672:◆7FnOo4mT6s 2014/10/19(日) 09:40:01 ID:z2jqSLr2
葬送のフリーレン(12) (少年サンデーコミックス)
673: 2014/10/19(日) 09:40:11 ID:z2jqSLr2
側近「……」スッ

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ピタタタタタッ……

勇者「……」

674: 2014/10/19(日) 09:40:22 ID:z2jqSLr2
魔王「ほう。こ奴が勇者か」

魔王「まだ、年若い青年ではないか」

側近「ええ、その様ですね」

魔王「勇者。お初にお目に掛かる」

魔王「我が名は、XXXX」

魔王「貴様らが魔王と呼ぶ憎き存在だ」

675: 2014/10/19(日) 09:40:38 ID:z2jqSLr2
魔王「さて、早速本題に入るとするか」

魔王「側近。あれを」

魔王「今回もまた、以前と同じ様にしたい」

勇者「……?」ギロッ

魔王「側近。私の話を聞いておるか?」

魔王「他の者達も異存ないな?」

676: 2014/10/19(日) 09:40:53 ID:z2jqSLr2
側近「はっ、しかと承りました!」

側近「守備隊長。勇者の装備をここに!」

守備隊長「はっ!」

勇者「……?」

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ピタッ……

677: 2014/10/19(日) 09:41:08 ID:z2jqSLr2
守備隊長「勇者。今から貴様の縄を解く!」

守備隊長「その後、陛下と一騎討ちをせよ!」

勇者「!?」クルッ

魔王「勇者。私と一騎討ちだ!」

魔王「それに勝てたら、我々は南大陸をそなたに譲ろう!」

勇者「……どう言う意味だ?」クルッ

678: 2014/10/19(日) 09:41:20 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。聞く所によると、貴様はかなり苦労してる様だな」

魔王「行く先々で、世にも気持ち悪い男に付き纏われている」

魔王「その男は、過去に何人もの勇者達の悪評を撒き散らしてきた」

魔王「だから、私を頃して少しでもその汚名を晴らさぬか?」

勇者「……」

魔王「不服そうだな」

679: 2014/10/19(日) 09:41:34 ID:z2jqSLr2
勇者「ああ、不服だよ……」

勇者「敵であるお前にまで、同情なんかされたくもない……」

勇者「だが、お前の出した条件は魅力的だ……」

勇者「俺が勝てば、南大陸はこの俺が頂く事にする……」

魔王「ふふふっ……」ニヤリ

側近「では、早速始めましょうか」

680: 2014/10/19(日) 09:41:46 ID:z2jqSLr2
勇者「後、あのキモメンの事もなんとかしてくれないか?」

勇者「あいつ、また何か俺の悪評を流しているみたいだから」

魔王「ああ、それに関しては私の方も聞いてる」

魔王「何でも、仲間の女性をレ〇プした挙げ句に孕ませたとか」

魔王「それに加えて、その女性は女にまで堕ちた」

魔王「泣き叫ぶ友人達の声にすら一切耳も貸さず、人が変わったかの様に無数の男達に今も抱かれている様だ」

681: 2014/10/19(日) 09:42:17 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。これに関しては事実か?」

魔王「早く訂正せねば、すぐに真実となってしまうぞ!」

勇者「ああ、そうだな……」

勇者「貴様を倒して、早くその噂を訂正しないと……」

勇者「だが、ここ最近はあいつすら見ない……」

勇者「さすがに、つい先日の戦いに巻き込まれて氏んでくれていたら、物凄く嬉しいんだが……」

682: 2014/10/19(日) 09:44:22 ID:z2jqSLr2
側近「残念ですが、彼はまだ生きております」

側近「今も彼は、貴方の悪い噂を紙に書いて」

勇者「くっ……」

側近「それを、今は中央大陸全土に撒き散らしておりますぞ!」

側近「まるで、貴方は78年前に戦氏なされた“味方頃しの勇者”の様ですな!」

勇者「なん……だと……!?」

683: 2014/10/19(日) 09:44:33 ID:z2jqSLr2
魔王「守備隊長。早く、縄を解いてやれ!」

魔王「でないと、この場で私は勇者をすぐに頃す事になる!」

魔王「勇者。早くするぞ!」

魔王「世界の平和は、貴様の手に掛かっているのだからな!」

勇者「ああ、了解した!」

スチャ、スラァン……

684: 2014/10/19(日) 09:44:49 ID:z2jqSLr2
スッ、ギリギリッ……

ギリギリッ、ギリギリッ……

パサッ、パサッ……

勇者「ふぅ……」

守備副長「勇者。受け取れ」

守備副長「貴様の武器と防具だ」

685: 2014/10/19(日) 09:45:04 ID:z2jqSLr2
スッ、スチャ……

カチャカチャカチャ、カチャカチャカチャ……

スッ、カチャカチャカチャ……

カチャカチャカチャ、カチャカチャカチャ……

スッ、カチャ、カチャ……

勇者「……準備出来たぞ」

686: 2014/10/19(日) 09:45:15 ID:z2jqSLr2
側近「では、私が審判を致します」

側近「皆、陛下達から離れよ」

守備隊長「はっ!」

クルッ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

勇者「……」キョロキョロ

687: 2014/10/19(日) 09:45:27 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。剣を抜け!」

魔王「これより、勇者と魔王による一騎討ちを始める!」

魔王「ここ最近、私はかなりストレスが溜まっていた!」

魔王「おかげで、こっちは心身共にズタボロだったからな!」

スチャ、スラァン……

スチャ、スラァン……

688: 2014/10/19(日) 09:45:38 ID:z2jqSLr2
側近「皆の者、一切手出しはするなよ!」

側近「これは、陛下たっての希望でもある!」

側近「万が一、この場で陛下がお亡くなりになったとしても、誰一人として手出しするな!」

側近「勇者の事を、生きてそのまま祖国にまで返してやれ!」

守備兵達「はっ!」

勇者「ほう……」

689: 2014/10/19(日) 09:45:48 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。安心しろ!」

魔王「歴代の勇者も、こうして一騎討ちをしてきた!」

魔王「私の父は、こうして亡くなられた!」

魔王「本当に、良い氏に顔をしていたよ!」

勇者「……」スチャ

魔王「側近!」スチャ

690: 2014/10/19(日) 09:45:58 ID:z2jqSLr2
側近「では、始め!」

側近「陛下。ご健闘をお祈り致しますぞ!」

魔王「ああ、了解した!」

勇者「行くぞ、魔王!」

魔王「……」ダッ

勇者「……」ダッ

691: 2014/10/19(日) 09:46:29 ID:z2jqSLr2
キン、キンキン……

キンキン、キンキン……

キーーーーーーーーン……

魔王「ほう……」ギリギリッ

勇者「くっ、やるな……」ギリギリッ

シュン、バーーーーーーーーン……

692: 2014/10/19(日) 09:48:48 ID:z2jqSLr2
勇者「とりゃあ!」ブン

魔王「はっ!」キン

勇者「たあっ!」ブン

魔王「甘いわ!」キン

側近「……」

守備兵達(あの陛下が、珍しく真面目に政務してる……)

693: 2014/10/19(日) 09:48:59 ID:z2jqSLr2
魔王「とうっ!」ブン

勇者「はっ!」キン

魔王「甘い!」ブン

勇者「くっ!」キン

側近「……」

守備兵達(普段も、あれぐらい真面目にしてくれたら良いのに……)

694: 2014/10/19(日) 09:49:11 ID:z2jqSLr2
勇者(こいつ、かなり強いな……)

勇者(さすがは、魔王と名乗るだけあるか……)

勇者(そりゃあ、余裕で一騎討ちなんてするわな……)

勇者(普通なら、その辺の雑魚とかに任しとけば良いのに……)

魔王「……」ジリジリッ

勇者「……」ソソソッ

695: 2014/10/19(日) 09:49:24 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。逃げるだけか?」

魔王「早く私を倒さねば、貴様の悪評が更に追加されるぞ!」

勇者「ちくしょ~~~~っ!」ダッ

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「くっ……」ギリギリッ

696: 2014/10/19(日) 09:49:40 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。貴様の腕はその程度か?」ギリギリッ

魔王「その程度で、よく私の事を殺そうとしていたな」ギリギリッ

勇者「……」ギリギリッ

魔王「勇者。早く私の事を殺せ!」ギリギリッ

魔王「でなければ、ますます人間達が更なる不幸に見回れるぞ!」ギリギリッ

勇者「……」ギリギリッ

697: 2014/10/19(日) 09:49:52 ID:z2jqSLr2
側近(いかん。陛下が氏にたがってる……)

側近(ここ最近、ろくに休みすら与えていなかったからな……)

側近(まさか、陛下は氏ぬ気なのか?……)

側近(いや、出来ればそうあってほしくない……)

魔王「……」ギリギリッ

守備副長(今日の陛下、やけに生き生きしてるなぁ……)

698: 2014/10/19(日) 09:50:09 ID:z2jqSLr2
守備隊長「側近殿、大丈夫なのですか?」

守備隊長「陛下は、やけに生き生きしておりますが」チラッ

側近「なぁに、陛下なら大丈夫だ」

側近「今の陛下は、ただ日々のストレスを発散されているだけだ」

守備隊長「しかし!」ギロッ

守備副長「隊長!」

699: 2014/10/19(日) 09:50:26 ID:z2jqSLr2
側近「つい昨日、陛下は大公殿下のお見舞いに行かれた」

側近「その後に、陛下は今は亡き御先代様の王墓にまで行かれ、今現在の綺麗に整えられたお姿を披露された」

側近「今の陛下は、勇者と戦えて大変満足している!」

側近「皆、何も心配はいらない!」

魔王「……」ブン

勇者「……」キン

700: 2014/10/19(日) 09:50:36 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。早く私を殺せ!」ブンブン

魔王「早く、私の魔王としての職務から解放させろ!」ブンブン

勇者「……」サッサッ

魔王「勇者。早くせぬか!」ブンブン

魔王「貴様が私を殺さなければ、一体誰が私を頃すのだ?」ブンブン

勇者(いや、そんな事を言われても……)サッサッ

701: 2014/10/19(日) 09:50:50 ID:z2jqSLr2
守備隊長「側近殿、今の発言は問題ではないか?」

守備隊長「貴殿はやはり、陛下の事を酷使し過ぎなのでは?」クルッ

側近「いや、何も問題はない!」

側近「あれはただ、陛下の職務怠慢が招いた結果なのだ!」

守備隊長「しかし!」

側近「何か問題でも?」ギロッ

702: 2014/10/19(日) 09:54:45 ID:z2jqSLr2
勇者「魔王。早く倒れろ!」ブンブン

勇者「そんなに強いから、俺がお前を殺せねぇんだろうが!」ブンブン

魔王「……」サッ

勇者「魔王。早く氏ねよ!」ブンブン

勇者「じゃないと、俺の悪評が更に増えちまう!」ブンブン

魔王「……」サッサッ

703: 2014/10/19(日) 09:54:56 ID:z2jqSLr2
勇者「てめぇ、避けるな!」ブンブン

勇者「てめぇは、氏にたいんじゃないのか?」ブンブン

勇者「ついさっきから、てめぇの言葉と行動が一致してねぇよ!」ブンブン

勇者「だから、早く俺に斬られろや!」ブンブン

魔王「……は?」サッサッ

魔王「そう簡単にやられるかーーーーっ!」サッサッ

704: 2014/10/19(日) 09:55:07 ID:z2jqSLr2
勇者「魔王。早く氏ね!」ブンブン

勇者「世界の平和の為に氏ね!」ブンブン

勇者「そうすれば、世界に平和が訪れる!」ブンブン

勇者「皆、お前みたいな奴がいるから、こんな事になるんだ!」ブンブン

魔王「何をーーーーっ!?」サッサッ

勇者「いい加減、避けるなぁーーーーっ!」ブンブン

705: 2014/10/19(日) 09:55:18 ID:z2jqSLr2
キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キーーーーーーーーン……

魔王「勇者。そろそろ終わりだ!」ギリギリッ

魔王「貴様と戦えて、私は嬉しかったぞ!」ギリギリッ

勇者「……?」ギリギリッ

706: 2014/10/19(日) 09:55:34 ID:z2jqSLr2
シュン、バン……

魔王「とりゃあ!」ブン

勇者「しまった!」キン

魔王「はっ!」ブン

勇者「うわっ!」キン

フラッ、ドサッ……

707: 2014/10/19(日) 09:55:45 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。勝負あったか?……」

魔王「貴様は、まだ剣を持てるか?……」

勇者「ああ、まあな……」

魔王「なら、早く剣を持て……」

魔王「さぁ、今から続きをするぞ……」

勇者「ああ、了解した……」スッ、ムクッ

708: 2014/10/19(日) 09:56:17 ID:z2jqSLr2
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

側近「む?」クルッ

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

709: 2014/10/19(日) 09:56:32 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「うむ。間に合ったか」

魔王叔父「なんとか、まだあの娘を氏なせずにいたな」

魔王叔父「護衛隊長。よく知らせてくれた!」

魔王叔父「でなければ、私はあの娘の葬儀に出なくてはならなかったぞ!」

護衛隊長「はっ、恐れ入ります!」

側近(何故、殿下がここに?)

710: 2014/10/19(日) 09:57:03 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「側近。戦況は?」

魔王叔父「今、どちらが有利なのだ?」

側近「はっ、今現在、陛下の方が優勢にございます!」

側近「ご連絡を頂ければ、こちらからお迎えに上がりましたのに!」

魔王叔父「まぁ、良いではないか」ニッコリ

側近「殿下にもしもの事があれば、魔界の一大事ですぞ!」ギロッ

711: 2014/10/19(日) 09:57:13 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「はははっ、そなたは相変わらずじゃな!」ニコニコ

魔王叔父「そう言った所があるから、そなたを側近にして良かった!」ニコニコ

魔王叔父「今は亡き兄上も、あの娘同様によく怠けていた!」ニコニコ

魔王叔父「だがな、魔王となったからにはそうも行かない!」ニコニコ

魔王叔父「そんな兄上の事を立派な魔王にしたのは、そなたの兄だったからな!」ニコニコ

側近「……」

712: 2014/10/19(日) 09:59:31 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「それで、あの子の容姿はどうやって戻った?」ニコニコ

魔王叔父「私が聞いたのは、エルフ王国から仕入れた秘薬によるものと聞いていたが」ニコニコ

側近「はい。それに関しては相違ございません!」

側近「陛下は、エルフ王国におりますエルフ女子爵より、その秘薬を入手致しました!」

側近「それを入手してすぐ、陛下はその場で試飲!」

側近「その秘薬の効果はかなり強力で、陛下の心身を完全に成人直後のお姿にまで若返らせた様です!」

713: 2014/10/19(日) 09:59:42 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「ほう、そうであったか!」ニコニコ

魔王叔父「通りで、あの南大陸侵攻作戦が上手く行った訳か!」ニコニコ

魔王叔父「まぁ、つい先日までの容姿と比べたら遥かにマシだろ!」ニコニコ

魔王叔父「私なんか、思わず何度もあの娘の容姿を確認したぞ!」ニコニコ

魔王叔父「ついうっかり、あの娘が氏んで私の元に別れの挨拶をしに来たと勘違いしてしまった!

