192: 2008/09/19(金) 21:55:58 ID:ofs+wwvp

 私は今、自分の部屋でサーニャとマッタリとくつろいでいる。
 サーニャと付き合い始めてもう一週間が経った。私とサーニャは、夜間哨戒の任務がある日以外、
夕食の後2人でマッタリして一緒に寝ることが習慣になりつつあった。
 付き合い始めてすぐの頃は、何故か私もサーニャも緊張してしまい、いつものように上手く話せない
こともあったが、今ではそういうこともなくなり、私はそろそろサーニャとの関係も次のステップに進み
たいな、と思っていた。
 つまり、キスだ。
 実は前にも1回だけキスしたことはある。しかし、あの時は寝ぼけたサーニャがイキナリ私にキスして
きたのであって、次の日にそれとなく聞いてみたが、やはり覚えていなかった。私はサーニャの唇の
感触をしかっり覚えているのにな…
 ちゃんとしたキスがしたい。なので、私はここ最近、サーニャと2人きりになると、キスをする機会をう
かがっているのだが、なかなかそういうムードにならないというか、肝心なときにヘタレてしまうというか…

 「サーニャ」
 「なぁに?」
 「イヤ、呼んでみたダケダ」
 「フフ、変なエイラ」

 何とかキスをしようとサーニャに話しかけてみるが、なかなか本題を切り出せない。サーニャはそんな私
を見て笑う。そんなとき、ふと気付いたが、いつも2人で部屋にいるときサーニャは私にべったりだ。このま
まキスをしてもいいのか?いや、ちゃんとキスするぞって宣言したほうがいいのか?いや、でも宣言って何
かおかしくないか?

 「…エイラ、……エイラ」

 私がそんなことを考えているとき、ふとサーニャが私を呼んでいることに気が付いた。

 「ん?ドウシタ?」
 「どうしたって…エイラこそどうかしたの?私、何回もエイラのこと呼んだんだよ」
 「ゴ、ゴメン!ちょっと考え事をナ」

 どうやら私はサーニャにどうやってキスをするかを考えているうちに何回もサーニャに呼ばれていたらしい。
私は焦って謝った。

 「そっか。なに考えてたの?」
 「エ!?ソ、ソレハダナ…」

 まさか、サーニャとどうやってキスしようかなんて考えてたなんて、言えるはずも無く、私はとっさに嘘をついた。

 「サ、サーニャと初めて会ったときのことを思い出してたんダ!」
 「そっか。懐かしいね。私たちが知り合ってからもうずいぶん経つね」

 そう、付き合いだしたのは最近だが、サーニャと初めて会ってからは、もうずいぶんと経つ。それでも初めて会っ
た日のことは、まるで昨日のことのよう鮮明に私の心に蘇ってくる…

193: 2008/09/19(金) 21:58:09 ID:ofs+wwvp
ー1年前

 「今日から私たちと一緒に戦ってくれるサーニャ・V・リトヴャクさんです。みなさん仲良くしてくださいね」

 そう言って隊員たちにサーニャが紹介される。サーニャはじっと床を見たまま顔を上げない。そんな様子に他の
隊員たちはさらっと自己紹介を済ませて自室へと帰っていく。私はミーナ中佐にサーニャの世話係を言い渡された
ため、とりあえずサーニャに基地の案内をすることにした。

 「私はエイラ。オマエの世話をしろって言われたからわからないことは私に聞けヨ」
 「…(コクッ)」

 なにも喋らずただ小さく頷くだけのサーニャに基地の中を案内していく。

 「ここがオマエの部屋だ。私の部屋はこの隣だからなにかあったら私の部屋に来いヨ」
 「…(コクッ)」

 その後も食堂、ブリーフィングルーム、談話室、ハンガー、浴場、サウナなど、基地の内部を案内していくが、ずっ
とサーニャは黙ったままたた頷くだけだった。

 「だいたいこんな感じカナ。これで基地の案内は終了ダ。この後は私と一緒に坂本少佐の訓練だからナ」
 「…(コクッ)」
 「…アノナァ、アリガトウくらい言えないのカー?」
 「………」
 
