322: ◆7FnOo4mT6s 2014/10/11(土) 12:10:16 ID:/qhwLX0g

魔女「キモメンが、仲間にしてほしそうに勇者を見ている……」【前編】


~南大陸・廃教会~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スタッ、スタッ、スタッ、スタッ……

スタッ、スタッ、スタッ、スタッ……

勇者一行「……」
葬送のフリーレン(12) (少年サンデーコミックス)
323: 2014/10/11(土) 12:10:26 ID:/qhwLX0g
勇者「皆、全員いるか?」

勇者「あいつは、近くにいないよな?」クルッ

魔法使い「ああ、大丈夫だ!」

僧侶「多分、ここは廃棄された教会ですね」

僧侶「南大陸では、魔王軍の進行が激しかったですから」

勇者「ああ、そうみたいだな」キョロキョロ

324: 2014/10/11(土) 12:10:37 ID:/qhwLX0g
戦士「けど、現在地はどこなんだよ?」

戦士「ここ、本当に地図には載ってるんだよな?」

僧侶「はい」

勇者「魔法使い。探索魔法で周囲を確認してくれ」

勇者「皆、まだ動くなよ」

魔法使い「おう」

325: 2014/10/11(土) 12:10:48 ID:/qhwLX0g
魔法使い「……」スッ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「……」ブツブツ

魔法使い「はっ!」ブワッ

魔法使い「……」キョロキョロ

魔法使い「……」キョロキョロ

326: 2014/10/11(土) 12:11:03 ID:/qhwLX0g
魔法使い「勇者。ここは連合軍拠点の近くだ」

魔法使い「このまま、連合軍拠点に向かうのか?」

勇者「いや、いい」

魔法使い「じゃあ、このまま俺達は魔王城に向かうんだな?」

魔法使い「周囲には、モンスターの姿すらなし!」

魔法使い「と言うか、どうやったらここまで派手に出来るんだよ?」

327: 2014/10/11(土) 12:11:14 ID:/qhwLX0g
勇者「さぁな、俺が知るかよ」

勇者「皆、これから直で魔王城に向かうぞ」

勇者「魔法使い。魔王城の正確な位置は分かってるな?」

勇者「大賢者様が、どの湖が魔王城に繋がっているか特定出来てんだよな?」

魔法使い「ああ、大陸中部にあるバカデカイ湖だ!」

勇者「よしっ!」ニヤリ

328: 2014/10/11(土) 12:11:24 ID:/qhwLX0g
勇者「じゃあ、皆行くぞ!」

勇者「魔法使いは、探索魔法をそのまま!」

勇者「隊列は、二列に並んで出発!」

勇者「皆、決して油断するな!」

勇者「たとえ探索魔法で捉えきれていなくても、転移魔法さえ使えばいつでも奇襲が出来るんだからな!」

勇者の仲間達「おーーーーーーーーっ!」

329: 2014/10/11(土) 12:11:33 ID:/qhwLX0g
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

勇者一行「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者一行「……」

330: 2014/10/11(土) 12:11:47 ID:/qhwLX0g
~魔王城・城門前~

守備隊長「整列!」

守備隊長「魔王陛下に、敬礼!」ビシッ

守備兵達「……」ビシッ

魔王「……」

側近「……」

331: 2014/10/11(土) 12:11:57 ID:/qhwLX0g
魔王(これが、私の今いる魔王城の守備兵達……)

魔王(まぁ、100名規模に増員出来ただけでもまだマシか……)

守備隊長「諸君。これより、陛下からの有り難いお言葉がある!」

守備隊長「皆、心して聞く様に!」

側近「……」チラッ

魔王「……」コクン

332: 2014/10/11(土) 12:13:56 ID:/qhwLX0g
魔王「諸君。これより我々は、勇者一行との戦闘態勢に入る!」

魔王「勇者一行との戦闘の最中、諸君らの中からは多数の氏傷者が出る事であろう!」

魔王「だがしかし、我々は逃げる事もそう簡単に氏ぬ事すらも許されない!」

魔王「何故なら、我々が負ければ魔界100万の民達が、皆すぐに不幸になる!」

魔界「勇者一行は、まだ年若く殺戮の限りを尽くす!」

魔界「魔界100万の民達が、勇者一行によって老若男女を問わず全て虐殺をされてしまうからだ!」

333: 2014/10/11(土) 12:14:10 ID:/qhwLX0g
魔王「諸君らの中にも、愛する家族がいるだろう?」

魔王「私は、今でも先代の魔王であった亡き父上の事を思い出す!」

魔王「私の父は、当時の勇者と戦い破れ去った!」

魔王「今回、我々が戦うのはその親類!」

魔王「私の父が破れた勇者は、“味方頃しの勇者”と呼ばれていた!」

魔王「今回の勇者は、“キモメンに付き纏われた勇者”と呼ばれている!」

334: 2014/10/11(土) 12:14:21 ID:/qhwLX0g
魔王「諸君。必ずや我々の手で勇者一行を討ち滅ぼそう!」

魔王「我々のこの手で、勇者一行を一人残らず血祭りにあげよう!」

魔王「皆、ここが正念場だ!」

魔王「絶対に生きて、愛する家族の元に帰るのだ!」

守備兵達「おーーーーーーーーっ!」スッ

魔王「諸君らの働きを、私は大いに期待しておる!」

335: 2014/10/11(土) 12:14:43 ID:/qhwLX0g
側近「諸君。くれぐれも油断せぬ様にな!」

側近「勇者一行は、かなり手強い!」

側近「勇者一行を討ち取った者には、陛下から特別に褒美を与えられる!」

側近「更には、諸君らの働き次第では皆が騎士として取り立てられるであろう!」

側近「晴れて騎士となった暁には、諸君らは最低でも村一つ程の所領も与えられるのだ!」

守備兵達「おーーーーーーーーっ!」ザワザワッ

336: 2014/10/11(土) 12:15:14 ID:/qhwLX0g
側近「ただし、諸君らの働き次第では、それも変わるかもしれないがな!」

側近「たとえ騎士に取り立てられなくても、歴史には名を残せる!」

側近「皆、決して油断するな!」

側近「諸君らは、魔界が誇る精鋭部隊!」

側近「絶対に、魔王様には指一本も触れさせるな!」

守備兵達「おーーーーーーーーっ!」ザワザワッ

337: 2014/10/11(土) 12:15:24 ID:/qhwLX0g
魔王「では、後の事は頼むぞ。守備隊長!」

魔王「私は、次の現場に向かわなくてはならん!」

魔王「側近。もう行くぞ!」

魔王「今の私には、あまり時間がないのだからな!」

守備隊長「はっ!」

側近「御意のままに!」

338: 2014/10/11(土) 12:15:34 ID:/qhwLX0g
守備隊長「整列!」

守備隊長「魔王様に敬礼!」ビシッ

守備兵達「……」ビシッ

側近「では、陛下はこちらへ」

側近「次の現場にまで、私がご案内致します」

魔王「ああ、了解した」

339: 2014/10/11(土) 12:15:45 ID:/qhwLX0g
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

守備隊長(陛下。我々が、必ず陛下の事をお守り致します!)

守備隊長(ですから、どうかご安心下さい!)

守備隊長「……」スッ

守備兵達「……」スッ

340: 2014/10/11(土) 12:15:55 ID:/qhwLX0g
~王都・大通り~

ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

「ん? 何だこの紙?」

「おいっ、なんか飛んで来たぞ!」

女騎士(おやっ、これは?……)

341: 2014/10/11(土) 12:16:07 ID:/qhwLX0g
「何々、勇者XXXが娼館で豪遊?……」

「しかも、全て教会持ち?……」

「おいっ、何だよそれ?」

女騎士「!?」ガーーン

女騎士「ま、まさか!?」

女騎士「……」キョロキョロ

342: 2014/10/11(土) 12:18:04 ID:/qhwLX0g
「おいっ、この紙に書かれた事は事実なのか!?」

「勇者の野郎、魔王退治をサボってこんな事をしてやがった!」

「何ーーーーっ!?」

「こりゃあ、かなり厄介な事になってきたな……」

「勇者の野郎が魔王討伐をサボって、こんな事をしていたなんて……」

「ええ、そうね……」

343: 2014/10/11(土) 12:18:14 ID:/qhwLX0g
「けど、勇者も立派な男だぜ」

「男なら、一度ぐらいは豪遊したくなるじゃないか」

「だが、いつ魔王軍に攻め滅ぼされるか分からねぇ時にこのザマだ!」

「一体、勇者の任命基準って何なんだよ!?」

女騎士「……」キョロキョロ

女騎士「……」キョロキョロ

344: 2014/10/11(土) 12:18:26 ID:/qhwLX0g
「おいっ、何してんだ? 女騎士」

「例の魔女さんの見舞いとやらは、もう済んだのか?」

女騎士「ん? 誰だ?……」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

騎士「よう!」

345: 2014/10/11(土) 12:18:36 ID:/qhwLX0g
女騎士「何だ。どこぞの平騎士か」

女騎士「少し、人を探してるんだ?」

女騎士「丁度良い。お前も今から私に付き合え!」

女騎士「どうせ、お前も暇なんだろ? 騎士」

騎士「いや、俺も暇じゃねぇよ……」

騎士「これから、平原のモンスター退治に行かなくちゃなんねぇから……」

346: 2014/10/11(土) 12:18:48 ID:/qhwLX0g
女騎士「その割には、お前一人でか?」

女騎士「お前の主君は、かなり酷な事をするんだな」

騎士「ああ、マジで俺の主君は鬼なんだよ……」

騎士「ついこの間も、回復剤(小)一つ渡されただけで、トロルと戦わされてた……」

騎士「その所為か、今仕えている所は俺しか騎士がいなくてな……」

騎士「他の奴等は、俺を残して全員あの世に行きやがったよ……」ウルッ

347: 2014/10/11(土) 12:19:08 ID:/qhwLX0g
女騎士「じゃあ、お前主君変えろよ」

女騎士「このままじゃ、まともに暮らしていけねぇぞ」

騎士「それが出来たら、苦労しねぇよ……」

騎士「先輩も先輩で、俺なんか庇って戦氏してしまった……」

騎士「今でも、その先輩が夢に出てくるんだ……」

騎士「せめて、お前だけでも生きてくれってな……」ウルウルッ

348: 2014/10/11(土) 12:19:41 ID:/qhwLX0g
女騎士「ああ、それは済まなかった」

女騎士「お前も、色々と苦労してんだな」

女騎士「所で、チビでデブでハゲで不細工な男を見なかったか?」

女騎士「そいつ、今さっきからこの辺で変なビラを撒いてんだが」

騎士「ん? 変なビラ?……」

女騎士「ああ、今その辺に散らばってるだろ?」

349: 2014/10/11(土) 12:19:54 ID:/qhwLX0g
ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

ヒューーーーーーーーッ、ピラピラピラピラッ……

騎士「……」スッ

女騎士「……」スッ

騎士「何々、勇者XXXが娼館で豪遊……」

騎士「あいつ、マジで何やってんだよ?……」

350: 2014/10/11(土) 12:20:03 ID:/qhwLX0g
女騎士「まぁ、そう言う事だ」

女騎士「今の私は、それでその男の事を探してる」

女騎士「そいつ、以前から勇者の悪評ばかり流しまくっててな」

女騎士「それで、勇者はかなり迷惑をしてるらしい」

騎士「へぇ、そうなのか……」

スッ、クシャクシャ……

351: 2014/10/11(土) 12:20:13 ID:/qhwLX0g
騎士「とりあえず、俺はもう行くな」

騎士「お前と違って、俺も暇じゃねぇからな」

女騎士「ああ、すまなかった」

騎士「後、その男に関しては何も知らん」

騎士「じゃあ、俺は失礼させて貰う」

女騎士「ああ、気を付けてな」

352: 2014/10/11(土) 12:21:13 ID:/qhwLX0g
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

女騎士「……」

スッ、クシャクシャ……

女騎士(あいつ、一体何を考えている?……)

女騎士(これも、司教様にも報告しておくか……)

353: 2014/10/11(土) 12:21:23 ID:/qhwLX0g
女騎士(ともかく、私も先を急ぐか……)

女騎士(今日は、やけに大通りが混雑しているな……)

女騎士(私も、早く自身の地位とレベルを上げなければ……)

女騎士(じゃないと、魔女が不憫だからな……)

