1:◆7FnOo4mT6s 2014/10/01(水) 14:52:12 ID:AK.NHljg
きっかけは、勇者の仲間選びが原因だった。

この日を境に、ある男が勇者の周りによく出没をした。

仲介者「旅の仲間は、どんな人が良い?」

勇者「俺と同じくらいの若い人限定で」

仲介者「ええ、了解したわ」

キモメン「……」

後に、勇者の仲間に選ばれなかったキモメンは、幾度もなく勇者の前に出没。

そのキモメンの事を完全に無視し、勇者達は魔王との最終決戦に備えたのだった。

2: 2014/10/01(水) 14:52:43 ID:AK.NHljg
~王都・酒場~

勇者「……」モグモグッ

戦士「……」モグモグッ

魔法使い「……」モグモグッ

僧侶「……」モグモグッ

キモメン「……」ジーーッ

3: 2014/10/01(水) 14:53:14 ID:AK.NHljg
盗賊「……」モグモグッ

武闘家「……」モグモグッ

賞金稼ぎ「……」モグモグッ

商人「……」モグモグッ

キモメン「……」ジーーッ

魔女「……?」チラッ

4: 2014/10/01(水) 14:53:47 ID:AK.NHljg
魔女「ねぇ、勇者。なんか変な人がいるけど……」

魔女「あのまま、放置しといていいの?……」

勇者「ああ、まあな」

魔女「けど、ずっと勇者の事を見つめてるやよ……」

魔女「あのキモイおじさん、一体何なのよ?……」

勇者「さぁ、何も解らないな」

5: 2014/10/01(水) 14:54:00 ID:AK.NHljg
戦士「ああ、そっか。お前は知らなかったんだったな」

戦士「あのおっさん。俺と勇者が知り合った時から、ずっとつけてくるんだ」

魔女「!?」

戦士「おまけに、チビでデブでハゲで不細工だ」

戦士「俺達の様な成人したばっかの若いパーティに入ろうとしている自体、おかしいんだよ」

盗賊「ああ、そうだな」

6: 2014/10/01(水) 14:54:32 ID:AK.NHljg
魔女「でも、何でまた?……」

魔女「せめて、話だけでも聞いといてあげたら?……」

勇者「その必要もない!」

魔女「……」

盗賊「それに、あいつ何を聞いてもずっと黙ったままだ」

盗賊「魔法使いが色々な言語を試してみたが、どれもかしこも通じなかったんだよ」

7: 2014/10/01(水) 14:54:44 ID:AK.NHljg
魔女「じゃあ、それが原因なの?」

魔女「なんか、勇者の周りには最初の頃に沢山いた女の子達が消えたのは」

勇者「ああ、あいつの所為で俺のハーレムが完全に崩壊した!」

勇者「皆、気味悪がって俺のパーティから抜けたんだよ!」

魔女「……」

キモメン「……」ジーーッ

8: 2014/10/01(水) 14:54:55 ID:AK.NHljg
勇者「とりあえず、お前も注意しとけ!」

勇者「俺は、お前にまで逃げられたくない!」

魔女「……勇者」

魔女「けど、私はただ単に師匠からのお使いでここに来ただけだし……」

魔女「だから、私も勇者の仲間になるのはちょっと無理かな」

勇者「!?」ガーーン

9: 2014/10/01(水) 14:55:42 ID:AK.NHljg
戦士「まぁ、当然の結果だわな……」

戦士「あんなのに付き纏われていたら、たとえ俺が女でも逃げ出すよ……」

魔女「……ごめん」

戦士「それに、あいつは大賢者様曰く勇者キラーだ」

戦士「あいつが流した噂が原因で、過去に何人もの勇者がそれに苦しめられているらしい」

魔女「え?」

10: 2014/10/01(水) 14:55:53 ID:AK.NHljg
僧侶「戦士。その話は止めといた方が」

僧侶「その話を、魔女の前でするのはどうかと思います」

戦士「けどなぁ……」

武闘家「戦士。お前の気持ちも解らなくはない」

武闘家「所詮、あいつは自分自身を仲間に選ばなかった勇者の事を逆恨みしているだけの暗根な男」

武闘家「人と人での会話がろくに出来ず、紙に書いた他人の悪口を町から町へとばら蒔くのが大好きなだけだ」

11: 2014/10/01(水) 14:56:04 ID:AK.NHljg
魔女「でも、それが原因で何人もの勇者が過去に被害に遭ってるんでしょ?」

魔女「だったら、何であいつは捕まんないのよ?」

武闘家「さぁ、解らんな」

勇者「逆に、俺が聞きてぇよ……」

戦士「ああ、そうだな……」

魔女「……」

12: 2014/10/01(水) 14:57:54 ID:AK.NHljg
魔法使い「まぁ、お前は何も知らない方が良い」

魔法使い「帰ったら、師匠によろしく言っといてくれ」

魔女「ええ、了解したわ」

勇者「魔女。俺は、お前にまで逃げられたくない!」

勇者「お前にまで逃げられたら、また伯父さんや従兄弟達の様になってしまう!」

魔女「え?」

13: 2014/10/01(水) 14:58:05 ID:AK.NHljg
戦士「勇者。もうその辺で止めとけ!」

戦士「魔女が困ってるだろ!」

勇者「だが……」

戦士「お前の先祖や親類、あいつの所為で氏んだんだろ?」

戦士「時には、“味方頃し”だとか“腰抜け野郎”とか言われてた!」

戦士「だから、今のお前はあいつの流す悪評に打ち勝つ様にしないと駄目なはずだ!」

14: 2014/10/01(水) 14:58:16 ID:AK.NHljg
勇者「すまん、戦士。俺が間違ってた」

勇者「魔女も、食事が済んだらもう帰っても良い」

魔女「……ええ、了解したわ」

勇者「それと、食事が終わればすぐに町を出るぞ!」

勇者「今の俺達には、あいつに構っている程の時間はない!」

勇者の仲間達「おう!」

15: 2014/10/01(水) 14:58:26 ID:AK.NHljg
魔女「じゃあ、私はもうこれで失礼させて貰うわ」

魔女「ここに、私の分のお代を置いてくわね」

スッ、ジャラジャラ……

勇者「魔女。気を付けてな」

勇者「大魔導師様にお会いしたら、後もう少しで終わると伝えといてくれ」

魔女「ええ、またね」ニッコリ

16: 2014/10/01(水) 14:58:36 ID:AK.NHljg
スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

勇者「はぁ……」ガクッ

勇者の仲間達「……」

キモメン「……」ジーーッ

17: 2014/10/01(水) 14:58:46 ID:AK.NHljg
戦士「とりあえず、後で娼館に行くぞ」

戦士「今のお前は魔女にも逃げられたんだ」

戦士「だから、好きなだけ女抱いといても良いぞ」

勇者「ああ、了解した……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

キモメン「……」ジーーッ

20: 2014/10/02(木) 11:33:45 ID:WJ.BfTWo
勇者一行がむやみに人を殺せば問題になるので、それはちょっと無理です。

21: 2014/10/02(木) 11:34:02 ID:WJ.BfTWo
~王都・酒場前~

魔女(なんか、悪い事をしちゃったかな?……)

魔女(勇者には悪いけど、あんなのが一緒だったから……)

魔女(そりゃあ、私だって勇者と共に旅に出たいわよ……)

魔女(けど、あんなのが一緒にいたらなぁ……)

魔女(はぁ……)

22: 2014/10/02(木) 11:34:13 ID:WJ.BfTWo
魔女(でも、何で勇者はそこまで恨まれているの?……)

魔女(あいつ、一体なんなのよ?……)

魔女(勇者。本当に大丈夫かしら?……)

魔女(なんか、かなり不安になってきたわ……)

魔女(一応、師匠にも報告をしといた方が良いのかしら?……)クルッ

「あら?」

23: 2014/10/02(木) 11:34:51 ID:WJ.BfTWo
「魔女。そこで何してるの?」

「店、入るのなら入ったら?」

魔女「え?」クルッ

女僧侶「魔女。入らないの?」

女僧侶「そこにいたら、通行の邪魔になると思うけど」

魔女「ええ、そうね……」ソソッ

24: 2014/10/02(木) 11:35:02 ID:WJ.BfTWo
女僧侶「それで、どうかしたの?」

女僧侶「魔女が、こっちに来るのも珍しいわね」

魔女「実は、今さっきまで勇者と会っていたのよ」

魔女「そしたら、勇者の事を付き纏う変な人と遭遇しちゃって」

女僧侶「ああ、そうなんだ……」

魔女「どうしたら良い?」

25: 2014/10/02(木) 11:35:12 ID:WJ.BfTWo
女僧侶「あの人、まだ諦めてなかったんだ……」

女僧侶「大賢者様曰く、120年くらい前からずっとあの調子らしいんだけど……」

魔女「!?」ガーーン

女僧侶「まぁ、そう言う事だから魔女もあの人には関わらない方が良いわよ……」

女僧侶「前に勇者と一緒にいた女の子達全てが、勇者との関係を悪くしちゃったし……」

女僧侶「だから、魔女も勇者とも距離を置いた方が良いわよ……」

26: 2014/10/02(木) 11:35:22 ID:WJ.BfTWo
魔女「……そう。そうなの」

魔女「あの人、そんな前から歴代の勇者に付き纏ってたんだ……」

女僧侶「……ええ、そうね」

魔女「私、勇者の事をなんとかしてあげたい……」

魔女「一体、誰に言えばなんとかして貰えるのかな?……」

女僧侶「さぁ、私にも分からないわ……」

27: 2014/10/02(木) 11:35:38 ID:WJ.BfTWo
「だったら、大魔導師様にでも相談してみたらどうだ?」

「そうすれば、すぐにも解決すると思うぞ」

魔女「え?」クルッ

女僧侶「あっ、女騎士達……」

女騎士「よう、魔女。久し振りだな」

女騎士「今日は、大魔導師様の使いか何かか?」

28: 2014/10/02(木) 11:35:52 ID:WJ.BfTWo
魔女「ええ、そんな所よ」

魔女「女騎士達はどうしたのよ?」

女騎士「私達は、勇者がこっちに戻ってきてるって聞いて、少し様子を見に来た」

女騎士「そしたら、勇者は留守だったらしくてな」

女騎士「仕方なく、私達はどこかで昼食を取ろうと王都の中を徘徊」

女騎士「それで、お前達とこうして出会った訳だ」

29: 2014/10/02(木) 11:36:14 ID:WJ.BfTWo
魔女「それなら、勇者は今私達がいる店の中にいるわよ」

魔女「私、勇者と今さっきまで一緒だったから」

女騎士「おおっ、そうなのか!」

女僧侶「けど、勇者の背後にはあいつがいるみたいよ」

女僧侶「あのおじさん。未だに勇者の後を付け回してるみたいだから」

女騎士「……何?」

30: 2014/10/02(木) 11:36:24 ID:WJ.BfTWo
武闘家妹「ねぇ、女騎士。どうするの?」

武闘家妹「勇者と会ってくの?」

女騎士「ああ、勿論だとも!」

武闘家妹「だったら、私も行くわ!」

武闘家妹「せめて、魔王城に向かう前に兄さんの顔も見ときたいから!」

女騎士「ああ、そうだったな!」

31: 2014/10/02(木) 11:37:57 ID:WJ.BfTWo
スッ、ガチャ……

カランカラン……

勇者「む?」

女騎士「おおっ、勇者。良い所に!」

女騎士「私、今日はお前の事を探してたんだぞ!」ニッコリ

勇者「……女騎士」ピカァ

32: 2014/10/02(木) 11:38:07 ID:WJ.BfTWo
武闘家「勇者。早く出てくれ」

武闘家「どうやら、俺の妹もいる様だ」

勇者「ああ、すまん」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタタタタタタタタッ……

33: 2014/10/02(木) 11:38:37 ID:WJ.BfTWo
武闘家妹「兄さん。やっと会えた!」

武闘家妹「もう、何で帰ってるなら帰ってるって、連絡をしてくれなかったのよ!」ギロッ

武闘家「ああ、すまんすまん……」ビクッ

女僧侶「勇者様。お久し振りです」

女僧侶「勇者様のお元気そうなお姿を見て、私安心致しましたわ」ニッコリ

勇者「……女僧侶」ウルッ

34: 2014/10/02(木) 11:38:47 ID:WJ.BfTWo
商人「勇者。ここでは人が多い」

商人「どこか、ゆっくりと話せる場所に移ろう」

賞金稼ぎ「だったら、あそこでもう良いじゃねぇか」

賞金稼ぎ「あそこで女でも抱きながら、ゆっくりと今後の話でもしようぜ」

勇者「ああ、了解した」

魔女「……え?」

35: 2014/10/02(木) 11:38:57 ID:WJ.BfTWo
女僧侶「では、そろそろ向かいましょうか?」ニコニコ

女僧侶「私が、上に掛け合って一部屋貸しきりにさせて頂きます」ニコニコ

賞金稼ぎ「おおっ、そりゃあ有り難いわ」

女僧侶「勇者様。後で、私が嫌と言う程とお相手の方をさせて頂きます!」ニコニコ

女僧侶「さぁ、早く参りましょう!」ニコニコ

勇者「ああ、了解した」スッ、フキフキ……

36: 2014/10/02(木) 11:39:07 ID:WJ.BfTWo
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

キモメン「……」ヌッ

スッ、バタン……

魔女(本当に、これで良かったのかしら?……)

魔女(と言うか、娼館の中で作戦会議って、かなり斬新だわね……)

37: 2014/10/02(木) 11:39:47 ID:WJ.BfTWo
本日の分、終了。

39: 2014/10/03(金) 09:22:52 ID:8unALimk
~王都・娼館前~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔女(ここが、娼館か……)

魔女(勇者達、本当にここに入ったんだ……)

キモメン「……」ジーーッ

40: 2014/10/03(金) 09:23:03 ID:8unALimk
武闘家妹「あっ、魔女。何してたの?」

武闘家妹「もう皆、入ってるよ」

魔女「ごめん」

武闘家妹「後、後ろの人は入れなくて良いんで!」

武闘家妹「魔女。早くこっちに来て!」

男性店員達「ああ、了解した」

41: 2014/10/03(金) 09:23:14 ID:8unALimk
スッ、ガチャ……

男性店員「どうぞ」

男性店員「さぁ、早く!」

男性店員2「……」ジーーッ

キモメン「ちっ……」

武闘家妹「……」ニヤッ

42: 2014/10/03(金) 09:23:33 ID:8unALimk
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

男性店員「……」

男性店員2「……」

キモメン「……」

43: 2014/10/03(金) 09:24:04 ID:8unALimk
~娼館・1F食堂~

魔女(ふぅん。ここが娼館かぁ……)

魔女(なんか、思ってたのと全然違うわね……)

女僧侶「マスター。XX教会の者です」ニコニコ

女僧侶「少しの間、一室を貸し切りにしたいのですが」ニコニコ

店主「ええ、構いませんよ」ニッコリ

44: 2014/10/03(金) 09:24:15 ID:8unALimk
女騎士「おいっ、なんかあっさりしてるな」

女騎士「普通なら、そのまま断ると思うんだが」

店主「いえいえ、そんな事はございません」ニコニコ

店主「ここ、実はXX教会が運営しているお店でして、以前から教会関係者の方が多いんですよ」ニコニコ

女騎士「!?」ガーーン

魔女「そうだったの!?」ガーーン

45: 2014/10/03(金) 09:24:33 ID:8unALimk
女僧侶「まぁ、表立っては言えませんけどね」ニコニコ

女僧侶「じゃなきゃ、王都にいる女全てが追い出されてますよ」ニコニコ

店主「ええ、そうですね」ニコニコ

女僧侶「ですから、勇者様達は何もご心配はございません」ニコニコ

女僧侶「ここなら、あのお方も入り込めないでしょうね」ニコニコ

魔女「あっ……」ビクッ

46: 2014/10/03(金) 09:24:43 ID:8unALimk
魔女(なんか、私見ちゃいけないものを見た様な……)

魔女(あれ、明らかにレ〇プされた後の様な人達が倒れてんだけど……)

