2: 2013/11/01(金) 23:45:37.65 ID:SIPsI5ok0
長門と1月
3: 2013/11/01(金) 23:46:38.79 ID:SIPsI5ok0
長門「────提督」
長門「大事な話があるんだが、いいか?」
提督「何だよ藪から棒に……」
提督「というか、本当に大事な話ならコタツでみかん食いながらするなよ」
長門「……仕方の無いことなのだ。大目に見てくれ」
提督「いや、お前が我慢してコタツから出れば済むことだろう?」
提督「最大限譲歩して、みかんを食うのを止めるだけでもいいし」
長門「それは出来ない」
提督「即答か。もうなんか清々しいな」
長門「考えてもみてくれ」
長門「目の前に便利な物があって使わない奴がいるか? いないだろう?」
長門「そして私の目の前にはコタツがある。つまり使うという選択肢しかない」
長門「そして次にみかんについてだが────」
提督「明日コタツしまうわ」
長門「それだけは! 何卒! ご勘弁を!」
提督「だからコタツから出て言えよ!」
提督「俺のことすら見てねえじゃねえか!」
4: 2013/11/01(金) 23:47:16.18 ID:SIPsI5ok0
長門「む、すまない」
長門「みかんのこの白いのを取るのに夢中だった」
提督「……俺の優先順位ってその白いのよりも下なんだな」
提督「ちょっと傷つくわ」
長門「どうしたいきなり落ち込んで……」
長門「みかん一つ食べるか?」
提督「いいのか?」
提督「…………って、本当に一つじゃねえか」
長門「私が剥いたんだ。私が配分を決める」
提督「9:1はひでえよ」
長門「男ならつべこべ言うな」
長門「ほら、あーん」
提督「あー……んっ……」
長門「どうだ?」
提督「……美味い」
長門「それは良かった」
長門「それではこれを……」
提督「……は?」
長門「ただで食べれると思ったのか? 世間はそんなに甘くないぞ?」
長門「それを剥いて早く私に食べさせてくれ」
提督「後出しは狡い……」
長門「ほらほら、早くしないと私の口の中が乾いてしまうじゃないか」
長門「ああ、でも白いのもちゃんと取るんだぞ?」
提督「分かってるよ」
提督「何年一緒にいると思ってるんだ」
長門「ふふっ、それもそうだな」
5: 2013/11/01(金) 23:48:03.27 ID:SIPsI5ok0
提督「────そういえば大事な話って結局なんだったんだ?」
長門「おお、忘れるところだった」
長門「提督、今年の私へのお年玉────」
提督「さーて仕事しますかー!」
長門「ああっ、待て! 逃げるな!」
6: 2013/11/01(金) 23:48:35.22 ID:SIPsI5ok0
長門と2月
7: 2013/11/01(金) 23:49:35.70 ID:SIPsI5ok0
長門「────ああ、提督。丁度いいところに」
提督「どうかしたのか、長門?」
長門「ほら、チョコだ。受け取れ」
提督「おっと……」
提督「……投げるなよ。落としたらどうするつもりだったんだ」
長門「どうもしない」
長門「仮に割れたとしても、食べる分には困らないしな」
提督「なんかいろいろと台無しだな……」
提督「……一応聞くけど、本命?」
長門「本命に決まってるだろう」
長門「私は提督一筋だぞ?」
提督「……ま、この近くに男が俺一人しかいないから素直に喜べないけどな」
長門「…………馬鹿者」
提督「……照れ隠しだよ」
提督「言わせんな恥ずかしい」
長門「ああ、知ってる」
提督「…………ああもう笑ってんじゃねえよっ」
提督「それにそこの角! 見えてんぞ青葉ァ!」
青葉(退散!)
8: 2013/11/01(金) 23:50:13.19 ID:SIPsI5ok0
提督「ちっ、逃げやがったな……。後で覚えてろよ青葉ァ……」
長門「この程度のこと、今更ではないか?」
提督「恥ずかしいもんは恥ずかしいんだよ」
提督「……それに顔赤いのはお互い様だろ?」
長門「っ!? ……はっ!?」
提督「お前も恥ずかしかったんじゃねえか。すました顔で誤魔化そうとするなんて可愛いじゃないの」
長門「ぐっ……!」
長門「……気が変わった」
長門「それを返せ。私が食う」
提督「もう貰ったから俺の物だ」
長門「うるさいっ、いいから返せっ!」
提督「ちょ、馬鹿! 無理矢理引っ張るな! 破れるだろうが!」
長門「返せえええぇぇぇぇ!」
提督「返すかあああぁぁぁぁ!」
9: 2013/11/01(金) 23:50:58.46 ID:SIPsI5ok0
────────
──────
────
──
長門「はぁ……はぁ……」
提督「ぜぇ……ぜぇ……」
長門「無駄なことに体力を使ってしまったな……」
提督「全くその通りだよ……」
長門「…………ふぅ」
長門「私はもう部屋に戻る」
長門「ちゃんと味わって食べろよ?」
提督「……言われなくともそうするさ」
長門「感想は今度頼む……」
長門「またな」
提督「………………」
提督「……長門」
長門「…………ん?」
提督「……ありがとよ」
長門「…………ふんっ」
長門「ホワイトデー、期待しているぞ」
提督「おう、任せとけ」
15: 2013/11/02(土) 18:03:27.69 ID:rxm0s+a+0
長門と3月
16: 2013/11/02(土) 18:04:06.86 ID:rxm0s+a+0
長門「…………私は確かに、『期待している』と言った」
提督「ああ、言ったな」
長門「それに対して提督は『任せとけ』と言ったな?」
提督「……ああ、言ったよ」
長門「私はもちろん期待した。この日をずっと楽しみにしていた」
長門「だがこれは予想外だ。喜べばいいのか分からん」
長門「『過ぎたるは猶及ばざるが如し』……」
長門「意味はもちろん知っているだろう?」
提督「度が過ぎるのは足りないのと同じくらい良くない、って意味だったっけ?」