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

354: 2014/10/11(土) 12:22:35 ID:/qhwLX0g
本日の分、終了。

355: 2014/10/12(日) 10:07:12 ID:xqKdxSZc
~王都・魔女の自宅~

魔女「へぇ、ちゃんと私の荷物が全部ある」

魔女「これ、運ぶの大変だったでしょ?」クルッ

女僧侶「うん。まあね」ニッコリ

魔女「私の田舎、本当にモンスターの支配圏に入っちゃったの?」

魔女「その割には、なんか綺麗すぎてない?」

356: 2014/10/12(日) 10:07:22 ID:xqKdxSZc
女僧侶「まぁ、それについては頑張ったわ」ニコニコ

女僧侶「私達、転移魔法と転送魔法を交互に使ってたから」ニコニコ

女僧侶「だから、魔女は何も心配する必要なんかないわ」ニコニコ

女僧侶「ついさっきみたいに、わざわざ魔女が汚れに行く事なんてないのよ」ニコニコ

武闘家妹「うん。そうだね」ニコニコ

魔女「けど……」

357: 2014/10/12(日) 10:07:33 ID:xqKdxSZc
女僧侶「魔女。何度も言わせないで!」

女僧侶「本当に、魔女は大丈夫なんだから!」

魔女「じゃあ、あの日何があったか教えて!」

魔女「それさえ教えてくれたら、私はもう何も言わない!」

女僧侶「……魔女」

武闘家妹「ごめん。それは、私達の口からはとても言いにくい……」

358: 2014/10/12(日) 10:07:48 ID:xqKdxSZc
魔女「なら、私はこのまま汚れるわ」

魔女「私はもう、そう言う運命みたいだから」

女僧侶「魔女!」ギロッ

魔女「それが嫌なら、早く教えて!」

魔女「一体、女僧侶達は何を隠してるの?」ギロッ

女僧侶「……」ギリギリッ

359: 2014/10/12(日) 10:08:00 ID:xqKdxSZc
武闘家妹「魔女。本当に、私達は何も知らないの!」

武闘家妹「私達が見たのは、病院のベットで眠ってた魔女の姿しか見てないから!」

魔女「本当に?」

武闘家妹「うん。それについては、本当の事だよ!」

武闘家妹「魔女がいなくなった後も、私達はまだ酒場で食事してたから!」

魔女「……」

360: 2014/10/12(日) 10:08:10 ID:xqKdxSZc
女僧侶「魔女。一体、何が気に入らないの?」

女僧侶「ここ以外なら、すぐにでも手配出来るわよ!」

魔女「私、やっぱり妊娠してたんじゃないかな?」

魔女「あの時のお腹の違和感は、その証拠だと思うの」

女僧侶「……」

武闘家妹「それで?」

361: 2014/10/12(日) 10:08:20 ID:xqKdxSZc
魔女「だから、今の武闘家妹達が何も言えないのも無理はないわね」

魔女「だって、私は師匠にレ〇プされた挙げ句に望まない妊娠までしちゃってたから」

魔女「おまけに、私以外の被害者達が多数いて」

魔女「いくら師匠としてた時は、全く逆らえなかった」

魔女「師匠は、魔法か魔術のどちらかの方法で私の体を自由に何度も操り、自身の欲求を満たしてた」

魔女「私と言う肉〇器を、師匠は私を女にする事によって完成させたのよ」

362: 2014/10/12(日) 10:08:35 ID:xqKdxSZc
武闘家妹「じゃあ、あのクソジジイは本当に最低だね!」

武闘家妹「魔女は、どうしてまだあんなクソジジイの事を師匠呼ばわりするの?」

魔女「多分、それも師匠の所為だと思う」

魔女「師匠は、人間だろうがエルフだろうが関係なく、美人なら手を出してた」

魔女「それに、師匠は実生活はともかく魔導師としては、かなり有能な人だからね」

魔女「たとえ、師匠が不祥事を起こしたとしても、それを罰する人すらなかなかいないのが現実なのよ」

363: 2014/10/12(日) 10:08:48 ID:xqKdxSZc
女僧侶「なら、そのクソジジイをなんとかすれば良いのね?」

女僧侶「それさえ出来れば、魔女はあのクソジジイから解放されるの?」

魔女「うん」

女僧侶「だったら、私達の方でも出来る限り考えましょ」

女僧侶「と言っても、今の私達のレベルじゃまだ無理か」

武闘家妹「うん。そうだね」

364: 2014/10/12(日) 10:08:58 ID:xqKdxSZc
魔女「とりあえず、適当にモンスター退治でもしてレベル上げる?」

魔女「そう言えば、二人は今レベルはどれくらいなの?」

武闘家妹「ごめん。まだレベル5」

武闘家妹「女騎士も女僧侶も、私とまだ同じだよ」

魔女「ああ……」

女僧侶「何か文句ある?」

365: 2014/10/12(日) 10:11:29 ID:xqKdxSZc
魔女「いや、私の寝てた間にレベル上げでもしてたのかなぁって……」

魔女「そんなレベルじゃ、とても私の師匠に勝てないんだけど」

女僧侶「は?」ギロッ

魔女「……」ビクッ

武闘家妹「一体、どれぐらいのレベルなの?」

魔女「確か、レベル150だったはず」

366: 2014/10/12(日) 10:11:39 ID:xqKdxSZc
女僧侶「ちょっと、何よそれ!?」

女僧侶「明らかに、上限突破してんじゃないの!?」

武闘家妹「……」

魔女「ごめん。これに関してはマジな話……」

魔女「大賢者様ですら、師匠と同じレベルだから……」

女僧侶「そんな!?」ガーーン

367: 2014/10/12(日) 10:11:51 ID:xqKdxSZc
武闘家妹「じゃあ、どうやってあのクソジジイを倒すのよ!?」

武闘家妹「大賢者様だけじゃ、とても無理な状態じゃない!?」

魔女「うん。だから、不可能に近い……」

魔女「おまけに、師匠も大賢者様も神から優遇された転生者……」

魔女「だから、上限突破すら神に認められてる……」

魔女「私の知る限りじゃ、師匠と互角にやり合えるのは、大賢者様くらいな訳」

368: 2014/10/12(日) 10:12:32 ID:xqKdxSZc
武闘家妹「じゃあ、魔女はずっとこのままなの!?」

武闘家妹「あのクソジジイが氏なない限り、魔女はずっとこのままなの!?」

魔女「うん」

武闘家妹「あのクソジジイ、本当に最低だね!?」

武闘家妹「一体、何であんなのが神に優遇された挙げ句に、転生すらしちゃってるのさ!?」

魔女「うん。本当にどうしてだろうね……」

369: 2014/10/12(日) 10:12:47 ID:xqKdxSZc
「いや、まだ方法はありますよ」

「宜しければ、この私が手を貸しましょうか?」

魔女「え?」ハッ

武闘家妹「誰?」クルッ

女僧侶「……」キョロキョロ

シュン、シュタッ……

370: 2014/10/12(日) 10:12:58 ID:xqKdxSZc
魔女「あっ、貴女は確か師匠の……」

魔女「と言うか、私より貴女の方が遥かに酷い目に遭っている様な」

エルフ魔女「ええ、そうですね」

女僧侶「魔女。こちらの方は?」

女僧侶「この方は、どう見ても純粋なエルフなのよね?」

魔女「うん。そうだけど」

371: 2014/10/12(日) 10:13:09 ID:xqKdxSZc
エルフ魔女「久し振りね。魔女」

エルフ魔女「こうして、貴女と会うのは二度目だったわね」ニッコリ

魔女「ええ、お久し振りです」ニッコリ

エルフ魔女「師匠。相変わらず、ああなんだ……」

エルフ魔女「ついこの間、師匠が入院したって聞いたから、一応はお見舞いの方に行っといたんだけど……」

魔女「ああ、そうだったんですか」

372: 2014/10/12(日) 10:13:19 ID:xqKdxSZc
魔女「それで、その方法って何なんです?」

魔女「エルフ魔女さんは、師匠に勝つ方法をご存じなんですか?」

エルフ魔女「ええ、まあね」

女僧侶「でしたら、今すぐそれをお教え下さい!」

女僧侶「じゃないと、世界中の罪無き女性達が被害に遭ってしまいます!」

武闘家妹「うん。そうだね!」

373: 2014/10/12(日) 10:13:28 ID:xqKdxSZc
エルフ魔女「ただ単に、この私が師匠を殺せば良いだけですよ!」

エルフ魔女「私、こう見えても転生者ですから!」ニッコリ

魔女「!?」ガーーン

女僧侶「でしたら、今レベルの方はおいくつ何ですか?」

女僧侶「今の貴女様のレベルを、どうかお教え下さい!」

武闘家妹「……」ゴクリ

374: 2014/10/12(日) 10:13:39 ID:xqKdxSZc
エルフ魔女「なんか、かなりがっついてきたわね……」

エルフ魔女「まぁ、大切な友人が女にまで堕ちようとしてたら仕方ないか……」

エルフ魔女「ちなみに、今の私のレベルは1000です」

エルフ魔女「私、実は六回も転生をしてしまってましてね」

エルフ魔女「私の母も、私と全く同じレベルです」

エルフ魔女「ですから、師匠の事なんて簡単に殺せちゃうと言う訳なんですよ」ニッコリ

375: 2014/10/12(日) 10:15:33 ID:xqKdxSZc
魔女「いや、それあり得ないでしょ……」

魔女「いくら、貴女が転生者でもレベル1000なんて不可能なんですから……」

女僧侶&武闘家妹「あっ……」ハッ

魔女「私、普通はレベル100ぐらいしか無理だと思いますよ」

魔女「数少ない転生者ですら、レベル150が限界なんですから」

女僧侶&武闘家妹(いや、この方ならあり得る……)ガクガクッ

376: 2014/10/12(日) 10:16:04 ID:xqKdxSZc
女僧侶「あの、失礼ですが、何回転生をなされましたっけ?……」ガクガクッ

女僧侶「私の記憶が正しければ、貴女はかなり危険な存在なのでは?……」ガクガクッ

魔女「え?」

エルフ魔女「はい。私はかなり危険な存在ですよ!」ニコニコ

エルフ魔女「さすがに、神に仕える身の方達なら、すぐに私の正体がバレてしまったと言う訳ですね?」ニコニコ

女僧侶「ええ、まぁ……」ガクガクッ

377: 2014/10/12(日) 10:16:16 ID:xqKdxSZc
魔女「ど、どうしたのよ? 女僧侶達……」

魔女「急に、そんなガクガクと震えちゃって……」

女僧侶&武闘家妹「……」ガクガクッ

魔女「この人、そんなに凄い人なの?……」

魔女「まさか、教会指定の重要人物だったとか?……」

女僧侶「ええ、まさに違う意味でそれに近いお方よ……」ガクガクッ

378: 2014/10/12(日) 10:16:26 ID:xqKdxSZc
エルフ魔女「それで、どう致しますか?」ニコニコ

エルフ魔女「私の方で、師匠をなんとかして差し上げましょうか?」ニコニコ

女僧侶「はっ、はい。お願い致します……」ガクガクッ

エルフ魔女「じゃあ、私はもうこれで!」ニコニコ

エルフ魔女「私が今日ここにいた事、絶対に誰にも話さないで下さいね!」ニコニコ

女僧侶「はっ、はい!」ガクガクッ

379: 2014/10/12(日) 10:16:47 ID:xqKdxSZc
エルフ魔女「……」スッ

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

380: 2014/10/12(日) 10:17:20 ID:xqKdxSZc
魔女「……」

女僧侶「……」ガクガクッ

武闘家妹「……」ガクガクッ

魔女「ふぅ……」

女僧侶「……」ガクガクッ

武闘家妹「……」ガクガクッ

381: 2014/10/12(日) 10:17:30 ID:xqKdxSZc
魔女(とりあえず、師匠の方は片付いた……)

魔女(これで、私は本当に女にならずに済んだかも……)

魔女(けど、今さっきいた人は何だったんだろうか?……)

魔女(あの二人が本気で怯えている程、凄い人だったんだろうか?……)

女僧侶「……」ガクガクッ

武闘家妹「……」ガクガクッ

382: 2014/10/12(日) 10:18:00 ID:xqKdxSZc
魔女(まぁ、別にそれも良いか……)

魔女(何か良く分からないけど、師匠を倒せるならそれで良いか……)

魔女(後で、女騎士にもちゃんと伝えとかないと……)

魔女(なんか、女騎士は女騎士で何かしちゃってるみたいだし……)

魔女(これで、少しは女騎士の方の重みも取れちゃうかもね……)

魔女「うふふっ……」ニヤリ

386: 2014/10/13(月) 12:59:20 ID:v7yTGh2M
~南大陸・廃墟の町~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者一行「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

387: 2014/10/13(月) 12:59:31 ID:v7yTGh2M
勇者「皆、ちゃんとついて来てるか?……」ザッザッザッ

勇者「ここ、かなり不気味なんだが……」ザッザッザッ

戦士「ああ、そうだな……」ザッザッザッ

魔法使い「勇者。まだ、モンスターの反応はない……」ザッザッザッ

魔法使い「普通なら、アンデットの一匹や二匹がいてもおかしくないんだが……」ザッザッザッ

僧侶「ええ、そうですね……」ザッザッザッ

388: 2014/10/13(月) 12:59:46 ID:v7yTGh2M
商人「勇者。本当に何があったんだ?……」ザッザッザッ

商人「ここ、やけに氏体の数が多いんだが……」ザッザッザッ

商人「そもそも、ここを通る必要なんかねぇだろ……」ザッザッザッ

商人「早く、ここから抜け出そうぜ……」ザッザッザッ

戦士「ああ、そうだな……」ザッザッザッ

勇者「商人。まだ少し我慢しろ……」ザッザッザッ

389: 2014/10/13(月) 12:59:56 ID:v7yTGh2M
賞金稼ぎ「けどよ、ここかなり不気味だぜ……」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「これ、一回誰かが身ぐるみを這い出やがる……」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「特に、俺や盗賊みたいな連中が……」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「これ、もう明らかにヤバそうな雰囲気が漂って来てるんだが……」ザッザッザッ

盗賊「ああ、そうだな……」ザッザッザッ

武闘家「本当に、この道で合ってるのかよ?……」ザッザッザッ

390: 2014/10/13(月) 13:00:07 ID:v7yTGh2M
勇者「とにかく、この町もそんなには大きくはねぇだろ……」ザッザッザッ

勇者「大体、10haぐらいの面積じゃねぇか?……」ザッザッザッ

戦士「ん? そうか?……」ザッザッザッ

勇者「王都でも、100haぐらいだぜ……」ザッザッザッ

勇者「だから、この町もそんなには大きくねぇだろうよ……」ザッザッザッ

戦士「いや、王都と比べるなよ……」ザッザッザッ……

391: 2014/10/13(月) 13:00:22 ID:v7yTGh2M
商人「まぁ、大体はそれぐらいだろうな……」ザッザッザッ

商人「俺の実家のある町も、大体はそれぐらいの大きさだわ……」ザッザッザッ

商人「にしては、本当に勿体ねぇ……」ザッザッザッ

商人「この辺に落ちてる物資、かなり勿体ねぇよ……」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「ああ、そうだな……」ザッザッザッ

盗賊「さすがにそれ奪ったら、俺達が確実に呪われそうだな……」ザッザッザッ

392: 2014/10/13(月) 13:00:52 ID:v7yTGh2M
勇者「はぁ、お前ら欲出てるぞ……」ザッザッザッ

勇者「まぁ、これも一種の職業病かもしれねぇけど……」ザッザッザッ

勇者「けどな、俺はお前らと違ってあんな血生臭いものは欲しくねぇよ……」ザッザッザッ

勇者「たとえ、この辺に伝説の剣が落ちてたとしても、俺は拾いたくねぇな……」ザッザッザッ

戦士「ああ、そうだな……」ザッザッザッ

盗賊「ふん。所詮、俺らはならず者だよ……」ザッザッザッ

393: 2014/10/13(月) 13:01:02 ID:v7yTGh2M
商人「だが、お前にも欲があるだろ?」ザッザッザッ

商人「ほらっ、その辺に落ちてる宝箱とか」ザッザッザッ

商人「あれ、開けてみたらお宝が出てきたりしてな」ザッザッザッ

商人「いや、なんかお前はビビりみたいだから、開けたくもねぇか」ザッザッザッ

勇者「ああ、まあな」ザッザッザッ

勇者「俺も、氏んだ伯父さん達みたいにはなりたくもねぇからな」ザッザッザッ

394: 2014/10/13(月) 13:01:12 ID:v7yTGh2M
魔法使い「おいっ、お前ら静かにしろよ……」ザッザッザッ

魔法使い「お前らが騒ぐと、アンデットが現れるぞ……」ザッザッザッ

僧侶「……」ザッザッザッ

魔法使い「なんか、さっきから僧侶の顔色が優れねぇんだが……」ザッザッザッ

魔法使い「俺の探索魔法にも、何らかの反応が出ちまってんだが……」ザッザッザッ

勇者「何? どこからの反応だ?」ザッザッザッ

395: 2014/10/13(月) 13:01:23 ID:v7yTGh2M
魔法使い「ああ、反応はこの町の外だ……」ザッザッザッ

魔法使い「そこに、かなり大型のモンスターの反応がある……」ザッザッザッ

魔法使い「これ、明らかにヤバそうだぞ……」ザッザッザッ

魔法使い「勇者。ここは、引き返した方が懸命だぜ……」ザッザッザッ

僧侶「ええ、そうですね……」ザッザッザッ

戦士「どうするんだ? 勇者」ザッザッザッ

396: 2014/10/13(月) 13:03:42 ID:v7yTGh2M
勇者「まずは、敵の確認だな」ザッザッザッ

勇者「敵の姿を見てから、どうするか考えよう」ザッザッザッ

勇者「場合によっては、魔王軍が俺達に気づいた」ザッザッザッ

勇者「早速、魔王軍が四天王クラスでも送り込んできたんじゃねぇか?」ザッザッザッ

戦士「ああ、そっか」ザッザッザッ

魔法使い「その可能性もあるな……」ザッザッザッ

397: 2014/10/13(月) 13:03:56 ID:v7yTGh2M
賞金稼ぎ「じゃあ、俺達もそのまま戦闘だな!」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「早速、新調したばかりの装備を試させて貰うか!」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「勇者。先陣は俺に任せろ!」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「敵を確認次第、俺が切り頃してやる!」ザッザッザッ

戦士「じゃあ、俺も行くぞ!」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「おう。援護してくれ!」ザッザッザッ

