910: 2012/04/12(木) 12:16:13.61 ID:526HEikH0


前回:P「あずささんを徹底的に無視する」

律子「あ、プロデューサー。おはようございます」

P「…………」

律子「プロデューサー? もしもーし」

P「…………」

律子「ちょっと。何で無視するんですか?」

P「…………」

律子「いい加減にしないと怒りますよ」

P「…………」
ぷちます!(14) (電撃コミックスEX)
912: 2012/04/12(木) 12:24:35.02 ID:526HEikH0
やよい「うっうー! おはようございまーすっ!」

P「おはよう。やよいは朝から元気だな」

律子(やよいとは話すのね……うーん、どういうことなのかしら)

やよい「律子さん、どうかしましたか?」

律子「えっ?」

やよい「なんだかうーんって感じで、難しそうな顔してました」

律子「そんなことないわよ。今日はドラマの撮影で少し遠くまで行くんでしょ? 早くしてきなさい」

やよい「竜宮小町だけじゃなくて、私達のスケジュールまで把握してるなんて……さすが律子さんですー。支度してきまーすっ」

P「あ、俺も手伝うよやよい」

やよい「えっ、でも律子さんとお話し中じゃ……」

P「いいからいいから」

律子「あっ……行っちゃったわね」

913: 2012/04/12(木) 12:28:26.75 ID:526HEikH0
律子「うーん……私、何か気に障るようなことでもしたのかしら」

伊織「律子。そろそろ現場に行く時間よ」

律子「おっと、そうね……行きましょう」

伊織「こんな時にぼーっとしてるなんて、律子らしくないわねぇ」

亜美「律っちゃん調子悪いのー?」

律子「そんなことないわ。元気一杯よ」

あずさ「それならいいのだけれど……何だか心配だわ」

916: 2012/04/12(木) 12:33:02.03 ID:526HEikH0
数時間後――

律子「ただいま帰りましたー」

小鳥「律子ちゃん、お帰りなさい。あら、竜宮小町のみんなは?」

律子「すっかり暗くなっちゃったので、今日は現場で別れました。私は事務処理などがあるので……」

小鳥「そうなんですか。コーヒーでも淹れますね」

律子「すみません、お願いします」

P「ただいま帰りました」

律子「プロデューサー……」

小鳥「あら……プロデューサーさん、お帰りなさい。コーヒー、飲みます?」

P「えっと……」

律子「……? 私の顔に何かついてますか」

P「すみません、今日はもう帰ります」

小鳥「そうですか……お疲れ様でした」

918: 2012/04/12(木) 12:35:48.29 ID:526HEikH0
小鳥「なんだかものすごい勢いで、事務所を抜けだしていったわね……プロデューサーさん」

律子「待って!」

小鳥「律子ちゃん!? ……行っちゃった」

小鳥「おいしいクッキー買っておいたんだけれどなぁ……今度にしましょ、一人で食べるのも虚しいし」

919: 2012/04/12(木) 12:38:56.33 ID:526HEikH0
律子「待ってくださいプロデューサー!」

P「…………」

律子「なんで私のことを避けるんですか。私、プロデューサーの気に障るような事しました?」

P「…………」

律子「黙ってちゃ分かりません。言いたいことがあるならはっきり言ってください」

P「…………」

律子「……もう、いいです。プロデューサーなんて知りませんから!」

921: 2012/04/12(木) 12:45:34.12 ID:526HEikH0
――自宅

律子(もう、いったい何なのよ)

律子(最近はプロデューサーと仲良くやれてると思ったのに)

律子(この前なんて一緒に遊園地なんて行っちゃったし)

律子(あれは楽しかったな……はぁ)

律子(楽しかった思い出のはずなのに、なんだか悲しくなってきた)

律子(プロデューサー、あなたが何を考えてるのか……まったく分からないですよ)

922: 2012/04/12(木) 12:51:59.49 ID:526HEikH0
次の日――

律子「おはようございます」

伊織「あら、律子にしては遅いじゃない」

律子「ごめんなさい、ちょっと寝坊しちゃった」

律子(プロデューサーのこと考えてたら、なかなか眠りにつけなかった……なんて言えないわね)

