706: 2012/04/11(水) 23:53:23.10 ID:yGMD2glVO


前回:P「小鳥さんを徹底的に無視する」

P「おはようございます」ガチャ

小鳥「おはようございます、昨夜はお楽しみでしたね」

P「はい!?」

小鳥「ふふふ、言ってみただけですよ」

P(訳がわからないよ)

小鳥「あっ、そうそう実はですね、少しお話が」

P「何ですか」

小鳥「これなんですけど……」カチカチ

P「ネットですか?どうせまたあることないことデタラメ書いてるんでしょ?」

小鳥「まぁ大半はそうですけど……美希ちゃんのスタイルは年齢的に発育良すぎとか」

小鳥「それは置いておいて、これを」カチカチ
ぷちます!(14) (電撃コミックスEX)
709: 2012/04/12(木) 00:04:00.36 ID:StedxpPDO
小鳥「これです」

P「これは……」

小鳥「素人の意見と言えばそれまでですけどね」

P「いえいえ、これ確かにその通りだと思いますよ」

小鳥「影のある表情が見えにくいって、そこがあずささんの良いところなのに」

P「……」

小鳥「プロデューサーさん?」

P「俺に任せてください」

小鳥「?」

P「あずささんの歌唱力に更なる深みを出すためにも、俺がもっとあずささんの表情を引き出してみせます」

小鳥「はぁ」

711: 2012/04/12(木) 00:10:25.99 ID:StedxpPDO
P(そうは言ったが、どうしたものか)

美希「ハニー」

P(単なる演技指導じゃなぁ……もっとこう、内から滲み出る感じで)

美希「おはようなの」

P(難しいなぁ)

美希「ハニー!」

P(うーむ)

美希「ハニー!!返事してなの!!」

P「うおっ!?」

美希「もう、無視しないでほしいの」

P「ごめんごめん、ちょっと考えごとを……ん?おっ?」

P(これだ、これだな)ニヤニヤ

美希(不敵なハニーも素敵なの……)

716: 2012/04/12(木) 00:19:06.56 ID:StedxpPDO
お昼

あずさ「おはようございます」

P「おはようございます、ちょっといいですか?」

あずさ「は、はい」

P「社長と相談したんですが、今週は俺があずささんを担当します、よろしくお願いします」

あずさ「あら、じゃあ律子さんは」

P「あっちで仲良くやってます」

美希「よろしくなの、律子……さん」

律子「よろしく」

P「お互い違う目線から見た方がアイドルの良さを再発見できるんじゃないかと」

あずさ「あら~こちらこそよろしくお願いいたしますね」

美希「うぅ、ハニー……」

717: 2012/04/12(木) 00:23:42.90 ID:StedxpPDO
P「それじゃあさっそくレッスンに向かいましょうか、俺もあずささんと一緒なんて楽しみですよ」

あずさ「あ、あら、お上手ですね」

P「いえいえ」

あずさ「……」

美希「あっ!あずさがニヤニヤしてるの!」

律子「はいはい、あんたはこっち」ズルズル

美希「ハァーニィー!!」

P(すまんな美希……そっちはそっちで鍛えてもらってくれ)

721: 2012/04/12(木) 00:33:43.90 ID:StedxpPDO
―――

あずさ「隣にいて……触れてほしい」

P(練習でこれか……上手すぎてどんぶり三杯いけるな)

あずさ「どうでしたか?」

P「そうですねぇ、強いて言えば」

あずさ「言えば?」

P「いや、気にしないでください」

あずさ「そんな言い方、気になりますよ」

P「うーん、何と言いますか、上手さが前に出過ぎててあずささんが見えないと言うか」

あずさ「はぁ……」

P「歌自体は問題無いです、次いきましょう」

あずさ「……」

723: 2012/04/12(木) 00:39:57.20 ID:StedxpPDO
撮影現場

あずさ「ウイスキーがお好きでしょ?」

あずさ「お酒は二十歳になって・か・ら」

CM監督「工口いなぁ」

P「はい」

CM監督「色気もあるが、あれでもうちょい濡れた顔が出来りゃなぁ」

P「はい」

CM監督「まっ、まだ21歳の小娘にそこまで求めるのは酷か!ガッハハハ」

P(うるせぇなこのオッサン)

カーット!