398: 2014/10/13(月) 13:04:26 ID:v7yTGh2M
勇者「おいっ、お前ら勝手に話を進めるな!」ザッザッザッ

勇者「まずは、敵の姿を確認してからだ!」ザッザッザッ

勇者「特に、戦士も賞金稼ぎもただの革鎧だろ!」ザッザッザッ

勇者「元々、お前らが軽い方が良いってそれにしたんだから、勝手に突っ走るな!」ザッザッザッ

戦士「へいへい」ザッザッザッ

賞金稼ぎ「そりゃあ、悪うございましたね」ザッザッザッ

399: 2014/10/13(月) 13:04:37 ID:v7yTGh2M
商人「けど、それを言ったら俺達はただの布の服だぜ」ザッザッザッ

商人「俺も僧侶も魔法使いも武闘家も、ただの布の服なんだし」ザッザッザッ

商人「まぁ、勇者は無難に鎖帷子にしてるみたいだが」ザッザッザッ

商人「それ、実は衝撃と弓には弱いからな」ザッザッザッ

商人「まぁ、他の防具が良いなら、すぐに取りに行ってやるがよ」ザッザッザッ

勇者「……」ザッザッザッ

400: 2014/10/13(月) 13:04:53 ID:v7yTGh2M
魔法使い「ん? 敵の反応が強くなってきた……」ザッザッザッ

魔法使い「おいおい、こりゃあマジでヤバイレベルのドラゴンだぜ……」ザッザッザッ

勇者「!?」ピタッ

勇者の仲間達「……」ピタッ

魔法使い「勇者。マジで引き返そう……」

魔法使い「これ、下手したら今の俺らじゃ絶対に敵わねぇレベルだぞ……」

401: 2014/10/13(月) 13:05:07 ID:v7yTGh2M
勇者「おいっ、今の本当か?……」クルッ

勇者「一応、敵の顔だけでも見とかねぇか……」

魔法使い「勇者。すぐに引き返そう!」

魔法使い「頼む。一旦、連合軍拠点に戻って皆の防具の変更をさせてくれ!」

勇者「……魔法使い」

魔法使い「勇者!」

402: 2014/10/13(月) 13:05:18 ID:v7yTGh2M
戦士「勇者。どうするんだ?」

戦士「引き返すか? 引き返さねぇのか?」

戦士「魔法使いの顔、だんだん青くなってきてるぞ……」

戦士「これ、実はかなりヤバイんじゃね?……」

魔法使い「……」ガクガクッ

僧侶「……」ガクガクッ

403: 2014/10/13(月) 13:05:32 ID:v7yTGh2M
勇者「おいっ、お前ら大丈夫か?……」

勇者「一応、偵察だけでもしとかねぇか……」

魔法使い「勇者、すまん。今回ばかりは俺無理だわ……」ガクガクッ

魔法使い「明らかに、あれは上限突破してやがる……」ガクガクッ

勇者「!?」ガーーン

戦士「ま、まじかよ!?……」ガーーン

404: 2014/10/13(月) 13:05:42 ID:v7yTGh2M
僧侶「勇者、お願いです。今すぐ引き返して下さい!」ガクガクッ

僧侶「あれは、確実に神からの使いです!」ガクガクッ

僧侶「神の使いは、最大1000までレベルが上がるんです!」ガクガクッ

僧侶「今、我々の近くにいるドラゴンにだけは、決して戦わないで下さい!」ガクガクッ

勇者「……」

戦士「さぁ、どうするんだ? 勇者」

405: 2014/10/13(月) 13:05:52 ID:v7yTGh2M
勇者「でも、一応は確認するしかねぇだろ!」

勇者「俺達は、神に選ばれし勇者一行なんだからな!」

僧侶「ですが!」ガクガクッ

勇者「僧侶、魔法使い。大丈夫だ!」

勇者「相手は、ただの神の使い!」

勇者「勿論、俺達は戦闘すらしない!」

406: 2014/10/13(月) 13:08:26 ID:v7yTGh2M
戦士「じゃあ、勇者の言う通りにしてみるか」

戦士「神の使いなら、俺達の味方かもしれねぇだろ?」

魔法使い「けどな……」ガクガクッ

勇者「はぁ、お前らここに置いてくぞ……」

勇者「それが嫌なら、お前らもついて来い……」

魔法使い「おっ、鬼だ……」ガクガクッ

407: 2014/10/13(月) 13:08:36 ID:v7yTGh2M
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」ガクガクッ

僧侶「……」ガクガクッ

「ほらっ、お前ら置いてくぞ!」

「それが嫌なら、さっさと来い!」

408: 2014/10/13(月) 13:08:51 ID:v7yTGh2M
「僧侶、魔法使い。早く来い!」

「マジで、そこに置いてくぞ!」

魔法使い「……」ガクガクッ

僧侶「……」ガクガクッ

武闘家「さぁ、二人とも早く行くぞ!」

武闘家「早く二人とも歩くんだ!」

409: 2014/10/13(月) 13:09:06 ID:v7yTGh2M
魔法使い「仕方ない。俺達も行くぞ……」ガクガクッ

魔法使い「じゃねぇと、俺らはアンデットの餌になりそうだからな……」ガクガクッ

僧侶「は、はい……」ガクガクッ

魔法使い「ちくしょう。勇者、後でぶん殴ってやる……」ガクガクッ

魔法使い「後で何かあっても、絶対に知らねぇからな……」ガクガクッ

僧侶「ええ、そうですね……」ガクガクッ

410: 2014/10/13(月) 13:09:17 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔法使い「……」ザッザッザッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

僧侶「……」ザッザッザッ

411: 2014/10/13(月) 13:09:31 ID:v7yTGh2M
勇者「おっ、ちゃんと来てるな」

勇者「結局、二人は歩けるんじゃねぇか」

勇者「と言うか、もうすぐ出口が見えてきたから早く来い」

勇者「なんか、出口前に変な女がいる」

勇者「とても、お前らが言う様なドラゴンなんていねぇんだけど」

魔法使い「!?」ピタッ

412: 2014/10/13(月) 13:09:42 ID:v7yTGh2M
勇者「なぁ、魔法使い。お前ちゃんと感知してたのか?」

勇者「一体、どこにドラゴンがいるんだよ?」

魔法使い「……」ガクガクッ

勇者「魔法使い。俺の話を聞いてるか?」

勇者「僧侶も魔法使いも、何また足を止めてやがるんだ?」

僧侶「……」ガクガクッ

413: 2014/10/13(月) 13:09:55 ID:v7yTGh2M
魔法使い「ゆ、勇者。逃げろ……」ガクガクッ

魔法使い「そいつが、俺が感知したドラゴンなんだが……」ガクガクッ

勇者「……は?」クルッ

戦士「冗談だろ?」

盗賊「どこをどう見ても、女僧侶と同じ服装をした女じゃねぇか」

盗賊「一体、あれのどこがドラゴンなんだよ?」

414: 2014/10/13(月) 13:10:09 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「おっ、なんかこっちに来たぞ」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔法使い「き、来た……」ガクガクッ

415: 2014/10/13(月) 13:10:18 ID:v7yTGh2M
赤竜娘「失礼ですが、勇者一行の方達ですね?」ザッザッザッ

赤竜娘「私の名は赤竜娘。神からの命令で、貴殿方を魔王城にまでお連れ致します」ザッザッザッ

勇者一行「!?」

赤竜娘「ですから、どうぞ私の背中にお乗り下さい」ザッザッザッ

赤竜娘「ああ、少し変態をするのに時間が掛かりますが、それでも宜しいでしょうか?」ピタッ

勇者「え? ああ、はい。どうぞ……」

416: 2014/10/13(月) 13:12:23 ID:v7yTGh2M
赤竜娘「では、少し移動致しましょうか?」ニッコリ

赤竜娘「ここでは、少し狭いですので」ニコニコ

勇者「はっ、はい……」ガクガクッ

赤竜娘「皆さん、私についてきて下さい」ニコニコ

赤竜娘「平原に出たら、私の本来の姿をお見せ致しますので」ニコニコ

勇者一行「はっ、はい……」ガクガクッ

417: 2014/10/13(月) 13:12:34 ID:v7yTGh2M
クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「皆、あの人に続け……」ガクガクッ

勇者「今の俺達には、拒否権がないみたいだからな……」ガクガクッ

魔法使い「だから、言ったのに……」ガクガクッ

418: 2014/10/13(月) 13:12:44 ID:v7yTGh2M
~南大陸・廃墟の町の前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

赤竜娘「……」ピタッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者一行「……」ピタッ

419: 2014/10/13(月) 13:12:54 ID:v7yTGh2M
赤竜娘「……」スッ

赤竜娘「……」フワッ

赤竜娘「……」フワワッ

赤竜娘「……」フワワッ

勇者一行「……」ガクガクッ

赤竜娘「……」スッ

420: 2014/10/13(月) 13:13:05 ID:v7yTGh2M
シュン、シューーーーーーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シューーーーーーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シューーーーーーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

赤竜娘(竜)「ふぅ……」バサバサッ

勇者一行「!?」ガクガクッ

421: 2014/10/13(月) 13:13:25 ID:v7yTGh2M
赤竜娘(竜)「……」バサバサッ

赤竜娘(竜)「……」バサバサッ

スッ、ドシーーーーン……

勇者一行「ーーーーっ!?」ビクッ

赤竜娘(竜)「……」

勇者一行「……」ガクガクッ

422: 2014/10/13(月) 13:13:35 ID:v7yTGh2M
赤竜娘(竜)「では、私の背中にお乗り下さい」

赤竜娘(竜)「後、私の背中にお乗りになる際には足元に注意して下さいね」クルッ

勇者一行「……」ガクガクッ

赤竜娘(竜)「勇者XXX。早くお乗り下さい」

赤竜娘(竜)「私は、貴殿方の敵ではないですので」

勇者「あ、ああ……」ガクガクッ

423: 2014/10/13(月) 13:13:46 ID:v7yTGh2M
勇者「全員。あの竜の背中に乗れ……」ガクガクッ

勇者「さぁ、行くぞ……」ガクガクッ

戦士「ま、まじかよ……」ガクガクッ

勇者「皆、早くあの竜の背中に乗るんだ……」ガクガクッ

勇者「じゃねぇと、俺達はあの竜の餌になっちまうぞ……」ガクガクッ

魔法使い「ああ、そうだな……」ガクガクッ

424: 2014/10/13(月) 13:13:56 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

魔法使い「……」ガクガクッ

武闘家「おい。早く行けよ……」ガクガクッ

425: 2014/10/13(月) 13:14:19 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

「魔法使い、僧侶。早く乗れ!」

魔法使い「あ、ああ……」ガクガクッ

426: 2014/10/13(月) 13:15:56 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

魔法使い「ちっ、ちくしょう……」ガクガクッ

僧侶「……」ガクガクッ

427: 2014/10/13(月) 13:16:10 ID:v7yTGh2M
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スッ、ヨジヨジッ……

「よしっ、全員乗ったぞ」

赤竜娘(竜)「ええ、そうみたいですね」

428: 2014/10/13(月) 13:16:21 ID:v7yTGh2M
赤竜娘(竜)「では、これより魔王城に向かいます」

赤竜娘(竜)「なるべく、ゆっくりとした速度で飛びますので、どうかご安心の程を」

勇者「あ、ああ……」ガクガクッ

赤竜娘(竜)「ああ、それと絶対に私の背中から落ちないで下さいね」

赤竜娘(竜)「もし仮に、貴殿方一人でも落ちた場合には、もう二度とお仲間の方達とは会えなくなってしまいますからね」

勇者「りょ、了解した……」ガクガクッ

429: 2014/10/13(月) 13:16:30 ID:v7yTGh2M
スッ、バサバサッ……

バザバサバサッ、バザバサバサッ……

勇者一行「!?」ガクガクッ

バザバサバサッ、バザバサバサッ……

バザバサバサッ、バザバサバサッ……

ビュン、キーーーーーーーーン……

430: 2014/10/13(月) 13:19:04 ID:v7yTGh2M
~南大陸・連合軍拠点上空~

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

勇者一行「ーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

431: 2014/10/13(月) 13:19:25 ID:v7yTGh2M
キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

勇者一行「ーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

赤竜娘(竜)「♪~♪~♪」キーーーーーーーーン

432: 2014/10/13(月) 13:19:39 ID:v7yTGh2M
~連合軍拠点・司令部~

伝令兵「報告。勇者一行が魔王城に向かいました!」

伝令兵「今現在、勇者一行は神の使いであるレッド・ドラゴンに乗り、我が軍の拠点上空を通過!」

伝令兵「その様子を、大勢の兵達が目撃をしております!」

伝令兵「如何致しますか?」

大賢者「う~~む」

433: 2014/10/13(月) 13:19:49 ID:v7yTGh2M
賢者「大賢者様。もう宜しいのでは?」

賢者「勇者一行が、神の使いであるレッド・ドラゴンに乗り、魔王城に向かったと公表すべきではないでしょうか?」

大賢者「そうだな。他の諸侯や騎士達にも、そう伝えておけ」

大賢者「もう既に、あの娘の事に関しては手を打った!」

大賢者「伝令兵。全軍に対し、勇者がたった今魔王城に乗り込んだとそう伝えてくれ!」

伝令兵「はっ!」

435: 2014/10/14(火) 08:32:50 ID:bDqQby72
~魔王城・中庭~

その日の夕方ーー

魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

436: 2014/10/14(火) 08:33:02 ID:bDqQby72
魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

魔王「……」テキパキ

魔王「ふぅ、終わった……」スッ

側近「おや、早かったですね……」

437: 2014/10/14(火) 08:33:12 ID:bDqQby72
魔王「側近。これで良いか?」

魔王「何も、わざわざこんな仕掛けを発動させる必要すらないのだが」

魔王「これでは、魔王城の位置が完全にバレるぞ」

魔王「貴様は、この城を敵の目に晒したいのか?」

側近「ええ、そうでございます」

側近「そうでなければ、わざわざ魔王様にその仕掛けを発動させて頂くまでもありませんよ」

438: 2014/10/14(火) 08:33:45 ID:bDqQby72
魔王「だが、今のこの城の守りは僅か100名だけだぞ?」

魔王「本当に、100名だけでこの城を守りきる事が出来るのか?」

側近「はい。出来ます!」ニッコリ

魔王「貴様。一体、何を考えておる?」

魔王「どうせまた、あ奴からの入れ知恵だろうがな」

側近「……」ニコニコ

439: 2014/10/14(火) 08:34:16 ID:bDqQby72
側近「陛下。この城の守りにつきましては、どうかこの私めにお任せ下さい!」ニコニコ

側近「私が責任をもって、この城を守り抜いてみせまする!」ニコニコ

側近「何故なら、今の私めには秘策がございます!」ニコニコ

側近「その秘策さえ用いれば、逆に勇者一行ですら返り討ちにしてくれましょう!」ニコニコ

魔王「ほう」

魔王(こいつ、それだけの自信があると言う訳か……)

440: 2014/10/14(火) 08:34:30 ID:bDqQby72
魔王「では、私は何をすれば良い?」

魔王「こうやって、この城を敵の目に晒す以外に何をすれば良いのだ?」

側近「陛下は私めが万が一しくじった時の為に、魔王の間で待機していて下さい!」ニコニコ

側近「必ずや、私達だけで勇者一行を返り討ちにしてみせまする!」ニコニコ

側近「陛下。陛下は、何もご心配には及びませんよ!」ニコニコ

側近「全て、私めに任せておけば良いのですから!」ニコニコ

441: 2014/10/14(火) 08:34:41 ID:bDqQby72
魔王「なんか、貴様気持ち悪いぞ……」

魔王「普段の血も涙もないクソジジィっぶりは、一体どこに行ったのやら……」

魔王「まぁ、そろそろ城が敵の目の前に晒される」

魔王「それと、お付きの者達は皆避難させてあるか?」

魔王「ここには、戦える者以外は必要ないからな」

側近「はい。もう既に、戦えない者達は避難済みにございます」ニコニコ

442: 2014/10/14(火) 08:35:00 ID:bDqQby72
スッ、グラッ……

グラグラグラッ、グラグラグラッ……

魔王「おっ……」

側近「どうやら、仕掛けが発動した様ですな」

側近「これで、この城は敵の目の前に現れる事でしょう」

魔王「ふむ。そうか」

443: 2014/10/14(火) 08:35:12 ID:bDqQby72
~南大陸・巨大湖(水上)~

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……

シュン、ザバアアアアアアアア--------ッ……

ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアアッ……

ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアア……

444: 2014/10/14(火) 08:35:43 ID:bDqQby72
ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアアッ……

ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアア……

ジャバジャバジャバジャバッ……

ジャバジャバジャバジャバッ……

ジャバジャバジャバジャバッ……

ジャバジャバジャバジャバッ……

445: 2014/10/14(火) 08:38:09 ID:bDqQby72
~魔王城・中庭~

側近「陛下。人間界に移動致しました」

側近「後は、勇者一行を待つだけです」

魔王「うむ。そうか」

側近「あの方からの知らせによりますと、赤竜娘が勇者一行をここにまで誘導するとか」

側近「大体、早くても本日の夕方ぐらいにはここに到着致します」

446: 2014/10/14(火) 08:38:23 ID:bDqQby72
魔王「そうか。もうすぐだな」

魔王「私は、人間界に来るのはこれで三度目だが、この大陸の自然は美しい」

側近「……」

魔王「本当に、人間達はエゴな生き物よのぅ」

魔王「こんなにも美しい自然を、自らの手で破壊しているのだからな!」

側近「ええ、そうですね」

447: 2014/10/14(火) 08:38:33 ID:bDqQby72
魔王「側近。後の事はそなたに任す!」

魔王「そなたも、悔いの様に戦え!」

側近「はっ!」

魔王「後、四天王達はどうしたのだ?」

魔王「ここ最近、あ奴等の顔すら見てはいないが」

側近「いえ、私は何も知りませぬが」

448: 2014/10/14(火) 08:38:44 ID:bDqQby72
魔王「なら、あ奴等はこの大事な時に何をしているのだ?」

魔王「もしや、魔界の方の警備だろうか?」

魔王「元々、四天王と言っても実態は私の支配下にない領主達だ」

魔王「あ奴等は、いつも勝手に個々に動きよる」

魔王「いずれは、私の指揮命令系統に入る四天王がほしいくらいだ」

魔王「そうすれば、この南大陸ぐらい楽にすぐ手に入れれる」

449: 2014/10/14(火) 08:38:54 ID:bDqQby72
側近「陛下。今は、まだ耐える時期ですぞ!」

側近「いくら陛下が何人もの勇者を倒したとしても、魔界の民達はすぐには陛下の事をお認めにはなりません!」

側近「魔界の民達は、陛下がお若い限りは魔界全体にも及ぶ絶対的な権力を握る事は反対なのです!」

側近「過去に魔界では、経験が浅い者が王となった為に、数多くの氏傷者を出してしまいました!」

側近「その教訓から、魔界の王に就任した者には、すぐにも絶対的な権力を与えられないのです!」

魔王「……」

450: 2014/10/14(火) 08:39:25 ID:bDqQby72
側近「陛下。ここは、まだ堪え忍んで頂きたい!」

側近「あの方ですら、劣悪な環境下に置かれながらも、必氏で耐え抜いたのです!」

側近「私は、御先代様よりよく申し付けられておりました!」

側近「“いずれ、魔王に選出される我が娘の事を頼む!”」

側近「“あの馬鹿娘には色々と手を焼かされる事になると思うが、容赦なくそなたに扱いて貰いたい!”と、そう私は御先代様より申し付けられておりました!」

魔王「おいっ!?」クルッ

451: 2014/10/14(火) 08:39:38 ID:bDqQby72
側近「陛下。それでは、次の執務に入りましょう」

側近「まだ、私が思ってたよりも長くお時間の空きがございます」

側近「ささっ、執務室にまでお向かい下さい」

側近「勇者一行がここに到着致しますのは、本日の夕方になりますので」ニッコリ

魔王「絶対に嫌だ!」

側近「さっさと執務室に行かんか! この小娘が!」ギロッ

452: 2014/10/14(火) 08:39:48 ID:bDqQby72
魔王「貴様。少しくらい、私に休ませろ!」

魔王「ここの使用人達ですら一度も経験した事のない、超過密スケジュールだぞ!」

魔王「私、まだまだ若いもん!」

魔王「まだまだ色んな所に行って、子供みたいに皆で遊びたいもん!」ギロッ

側近「陛下ーーーーーーーーっ!」ギリッ

魔王「うるさーーーーーーーーい!」ギリッ

453: 2014/10/14(火) 08:40:21 ID:bDqQby72
側近「陛下。早急に、執務室にて次の執務におとり掛かり下さい!」

側近「せっかく、私が良いお話をして締めたのです!」

側近「ですから、早急に溜まりに溜まった書類に目を通して下さい!」

魔王「ふざけるなーーーーーーーーっ!!」ダッ

側近「だから、御先代はこの私に陛下の事を扱いてくれてと頼んだんだろうがーーーーーーーーっ!!」ダッ

魔王「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

454: 2014/10/14(火) 08:40:30 ID:bDqQby72
スッ、ガシッ……

ジタバタッ、ジタバタッ……

魔王「離せ、離せ!」ジタバタッ

側近「陛下。いくら逃げても、私は追いかけまするぞ!」ギューーッ

側近「さぁ、早く溜まりに溜まった書類に目を通して下さい!」ギューーッ

魔王「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ジタバタッ

455: 2014/10/14(火) 08:43:23 ID:bDqQby72
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

守備隊長「ああ……」

魔王「側近。早く離せ!」ジタバタッ

魔王「私は、まだ遊びたい盛りなんだーーーーーーーーっ!!」ジタバタッ

守備隊長「……陛下」

456: 2014/10/14(火) 08:44:01 ID:bDqQby72
守備隊長「報告。魔王城の移転完了!」

守備隊長「全ての設備、資材、人員等にも以上はありません!」

側近「うむ。そうか……」ギューーッ

守備隊長「ちなみに、貴殿は何をされておるのです?……」

守備隊長「やけに、陛下が貴殿の腕の中でもがかれておるが……」

魔王「離せーーーーーーーーっ!!」ジタバタッ

457: 2014/10/14(火) 08:44:14 ID:bDqQby72
側近「ああん!? 陛下がまた駄々を捏ねてるから対処してるだけだ!」ギューーッ

側近「それ以外に、一体何がある!?」ギューーッ

魔王「ヘルプ・ミーーーーーーーーッ!!」ジタバタッ

側近「陛下。そんなんだから、民達がついてこないのです!」ギューーッ

側近「魔界の王権を再び強化したいのなら、陛下が民達に認められる様にならなければならないのですよ!」ギューーッ

魔王「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

458: 2014/10/14(火) 08:44:24 ID:bDqQby72
側近「陛下。何度も私は申し上げますが、ここはまだ耐え忍んで頂きたい!」ギューーッ

側近「ここで、陛下がお逃げになる様では絶対的な権力を握る事等、夢のまた夢です!」ギューーッ

側近「ですから、まだ時間の方がございますから、そのまま執務室へ!」ギューーッ

側近「溜まりに溜まった書類が、陛下の事を心待にしております!」ギューーッ

側近「全ては、陛下のその怠慢癖が招いた結果なのですよ!」ギューーッ

魔王「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ジタバタッ

459: 2014/10/14(火) 08:44:36 ID:bDqQby72
守備隊長(はぁ、陛下にも困ったものだ……)

守備隊長(確かに側近殿の言う通り、陛下のあの怠け癖にも問題がある……)

守備隊長(だが、側近殿も側近殿で容赦しないからな……)

守備隊長(御先代様も、陛下には大層手を焼かされていただろう……)

側近「……」ギューーッ

魔王「このっ、このっ……」ジタバタッ

460: 2014/10/14(火) 08:44:46 ID:bDqQby72
守備隊長「では、私はこれで」

守備隊長「何かありましたら、すぐにご報告致します」

側近「うむ。了解した」ギューーッ

守備隊長「陛下。私はこれにて失礼致します」

守備隊長「お戯れもの程も、程ほどにお願い致します」ペコッ

魔王「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

461: 2014/10/14(火) 08:44:57 ID:bDqQby72
魔王「ちょっと、あんた私を助けてよ!」

魔王「守備隊長。あんた、どこ行くの?」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王「守備隊長。お願い、待って!」

魔王「そんな味のある背中をしながら、私の前から消えないで!」ウルッ

462: 2014/10/14(火) 08:45:07 ID:bDqQby72
側近「陛下。もう諦めて下さい!」ギューーッ

側近「もう時期、勇者一行がここに到着を致します!」ギューーッ

側近「ですから、陛下も早急に執務室へとお向かい下さい!」ギューーッ

側近「一体、陛下はいつまでそうやって駄々を捏ねられておられるのですか!?」ギューーッ

魔王「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ジタバタッ

キラーーン……

463: 2014/10/14(火) 08:45:17 ID:bDqQby72
キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

ドピューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

ドピューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

魔王「!?」ピタッ

側近(くっ、もう来たか!?……)ハッ

464: 2014/10/14(火) 08:45:27 ID:bDqQby72
キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

ドピューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

ドピューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

魔王「なっ、何あれ?……」

魔王「側近、今なんかここを物凄い勢いで通り過ぎて行ったけど……」クルッ

465: 2014/10/14(火) 08:47:25 ID:bDqQby72
側近「多分、今のが勇者一行でしょうな……」

側近「相変わらず、陛下は悪運だけはお強いですな……」

魔王「!?」ピカァ

側近「陛下。何もそんな嬉しそうな顔をなされても無駄ですぞ!」

側近「たとえ、勇者一行を陛下が返り討ちにしたとしても、溜まりに溜まった書類の山の決済は全て陛下がなさらなければなりませんからな!」ニッコリ

魔王「鬼ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

466: 2014/10/14(火) 08:47:35 ID:bDqQby72
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

守備副長「報告。勇者一行と思しき飛行物体が、当城の上空を通過致しました!」

守備副長「今現在、その飛行物体は当城の上空を何度も旋回!」

守備副長「いずれ、付近の陸地に着陸する模様!」

守備副長「守備隊長より、全隊に警戒態勢が発令されました!」

467: 2014/10/14(火) 08:47:45 ID:bDqQby72
守備副長「側近殿、如何致しますか?」

守備副長「至急、兵を派遣して偵察を致しましょうか?」

側近「いや、まだ兵を勇者一行には近づけるな!」ギューーッ

側近「陛下はまだ、溜まりに溜まった書類の決済が終えられていない!」ギューーッ

側近「それと、守備隊長には“合図があるまで攻撃を控えよ!”」ギューーッ

側近「そう、しかと守備隊長に申しておけ!」ギューーッ

468: 2014/10/14(火) 08:47:56 ID:bDqQby72
守備副長「はっ、しかと承りました!」

守備副長「それでは、私は失礼致します!」

守備副長「陛下。どうか、お戯れも程ほどに!」

守備副長「あまり、側近殿のお手を煩わせてはなりませぬぞ!」

側近「ああ、了解した」ギューーッ

魔王「以後、気を付けさせて貰う(棒)」

469: 2014/10/14(火) 08:48:16 ID:bDqQby72
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王「……」

側近「……」ギューーッ

魔王「……」ウルッ

側近「……?」ギューーッ

470: 2014/10/14(火) 08:48:27 ID:bDqQby72
魔王「……側近。戯れも終わりだ」ウルウルッ

魔王「そろそろ、勇者がここに来る」ウルウルッ

魔王「私は、まだそなたの言う通り民達に認められてはいない様だな……」ウルウルッ

魔王「さぁ、行くぞ……」ウルウルッ

側近「……はっ!」バッ

魔王「……」スッ、フキフキ

471: 2014/10/14(火) 08:48:37 ID:bDqQby72
側近(ようやく、陛下も分かって頂けたか……)

側近(自身ではなく、この私に指示を仰がれたら致し方ないか……)

側近(陛下。まだまだ道は遠いですぞ……)

側近(あの方ですら、自身を認めて貰うまでに100年を要したのですから……)チラッ

魔王「……」ウルウルッ

側近「……」

472: 2014/10/14(火) 08:49:07 ID:bDqQby72
魔王「側近、もう行くぞ……」ウルウルッ

魔王「ここにいても、何も変わらぬ……」ウルウルッ

魔王「父上、どうか再び私の事をお守り下さい……」ウルウルッ

魔王「私はまだ、氏にたくはないですから……」ウルウルッ

側近「……陛下」

魔王「……」ウルウルッ

473: 2014/10/14(火) 08:49:18 ID:bDqQby72
~南大陸・巨大湖(陸地)~

その頃ーー

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

474: 2014/10/14(火) 08:49:28 ID:bDqQby72
キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

キーーーーーーーーン、キーーーーーーーーン……

ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

ジャバババババババッ、ジャバババババババッ……

ジャバババババババッ、ジャバババババババッ……

475: 2014/10/14(火) 08:51:17 ID:bDqQby72
ジャバババババババッ、ジャバババババババッ……

ジャバババババババッ、ジャバババババババッ……

スッ、ズドーーーーーーーーン……

ズザザザザザザザッ、ズザザザザザザザッ……

ズザザザザザザザッ、ズザザザザザザザッ……

476: 2014/10/14(火) 08:51:31 ID:bDqQby72
キキィーーーーーーーーッ、キキィーーーーーーーーッ……

キキィーーーーーーーーッ、キキィーーーーーーーーッ……

スッ、スタッ……

赤竜娘(竜)「ふぅ……」

勇者一行「……」グラッ

ドサドサドサドサッ、ドサドサドサドサッ……

477: 2014/10/14(火) 08:52:02 ID:bDqQby72
赤竜娘(竜)「皆さん。着きましたよ」

赤竜娘(竜)「ちゃんと、生きてますか?」クルッ

勇者一行「……」

赤竜娘(竜)「ああ、完全に意識すら飛んでますね……」

赤竜娘(竜)「まぁ、多分大丈夫でしょうけど……」

勇者一行「……」

478: 2014/10/14(火) 08:52:32 ID:bDqQby72
赤竜娘(竜)「では、私はもう帰らせて頂きますね」

赤竜娘(竜)「私の役目は、もうここまでですので」

勇者一行「……」

赤竜娘(竜)「勇者XXX。どうかお気をつけて!」

赤竜娘(竜)「貴方が氏んだら、この世界の人間達が確実に不幸になるのですからね!」

赤竜娘(竜)「それでは!」

479: 2014/10/14(火) 08:52:43 ID:bDqQby72
数時間後ーー

勇者「……」

戦士「……」

魔法使い「……」

僧侶の氏体「……」

武闘家「……」

480: 2014/10/14(火) 08:52:54 ID:bDqQby72
盗賊「……」

賞金稼ぎ「……」

商人の氏体「……」

勇者「……」パチッ

スッ、ムクッ……

キョロキョロ、キョロキョロ……

481: 2014/10/14(火) 08:53:04 ID:bDqQby72
勇者「皆、無事か?……」

勇者「皆、勝手に氏んだりはしてねぇよな?……」

僧侶の氏体「……」

勇者「おいおいっ、マジかよ……」

勇者「俺、蘇生魔法は使えねぇのに……」

魔法使い「……」パチッ

482: 2014/10/14(火) 08:53:14 ID:bDqQby72
スッ、ムクッ……

魔法使い「こ、ここは?……」

勇者「おおっ、魔法使い無事だったか?……」

勇者「良かった。生きてるのが俺だけじゃなくて……」ウルッ

魔法使い「ああ、そうか……」クルッ

魔法使い「……」キョロキョロ

483: 2014/10/14(火) 08:53:24 ID:bDqQby72
魔法使い「とりあえず、氏んだ奴等は俺が蘇生魔法掛けるわ……」

魔法使い「僧侶の奴、完全にショック氏してやがる……」

勇者「ああ、そうか……」

魔法使い「本当に、お前は困ったリーダーだぜ……」

魔法使い「今回ばかりは、さすがに付いていけねぇと思ったぞ……」

勇者「ああ、すまんかった……」

484: 2014/10/14(火) 08:53:34 ID:bDqQby72
魔法使い「だから、勇者はその辺で休んどけ……」

魔法使い「俺は、適当に他の奴等に蘇生魔法を掛けといてやる……」

魔法使い「本当に、次からは気を付けてくれよ……」

魔法使い「じゃねぇと、あいつみたいにお前の悪評とかばら撒くからな……」

勇者「ああ、すまんかった……」

魔法使い「はぁ……」ポリポリ

485: 2014/10/14(火) 08:55:30 ID:bDqQby72
勇者達は、魔王城に辿り着いた。

多少のしこりが残りながらも、大事を取って翌朝に攻め込む事にした勇者達。

その一方で、魔王城では今日もまた年若い魔王の泣き叫ぶ声と、年老いた側近の怒声が響き渡っていく。

勇者達はそんな事を知る由もなく、明日への戦いに向けて万全な準備を整えていった。

私は、勇者達が羨ましかった。

私もまた、あのキモメンさえいなかったら、勇者と共に魔王討伐に向かいたかった。

けれど、今の私の体は完全に師匠によって汚されてしまった後。

師匠のあまりにも身勝手な欲望により、私の運命は大きく狂わされてしまう。

486: 2014/10/14(火) 08:55:40 ID:bDqQby72
翌朝、私はとあるビラを拾ってしまった。

そのビラを拾った瞬間、思わず我が目を疑ってしまっていた。

偶々、昨夜は私同様に被害に遭っていた先輩達と飲んでいた帰り。

まるで、そのビラが雨の様に多数町中に降り注いでいく。

その後、勇者の評判が一気に下がった。

勇者は、私を汚した加害者に仕立てあげられていた。

後に、このビラと全く同じ物が世界中の村や町等にすぐさま拡散されてしまい……

勇者はそんな事さえ知らず、仲間達と共に魔王城へと突入をしていったのだった。

490: 2014/10/15(水) 10:58:30 ID:MUebl4Vk
~南大陸・巨大湖(陸地)~

翌朝ーー

勇者「あれが、魔王城か……」

勇者「本当に、湖に浮かんでやがる……」

戦士「これ、絶対船が必要になるぞ……」

戦士「と言うか、その辺に船とか残ってねぇのかな?」

491: 2014/10/15(水) 10:58:41 ID:MUebl4Vk
勇者「いや、それ無理だろ……」

勇者「このまま、泳いで行くしかないな……」

戦士「!?」ガーーン

盗賊「第一、船なんかどこにもねぇだろ……」

盗賊「これ、マジで泳がなきゃいけなくなるんじゃねぇか?……」

戦士「うわっ、それ最悪だわ……」

492: 2014/10/15(水) 10:58:51 ID:MUebl4Vk
盗賊「けど、この中に泳げる奴はいるのか?」

盗賊「俺、一度も泳いだ事ねぇんだけど」

戦士「ああ、俺も」

賞金稼ぎ「俺も、泳ぎは苦手なんだ」

賞金稼ぎ「まさかとは思うが、全員泳げねぇとか?」

勇者一行「……」コクン

493: 2014/10/15(水) 10:59:06 ID:MUebl4Vk
賞金稼ぎ「は? そりゃあねぇだろ?」

賞金稼ぎ「じゃあ、どうやって魔王城にまで突入するんだよ?」

商人「勇者。俺、今から船買ってくるわ!」

商人「誰か、俺と一緒についてきてくれ!」

武闘家「じゃあ、俺も行こう!」

勇者「ああ、頼む!」

494: 2014/10/15(水) 10:59:17 ID:MUebl4Vk
魔法使い「ああ、ちょっと待ってくれ!」

魔法使い「一回、俺に魔法を試させてくれないか?」

勇者「ん?」クルッ

魔法使い「実は、大賢者様からもしもの時に使えと渡されてた奴があるんだ!」

魔法使い「それを、今から使わさせて貰いたい!」

勇者「ああ、良いぞ!」

495: 2014/10/15(水) 10:59:28 ID:MUebl4Vk
魔法使い「……」スッ

ガサガサガサッ、ガサガサガサッ……

魔法使い「おっ、合った合った!」

スッ、ヌポッ……

魔法使い「ほれ!」ポイッ

スッ、チャポン……

496: 2014/10/15(水) 10:59:39 ID:MUebl4Vk
プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

