ?」
長門「えっ……!!」
キョン「あれ以来勧誘してる様子もないし」
長門「その……それは……」
キョン「………」
長門「……えっと……」
キョン「………」

長門「あの……これ、市立図書館で借りてきたの」
キョン「……?…ああ、そうなのか」

長門「……そう……」
キョン「??」


232: 2008/03/01(土) 19:34:04.80 ID:m5Uzjd6+0

長門「そ、その……市立図書館で……」
キョン「?ああ、それはわかったよ」
長門「………」


長門「……(ボソッ)わかって……ない……」
キョン「え?」
長門「………」
キョン「…??」

長門「………」ペラッ
キョン「………」


235: 2008/03/01(土) 19:41:57.91 ID:m5Uzjd6+0
  ・
  ・
  ・
キョン「……そろそろ時間だな」
長門「………」パタン
キョン「じゃ、帰るか……」
長門「………」
キョン「部室閉めるぞ……っておい」
長門「………」スタスタ


キョン「おい長門、ちょっと待ってくれよ」
長門「………」スタスタ
キョン「ちょ……鍵、鍵は…よしっ」

 バタンッ

キョン「長門、待てったら!」タッタッタッ

長門「………」スタスタ

237: 2008/03/01(土) 19:47:05.29 ID:m5Uzjd6+0

 ~帰り道~
キョン「なあ長門……」
長門「………」

キョン「どうしたんだよ」
長門「……何でもない……」

キョン「何でもないって……」
長門「………」

キョン「俺、なんか悪い事言ったか?」
長門「………」

キョン「よくわからんが……スマンな」
長門「……別にっ……」
キョン「………」
長門「………」


240: 2008/03/01(土) 19:52:25.94 ID:m5Uzjd6+0

キョン「……ふぅ……なんか今日はツイてないな」
長門「………」
キョン「…谷口のやつなんか、体育の時間にサッカーしてたんだけど」
長門「………」
キョン「ボールを胸で受け取るつもりが顔面に当たってさ!」
長門「………」
キョン「しかもそれがゴールになって……そしたらあいつ、
    これが本当のヘディングシュートだとか言いやがって」
長門「……クスッ」
キョン「鼻血出しながら威張ってるんだよ。笑っちゃうよな」
長門「……ふふっ」

キョン「あ、いま笑った」
長門「……!!!!」


242: 2008/03/01(土) 19:55:00.28 ID:m5Uzjd6+0

キョン「あれ?長門?」
長門「わ、笑ってなんかない……もん……!!」
キョン「ほお~……」
長門「………///」

キョン「じゃ、そういう事にしておくよ」
長門「ほ、ほんとに……っ!」
キョン「わかったわかった」
長門「………」


245: 2008/03/01(土) 19:59:57.02 ID:m5Uzjd6+0

長門「……えっと…今日は、その……ごめん…ね…」
キョン「なんのことだ?」
長門「えっ……だって……」
キョン「もう忘れちまったよ、そんなの」
長門「!!……」

キョン「あいにく俺は物覚えが悪くてな……誰に似たもんだか……」
長門「……そ、そっか…」
キョン「そうさ」
長門「………」


246: 2008/03/01(土) 20:03:10.32 ID:m5Uzjd6+0

キョン「………」
長門「……でも、」
キョン「ん?」

長門「……私は憶えているから……ね」
キョン「なんだよ……だからゴメンなって」
長門「ううんっ!!違うの…っ…!そうじゃ、なくて……」
キョン「……?」

長門「やっぱり、いい……」
キョン「んん~……??何だよそれ」
長門「……いいの……」
キョン「??」

長門「……♪」

  ・  ・  ・

283: 2008/03/01(土) 22:31:25.55 ID:ddslrLlN0

俺は部屋で横になりながら、なんとなく心にひっかかるものを感じていた。

―長門のやつ、今日はなんか様子がおかしかったな。
急に機嫌が悪くなったかと思ったら、よくわからんことを言ったりして…
『私は憶えている』って何だ?俺が忘れている何かを憶えているってことなのか?

