1: ◆Rb7YoX3HUA 2014/08/17(日) 22:24:52.81 ID:MyYNZldNO
98: 2014/09/01(月) 20:13:32.00 ID:ZNAN/793O
リアルが忙しくて遅れました。
朧投下します。
番外編の提督はそれぞれ別でお願いします。
99: 2014/09/01(月) 20:14:15.62 ID:ZNAN/793O
冬朧
100: 2014/09/01(月) 20:14:51.23 ID:ZNAN/793O
コタツ
提督「コタツにはやっぱりみかんだよなぁ……」
朧「……提督、もう一つお願いしてもいい?」
提督「おー、もちろんいいぞ」
提督「………………よし、剥けた」
提督「ほら、あーん」
朧「────んっ」
提督「………………どうだ?」
朧「とても、美味しいです」
提督「そうかー、そりゃ良かった……」
提督「で、おかわりは?」
朧「……お願いします」
提督「了解」
提督「………………なぁ朧」
朧「はい、何ですか?」
提督「さっきからこうやって密着してるけど、足はコタツ背中は俺で流石に暑いだろ?」
朧「……いえ、大丈夫です」
提督「無理するなって。間ちょっと開けるぞー」
朧「あっ……」
朧「……別に、いいのに」
提督「ん、何か言ったか?」
朧「…………大丈夫、何でもないから」
提督「────っと……」
提督「全く……寄りかかったら離れた意味が無いじゃないか……」
101: 2014/09/01(月) 20:15:27.66 ID:ZNAN/793O
しもやけ
朧「────朧、ただいま戻りました」
提督「おかえり朧!」
提督「外は寒かっただろ? ああもうこんなに冷たくなって……」
朧「て、提督っ、一体何を…………!」
提督「いいからほら、両手出して!」
朧「は、はい……」
提督「うひゃー……冷たいなぁ……」
提督「こんなに寒い中よく頑張ってくれたな。偉いぞ朧」
朧「いえ、当然のことをしたまでですので」
朧「…………………………」
朧「…………提督の手、温かいです」
提督「そうか?」
提督「─────あっ、よく見たら頬にも霜焼けが出来てる。よほど寒かったんだな……」
朧「あっ、いえ、これはその……!」
朧「………………っ」
朧「……し、しもやけ、です」
提督「ちょっと待っててくれ、今新しいカイロ出すから!」
朧「…………あぅ」
朧(しもやけ、これはしもやけだから……!)
102: 2014/09/01(月) 20:16:32.86 ID:ZNAN/793O
クリスマス
提督「もうクリスマスかぁ……早いもんだなぁ……」
提督「朧は何か欲しいものとかあるか?」
朧「アタシ、は……」
朧「…………特にありません」
提督「そうか? 物とかじゃなくてもいいんだぞ?」
朧「アタシはその…………」
朧「……………………」
朧「……提督がいれば、それで…………」
提督「……そっか」
朧「……提督は?」
提督「俺か? 俺はなぁ……」
提督「………………うん」
提督「俺も朧がいればそれでいいや」
朧「…………ずるい」
提督「あはは、ごめんな」
朧「……提督のそういうとこ」
提督「……嫌いか?」
朧「………………」
朧「嫌いじゃ、ないです」
提督「………………」
朧「……こっち、見ないで下さい」
提督「……朧は可愛いなぁ」
朧「──────っ!?」
朧「は、恥ずかしいからやめてっ」
103: 2014/09/01(月) 20:17:17.19 ID:ZNAN/793O
投下終了。
それではまた。
106: 2014/09/01(月) 23:14:33.06 ID:ZNAN/793O
夏鈴谷
107: 2014/09/01(月) 23:15:10.92 ID:ZNAN/793O
間宮アイス
鈴谷「間宮さんのアイス美味しー♪ 夏はやっぱりアイスに限るよねー」
鈴谷「……って、あれ? 提督は食べないの?」
提督「食べるに決まっているだろう。だが仕事が先だ」
鈴谷「いやいや、休憩時間くらいゆっくりしようって。アイスも溶けちゃうよ?」
提督「後数分でキリがいいところまで終わる。鈴谷は自分の分を楽しんでろ」
鈴谷「むぅー……」
鈴谷(……一緒に食べないと美味しさ半減じゃん?)