勇者「おいっ、何か出て来たけど……」

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

勇者「おいっ、本当に大丈夫なのか?……」

497: 2014/10/15(水) 10:59:48 ID:MUebl4Vk
プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

プシューーーーーーーーッ、プシューーーーーーーーッ……

シュン、ザバアアアアアアアアッ……

ハンザコグ船「……」

498: 2014/10/15(水) 10:59:58 ID:MUebl4Vk
勇者「おおっ、船が出てきた!?」

勇者「と言うか、どうやったんだよ!?」クルッ

魔法使い「これは、単なる召喚術の一種さ」

魔法使い「大賢者様曰く、持ち運びに不便な船に特殊な術式を掛けといた」

魔法使い「後は、実際に必要な時だけに俺が渡されていた同じく特殊な術式が掛かったこの瓶のコルクを抜くだけ」

魔法使い「それを水の中に投げれば、こうやって船が別の場所から転送されてくる訳だ」

499: 2014/10/15(水) 11:00:07 ID:MUebl4Vk
武闘家「けど、これはこれでデカ過ぎるだろ」

武闘家「俺達だけで、本当にこれ使えるのか?」

勇者「ああ、そう言えば……」

魔法使い「まぁ、それについても大丈夫だ」

魔法使い「後は、俺が船員を出せば良いんだからな」

勇者「へぇ……」

500: 2014/10/15(水) 11:02:37 ID:MUebl4Vk
盗賊「とりあえず、船は確保出来た」

盗賊「試しに、この船に乗ってみようぜ」

勇者「おおっ、良いな。それ」

魔法使い「じゃあ、先に勇者達は乗っといてくれ」

魔法使い「俺は、早速船員を出しておくから」

勇者「ああ、了解した」

501: 2014/10/15(水) 11:02:51 ID:MUebl4Vk
ヒュン、ブラブラブラッ……

勇者「ん? ロープ」

魔法使い「皆、それを使って登っといてくれ」

魔法使い「まだ、少し時間が掛かるからな」

勇者「ああ、了解した」

スッ、ヨジヨジヨジッ……

スッ、ヨジヨジヨジッ……

502: 2014/10/15(水) 11:03:02 ID:MUebl4Vk
シュピン……

魔法使い(ん? どこからかの通信……)

魔法使い(その船は、魔王城に直通だ……)

魔法使い(わざわざ、そこで船員を出す必要はない……)

魔法使い(早く乗れ、だと?……)

魔法使い「……」キョロキョロ

503: 2014/10/15(水) 11:03:16 ID:MUebl4Vk
魔法使い(とりあえず、俺も船に乗るとするか……)

魔法使い(どうやら、大賢者様がその辺についても考慮されていたみたいだし……)

魔法使い(まぁ、元々は数十名程度で乗れる船だからな……)

魔法使い(すぐそこの魔王城に行くだけなら、俺達だけでも十分か……)

スッ、ヨジヨジヨジッ……

スッ、ヨジヨジヨジッ……

504: 2014/10/15(水) 11:03:33 ID:MUebl4Vk
~巨大湖(水上)・ハンザコグ船内~

十数分後ーー

勇者「おおっ、これが船内か!」

勇者「これ、かなり良いな!」

魔法使い「そりゃあ、大賢者様が用意された船だぞ」

魔法使い「だから、何も問題はねぇよ」

505: 2014/10/15(水) 11:03:44 ID:MUebl4Vk
勇者「それで、いつ出発するんだ?」

勇者「出来れば、今すぐ出発してほしいんだが」

魔法使い「ああ、ちょっと待ってな」

「勇者殿、ご心配なく!」

「これより、出航致しますので!」

勇者「おおっ、そうなのか!」

506: 2014/10/15(水) 11:03:54 ID:MUebl4Vk
魔法使い(ん? 今どこからか声が……)クルッ

魔法使い(ついさっきの魔法通信の奴か……)

魔法使い(一体、どこに隠れてやがる?……)

魔法使い(何故、俺達の前に姿を見せない……)

魔法使い「……」キョロキョロ

魔法使い「……」キョロキョロ

507: 2014/10/15(水) 11:04:08 ID:MUebl4Vk
「魔法使い殿、何をしているのです」

「まだ、あれを出してはおりませぬぞ」

魔法使い「まっ、まさか!?」

勇者「ん?」クルッ

魔法使い「……」スッ

ガサガサガサッ、ガサガサガサッ……

508: 2014/10/15(水) 11:04:24 ID:MUebl4Vk
スッ、ヌポッ……

スッ、コロンコロン……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シュン、シュタタタタタッ……

509: 2014/10/15(水) 11:04:55 ID:MUebl4Vk
召喚船長「ふぅ、やっと出れた……」

召喚船長「魔法使い殿、出来れば早く実体化してほしかったですな」

魔法使い「ああ、すまなかった……」

召喚船長「では、早速船を出しましょう!」

召喚船長「総員、持ち場につけ!」

召喚船員達「はっ!」

510: 2014/10/15(水) 11:07:05 ID:MUebl4Vk
ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

勇者「……」

魔法使い「……」

「なっ、何だ!?」

「うわっ、何か沢山来た!?」

511: 2014/10/15(水) 11:07:15 ID:MUebl4Vk
「ちょっと、あんたらそこ邪魔だ!」

「帆、揚げられねぇだろうが!」

「す、すいません!」

「おいっ、そこの舵に手を触れるな!」

「それ折れたら、旋回出来ねぇぞ!」

「はいーーーーっ!」

512: 2014/10/15(水) 11:07:26 ID:MUebl4Vk
勇者「なんか、勝手に出てきたな……」

勇者「あれも、大賢者様から渡されてたのか?……」

魔法使い「ああ、まあな……」

勇者「ちなみに、お前は出来ねぇのか?」

勇者「もし出来るのなら、今後それを使ってほしいんだが」チラッ

魔法使い「すまん。まだ、それについては教わっていないんだ」

513: 2014/10/15(水) 11:07:37 ID:MUebl4Vk
ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

「おいっ、てめぇら邪魔だ!」

「そこ退きやがれ!」

「船長。後もう少しです!」

「目的地は、どこになるのですか?」

514: 2014/10/15(水) 11:07:57 ID:MUebl4Vk
召喚船長「諸君。我々の目的地は、すぐそこの魔王城だ!」

召喚船長「これより、我らは魔王城に向かう!」

召喚船長「皆、勇者様のお役に立てる事を光栄に思え!」

召喚船長「我らは今、いずれ語り継がれていく勇者様の伝承の一部となったのだからな!」

「おーーーーーーーーっ!」

勇者「……//」カアアァ

515: 2014/10/15(水) 11:08:28 ID:MUebl4Vk
召喚船長「勇者殿。ささっ、船員達に対して何か一言を!」

召喚船長「勇者殿からのお言葉を頂ければ、ますます船員達の士気も上がる事でしょう!」

勇者「え?//」カアアァ

魔法使い「ほらっ、何か言ってやれ!」クイクイッ

勇者「今日で、魔王も終わりだ!//」カアアァ

勇者「勝利は、我らの手の中にある!//」カアアァ

516: 2014/10/15(水) 11:08:39 ID:MUebl4Vk
召喚船長「皆、聞いたな?」

召喚船長「勝利は、もう既に我らの手の中にある!」

召喚船長「進め。XXXX号よ!」

召喚船長「さぁ、早く出航をするのだ!」

召喚船長「全ての人間達の平和の為に!」

「おーーーーーーーーっ!」

517: 2014/10/15(水) 11:08:49 ID:MUebl4Vk
ゾロゾロゾロッ、ゾロゾロゾロッ……

ゾロゾロゾロッ、ピタッ……

戦士「なんか、急に賑やかになったな……」

戦士「お前、いつ船員を出したんだよ……」

魔法使い「ああ、ついさっきだ」

戦士「そうか……」

518: 2014/10/15(水) 11:08:58 ID:MUebl4Vk
魔法使い「とりあえず、まだ出航まで時間がある」

魔法使い「だから、お前らは邪魔にならない様にそこで待機しておけ」

戦士「ああ、了解した……」

賞金稼ぎ「お前、あいつら出すなら先に言えよ……」

賞金稼ぎ「おかげで、こっちが怒鳴られたんだからな……」

魔法使い「ああ、すまんかった……」

519: 2014/10/15(水) 11:09:08 ID:MUebl4Vk
勇者(まぁ、色々とあったが船は手に入れた……)

勇者(後は、出航をするだけか……)クルッ

勇者(待ってろ。魔王XXXX……)

勇者(今日で、お前も終わりだ……)

勇者(お前を倒せば、全世界の民達が全て平和に暮らせるのだからな!)ギロッ

魔王城「……」

520: 2014/10/15(水) 11:10:14 ID:MUebl4Vk
魔法使い(あいつ、本当に大丈夫か?……)

魔法使い(ついさっきから、魔王城を睨み付けているが……)

魔法使い(まぁ、後もう少しで出航だ……)

魔法使い(結局、勇者に関する悪評はなかなか消えない……)

魔法使い(それを考えたら、ああなるのも無理はないわな……)

勇者「……」ジーーッ

521: 2014/10/15(水) 11:10:25 ID:MUebl4Vk
魔法使い(とにかく、大賢者様には連絡をしとこう)

魔法使い(師匠と違って、本当に大賢者様は役に立つ)

魔法使い(俺も、魔女の様に弟子入りする人を間違えたな)

魔法使い(出来る事なら、時間だけでも戻してぇよ……)

魔法使い「……」スッ

魔法使い「……」ブツブツ

523: 2014/10/16(木) 10:16:27 ID:GL8QENHc
~魔王城・魔王の間~

魔王「……」

魔王「……」

魔王「……」

魔王「……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

524: 2014/10/16(木) 10:16:40 ID:GL8QENHc
魔王「……」

魔王「……」

魔王「……」

魔王「……」

トントン、トントン……

魔王「誰だ?」ムクッ

525: 2014/10/16(木) 10:17:11 ID:GL8QENHc
スッ、ガチャ……

側近「陛下。ご報告致します!」

側近「勇者一行が現れました!」

側近「今現在、勇者一行はハンザコグ船らしき物を一隻用意!」

側近「推定兵力は、およそ数十名と思われます!」

魔王「!?」

526: 2014/10/16(木) 10:17:23 ID:GL8QENHc
側近「陛下。いよいよ、勇者との戦いが始まりますな!」

側近「陛下は、そのままの装いで宜しいのですかな?」

魔王「ああ、大丈夫だ」

魔王「もう既に、装いも替えといた」

魔王「しかし、鎖帷子とは便利な物だな」

魔王「少し肩に来るが、女の私でも着用出来るからな」

527: 2014/10/16(木) 10:17:34 ID:GL8QENHc
側近「陛下。本当に、鎖帷子で宜しかったのですか?」

側近「今は、鎖帷子以外にも板金鎧もございますが」

魔王「別に、私はあんな物を着る必要はない!」

魔王「それは、男が鎖帷子の上に着込むものだろ?」

魔王「私は、ただの年若い女だ!」

魔王「そんな物着込んだら、私の肩が潰れるだろうが!」

528: 2014/10/16(木) 10:17:45 ID:GL8QENHc
側近「陛下。それだけでは、少し防御が薄いかと!」

側近「やはり、板金鎧もその上に着用して頂きたい!」

魔王「貴様、板金鎧の重量分かってんのか?」

魔王「板金鎧の重量は、30Kgもあるのだぞ!」

魔王「そんなの着てたら、重すぎて戦えんわ!」

魔王「貴様、それ分かって言ってるのか?」ギロッ

529: 2014/10/16(木) 10:17:56 ID:GL8QENHc
側近「はい。ですから、私は陛下にも着用をして頂きたい!」

側近「私は、今は亡き御先代様より陛下の事を託されております!」

側近「陛下。今のままでは示しが付きませぬぞ!」

側近「陛下は、魔界を代表する王なのですから!」

魔王「くどい!」イラッ

側近「……」

530: 2014/10/16(木) 10:18:27 ID:GL8QENHc
魔王「側近。他に言いたい事はあるか?」

魔王「勇者は、後どれぐらいでここに着くのだ?」

側近「大体、早くても数十分から数時間かと」

側近「まだ、我々は正確な情報を得てはおりません」

側近「それに、連合軍の動きも気になります!」

魔王「あっ、そう言えば……」

531: 2014/10/16(木) 10:18:38 ID:GL8QENHc
側近「陛下。もう一つ、ご報告致します!」

側近「連合軍は、未だに拠点から出てはきません!」

魔王「は?」

側近「何故か、連合軍は一度も拠点から出てこないのです!」

側近「特に理由もなく、ずっと拠点に隠りっきりの様です!」

魔王「……」

532: 2014/10/16(木) 10:18:48 ID:GL8QENHc
側近「陛下。如何致しますか?」

側近「連合軍に対して、何らかの動きがあった様に思いますが」

魔王「どうせ、向こうもウチと同じじゃないのか?」

魔王「軍役期間に入ったから、戦の準備をして連合軍拠点にまで出向く」

魔王「だが、召集された騎士や貴族達は戦をするのがめんどくさいから、ずっと拠点に篭りっきり」

魔王「なんとなく、そんな感じがしてきたんだが」

533: 2014/10/16(木) 10:21:46 ID:GL8QENHc
側近「陛下。それでしたら、代わりに武装させた傭兵を戦地に送り出せば良いだけです!」

側近「連合軍拠点には、大賢者に大魔導師までおりまするぞ!」

側近「これは、絶対に何かございます!」

側近「連合軍拠点には、まだ無傷の約二万五千の兵力がおりますからな!」

魔王「う~~む」

スッ、パタン……

534: 2014/10/16(木) 10:21:56 ID:GL8QENHc
側近「陛下。ここは、予定を変更して援軍をお呼びしましょうか?」

側近「一応、今の私にその宛がございますが」

魔王「まぁ、その辺についてはそなたに任せる!」

魔王「今の私は、あ奴から借りたままの書物を読まなければならないからな!」クイクイッ

書物の山「……」

側近「……」

535: 2014/10/16(木) 10:22:06 ID:GL8QENHc
側近「陛下。そんなにお暇でしたら、これより新たな書類の決済を始めましょうか?」

側近「今の陛下は、そうのんびりと書物をお読みになっているお暇はないのですが」

魔王「側近。それだけは嫌だ!」

魔王「たまには、ゆっくり書物くらい読ましてくれ!」ウルッ

側近「……」ジーーッ

魔王「……」ウルウルッ

536: 2014/10/16(木) 10:22:16 ID:GL8QENHc
側近「陛下。その様なお顔をされても困ります!」

側近「なるべく、お早めに魔界から届いた書類に目を通してほしいのですが!」

魔王「だから、あの量はいくら何でも異常だって!」ウルウルッ

魔王「あれ、絶対私関係ない書類とか入ってるよね?」ウルウルッ

側近「いいえ!」

魔王「絶対、嘘だ!」ウルウルッ

537: 2014/10/16(木) 10:22:27 ID:GL8QENHc
魔王「とにかく、援軍を呼べるのなら今すぐ呼べ!」

魔王「さすがに、ここの守備兵100名だけでは絶対に無理だろ!」

側近「ですが、世の中には守備兵が僅か6名しかいなかった城もございます」

側近「大体、多くても30名から40名」

側近「守備兵を置くにも、それなりの予算が必要となりますからな」

側近「これだけの守備兵を用意出来ただけでも、陛下はまだ運が良い方ですよ!」

538: 2014/10/16(木) 10:22:46 ID:GL8QENHc
魔王「だが、いくら何でも兵が少なすぎる!」

魔王「今の私は、そんなに評判が悪いのか?」

側近「はい!」

魔王「!?」ガーーン

側近「それにつきましては、本当に陛下の自業自得です!」

側近「常日頃から、惰眠を貪っているからこんな事になるのですぞ!」

539: 2014/10/16(木) 10:23:19 ID:GL8QENHc
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタッ、カシャン……