シャミセンのあたまを撫でながらぼんやりと考えていると、
妹がノックもせずに俺の部屋に入ってきた。
「キョンくんハサミ貸して~」
「ああ、勝手に持っていけ」
いつもいつもハサミを借りに来るが、もういっそ100均で買ってもらえ。
「明日の図工で使うの」
「いったい何を作ってんだ?」
「え~っとねぇ。ぱっ、て開いたら、仕掛けがぴょんっ、てとびだしてくるカード」
「そうか。うまくできそうか」
「むずかしいの~。できたらキョンくんにあげるね!」
そう言って妹は部屋から出て行った。

「カードか…」そうつぶやいた俺の海馬がひとつの出来事を想起させたのである。

288: 2008/03/01(土) 22:58:47.33 ID:ddslrLlN0
あれは今年のいつだったか、近所の市立図書館に行った時のことだ。
なんで図書館に行ったかはあんまり憶えていない、どうせ気まぐれだ。
適当に時間を過ごした俺は、さて帰ろうかと席を立った所、北高の制服を着た少女の姿を目にした。
いかにも本が好きそうなその小柄な少女は、
カウンターの向こうで忙しそうにしている係員と、自分の手に持った分厚い本を交互に見ながら
何やらそわそわしていた。
意を決して声を出そうとしては口をつぐみ周囲の状況をうかがい、
また口を開こうとしては黙り込む、を繰り返している。
見ているこっちまで緊張してくるぜ。

俺はおせっかいながら声をかけた。

「きみ、もしかしてカードつくりたいじゃないのか?」

292: 2008/03/01(土) 23:15:38.53 ID:ddslrLlN0
「きみ、もしかしてカードをつくりたいんじゃないのか?」
俺は噛んだ為もう一度言い直した。聞こえていなかったみたいだしな。
「!!あっいえ…あの…」ものすごく赤面している。俺は逆に悪いことをした気にさえなった。
「そんなに怖がんなくてもいいって、俺も北高生なんだ」
「!……そう…」少女はチラリと俺を見たかと思うと、すぐに視線を下に落とした。
「つくりかた教えてやるよ」
「…でも」
「読みたいんだろ?」
「え」
「その本、読みたいんだろ。大事そうに抱えて」
「……うん」

294: 2008/03/01(土) 23:28:30.88 ID:ddslrLlN0
「ホラ、この紙に自分の名前と連絡先を書いて」
「…」
「書けたか。じゃあ生徒手帳か何か持ってるか?」
「…うん」
「そうか。ならこの紙と一緒に係員に渡すだけだ」
「…」
「すみませーん!」
俺はちょっと注意を引くつもりだったが、
係員はメガネの奥から、そんなでかい声ださなくても聞こえてますよと
言いたげな視線を向けながらゆっくりと歩いてやってきた。もっと急げ。

「この娘に貸し出しカードつくってやってください、あとこれも借りたいみたいです」
「はい、少々お待ち下さい」

その言葉をきいた時、少女は初めて緊張の糸がほぐれたような笑顔を見せた。
笑顔がとても可愛らしかった。眼鏡がなかったらもっと良さそうだったが。

「あ、あの、ありがとう…」
「いいっていいって」
「……………」
「じゃあ俺そろそろ行くよ」
「あ…」
「ひょっとしたら学校で会うかも知れんな。そんときゃその本の感想でも教えてくれな」

301: 2008/03/01(土) 23:46:04.72 ID:ddslrLlN0
・・・あの時俺が手伝ってやった少女、あれが長門だったんだ。
そう考えれば長門の「市立図書館で借りた」という台詞にも説明がつく。
以前に出会って話したことのある俺を、読書好きとでも思ったのかもしれないな。

一度会ったことを忘れてたのは、気を悪くさせただろうな。
また明日、長門に会った時は話してみようか。

俺は心のひっかかりがとれたので安心して床についた。

 ・ ・ ・

323: 2008/03/02(日) 00:53:17.75 ID:HkGMFWlO0
書いてもらえたので>>301から続き

324: 2008/03/02(日) 00:53:49.55 ID:HkGMFWlO0

長門「あの……」
キョン「ん?どうした長門」
長門「えと……今日は部会を…開こうかな……って」
キョン「部会?そんな事言っても二人しかいないじゃないか」
長門「……それは……」

キョン「なにか仕事があるなら今言ってくれていいぞ」
長門「でも……と、とにかく……今日は部会が…あるから……
   あとで部室に……」
キョン「?……ああ、わかったよ」

