46: 2008/08/30(土) 14:35:26 ID:gf1xJeg9
Call you



食堂にはもうみんなそろっていた。

カウンターに食事を取りに行くと、そこには私の後輩…いや、い…いも…妹の芳佳がいた。

「おはようございます、バルクホルンさん」
あぁ…芳佳が、…芳佳が私に挨拶を…(至福)
そ、そうだった。ここは、おはよう、宮藤。とにっこり笑って返事をするべきところだ!
がんばれ自分!
「…あ、ああ。しんじ…じゃない。えっと…
あー、んー…み…」

なぜ出来ないんだ私!

「バルクホルンさん?」
「…いや。お、おは…よう、みやふ…」
「え?」
芳佳が私の顔を覗きこむ。かわいい…。
「う!な、なんでもない!気にしないでくれ!!!」

(どうしちゃったんだろバルクホルンさん…
ちゃんとは聞こえなかったけど、おはよう、って言ってくれていた気がする)

「はぁ…」
自己嫌悪になりながら席についた。
「あれ?トゥルーデ、顔が赤いぞ?」
「‥ハルトマン。気にするな…いつものことだ」
(いつものことって…おい…)

ひととおり食事を済ませた後。

ミーナが私の部屋へやってきて一言。
「トゥルーデって、ほんと照れ屋さんよねv」
「な‥‥、ミーナ!」
「“みやふじ”くらい言えなさいよ」
完璧お姉さん目線。まさかこいつに見られていたとは。
「たった四文字でしょ?」
「その四文字が…どれだけ…」
「はぁ~、あなたって…」
やれやれといった顔をしながら、ミーナは出ていった。

「なんなんだあいつ…」
いや、むしろ私の方がなんなんだ?
名前ひとつ呼ぶのにこんなに苦労して…
まるで思春期の男子みたいじゃないか!
‥‥そもそも男の考えていることなど知らんが。

いいか、ゲルトルート。
みやふじ。みやふじだ。
何もいきなり芳佳と呼ぶわけじゃない。
みやふじ、だ。かんたん。簡単だぞ!
ストライクウィッチーズ エーリカ・ハルトマン1941 (角川コミックス・エース)
47: 2008/08/30(土) 14:40:10 ID:gf1xJeg9


ちょっと部屋から出よう。ここにいても悶々するだけだ。

ガチャ――ドアを開けた瞬間―、
(よ……芳佳っ!!)
目の前にたった今まで考えていた妹(仮)の姿が!

「あ、バルクホルンさん。こんにちは~」
なんて人当たりのいい子なんだ…!
――なんてことを思っている場合じゃない。
ここは『こんにちは、宮藤』と言う場面だ。
がんばれトゥルーデ!いけいけトゥルーデ!

「こ…こんちには、…み…みや…みやふじ…」

噛 ん だ っ ! (恥)

「…え?」

な…なんだコンチニハって!絶対変な奴って思われた!
「あはっ」
芳佳の唇から笑いのような息が漏れた。
「あはははははっ!ばっバルクホルンさん!
こんちにはって!」
「頼む…忘れろ…」
「ムリですっ…」
「頼むから!」
「ダメですよ」
「なぜだ!」
「だって、照れ屋のバルクホルンさんが初めて私の名前呼んでくれたんだもん」「……え」
一瞬状況が判断できなかった。
な、なんだって?
「お、お前、」
「もう呼んでくれないんですか?」
「な…」
ああ、暑い!なんかここ暑くないか!?
「かわいい。バルクホルンさん」
「――はぁっ!?だれが!わ、私は寝る!」

なんだこれ…。完全に芳佳のペースじゃないか。
姉失格にも程がある。

言ってから気づいたが、今は明らかに寝る時間ではない。


48: 2008/08/30(土) 14:43:13 ID:gf1xJeg9


顔を真っ赤にしながら歩いていると…
げ。ミーナだ。
「あら?トゥルーデ、うまくいったの?」
私を見てうれっしそーに笑っている。
「う‥‥うるさいバカ!」
「バカって…同郷といえども私は上官よ?」
「うるさい!私は寝るんだ!」
そう言い放ってスタスタ歩いた。
夢中で歩いた。

「そっちは貴女の部屋じゃないでしょ~?」
最悪だ。最悪すぎる。
反対方向に歩いていた…。
仕方なく踵を返した。
「まったく。かわいいわね、トゥルーデは」
「ふん、なにが!!」
怒り飛ばして、部屋へと早歩き。

私という奴は…。どれだけダメ人間なんだ。

こんちには
こんちには
こんちには

頭の中で、さっきの失態と恥ずかしさが何度もリフレインする。
…あの後、芳佳何て言ってたっけ…

(照れ屋のバルクホルンさんが初めて私の名前呼んでくれたんだもん)

ドッキーン!
思い出した途端心臓が跳ねた。

そうだ。私は宮藤と呼ぶことができたんだ。
やったんだ、私は。

私の心は、満足感でいっぱいになっていた。



50: 2008/08/30(土) 14:46:59 ID:gf1xJeg9


そして、こちらは…
「ねぇねぇリーネちゃん聞いて!」
「どうしたの?芳佳ちゃん」
「あのね、バルクホルンさんが初めて私の名前呼んでくれたんだよ!」
「えっ!バルクホルン大尉に!?」
「うん!もう、なんかうれしくって。
すっごいかわいいんだよあの人!」
(わあ…芳佳ちゃんがいつになく興奮してる…
大尉、どんな呼び方したんだろ…)
「真っ赤になって照れちゃって。挙げ句の果てにこんちには、だよリーネちゃん!」
「うん…?」
(なんのことかしら…)
「あぁ~v」
「よっぽどうれしかったんだね、芳佳ちゃん」
「うんvおかげでバルクホルンさんの胸に一歩近づけたよ!」
(え…?今の、どういう意味…?)