長門「その通りだ」
長門「物事には限度がある」
長門「大人にもなればその分別くらいは付くはずだ」
長門「……だからこそ問いたい」
長門「提督…………」
長門「このクッキーの山は……何だ?」
提督「……バレンタインデーのお返しです」
17: 2013/11/02(土) 18:04:51.90 ID:rxm0s+a+0
長門「ほう、提督はバレンタインデーのお返しで山を築くのか」
長門「この鎮守府の食堂の4分の1が、クッキーに占められているという現状をどう思っているのか……。小一時間問いつめてやりたいぞ、私は」
長門「……ほら、あそこの席が見えるか?」
提督「……はい、見えます」
長門「あの赤城が食べることを拒否しているんだぞ?」
提督「……はい」
長門「今度はあの隅っこだ」
長門「クッキーを食べさせられ過ぎて、大和がガタガタ震えているぞ? 」
提督「…………」
長門「それに見ろ、あの間宮さんの顔」
長門「青筋立てて怒っている姿なんて初めてだ」
提督「……後でちゃんと謝ります」
長門「仏の顔も三度までとは言うが、生憎私達は仏ではない」
長門「…………次は無いぞ」
長門「いいな?」
提督「……肝に銘じます」
長門「分かればいい」
長門「……さあ、食べようか」
長門「間宮さん曰わく、全部食べるまで食事は作らないらしいからな……」
提督「……精一杯頑張ります」
18: 2013/11/02(土) 18:05:56.09 ID:rxm0s+a+0
────────
──────
────
──
長門「しかしこれだけの量……一人で作ったわけではないな?」
提督「ああ、その道の人に手伝ってもらった」
提督「クッキー焼くのは初めてだったし、失敗作を長門に渡すわけにはいかないからな……」
長門「……女か?」
提督「女だけどババアだぞ?」
提督「…………もしかして嫉妬した?」
長門「……デタラメ言うな」
長門「………………」
長門「……だがまあアレだ」
長門「次は私を頼れ。今回みたいに暴走されては困るからな」
提督「長門……」
長門「……約束だぞ?」
間宮「そういうのはいいですから早く食べて下さいね?」
長門・提督「「あっ、はい」」
19: 2013/11/02(土) 19:05:26.49 ID:rxm0s+a+0
長門と4月
20: 2013/11/02(土) 19:06:08.86 ID:rxm0s+a+0
提督「長門、今日は何の日か知ってるか?」
長門「ふむ……?」
長門「いや、さっぱり分からん」
提督「俺も初めて知ったんだが」
提督「なんでも今日は『大志を抱く日』という日らしい」
長門「……何だそれは。何を記念した日なのか分からんぞ」
提督「クラーク博士という人が日本から故郷であるアメリカに帰国した日なんだとよ」
提督「『少年よ、大志を抱け』」
提督「この言葉、知ってるだろ?」
長門「誰かと思ったがその言葉を残した人か……」
提督「まあ、帰国後に詐欺罪で訴えられたりしてるけどな」
長門「待て、それは初耳だぞ!?」
長門「この言葉に対する私の見方が……、立派な人だと思っていたのに……」
提督「言葉に罪はない」
提督「とにかく、そのことは今はどうでもいいんだ」
21: 2013/11/02(土) 19:06:58.65 ID:rxm0s+a+0
長門「…………それで?」
長門「今日がその『大志を抱く日』だということは分かった」
長門「まさかそれにあやかって大志を抱こうというわけじゃ……」
提督「察しが良いな。その通りだ」
長門「…………理由が単純とはいえ、大志を抱くということ自体は悪くないと思う」
長門「だがよく考えてみれば掲げる目標が無いぞ?」
長門「つい最近封鎖が解除された海域も、早々に攻略が完了してしまった」
長門「提督が目標にしていた大将昇格も、その功績が認められて決定済み」
長門「目標という目標が無いように思えるが……」
提督「……さて、長門」
提督「この鎮守府にいない艦娘は現在何人だ?」
長門「ん? 4、5人だろう?」
提督「その内建造出来る艦娘は?」
長門「それは……陸奥、だな」
長門「…………おい、まさか」
提督「ここに宣言する!」
提督「陸奥が! 来るまで! 建造するのをやめない!」
長門「正気か!?」
提督「ああ、もちろん正気だ」
提督「なあに、資源も資材もたっぷりある」
提督「つまり俺の勝利は確定も同然!」
提督「待ってろ陸奥! 今迎えに行くぜぇ!」
長門(………………)
22: 2013/11/02(土) 19:07:36.14 ID:rxm0s+a+0
提督「何故だ…………何故来ない…………」
長門「知ってた」
187: 2013/11/05(火) 23:10:10.57 ID:vC+hIlcx0
長門と5月
188: 2013/11/05(火) 23:11:04.59 ID:vC+hIlcx0
長門「むむむ……」
提督「……どうした、長門?」
提督「さっきから難しい顔して唸ってるみたいだけど……」
長門「……ちょっとした悩み事だ」
長門「私は今、とある二択を迫られているのだが……」
長門「どちらを選ぶべきなのか……一向に分からんのだ」
提督「長門が悩み事とか珍しいな」
提督「お前猪突猛進するタイプだし、悩みとかとは無縁だと思ってたぞ?」
長門「ほう、喧嘩なら買うが?」
提督「ファイティングポーズやめぃ」
提督「それにしても、長門が悩み事ねぇ……」
提督「……俺で良ければ相談に乗るけど?」
長門「……本当か?」
提督「ああ、もちろん」
長門「ありがたい、感謝するぞ提督」
長門「それで、悩みなんだが……」
長門「『ミカンのアイス』と『メロンのアイス』、どちらを食べるべきだと思う?」
提督「…………下らなっ!」
長門「私は真剣だ」
長門「提督にとっては下らない問題かもしれないが、私にとっては重大な問題だぞ?」