あずさ「ふぅ」

P「お疲れさまです」

あずさ「撮影に使うお酒って偽物なんですね」

P「そりゃまぁリテイクで何杯も飲んだらえらいことになりますから」

726: 2012/04/12(木) 00:43:54.47 ID:StedxpPDO
あずさ「うふふ、少し残念です」

P「頑張ってくれたら、本物を奢りますよ」

あずさ「あら?」

P「なかなか良い画が撮れたって監督も言ってましたしね、ご褒美的な」

あずさ「言いますねぇ」

P「プロデューサーですから」エッヘン

あずさ「ふふ……」

AD「三浦さーん、もう一本お願いしまーす!」

あずさ「はーい。行ってきますね」

P「はい、ちゃんと見てますから」

P(順調順調)

729: 2012/04/12(木) 00:50:51.36 ID:StedxpPDO
居酒屋

P「かんぱーい!」

あずさ「お疲れさまでした」

P「いやぁ、目が離せない以外は楽でしたよ」

あずさ「あら、目が離せないって……」

P「だってあずささん、放っておいたらどこに行くか」

あずさ「でもプロデューサーさんが見付けてくださるでしょう?」

P「大事な大事なアイドルですから」

あずさ「大事なアイドル……ですか」

P「あずささんじゃなきゃ探しに行きませんけどね」

あずさ「えっ」

P「あっ、唐揚げ来ましたよ」

730: 2012/04/12(木) 00:55:05.89 ID:StedxpPDO
数十分後

あずさ「……」ゴッキュゴッキュ

P(相変わらずの飲みっぷりである)

あずさ「ぷはぁ」

P(ちょっと酔いが入って頬に赤みが差して、瞳も濡れて……)

あずさ「あらぁ、プロデューサーさん、空じゃないですかぁ」

P「あ、いや、俺はもう」

あずさ「そう言わずに、はいどうぞ」スッ

P「ど、どうも」

P(あずささんに隣でお酌してもらうとか、ファンの人なら成仏しそうだな)

あずさ「そう言えばプロデューサーさん」

733: 2012/04/12(木) 01:01:48.41 ID:StedxpPDO
P「ほい?」

あずさ「昼間言ってましたよね、歌が上手くて私が見えないと」

P「あぁ、はい」

あずさ「それって、どういう意味なんですか?」

P「うーん、簡単に言うともっと感情を出してということです」

あずさ「心は込めているつもりですが……」

P「強いて言えば、なので。それに、歌の中とはいえあずささんに悲しい顔されると胸が痛みます」

あずさ「あ、あらあら……もう」ゴキュゴキュ

734: 2012/04/12(木) 01:05:33.32 ID:StedxpPDO
P(こうして一週間、俺はあずささんと楽しく過ごした)

P(元より能力はある人なので特に問題は生じなかった)

P(迷子を除けばだけど)

P(もちろんミスや修正点は指摘したし、良い仕事をしてくれた時は手放しで褒めた)

P(待ち時間なんかでも上手くコミュニケーションがとれたはずだ)

P(客観的に見て、多少の信頼は得たと思う)

P(さて、ここからが本題だ)

P(俺が先に根をあげないように、と)

738: 2012/04/12(木) 01:09:39.52 ID:StedxpPDO
事務所

美希「やっと律子……さんから解放されるの……」グッタリ

律子「人を鬼みたいに言わないでもらいたいわね」

美希「鬼ババ」ボソッ

律子「……」メガネクィッ

美希「ひっ!」

あずさ「あらあら」クスクス

P「おはようございます」ガチャ

美希「ハニー!待ってたのー!」

律子「おはようございます」

あずさ「おはよう」

P「はいはいおはよう美希、律子も」

律子「ついでですか?」

あずさ「……ございます」

743: 2012/04/12(木) 01:16:41.97 ID:StedxpPDO
美希「聞いてハニー!律子ったらね!ミキのおにぎりとったの!」

律子「全員への差し入れだったでしょ」

P「はっは、ドンマイ」

あずさ「あの、おはようございます」

美希「他にもね!ミキがあくびしたら叩いたりね!」

P「律子は厳しいからな」

律子「あの」

P「ん?」

律子「さっきからあずささんが挨拶してるじゃないですか、返事しましょうよ」

あずさ「こ、今週からは元通りですね!私もプロデューサーさんと一緒で楽し」

P「はぁ……美希、行くぞ」スタスタ

あずさ「あっ……」

美希「待ってハニー!」

748: 2012/04/12(木) 01:20:49.07 ID:StedxpPDO
律子「何あれ……感じ悪い」

あずさ「……」

律子「もしかして折り合い悪かったんですか?」

あずさ「そんなことは……き、きっと聞こえなかったのね」

律子(目の前でそんなまさか)

あずさ「……」

律子(何があったか知らないけど、泣かせたら覚悟してもらおう)

758: 2012/04/12(木) 01:28:26.39 ID:StedxpPDO
翌日

P(うおぉ……あずささんと会うのが気まずい)

P(だが我慢だ我慢、あずささんに一皮むけてもらうためなんだ)

あずさ「……あっ」バッタリ

P(いってる側から)

