1: 2017/03/28(火) 23:24:01.781 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャの部屋

サターニャ「魔界通販で買った何かが届いたわー!」

サターニャ「さーて、何を買ったんだったかしら~?」ワクワク

サターニャ「……ん?なにこれ」

サターニャ「注射器みたいな……自転車の空気入れのポンプっぽい……んん?」

サターニャ「説明書、説明書は……」

『人間キグルミ化ポンプ』

サターニャ「うーん?買ったかしら、こんなの……使い方は~」

『ホースの先の吸盤をキグルミにしたい人にくっつけ、ポンプのレバーを引っ張ります』

サターニャ「なるほど……?」
天使と悪魔と委員長
2: 2017/03/28(火) 23:24:44.465 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「どうしたんですか?」

サターニャ「ラフィエル⁉︎」ビクッ

サターニャ「またあんたは勝手に人の家に入ってきて!」

ラフィエル「やだなー、サターニャさんの家だけですよ~」

サターニャ「なお悪いわ!」

サターニャ「!」ピーン

ラフィエル「あ!また面白い物買ったんですね⁉︎どれどれ……」

4: 2017/03/28(火) 23:25:34.873 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャ(この吸盤をラフィエルの背中に……)キュッ

ラフィエル「ひゃっ⁉︎え?サターニャさん?なんですか?」

サターニャ「レバーを引く!」ギュー

ラフィエル「あは、くすぐったい、え?なにを……」ガクッ

サターニャ「あれ、レバー止まんない……これ自動なの?」

ラフィエル「あれ、あ、脚が、潰れ、萎んでる……?」

サターニャ「え、なにこれ、え⁉︎」

5: 2017/03/28(火) 23:26:24.062 ID:4UuM2rBcd.net
それはまるで、風船の空気が抜けていくようだった。

まずは脚がしぼみ、自立出来なくなったラフィエルは膝から崩れるように倒れ込む。

ラフィエル「あ、手が溶け、力が抜け……あ、あぁぁあ、あ」ビクンビクン

そして身体を支えようと床に着いた手もまた、ダルんと力なく潰れた。

ラフィエル「あ」ドサッ

軽く痙攣しながら床に突っ伏したラフィエル、その胴体さらに頭がしぼんでいく様子を、サターニャはただ見ているしかなかったーー。

6: 2017/03/28(火) 23:26:52.557 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「」ペター

サターニャ「嘘……ラフィエルが、皮だけに、なっちゃった」

サターニャ「え、えぇ⁉︎せ、説明書は……!」

『レバーが完全に引かれたらキグルミ化完了!あとは背中の穴からキグルミを着ればその人になりきれるぞ!』

8: 2017/03/28(火) 23:27:22.893 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャ「そ、それだけ⁉︎まさか氏んでないでしょうね⁉︎」

ラフィエル「」

サターニャ「あったかい……生きてる……?」

サターニャ「……キグルミ」

サターニャ「着て、みようかしら」

サターニャ「……背中の、あった、穴」

サターニャ「……」

ラフィエル「」

9: 2017/03/28(火) 23:28:03.951 ID:4UuM2rBcd.net
『※キグルミを着る時は服を脱いでください』

サターニャ「……」ヌギヌギ

サターニャ「……ええい!」グイ

皮だけになったラフィエルの背中には小さな穴があった。

手を入れて広げると、それはゴムのように伸びた。

サターニャ「……うわ、中身空っぽじゃない……ぬるぬるする……」グイグイ

ポンプに吸い込まれたのか、ラフィエルの内側には何も入っておらず、サターニャはそこへ脚を入れる。

サターニャ「!」ピター

10: 2017/03/28(火) 23:28:49.399 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャ「皮が張り付いてくる⁉︎」ピター

脚の位置を合わせた瞬間、ラフィエルの皮は吸盤のようにサターニャの脚に吸い付いた。

サターニャ「……手足を合わせて……最後に、頭」ピター

同じように手、そして頭の位置も合わせる。

するとーー。

ラフィエル(サターニャ)「……!」ピター

ラフィエル(サターニャ)「すごい、完全に……!」

ラフィエルの皮はサターニャの身体を包み込み、背中の穴も塞がった。

サターニャは、ラフィエルになっていたーー。

13: 2017/03/28(火) 23:29:33.220 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル(サターニャ)「あ、声もラフィエルになってる!」

ラフィエル(サターニャ)「あれ、なんか体格も変わってる……?」

ラフィエル(サターニャ)「魔界通販おそるべ、し……?」

ラフィエル(サターニャ)「⁉︎」ピキー

自身の身体の変化に驚くサターニャを、急な頭痛が襲うーー!