魔王叔父「おかげで、あの娘からは強烈なビンタをお見舞いされたがな!」ニコニコ

714: 2014/10/19(日) 09:59:53 ID:z2jqSLr2
側近「殿下。本日の御用向きは、陛下への援軍と言う事で宜しいですかな?」

側近「次回からは、無断で病室を抜け出されるのは控えて頂きたい!」ギロッ

魔王叔父「まぁ、そう難いことを言うな」ニコニコ

魔王叔父「せっかく、私の後ろに四天王すら待機しているのだし」ニコニコ

魔王叔父「どっちかと言うと、私の方が現職の魔王っぽいな!」ニコニコ

魔王叔父「今後、私は大魔王とでも名乗ろうかのぅ!」ニコニコ

715: 2014/10/19(日) 10:00:03 ID:z2jqSLr2
魔王「とりゃあ!」ブン

勇者「うわっ!」キン

魔王「ふん、甘いわ!」ブン

勇者「なっ!?」キン

フラッ、ドサッ……

魔王叔父「おっ、あの娘が勝った様じゃな!」ニコニコ

716: 2014/10/19(日) 10:00:14 ID:z2jqSLr2
魔王「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔王「はぁ、はぁ、はぁ……」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔王「……」スッ

勇者「くっ……」プイッ

717: 2014/10/19(日) 10:00:25 ID:z2jqSLr2
魔王「勇者。ご苦労だった!」スッ

魔王「貴様の事を私は生涯忘れぬ!」スチャ

勇者「くそーーーーっ……」ウルッ

魔王「勇者。どうか安らかに眠れ!」

魔王「私の剣は、鎖帷子をも突き刺す事が出来る!」シュッ

勇者「ーーーーっ!?」グサッ

718: 2014/10/19(日) 10:00:35 ID:z2jqSLr2
スッ、ズボッ……

勇者「うぐう、うぐううううううううっ……」モゾモゾッ

勇者「うぐう、うぐううううううううっ……」モゾモゾッ

勇者「うぐう、うぐううううううううっ……」モゾモゾッ

勇者「うぐう、うぐううううううううっ……」モゾモゾッ

勇者「うっ……」ガクッ

魔王「はぁ、はぁ、はぁ……」

719: 2014/10/19(日) 10:01:06 ID:z2jqSLr2
パチパチパチパチッ、パチパチパチパチッ……

魔王「ん?」ハッ

パチパチパチパチッ、パチパチパチパチッ……

魔王叔父「姪よ。よくやってくれた!」ニコニコ

魔王叔父「それでこそ、我が兄の娘だ!」ニコニコ

魔王「……えっ!? 叔父上!?」

720: 2014/10/19(日) 10:01:16 ID:z2jqSLr2
魔王「叔父上。どうしてここに!?」

魔王「と言うか、出歩いてても大丈夫なのですか!?」

魔王叔父「まぁ、ちょっとダイエットを兼ねた運動にな」ニコニコ

魔王叔父「ここ最近、医師から運動をする様に指導されたからだ」ニコニコ

魔王「は、はぁ……」

勇者の氏体「……」ポタポタッ

721: 2014/10/19(日) 10:01:26 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「ただ、本当は、屋敷に戻って甘い物を食いたかったんだがなぁ……」

魔王叔父「ウチの娘が、すぐに気づいて全て取り上げるのだ……」ウルッ

魔王叔父「ここ最近、私はやけにストレスが溜まっとる!」ウルウルッ

魔王叔父「おまけに、歩く時ですら足が痛くなってきた!」ウルウルッ

魔王「……叔父上」

魔王(そりゃあ、あんだけ食べてたら取り上げられるのも無理はないでしょう……)スッ、カシャン

722: 2014/10/19(日) 10:03:38 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「姪よ。話が変わるが、明日から私は大魔王を名乗ろうと思う!」

魔王叔父「そして、世界の全てを甘い物だらけにするのだ!」

魔王(いや、それは……)

魔王叔父「だから、そなたもそれに協力をしてくれ!」

魔王叔父「全ては、この私を不治の病にした食生活が悪い!」

魔王叔父「自分でも分かっとったが、これだけはどうしても止められないのだ!」

723: 2014/10/19(日) 10:04:03 ID:z2jqSLr2
魔王「だったら、早く病室に戻って下さい!」

魔王「と言うか、ただ単に60種類のハーブを混ぜ合わせた飲み薬を、そのまま飲んで寝てるだけでしょうが!」

魔王叔父「だが、私の場合はそれだけでは無理だ!」

魔王叔父「本当に、地獄の様な味気のない料理ばかりを私の妻や医師等に食べさせられる!」

魔王「とにかく、叔父上は今すぐ病室に戻って下さい!」

魔王「今度、エルフ王国に住む友人に頼んで、その病に効く秘薬はないか問い合わせてみますので!」

724: 2014/10/19(日) 10:04:15 ID:z2jqSLr2
魔王叔父「む? それは誠か?」

魔王叔父「そなたの事を信じて、本当に大丈夫なのだな?」

魔王「はい!」

魔王叔父「だったら、私は病室に帰る!」

魔王叔父「そなたも、その友人とやらに感謝しとくのだぞ!」ニッコリ

魔王「はい。叔父上!」ニッコリ

725: 2014/10/19(日) 10:04:34 ID:z2jqSLr2
側近「陛下。お疲れさまです!」

側近「後の事は、この私にお任せ下さい!」

側近「ささっ、陛下はすぐに執務室へ!」

側近「この度の戦に掛かった諸経費等の決済を、早く済まさなくてはなりませんからな!」

魔王「ええーーーーっ!?」ガーーン

魔王叔父「せめて、祝い酒ぐらいは飲みたいのだが!?」ガーーン

726: 2014/10/19(日) 10:04:44 ID:z2jqSLr2
側近「殿下。それは、なりませぬぞ!」

側近「特に、殿下は飲酒すらもまた固く禁じられておられるではないですか!」

魔王叔父「いや、別に良いではないか……」

側近「何か、この私からの進言に問題でも?……」ギロッ

側近「私は、殿下のお体を大切に思っているのです!」ジーーッ

魔王叔父「いや、そんな本気で睨み付けなくても……」

727: 2014/10/19(日) 10:04:54 ID:z2jqSLr2
側近「では、各四天王方もお引き取りを!」

側近「護衛隊長は、殿下を至急病室にまでお送り下さい!」

護衛隊長「うむ。了解した!」

魔王叔父「姪よ。本当にすまぬ!」

魔王叔父「兄上が亡くなった後、あ奴の事も一緒に葬っとけば良かった!」ペコッ

魔王「はい。全くもってその通りでございます!」ウルッ

728: 2014/10/19(日) 10:05:25 ID:z2jqSLr2
護衛隊長「では、そろそろ参りましょうか」

護衛隊長「ここにいても、息が詰まるだけですぞ」

魔王「ああ、そうだな……」

魔王叔父「姪よ。また私の見舞いに来ておくれ……」

魔王叔父「今度は、絶対に甘い物を食ってやる!」ウルッ

魔王「はい。叔父上……」ウルウルッ

729: 2014/10/19(日) 10:05:35 ID:z2jqSLr2
護衛隊長「殿下。もう行きますぞ」

護衛隊長「そうしなければ、また奥方様が」

魔王叔父「ああ、分かってる分かってる」

魔王叔父「あ奴、ここ最近は本当に口うるさいからなぁ」

クルッ、ジャラジャラシャラジャラ……

ジャラジャラシャラジャラ、ジャラジャラシャラジャラ……

730: 2014/10/19(日) 10:05:45 ID:z2jqSLr2
魔王(案外、今回の勇者は弱かったな……)

魔王(前に戦った勇者は、まだ強かったのに……)

魔王(う~~ん。ここ最近の私は、かなり運動不足ねぇ……)

魔王(久し振りに戦闘とかしちゃってたから、すぐ息が上がっちゃってた……)

スッ、ヌポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

731: 2014/10/19(日) 10:05:59 ID:z2jqSLr2
魔王(とりあえず、この勇者は解放してあげるか……)

魔王(なんか、やけにあの女僧侶に抱きつかれてたし……)

魔王(まぁ、氏体さえ送れば勝手に向こうで蘇生してくれるし……)

魔王(もしかしたら、またこの勇者と戦えるかもしれないからね……)

魔王「……」チラッ

勇者の氏体「……」ポタポタッ

733: 2014/10/20(月) 10:54:39 ID:mc3NP7cQ
~教会付属病院・病室~

武闘家妹「女僧侶。大丈夫?」

武闘家妹「まだ、ここで休んどく?」

女僧侶「……うん」

武闘家妹「勇者。本当に大丈夫なのかな?」

武闘家妹「あの時は、女僧侶だけが解放されたんだよね?」

734: 2014/10/20(月) 10:54:50 ID:mc3NP7cQ
女僧侶「ええ、そうよ……」

女僧侶「あの時会ったあの人が、その場にはいたからね……」

武闘家妹「……そう」

女僧侶「だから、私は助かったのかな?……」

女僧侶「勇者様、どこか遠くへと連れてかれたみたいだから……」

武闘家妹「うん。そうみたいだね……」

735: 2014/10/20(月) 10:55:01 ID:mc3NP7cQ
女騎士「けど、私はその話を魔女からは聞いてはいないぞ……」

女騎士「一体、あそこで何があったんだよ?……」

女僧侶「……」

女騎士「お前、本当にあれで良かったのか?……」

女騎士「結果はどうあれ、あのクソジジイが氏んだのは間違いないが……」

女僧侶「……うん」

736: 2014/10/20(月) 10:55:20 ID:mc3NP7cQ
武闘家妹「でも、あれはあれで良かったと思うよ……」

武闘家妹「一体、どれだけの人達が不幸になっていたと思うの?……」

女騎士「だがな、魔女はもう完全に女にまで堕ちてしまった……」

女騎士「結局、今の私達には何も出来ていない……」

女騎士「たった一人の友人ですら、ろくに救う事すら出来ずにいるんだからな……」ウルッ

武闘家妹「うん。そうだね……」

737: 2014/10/20(月) 10:55:31 ID:mc3NP7cQ
女僧侶「とりあえず、今は魔女をなんとかしないとね……」

女僧侶「魔女は、今日もまた店に出てるの?……」

女騎士「ああ、そうだ……」

女僧侶「魔女。貴女、本当にどうしちゃったの?……」

女僧侶「あんな事を躊躇いもなくする魔女なんて、私の知ってる魔女じゃない……」ウルッ

女騎士「ああ、そうだな……」ウルッ

738: 2014/10/20(月) 10:55:52 ID:mc3NP7cQ
武闘家妹「じゃあ、今の私達に出来る事は?……」

武闘家妹「魔女。また、それが原因で望まない妊娠をしちゃうよ……」

女騎士「……」ウルウルッ

女僧侶「結局、今の私達には祈る事しか出来ないのね……」ウルウルッ

女僧侶「ああ、神よ。どうか、魔女をお救い下さい!」グッ

女騎士「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

739: 2014/10/20(月) 10:56:02 ID:mc3NP7cQ
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

僧侶「女僧侶。具合の方はどうですか?」

僧侶「僕達は今、診察の帰りに寄ってみたんですが」

女僧侶「ううん。全然……」

武闘家妹「僧侶。戦士達の具合はどう?」クルッ

740: 2014/10/20(月) 10:56:24 ID:mc3NP7cQ
僧侶「戦士達は、まだ眠っています」

僧侶「僕と商人が、すぐに目を覚ましたのですが」

武闘家妹「そう。兄さんはまだなんだ……」

武闘家妹「兄さんも、早く目を覚ませば良いのに……」ガクッ

僧侶「ええ、そうですね……」

商人「すまねぇ、武闘家妹……」

741: 2014/10/20(月) 10:56:34 ID:mc3NP7cQ
女騎士「でも、お前らは本当によく生きてたよな?……」ポロポロッ

女騎士「魔王城へ突入した時、本当にヤバかったんだろ?……」ポロポロッ

商人「うっ、今のお前泣き顔凄いぞ……」

商人「お前のそこまで悲しんでる顔、今日初めて見たんだが……」ソソッ

女騎士「うるさい……」ポロポロッ

武闘家妹「それで、どうだったの?……」

742: 2014/10/20(月) 10:56:44 ID:mc3NP7cQ
僧侶「実は、あの時の突入はかなり危なかったです!」

僧侶「僕が覚えている限りでは、敵の攻撃によって魔法使いの張ったシールドが、すぐに破かれてしまったんです!」

女騎士「!?」ガーーン

僧侶「その後、敵の放った矢がかなり強力でした!」

僧侶「僕と商人は、それを受けてすぐ一度戦氏してしまった訳なんです!」

武闘家妹「……そう、そうだったんだ」

743: 2014/10/20(月) 10:59:09 ID:mc3NP7cQ
女騎士「じゃあ、その後の事に関しては?……」ポロポロッ

女騎士「お前達、その後勇者がどうなったか何も知らないのか?……」ポロポロッ

僧侶「ええ、本当に僕達は何も知りません」

商人「俺達が目を覚ました時には、ここの病院のベットの上だったからな」

僧侶「ええ、そうですね」

商人「そっちは、何か聞いてないのか?」

744: 2014/10/20(月) 10:59:19 ID:mc3NP7cQ
女騎士「残念だが、私達が知ってるのは、勇者達が突入に失敗したと言う事だ……」ポロポロッ

女騎士「私達は、その知らせを聞いてすぐ連合軍拠点にまで飛んだ……」ポロポロッ

女騎士「そこで、お前達をここに移送する手伝いをし、女僧侶は勇者の側に付いていた……」ポロポロッ

女騎士「その日の夜、勇者が連合軍拠点の中で目を覚ましていたのは、女僧侶がこの目で確認をしている……」ポロポロッ

商人「……そうか」

僧侶「勇者達は、かなり危ない状況だったんですね……」

745: 2014/10/20(月) 10:59:30 ID:mc3NP7cQ
商人「なら、勇者はどこに行ったんだ?」

商人「聞く所によると、連合軍拠点が陥落をしたそうだが」

女僧侶「ええ、そうよ……」

僧侶「勇者。場合によっては、もう既に敵の手に……」

僧侶「恐らく、勇者は大魔導師様同様敵の手に落ちたのでしょう……」

商人「くっ、勇者……」ガクッ

746: 2014/10/20(月) 10:59:40 ID:mc3NP7cQ
女僧侶「商人の言う通り、連合軍拠点は陥落をしたわ……」

女僧侶「勇者様、せめて私だけでも逃がそうと敵の指揮官と交渉をしてた……」

商人「何?」ムクッ

女僧侶「私達が敵に捕らえられた時、まだ大賢者様達も生きていたの……」

女僧侶「けど、何故か大魔導師様だけが容赦なくその場で殺されちゃってね……」

女僧侶「私はその大魔導師様の生首をすぐに手渡され、私はすぐに王都にまで転送をされたわ……」

747: 2014/10/20(月) 10:59:51 ID:mc3NP7cQ
武闘家妹「まぁ、それに関しては自業自得でしょ!」

武闘家妹「だって、あのクソジジイは魔女に酷い事してたもん!」

僧侶「武闘家妹。そう言う事を大声で言ってはいけません!」

僧侶「それに関しては、皆そう思っているのですから!」

武闘家妹「うん。そうね!」ニッコリ

女騎士「だが、魔女が未だに報われてないぞ……」ポロポロッ

748: 2014/10/20(月) 11:00:13 ID:mc3NP7cQ
商人「まぁ、それに関しては、もうどうしようもないな……」

商人「あいつ、教会側からも良い印象を持たれてなかったからな……」

武闘家妹「だからと言って、あの仕打ちはないでしょ?」

武闘家妹「本当に、上も何を考えてんだか!」

僧侶「静かに!」ギロッ

武闘家妹「……は~~い」

749: 2014/10/20(月) 11:00:48 ID:mc3NP7cQ
商人「とりあえず、勇者の方はどうするか?」

商人「今動けるのは、俺達しかいねぇからな」

僧侶「ええ、そうですね」

女騎士「なら、私は教会の方に顔を出してくる……」ポロポロッ

女騎士「そろそろ、何か教会の方にも情報が入ってるはずだ……」ポロポロッ

女騎士「教会側からも、騎士の派遣をしていたみたいだし……」ポロポロッ

750: 2014/10/20(月) 11:00:58 ID:mc3NP7cQ
商人「じゃあ、教会側はお前達に任せる」

商人「俺達は、ここに入院してる奴等から事情を聞いてくるからよ」

武闘家妹「うん。お願いね」

僧侶「女騎士。そろそろ、泣き止んだらどうです?」

僧侶「貴女がそこまでなるとは、余程魔女の件がショックだったみたいですね」

女騎士「ああ、まあな……」ポロポロッ

751: 2014/10/20(月) 11:01:11 ID:mc3NP7cQ
女騎士「それじゃあ、私はもう行くな……」ポロポロッ

女騎士「武闘家妹。魔女の様子も見てくるから……」ポロポロッ

武闘家妹「いや、それ私が行くし……」

女僧侶「二人とも、どうか気を付けてね……」

女僧侶「私、女騎士達まで女になっちゃったら、確実に身投げするから……」ニッコリ

武闘家妹「だ、大丈夫だって……」

752: 2014/10/20(月) 11:01:21 ID:mc3NP7cQ
商人「女騎士、武闘家妹。何か分かったらすぐに知らせてくれ!」

商人「俺達の方でも、出来るだけ多く情報を仕入れてみる!」

商人「結局、俺達は本当に何も出来なかった……」

商人「せっかくの回復役が真っ先に氏んだら、勇者達ですら苦戦するからな……」

僧侶「ええ、そうでしたね……」

武闘家妹「うん。分かったわ」

753: 2014/10/20(月) 11:03:33 ID:mc3NP7cQ
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