189: 2013/11/05(火) 23:12:07.65 ID:vC+hIlcx0
長門「……しかしその反応を見るに、提督は知らないみたいだな」
提督「……何をだよ」
長門「実は今日は『アイスの日』という記念日らしい」
長門「そしてそれに因んで間宮さんが今日限定のアイスを作ってくれた」
提督「へぇ、そりゃ初耳だ」
長門「限定アイス、それはいい」
長門「……しかし、しかしだ!」
長門「限定アイスは二種類あるというのに一人一つまでとは一体どういう了見だっ!」
長門「どちらか一つしか味わえないではないか!」
提督「俺に怒鳴るなよ……」
提督「文句なら間宮さんに言ってくれ」
長門「……間宮さんにはもちろん聞いた」
長門「材料の関係上、一人二つずつは作れなかったらしい……」
長門「……間宮さんにあんな申し訳無さそうな顔をされては、さしもの私も引き下がるしかなかった」
長門「…………だが、どうにも諦めきれん」
長門「何とかして二つ味わう術は無いものか……」
提督「…………はぁ」
提督「味わう方法なら……あるぞ?」
長門「何っ?! それは本当かっ?!」
提督「本当だって」
長門「……もし嘘だったら次の出撃で寄り道&無駄打ち、それに加えて大破してきてやるからな」
提督「ボーキ以外が大変なことになるからやめろマジで」
提督「…………でもまあアレだ」
提督「量が少なくなるのは我慢しろよ?」
190: 2013/11/05(火) 23:12:52.25 ID:vC+hIlcx0
────────
──────
────
──
191: 2013/11/05(火) 23:13:39.58 ID:vC+hIlcx0
長門「────舌に溶け込み口一杯に広がる濃厚な甘味」
長門「だがしかし絶妙なバランスで整えられた食感が、まるでくどさを感じさせない」
長門「────美味い」
長門「この『メロンアイス』は美味いぞ提督!」
提督(……満面の笑みで食ってやがる)
提督(こういう無邪気なとこは可愛いんだけどなー……)
提督「……それはようござんした」
提督「俺が貰ってきた『ミカンアイス』、冷蔵庫に入れとくぞ?」
長門「ん? 今食べないのか?」
長門「こっちのアイスは既に半分になってしまったし、そちらを食べたかったのだが……」
提督「ああ、俺も半分ずつ食うってやつだけど…………」
提督「やっぱりいらん」
提督「メロンもミカンも全部食っていいぞ」
提督「俺は美味しそうに食ってるお前見てるだけで満足だわ」
長門「むぅ…………」
長門「いや、それでは私が納得いかん」
長門「少しだけでもいいから食べろ」
長門「…………美味いぞ?」
提督「………………」
提督「……それじゃ一口だけ」
長門「ああ、それでいい」
長門「……ほら、口開けろ」
提督「あー……んっ……」
長門「…………どうだ?」
提督「…………美味いな」
長門「だろう?」
長門「遠慮せずにもう少し食べろ」
長門「……こういうのは二人で食べた方が美味しいからな」
192: 2013/11/05(火) 23:14:23.59 ID:vC+hIlcx0
長門と6月
193: 2013/11/05(火) 23:15:06.35 ID:vC+hIlcx0
長門「────ふふふん、ふふーん♪」
長門「………………よしっ!」
長門「出来た!」
提督「鼻歌まで歌って……上機嫌だな」
提督「一体何を書いてたんだ?」
長門「これか?」
長門「……仕方ないな、見せてやろう」
提督「どーも、っと……」
提督「どれどれ…………」
提督「…………はぁ?」
提督「おいまさかこれって────」
長門「────そう」
長門「見て分かる通り『日記』だ!」
長門「提督は知らないと思うが今日は『日記の日』と呼ばれる記念日でな……」
長門「それにあやかって書いてみた次第だ」
提督「…………よし」
提督「ツッコミ所はいくつかあるけどそれは置いておく」
提督「日記付けるのは良いことだからな」
提督「ただ三日坊主にはならないように気を付けろよ?」
長門「ん? 何を言っている?」
長門「日記を書くのは今日だけだ」
提督「……は?」
194: 2013/11/05(火) 23:15:55.25 ID:vC+hIlcx0
長門「『日記の日』は今日だけだろう?」
長門「…………でもそうだな」
長門「来年の今日になったらまた付けるのも良いかもしれん」
長門「まぁ、私が覚えていればの話だがな」
長門「あっはっは」
提督「…………ふぅ」
提督「人間って怒り通り越すと呆れるんだな」
提督「それって『日記』じゃなくて『年記』じゃねえの、とか」
提督「そういう細々としたツッコミはこの際どうでもいい」
提督「俺が一番ツッコミたいのはここだ」
提督「……長門」
提督「今何時?」
長門「午前10時だな」
長門「それがどうした?」
提督「────今日の日記を朝に書いてんじゃねぇよ!」
提督「朝の出来事だけならまだしもまだ起こってない午後の事まで書いてるし!」
提督「じゃあ『予定帳』かな、って思ったら『総司令部からの急な呼び出しにより提督と共に鎮守府を出発した』とか書かれてるし!」
提督「何お前未来予知でもしてんのっ!?」
長門「…………ふふっ」
提督「……何で笑ってんだよ」
長門「提督、思えば私と提督は長い付き合いだ」
提督「……それがどうした?」
長門「……だからこそ問いたい」
長門「私が提督の言動を予想出来るとは思わなかったのか、とな」
195: 2013/11/05(火) 23:16:43.00 ID:vC+hIlcx0
提督「────ま、まさか……」
提督「…………っ!」
提督「あ、あった……!」
提督「『提督が、何お前未来予知でもしてんのっ!? と、言った。そしてそれを予期されていたことに驚く』だと……!」
長門「ふははははっ!」
長門「どうだ提督! これが私の力だ!」
長門「私にかかれば提督の思考回路なんて手の平の上なのだよ!」
