306: 2013/03/28(木) 03:05:29 ID:UFm4UzNs

前回:妹「おほぅ…。やはり寒い冬はお兄ちゃんに限る…」 兄「………」【前編】

妹友「乗っ――」

妹「待って妹友ちゃん。こちら側に対する要求を聞いてないよ」

幼馴染「そ、そうね。蓋を開けてみればこちらに不利な条件だったら元も子もないわ」

兄「……俺の要求は『脱衣所を出て、食卓の席に着くこと』こと。それだけだ」

妹友「……そ、それだったら」ニヘ

幼馴染「……み、魅力的な話よね」ニヘ

妹「……確かに魅力的な提案だねお兄ちゃん。……でも2人共冷静に考えて」

妹「お兄ちゃんの洗濯物を手洗いする権利と――」

妹「お兄ちゃんのお兄ちゃんを肉眼で見れる今の状況、果たしてどちらがお得なのか?」

妹共・幼馴染「!」

兄「……妹よ。俺の提示する権利に更に注釈をつけよう」

妹「悪あがきは醜いだけだよお兄ちゃん!あたし達はお兄ちゃんのお兄ちゃんが最優先なんだよ!」
三ツ星カラーズ3 (電撃コミックスNEXT)
307: 2013/03/28(木) 03:15:34 ID:UFm4UzNs
兄「……まぁ聞いてくれ」

兄「一つ目は『手洗いが終わったかどうかの確認は俺はしない』」

兄「二つ目『またその洗濯物を俺に渡す期限を無期限とする』」

妹友(これってつまり洗わずに手元に置いても構わないってことで……)

幼馴染(さらにに無期限ってことは実質洗濯物は私の私有物になるってこと!?)

妹(あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん )


兄「……ただしこの権利は『一人』のみに与えるとする」ゴゴゴゴゴ

妹・妹友・幼馴染「!」ドドドドド

兄「さぁ、どうかな?応じてくれるだろうか?」

308: 2013/03/28(木) 03:20:59 ID:UFm4UzNs
妹友「アニキ粒子の結束で固まっている我々に分断を迫るとは……」

幼馴染「でも安易に踊らされては駄目よ。まだ交渉は続いているんだから。ね、妹さん?」

シーン…

幼馴染「いないっ!?くそっ!一方的に出遅れた!」ダダッ

妹友「あ!先輩!後から行っても既に妹ちゃん座ってて、手遅れになるんじゃ!?」

幼馴染「座ってるのを吹き飛ばして私が座り直せばいいでしょ!」

妹友「なるほどそんな方法が。では先輩失礼します」ドギャッ

幼馴染「ゲハァッ!何をするんだこの小娘ぇ!」

妹友「ここで先輩を消せば妹ちゃんを吹き飛ばすだけで、その一人になれるからです」タタッ

幼馴染「……だったらあんたらまとめて吹き飛ばして私が座るしかないわ!うおおおおお!」ダダッ


……

ガチャ

キョロキョロ

シュバッ バッ ババッ

兄「着替え完了、と」

309: 2013/03/28(木) 03:24:21 ID:UFm4UzNs
――――

兄「おーい飯……ってまだやってたのか」

ピリピリ…

妹「…………」

妹友「…………」

幼馴染「…………」

妹(動いた瞬間2人に同時に襲われてピーピーボボボするのは確実)

妹友(だから誰かが動くまで動かずに機を伺っているのですが……)

幼馴染(まったく動く気配がない膠着状態。既にそれぞれの制空圏が触れているというのに……)

(((……ただしもう限界が近い。次何らかの切っ掛けがあれば間違いなく動く!!)))

兄「そうだ。俺も無事着替えられたしさっきの権利、全員でもいいぞ」


妹「ご飯を早く食べようよー。さっきからいい匂いでお腹が限界だよー。限界だから味見しちゃうねー」

妹友「あ、兄先輩、ご飯盛りますよ。どれ位盛ります?カサッとですか?大盛りですか?貴族盛りですか?」

幼馴染「おかずは私が取り分けてあげる。料理はまず目で食べるものなんだから、綺麗な盛り付けじゃないと台無しになるもの」

313: 2013/03/28(木) 03:33:00 ID:UFm4UzNs
――――

兄「ごちそうさまでした」
妹「ごっつぁんでした」
妹友「ごちそうさまでした」

幼馴染「お粗末様でした」

兄「いやー満腹満腹。うまかったなー」

幼馴染「そ、そう?ま、まぁ人並み程度のご飯だったと思うけど?」///

兄「いや本気だよ。小鉢一つ取ってもすごい出来だった」

幼馴染「そ、そうかしら?お、お世辞言ったって何も出ないけれど?」///

兄「俺の好物もたくさんあったし、大満足でした。ありがと幼馴染」

幼馴染「……ぅん」///

妹友「…………」ギリッ

幼馴染「ちょっと……外の風当たりに行ってくるわね」

兄「どうぞー」

ガチャッ バタン

『ぃよっしゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!』ビリビリ

314: 2013/03/28(木) 03:37:42 ID:UFm4UzNs
――――

妹「さて食後じゃ皆の衆」

兄「……何かするのか?」

妹「何かじゃないでしょお兄ちゃん。洗濯物の分配だよ」

兄「……ああ、あれね」

妹友「インナーウェア系は争奪戦になりますね」

幼馴染「私分配はドラフト制がいいと思うんだけど」

兄「……まぁ皆落ち着けよ」

兄「今回の洗濯物はお前達に任せる予定はない」

妹「は!?」
妹友「えぇー!?」
幼馴染「はぃぃ!?」

兄「だから、分配なんて決めてなくたっていいんだ」

315: 2013/03/28(木) 03:46:49 ID:UFm4UzNs
妹「ちょっ、約束が違うでしょお兄ちゃん!」

妹友「そうですよ!私たちにはあの洗濯物を手洗いする権利が――」

兄「『あの洗濯物』?何の事かな?俺が取引した権利は『俺の洗濯物を手洗いする権利』であって―」

兄「『あの洗濯物を手洗いする権利』ではない」バァン

幼馴染「くっ……言われてみればそうね……」

幼馴染「じゃぁ明日以降の洗濯物のドラフトを――」

兄「それもしなくていいぞ」

幼馴染「なんでよ!じゃないとあんたの洗濯物をいつ手洗いす……れ…ば……」ハッ

兄「気づいたようだな幼馴染」

妹友「え……どういう事なんですか幼馴染先輩っ!」

妹「……あたし達はお兄ちゃんにまんまとハメられたってことだよ……」

妹「!」ハッ

妹「あたしはお兄ちゃんにハメられたってことだよ!」

妹友「何故言い直したの妹ちゃん……」

316: 2013/03/28(木) 03:58:10 ID:UFm4UzNs
兄「勿論、約束は守る。権利を与えたからな」

兄「与えたが……!今回その『時』の指定まではしていない!」

妹友「……ッ!」ザワ…ザワ…

兄「そのことをどうかお前達も思い出して欲しい」

兄「つまり……俺がその気になれば――」

兄「手洗いの機会は……10年20年後ということも可能だろう……」

兄「……ということ……!」ニヤァ


妹友「」ピー
幼馴染「」ピー
妹「」ボボボボボ!