武闘家妹「……」

女騎士「……」

女僧侶「はぁ……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

754: 2014/10/20(月) 11:03:43 ID:mc3NP7cQ
女僧侶「結局、私には祈る事しか出来ないのね……」

女僧侶「こんな事になるんだったら、あの時勇者様と旅をしてれば良かったわ……」

女騎士「ああ、そうだな……」ポロポロッ

武闘家妹「うん。そうだね……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

女僧侶「ふぅ……」

755: 2014/10/20(月) 11:03:57 ID:mc3NP7cQ
~王都・魔女の自宅~

グツグツグツグツ、グツグツグツグツ……

グツグツグツグツ、グツグツグツグツ……

魔女「……」ニヤニヤ

グツグツグツグツ、グツグツグツグツ……

グツグツグツグツ、グツグツグツグツ……

756: 2014/10/20(月) 11:04:08 ID:mc3NP7cQ
トントン、トントン……

魔女「はい。どなた?」クルッ

「魔女君、いるかな?」

「私は、XX教会の者なんだけど」

魔女「はい。少々お待ちくださいませ」

スタスタスタッ、ピタッ……

757: 2014/10/20(月) 11:04:23 ID:mc3NP7cQ
スッ、ガチャ……

魔女「はい。どうか致しましたか?」

司祭「おっ、いる様だね」

助祭「ええ、本当に良かったですね」

魔女「……?」

助祭「……」つ大魔導師の生首

758: 2014/10/20(月) 11:04:33 ID:mc3NP7cQ
司祭「君、早速で悪いんだけど、これは君の方で預かってくれる?」

司祭「これに関しては、我々の方でも受け取る事が出来ないんだ」

魔女「ああ、そうなんですか……」

司祭「だから、君にはこの生首を預かって貰うよ」

司祭「これ、かなり貴重な素材だからね」

司祭「だから、君に預かって貰いたいんだ」ニッコリ

759: 2014/10/20(月) 11:04:44 ID:mc3NP7cQ
魔女「はい。かしこまりました……」

魔女「本当に、師匠はかなり迷惑な存在ですね……」チラッ

大魔導師の生首「……」

司祭「まぁ、そう言ってあげるな」

司祭「一応、君の師匠だった人なんだし」

助祭「ええ、そうですね……」

760: 2014/10/20(月) 11:04:54 ID:mc3NP7cQ
助祭「……」スッ

魔女「……」スッ

魔女「……」ジーーッ

大魔導師の生首「……」

司祭「では、私達はこれで」

司祭「後、ちゃんとこれに関する手当ては出るからね」ニッコリ

761: 2014/10/20(月) 11:05:04 ID:mc3NP7cQ
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔女「……」ジーーッ

大魔導師の生首「……」

魔女「……」ジーーッ

大魔導師の生首「……」

762: 2014/10/20(月) 11:05:35 ID:mc3NP7cQ
魔女(これ、本当にどうしよう?……)

魔女(こんなの、私預かりたくもないんだけど……)

魔女(一体、教会側は何を考えてんのよ?……)

魔女(本当に、師匠は氏んだ後も誰かに迷惑を掛け続けるんだから……)

大魔導師の生首「……」

魔女「はぁ……」ガクッ

763: 2014/10/20(月) 11:08:31 ID:mc3NP7cQ
魔女(とりあえず、これは宝箱の中にでも入れときましょ……)

魔女(一応、師匠は教会指定の重要人物みたいだし……)

魔女(私としては、勇者達の行方の方が心配だわ……)

魔女(勇者。貴方は今、一体どこにいるの?……)

大魔導師の生首「……」

スッ、バタン……

764: 2014/10/20(月) 11:08:45 ID:mc3NP7cQ
魔女(まぁ、何かあったらすぐに連絡が来るでしょ……)

魔女(私、一応はあの方ともコネクションを持っちゃったから……)

魔女(本当に、師匠もいい気味だわ……)

魔女(いつか必ず、師匠は報いを受けると思っていたけど……)

魔女(まさか、こんな形になるとはね……)ニヤリ

大魔導師の生首「……」

765: 2014/10/20(月) 11:09:00 ID:mc3NP7cQ
~とある城・国王の間~

国王「将軍。ご苦労だった」

国王「本日を持って、そなたの任を解く」

国王「勇者の事に関しては、かなり残念であったが……」

国王「まぁ、これも定めなのかもしれないがな……」

将軍「はっ!」

766: 2014/10/20(月) 11:09:10 ID:mc3NP7cQ
国王「それで、そなたは今後どうする?」

国王「そなたが望むのなら、それなりの地位を与えるが」

国王「余としては、そなたの功績を高く評価しておる」

国王「だがな、そなたの領地は全て没収させて貰うぞ!」

将軍「!?」

将軍(何故、私だけが?……)

767: 2014/10/20(月) 11:09:20 ID:mc3NP7cQ
大臣「将軍。不服か?」

大臣「陛下は、貴殿の所領を没収したいとおっしゃってるのだが」

将軍「ですが、何故私だけなのです?」

将軍「それに、あそこは今は亡き父上から与えられた所領ですぞ!」

将軍「貴殿も、その事に関してはよくご存じのはずです」

国王「うむ。駄目か……」

768: 2014/10/20(月) 11:09:30 ID:mc3NP7cQ
大臣「実は、御先代様がお亡くなりになられる前に、そう命令を出されてな」

大臣「貴殿は、戦で南大陸に居たから何も知らないのも無理はない」

大臣「だから、貴殿には申し訳ないが貴殿の所領を没収させて頂く!」

大臣「これは、今は亡き御先代様からの命令なのだからな!」

将軍「くっ……」ギロッ

国王「本当にすまぬ……」

769: 2014/10/20(月) 11:09:40 ID:mc3NP7cQ
国王「将軍。受け入れてくれるか?」

国王「これも、この度の戦による結果なのだ」

国王「我々は、魔王軍の前に惨敗した」

国王「その上、勇者ですら行方知れずとなってしまっている」

国王「その事についてを、そなたはよく理解しておるか?」

国王「一体、そなたはどれだけの戦費を浪費したと思っておるのだ?」

770: 2014/10/20(月) 11:09:50 ID:mc3NP7cQ
将軍「ですが、あれはあれて致し方なく思っております!」

将軍「戦には、常に犠牲は付き物!」

将軍「あの戦で得た物は、我々は何一つありません!」

将軍「それにも関わらず、何故私だけが所領を没収されるのです?」

国王「……」

将軍「兄上!」ギロッ

771: 2014/10/20(月) 11:10:00 ID:mc3NP7cQ
国王「将軍。我が弟よ……」

国王「これも、致し方ない事なのだ……」

国王「そなたには、地方の政務官として今後は職務に励んで貰う……」

国王「それと同時に、そなたの王位継承権も爵位もなくなった……」

国王「これについては、もう本当に致し方ない事なのだ……」

将軍「ふざけるなーーーーーーーーっ!」ブチッ

772: 2014/10/20(月) 11:10:12 ID:mc3NP7cQ
大臣「これ、弟よ。何だその振る舞いは?」

大臣「兄上とて、こんな命令を出したくはないのだ!」

大臣「だが、無情にも父上は兄上に対してそう命じられた!」

大臣「少しは、兄上の気持ちを察してほしい!」

将軍「ですが!」

国王「……」

773: 2014/10/20(月) 11:12:34 ID:mc3NP7cQ
大臣「将軍。それを受け入れたくない気持ちも分かる!」

大臣「だがな、これも命令なのだ!」

将軍「だったら、何故私を呼び戻さなかったのです?」

将軍「私だって、立派な王位継承者です!」

将軍「兄上、何故私だけなのですか?」

将軍「この度の戦の敗因は、私にだけとは思えませぬ!」

774: 2014/10/20(月) 11:12:45 ID:mc3NP7cQ
国王「では、何故そなたまで召喚兵を用いたのだ?」

国王「召喚兵は、氏者を使ったと聞く」

将軍「!?」

大臣「大魔導師も大賢者も、それを承知の上で使用していた!」

大臣「そなたは、それを存じた上で戦に用いていたのか?」

将軍「いいえ!」

775: 2014/10/20(月) 11:12:55 ID:mc3NP7cQ
国王「将軍、我が弟よ。本当にすまぬ……」

国王「余達は、なんとか父上に思い止まって貰おうと日々努力してきた……」

国王「それに、そなたがそれを用いたと聞いた時には、大層ご立腹であったぞ……」

国王「余も大臣も、そなたがそれを用いた事を理解している……」

国王「だがな、父上は自然の摂理を乱す召喚兵を用いる事は、断固反対だった……」

国王「それが原因で、父上はお亡くなりになられる直前に、余達に対してそう命じられたのだ……」

776: 2014/10/20(月) 11:13:25 ID:mc3NP7cQ
将軍「では、私はもうただの領民と?」

将軍「今の私は、爵位も所領も持たないただの領民なのですね?」ギロッ

国王「ああ、その通りだ……」

将軍「兄上、いや陛下。これまで、本当にお世話になりました……」

将軍「私は、陛下の元で仕えれた事を誇りに思います……」スッ

国王「待て!」ハッ

777: 2014/10/20(月) 11:13:37 ID:mc3NP7cQ
大臣「これ、まだ早まるではない!」

大臣「まだ、そなたの希望を聞いておらぬぞ!」

将軍「……何?」ギロッ

国王「将軍、我が弟よ。まだそなたは、爵位も領地も失ってはいない!」

国王「たとえそれを失ったとして、今は亡き父上による遺言を今の余達が受け入れると思っとるのか?」

将軍「……あっ」パッ

778: 2014/10/20(月) 11:13:56 ID:mc3NP7cQ
大臣「だから、そなたの今後の希望を言え!」

大臣「最初に、兄上はそなたに聞いたぞ。今後どうしたいと?」

大臣「それに、そなたの処遇が確定しているのなら、もう既に通知が行っていたはずだ!」

大臣「父上がそれを無理に出そうとしたが、直前で父上はお亡くなりになられたのだ!」

国王「……」

将軍「……誠なのですか?」

779: 2014/10/20(月) 11:14:10 ID:mc3NP7cQ
国王「ああ、誠だ!」

国王「だから、そなたの処遇を今から決定する!」

国王「これまで通り、余が治める領地の中で領主をするのも良い!」

国王「そなたは、一番長く南大陸で戦ってきた!」

国王「だから、そなたの希望を述べよ!」

国王「余達は、出来る限りそなたの希望を聞き入れてやるぞ!」ニッコリ

780: 2014/10/20(月) 11:14:40 ID:mc3NP7cQ
将軍「兄上。私は、今後も同じ地で領主として収まりたいと思います!」

将軍「今後も兄上の臣下として、誠心誠意与えられた職務を全うする所存であります!」

将軍「つい先程までのこの私の振る舞い、どうかお許し下さい!」ペコッ

将軍「私は、危うく自身を見失い掛けておりました!」

国王「うむ。了解した!」ホッ

大臣「相変わらず、そなたは拙速な所があるのぅ」ホッ

781: 2014/10/20(月) 11:15:13 ID:mc3NP7cQ
大臣「では、XXXXXX公爵!」

大臣「本日付で、そなたの将軍としての任を解く!」

大臣「今後は、これまで通りXXXX地方XXXX郡XXXX町の領主として励め!」

大臣「良いな?」

将軍「はっ、承りました!」

国王「うむ。大義であった」

782: 2014/10/20(月) 11:15:22 ID:mc3NP7cQ
大臣「ああ、弟よ。後日宴を開いてやる」

大臣「日付については、追って伝える」

大臣「これまでのそなたの働き、本当にご苦労だった!」

大臣「戦に掛かった費用は、こちらで持つ!」

大臣「そなたは、もうゆっくりと休むが良い」

将軍「はっ!」ムクッ

783: 2014/10/20(月) 11:16:20 ID:mc3NP7cQ
スッ、ガチャ……

伝令兵長「失礼致しまする!」

伝令兵長「陛下。赤竜娘様がお見えです!」

伝令兵長「如何致しますか?」

国王「何? 赤竜娘様がか?」

伝令兵長「はい!」

784: 2014/10/20(月) 11:16:30 ID:mc3NP7cQ
国王「では、赤竜娘様をここに!」

国王「大臣、将軍。そなたもここにおれ!」

伝令兵長「はっ!」

スッ、バタン……

国王(一体、何故余の元に神の使いが?)

国王(もしや、勇者の行方が分かったのだろうか?)

788: 2014/10/21(火) 08:08:43 ID:Ph2ehhLc
~魔界・転移門~

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ダン、カシャン……

魔王叔父一行「……」

789: 2014/10/21(火) 08:08:57 ID:Ph2ehhLc
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

魔王従妹「……」ヌッ

魔王叔父「……む?」ピタッ

790: 2014/10/21(火) 08:09:13 ID:Ph2ehhLc
魔王従妹「お父様。どちらにお出掛けだったのですか?」

魔王従妹「お父様のお見舞いに行ってみたら、病室を抜け出されたと聞きましたが」ニッコリ

魔王叔父「……すまぬ」ペコッ

魔王従妹「全く、これだからお父様は……」

魔王従妹「どうせまたお父様の事ですから、陛下の事が心配になられていたのでしょ?……」ギロッ

魔王叔父「ああ、まあな……」

791: 2014/10/21(火) 08:09:28 ID:Ph2ehhLc
魔王従妹「それで、陛下のご様子は如何でしたか?」

魔王従妹「何やら、とても見るに堪えなかったお姿が、奇跡的に改善されたとお聞きしましたが?」

魔王叔父「うむ。あの娘は元気にしておったぞ!」

魔王叔父「本日もまた、活きの良い勇者をすぐに始末しとったわ!」ニッコリ

魔王従妹「ちっ……」イラッ

護衛隊長(ああ……)

792: 2014/10/21(火) 08:09:42 ID:Ph2ehhLc
魔王従妹「でしたら、まだ陛下は魔王の地位に就いていると?……」

魔王従妹「私としては、早く別のお方になって貰いたいのですが……」

魔王叔父「だが、今の魔界にはあの娘以外に成り手がおらん!」

魔王叔父「何故なら、皆が魔王には絶対に成りたがらない!」

魔王叔父「事実、魔王と言っても、単なる魔界における貴族の代表でしかないのだ!」

魔王叔父「だから、皆が魔王にだけは絶対に成りたがらないのだ!」ウルッ

793: 2014/10/21(火) 08:09:56 ID:Ph2ehhLc
魔王従妹「では、何故あの怠け癖のある陛下が、魔王に就任出来たのです?」

魔王従妹「どちらかと言うと、誰か一人くらいは反対しているはずですが」

魔王叔父「残念な事に、魔王に就任する為には選挙で選ばれる!」

魔王叔父「その時、他の候補者もいたのだが、あの娘がトップ当選を果たしていた!」

魔王叔父「その上、あの娘は文武両道で今は亡き御先代様の仇も討たれた!」

魔王叔父「だから、あの娘は魔王に就任出来たのだ!」

794: 2014/10/21(火) 08:10:28 ID:Ph2ehhLc
魔王従妹「じゃあ、陛下は今度ずっと魔王でおられると?」

魔王従妹「さすがに、そればっかりは嫌ですわ!」ギロッ

魔王叔父「……」ビクッ

魔王従妹「ねぇ、お父様。それについては、お父様のお力等で何とかならないのですか?」

魔王従妹「私は、陛下が今度も魔王の座に居続ける事に反対です!」

魔王従妹「あの怠け癖のある従姉だけは、絶対に認める訳には行きませんわ!」

795: 2014/10/21(火) 08:10:42 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父「だが、あの娘以外に成り手がおらぬのも、また事実なのだぞ!」

魔王叔父「私としては、別にあの娘の代わりに魔王に就くつもりもない!」

魔王従妹「!?」ガーーン

魔王叔父「私としては、ほぼ毎日の様に甘い物さえ食えていれば、それで良いのだ!」

魔王叔父「兄上がお亡くなりになった後、私を推す声もあったが全て断っておいた!」ニッコリ

魔王従妹「ーーーーっ!?」ガーーン

796: 2014/10/21(火) 08:11:16 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父「だから、そなたもその様な事を申すな!」

魔王叔父「他の者に聞かれたら、いらぬ誤解等を与えてしまう!」

魔王叔父「それに、私はもう既に長くはないのだ!」

魔王叔父「でなければ、私もあの娘の事を推す事もなかっただろう!」

魔王従妹「……」ブチッ

スッ、バシコーーーーーーーーン!