長門「………」


325: 2008/03/02(日) 00:54:15.60 ID:HkGMFWlO0
 ~放課後~

 ガチャ
キョン「よう」
長門「……あ……」
キョン「よいしょ……っと……」
長門「………」

キョン「今日は部会をやるんだったよな」
長門「……うん」
キョン「それで、議題はなんなんだ?部長さん」
長門「えっと……ね……」
キョン「………」

長門「わ、わ、わが部は……日々、活動を行っていますが……」
キョン「うん」
長門「その……」
キョン「………?」
長門「……学外での活動も、やらなきゃ……と……いうか……」
キョン「……」


326: 2008/03/02(日) 00:54:42.39 ID:HkGMFWlO0

キョン「二人しかいないんだからもっと落ち着いて……な?」
長門「そ、それで……」
キョン「それで?」

長門「明日、は……休日ですけど……」
キョン「うん」
長門「…部活を……しよう…かな……って……」
キョン「……」
長門「……ダメ……?」

キョン「え……?」
長門「………わかっ……た」

キョン「!い、いや!?ダメとか言ってないぞ!?うん、
    い…良いんじゃないかな!!」
長門「……ほんと……?」
キョン「ああ、俺は大賛成だ!うん!つまり全部員が賛成だ」
長門「……よかった…」


327: 2008/03/02(日) 00:55:15.50 ID:HkGMFWlO0
長門「………」
キョン「それで、明日は何をするんだ?部室に来たら良いのか?」
長門「あ、えっと……明日は……違う……の…」
キョン「……?」
長門「そ、そ、その……市立図書館…に……」
キョン「図書館……」

長門「ぶ……文献のっ!……調査です……」
キョン「……」

キョン「そっか、調査なら仕方ないな」
長門「……そう……」

328: 2008/03/02(日) 00:56:29.72 ID:HkGMFWlO0

キョン「それじゃ明日はどこで待ち合わせするんだ?
    駅前の広場が良いと思うが……」
長門「う、うんっ!!……じゃあ…駅前で…」
キョン「そうだな……今日はそろそろ帰ろうか」
長門「……うん」

キョン「(こいつも誰かに似てきたな……)」

キョン「(あれ、誰だっけ?……まあどうでもいいや)」

長門「……なに?」
キョン「いやっ、何でもない!……ほら行くぞ」
長門「…うんっ…!」


330: 2008/03/02(日) 00:57:29.98 ID:HkGMFWlO0
 ~翌日~

長門「……あ…!」

キョン「よっ……スマンな、待ったか?」
長門「ううんっ……待ってない…」
キョン「……なんだ、制服じゃないか」
長門「えっ…!?あ、その……あくまで部のっ…!…活動だから…」
キョン「そうだっけ……そういやそうだったな」
長門「……そう…」
キョン「向こうの方だったよな……じゃ、行こう」
長門「……うん」
  ・
  ・
  ・