あずさ「お、おはようございます!」

P「……」スタスタ

あずさ「……あ、あの!」クルッ

あずさ「今日はですね!ロケのお仕事なんです!ですから送って行ってもらえたら嬉しいな……なんて」

P「……」スタスタ

あずさ「いえ……何でもありません」

764: 2012/04/12(木) 01:36:11.52 ID:StedxpPDO
控え室

ディレクター「では今日は商店街散策ということで」

亜美「オッケ→!」

伊織「ふん、楽なものね」

あずさ「……」

亜美「あり?あずさお姉ちゃん元気無いね?」

あずさ「だ、大丈夫よ、少し疲れてるのかしら」

伊織「ちょっと、しっかり頼むわよ」

あずさ「え、えぇ」

P「入るぞー」コンコン

亜美「兄ちゃん!」

P「ほらこれ、差し入れのシュークリーム」

766: 2012/04/12(木) 01:41:22.77 ID:StedxpPDO
伊織「ふ、ふん、なかなか気が利くじゃない」

P「仲良く食べるんだぞ、じゃあ俺は美希の方行くから。亜美、伊織、頑張れよ」

あずさ「……」

亜美「イェーイ!さっそくたべようZE!……あれ?」

伊織「二つしかないじゃない!あのバカ!」

亜美「もー、兄ちゃんたらうっかりさんだなぁ、ちゃんと亜美用、いおりん用って書いてあるのに」

亜美「えっ?へっ?あれ?」

伊織「……」

あずさ「わ、私はいいの!グラビアのお仕事があるから甘い物は控えなきゃいけないもの!」

あずさ「きっとプロデューサーさんも、そう思って……きっと……」

771: 2012/04/12(木) 01:46:03.29 ID:StedxpPDO
亜美「……」

伊織「……」

あずさ「気にしないで、二人とも食べてちょうだい」

亜美「あらよっと」パカッ

伊織「仕方ないわね」パカッ

亜美伊織「はいっ!」

あずさ「……?」

伊織「二つを三人で分ければいいでしょ」

亜美「うっかり屋さんな兄ちゃんには後でOSIOKIだぜ!」

あずさ「ありがとう……」

778: 2012/04/12(木) 01:52:24.94 ID:StedxpPDO
その夜、P宅

P「さすがにあれはやり過ぎだったかな、もはやいじめな気もするしな」

P「くっそ!笑顔を知ってるだけに曇らすのが辛い!」

P「鬼だ!鬼になれ俺!」

ブーンブーン

P「携帯……多分美希だろうな」

P「あれ?あずささん?」

P「…………いや、ここは出ない!」

ブーンブーン

P「出ないぞ」

ブーンブーンブーンブーン

P「……出ないってばよ」

782: 2012/04/12(木) 01:58:28.26 ID:StedxpPDO
P「やっぱり怒ってるのかなぁ」

ブーンブーン……

P「やっと止まったか」

P「余程話したい事でも……」

ブーンブーン

P「うわっ!?なんだメールか……まぁメール見るくらいなら」

あずさ『今日はシュークリームごちそうさまでした。とても美味しくて伊織ちゃん亜美ちゃんも喜んでいましたよ』

あずさ『明日も頑張りますから、また一緒に飲みに行けたら嬉しいです。おやすみなさい』

P「か、壁を、壁をどうにかしないと正気が保てない!」ガンガン!

786: 2012/04/12(木) 02:06:21.34 ID:StedxpPDO
次の日

P「デスクワークも大変ですねぇ」カタカタ

小鳥「人手が足りないんですから、立ってるものはプロデューサーさんでも使いますよ」カタカタ

P「へーい」

小鳥「首が凝りますねぇ」コキコキ

P「マッサージしましょうか?」

小鳥「セクハラですか?」

P「失敬な」

あずさ「……」

小鳥「あずささん、暇そうですね」ボソボソ

P「そうですね」

小鳥「もっと表情を引き出すって話はどうなったんですか?」

P「まぁまぁ、仕事仕事」

787: 2012/04/12(木) 02:10:31.12 ID:StedxpPDO
小鳥「プロデューサーさんに話しかけてもらうの待ってるんじゃないですか?」

P「……さぁ」カタカタ

小鳥「……」

あずさ「あ、あの」

P「……」

小鳥「どうしました?」

あずさ「お、お茶でも淹れましょうか?」

小鳥「プロデューサーさん、訊かれてますよ」

P「……」カタカタ

小鳥「……」

あずさ「……」

小鳥「アイドルにそんなことさせられません、あずささんは座っててください。私が淹れますから」

789: 2012/04/12(木) 02:13:38.60 ID:StedxpPDO
あずさ「そ、そんな、私は暇ですし」

小鳥「いいからいいから、はい、ここ座って」グイッ

あずさ「きゃっ」ストン

小鳥「ちょーっと待っててくださいね~す~ぐ淹れてきますからねぇ」タッタッタ

P「……」カタカタ

あずさ「……」

P「……」カタカタ

あずさ「い、良いお天気ですね」

P「……」カタカタ

792: 2012/04/12(木) 02:22:12.86 ID:StedxpPDO
あずさ「そうだ、この間プロデューサーに言われたので明るめのグロスにしてみたんですが、どうですか?」