16: 2017/03/28(火) 23:30:35.385 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル(サターニャ)「あ、頭が……!」

ラフィエル(サターニャ)「これは、ラフィエルの、記憶……?」

ラフィエル『サターニャさーん!』ラフィエル『サターニャさんたら~』ラフィエル『サターニャさんサターニャさん!』
ラフィエル『メロンパンですよ~』ラフィエル(サターニャ)「これは」ラフィエル『面白いですね~』
ラフィエル『うふふ~』ラフィエル『さすがサターニャさん!』ラフィエル『大好きですよ~』

ラフィエルの皮を着たことで、サターニャの頭にラフィエルの記憶が流れ込む。

それは、一瞬の内にラフィエルの内面を理解するーー強制的に理解させられる、という事であった。

ラフィエル(サターニャ)「あ、頭が、あ、あぁぁあぁぁああ!!!!!」

ラフィエル(サターニャ)「そうだ、これは……!」

17: 2017/03/28(火) 23:31:54.638 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル(サターニャ)「この幸福感は、ラフィエルの感情……!」

ラフィエル(サターニャ)「私の中のラフィエルの心が、私とひとつになれた事に喜んでる!」

『ラフィエルはサターニャが好き』

とりわけ強いその感情がサターニャの脳内を支配するーー!

ラフィエルの心を理解したサターニャの心は、自身がサターニャであるという当たり前の事実に喜び打ち震えていたのだ。

ラフィエル(サターニャ)「……あれ?私って、どっちだっけ?」

18: 2017/03/28(火) 23:32:52.561 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャでありながらラフィエルとなった彼女。

やがて二人の少女の心は融解し混ざり合う……!

ラフィエル()「あ、え?」

ラフィエル「えーと、私は、サターニャ……ラフィ、あれ?」

自分がサターニャなのか、ラフィエルなのか、そんな事は些細な問題ーーそう、彼女は結論した。

ラフィエル「そうだわ!この幸福感を他の誰かにも教えてあげなくちゃ!」

そしてーー!

19: 2017/03/28(火) 23:34:05.569 ID:4UuM2rBcd.net
ヴィーネの部屋

ラフィエル「あ、ヴィネットさん!」バシュン

ヴィーネ「え、えぇ⁉︎なんでラフィが急に⁉︎」

ラフィエル「ヴィネットさんは、ガヴリールちゃんの事が好きですよね⁉︎」

ヴィーネ「え、うん、ガヴは好きだけど……あれ?」

ラフィエル「どうしました?」

ヴィーネ「今ラフィ、ヴィネットさんって……ガヴリールちゃんって言った?」

ラフィエル「?」

21: 2017/03/28(火) 23:35:03.011 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「私、魔界通販でこんなもの買ったんですよ!」

ヴィーネ「え?え?」

ラフィエル「これを使えば、ヴィネットさんがどれだけガヴリールちゃんを好きか、理解させてあげられるんです!」

ヴィーネ「待ってラフィ、いえ、あなたホントにラフィなの⁉︎」

ラフィエル「いま、皮にしてあげますね!」

ヴィーネ「え⁉︎皮って……」キュッ

ラフィエル「うふふ」

ヴィーネ「あっ」ギュー

23: 2017/03/28(火) 23:36:11.178 ID:4UuM2rBcd.net
腹部に張り付いた吸盤から、何かが抜けて行く感覚に戸惑うヴィーネ。

胴体が潰れたところで、戸惑いは恐怖へと変わる。

ヴィーネ「いや、うそ、やめ、やめてラフィ!こんな、こんな物……!」

吸盤を外そうと伸ばした手は、目的地に辿り着くことなくヒラヒラと舞っていた。

抵抗虚しく、仰向けに寝そべったヴィーネはただ身体の感覚がなくなっていくのを感じるしかなかったーー。

ヴィーネ「」ペター

ラフィエル「ふぅ、さて、ガヴリールちゃんの部屋へ行かないと!」バシュン

25: 2017/03/28(火) 23:37:50.966 ID:4UuM2rBcd.net
ガヴの部屋

ラフィエル「ガヴリールちゃん!」バシュン

ガヴリール「うお⁉︎なんだラフィか驚かすなよ」

ラフィエル「じゃーん!」ペラン

ガヴリール「あ?なんだいきなり……おい」

ガヴリール「おいそれ、ヴィーネに見えるんだが」

ラフィエル「そうですよ!ヴィネットさんです!」

ガヴリール「……お前ラフィじゃないだろ」

26: 2017/03/28(火) 23:39:02.202 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「さぁガヴリールちゃん!ヴィネットさんを着てください!」