TEARAI DESTROYED

323: 2013/03/29(金) 03:15:31 ID:MQ1oByA6
兄「……卑劣な手を使う相手なら…こちらも卑劣な手を使わざるを得ない」

妹友「うぅ……話が……違いますよ……」ガクリ

幼馴染「私の靴下が、トランクスが、消えていく……これは面倒なことになったわ……」サァァ…

妹「…………」

兄「これに懲りたらもう二度と――」

妹「皆、落ち込む必要ないよ!」

兄「……何?」

妹「ポジティブに捉えれば今回の件は『アリ』、だよ」

妹友「ポジティブ、に?」

妹「そう、お兄ちゃんは言ったよね。『10年20年後』って」

幼馴染「それが何なのよ。悲しいだけじゃない」

妹「違うよ。お兄ちゃんの発言は『10年20年後以降に洗濯物を洗う権利をあげる』ということ。即ち――」

妹「『洗濯物を渡さない限りお前達とずっと一緒にいる』というメッセージだったんだよ!」

妹友・幼馴染「!!」ハッ

兄「ハッ、じゃないだろ!」

324: 2013/03/29(金) 03:20:26 ID:MQ1oByA6
幼馴染「確かにそれなら手洗いの権利を蹴ってもお釣りが来るぐらいだわ」

妹友「遠回しな好意表現だったんですねー。流石妹ちゃんです」

妹「でっしょー。あたしってば天才?」

兄「反省しろよ!その嫌なポジティブさやめろ!」

妹「お兄ちゃんのお兄ちゃんを見せてくれたらすぐにやめる」

兄「見せない。断固として見せない」

妹「だったら遠回しのプロポーズとして受け取っておく」

兄「はぁ!?」

妹友「サッカチーム作れる位がいいですね」

兄「妹友さん何が!?」

幼馴染「一緒のお墓に入りたいわね」

兄「どこまで飛躍したんだ幼馴染は……」

妹「さぁ、会議を始めよう諸君」

兄「膨らましておいてぶん投げんなよ……」

325: 2013/03/29(金) 03:25:37 ID:MQ1oByA6
妹「ぶん投げるも何も適当なタイミングだと思うけど」

兄「テキトーなタイミングだと思うんだが……」

妹「テキトーでなく適当だよ。食後、全員風呂も入ってリビングでくつろぎタイム、各々クッションを抱えてごろり」

兄「……言われてみれば確かに。多分お前が言ってるから気に食わないだけだな」

妹「うはぁお兄ちゃん辛辣。でも嫌いじゃないよ」パチッ

兄「…………」

妹「じゃぁ最初の議題は……『お兄ちゃん逆レOプ事件』!」

兄・幼馴染「「ブフォッ!!」」

妹友「…………」ギリッ

兄「……いや、話さなきゃならないのはよく分かってるんだが……」

幼馴染「……で、できればもうちょっとマイルドな表現にして欲しいかな、と……」

妹「えー……じゃぁ『急性アニキ粒子中毒による強姦未遂事件』とか?」

兄「ひどくなってるだろ!強姦とかレOプとかから離れろ!」

326: 2013/03/29(金) 03:40:13 ID:MQ1oByA6
――――

妹「議題『ドキッ!幼馴染と2人だけの体育倉庫でイケ☆ない接触~初めてはカビ臭いマットの上で~』について」

兄「…………」

幼馴染「…………」///

妹「そもそもあたしが2人を閉じ込めた理由は至って単純」

妹「幼馴染さんにお兄ちゃんの良さを知ってもらい、アニキ粒子の理解者になってもらうこと」

兄「……その為に俺と幼馴染を閉じ込めたんだな」

妹「その通り。そして何かあったらすぐに飛び出せるように窓から様子を伺ってました」

兄「……その割にはホントのギリギリまで一切登場しなかっただろ」

妹「いや、予想外の事態が色々と起きちゃって……」テヒヒ

兄「まぁ嵐とかあったしなぁ……」

妹「いや、お兄ちゃんと幼馴染先輩がいい感じになったあたりから妹友ちゃんが暴れ出してね」

妹友「…………」///

妹「気付かれちゃうからやめてー!って言ってるのに窓バンバン叩いたり」

兄「……妙にうるさかったの風じゃなかったのか……」

327: 2013/03/29(金) 03:57:43 ID:MQ1oByA6
妹「あと幼馴染さんにお兄ちゃんが襲われてる時にね――」

妹「あたしが異様に興奮しちゃってさ」

兄「」

妹「何か途中から見守るどころか最後まで見る感じにシフトしちゃってた」

兄「……聞かなかった事にしよう」

妹「で、夢中になってたら妹友ちゃん拘束するの忘れちゃって」

兄「拘束ってお前……」

妹「気付いたら妹友ちゃんが、持ってきた傘の骨をブチブチ千切りながら『ズルイ…ズルイ…』とか呟いてて」

兄「……聞かなかった事にしよう」

妹「柄だけになった傘で窓ガラスをドンガドンガ叩いてヒビ入れて突っ込んでいったの」

兄「……誰か分かるまでは軽くホラーだったぞ」

妹「で、助けようと思ったら何やらお兄ちゃんが二回戦目に入ろうとしてたので」

兄「一戦も交えてないのに適当な事言うな……」

妹「ドキドキしながらギリギリまで網膜に焼き付けてた」

兄「…………」パキポキ

333: 2013/03/30(土) 17:11:02 ID:4AYkLwCI
――――

妹「」

兄「……ホントに学ばないなこいつは」


幼馴染「……あの、さ」ツンツン

兄「……ん?」

妹「その前にお兄ちゃんに知らせておくことがひとつ」

兄「……ん」パキポキ

妹「……マジな話だから聞いて」

兄「…………」

妹「アニキ粒子には素直にさせる効果はあっても、惚れさせてしまうような…一種のフェロモンのような効果はない」

妹「だから――」

幼馴染「そこから先は私が言うわ妹さん」

妹「……そうですね。先輩が直接言うべきでした。すみません」

幼馴染「……ううん。まぁおかげで色々と気持ちの整理とかついたし」

334: 2013/03/30(土) 17:23:59 ID:4AYkLwCI
幼馴染「……えっとね、まぁ……んー」

幼馴染「……ムードもヘッタクレもないし、あんたの家だし、二人きりどころか観客までいるけど」

幼馴染「まぁある意味それも私らしいのか、うん」

幼馴染「似つかわないタイミングと場所だけど……あんたに伝えたいことがあるわ」


幼馴染「私、幼馴染は、あんたが……いや、兄が……好きよ」


兄「…………」

幼馴染「そう、幼稚園の時からずっと好きよ」

幼馴染「あんたは忘れちゃったかもしれないけど……私は今でも覚えてる」

幼馴染「それこそつい昨日のことのように思い出せるわ」

幼馴染「……あんたと交わした『将来結婚しよう』って約束を」

兄「…………」

幼馴染「バカみたいでしょ?……いいえ、多分バカなのよ私」

幼馴染「バカだから……それ以来私の人生の目標はあんたのお嫁さんになる事に固定されたわ」

幼馴染「……あんたの気持ちなんて確かめないまま、ね」

335: 2013/03/30(土) 18:22:02 ID:4AYkLwCI
幼馴染「で、今日まで来ちゃった」

幼馴染「あげくアニキ粒子で暴走して、私の初めてはもう滅茶苦茶な内に終わっちゃうし」

幼馴染「……でもまぁ、感謝もしてるわ」

幼馴染「こんなことが起こらなければ、私いつまで先延ばしにしてたか分からないし」

幼馴染「……もう一度言うわ」

幼馴染「私はあんたが、好き。大好きよ」

幼馴染「あんたとは今までうまくやってきたつもり……一応ね」

幼馴染「もちろん、これからも私はあんたとうまくやっていきたい」

幼馴染「……出来るだけ側で、隣で、一緒に」

兄「…………」

幼馴染「小さい時の約束抱えて迫ってくる、正直重たい女だけど……」

幼馴染「……そのっ」

幼馴染「あんたさえ良ければ、付き合って欲しいの。私と」

兄「幼馴染……」

336: 2013/03/30(土) 19:24:55 ID:4AYkLwCI
幼馴染「…………」

兄「幼馴染、俺は――」

スッ

妹友「待って、ください」

兄「……妹友さん?」

妹友「少しだけでいいですから……幼馴染先輩、私にも……時間をください」

幼馴染「……ええ」

兄「…………」

妹友「兄先輩。私も……いえ、私は――」

妹友「兄先輩が、お兄さんのことが……そっ、そのっ……」


妹友「すっ、好きですっ!あ、会った時からずっと好きでしたっ!」


妹友「はぅ……ついに、ついに言っちゃったよ……」///

兄「妹友さん……」

幼馴染「…………」

337: 2013/03/30(土) 19:38:38 ID:4AYkLwCI
妹友「正直、幼馴染さんや妹ちゃんに比べると足りないです」

妹友「兄先輩と一緒にいれた時間が、圧倒的に足りないです」

妹友「でも、確かに時間では勝てないかもしれないけれど……」

キッ

妹友「兄先輩のことを好きだって気持ちは、絶対に、負けません」


妹友「私が初めて兄先輩に会った時のこと。今でもはっきり覚えてます」

妹友「当時の私には力が全然なかったから……友達になったばっかりの妹ちゃんの暴走を止めることができませんでした」

妹友「破壊されていく備品をただ見つめる事しか出来ず、ただ無為に立っていた時に――」

妹友「先輩は現れました……空から。そして妹ちゃんに向かってダイブ、一撃で妹ちゃんを沈黙させると……辺りの片付けを始めました」

妹友「しばらく我を忘れていると、兄先輩がこっちへ来ました。『妹のおかげで迷惑をかけた。どこかケガはないか?』」

妹友「この異常な空間で兄先輩を意識した時……私は心奪われました」

妹友「兄先輩の、私を気遣うその表情に。その姿に」

兄「…………」

妹友「それから妹ちゃんから色んな話を聞きました。優しくて、強くて、面倒見が良くて、素敵なお兄さんだって」

妹友「徐々に徐々に会話に加われるようにして……少しづつ、大切に兄先輩と距離をつめてきたつもりです」

338: 2013/03/30(土) 19:44:31 ID:4AYkLwCI
妹友「正直、兄先輩が私のことどう思ってるかとか……」

妹友「そもそもちゃんと一人の女性として意識して貰えてるかすら……今の私には分かりません」

妹友「でもっ……でもっ!」

妹友「成功するから告白する、成功しないから告白しない」

妹友「――そういった事はしないと心に決めています」

妹友「……私は、兄先輩が、お兄さんが……心の底から大好きです」

妹友「もし、お兄さんが良ければ……こんな私でも良ければっ!」

妹友「わっ、私とお付き合いして下さい!」バッ

兄「い、妹友さん……俺は――」


妹「待ってお兄ちゃん」

兄「…………」

妹「その『お前もかよ……』って言う感じの蔑んだ視線!興奮する!」

妹「――のは後にして……お兄ちゃん、あたしも伝えたいことがあるの」

妹友「……うん」

幼馴染「……どうぞ」

341: 2013/03/31(日) 00:45:11 ID:5M2g73TI
妹「この流れで大体予想はついてるでしょお兄ちゃん」

兄「……つかない」

妹「ま~たまた~。分かってる癖にぃ~」ウリウリ

兄「……分からな――」

妹「愛してるんだ、お兄ちゃんを」


兄「ッ……」ゾクッ

妹友「!」ゾワッ
幼馴染「!」ゾワッ

兄「……と、唐突だなお前は」

妹「そうかな。ううん、違うよ。あたしはいつも思ってる……口に出さないだけで」

兄「……俺も――」

妹「そういう意味じゃないよ」

兄「ッ!?」

妹「お兄ちゃん語尾に『家族として』ってつけるつもりだったでしょ?」

兄「う……」

343: 2013/03/31(日) 01:29:18 ID:5M2g73TI
妹「バレバレだよ。お兄ちゃんは話題を逸らそうとする時、左手の甲をほんの少し相手側に傾ける癖がある」

兄「え……」

妹「焦っている時は腰を中心に上半身をわずかに反らせる、とかね」

兄「な……」

妹「おりょ。本題とズレてきちゃったね。お兄ちゃんの癖談議はまぁさておき……」

妹「あたしは一人の女性として、お兄ちゃんを愛してる」

兄「…………」

妹「兄妹なのに?否、兄妹だからこそ……あたしはお兄ちゃんを強く愛してるの」

妹「妹として兄を愛し、女として兄を愛する。更に愛おしくなるのは当然だよね」

妹「あたしはね?別に有象無象の取るに足らないような……そんな連中に何を言われようが知ったこっちゃないんだ」

妹「あたしの愛は、あたしだけが知っていればいいんだもの」

妹「それにね、お兄ちゃんが誰とくっついたって構わない」

妹「お兄ちゃんが愛する対象が、あたしでなくたってもちろん構わない。だってそれはお兄ちゃんの自由でしょ?」


妹「ただ――」

妹「あたしから、お兄ちゃんを愛することを取り上げないのであれば……あたしはそれでいいの」

347: 2013/03/31(日) 03:07:04 ID:5M2g73TI
妹「……これであたしの伝えたいことは終わり」

妹「今まで色々ぼかして来たけど……これが本心」

兄「…………」

妹「あと、そうだね……お兄ちゃんの温もりが欲しくて、いつもあたしは側にいるけど……」

妹「本当はお兄ちゃんと暖かくなる以上のことをしたいという気持ちも、ある」

妹「……蛇の交尾みたいに一日中お兄ちゃんと繋がってみたいとも、思う」

兄「……それは」

妹「……でも、それはまったく別の話だからね。本当にお兄ちゃん『さえ』良ければ、だし」

妹「もしお兄ちゃんがやめろ、って言ったら全てやめるしね」

クルクル…

妹「それに、そう――」

妹「お兄ちゃんの幸せが成り立つのが第一で、あたしの幸せは二の次」

妹「お兄ちゃんの幸せの邪魔になるのであれば……あたしは自らの存在すら消したっていい」

妹「あたしは、本気で……そう思ってるよ」テヒヒ

兄「…………」

356: 2013/04/02(火) 02:49:30 ID:M/mF0.zk
兄「……その、なんだ」

兄「立て続けに幼馴染と妹友さんの2人に」

妹「ええー!?あたしはー!?……ってまぁいいけどさ」

兄「…………」スッ

ポフッ

妹「……うにゃっ!?」

ナデリ

兄「立て続けに『3人』から……あれだ」

兄「その、あぁ、えーと……こ、告白、されて、しまったわけ、なんだが……」

妹「照れるお兄ちゃんマジ天使!これでご飯三杯はイケる!」

兄「…………」

スッ…

妹「しまったー!ナデナデが離れていってしまったー!」

妹友(でも妹ちゃん……気持ちは分かるよ……)

幼馴染(激しく同意せざるを得ないわね……)

357: 2013/04/02(火) 03:09:14 ID:M/mF0.zk
兄「……正直なところ、何で俺を、という思いもある」

兄「多分俺の中にどこか惹かれる要素があった、のだろう、恐らく」

兄「そして皆の真剣さを見て、それを考えるのも野暮だろう、とも思ったよ」

兄「その、うん……3人の告白、感動……したんだ」

兄「幼馴染や、妹友や、妹が……魂ごとぶつかってくるかのような……うまく言葉で現せないけど……」

兄「……とにかくスンゴイ真剣で驚いたし、ビックリしたし、嬉しかったし……」

兄「人に……想われるって本当に、素敵な事なんだなって、思ったよ」

妹「…………」

妹友「…………」

幼馴染「…………」

兄「…………」

妹友「……それで……」

幼馴染「……返事は……?」

妹「……ふみゅふみゅ?」

358: 2013/04/02(火) 03:16:32 ID:M/mF0.zk
スッ

兄「……ありがとう」

ペコリ

妹友(その『ありがとう』は誰に!?私なの?幼馴染先輩なの?それとも妹ちゃんなの?)

幼馴染(『ありがとう』……って誰によ!早く、早く言わないと心臓がっ!心臓がっ!)

妹(……あいむしんかー♪とぅーとぅーとぅーとぅとぅー♪)



兄「……その、気持ちだけを」



妹友「……え」

幼馴染「……へ」

妹「……ふみゅ」

367: 2013/04/03(水) 04:52:48 ID:9S6gz1XE
兄「……すまない」


妹友「えっ……と……」

幼馴染「ま、待って、それってつまり、つまるところその……」

妹友「私たち……フラれちゃったって……こと……ですよ……ね?」

兄「…………」

妹友「…………」

幼馴染「…………」

妹「…………」


幼馴染「ッ」ブワッ

妹友「!?……せっ、幼馴染先輩っ、涙がっ……ってアレ?わ、私も……うっ……く」ウリュッ

妹「…………」

368: 2013/04/03(水) 04:53:55 ID:9S6gz1XE
幼馴染「くっ、ひっ……ぐっ……ちっ、違うの!これはなっ、涙じゃなくて汗よ汗っ!」グスッ

ゴシゴシ

幼馴染「くぅっ……!暑いったらないわねまったく!」

妹友「せっ、先輩……」

幼馴染「……ッはぁっ」

グシッ

幼馴染「……妹さんの言う通り、誰を好きになろうがあんたの自由」

兄「…………」

幼馴染「私はあんたを勝手に好きになって、勝手にフラれただけ」

幼馴染「……でも」

幼馴染「……だったらっ!」

ズイッ

幼馴染「私たち3人をフるって言うならっ!」

幼馴染「その、あっ、あんたのっ、すっ、好きだって言う人をっ……!」

369: 2013/04/03(水) 04:58:27 ID:9S6gz1XE
幼馴染「すっ、うっ……好ぎな人ぐらい”っ……ひぐっ……」

ポタッ…

幼馴染「教えっ、なざい”よっ……」

ポタッ…

幼馴染「ごめ”ん”っ……やっばり……無理っ、涙っ、我慢っ、出来っ……ひぅっ」

妹友「せん……ぱい……」

幼馴染「だっでずぎなんだもん”っ!ないだっで……!じがだな”いでしょっ……!」

ポタッ…

妹友「……兄先輩」

兄「…………」

妹友「……私からもお願いします」

妹友「先輩に想われてる幸運な方を……出来れば……知り、たい、です」

兄「…………」

妹「…………」

380: 2013/04/04(木) 01:01:20 ID:xPDjMORo
兄「……聞いたら」


幼馴染「…………」グスッ

兄「聞いたら多分、驚くと思うし……」

妹友「…………」スンッ

兄「……それに、聞いたこと自体を後悔するかもしれない」

幼馴染「……相手が誰だろうと、後悔しないわよ」

妹友「はい。私もちょっと考えてはみたんですけど、思い当たる方がいなくて……」

兄「……知りたい?……本当に?」

幼馴染「……ええ」

兄「念を押して、もう一度聞くよ。……知りたいの?本当の本当に?」

妹友「ぜ、是非」

兄「…………」

382: 2013/04/04(木) 01:10:53 ID:xPDjMORo
兄「……お」

幼馴染「…………」ゴクリ

妹友「…………」ゴクリ







兄「――幼馴染」

幼馴染「」

妹友「」

385: 2013/04/04(木) 01:32:13 ID:xPDjMORo
幼馴染「――ッハァァァァァッ!?」

妹友「」

幼馴染「でっ、でもさっき気持ちだけってどうでもいいわ!ぃやったァァァ――」

兄「――と妹友さん」

幼馴染「」

妹友「」

387: 2013/04/04(木) 01:33:32 ID:xPDjMORo
妹友「……ふあっ!?」

幼馴染「」

妹友「い、意味が、その、でも嬉し――」

兄「――それと……妹」ポリポリ

妹友「」

幼馴染「」



妹「……ニョホッ」

388: 2013/04/04(木) 01:45:06 ID:xPDjMORo
妹「~♪」

妹友「」

幼馴染「」

兄「……だからっ」

兄「だから言ったのにっ!聞いたら絶対後悔するって!」

兄「俺は、君たちが思ってるような聖人君子じゃないんだよ!」

兄「二心どころか三心抱いちゃうようなクズなんだよ!」

兄「気付いたら好きな人が二つに増え、三つに増えて、どうしようもなくなってたんだよ!」

ザッ!