332: 2008/03/02(日) 00:58:40.29 ID:HkGMFWlO0

キョン「じゃあ俺はこっちの方で読んでるからさ」
長門「………」タッタッタッ
キョン「お、おい……」

キョン「あいつ……本当に本が好きなんだな」

キョン「さて、と……薄い小説でも読んでおくか」
  ・
  ・
  ・


334: 2008/03/02(日) 01:00:20.94 ID:HkGMFWlO0

長門「………」ペラッ

キョン「……zzZ」

長門「………」ペラッ

キョン「……zzZ」

  ・
  ・
  ・

338: 2008/03/02(日) 01:03:35.09 ID:HkGMFWlO0

長門「………」ペラッ

キョン「ハッ……!?!?」

長門「…あ……起きた?」
キョン「……ここは……」
長門「……図書館」
キョン「……ああ、そういえば……俺…寝てたのか…」

キョン「ん~~っっ……!」
長門「………」
キョン「……ふぅ……」

長門「……そろそろ閉館……」
キョン「え……マジかよ……」
長門「……マジ」
キョン「ああ……20ページしか読んでねえ」
長門「……」


340: 2008/03/02(日) 01:06:34.29 ID:HkGMFWlO0

長門「……そろそろ…」
キョン「……ああ、帰るか」

長門「これ、借りてくるから……待ってて」
キョン「ああ」

キョン「………」

キョン「……確か……」
  ・
  ・
  ・

341: 2008/03/02(日) 01:07:46.45 ID:HkGMFWlO0

長門「……お待たせ」

キョン「なあ、長門……これだろ」

長門「!!!」

長門「……それ……は……」

キョン「そういや、まだ感想聞いてなかったよな」
長門「……」

長門「……その、本……」
キョン「………」
長門「………」
キョン「?どうした?」


343: 2008/03/02(日) 01:09:49.84 ID:HkGMFWlO0

長門「あなたに……借りてもらった本……」
キョン「ああ……」

長門「……憶えてた、の……?」
キョン「いや、まあ……なんというか……」
長門「………」
キョン「やっぱり……あの時の生徒は長門だったんだな……」

長門「……うん……」
キョン「………」

長門「あなたと……初めて会った……」
キョン「……ああ…そうだよな……」


347: 2008/03/02(日) 01:12:36.36 ID:HkGMFWlO0

キョン「なんか俺、この前までその事忘れてたみたいだ……」
長門「………」
キョン「……最低だよな」
長門「えっ!?」

長門「そっ……そんなこと…!!……ない……」
キョン「長門は憶えててくれたんだろ?」
長門「……うん…」
キョン「………」
長門「あ、あのっ!」
キョン「ん?」


348: 2008/03/02(日) 01:13:53.53 ID:HkGMFWlO0

長門「とっても、とっても…!……良い本だった」
キョン「………」

長門「私の……一番、好きな……本…」

キョン「…そうだったのか」
長門「……うん」

長門「……思い出……だから……」
キョン「え?」
長門「ううんっ……!?な、な、何でもない……」
キョン「そっか……」
長門「………」

長門「……あの」
キョン「?」

長門「……ありがとう……」

  ・  ・  ・

389: 2008/03/02(日) 03:20:29.00 ID:3XH/1kX80

 ガチャ
キョン「おっす」
長門「……おっ……す」
キョン「……え?」
長門「……///」

キョン「……長門?」
長門「こっ…こんにちは……」
キョン「……気のせいかもしれんが、いm」
長門「こ、こ、こんにちはっ!」
キョン「あ……ああ」
長門「……」

キョン「長門、顔赤いぞ」
長門「………」

397: 2008/03/02(日) 04:15:39.19 ID:3XH/1kX80

 ガチャ

キョン「よう長門」
長門「…あ…!!!」サッ
キョン「ん……?なんか今……」
長門「な、何でもない……のっ…!」
キョン「……?…そうか…」

キョン「…よいしょ…っと」
長門「………」
キョン「……なあ」
長門「(ビクッ!!)……な、なに…?」
キョン「そんなに驚くなよ……」
長門「あ……ごめん…」

キョン「そのさ……ずっと後ろに隠してるのは何だ?」
長門「えっ……何が……」


398: 2008/03/02(日) 04:16:16.17 ID:3XH/1kX80

キョン「………」
長門「えっと……何も、ない……よ…?」
キョン「もしかして……」
長門「えっ……!?えっ!?」
キョン「しょうせt」
長門「わっ!!わーっ!!」
キョン「………」
長門「………///」

キョン「しょうs」
長門「わーーっ!!わーーっ!!」
キョン「………」

キョン「あの、まだ何も言ってないんだけど……」
長門「………///」


399: 2008/03/02(日) 04:16:46.57 ID:3XH/1kX80

キョン「……なあ……もしよかったら見せてくれよ」
長門「……ダ…ダメっ…!」
キョン「……まだ完成してないのか?」
長門「……と、とにかく……だめ……なの……っ」
キョン「……そっか」
長門「………」