女達「……」グッタリ

女僧侶「マスター。あそこでふて寝している人達を、すぐに片付けて下さい」ニコニコ

女僧侶「今から、勇者様との大事な作戦会議がありますから」ニコニコ

店主「はい、ただいま」ニコニコ

47: 2014/10/03(金) 09:24:57 ID:8unALimk
武闘家妹「兄さん。ここ相変わらずの盛況振りだね」

武闘家妹「私、ここには久し振りに来たんだけど」

武闘家妹「やっぱり、エルフの里からレンタル移籍して貰ったハーフエルフの女って、かなり人気なのね」

武闘家妹「あのまま、誰のか全く分からない赤ちゃんを、また産まされちゃうのかな?」

武闘家「ああ、そうだろうな」

魔女「!?」ガーーン

48: 2014/10/03(金) 09:25:07 ID:8unALimk
店主「とりあえず、そこの武闘家兄妹も手伝ってくれ」

店主「この分だと、すぐにまた新しいお客さんが来てしまうから」

武闘家妹「はい」

武闘家「行くか」

店主「勇者様。暫しお待ちを」

店主「今2Fの個室を、清掃していますので」ニッコリ

49: 2014/10/03(金) 09:27:23 ID:8unALimk
戦士「勇者。どうかしたか?」

戦士「何か、気になる事でもあるのか?」

勇者「ああ、ちょっとこの壁に貼られた紙が気になってな」

勇者「つい先日、エルフの里が北大陸全域を制圧した」

勇者「おまけに、今後はエルフ王国を名乗るらしい」

戦士「へぇ……」

50: 2014/10/03(金) 09:27:34 ID:8unALimk
魔女「ああ、その紙なら私も見たわ」

魔女「ウチの師匠、かなり驚いていたから」

勇者「え?」クルッ

魔女「なんか、ウチの師匠は若い頃に出会ったエルフに特別な思い入れがあるらしくってね」

魔女「今でも、旅先でエルフを見掛けては誰かの事を必氏に探してるみたい」

勇者「へぇ……」

51: 2014/10/03(金) 09:27:44 ID:8unALimk
戦士「けど、その紙がどうしたんだよ?」

戦士「エルフが北大陸を制圧したぐらいで、何が問題なんだ?」

魔女「ええ、そうね」

賞金稼ぎ「お前、それが何を意味するか分からないのか?」

賞金稼ぎ「北大陸に住む全ての人間まで、エルフによって皆頃しにされたんだぞ!」

戦士達「!?」ガーーン

52: 2014/10/03(金) 09:27:56 ID:8unALimk
僧侶「それに、皆頃しにされたのは人間達だけではありません」

僧侶「北大陸に住む全てのモンスターも対象となっていたのです」

戦士「なら、人間に多少の犠牲が出るのも仕方ねぇだろ」

戦士「エルフは、昔から永世中立だ」

戦士「魔王軍に制圧されるくらいなら、エルフに制圧された方がよくねぇか?」

僧侶「……戦士」

53: 2014/10/03(金) 09:28:29 ID:8unALimk
賞金稼ぎ「お前、本当に頭悪いなぁ……」

賞金稼ぎ「エルフの里は、自らの欲に狩られて北大陸を武力で制圧したんだ!」

賞金稼ぎ「その際に、何の罪もない大勢の人間達ですら、ただ一方的に虐殺!」

賞金稼ぎ「その上、エルフは魔王軍とも何らかの同盟を結んでた!」

賞金稼ぎ「そうじゃなきゃ、今俺達のいる中央大陸以外が全て制圧されてる訳ねぇだろ!」

戦士「何!?」

54: 2014/10/03(金) 09:28:41 ID:8unALimk
僧侶「だから、今のエルフはかなり危険なんです!」

僧侶「下手したら、魔王軍以上に厄介な相手になるかもしれません!」

僧侶「過去に、エルフ達は長年対立をしていたはずの氏族を全て纏めました!」

僧侶「その結果、北大陸に住む人間達は一人残らず全滅!」

僧侶「それと同時期に、南大陸の方では魔王軍が大規模な侵攻をして、全ての地帯を制圧していたそうです!」

戦士「……」

55: 2014/10/03(金) 09:28:51 ID:8unALimk
賞金稼ぎ「まぁ、そう言うこった」

賞金稼ぎ「少しは、自分の頭の悪さを自覚したか?」

戦士「ああ、まあな……」

賞金稼ぎ「勇者。エルフはどうする?」

賞金稼ぎ「お前は、エルフとも戦を始めるのか?」

勇者「は? する訳ねぇよ」

56: 2014/10/03(金) 09:29:02 ID:8unALimk
賞金稼ぎ「じゃあ、俺達は魔王軍との戦いに集中しようか」

賞金稼ぎ「今、魔王軍の連中はどの辺りにいるんだ?」

魔女「確か、師匠が言うには南大陸のどこかにある魔王城にまで全て撤退した」

魔女「そこで、勇者を上手く討ち取ろうと企んでんじゃない?」

賞金稼ぎ「へぇ……」

魔法使い「相変わらず、師匠はどこから情報を得てくんだか……」

57: 2014/10/03(金) 09:29:12 ID:8unALimk
店主「勇者様。清掃の方が完了致しました」

店主「これより、お部屋にまでご案内します」

勇者「ああ、すまない」

女僧侶「では、行きましょうか?」

勇者「皆、行くぞ」

勇者の仲間達「おう」

58: 2014/10/03(金) 09:29:24 ID:8unALimk
店主「皆さん。足元にだけは注意して下さいね」

店主「すぐそこに、階段がございます」

店主「それと角度が急ですので、どうかお気をつけて」

勇者「ああ、了解した」

クルッ、スタスタスタッ……

ギシギシギシッ、ギシギシギシッ……

60: 2014/10/04(土) 10:45:13 ID:vpl2S1ak
~娼館・2F個室~

しばらくしてーー

勇者「よしっ、これより作戦会議を始める」

勇者「本日は、よく集まってくれた」

勇者「皆の協力のおかげで、後は魔王城を攻略するだけだ」

勇者「本当に、皆には感謝している」

61: 2014/10/04(土) 10:45:24 ID:vpl2S1ak
勇者「では、現在の魔王軍の状況を確認しようか?」

勇者「女騎士。魔王軍は今現在どの位置にいる?」

女騎士「知らん」

勇者「なら、魔王軍の現有兵力は?」

勇者「それについての情報は入ってはいないのか?」

女騎士「ああ、まあな」

62: 2014/10/04(土) 10:45:34 ID:vpl2S1ak
魔女「じゃあ、勇者達のレベルは今いくつぐらいなの?」

魔女「勇者達は、それなりにレベルは上がってるんでしょ?」

勇者「ああ、まあな」

戦士「現在、俺達8人のレベルは65」

戦士「だが、連戦続きで武器や防具がボロボロになっちまったよ」

魔女「ああ、そうなんだ……」

63: 2014/10/04(土) 10:45:45 ID:vpl2S1ak
勇者「なら、女騎士達のレベルは?」

勇者「そこの所も、一応聞いておきたい」

女騎士「今現在、ここにいる女全員のレベルは5だ」

女騎士「この分じゃ、とても勇者達の力にはなれないな」

勇者「……」

勇者の仲間達「……」ザワザワッ

64: 2014/10/04(土) 10:45:57 ID:vpl2S1ak
勇者「では、次に行こう」

勇者「商人。今現在のアイテムの保有量は?」

勇者「俺達、すぐにも出発は出来るのか?」

商人「残念だが、それは無理だ」

商人「ここ最近、回復剤と携帯食の在庫が品薄状態みたいでな」

勇者「……」

65: 2014/10/04(土) 10:46:07 ID:vpl2S1ak
戦士「じゃあ、武器や防具の方も駄目なのか?」

戦士「いくら何でも、武器や防具ぐらいは手に入るだろう?」

商人「すまん。それ自体も無理な状態だ」

商人「ここ最近、南大陸にモンスター狩りをする連中が増えててな」

商人「そいつらが、各地で武器や防具等を買い漁ってる」

商人「少なくとも、一月くらいはずっとこの状態らしい」

66: 2014/10/04(土) 10:46:18 ID:vpl2S1ak
勇者「はぁ、武器も防具も品薄かぁ……」

勇者「その上、回復剤も携帯食も品薄ときたか……」

勇者「これ、本当にすぐ行けるのか?……」

勇者「もたもたしてたら、魔王軍に完全撤退されちまうぞ……」

女騎士「そう言われてもなぁ」

武闘家妹「実際、魔王軍との戦争状態なんだから仕方ないでしょう」

67: 2014/10/04(土) 10:46:28 ID:vpl2S1ak
戦士「けど、すぐに行かなきゃ魔王に逃げられるぞ!」

戦士「せっかく、俺達は苦労して四天王を撃破したんだからな!」

魔女「じゃあ、何であんた達は引き返してきたのよ?」

魔女「ここじゃなく、連合軍の拠点に行けば良かったじゃない?」

魔女「まさか、連合軍の拠点はもう既に壊滅したとか?」

魔女「それとも、ろくに満足な補給が受けれなかったから、ここまで引き返した訳?」

68: 2014/10/04(土) 10:46:38 ID:vpl2S1ak
勇者「魔女。今回ばかりは仕方ないんだ」

勇者「南大陸に上陸をした連合軍は、負傷者がかなり多かったからな」

魔女「でも、少しくらい連合軍も融通をしてくれたって良いでしょ?」

魔女「わざわざ、勇者一行がこうして引き返してこなくても」

魔女「勇者。あんたそれぐらい考えときなさいよね」

魔女「実際、ここに戻ってくるなら、一人か二人で良かったでしょうが」

69: 2014/10/04(土) 10:46:49 ID:vpl2S1ak
戦士「まぁ、今のお前の意見も最もだ」

戦士「俺だって、あの場からは引き返したくはなかった」

戦士「けどな、ろくに補給も出来ずに武器や防具も完全にボロボロ」

戦士「おまけに、連合軍ですら負傷者が多数出ている状態だ」

戦士「そこへ、俺達が連合軍に補給を要請しても、確実に無理だ」

戦士「それで仕方なく、俺達は南大陸からの撤退を余儀なくされたんだ」

70: 2014/10/04(土) 10:49:17 ID:vpl2S1ak
魔女「なら、今足りない物はなんなのよ?」

魔女「私達の今の手持ちじゃ、大した物にもならないわよ」

魔法使い「魔女。お前、回復剤はいくつある?」

魔法使い「出来れば、回復量の多い奴が欲しいんだが」

魔女「ええ、ちょっと待ってね」

スッ、ガサゴソッ……

71: 2014/10/04(土) 10:49:32 ID:vpl2S1ak
女騎士「じゃあ、私達のも出してやるか」

女騎士「少しは、勇者達の足しにはなるだろう」

勇者「おおっ、すまん」

女騎士「武闘家妹、お前も出してやれ」

女騎士「下手したら、お前の兄とはここで今生の別れになるかもしれんからな」

武闘家妹「うん」

72: 2014/10/04(土) 10:49:43 ID:vpl2S1ak
魔女「ごめん、勇者。これだけしかない……」

魔女「これだけなら、どれぐらいの足しになる……」つ回復剤(小)

勇者「……」

女騎士「私も、魔女と同じだ」

女騎士「なんたって、これだけでも十分な量だからな」つ回復剤(小)