兄「ごめんなさいっ!」ドゲザ

妹友「」

幼馴染「」

392: 2013/04/04(木) 01:53:34 ID:xPDjMORo
兄「……それで、付き合えないって言ったんだ」

兄「こんなに真剣に告白してくれる女の子が、俺みたいなゴミと付き合っちゃいけないって……」

幼馴染「まっ、待って……ちょっと待っててね……ふー……」

兄「…………」


グイッ

幼馴染「選べやぁ!選択しろ!捨てろ!Yes or No!何かを手に入れるなら何かを切るのは常識でしょうがぁ!」

兄「む、無理っ、皆それぞれ愛おしくて、差なんて……ぐええええ」ギュー

幼馴染「へ……愛おしい……ってバカ」///

兄「ゲホゲホ、いや本気で俺は――」

幼馴染「じゃ、なぁぁぁぁい!やっぱりふざけるなぁ!」ガッ

兄「くっ、苦しっ、い、息がっ、がふっ……!」ギュー

393: 2013/04/04(木) 02:02:55 ID:xPDjMORo
妹友「お、幼馴染先輩!兄先輩の顔が信号機みたいになってますからっ!危ないですからっ!」

幼馴染「チッ!」ポイッ

ズシャァ

兄「……ッゲッホゲッホ!!」

妹友「ねぇ兄先輩、なら何でさっきは一度断ったんですか?」

兄「……俺みたいなゲスな男より、世の中にはもっといい男がいるだろう?」

妹友「…………」

兄「だったら俺なんかじゃなくて、そっちのいい男と一緒になって幸せに――」

グキッ

兄「あがっ!い、痛っ!ひ、人差し指が!?」

妹友「……次は中指ですよ、先輩」ニコニコ

兄「え?……え?」

妹友「乙女の純情を踏みにじった挙句、私の幸せの定義まで勝手に決められて自己完結……」

妹友「これはギルティ、有罪ですよね?」グキッ

兄「ぐあぁっ!」

394: 2013/04/04(木) 02:19:18 ID:xPDjMORo
妹友「先輩だから告白したんです。『いい男』だったから告白したわけじゃないです」

妹友「それを『自分がクズ』だからと言って、私の幸せまで決めつけないでください、よ!」グキッ

兄「があっ!」

妹友「それに幼馴染先輩の言う通りですよ。誰か一人に答えを返せたなら……」

妹友「三人の内一人は確実に幸せになれるじゃないですか。それを全員断るなん、て!」グキッ

兄「がっ!……あっ!」

妹友「それじゃぁ誰も幸せにならないじゃないですか!勝ち負けも白黒つかないんじゃ――」

妹友「私たちこの後、皆……宙ぶらりんで、生活していくしかないじゃないですか!」グキィッ

兄「ぐぎっ……!っぁ……はァ」

フワッ……

兄「っはぁ……っえ?」

ギュゥ

妹友「お願いですから……決めてくださいよ……でないと私、私たち、前に進めないじゃないですかぁ……」グシュッ

兄「妹友さん……」


妹「~♪」

404: 2013/04/05(金) 04:16:06 ID:FlSeNQ76
妹「さぁさぁお兄ちゃん」

兄「妹……」

妹「お二人の仰る通り、今は決断の時だよー」

兄「…………」

妹「ライフカードは3枚!幼馴染さんに妹友ちゃん、そしてわ・た・し♪」

兄「う……」

クルクル

妹「一体お兄ちゃんは何を望んでいるのかな?」

妹「幼い時に交わした甘い約束を成就させることを望むのかな?」

妹「運命的な出会いをしたかわゆーい後輩と結ばれることを望むのかな?」

妹「許されざる愛の道を突き進むことを望むのかな?」

妹「お兄ちゃんなら……どれも叶えることができる」

妹「どれも手の届く範囲にある!」

妹「そう!今まさにこの瞬間!未来を握っているのはお兄ちゃんに他ならない!」

妹「どうするお兄ちゃん?どうするのかなお兄ちゃん?何を選び、何を捨て、何を得るのかな~?」

405: 2013/04/05(金) 04:40:44 ID:FlSeNQ76
兄「俺は……」

妹「迷ってるねお兄ちゃん」

兄「……ッ」

妹「迷ったら……望みだよ」

兄「……え?」

妹「望みに進むのが、気持ちのいい人生なんだってさ」

兄「……望……み……」

妹「そう、お兄ちゃんの望むものは何?」

兄「…………」

妹「本当はもう分かっているんじゃないのかな?」

兄「…………」

妹「だから保留してきたんじゃないのかな?」

兄「…………」

妹「『すべて』っていう選択肢を」

妹友「!」
幼馴染「!」

406: 2013/04/05(金) 05:36:57 ID:FlSeNQ76
妹友「妹ちゃん、それは……!」

妹「だって考えてもみてよ妹友ちゃん!」

妹「お兄ちゃんが納得して、あたし達が納得すれば――」

妹「もれなく全員愛してもらえる上に愛し合えちゃうんだよ!」

妹「誰も不幸にならないし、お兄ちゃんも彼女が三人いて幸せ!」

妹「あたし達も俗に言うWin Winの関係になれるってわけだよ!」

妹友「で、でも……」

妹「何が駄目なのかな?法律?世間体?常識?あるいはそれ全て?」

妹友「……え」

妹「お互いの愛を確かめる方法なら、いくらでもあるし――」

妹「第一、当の本人さえ良ければ何でもいいと思わない?」

妹友「…………」

413: 2013/04/06(土) 04:08:37 ID:YSKZeiLU
…コォォォ…ォォ…

兄「俺は……」

妹・妹友・幼馴染「!!」

兄「俺は……!」

…コオォォォ…ォォ…ォォォ……


妹友「あぅ……」トクンッ

幼馴染「なにコレ……体が熱く……」トクンッ

妹「空気中のアニキ粒子濃度が増加してるんだよ」

妹「基準値を100とするなら、今はおおよそ2000」

妹友「に、20倍も!?」

幼馴染「そ、それ私たち大変な事になっちゃうんじゃ……」

妹「今の二人なら全然平気だよ。直接摂取はこの比じゃないし。それに――」

妹「まだまだ増えるよ。ほら、見て」

妹友「!」

幼馴染「緑色の……でも、あの時と比較にならない程の……!」

414: 2013/04/06(土) 04:21:17 ID:YSKZeiLU
兄「もう迷わない」

…コオォォオォ…ォォ…ォオォォ……

妹「4000」

兄「もう逃げない」

妹「6000」

兄「もう泣かせはしない」

妹「8000」

兄「決めた。俺は決めたんだ。いや、本当はとっくの昔に決まっていたんだ」

兄「俺はッ!」

兄「妹友さんッ!」

兄「幼馴染ッ!」

兄「妹ッ!」

兄「みぃ~~んな俺の嫁にするッッ!」バシュゥー…


妹「……10000」ニヤァ

416: 2013/04/06(土) 04:30:36 ID:YSKZeiLU
コオォォオオォォオオォォオオ…

兄「…………」

妹「…………」

妹友「」

幼馴染「」

兄「……だから、付き合ってくれないか幼馴染」スッ

幼馴染「あ……はい……っじゃないわぁこのアホー!」

兄「駄目か……それは残念だ」シュン

幼馴染「だ、駄目ではないけど問題点はそこじゃない!これってつまりアレでしょあの――」

妹「ハーレム」

幼馴染「要はハーレムでしょ!?私はただ恋人っぽくキャッキャウフフしたいだけなのよ!」

兄「しよう」

幼馴染「は?」

兄「キャッキャウフフしよう。それが恋人の、なおかつ幼馴染の願いとあらば」

幼馴染「言ったのは私だけど真顔でキャッキャウフフとかやめて!」

417: 2013/04/06(土) 04:42:46 ID:YSKZeiLU
兄「俺は目が覚めたんだ」

兄「人生は挑戦と失敗の連続だ」

兄「そして失敗から学び、改善を加えて挑戦する。そんな当たり前の事に今更気づいたんだ」

幼馴染「……それとどういう関係が――」

兄「ならばハーレムも挑戦しなければ、俺の考える俺による俺の為の理想郷、即ち俺の嫁生活にはたどり着けない」

兄「目標がそこにある以上、俺は何十、何万、何億でも挑戦し、克服する必要がある!」ゴォッ!