797: 2014/10/21(火) 08:11:30 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父「ぐっ、ぐはっ……!?」

魔王叔父「む、娘、何をする……」

護衛隊長(ああ、やってしまった……)ハッ

魔王従妹「お父様。私、心底お父様の事を見損ないました!」ニッコリ

魔王従妹「あんな年増女にたぶらかされている様でしたら、お父様がせっかくのお誘いをお断りになられるのも無理はないですね!」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

798: 2014/10/21(火) 08:13:26 ID:Ph2ehhLc
護衛隊長「大公殿下。大丈夫ですか?」クルッ

護衛隊長「また、見事にお嬢様からの右ストレートを腹部に受けておられましたが」

魔王叔父「ああ、大丈夫だ……」

火の四天王「貴殿。そう言う事を申すのなら、最初から貴殿が受け止めよ……」

火の四天王「貴殿は、一体何の為に大公殿下の護衛に就いているのだ?……」

水の四天王「ああ、確かに……」

799: 2014/10/21(火) 08:13:44 ID:Ph2ehhLc
護衛隊長「ですが、相手は大公殿下のご令嬢ですぞ!」

護衛隊長「私如きが、あの白く美しい肌に触れる等、断じて許される訳がない!」

火の四天王「まぁ、確かにそうなのだが……」

地の四天王「だが、私は貴殿の取った行動には些か問題がある様に見える」

地の四天王「現に、大公殿下は心にも深い傷を負った」

地の四天王「これについても、貴殿はどう弁解を致すのだ?」

800: 2014/10/21(火) 08:14:02 ID:Ph2ehhLc
護衛隊長「ですが、私の様な者が触れるだけでも一大事ですぞ!」

護衛隊長「各四天王方達も存じておるはず!」

護衛隊長「過去に、大公殿下の奥方様の肌に触れた瞬間、何人もの護衛や使用人達がすぐさま処刑された!」

護衛隊長「だから、自然と自身の体が動かなくなってしまったのだ!」

魔王叔父「!?」ガーーン

護衛副長(隊長。お気持ちだけは、痛い程よく分かりまする……)ウルッ

801: 2014/10/21(火) 08:14:16 ID:Ph2ehhLc
地の四天王「だが、それでも大公殿下の事をお守りするのが正解であった!」

地の四天王「今の貴殿は、護衛失格である!」

地の四天王「私としては、貴殿を大公殿下の側から離しておきたい?」

地の四天王「そうは思わんか? 風の四天王殿」チラッ

風の四天王「ええ、全くもってその通りです」

護衛隊長「殿下は、如何お考えでしょうか?」ギロッ

802: 2014/10/21(火) 08:14:32 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父「……私としては、今回の事を不問としたい」

魔王叔父「護衛隊長。私の妻や娘達の事で、本当に迷惑を掛けた」ペコッ

地の四天王「殿下!?」ガーーン

魔王叔父「とにかく、私が不問と言えば全て不問とするぞ!」

魔王叔父「諸君らも、いらぬ嫌疑を掛けたりをすらな!」

魔王叔父「護衛隊長がいなくなったら、誰も私の護衛をやりたがらないだろ!」ギロッ

803: 2014/10/21(火) 08:14:46 ID:Ph2ehhLc
地の四天王「はっ、かしこまりました!」

地の四天王「我らは、大公殿下の決定に従います!」

地の四天王「ですが、私達はまだ諦めてはおりませぬぞ!」

地の四天王「いずれ、大公殿下には魔王就任を果たして頂く!」

地の四天王「それだけは、どうか覚えていただきたい!」

魔王叔父「……ああ、了解した」フン

804: 2014/10/21(火) 08:15:01 ID:Ph2ehhLc
ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

護衛副長「……」スッ

護衛兵達「……」ダッ

805: 2014/10/21(火) 08:15:14 ID:Ph2ehhLc
スッ、ガチャ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ダン、カシャン……

護衛副長「……」

クルッ、ジャラジャラジャラジャラ……

806: 2014/10/21(火) 08:15:27 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父(全く、どいつもこいつも……)ジャラジャラ

魔王叔父(皆、私に魔王就任を打診してくる……)ジャラジャラ

魔王叔父(私としては、本当に甘い物さえ食えていれば、それで良いのだ!……)ジャラジャラ

魔王叔父(何故、そこまで執拗にこの私に魔王就任を打診してくるのだ?……)ジャラジャラ

魔王叔父「……」チラッ

各四天王達「……」ジャラジャラ

807: 2014/10/21(火) 08:15:43 ID:Ph2ehhLc
魔王叔父(まぁ、全ては自身の欲の為か……)ジャラジャラ

魔王叔父(いずれ、再び魔界の王権は強化される……)ジャラジャラ

魔王叔父(兄上、私はあの娘を押し退けてまで、魔王の座に就くつもりはない!)ジャラジャラ

魔王叔父(私は、兄上がお亡くなりになった時に、あの娘を守るとそう誓いましたからな!)ジャラジャラ

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

ジャラジャラジャラジャラ、ジャラジャラジャラジャラ……

808: 2014/10/21(火) 08:18:27 ID:Ph2ehhLc
~旧連合軍拠点・船着き場~

半エルフ士官A「陛下。撤収準備完了致しました!」

半エルフ士官A「後は、陛下の号令を待つだけです!」

エルフ魔女「あら、そうなの?」クルッ

半エルフ士官A「陛下。如何なさいますか?」

半エルフ士官A「皆、陛下からの号令をお待ちしております!」

809: 2014/10/21(火) 08:18:59 ID:Ph2ehhLc
エルフ魔女「じゃあ、そろそろ撤収して頂戴!」

エルフ魔女「本当に、今回もまた急なお願いをしてごめんなさいね!」ニッコリ

半エルフ士官A「いえ、滅相もございません!」

半エルフ士官A「我々は、かつて陛下によって拾われた身!」

半エルフ士官A「陛下からのご命令があれば、いつでも馳せ参じてみせます!」

半エルフ士官達「……」コクン

810: 2014/10/21(火) 08:19:14 ID:Ph2ehhLc
エルフ魔女「うふふっ、本当に今回もまた有り難うね!」ニコニコ

エルフ魔女「貴方達のおかげで、北大陸が制覇できたわ!」ニコニコ

エルフ魔女「南大陸に関しては、再び魔王軍の支配下に入った!」ニコニコ

エルフ魔女「私達は魔王軍との協定の元、南大陸での戦いに援軍として派遣されてきただけ!」

エルフ魔女「後の事は、全て魔王軍に任せておきなさい!」

半エルフ士官達「はっ!」

811: 2014/10/21(火) 08:19:30 ID:Ph2ehhLc
エルフ魔女「では、ハーフエルフ傭兵隊は本日を持って戦時編成を解除!」

エルフ魔女「今回の戦に掛かった追加費用に関しては、追ってエルフ王国から支払われる事となる!」

エルフ魔女「皆、本当によくやってくれたわ!」

エルフ魔女「今の貴方達の地位や名誉等があるのは、全て貴方達がこれまで頑張ってきた証!」

エルフ魔女「私は、かつてそのきっかけを作ったに過ぎなかった!」

エルフ魔女「ここまで世界を変える事が出来たのは、全て貴方達のおかげなのよ!」ニッコリ

812: 2014/10/21(火) 08:19:44 ID:Ph2ehhLc
半エルフ士官B「陛下。相変わらず、貴女様は謙虚なのですね?」

半エルフ士官B「陛下があの時いらっしゃらなかったら、私達は未だに家畜以下の扱いでした!」

半エルフ士官B「皆、陛下の取った行動には、本当に心から感謝しております!」

半エルフ士官B「私達ハーフエルフは、家畜以下ではない!」

半エルフ士官B「それを、世に知らしめたのは誰でもなく陛下ご自身でした!」

半エルフ士官達「……」ウルッ

813: 2014/10/21(火) 08:19:58 ID:Ph2ehhLc
半エルフ士官A「陛下。私達は一生陛下について参ります!」

半エルフ士官A「たとえ、陛下が純粋なエルフに転生しようとも、それだけは絶対に変わりません!」

半エルフ士官A「我ら、ハーフエルフ女王XXXXXXに忠実な傭兵部隊!」

半エルフ士官A「今後また何かございましたら、いつでもお呼び下さいませ!」ビシッ

エルフ魔女「ええ、了解したわ!」ニコニコ

半エルフ士官達「……」ビシッ

814: 2014/10/21(火) 08:20:28 ID:Ph2ehhLc
半エルフ士官A「総員、これより撤収する!」

半エルフ士官A「全隊、回れ右!」

半エルフ士官達「……」クルッ

半エルフ士官A「全体、前へ進め!」

半エルフ士官A「船に乗船次第、続々と出港せよ!」

半エルフ士官達「……」ザッザッザッ

815: 2014/10/21(火) 08:20:42 ID:Ph2ehhLc
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

エルフ魔女「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザザーーーーン、ザザーーーーン……

816: 2014/10/21(火) 08:22:31 ID:Ph2ehhLc
~王都・教会敷地内~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

シュン、ドサッ……

勇者の氏体「……」

司祭「!?」ビクッ

817: 2014/10/21(火) 08:22:46 ID:Ph2ehhLc
助祭「しっ、司祭様……」

助祭「こっ、これは一体……?」

司祭「誰か、誰かおらんか!?」

司祭「早く、こっちに来てくれ!?」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、ピタタタタタッ……

818: 2014/10/21(火) 08:23:31 ID:Ph2ehhLc
侍祭「司祭様、何なんでかこれは!?」

侍祭「これ、完全に氏んでますよ!?」

副助祭「うわっ、本当だ!?」

司祭「とりあえず、早くこれを氏体安置所に!」

司祭「そして、早く蘇生魔法を掛けるんだ!」

副助祭「はい。すぐに、準備に取り掛かります!」

819: 2014/10/21(火) 08:24:14 ID:Ph2ehhLc
司祭「侍祭。至急、司教様にこの事を噛まずに報告!」

司祭「まだ、教会関係者しか知らせるな!」

司祭「さぁ、急げ!」

侍祭「はっ!」

スッ、ガシッ、ガシッ……

スッ、ガシッ、ガシッ……

820: 2014/10/21(火) 08:24:31 ID:Ph2ehhLc
司祭「よしっ、そのまま運べ!」

司祭「良いか? 慎重に運べよ!」

侍祭達「はい!」

スッ、ガチャ……

副助祭「どうぞ!」

侍祭「遺体一体、これより入ります!」

821: 2014/10/21(火) 08:24:45 ID:Ph2ehhLc
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

教会関係者「……」ザワザワッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

822: 2014/10/21(火) 08:25:58 ID:Ph2ehhLc
南大陸にある連合軍拠点陥落から数日後。

勇者が、再び王都に戻ってきた。

どうやら、勇者は魔王軍に捕らえられ、そこで魔王と運命的なまでに遭遇。

そのまま、何故か魔王から一騎討ちを挑まれ、その結果、勇者が惨敗して帰ってきたのが事の真相であった。

その後、勇者は再び仲間の待つ教会付属病院に向かった。

勇者としては、再びすぐにでも魔王退治に行きたがった。

だが、運命とは時に残酷なもの。

魔王城へと突入した時の仲間全員が、とても戦える状態ではなかったからだ。

823: 2014/10/21(火) 08:26:50 ID:Ph2ehhLc
仕方なく、勇者は再び仲間を集める事にした。

今入院している仲間達とは別に、他の人達を仲間にする様だ。

しかし、それを知ったキモメンが再び勇者の前に出現。

今度こそ、勇者の仲間にして貰う為、勇者の周りにやたらと出没をする。

けれど、勇者はそのキモメンの事を仲間にはしなかった。

皆、キモメンの事を気持ち悪がって、勇者からの誘いを次々と断っていった。

後に、勇者は女として活動をしていた私の元を何故か訪問。

強引に有無を言わさず私の腕を引っ張っていき、そのまま私の事を勇者の仲間にしようとしてしまったのだった。

824: 2014/10/21(火) 08:28:01 ID:Ph2ehhLc
本日の分、終了。

825: 2014/10/22(水) 15:29:15 ID:gaggxI9U
~王都・中央広場~

一週間後ーー

魔女「勇者。どう言うつもりよ?」スタスタスタッ

魔女「急に、私の事を連れ出して!」スタスタスタッ

魔女「私、これから店に出なくちゃいけないの!」スタスタスタッ

魔女「だから、もう私は帰って良い?」スタスタスタッ

826: 2014/10/22(水) 15:29:30 ID:gaggxI9U
魔女「ねぇ、勇者。私の話を聞いてる?」スタスタスタッ

魔女「私、これから仕事なんだけど!」スタスタスタッ

魔女「だから、もういい加減その腕を離して!」スタスタスタッ

魔女「私なんかより、他にも沢山旅の仲間の成り手がいるはずでしょ?」スタスタスタッ

魔女「勇者!」スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

827: 2014/10/22(水) 15:29:48 ID:gaggxI9U
「おっ、勇者様だ」

「今日は、朝から女連れみたいだな」

「そりゃあ、あんなのに付き纏われてたら無理もねぇよ」

「あいつ、ずっと勇者の後を付き纏ってたからな」

「へぇ……」

キモメン「……」スタスタスタッ

828: 2014/10/22(水) 15:30:04 ID:gaggxI9U
「けど、何で今日は女一人なんだ?」

「あれだけ沢山いた勇者の仲間達は、一体どこに行ったんだよ?」

「多分、この間の敗戦が深く響いてるんじゃねぇか?」

「何でも、勇者は魔王城へ突入したのは良いが、魔王に惨敗した」

「だから、今は誰もいないんじゃねぇか?」

キモメン「……」スタスタスタッ

829: 2014/10/22(水) 15:30:20 ID:gaggxI9U
「ああ、そうだったのか……」

「そう言えば、教会がやけに慌ただしかったな……」

「本当に、勇者も気の毒に……」

「あんな奴に付き纏われていなかったら、すぐにも出発出来たのになぁ……」

「ああ、そうだな……」

キモメン「……」スタスタスタッ

830: 2014/10/22(水) 15:30:35 ID:gaggxI9U
「とりあえず、今日はこれくれ」

「なんか、今日はこれが食いたくなってきたから」

「お客さん。お代は10Gだよ」

「ここ最近、魔王戦の影響で不景気だけど、そろそろ値上げしようかなぁ……」

「ああ、親父。そりゃあこっちが困るんだけど……」

キモメン「……」スタスタスタッ

831: 2014/10/22(水) 15:30:54 ID:gaggxI9U
魔女「ねぇ、勇者。今の話は本当なの?」スタスタスタッ

魔女「皆、つい先日行われた魔王戦の事を話してるけど」スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

魔女「勇者。本当に、魔王と一騎討ちして惨敗したの?」スタスタスタッ

魔女「私、その事が未だに信じられないなぁ……」スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

832: 2014/10/22(水) 15:31:12 ID:gaggxI9U
魔女「勇者。私の質問に答えてくれる?」スタスタスタッ

魔女「ついさっきから私、腕痛いんだけど」スタスタスタッ

魔女「それに、またあいつがついて来てるよ」スタスタスタッ

魔女「勇者は、あれをほっといても良いの?」スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

キモメン「……」スタスタスタッ

833: 2014/10/22(水) 15:31:30 ID:gaggxI9U
魔女(はぁ、仕方ない。あれを使うか……)スタスタスタッ

魔女(勇者相手にあれを使うのは、ちょっと可哀想なんだけど……)スタスタスタッ

魔女(一体、勇者は何を考えいるの?……)スタスタスタッ

魔女(私みたいな汚れた女よりは、遥かにマシな人達が多数いるはずなのに……)スタスタスタッ

魔女「……」スッ

勇者「……」スタスタスタッ

834: 2014/10/22(水) 15:31:48 ID:gaggxI9U
魔女(ごめん、勇者。私もう行くね……)スタスタスタッ

魔女(私、もうそろそろ店に出なくちゃいけないから……)スタスタスタッ

魔女(それに、私と勇者は住む世界が違う……)スッ

魔女(一度女に堕ちちゃったら、氏ぬまで私は女なんだからね……)ヌポッ

シューーーーーーーーッ、シュン……

勇者「!?」クルッ、ピタッ

835: 2014/10/22(水) 15:34:15 ID:gaggxI9U
勇者「……」

キモメン「……」

勇者「……」

キモメン「……」

勇者「はぁ……」ガクッ

キモメン「……」ニヤリ

836: 2014/10/22(水) 15:34:29 ID:gaggxI9U
勇者「……」

キモメン「……」ニヤニヤ

勇者「……」

キモメン「……」ニヤニヤ

勇者(あいつ、大魔導師様が残した魔法を使いやがった……)

勇者(あれ、俺ですらまだ使えないのに……)

837: 2014/10/22(水) 15:34:42 ID:gaggxI9U
~王都・魔女の自宅前~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