護衛隊長「陛下。お久しゅうございます!」

護衛隊長「護衛隊長XXXX、ただ今参上致しました!」

魔王「おおっ、そなたは!?」ピカァ

540: 2014/10/16(木) 10:23:30 ID:GL8QENHc
護衛隊長「陛下。本当に、お久しゅうございます!」

護衛隊長「少し、お顔色が悪い様ですが……」

魔王「ああ、これについては今そこにいるクソジジイのお陰だ!」

魔王「せっかく、私は母上譲りの美貌を受け継いだと言うのに!」

魔王「ここ最近、まともな食事や睡眠すらろくに取らされていない!」

魔王「本当に、そなたの顔を見ただけでも安らぎが訪れたわ!」

541: 2014/10/16(木) 10:23:40 ID:GL8QENHc
側近「護衛隊長。ご苦労だった」

側近「予定とは違ったが、貴殿には陛下の護衛をして貰う」

魔王「!?」ピカァ

側近「護衛隊長。くれぐれも気を付けてな!」

側近「相変わらず、陛下は惰眠を貪っている!」

側近「こんな事なら、まだ大公殿下の方が遥かにマシだった!」

542: 2014/10/16(木) 10:23:51 ID:GL8QENHc
護衛隊長「貴殿。それはちと言い過ぎかと」

護衛隊長「確かに、大公殿下は魔王としての素質は、陛下よりも遥かに上だった!」

護衛隊長「しかし、大公殿下は不治の病に侵されてしまったからには、そうも行かない!」

護衛隊長「それさえなければ、陛下の美貌は常に保たれたままであった!」

護衛隊長「魔界での貴殿、かなり評判が悪いぞ!」

護衛隊長「あれだけお美しかった陛下が、見る影もなく無惨なお姿になられたと、魔界では大論争が巻き起こっておるのだぞ!」ギロッ

543: 2014/10/16(木) 10:25:57 ID:GL8QENHc
側近「だが、それも致し方なかった!」

側近「陛下が、最初から怠け癖さえ出さなければ、こんな事にはならなかったのだ!」

側近「貴殿らは、執務中の陛下の事を知らぬからそんな事が言える!」

側近「魔界に避難した使用人達にも聞いてみろ!」

側近「普段、陛下がどれだけ職務怠慢かが、すぐに明らかになるわ!」ギロッ

護衛隊長「何をーーーーーーーーっ!?」ギロッ

544: 2014/10/16(木) 10:26:08 ID:GL8QENHc
魔王「貴様ら、少し黙れ!」

魔王「ここは、王の御前でもあるぞ!」キリッ

側近「だったら、普段から真面目に王らしく政務執り行えや! この小娘が!」ギロッ

側近「私は、陛下の側に仕え出してから胃腸を悪くしたのだぞ!」

側近「それに、陛下の怠け癖が原因でいつもいつも他の者から催促されているのが、この私なんだ!」

側近「少しは、余命短い老人を労れや!」ブチッ

545: 2014/10/16(木) 10:26:40 ID:GL8QENHc
魔王「は? 貴様が余命短い?」

魔王「まだ、貴様は600歳過ぎたばかりだろ?」

魔王「護衛隊長。そなたの兵力は如何程だ?」

魔王「一体、いくら兵を連れてきてるのだ?」

護衛隊長「はっ、ここの守備隊と同数でございます!」

魔王「うむ。そうか」

546: 2014/10/16(木) 10:26:51 ID:GL8QENHc
魔王「側近。他に援軍は?」

魔王「他に、援軍は来ないのか?」

側近「はっ、私がご用意致したのはこれだけです!」

側近「ですが、この城を守るには十分な数が揃っております!」

側近「あまり、兵を多く用意し過ぎるとすぐに兵糧が尽きます!」

側近「勇者一行のみを相手するなら、これだけでも十分な兵力だと思いますが!」

547: 2014/10/16(木) 10:27:01 ID:GL8QENHc
魔王「そうか。援軍はこれだけか……」

魔王「これも、私の人徳の無さが招いた結果かもしれないな……」ガクッ

側近「陛下。あまりそうお気を落とされても」

側近「そもそも、数百人単位で動く戦の方が珍しいですぞ!」

側近「今は亡き御先代でも、戦で千名を召集出来れば上出来でした!」

側近「ですから、陛下はそうお気を落とされる必要はないのです!」

548: 2014/10/16(木) 10:27:12 ID:GL8QENHc
魔王「とりあえず、少し一人にしてくれ……」

魔王「私の方でも、今からあ奴の方に連絡を取ってみる……」

魔王「結局、私はあ奴が提案した召喚兵に頼る事になるのか……」

魔王「最初から、あ奴の言う通りにしておれば……」

側近「……」

護衛隊長「……陛下」

549: 2014/10/16(木) 10:27:22 ID:GL8QENHc
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタッ、カシャン……

守備隊長「報告。勇者一行が動きました!」

守備隊長「勇者一行は、船を使ってこちらに上陸する様です!」

魔王「何?」ハッ

550: 2014/10/16(木) 10:27:32 ID:GL8QENHc
側近「守備隊長。至急、迎撃の用意を!」

側近「勇者一行に対して、大量の矢を浴びせるのだ!」

守備隊長「はっ!」

護衛隊長「でしたら、我々も加勢させて頂く!」

護衛隊長「我々の保有している炸裂矢の威力を、とくとご覧あれ!」ムクッ

守備隊長「おおっ、了解した!」

551: 2014/10/16(木) 10:27:42 ID:GL8QENHc
側近「では、行って参ります!」

側近「何かございましたら、すぐにご報告致しますので!」

魔王「うむ、行って参れ!」

護衛隊長「陛下。すぐに我々は戻ります!」

護衛隊長「少しの間ですが、どうかご容赦を!」

魔王「ああ、了解した!」

552: 2014/10/16(木) 10:27:53 ID:GL8QENHc
クルッ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

スッ、バタン……

魔王「ふぅ……」

魔王(何故か、守備隊の装備が大幅に強化されてた……)

魔王(普段は、ただの革鎧の癖に……)

556: 2014/10/17(金) 09:06:51 ID:232sAfGQ
~巨大湖(水上)・ハンザコグ船内~

ヒューーーーーーーーッ、パタパタパタパタッ……

スーーーーーーーーッ、スーーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーッ、パタパタパタパタッ……

スーーーーーーーーッ、スーーーーーーーーッ……

勇者「なんか、船の速度が速くないか?……」

557: 2014/10/17(金) 09:07:22 ID:232sAfGQ
召喚船員「おいっ、速度速えぞ!」

召喚船員「もう少し、速度落とせ!」

魔法使い「はい!」

召喚船長「魔法使い殿、風が強すぎだ!」

召喚船長「風魔法を一時止めるんだ!」

魔法使い(何で、俺まで……)スッ

558: 2014/10/17(金) 09:07:53 ID:232sAfGQ
召喚船員2「船長。もう少しで到着します!」

召喚船員2「ですが、このまま行くとかなり危険ですよ!」

召喚船長「ああ、分かっとる!」

召喚船員3「船長。ここはもう敵陣です!」

召喚船長3「城壁に、多数の人影らしき物が見えます!」

召喚船長「何!?」

559: 2014/10/17(金) 09:08:25 ID:232sAfGQ
勇者「魔法使い。シールドを緊急展開!」

勇者「船全体に、シールドを張るんだ!」

魔法使い「ああ、ちょっと待ってくれ!」スッ

戦士「勇者。あまり顔を出すな!」

戦士「弓兵に狙われたらどうすんだ!」

勇者「しかし!」

560: 2014/10/17(金) 09:08:58 ID:232sAfGQ
召喚船員2「船長。上陸地点まで後もう少しです!」

召喚船員2「このままだと、乗り上げてしまいますよ!」

召喚船長「船尾。舵を右に回せ!」

召喚船長「魔法使い殿、早く風を弱めんか!」

魔法使い「ああもう、皆一気に言うな!」

勇者「早くしろ!」

561: 2014/10/17(金) 09:09:29 ID:232sAfGQ
魔法使い「ああ、もう間に合わねぇよ!」

魔法使い「先に発動するのが風からだ!」

勇者「何ーーーーーーーーっ!?」

賞金稼ぎ「てめぇ、先にシールドから発動させろよ!」

賞金稼ぎ「敵が矢を放ってきたら、どうすんだ!」ギロッ

魔法使い「うるさああああああああーーーーーーーーい!」ブワッ

562: 2014/10/17(金) 09:10:01 ID:232sAfGQ
~魔王城・城壁~

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタタタタタタタッ、ピタタタタタタタッ……

563: 2014/10/17(金) 09:10:34 ID:232sAfGQ
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタタタタタタタッ、ピタタタタタタタッ……

守備弓兵達「……」

564: 2014/10/17(金) 09:11:05 ID:232sAfGQ
守備副長「弓兵、射撃用意!」

守備副長「合図があるまで、待機せよ!」

スッ、ササササササササッ……

ササササササササッ、ササササササササッ……

守備副長(隊長。早く戻ってきてくれ!)

守備副長(このままでは、勇者に上陸されてしまう!)

565: 2014/10/17(金) 09:11:38 ID:232sAfGQ
守備副長(隊長。まだ掛かるか?)

守備副長(すぐ戻って来てくれると良いのだが)

守備副長(もしや、また陛下が駄々を捏ねられていたとか?)

守備副長(それならそれで、かなり最悪だな……)

守備副長(はぁ……)

守備弓兵達「……」ギギギッ

566: 2014/10/17(金) 09:14:05 ID:232sAfGQ
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

守備副長「ん?」クルッ

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタタタタタタタッ、ピタタタタタタタッ……

567: 2014/10/17(金) 09:14:40 ID:232sAfGQ
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタタタタタタタッ、ピタタタタタタタッ……

守備副長(何故、護衛隊の連中までこっち来てるんだ?)

568: 2014/10/17(金) 09:15:11 ID:232sAfGQ
守備副長「おいっ、何で護衛隊までこっち来てるんだ?」

守備副長「陛下の守りが、手薄になってるぞ!」

護衛副長「貴殿に言われなくとも、そんな事は分かってる!」

護衛副長「我々は、隊長命令でここに来たんだ?」

守備副長「何?」

護衛弓兵達「……」

569: 2014/10/17(金) 09:15:44 ID:232sAfGQ
守備副長「貴殿。それは誠か?」

守備副長「そちらの隊長は、何故ここに兵を送った?」

守備副長「ここは、我らだけで十分だ!」

守備副長「貴殿らは、早く持ち場に戻れ!」

護衛副長「無理だ!」

守備副長「何故なんだ!?」

570: 2014/10/17(金) 09:16:16 ID:232sAfGQ
護衛副長「守備副長。これは陛下からの命令でもある!」

護衛副長「つい先程、陛下がお一人でいたいとそうおっしゃられたからだ!」

護衛副長「それをお聞きになった側近殿は、すぐに我が隊に下令!」

護衛副長「至急、護衛隊は守備隊の援護をしろ!」

護衛副長「『護衛隊自慢の炸裂矢を勇者一行に浴びせよ!』と、そう指示を出されたのだ!」

守備副長「ちっ……」

571: 2014/10/17(金) 09:16:46 ID:232sAfGQ
護衛副長「だから、貴殿は文句を言うな!」

護衛副長「これは、陛下からの命令でもある!」

護衛副長「して、勇者一行の現在地は?」

護衛副長「今、どの辺りにいるのだ?」

守備副長「魔術師A!」

魔術師A「はっ、後もう少しで勇者一行は上陸致します!」

572: 2014/10/17(金) 09:17:18 ID:232sAfGQ
守備副長「では、早速その炸裂矢とやらを頼む……」

守備副長「貴殿がそう言うなら、また陛下が駄々を捏ねられたか……」

護衛副長「いや、今回は陛下は悪くない!」

護衛副長「陛下は、『炸裂矢を用いて勇者一行の船を撃沈しろ!』と、そう我が隊は解釈したのだ!」

守備副長「そ、そうか……」

守備副長(こいつ、本当に大丈夫なのか?……)

573: 2014/10/17(金) 09:17:50 ID:232sAfGQ
護衛副長「魔術師A。現在地は?」

護衛副長「勇者一行の姿は、視認出来るか?」

魔術師A「ええ、視認出来ます!」

魔術師A「勇者一行は速度を緩め、浅瀬付近から上陸致します!」

護衛副長「うむ。そうか」

守備副長「そろそろ、迎撃しないとな」クルッ

574: 2014/10/17(金) 09:18:22 ID:232sAfGQ
護衛副長「護衛弓兵、炸裂矢用意!」

護衛副長「合図を出したら、炸裂矢を放て!」

護衛弓兵達「はっ!」

スッ、ササササササササッ……

ササササササササッ、ササササササササッ……

護衛弓兵達「……」ギギギッ

575: 2014/10/17(金) 09:18:55 ID:232sAfGQ
魔術師A「副長。勇者一行が浅瀬に入りました!」

魔術師A「船がゆっくりと旋回し、減速していきます!」

守備副長「守備弓兵、待機そのまま!」

射撃副長「合図が出るまで、そのまま待機せよ!」

守備弓兵達「……」ギギギッ

守備副長(くっ、合図はまだか!)