幼馴染「うっ……!」

兄「幼馴染、お前が好きなんだ。……幼稚園の約束だって俺は忘れたことはない。ほら、これを見ろ」

幼馴染「それは……お守り?」

兄「この中に宝箱の場所を示した地図が入っている。掘り返せば出てくるはずだ。俺たちの――」

幼馴染「クレヨンで書いた婚姻届け、か。……驚いた、忘れてなかったんだ」

兄「……ああ。だから今度二人で掘りに行こう。約束を叶える為に」スッ

幼馴染「う」///

兄「約束する。必ず幼馴染を幸せにする。信じてくれ、俺を」スッ

418: 2013/04/06(土) 04:56:35 ID:YSKZeiLU
幼馴染「…………」

幼馴染「……はぁ」

幼馴染「妹友さん、ごめんね」

妹友「……え」

幼馴染「私、わりかしチョロい奴だったみたい」ポリ

妹友「先輩……」


スッ

幼馴染「……私を失望させないでよね。未来の旦那様」

兄「もちろん。幼馴染がもうやめてと叫んでも愛することをやめないからな」

幼馴染「なっ……!」///

兄「……付け加えるなら物理的にも、精神的も、ね」

幼馴染「ぅぅ……」///

兄「でもまずは……これ位から?」スッ

ナデナデ

幼馴染「ぁ……ふ……」クテー…

424: 2013/04/06(土) 22:25:08 ID:YSKZeiLU
兄「妹友さん」スッ

妹友「あ……や……」

兄「?」

妹友「い、嫌です……」

兄「…………」

妹友「聞きたくないです。聞きたいけど……でも聞きたくないです」

兄「妹友さん……」

妹友「お兄さんが今告白してくれたら、きっと私、断れません」

兄「…………」

妹友「思ってたのと違うけど、でも……両思いだったからそれで私、満足しちゃうと思います」

妹友「……違うんです」

妹友「お兄さんが嫌な訳じゃないです。私が、私の中身が醜いから、嫌なんです」

兄「醜いってそんな……」

妹友「……私、お兄さんが思ってくれるほど、いい子なんかじゃないです」

妹友「嫉妬深くて卑しい人間なんですよ」

426: 2013/04/06(土) 22:45:11 ID:YSKZeiLU
妹友「お兄さんが妹ちゃんとくっついてる時も」

妹友「お兄さんが幼馴染先輩と……くっついてる時も」

妹友「二人が、悔しくて憎らしくて仕方がなかった……」

妹友「……私だけを見て欲しい。私だけを構って欲しい」

妹友「そういう独占欲が私、抑えられないんです」

妹友「だからもし、お兄さんが目指す理想に、私を加えたら……」

妹友「いつか、隣にいる二人が疎ましくなる時が来るかもしれない」

妹友「何かの弾みがついてしまったら私、自分が何をするか分からない」

妹友「親友と尊敬できる先輩だけど、お兄さんが関わったら本当に分からない」

妹友「今は良くても、お兄さんの事だから私……きっと――」

スッ

妹友「――え?」

兄「……涙」

妹友「あ……私いつの間に――」

「ん」
「んっ」

427: 2013/04/06(土) 23:02:58 ID:YSKZeiLU
兄「……ふぅ」

妹友「」

兄「ふふ」

ポフリ

ナデナデ

妹友「は……」

ナデナデ

妹友「あ……あぁ……」

ナデナデ

妹友「あぁぁぁーーーーーー!!あぁぁぁぁーーーーーー!」///

兄「どうしたの?」

妹友「おにっ、おに兄先ぱっ、さっ、いっ、今っ今ぁっ!」///

兄「んー?」

ナデナデ

妹友「キキキキキ、キスっ!キスを!わ、私と今っ!」///

428: 2013/04/06(土) 23:48:13 ID:YSKZeiLU
兄「……うん。しちゃった」

妹友「ぁぅ……そんな……私……あの……」///

兄「どう?」

妹友「ど、どうって……何かまだふわふわと……味とかも……味ッ!?味とか何を私は!?」ワタワタ

兄「違う違う、キスじゃなくて」

妹友「……へ?」

兄「まだモヤモヤする?」

妹友「……あ」

兄「……そうか。思いつきだったけど、うん。良かった」ナデナデ

妹友「ぁぅ……」クテー

兄「……俺の理想が理想だから、説教じみた事言えないけど」ナデナデ

妹友「え……?」クテー

兄「大なり小なり、皆モヤモヤは抱えてるよ」ナデナデ

兄「……でもそれって付き合い方次第じゃないかな」

妹友「付き合い方……次第?」

429: 2013/04/07(日) 00:02:20 ID:PbnRtI52
兄「例えば今みたいな……キスで吹き飛ばしたりとか?」ナデナデ

妹友「キっ、あっ、ぅぅ……」

兄「不安になったらくっついたり、話したり……色々すればいいと思う」

妹友「い、色々……!?」

兄「簡単に言うと……道を違えそうになったらうやむやにしようって提案してる」

妹友「……お兄さん、最初から道を違えてますよね?」

兄「……そこには目をつぶって欲しい」

妹友「……テキトーですね、お兄さん」

兄「テキトーだね、自覚してるよ」

妹友「……でもそれが適当かもしれません」

兄「うん?」

妹友「いえ、何でもないです」

兄「そう。それじゃぁ改めまして、と」スッ

妹友「あ……なでなでが……」

430: 2013/04/07(日) 00:13:33 ID:PbnRtI52
兄「妹友さん。俺と、どうか付き合って欲しい」

妹友「……ずるいですよお兄さん」

兄「……ずるくても構わない」

妹友「……知りませんからね。私、嫉妬深いんですから」

兄「大丈夫だよ。……ホラ、あっち」

妹友「……あっち?」

クルッ


幼馴染「ッ……ッ……!」ワラァァァ…


妹友「……人の髪って……逆立つんですね……」

兄「……ああ。俺も初めて見たけど」

兄「――だから後で色々して、なだめる予定」

妹友「……色々」

兄「そ、色々」ポフリ

妹友「…………」///

431: 2013/04/07(日) 00:22:22 ID:PbnRtI52
妹友「…………」

妹友「……そうでした」

妹友「『成功するから告白する、成功しないから告白しない――そういった事はしないと心に決めている』」

妹友「そう言ったのは、私でしたね……」

妹友「その決意から考えれば……私は何と恵まれた……」

妹友「……お兄さん」

兄「……はい」

妹友「お受けします。心から、喜んで」

兄「……ありがとう。こんな俺の――」

ピトッ
兄「ん?」

妹友「駄目です。それ以上言わないで下さい」

妹友「ここまで来たなら、もう開き直ってください」

妹友「……自分を卑下する段階なんか、とっくのとうの昔に通り過ぎてるんですからね?」

兄「……分かった」ナデリ

妹友「んはぅ……」クテー

438: 2013/04/07(日) 03:23:34 ID:PbnRtI52
兄「……さて」スッ

妹友「あ……」

幼馴染「む……」

――クルクル

妹「~♪」

兄「妹」

妹「……お?」

ピタッ

兄「…………」

妹「…………」

妹友・幼馴染「…………」ゴクリ




妹「」フラッ

――ドタァァァァン!!

兄・妹友・幼馴染「妹ォォォォォォッ!?」

439: 2013/04/07(日) 03:48:34 ID:PbnRtI52
妹「うぷ……ッえっ……気持ち悪……」

兄「突然倒れるな!せめて予備動作を見せろ!受け止める隙さえなかったぞこの野郎!」

妹「ッお……いくら回っても酔わないから……限界を、目指してたんだよ……」

兄「視界の外でずっと回ってのかよお前は……」

妹「あたし気づいたよ……酔うのは停止した瞬間だって……ぉウッ」

兄「んとにお前は……」

妹「好き」

兄「っは!?」

妹「その困った顔が、好きだよ」

兄「……呆れてるんだよ。いちいち心配かけさすなって」

妹「心配してくれるから、あたしは無茶するんだよ」

兄「…………」

妹「もちろん今の冷たい視線も好き」

兄「……結局なんだかんだで全部好きだとかそういうのだろ」

妹「うん!」

440: 2013/04/07(日) 04:50:01 ID:PbnRtI52
兄「……聞いてくれ妹」

妹「聞くよ」

兄「…………」

妹「…………」シャキッ

兄「……のっけから最悪だが、俺はシスコンだ」

妹「Dope!」

兄「かなり前からそうだった」

妹「Crazy!」

兄「そして今日。複数の女性と交際するぞという、最高に不道徳な誓いを立てた」

妹「Blast!」

兄「今まさに三人目の女性に交際を申し込もうとしている」

妹「Alright!」

兄「それは妹、お前なんだ」

妹「Sweet!」

兄「どうか俺と、付き合って欲しい」

442: 2013/04/08(月) 00:59:49 ID:g7tDapsw
妹「Show time!」

兄「…………」

兄「Stylish!」

妹「!」

妹「Smokin'!」

兄「Smokin'Style!!」

妹「Smokin'Sick――」

ビスッ

妹「あだっ」

兄「……こら」

妹「痛ちち…」

兄「茶化すな」

妹「乗った癖にひどいよ……」

兄「……で、返事は?」

444: 2013/04/08(月) 01:14:57 ID:g7tDapsw
妹「……ん、と……」モジッ

妹「あの、さ」

兄「ん?」

妹「お兄ちゃんの事大好きだしラブラブ愛してるし超愛しいけど」

兄「お、おう」

妹「……その、何ていうか、困る」

兄「……困るって何が?」

妹「……あたしの一方通行な愛は、あたしの日常」

兄「…………」

妹「お兄ちゃんからの告白、プレイ、調教エトセトラの妄想も、あたしの日常」

兄「…………」

妹「あたしがあたし自身を裏切って、お兄ちゃんの自由を犯して襲ってしまうのも、あたしのどこかの日常の延長線」


兄「…………」

妹「……でも、その、真正面から、リアルに、告白されるのは――」

妹「あたしの想定してない非日常、なの」

445: 2013/04/08(月) 01:31:06 ID:g7tDapsw
兄「…………」

妹「だから、今の告白に対応しきれてなくて……耐え切れなくて……」

妹「……茶化しちゃった」

兄「妹……」

妹「……ごめんなさい」

兄「……回ってたのもそうだろ?」

妹「……うん」

兄「……斜めに構えてないと駄目なんだろ?」

妹「………うん」

兄「……真正面から受けたら、自分がバラバラになりそうで、怖いんだろ?」

妹「………う、ん」

兄「……いつもふざけてれば、本当の痛みに会っても、受け流せるからだろ?」

妹「………う”ん”っ」ポロ…

兄「……相手の中を先に覗けば、自分の中を覗かれなくて済むからだろ?」

妹「………う”ん”っ……う”ん”っ!」ポロポロ

446: 2013/04/08(月) 01:41:02 ID:g7tDapsw
兄「……知ってるよ」

妹「……えっ」ポロ…

兄「全部ぜ~んぶ知ってる」

妹「……ぜ、ぜんぶ?」クスン

兄「知ってるさ」

妹「……な、何で?」クスン

兄「そりゃぁ――」


兄「お兄ちゃんだからだ」

妹「――――」

ポフリ

ナデナデ

兄「そういう繊細なとこも含めて、妹が好きなんだ」

妹「…………」

447: 2013/04/08(月) 02:05:58 ID:g7tDapsw
兄「もう一人で悩まなくても良い」ナデ

兄「これからはパートナーがいる」ナデリ

妹「……お兄ちゃん」クスン

兄「そう。それにな――」

兄「幸せになったって大丈夫。幸せになるのは怖くないから」

妹「……本当に?」グスッ

兄「ああ。心配ならお兄ちゃんが手を繋ごう」

兄「怖かったら一緒に寝よう」

兄「お兄ちゃんがいるから、大丈夫」ナデリ

妹「……お兄ちゃん」ダキッ

兄「はーい、お兄ちゃんはここにいますよ」

妹「……お”兄っ、ぢゃん……!」ヴ


兄「……泣いてもいいんだよ、妹」ナデリ


妹「――――ッ!―――――――ッ!」

448: 2013/04/08(月) 02:16:32 ID:g7tDapsw
――――

兄「……落ち着いたか?」

妹「……うん、まだ鼻がツンツンするけど……」スン

兄「ティッシュまだいるか?」

妹「…………」

妹「結局、あたし心の内、隠せてなかったんだね」

兄「……俺の事を言い当てた妹が何を言うかね」

妹「……へへ。そうだね。うん、そうだった」

兄「お兄ちゃんだからな」
妹「妹だから」

兄「そう、つまりそういうこった」

妹「うん、そういうことだね」

妹「…………」

妹「……ねぇお兄ちゃん」

兄「ん?」

妹「さっきの、返事の続き……」

449: 2013/04/08(月) 02:35:54 ID:g7tDapsw
兄「……ああ」

スッ

妹「ふーー……」

妹「……よしっ」



妹「……嬉しいです。あたしもお兄ちゃんが、兄が大好きだから。だから――」


妹「お嫁さんにしてくださいっ」///



―ギュッ

兄「……ありがとう」

妹「……やっぱり……やっぱり暖かいや……ふふ」ギュー

463: 2013/04/09(火) 22:40:41 ID:GghQUT5E
――――

妹友「幼馴染先輩っ!交代です交代!もう3分経ちましたよ!」

幼馴染「撫でられ始めてから3分だからまだ後30秒あ……はふぅ」トロ~ン

妹友「私の時は引き剥がしたのに……それはなしですよ」

幼馴染「更に更に、私の意識がない時は撫でられてるという体験が観測できないからプラス30秒……ぅなぁ」クテー

妹友「何ですかそれ!?今日び小学生だってそんな言い訳は――」

兄「まぁまぁ妹友さん」ナデナデ

妹友「しな……い……で、す……ぅなぁぁ」クテー

兄「どっちにしろもう結構な時間だから、今日は終わり、な?」

妹「えー……いいじゃん別に。このまま夜が明けるまで延々となでなでタイムで」

兄「ワガママ言うなよ。明日も学校あるんだし」

妹「じゃぁ民主主義にのっとって決めよう。なでなでタイムに賛成の人っ!はいっ!」バッ

妹友「はいっ!」バッ

幼馴染「賛成よ」バッ

妹「はい決定」
兄「汚い!こんな横暴な民主主義あってたまるか!」

465: 2013/04/09(火) 22:58:25 ID:GghQUT5E
兄「……あんまり言う事聞かないようならなでなでやめちゃおうかなぁ」チラッ

妹「なでなでタイムを朝まで延長が許されるのは小学生までだよね」
妹友「私最初からなでなでタイムを延長するのはどうかと思ってたんです……」
幼馴染「まったくけしからん話よね。なでる人の腕の心配を少しでもした事あるのかしら」

兄「…………」

妹「さぁ良い子の皆は寝る時間だー!来客用の布団を引っ張りだす者は我に続けー!」

妹友・幼馴染「おー!」

兄「はぁ……まぁいいか。あ、敷布団とか重いのは俺が運ぶから」

妹「駄目」
妹友「駄目です」
幼馴染「何考えてるの」

兄「な、何でだよ」

妹「だってそれじゃぁ――」

妹「重い布団を持って足がもつれてお兄ちゃんと密着するイベントが……」
妹友「重い布団を持った私を『重いだろ?俺がやるよ』と声をかけてくれる可能性が……」
幼馴染「重い布団を二人で持って後から初めての共同作業として私の中で神格化する作業が……」

兄「……布団は全部俺がやろう」

468: 2013/04/09(火) 23:34:05 ID:GghQUT5E
――――

兄「よし、と。で、どこに敷く?リビングか?」

妹「お兄ちゃんの部屋」

兄「あ?」

妹友「お兄さんの部屋がいいです」

兄「……俺の部屋じゃ四人も入りきらないぞ」

幼馴染「そう、なら布団は不要ね」

兄「どういう……」

妹「そりゃお兄ちゃんの布団のみでOKっていう――」

兄「何としてでも敷こう」

469: 2013/04/09(火) 23:39:10 ID:GghQUT5E
――――

兄「……予想はしていたが」

ミッチリ

兄「……やっぱり狭くないか?」

妹「お兄ちゃん、これはあたし達なりの譲歩なんだよ」

妹友「もし狭いと言うならやはりお兄さんの布団一つに全員で――」

兄「それは駄目!」

幼馴染「私はそれでも一向に構わないわよ」

兄「だから駄目……って妹友さん何してるんだ!」

妹友「コ、コンタクト落としちゃって……」ゴソゴソ

兄「つけてもないもの落とすはずないよな!ましてや本棚とか!」

妹「えOちぃ本なら机の一番下の引き出しをはずした部分の下だよ」

兄「探してたのそれかよ……っていうかお前が何で知ってるんだよ……」

妹「ひねりが足りないよお兄ちゃん」

幼馴染「妹モノ、後輩モノ……幼馴染モノはどこ……あった!ど、奴隷志願とか私得」///
兄「だぁぁぁれぃぃぃ!」

470: 2013/04/09(火) 23:42:52 ID:GghQUT5E
――――

兄「電気消すぞ」

妹「はーい」

妹友「おやすみなさいです」

幼馴染「おやすみ」

カチ カチン

兄「ほいおやすみ」

妹「…………」

妹友「…………」

幼馴染「…………」


モゾ…

兄「はいストップ」カチン

妹「げ」ピタッ

兄「絶対誰かやると思って……ってお前ら……」

妹友・幼馴染「…………」///

471: 2013/04/09(火) 23:58:04 ID:GghQUT5E
兄「普通に寝よう、な?」

妹「若い男女が一つ屋根の下、かつ同じ部屋で寝ているとなれば……ね?」

兄「ね?じゃない」

妹友「むしろお兄さんから来てしかるべきですよ」

兄「……なんていうかだな」

兄「もうちょっと、段階を踏んで……距離をつめようっていうか……」ポリポリ

妹「うひひ、照れてるお兄ちゃんマジ天――」

ビスッ
妹「氏ッ」

兄「ゆっくり、じっくりと関係を育てていきたいんだ」

妹友「お兄さん……」

幼馴染「……分かったわ。……ところで、その」

兄「ん?」

幼馴染「今度妹さんにやってる痛そうなデコピンを私にも……」

兄「…………」

472: 2013/04/10(水) 00:15:29 ID:htO3mdwI
――――

兄「…………」ムニャ

幼馴染(異性が三人もいるっていうのによく眠れるわねコイツは……)

妹友(お兄さんが側にいるだけで……私は眠るどころか興奮する一方なのに……)

妹(逆にお兄ちゃんの器の大きさを示してるってことでもあるけど……)

モゾ…

妹(さて、我々はあそこまで強固に普通に寝ることを強固に約束させられてしまった以上、お兄ちゃんに手は出せない)

妹友(いくら結ばれたと言っても一緒にお泊りなんてチャンス、そうそう巡ってくるものではありません)

幼馴染(でも、あくまで兄自身に手を出せないだけであって……この状況を満喫する方法は存在するわ!)