勇者の仲間達「……」

73: 2014/10/04(土) 10:49:58 ID:vpl2S1ak
武闘家「妹、今度はお前だ」

武闘家「出来れば、お前くらいはまともな回復剤を出してほしい」

武闘家妹「ごめん。私、思えば回復剤すら持ってなかった」

武闘家妹「だって、ここ最近は僧侶に回復して貰ってたし」

女僧侶「ええ、そうでしたね」

武闘家「……」ガクッ

74: 2014/10/04(土) 10:50:12 ID:vpl2S1ak
商人「はぁ、俺一回実家帰るわ……」

商人「親に頼んで、勇者一行に回復剤とかを優先的に回して貰える様に頼んでくる……」

賞金稼ぎ「じゃあ、俺も……」

僧侶「女僧侶。上に掛け合って回復剤等を手に入れる事は出来ませんか?」

僧侶「教会の方なら、最低限の物資が残っているはずでしょう」

勇者「どうなんだ? 女僧侶」

75: 2014/10/04(土) 10:50:24 ID:vpl2S1ak
女僧侶「残念ですが、もうそれも既にありません」

女僧侶「教会に保管してあった回復剤等は、全て連合軍拠点に輸送した後ですから」

勇者一行「!?」ガーーン

女僧侶「ですから、教会の方にも在庫はありません」

女僧侶「てっきり、私達は連合軍拠点で補給してるとばかり思ってましたから」

魔女「ええ、そうね」

76: 2014/10/04(土) 10:50:35 ID:vpl2S1ak
戦士「勇者。俺達、色々と失敗したな……」

戦士「こんな事なら、無理にでも連合軍拠点で補給しとくんだった……」

勇者「ああ、そうだな……」

盗賊「俺、あの時無理にでも盗んどければ良かったなぁ……」

盗賊「あの山積みになった物資、根こそぎ奪い取れば良かったか……」

勇者「今となっては、もうそれですら無理だろうけど……」

77: 2014/10/04(土) 10:50:50 ID:vpl2S1ak
魔女「とりあえず、私達の持ってる回復剤を置いてくね……」

魔女「私達の持ってる回復剤、多分ないよりはマシだと思うからさ……」

勇者「ああ、すまん」

スッ、コトッ、コトッ……

魔女「それで、他に必要な物は?」

魔女「もしあるんなら、私達も今から走り回ってくるけど」

78: 2014/10/04(土) 10:51:03 ID:vpl2S1ak
魔法使い「だったら、魔女は師匠を連れてきてくれ」

魔法使い「多分、どうせ師匠の事だから、どこかで女でも抱いてる頃だと思うんだけど」

魔女「ごめん。今、師匠は入院してる」

魔女「何か、師匠の体に生えている檜の棒が調子悪いらしくって」

魔女「だから、今はそっちの治療に専念したいんだって」

魔法使い「ふざけんなーーーーーーーーっ!!」ダン

79: 2014/10/04(土) 10:51:20 ID:vpl2S1ak
勇者「じゃあ、大賢者様は?」

勇者「大賢者様は、今どこにいんだよ?」

魔女「え? 大賢者様はつい先日から連合軍拠点に向かったけど」

魔女「勇者達、まさか道中に会わなかったとか?」

魔女「大賢者様、大魔導師様の代わりに補給物資満載の輸送隊と共に勇者達の援軍として向かったのに」

勇者「ふざけんなーーーーーーーーっ!!」ダン

80: 2014/10/04(土) 10:53:42 ID:vpl2S1ak
女騎士「はぁ、お前ら本当に情けないな……」

女騎士「そんなんで、よく魔王軍と戦っていたな……」

勇者一行「……」

女騎士「お前ら、本当に何してる?」

女騎士「ここでのんびりしてる暇があったら、今すぐ大賢者様の後を追え」

魔女「ええ、そうね」

81: 2014/10/04(土) 10:53:53 ID:vpl2S1ak
女僧侶「まぁ、今回ばかりは仕方ありませんよ」

女僧侶「勇者様達は、今まで極限の状態で戦っておられたのですから」

女僧侶「勇者様。今夜は、ここでご宿泊なされては如何ですか?」

女僧侶「私、勇者様の為に一肌脱いで差し上げますので」ニッコリ

勇者「……」ピクッ

戦士「良かったな。勇者」

82: 2014/10/04(土) 10:54:05 ID:vpl2S1ak
魔女「でも、女僧侶は大丈夫なの?」

魔女「仮にも、女僧侶は神に仕える身なのに」

女僧侶「ええ、私は大丈夫ですよ」ニコニコ

女僧侶「実際、勇者に抱かれるのは私ではありませんから」ニコニコ

勇者「え?」

魔女「じゃあ、誰が抱かれるのよ?」

83: 2014/10/04(土) 10:54:16 ID:vpl2S1ak
女僧侶「誰って? それはここにいらっしゃる女達ですよ」ニコニコ

女僧侶「何の為に、私がここの一室を貸し切りにしたと思われたのですか?」ニコニコ

女僧侶「私、勇者様ではなく神に身も心も捧げております」ニコニコ

女僧侶「ですから、私は勇者様に抱かれる訳にはいきません」ニコニコ

女僧侶「それについては、今の貴女達も私と同じ気持ちなのですよね?」ニコニコ

女僧侶「ここでもし仮に勇者様達に抱かれたら、一生私達は結婚出来ませんからね!」ニコニコ

84: 2014/10/04(土) 10:54:27 ID:vpl2S1ak
トントン、トントン……

女僧侶「はい」

スッ、ガチャ……

店主「失礼致します」

店主「女僧侶様。勇者様達がご宿泊なされるのでしたら、すぐにご用意致しますが」ニッコリ

女僧侶「ええ、お願い致します」ニッコリ

85: 2014/10/04(土) 10:54:42 ID:vpl2S1ak
勇者「いや、ちょっと勝手に話を進められても……」

勇者「俺達、まだここに泊まると言った訳じゃないんだが……」

女僧侶「では、勇者様は路銀の方をいくらお持ちですか?」ニコニコ

女僧侶「ここにご宿泊して頂けるなら、教会の方で費用をお出し出来ますが」ニコニコ

勇者「はい。宜しくお願いします」

勇者の仲間達「……勇者」

86: 2014/10/04(土) 10:54:57 ID:vpl2S1ak
女僧侶「では、早速手配の方をお願い致します」ニコニコ

女僧侶「皆さん。それで宜しいですね?」ニコニコ

勇者一行「はい」

魔女「ああ、私は師匠の元に帰らせて貰うわ」

魔女「ここには、師匠からのお使いで来ただけだから」

女僧侶「はい。かしこまりました」ニコニコ

87: 2014/10/04(土) 10:55:11 ID:vpl2S1ak
女騎士「じゃあ、私らも帰らせて貰う」

女騎士「またさっきの酒場に行くから、魔女達も付き合え」

魔女「ええ、構わないわ」

女僧侶「私も、構いませんよ」ニコニコ

武闘家妹「じゃあ、もう行こうか?」

女僧侶「ええ、そうですね」ニコニコ

88: 2014/10/04(土) 10:55:21 ID:vpl2S1ak
戦士「勇者。俺も少し出てくる」

戦士「今は、少しでも物資が必要だからな」

勇者「ああ、頼む」

僧侶「では、勇者パーティの皆さんは、夕食の時間までは自由行動と言う事で」

僧侶「僕も、教会の方に顔を出してきます」

勇者「ああ、良いぞ」

89: 2014/10/04(土) 10:55:31 ID:vpl2S1ak
店主「では、女僧侶様達はこちらへ」

店主「今から、またのご来店をお待ちしております」ニッコリ

女僧侶「はい。かしこまりましたわ」ニコニコ

武闘家妹「兄さん。また後でね」

武闘家妹「出掛けるなら出掛けるって、ちゃんと伝えてから行ってね」

武闘家「ああ、分かってるよ」

90: 2014/10/04(土) 10:56:25 ID:vpl2S1ak
魔女「……」ムクッ

女騎士「……」ムクッ

女僧侶「……」ムクッ

武闘家妹「……」ムクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

91: 2014/10/04(土) 10:56:56 ID:vpl2S1ak
勇者「他の奴等も、行って良いぞ」

勇者「皆、夕食の時間までには戻ってきてくれよな?」

賞金稼ぎ「ああ、了解した」ムクッ

戦士「また後でな」ムクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

94: 2014/10/05(日) 12:51:52 ID:04X/yPZA
支援ありがとうございます。

95: 2014/10/05(日) 12:52:25 ID:04X/yPZA
~王都・娼館前~

スッ、ガチャ……

男性店員「……ん?」クルッ

魔女「……」キョロキョロ

男性店員「おいっ、何してんだ?」

男性店員「あのキモメンなら、ついさっき引き返したぞ」

96: 2014/10/05(日) 12:52:38 ID:04X/yPZA
魔女「あっ、そうなんですか……」

魔女「てっきり、まだその辺にいると思ってたんで……」

男性店員「はははっ、さすがにそりゃねぇよ」

男性店員「あいつ、自分より強い者には相手しねぇからな」

魔女「へぇ……」

武闘家妹「……」ヌッ

97: 2014/10/05(日) 12:52:52 ID:04X/yPZA
男性店員「さぁ、早く出ろよ」

男性店員「早く出ねぇと、あいつが来ちまうだろ」

魔女「は~~い」

男性店員「まぁ、あいつの事は俺達に任せろ」

男性店員「だから、さっさと用が済んだら出るんだな」

魔女「皆、早く出てきて」

98: 2014/10/05(日) 12:53:05 ID:04X/yPZA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

女騎士「じゃあ、これから酒場に行くぞ」

女騎士「今の私は、早く昼食を取りたいからな」

魔女「はいはい」

99: 2014/10/05(日) 12:53:20 ID:04X/yPZA
武闘家妹「けど、予想外に勇者一行がボロボロだったとはね」

武闘家妹「皆、それを知ったらどうするのかな?」

女騎士「武闘家妹。あまり、それを外で話すな」

女騎士「他の奴等に聞かれたら、それこそ無駄な混乱を生む事になる」

女騎士「魔女。後で、大魔導師様にお会いしたら、こう伝えてくれ!」

女騎士「娼館通いも、いい加減にしてくれとな!」

100: 2014/10/05(日) 12:53:35 ID:04X/yPZA
魔女「ええ、了解したわ」

魔女「私の方で、師匠の方は〆とく」

魔女「でも、実子である魔導師様の言葉もあまり聞き入れてはくれないからね」

魔女「一体、誰の言葉なら師匠は耳を貸してくれるのかな?」

女騎士「う~~む」

武闘家妹「かなり、難しいよね」

101: 2014/10/05(日) 12:53:50 ID:04X/yPZA
女僧侶「とりあえず、もうその話は止めにしませんか?」

女僧侶「ここにいても、何の解決にもなりませんし」

女僧侶「大魔導師様の事に関しましては、もうこの際ですから神に祈りましょう」

女僧侶「それ以外に、今の私達には打つ手がありません」

女僧侶「あの方の女好きに関しては、もう本当にどうしようもありませんからね」

女騎士「ああ、そうだな」

102: 2014/10/05(日) 12:54:01 ID:04X/yPZA
男性店員「ははっ、さすがにそれは言えてるな」ニヤニヤ

男性店員「あの爺さん。それが原因で入院してんだから」ニヤニヤ

男性店員「とりあえず、そこの女僧侶さん達もさっさと帰りな」ニヤニヤ

男性店員「ここにいたら、あんたらも女と勘違いされてしまう」ニヤニヤ

男性店員「まぁ、別に俺はそれでも構わんが」ニヤニヤ

男性店員「あんたらが望むのなら、ここで女になるのも良いかもしれんぞ」ニヤニヤ

103: 2014/10/05(日) 12:54:15 ID:04X/yPZA
女僧侶「もう。それは女の子に対する侮辱ですよ!」

女僧侶「男性店員さん。この私が、女になるとでもお思いですか?」ギロッ

男性店員「まぁ、あんたは確実にそんな玉じゃない」ニヤニヤ

男性店員「けどな、女になるにもそれなりに事情がある」ニヤニヤ

男性店員「だから、あんたらもさっさと帰りな」ニヤニヤ

男性店員「ここにいたら、無理にでも犯して女にまで転落させてしまいそうだから」ニヤニヤ

104: 2014/10/05(日) 12:55:11 ID:04X/yPZA
女僧侶「皆さん。もう行きましょうか」ムカムカッ

女僧侶「私、まだ綺麗な体でいたいので!」ムカムカッ

女僧侶「ほらっ、さっさと行くわよ!」ムカムカッ

女僧侶「今の私、本当に気分が悪いから!」ムカムカッ

女騎士「あ、ああ……」

男性店員「またのご来店を、心よりお待ちしておりま~~す!」ニヤニヤ

105: 2014/10/05(日) 12:57:08 ID:04X/yPZA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

男性店員達「……」

女騎士「とりあえず、女僧侶を追いかけるぞ」

女騎士「あいつ、ついさっきまでの口調と態度はどこに行ったんだか……」

武闘家妹「うん。そうだね……」

106: 2014/10/05(日) 12:57:19 ID:04X/yPZA
魔女「まぁ、誰だってあんな事を言われたら気分悪くするわよ……」

魔女「私も、よく話の最中に噛んじゃうから……」

魔女「ほらっ、私達ももう行くわよ」

魔女「また、女僧侶に文句言われたくはないからね」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

107: 2014/10/05(日) 12:57:30 ID:04X/yPZA
~連合軍拠点・司令部~

密偵「報告。大賢者様率いる輸送隊が到着!」

密偵「補給物資を満載し、更には援軍として召喚兵1万も到着致しました!」

密偵「今現在、大賢者様率いる召喚兵隊が速やかに陣を構築!」

密偵「大賢者様曰く、負傷した味方を後方に下げ、今後は我々が前線に出るとの事です!」

将軍「おおっ、やっときたか!」ピカァ

108: 2014/10/05(日) 12:57:50 ID:04X/yPZA
参謀「将軍。やりましたな!」ニヤニヤ

参謀「これで、戦がしやすくなる!」ニヤニヤ

参謀「皆、ようやく国に帰れるぞ!」ニヤニヤ

参謀「負傷した兵士達は、優先的に国に返すんだ!」ニヤニヤ

貴族達「おーーーーーーーーっ!」ウルウルッ

貴族達「やっと、国に帰れるんだ!」ウルウルッ

109: 2014/10/05(日) 12:58:06 ID:04X/yPZA
貴族A「でも、何で最初から召喚兵を出さなかったんだ?」

貴族A「召喚兵さえ出していれば、こんなにも氏傷者を出さずに済んだのに!」

貴族B「それを言ったら、元も子もないだろ!」

貴族B「召喚兵を使用すると言う案は、魔王軍との決戦前に全て却下されただろうが!」

貴族A「しかし!」

参謀「……」

110: 2014/10/05(日) 12:58:17 ID:04X/yPZA
将軍「貴族A。そなたの言いたい事も分かる!」

将軍「皆、大賢者の言う召喚兵など半信半疑だった!」

将軍「今更、終わった事を言い合っても意味はない!」

将軍「今するべき事は、一刻も早く魔王を倒す事だ!」

将軍「そうであろう?」

貴族達「……」シーーン

111: 2014/10/05(日) 12:58:31 ID:04X/yPZA
将軍「参謀。大賢者をすぐここに!」

将軍「早速、今後の部隊運用についてを協議する!」

将軍「皆、今回の戦の指揮官は私だ!」

将軍「今はまだ、私からの命令に従って貰う!」

貴族A「くっ……」

参謀「他に、意見が有る者はおるか?」

112: 2014/10/05(日) 12:58:48 ID:04X/yPZA
貴族C「将軍。勇者は、どこに行ったのですか?」

貴族C「ここ数日、勇者一行の姿を見てはおりませんが」

将軍「勇者は、つい数日前から大魔導師様の元に向かっている!」

将軍「大魔導師様は、魔王城の場所を特定された!」

将軍「魔王戦に必要な武器や武具等を整える為に、一度本国にまで撤退した様だ」

貴族達「……」ザワザワッ

113: 2014/10/05(日) 12:59:04 ID:04X/yPZA
貴族C「では、後もう少しで戦が終わると考えて良いのですね?」

貴族C「残念だが、私の戦役期間はもう終わった!」

貴族C「ここで、私の率いる部隊は帰らせて頂く!」

貴族D「なら、私の率いる部隊もだ!」

将軍「ああ、構わんぞ!」

貴族A「じゃあ、私も帰らせて貰う!」

114: 2014/10/05(日) 12:59:14 ID:04X/yPZA
参謀「では、本国に帰還する者は名乗り出てくれ!」

参謀「これまで、本当にご苦労だった!」

参謀「貴殿らと共に戦えた事を、私は誇りに思う!」

参謀「後の事は、我々に任せて貴殿らはもう本国に帰国して貰っても構わない!」

貴族達「おーーーーーーーーっ!」ザワザワッ

将軍「皆、本当にこれまでご苦労だった!」

115: 2014/10/05(日) 13:01:32 ID:04X/yPZA
貴族B「将軍。将軍はどうなされるおつもりか?」

貴族B「将軍は、このままここで戦われるおつもりか?」

将軍「ああ、そうだ!」

貴族B「でしたら、私の率いる部隊はここに残らせて貰う!」

貴族B「まだ、私の率いる部隊には余力がある!」

貴族B「このまま、ここで戦わせてほしい!」

116: 2014/10/05(日) 13:01:43 ID:04X/yPZA
将軍「うむ、構わんぞ。貴族B」

将軍「今後も、全ての国の民達の為に戦ってくれ!」

将軍「他に、貴族Bの様に残る者はおるか!」

将軍「もしいないのなら、速やかにこの拠点から出られよ!」

参謀「……」ジーーッ

貴族達「……」ザワザワッ

117: 2014/10/05(日) 13:01:53 ID:04X/yPZA
貴族A「ふん。誰も言いたくないわな!」

貴族A「自分から好き好んで、こんな所で氏にたいと言う奴は!」

貴族A「では、私達は先に帰らせて貰う!」

貴族A「将軍。貴殿のその地位も、この戦が終われば解かれるんだ!」

貴族A「精々、氏なない様にだけは注意しとくんだな!」

将軍「ああ、ご忠告。感謝する!」

118: 2014/10/05(日) 13:02:09 ID:04X/yPZA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

貴族達「……」

貴族C「将軍。どうか、お気を付けて!」

貴族C「本国にて、吉報をお待ち申しております!」

将軍「うむ。ご苦労!」

119: 2014/10/05(日) 13:02:23 ID:04X/yPZA
クルッ、ゾロゾロゾロッ……

ゾロゾロゾロッ、ゾロゾロゾロッ……

将軍「……」

参謀「……」

貴族B「……」

伝令兵「……」

120: 2014/10/05(日) 13:02:33 ID:04X/yPZA
将軍「……」

参謀「……」

貴族B「……」

伝令兵「……」

将軍「はぁ……」ガクッ

参謀「弱りましたね……」

121: 2014/10/05(日) 13:02:43 ID:04X/yPZA
貴族B「ふん。腰抜け共めが……」

貴族B「こんなんだから、いつまで経っても魔王が倒せぬのだ……」

貴族B「将軍。出来るだけ早く、体勢を整えないと!」

貴族B「大賢者が寄越した援軍だけで、本当に足りると思うのですか?」

将軍「いや、無理だな!」

将軍「明らかに、兵力の差が有り過ぎる!」

122: 2014/10/05(日) 13:02:54 ID:04X/yPZA
将軍「だが、我々に勝機がないとは言えない!」

将軍「その為に、我々は勇者一行を魔王城にまで差し向けるのだ!」

将軍「所詮、勇者など一代限りの使い捨ての駒でしかない!」

将軍「勇者さえ魔王城に送り込めれば、我らの勝利が確定したも同然だ!」

参謀「ええ、そうですね!」

貴族B「……」

123: 2014/10/05(日) 13:03:04 ID:04X/yPZA
将軍「参謀。現在の兵力は?」

将軍「今、この場にいる全員でどれだけの兵がいる?」

参謀「残念ですが、あまり兵は多くありません!」

参謀「私や将軍の兵達も、もうすぐ戦役期間が切れてしまいます!」

参謀「ここは、新たに兵を招集すべきでは?」

参謀「戦う気のない彼らを呼び戻す事だけは、絶対にしないでおきましょう!」

124: 2014/10/05(日) 13:03:34 ID:04X/yPZA
「なら、ここは私の出番ですかな?」

「その為に、私はここに来たのですから」

将軍「む?」ハッ

参謀「何者だ?」ハッ

大賢者「……」ヌッ

将軍「おおっ、大賢者殿か!」

125: 2014/10/05(日) 13:05:40 ID:04X/yPZA
大賢者「将軍。兵の事なら心配なさるな!」

大賢者「それに、新たに兵を招集する必要すらない!」

大賢者「それで、現在の戦況は?」

大賢者「今、魔王軍の状態はどうなっている?」

将軍「参謀」

参謀「はっ、それについては私が説明致します」

126: 2014/10/05(日) 13:05:51 ID:04X/yPZA
参謀「大賢者殿。この地図をご覧下さい」

参謀「この机の上に置かれた地図は、南大陸の地図でございます」

参謀「今現在、魔王軍は魔王城にまで撤退」

参謀「ですが、魔王城の正確な位置が特定できず、無駄に氏傷者が増すばかりの状態です」

大賢者「ふむ、どれどれ……」

スタスタスタッ、ピタッ……

127: 2014/10/05(日) 13:06:06 ID:04X/yPZA
大賢者「……」

大賢者「……」

大賢者「……」

大賢者「ほう……」ニヤリ

将軍「大賢者殿、どうなされた?」

将軍「まさか、もう魔王城の位置が分かったのですかな?」

128: 2014/10/05(日) 13:06:17 ID:04X/yPZA
大賢者「ああ、そのまさかだよ」

大賢者「己れ魔王め、上手い事城を隠しておったな?」

将軍「……?」

参謀「それで、魔王城は一体どこに?」

参謀「我々は、南大陸を探せるだけ探した」

参謀「一体、どこに魔王城があると言うのですかな?」

129: 2014/10/05(日) 13:06:49 ID:04X/yPZA
大賢者「将軍。そなた、湖の中は探したか?」

大賢者「さすがに、湖の中は探しとらんだろう」

将軍「!?」

大賢者「奴等は、湖の中に魔王城を隠した」

大賢者「今まで、幾度もなく歴代の勇者達に撃ち取られてきたからな」

大賢者「奴等も、上手く魔王城を隠しておったよ」

130: 2014/10/05(日) 13:07:01 ID:04X/yPZA
将軍「大賢者殿。それは誠ですかな?」

将軍「いくらなんでも、それは無理が有り過ぎると思うのだか……」

将軍「では仮に、奴等が大賢者殿の言う通りに湖から来たとする」

将軍「いくら何でも、完全武装したまま水中にずっと居続けるのは、かなり無理があると思いますが」

参謀「ええ、そうですね」

貴族B「私も、将軍に同感です」

131: 2014/10/05(日) 13:07:12 ID:04X/yPZA
大賢者「なら、特殊な魔法を用いていたとするならばどうだ?」

大賢者「湖と言うのは、ただの魔界との通過点」

大賢者「魔王は、湖を魔界からの潜入地点として利用し、大勢の兵を送り込んできた」

大賢者「湖には、予め何らかの仕掛けをしておいたのだろう」

大賢者「魔王程の力の持ち主なら、大規模で特殊な転移魔法等を使えても全くおかしくはない」

将軍「ふむ。確かに」

132: 2014/10/05(日) 13:07:31 ID:04X/yPZA
参謀「では、大賢者様は湖の方の捜索をお願い致します」

参謀「我々は、ここ当分の間はすぐに動けませんので」

大賢者「ああ、了解した」

貴族B「将軍。補給物資はどう致しますか?」

貴族B「撤退する部隊には、ある程度の水や食糧を配布しなければ」

将軍「おおっ、それも忘れておった」

133: 2014/10/05(日) 13:08:04 ID:04X/yPZA
参謀「将軍。その件については私が担当させて頂きます」

参謀「大賢者殿、少しお付き合い願いませんかな」

大賢者「ああ、構いませぬ」

参謀「伝令兵。至急、帰国される諸侯に連絡を」

参謀「大賢者様より、道中に必要な補給物資を分けるとな」

伝令兵「はっ、しかと承りました!」

134: 2014/10/05(日) 13:08:15 ID:04X/yPZA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