ガヴリール「意味わかんねーよ!ヴィーネは無事なんだろうな!」

ラフィエル「すぐに分かりますよ!愛です、愛が世界を救うんです!」

ガヴリール「チッ……話が通じねぇ」

ガヴリール「手荒なマネはしたくないが、弓矢で」ヴォン

ラフィエル「今のガヴリールちゃんでは、私には勝てませんよ~?」ヴォン

27: 2017/03/28(火) 23:39:35.039 ID:4UuM2rBcd.net
サターニャの部屋

ガヴリール「……ん?」

ガヴリール「あれ、私、確かラフィに……」

ガヴリール「え、なんで、裸に……動けないし」

ラフィエル「あ、おはようございますガヴリールちゃん」

ガヴリール「そのガヴリールちゃんてのやめろ……私になにする気だ」

ラフィエル「魔界通販で買った道具でガヴリールちゃんの身体の自由は奪いました」

ガヴリール「……お前、サターニャなのか?」

28: 2017/03/28(火) 23:40:29.386 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「私がラフィエルかサターニャかなんて、どっちでもいい事なんですよ」

ガヴリール「あ?」

ラフィエル「それは、アナタがガヴリールかヴィネットのどちらなのか、なんて事と同じくらいに」

ガヴリール「……は?」

言うと、ラフィエルはガヴリールの身体を持ち上げ、空中に固定するーーこれも魔界通販で買った道具の効果であった。

そして今度は、ヴィーネの皮の背中の穴を広げる。

ガヴリール「おい、おいサターニャ、なにする気だ、おい!」

自由を奪われたガヴリールの脚を、ヴィーネの皮の中に入れる。

ガヴリール「おい、なんだこれ、脚が、張り付いて、おい!」

29: 2017/03/28(火) 23:41:27.390 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「大丈夫、大丈夫、怖くない、怖くない」

下半身が完全に皮の中に入ったガヴリール。

ガヴリール「う、うぅ、ヴィーネぇ……!」

ラフィエル「はーい、次は上半身ですね~」

両腕、そしてついには頭部も皮の中へーー!

ヴィーネ(ガヴリール)「あ、張り付く、あ、あぁ!」

ヴィーネ(ガヴリール)「あ……あ?」ピキー

30: 2017/03/28(火) 23:42:19.239 ID:4UuM2rBcd.net
ヴィーネの記憶が、心が、ガヴリールの脳髄を満たすーー!

ヴィーネ『もうガヴったらー!』ヴィーネ『ガーヴ、えへへー』ヴィーネ『大好き』
ヴィーネ『起きなさーい』ヴィーネ(ガヴリール)「あ、あぁ」ヴィーネ『宿題やった?』
ヴィーネ『今ご飯できるねー』ヴィーネ『ガヴのパンツ……』ヴィーネ『ガヴガヴガヴガヴ……』

ヴィーネ(ガヴリール)「あ、あぁ!ヴィーネ、ヴィーネぇ!!!!」ビクンビクン

ヴィーネ(ガヴリール)「そうか、ヴィーネはこんなにも、私を……!」

ラフィエル「うふふ♥︎」

32: 2017/03/28(火) 23:43:13.403 ID:4UuM2rBcd.net
ヴィーネ(ガヴリール)「私、私……?私は、ガヴリール……ヴィーネ……あ、あれ?」

ラフィエル「いいんですよ?ヴィネットさん、自分の心に従って、ね?」

ヴィーネ(ガヴリール)「え、えへへ、私、ガヴと一つになってる……えへ、えへへへ♥︎」

ラフィエル「うふふふふ」

ヴィーネ「えへ、えへへへへ」

33: 2017/03/28(火) 23:44:27.912 ID:4UuM2rBcd.net
ラフィエル「次は誰がいいでしょう?」

ヴィーネ「そうね……そうだ!タプちゃんなんかどうかしら?」

ラフィエル「いいですね!タプちゃんはヴィーネさんの事が好きみたいですし!」

ヴィーネ「あは、楽しみだな~」

ラフィエル「あとは……あぁ、マルティエルなんかも良いですね!」

ヴィーネ「あははは」

ラフィエル「うふふふ」

「「「「あはははははははははは」」」」

おわり

34: 2017/03/28(火) 23:45:11.555 ID:AAjBzDZ50.net
ゼルエル「なんなんだあこのスレはあ…?」

35: 2017/03/28(火) 23:47:05.418 ID:QsWSltWM0.net
超面白かった
ガヴリール関係なしに面白かった 乙



引用: ラフィエル「魔界通販からなんか来た」

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