あずさ「まだ時間ありますから大丈夫ですよー」

伊織「ま、あくまで律子にしては遅いだけだしね。さっき連絡があったけど、亜美が来るのはギリギリになりそう」

律子「そう……」

あずさ「あら、律子さん……本当に大丈夫?」

律子「何がです?」

あずさ「だって、ねぇ……」

伊織「いつもなら亜美の奴なにやってんのよ! って怒るところじゃない」

律子「あ、そうよね。どこで油売ってんのよ亜美は……まったく、困った子だわ」

924: 2012/04/12(木) 12:55:22.25 ID:526HEikH0
春香「あ、律子さん来てたんですね。おはようございまーす!」

律子「おはよう春香。それに、プロデューサー……」

P「…………」

春香「プロデューサーさん?」

P「どうした春香。早く仕事に行くぞ」

春香「は、はい……」

律子(一日経ったら元通り……なわけないわよね)

伊織「何よアイツ。律子が挨拶してるのに無視だなんて」

あずさ「だめよ伊織ちゃん。プロデューサーさん、急いでたのかもしれないわ」

律子「そうそう。別に私は気にしてないから」

925: 2012/04/12(木) 12:59:16.30 ID:526HEikH0
数時間後――

あずさ「今日のお仕事はもう終わりだったかしら」

伊織「そうね。なかなかハードだったわ」

亜美「いおりんはまだまだですなぁ」

伊織「遅刻した奴に言われたくないわね」

律子「そうそう。次から遅刻しちゃだめよ亜美」

亜美「はーい」

律子「遅刻したらゲーム機没収するからね」

亜美「えーっ!」

律子「えー、じゃないでしょ。遅刻しなければいいの、分かった?」

亜美「ぶーっ……分かったよぉ」

926: 2012/04/12(木) 13:02:38.46 ID:526HEikH0
律子「ただいま帰りました……ってプロデューサー殿お一人ですか」

P「…………」

律子「周りに誰もいなくても無視するんですね」

P「…………」

律子「あなたがいつまでもそうするなら、私にも考えがあります」

P「…………」

律子「私も、あなたに関わりません」

P「…………」

律子「今すぐに謝れば、許してあげますけど」

P「…………」

律子「そう。それがあなたの答えなのね、本当に残念」

律子「さようなら、今までありがとうございました」

929: 2012/04/12(木) 13:12:44.87 ID:526HEikH0
律子(あは、あははは……)

律子(私、舞い上がっちゃってたのかな……ちょっとプロデューサーが優しくしてくれたからって)

律子(私みたいな地味で寸胴な女なんか……眼中にないに決まってるじゃない。きっと迷惑だったのよね)

律子(私が遊びに誘ったりしなければ、こんな事にはならずに済んだのかしら……)

律子(…………)

律子(はぁ……私って本当に馬鹿だわ)

930: 2012/04/12(木) 13:19:26.15 ID:526HEikH0

数日後――

律子「おはようございます」

小鳥「律子さん、おはようございます。あの……」

律子「はい?」

小鳥「そろそろプロデューサーさんと、仲直りした方がいいんじゃないでしょうか……」

律子「仲直りって……まるで私とプロデューサーが、ケンカでもしてるみたいじゃないですか」

小鳥「ここ数日、口も聞いてないんですよね」

律子「もう、お互い一切関わり合わないって決めたんですよ」

小鳥「えぇっ!?」

律子「そもそも今までがおかしかったんですよ。いくら同じ事務所とはいえ、違うアイドルたちをプロデュースしてるんです」

律子「つまり商売上では敵とも言えるわけです」

律子「必要以上の関わりを持つなんてもってのほかですよね」

小鳥「律子さん……本当にそう思ってるんですか?」

律子「もちろんですよ」

律子(そんな風に思ってるわけ、ないじゃない……)

932: 2012/04/12(木) 13:21:21.97 ID:526HEikH0
P「おはようございます」

小鳥「プロデューサーさん……」

P「律子!」

律子「…………」

P「聞いてくれ、律子!」

律子「小鳥さん。私、先方との打ち合わせに行ってきますね」

小鳥「え、でも……」

律子「それじゃ」

P「律子、待ってくれ! 律子……」

933: 2012/04/12(木) 13:27:02.16 ID:526HEikH0
律子(自分から無視しておいて一体何なのよ……わけが分からないわ)

律子(でも……少し、嬉しかったかも)

律子(…………)

律子(って何を言ってるのよ私は。向こうが最初に無視し始めたのが悪いのよ)