将軍(さて、大賢者の用意した召喚兵がどこまで持つか……)

将軍(予想外に、数多くの諸侯が帰国の途についてしまったが……)

将軍(これについては、もう仕方ないだろう……)

将軍(本当に、全世界の存亡を掛けた戦いの最中なのにも関わらず、戦役期間の短さがここで仇となってしまったか……)

将軍(はぁ……)

136: 2014/10/06(月) 08:53:58 ID:VAK076xs
~魔王城・執務室~

魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

側近「……」ジーーッ

137: 2014/10/06(月) 08:54:13 ID:VAK076xs
魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

魔王「……」カキカキ

魔王「ふぅ……」スッ

側近「やっと、書き終わりましたね」

138: 2014/10/06(月) 08:54:24 ID:VAK076xs
魔王「側近。もうこれで良いか?」

魔王「私は、今すぐ暖かいベッドの上に寝転がりたいのだが」

側近「ええ、構いませんよ」

魔王「それと、戦役期間をもう少し延ばせられないものか?」

魔王「さすがに、毎回こうやって軍務契約書を書かされる私の身にもなってくれ」

側近「……」

139: 2014/10/06(月) 08:54:34 ID:VAK076xs
魔王「側近。私の話を聞いておるか?」

魔王「私は、もう少し長く戦役期間を延ばせと言っておるのだ」

魔王「さすがに、60日は短すぎるぞ」

魔王「遠征をする場合なら、最低でも一年くらいは欲しいものだ」

側近「ですが、今の我々には資金や物資の数にも限りがございます」

側近「御先代様がお亡くなりになられてから、まだ78年しか経っていないのですよ」

140: 2014/10/06(月) 08:54:57 ID:VAK076xs
魔王「それでも、年60日しか貴族や騎士達が軍役奉仕をしない習慣的義務だけでも、今すぐなんとかしてほしいものだ!」

魔王「何なのだ? この南大陸での負けっぷりは!」

魔王「せっかく、南大陸を制圧したと言うのに、連合軍にすぐさま押し戻された!」

魔王「これでは、私の苦労も全て水の泡となるだろう!」

魔王「分かってるのか?」ギロッ

側近「はい」

141: 2014/10/06(月) 08:55:08 ID:VAK076xs
魔王「はぁ……」

魔王「本当に、もう最悪だわ……」

魔王「こんな事なら、あ奴の言う通りに召喚兵を投入しておけば良かった……」ガクッ

側近「ですが、今の我々にはそれを上手く扱えるかについては、まだ未知数です」

側近「元々、召喚兵はあの方が産み出した謎多き存在」

側近「あの方自身ですら、その原理等をよく理解しておられない様ですからね」

142: 2014/10/06(月) 08:55:17 ID:VAK076xs
魔王「でも、私はあ奴の言う事を信じたかったぞ……」

魔王「あ奴の言う召喚兵は、とても奇天烈な存在……」

魔王「だが、私は話を聞いている内に考えが変わった……」

魔王「どう考えても、魔獣以外を召喚出来るとは思ってもみなかったからな……」

魔王「それに加えて、戦場で氏んだ人間の体を使う?……」

魔王「誰がどう考えても、そんな物を使えば大惨事になるのが明らかでないか……」

143: 2014/10/06(月) 08:55:27 ID:VAK076xs
側近「確かに、召喚兵は奇天烈な存在です!」

側近「ですが、それを検討をする価値だけはあります!」

側近「何故なら、今の我々には兵がろくにおりません!」

側近「戦役期間が終われば、さっさと魔界にまで帰還してしまいました!」

側近「陛下。ここは、リスクを承知で召喚兵を投入しては如何ですか?」

側近「聞く所によりますと、人間側はもう既に召喚兵を実戦に投入しておるのですよ!」

144: 2014/10/06(月) 08:55:36 ID:VAK076xs
魔王「側近。その噂なら私も聞いた事がある」

魔王「本当に、人間達は召喚兵を実戦に投入しておるのか?」ムクッ

側近「はい。それも100年以上も前に」

側近「何でも、あの方の師二人が召喚兵を実戦に投入していたとか」

側近「ですが、その二人ももう既にこの世にはおりません」

側近「あの方の手によって、召喚兵自体は闇に葬られた様です」

145: 2014/10/06(月) 08:56:08 ID:VAK076xs
魔王「なら、人間達はもう既に召喚兵を投入している可能性があるな」

魔王「そう考えれば、今回の戦の負けっぷりにも納得が行く」

魔王「だが、よくもまぁあんな危険極まりない物を実戦に出しておるな」

魔王「召喚兵を呼び出すのに必要な物が、人間の氏体だと知られたらかなり大事になるぞ」

側近「ええ、確かに」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

146: 2014/10/06(月) 08:57:55 ID:VAK076xs
側近「では、召喚兵を我らも検討をすると言う事で」

側近「それで宜しいですか? 陛下」

魔王「ああ、もうそれで構わん」

魔王「おかげで、ここ最近はよく眠れておらぬわ」

スッ、ポンポン……

魔王「ほれ」サッ

147: 2014/10/06(月) 08:58:05 ID:VAK076xs
側近「陛下。まだこの契約書には印鑑が押されてはおりませぬが」

側近「それを押して頂かなければ、私はこれを受け取る事が出来ませぬ」

魔王「なら、今からそなたが押してくれ……」

魔王「私はもう、そなたが掛けた超人モードが切れたみたいだ……」イラッ

側近「……陛下」

148: 2014/10/06(月) 08:58:19 ID:VAK076xs
魔王「側近。二度も言わせるな!」イライラ

魔王「私は、もうこれ以上執務をしたくないのだ!」イライラ

魔王「今度から、そなたが契約をしといてくれ!」イライラ

魔王「所詮、たかが傭兵達であろう!」イライラ

魔王「金さえ払えば、戦に出てくれる!」イライラ

魔王「けどな、せめてもう少しくらい戦役期間を延長して欲しいものだ!」イライラ

149: 2014/10/06(月) 08:58:30 ID:VAK076xs
側近「陛下。駄々を捏ねられても困ります!」

側近「陛下は、今は御先代様に誓ったではありませんか!」

側近「いずれ、立派な魔王となってみせる!」

側近「今のままでは、立派な魔王にすらなれておりませぬぞ!」ギロッ

魔王「もう、ほっといてくれ……」グスン

側近「……陛下」

150: 2014/10/06(月) 08:58:41 ID:VAK076xs
魔王「確かに、私はあの時に父上の霊に向かってそう誓った……」ウルッ

魔王「だが、考えていたのとかなり現実は違ってた……」ウルウルッ

魔王「魔王になったからには、色々と好きに出来るんだなぁと思っていたら、そうも行きません!」ウルウルッ

魔王「私、まだ成人したばっかなのに!」ウルウルッ

魔王「それにも関わらず、年若い娘に物凄く地味なデスクワークの押し付け!」ウルウルッ

魔王「挙げ句の果てには、単なる貴族の中の筆頭でしかないって何なのよ!?」ウルウルッ

151: 2014/10/06(月) 08:58:51 ID:VAK076xs
側近「陛下。なりませぬぞ。そのお言葉遣い!」

側近「仮にも、陛下は魔界の全貴族を代表する存在なのですよ!」

魔王「なら、私じゃなくて叔父上を選挙で指名してほしかった!」ポロポロッ

魔王「叔父上も叔父上で、長年に渡って甘い物を食べ過ぎた所為で不治の病を発症?」ポロポロッ

魔王「どうせ、私は単なる代表で領主間の仲裁や戦の際の総司令官を期待されているだけの存在ですよ!」ポロポロッ

魔王「自分の持ってる領地の中ぐらいしか、絶対的な権力を振るえないのですからね!」ポロポロッ

152: 2014/10/06(月) 08:59:12 ID:VAK076xs
側近「陛下。お気持ちだけはよく分かります!」

側近「ですが、その契約書に判を押して頂かないと!」

魔王「もう嫌だ~~~~っ!」ポロポロッ

側近「陛下。それ全てに判を押して頂ければ、もう休まれて結構です!」

側近「ここ最近、私は陛下を酷使し過ぎました!」

側近「ですから、早く契約書に判を押してほしいのですが!」ギリッ

153: 2014/10/06(月) 08:59:24 ID:VAK076xs
魔王「だから、もう側近が押してよ~~~~っ!」ポロポロッ

魔王「私の腕、もうパンパンよ!」ポロポロッ

魔王「と言うか、あんた絶対鬼でしょ!?」ポロポロッ

魔王「不眠不休で食事抜きで、無理矢理この私に一ヶ月も連続で執務させるなんて、絶対にあんた鬼過ぎるわよ!」ポロポロッ

側近「陛下!」ギリギリッ

魔王「うわああああああああ~~~~~~~~ん!!」ポロポロッ

154: 2014/10/06(月) 08:59:34 ID:VAK076xs
トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

守備隊長「もっ、申し上げます!」ペコッ

側近「何だ!? この忙しい時に!?」クルッ

守備隊長「陛下。急報です!」

守備隊長「連合軍陣地に、敵増援が現れました!」

155: 2014/10/06(月) 08:59:43 ID:VAK076xs
側近「何!? 敵増援が現れた!?」

側近「どこの誰だ!? その指揮官は!?」

守備隊長「はっ、恐れながら申し上げます!」

守備隊長「連合軍は、大賢者を投入してきた模様!」

守備隊長「大賢者率いる召喚兵隊およそ1万が、もう既に連合軍陣地付近にて陣を設営!」

守備隊長「連合軍陣地に潜入している密偵より、急報が入りました!」

156: 2014/10/06(月) 09:02:13 ID:VAK076xs
側近「くっ、敵は思ったより早く召喚兵を出してきたか……」

側近「まさか、あの大賢者を増援として送り込むとはな……」

側近「守備隊長。全軍に対して厳戒体制を発令!」

側近「魔界全域に、連合軍襲来の可能性大の警報を出すんだ!」

守備隊長「はっ!」

魔王「ううっ、ぐすん……」ポロポロッ

157: 2014/10/06(月) 09:02:23 ID:VAK076xs
側近「陛下。今の報告をお聞きになっておりましたか?」クルッ

側近「いつまで、陛下はそうやって駄々を捏ねられておられるのですか?」

側近「今のままでは、立派な魔王にはなれませぬぞ!」

側近「陛下も、早くそのみっともない顔をするのをお止め下さいませ!」

守備隊長「……」ハッ

魔王「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

158: 2014/10/06(月) 09:02:33 ID:VAK076xs
側近「陛下。陛下、何をなされているのです!」イライラ

側近「早く、その山の様な契約書に判をお押し下さい!」イライラ

側近「陛下が押さなければ、一体誰が押すのです?」イライラ

側近「陛下が今の態度を改めなければ、魔界100万の民達が陛下の失態が原因で命を落とす事になるのですよ!」イライラ

魔王「ううっ、ぐすん……」ポロポロッ

守備隊長「……陛下」

159: 2014/10/06(月) 09:02:44 ID:VAK076xs
側近「はぁ、陛下にも困ったものだ……」イライラ

側近「さすがに、不眠不休の中無理矢理食事抜きで一ヶ月連続での執務はやり過ぎたか……」イライラ

側近「ああ、今は亡き御先代様。申し訳ございませぬ……」イライラ

側近「姫君様は、御先代様とのお約束をお破りになられるみたいです……」イライラ

守備隊長「いや、貴殿……」

魔王「ううっ、ぐすん……」ポロポロッ

160: 2014/10/06(月) 09:02:58 ID:VAK076xs
守備隊長「側近殿。貴殿は、陛下を酷使し過ぎなのでは?」

守備隊長「貴殿の所為で、陛下の精神が完全に崩壊しておるが」

側近「こうでもしないと、陛下が執務も怠られる!」イライラ

側近「ただでさえ、陛下はまだまだお若い!」イライラ

側近「今の内に、過酷な執務を経験しとかないといけないのだ!」イライラ

魔王「鬼~~~~~~~~っ!……」ポロポロッ

161: 2014/10/06(月) 09:03:08 ID:VAK076xs
側近「陛下。早く判を押して下さい!」イライラ

側近「でなければ、更にもう一ヶ月追加致しますぞ!」イライラ

魔王「!?」ガーーン

側近「さぁ、早く判を押して下さい!」イライラ

側近「でなければ、本当にそうしますぞ」スッ

魔王「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」バッ

162: 2014/10/06(月) 09:03:18 ID:VAK076xs
スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

守備隊長「……陛下」

スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

側近「そう。それで宜しいのです!」ニッコリ

163: 2014/10/06(月) 09:03:39 ID:VAK076xs
側近「守備隊長。何をもたもたしておる!」

側近「早く、魔界全域に警報を出さぬか!」クルッ

守備隊長「え? ああ、ああ……」

側近「守備隊長。陛下が判を押し終えたら、私は各傭兵隊長に契約書を送付する!」

側近「後で、貴殿も取りに来られよ!」

側近「貴殿にも、戦役の際には戦って貰わなくては困るからな!」ニッコリ

164: 2014/10/06(月) 09:04:11 ID:VAK076xs
スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

守備隊長「……陛下。おいたわしや」

側近「いや、まだこれは軽い方だぞ!」ギロッ

165: 2014/10/06(月) 09:04:21 ID:VAK076xs
スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

スッ、ポンポン……

守備隊長「……」ペコッ

スッ、バタン……

170: 2014/10/07(火) 09:16:00 ID:G0XfTBOg
~教会付属病院・中庭~

大魔導師「意外じゃな。そなたとここで会うなんて」

大魔導師「今日は、一体どうしたのじゃ?」

エルフ魔女「お久し振りです。師匠」

エルフ魔女「相変わらず、女癖の悪さは治らないんですね」ニッコリ

大魔導師「ああ、まあな」ニッコリ

171: 2014/10/07(火) 09:16:11 ID:G0XfTBOg
大魔導師「それで、今日はどうしたのじゃ?」

大魔導師「つい先日、エルフの里が北大陸全域を制圧したと聞いたが」

大魔導師「どうせ、そなたの事じゃから、今回の件にも関わっておるのじゃろ?」

大魔導師「相変わらず、そなたは過去に囚われて生きていくのかのぅ?」

エルフ魔女「はい」

大魔導師「うむ、そうか……」

172: 2014/10/07(火) 09:16:21 ID:G0XfTBOg
エルフ魔女「師匠。今回私がここに来たのは、ただ単に師匠の顔を見たかったからです(エルフ語)」