キョン「……俺さ、すごく楽しみにしてるんだ」
長門「そ、そ、そそそんな……」

キョン「なあ、ストーリーちょっとだけ教えてくれよ」
長門「……えっと…それ……は……」


400: 2008/03/02(日) 04:23:22.19 ID:3XH/1kX80

キョン「………」
長門「………」
キョン「……ダメか?」
長門「………」

キョン「……そっか」
長門「………」

長門「……あの……」
キョン「……?」

長門「……ちょっと…だけ、なら……」
キョン「…お、本当か!?」


402: 2008/03/02(日) 04:28:35.85 ID:3XH/1kX80

キョン「いいのか?」
長門「……ちょっと、だけ……だよ…」
キョン「ああ、それで十分さ」
長門「………」

長門「……じゃあ、教えるね……?」
キョン「ああ……」

長門「……えっと、……高校生の女の子が、この…物語の主人公で……」
キョン「うん」
長門「…それで……その……」
キョン「………」

キョン「無理しないで、ゆっくりでいいからさ」
長門「……うん…」


403: 2008/03/02(日) 04:29:32.64 ID:3XH/1kX80

長門「……それで……とあるキッカケで……同級生の男の子を…」
キョン「………」

長門「……好きに…なる……の…」
キョン「……うん」

長門「……でも、…ね……その女の子は……とても話すのが下手で……」
キョン「………」

長門「……だから、その……男の子になんて言ったらいいのか……わからない……」
キョン「………」

長門「……ホントは好きなのに……大好きなのに……たったそれだけも、言えない……」
キョン「………」


405: 2008/03/02(日) 04:35:57.49 ID:3XH/1kX80

長門「ほんとに……それだけの物語、なんだけど……」
キョン「………」

長門「……言えないから……終われない……の……」
キョン「………」

キョン「…そっか、だからまだ未完成なのか」
長門「……うん……」
キョン「でもどこかで終わらせないといけないんじゃないのか?
    といっても俺は素人だからよくわからんけどな」
長門「……それは…」
キョン「……」

キョン「……いつかできたら読ませてくれよ。余計楽しみになってきたな」
長門「……ほんとに…?」
キョン「ああ、本当さ……その女の子の気持ちが実ると良いな」
長門「……うん…」


407: 2008/03/02(日) 04:40:06.07 ID:3XH/1kX80

キョン「完成するのが楽しみだ……」
長門「………」

キョン「……長門?」
長門「えっっ……!?」
キョン「どうしたんだ?」
長門「えっと……」

長門「……完成、するかな……?」
キョン「う~ん……俺に言われてもな……」
長門「………」

キョン「いや、なんというか……俺は応援してるしさ」
長門「………」
キョン「きっと良いものができると思うよ」
長門「……うんっ!…」

長門「……ぜったい!…頑張る、から……ね」

  ・  ・  ・

700: 2008/03/02(日) 23:55:42.53 ID:KVLN1+iJ0

長門「……あの…」
キョン「……何だ?」
長門「えっと…!…今から、部会を…開きます」
キョン「ん?ああ、部会か。はいよ」
長門「それじゃあ……出席を……とり…ます」
キョン「出席って…」

長門「…えと…、…その……」
キョン「………」
長門「……う…」
キョン「………」

キョン「……キョンでいいよ」
長門「……キ、キ、……」
キョン「………」

長門「……キョン……君……」
キョン「はいっ」
長門「………///」

702: 2008/03/02(日) 23:59:08.78 ID:KVLN1+iJ0

長門「………」
キョン「……プッ!クックックッ…」
長門「…えっ…!?」
キョン「ははは……あ、いや…すまんすまん。なんか面白くってな」
長門「……///」

キョン「長門、顔赤くなってるぞ……ははは…」
長門「……もうっ…!私は、…マジメに……」
キョン「そうだよな、すまん。ははは……」
長門「………」

キョン「それで、今日は何の話をするんだ?」
長門「えっと…ね、そろそろ…新たに資料を増やす……必要があって……」
キョン「……要するにここの本読み切ったってことだろ」
長門「それでっ…!…それで……」


704: 2008/03/03(月) 00:04:01.49 ID:MF1HxYY+0

長門「その……部費を使って、本屋さんで…本を買ってきたいな……とか……」
キョン「………」
長門「ダメ……?」
キョン「いや、いいと思うぞ。いつ行くんだ?」
長門「えっと…ね、また休日を使って……」
キョン「うん、賛成だ」
長門「……よかった……」

キョン「商店街に大きい本屋があっただろ。あそこなんか良いんじゃないか」
長門「うん、……そう…する……」
キョン「………」
長門「……あのっ…!……」
キョン「ん?」
長門「……やっぱり、何でもない……」
キョン「……?」
長門「………」
  ・
  ・
  ・

713: 2008/03/03(月) 00:10:59.58 ID:MF1HxYY+0

 ~日曜日~
キョン「なあ長門……」
長門「……なに…?」

キョン「そろそろ、会計したらどうだ?……うっ…
    これ以上は重くて持って帰れないぞ……」
長門「………」
キョン「な、また次に来たら良いしさ……こ、腰が……」
長門「……わかっ……た」
キョン「そんな残念そうな顔するなよ……」
長門「あ、ごめん……なさい……」
キョン「いや、いいって……じゃあこれレジに持って行くからな」
長門「……あ…うん…」
  ・
  ・
  ・

716: 2008/03/03(月) 00:15:05.55 ID:MF1HxYY+0

キョン「ふぅ……」
長門「……大丈夫……?」
キョン「ああ、なんとかな……」
長門「……半分、…持つ」
キョン「半分って……相当あるぞこれ。その体じゃ無理だって。
    まあこれも部員の仕事だから……部長さんは気にするな」

長門「でも……」
キョン「いいからいいから……って、うおっ!?!?」

 どんっ!!