提督「…………くっくっく」
長門「……何が可笑しい?」
提督「『日記の日』はアンネ・フランクがかの有名な日記を書き始めた日だということは知ってるか?」
長門「…………っ!」
長門「『日記の日』を知っていた……だと……?」
長門「ま、まさか……!」
提督「そのまさか、だ!」
提督「俺がお前をどれだけ見てきたと思っている!」
提督「お前の行動パターンなぞ手に取るように分かるんだよっ!」
提督「この、俺が今日の朝一番に書いた日記を見ろぉ!」
長門「よ、寄越せっ!」
長門「…………わ、私の今までの言動や振る舞いが事細かに記されているっ」
長門「……私が、この私が、負けたのか……?」
長門「…………くっ!」
提督「お前が知略で俺に勝とうなんて甘いんだよぉ!」
提督「出直しなっ!」
長門「こ、この雪辱は必ず晴らしてやるからな……!」
長門「覚悟しておけよっ!」
196: 2013/11/05(火) 23:17:26.71 ID:vC+hIlcx0
────────
──────
────
──
「加賀さん、提督達少し騒がしいですよね?」
「そうですね」
「……つまるところ、二人ともお互いの思考が分かるくらいずっとお互いを見てきたっていうことで良いんですよね?」
「そうですね」
「それを聞いた私達は、盛大なのろけ話を聞かされたということですよね?」
「そうですね」
「……何だか慣れてません?」
「赤城さんもすぐに慣れますよ」
「そうですか……」
232: 2013/11/07(木) 19:51:18.73 ID:4r3RI8wa0
長門と7月
233: 2013/11/07(木) 19:54:18.74 ID:4r3RI8wa0
長門「今年も祭りの季節が来たな……」
提督「そうだな……」
長門「……さて」
長門「皆思い思いにはしゃいでいるようだが、それはまだまだ幼いからだ」
長門「そして大人である私達は、あの子達がケガをしたりトラブルに巻き込まれたりしないよう、しっかりと見守らなければならん」
長門「ちゃんと理解しているか?」
提督「…………ああ」
提督「長門」
提督「そのセリフは両手に持った林檎飴と綿飴を食べ終えてから言ってくれ」
提督「説得力が無い」
長門「むっ……」
提督「それに……その頬」
提督「綿飴付いてるぞ?」
長門「ん、本当か?」
長門「すまんが取ってくれ」
長門「ご覧の通り両手が塞がっている」
提督「はいはい」
提督「…………よし、取れたぞ」
長門「感謝する」
提督「……んー、甘い」
提督「何だか懐かしいな……」
長門「たまにはこういうのも良いものだろう?」
長門「そうだ、こっちの林檎飴も食べるか?」
長門「……私の食べかけだがな」
提督「……今更そういうの気にする仲でもないだろ?」
提督「ありがたく貰うぞ」
長門「三百円」
提督「金取るのかよっ!?」
234: 2013/11/07(木) 19:55:23.11 ID:4r3RI8wa0
長門「本来なら金など取らないのだが……」
長門「如何せん、今は金が無い」
長門「私が他の食べ物を買うために、この飴を買ってくれ」
提督「食い過ぎなんだよお前……」
長門「そうか?」
長門「空母の奴らに比べたら可愛いものだろう?」
提督「視界の奥に見えるあいつらのことは気にするな」
提督「俺には屋台の店主達の悲鳴も何も聞こえない」
長門「……よし、この話は止めにしよう」
提督「そうしてくれ、頼むから」
長門「しかしそうなるとどうやって金を調達すればよいか……」
提督「………………」
提督「あそこに見える『型抜き』でもやるか?」
提督「上手くできればお金貰えるぞ?」
長門「やるっ!」
提督「即答か」
235: 2013/11/07(木) 19:57:01.94 ID:4r3RI8wa0
────────
──────
────
──
長門「これが『型抜き』か……」
長門「絵のようなものが描かれているな」
提督「その絵に沿って余分な所を切り取れれば景品が貰えるシステムだ」
提督「ここみたいな地方のお祭りだと景品じゃなくて現金だったりもする」
提督「型の難しさによって値段は上下するんだが…………ここのは千円が最高だな」
長門「…………まあ何にせよ」
長門「この針でこの型通りに切り抜けばいいわけだろう?」
提督「…………言うほど簡単じゃないぞ?」
長門「────ふっ、私を誰だと思っている?」
長門「ビッグ7の力、侮るなっ!」
────パキッ────
長門「なぁっ!?」
提督「フラグ回収早いなおい」
長門「…………いや、もう一回だ」
長門「今ので百円を消費してしまったが、この五百円の型を成功させれば収支はプラス……!」
長門「いざっ!」
────パキャッ────
長門「ああっ!?」
長門「い、いや、まだだっ!」
長門「この三百円を成功させれば…………!」
提督(あー……ドツボに嵌まったなー……)
236: 2013/11/07(木) 19:58:02.20 ID:4r3RI8wa0
────────
──────
────
──
長門「一文無しになってしまった……」
提督「途中で辞めないお前が悪い」
長門「ううぅ…………」
提督「…………はぁ」
提督「食べたいの、有るんだろ?」
提督「…………今回だけ奢ってやる」
長門「────っ!?」
長門「ありがとう提督!」
提督「ちょ、やめっ、抱きつくなっ!!」
提督「ってか空母組! ニヤニヤしてんじゃねえっ!」
長門「とりあえず焼きそばとフランクフルトとクレープとかき氷を所望する!」
提督「お前も遠慮ないなっ!」
237: 2013/11/07(木) 19:58:53.04 ID:4r3RI8wa0
長門と8月
238: 2013/11/07(木) 20:00:34.70 ID:4r3RI8wa0
長門「夏もそろそろ終わりだな……」
提督「そうだな……」