エルフ魔女「あれから、もう101年の歳月が経つのですね(エルフ語)」

エルフ魔女「師匠の知る私は、ずっと自身の置かれた劣悪な環境を良くしようと戦っていました(エルフ語)」

エルフ魔女「時には国を滅ぼし、私の生まれ故郷を飢餓の島とする(エルフ語)」

エルフ魔女「私や私の仲間が味わった過去の仕打ちを、逆に数多くの人間達に味合わせて差し上げました(エルフ語)」

エルフ魔女「今回の北大陸全域を制圧をしたのも、全て私による策略と言う訳です(エルフ語)」

173: 2014/10/07(火) 09:16:38 ID:G0XfTBOg
大魔導師「なら、今後そなたはどうするつもりじゃ?(エルフ語)」

大魔導師「まさか、次はエルフの里の為に自身の命を捧げるのか?(エルフ語)」

大魔導師「出来れば、そなたにもうこれ以上過ちを繰り返してほしくない!(エルフ語)」

大魔導師「今の儂は、本気でそう思っておる!(エルフ語)」

大魔導師「今のままでは、次はそなたの身が危ういのじゃぞ?(エルフ語)」

大魔導師「頼む、エルフ魔女よ。もうこれ以上は止めてくれ!(エルフ語)」

174: 2014/10/07(火) 09:16:49 ID:G0XfTBOg
エルフ魔女「残念ですが、もう既に手遅れです!(エルフ語)」

エルフ魔女「私、もう何年もから女神様に『やりすぎだ!』と言う警告を受けましたから!(エルフ語)」ニッコリ

大魔導師「!?」ガーーン

エルフ魔女「それに、ここ最近は人間の数が増え過ぎてますよね?(エルフ語)」ニコニコ

エルフ魔女「今の私は、あの時と違って純粋なエルフです!(エルフ語)」ニコニコ

エルフ魔女「ですから、自然環境に害をなす人間達を排除するのも、私達エルフの大事なお役目の一つなのですよ!(エルフ語)」ニコニコ

175: 2014/10/07(火) 09:17:00 ID:G0XfTBOg
大魔導師「では、今回の北大陸制圧もその為か?(エルフ語)」

大魔導師「いくら、そなたが大義を掲げたとしても、誰が納得をするのじゃ?(エルフ語)」

エルフ魔女「残念ですが、女神様は納得をなさいました!(エルフ語)」ニコニコ

エルフ魔女「女神様も、ここ最近は人間達の振る舞いに心を痛めております!(エルフ語)」ニコニコ

エルフ魔女「ですから、私に女神様は使命を与えました!(エルフ語)」ニコニコ

エルフ魔女「今の私は、その女神様より与えられた使命を全うしているだけです!(エルフ語)」ニコニコ

176: 2014/10/07(火) 09:17:11 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女。そなた変わったな……(エルフ語)」

大魔導師「エルフに転生する前のそなたは、エルフさえも憎んでいたのに……(エルフ語)」

大魔導師「では、何故ここに来たのじゃ?……(エルフ語)」

大魔導師「儂は、この手でそなたの事を再び頃すかもしれないのじゃぞ……(エルフ語)」ギロッ

スッ、チャキッ……

エルフ魔女「……」ニコニコ

177: 2014/10/07(火) 09:17:22 ID:G0XfTBOg
「大魔導師。そこまでにしなさい!(エルフ語)」

「彼女を頃す事は、神に対する反逆でもあります!(エルフ語)」

大魔導師「何!?」クルッ

エルフ魔女「……」ニコニコ

シュン、シュタッ……

大魔導師「……そ、そなたは?」

178: 2014/10/07(火) 09:17:32 ID:G0XfTBOg
赤竜娘「大魔導師。初めまして(エルフ語)」

赤竜娘「私の名は、赤竜娘(エルフ語)」

赤竜娘「神に仕えているレッド・ドラゴンです(エルフ語)」ニッコリ

大魔導師「!?」

赤竜娘「ですから、むやみに彼女の事を殺さないで頂けますか?(エルフ語)」ニコニコ

赤竜娘「彼女には、まだまだやって頂く事がありますので!(エルフ語)」ニコニコ

179: 2014/10/07(火) 09:17:41 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女。どう言う事じゃ?」

大魔導師「何故、彼女がそなたの事を庇う?」

大魔導師「儂には、何がなんだかさっぱりじゃ」

大魔導師「一体、そなたは儂の知らない所で何をしておるんじゃ?」

エルフ魔女「……」ニコニコ

赤竜娘「……」ニコニコ

180: 2014/10/07(火) 09:19:56 ID:G0XfTBOg
大魔導師「そうか。何も話してはくれぬのか……」

大魔導師「そなた、今の自分自身の置かれている立場を、ちゃんと理解しておるのか?……」

エルフ魔女「はい」ニコニコ

大魔導師「なら、そなたはそなたの道を歩まれよ……」

大魔導師「今更、儂の様な年寄りが何を言っても聞き入れてはくれんか……」

大魔導師「本当に、そなたは会う度に不憫じゃのぅ……」シュン

181: 2014/10/07(火) 09:20:06 ID:G0XfTBOg
スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ムギュッ……

エルフ魔女「師匠。そんな落ち込んだ顔をしないで下さい」

エルフ魔女「師匠がそんな顔をしてしまうと、私まで悲しくなってしまいます」

大魔導師「じゃあ、今すぐそなたがしている事を全てを止めてくれ!」

大魔導師「そうしてくれれば、今の儂の病も快報に向かうじゃろう!」チラッ

182: 2014/10/07(火) 09:20:17 ID:G0XfTBOg
エルフ魔女「師匠。さすがに、それは無理だと思います!」

エルフ魔女「師匠が入院したのは、ただ単に師匠の持つ檜の棒の調子が悪かったからでしょうが!」ニッコリ

大魔導師「……」

エルフ魔女「それに、私が師匠とこうして会うのは今日が最後です!」ニコニコ

エルフ魔女「どうか、師匠もお元気で!」ニコニコ

大魔導師「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

183: 2014/10/07(火) 09:20:28 ID:G0XfTBOg
大魔導師「……エルフ魔女。それは誠か?」

大魔導師「本当に、そなたとはもう二度と会えぬのか?」

エルフ魔女「はい。私、師匠に出会えて本当に幸せでした!」ニコニコ

エルフ魔女「私、未だに師匠との思い出だけは、よく夢に出るんですよ!」ニコニコ

エルフ魔女「ですから、師匠もお元気で!」ニコニコ

エルフ魔女「特に、女遊びだけはほどほどにしといて下さいよね!」ニコニコ

184: 2014/10/07(火) 09:20:39 ID:G0XfTBOg
赤竜娘「では、もう行きましょうか?(エルフ語)」

赤竜娘「次は、エルフの国ですよ(エルフ語)」

赤竜娘「さっ、私の体に掴まって下さい(エルフ語)」

赤竜娘「私の体に掴まれば、すぐにエルフの里に向かえますからね(エルフ語)」

エルフ魔女「ええ、了解したわ(エルフ語)」

スッ、ソソッ……

185: 2014/10/07(火) 09:20:49 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女。もう行くのか?……」

大魔導師「何故、そなたはいつもそうなんじゃ?……」

大魔導師「いつもいつも、そなたは自ら波風を立てたがる!」

大魔導師「今回の件も、何故そなたの胸の内だけで留めてくれなかったのじゃ?」

エルフ魔女「……」

赤竜娘「さっ、行きますよ」グイッ

186: 2014/10/07(火) 09:21:10 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女。どうか、これだけは覚えておいてくれ!」

大魔導師「そなたが今やっている事全てに、大義はない!」

大魔導師「そなたが今やっている事は、ただの一方的な虐殺じゃ!」

大魔導師「いつか再び、痛い目に見るぞ!」

エルフ魔女「……」

赤竜娘「……」スッ

187: 2014/10/07(火) 09:21:24 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女。どうか気を付けてな!」

大魔導師「儂が転生する前の事については、全て儂同様に転生した儂の息子である魔導師より聞いておる!」

大魔導師「エルフ魔女。いつか、再びそなたは痛い目を見るぞ!」

大魔導師「神は、そなたが考えている程甘くはない!」

大魔導師「そなたが、再び無惨な姿にならぬ事を儂は祈っとるぞ!」

エルフ魔女「……はい。しかと承りました」ウルッ

188: 2014/10/07(火) 09:21:34 ID:G0XfTBOg
スッ、シュン……

シューーーーーーーーッ、シュン……

大魔導師「……」

大魔導師「……」

大魔導師「……」

魔導師「……」ヌッ

189: 2014/10/07(火) 09:21:45 ID:G0XfTBOg
大魔導師「エルフ魔女……」

大魔導師「そなたは、また過酷な運命を背負わされておるのか……」

大魔導師「本当に、何でまたあの娘だけが……」

大魔導師「神もまた、本当に残酷な事をするのぅ……」ウルウルッ

大魔導師「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

魔導師「……親父」

190: 2014/10/07(火) 09:24:10 ID:G0XfTBOg
~王都・酒場の~

女騎士「……」モグモグッ

女僧侶「……」モグモグッ

武闘家妹「……」モグモグッ

ドクンーー

魔女「ーーーーーーーーっ!?」ビクッ

191: 2014/10/07(火) 09:24:27 ID:G0XfTBOg
魔女「おっ、おえっ……」プルプル

魔女「ううっ、えぐっ……」プルプル

女僧侶「ま、魔女!?」ハッ

女騎士「この症状は、まさか!?……」ポトッ

武闘家妹「だ、大丈夫!?……」ビクッ

魔女「……」プルプル

192: 2014/10/07(火) 09:24:42 ID:G0XfTBOg
魔女(なんか、私のお腹辺りから変な感じが……)プルプル

魔女(一体、何なのよ? これ?……)プルプル

魔女(私、少し食べ過ぎたかしら?……)プルプル

魔女(多分、そうだと思うんだけど……)プルプル

シュピン……

魔女「!?」ビクッ

193: 2014/10/07(火) 09:25:12 ID:G0XfTBOg
『魔女。今どこにいる?』

『早く、親父の元に戻って来んか!』

魔女「ま、魔導師様!?」プルプル

女騎士「……魔女?」

『魔女。私の問いに答えよ!』

『さっさと、親父から頼まれた品を持って来んか!』

194: 2014/10/07(火) 09:25:23 ID:G0XfTBOg
女騎士「魔女。どうかしたか?……」

女騎士「どうしたんだ? そんな青い顔して……」

魔女「……え?」プルプル

女騎士「お前、もしかして体調でも悪いのか?……」

女騎士「まぁ、あんな場所にいたら嫌でもそうなるわな……」

魔女「ええ、まあね……」ピタッ

195: 2014/10/07(火) 09:25:34 ID:G0XfTBOg
『てめぇ、さっさと応答せいや!』

『まさか、魔法通信すら出来んのか?』

魔女「え、ああ……」

『てめぇ、親父から一体何を習ってた?』

『今さっきまでの親父、エルフ王国からの刺客に襲われてたんだぞ!』

魔女「!?」ガーーン

196: 2014/10/07(火) 09:26:07 ID:G0XfTBOg
魔女「いや、そんな事を急に私に言われても……」サスサス

魔女「私、師匠には夜に使える寝技くらいしか教わってないのに……」サスサス

『ーーーーーーーーっ!?』ガーーン

魔女「ねぇ、女僧侶。後で病院に行くの手伝ってくれる?」

魔女「なんか、ウチの師匠が出張サービスで来ていたエルフの女に食べられちゃったみたい……」

女僧侶「ええ、別に良いけど……」ウルッ

197: 2014/10/07(火) 09:26:17 ID:G0XfTBOg
武闘家妹「ねぇ、魔女。あなたさっきから何言ってるの?」

武闘家妹「何、いきなり訳の解らない事を言っているのよ?」

魔女「ごめん。今、魔導師様から魔法通信が来てる」

魔女「私、師匠には夜に使える寝技くらいしか教わってなかったし」

魔女「師匠の檜の棒の調子が悪いのも、ある意味で私の所為かもしれないからね」

武闘家妹「ああ、そうだったんだ……」

198: 2014/10/07(火) 09:26:27 ID:G0XfTBOg
女騎士「けど、別にあの爺さんがどうなろうと、今の私達には関係ねぇじゃねぇか」

女騎士「あの爺さん。わざわざ、出張サービス使ってエルフの女を抱いてたんだろ?」

女騎士「大賢者様と比べたら、本当に月とすっぽん!」

女騎士「いや、魔王と蟻ぐらいの戦力差があると思うんだがな」

女僧侶「ええ、そうですね」

魔女「うん。確かに」

199: 2014/10/07(火) 09:26:37 ID:G0XfTBOg
『てめぇ、とりあえずさっさと来いや!』

『じゃねぇと、親父の体に生えてる檜の棒を切除する!』

『後、お前の大事にしてる私物も全て焼やすぞ!』

『それが嫌なら、さっさと親父が転院した王都の病院に来い!』

魔女「はっ、はい!」ビクッ

スッ、ムクッ……

200: 2014/10/07(火) 09:28:29 ID:G0XfTBOg
魔女「ごめん。私、もう行かなきゃ!」ビクビクッ

魔女「じゃないと、私が魔導師様に殺される!」ビクビクッ

女騎士「そ、そうなのか?……」

魔女「と、とりあえず、これ私の分ね……」ビクビクッ

魔女「早く帰らなきゃ、私、魔導師にも犯されるから!……」ビクビクッ

スッ、ジャラジャラ……

201: 2014/10/07(火) 09:28:42 ID:G0XfTBOg
女騎士「魔女。気をつけてな」

女騎士「あの魔導師様。やけに血管浮き出てると思うから」

女騎士「何かあったら、すぐに私達を呼べ!」

女騎士「私達が、すぐに駆けつけてやるからよ!」ニッコリ

魔女「うん。本当にごめんね!」ペコッ

武闘家妹「うん。行ってらっしゃい!」ニッコリ

202: 2014/10/07(火) 09:28:54 ID:G0XfTBOg
女僧侶「ちなみに、次はいつ来れます?」

女僧侶「もし宜しければ、私にお教え願いたいのですが」ニッコリ

魔女「た、多分、当分無理かも……」ビクビクッ

魔女「なんか、魔導師様がそう簡単に返してくれなさそうな雰囲気が漂っているし……」ビクビクッ

魔女「そ、それじゃあ、また今度ね……」ビクビクッ

魔女「次は、必ず皆とゆっくりと過ごせる時間を取ってくるからね……」ビクビクッ

203: 2014/10/07(火) 09:29:04 ID:G0XfTBOg
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

女騎士「……」ウルッ

女僧侶「……」ウルッ

武闘家妹「本当に、魔女も可哀想に……」

武闘家妹「あんな師匠に弟子入りしちゃったから、予想外に可哀想な事になってしまってたんだね……」ウルッ

204: 2014/10/07(火) 09:29:24 ID:G0XfTBOg
その後、私の記憶がそこで途切れた。

いや、私自身がその後の事を思い出したくもないだけかもしれない。

次に私が目を覚ましたのは、それから一ヶ月も先の話。

私が目を覚ました時には、完全に泣き崩れている女騎士達の姿があり、何がなんだか全く分からないでいた。

私は、あの後どんな目に遭ったのだろうか?

まさか、私は望まない妊娠でもしていたのだろうか?

確かに、私は師匠に抱かれていた。

師匠の望む形で、師匠にされるがまま師匠の欲望の捌け口になってはいたが。

205: 2014/10/07(火) 09:29:35 ID:G0XfTBOg
まさか、本当にそれが原因?

皆、それが原因でやけに私の事を気遣ってくれているの?