 ひたすら喋らず無愛想なサーニャに思わず口調がきつくなる。サーニャほずっと黙ったまま下を向いて、顔を上げよう
としない。
 なにを言っても返事もしない、目も合わせない。そんなサーニャに思わずイラついてしまう。こんなヤツの面倒見なきゃ
いけないのかよ。
そう思うと少し憂鬱になる…
 はっきり言って、サーニャとの出会いは、あまりいいものではなかった。
 しかし、ミーナ中佐から言い渡された任務だし、ここで放棄するわけにはいかない。私は気を取り直してサーニャを訓練
に行くように促す。
 
 「まぁ、イイヨ。ほら、さっさとイクゾー」
 「………(コクッ)」

 坂本少佐の訓練を受けている最中もサーニャはずっと無言だった。坂本少佐もそんなサーニャを見て、気持ちが萎えた
のか今日の初訓練は予定より大分早く終わった。

 「ずいぶん早く終わったナ。これから夕食までは自由ダ。好きに過ごしていいゾ」
 「…(コクッ)」
 「夕食の後も自由だからナ。さっさと寝るなり好きにしろヨ」
 「…(コクッ)」

 サーニャは相変わらず無言で頷くだけ。いい加減、うざったくなってきた私は、気分転換でもしようと、サーニャをハンガー
に残しサウナへと向かった…


 サウナから出て、夕食の時間になり食堂に行きゴハンを食べる。私はわいわいと騒ぎながらゴハンを食べる。しかし、サーニャ
はなかなか食堂に現れない。

 「サーニャさんどうしたのかしら。サーニャさんに食堂の場所は教えたのよね?」
 「あぁ、一通り基地の中は案内したヨ」
 「そう、初めてこの基地にやってきて、初めての訓練。疲れて眠ってるのかしらね」

 ミーナ中佐がサーニャを心配しているが、私は大した心配もせず、どうせ腹が減ったら食べに来るだろうと深刻に考えてはいな
かった。
 夕食を終えて、みんなでお茶を飲みながら適当な世間話をする。私もその話に加わり、話をしていた。しばらく話し込んだ後、そ
ろそろ明日に備え眠るため眠ろうと、みんな自分の部屋に戻っていく。しかし、みんなが眠るために自分の部屋へ戻っていく時間
になっても、ついにサーニャは食堂に姿を現すことはなかった…

211: 2008/09/19(金) 23:03:00 ID:ofs+wwvp


 夕食を終えて部屋に戻ってきた私は、趣味であるタロットで眠くなるまで時間をつぶしていた。みんなの明日の運勢を順番に
占っているとき、ふと、サーニャのことを思い出す。
 一応、明日の予定だけでも教えといてやるか。夕食にもついに最後まで来なかったし、少し心配だと思いながら、私は、サー
ニャの部屋へと行くことにした。
 サーニャの部屋のドアをノックして、部屋の中にいるであろうサーニャに声を掛ける。

 「エイラだ。明日の予定を伝えに来たゾ」
 「………」

 もう夜も遅いこの時間、部屋にいないなんて事は無いはず。しかし、部屋の中からサーニャの返事はない。私はまたダンマリ
かと、うんざりした気分だったが、かまわずドアを開けサーニャの様子を窺う。
 ドアを開けるとそこには、膝を抱て顔を埋め、ベッドの上にぽつんと座っているサーニャがいた。私はゆっくりと、優しく近づき、
そっとベッドに腰を下ろす。

 「ドウシタ?具合でも悪いのか?」
 「…(フルフル!)」

 サーニャは首を横に振る。どうやら具合が悪いわけじゃないらしい。

 「じゃあどうしたんダ?」
 「………」

 サーニャはまたしてもダンマリで、私の質問に答えない。そんなサーニャについイラついてしまう。

 「アノナァ、何か言わないとわかんないダロー」
 「………」

 それでもサーニャはずっと口を閉ざしたまま。私とサーニャの間にいやな空気が流れる…




 どれくらいの時間が経っただろう。これまでずっと黙っていたサーニャがついに口を開く。

 「…ごめんなさい」

 ぽつりと小さな声で一言。ごめんなさい。

 「何がごめんなさいナンダヨ。ちゃんと言わないとわかんないゾ」
 「……私、すごく人見知りで口下手だから。上手に話せなくて…」
 「それでもハイとかイイエくらい言えるダロー」