モゾリ…

(朝まで……ヤるッ!ヤり尽くすッ!悔いのないように……徹底的にッッ!)


(お兄ちゃんと寝る部屋が一緒なんていつ以来だろう……って考えただけでもうこんなに……)

(先輩の匂い、姿、床、部屋、天井、床、匂い、姿、アニキ粒子、緑、緑、緑、緑……)

(やば……同じ部屋で寝てるのに私こんな……はしたないけど……コレすごいクる……!)

モゾモゾ…

474: 2013/04/10(水) 00:41:47 ID:htO3mdwI
――――

チュンチュン…

兄「……で、だ」


妹「ゲッホゲッホ……!ゴホッ……ゥエ”ーーーーッホッ」///

妹友「ケホッ……」///

幼馴染「ックシュン……ズズーッ」///

兄「……何で風邪ひいてるんだよ三人共……」


妹「ゴッホッ……!バカではない証が欲しくて……」

妹友「ケホンッ……ちょっと冷えちゃったみたいで……」

幼馴染「ェックショィッ!風邪を引くのに理由も何もックシュンッ!」

兄「……布団蹴っ飛ばして腹出して寝てりゃぁ誰でも風邪引くだろ」

兄「まったく何のために昨日ゴリ押して風呂に入ったんだか……」

妹・妹友・幼馴染「…………」///

476: 2013/04/10(水) 00:51:35 ID:htO3mdwI
兄「とりあえず残りご飯でお粥作っておいたから」

妹「ゲッホ!かたじけない……」

妹友「……これはある意味正解だったかもですケホンッ」

幼馴染「あーんで食べさせてくれれば……いえここは口移しがハプシュッ!」

兄「……とりあえず寝てなさい。で、マシになったら医者に行きなさい」

妹「あ”い”……」

兄「休みの連絡は自分で頼むよ」

妹友「はい……」

兄「ポカリスエットここに置いとくからな」

幼馴染「それも口移しで……」

兄「じゃぁ俺は学校行くから」

妹「いってきます……」

兄「お前はいってらっしゃいだ!戻れ!」

妹友「おかえりなさい……」

兄「い っ て き ま す !」

479: 2013/04/10(水) 02:14:56 ID:htO3mdwI
――――

テクテク

兄(……ったく)

兄(……………)

兄(……そうか)

兄(……バタバタしててアレだったが……)

兄(……昨日、俺は……)

兄(…………)

兄(…………)ポリポリ

兄(……いいのかね、こんなの……)

480: 2013/04/10(水) 02:16:31 ID:htO3mdwI
兄「…………」テクテク

兄「…………」テクテク

兄「…………」テクテク

兄「…………」テクテク

兄「…………」テクテク


兄「……はぁ」

兄「…………」

兄「……何で風邪引くかなぁ……」

481: 2013/04/10(水) 02:27:37 ID:htO3mdwI
――――

兄「……うす」

友「おはようございます、氏ねっ!」ブォ

兄「わっ!?」

ピタッ

友「……と言いたいところだが、まぁ勘弁してやろう」

兄「……何を勘弁されなきゃならんのだ」

友「聞けばぁ?どうやらぁ?お前はぁ?今朝はぁ?」

友「ソ・ロ・登・校」

友「だったらしいじゃぁん♪」

兄「…………」

友「あんな可愛い妹ちゃんと一緒に登校するだけで断罪レベルなのにお前と来たら……」

友「しおらしい妹友ちゃんが一緒だったり、あの中身はアレだが幼馴染が一緒だったりとまぁ至れり尽くせり」

友「そんな普段のお前だったらだ。世間一般の非モテ層を俺が代表してぶん殴ってやるところだが――」

友「今日のお前はソロ。ソロ登校。ソロ登校ざまぁなので殴らない。寛大な俺に感謝するんだな」

483: 2013/04/10(水) 02:41:57 ID:htO3mdwI
兄「……大体朝っぱらから殴られるような真似を俺はしてないと思うんだが……」

友「アホ抜かせ。昨日一日の大半を保健室で過ごすハメになったのはお前のせいだろうが」

兄「……自業自得だろ」

友「アレだぞ。目が覚めたら知らない天井とか洒落にならんからな」

兄「……お前そういうの好きだろ」

友「当事者は勘弁に決まってるだろ!念のために『今日は何年の何月何日ですか?』って聞いたら救急車呼ばれそうになったし……」

兄「へぇ」

友「へぇ。で済ませるな!あのゴリ……おっと」キョロキョロ

兄「どうした?」

友「……幼馴染はどこにいる?」

兄「……心配しなくても今日は休みだ。……風邪でな」

友「ホッ……ならいいが。……ん?」

兄「……なんだよ」

友「何で休みの理由お前が知ってるんだ?」

484: 2013/04/10(水) 02:56:24 ID:htO3mdwI
兄「……あれだ。メール」

友「ほーん……まぁいないならいいや。今日一日、俺は平和に過ごせるってもんよ」

兄「……あとだな」

友「んー?」

兄「あいつのこと……幼馴染のこと、あんまり悪く言わんでやってくれ」

友「ふむ」

兄「……根は、いい奴だから」

友「ほう……」

兄「…………」

友「ほーかほーか。なるほどねぃ」ニヤニヤ

兄「……なんだよ」

友「別に?何も?」ニヤニヤ


(これは……ほう……そうなるか……)

(兄は幼馴染と、か。王道で決着というところだな。個人的には後輩推しだったんだが……)

(……昼休みにコピー機全開で号外刷らなきゃ。支持者が多いインセスト派はご愁傷様だねこりゃ)

485: 2013/04/10(水) 03:10:22 ID:htO3mdwI
――――

妹「ゴッホ……美味しいねぇ……」

妹友「鮭と梅と昆布まで用意されてるとは……ケホッ」

幼馴染「朝のあんな短時間でよくこれだけ作れックシュンッ!」

パクッ

妹・妹友・幼馴染「うまー……」

妹「しかし大誤算だったねぇ……」

妹友「折り悪く全員風邪引いちゃうなんて……まぁ誰か一人引いてなかったらそれはそれで困りますけど」

幼馴染「折角全員結ばれたんだから……四人一緒に登校したかったわ……」

妹「……そう言えばもう一つ誤算があったよ」

妹友「……他に何かあったかな?」

妹「いや、あたし個人の話なんだけどさ」

486: 2013/04/10(水) 03:14:19 ID:htO3mdwI
妹「……昨日、お兄ちゃんがあたしに告白した時のことだよ」

妹友「ああ!」

幼馴染「……悔しいけど、あの時の兄はカッコ良かったわね」

妹「…………」

妹友「……それが妹ちゃん、どうしたの?」

妹「本当はね……本心、最後まで見せるつもりなかったんだ」

妹「最後まで自分の心には蓋をして……それでやりきる」

妹「そう、決めてたんだけどね……」

妹「お兄ちゃんがあたしのこと、全部分かってたみたいでさ」

妹「最後は……大声あげて泣いちゃった」

妹友「……でも本当に心と心が通じ合ったから良かったじゃない」

幼馴染「……それにそれのどこが誤算だっていうの?」

妹「んー……?」

妹「そりゃぁ最後まで本音を割らずに、計画を遂行できなかったってこと」

妹「――それが誤算だって言ったの」

487: 2013/04/10(水) 03:30:36 ID:htO3mdwI
妹友「……計、画?」

妹「そう、計画。でも偶然とはいえ、見事に三人同時に学校へ病欠で行けなくなったから」

妹「――何も問題はないんだけどね」

幼馴染「どういうことなの?……計画って……妹さんは何をしようとしているの?」

妹「あれー?あたし前言わなかったっけ?」

妹「ねぇ妹友ちゃん?」

妹友「!そういえば……」

妹「『独り占めでベタベタするより、もっともーーっとベタベタ出来る方法があったら』って言ったんですよ、あたしは」

妹「でも偶然とはいえ条件は満たされたから……後は待つだけ。待つだけでいいんですよ」

妹「待てば……そう!この地上のどんな場所でもお兄ちゃんとイチャイチャできる世界がやってくる!」

妹友「……どんな……場所でも……」

幼馴染「……愛し……合える……」


妹「さぁカウントダウンを始めましょう」バッ

妹「お兄ちゃんとひたすらイチャイチャするために!」ババッ

妹「アニキ粒子のその果てに!お兄ちゃんの楽園は堕りてくるのだ!」バァン

488: 2013/04/10(水) 03:38:22 ID:htO3mdwI
――――

兄「……む……」フラッ

兄「くぅ……」クラッ

友「どうしたアミーゴ。やけに顔色悪いじゃねぇか」

兄「ぬ……顔色悪く……見える、か?」ヨロッ

友「ああ、どっからどう見ても絶不調だぜ」

兄「……やっぱり、か」

友「妹さんも風邪だったんだろ?だったらお前も風邪引いてるんじゃない?」

兄「……かも、な」フラッ

友「……ヤバそうだな。体育パスっとくか?」

兄「そ……う…す、る……うっ!」グラァ…

友「おいバカ危っ――」

ドタァァァン…
友「――っと、な、何とか頭はセーフ!!」

兄「…………」フゥフゥ

友「……ヤバいな。とりあえず保健室へ運んだ後担任ちゃんに連絡かな……」

494: 2013/04/11(木) 00:53:19 ID:MIJ/hN0.
――――

ガララッ!

友「あっ!先生ちょっと友達が……って担任ちゃんか」

担任「友くんは担任をちゃん付け呼ばわりしない!……それはともかく、兄くん大丈夫なの?」

友「いや、それが結構ヤバそうな感じで……。その上保健の先生席外してるみたいで……」

担任「……そう、それは困ったわね。……それで友くんが看てたの?」

友「ええ。ついでに体育もサボれるので」

担任「…………」

友「友情故に付き添ってます!」

兄「うぅ……」ハァ…ハァ…

担任「兄くん苦しそうね……」

担任「とりあえずここは私が引き受けるから、友くんは授業に出なさい」

友「ええー……」

担任「…………」

友「ッシター!」ガララッ

495: 2013/04/11(木) 01:00:18 ID:MIJ/hN0.
――――

妹友「妹ちゃん、カウントダウンって……」

幼馴染「アイツに何か起こるってこと……?」

妹「……二人にはまだ全てを明かしてなかったね。勿論、お兄ちゃんにもだけど」

妹「実はね……アニキ粒子が影響するのは私たちだけじゃないんだよ」

妹友「え……?」

妹「アニキ粒子を発生させている……お兄ちゃん自身にも強く影響するんだ」

幼馴染「ど、どういうこと?」

妹「あたしとお兄ちゃんは共存関係にあったってことですよ先輩」

クルクル

妹「お兄ちゃんはアニキ粒子を持て余すと自家中毒を起こしてしまう」

妹「そのアニキ粒子を強く吸収する人体に受け渡す事で自家中毒を回避し――」

妹「あたしは禁断症状を回避する」

妹「あたしが四六時中くっついている理由は――」

妹「自分の為でもあり、お兄ちゃんの為でもあったんです」

496: 2013/04/11(木) 01:06:56 ID:MIJ/hN0.
――――

兄「く……」ツー

担任「すごい汗……吹いてあげないと」スッ

兄「…………」フゥ…フゥ…

コオォォオオォォオオォォオオ…

担任「…………」

担任「……いつもの凛々しい表情もいいけれど……」

担任「儚げな兄くんも結構……」

担任「…………」

担任「!」ハッ

担任「わ、私ったら何て事を……」

担任「教え子が苦しんでるっていうのに……教師失格だわ……」

兄「あ……」フルフル

担任「あ、兄くん?気がついた?」

498: 2013/04/11(木) 01:15:00 ID:MIJ/hN0.
――――

妹友「妹ちゃん、自家中毒って……」

妹「あたし達にはメリットしかもたらさなくても、お兄ちゃんにとっては完全に害だよ」

幼馴染「な、何で!?身体能力や精神能力がプラスになるなら――」

妹「――何故なら『強力に』作用しすぎるから」

妹友「!」ハッ

妹「過ぎたるは何とやら……」

妹「無尽蔵に体内で生産されるアニキ粒子は、お兄ちゃんの肉体と精神のフレームを……ついには大きくはみ出す事になってしまうから」

妹「その結果は――」

ダンッ!