P「……」

あずさ「あ、昨日亜美ちゃんが凄く可愛いかったんですよ、放送が楽しみですね」

P「……」

あずさ「そう言えばプロデューサーさんと行った居酒屋に新メニューが出来たそうですよ、食べてみたいなぁ」

P「……」

あずさ「新曲もそろそろですしね、プロデューサーさんの指導のお陰でもっと上手に歌えそうです」

P「……」

あずさ「……」

P「……」

あずさ「あの……何でもいいので、何か、言ってもらえませんか……」

P「……」

あずさ「お説教でも、何でもいいです、何か……話してください」

794: 2012/04/12(木) 02:34:08.04 ID:StedxpPDO
P「……」

あずさ「理由を教えてください、私が何かプロデューサーさんを怒らせたなら謝りますから」

P「……」

あずさ「プロデューサーさん言ってくれたじゃないですか、私といると楽しいって」

P「……」

あずさ「私だから探してくれるって……嘘だったんですか?」

P「……」

あずさ「……」

P「……」

あずさ「嘘でも、嬉しかったです、本当に」

P「……」

あずさ「……何か言ってください」

P「……」

小鳥「お茶が入りましたよー!」

796: 2012/04/12(木) 02:38:28.59 ID:StedxpPDO
あずさ「お茶ですよ、プロデューサーさん」

P「……」

小鳥「プロデューサーさんも、休憩休憩」

P「あ、はい」クルッ

あずさ「っ……!」

P「いやー頭動かすのも疲れますね」

あずさ「あっ、実は今日は春香ちゃんに教えてもらってクッキー焼いて来たんですよ」

あずさ「昨日のお礼代わりですけど、いかがですか?」

P「……」

小鳥「いただきますね」ポリポリ

小鳥「美味しーい!ほら、プロデューサーさんも」

P「仕事に戻りますね」

あずさ「……」

797: 2012/04/12(木) 02:42:33.58 ID:StedxpPDO
あずさ「……」

小鳥「美味しいのに」

あずさ「……」ジワッ

小鳥「あずささん?」

あずさ「ちょ、ちょっとメイク直してきますね」

小鳥「はぁ……」

あずさ「あの、クッキー幾つかプロデューサーさんにも渡してください。感想とかは……要りませんから」

小鳥「……」

あずさ「では失礼します」スタスタ

801: 2012/04/12(木) 02:51:55.34 ID:StedxpPDO
トイレ

あずさ「何か悪いことしたのかな……」

あずさ「あんなに優しくしてくれたのに、何で急に、こんな」

あずさ「私がプロデューサーさんを裏切っちゃったのかな……」

あずさ「それとも……」

あずさ「優しくなくていいですから、もう一度話してくださいプロデューサーさん」

あずさ「じゃないと、じゃないと私…………」ポロポロ

あずさ「うっ……くっ……ダメ……泣いちゃダメ……そんな女、きっと嫌われちゃう……」

真(出れない……)

810: 2012/04/12(木) 03:12:18.91 ID:StedxpPDO
夕方

P「ふぃー終わった終わった」

小鳥「お疲れさまです」

あずさ「お疲れさまでした」

真(トイレでの事は僕の胸に閉まっとこう、とりあえず)

P「はぁ疲れた、ビールが欲しい」

小鳥「おっ、いいですねー行きますか?」クイッ

P「えぇ?音無さんと二人はちょっと」

小鳥「何言ってるんですか、三人ですよ」

P「真は未成年じゃないですか」

真「えっ」

あずさ「……」

812: 2012/04/12(木) 03:20:02.28 ID:StedxpPDO
小鳥「……ボケてるんですか?」

P「まさか」

小鳥「はぁもう……行きましょうあずささん」

あずさ「ご、ご一緒してよろしいんですか?」

小鳥「当たり前じゃないですか、ねぇプロデューサーさん」

P「あ、すいません、やっぱり今日は帰ります」

小鳥「はい?」

P「またの機会に……ほら帰るぞ真、送ってやるよ」グイグイ

真「えっ、な、なんですか?」

あずさ「……」

小鳥「……二人で行きます?」

815: 2012/04/12(木) 03:34:25.35 ID:StedxpPDO
あずさ「あ、いえ、私も」

小鳥「そうですか……じゃたまには一緒に帰りますか!」

あずさ「えぇ……あ」

あずさ(クッキー残ってる……)