律子(相手の都合に振り回されるなんて……馬鹿な男に引っかかりやすいのかも、私)

律子(でも簡単には許さないんだからね。私がどれだけ悲しかったか味わってもらうわ)

934: 2012/04/12(木) 13:30:43.05 ID:526HEikH0
数時間後――

律子(ん? 私の家の前に誰かいるような……)

律子(げっ、プロデューサーじゃない。人の家の前で何やってんのよ、不審者として通報されても知らないわよ)

律子(でも困ったなぁ。どうやって家に入ればいいのよ)

律子(あら、誰かがプロデューサーに近づいてくる……もしかして警官?)

P「お、俺は怪しいものじゃないですよ」

警官「最近この辺りに不審者が出るって聞きましてね。あなた、ここで何してるんです?」

P「ここ知り合いの家でして……」

警官「じゃあ入ればいいじゃないか。何でつったってるの? 怪しいなぁ」

P「それは、その……」

935: 2012/04/12(木) 13:35:32.89 ID:526HEikH0
律子(あー、もう! 見てられないわ!)

律子「すみませーん!」

警官「はい?」

律子「律子!?」

律子「ここ、私の家なんですけど……何かあったんですか?」

警官「この男性が家の前でつったっておりましてね……」

律子「すみません、私の知り合いなんです。ご迷惑をおかけしました」

警官「あ、そうなんですか。これは失礼をいたしました」

律子「いえいえ、こちらこそ申し訳ございません」

939: 2012/04/12(木) 13:46:46.52 ID:526HEikH0
P「助かったよ律子、ありがとう」

律子「…………」

P「無視してごめんな」

律子「…………」

P「俺が律子を無視した理由、話しておくよ。今話せなかったら、一生話せない気がするから」

律子「…………」

P「この前、遊園地行ったの覚えてるか?」

律子(忘れるわけないじゃないですか……)

P「あの時、黒井社長の知り合いに写真を撮られてしまったんだ……二人きりで観覧車に乗ってる所を」

律子「……っ!?」

律子(あんな所を写真に……? なんて恥ずかしい!)

P「そしてそれをネタに脅されてしまったんだ。秋月律子とは二度と関わるなって……」

P「関わったら、この写真を雑誌に載せるぞと言われた」

律子(じゃあ何で今は普通に話してるのかしら?)

941: 2012/04/12(木) 13:54:04.50 ID:526HEikH0
P「でも、その心配はなくなった。なぜなら、こっちもスクープ写真を入手したから」

P「それがこれだ。黒井社長が、961プロのアイドルである伊集院北斗を連れて……ホテルから出てきた写真!」

律子(うわぁ……黒井社長、そっちのケがあったのね)

P「まぁこういう手段は、決して褒められたものじゃないけどな……」

P「律子には本当に迷惑をかけてしまった。いくら謝っても許されることじゃない」

P「このまま無視し続けても構わない……律子がそれを望むなら」

律子「そんなこと望んでるわけ、ないじゃないですか」

P「律子……」

律子「これ以上ばかな事を言うなら……怒りますよ?」

律子「うっ、ううっ……こっち、見ないで。泣き顔は……見られたくないです」

P「あ、あぁ……すまん」

945: 2012/04/12(木) 14:05:03.16 ID:526HEikH0
P「落ち着いたか」

律子「はい……ハンカチ、ありがとうございました」

P「ん」

律子(それにしても、本当に遊園地に遊びに行ったのが原因だったとは……理由は全然違ったけれど)

P「考え事か?」

律子「えぇ、まぁ……。それにしても、写真を撮られてるとは」

P「雑誌に載せられてたらスキャンダル間違いなしだっただろうな……危ない危ない」

律子「そうですねぇ……ってあれ?」

P「どうかしたのか?」

律子「別に私とプロデューサーが遊んでる写真撮られても、大した問題じゃないような」

P「え?」

律子「だって、今は私もプロデューサーなわけですし……」

P「あ」

律子「あ、じゃないでしょーが! このバカプロデューサー!」バキッ

律子(プロデューサーには、私が傍に居てあげないとダメね……)
                                                  おわり

947: 2012/04/12(木) 14:11:16.92 ID:XSs/t95w0



次回:P「亜美と真美を徹底的に無視する」


引用: P「アイドル達を徹底的に無視する」