ハルヒ「きゃぁああっ!!」
キョン「あいたた……」

古泉「涼宮さんっ!大丈夫ですか!?」
長門「……あ…だ、大丈夫……?」


720: 2008/03/03(月) 00:19:46.87 ID:MF1HxYY+0

ハルヒ「いった~……ちょっとアンタ!どこ見て歩いてるのよ!」
キョン「いや、申し訳ない……ちょっと荷物がかさばってて……」
ハルヒ「言い訳は聞いてない!」
キョン「!?(何だこいつ……)」

ハルヒ「まったく、最近の若者ときたら……まっすぐ歩く事もできないのかしら」
キョン「おい、ちょっと……」
ハルヒ「謝りなさい!」

長門「あ……あのっ…!!」
ハルヒ「何っ!?」
長門「あの、えっと…!…彼は…悪くない……の……」
ハルヒ「何よアンタ」
長門「ううっ……あ、あの、荷物持たせてた、私が……悪くて…」
ハルヒ「聞こえないわ。もっと大きな声でしゃべりなさい!」
長門「うっ……!」

キョン「おい長門、いいんだよ」
長門「で…でもっ!!」

724: 2008/03/03(月) 00:25:12.13 ID:MF1HxYY+0

キョン「もうやめてくれ!この子怖がってるじゃないか……
    謝るよ、この通りだ……許してくれ」
ハルヒ「………」
長門「……あ、…あの、…!」

ハルヒ「……まあいいわ。男も女も地味なカップルねアンタ達。
    いきましょ、古泉君」
古泉「はい」
 
 スタスタスタ

キョン「………」
長門「………」

キョン「ふう……やっと行ったな」
長門「………」

727: 2008/03/03(月) 00:33:01.98 ID:MF1HxYY+0

キョン「まあ気にするな。世の中ああいう人もいるもんだ」
長門「……うん…」
キョン「それにしても驚いたな……長門があんなにムキになるとは」
長門「えっ……!?」
キョン「案外怒らせたら恐いのかもな。長門は」
長門「……ち、ちが……!」
キョン「ははは、冗談だよ……」
長門「…ひどい……っ!」

キョン「すまんすまん……俺を庇ってくれたんだよな。ありがとな、長門」
長門「その、……部長として…っ!……当然だから…」
キョン「そうか……ありがとよ、部長さん」

長門「もう……おいてくからね…っ…!」
キョン「お、待ってくれ……よいしょっと」

730: 2008/03/03(月) 00:34:50.14 ID:MF1HxYY+0

長門「……カップル…」
キョン「ん?」
長門「ううんっ……!なんでもない…」
キョン「そっか」
長門「…うん……」

キョン「それじゃ、部室戻ろうか」
長門「……うんっ…!」

 ・  ・  ・

785: 2008/03/03(月) 03:56:04.62 ID:MF1HxYY+0

キョン「………」
長門「………」ペラッ

キョン「………」じー
長門「………」ペラッ

キョン「………」じー
長門「……///」

キョン「……(あ、顔赤くなった…)」じー
長門「……///」

長門「……あ…あのっ…!」
キョン「ん?」


786: 2008/03/03(月) 03:57:12.56 ID:MF1HxYY+0

長門「……なに…?」
キョン「ああ、なんでもない」

長門「……そう…」

キョン「………」じー
長門「………///」

キョン「………」じー
長門「……えっと…あの…」
キョン「……?」

長門「わ、わたしの顔……何かついてる…?」
キョン「…いや……」
長門「…そ、そっか……///」


788: 2008/03/03(月) 04:02:09.31 ID:MF1HxYY+0

キョン「そういや長門っていつも眼鏡かけてるのな」
長門「……?」
キョン「コンタクトとかにしないのか?」
長門「えっ……」

キョン「眼鏡してないほうが可愛いと思うぞ」
長門「えっ…!?え……えっ…と…///」
キョン「………」
長門「そ、そ、そ、そう……かな…///…?」
キョン「ああ」