小鳥「あ……き、きっと虫歯か何かだったんですよ!」

あずさ「帰ります……」フラフラ

小鳥「……」

あずさ「バカみたい……私……」

816: 2012/04/12(木) 03:37:11.13 ID:StedxpPDO
真「そう言えばプロデューサー」テクテク

P「んー?」

真「あずささんと何かあったんですか?」

P「いや、別に」

真「言っていいのかわからないですけど、今日トイレでその……泣いてましたよ」

真「プロデューサーさんと話がしたいとかなんとか」

P「マジか……」

真「そんな嘘つかないですよ」

P「うーん説明すると難しいんだが」

P「指導だな、指導」

817: 2012/04/12(木) 03:41:45.35 ID:StedxpPDO
真「指導?」

P「うん、優しいだけじゃなく、時には厳しくすることも大事なんだよ」

真「練習が厳しくてって割には心底悲しそうでしたよ」

P「本当か!?」

真「は、はい」

P「そうかそうか、成果が出てるじゃないか。俺も身を粉にしてる甲斐がある」ニヤニヤ

真「……?」

P「もう一押しでいけそうかな」

真「何でもいいですけど」

P「?」

真「あんまり女性を泣かせると怒りますよ」

P(王子様……)

819: 2012/04/12(木) 03:50:18.04 ID:StedxpPDO
P宅

P「真の目がマジだったな……」

P「泣いてたとか聞くと物凄い罪悪感だが、あと少しだ」

P「これも全てあずささんの為……」

ブーンブーン

P「うおわぁ!!……噂をすればあずささんか」

あずさ『本当は声が聞きたいのですけど、メールでもいいので、お話したいです』

P「うぐぐ……」

あずさ『クッキーはお気に召しませんでしたか?言ってもらえれば何でも作りますよ!』

P「……」

あずさ『それとも私の作ったものなんか嫌でしょうか?』

820: 2012/04/12(木) 03:54:45.14 ID:StedxpPDO
あずさ「……」カチカチ

あずさ「今日も……返ってこないのね」

あずさ「前はすぐに返してくれたのに」

あずさ「何度も送ったら迷惑かしら」カチカチ

あずさ「電話……きっと、出てくれないわね」

あずさ「もう寝ましょう、明日も頑張らなきゃ」

823: 2012/04/12(木) 04:02:08.05 ID:StedxpPDO
あずさ「……」

あずさ「…………」

あずさ「………………」

P『俺もあずささんと一緒で楽しみですよ』

P『うーん、もう少し感情を出して』

P『どこにいたって探しに行きますよ、あずささんだから』

あずさ「……」ギュッ

ヒック、グスッ……プロデューサーサン……グスッ……

827: 2012/04/12(木) 04:14:11.66 ID:StedxpPDO
翌朝

P「おはようございまーす」

春香「おはようございます」

あずさ「おはようございます……」

美希「おはようなのー!」

律子「あっプロデューサー、お願いがあるんですが」

P「はい」

律子「実は今日雑誌の取材が入っちゃって……あずささんのレッスンの同行お願いできますか?」

あずさ「!!」ビクッ

P「あー……うん、アイドルからの転身じゃ注目されるもんな。オッケー」

律子「美希と春香も」

美希「とーぜんなの!」

春香「はーい」

828: 2012/04/12(木) 04:18:33.79 ID:StedxpPDO
美希「ハニー!ミキもそろそろ新曲欲しいの!」ギュッ

P「最近出しただろー」

美希「ケチケチしないで1ヶ月に三枚くらい出せばいいの!」

P「バカ言え、どこから予算出てくるんだ」

美希「ファンから」

P「怖いこと言うなよ」

春香「あはは、相変わらず仲良いですね」

あずさ「そう、ね」

春香「あずささん?」

あずさ「……」

春香(寝てないのかな?凄い隅……)

829: 2012/04/12(木) 04:23:54.61 ID:StedxpPDO
―――

春香「~♪」

美希「~♪」

あずさ「~♪」

P(やっぱりあずささんは上手いなぁ)

P(最後の一押しはどうするかな)

春香「ふぅ、どうでしたか?」

美希「完璧なの!」

あずさ「……」

P「うん、皆良かったよ、少し休憩にしよう」

832: 2012/04/12(木) 04:29:11.89 ID:StedxpPDO
美希「春香はそんなんだからすぐ転ぶのー」

春香「うるさいなーわざとじゃないもん」

P「ははは」

あずさ「……」

P「あ、そうだ新曲の話だけど」

美希「ミキの!?」

P「違う、しっとりとした歌だから美希のイメージじゃない」

美希「歌えるのにー」ブーブー

春香「じゃあ……千早ちゃんか、あずささんですか?」

P「うん、誰か試しに歌って……」

バンッ!