幼馴染「だったらッ!」

幼馴染「こんなところで悠長にお粥すすってる場合じゃないでしょうッ!」

ヨロッ…

妹「……どこへ行く気ですか先輩?」

幼馴染「決まってるでしょ!アイツのところに行くのよ!今ならまだ間に合うかもしれない!」

499: 2013/04/11(木) 01:20:23 ID:MIJ/hN0.
――――

兄「だ……誰……?」

担任「兄くん、私よ。分かる?」

兄「……せ、先生……俺……」

担任「教室で倒れてここに運ばれてきたの。もうすぐで保健の先生が――」

兄「先生……」フルフル

担任「どうしたの?お水が欲しい?」

兄「手を……手を握って貰えませんか……」

担任「……手を?」

兄「さ、寒いんです……手が……」

担任「わ、分かったわ……」

キュッ

担任「……どうかしら?」

兄「温かい……温もりを……感じます……」ギュッ

担任「そ、そう……?それなら、良かったけれど……」///

501: 2013/04/11(木) 01:46:00 ID:MIJ/hN0.
――――

妹「その必要はありませんよ、先輩」

妹友「妹ちゃん……?」

妹「少なくともそれは……『一昨日まで』の話だからです」

妹「この数日間で状況は大きく変わりました」

妹「あたし達三人を含めた人間関係のみならず、お兄ちゃん自身にも変化を与えたからです」

幼馴染「…………」ゴクリ

妹「先輩、妹友ちゃん……長かった。本当に長かったよ……」

妹友「…………」

幼馴染「…………」

妹「アニキ粒子がお兄ちゃんを蝕む未知の物質だと知ってから幾星霜」

妹「お兄ちゃんを生かせる方法を探して三千里」

妹「そしてようやく発見した、兄を救済する方法」


妹「それが……『アニキ抵抗』」

妹友・幼馴染「アニキ……抵抗……?」

502: 2013/04/11(木) 01:50:08 ID:MIJ/hN0.
――――

コオォォオオォォオオォォオオ…

兄「寒い……」ギュ

担任「まだ、寒い?」

兄「寒いです……腕が……胸が……寒いんです……」

コオォォオオォォオオォォオオ…

担任「…………」

担任「……そうね」

担任「そしたら私の体で温めた方が効率的よね」

兄「寒い……寒いよ……」

担任「待っててね、兄くん。今服を脱いで一緒に布団に入ってあげるから」

シュルッ…

パサッ…

兄「温もりが……欲しい……」

503: 2013/04/11(木) 02:03:42 ID:MIJ/hN0.
――――

妹「年齢を重ねるごとにアニキ粒子の出力も強化される」

妹「同様に上昇していくのがアニキ抵抗。……でも出力が上回ってしまうせいで抵抗が力を発揮しきれない」

妹「……でも抵抗を飛躍的に上昇させる方法があった」

妹「それがあたしと――」

スッ
妹友「わ、私?」
スッ
幼馴染「…と私」

妹「あたし自身は言うまでもなく、二人は極めて短期間でアニキ粒子による汚染、中毒症状になった」

妹「短期間とは言え、その汚染レベルは最高クラスと言って差し支えないレベル」

妹「そしてあたし達の体内には、高濃度のアニキ粒子に対する強い抗体がどっさりある」

幼馴染「そうか!アニキ抵抗に、あたし達の体内の抗体を加える事によって活性化させれば!」

妹「まさにその通りです先輩。そして覚えているでしょうか?」

幼馴染「……何を?」

妹「お兄ちゃんは実に三人分の抗体を口移しで受け取っているんですよ?」

妹友・幼馴染「!」///

504: 2013/04/11(木) 02:11:57 ID:MIJ/hN0.
――――

兄「…………」

兄「……んー……?」ショボショボ

兄「保健、室……か?」

兄「…………」

兄「……さっきまで誰か隣にいたような気がしてたんだけど……」

兄「……気のせいか。とりあえず教室に――」

フニョン

兄「…………」

バッ

担任「むにゃ……」ムチッ フルン

ババッ

兄「……担任ちゃんが素っ裸で隣で寝ている」

兄「…………」

兄「うん、これは夢だ。寝よう」

505: 2013/04/11(木) 02:31:32 ID:MIJ/hN0.
――――

妹「抵抗によってアニキ粒子がコントロールできるようになれば……」

妹「お兄ちゃんが自家中毒で苦しむことも、もうないんです」

妹友「そうだったんだ……」

幼馴染「良かったわ……」

妹「……まぁ最初からうまくコントロールできかどうかは別の話なんですけど」ニヤァ

506: 2013/04/11(木) 02:34:47 ID:MIJ/hN0.
――――

モゾッ

担任「兄くぅーん……えへへぇ……んちゅーーーっ」

兄「ぉぅおわぅっ!?」

担任「えへぇ……鎖骨にキスマークつけちゃえ~……んちゅーーっ!」チパッ

兄「待って先生!夢じゃないのコレ!?」

担任「確かに先生はぁ~~夢見心地だったけどねぇ~~兄くんの指だけで……ぃやん」モジモジ

兄「やべぇ、こいつはやべぇ。何をしたんだ意識のない俺……」

コオォォオオォォオオォォオオ…

担任「あぁ……くぅんっ♪……また欲しくなって来ちゃった……今度は指じゃなくて……ね?」ズイッ

兄「またアニキ粒子か!クッソこんな時に……静まれー!静まれー荒ぶるアニキ粒子よー!」

シィィィ……ン

兄「……あ、あれ……?マジで止まった?」

兄「良かった!先生っ――」

担任「…………」ズーーーン

507: 2013/04/11(木) 02:49:18 ID:MIJ/hN0.
兄「……あ、あの……」

担任「私……自分の生徒と……不純異性交遊……」

担任「最悪……よりによってこんな形で好意を伝えちゃうなんて……」

兄「先生……それって……」

担任「うぅ……兄くんの事密かにいいかなとか思ってました……おばさんだけど」

担任「でも教師だから一線は越えられないけど、一緒に学園生活できるからいいなとか思ってましたぁ……おばさんなのに」

担任「そんなプラトニックな関係で良かったのに……私は何てことを……うぅ……」グス

コオォォオオォォオオォォオオ…

兄「先生は綺麗ですよ。おばさんなんかじゃないです。もっと自信を持ってください」

担任「そうね。恋をするのに年齢は関係ないもんね。だからチューしようチュー!」ズイッ

兄「うわぁ!またか!静まれー。静まるのだアニキ粒子よ……」シィィィ……ン


担任「……今時チューとか……ないわ……」ズーーーン

兄「……参ったな。こう一々アニキ粒子が活性化すると――」

兄「!」

兄「……そうか。試してみる価値はあるかもしれないな」

515: 2013/04/12(金) 01:37:37 ID:VdW/nhlI
――――

妹「お兄ちゃんの事だからね。もう既ににっちもさっちもいかない状態になっているはず」

妹友「先輩って全身フラグですもんね……」

幼馴染「加えて鈍さもなまくらってレベルじゃないし……」

妹「自家中毒を引鉄に、女の子とやんごとなきイベントかなんかに巻き込まれている頃合いだよ」

妹友「……内容いかんによっては……」ゴァッ

幼馴染「……そうね。私達より先んじるような事があれば……」ゴァッ

妹「危機的状況はお兄ちゃんの抵抗の発動を促す。そしてお兄ちゃんは知覚する、自分に備わった新たな力を」

妹「女性関係には妙に誠実なお兄ちゃんはこう思うんじゃないかな?」

516: 2013/04/12(金) 01:44:25 ID:VdW/nhlI
――――


兄「出来るなら……アニキ粒子を抑えてみよう」

517: 2013/04/12(金) 01:44:59 ID:VdW/nhlI
――――

妹「――とか?」

妹友「……で、でも妹ちゃん。それって全部推定というか……」

幼馴染「こうなって欲しい願望を並べただけのような気もするけど……」

妹「そうかなー?あたし頭あんまり良くないし、それ以外でも人に誇れる事なんかないけど――」


妹「――お兄ちゃんにかけては、誰にも負けないよ?」ゴゴゴゴ

妹友「」

幼馴染「」

妹「お兄ちゃんの研究は誰よりも長く、濃く、深くやってきたんだから」

妹「きっとお兄ちゃんは学校でそう動くはずだよ」

妹友「……あれが凄みって奴でしょうか……」ツー

幼馴染「……すぐに言葉が出なかったわね……」ツー

518: 2013/04/12(金) 02:07:02 ID:VdW/nhlI

妹「あたし達による充分な減衰がされないままお兄ちゃんの内に溜め込まれた多量のアニキ粒子」

――――

兄「……一時的に抑えられるなら、長時間抑える事も可能なはずなんだ」

――――

妹「体内に留めるようにコントロールするお兄ちゃん」

――――

兄「静まれ……静まるんだ……粒子を内へ……内へ……」

――――

妹「行き場を失ったアニキ粒子はより密に、より濃く溜めこまれる」

――――

兄「お……いい感じだ。もわもわが出てない感じする。これなら……」

――――

妹「蒸気のように閉じ込められたアニキ粒子は膨張しながら解放の時を待ち、ついには――」

――――

兄「先生、ちょっと試させてもらってもいいですか?」

519: 2013/04/12(金) 02:09:41 ID:VdW/nhlI
担任「た、試すって何を?」

兄「今、俺の近くにいて何ともないですか?」

担任「え……?」

兄「何か体のどこかに異変だとか、そういうの感じられますか?」

担任「兄くん、結構すごい事聞いてくるのね……」///

兄「?」

担任「と、特に無いわ。無い事にしとかないとマズいし……あはは」

兄「……とりあえず、この距離は大丈夫と……」

兄「あとそれから」

担任「ま、まだ何かあるの兄くん!?」

兄「いえ、先生が嫌だったら別にやらないんですけども……その……」

担任「…………」ゴクリ

兄「おでこ、触らせて貰えますか?」

担任「おでこ?」

兄「はい、おでこなんですけど……」

520: 2013/04/12(金) 02:16:13 ID:VdW/nhlI
担任「おでこなら平気よ」ホッ

兄「本当、何から何まですいません……。すぐ終わるんで」

スッ

担任「…………」

兄「…………」

担任「兄くん、その、顔、近くない、かな?」///

兄「いえ、これからもっと近づくんでまだまだですけど」

担任「もっ!?近づくって!?あぼ、あぼ!?」///

兄「すぐ終わるんで、あっ、じっとしててくださいね」

担任「こ、これって、まさか、もしや、セっ、接ぷ」///

ピトッ

兄「…………」

担任「ひゃぅ……」キュゥッ

兄「…………」

担任「……ん……んん」キュー

521: 2013/04/12(金) 02:26:06 ID:VdW/nhlI
兄「……よし」

担任「……おでこ……ぴとーって……」エヘェ

兄「先生、どうでした?」

担任「はふぁ!え、な、何がかな?今昔物語かな?」

兄「いえ、今おでこを先生のおでこに当ててみたんです」

担任「……はぁ……!……はぁぅ……」///

兄「その時、どんな感じがしました?」

担任「最初はキスかと思ったけど、実は違くて……お、おでことおでこを合わせてるだけで……」///

担任「でもその方がかえって……キ、キスよりももっと親密でドキドキしたというか……」///

担任「実は愛読してる少女マンガに同じシーンがあったの急に思い出して、それがシンクロして……」///

担任「しかも相手があの……あの兄くんだし、やって欲しかったなぁって妄想とかもしてたし……もう嬉しすぎていっぱいいっぱいで……」///

兄「……いえ、あの端的に言うとですね」

担任「……はい?」ポヤァン

兄「俺を襲いたいとか本能が爆発するような感じにはなったりしてます?」

担任「……何て言ってるのかよく分からないけど、そういう即物的な欲求はないし、満たされてる、と、思う。です」///

526: 2013/04/13(土) 00:12:06 ID:R0D9eTyc
兄「やった!何かよく分からんがアニキ粒子を制御できるようになった!」

担任「アニ……今何て?」

兄「……あ、そのですね。うまく言えないんですけど……」

担任「?」

兄「この状況だと先生の将来にもかなり影響あると思われるので……」

担任「…………」


担任「将来ッ!?」///

兄「ええ。こうなったのは俺の責任ですから。ちゃんと説明――」

担任「だ、駄目よ駄目よ!教師と生徒がそんなっ、って私が言えた事じゃないけど!一緒のベッドにいる時点で何の説得力もないけど!」

527: 2013/04/13(土) 00:14:11 ID:R0D9eTyc
兄「いえ多分必要に――」

担任「必要って……う、嬉しいけど、いや嬉しいとかじゃなくて……せめて兄くんが大学入るまではその……」

兄「大学?先生、俺が言いたいのはですね――」

ドクンッ…


兄「……あれ?」

担任「……でもでも私が養う手も……?兄くんが主夫……仕事から帰ってきた私におかえりって言ってくれる高校生の婿……」ブツブツ

ヒィィンッ――


兄「……これはヤバいかもしれない」

担任「……確かにヤバいかもしれない」

528: 2013/04/13(土) 00:20:36 ID:R0D9eTyc
――――

妹「――bomb!」

529: 2013/04/13(土) 00:21:48 ID:R0D9eTyc
――――
爆発

531: 2013/04/13(土) 01:03:22 ID:liRbWH22
え?