そう言えば、師匠の顔が大きく膨れ上がっていた様な。

薄れ行く意識の中で、血塗られた師匠と鬼の様な形相をした魔導師様の姿を見た様な。

結局、私は何があったかについてを何も聞けず、皆が私の顔をとても不憫そうに見てくる。

私だけが、あの日何があったかについての記憶が完全にないまま、勇者達は再び魔王城に向けて出発。

その際に、王都の民達が装備一式を全て新調したばかりの勇者一行を見送っていて……

私は、女騎士達と共に再び魔王城へと向かう勇者達の姿を、ただただ遠くから見送るだけであったのだった。

207: 2014/10/08(水) 10:42:50 ID:08Mvl0p.
~魔王城・魔王の寝室~

一ヶ月後ーー

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

208: 2014/10/08(水) 10:43:04 ID:08Mvl0p.
魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

側近「はぁ……」

守備隊長「側近殿、どうなさいますか?」

209: 2014/10/08(水) 10:43:15 ID:08Mvl0p.
側近「どうするって? 陛下を起こす他ないだろう」

側近「それ以外に、何があるって言うのだ?」

守備隊長「まぁ、確かに」

側近「陛下は、魔界を代表する大切な存在なのだ!」

側近「この様な大事な時に、暢気に陛下がお休みになられているなど、下の者に対して示しがつかん!」

守備隊長「……」

210: 2014/10/08(水) 10:43:26 ID:08Mvl0p.
側近「陛下。もう朝ですぞ!」

側近「早く、起きて下さいませ!」ユサユサ

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

側近「陛下。もう朝ですぞ!」

側近「早く、お目覚めになって下さい!」ユサユサ

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

211: 2014/10/08(水) 10:43:41 ID:08Mvl0p.
守備隊長「側近殿。まだ、陛下はお休みになられていた方が良いのでは?……」

守備隊長「朝早くから、陛下も貴殿の顔を見たくはないだろう……」

魔王「ZZZZz、ZZZZz……」

側近「残念だが、今日はそうも言えない!」

側近「密偵からの報告によれば、勇者一行が南大陸へと向かった!」

側近「しかも、全ての準備を万端にしてな!」

212: 2014/10/08(水) 10:43:57 ID:08Mvl0p.
守備隊長「なら、陛下にはお気の毒だが起きて頂こう」

守備隊長「このまま行けば、本当に魔界始まって以来の最大の危機でもある」

守備隊長「陛下。私のご無礼、どうかお許し下さい!」

守備隊長「今の私、心を鬼にして陛下を起こす所存にございます!」

スッ、スラァン……

スッ、スチャ……

213: 2014/10/08(水) 10:44:07 ID:08Mvl0p.
側近「ほう。貴殿、陛下を起こすのに剣を抜くか」

側近「自身が今なされている意味を、貴殿はお分かりか?」

守備隊長「ええ、今の私は貴殿に言われなくても理解している!」

守備隊長「普通なら、今の私は決して許される訳はない!」

守備隊長「これも、陛下の為なのだ!」

魔王「……」パチッ

214: 2014/10/08(水) 10:44:18 ID:08Mvl0p.
スッ、ムクッ……

魔王「ふああああ~~~~ん」

側近「ん?」クルッ

守備隊長「陛下。おはようございます」ペコッ

守備隊長「今日もまた、一段とお美しいですね」ニッコリ

魔王「うむ。お早う」スッ、ゴシゴシッ

215: 2014/10/08(水) 10:44:28 ID:08Mvl0p.
魔王「それで、何故貴様は剣を抜いている?」

魔王「まさか、この私の寝首を取るつもりだったのか?」チラッ

守備隊長「いいえ、滅相もございません!」

守備隊長「私は、陛下を常日頃から酷使する不届き者を、これから退治して差し上げようとしていたまでです!」

魔王「うむ。そうか」

スッ、カシャン……

216: 2014/10/08(水) 10:44:37 ID:08Mvl0p.
側近「陛下。お早うございます」

側近「早速ですが、執務室にまでお向かい下さい!」

魔王「絶対に嫌だ!」

側近「陛下。緊急事態です!」

側近「勇者一行が、この魔王城に迫りつつあるのですよ!」

魔王「何!?」

217: 2014/10/08(水) 10:46:42 ID:08Mvl0p.
魔王「側近。何があった!?」

魔王「せっかくの私の休暇は、どこに行ったのだ!?」ギロッ

側近「陛下。残念ながら、休暇はもう終わりです!」

側近「至急、執務室にまでお向かい下さい!」

魔王「また、私を酷使するつもりなのか!?」ガーーン

側近「はい!」ニッコリ

218: 2014/10/08(水) 10:46:52 ID:08Mvl0p.
魔王「守備隊長。貴様、しくじったな!」

魔王「何故、私が目を覚ます前にこ奴を始末しなかった?」ギロッ

魔王「今の私は、本当に最悪な目覚めだぞ!」

魔王「と言うか貴様ら、今の私の実年齢をちゃんと把握してるのか?」

守備隊長「はい!」

側近「陛下は、今年で178歳になられます!」

219: 2014/10/08(水) 10:47:06 ID:08Mvl0p.
魔王「じゃあ、少しは私にも配慮してくれ!」ギリギリッ

魔王「ここ最近、やけに白髪が増えたのだぞ!」ギリギリッ

側近「陛下。今は、そんな事を言っている場合ではありません!」ギリギリッ

側近「連合軍は、魔王城に迫りつつあるのですよ!」ギリギリッ

魔王「そんな事は、分かっとる!」ギリギリッ

側近「じゃあ、さっさと着替え済ませて執務室に向かえや! この小娘が!」ギリギリッ

220: 2014/10/08(水) 10:47:18 ID:08Mvl0p.
魔王「ああ!? そんなの嫌に決まってるだろ!?」ギリギリッ

魔王「私、貴様の所為でまともな休みを貰ってないのだぞ!」ギリギリッ

魔王「ああ、何で貴様はいつもそうなんだ!?」ギリギリッ

魔王「勇者一行がここに来ようにも、魔王城の正確な位置を特定出来ていない!」ギリギリッ

魔王「勇者の相手など、適当に傭兵達にでも戦わせておけ!」ギリギリッ

側近「ふざけるな!」ギリギリッ

221: 2014/10/08(水) 10:47:29 ID:08Mvl0p.
守備隊長「陛下。恐れながら申し上げます!」

守備隊長「連合軍は、大賢者を通して魔王城の正確な位置を特定しております!」

魔王「!?」クルッ

守備隊長「今現在、魔界全域から続々と多数の兵が終結!」

守備隊長「陛下の代理を務める側近殿の指示の元、もう既に迎撃体制を整えております!」

魔王「なら、最初からそう言えーーーーーーーーっ!」ギリギリッ

222: 2014/10/08(水) 10:47:50 ID:08Mvl0p.
側近「陛下。早々にご支度の程を!」ギリギリッ

側近「陛下がご命令を下さなければ、一体誰が全軍に命令を出すのです!」ギリギリッ

側近「陛下。魔王軍の総司令官は、陛下にあらせられます!」ギリギリッ

側近「ですから早急に身支度を整え、速やかに全軍に対しご命令をお出し下さいませ!」ギリギリッ

魔王「ああ、了解した!」ギリギリッ

守備隊長(はぁ、やっと物事が前に進んだよ……)

223: 2014/10/08(水) 10:48:22 ID:08Mvl0p.
魔王「とりあえず、着替えたいから貴様ら出ろ!」

魔王「後、先にトイレや食事も済まさせてくれ!」

側近「陛下。残念ですが、お時間の方が!」

側近「陛下には、このまま執務室にて執務にあたって頂きます!」

魔王「ふざけるな!」ギロッ

側近「ふざけてるのは貴様だ! この小娘!」ギロッ

224: 2014/10/08(水) 10:48:54 ID:08Mvl0p.
魔王「守備隊長。貴様はどっちの味方をする?」

魔王「私か、それともあ奴なのか?」ギロッ

守備隊長「え、ああ……」ビクッ

側近「守備隊長。遠慮なさるな!」

側近「陛下には、心を鬼にして接しなければ惰眠を貪る!」ギロッ

守備隊長「……」タジタジッ

225: 2014/10/08(水) 10:49:04 ID:08Mvl0p.
側近「守備隊長。なんとか言え」

側近「私か陛下か、どっちの味方をするのだ?」ズイッ

魔王「守備隊長」ズイッ

側近「さぁ、どっちなんだ?」

魔王「さっさと言え。この能無しが!」

守備隊長「はっ、はい……」

226: 2014/10/08(水) 10:49:17 ID:08Mvl0p.
守備隊長「と、とりあえず、私は陛下の味方をさせて頂きます……」タジタジッ

守備隊長「ここ最近の陛下は、かなり窶れられた……」タジタジッ

守備隊長「せっかくのお美しい容姿が、全て台無しになってしまってますぞ……」タジタジッ

魔王「よしっ!」グッ

側近「守備隊長。貴殿には失望したぞ」

側近「何故、私の味方をしてくれぬのだ?」ギロッ

227: 2014/10/08(水) 10:51:13 ID:08Mvl0p.
魔王「とにかく、そなたらは早くここを出よ」

魔王「私は、すぐに着替えて執務室に行く」

魔王「側近。全軍には、勇者を見つけ次第迎撃せよ!」

魔王「絶対に、城にも魔界にも入れるな!」

側近「はっ!」ビシッ

守備隊長「失礼致しました!」ビシッ

228: 2014/10/08(水) 10:51:23 ID:08Mvl0p.
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

魔王「ふぅ……」

229: 2014/10/08(水) 10:51:33 ID:08Mvl0p.
魔王(しかし、勇者達にも困ったわね……)

魔王(あれから、一ヶ月も先伸ばしにするなんて……)

魔王(本当に、早く勇者には氏んで欲しいものだわ……)

魔王(私の在任中に、一体何人の勇者を頃したかしら?……)

スッ、トポポポポポポポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

230: 2014/10/08(水) 10:51:54 ID:08Mvl0p.
魔王(はぁ……)

魔王(いっそ、このまま勇者に討たれ様かな?……)

魔王(そしたら、あの口煩い爺さんから解放されちゃうし……)

魔王(父上。よくも、こんな仕事を好き好んでやっていたわね……)

魔王(だから、私も父上みたいに選挙で選ばれちゃったのかしら?……)

スッ、パサッ……

231: 2014/10/08(水) 10:56:25 ID:08Mvl0p.
~連合軍拠点・司令部~

伝令兵長「報告。大魔導師様、魔導師様の両名がご到着!」

伝令兵長「召喚兵1万1千名を率いて、ただ今ご到着されました!」

大賢者「おおっ、ついに来たか!」

賢者「して、大魔導師様達は?」

賢者「大魔導師様達は、陣の設営に掛かられておるのか?」

232: 2014/10/08(水) 10:56:40 ID:08Mvl0p.
伝令兵長「はっ、今現在、大魔導師様達は陣を設営中にございます!」

伝令兵長「ですが、大魔導師様は召喚兵およそ1万名の他に、仕出し女を始めとする民間人らしき人影も多数雇用!」

伝令兵長「何やら、それが原因で魔導師様とお揉めになられていたご様子!」

伝令兵長「魔導師様曰く、少しばかり司令部に顔を出すのが遅れるとの事です!」

賢者「ああ……」

大賢者「あ奴、本当に愚かな男よ……」

233: 2014/10/08(水) 10:56:50 ID:08Mvl0p.
伝令兵長「大賢者様。如何なさいますか?」

伝令兵長「大魔導師様達を、すぐにお連れ致しましょうか?」

大賢者「いや、まだ魔導師の好きな様にいたぶらせておけ!」

大賢者「あ奴、まだ懲りてないのか!?」イラッ

大賢者「あ奴の所為で、数多くの女達が犠牲になった!」イライラッ

大賢者「だから、あのエルフ魔女にすら愛想尽かされるのだ!」イライラッ

234: 2014/10/08(水) 10:57:05 ID:08Mvl0p.
賢者「確かに、それは言えてますね!」

賢者「大魔導師様は転生をしても尚、女遊びだけは止められませんでしたから!」

賢者「さすがのエルフ魔女も、大魔導師様には愛想が尽きます!」

賢者「つい最近もまた、年若い娘に“夜に使える寝技”しか教えていなかった様ですから!」

大賢者「あの大馬鹿者めがーーーーーーーーっ!!」ブチッ

伝令兵長「……」

235: 2014/10/08(水) 10:57:17 ID:08Mvl0p.
賢者「とにかく、魔導師が来ただけでも良い知らせです!」

賢者「魔導師がいなければ、大魔導師様の兵は氏兵も同然!」

賢者「今回の戦には、またもやあのエルフ魔女が関わっております!」

賢者「今度こそ、我々はエルフ魔女を亡き者にしましょう!」

賢者「でなければ、我々が魔王軍とエルフ軍に挟み撃ちにされてしまいます!」

大賢者「まぁ、確かにそうなのだが!」イライラッ

236: 2014/10/08(水) 10:57:28 ID:08Mvl0p.
賢者「大賢者様。もうエルフ魔女に対する慈悲も情けもお捨て下さい!」

賢者「彼女は、もう魔王そのものなのです!」

賢者「いくら、エルフの国が大義を掲げようが、今エルフの国がしているのはただの一方的な虐殺!」

賢者「大賢者様も、その事についてをよくお分かりでしょう?」

賢者「ここは、もうエルフ魔女に対して情けを掛けるべきではありません!」

賢者「彼女は、あろうことか魔王とも手を組んだのですから!」

237: 2014/10/08(水) 10:58:00 ID:08Mvl0p.
大賢者「賢者。そなたの言いたい事も分かる!」イライラッ

大賢者「あの娘のしている事は、ただの一方的な虐殺だ!」イライラッ

大賢者「だがな、私はあの娘に慈悲も情けも捨てる事は出来ない!」イライラッ

大賢者「あの娘は、今でも私の大事な教え子だ!」イライラッ

大賢者「あの娘がいなければ、今の私はなかった!」イライラッ

賢者「しかし!」

238: 2014/10/08(水) 10:58:11 ID:08Mvl0p.
大賢者「聞け。賢者よ!」イライラッ

大賢者「そなたも魔導師も、あの娘の良い所を何も見ようとはしていない!」イライラッ

大賢者「あの娘のおかげで、どれだけの人達が救われた?」イライラッ

大賢者「時には、あの娘のおかげで日々の生活が豊かになった!」イライラッ

大賢者「常日頃から飢えに苦しんでいた民達が、あの娘に救われた過去の事例もあるのだぞ!」イライラッ

大賢者「そなたも、実際にその現場を目撃していたではないか!」イライラッ

239: 2014/10/08(水) 10:58:21 ID:08Mvl0p.
賢者「ですが、もうそれも過去の話です!」

賢者「今のあの娘は、人間全ての敵なのですよ!」

賢者「大賢者様、大賢者はお忘れですか?」

賢者「大賢者様と大魔導師様が、再びこの世に転生なされる前の世界の事を!」

賢者「ハーフエルフから純粋種のエルフに転生した後、あの娘は世界中の人間達に対して宣戦布告を行いました!」

賢者「人間とエルフの戦の際に、一体どれだけの数の人間達があの娘の所為で犠牲になった事か!」

240: 2014/10/08(水) 10:58:31 ID:08Mvl0p.
大賢者「賢者。我が弟子よ!」イライラッ

大賢者「それでも私にとっては、あの娘もまた大事な弟子の一人だ!」イライラッ

大賢者「あの娘に過ぎたる力を持たせてしまった事には、この私にも責任がある!」イライラッ

大賢者「だから、今の私はここで兵の指揮をとっておるのだ!」イライラッ

大賢者「今は、そなたとここで言い争っている場合ではない!」イライラッ

賢者「やはり、貴方はまだあの娘に毒されてしまっている!」ギロッ

241: 2014/10/08(水) 11:00:36 ID:08Mvl0p.
大賢者「賢者。何度も言わせるな!」イライラッ

大賢者「今我々の最優先事項は、魔王を討つ事だ!」イライラッ

大賢者「あの娘の問題より先に、早期に魔王を討たなければならない!」イライラッ

大賢者「魔王と同盟したあの娘の事は、今は後にしておけ!」イライラッ

大賢者「今の我々は、眼前にいる敵を打ち倒さなければならないのだ!」イライラッ

大賢者「もうこれ以上、そなたの口からあの娘を誹謗中傷する事を許さぬぞ!」ギロッ

242: 2014/10/08(水) 11:00:50 ID:08Mvl0p.
賢者「はい。大賢者様にご忠告なされなくとも、よく理解してます……」プルプル

賢者「ですが、私の心が未だにあの娘の所為で安らげていないのもまた事実なのです!……」プルプル

賢者「大賢者。少し、今までの私は言葉が過ぎていた様ですね……」プルプル

賢者「どうか、この私めの非礼をお許し下さい……」プルプル

賢者「今後は、大賢者様の前であの娘の事を口にする事はないですので……」プルプル

大賢者「うむ。了解した……」イライラッ

243: 2014/10/08(水) 11:01:21 ID:08Mvl0p.
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