長門「でっでっでも…!…かけてないと、落ち着かない…から……」
キョン「そうなのか」
長門「そう…なの……」
キョン「ふうん……」
長門「………///」


789: 2008/03/03(月) 04:06:21.13 ID:MF1HxYY+0

 ~翌日~
 ガチャ
キョン「よう」
長門「……あっ…」
キョン「……長門?」
長門「………」

キョン「………」
長門「………こっこんにちは……」
キョン「こんにちはって……本で隠れて顔見えないぞ」
長門「………」

キョン「どうしたんだ?」
長門「……なっ…なんでも…!ないから…」
キョン「………」
長門「………」

キョン「ほれ」
 ひょい
長門「あっ…!!」

792: 2008/03/03(月) 04:10:16.08 ID:MF1HxYY+0

長門「かっ返して…っ…///」
キョン「ほら、返すからさ。手をどけてくれよ」
長門「い…いやです…っ…///…!!」
キョン「………」
長門「早く……!」

キョン「わかったよ、悪かったな。はい」
長門「……うん…」

 パッ

キョン「あっ」
長門「……あ…」

793: 2008/03/03(月) 04:15:28.08 ID:MF1HxYY+0

キョン「………」
長門「…~~~~っっっ………!!!!」

キョン「長門……」
長門「み…見ないで…っ…!」
キョン「見ないでって言われても……」
長門「~~っっ……~っ!!!!」

キョン「もしかして……眼鏡してないのか?」
長門「………///」

キョン「なんd」
長門「そのっ……今日は…!眼鏡を、忘れたから……」
キョン「………」
長門「それに…っ…もともと目は悪く…なくて……」
キョン「………」
長門「だから、、、眼鏡なくても……字は見えるから…」
キョン「ふうん…」
長門「………///」

797: 2008/03/03(月) 04:21:56.34 ID:MF1HxYY+0

キョン「………」
長門「……~~っっ…っっ!!!!」
キョン「なあ、こっち向いてくれよ」
長門「……ダメっ…!」

キョン「……そうかい」
長門「……そう…っ///」

キョン「………」じー
長門「………///」

キョン「やっぱり眼鏡ない方が可愛いな」
長門「そ、そ、そ、……そう…っ…!!」
キョン「ああ」
長門「…あ、…あり……がと……///」
キョン「………」
長門「…えっ、と…っ…続き、……続き…///」
キョン「………」

  ・  ・  ・

811: 2008/03/03(月) 06:55:55.91 ID:0eQFZY5s0

 ~帰り道~
キョン「………」
長門「………」

朝倉「長門さーん!」

長門「……あ…」
キョン「……ん?あれ、朝倉じゃねえか」

朝倉「偶然ね。私じゃイヤかしら?」
キョン「いや、そういう意味ではないんだが……」

朝倉「長門さん、今日もキョン君とお帰り?ラブラブじゃない」
長門「……///…」
キョン「おい、朝倉……」
朝倉「冗談よっ。長門さん、からかうと面白いんだもの」
長門「……やめてよ、朝倉さん…」
朝倉「ふふっ、可愛い」
キョン「………」

812: 2008/03/03(月) 06:59:19.97 ID:0eQFZY5s0

朝倉「あら……そういえば長門さん、眼鏡は?」
長門「えっ……!?え、、っと…」
キョン「………」

長門「眼鏡はね……その…(チラッ)」
キョン「……ん?」
朝倉「?」

朝倉「…!!……はは~ん……なるほど、ね」
キョン「……?」
朝倉「長門さんも年頃の女の子ってわけか……」
長門「あ、朝倉さん…っ!」
朝倉「良かったわねキョン君」
長門「やめてよ…っ…朝倉さん……」
キョン「……?」

814: 2008/03/03(月) 07:02:03.03 ID:0eQFZY5s0
朝倉「あなたもクラスでは地味に過ごしてるのに
   こんな所でしっかりやってるなんて。意外だわ」
キョン「なんのこっちゃ……」
長門「………///」

朝倉「長門さんの事よろしくね。この人こう見えて寂しがり屋だから」
長門「う……うそばっかり…」
朝倉「へ~?どうなんでしょ」
長門「…もう…っ……朝倉さんなんて知らないんだから…っ…!行こう…っ」

 グイッ

キョン「おい、ちょっと」
朝倉「あら…長門さん…!?」

長門「………///」スタスタ
キョン「おい長門……朝倉が呼んでるぞ」スタスタ
長門「……いいの…っ」スタスタ
キョン「…そ…そうなのか?」スタスタ
長門「そう……なの…っ…!」スタスタ