533: 2013/04/13(土) 01:23:46 ID:brWsFfIU
最近は兄も爆発するのか…

534: 2013/04/13(土) 01:26:17 ID:R0D9eTyc
――――

妹友「今のは……」

幼馴染「学校の方角……!」

妹「おおー、こんなところまで届くなんて……さっすがお兄ちゃんだね」

妹友「この心の底からあたたかくなる感じは……」

幼馴染「間違いなくアニキ粒子。でも……」

―コォォォ…ォォ…

妹友「! 幼馴染先輩っ。ま、窓の外が!」

幼馴染「み、緑……空一面に緑のモヤが……!」

妹「んー、広がり具合から察するに……約半径10kmくらいかな?風に乗ればもっと範囲は大きくなるかも」

妹友「妹ちゃん、一体お兄さんの身に何が起こったの!?」

妹「お兄ちゃんがアニキ粒子を爆散させたの。恐らくあたしが予想した通りにね」

幼馴染「ばっ、爆発!?アイツは無事なのッ!?」

妹「大丈夫だよ先輩。あくまでアニキ粒子が広範囲に拡散しただけだから」

妹「お兄ちゃん自身も、周囲の人間も建造物も何ら破壊してないよ」

535: 2013/04/13(土) 01:54:06 ID:R0D9eTyc
幼馴染「よかった……」

妹友「よくないですよ先輩!アニキ粒子が拡散したって事はこの町のほとんどの人が……!」

幼馴染「アニキ汚染されちゃったってことじゃない!全然よくない!」

妹「いえ、これでよかったんですよ」

幼馴染「無差別にライバルを増やすことがいいわけ――」

妹「先輩。アニキ粒子はフェロモンや惚れ薬じゃないんです」

妹「あくまでちょっとだけ、ほんのちょっとだけ素直になるだけの効果なんです。だから無差別にライバルを増やすわけじゃないですよ」

幼馴染「……素直に」

妹「そうです。……まぁ以前からお兄ちゃんに好意を抱いていたのなら、その限りではないですけど」

妹友「じゃぁやっぱり――」

妹「でもそれは好ましい事ですよ」

妹「あたし達が近くにいることで、告白をあきらめていた子がいるとするなら……尚更」

幼馴染「…………」

536: 2013/04/13(土) 02:19:14 ID:R0D9eTyc
妹「あたし達はお兄ちゃんと気持ちをお互いに伝えあい、お兄ちゃんの彼女になり……」

妹「同時に『彼氏彼女』の関係になったというセーフティを手に入れた」

妹「……このセーフティが厄介です」

妹「関係を構築した事で、安全の上にあぐらをかき」

妹「女としての価値をぐずぐずと下げていく……」

妹「最後には思いを伝える前にあった初心をも腐らせてしまう」

妹「……ところが汚染によってある程度の数のライバルが出現すればどうか?」

妹「あたし達が自己を磨き、良き雌である事を忘れた時、そのポジションを狙うライバルがいたら?」

妹「常に自身を鍛え続けなければ、お兄ちゃんにとって魅力的に思える雌でなければ、取って代わられる可能性が出てくる」

妹友・幼馴染「…………」

妹「……何も妹友ちゃんや幼馴染先輩がそうだと言っているのではないんです」

妹「人は競争の場から遠ざかれば遠ざかる程……濁り、腐ってしまうから」

妹「そう考えるなら、今の状況はあたし達にとってそう悪い状況ではない」

妹友「……お兄さんと一番近い位置に身を置きつつ、自己を昇華させることをやめず、かつ油断はしなければ――」

幼馴染「兄にとって飽きない雌でいられる。……それなら勿論ライバルが差し込む隙間もない」

537: 2013/04/13(土) 02:30:01 ID:R0D9eTyc
妹「それと抗体のストック」

妹「あたし達三人がもし同時にいなくなったとしても……」

妹「抗体を与える人間が必ずいるという状況をこれで作れた」

妹「お兄ちゃんはこれで守られる」

妹「アニキ粒子に殺されることもなく、平穏に生きていける」

妹友「妹ちゃん……」

幼馴染「そこまで考えて……」

妹「何しろお兄ちゃんのためだからね」


妹「でも何と言っても一番良いのは、どこでもイチャイチャできるってこと!」

妹「汚染された地域では、素直に振る舞うことが最も自然な行動になったからぁ……」

妹友「商店街を腕を組んで歩いても……!」

幼馴染「待ち合わせ場所でキスをおねだりしても……!」

妹「すべては素直で、尊重されるべき行為になったんだからおーるおっけぃ!」

妹友「素敵……」

幼馴染「素敵だわ……」

544: 2013/04/14(日) 00:45:20 ID:GqdEg4lw
――――

こうしてAAA(Assault Anikiparticle Armor)によって飛散にしたアニキ粒子は、広範囲に渡って小地域を汚染した

その後様々な紆余曲折を経て、兄率いる彼女たちが兄委員会を立ち上げ、とアニキ粒子の存在とその対処方法を記した冊子を発行

程なく町のすべての人が粒子の存在を知ることになり、様々な混乱を引き起こした

兄委員会は粒子には様々なメリットがあることを、繰り返し多種多様な機関に説き、懸命な活動を続けた結果――

アニキ粒子は無害でメリットがある物質として認知、公表の流れとなった

公表からしばらくした後、学園を含む都市自体を『アニキ粒子特区』として制定

特に学生には『顕著な効果』が示された為、日本を担う次世代リーダーの教育を担う学園都市構想計画も開始

すべてが急ピッチで行われ、必要な議決はすべて満場一致で終わるという奇怪な、前代未聞の都市開発となった

545: 2013/04/14(日) 00:46:22 ID:GqdEg4lw
この後たった一人の兄により、

数多の乙女が萌え殺されることになる

非リア充種の天敵とも呼ばれた彼は、

史上最も多くの妻を娶った個人でもあ痛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

546: 2013/04/14(日) 00:55:17 ID:GqdEg4lw
兄「嘘をつくな嘘を」

妹「嘘じゃないよ!」

兄「半分は嘘だろうが。特に後半とか後半とか後半とか」

妹「えぇーー……これは確定した未来だと思うけどなぁー」

――AAAから3ヶ月後 学園 屋上

547: 2013/04/14(日) 01:03:12 ID:GqdEg4lw
妹「大体人の日記を盗み見するとかお兄ちゃんもデリカシーないよね」

兄「読み上げながら書いてれば盗み見もクソも……って日記なのかそれ……」

妹「見たい?」

兄「……いや、見たいっていうかだな」

妹「見たいなら対価が欲しいなぁ」チラッ

兄「日記ってのは起こった事を――」

妹「…………」ジーッ

兄「……まぁ、いいや」ナデナデ

妹「あ……くぅ……」クテー

兄「……耳の後ろ弱いよな、お前」

妹「うん……あっ……すっごい下腹部にくるよぉ……」プルプル

兄「……左手も追加」ツツーッ

妹「グワーーーーッ!!」ビクビク

妹友「あ!ちょっ!お兄さんッ!」

548: 2013/04/14(日) 01:17:30 ID:GqdEg4lw
妹友「左手は私の相手をしてもらわないと困ります!」

兄「……悪い、つい夢中になった」

妹友「夢中って……」

兄「ん?」

妹友「…………」

兄「……妹友は怒ってる顔も可愛いなぁ」

妹友「かっ……お世辞言っても駄目です。私今怒って――」

チュッ

妹友「ふあぁ!?」

兄「お世辞じゃないよ」ナデリ

妹友「で、でこちゅーとか卑怯すぎですよお兄さん……もう……」///

兄「じゃぁ今度は妹友を両手で――」

グラリ

兄「――っとっと」

幼馴染「むがもごっ!もがぁ!」モゴモゴ

549: 2013/04/14(日) 01:37:07 ID:GqdEg4lw
兄「ごめん幼馴染、何て?」

幼馴染「もごごごむごっ!」モゴモゴ

兄「……全然分からないから、一旦これはずすぞ」カポッ

幼馴染「ッハァ……体重かける方向変えるならちゃんと言ってよ!」

兄「ごめん、配慮してなかった」

幼馴染「そこは『口答えするなこの椅子めッ!』って言ってはたくところでしょ!」

兄「……ごめん、そこも配慮してなかった」

幼馴染「まったくもう情けないご主人様ね」

ナデナデ

幼馴染「……何、これ」

兄「お詫びのなでなで」

幼馴染「だ、駄目よ。私、従う、立場、だから……こんなの……」フルフル

兄「じゃぁ……よしよしいい子だねぇ」

幼馴染「! くぅ……ん……わふぅん……」スリスリ

担任「…………」ジーッ

550: 2013/04/14(日) 02:13:55 ID:GqdEg4lw
兄「……ん?」

担任「わっ」バッ

兄「…………」

担任「…………」///

兄「……先生」

担任「な、何でしょう」

兄「遠慮はしなくていいって言ったじゃないですか」

担任「え、遠慮なんてしてないよ?近くにいるだけで幸せだし私……」

兄「…………」

担任「ほ、本当だよ?ほら、年上の嫉妬って醜いし身の程知らずっていうか……」

兄「…………」

担任「あの、ねぇ?その……アハハ……」

兄「…………」

担任「……ごめんなさい、本当は兄くんとイチャイチャしたいですぅ」ウルウル

兄「……やっぱり」

551: 2013/04/14(日) 02:33:20 ID:GqdEg4lw
兄「俺の大切な人なんですから、変な遠慮は捨ててくださいね」

担任「そう言われても、それがなかなか難しくて……」

兄「んー……そうだ。先生が俺にやって欲しいこととかあります?」

担任「やって欲しい……こと?」

兄「ええ、思いつくままで構わないんで」

担任「……あの」

兄「はい?」

担任「……笑わない?」

兄「ええ、勿論」

担任「……手を、ね」

兄「……はい」

担任「手を、兄くんと、繋ぎたい、です」///

兄「……俺と」

担任「……は、はい」///

担任(……うわー私言っちゃったよー断られるよー恥ずかしくて氏ねるよー……)