シュン、シュタッ……

魔女「ふぅ……」

店主姪「あら?」ハッ

838: 2014/10/22(水) 15:34:58 ID:gaggxI9U
店主姪「魔女。貴女、どこに行っていたの?」

店主姪「貴女が来るのが遅いから、少し様子を見にきたんだけど」

魔女「あっ、お早うございます」クルッ

店主姪「それで、どこに行っていたの?」

店主姪「魔女が遅刻するなんて珍しいわね」

魔女「ああ、少し勇者に呼び出されていたもので……」

839: 2014/10/22(水) 15:35:13 ID:gaggxI9U
店主姪「ふうん。そうなの」

店主姪「魔女は、勇者様とも親しかったからねぇ」

店主姪「とりあえず、今からもう店に向かおうか?」

店主姪「私の方から、叔父にも説明とかしてあげるから」ニッコリ

魔女「はい。本当に申し訳ありません」ペコッ

店主「……」ヌッ

840: 2014/10/22(水) 15:35:28 ID:gaggxI9U
店主姪「けど、何でその勇者様が?」

店主姪「勇者様は、魔女に何の用があったのかしら?」

魔女「多分、私を旅の仲間にでもしたかったんじゃないでしょうか?」

魔女「ここ最近、勇者はずっとあのキモメンに付き纏われています」

魔女「だから、勇者は無理に私の腕を引っ張ってったんだと思います」

魔女「前から勇者は、色々と女にはだらしないですからね」

841: 2014/10/22(水) 15:35:46 ID:gaggxI9U
店主「とりあえず、君の事情は分かった」

店主「まぁ、これに関しては勇者様には同情をするんだけど」

魔女「!?」ビクッ

店主姪「あっ、叔父さん……」ハッ

店主「ごめん。ちょっと梯子を立ててくれないか?」

店主「今、ちょっと自宅の屋根の修理をしてるからさ」

842: 2014/10/22(水) 15:36:16 ID:gaggxI9U
スッ、ストン……

店主「おっ、悪いねぇ……」

クルッ、ツカツカツカッ……

ツカツカツカッ、ツカツカツカッ……

ツカツカツカッ、ツカツカツカッ……

ツカツカツカッ、シュタッ……

843: 2014/10/22(水) 15:36:35 ID:gaggxI9U
魔女「マスター。申し訳ありません」

魔女「個人的な都合で遅れてしまって」ペコッ

店主「ああ、良いよ良いよ」

店主「あの勇者様相手なら、仕方ないからさぁ」クルッ

店主姪「それで、何で屋根なんか修理してるの?」

店主姪「そんなの業者に任せたらいいじゃない」

844: 2014/10/22(水) 15:36:52 ID:gaggxI9U
店主「いやぁ、業者に頼みに行ったら今日は無理だった」

店主「なんか、魔王軍襲来に備えて業者自体に召集が掛かってたから」

店主姪「へぇ……」

店主「だから、今日は少し暇になりそうなんだけどね」

店主「この間の南大陸での戦闘の影響で、皆が病院送りになっちゃってるみたいだから」

魔女「ああ、そうだったんですか」

845: 2014/10/22(水) 15:40:15 ID:gaggxI9U
店主姪「じゃあ、今日はどうするの?」

店主姪「このまま、店は開けとくの?」

店主「うん」

店主姪「だったら、魔女は少し私に付き合ってくれる?」

店主姪「女Aが、この間から産休に入っちゃったでしょ?」

店主姪「だから、その世話の手伝いをしてくれないかな?」

846: 2014/10/22(水) 15:40:55 ID:gaggxI9U
魔女「ええ、私は構いませんけど」

魔女「けど、女Aの空いた穴は大丈夫なんですか?」

店主「うん。それ自体は大丈夫だよ」

店主「つい先日、エルフ王国からまたハーフエルフの女の追加派遣が決まったみたいだから」

魔女「ああ、そうなんですか……」

店主姪「じゃあ、今から魔女は私と薬草詰みね」ニッコリ

847: 2014/10/22(水) 15:41:10 ID:gaggxI9U
店主「では、各自解散!」

店主「ああ、店の方にはこっちでその事を伝えといてね」

魔女「はい。かしこまりました」

店主姪「じゃあ、叔父さん。また今度」ニコニコ

店主姪「私達、なるべく早くに戻ってくるからね」ニコニコ

店主「ああ、了解した」ニッコリ

848: 2014/10/22(水) 15:41:42 ID:gaggxI9U
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

店主(意外に、魔女君も慣れてきたみたいだな)

店主(この分なら、魔女君もまた他の子達みたいに長続きするだろうけど)

849: 2014/10/22(水) 15:41:56 ID:gaggxI9U
~王都・細い路地~

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

武闘家妹「あっ」ハッ

850: 2014/10/22(水) 15:42:10 ID:gaggxI9U
魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

武闘家妹「魔女。待って!」ダッ

魔女「え?」ピタッ

851: 2014/10/22(水) 15:42:25 ID:gaggxI9U
店主姪「魔女。どうかしたの?」ピタッ

店主姪「早く行かないと、女Aがもがき苦しむわよ」クルッ

魔女「……」キョロキョロ

店主姪「魔女。もう行くわよ」

店主姪「女A。かなりお腹が出てきちゃったんだから」

魔女「はい。かしこまりました」クルッ

852: 2014/10/22(水) 15:42:39 ID:gaggxI9U
武闘家妹「いや、ちょっと待ってよ!」ワサワサワサッ

武闘家妹「魔女。私ここだから!」ワサワサワサッ

魔女「……」クルッ

武闘家妹「魔女。お願いだから戻ってきて!」ワサワサワサッ

武闘家妹「魔女の事、皆が心配してるんだから!」ワサワサワサッ

スタスタスタッ、ピタッ……

853: 2014/10/22(水) 15:42:52 ID:gaggxI9U
武闘家妹「はぁ、はぁ、はぁ……」

武闘家妹「はぁ、はぁ、はぁ……」

武闘家妹「はぁ、はぁ、はぁ……」

武闘家妹「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔女「……武闘家妹」

店主姪「……あらら」

854: 2014/10/22(水) 15:45:38 ID:gaggxI9U
武闘家妹「魔女。何で無視するのよ?……」

武闘家妹「お願いだから、もうあんな店に出るのはもう止めて……」ムクッ

魔女「……」プイッ

店主姪「魔女。どうするの?」

店主姪「貴女の友人は、早くウチの店を止めてほしそうにしているけど」

魔女「ええ、そうみたいですね」

855: 2014/10/22(水) 15:45:53 ID:gaggxI9U
武闘家妹「魔女。お願いだから、もう戻ってきて!」

武闘家妹「皆、本当に魔女の事を心配してるんだから!」ウルッ

魔女「ごめん。私はもう皆の元には戻る気なんかないよ!」

魔女「だって、私はもう皆と違って住む世界が違うから!」ニッコリ

武闘家妹「!?」ガーーン

魔女「さぁ、もう行きましょ」クルッ

856: 2014/10/22(水) 15:46:08 ID:gaggxI9U
スッ、ガシッ……

武闘家妹「行かせない!」ウルウルッ

魔女「あっ……」クルッ

店主姪(この子……)

武闘家妹「魔女。お願いだから、もう止めて!」ウルウルッ

武闘家妹「魔女がどんだけ私達から離れようと、私達は魔女の事を絶対に連れ戻すから!」ウルウルッ

857: 2014/10/22(水) 15:46:21 ID:gaggxI9U
魔女「ごめん。先を急いでるから、その手を離してくれない?」

魔女「私の仲間は、もう今勤めてる店の人達だけなんだから!」ギロッ

武闘家妹「!?」ガーーン

魔女「だから、その手を今すぐ離してくれる?」ジーーッ

魔女「私みたいな汚れた体なんか触るより、武闘家妹は他の綺麗な物を触っていた方が断然良いよ!」ジーーッ

武闘家妹「……」パッ

858: 2014/10/22(水) 15:46:36 ID:gaggxI9U
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

武闘家妹「……」ポロポロッ

武闘家妹「……」ポロポロッ

859: 2014/10/22(水) 15:46:51 ID:gaggxI9U
武闘家妹(魔女。何で私に対して、あんな冷たい目をするの?……)ポロポロッ

武闘家妹(私はただ、魔女の事を心配していただけなのに……)ポロポロッ

武闘家妹(それに、私はもう仲間ではない……)ポロポロッ

武闘家妹(今さっきの魔女、そう明確に発言していたよね……)ポロポロッ

スッ、フキフキフキ……

フキフキフキ、フキフキフキ……

860: 2014/10/22(水) 15:47:37 ID:gaggxI9U
武闘家妹(魔女。本当にどうしちゃったの?……)

武闘家妹(あんなの、私の知ってる魔女じゃないよ……)ウルッ

武闘家妹(魔女。私は絶対に諦めない!)ウルウルッ

武闘家妹(魔女が再び私達の元に戻ってくるまでは、私達は絶対に魔女の事を諦めないからね!)ウルウルッ

女騎士「……」ヌッ

女騎士「はぁ……」ガクッ

861: 2014/10/22(水) 15:47:51 ID:gaggxI9U
女騎士「武闘家妹。大丈夫か?」

女騎士「魔女をまた追うか?」

武闘家妹「うん。大丈夫……」

女騎士「とりあえず、魔女を追うぞ」

女騎士「あいつ、もしかしたら誰かに操られているかもしれない」

武闘家妹「え?」

862: 2014/10/22(水) 15:48:03 ID:gaggxI9U
武闘家妹「それで、魔女の行き先は?」

武闘家妹「魔女は、どっちに向かったの?」

女騎士「ああ、魔女達は今さっき中央広場の方に向かった!」

女騎士「だから、私達も今から追うぞ!」

武闘家妹「うん。分かった」

クルッ、スタスタスタッ……

864: 2014/10/23(木) 10:41:02 ID:M9vm2JqY
~王都・中央広場~

店主姪「ねぇ、魔女。本当に良かったの?」スタスタスタッ

店主姪「貴女の友人、本気で泣いてたけど」スタスタスタッ

魔女「ええ、構いませんよ」スタスタスタッ

店主姪「貴女、そんなんじゃ友人なくすわよ」スタスタスタッ

店主姪「せっかく、貴女の帰りを待っている子達がいるんだから」スタスタスタッ

865: 2014/10/23(木) 10:41:17 ID:M9vm2JqY
魔女「けど、私とあの子じゃ住む世界が違い過ぎますよ」スタスタスタッ

魔女「私は、ただの評判の悪い魔女で、あの子達は未来ある聖職者」スタスタスタッ

魔女「だから、もうあの子達の事は良いんです」スタスタスタッ

魔女「ですから、早く私達も用事を済ませましょうよ」スタスタスタッ

店主姪「ええ、そうね」スタスタスタッ

勇者「あっ」ハッ

866: 2014/10/23(木) 10:41:31 ID:M9vm2JqY
魔女「それで、今日は何を取れば良いんですか?」スタスタスタッ

魔女「薬草って言っても、かなりの種類がありますし」スタスタスタッ

店主姪「うん。今日は女Aに体調に合った薬草が必要かな」スタスタスタッ

店主姪「私は、普段から店には出てないけど、店の女の子達が妊娠してしまった時には、よくお世話をしているからね」スタスタスタッ

魔女「へぇ、そうなんですか?」スタスタスタッ

勇者「……」ダッ

867: 2014/10/23(木) 10:41:47 ID:M9vm2JqY
店主姪「後、食料品や日用品とかの購入も必要なのよね」スタスタスタッ

店主姪「一度女の子が妊娠しちゃったら、前と体の調子とかがかなり違ってくるでしょ?」スタスタスタッ

店主姪「それに、ここ最近まで女に関する風当たりも強かったし」スタスタスタッ

店主姪「だから、私みたいな店に出てない人が必要になる訳」スタスタスタッ

魔女「へぇ……」スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

868: 2014/10/23(木) 10:42:03 ID:M9vm2JqY
魔女「じゃあ、早めに薬草を摘まないといけませんね」スタスタスタッ

魔女「今私達は、どこに向かってるんですか?」スタスタスタッ

店主姪「今、私達はXXXX平原に向かってるのよ」スタスタスタッ

店主姪「そこは、王都のすぐそこにあるし」スタスタスタッ

店主姪「まぁ、この辺は野盗とかが出ないから大丈夫なんだけど」スタスタスタッ

店主姪「一応、日暮れまでに薬草を摘まなきゃ門が閉まっちゃう訳」スタスタスタッ

869: 2014/10/23(木) 10:42:17 ID:M9vm2JqY
魔女(ん? また、誰かにつけられてる……)スタスタスタッ

魔女(今度は、一体誰なのかしら?……)チラッ

勇者「……」スタスタスタッ

魔女(ああ、まだ少し時間が早かったかしら……)スタスタスタッ

魔女(てっきり、勇者はもう諦めたんだと思ってたんだけどなぁ……)スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

870: 2014/10/23(木) 10:42:33 ID:M9vm2JqY
魔女(勇者。いい加減に諦めてよ……)スタスタスタッ

魔女(勇者も、人の事を悪く言えないよ……)スタスタスタッ

魔女(ああ、またあのキモメンの姿が目に入っちゃった……)スタスタスタッ

魔女(本当に、あいつもしつこいなぁ……)スタスタスタッ

勇者「……」スタスタスタッ

キモメン「……」スタスタスタッ

871: 2014/10/23(木) 10:42:47 ID:M9vm2JqY
魔女(仕方ない。他の手を使うか……)スタスタスタッ

魔女(これだったら、勇者も付き纏わないはず……)スタスタスタッ

魔女(勇者。場合によっては、もう二度と会えないかもしれないけどね……)スタスタスタッ

魔女(師匠が残した魔法が、こんな所で役に立つなんて……)スタスタスタッ

魔女「……」スッ

勇者(今度は、何をするつもりなんだ?)スタスタスタッ

872: 2014/10/23(木) 10:43:01 ID:M9vm2JqY
スッ、ヌポッ……

魔女「……」ポイッ

勇者「!?」サッ

キモメン「!?」バシャ

ポワワン、ポワワン……

ポワワン、ポワワン……

873: 2014/10/23(木) 10:43:15 ID:M9vm2JqY
勇者(ん? あのキモメンに何か掛かった……)クルッ

勇者(あいつ、一体何を投下したんだ?……)

勇者(多分、あれも大魔導師様が使われていた何らかの魔法……)

勇者(だから、魔女はあいつに投げたのか?……)

キモメン「……?」キョロキョロ

キモメン「……?」キョロキョロ

874: 2014/10/23(木) 10:46:18 ID:M9vm2JqY
勇者(と言う事は、魔女は俺を援護してくれたのか?……)

勇者(ここ最近、やけに俺はあのキモメンに付き纏われていたし……)

勇者(あいつ、ああやって誰かを突き放してはいるが、まだ脈はあるな……)

勇者(今の内に、魔女を追うか……)クルッ

ドクンーー

キモメン「!?」ビクッ

875: 2014/10/23(木) 10:46:33 ID:M9vm2JqY
キモメン「勇者、覚悟しろ……」スッ

キモメン「全て、お前が悪いんだ!……」スラアン

勇者「え?」クルッ

キモメン「勇者、全てお前が悪いんだ!」

キモメン「お前が、早く俺を選ばなかったから悪いんだ!」ダッ

勇者(うそーーーーーーーーん!?)ガーーン

876: 2014/10/23(木) 10:46:48 ID:M9vm2JqY
スッ、スラアン……

ダダダダダダダダッ……

キモメン「てやっ!」ブン

勇者「させるか!」キン

兵士長「!?」ハッ

兵士1「おいっ、お前ら何やってんだ!?」ハッ

877: 2014/10/23(木) 10:47:03 ID:M9vm2JqY
キンキン、キンキン……

「おいっ、何か始まったぞ!」

キンキン、キンキン……

「あっ、あれは勇者様じゃねぇか!?」

兵士長「お前ら、早く止めろ!」ダッ

兵士達「……」ダッ

878: 2014/10/23(木) 10:47:18 ID:M9vm2JqY
魔女(勇者。悪く思わないでね)スタスタスタッ

魔女(これも、勇者の為なんだから)スタスタスタッ

魔女(私、本当に悪い魔女だもん)スタスタスタッ

魔女(世間からは評判の悪い魔女なんだから)スタスタスタッ

キンキン、キンキン……

兵士長「おいっ、止めんか!」

879: 2014/10/23(木) 10:47:32 ID:M9vm2JqY
魔女(勇者。早くそのキモメンを頃しなさい!)スタスタスタッ

魔女(そして、自身の弱点を全て取り除きなさい!)スタスタスタッ

魔女(あいつが、生きていたら勇者の為には絶対にならない!)スタスタスタッ

魔女(これも、勇者の為なんだからね!)スタスタスタッ

キンキン、キンキン……

兵士長「おいっ、早くあの二人を取り押さえろ!」

880: 2014/10/23(木) 10:47:46 ID:M9vm2JqY
勇者(くっ、あいつどう言うつもりだ?……)