長門「……思い返してみると特別なことはあまりなかった気がする」
提督「ほとんど毎日出撃してたからだろ?」
長門「深海棲艦に夏休みは無いのだろう」
長門「おかげでこっちも大忙しだ」
提督「一段落はしたけど……今の時期だと夏のイベントはもうほとんど終わってるし……」
提督「これじゃ思い出作ることも出来んな」
長門「来年に持ち越しか……」
長門「……ああ、そうだ。来年は海に行きたいな」
提督「あー……いいな、それ」
提督「堂々と皆の水着姿見れるし」
長門「……変態め」
提督「今更だろ?」
長門「それもそうか」
長門「……あとは…………そうだな」
長門「鎮守府の全てを余すことなく使用した流しそうめん大会とかはどうだ?」
提督「却下」
提督「うちには流す前に食い尽くす奴らがいるだろ」
長門「失念していた……」
240: 2013/11/07(木) 20:03:11.28 ID:4r3RI8wa0
長門「………………」
提督「……どうした長門?」
長門「……提督、やはり何か思い出を作りたい」
提督「……どうして?」
長門「このまま夏が終わってしまうのは勿体ないし、このままでは秋が来るまでダラダラと過ごしてしまいそうだからだ」
長門「そうならないためにも最後に何か一つ思い出を作り、それでスパッと気持ちを入れ替えようと思う」
提督「思い出、ねぇ……」
長門「何か参加できそうなイベント、もしくは開催できそうなイベントはないか?」
提督「うーん……」
長門「何でもいいんだ」
提督「………………」
提督「………………」
提督「…………ないなぁ」
長門「そこまで溜めたなら一つくらいはあるだろう……」
提督「無茶言うな」
提督「なんならいっそ、長門の一生に残るような思い出を刻んでやろうか?」
提督「……性的な意味で」
長門「…………」
提督「……すまん。調子に乗った」
提督「その家畜を見るかのような冷たい眼差しはやめてくれ」
長門「まったく……」
長門「…………もっとこう、ムードとかあるだろう……初めてなんだし……」
提督「あ? 何か言ったか?」
長門「……何も言ってない」
提督「そうか? ならいいんだけど」
提督「あーもう、何か丁度いいのねえかなぁ……」
241: 2013/11/07(木) 20:04:04.95 ID:4r3RI8wa0
長門(………………馬鹿)
352: 2013/11/17(日) 23:44:01.26 ID:ogKgEakz0
長門と9月
353: 2013/11/17(日) 23:45:08.54 ID:ogKgEakz0
長門「提督、夜遅くにすまんが失礼す───」
長門「────何だこれは……」
提督「おう、長門」
提督「見ての通り布団だけど?」
長門「…………ふむ、どうやら新しいのを購入したようだが……」
長門「何か良いことでもあったのか?」
提督「いや別に」
提督「強いていうなら今日が『寝具の日』だったからかな?」
提督「……ああ、それと着任当初から一度も変えてなかったから、というのもあるかもしれん」
長門「そうか……」
長門「……こっちの古い方は捨てるのか?」
提督「使い道無いしなー」
長門「………………」
提督「そんなに見つめてどうした? 欲しいのか?」
長門「違う」
長門「いろいろと思い出してるだけだ」
354: 2013/11/17(日) 23:45:54.48 ID:ogKgEakz0
提督「ははっ、布団で思い出すエピソードなんかあるか?」
長門「ほう、覚えてないのか?」
長門「ならば思い出させるためにまた添い寝してやろう」
提督「……あれはもう言わない約束だろうが」
提督「って、おい。なんで布団に入ってんだっ」
長門「ん? どれほど心地良いか確かめてるだけだが?」
提督「俺の布団だろ……」
提督「ちくしょー……俺が最初に味わいたかったのに……」
提督「……で、どうだ?」
長門「…………一言で言うと」
提督「言うと?」
長門「欲しい」
提督「マジか。そんなに良いのか」
提督「長門、ちょっと端によけろ。俺も入る」
長門「んっ……」
提督「………………」
提督「…………おおっ……」
提督「俺が今まで使ってた布団は布団じゃなかったんだな……」
長門「だろう?」
提督「お前がどや顔で言うなよ」
355: 2013/11/17(日) 23:46:51.03 ID:ogKgEakz0
長門「…………提督」
提督「……何だよ急に抱きしめて…………」
長門「ふふっ、なんとなくだ」
長門「……でも、こうしてると……まるであの日みたいだな」
提督「だから忘れろって……」
提督「あんなかっこ悪い様なんてさ……」
長門「そう考えると提督は随分と立派になったなぁ」
提督「…………はぁ」
提督「……俺はもう寝る」
長門「……恥ずかしがり屋め」
長門「過去の失敗も大事な財産だぞ?」
提督「……うっさい。寝るって言ってるだろ」
提督「帰る時、電気消してけよ……」
長門「……ああ、了解した」
長門「ただもうちょっとだけ……こうしててもいいか?」
提督「………………」
提督「好きにしろ」
────────
──────
────
──
356: 2013/11/17(日) 23:47:49.69 ID:ogKgEakz0
長門「────電気よし、と」
長門「……提督? もう寝たか?」
長門「………………」
長門「もう寝たみたいだな……」
長門「…………」
長門「ね、寝てるんだな……?」
長門(……起きてたら絶対出来ないし、たまにはいいだろうか?)
長門(……いや、いいはずだ)
長門(思えば私は私なりのアプローチをする努力をしてきた)
長門(ここ最近はそれが顕著だったにも関わらず未だ成果が出ていないのは明らかに提督のせいで……)
長門(おかげさまで私は随分と『おあずけ』をくらっている)
長門(そう、言わばこれは私へのご褒美!)
長門(私の努力に対する正当な対価!)