555: 2013/04/15(月) 00:20:29 ID:dvYEQ7kQ
キュッ

担任「あっ」

兄「こんな感じかな?」

担任「あ……ぅ……」

兄「それとも……こう?」スッ

担任「こっ、恋人つなぎ……!」

兄「……やりすぎ?」

担任「う、嬉しいけど……」

兄「けど?」

担任「その、兄くんの腕が私の胸に……その、ちょっと触れるのが……」

兄「……実は狙ってたり」

担任「…………」

兄「……あれ?そこは先生怒っても――」

担任「……兄くんは胸大きい人って……好き?」

兄「……えっと?」

556: 2013/04/15(月) 00:28:00 ID:dvYEQ7kQ
担任「私の胸無駄にお肉ついてて……」

妹友「…………」ワラァ…

幼馴染「…………」ワラァ…

担任「太ってるように見えるっていうか、実際お腹まわりがちょっと、ううんかなりその……」

担任「だから、同年代のスレンダーな体型にはとても敵わないから……」

兄「先生」

担任「は、はい?」

兄「胸の大きい、小さいは関係ないです」

担任「え……」

兄「それが誰の胸かが重要なんです」

妹友・幼馴染「!」

担任「…………」

兄「そして先生の胸なら大きかろうが小さかろうが、好きです」

担任「兄……くん……」


友「」

559: 2013/04/15(月) 00:59:35 ID:dvYEQ7kQ
友「兄クラァッ!」

兄「お、友」

友「屋上呼びつけといてイチャイチャ見せつけるなんざぁどういう了見だクラァッ!」

兄「すまん。見せつけるつもりは――」

友「そりゃ兄がどこでどう乳繰り合おうが勝手ですがねェ!年齢=彼女いない歴の俺にちったぁ配慮しやがれやァ!」

妹「うひー……友先輩気が立ってますなぁ……」

…カクン

友「気が立たない方がオカシイんだよ実際……ていうか全部オカシイんだよ大体……」

友「アニキ粒子がどーのこーので『こいつついに厨二病にイカれたか』とか思ったらマジな話だしさぁ……」

友「兄に対して連日の熱烈なラブコールや告白攻勢が始まるし……」

友「リア充許すまじ!の精神でクラスの同志を集おうと思ったら誰一人呼応しないし……」

友「それどころか声を揃えて『だが それがいい!!』とか傾く始末……」

友「もう世界がお前に味方してるとしか思えない。っていうかアニキ粒子ってなんなんだよ!」

友「何食えばそんなん出るんだよ。教えてくれよ。そして早く用を済ませて俺をここから去らせてくれよ」

561: 2013/04/15(月) 01:39:24 ID:dvYEQ7kQ
妹「説明しよう!」

友「説明するの!?てかさっきの教えてくれよはどっちかって言うと単なる羨望からの文句が8割で――」

妹「アニキ粒子は未知の物質だよ友先輩」

友「説明できないことを説明しただけかよ!」

妹「それにお兄ちゃんがひたすらモテるのは、アニキ粒子とは無関係なところに理由があるから」

友「そこんところ、詳しくお願いします」

妹「んー……何て言うのが適当かな……あたし達とお兄ちゃんの間には引力が存在するんだよ」

友「引力?」

妹「そう。『兄』と『妹』はお互いに惹かれ合う、みたいな」

友「そのりくつはおかしい」

妹「で、普通の人は1人くらいなのにお兄ちゃんはそれが数千単位みたいな感じ」

友「なん……だと……」

妹「だからきっと友先輩もこの世のどこかで惹かれている妹に出会えるはず」

友「……何故妹限定なのか……」

妹「義理の妹が突然できたりとか」
友「妹で一向に構わんッッ!」

562: 2013/04/15(月) 01:46:57 ID:dvYEQ7kQ
友「……あれ?でもそれって変だよな」

妹「何が?」

友「だって担任ちゃん年上じゃん」

担任「…………」ズーン

妹友「友先輩ひどい……」

幼馴染「……年齢に触れるなんてさいってー」

友「え……だって……妹って……」

妹「多分先生に妹要素があったんだよ」

兄「妹要素?」

妹「当てずっぽうだけどね?例えば先生は幼い頃に憧れていたお兄ちゃん的な人がいて」

担任「!」ドキッ

563: 2013/04/15(月) 01:52:40 ID:dvYEQ7kQ
妹「思いを切り出せぬ内にその人が別の人とくっついたりして」

担任「」ギクッ

妹「憧れのお兄ちゃんの理想を追いかける内に時は経って」

担任「」ズーン

妹「気付けば自分の理想像を年齢が追い越しちゃって」

担任「」パクパク

妹「お兄ちゃんだけど年下がイイみたいな矛盾したストライクゾーンになっちゃ――」

担任「もうやめてェ!」バッ

ポフッ

担任「え……?」

兄「年齢も俺は何も気にしないですよ先生」ナデナデ

担任「兄く……あふぅ……」

友「…………」

兄「っとすまん。用事が先だったな」

564: 2013/04/15(月) 02:02:36 ID:dvYEQ7kQ
兄「まぁ用事と言っても俺は先生に頼まれて、友を呼んだんだ」

友「……先生が、俺に?」

担任「あ……コホン。そうなんです。私教室にどうしても寄れなかったから兄くんに頼んで、それで……」

友「……ここからの一発逆転担任ちゃん俺の嫁は……無理だな、でも」ブツブツ

担任「どうしても友くんにしか頼めないことなの」

友「俺にしか、ですか?」

担任「実はね、うちの学校に新しく転校生が来るの」

友「…………」

兄「……お?珍しいな。『転校生キター!!』って騒がないのか?」

友「まだ男か女かも決まっておらず、女だったら美少女なのかドブスなのかさえ決まっていないのだ」

友「しかも美少女だったとしてもお前がいる限り目の前で絶望するだけだからな……」

友「俺は冷静なんだ。知ってるんだ。世の無常を。儚さを」

担任「私の親戚の子なんだけど」

友「先生、写真持ってます?写メでもいいですから」

兄「…………」

565: 2013/04/15(月) 02:14:34 ID:dvYEQ7kQ
兄「おお」

妹「ほう」

妹友「キレイ……」

幼馴染「へぇこれは……」

友「か、か、か」

担任「かかか?」

友「可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!超カワイイじゃないですか先生!」

担任「うん、そうね。先生も可愛いと思うわ」

友「で、この子が何か?」

担任「ちょっと特殊な事情があってね。前の学校と馴染めなくてこっちに転校してきたの」

友「はぁ……」

担任「でもね、きっと友くんなら大丈夫って思って……」

担任「その子には友くんの事色々話しておいたんだ」

担任「……断りもなく言うのはどうかな、とも思ったんだけど……不安そうだったからね」

友「そ、それで……その子の反応は?」ゴクリ

566: 2013/04/15(月) 02:20:19 ID:dvYEQ7kQ
担任「すごく喜んでたよ。『早く会えないかなー』って心待ちにしてたし」

友「…………」

兄「……これはひょっとして……なぁ友!」

友「…………」ダバー

兄「おわっ!」

友「俺の人生にはないと思ってたモテ期が……ついに……ついに……!」ダバー

担任「どうかな?」

友「あ、え、どうとは?」

担任「ここまでやっておいて聞くのも何だけど、あの子のサポートをお願いしてもいいかしら?」

友「そりゃぁもっちろんですよ!俺に、いえ私めにお任せください!がっつりサポートさせていただきますよぉ!」

担任「……よかった。その分なら任せても先生安心だわ」

担任「友くん、実はその子今日学校に来てるの。校内見学って名目でね」

友「ま、マジですか!?」

担任「今からだったらまだ校内にいるはずだから……会ってみる?」

友「それはもう是非!……うおー緊張してきた……フリスクフリスク……」

573: 2013/04/16(火) 03:12:09 ID:J64C0yd.
――――

友「髪、よし。歯、よし。服装、よし。フリスク、よし。顔……はどうしようもないからパス」

兄「……こんなに真剣な友を初めて見た」

ガチャッ

友「……おおおおお落ち着け、まままままだだだ慌慌慌」

兄「ドアノブが回っただけだろ!落ち着け!」

キィィィ…


「……ここ、で合ってるよね……」

兄「……おお」

妹友「……わぁ」

幼馴染「……へぇ」

妹「……ん?」

「あ!お姉ちゃん!やっぱり合ってた!」キラキラ


友「」ズッキュゥゥゥゥン

574: 2013/04/16(火) 03:17:12 ID:J64C0yd.
――――

担任「紹介するわ私のいとこで、明後日うちのクラスに転校してくる――」

「あー!!友くん!?君が友くんだよね!?」

友「は、はひ。私が友です」

「ずっと会えるの楽しみにしてたんだよー!お姉ちゃんに同じクラスだよって言われた時かなんかもー僕嬉しくてさー」

友「そ、そんなに?」///

「本当だよ!僕ね……事情が事情なものだから、転校しても何も変わらないって思ってたんだよ」

「でもお姉ちゃんが『私のクラスにはあなたを理解してくれる人がいる』って教えてくれたから……」

575: 2013/04/16(火) 03:17:49 ID:J64C0yd.
「だから、本当に楽しみで楽しみで……わぁ、友くんは写真で見るよりカワイイなぁ……益々好みかも♪」

友「こ、こここ、好みっ!?」///

「友くんは僕どうかな?」

友「……どどどどうって?」

「友くんから見て僕はどうなのかなって」

友「いやそりゃもう!激マブで超カワイイッスよ!言うことなしッスよ!」

「本当~!?嬉しいッ!」

ダキツキッ

友「」

576: 2013/04/16(火) 03:20:59 ID:J64C0yd.
友(抱きつかれている。ショートボブの僕っ子に抱きつかれている)

友(二人は初対面だが、相性バッチリ。手をつなぐとかのライトな感じな奴を全部すっとばして抱擁)

友(抱擁。お互いを抱きしめ合うこと。それがまさかこんなに気持ちいいことだったとは抱擁マジ抱擁)

友(相手の体温を感じる。相手の香りも感じる。相手の心臓の音も聞こえる。自分の心臓の音も相手に聞こえているだろう)

友(ああそうなのだ。きっとそうなのだ。今までの人生がモテなかったのは――)

友(このたった一回の出会いの為だったのだ。間違いないこの抱きしめた瞬間のフィーリングが――)

友(二人は永遠なんだと。二人の出会いは運命なんだと。言っている。叫んでいるんだよこの野郎)

友(春と言えど若干汗ばむ季節、首筋や脇、鎖骨付近に漂う8x4のかほり。グッドスメル)

友(華奢な、強く力を入れれば折れてしまいそうな位細い筋肉と骨。守ってあげたい)

友(小動物を思わせる身長とその瞳。……厳粛に守ってあげてぇわぁ!)

友(そして極めつけはコレ。さっきから俺の大腿部に触れている硬い熱源が――)



友(――硬くて……熱い?)

577: 2013/04/16(火) 03:36:28 ID:J64C0yd.
友「た、たんま。一旦ストップ」

「あ、ごめんね。急に抱きついちゃったりして」

友「えっと――」

担任「ホラ、あなた自己紹介すらまだしてないでしょ」

「いっけない。本当だお姉ちゃん。……それじゃぁ、改めまして、と」

男の娘「僕、『男の娘』って言います。明後日から同じクラスに入るのでよろしくね!」

兄「兄だ、よろしく」
妹友「よろしく先輩」
幼馴染「分からない事があったら何でも聞いてね」
妹「…………」

男の娘「それと特殊な事情って言うのはね」

担任「……言っちゃってもいいの?」

男の娘「ううん、ここにいる人達は皆良さそうな人達だし……それにもっと特殊な人達が目の前にいるしね♪」

兄・妹・妹友・幼馴染・担任「~♪」ピープー

友「そ、その男の娘ちゃんの特殊な事情っていうのは……?」

男の娘「えっとね、実は僕、男の子なんだよね♪」

友「」

578: 2013/04/16(火) 03:44:38 ID:J64C0yd.
兄「ええーーっ!?」
妹友「ほ、ホントですかー!?」
幼馴染「胸勝ったとか勝ち誇ってた私氏んでしまえぇぇぇ!」
妹「やっぱりねぃ」

担任「……それがあったから、友くんに任せたのよ」

友「……俺……に……」グルグル

モワモワ

~~~~

『ノートいっぱいにビスケット・オリバを描くなよ!暑苦しいわ!』

『大丈夫。友くんは友くんのあるがまま…マイノリティでいていいのよ』

『男の膝の上にはフラジールな関係という読んだ事もない本が置かれ……』

『おかげでやけに鼻息が荒い担任ちゃんと読んだ事もない本の話を延々とだな……』

~~~~

友「あは……はは……確かに……そうなるか………あはは……」ケタケタ

担任「お互いの第一印象も良かったみたいだし、うまくやっていけそうね」

友「ヤるのかヤられるのかいまいち把握できないっす……ねぇ」ケタケタ

585: 2013/04/16(火) 22:04:38 ID:J64C0yd.
スッ…

男の娘「……やっぱり気持ち悪い、よね」

友「い、いや……」

男の娘「ううん、無理しなくてもいいよ。転校せざるを得なくなったのも、それが理由だし」

男の娘「だから、そうだな。たまにでいいから……話相手になってくれるかな?」

男の娘「僕と二人きりが嫌だったらお姉ちゃん達も呼んで、とか……」

男の娘「……それでも、駄目、かな……」ウルウル


友「……わ…い」

男の娘「……え?」

友「……かわいい」

男の娘「きゅ、急に言われると照れ――」

友「可愛いカワイイかわいい可愛いカワイイカワイイヤッターーーーー!!!」

友「もう関係ない!もう性別なんて関係ないわぁ!つまらん常識は投げ捨てるもの!」

友「男の娘はカワイイ!初めて見た瞬間にズキュンと来た!一目惚れだ!何にも問題なし!カワイイなら即ち正義なんだよォ!」

男の娘「……と、友くん……!」///

586: 2013/04/16(火) 22:19:58 ID:J64C0yd.
――――

兄「~♪」

ナデナデ

妹「グワーーーーッ!」クテー

妹友「ふにゃぁぁ~……」クテー

幼馴染「くぅぅ…ん、わふっ、わふ……くぅぅぅん……」クテー

担任「んぁ……んくっ……ぁはぁ」クテー

――――

妹「あ”ー気持ち良かったうにゃぁぁ……」ダラー

妹友「4人同時になでなで出来るとは思ってなかったです……へにゅぅ」ダラー

幼馴染「また腕を上げたみたいね。今度は神がくれた0.5秒間を有効活用したいとか言ってたわよ」ダラー

担任「あのなでなでに更に上があるの……。か、体がついていけない……でも幸せ……」ダラー

587: 2013/04/16(火) 22:31:13 ID:J64C0yd.
妹「やはり温かい春はお兄ちゃんに限る……」グテー

妹友「この前妹ちゃん冬に限るって言ってたのに……」グテー

妹「夏も秋もお兄ちゃんに限る……」グテー

担任「限るって意味を妹さんが理解してるのか怪しいな……」グテー

幼馴染「大体秋は分かるけど、夏は暑くて仕方ないでしょ……」グテー

妹「……暑くて動くのがおっくうな汗まみれのお兄ちゃんに好きなだけ抱きついたり」

妹「クーラーをガンガンかけて、お兄ちゃんで温まる究極の贅沢とかあるよ」

「…………」


ムラッ

「…………」バッ

ダダダダッ

兄「なっ、ちょ、どうした!眼が怖――」

588: 2013/04/16(火) 22:36:59 ID:J64C0yd.
ババババッ

ピトー… x4 スリスリ… x4

兄「…………」

担任「……結論としては」

妹友「好きな人と一緒なんですから」

幼馴染「季節なんて問わずに」

妹「くっついてたら幸せに決まってるよねー」

「「「「おほぅ……。やはり一年中、お兄ちゃんに限る……」」」」

兄「…………」


兄「……俺も一年中、可愛い妹達に限る」ナデナデ

妹「おほぅ……」///
妹友「あうあう……」///
幼馴染「わふん……」///
担任「はうっ……」///


コオォォオオォォオオォォオオ…


589: 2013/04/16(火) 22:37:29 ID:J64C0yd.


おわり

590: 2013/04/16(火) 22:42:53 ID:J64C0yd.
重量過多。長くて申し訳ない。
読んでくれた人と支援くれた人に平穏のあらんことを。

591: 2013/04/16(火) 22:45:05 ID:DK5wuBUg
おつ
素晴らしかった

593: 2013/04/16(火) 23:08:30 ID:0mohyQMI
おつー

594: 2013/04/16(火) 23:09:58 ID:vTZQ8is6
グワーーーーッ!

引用: 妹「おほぅ…。やはり寒い冬はお兄ちゃんに限る…」 兄「………」