勇者(何故、俺とあいつをここで戦わせる?……)

キモメン「……」ジリジリッ

勇者(魔女。お前は、何を企んでいる?……)

勇者(こんなの、何か間違っているだろ?……)

キモメン「はっ!」ダッ

881: 2014/10/23(木) 10:48:01 ID:M9vm2JqY
勇者(魔女。俺はお前を諦めない!)スッ

勇者(こんな奴に比べたら、お前の方が遥かにマシだ!)スチャ

勇者「はああああっ!」ブン

キモメン「!?」キン

勇者「お前、早く氏ねよ!」

勇者「そして、もう二度と俺の前に姿を現すな!」ギロッ

882: 2014/10/23(木) 10:48:18 ID:M9vm2JqY
キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キーーーーーーーーン……

勇者「くっ!」ギリギリッ

キモメン「くそっ!」ギリギリッ

シュン、バリーーーーン……

883: 2014/10/23(木) 10:48:34 ID:M9vm2JqY
キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キーーーーーーーーン……

「良いぞ。もっとやれ!」

「勇者様、早くそのキモメンを退治するんだ!」

シュン、バリーーーーン……

884: 2014/10/23(木) 10:51:11 ID:M9vm2JqY
勇者(くそっ、こいつ意外に強いな……)

勇者(だが、俺の敵ではないな……)

勇者(ああ、そうか。これが魔女の狙いだったのか……)

勇者(魔女は、俺にこのキモメンの事を斬り殺そうとさせている……)

勇者(だから、あのキモメンに向けて謎の小瓶を投げつけたんだな……)

キモメン「……」

885: 2014/10/23(木) 10:51:26 ID:M9vm2JqY
勇者(だが、ここの警備兵が集まってきた……)

勇者(これ以上やると、確実に捕まるな……)

勇者(魔女。お前、投げる場所を間違ってるだろ……)

勇者(出来れば、もっと別の場所で投げてほしかったなぁ……)

勇者(はぁ……)

キモメン「……」ダッ

886: 2014/10/23(木) 10:51:43 ID:M9vm2JqY
キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キーーーーーーーーン……

勇者「ちっ!」ギリギリッ

キモメン「!?」ギリギリッ

シュン、バリーーーーン……

887: 2014/10/23(木) 10:52:13 ID:M9vm2JqY
キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キンキンキンキン、キンキンキンキン……

キーーーーーーーーン……

勇者(ともかく、今はこのキモメンの方が先だ!)ギリギリッ

勇者(後で必ず、魔女は犯してやるからな!)ギリギリッ

シュン、バリーーーーン……

888: 2014/10/23(木) 10:53:05 ID:M9vm2JqY
勇者「はっ!」ブン

キモメン「とうっ!」キン

勇者「これでどうだ?」ブン

キモメン「ちっ!」キン

女騎士「なっ!?」スタスタスタッ

武闘家妹「勇者。何してんの!?」スタスタスタッ

889: 2014/10/23(木) 10:53:19 ID:M9vm2JqY
勇者「とりゃあっ!」ブン

キモメン「なっ!」キン

勇者「これでどうだ?」ブン

キモメン「うわっ!?」スパッ

女騎士「おっ……」ピタッ

武闘家妹「勇者……」ピタッ

890: 2014/10/23(木) 10:53:33 ID:M9vm2JqY
キモメン「くっ、やるな……」ポタポタッ

キモメン「さすがは、勇者と名乗るだけの事はある……」ポタポタッ

キモメン「だが、もうお前も終わりだ……」ポタポタッ

キモメン「ここの周りをよく見てみろ?……」ポタポタッ

キモメン「もう既に、ここの兵士達が包囲した後なんだぞ!……」ポタポタッ

兵士達「……」ジーーッ

891: 2014/10/23(木) 10:53:47 ID:M9vm2JqY
兵士長「勇者殿、もう止めろ!」

兵士長「これ以上、無益な戦いをするな!」

勇者「ちっ……」

兵士長「おいっ、そこのお前大丈夫か?」

兵士長「お前の腕、深く斬られている様だが」

キモメン「ああっ、大丈夫だ……」ポタポタッ

892: 2014/10/23(木) 10:54:01 ID:M9vm2JqY
兵士長「勇者殿。これより、貴殿を拘束する!」

兵士長「罪状は、武器を使用した上での傷害!」

兵士長「即刻、両者とも武器を収めて貰いたい!」

兵士長「今の貴殿には、こんな所で油売っていて貰っても困るのだ!」

勇者「……」

キモメン「……」パッ、カシャン……

893: 2014/10/23(木) 10:54:14 ID:M9vm2JqY
兵士長「よしっ、そこのキモメンを今すぐ拘束しろ!」

兵士長「キモメン。貴様にも勇者殿に対する武器を使用した上での傷害容疑が掛かっている!」

兵士長「さっ、勇者殿も即刻武器を収めて貰いたい!」

兵士長「相手の男は、もう武器を捨てたのだからな!」

勇者「……」

王都の民達「……」ザワザワッ

894: 2014/10/23(木) 10:56:24 ID:M9vm2JqY
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

兵士2「おいっ、お前大丈夫か?……」

兵士2「それっ、かなり傷が深いな……」

兵士3「お前、結構深く斬られてるぞ……」

兵士3「今から、お前を教会付属病院に連れてってやるからな……」

895: 2014/10/23(木) 10:56:37 ID:M9vm2JqY
キモメン「ああ、大丈夫だ……」ポタポタッ

キモメン「本当に、迷惑を掛ける……」ポタポタッ

キモメン「勇者。お前ももうこれで終わりだ……」ポタポタッ

キモメン「そんなんだから、自身の大事な女すら女にまで堕としてしまうんだ……」ポタポタッ

勇者「何?」ギロッ

兵士長「どう言う事だ?」

896: 2014/10/23(木) 10:56:52 ID:M9vm2JqY
キモメン「皆、よく聞け!」ポタポタッ

キモメン「勇者XXXは、自身の仲間をレ〇プした挙げ句に女にまで堕とした!」ポタポタッ

キモメン「そいつ、本当はそんな事をしたくはなかったのにも関わらず、勇者にそれを強要されてた!」ポタポタッ

キモメン「おまけに、勇者の子供すら無理矢理孕まされていた様だ!」ポタポタッ

兵士長「!?」

王都の民達「なん……だと……!?」ガーーン

897: 2014/10/23(木) 10:57:24 ID:M9vm2JqY
キモメン「だから、お前ももう終わりだ!」ポタポタッ

キモメン「その剣には、どうやら毒を塗っていた様だな!」ポタポタッ

キモメン「勇者。先に、俺はあの世で待っているぞ!」ポタポタッ

キモメン「お前は、勇者と言う立場を利用して何の罪もない民達を傷つける極悪人!」ポタポタッ

キモメン「だから、お前も精々苦しめ!」ポタポタッ

キモメン「さらばだ!」ニヤリ

898: 2014/10/23(木) 10:57:39 ID:M9vm2JqY
キモメン「ぐっ、ぐはっ……」プルプル

キモメン「げほっ、ごほっ……」プルプル

フラッ、ドサッ……

兵士長「!?」

兵士2「おいっ、大丈夫か!?」

武闘家妹「きゃああああああああーーーーーーーーっ!?」ビクッ

899: 2014/10/23(木) 10:58:11 ID:M9vm2JqY
キモメン「……」プルプル

キモメン「……」プルプル

キモメン「……」プルプル

キモメン「……」プルプル

兵士長「くっ……」

兵士2「おいっ、しっかりしろ!」

900: 2014/10/23(木) 10:58:27 ID:M9vm2JqY
女騎士「勇者。お前、何て事をしてんだ!?」

女騎士「何も頃す必要なんかないだろ!?」

兵士長「勇者殿。貴殿を、殺人容疑で拘束をする!」

兵士長「いくら、勇者とは言えども殺人は重罪だ!」

兵士長「貴殿には、最高でも斬首及び財産没収が待っている!」

勇者「!?」ガーーン

901: 2014/10/23(木) 10:58:47 ID:M9vm2JqY
兵士長「さぁ、武器を捨てて貰おうか?」

兵士長「貴殿には、これより牢に入って貰う!」

兵士長「総員、勇者を拘束しろ!」

兵士長「さぁ、急ぐんだ!」

勇者「くっ……」

兵士達「……」ジリジリッ

902: 2014/10/23(木) 10:59:01 ID:M9vm2JqY
勇者(くそっ、魔女に嵌められた!……)

勇者(あいつ、何て事をしてくれたんだ!……)

勇者(魔女、てめぇ絶対恨むぞ!……)

勇者(あいつ、一体何を考えてんだ!?……)

兵士達「……」ジリジリッ

兵士長「さぁ、早く武器を捨てるんだ!」

903: 2014/10/23(木) 10:59:15 ID:M9vm2JqY
武闘家妹「勇者。お願い、早く武器を捨てて!」ウルウルッ

武闘家妹「私、勇者がそんな酷い事をしてる姿なんかみたくない!」ウルウルッ

勇者「……武闘家妹」ハッ

武闘家妹「勇者。お願い、武器を捨てて!」ウルウルッ

武闘家妹「今ならまだ間に合う!」ウルウルッ

武闘家妹「お願いだから、もう止めて!」ウルウルッ

904: 2014/10/23(木) 11:01:14 ID:M9vm2JqY
女騎士「勇者。私は、お前の事を見損なったぞ!」ウルウルッ

女騎士「何故、お前はモンスター以外の人間を頃すんだ!?」ウルウルッ

女騎士「お前があの時しっかりしてたら、魔女は女にまで堕ちる事はなかった!」ウルウルッ

女騎士「もっと早くに、お前が斬り頃した相手と平和的に解決していれば、こんな事にはならなかったんだ!」ウルウルッ

王都の民達「……」ザワザワッ

キモメン「……」ガクッ

905: 2014/10/23(木) 11:01:28 ID:M9vm2JqY
女騎士「勇者。頼むから、もう止めてくれ!」ポロポロッ

女騎士「いくら、そいつの事が鬱陶しかったとは言え、何も頃す事はないだろ!?」ポロポロッ

女騎士「頼む。お願いだから、もう止めてくれ!」ポロポロッ

女騎士「早く私達の知ってる勇者に戻ってくれ! お願いだから!」ポロポロッ

勇者「……女騎士」

キモメンの氏体「……」

906: 2014/10/23(木) 11:01:42 ID:M9vm2JqY
勇者「……」

女騎士「……」ポロポロッ

武闘家妹「……」ポロポロッ

キモメンの氏体「……」

王都の民達「……」ザワザワッ

兵士達「……」ジリジリッ

907: 2014/10/23(木) 11:01:56 ID:M9vm2JqY
勇者「……」

女騎士「……」ポロポロッ

武闘家妹「……」ポロポロッ

キモメンの氏体「……」

王都の民達「……」ザワザワッ

兵士達「……」ジリジリッ

908: 2014/10/23(木) 11:02:11 ID:M9vm2JqY
スッ、カシャン……

スッ、ヌポッ……

兵士長「おっ……」

勇者「兵士長。貴殿からの要求通りに今から降伏をする……」

勇者「俺の武器を預かってくれ……」スッ

兵士長「ああ、了解した……」ホッ

909: 2014/10/23(木) 11:02:25 ID:M9vm2JqY
~王都・大通り~

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

魔女「……」スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

シュピン……

910: 2014/10/23(木) 11:02:39 ID:M9vm2JqY
魔女(どうやら、上手く行ったみたいね……)スタスタスタッ

魔女(あのキモメンは、勇者に斬り殺されちゃったみたいだから……)スタスタスタッ

魔女(まぁ、勇者にはちょっと可哀想な事をしちゃったけど……)スタスタスタッ

魔女(さりげなく、勇者の剣には私が毒を塗っといたんだけど……)スタスタスタッ

魔女(少し、派手にし過ぎちゃったかしら?……)スタスタスタッ

店主姪「……」スタスタスタッ

911: 2014/10/23(木) 11:03:12 ID:M9vm2JqY
魔女(まぁ、これも全て勇者が悪いんだけどね……)スタスタスタッ

魔女(勇者が、あまりにもしつこいのがいけないんだから……)スタスタスタッ

魔女(だから、勇者はもう二度と私には関わらないでね……)スタスタスタッ

魔女(所詮、私はただの薄汚い魔女……)スタスタスタッ

魔女(元々、勇者達とは住む世界が違うんだからね……)スタスタスタッ

魔女「うふふっ……」ニヤリ

913: 2014/10/24(金) 08:59:52 ID:0LJcQGDk
~王都・魔女の自宅前~

その日の夕方ーー

店主姪「魔女、お疲れ様。今日はもう良いわよ」ニコニコ

店主姪「おかげで、色々と助かったわ」ニコニコ

店主姪「今度から、魔女にもこっちを手伝って貰おうかしら?」ニコニコ

店主「うん。そうだね」

914: 2014/10/24(金) 09:00:07 ID:0LJcQGDk
店主姪「魔女。明日からエルフ王国から派遣されてきた子達が入るわ」ニコニコ

店主姪「その間は、魔女はこっちの方を手伝って頂戴」ニコニコ

店主姪「貴女、まだ魔法使いとしての習慣が残っているみたいだし」ニコニコ

店主姪「主に、ハーブの調合とかは任せたわよ」ニコニコ

魔女「はい。かしこまりました」

魔女「それでは、私はこれで失礼致します」

915: 2014/10/24(金) 09:00:22 ID:0LJcQGDk
「魔女。少し良いかしら?」

「少し、貴女と話がしたいんだけど」

魔女「え?」クルッ

店主「おや?」

姪店主姪「あらら」

女僧侶「……」ヌッ

916: 2014/10/24(金) 09:00:37 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。久し振りね」

女僧侶「やけに、例の店ではご活躍の様だけど」ニッコリ

魔女「……何しに来たの?」

女僧侶「魔女。それ結構冷たい言い方ね」

女僧侶「私はただ、魔女の事を説得しにきただけよ!」

魔女「そう。じゃあ今すぐ帰って!」

917: 2014/10/24(金) 09:00:51 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。貴女、本当に大丈夫なの?」

女僧侶「私の知ってる魔女は、そんなんじゃなかった?」

女僧侶「やっぱり、教会側からの魔女に対するこの仕打ちは許せない?」

女僧侶「だから私達三人にまで、そうやって魔女は冷たい対応をしているの?」

魔女「うん!」

女僧侶「……そうだったんだ」ホッ

918: 2014/10/24(金) 09:01:06 ID:0LJcQGDk
魔女「だから、私はもう戻るつもりはないかな!」

魔女「私みたいな薄汚い女、女僧侶達には不釣り合いだから!」

魔女「それに、これからの女僧侶達の将来を考えたら、私は邪魔でしかないよ!」

魔女「何故なら、私は魔女でありながら女にまで堕ちた!」

魔女「過去に、それに加えてハーフエルフと言う三重苦だった人もいるみたいだけど!」

魔女「だから、もう女僧侶達も諦めてくれないかな?」ギロッ

919: 2014/10/24(金) 09:01:20 ID:0LJcQGDk
女僧侶「残念だけど、私は諦めるつもりはないわ!」

女僧侶「今の魔女は、絶対に誰かによって操られてる!」

女僧侶「私、魔女の事をとても大切な親友だと思っているの!」

女僧侶「いくら、魔女がそれを否定し続けようが、その事実は決して揺るぎすらしないわ!」ギロッ

魔女「……」ビクッ

魔女(いや、そんな事を言われても……)

920: 2014/10/24(金) 09:01:34 ID:0LJcQGDk
女僧侶「だから、私は魔女を連れ帰るわ!」

女僧侶「いくら、魔女がそれを拒否しようが絶対に連れ帰る!」

女僧侶「それに、わざわざ女騎士が魔法通信を使って勇者様の事を連絡をしてくれたのに、あの対応は酷くない?」

女僧侶「女騎士達、本気で泣いてたわよ!」

女騎士「人目も憚らず、僧侶達がドン引きしてる目の前で、ずっと長い事あの二人は泣き崩れてたんだから!」

魔女(……ああ、女騎士達には少し冷たくし過ぎたかしら?)

921: 2014/10/24(金) 09:01:48 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。貴女、本当の所はどうしたいの?」

女僧侶「私は、魔女が女になるのを拒んでいた様に見えたんだけど」

女僧侶「昔から、魔女は本当に優しい性格だったわ」

女僧侶「あんなクソジジイにさえ弟子入りしなければ、魔女はこんな目には遭わなかったと思う」

魔女「でも、それを選んだのは紛れもなく自分自身!」

魔女「私、今では師匠に弟子入りしといて良かったと思ってるの!」

922: 2014/10/24(金) 09:02:20 ID:0LJcQGDk
女僧侶「それ、魔女は本気で言ってるの?」

女僧侶「私、魔女が本心を述べている様には思えないんだけど」

女僧侶「後、これは助祭様から聞いた話なんだけど、本当にアレを魔女が保管してるの?」

女僧侶「相変わらず、上は何を考えてるんだが……」

女僧侶「どうして、魔女ばっかりこんな目に遭っちゃうんだろうね?」

魔女「さあね」

923: 2014/10/24(金) 09:05:08 ID:0LJcQGDk
店主姪「魔女。貴女どうするの?」

店主姪「せっかく、こうやって貴女の事を連れ戻しに来てくれる友人達がいるのに」

店主姪「今後どうするかについては、魔女が決めて良いのよ」

店主姪「私達は、どこぞの最低最悪な勇者様みたいに強要したりしない」

店主姪「全て、魔女が決めて良いんだから」

店主「うん。そうだね」

924: 2014/10/24(金) 09:05:22 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。お願いだから、もう戻ってきて!」

女僧侶「上の方には、改めて私達が魔女の処遇の改善についてを掛け合ってみるから!」

女僧侶「だから、魔女ももう変な意地を張らないで!」

女僧侶「魔女の事に関しては、昔から私達がよく知ってるんだから!」

魔女「……」

魔女(相変わらず、女僧侶は重い女みたいだね……)

925: 2014/10/24(金) 09:05:38 ID:0LJcQGDk
店主姪「魔女。貴女、本当に良い友人を持ったわ!」

店主姪「普通、ここまでしてくれる人なんて滅多にいないわよ!」

店主姪「それで、魔女はどうしたいの?」

店主姪「私達は、魔女の意思を尊重してるわよ!」

店主「うん!」

女僧侶「魔女」ゴクリ

926: 2014/10/24(金) 09:05:53 ID:0LJcQGDk
魔女「残念だけど、私はここに残るわ!」

魔女「ここには、私みたいな不幸な人達が沢山いるから!」

女僧侶「!?」ガーーン

魔女「それに、私がいなくなったら誰が助けてあげるの?」

魔女「ここにいる先輩達は、レ〇プされた挙げ句に女にまで堕とされた人達なんだよ?」ギロッ

女僧侶「そ、それは……」

927: 2014/10/24(金) 09:06:25 ID:0LJcQGDk
魔女「だから、私だけここを抜ける訳には行かないわ!」

魔女「私は、ここにいる先輩達を助けないといけない!」

魔女「表向きには、教会側は最低限の生活の保証をしてくれてるけど、その実態は女を監視及び管理しているだけ!」

魔女「おまけに、王都に住む未婚の女性達を保護する為に、常日頃から女が好き放題レ〇プされている事実をどう説明してくれるの?」

魔女「今の私は、師匠のした事以上にその事が許せない!」

魔女「そんな現実を生で見てたら、自分だけここを出る訳には行かないの!」

928: 2014/10/24(金) 09:06:39 ID:0LJcQGDk
魔女「だから、もう女僧侶は私の事を諦めてくれる?」

魔女「私と女僧侶は、完全に住む世界が違うんだよ!」

魔女「マスター。私は今後も店の方には出させて頂きます!」クルッ

魔女「ですので、今後も宜しくお願い致します!」ペコッ

店主「ああ、了解した!」ピカァ

店主姪「貴女、そこまでウチの子達の事を考えていてくれていたのね!」ウルッ

929: 2014/10/24(金) 09:06:57 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。貴女の言い分は分かった」

女僧侶「さすがに、私だってあの現状については哀れに思う」

女僧侶「けど、今の貴女にはまだ助かる見込みがあるわ!」

女僧侶「私自身は、まだ貴女の事を諦めた訳じゃないの!」

魔女「!?」ガーーン

魔女(まだ、諦めてくれないの?……)

930: 2014/10/24(金) 09:07:13 ID:0LJcQGDk
女僧侶「魔女。ここに1万Gあるわ!」

女僧侶「これで、当分の生活費は確保出来るわよね?」スッ

魔女「!?」

女僧侶「魔女。あまり私達の事を舐めないでよね?」

女僧侶「これで、魔女の当分の生活費は確保出来た?」

女僧侶「だから、今勤めてる店を即刻辞めてくれるかしら?」ニッコリ

931: 2014/10/24(金) 09:07:26 ID:0LJcQGDk
魔女「いや、そんな事を急に言われても……」

魔女「私の話、女僧侶はちゃんと聞いてた?……」

女僧侶「うん!」ニコニコ

魔女「だから、私はここにいる先輩達を助けなくちゃ行けないの!」

魔女「女僧侶。相変わらず、自分勝手な所があるんだから!」ギロッ

女僧侶「それ、魔女が人の事を言えた義理?」ニコニコ

932: 2014/10/24(金) 09:07:39 ID:0LJcQGDk
店主姪「とりあえず、それ受け取ったら?」

店主姪「せっかく、わざわざ持ってきてくれたんだし」

店主「魔女君。当分の間は、産休を取った子達の世話をお願い」

店主「本当に、君は良い友人を持ったみたいだね」

魔女「……はい。かしこまりました」ガクッ

女僧侶「やった!」ニコニコ

933: 2014/10/24(金) 09:09:56 ID:0LJcQGDk
女僧侶「じゃあ、魔女はこれから私に付き合ってくれる?」ニコニコ

女僧侶「私、魔女を今からある場所に連れて行きたいから?」ニコニコ

魔女「え?」ムクッ

女僧侶「まぁ、着いてきたらすぐに分かるよ」ニコニコ

女僧侶「さっ、早く行こうか?」ニコニコ

魔女「……はぁ、了解したわ」

934: 2014/10/24(金) 09:10:23 ID:0LJcQGDk
店主姪「それじゃあ、二人ともお疲れ様」ニコニコ

店主姪「魔女。明日も今日みたいに頼むわよ」ニコニコ

魔女「はい。かしこまりました」

女僧侶「さぁ、魔女。早く行くわよ」ニコニコ

女僧侶「もう皆が、現地で魔女の事を待ってるんだから」ニコニコ

魔女「ああ、やっぱり……」

935: 2014/10/24(金) 09:10:37 ID:0LJcQGDk
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

「魔女。お願いだから逃げないでね!」

「もし逃げたら、地獄の果てまで追いかけるから!」

「はいはい……」

店主姪「ああ、行っちゃったわね……」

936: 2014/10/24(金) 09:10:52 ID:0LJcQGDk
店主「とりあえず、俺は店の方を見てくる」

店主「姪は、産休を取った子達を頼む」

店主姪「ええ、了解したわ」

店主「やっぱり、魔女君を勧誘して正解だった!」

店主「彼女は、ウチの子達にはない何かを持っていたから!」

店主姪「ええ、そうね!」

937: 2014/10/24(金) 09:11:06 ID:0LJcQGDk
~王都・教会前~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

女僧侶「着いたわよ」

938: 2014/10/24(金) 09:11:20 ID:0LJcQGDk
魔女「え? 何で教会なの?」

魔女「と言うか、ここで何するの?」

女僧侶「何って、今から勇者様の裁判」

女僧侶「今の勇者様、あのキモメンを殺害した容疑者じゃない」

魔女「あっ、そうだった……」

不審な木箱「……」

939: 2014/10/24(金) 09:11:52 ID:0LJcQGDk
女僧侶「とりあえず、今からここに入るわよ」

女僧侶「皆、もう集まってきてるし」

魔女「うん」

女僧侶「後、武闘家妹は早く出てきなさい」

女僧侶「貴女、さっきからそこで何してるのよ?」

魔女「え?」

940: 2014/10/24(金) 09:12:05 ID:0LJcQGDk
武闘家妹「ああ、バレてた……」

武闘家妹「魔女がここに来なかったら、このまま私も女にでもなろうかなぁとか思ってたから……」ウルッ

魔女「……」クルッ

スッ、パカッ……

武闘家妹「今の私、ただの捨て犬だもん……」ウルウルッ

武闘家妹「魔女が来なかったら、本当に女になってでも魔女に会いに行っていたから……」ウルウルッ

941: 2014/10/24(金) 09:12:24 ID:0LJcQGDk
魔女「いや、それ私が困るから……」

魔女「と言うか、そこまで思い詰められても……」

魔女「もしかして、私の所為?……」

魔女「私の所為で、ここ最近の武闘家妹は捨て犬みたいになっていたのかしら?……」

武闘家妹「うん。そうだよ……」ウルウルッ

女騎士「ああ、全て魔女が変な意地を張ってたのが悪い!」ヌッ

942: 2014/10/24(金) 09:12:40 ID:0LJcQGDk
魔女「はぁ、もう悪かったわよ……」

魔女「相変わらず、女騎士達はバカなんだから……」

魔女「一体、どこをどうしたらこんな私みたいな女でも好きになれるの?……」

魔女「私、未だにそれが分からないかな……」ガクッ

武闘家妹「う~~ん」スッ、フキフキ

女僧侶「やっぱり、これは神による巡り合わせなんじゃないかなぁ」ニッコリ

943: 2014/10/24(金) 09:13:37 ID:0LJcQGDk
魔女「はぁ、もう分かったわよ……」

魔女「全部、私が悪い事にして良いわよ……」

魔女「それで、ここに入れば良いんだよね?」

魔女「勇者は、もう中にいるの?」

武闘家妹「うん」ヨイショ

女騎士「今回の裁判は、魔王討伐の関係もあって急遽その日の内に行われたんだ」

944: 2014/10/24(金) 09:13:52 ID:0LJcQGDk
女僧侶「じゃあ、もう入りましょうか?」

女僧侶「そろそろ、勇者様の判決も出ると思うし」

女僧侶「魔女。お願いだから逃げないでね!」

女僧侶「じゃないと、今度は魔女も裁判に掛けちゃうから!」ニコニコ

魔女「はいはい」

クルッ、スタスタスタッ……

946: 2014/10/25(土) 04:51:58 ID:13dkcWSE
~教会・聖堂~

司祭「それでは、これより勇者XXXに対する罪状認否を行う!」

司祭「被告・勇者XXXは、本日午前9時過ぎ中央広場にてキモメンと呼ばれる下の者の男性を殺害!」

司祭「王都の民達に対して、言い知れぬ恐怖心を与えた!」

司祭「罪状、武器を使用した上での殺人!」

司祭「被告人は、この事実を認めますか?」

947: 2014/10/25(土) 04:52:13 ID:13dkcWSE
勇者「いいえ、私は認めません!」

勇者「今回の事件は、相手側からこの私に対して斬りかかって参りました!」

勇者「私は、正当防衛を主張致します!」

勇者「ですので、武器を使用した上での殺人は認められません!」

司祭「ほう?」

教会関係者「……」ザワザワッ

948: 2014/10/25(土) 04:52:52 ID:13dkcWSE
司祭「では、被告人は正当防衛を主張すると?」

司祭「それを、被告人は証明する手段はあると言うのですか?」

勇者「はい!」

司祭「では、今からそれを証明して頂く!」

司祭「被告人は、それを今から証明して下さい!」

勇者「はい!」

949: 2014/10/25(土) 04:53:08 ID:13dkcWSE
スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

女僧侶「あっ、もう始まってるみたいね」

女騎士「ああ、そうだな」

スッ、バタン……

950: 2014/10/25(土) 04:53:39 ID:13dkcWSE
勇者「司祭様。目撃証言の方は、どうなっていますか?」

勇者「現場にいた兵士達が、それをすぐに証明してくれるはずですが」

司祭「今の所、現場に居合わせた兵士達からは、“相手方から斬り掛かってきた”と言う目撃証言があった!」

司祭「だが、被告人は正当防衛を主張する割りには、何故その手続きをしなかった?」

司祭「被告人はその手続きを速やかにしなかった為、この度の裁判は武器を使用した上での殺人となる!」

司祭「被告人の正当防衛が認められる為には、“速やかに行為の一切を公にし、全容解明に至る全ての事をする必要”があったはずだ!」

951: 2014/10/25(土) 04:53:55 ID:13dkcWSE
勇者「いや、そんな事を急に言われましても……」

勇者「具体的に、私は何をすれば良かったのですか?……」

司祭「例えば、犯行現場に十字架を掛ける!」

司祭「道行く人達に、被害者の魂が神によるお慈悲を受けれる様に祈って貰う!」

司祭「それを、被告人は一切しなかった!」

司祭「あろう事か、勇者と言う職業の名を汚した大変許しがたい行為でもある!」

952: 2014/10/25(土) 04:54:12 ID:13dkcWSE
勇者「ですが、あれは相手の方から斬り掛かってきたんですよ?」

勇者「相手の方から斬り掛かってきた為に、自分は応戦したまでです!」

司祭「なら、被告人の剣には何故毒が塗ってあった?」

司祭「被告人から回収した剣には、何らかの毒が塗ってあったが」

勇者「そ、それは……」

魔女(ああ、あの毒ね……)

953: 2014/10/25(土) 04:54:27 ID:13dkcWSE
司祭「司教様、ご来訪の皆さん!」

司祭「私は、今回の事件の被害者が大変哀れに思えます!」

司祭「彼は、まだ氏を迎える準備すら出来ていない状態でした!」

司祭「大勢の民衆達の目の前で儚い命を落としたのにも関わらず、被告人は一切その罪を認めない!」

司祭「彼の魂が神によるお慈悲を頂けないと思うと、本当に哀れに思います!」

司教「うむ。そうじゃな!」

954: 2014/10/25(土) 04:54:42 ID:13dkcWSE
「勇者。早く罪を認めろ!」

「神に対して、早く許しを乞え!」

勇者「……」クルッ

「今、勇者が罪を認めないならば、極刑もやむ無し!」

「財産を没収した上で、勇者自身の氏刑を望む!」

勇者「なん……だと……!?」

955: 2014/10/25(土) 04:54:55 ID:13dkcWSE
司祭「ご静粛に、ご静粛に!」

司祭「被告人は、早く罪を認めなさい!」

司祭「被告人が罪を認めなければ、一体彼はどうなるのです?」

司祭「そもそも、被告人は何故彼を殺害するに至ったのですか?」

司祭「この際ですから、全て明らかにしなさい!」

司祭「そうでなければ、被告人が主張する正当防衛も認められない!」

956: 2014/10/25(土) 04:57:56 ID:13dkcWSE
勇者「そもそも、事の発端は被害者による付き纏いが原因でした!」

勇者「私は、魔王を討つ度に出る直前に、ある場所で仲間を多数集めました!」

勇者「そのある場所と言うのは、王都にある冒険者登録所!」

勇者「そこで、私は旅に出る為に必要な仲間達を集め、それに溢れた被害者による逆恨み的な行動が全ての始まりなのです!」

司祭「……」

教会関係者達「……」ザワザワッ

957: 2014/10/25(土) 04:58:10 ID:13dkcWSE
司祭「では、何故彼を仲間にしなかったのです?」

司祭「確かに、被害者の容姿には問題があります!」

司祭「ですが、彼は紛れもなく私達と同じ人間でした!」

司祭「その彼に付き纏われていたからと言って、何も殺害する必要はなかったでしょう?」

勇者「しかし!」

司祭「被告人は、容姿だけで人を判断していたのですか?」

958: 2014/10/25(土) 04:58:28 ID:13dkcWSE
勇者「じゃあ、この俺が受けた被害はどうしてくれるんだよ?」

勇者「元はと言えば、勝手に向こうが逆恨みしたのが原因じゃねぇか?」

司祭「だからと言って、被告人が彼を殺害して良いと言う事には絶対にならない!」

司祭「彼だって、一人の人間だ!」

司祭「神の前では、被告人も被害者も同等である!」

勇者「くっ……」

959: 2014/10/25(土) 04:58:43 ID:13dkcWSE
司祭「他に、彼は被告人に何をしてきたのです?」

司祭「ただ単に、被告人の仲間にしてほしかったから、彼はアピールをしていたのでしょ?」

司祭「被告人が、被害者とちゃんと話し合えばこんな事にはならなかった!」

司祭「被告人は、勇者と言う特殊な職業を悪用し、自身の行った事に対する正当性を主張した!」

司祭「神は、被告人の行った行為を決して許すはずがない!」

司祭「被告人は速やかに罪を認め、被害者に対して懺悔する様に私は求める!」

960: 2014/10/25(土) 04:58:58 ID:13dkcWSE
勇者「司祭様。あんた、あのビラに書かれた内容を真に受けてるのか?」

勇者「あのビラに書かれた内容は、全て事実誤認だ!」

勇者「あれは、あいつが全て書いたビラなんだよ!」

勇者「俺は、決して仲間をレ〇プしてないし、娼館で豪遊すらしてない!」

勇者「何故、被害を受けていた俺だけがこうして裁かれるんだ!?」

勇者「本来なら、あいつが今ここで俺の代わりに裁かれるべきだろ!?」ギロッ

961: 2014/10/25(土) 04:59:13 ID:13dkcWSE
司祭「被告人。少し落ち着きなさい!」

司祭「それを彼がやったかについても、被告人は証明出来るのですか?」

勇者「ああ、それについては出来るんだよ!」

勇者「ここに、大賢者様さえ呼んで頂けたらな!」

司祭「ほぅ……」

魔女(そう言えば、大賢者様ってどうなったんだろう?……)