212: 2008/09/19(金) 23:04:25 ID:ofs+wwvp
 口下手にもほどがある。返事くらいはどんなに口下手なヤツでも出来るだろう。そう思って私は少し避難交じりの口調になってし
まう。

 「ネウロイが現れて、お父様とお母様と離れ離れになって、それからはずっとひとりで、誰とも話すこと、無かったから…久し振りで
すごく緊張して……」
 「ソッカァ…」

 サーニャから聞かされる事実。ネウロイのせいで両親と生き別れになってからずっとひとりで生きてきたなんて…
 私はそんなサーニャに掛ける言葉が見付からなかった。

 「ほんとは、ウィッチーズのみんなとちゃんとお話したいし、友達になりたいけど、恥かしくて…喋ろうとしても言葉が上手く出てこな
いの…」

 そう言って、サーニャの頬を涙が伝う。初めて会った時は、無愛想で嫌なヤツだと思っていたが、全然違った。私はサーニャのこと
を誤解していた…
 本当は、寂しがり屋の恥かしがり屋。口下手だけど、とても純粋で可愛い子だったんだな。
 助けてあげたい、守ってあげたい。寂しがりやのサーニャのそばにいてあげたい。そう思った。

 「な、泣くなヨ。オマエの本当の気持ちはわかった。私がみんなと話せるように助けてヤルヨ!」
 「えっ!?」

 サーニャは私の言葉に驚いたようでぽかんとした表情で私を見つめる。私はそんなサーニャに優しく言葉を続けた。

 「私がオマエを助ける。守ってやる。友達になってやる、寂しくないように、両親が見付かるまで一緒に居てやる!」
 「………」

 私の言葉が予想外だったのか、サーニャはびっくりした表情でこちらを見つめ、さらに大粒の涙を零す。しかし、やがてその表情も微
笑みに変わる。

 「あ、ありがとうございます。……エ、エイラさん」
 「エイラでいいッテ。私たち、もう友達ダロ?サ、サーニャ」

 緊張しながらサーニャの名前を呼ぶ。その瞬間サーニャは大きく目を見開いて、そして美しい天使のような笑顔をで私を見つめてくる。
そしてテレながら私の名を呼ぶ。

 「ありがとうございます。エ、エイラ」
 「いいッテ。それとナ、友達ダカラ、敬語もイラナイゾ」

 私も笑顔で答える。もうサーニャとは友達だ。

 「ありがとう、エイラ」
 「ソウソウ、いい感じダ」

 そう言って、また2人で笑い合う。そっとサーニャを抱きしめる。抱きしめたサーニャはとても小さくて、ほんのりいい香りがした。私が心地
よい気持ちに浸っていた、そのとき。
 ぎゅる?。サーニャのお腹が鳴った。

 「は、恥かしい!」

 そう言ってサーニャは俯いてしまう。

 「そういえば、夕食、食べてなかったナ。ソリャ腹も減るヨ。恥かしがることないッテ」
 「でもぉ…」
 「気にスンナ。オイデ。何か私が作ってヤルヨ」

 お腹の減っているサーニャに何か食べさせてあげるために私はサーニャを連れて食堂へ行く。

213: 2008/09/19(金) 23:05:47 ID:ofs+wwvp
 「座って待ってナ。すぐ何か作るカラ」

 そう言って先にサーニャを座らせ、私は調理を開始する。夜食にあまり凝った料理を作るのは常識的におかしい。それに、お腹が減ってる
サーニャを待たせるのは可哀相だと思った私は、スモークサーモンとハーブにチーズを加えた、シンプルなグリルサンドを作り、スオムスから
持ってきたお気に入りのコーヒーを2人分淹れた。