将軍「大賢者殿。どうなされた?」

将軍「何やら、外の方にまで貴殿の怒声が聞こえていたぞ」

参謀「一体、お二人で何を話されていたのです?」

参謀「何やら、エルフ魔女と言う名前がちらほら聞こえましたが」

244: 2014/10/08(水) 11:01:37 ID:08Mvl0p.
大賢者「いや、何も問題はありませぬ」

大賢者「お二方は、何も心配をする必要はない」ニッコリ

参謀「いや、私個人としてはかなり気になります」

参謀「そのエルフ魔女とか言う人物は、一体何者なのです?」ジトッ

大賢者「……」

参謀「大賢者殿?」

245: 2014/10/08(水) 11:01:51 ID:08Mvl0p.
賢者「参謀殿。何も問題はありませぬ」

賢者「少し、私と大賢者様は大魔導師様の女癖の悪さについてで、言い争っておりまして」

賢者「ですから、何も心配はいりませぬ」

賢者「ささっ、今後の部隊運用についてを協議致しましょう」

将軍「……」

参謀「なら、魔王と同盟を結んでいたと言うのは、一体どう言う事ですかな?」ギロッ

246: 2014/10/08(水) 11:02:23 ID:08Mvl0p.
賢者「それは、私個人の物の例えです」

賢者「昔、大魔導師様のお手付きになった女が、やけを起こしておりました」

賢者「その娘は、あろうことか魔王と同盟を組んでやると、大魔導師様を脅しました」

賢者「その結果、大魔導師様はその娘に刺されて重傷を負ってしまい……」

賢者「それが原因で、私と大魔導師様は言い争っていたのです」

大賢者「うむ。そうであったな」

247: 2014/10/08(水) 11:02:34 ID:08Mvl0p.
参謀「将軍。今のお話をお聞きになって、どう思いましたか?」

参謀「明らかに、このお二方は何かを我々に隠している様に思えたのですが」チラッ

将軍「私も、参謀と同じ気持ちだ」

将軍「一体、そなたらは何を隠しておる?」

大賢者「お二方。本当に、何も心配はいらない!」

大賢者「その娘の事につきましては、あくまで個人的な問題でして!」

248: 2014/10/08(水) 11:02:48 ID:08Mvl0p.
参謀「だが、そのエルフ魔女の所為で数多くの民達が犠牲になっておるのだろう?」

参謀「その事については、どう弁解するのです?」

大賢者「それにつきましても、もう既に過去の話です!」

大賢者「今は、眼前にいる魔王軍を全て撃破する事が最優先事項!」

大賢者「いずれ、お二方にも詳しいお話を致します!」

大賢者「ですが、今は魔王を討つのを最優先にしなければ!」

249: 2014/10/08(水) 11:03:06 ID:08Mvl0p.
将軍「参謀。この二人を牢に入れろ!」

将軍「ここはこの二人を牢に入れて、この二人からじっくりと話を聞いた方が良さそうだな!」

参謀「ええ、そうですね!」

大賢者「いや、それには及ばん!」

大賢者「貴殿らにも、いずれその娘の事を話させて頂く!」

将軍「とても、信用が出来ないが」

250: 2014/10/08(水) 11:03:16 ID:08Mvl0p.
大賢者「将軍。大丈夫だ!」

大賢者「どうか、我々の事を信用してくれ!」

大賢者「でなければ、今後行われる魔王軍との戦いが圧倒的に不利となる!」

大賢者「我々がいなければ、全世界の民達がすぐにでも虐殺されてしまうのだぞ!」

将軍「……」

参謀「如何致しますか?」

251: 2014/10/08(水) 11:04:44 ID:08Mvl0p.
将軍「では、包み隠さず話して頂けるのですかな?」

将軍「そのエルフ魔女と言うのは、大賢者殿とは一体どう言う関係なのです?」

将軍「聞く所によりますと、そのエルフ魔女と言うのは大賢者殿の教え子だとか?」

将軍「ハーフエルフから純粋種のエルフへの転生?」

将軍「その様な話、今まで一度も聞いた事がない!」

将軍「貴殿らは、一体何を隠しておるのだ?」

252: 2014/10/08(水) 11:04:54 ID:08Mvl0p.
大賢者「ともかく、その話についてはまた別の機会に!」

大賢者「何度も、我々に同じ事を言わせないで頂きたい!」

参謀「なら、仕方ありませんね」

参謀「後日、その話について詳しくお聞き致します!」

参謀「少しでも、お二方が不審な態度や素振り等をお見になれば、それなりの処分を覚悟して頂きたい!」ギロッ

大賢者「うむ。了解した」

253: 2014/10/08(水) 11:05:16 ID:08Mvl0p.
将軍「参謀。そろそろ軍議始めるか」

将軍「まだ、大魔導師殿達はお着きになっていない様だが」

将軍「大賢者殿。貴殿はとても良い弟子を持たれましたな」

将軍「貴殿があそこまで庇うとは、余程良い女だったのでしょう?」

将軍「人間、誰にでも過ちはあるもの!」

将軍「よもや大賢者殿ともあろう方が、過去にそんな大それた過ちをしていたとは意外ですな!」ニヤリ

254: 2014/10/08(水) 11:05:27 ID:08Mvl0p.
大賢者(ふん。好きなだけ、私を愚弄しとけ!)

大賢者(後で、こ奴等は氏ぬのだからな!)

大賢者(まぁ、事が露見する前に、陣内にいる者達の記憶から今回の事だけを消しておくか……)

大賢者(所詮、こ奴等ではエルフ魔女を倒す事は出来ない!)

大賢者(この私ですら、あの娘の事を殺せるかどうかが分からぬのだからな……)

賢者「……」スッ

255: 2014/10/08(水) 11:05:37 ID:08Mvl0p.
シュピン……

賢者『大賢者様。後の事は、この私が』

賢者『彼らの記憶を、私の方で消しておきます』

大賢者『ああ、了解した』

賢者『それと、大魔導師様達は如何致しますか?』

賢者『まだ、こちらには顔をお出しにはなっておりませんが』

大賢者『まだ、放っとけ』

256: 2014/10/08(水) 11:05:47 ID:08Mvl0p.
大賢者『とにかく、なるべく早くにあ奴等の記憶の中から、あの娘の事に関する事だけを消しておくのだ!』

大賢者『そうしておかなければ、いつか必ず我々の方にも追求が及ぶ!』

大賢者『良いか? これは我々の保身の為だけではない!』

大賢者『全世界の民達の平和の為でもあるのだからな!』

大賢者『しかと、心得ておけ!』

賢者『はっ!』スッ

258: 2014/10/09(木) 11:35:31 ID:5FWO8SNY
~王都・中央広場~

魔女「……」

女騎士「……」

女僧侶「……」

武闘家妹「……」

魔女(う~~ん。困ったわね……)

259: 2014/10/09(木) 11:35:42 ID:5FWO8SNY
魔女「……」

女騎士「……」

女僧侶「……」

武闘家妹「……」

魔女(何で、皆黙ったままなのよ?……)

スッ、ゴクゴクゴクッ……

260: 2014/10/09(木) 11:36:02 ID:5FWO8SNY
魔女「ねぇ、何で今日は皆黙ったままなの?……」

魔女「私、何かしちゃったかしら?……」

女僧侶「ううん。何も……」

魔女「なら、何で今日は皆が黙ったままなのよ?……」

魔女「ついさっき、勇者を見送ってた時もそんな感じだったし……」

女僧侶「ああ、ちょっとね……」

261: 2014/10/09(木) 11:36:13 ID:5FWO8SNY
女騎士「魔女。お前、もう体調は大丈夫なのか?」

女騎士「まだ、入院しといた方が良いんじゃないか?」

武闘家妹「うん。そうだね」

魔女「いや、私もう大丈夫だから」

魔女「伊達に、その辺については師匠に鍛えられてないわよ」

女騎士「けどな……」

262: 2014/10/09(木) 11:36:33 ID:5FWO8SNY
魔女「もう、そんな顔をしないで」

魔女「私は、本当に大丈夫だから」

女騎士「……」ウルッ

武闘家妹「でも、魔女はあんなクソジジイの為にその身を……」

武闘家妹「私、絶対に耐えきれない!……」

武闘家妹「あんな酷い仕打ち、よく魔女に出来たわね!……」ウルッ

263: 2014/10/09(木) 11:36:47 ID:5FWO8SNY
女騎士「ああ、そうだな……」

女騎士「お前、本当によく耐えていたよ!……」ウルッ

女騎士「同じ女として、あそこまで誰かに殺意を抱いたのは初めてだった!」ウルウルッ

女騎士「私、場合によっては騎士身分を捨てるぞ!」ウルウルッ

女騎士「せっかく、適当に功績を上げて女戦士から鞍替えしたが、あのクソジジイだけは絶対に許さん!」ポロポロッ

女騎士「いつか必ず、お前の仇だけは取ってやる!」ポロポロッ

264: 2014/10/09(木) 11:36:57 ID:5FWO8SNY
魔女「いや、私氏んでないから……」

魔女「勝手に、私抜きで盛り上がらないでくれる?……」

魔女「師匠との関係は、もう既に終わったみたいだから……」

魔女「だから、皆はもう師匠との事については関わらないでくれる?……」

女騎士「は?」ギロッ

武闘家妹「あんな酷い仕打ちをされてて、まだ師匠呼ばわりするの!?」ギロッ

265: 2014/10/09(木) 11:37:07 ID:5FWO8SNY
女騎士「魔女。お前、まだ大丈夫じゃないみたいだな……」ポロポロッ

女騎士「己れあのクソジジイ、魔女を未だに洗脳していたか!……」ポロポロッ

魔女「いや、だから……」

武闘家妹「安心して、魔女。いつか必ず報いを受けさせる!」ポロポロッ

武闘家妹「ほら、私昔から肉体言語は得意でしょ?」ポロポロッ

武闘家妹「だから、魔女は何も心配はしないで良いよ!」ニッコリ

266: 2014/10/09(木) 11:37:17 ID:5FWO8SNY
女僧侶「とりあえず、魔女は何も心配はしなくても宜しくてよ!」

女僧侶「全て、私達に任せてくれたら構わないから!」ニッコリ

魔女「……女僧侶」

女僧侶「私、つい最近よく神に祈ってるの!」ニコニコ

女僧侶「結局、私は神に祈るだけしか出来ない!」ニコニコ

女僧侶「だから、あのクソジジイにはいずれ必ず罰を受けて貰うからね!」ニコニコ

267: 2014/10/09(木) 11:37:27 ID:5FWO8SNY
スッ、ムギュッ……

魔女「あっ……」

女僧侶「……」ニコニコ

魔女「……女僧侶?」

女僧侶「神よ。どうか、彼女をお守り下さい!」

女僧侶「今の彼女は、本当に哀れな存在ですから!」ギューーッ

268: 2014/10/09(木) 11:39:40 ID:5FWO8SNY
魔女「いや、皆私の話を聞いてくれる?」

魔女「だから、本当に大丈夫なんて?」

武闘家妹「でも」ポロポロッ

魔女「じゃあ、何があったか教えてくれる?」

魔女「私、あの日どんな目に遭っていたの?」

武闘家妹「そっ、それは……」ポロポロッ

269: 2014/10/09(木) 11:39:53 ID:5FWO8SNY
女騎士「魔女。お前、何も覚えてないのか?」ポロポロッ

女騎士「あれだけ、あのクソジジイに酷い事をされてたのに?」ポロポロッ

魔女「うん」

女騎士(なら、魔女が妊娠してた事は気付かれてないな……)スッ、パサッ

女騎士(魔女の奴、流産までしてしまってたからな……)スッ、フキフキ

魔女「……」

270: 2014/10/09(木) 11:40:04 ID:5FWO8SNY
魔女「ねぇ、女僧侶。私、もしかして出来ちゃってた?」

魔女「私、まさか師匠の赤ちゃん出来ちゃってたの?」

魔女以外「!?」ビクッ

魔女「そうか。それで皆が泣いてるんだ……」

魔女「そりゃあ、私は夜に使える寝技しか教わってなかったし……」

魔女「女僧侶達がそうなるのも、無理はないんだよね?……」ウルッ

271: 2014/10/09(木) 11:40:14 ID:5FWO8SNY
武闘家妹「でも、私は何も知らないよ……」ポロポロッ

武闘家妹「私はただ、魔女が病院のベットの上に寝かされているのを見ただけだから……」ポロポロッ

魔女「本当に?」チラッ

武闘家妹「うん。それについては、全部本当の事だよ……」ポロポロッ

武闘家妹「私達、魔導師様からは何も聞かされてないの……」ポロポロッ

魔女「ふ~~ん……」ジトッ

272: 2014/10/09(木) 11:40:58 ID:5FWO8SNY
魔女「じゃあ、私のお腹の部分にあった違和感は何?」

魔女「あの時の私、本当に妊娠してたんじゃないの?」

魔女以外「!?」ビクッ

魔女「だから、女騎士達は何も話してはくれない」

魔女「まだ、私に色々と隠してる事があるよね?」

魔女「一体、皆は何を隠しているのかな?」

273: 2014/10/09(木) 11:41:11 ID:5FWO8SNY
女僧侶「魔女。もうその話は止めましょ!」

女僧侶「世の中には、別に思い出さなくても良い事があるの!」ニッコリ

魔女「……」

女僧侶「人は、どんなに辛いことがあっても乗り越えていける!」ニコニコ

女僧侶「たとえ、それがあのクソジジイに酷い事をされ続けていてもね!」ニコニコ

魔女「いや、だから……」

274: 2014/10/09(木) 11:44:39 ID:5FWO8SNY
女騎士「魔女。今日はもうその話は止めにしないか?」

女騎士「私達、ついさっき礼拝を終えたばかりだろ?」

女騎士「今後、私達三人は魔女の側にいる!」

女騎士「これについては、司教様からの許可も貰った!」

女騎士「だから、魔女は何も心配はしなくても良い!」

武闘家妹「うん。そうだね……」ポロポロッ

275: 2014/10/09(木) 11:44:49 ID:5FWO8SNY
魔女「でも、私そろそろ戻らなきゃ……」

魔女「私、女騎士達と違って王都に住んでないんだけど……」

女僧侶「それについても、ちゃんとしてあるから!」ニコニコ

女僧侶「だから、魔女は本日から王都にまでお引っ越し!」ニコニコ

女僧侶「もう既に、それも済ませてあるわよ!」ニコニコ

女僧侶「元々、魔女の実家は自由民なんだし、農奴とかと違って自由に転居出来ちゃうからね!」ニコニコ

276: 2014/10/09(木) 11:44:58 ID:5FWO8SNY
魔女「なんか、勝手に私の知らない所で話が進んでしまっている……」

魔女「私、普段から女僧侶達が所属している教会からは、あまり良い印象を持たれてない魔女なんですけど……」

女僧侶「でも、それを認めたのは教会なのよ!」ニコニコ

女僧侶「魔女は魔女でも、悪魔と契約さえしなければ良いんだし!」ニコニコ

女僧侶「教会でも、実際に魔法が使える人はかなりいるわ!」ニコニコ

女僧侶「だから、魔女は何も心配しなくても良いのよ!」ニコニコ

277: 2014/10/09(木) 11:45:08 ID:5FWO8SNY
女騎士「まぁ、そう言う事だ!」

女騎士「お前は、本当に何も心配はしなくて良いぞ!」

女騎士「とりあえず、お前の新居にまで案内してやる!」

女騎士「さぁ、そろそろ行こうか!」

女騎士「ここにいても、ただ単に寒いだけだからな!」ニッコリ

女僧侶「ええ、そうですね」ニコニコ

278: 2014/10/09(木) 11:47:05 ID:5FWO8SNY
魔女「じゃあ、何もここに集まんなくても……」

魔女「私達、本当に馬鹿みたいじゃん……」

女騎士「ああ、まあな……」

女僧侶「どの道、教会に行く道が混雑してるんだから仕方ないでしょ?」

女僧侶「皆、この時間帯は教会に行っちゃってるし」

女僧侶「私達が単なる馬鹿じゃないのは、確かな事よ」

279: 2014/10/09(木) 11:47:36 ID:5FWO8SNY
スッ、ソソッ……

女僧侶「……」ムクッ

女騎士「……」ムクッ

武闘家妹「……」ムクッ

魔女「はぁ……」ムクッ

武闘家妹「……」スッ、フキフキ

280: 2014/10/09(木) 11:47:51 ID:5FWO8SNY
女騎士「では、今から魔女の新居に向かうぞ」

女騎士「さぁ、魔女は私について来い」

魔女「はいはい」

女騎士「にしては、ここも結構空いてきたな」

女騎士「ついさっきまで、人が多かったのに」

魔女「ええ、そうね」

281: 2014/10/09(木) 11:48:01 ID:5FWO8SNY
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

キモメン「……」ヌッ

キモメン「……」キョロキョロ

キモメン「……」キョロキョロ

キモメン「はぁ……」ガクッ

282: 2014/10/09(木) 11:48:12 ID:5FWO8SNY
キモメン(くそっ、肝心な時に寝過ごした……)

キモメン(どうやら、勇者はもう出立してしまった後か……)

キモメン(なら、仕方ない。この町にも勇者の悪評を撒こう……)

キモメン(皆、俺を仲間にしないのが悪いんだ……)

キモメン(全ては、俺を仲間にしなかった勇者が悪いんだからな!)