962: 2014/10/25(土) 05:00:27 ID:13dkcWSE
司教「残念じゃが、大賢者殿は亡くなられた!」

司教「それに、賢者殿と魔導師殿もだ!」

勇者「!?」ガーーン

司教「それに、彼がビラを撒いたと主張しておるが、かなり無理があるじゃろ!」

司教「紙は、どこの国でもかなり貴重な品物じゃ!」

司教「あのビラを撒くぐらいなら、直接口で民衆に伝えた方が早かったじゃろうが!」

963: 2014/10/25(土) 05:00:42 ID:13dkcWSE
勇者「ですが、実際にそのビラは大量に町から町へと撒かれているんですよ!」

勇者「その撒いたビラについては、魔法か何かで増やしたんじゃないですか?」

司教「確かに、そのビラが町から町へと大量に撒かれていたのは事実なのじゃ!」

司教「しかし、わざわざそんな回りくどいことをするか?」

司教「町から町へと紙を撒いたとしても、一体誰が読める?」

司教「どこの国でも、実際に字の読み書きが出来るのは、ある特定の身分でなければ出来ないのじゃ!」

964: 2014/10/25(土) 05:00:56 ID:13dkcWSE
司祭「被告人。もう諦めなさい!」

司祭「いくら、被告人が罪を認めたくなくても、神は見ているのです!」

司祭「神は、被告人に対して罪を認めろとおっしゃっております!」

司祭「これまで、神は被告人がしてきた事全てを見てきました!」

司祭「時には、被告人が被害者を殺害する瞬間すらも見ていたのです!」

司教「うむ。そうじゃな!」

965: 2014/10/25(土) 05:01:29 ID:13dkcWSE
勇者「だったら、俺を今から女神様に会わせてくれ!」

勇者「そして、俺は女神様に自身の無実を証明して貰う!」

司祭「は?」

勇者「頼む。俺を女神様に会わせてくれ!」

勇者「もう、今の俺の無実を証明出来るのは、女神様くらいしかいないんだ!」

教会関係者達「……」ザワザワッ

966: 2014/10/25(土) 05:03:38 ID:13dkcWSE
「でしたら、私が神の意思を代弁致します!」

「それでしたら、勇者XXXも文句は無いですよね?」

勇者「え?」

シュン、シュタッ……

赤竜娘「……どうも」

教会関係者達「!?」シーーン

967: 2014/10/25(土) 05:04:15 ID:13dkcWSE
赤竜娘「勇者XXX。またお会いしましたね」

赤竜娘「この度の事につきましては、大変残念に思います」ニッコリ

勇者「はっ、はい……」ビクッ

赤竜娘「神は、貴方に罪を認めろとおっしゃっております!」ニコニコ

赤竜娘「ですから、早急に貴方は全ての罪を認めて下さいね!」ニコニコ

勇者「!?」ガーーン

968: 2014/10/25(土) 05:04:48 ID:13dkcWSE
司教「で、では、勇者XXXは有罪と言う訳で?……」

司教「赤竜娘様。それで宜しいでしょうか?……」

赤竜娘「はい。お願いします!」ニコニコ

司教「判決、勇者XXXを有罪とする!」

司教「刑罰は、XX法に基づき斬首及び財産没収じゃ!」

勇者「うそーーーーーーーーん!?」ガーーン

969: 2014/10/25(土) 05:05:03 ID:13dkcWSE
赤竜娘「それでは、今から私は勇者XXXに与えられた特殊な力を回収致しますね!」ニコニコ

赤竜娘「それを終えたら、彼を処刑して頂いても構いませんから!」ニコニコ

司教「はい。かしこまりました!」

赤竜娘「勇者XXX。神の名の元に、汝に与えし力を全て回収する!」スッ

赤竜娘「はっ!」ブワッ

ギュイーー------ン、ギュイ------ーーン……

970: 2014/10/25(土) 05:05:17 ID:13dkcWSE
魔女(とりあえず、勇者の裁判が終わった……)

魔女(まぁ、大体は予想は付いていたんだけど……)

魔女(やっぱり、あそこで凶暴化の薬を撒いといて良かった……)

魔女(どうやら、私が撒いた事は知られてはいないみたいだし……)ホッ

赤竜娘「ふぅ、終わりました……」スッ

元勇者「……」フラッ、ドサッ

971: 2014/10/25(土) 05:05:49 ID:13dkcWSE
司教「では、これにて解散!」

司教「本日の裁判は、これで終了とする!」

司教「皆の衆、ご苦労だった!」

司教「赤竜娘様。遠いところからわざわざお越し頂き誠に有り難うございます!」ペコッ

教会関係者達「……」ペコッ

赤竜娘「いえいえ、どう致しまして!」ニッコリ

972: 2014/10/25(土) 05:06:02 ID:13dkcWSE
女僧侶「魔女。もう帰るよ」

女僧侶「もう元勇者XXXの裁判は、終わっちゃったから」

女僧侶「とりあえず、今から近くの酒場にまで行かない?」

女僧侶「司教様には、ちゃんと許可を取ってあるから」ニッコリ

魔女「うん。分かった」ニッコリ

スッ、ガチャ……

973: 2014/10/25(土) 05:06:16 ID:13dkcWSE
クルッ、ゾロゾロゾロッ……

ゾロゾロゾロッ、ゾロゾロゾロッ……

赤竜娘「司教。この青年を牢に戻しておいて下さい!」

赤竜娘「この青年には、もう神より与えられた特殊な力等は一切ありません!」

赤竜娘「ですから、氏刑執行は一週間後にお願い致しますね!」

司教「はっ、かしこまりました!」

974: 2014/10/25(土) 05:09:36 ID:13dkcWSE
~王都・冒険者登録所~

半月後ーー

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

仲介人「いらっしゃい!」ニッコリ

975: 2014/10/25(土) 05:09:51 ID:13dkcWSE
新勇者「失礼。本日から勇者の称号を引き継いだ新勇者XXXXだ!」

新勇者「早速だが、旅の仲間を仲介して貰いたい!」

仲介人「はい。ただいま!」ニコニコ

キモメン2「!?」クルッ

キモメン3「!?」クルッ

新勇者「……ん?」ハッ

976: 2014/10/25(土) 05:10:05 ID:13dkcWSE
新勇者「おいっ、そこのキモイ奴等!」

新勇者「お前ら、名前とレベルと職業は?」

新勇者「一体、お前らは何が出来る?」

キモメン2「お、オラ達の事か?」

新勇者「ああ、そうだ!」

キモメン2「!?」ピカァ

977: 2014/10/25(土) 05:10:20 ID:13dkcWSE
キモメン3「オラ達は、XX地方のXXXX郡から来たキモメン兄弟だ!」

キモメン3「職業は戦士で、レベルは50!」

キモメン3「ここには、氏んだ実の兄貴(勇者に付き纏ってたキモメン)の墓参りに来てただ!」

キモメン3「その兄貴が生きてたら、かなりの戦力になったんだがな」クルッ

キモメン2「ああ、そうだな」コクン

新勇者「ほう?」

978: 2014/10/25(土) 05:10:34 ID:13dkcWSE
仲介人「勇者様。如何致しますか?」

仲介人「こちらの二人は、かなりの腕の持ち主ですよ!」ニッコリ

新勇者「う~~む」ジーーッ

キモメン2「勇者様、どうかオラ達の事を仲間にしてくだせぇ!」ジーーッ

キモメン2「オラ達、金はたんまり持ってる!」ジーーッ

キモメン2「氏んだ兄貴が残してくれた、魔王城までの地図もあるんだ!」ジーーッ

979: 2014/10/25(土) 05:10:48 ID:13dkcWSE
新勇者「ほぅ、それは誠か?」

新勇者「して、その地図はいずこに?」

キモメン3「ほれっ、これだ」スッ

新勇者「すまぬ」スッ

スッ、シュルシュル……

スッ、ピラッ……

980: 2014/10/25(土) 05:11:35 ID:13dkcWSE
新勇者「なっ!? これは、南大陸の地図ではないか……」

新勇者「実際、私はつい先日まで南大陸での戦に出ていた……」

新勇者「この地図は、信用に値する!」

新勇者「よく、これを今まで守り抜いてくれた!」

キモメン3「おおっ、そうなのか!」

キモメン2「良かったなぁ、弟よ!」

981: 2014/10/25(土) 05:11:51 ID:13dkcWSE
新勇者「よしっ、お前らの事を旅の仲間として採用しよう!」

新勇者「これから、長い旅になると思うが宜しく頼む!」

キモメン2「ああ、宜しくだ!」ニッコリ

キモメン3「勇者様。本当に有り難うごぜぇます!」ニッコリ

新勇者「宜しく頼む!」ニッコリ

仲介人「それでは、手続きの方を開始致します」スッ

982: 2014/10/25(土) 05:12:04 ID:13dkcWSE
新勇者「ちなみに、他の奴等は?」

新勇者「他にも、仲間になりそうな奴等はいないのか?」

仲介人「ええ、他の人達はもういません!」カキカキ

仲介人「皆、各自で南大陸の方に渡られましたので!」カキカキ

新勇者「うむ。そうか」

仲介人「はい。どうぞ」スッ

983: 2014/10/25(土) 05:12:18 ID:13dkcWSE
新勇者「そうか。もう出払った後だったか」

新勇者「なら、仕方ないな」スッ

仲介人「誠に申し訳ございません」ペコッ

新勇者「では、キモメン兄弟。もう行くぞ!」

新勇者「早く我々が南大陸に向かわなければ、世界に平和が訪れないのだからな!」

キモメン兄弟「おう!」

984: 2014/10/25(土) 05:15:04 ID:13dkcWSE
~王都・中央広場~

女僧侶「ねぇ、聞いた? 今日、新しい勇者様が出たみたいよ」

女僧侶「前の勇者様が亡くなってからまだ日が浅いのに、もう新しい勇者様が出てきたみたい」

魔女「へぇ……」

女僧侶「まぁ、次の勇者様は大丈夫そうだけどね」

女僧侶「私は、もう勇者様と言う存在は懲り懲りかな」

985: 2014/10/25(土) 05:15:17 ID:13dkcWSE
女僧侶「そう言えば、今日はお休みなの?」

女僧侶「魔女がここで暇そうにしてるなんて、かなり珍しいわね」

魔女「うん。今日は定休日なの」

魔女「だから、私はここで新しい魔法のインスピレーションを得ていた訳」

女僧侶「へぇ……」

魔女「あっ……」

986: 2014/10/25(土) 05:15:32 ID:13dkcWSE
魔女「ねぇ、もしかしてあれが例の勇者様?……」

魔女「今回の勇者様は、かなりゲテモノ好きなのね……」

女僧侶「ええ、そうよ」

魔女「ごめん。私、やっぱああ言うのは無理……」

魔女「なんか、私は絶対に無理かな……」

女僧侶「ああ、やっぱり……」

987: 2014/10/25(土) 05:15:49 ID:13dkcWSE
魔女「けど、他に仲間の成り手はいなかった訳?……」

魔女「私、絶対にあれだけは無理だと思う……」

女僧侶「うん。そうだね……」

魔女「ああ、なんか変な感じになってきた……」

魔女「私の得るはずだったインスピレーションが、何一つ得れなかった……」ガクッ

女僧侶「貴女ねぇ……」

988: 2014/10/25(土) 05:16:20 ID:13dkcWSE
魔女「とにかく、私は場所を変えるわ……」

魔女「女僧侶は、まだ戻らなくても大丈夫なの?……」

女僧侶「うん」

魔女「じゃあ、少しだけ付き合ってくれる?」

魔女「この間の件の埋め合わせ、まだしてなかったから」

女僧侶「ええ、いいよ。そんなの」

989: 2014/10/25(土) 05:16:35 ID:13dkcWSE
魔女「けど、いきなりあんな大金を渡されたら、かなり申し訳ないわよ!」

魔女「私、あの時は本当にどうしようか悩んでたんだから!」

女僧侶「まぁ、あれについては本当に気にしないで!」

女僧侶「あれ、実はエルフ魔女さんから頂いた物だから!」

女僧侶「だから、魔女は気にしないでね!」ニッコリ

魔女「……えっ!?」ガーーン

990: 2014/10/25(土) 05:16:49 ID:13dkcWSE
あれから半月後、私は女僧侶達とは完全に仲直りをしていた。

あれだけ私が冷たく接していたのにも関わらず、女僧侶達はただの大馬鹿。

粘り強く教会側とも交渉を続け、この私とも完全に和解。

私自身は、女寮のすぐ横から引っ越す事が出来たのだった。

だが、私は完全に油断していた。

いやむしろ、女僧侶達の事を侮っていたかもしれない。

今度の私の新居は、本当に女僧侶達が住む寮に近く。

偶々、こっちに休暇で来ていたエルフ魔女さんを交渉の席に着かせて、無理に私を教会関係者の住宅付近に引っ越しをさせていた様だった。

991: 2014/10/25(土) 05:17:03 ID:13dkcWSE
その後、私は普段通りの日常を送っていた。

私は私で、自身が作る魔法薬を今勤めている店に納品していたからだ。

それと同時に、何故かエルフ魔女さんが用意してくれたハーフエルフの女達が、私の勤める店にも多数移籍。

王都の中で、エルフ王国から派遣されてきた多数のハーフエルフ達の顔がちらほら見える。

けれど、私の気持ちは完全に晴れなかった。

私は、前の勇者の事を罠に嵌めていたからだ。

それにも関わらず、誰もその事を一切咎めたりはしない。

逆に、今の私はそれ自体が本気で怖かったりもする。

992: 2014/10/25(土) 05:17:16 ID:13dkcWSE
ねぇ、神様。

私は、どうしたら許して貰えるの?

私は、どうやったら自身の犯した罪を償えば良いの?

やっぱり、神様は私の事を見ているのね……

あの日、私が前の勇者に何をしたかについてを、ちゃんとしっかり見ていたのね……

あの日、私は前の勇者の事を罠に嵌めた。

それが原因で、前の勇者は氏ぬ事となった。

本当に、あの時は悪かったわ……

私、あの日の事は貴方にちゃんと謝るから、もう二度と私の夢には出てこないでほしい……

993: 2014/10/25(土) 05:17:42 ID:13dkcWSE
それ加えて、私はあの時の事を本気で後悔する事していた。

それと同時に、私のお腹の中には再び謎の違和感が発生した。

あの時と全く同じ様に、今の私の体は女を続けていた所為で再び妊娠。

何度も何度も、何故か私が元勇者XXXによって火炙りにされる夢を見続けている。

それから暫くして、私は女僧侶と共に酒場へと向かった。

しかし、気がついた時には私は再び教会付属病院のベットの上だった。

そこで、何故か再び泣き崩れてしまっている女僧侶達の姿を私は見てしまい……

どうやら、もう既に私の体は性病に蝕まれていた挙げ句、自身のお腹の中にいた子供は余所見しながら走ってきた子供とぶつかり完全に流産。

もう二度と私は子供すら産めず、今の私の体を蝕む病を完全に治す事も出来ない。

これが、私が神より与えられし天罰だと悟ったのは、それを女僧侶達から涙ながらに伝えられた時だったのだった。

魔女「キモメンが、仲間にしてほしそうに勇者を見ている……」/完

994: 2014/10/25(土) 05:19:06 ID:13dkcWSE
これで、この物語は終わりです。

この物語を読んで頂き、誠にありがとうございました。

995: 2014/10/25(土) 12:59:15 ID:3h0lxaUY
おつかれさまでした。
改めて通しで読んでみます。

996: 2014/10/25(土) 16:25:50 ID:pqSESyOc
乙!

引用: 魔女「キモメンが、仲間にしてほしそうに勇者を見ている……」