 「ホラ、出来たゾ。スオムス料理だけど食べれるカ?」
 「うん」
 「じゃあ冷めないうちにドウゾ」
 「頂きます」

 そう言ってサーニャは私が作ったサンドイッチを一口かじる。

 「ドウダ?」

 感想を聞くが、サーニャはサンドイッチを見つめたまま再び泣き出してしまう。私はそんなサーニャの様子を見て調理を失敗したかと焦ってし
まう。

 「ま、不味かったカ!?不味いなら無理して食べなくてもいいんダゾ」
 「ううん、違うの!とってもおいしいよ。ただ、嬉しくて涙が出ちゃっただけ…」

 そう言われて安心した私は、サーニャの言葉が嬉しくて心が温かくなっていく。

 「それくらいで泣くなヨー。大袈裟ダナー、サーニャは」
 「だって、すごくおいしいんだもん」
 「ソッカ。じゃあいつかまた作ってヤルヨ」
 「ありがとう。エイラ」

 サーニャは私が作ったサンドイッチを残さず綺麗に食べた。その後、一緒にコーヒーを飲みながら色々な話をした。お互いの家族のこと。趣味
や特技。サーニャは音楽が得意で軍人になる前は音楽学校に通っていたらしい。
 サーニャと話をしているうちに、いつの間にか食堂のにある大きな時計は午前12時を指していた。さすがにそろそろ寝ないとまずい。明日も坂
本少佐の訓練がある。サーニャに明日の予定を伝え、私たちは明日に備え寝るために食堂を後にし、部屋へと向った。




 私は部屋が隣同士のサーニャと一緒に戻ってきた。そしておやすみの挨拶を交わして部屋に入ろうとしたとき、サーニャの綺麗な手が私の上着
の裾を捕まえた。

 「ン?どうしたんダ?」
 「エイラ、あのね…」
 「ナンダー?言ってみろヨ」

 続きを促す私だったがサーニャは少し考えている表情で少し俯く。なにやら言いにくい話のようだった。長い話になるんだったら部屋でゆっくり聞
いてやろうと思い、私が声を掛けようとしたとき。

 「あのね、私まだ夜は寂しいの。ひとりぼっちは寂しいの。だから…」

 なるほど。つまりまだ私と一緒に居たいということらしい。

 「エイラと一緒に寝てもいい?」


214: 2008/09/19(金) 23:07:43 ID:ofs+wwvp
 私が答えるのを少し不安そうな、ウルウルさせた瞳で見つめてくるサーニャは、なぜだろう。とても可愛くて、そんな瞳で見つめられたら断れるわけ
がなかった。私と一緒に居たいと思ってくれて、なぜだか、素直に嬉しい。でもちょっぴり恥ずかしくて、私はそれをごまかしながら、サーニャに了解の
意思を伝える。照れを隠しながらも精一杯の優しさを込めて…

 「キョ、今日だけダカンナー」

 そんな私の言葉にサーニャは笑顔いっぱいで頷く。その笑顔は本当に、本当に天使のような笑顔で、私は幸せな気持ちでサーニャと一緒に眠ったの
だった。
 こうして私とサーニャの出会った日は終わった。


215: 2008/09/19(金) 23:11:49 ID:ofs+wwvp

 「…エイラ、……エイラ」

 またしてもサーニャの声で意識が思考の中から現実の世界へと帰ってくる。

 「ゴ、ゴメン!また考え事してタ!」

 焦って謝る私にサーニャは大して怒った様子はなく、でもどこか真面目な表情
で、ゆっくりと口を開く。

 「あのときのサンドイッチの味、まだ覚えてる…」
 「ソ、ソッカ。そんなにおいしかったのカ?」
 「うん。とってもおいしかった。今まで生きてきた中であれほどおしいい料理はなか
ったよ」