美希「わっ!」

あずさ「や、やります!歌わせてください!」

P「……」

833: 2012/04/12(木) 04:35:16.34 ID:StedxpPDO
P「春香、一回頼む」

春香「わ、私ですか?でも」チラッ

あずさ「お願いします!私にもやらせてください!」

春香(凄い気合い……)

美希(あずさのこんな顔初めて見たの……)

春香「じゃ、じゃあ試しに二人で歌ってみるって事でどうでしょう?」

P「いいから早くしてくれ」

あずさ「……」

春香「い、行きましょうあずささん」

あずさ「えぇ」

834: 2012/04/12(木) 04:39:04.08 ID:StedxpPDO
あずさ「……」

春香(こ、怖いくらいの気合い……)

美希「むー、あずさがハニーばっかり見てるの」

P「気のせいだろ……んじゃいくぞ」

あずさ「はい」

春香「よろしくお願いしまーす」

♪♪♪

あずさ「~♪」

春香(何これ……横で歌うの嫌になるんですけど!)

P「……」

837: 2012/04/12(木) 04:43:56.94 ID:StedxpPDO
あずさ「~♪」

美希「ふわぁ……」

P(美希でも見入る程の感情表現……でもまだまだ)

あずさ「……ふぅ」

春香「す、凄いです!最高ですよ!この曲は絶対にあずささんが歌うべきです!」

あずさ「ふふっ、ありがとう春香ちゃん……自分でも今のはよくできたと思うわ」

P「……悪い、トイレ」

美希「行ってらっしゃいなの」

あずさ「……」タッ

838: 2012/04/12(木) 04:50:40.23 ID:StedxpPDO
廊下

P「……」スタスタ

あずさ「プロデューサーさん!」

P「……」ピタッ

あずさ「ど、どうでしたか?以前プロデューサーさんに言われた通り、もっと感情を出したつもりなんですが」

あずさ「じ、自分で言うのもなんですけど、上手くいったというか」

あずさ「プロデューサーさんに認めてほしくて、頑張ったらまたお話してもらえると思って、それで」

P「……」クルッ

あずさ「あ……」

841: 2012/04/12(木) 05:04:03.45 ID:StedxpPDO
P「……」スタスタ

あずさ「あ、待ってください」

P「……」スタスタ

あずさ「……」ペタン

あずさ「……」

あずさ「……」

あずさ「……」

あずさ「私の事なんか……もうどうでも、いいんですね……ふ、ふふっ、うふふ……」

842: 2012/04/12(木) 05:10:55.48 ID:StedxpPDO
ザーザー

美希「雨なの」

P「うわ、凄い降ってるな」

春香「それよりあの、あずささんは?」

P「トイレだろ、その内戻ってくるよ」

春香「まさか酷いことしてませんよね?」

P「してないしてない、するわけないだろう」

春香「私、呼んできます」

P(いやでもちょっとやり過ぎたかな……あそこでネタばらしすべきだったか)

美希「雷まで落ちそうなのー」

P「えぇ……」

春香「……トイレ見てきましたけど、あずささんいませんでしたよ」

P「えっ」

843: 2012/04/12(木) 05:15:06.48 ID:StedxpPDO
春香「帰っちゃったんじゃ……」

P「この大雨の中を?」

美希「電話してみたらいいの」カチカチ

美希「……出ないの」

P「おいおいマジか」

春香「さ、探してきます!」

美希「ミキも行くの!」

P「いや二人はここにいてくれ、あずささんの事だから建物の中でも迷子になってるかもしれん」

春香「……否定出来ませんね」

P(えらいことになっちまった)

846: 2012/04/12(木) 05:25:05.33 ID:StedxpPDO
ザーザー

P「くそっ!やっぱりあそこで止めときゃ良かった!」

P「どこ行っちゃったんだ……あ、タクシーで事務所にとか」カチカチ

小鳥『はいもしもし、どうしました?』

P「あの、あずささん戻ってませんか?」

小鳥『いいえ、一緒なんでしょう?』

P「あ、いえ、ちょっとその……」

小鳥『……もし戻ったら連絡しますから、急いで探してあげてください』

P「は、はい」

小鳥『見つかるまでプロデューサーさんも帰って来なくて結構です』

P(怒っていらっしゃる……)

848: 2012/04/12(木) 05:30:43.92 ID:StedxpPDO
ザーザー

P「全く止む気配が無いな……」

ゴロゴロ

P「雷とか勘弁してくれよ」

P「あぁくそ、何で俺はもっと良い方法を……!」

P「いくら何でも最悪の事態はないと思いたいけど」

P「おーい!あずささーん!」

P「あーずーさーさーん!」

P「あずささぁぁぁぁぁん!!」

ゴロゴロドガシャーン!