スッ、ドサッ……

283: 2014/10/09(木) 11:48:23 ID:5FWO8SNY
キモメン(けど、あの四人は置いてかれたか……)

キモメン(なんか、魔女に関しては入院していたみたいだが……)

キモメン(ついさっきの話、上手く利用出来るな……)

キモメン(勇者ともあろう者が、年若い娘を犯して流産させた……)

キモメン(これはこれで、良いネタになる)

スッ、パカッ……

284: 2014/10/09(木) 11:48:33 ID:5FWO8SNY
キモメン(では、ビラを撒くとするか……)

キモメン(今回は、少しネタが古いんだか……)

キモメン(勇者XXX。娼館で豪遊……)

キモメン(代金は、全て教会持ち……)

キモメン(う~~ん。少し、ネタが古かったがな……)

スッ、ドサッ……

285: 2014/10/09(木) 11:48:44 ID:5FWO8SNY
キモメン「……」ブツブツ

キモメン「……」ブツブツ

キモメン「……」ブツブツ

キモメン「……」ブツブツ

キモメン「はっ!」ブォン

ビラの山「……」ピカァ

286: 2014/10/09(木) 11:49:07 ID:5FWO8SNY
キモメン(ふふふっ、俺はこれで撤退だな……)

キモメン(周囲には、ミサに出席した民達くらいしかいないからな……)

キモメン(さて、そろそろビラが飛んで行くな……)

キモメン(ちゃんと、町中に飛んでくれよ……)ニヤリ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

287: 2014/10/09(木) 11:49:17 ID:5FWO8SNY
ビラの山「……」

ビラの山「……」

ビラの山「……」

ビラの山「……」

ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

289: 2014/10/10(金) 11:23:23 ID:aqcPIZiA
~王都・魔女の自宅前~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

290: 2014/10/10(金) 11:23:36 ID:aqcPIZiA
魔女「ここが、私の新居?」

魔女「と言うか、何で町外れにある女達の寮の近くにあるの?」

魔女「これ、遠回しに私に女になれって事よね?」

魔女「とうとう、今の私は女騎士達にも裏切られたのかしら?」クルッ

女僧侶「いいえ」

女騎士「すまん。今空いてるのが、ここしかなかったんだ」

291: 2014/10/10(金) 11:23:46 ID:aqcPIZiA
魔女「じゃあ、他の場所が良かったなぁ……」

魔女「これ、一体どう言う嫌がらせなの?……」ウルッ

女騎士「すまん、魔女」ペコッ

女僧侶「ちなみに、私達の自宅もこの近くですよ」

女僧侶「ですから、何も心配はしないで下さい」ニッコリ

魔女「……」ウルウルッ

292: 2014/10/10(金) 11:23:57 ID:aqcPIZiA
スッ、ガチャ……

店主姪「行ってらっしゃい」

店主「ああ、行ってくる」

スッ、バタン……

店主「ん?」ハッ

魔女「あっ……」ウルウルッ

293: 2014/10/10(金) 11:24:09 ID:aqcPIZiA
店主「おやっ、珍しいですね」

店主「今日は、どうなされたんです?」ニッコリ

店主「ここ、あまりいらっしゃらない方が宜しいですよ」ニコニコ

店主「ここは、女達の寮がありますから」ニコニコ

魔女「!?」ガーーン

女騎士「ああ、ちょっとな……」

294: 2014/10/10(金) 11:24:20 ID:aqcPIZiA
店主「まさか、昨日引っ越されてきたのは、貴女なのですか?……」

店主「貴女とこうしてお会いするのは、一ヶ月振りでしたね……」

魔女「……」ポロポロッ

店主「女僧侶様。もう少し、まともな場所を紹介出来なかったのですか?」

店主「ここ、以前から治安悪いですよ」

店主「店が開いていない時とか、しょっちゅう集団レ〇プ事件が起きてしまうんですが」

295: 2014/10/10(金) 11:24:30 ID:aqcPIZiA
魔女「あの、今の話は本当なんですか?……」ポロポロッ

魔女「まさかとは思いますけど、私、女にまで身落ちしたりしませんよね?……」ポロポロッ

店主「え?」

魔女「確かに、私は師匠には好き放題されてましたけど……」ポロポロッ

魔女「私のお腹には、気がついたら師匠の赤ちゃんが出来てしまってたみたいですけど……」ポロポロッ

店主「あの、魔女さん?」

296: 2014/10/10(金) 11:24:40 ID:aqcPIZiA
魔女「私、このまま女になった方が良いのかな?……」ポロポロッ

魔女「と言うかもう既に、私はもう女にまで身落ち確定なんだよね?……」ポロポロッ

魔女「あははっ、もう私は女確定なんだ……」ポロポロッ

魔女「だから、女僧侶達がやたらと私に気を遣ってくれていた訳が、ようやく分かった様な気がするよ……」ポロポロッ

女僧侶「いや、違うんだけど……」

女騎士「魔女。それについては、お前の勘違いだ!」

297: 2014/10/10(金) 11:24:50 ID:aqcPIZiA
魔女「じゃあ、何でここなの?……」ポロポロッ

魔女「私、女にまで身落ちしたんじゃないの?……」ポロポロッ

女騎士「いや、今のお前は女にまで身落ちしてない!」

女騎士「偶々、ここしか空きがなかっただけなんだ!」

魔女「嘘だ!」ポロポロッ

女騎士「違う。私達を信じてくれ!」

298: 2014/10/10(金) 11:25:00 ID:aqcPIZiA
武闘家妹「魔女。本当に大丈夫だから!」

武闘家妹「その証拠に、名前も職業もそのままでしょ?」

魔女「けど、私は女騎士達に裏切られた!」ポロポロッ

魔女「私の事、ただの汚れた女だとそう思ってたんでしょ?」ポロポロッ

女騎士「違う!」

武闘家妹「魔女。誤解だから!」

299: 2014/10/10(金) 11:27:28 ID:aqcPIZiA
女僧侶「魔女。私がそんな事を認めると思う?」

女僧侶「私がそんな事を認めるくらいなら、あのまま魔女を氏なせてあげたわよ!」

魔女「なら、私今すぐ田舎に帰る!」ポロポロッ

魔女「ここで更に汚されるくらいなら、私は田舎に帰るわよ!」ポロポロッ

女僧侶「何ですって!?」

武闘家妹「魔女。それだけは駄目!」

300: 2014/10/10(金) 11:27:38 ID:aqcPIZiA
女騎士「魔女。良いから落ち着け!」

女騎士「ここの方が、まだ橋の下よりは遥かにマシだ!」

魔女「!?」ガーーン

女騎士「お前の生まれ故郷の村は、もう既に廃墟だ!」

女騎士「幸い、お前の家だけは無事だった!」

女騎士「けどな、あそこはもう既にモンスターの支配圏に入ってたんだよ!」

301: 2014/10/10(金) 11:27:50 ID:aqcPIZiA
魔女「じゃあ、私は女にならなくても良いの?……」ポロポロッ

魔女「私、女にならなくても良いんだよね?……」ポロポロッ

女騎士「ああ、当たり前だ!」

女騎士「こっちこそ、誤解させてすまなかった!」ペコッ

武闘家妹「ごめん!」ペコッ

女僧侶「ごめんなさい!」ペコッ

302: 2014/10/10(金) 11:28:00 ID:aqcPIZiA
魔女「はぁ、良かった……」ポロポロッ

魔女「私、女にならなくても良かったんだ……」ポロポロッ

魔女「こっちこそ、変に誤解してごめんなさい……」ポロポロッ

魔女「ほら、私、師匠に裏切られたばかりだから……」ポロポロッ

魔女「だから、私は皆の事を大いに誤解しちゃってたみたい……」ポロポロッ

女達「……」ザワザワ

303: 2014/10/10(金) 11:28:10 ID:aqcPIZiA
店主「あの、さっきから何の話をされてるんですか?」

店主「ついさっきから、かなり近所迷惑なんですけど」

店主「ああ、ウチの娘達まで外に出てきた」

店主「皆さんでお話をされるのでしたら、中でして貰えませんか?」

女騎士「ああ、すまんすまん」

女騎士「以後、気を付けさせて貰う」

304: 2014/10/10(金) 11:28:21 ID:aqcPIZiA
店主「それで、魔女さんはどうなさいますか?」

店主「もしお時間の方に余裕があるなら、ウチの店にお出になられても宜しいのですよ」

魔女「え?」ポロポロッ

店主「ああ、今のは冗談ですよ」

店主「せっかくの良い機会でしたから、魔女さんが良ければウチの女になって貰いたかったんですけどね」

魔女「は、はぁ……」ポロポロッ

305: 2014/10/10(金) 11:28:51 ID:aqcPIZiA
女A「マスター。早速、新人の勧誘ですか?」

女A「そろそろ私、産休がほしいんですけど!」

店主「ああ、君はそろそろ構わんよ!」ニッコリ

魔女「!?」ガーーン

女B「マスター。早く新人を入れて下さい!」

女B「レンタル移籍してた子達、もう既に期間が終わって帰っちゃったじゃないですか!」

306: 2014/10/10(金) 11:29:22 ID:aqcPIZiA
店主「ああ、今ちょっと勧誘してるから、もう少し我慢してね!」ニコニコ

店主「いずれ、彼女達が抜けた穴は埋めてあげるから!」ニコニコ

店主「ちなみに、王都の女が妊娠した場合には、そのまま出産しなくてはなりません!」ニコニコ

店主「たとえ、女が子供を生んだとしても、教会が生活の面倒を見て下さっております!」ニコニコ

店主「今は、国からも援助が出てますからね!」ニコニコ

店主「ですから、魔女さんもウチの店でお出になる場合には、どうかご安心下さい!」ニコニコ

307: 2014/10/10(金) 11:29:32 ID:aqcPIZiA
女僧侶「あの、勝手に私の友人を勧誘しないで頂けますか?」

女僧侶「この子は、別にそう言った理由でここに転居してきた訳ではないんですけど」ギロッ

店主「ですから、ちょっとジョークですよ」ニコニコ

店主「ほらっ、今流行りの娼館ジョーク」ニコニコ

店主「やだな、女僧侶様も本気にしないで下さい」ニコニコ

店主「そんな事したら、私が司教様からクビを言い渡されてしまいますから」ニコニコ

308: 2014/10/10(金) 11:29:42 ID:aqcPIZiA
魔女「とりあえず、お金に余裕がない時はお願い致します……」ポロポロッ

魔女「私、一度お腹に出来ちゃってたみたいですから……」ポロポロッ

店主「おおっ、そうですか!」ピカァ

女僧侶「魔女!?」

魔女「ですから、今後とも宜しくお願い致します……」ポロポロッ

魔女「多分、まだ私のお腹の中にいると思うんで……」ポロポロッ

309: 2014/10/10(金) 11:31:52 ID:aqcPIZiA
女騎士「魔女。早まった真似をするな!」

女騎士「今のお前は、妊娠なんかしてないから!」

女騎士「それに、今のお前がそんな風になる必要なんかない!」

女騎士「だから、早まった真似をするな!」

武闘家妹「うん。そうだよ!」

女僧侶「魔女。気を確かに!」

310: 2014/10/10(金) 11:32:02 ID:aqcPIZiA
魔女「ごめん。今の私はお金ないし……」ポロポロッ

魔女「もうこれ以上、女騎士達には迷惑を掛けたくないから……」ポロポロッ

女僧侶「……魔女」

魔女「それに、私はもう既に汚れてるよ……」ポロポロッ

魔女「皆みたいな、綺麗な体じゃないんだよ……」ポロポロッ

女達「……」ウルッ

311: 2014/10/10(金) 11:32:19 ID:aqcPIZiA
女僧侶「魔女。大丈夫だから!」

女僧侶「お金の方なら、私達がなんとかしてあげるから!」

女僧侶「だから、少しは自分を大切にしなさい!」

女僧侶「今の魔女は、あのクソジジイの所為で頭をおかしくされているだけなんだから!」

武闘家妹「うん。そうだよ!」

店主「は? クソジジイ?……」

312: 2014/10/10(金) 11:32:29 ID:aqcPIZiA
魔女「けど、大丈夫なの?……」ポロポロッ

魔女「私、結構お金掛かる方なんだけど……」ポロポロッ

女騎士「それについても、何も心配はするな!」

女騎士「私らが上に話をつけている!」

女騎士「だから、お前も自分自身を大切にしろ!」

女騎士「全て、私達に任せておけ!」ニッコリ

313: 2014/10/10(金) 11:32:40 ID:aqcPIZiA
店主「ちなみに、そのクソジジイって誰の事なんです?」

店主「もしかして、あの女好きで有名な大魔導師様とか言いませんよね?」

魔女「え? そうですけど……」ポロポロッ

女僧侶「それが何か?」ギロッ

店主「じゃあ、貴女も大魔導師様による被害者だったんですか……」

店主「こりゃあ、かなり大事になってきたな……」

314: 2014/10/10(金) 11:32:52 ID:aqcPIZiA
魔女「あの、今のどう言う事なんですか?……」ポロポロッ

魔女「ウチの師匠、何かしてたんですか?……」ポロポロッ

店主「いえね、ウチの女達は元々は別の町から来た子達なんです」

店主「何でも、昔は魔法使いを目指していたとか」

店主「気がついたら、何故か夜に使える寝技しか覚えさせられてなくって」

店主「それで、魔法使いになるのを諦めた子達が多いんです」

315: 2014/10/10(金) 11:33:22 ID:aqcPIZiA
女騎士「おい、今の話は本当か!?」

女騎士「あのクソジジイ、あの時私が切り頃しとけば良かった!」

店主「ええ、そうですね……」コクン

魔女「とりあえず、私はお店にも出ます……」スッ、パサッ

魔女「女騎士達が何を言おうと、私はお店に出ますんで!」スッ、フキフキ

店主「はい、かしこまりました!」ニッコリ

316: 2014/10/10(金) 11:33:33 ID:aqcPIZiA
女僧侶「ちょっと、何勝手にOKしてるの!?」

女僧侶「やっぱり、まだ入院しといた方が良かったわよ!?」

魔女「いや、私はもう大丈夫だから!」

魔女「なんか急に、物凄く久し振りに男の人の太くて固いアレを舐めたくなっただけだから!」

魔女「だから、何も心配しないで!」ニッコリ

女騎士「あのクソジジイーーーーーーーーっ!」ブチッ

317: 2014/10/10(金) 11:33:43 ID:aqcPIZiA
女A「じゃあ、後で歓迎会やろうよ!」

女A「お店が終わったら、皆で歓迎会しない?」

店主「おっ、良いね!」

女B「ああ、やっと新人が一人増えた……」

女B「ここ最近、ほぼ集団レ〇プに近かったしなぁ……」

魔女「はい。ありがとうございます。先輩達!」ニコニコ

318: 2014/10/10(金) 11:34:15 ID:aqcPIZiA
女騎士「すまん。ちょっと急用が入った」

女騎士「後の事は、二人に任せておく」

女僧侶「ええ、別に構わないけど……」

女騎士(魔女。必ず、お前の事を解放してやる!)

女騎士(だから、私のレベルや地位が上がるまでは、まだもう少し我慢しといてくれ!)ウルッ

魔女「ん?」ハッ

319: 2014/10/10(金) 11:35:10 ID:aqcPIZiA
魔女「あれ、女騎士もう帰るの?」

魔女「やっぱり、私みたいな汚れた体の子は嫌い?」ウルッ

女騎士「違う。ちょっと急用が入っただけだ!」

魔女「じゃあ、早めに女騎士も用事を済ませてきてね……」

魔女「じゃないと私、お腹大きくしたまま無数の男達に集団レ〇プされてるからね……」

女騎士「ああ、了解した!」ウルッ

320: 2014/10/10(金) 11:35:24 ID:aqcPIZiA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

キモメン「……」ヌッ

キモメン(なんか、予想外に勇者の女達が酷い目に遭ってた……)

キモメン(これも、次のビラに書き足しとこ……)

キモメン「……」スッ、カキカキ

321: 2014/10/10(金) 11:36:09 ID:aqcPIZiA

引用: 魔女「キモメンが、仲間にしてほしそうに勇者を見ている……」