 適当に作ったサンドイッチをおいしいと誉めてもらえたのは嬉しいが、大袈裟すぎ
る。あのサンドイッチよりおいしい料理はいっぱいある。

 「大袈裟ダナー」
 「ううん。そんなことない。あのサンドイッチには、エイラの優しさと、思いやりの心が
詰ってて、お腹だけじゃなく、私の心も満たしてくれたの…」

 そう言って私を見つめてくるサーニャの頬は、照れているのかほんのり桜色に染まっ
ている。そんなサーニャを見るとドキドキしてしまう。

 「エイラ、あのとき言ってくれたよね。私の両親が見付かるまでずっと一緒に居てくれ
るって…」
 「アァ、言ったナ」
 「もちろん今もその気持ちは変わってないよね?」

 サーニャの意外な質問。まさか私のことが信じられないのだろうか?
 真剣な瞳で私を見つめるサーニャに、すぐに、焦りながら大きな声で答える。

 「ア、アタリマエじゃナイカー!」
 「ふふ、知ってるよ」

 焦っている私をよそに、サーニャは余裕たっぷりに笑いながら、そう言葉を返してくる。
 からかわれた!
 私の焦る様子を楽しむためにあんなことを言ったのだ。そう思った私はサーニャに避難
の言葉をひとつでも返してやろうと口を開いた。でもその言葉を遮り、再び真剣な瞳で再
び訊ねてくるサーニャ。

 「じゃあ…私の両親が見付かったら?…そのあとは?」

 その問に、私はハッとした。サーニャが聞きたかったのはこれだったのだ。
 確かに私は両親が見付かるまでは一緒に居てあげると言ったが、その後のことは言って
いない。恋人同士になったあと、サーニャはそのことをずっと気にしてたのかも知れない。
 あまりに真剣な眼差し。サーニャの心を確かめるように見つめれば、瞳の奥に、かすかな
不安な色を見付ける。
 私はゆっくりと、しっかりと、サーニャに安心を与えるため、限りなく優しい口調で答える。

 「もちろん、サーニャの両親が見付かった後も、ずっとずっと、私たちがおばあちゃんになっ
ても、私はサーニャと一緒に居るヨ…」
 「本当に?」
 「アァ、ホントウダ」
 「ありがとう。すっごくすっごく嬉しいよ!」

216: 2008/09/19(金) 23:12:38 ID:ofs+wwvp
 そう言ってサーニャはとびきりの笑顔で私に抱きついてくる。
 付き合ってから、サーニャはますます私に甘えるのが上手になった。私の胸のなかに飛び
込んで、上目遣いでオネガイされると私は簡単に篭絡させれてしまう。
 今はいつにも増して甘い雰囲気だ。今ならどんなオネガイでも引き受けてしまうだろう…




「ねぇ、エイラ。……キス…して…欲しいの」

 頬を染めて…潤んだ瞳で…甘い声で…、遠慮がちにそんなオネガイをしてくるサーニャは、
いつもの何億倍も可愛くて、私の心臓は大きく高鳴る。ドキドキしすぎて心臓が爆発してしま
いそうだ。

 「キッ、キスだッテ!?」

 イキナリすぎるキスのおねだりに、私の口からは思わず間抜けな言葉がでてしまう。
 サーニャとキス……
 それは最近、いつも考えていたことで、どうやってサーニャにキスをするか悩んでいた私は
すごくビックリしたのだ。
 突然のオネガイにオドオドしている私にサーニャは再びオネガイしてくる。

 「ずっと一緒にいるっていう、誓いのキス。ねぇ、エイラ…お願い。私に…キスを…ちょうだい…」

 誓いのキス…
 サーニャの言葉に私の心は幸せでいっぱいになる…
 …心は決まった。ずっと一緒に居るという誓いのキスをサーニャに送ろう。




 「ワ、ワカッタ。誓いのキスダナ。サ、サーニャ。目を…閉じて…クレ…」

 そう言うと、サーニャは私の腕の中で小さく頷いて、瞳を閉じ、顔を上に向け私のキスをじっと
待っている。
 その様子はとても扇情的で、サーニャを見ているだけで、私のカラダは熱く反応する。
 ドキドキしながら、ゆっくりと、私は唇を、サーニャの唇に近づけていく。サーニャの唇は私の唇
のもうほんの少し先まで迫っている。
 サーニャの頬が桜色に染まっている。サーニャの熱が私に伝わってくる。瑞々しいサーニャの
唇からは甘い吐息が漏れる。意識が飛びそうなほどの興奮が私のカラダを駆け巡る…
 