トゥルーデは、次芳佳に会うときのため挨拶の練習をし、
芳佳は、ゲルトの美乳に触れる作戦をたてるのであった……。


Fin...

以上っす。わけわからん内容ですが、暇潰しにでも読んでいただけれたなら幸いです…

54: 2008/08/30(土) 15:28:11 ID:LMPmd5tW



いつもの静かな朝。一日は朝ご飯から始まる。

「芳佳ちゃん、あーん♪」
「宮藤、口を開けろ。私が食べさせてやる」
「…え、えーと…」

私の隣に座るリーネちゃんとバルクホルンさんが間に私を挟んで火花を散らしている。

「…バルクホルンさん、芳佳ちゃんには私がいますから」
「いやいや、宮藤には私が必要だろう。なあ、宮藤」
「あの…いや、私一人で食べられますから…」

すると、リーネちゃんは椅子から立ち上がって。

「ダメですっ!芳佳ちゃんにあーんするのは、私なんですっ!」

それに負けじとバルクホルンさんも椅子から立ち上がった。

「妹の世話を焼くのは姉の務めだ!妹にあーんするのは私の夢だ!」


……妹……?

「芳佳ちゃんはバルクホルンさんの妹じゃありません!芳佳ちゃんは私の大親友で、私の将来のお嫁さんなんです!」

…ちょ…リーネちゃん……?

「そうか…そんなに宮藤と結婚したいなら…姉の私を倒してからにするんだな!」
「…分かりました…!」


55: 2008/08/30(土) 15:30:55 ID:LMPmd5tW
ガチャッ

ちょっ…リーネちゃんっ…なんでここにボーイズMk.I対装甲ライフルを持ってきてるの!?

「…良い覚悟だ」

バルクホルンさんもニヤニヤしながらMG42をリーネちゃんに向けないで!

これはマズい…!

「ちょっと、二人とも止めて!」
「芳佳ちゃん…」
「宮藤…」
「私の為に銃まで持ち出してケンカするなんておかしいよ!」

ああ、ドラマのヒロインってこんな気分なんだなぁ(ちょっと違うけど)…。

「…そうだね…芳佳ちゃんの言うとおりだよね…」
「すまなかった、宮藤…」
「分かってくれたんだね…」

良かった…。やっぱり言葉って大事だよね、うん…。

「というわけで、芳佳ちゃん、あーん♪」
「へ?」
「ほら、宮藤、私の分も食べさせてあげるぞ」
「あ…あの…?」
「バルクホルンさんが芳佳ちゃんのお姉さんなら、私は芳佳ちゃんのお嫁さんだから。あーんする権利は私にあるよね?」
「いやいや、嫁より近しい関係はやはり姉だろう。ここは私が宮藤に…」
「私が芳佳ちゃんにあーんするんです!」
「いや、私だ!」

ちょっと二人とも、またケンカっ…!?
っていうか構えた銃何気に変えてるし!

「覚悟しろ!リーネェェェェェェ!!!」
「容赦しません!愛の為に行きますっ!!!」
「ちょっ…二人とも止めてぇぇぇぇぇ!!!!」



…こうして、今日も静かな朝は過ぎて行く…。



END



以上です。っていうかなんだこの作品…。
思い付く妄想をただ心のままに書き殴った作品です。ダラダラ読んでください。

爺は去ります…。

58: 2008/08/30(土) 16:28:25 ID:J4xgnWaJ

「……。」

斜め前に繰り広げられるのどかな朝にそぐわぬ攻防戦をみつめながら、
この基地の部隊長であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐は
隣で少しだけ目を点にしながら愛憎劇(?)を呆然と眺めている坂本美緒少佐に話しかけた。

「…あれは、とめるべきかしら?」
「いや…、…どうだろうな…。流石に火気の使用はマズイ気もするが…」

もう完全に落ち着きを取り戻しお茶に手を伸ばす坂本少佐をみて、
大人っぽい静かな仮面の下の顔をにやりとさせて、

もう一度言う。

この基地の、部隊長である、ミーナ中佐が、
言った。

「…私たちも、する?」
「………危うくむせそうになったぞミーナ中佐」

それはそれはいい笑顔だった。
食堂の窓からのぞける真っ青で広い広い快晴の空よりも清々しいほどの。

「はい、あーん」
「ん。」

一瞬の逡巡もみせずに差し出されたフォークを口に含み、
うん、美味いとこの爽やかな朝にも負けぬほどの笑みを浮かべて言う少佐、
不覚とばかりにほんのり頬を染める我らが部隊長の姿をみて、
ああ今日もいい天気だとシャーリーは思った。

朱にまじわれば赤くなる。

そりゃだって、こんな朝っぱらから下も上も熱々じゃ、ねぇ。

「ルッキーニ、はいあーん」
「んな?!」


引用: ストライクウィッチーズpart3