576: 2014/10/17(金) 09:21:43 ID:232sAfGQ
守備副長「魔術師B。合図は出たか?」

守備副長「まだ、出ないのか?」

魔術師B「はい!」

守備副長「全く、隊長は何をしてるんだ!?」

守備副長「敵が、もうすぐそこまで来てんだぞ!」

護衛副長「落ち着け!」

577: 2014/10/17(金) 09:22:13 ID:232sAfGQ
シュピン……

魔術師B「副長。隊長より合図が出ました!」

魔術師B「隊長達は、南門にいます!」

守備副長「よしっ、守備弓兵。射撃開始!」

守備副長「護衛弓兵。まだもう少し待て!」

スッ、スパパパパパパパッ……

578: 2014/10/17(金) 09:22:46 ID:232sAfGQ
~巨大湖(水上)・ハンザコグ船内~

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

勇者「うわっ!?」サッ

勇者の仲間達「ギャーーーーッ!?」ササッ

579: 2014/10/17(金) 09:23:17 ID:232sAfGQ
シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

勇者「み、皆、無事かーーーーーーーーっ!?」

商人「うっ、うぐぅ……」ガクッ

勇者「しょっ、商人!?」ガーーン

580: 2014/10/17(金) 09:23:49 ID:232sAfGQ
ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

チュドドドドドドドーーーーーーーーン……

バリン、グラグラグラッ……

ザバアアアアッ、ザバアアアアッ……

勇者「!?」ガクガクッ

581: 2014/10/17(金) 09:24:23 ID:232sAfGQ
ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーッ、ヒューーーーーーーーッ……

チュドドドドドドドーーーーーーーーン……

バキッ、バキバキバキッ……

ザバアアアアッ、ザバアアアアッ……

勇者「ふっ、船がーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

582: 2014/10/17(金) 09:24:53 ID:232sAfGQ
~魔王城・城壁~

守備副長「おおっ、凄い威力だ!」

守備副長「さすがの勇者も、海の藻屑だな!」

護衛副長「護衛弓兵、大爆裂弾用意!」

護衛副長「勇者一行の乗る船に向けて、すぐに放て!」

守備副長「む? まだ射るのか?」クルッ

583: 2014/10/17(金) 09:25:25 ID:232sAfGQ
護衛副長「ええ、まだ射る必要はあるかと!」

護衛副長「相手は、あの勇者一行だ!」

護衛副長「だから、貴殿の部隊にも援護射撃を頼む!」

守備副長「ああ、良かろう!」

守備副長「魔術師A、生体反応は?」クルッ

守備副長「勇者一行は、まだ生きているか?」

584: 2014/10/17(金) 09:25:55 ID:232sAfGQ
魔術師A「はい。まだ生体反応はあります!」

魔術師A「勇者自身は、まだ息があります!」

守備副長「よしっ、守備弓兵。射撃再開!」クルッ

守備副長「今度こそ、勇者一行を仕留めよ!」

スッ、ササササササササッ……

ササササササササッ、ササササササササッ……

585: 2014/10/17(金) 09:26:27 ID:232sAfGQ
スッ、スパパパパパパパッ……

スパパパパパパパッ、スパパパパパパパッ……

スッ、スパパパパパパパッ……

スパパパパパパパッ、スパパパパパパパッ……

守備副長「……」ジーーッ

守備副長(頼む。これで倒れてくれ!)ジーーッ

586: 2014/10/17(金) 09:28:59 ID:232sAfGQ
~巨大湖(水上)・ハンザコグ船内~

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

カカカカカカカカッ、カカカカカカカカッ……

勇者「ひいいいいいいいいーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

商人の氏体「……」

587: 2014/10/17(金) 09:29:29 ID:232sAfGQ
シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

シュシュシュシュシュシュシュシュッ……

カカカカカカカカッ、カカカカカカカカッ……

勇者「も、もう止めてくれーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

魔法使い「ゆ、ゆうしゃ……」ノソノソッ

ハンザコグ船(中破)「……」ジューーッ

588: 2014/10/17(金) 09:29:59 ID:232sAfGQ
魔法使い「勇者。これはもう無理だ……」

魔法使い「一度、撤退しよう……」

勇者「だ、だが……」ガクガクッ

魔法使い「勇者。このままじゃ、皆殺られる……」

魔法使い「俺の張ったシールドが、すぐに破壊された……」

勇者「くっ、くそーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

589: 2014/10/17(金) 09:30:32 ID:232sAfGQ
戦士「ゆ、ゆうしゃ……」ノソノソッ

戦士「そうりょが、そりうりょが……」ノソノソッ

勇者「!?」クルッ

戦士「そりうりょが、てきにやられた……」ノソノソッ

戦士「はやく、にげよう……」ノソノソッ

勇者「うわああああああああーーーーーーーーっ!?」ガクガクッ

590: 2014/10/17(金) 09:31:04 ID:232sAfGQ
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

チュドドドドドドドッ、チュドドドドドドドーーーーーーーー--------ン!

ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアアッッ……

フワッ、ズザーーーーーーーーッ……

勇者「!?」ドサッ

591: 2014/10/17(金) 09:31:38 ID:232sAfGQ
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーッ……

チュドドドドドドドッ、チュドドドドドドドーーーーーーーー--------ン!……

ハンザコグ船(大破)「……」ボキッ

ザバアアアアアアアアッ、ザバアアアアアアアアッッ……

勇者「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ジャボ--ン

592: 2014/10/17(金) 09:32:09 ID:232sAfGQ
~魔王城・城壁~

守備副長「ふん。口程にもない!」

守備副長「これで、魔界も安泰だな!」

守備副長「ここの湖は、水深が深い!」

守備副長「鎧を着けたままだと、確実に沈むからな!」

護衛副長「ああ、確かに!」

魔術師A「……」ジーーッ

593: 2014/10/17(金) 09:32:40 ID:232sAfGQ
守備副長「魔術師A。生体反応は?」

守備副長「船自体は、沈没をし始めた様だが」

魔術師A「はい。まだ勇者一行の息はあります!」

魔術師A「ですが、ここの水深は深いです!」

魔術師A「すぐに、勇者一行は息絶えるでしょう!」

守備副長「うむ。了解した!」

594: 2014/10/17(金) 09:33:12 ID:232sAfGQ
護衛副長「魔術師B。隊長に報告!」

護衛副長「勇者一行を迎撃した!」

護衛副長「勇者一行の生氏は不明!」

護衛副長「至急、勇者一行の引き上げ作業を要請する!」

魔術師B「はっ!」

守備副長「む?」クルッ

595: 2014/10/17(金) 09:33:47 ID:232sAfGQ
護衛副長「守備副長。まだ、勇者一行は生きている可能性がある!」

護衛副長「貴殿は気付かれていたか? あの船の出所を?」クルッ

守備副長「ああ、あの船の出所は連合軍から支給された物だろう」

守備副長「今現在、連合軍側には動きなし」

守備副長「連合軍側には、大賢者達がいる」

守備副長「これは、私の勘だが勇者一行は単なる使い捨ての駒にされたのではないか?」

596: 2014/10/17(金) 09:38:33 ID:232sAfGQ
護衛副長「やはり、貴殿もそう考えていたか」

護衛副長「明らかに、勇者一行にしてはお粗末すぎる!」

護衛副長「魔術師A。勇者一行の沈没ポイントを注視しろ!」

護衛副長「勇者一行の事だ、まだ奥の手を隠し持ってるはずだ!」

魔術師A「はっ!」

守備副長(やけに、気合い入ってるなぁ……)

597: 2014/10/17(金) 09:39:05 ID:232sAfGQ
シュピン……

魔術師B「護衛副長。隊長からの返信です!」

魔術師B「引き続き、警戒を続けろ!」

魔術師B「これより、勇者一行の生存確認を行う!」

魔術師B「以上、通信終わり!」

護衛副長「うむ。了解した!」

598: 2014/10/17(金) 09:39:38 ID:232sAfGQ
~魔王城・南門前~

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ダン、カシャン……

側近「……」スッ

守備兵達「……」ダッ

599: 2014/10/17(金) 09:40:10 ID:232sAfGQ
ジャラジャラジャラジャラッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

ジャラジャラジャラジャラッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

ジャラジャラジャラジャラッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

ジャラジャラジャラジャラッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

側近「……」ジーーッ

ハンザコグ船(沈没中)「……」ブクブクッ

600: 2014/10/17(金) 09:40:41 ID:232sAfGQ
側近「ほう。上手くやりおったな」

側近「これで、魔界も安泰だ」

側近「守備隊長。そなたはどう見る?」

側近「これで、戦は終わりだと思うか?」

守備隊長「いえ、まだこれからです!」

側近「うむ。そうだな!」

601: 2014/10/17(金) 09:41:14 ID:232sAfGQ
側近「護衛隊長。ご苦労だった!」

側近「そなた達は、弓兵を除いて城に戻ってくれ!」

側近「守備隊長。早速、勇者を引き上げるぞ!」

側近「ここの湖の水深は、かなり深い!」

側近「早く引き上げなければ、魚の餌となってしまうからな!」

各隊長達「はっ!」

602: 2014/10/17(金) 09:41:47 ID:232sAfGQ
護衛隊長「では、私はこれにて失礼致します!」

護衛隊長「側近殿、守備隊長殿、後の事を頼みますぞ!」

守備隊長「うむ。了解した」ビシッ

護衛隊長「……」ビシッ

クルッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

ジャラジャラジャラジャラッ、ジャラジャラジャラジャラッ……

603: 2014/10/17(金) 09:42:21 ID:232sAfGQ
守備隊長(ふぅ、ようやく行きおった……)

守備隊長(さすがは、大公殿下の護衛を務め上げた男……)

守備隊長(本当に、見事な戦いだった……)

守備隊長(だが、勇者がこれぐらいで氏ぬとは思わん……)

守備隊長(絶対に、まだ何か隠しておる……)

沈没地点「……」シューーッ

604: 2014/10/17(金) 09:42:55 ID:232sAfGQ
側近「守備隊長。まだ油断するな!」

側近「勇者は、必ず何か隠し玉を持っている!」

側近「奴等の背後には、大賢者達がいるぞ!」

側近「勇者一行が破れた後も、必ずあの大賢者なら何か備えているはずだ!」

守備隊長「はっ!」

魔術師達「……」

605: 2014/10/17(金) 09:43:27 ID:232sAfGQ
側近「魔術師C。勇者の状況は?」

側近「勇者は、まだ息はあるか?」

魔術師C「ええ、まだ勇者には息があります!」

魔術師C「やはり、勇者一行は何か隠し玉があるみたいです!」

側近「何っ!?」

守備隊長「何なのだ? それは?」

606: 2014/10/17(金) 09:45:16 ID:232sAfGQ
魔術師C「はっ、恐れながら報告致します!」

魔術師C「たった今、勇者一行が何らかの魔法を発動致しました!」

魔術師C「勇者一行は、そのままどこかへと転移!」

魔術師C「もう既に、沈没地点から移動致しました!」

側近「くっ……」

守備隊長「己れ! 勇者め!」

607: 2014/10/17(金) 09:45:48 ID:232sAfGQ
側近「守備隊長。兵をすぐに下げろ!」

側近「またいずれ、勇者がここに来る!」

側近「護衛隊長にも、至急その事を報告!」

側近「陛下には、私からご報告致す!」

側近「さぁ、急げ!」

守備隊長「はっ!」

608: 2014/10/17(金) 09:46:25 ID:232sAfGQ
守備隊長「守備隊、捜索活動を中止!」

守備隊長「勇者は、もう既に離脱した!」

守備隊長「至急、城に戻れ!」

守備兵達「!?」ハッ

守備隊長「繰り返す。勇者は沈没地点から離脱した!」

守備隊長「至急、城に戻れ!」

609: 2014/10/17(金) 09:46:57 ID:232sAfGQ
側近「では、我らも戻るぞ!」

側近「守備隊長。全隊を通常配置に戻せ!」

側近「魔術師達は、隊長及び副長の側に付いておく事!」

側近「良いな?」

守備隊長「はっ!」

魔術師達「……」ビシッ

610: 2014/10/17(金) 09:47:30 ID:232sAfGQ
~連合軍拠点・勇者専用緊急離脱地点~

ヒュルヒュルヒュルヒュルッ、ヒュルヒュルヒュルヒュルッ……

ヒュルヒュルヒュルヒュルッ、ヒュルヒュルヒュルヒュルッ……

シュン、ドサドサドサドサッ……

ドサドサドサドサッ、ドサドサドサドサッ……

勇者一行「……」

611: 2014/10/17(金) 09:48:01 ID:232sAfGQ
勇者「……」

戦士「……」

魔法使い「……」

賞金稼ぎ「……」

武闘家「……」

氏体の山「……」

612: 2014/10/17(金) 09:48:34 ID:232sAfGQ
スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

大賢者「勇者!」

勇者「……」

大賢者「くっ……」

613: 2014/10/17(金) 09:49:08 ID:232sAfGQ
大賢者「賢者。大至急、蘇生と回復魔法を!」

大賢者「魔導師、そなたもだ!」

賢者&魔導師「はっ!」

将軍「くそっ、勇者がやられた!」

将軍「それ程、魔王は強敵と言う訳か!」

賢者&魔導師「……」ブツブツ

614: 2014/10/17(金) 09:49:39 ID:232sAfGQ
大魔導師「将軍。予定変更じゃ!」

大魔導師「我々も、魔王城に向けて兵を出す!」

大魔導師「大賢者、良いな?」

大魔導師「ここは、将軍達の兵だけで大丈夫じゃろう!」

大賢者「うむ、了解した!」

賢者&魔導師「はっ!」ブワッ

615: 2014/10/17(金) 09:50:11 ID:232sAfGQ
参謀「では、早速魔王城へ!」

参謀「ここの守備は、我らにお任せあれ!」

大魔導師「おおっ、了解した!」

大賢者「賢者、魔導師。そなたらもここを守備!」

大賢者「勇者の事、そなたらに託したぞ!」

賢者&魔導師「はっ!」シューーッ

617: 2014/10/18(土) 12:27:38 ID:B3p4ZXMQ
~連合軍拠点・救護所~

その日の夜ーー

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

女僧侶「……」ブツブツ

618: 2014/10/18(土) 12:27:49 ID:B3p4ZXMQ
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

女僧侶「……」ブツブツ

勇者「……」パチッ

スッ、ムクッ……

619: 2014/10/18(土) 12:28:00 ID:B3p4ZXMQ
勇者「ここは、どこだ?……」

勇者「皆は、どうなったんだ?……」

女僧侶「!?」ムクッ

賢者「勇者。気が付いたか?」

賢者「ここは、連合軍拠点の救護所だ」

勇者「賢者様……」

620: 2014/10/18(土) 12:28:19 ID:B3p4ZXMQ
スッ、ムギュッ……

勇者「あっ……」

女僧侶「……」ウルッ

賢者「勇者。今日はもう休んでも良い」

賢者「君は、本当によく戦ってくれたよ」

魔導師「ああ、そうだな」

621: 2014/10/18(土) 12:28:29 ID:B3p4ZXMQ
勇者「賢者様。俺の仲間達は?……」

勇者「戦士達は、無事なんですか?……」

賢者「ああ、戦士達は無事だ」

賢者「だが、すぐには戦える状態じゃない」

賢者「だから、彼らは王都のXX教会付属病院に移送した」

賢者「唯一、まだ戦える状態だったのは君ぐらいなものだ」

622: 2014/10/18(土) 12:28:40 ID:B3p4ZXMQ
勇者「じゃあ、魔王軍の動きは?……」

勇者「魔王軍は、今どうなっているんです?……」

魔導師「安心しろ。今、親父達が魔王城に兵を出してる」

魔導師「魔王軍は、まだ魔王城の中だ」

魔導師「推定兵力は、およそ数百」

魔導師「さすがの魔王軍も、すぐに捻り潰されるだろう」

623: 2014/10/18(土) 12:28:49 ID:B3p4ZXMQ
賢者「勇者。君はもう休め」

賢者「女僧侶。勇者の事を頼む」

女僧侶「……はい」ポロポロッ

魔導師「じゃあ、俺達はもう行くな」

魔導師「後は、若い二人だけで好きにしとけ」

勇者「はい……」

624: 2014/10/18(土) 12:28:59 ID:B3p4ZXMQ
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

勇者「女僧侶。少し、トイレに行きたい……」

勇者「今から、トイレにまで案内してくれ」

女僧侶「はい。かしこまりました……」ポロポロッ

勇者「……」スッ、ナデナデ

625: 2014/10/18(土) 12:29:10 ID:B3p4ZXMQ
~魔王城・魔王の執務室~

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

側近「失礼致します」

側近「陛下。エルフ魔女様がお見えになられました」

魔王「通せ!」

626: 2014/10/18(土) 12:29:20 ID:B3p4ZXMQ
側近「……」スッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔王「おおっ……」ピカァ

エルフ魔女「陛下。お久しゅうございます」

エルフ魔女「夜分遅くに、誠に申し訳ございません」ペコッ

627: 2014/10/18(土) 12:31:49 ID:B3p4ZXMQ
魔王「うむ。構わんぞ!」

魔王「側近、少し二人だけで話がしたい!」

側近「はっ!」

魔王「エルフ魔女。ささっ、こちらへ」ニッコリ

魔王「早う、あれを渡してくれ」ニコニコ

エルフ魔女「はい」

628: 2014/10/18(土) 12:32:00 ID:B3p4ZXMQ
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「陛下。こちらが、陛下のお求めになられていた品です!」スッ

エルフ魔女「どうぞ、お受け取り下さい!」ニッコリ

エルフ魔女「……」スッ

魔王「こ、これが……」スッ

629: 2014/10/18(土) 12:32:34 ID:B3p4ZXMQ
側近「では、ごゆっくり」

側近「お帰りの際は、私に一声お掛け下さいませ」

スッ、バタン……

エルフ魔女「……」

魔王「……」プルプル

エルフ魔女「早く開けなさいよ……」

630: 2014/10/18(土) 12:32:45 ID:B3p4ZXMQ
魔王「ああ、ごめんごめん……」

魔王「何せ、これを使うのが初めてだったから……」

エルフ魔女「はぁ、あんた本当に酷い顔ね……」

エルフ魔女「前に会った時より、かなり白髪とかも増えてない?……」

魔王「うん、まあね……」ウルッ

スッ、ヌポッ……

631: 2014/10/18(土) 12:33:05 ID:B3p4ZXMQ
魔王「それで、これを飲めば良いのよね?……」プルプル

魔王「これを飲んだら、本当に若返るの?……」プルプル

エルフ魔女「ええ、そうよ」

魔王「父上、私はついにやりました!」プルプル

魔王「これで少しは、父上に顔向けが出来ます!」プルプル

エルフ魔女「はぁ、あんた本当に大袈裟なんだから……」

632: 2014/10/18(土) 12:33:35 ID:B3p4ZXMQ
スッ、ゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