長門(だから少しだけ────)
長門「て、提督…………」
357: 2013/11/17(日) 23:48:22.94 ID:ogKgEakz0
長門「んっ……ちゅ……」
358: 2013/11/17(日) 23:49:04.08 ID:ogKgEakz0
長門「…………ふふっ」
長門「本音を言うならコソコソせず、そして私からではなく提督からして貰いたかったのだがな……」
長門「ともあれこれでしばらくは頑張れそうだ」
長門「……それでは提督────」
長門「────良い夢を」
提督(………………)
提督(夢、なんかじゃないよな……)
提督(…………俺も覚悟決めないと)
359: 2013/11/17(日) 23:49:54.72 ID:ogKgEakz0
長門と10月
360: 2013/11/17(日) 23:51:38.13 ID:ogKgEakz0
長門「────提督、今日は何の日か知っているか?」
提督「あー、確か『リクエストの日』だったか?」
長門「その通りだ」
長門「ドイツのベルリンのラジオ放送で、リクエスト番組が始まった日を記念して制定されたらしい」
提督「そうらしいな」
提督「……で、それに因んで今日はどうするんだ?」
提督「どうせ何か考えてきてるんだろ?」
長門「流石は提督。察しが良いな」
長門「ということで今日はこんな物を作って来てみた」
提督「…………何だこの赤と青の二つの箱は」
提督「見たところ抽選箱のようだが……」
長門「抽選箱、というのもあながち間違ってはいない」
長門「この箱の名は『リクエストボックス』」
提督「『リクエストボックス』?」
361: 2013/11/17(日) 23:53:16.71 ID:ogKgEakz0
長門「ルールは至って単純」
長門「私と提督がそれぞれ相手にして欲しいことを紙に書いてこの箱に入れる」
長門「そして互いの箱から紙を引き、そのリクエストに答えるというものだ」
長門「言わば暇つぶしのゲームだな」
提督「………………」
提督「お前、暇だろ?」
長門「当然だろう。暇だからこんな物を作るんだ」
提督「それもそうか」
提督「…………よし」
提督「少しだけ付き合ってやる」
長門「そうこなくてはなっ」
提督「で、何枚書いて何枚取るんだ?」
長門「実は他の者に協力してもらったおかげで、既に七枚ずつ入っている」
長門「ということで、三枚入れて三枚取るのはどうだろう?」
提督「それでいいぞ」
長門「ではこの赤の箱にリクエストを書いて入れてくれ」
長門「私は青の箱に入れよう」
提督「……他の奴らが変なの入れてないだろうな?」
長門「あまり過激なものは入れないでくれと頼んだが……」
長門「青葉とかは嬉々として書いていたな」
提督(……引きたくねぇ)
長門「ただ男女の配慮はしてくれたらしいから、この青の箱に入っているのは男の提督でも『頑張れば』出来ることらしいぞ?」
提督「その一言が怖いんだよ……」
362: 2013/11/17(日) 23:53:52.47 ID:ogKgEakz0
────────
──────
────
──
363: 2013/11/17(日) 23:55:25.57 ID:ogKgEakz0
『ポッキーゲーム』
提督「誰だこれ書いた奴!」
提督「長門だけじゃなく俺もするタイプのリクエストじゃねえか!」
長門「そ、その、提督……」
提督「……何だ?」
長門「こ、『小枝』しか……無い」
提督「……マジか」
長門「ほ、ほうふふ?(ど、どうする?)」
提督「小枝くわえてやる気満々だなおい……」
提督(全く、こんなの出来────)
提督(────いや、待てよ)
提督(こういう踏み込んだやつを避けてきたから、こんな感じになっちまったんだよな………)
提督(いやしかし今これをやったからといって何が変わるわけでも……)
提督(…………ええい、覚悟決めろ俺!)
提督「やるぞ長門……!」
長門「…………ふぇ?」
提督「問答無用!」
長門「────────っ!?」
364: 2013/11/17(日) 23:56:20.10 ID:ogKgEakz0
『膝枕』
提督「これって普通ならお前が俺にするやつじゃないか?」
提督「俺がやるのは何か違う気がするが……」
長門「そう言うな」
長門「これはこれで気持ち良いぞ?」
提督「マジか」
長門「ああ、書いた甲斐があったよ」
提督「これ書いたのお前だったのかよ……」
提督「……まぁ変なのリクエストされるよりはマシか」
長門「そうだろう?」
提督「…………それにしてもお前」
提督「髪、綺麗だな」
長門「そ、そうか……?」
提督「やけに嬉しそうだな」
長門「髪にはかなり気を遣っているからな。誉められれば嬉しいのは当然だ」
提督「へぇー、意外」
提督「……触って良いか」
長門「…………強く触れないのなら」
提督「それじゃお言葉に甘えて……」
提督(うおっ、すげえサラサラ!)