P「あずささん……」

850: 2012/04/12(木) 05:41:18.76 ID:StedxpPDO
ザーザー

P「ハァハァ……どこ行っちゃったんだ」

P「そうだ、普通に自宅に戻ってるんじゃ」カチカチ

P「……そりゃ出ないわな」

ブーンブーン

P「うおっ?あ……あずささん!?」

あずさ『短い間でしたが、大変お世話になりました』

P「え?」

P「そんな、まさか」

P「あずささん……あずささん!!あずささぁぁぁぁぁん!!」

あずさ「はい」

854: 2012/04/12(木) 05:47:18.07 ID:StedxpPDO
P「え゙っ!?」

あずさ「ずっと近くにいたんですよ?気付きませんでしたか?」クスクス

P「……」

あずさ「この雨じゃ私も歩き回れませんよ」

P「……」

あずさ「どうしたんです?そんな顔をして」

あずさ「私、今とっても嬉しいんですよ」

あずさ「3日程度の筈なのに、ずいぶん久しぶりにプロデューサーさんに呼んでもらった気がします」

あずさ「うふふ……嬉しい……さぁ、プロデューサーさんも笑ってください」

P(こんな酷い笑顔があるか……俺のせいでこんな……)

ザーザー

855: 2012/04/12(木) 05:53:07.72 ID:StedxpPDO
P「と、とりあえず事務所に帰りましょう。風邪をひきます」

あずさ「ふふっ、そうですね」

P「美希と春香も呼ばないと」

あずさ「いやっ!!」

P「え?」

あずさ「ま、また、また無視するんですよね?また私の事なんかどうでもいいって!」

P「あずささん?」

あずさ「嫌……嫌!私帰りたくありません!」

P「……」

あずさ「……あらあら、早く帰らないとずぶ濡れですよ?」

P「う……」

856: 2012/04/12(木) 05:58:42.28 ID:StedxpPDO
事務所

P「……」

小鳥「で、何とか引っ張って帰ってきたと」

P「はい」

あずさ「……」ビクビク

春香「だ、大丈夫ですよあずささん、着替えて暖かくしましょうね」

あずさ「……」コクコク

小鳥「歳下の春香ちゃんにしがみついて……」

美希「……」

P「……」

美希「いくらハニーでも、あずさが元気になるまで許してあげないの」

858: 2012/04/12(木) 06:03:40.48 ID:StedxpPDO
美希「本当はぶん殴りたいくらいだけど」

P「……」

美希「そんなことしてもあずさは元気にならないの……春香!ミキも手伝うの!」

小鳥「二人ともよろしくお願いね」

P「……」

小鳥「さてと、入っていいわよ」

真「……」

亜美「……」

伊織「……」

律子「……」

860: 2012/04/12(木) 06:13:33.76 ID:StedxpPDO
伊織「このバカ!!あんた一体何考えてんの!?」

亜美「兄ちゃんサイテー」

律子「まぁまぁ二人とも落ち着きなさい……まずは話を聞きましょう」

P「お、俺はただ、あずささんの表現力を伸ばしたくて」

真「それが泣かせることなんですか?」

P「違う!実は……歌っている歌に対してあずささんがあまりに優しい表情をしているって意見があって」

P「それで、もっと影のある表情を出せたら表現の幅が広がるんじゃないかと思って」

P「だけどそういうのって実際の経験がないと難しいから、だからこう……」

伊織「悲しませようとした?」

P「うん」

律子「なるほど、よくわかりました。それでは」

パシーン!

863: 2012/04/12(木) 06:18:26.91 ID:StedxpPDO
P「……っ!」

律子「私も違和感があったのに止められませんでしたから、一発で我慢します」

小鳥「私に至っては言い出しっぺみたいなものですから何も言えませんね」

真「僕も……あの時さっさと出ていれば」

P「いや、全部俺が悪い」

亜美「そうだよ!あずさお姉ちゃん泣かせんな!バカ兄ちゃん!」

伊織「……そこのへっぽこ脳ミソ皆無底抜け大馬鹿プロデューサー」

P「……」

865: 2012/04/12(木) 06:22:55.41 ID:StedxpPDO
伊織「影のある表情?歌のイメージに対して優し過ぎる?」

伊織「あんたまさかあずさの一番の魅力を理解してないの?」

伊織「あの笑顔でしょ!!暗い顔と笑顔とどっちが見たいのよ!?」

伊織「仮にも一丁前にプロデューサーを名乗るくらいなら」

伊織「訳のわかんない迷走してないで、一番の武器で勝負させなさい!!」

P「……」

伊織「笑顔の魅力を引き出せって言ってるの!!解った!?」

P「は、はい」

律子(言いたいことのほぼ全て言われちゃった)