魔王「ふぅ……」

エルフ魔女「……」

ドクンーー

魔王「!?」ビクッ

633: 2014/10/18(土) 12:34:08 ID:B3p4ZXMQ
ドクン、ドクンーー

魔王「ーーっ!?」

ドクン、ドクン、ドクンーー

魔王「ーーーーっ!?」

スッ、ドサッ……

魔王「ううっ、ぐううううっ……」プルプル

634: 2014/10/18(土) 12:34:19 ID:B3p4ZXMQ
ポワーーーーン、ポワーーーーン……

ポワーーーーン、ポワーーーーン……

ポワーーーーン、ポワーーーーン……

ポワーーーーン、ポワーーーーン……

シューーーーーーーーッ、シュン……

魔王「……」ピクピクッ

635: 2014/10/18(土) 12:34:41 ID:B3p4ZXMQ
エルフ魔女「どうやら、成功したみたいね」

エルフ魔女「もう、起きても大丈夫よ」

魔王「……」ピクピクッ

エルフ魔女「ああ、これはこれで休ませなきゃ……」

エルフ魔女「この子、ここ最近無理が祟ってたからなぁ……」

魔王「……」ピクピクッ

636: 2014/10/18(土) 12:35:12 ID:B3p4ZXMQ
エルフ魔女「ほらっ、起きて!」

エルフ魔女「今起きたら、側近殿が特別休暇をくれるわよ!」

魔王「!?」ハッ

エルフ魔女「あっ、起きた起きた」

エルフ魔女「さぁ、今の自分自身をすぐそこの鏡で見てごらんなさい」

魔王「ええ、了解したわ……」スッ、ムクッ

637: 2014/10/18(土) 12:37:29 ID:B3p4ZXMQ
魔王「……」キョロキョロ

魔王「……」キョロキョロ

エルフ魔女「ほらっ、右よ……」

魔王「あっ……」クルッ

魔王「……」

魔王「ーーーーーーーーっ!?」ピカァ

638: 2014/10/18(土) 12:37:40 ID:B3p4ZXMQ
魔王「エルフ魔女。これ凄いわ!」キラキラ

魔王「本当に、若返ってるじゃないの!」クルッ

エルフ魔女「ええ、そうね」ニッコリ

魔王「やった、やったやった!」キラキラ

魔王「今の私、勇者倒した時より遥かに嬉しいわ!」キラキラ

エルフ魔女「ああ、そりゃあ良かったわね……」

639: 2014/10/18(土) 12:38:11 ID:B3p4ZXMQ
魔王「とりあえず、お代いくら?」キラキラ

魔王「今なら、最低でも村一つはあげれるけど?」キラキラ

エルフ魔女「ああ、別に良いわよ」

エルフ魔女「私、もう向こうでもう既に爵位も土地も貰ってるから」

魔王「えっ!? そうなの!?」

魔王「エルフ魔女。貴女、いつの間にそこまで出世したのよ!?」

640: 2014/10/18(土) 12:38:22 ID:B3p4ZXMQ
エルフ魔女「実は、これもこれまでの功績によって……」

エルフ魔女「私、つい先日の北大陸制覇に貢献したから……」

魔王「あっ、そうだったっけ?」

エルフ魔女「だから、ウチの女王陛下がくれるって……」

エルフ魔女「まぁ、そのお陰でウチの母が大層ご立腹だったんだけど……」

魔王「ああ、貴女は昔からやり過ぎる所があるからね……」

641: 2014/10/18(土) 12:38:56 ID:B3p4ZXMQ
エルフ魔女「とにかく、用件は終わったわ」

エルフ魔女「あんたも、これで頑張れる?」

魔王「うん。多分、大丈夫だと思う」

魔王「ついでにさぁ、あのクソジジィもなんとかしてくれない?」

エルフ魔女「ええ~~っ……」

魔王「お願い!」ペコッ

642: 2014/10/18(土) 12:39:07 ID:B3p4ZXMQ
エルフ魔女「あんた、それ駄目でしょ!」

エルフ魔女「あの人いなかったら、誰が側近してくれるのよ?」

魔王「私、貴女を今から側近に迎え入れたい!」

魔王「その方が、すぐに南大陸とか再制圧出来ちゃうから!」ニッコリ

エルフ魔女「あんたねぇ……」

魔王「もう、何で駄目なのよ……」ウルッ

643: 2014/10/18(土) 12:39:17 ID:B3p4ZXMQ
トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

側近「陛下。追加の書類をお持ち致しました」

側近「ささっ、これにすぐ目を通して下さい!」つ書類の山

魔王「!?」ガーーン

エルフ魔女「はぁ、本当に口は災いの元ね……」

644: 2014/10/18(土) 12:39:29 ID:B3p4ZXMQ
側近「陛下。まだお時間の方は掛かりますかな?」

側近「いくら、陛下が成人した直後のお姿に戻られましても、各所から届いた書類の量は変わりませぬ!」

魔王「鬼ーーーーーーーーっ!?」ウルッ

エルフ魔女「じゃあ、私はもうこれで!」

エルフ魔女「また今度、同じ薬を持ってきてあげるからさ!」ニッコリ

側近「はい。お気を付けて!」ニッコリ

645: 2014/10/18(土) 12:39:43 ID:B3p4ZXMQ
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

魔王「ううっ、ううううっ……」ポロポロッ

側近「はぁ……」

スッ、バタン……

646: 2014/10/18(土) 12:40:33 ID:B3p4ZXMQ
側近「陛下。早く書類に目を通して下さい」

側近「せっかくのお美しい顔が台無しですぞ」ニッコリ

魔王「……」ポロポロッ

側近「陛下。早く始めますぞ!」ニコニコ

側近「たとえ、勇者一行を撃退したとしても、陛下には陛下の職務がございますからな!」つ書類の山

魔王「いやああああああああーーーーーーーーっ!?」ポロポロッ

647: 2014/10/18(土) 12:42:51 ID:B3p4ZXMQ
~連合軍拠点・司令部~

参謀「将軍。如何なさいますか?」

参謀「大賢者と大魔導師が、消息を絶ちましたが」

将軍「……」

参謀「将軍。本当に、彼らは信用出来るのですか?」

参謀「いくら、二万の兵を有するとは言え、あの勇者をいとも簡単に撃退した魔王軍の力は侮れませんぞ!」

648: 2014/10/18(土) 12:43:02 ID:B3p4ZXMQ
将軍「参謀。それについてはよく分かってる」

将軍「だが、今は彼らに頼る他ない」

参謀「しかし!」

将軍「参謀。例の所属不明部隊の動きは?」

将軍「今、どの辺りにいるのかね?」

参謀「そ、それが……」

649: 2014/10/18(土) 12:43:13 ID:B3p4ZXMQ
将軍「参謀。早く答えよ!」

将軍「今はもう、我々しか兵を出せる者はいないのだ!」

参謀「……」

将軍「参謀。早く答えんか!」

将軍「所属不明の部隊は、今どこにいる?」

参謀「……ここです」スッ

650: 2014/10/18(土) 12:43:24 ID:B3p4ZXMQ
将軍「……」

参謀「……」

将軍「なっ!?」ハッ

参謀「……如何致しますか?」

将軍「参謀。大至急、賢者と魔導師を呼べ!」

将軍「敵が、もうすぐそこまで迫ってきてる!」

651: 2014/10/18(土) 12:43:35 ID:B3p4ZXMQ
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

将軍「む?」ハッ

賢者「将軍。お呼びですか?」

賢者「勇者でしたら、つい先程目を覚ましましたが」

参謀「うむ。丁度良い所に来てくれました」クルッ

652: 2014/10/18(土) 12:43:55 ID:B3p4ZXMQ
将軍「賢者。よく来てくれた」

将軍「何故、例の所属不明部隊の現在地を知らせなかった?」

将軍「私は今、心臓が止まりそうになったぞ!」

将軍「何故、ここまで接近されていたのにも関わらず、我々にその事を知らせなかった!」ギロッ

賢者「申し訳ございませぬ」ペコッ

将軍「貴様ら、一体どう言うつもりなんだ?」ダン

653: 2014/10/18(土) 12:44:06 ID:B3p4ZXMQ
賢者「将軍。これについては、弁解の余地はございませぬ」

賢者「我らは、大賢者様からのご命令に従っていたまでです」

将軍「ほう?」

賢者「今現在、大賢者様と大魔導師様がその所属不明の部隊と交戦しております」

賢者「ですから、何もご心配はございません!」

賢者「すぐに、大賢者様達が殲滅致しますので!」

654: 2014/10/18(土) 12:44:16 ID:B3p4ZXMQ
参謀「では、そなた達は大賢者達からの命令に従っただけと?」

参謀「嘘をつくなら、もう少しマシな嘘をつけ!」

将軍「うむ、同感だな!」

参謀「それに、例の所属不明部隊は一体どこの所属なのです?」

参謀「いい加減、我らにもその情報を出して頂きたい!」

賢者「……仕方ありませんね」

655: 2014/10/18(土) 12:44:26 ID:B3p4ZXMQ
魔導師「将軍。その所属不明の部隊はエルフ王国の所属だ!」

魔導師「親父達は今、ダークエルフの部隊と交戦してる!」

将軍「何!?」

魔導師「将軍。敵はダークエルフだけではないぞ!」

魔導師「地上からはハーフエルフ、海上からはエルフとハイエルフの部隊とも親父達は交戦しているのだ!」

将軍「何だと!?」

656: 2014/10/18(土) 12:44:35 ID:B3p4ZXMQ
参謀「なら、もっと早くに話して頂きたかった!」

参謀「推定兵力は、一体どれだけなのです!」

賢者「今現在、大賢者様達と交戦している部隊は、ダークエルフの軍勢1万」

賢者「残りのエルフ達も、恐らくそれと同数でしょう」

参謀「ーーーーっ!?」ガーーン

将軍「敵も、かなりの大軍ではないか!?」ガーーン

657: 2014/10/18(土) 12:46:42 ID:B3p4ZXMQ
賢者「将軍。将軍は、かつて“カーネル”と呼ばれた一人のハーフエルフをご存じてすか?」

賢者「今、大賢者様達が戦っている敵の司令官は、その“カーネル”」

賢者「彼女は今、エルフ王国でエルフ女侯爵と名乗っております」

賢者「つい先日起きた北大陸制圧に関しても、その“カーネル”が関わっているのです!」

将軍「ううっ……」クラッ

参謀「将軍!」スッ、ガシッ

658: 2014/10/18(土) 12:46:52 ID:B3p4ZXMQ
賢者「ですから、将軍達は何もご心配はありません!」

賢者「カーネルの事は、我らだけの手で決着を付けますので!」

将軍「……」ウルッ

魔導師「まぁ、そう言う事だ」

魔導師「あんたらは、この件に関しては絶対に関わらない方が良い!」

参謀「くっ……」ギロッ

659: 2014/10/18(土) 12:47:04 ID:B3p4ZXMQ
賢者「では、私達はこれで」

賢者「どうか、吉報をお待ち下さいませ」

魔導師「後、国に帰りたいなら早く国に帰りな!」

魔導師「じゃねぇと、あんたらもすぐに巻き込まれるからよう!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

660: 2014/10/18(土) 12:47:15 ID:B3p4ZXMQ
将軍「参謀。大至急撤退の準備を……」

将軍「少しでも、多くの兵を連れて帰るのだ……」

参謀「はっ!」

将軍「己れ、大賢者め……」

将軍「大魔導師共々、生きて祖国の地は踏ませぬからな……」

参謀「はい。誠にその通りでございます!」

661: 2014/10/18(土) 12:47:25 ID:B3p4ZXMQ
参謀「ですが、本当に大丈夫なのですか?」

参謀「相手は、あのカーネルなのですよ!」

将軍「ともかく、大至急諸侯達にも連絡を!」

将軍「でなければ、我らも確実に殲滅される!」

将軍「参謀。とにかく急げ!」

将軍「生きて必ず、ここから逃げるのだ!」

662: 2014/10/18(土) 12:47:36 ID:B3p4ZXMQ
参謀「はっ、了解致しました!」

参謀「大至急、手配して参ります!」

参謀「ですが、勇者はどう致しますか?」

参謀「勇者はまだ、戦える状態みたいですが」

将軍「ああ、そう言えば……」

参謀「如何致しましょう?」

663: 2014/10/18(土) 12:47:58 ID:B3p4ZXMQ
「将軍。撤退をなさるのでしたら、お急ぎになられた方が宜しいかと」

「別に、勇者はここに放置しておいても宜しいではありませんか」

将軍「うむ。そうだな」

参謀「ええ、そうですね」

将軍&参謀「え?」ハッ

赤竜娘「……」ヌッ

664: 2014/10/18(土) 12:48:08 ID:B3p4ZXMQ
赤竜娘「将軍。今ならまだ間に合いますよ」

赤竜娘「彼女も、貴殿方の事を巻き込むつもりはない様です」

赤竜娘「ですので、どうかお早めに陣払いを」

赤竜娘「そうすれば、貴殿方は生きて祖国の地を踏む事が出来ますからね!」

将軍「ああ、了解した……」ホッ

参謀「貴方様がそうおっしゃるのなら、なんとかなりそうですね……」ホッ

665: 2014/10/18(土) 12:48:19 ID:B3p4ZXMQ
スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、ピタッ……

密偵「報告。大賢者及び大魔導師隊が壊滅!」

密偵「敵がもうすぐそこまで迫ってきております!」

将軍「何!?」

参謀「どう言う事だ!?」

666: 2014/10/18(土) 12:48:28 ID:B3p4ZXMQ
密偵「今現在、賢者隊及び魔導師隊が敵部隊を迎撃!」

密偵「ですが、敵の数が多くかなり劣勢の様です!」

密偵「将軍。差し出がましい様ですが、今すぐご撤退を!」

密偵「でなければ、我らまで犬氏にです!」

将軍「くっ……」

参謀「己れ、賢者達め!」ギリギリッ

667: 2014/10/18(土) 12:49:43 ID:B3p4ZXMQ
将軍「参謀。急げ!」

将軍「我らは、まだ氏ぬ訳にはいかん!」

将軍「赤竜娘様。ご忠告感謝する!」

将軍「貴女様も、どうかお気を付けて!」ビシッ

赤竜娘「はい。お気を付けて!」

参謀「では、参りましょう!」

668: 2014/10/18(土) 12:49:53 ID:B3p4ZXMQ
クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

赤竜娘「密偵、貴女は引き続き将軍達についていきなさい」

赤竜娘「その方が、彼女のお役に立てますからね」

密偵「はっ!」ビシッ

クルッ、スタタタタタッ……

669: 2014/10/18(土) 12:50:13 ID:B3p4ZXMQ
勇者達は、魔王城への突入に失敗した。

それと同時期に、エルフ王国が連合軍に対して多方面から攻撃を開始した。

これを受け、師匠と大賢者様は大いに驚愕。

お二人のお顔が、とても青くなっていたのが未だに印象的である。

それもそのはず、敵の指揮官はかつての自分達の教え子。

その教え子が、師匠達に容赦なく牙を向く。

普通の精神であったら、さすがにそれに耐えられる訳がない。

それでもなお、師匠達は敵の軍勢に向かって勇敢に立ち向かっていった。

670: 2014/10/18(土) 12:50:24 ID:B3p4ZXMQ
だが、それもすぐに終わってしまった。

敵の指揮官は、余程腕のある教え子であった様だ。

私としては、もう師匠が氏のうが生きよう関係がない。

何故なら、私はもう既に女にまで堕ちてしまってたからだ。

その後、女僧侶曰く、連合軍拠点は将軍達が撤退してすぐに陥落した。

運良く勇者と共に敵に捕らえられていた女僧侶は、生きて私達の元に戻ってきた。

おまけに、何故か敵の指揮官からは師匠の生首を手渡され……

それを「この私に渡してほしい!」と言われたらしく、女僧侶はそれをこの私に手渡した後、暫く大事を取って入院する事にしたのだった。

671: 2014/10/18(土) 12:51:51 ID:B3p4ZXMQ

引用: 魔女「キモメンが、仲間にしてほしそうに勇者を見ている……」