朝倉「……意外と大胆なのね……帰ったらまたからかっちゃおっかな♪」

  ・  ・  ・

926: 2008/03/03(月) 20:52:03.64 ID:QgSfqZYs0

長門「……あの…っ」
キョン「……ん?おお、長門じゃないか」
長門「えっとね……その…」
キョン「………」

谷口「おーい、キョン!!」
長門「……!」
キョン「お、谷口」

谷口「ありゃ、お二人さんお揃いで。もしかしてキョン、
   お前抜け駆けするつもりじゃないだろうな」
キョン「何の事だ?」

谷口「またまた~、とぼけてんじゃねえって。この長門有希から
   チョコもらうんじゃねえかって事だよ」

長門「……!!!」

927: 2008/03/03(月) 20:52:25.30 ID:QgSfqZYs0

キョン「おい、お前……」
谷口「おっと、それなら俺は邪魔だよな。おとなしく引っ込んどくよ。
   それじゃ、ごゆっくr」

長門「…~~~っっ…!!!」タッタッタッ

キョン「あっ……おい、長門!!」
谷口「あれ……?行っちまった…どうしたんだ急に」

キョン「……お前…」
谷口「んあ?どうした?」
キョン「……お前の脳みそがミジンコ並みだと言う事は分かった」
谷口「おい……何だよそれ」

928: 2008/03/03(月) 20:52:49.23 ID:QgSfqZYs0

キョン「……いっぺん小学校から出直して来い」
谷口「あっ!!ひでえ……それでも友達かよ」
キョン「……お前は何も分かってないな…」
谷口「何だよ!俺のせいだってのか」
キョン「あたりまえだ」

谷口「んなこといって……お前だって少しは期待してたんだろ?」
キョン「………」
谷口「どうせまた後で貰えるんだろ?俺なんかに比べりゃよっぽどマシだぜ」
キョン「………」
谷口「さっ…次は国木田にも聞いてみようぜ。あいつは普通に貰ってそうだからな」
キョン「……ったく…」
  ・
  ・
  ・

929: 2008/03/03(月) 20:53:12.53 ID:QgSfqZYs0

 ~放課後~
 ガチャ
キョン「……よう…」
長門「………」

キョン「なんか……さっきはスマンかったな…」
長門「……いい…」
キョン「それで…何の用事だったんだ?」
長門「……!!」
キョン「………」

長門「……何でも…ない…」

キョン「……そうか…」

930: 2008/03/03(月) 20:53:44.41 ID:QgSfqZYs0

キョン「………」
長門「………」

キョン「……どうした、今日は本読まないのか?」
長門「………」

キョン「………」
長門「………」


長門「……っ…!!」

長門「…あ……あのっ!!!」

キョン「(ビクッ!!)……な、何だ?」

931: 2008/03/03(月) 20:54:13.96 ID:QgSfqZYs0

長門「……約束、してっ…!!」
キョン「……あ、ああ……?」

長門「ぜ、絶対っ、……誰にも…言わないで…」
キョン「……うん…」

長門「…笑わないで……ね…?」
キョン「……ああ…」



長門「ここここれっっ…!!!!!」

キョン「……!」

キョン「……これ…って…」

932: 2008/03/03(月) 20:54:40.80 ID:QgSfqZYs0

長門「その…っ…!おいしくないかも、しれない……けど……」
キョン「………」

長門「その時は……捨てていいからっ…」
キョン「……そんな」

長門「……はいっ…///」
キョン「……長門…」

キョン「……ありがとよ」
長門「……~~~っっ…///」

キョン「……嬉しいよ、本当に」
長門「えっ…と…!部長として、…当然です……から…」
キョン「……そっか」
長門「……そう…っ///」

933: 2008/03/03(月) 20:55:59.15 ID:QgSfqZYs0
キョン「……いつかお礼しなきゃな」
長門「そ、そ、そんな……」

長門「……お礼を言うのは…私のほう、だし……」

長門「…いつも、…その……///」
キョン「………」

長門「…とっ……とにかく…っ!!……あり…がとう……ね…」
キョン「……こっちこそな。部長さん」

長門「……っ…///」

キョン「ははは……なんか照れてきたな…」
長門「………///」

キョン「ありがとよ、長門」
長門「……うん…!」

  ・  ・  ・

963: 2008/03/03(月) 22:29:57.74 ID:Y9zq8IPoO
ご愛読ありがとうございました!
俺の次回作にご期待下さい!

引用: 長門「…………あの」