869: 2012/04/12(木) 06:47:18.34 ID:StedxpPDO
春香「あの~……」コソコソ

美希「着替え終わったの」

あずさ「……」

P「……」

あずさ「……」

P「すいませんでしたぁ!!」バッ

律子「2、30発……いえ、氏なない程度なら何してもいいですよ」

P「そうです!許してくれなんて言いません!何でもします!」

あずさ「あ、いえ……謝られても……」

P「ですよね……」

871: 2012/04/12(木) 06:55:12.92 ID:StedxpPDO
あずさ「顔を上げてください」

P「……」

あずさ「……」ジッ

P「う……」

あずさ「目を逸らさないでください」

P「はい……」

あずさ「……」

P「……」

あずさ「無視されるのって、辛いんですよ」

あずさ「しかもわざと仲良くなってからだなんて、酷すぎます」

あずさ「怒るより、ただひたすら悲しいです」

P「……」

あずさ「私の為を思ってしてくれたなんて、思えません」

873: 2012/04/12(木) 07:03:39.66 ID:StedxpPDO
P「……」

あずさ「はっきり言って最低です」

P「はい」

あずさ「ですけど……その……あの、えっと……」

美希「我慢する事ないの、言いたいことは全部そのまま言えばいいの」

あずさ「美希ちゃ……ん」

あずさ「……」

あずさ「…………ばか」

あずさ「バカバカバカ!プロデューサーさんのバカ!どうしてこんな酷いことするんですか!」

あずさ「ふ、普通に、言ってさえくれたら、私だって、頑張っ……って……ひっ、く」

あずさ「わ、私が、どれだけ寂しかったか、わかりますか!?ふぇっ……」

P「……」

875: 2012/04/12(木) 07:07:35.42 ID:StedxpPDO
小一時間後

あずさ「ひくっ……」

亜美「お姉ちゃん大丈夫?」

あずさ「だ、大丈夫よ、カッコ悪いところを見せちゃったわね」

亜美「んーん、全然」

P「……」

伊織「これでまだ反省しないなら地獄行きどころか生まれたことを否定してやりたくなるわね」

真(酷い)

P「反省してるよ……どれだけ謝っても許されないと思う」

P「だから責任を取って」

あずさ「ダメです」

P「へっ?」

877: 2012/04/12(木) 07:11:53.12 ID:StedxpPDO
あずさ「何でもするって言いましたよね?辞めてさよならなんてダメですよ」

P「じゃあどうしたら……」

あずさ「私が許すまで、ある条件で働いてもらいます」

伊織「奴隷だわ……」

春香「あわわ……」

あずさ「そんなのじゃないわ」ニコリ

美希「ハ、ハニー、頑張ってね、ミキは助けてあげられないけど」

律子「まぁどんな条件でも文句は言えないわね」

小鳥「たとえ無給でも」

P「ひいぃ……」

881: 2012/04/12(木) 07:19:41.22 ID:StedxpPDO
数日後

響「そこの人!お茶がほしいぞ!」

伊織「ちょっと、スケジュールの確認がまだなんだけど?」

やよい「うー……届かないですぅ」ヨタヨタ

美希「ハニー……じゃなかった、あれに取ってもらえばいいの」

亜美「ふっふっふ、そこのこのあれ!」

P「いい加減代名詞で呼ばれるのキツいんだけど……地味に効く」

律子「あずささんのお許しが出るまではダメですよ」

P「……」チラッ

あずさ「……」ツーン

P「はぁ……わかりました、そこのあれ、今日も元気に働きます」

あずさ(当分許してあーげない……ふふっ)

律子(あら、意地悪な顔が出来るようになってる)

おわる

885: 2012/04/12(木) 07:22:51.81 ID:Ry9PH+UZ0
上げて落とすと破壊力倍増ですね 乙

887: 2012/04/12(木) 07:24:45.90 ID:StedxpPDO
本当はどしゃ降りの中、どんなに無視されても
Pの家の前でひたすら佇むあずささんとかやりたかったけど、ぼく大好きなあずささんにそんな酷いこと出来ないよ!
レス的にも時間的にも長々と本当に申し訳ない、短くギャグ寄りにすべきだったと反省している
おやすみなさい

888: 2012/04/12(木) 07:34:17.15 ID:Z7w749aL0

889: 2012/04/12(木) 07:39:59.64 ID:EacgyYafO
乙最高だったよおやすみ


次回:



引用: P「アイドル達を徹底的に無視する」