提督(男の俺とは根本的な何かが違う上質な手触り……)
提督(………………)
提督(あ、何か止まらない)
長門(こ、こそばゆい……)
365: 2013/11/17(日) 23:56:50.58 ID:ogKgEakz0
『ハグ』
提督(あいつら……絶対楽しんでるだろ……)
長門「よし、それではいくぞ」
提督「おう」
長門「んっ」
提督「………………」
長門「…………なぁ、提督」
提督「ああ、俺もおそらくお前と同じ気持ちだ」
提督・長門「「何とも思わない」」
提督「感覚が麻痺してるんだろな」
提督「恥ずかしさが感じられねえ」
長門「大破している時に抱きついたりしてたからな……」
長門「ちゃんとした服のまま正面から抱き合うのはハードルが低すぎる」
提督「あと一分くらいでやめるか?」
長門「……そうだな」
提督「………………」
長門「………………」
提督(……でもやっぱり)
長門(……それにしても)
((落ち着くなぁ……))
366: 2013/11/17(日) 23:57:30.15 ID:ogKgEakz0
『恋人つなぎ』
長門「また私のリクエストだ」
提督「二連続か」
提督「それにしてもえらく簡単そうな奴だな……」
提督「ほら、手ぇ出せ」
長門「うむ、いつでもいいぞ」
提督「…………こうだっけ?」
長門「……提督、片手とはいえこれではまるで取っ組み合い寸前だ」
長門「正面から恋人つなぎをする奴が何処にいる?」
提督「……初めてだからやり方分かんねえんだよ」
長門「……はぁ」
長門(初めて、か……)
長門(……それなら許そう)
提督(………………)
提督(長門の手、柔らかいな……)
提督(むにむにしてるというかもちもちしてるというか……)
提督(これはこれで新鮮な感じ……)
提督(………………)
提督(やーらけぇ……)
長門「────て、提督……」
長門「な、何故執拗に揉むのだ……?」
提督「す、すまんっ!」
368: 2013/11/17(日) 23:58:13.40 ID:ogKgEakz0
『早口言葉』
提督「リクエストというか……罰ゲーム?」
長門「楽勝だな」
提督「へぇ……」
提督「生麦生米生卵」
長門「生麦生米生卵生麦生米生卵生麦生米生卵」
長門「どうだ?」
提督「おお……!」
提督「お前のこと見直したかもしれん」
長門「この程度で見直されるとは……」
長門「普段の私は一体どんな評価だというのか……」
提督「まあまあ、次いくぞ、次」
提督「お綾(あや)や親にお謝り」
長門「お綾や親にお謝りお綾や親にお謝りお綾や親におやあまり」
提督「……ん?」
長門「……言えてるだろう?」
提督「そ、そうか、じゃあこれで最後な」
提督「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ」
長門「かえるぴょこぴょこみぺこぺこっ!?」
提督「…………」
長門「…………あ、合わせてぴょこぺこむぺこぺこ」
提督「何故続けた」
369: 2013/11/17(日) 23:58:58.08 ID:ogKgEakz0
『添い寝』
長門「……これも私だ」
提督「マジか」
提督「三回中三回自分のリクエストが通るのって確率低いよな」
提督「書いたお前が凄いのか、引いた俺が凄いのか……」
長門「そんなことはどうでもいい」
長門「……このリクエストは通るか?」
提督「まあ、今までのリクエストも全部やってきたし、これだけやらない訳にはいかんだろ」
提督「昼寝?」
長門「いや、出来れば先月のように頼む」
提督「よし、分かった」
提督「それじゃあ寝る時間になったら俺の部屋に来てくれ」
長門「ああ、楽しみにしてる」
長門「それでは夜に」
提督「おう、また後でな」
370: 2013/11/17(日) 23:59:59.06 ID:ogKgEakz0
提督「…………ん?」
提督「長門の奴、自分のだけ持って俺の箱は置いて行きやがったな……」
提督(……そういえばこれ、俺が長門の書いたやつ三つとも引いちまったから、残りは全部他の奴らが書いたのなんだよな)
提督(……あいつら何書いたんだ?)
提督「どうせろくでもな────」
371: 2013/11/18(月) 00:01:20.11 ID:1nx8QSKL0
『自分の想いを正直に伝える by大和』
『素直になる by加賀』
『愛の告白 by赤城』
『夜戦(意味深) by青葉』
『抱き締めて告白、からのキス by夕張』
『いい加減くっつきなさい by叢雲』
『長門さんの想いに応える by最上』
372: 2013/11/18(月) 00:02:10.75 ID:1nx8QSKL0
提督「あいつら……」
提督(ご丁寧に名前まで書きやがって……)
提督(………………)
提督「分かってるっつーの……」
373: 2013/11/18(月) 00:02:59.23 ID:1nx8QSKL0
長門と11月
374: 2013/11/18(月) 00:03:42.11 ID:1nx8QSKL0
長門「────提督、ここにいたのか」
提督「……長門か」
提督「……主役が抜け出してくるのってどうなんだろうな?」
長門「なに、問題ないだろう」
長門「既にただの飲み食いの場と化しているからな」
提督「そうか……」
提督「で、長門は何でここに?」
長門「それは私の台詞なのだが……まあ先に答えよう」
長門「……提督からまだ祝いの言葉を貰っていない」
長門「だから貰いに来た」
提督「そんなことか……」
長門「むぅ、私にとっては重要だぞ?」
提督「悪い悪い、そう怒るなって」
提督「………………長門」
提督「誕生日、おめでとう」
375: 2013/11/18(月) 00:04:31.70 ID:1nx8QSKL0
長門「……ふふ、やはり提督に言われないとしっくり来ないな」
提督「今年で祝うのは何回目だ?」
提督「長門がこっち来てからだから……」
長門「四年、いや五年だな」
提督「そんなになるのか……」
長門「ああ、早いものだ……」
提督「……………………」
長門「……………………」
提督「長門」
長門「……何だ?」
提督「俺がここにいた理由だが……」
提督「ここならお前と二人きりになれると思ったからだ」
長門「……ふむ」
長門「私が提督からの言葉を貰いにここに来ることを予想していたというのか?」
提督「もちろん。長い付き合いだからな」
長門「ふむ。…………それで?」
長門「私と二人きりになってどうする?」
長門「まさか愛の告白でもするつもりか?」
長門「ははっ、流石にそれはな────」
提督「その通りだ」
長門「────えっ……」
提督「……いろいろと言いたいことはあると思う」
提督「だが、先にこの想いを伝えさせてくれ」
