828: 2008/08/28(木) 22:14:09 ID:JWLLhE+N

―はじまり―

(1/5)
エーリカの件から数日後。また私とゲルトだけが食堂でジャガイモを食べていた。

最初は穏やかに皮肉の一つも言いながら食べていた。
ただ、どーもカールスラントとはウマが合わない。

ゲルトは相変わらず電撃戦だなんだと言いながら、大きいジャガイモを独りで食べていたのだ。
わたしはここは一つ灸を据えてやろうと立ち上がった。


<幻のWW2~じゃがいもは冬の便り~>



「電撃戦だと?そんなものリベリオンの物量作戦の前では無駄無駄無駄ぁぁぁ!」
私の両手には合わせて8本のフォークが握られていた。

「はぁっ!くらえサンダーボルトォーー!」

朝日を受けてギラリと光るフォークがジャガイモに迫る!!
刹那、ゲルトが動くとジャガイモの皿を覆い隠すような金属の蓋が!
全てのフォークが蓋にやすやすと弾かれてしまう!

「な、なぁにぃ!!」

「カールスラントを舐めて貰っては困る。ティーガーの装甲をお忘れか?」

「ぐっ、ぐぬぬぬ」

「火力しか取りえの無いファイアフライなんて使ってるリベリオンにはわかるまい」

そう言うとゲルトは易々とジャガイモを口に運ぶ。
良い度胸だ、最高に良い度胸だ。わくわくしてきたじゃないか。

829: 2008/08/28(木) 22:14:42 ID:JWLLhE+N
(2/5)

「ふふふ、8本じゃ失礼だったな…やられたら2倍にやり返すのがリベリオン流だ」

私はこんな事もあろうかと準備しておいたフォークを、胸の谷間から取り出す。

「届け!レンド・リース船団!」

私は16本のフォークをジャガイモの山へと投げつける。

「はっ!利かぬと言ったら利かぬ!北海に沈むがいい!」

ゲルトはまた蓋に手を伸ばす!かかった!

「甘い!CAMシップ!!」

私はポケットの中に仕込んでおいたスイッチを握る。即座に1本のフォークが弾け、蓋を吹き飛ばす!
ゲルトが驚愕の声を上げる!
「なぁにぃ!!フォークの1本に火薬を仕込むだとぉ!」

15本のフォークがジャガイモに突き刺さる。あまりに作戦がきれいに成功するので、私の顔はいくらかニヤけてしまう。

「備えよ常に、だよ。カールスラント」

私は得意げにゲルトの格言を言い返してやる。ふふふ。ゲルトのやつ相当頭に血が上ってるな。
わなわなと震えるゲルトを横目にジャガイモを食べていると、ルッキーニがやってきた。私は声をかける。

「おい、ルッキーニ!ジャガイモ食べよーぜー」

830: 2008/08/28(木) 22:15:14 ID:JWLLhE+N
(3/5)

ルッキーニは嬉しそうに私に駆け寄る。いや、正確には駆け寄ろうとした。
ゲルトが圧倒的な威圧感を持って口を開いたのだ。

「おはよう…ルッキーニ。たまにはこっちのイスで朝食なんてどうかな?」

言葉は冷静だった。
いや、冷静なのは言葉だけだった。
声は割れ、目線は烈火のごとくルッキーニを射抜き、肩は震えていた。

「ウェ、フシュフルフルフル…」

「やめろよ!ルッキーニが怖がってるじゃないか!」
私は少し怒気を込めてゲルトに抗議する。

「いや、すまなかったな…、ルッキーニが自分で選ぶがいい」
ゲルトは冷静さを取り戻してそう言った。そして一言。
「“あの件”、忘れた訳じゃないよね…」
取り戻してなんかいなかった!目が本気のままだ!

「アウアウゥ…ごめんシャーリー…隊長にバレたら…」
そう言うとルッキーニは申し訳なさそうにゲルトの側に座った。
「ははは、ルッキーニ。二人でジャガイモを山分けしようじゃないか。同盟と言うわけだ」
くそっ!ゲルトめどんな弱みを握ってやがるんだ!ルッキーニもどんだけ悪事を隠してるんだ。


831: 2008/08/28(木) 22:16:02 ID:JWLLhE+N
(4/5)

「戦線は膠着状態だな…」

ゲルトは私の心理を揺さぶろうと、そんな事を言う。

ここで頷いてはゲルトの思うつぼだ。私はことさら胸を張り、
「いや、無尽蔵の攻撃力こそリベリオンの真骨頂。まだまだだぁ!」
そう言うが早いとフォークをジャガイモめがけて突き刺す。
同時にゲルトもあらん限りの力でフォークを突き刺す。

「フギャァァ!!」

二人の力でジャガイモの山が吹き飛び、ルッキーニが悲鳴をもらす!ジャガイモがテーブルの上空に舞う!

「空中戦なら負けないぞ!リトルフレンド!カモン!」
私は次々に空中のジャガイモを突き刺していく!しかしゲルトは自分の軍服のポケットをまさぐっている。
「怖気づいたか!ノースリベリオンを舐めるなよっ!」
私がそう言って笑ってやろうとした瞬間、ゲルトの両手には見慣ぬ形のフォークが握られていた。

「ふふふ、今次大戦には間に合ったのだよ!ドルニエ・ザ・プフィール!!」

両端に三つ又のついたフォークをゲルトは握り、光のような速度で振り始めた!次々に空中のジャガイモが突き刺されていく!

「忘れるな!一撃離脱はリベリオンの専売特許じゃなぁないんだぁ!」
「マスタングが負けるものかぁぁ!」

テーブル上空で二人のフォークが激しく火花を散らす!
「ははは!これだ!戦争ってのはこうでなくっちゃなぁ!リベリオン!」
「ほざけ!カールスラント!」
「フギャァァ!たーすーけーてー!!」

832: 2008/08/28(木) 22:16:40 ID:JWLLhE+N
(5/5)

二人のフォークに弾かれたジャガイモがテーブルの隅へと飛んでいく」
ゲルトが叫ぶ。
「漏らすか!V-2ロケェェット!業火に包め!」
ゲルトは大振りなフォークをジャガイモめがけて投げつける!
私はその瞬間を待っていた!

「ぬかったな!本国ががら空きだぁ!」
私はルッキーニの目をみて、こう言った。
「ルッキーニ!お前は私がミーナ隊長から守る!そのジャガイモをこっちによこすんだ!」
「シャ!シャーリー!!」

ルッキーニは目を輝かせると、ゲルトの皿に山と盛られた確保済みのジャガイモを、皿ごと私の方へと動かした。

「なぁにぃ!ロマーニャが墜ちるだとぉぉ!!」
ゲルトが絶叫する。私は自信たっぷりにこう言い放つ。

「ヘタロマーニャを忘れたのが敗因だな。はっはっは」
「ルッキーニはヘタレじゃないもん!ガルガル」
ルッキーニはがっくりと肩を落とすゲルトの横でそう言って怒った。

「ははは、ごめんごめん。ジャガイモもいっぱいあるし食べよう?」
「もう食べてるの!おかわりっ!」
「はいはい♪」

こうして朝食の平和は守られたのだった。

―おしまい―

833: 2008/08/28(木) 22:18:19 ID:JWLLhE+N
軍事小ネタを挟みたくて書いたのは内緒ですww
サーセンww

835: 2008/08/28(木) 22:28:08 ID:NVBlSWOS
GJ!w
このあと弱みを握られてゲルトさんにいいようにされるルッキーニ想像して鼻血出そうになった

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart2