232: 2013/11/02(土) 18:47:42.43 ID:JI8KFxnTo


シリーズ最初から:提督「安価で艦娘を愛でる」
シリーズ:提督「安価で艦娘を愛でる」シリーズ 

最初から:提督「安価で艦娘────」白雪「愛でられてください」
前回:提督「安価で艦娘────」白雪「愛でられてください」【2】

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艦隊これくしょん -艦これ- おねがい!鎮守府目安箱 1 (電撃コミックスNEXT)
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時雨「」ポー…

時雨「……一雨、来るかな……?」

時雨「」ポー…



提督「……今帰った」

時雨「お帰り提督。今帰れてよかったね」

提督「……?」

時雨「もう少し遅れてたら、濡れるところだったよ」

提督「おっと……そうだったか。何で判るんだ?」

時雨「そんな気がしたからさ。適当だよ、本当に来るかどうかなんて知らない」

提督「……そうか」

時雨「早く手に持ってるお酒、置いてきたらどうだい?」

提督「そうだな……よっ、と……」

時雨「……そんなに沢山、一人で呑むのかい?」

提督「いや、隼鷹と呑むのさ……」

時雨「………ふーん」


時雨「↓3」

235: 2013/11/02(土) 18:50:38.25 ID:VNRbZMKpo
怒られないように程々にね

236: 2013/11/02(土) 19:00:44.24 ID:JI8KFxnTo
時雨「怒られないように、程々にね」

提督「怒られるって……誰にだ?」

時雨「……少なくとも、僕は怒らないから」

提督「悪酔いはしない……と思うぞ、多分な」

時雨「…………」



提督「……」スタスタ

時雨「……」トテトテ


提督「おい時雨……何でついてきてる」

時雨「着いてきちゃ駄目なのかい?」

提督「駄目という訳では無いが」

時雨「折角会えたのだしね。少し会話をしてそれで終わり、じゃあなんとも締まらないじゃないか」

提督「……」

時雨「……あ、お酒を置きに行くんだろう? 何で提督の部屋に向かってるんだい?」

提督「……これ専用の冷蔵庫がな、私の部屋にあるんだよ」

時雨「……提督は本当にお酒が好きだね」

提督「こればっかりは止められないな」

時雨「……僕も部屋に入っていいのかい?」

提督「別に構わんよ。見られて困るような物などたぶん無い」

時雨「……そうかい」

─────────────────

────────────

──────

【提督の私室】

提督「……よっと」ガチャガチャ


時雨(ここが提督の部屋……)



時雨(…………)スーハー


提督「……こんなものか。おい、時雨?」クルッ


時雨「↓3」

238: 2013/11/02(土) 19:09:16.69 ID:atBhnQTVo
雨、降ってきたね

241: 2013/11/02(土) 19:22:15.53 ID:JI8KFxnTo
時雨「雨……降ってきたね」

提督「……あ、そうだな」

ザーザー……

時雨「本当に適当に言っただけなんだけど……」

提督「アレだな、運がいいな」

時雨「……佐世保の時雨の名は、伊達じゃない…なんて、このくらいじゃ別に嬉しくもないかな」

提督「……そうか」


時雨「さて提督、賭けは僕の勝ちだね」

提督「……賭けなんてした覚えは……」

時雨「雨は降った。僕の勝ちだよ」

提督「…………」ハァ

時雨「もう一度、今度はたっぷり言うかい?」

提督「ああ判った判った。なんだ? 私に何を求めるんだ?」



時雨「↓3」

243: 2013/11/02(土) 19:25:33.58 ID:3MzhR1QJo
なんで好意から逃げるんだい?
話聞かせて、ちゃんと聞くから

250: 2013/11/02(土) 19:34:29.94 ID:JI8KFxnTo
時雨「……何で好意から逃げるんだい?」

提督「…………」

時雨「きちんと聞かせておくれよ……話、ちゃんと聞くから」

提督「……すまないが、それは……」

時雨「こっちも退けないよ。理由が知りたいんだ」

時雨「……訳もわからず拒絶されるのは、辛いんだよ」

提督「…………」


提督「……時雨」

時雨「…………」


提督「……どうしても、知りたいか」

時雨「どうしても知りたい」

提督「……私から話すのは……提督としての沽券に関わる…」

時雨「沽券……? どうして、そんなのが……」

提督「……全ては鳳翔が知っている。あいつから話を聞いてくれ……」



時雨「…………」



1:僕は提督の口から聞きたいんだ
2:判ったよ……

↓3


253: 2013/11/02(土) 19:37:09.53 ID:McU86sn1o

254: 2013/11/02(土) 19:40:55.51 ID:JI8KFxnTo
時雨「僕は提督の口から聞きたいんだ」

提督「……そうか」

提督「……そうか……」ハァ-…


提督「……致し方無いな。どうせこのまま続けてもボロが出てたに違いない」

時雨「…………」


提督「話そう、全てを」

時雨「……」ゴクリ

_____________

___________

________

260: 2013/11/02(土) 19:59:34.48 ID:VgPfiRF9o
提督「……私が────俺がこの鎮守府に着任した日を、お前は知っているか?」

時雨「……えっ、それは……えーと」

提督「知らないだろうな。何せ初期の頃の書類は破棄してあるのだから」

提督「俺がここに来た日は、▲△年の○月×日だ」

時雨「…………えっ。僕が作られた日は……」

提督「そう。それから半年以上後の事だ」

時雨「……どうして……」

提督「あの頃は資材が圧倒的に足りなくてな……建造は勿論、補給も成り立たなかった」

時雨「…………」


提督「……そんな鎮守府には、辛うじて三隻の艦があったんだ」

時雨「……三隻?」


提督「……鳳翔と、雷」

提督「そして……吹雪だ」

時雨「…………」



提督「……俺たち四人……一人と三隻は、そんな状況でも何だかんだでやってきたんだ」

時雨「…………」


提督「まだ新米だった頃の俺を、みんなはよく支えてくれたよ」

時雨「……待っておくれよ、その三隻……」


提督「ああ。今現存している艦は鳳翔だけだ」


時雨「………」


提督「一隻は沈み、もう一隻は……解体された」

提督「……いや、俺が解体したんだ。俺の手でな」

263: 2013/11/02(土) 20:07:02.66 ID:fE60DXek0
思ったより話が重かった!?

264: 2013/11/02(土) 20:12:34.05 ID:VgPfiRF9o
時雨「……提督が解体した……?」



提督「……あの頃の俺は何事にも一生懸命だった」

提督「……そんな俺は、いつしか、あいつ……吹雪に、恋慕を抱いていたのさ」

時雨「…………」

提督「……あいつも、一生懸命だったからな」



提督「……俺は鳳翔と雷に、正式に付き合う、といった旨の報告をした」

提督「二人とも……祝福していた」

提督「俺は受かれてたんだろうな。だから気持ちに気付いてやれなかった」


時雨「…………」


提督「……俺たちがどれだけ頑張っても、懐具合は一向に良くならなかった」

提督「遠征をしようにも艦隊がいない、しかし戦艦も作れず……ドロップも来ず、不遇な日々は続いてた」


提案「……そして、それは起こった」

266: 2013/11/02(土) 20:29:33.83 ID:VgPfiRF9o
提督「ある日の海戦後、雷がとある艦娘のデータを手に入れた」

提督「……それはもう、待ちに望んだ新しい船艦だ。俺は喜んだ」

提督「『必ず持って帰ってこい』……と、そう命令した」


提督「吹雪も雷も、鳳翔でさえ、その時はきっと────慢心してたんだろうな」

時雨「────襲われたんだね」

提督「そうだ……帰路で、奇襲をかけられた」


提督「……その時の旗艦は、鳳翔だったな…………」

時雨「……と言うことは、それで雷さんが……」

提督「……沈んだ。吹雪を庇ってだ」



提督「……俺がもし集中していたら……雷が……吹雪が旗艦だったなら」

提督「……なんて、今でも思うんだ」

時雨「…………」



提督「……吹雪を庇って多数の砲弾を受けても、あいつはデータだけは手離さなかった」

提督「……最後を看取りに来た吹雪に、データを渡して、あいつは何かを伝えた……らしい」

時雨「らしい?」

提督「何を言ったのかは俺にも判らん。鳳翔も聞いていなかったそうだ……」

時雨「…………」

提督「……あの時、吹雪も勿論疲弊していたが……雷はさらに酷かった……中破状態、大破寸前だ」

提督「……あいつは、俺が吹雪を喪ったら悲しむ、なんて思ったんだろうな……?」



提督「……だからって自分が沈んで…………」


提督「……失意の中、第一艦隊は帰投した」



提督「……それだけじゃあ、終わらなかった」

267: 2013/11/02(土) 20:40:21.98 ID:VgPfiRF9o
時雨「……まだ続くのか。うんざりするよ」

提督「……俺もだ」



提督「……帰ってきた吹雪は、何かおかしかった」

時雨「……おかしい、か」

提督「誰もいない所に話し掛けたり、突然叫んだり……」


時雨「…………」


提督「……雷と吹雪はとても仲が良かった……が、それだけでアイツがああも変わったとは、俺は思えない」

時雨「……雷さんの最後の言葉が契機か」

提督「……あいつは責任感が強い奴だった。俺に似て」


提督「……ある日、奴は鳳翔に向けて砲口を向けたんだ」

時雨「…………」

提督「今にも撃ってきそうな、そんな目をしていた」


提督「あわてて俺は吹雪を縛り、兵器を取り上げた」



提督「そして、妖精さん────今の彼女だ、が大分苦心してくれたらしい」

提督「が、吹雪が正気に戻ることは無かった」


時雨「…………」


提督「……このままでは使い物にならない、というのが上の意見だった」

提督「…………そして、正式に解体の命令が出された」


時雨「…………それで」


提督「……した」

時雨「…………」



提督「…………雷の持ってきたデータから復元された艦娘は、未だ見たことのない新しい種類だったらしい」

提督「その功績だかなんだか知らんが、資金が潤沢に出されることになった」



提督「…………」

時雨「…………」

提督「……これは、御祓だ」

提督「……俺は誰かと結ばれることで、誰かを失いたくない」

提督「……そして、誰かと結ばれることで吹雪を失いたくもないんだ」


268: 2013/11/02(土) 20:44:45.85 ID:atBhnQTVo
割と重い話でビックリしたでござるの巻

269: 2013/11/02(土) 20:45:00.71 ID:VgPfiRF9o
提督「……これが全てだ」

時雨「…………」

提督「……もう、いいか?」

時雨「……そのぶっきらぼうな口調は、演技なのかい?」

提督「演技だったさ。これは自分への戒めでもあった」

提督「『二度と慢心しないよう』にな」

時雨「……僕らを拒絶していたのは」

提督「……俺の理性の問題だ」

時雨「…………それが、沽券に関わる、って奴かい?」

提督「いや、こんな話をしている時点でプライドも何もないな」

時雨「…………」


提督「……けじめをつけられないのが、俺の弱いところだな」

提督「…………」


時雨「…………」


時雨「↓3」

272: 2013/11/02(土) 20:48:03.96 ID:mJPUvc6Co
ビンタ

276: 2013/11/02(土) 20:51:08.92 ID:1d2d6o8mo
なんかわからんが
ビンタ

288: 2013/11/02(土) 21:06:08.46 ID:VgPfiRF9o
時雨「…………!」ビターン!

提督「……!」

時雨「……提督は、僕が思っていたより、ずっと弱かったんだね」

提督「……ああ、弱いさ。ずっと弱い」

時雨「……今の提督は、触れれば崩れそうなほどに脆い」

提督「…………」

時雨「……そんなの、僕の知ってる提督じゃない!」ビタン!

提督「…………」

時雨「…………提督」バシン! バシン!


提督「……お前の知ってる提督は、本当の俺じゃない」

提督「……本当の俺が何かは、とうに忘れたがな……」


提督「軽蔑しろ。同情するな。俺を笑って見下せばいいさ」


時雨「……↓3」

291: 2013/11/02(土) 21:07:51.16 ID:K4XvIPi7o
提督には失望したよ。
……今の提督の姿が、彼女たちの望んでいた提督の姿なのかい?

296: 2013/11/02(土) 21:31:36.77 ID:VgPfiRF9o
時雨「……提督には失望したよ」

時雨「今の提督の姿が、彼女たちの望んでいた提督の姿だったのかい?」

提督「…………」

提督「……違うだろうな……だが」

提督「俺にはもう、あの頃の俺には戻ることは出来ないんだよ」

提督「…………」



鳳翔「……提督」ガチャッ

提督「……ほう、しょう」

鳳翔「……いつまで呪縛に掛けられているのですか」

鳳翔「貴方には罪はありません。全ては────」

提督「悪いのは俺だ」

鳳翔「……もう、自分を許してはどうなのですか?」

提督「……許せないな」

提督「俺は自分が許せない」


提督「何度も氏のうと思ったさ……だけどな、それこそ奴等が悲しむ」

鳳翔「…なら、逃げているだけの今の貴方の姿を見て、彼女たちは悲しまないとでも?」

提督「…………」


鳳翔「逃げです……貴方は、過去に閉じ籠って逃げているだけ」

鳳翔「提督としては成長したのかもしれませんが、人間としては変わっていません……」


鳳翔「『自分が弱い』と自覚しているのなら、どうして強くなろうと思わないのですか」


提督「…………」

鳳翔「変化を拒む事は、生きることを放棄することと同じです」


鳳翔「『変わらないと思う気持ちは、自殺』ですよ」



鳳翔「…………貴方がやっていることは、それこそ彼女たちが最も悲しむ事と同じですよ」

提督「…………」


鳳翔「目を醒ましなさい。今の貴方は今までの貴方でしかありませんが」


鳳翔「これからの貴方は、今までの貴方とは必ず違うはずです」

299: 2013/11/02(土) 21:42:30.73 ID:VgPfiRF9o
鳳翔「大丈夫です。私たちは氏にません」

鳳翔「……貴方の、為にも」


提督「…………」



鳳翔「……私にここまで言わせるなんて……判ってますよね?」

提督「……お前にあそこまで言われたのは、初めてだな」

鳳翔「私もです。こういうのは、慣れてないんですよね」



提督「………………」


提督「……許してくれとは言わない。ただ、見守ってくれればそれでいい──────」

提督「……俺はお前らの提督だ。これからも」


提督「……時雨、鳳翔」

時雨「……やっと、雨が止んだようだね」

鳳翔「……することは後、一つだけですよ……」


提督「……自分に正直になることか?」

鳳翔「吹雪さんは貴方の心の中で生き続けることはできます」

鳳翔「……でも、貴方の傍で寄り添うことはできませんからね」



提督「……決まってるんだ、はじめから」

提督「誰が好きか、なんて……」

鳳翔「…………」


提督「……さよならだ、吹雪」ボソッ



提督「俺が本当に好きなのは──────」



・瑞鳳
・榛名
・翔鶴
・長門
・陸奥
・朝潮
・木曾
・五十鈴
・那珂
・扶桑
・山城
・隼鷹
・龍田
・時雨
・鳳翔


↓6

305: 2013/11/02(土) 21:44:58.70 ID:atBhnQTVo
翔鶴

312: 2013/11/02(土) 22:02:23.92 ID:VgPfiRF9o
提督「────翔鶴」

鳳翔「……そうですか。それでは早く行ってあげてはどうですか?」

提督「…………」

鳳翔「……少しでも早く、報せてあげましょう。きっと、喜びますよ」

提督「……だな」タタタ…



鳳翔「…………」

時雨「…………」



鳳翔「フラれちゃいましたね」

時雨「……うん」

鳳翔「まぁ……翔鶴さんなら、仕方ないかな」

時雨「……やっぱり、悔しいなぁ」


鳳翔「……さて、私は少し酔ってきますかね」スクッ

時雨「あ、僕も……」

鳳翔「駄目ですよ。子供にお酒は」

時雨「…………」

鳳翔「……と、言いたいところですが、一杯だけなら黙認します」

時雨「……珍しいね」

鳳翔「相手がほしい気分なんです。あとで隼鷹さんも誘いましょう」

時雨「…………うん」

鳳翔「くれぐれも、一杯だけですから」

時雨「わかってるってば……」
____________

_________

_____

提督「……翔鶴!」ハァハァ…

翔鶴「……提督。そんな急いでどうなされました?」

提督「……お前に言いたいことがある」

翔鶴「……言いたいこと?」



提督「────────、───────」

翔鶴「──────!」

提督「──────────」

翔鶴「───────」////

提督「──、──────?」





「─────はい、喜んで」



【END】

313: 2013/11/02(土) 22:03:26.77 ID:jf2vyOgNo
ずるい
おめでとう

314: 2013/11/02(土) 22:04:53.15 ID:WGLTiv6I0
翔鶴・・・おめでとう!

315: 2013/11/02(土) 22:06:51.29 ID:XW/qd7Jno
暁の水平線に勝利が刻まれた―――

318: 2013/11/02(土) 22:10:33.75 ID:VgPfiRF9o
二人は幸せなキスをして終了(錯乱)


なにはともあれ、【長編】編、これにて閉幕と相成りましてございます

皆様お付き合いありがとうございました




これからの方針ですが、とりあえずこのスレは畳みたいと思います



そして、次からは新しく『長門「ながもん荘だ!」』と言う(予定の)艦これ安価SS書きたいと思います

選択肢その3にあった奴ですね
このスレ畳まんでもいいだろ、とも思いますが、流石にこれ以上はタイトル詐欺が酷くなる



新しいスレでも、何卒よろしくお願いします





あある・じゅうはち……? 知らない子ですね

319: 2013/11/02(土) 22:11:16.86 ID:uTMKdOa2P
乙でーす

356: 2013/11/04(月) 00:28:19.10 ID:twhFKJe5o
大層乙であった


引用: 提督「安価で艦娘────」白雪「愛でられてください」