 「サーニャ…」
 「来て、エイラ…」

 そうして私たちは唇を重ね、ずっと一緒に居ることを誓い合った…





217: 2008/09/19(金) 23:13:09 ID:ofs+wwvp
 一瞬の出来事だったけれど、サーニャの唇に触れた瞬間、私のカラダは今まで経験したことの
無い快感に襲われる。
 カラダが熱く、小さく震えている。心をぎゅうっと締め付けるような快感は、サーニャも同じのよう
で、サーニャの呼吸はハァハァと荒くなっている…

 「エイラ、お願い。もっと…」

 再びのサーニャの甘いオネガイに、私の思考が停止する。触れるだけの軽いキスだけでもこんな
にもカラダが熱くなってしまうのだ。これ以上したらどうなってしまうんだろう…
 私は軽い恐怖を覚えて、そのオネガイに固まってしまう。

 しばらく固まっていた私にお構いなしで、焦れたサーニャの方から唇を重ねてくる。

 「んん…あっ……んはぁ…ちゅぅ…ふぅ…んちゅ」
 「ハァ…んちゅ…あぁ…さ、さーにゃ、…んふぁ…ら、らめぇ…」

 気が付いたら私たちは夢中で何度も何度も唇を重ねていた。
 サーニャの舌が唇を割って私の口の中に入ってくる。口の中を丁寧に舐めまわし、さらに舌を私の
舌に絡めてくる。

 「んふぅ…ちゅる…ちろ…んふぁ…ちゅく…あぁ…き、気持ち…あはぁ…い…い…あぁ…」
 「ンン…あっ…ちゅぅ…はぁ…はぁ…んンン…あ…ぁ…んふぁ…うぅ…ちゅる…」

 激しく責めてくるサーニャに、いつの間にか、私も懸命に応え、自らサーニャの唇を求める。
 息も出来なる程の激しい口付け。互いに舌を絡め、唇に吸い付く。唇を重ねるその度に、私のカラダ
は激しい快感に襲われ、唇から解けてしまいそうだ。
 サーニャ激しくよく舌を吸われた私はあまりの快感にカラダがビクンと大きく反応する。その瞬間、全
身から力が抜け、意思が朦朧となり、ベッドに倒れこんでしまった。
 痺れるような、とろけるようなサーニャとの長いキスが終わり、サーニャの唇が私の唇から離れると、
2人の唇の間にすっと銀糸が伸び、ぷつりと切れる。
 そして、サーニャも私の横に倒れこみ、荒い呼吸を繰り返している。

 「ハァ…こんな、…こんなになるまでキスするなんて…酷いジャナイカー」

 まだ快感の波が引いてないカラダのまま、私は大きく息を吸い込み、呼吸を整え、サーニャに文句を言い
ジトっとにらむ。

 「ごめ…ん…ね…でも、…気持ち…よすぎて…止まら…な…かった…の」

 サーニャはまだ荒い呼吸のまま私に素直に謝ってくる。

 「マッタクー」
 「でも、…気持ち…よかった…」
 「………ソ、ソウダナ」

 サーニャはぎゅっと抱きついてきて、私のカラダに自分のカラダを絡めてくる。

 「エイラ。このまま眠ろう…」
 「ソウダナ…」

 誓いのキスをして、とても気持ちよくなったカラダをサーニャと絡め合いながら、私とサーニャは、幸せな気
持ちで静かに眠りに付いた…

218: 2008/09/19(金) 23:16:11 ID:ofs+wwvp
以上で完結です。

引用: ストライクウィッチーズpart5