376: 2013/11/18(月) 00:05:06.87 ID:1nx8QSKL0
提督「……好きだ、長門」
提督「いつものようにふざけるつもりはない。嘘を吐くつもりもない」
提督「これが、俺の正直な気持ちだ」
提督「…………もう一度言う」
提督「長門────」
377: 2013/11/18(月) 00:05:44.25 ID:1nx8QSKL0
提督「────好きだ」
378: 2013/11/18(月) 00:06:31.06 ID:1nx8QSKL0
長門「………………」
長門「…………ははっ」
長門「誕生日に愛の告白とはなかなかやるじゃないか」
長門「どうした?」
長門「いつものふざけた雰囲気は何処に行った?」
長門「そんな真剣な表情をされては本気に思えてしまうぞ?」
長門「……嘘だと白状するなら今のうちだが?」
提督「……嘘じゃない」
提督「好きなんだよ」
長門「…………そうか」
長門「……ふふっ」
長門「………………」
379: 2013/11/18(月) 00:07:40.82 ID:1nx8QSKL0
長門「馬鹿者…………!」
長門「どれだけ待ったと思っている……!」
長門「わ、私が、どれだけ……!」
380: 2013/11/18(月) 00:08:21.70 ID:1nx8QSKL0
提督「……すまん」
長門「お前は、お前は……本当に……!」
提督「……泣くなよ」
長門「うるさいっ、見るな!」
提督「………………」
提督「……ほら」
長門「……あっ…………」
提督「こうやって抱き締めてればお前の顔、見えないから」
提督「思う存分泣いちまえ」
長門「……くっ、ふふっ」
長門「何を偉そうに……」
長門「誰のせいだと思っているんだ……」
長門「………………ああ、もう……」
381: 2013/11/18(月) 00:09:28.29 ID:1nx8QSKL0
長門「最高の気分だ……!」
382: 2013/11/18(月) 00:10:15.14 ID:1nx8QSKL0
────────
──────
────
──
提督「……泣き止んだか?」
長門「……まあな」
提督「……じゃあそろそろ離れないか?」
提督「向こうに見えるあいつらの視線が恥ずかしいんだが……」
長門「それくらい我慢しろ」
長門「言っておくがこれからはもっと恥ずかしい思いをするハメになるからな?」
提督「……マジか」
長門「当然だ」
長門「こんなに待ったんだ」
長門「提督にして欲しいこと、一緒にしたいこと……たくさんある」
提督「……一つ一つこなしてくか」
長門「……ふふっ、覚悟しろ」
長門「なにせ────」
383: 2013/11/18(月) 00:10:53.28 ID:1nx8QSKL0
長門「────提督の一生をかけて叶えてもらうつもりだからな……」
384: 2013/11/18(月) 00:11:49.09 ID:1nx8QSKL0
長門と12月
385: 2013/11/18(月) 00:13:04.04 ID:1nx8QSKL0
長門「メリークリスマス、提督」
提督「メリークリスマス、長門」
長門「……他の皆は?」
提督「……空気読んで席を外してくれたよ」
提督「『お二人の邪魔をするわけには……』だと」
長門「……ふむ」
長門「見てても見せつけるだけだがな」
提督「……思考回路凄いな」
提督「俺は普通に恥ずかしいぞ」
長門「ふふっ、提督は可愛いな……」
提督「お前ほどじゃないよ」
長門「そ、そうか……?」
提督「あ、ああ……」
提督(何かあれ以来いじりにくくなったな……)
提督(いや、そもそもいじろうとすること事態が駄目なんだけども)
提督(……徐々に直すしかないか)
長門「と、とにかく、仕事は一旦終了しろ」
長門「良い物を持ってきたんだ」
提督「それは……ケーキか」
長門「ああ、私特製チョコケーキだ」
長門「せっかくのクリスマスなんだ。一緒に食べないか?」
提督「それは構わん」
提督「……フォークが一つしか無いみたいだが?」
長門「言わずとも分かるだろう?」
提督「……ですよねー」
────────
──────
────
──
386: 2013/11/18(月) 00:13:46.56 ID:1nx8QSKL0
提督「────ごちそうさま」
提督「流石長門、美味かったぞ」
長門「ふふ、提督に喜んでもらえたようで何よりだ」
長門「バレンタインでもチョコケーキを作るつもりだから楽しみにしててくれ」
提督「バレンタイン、ね……」
長門「どうかしたか?」
提督「いやー、その……」
提督「……どうせなら体にチョコクリーム塗って、『私を食べて』とかやって欲しかったなー、って思ってさ」
長門「なっ……!」
長門「そんなこと出来るわけが…………!」
長門「いや、でも……」
長門「えっ、と……その……」
長門「……て、提督が望むなら吝かでは……ない」
提督「……………………」
長門「……………………」
提督「…………お願いしていいか?」
長門「り、了解した……」
387: 2013/11/18(月) 00:14:41.10 ID:1nx8QSKL0
提督「………………」
提督「何て言うかさ……」
提督「……俺達の関係ってあんま変わってないよな」
長門「……そうだろうか?」
提督「一線を越えた感じはするんだけどなぁ……」
提督「それでも何か今までの延長線上にいるだけの気がするんだよなぁ……」
長門「……提督の言わんとしていることは分かる」
長門「だが私は今の方がずっと良いと断言できるぞ」
提督「へぇ……どうして?」
長門「……提督との間にあった見えない壁が消えて、触れ合える距離に近付いた気がするからだ」
長門「────こういう風に、な」
提督「────っ!?」
提督「…………いきなりキスするなよ」
長門「チョコの味がするかと思ったが……」
長門「提督の味がするな」
提督「……こっちこそ長門の味がしたよ」
提督「…………あー、もう……」
提督「……もう一回していいか?」
提督「今度は俺からで」
長門「もちろん────んっ」
388: 2013/11/18(月) 00:15:40.99 ID:1nx8QSKL0
長門「……来年はもっと楽しくなるな」
提督「……俺も、そんな気がするよ」
389: 2013/11/18(月) 00:22:03.96 ID:1nx8QSKL0
長門編、これにて終了です。
391: 2013/11/18(月) 00:26:11.64 ID:8BL091jFo
やったぜ
392: 2013/11/18(月) 00:26:21.61 ID:nzIETl/Vo
乙
引用: 提督「艦娘との一年」
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