鈴谷「────提督、ちょっと借りるね」
提督「……おい、俺の分まで食う気か」
鈴谷「違うって! ……っと、よし!」
鈴谷「提督! はい、あーん♪」
提督「……………………」
鈴谷「あーん♪」
提督「────…………」
鈴谷「えー、無言でいっちゃう? そこは私に合わせて『あーん』って言って欲しかったかなー」
提督「期待に添えなくて悪かったな」
鈴谷「あはは、まぁいいけどね!」
鈴谷「…………で、どうする? もう一口いる?」
提督「……すでにスプーンで掬ってるくせに何を言うか」
提督「……好きにしろ」
鈴谷「りょーかい! 鈴谷の好きにしちゃうね!」
鈴谷「だからほら、提督────」
鈴谷「────あーん、ってして?」
108: 2014/09/01(月) 23:15:39.83 ID:ZNAN/793O
熱帯夜
提督「……確かに俺はエアコンの無駄使いをするなとは言った」
提督「だからといって俺の部屋で寝るという結論に至ったのはどういう訳だ?」
鈴谷「え? だって私の部屋と提督の部屋の合わせて二つのエアコン使うよりは一つにした方が節約になるじゃん?」
鈴谷「……あ、もしかして私が隣で寝てたら理性を抑える自信がないとか?」
鈴谷「きゃー、提督に襲われるぅー♪」
提督「明日も早いぞ、おやすみ」
鈴谷「……つれないなぁ」
鈴谷「……よいしょ、っと」
提督「……鈴谷」
鈴谷「んー、なにー?」
提督「何故抱き付く」
鈴谷「私抱き枕が無いと寝れない体質なんだよねー」
提督「初めて聞いたぞ。それにお前の部屋に抱き枕はなかったはずだが?」
鈴谷「今日からそんな体質になったの!」
鈴谷「もー、察してよ!」
提督「…………こんな男のどこが良いのか」
鈴谷「いーのいーの。提督はいつも通りにしてればいいから」
鈴谷「ふふふーん♪」
提督「…………せめて少し距離を開けろ。暑くて汗をかきそうだ」
鈴谷「……汗かいたなら一緒にシャワー浴びちゃう?」
提督「……もう寝ろ」
鈴谷「えへへー♪ おやすみー♪」
109: 2014/09/01(月) 23:16:11.57 ID:ZNAN/793O
夏の終わり
鈴谷「夏休みも今日で終わりかー……」
鈴谷「明日からまた出撃の日々だと思うと嫌になるなぁ……」
鈴谷「てゆーか夏休みが一週間って短すぎるよね!」
提督「敵は待ってくれないんだ。一週間でも長い方なんだから我慢しろ」
提督「それにこの一週間、お前の生活サイクルがいつもと変わらなかったというのは休みも何も関係ないということじゃないのか? それなら休みを欲しがる理由もないだろう?」
鈴谷「あるよ!」
鈴谷「夏休みの間は提督といつもより一緒にいれたし!」
提督「………………」
鈴谷「提督と一緒に夏らしいこと、もっとたくさんしたかったなぁ……」
提督「……無いものねだりをしても仕方がないだろう」
鈴谷「分かってるけどさぁ……諦め切れないじゃん?」
提督「……やりたいことはまだまだあったか?」
鈴谷「もっちろん!」
提督「そうか……、それならその分は来年の楽しみだな」
鈴谷「……提督?」
提督「…………来年はもう少し長く休みが取れるよう努力しよう」
鈴谷「──────っ!」
鈴谷「嘘じゃないよねっ、楽しみにしてるからね!」
提督「ああ、期待していろ」
鈴谷「……鈴谷、明日からもっと頑張るから!」
鈴谷「────だから提督、これからもよろしくね!」
181: 2014/09/21(日) 22:06:34.17 ID:W3/+LxKJO
秋ビスマルク
182: 2014/09/21(日) 22:07:25.10 ID:W3/+LxKJO
芸術の秋
ビスマルク「提督、どう? 中々に上手でしょう?」
提督「おおっ! 絵上手いなビスマルク!」
提督「写真みたいにそっくりだ!」
ビスマルク「ふふん♪ 良いのよ? もっと褒めても」
ビスマルク「────で、貴方はどうなの?」
提督「ちょっ!? 馬鹿、見るなよ!」
ビスマルク「これね? 見るわよ」
提督「────ああっ!?」
ビスマルク「どれどれ………………あら?」
ビスマルク「何で海の絵なの?」
ビスマルク「意味が分からないわ」
提督「いや、意味が分からないって言われても……」
提督「『好きな物』ってお題だったんだから、別に良いだろ?」
ビスマルク「ええ、確かに貴方は『好きな者』って言ったわね。だとしたらこれは当てはまらないわよね?」
提督「え?」
ビスマルク「……?」
提督「……………………」
ビスマルク「……………………」
ビスマルク「っ!?」
提督「────あ、なるほど」
提督「ごめんな、ビスマルク。今から描き直すから」
ビスマルク「い、いいから今のことは全部忘れなさいっ!! 絶対よっ!!」
183: 2014/09/21(日) 22:08:17.30 ID:W3/+LxKJO
紅葉
ビスマルク「綺麗ね……」
ビスマルク「色付く春も良いけれど、色褪せていく秋は儚くて素敵だわ」
ビスマルク「貴方もそう思わない?」
提督「それは確かに思うけど……」
ビスマルク「……歯切れが悪いわね」
ビスマルク「どうかした?」
提督「あー……さっきからずっと気になることがあってな……」
提督「……なぁビスマルク」
提督「お前何で俺の数歩後ろを付いてくるんだ?」
ビスマルク「あら、気付いたの?」
提督「いやいや、気付かない方がおかしいだろ。で、どうしたんだ?」
ビスマルク「昨日聞いたのよ。何でも良い女は男の三歩後ろをついて行くらしいわね」
ビスマルク「だからこうしてるわけよ、分かった?」
提督「…………あのな、ビスマルク」
提督「それ、正しくは『良い嫁は夫の三歩後ろをついて行く』だからな?」
ビスマルク「──────えっ」
提督「それを実践してるとなると、俺はお前の────」
ビスマルク「────っ、──────っ!!」
提督「痛っ!? 痛い、痛いって!」
提督「痛いから背中叩かないでっ!」
184: 2014/09/21(日) 22:09:10.48 ID:W3/+LxKJO
居眠り
ビスマルク「…………提督?」
提督「………………」
ビスマルク「……寝てるわね」
ビスマルク「まったく……執務中に居眠りするなんて気が知れないわ」
ビスマルク「涼しさに気が緩んだのかしら?」
提督「………………」
ビスマルク「………………」
ビスマルク(かっこいい……ってほどじゃないけど、整った顔立ちよね……)
ビスマルク(……………………)
ビスマルク「……提督」
提督「………………」
ビスマルク「提督ー?」
提督「………………」
ビスマルク「アドミラル?」
提督「………………」
ビスマルク「………………」
185: 2014/09/21(日) 22:10:16.44 ID:W3/+LxKJO
ビスマルク「……あ、あなた?」
186: 2014/09/21(日) 22:10:57.96 ID:W3/+LxKJO
提督「呼んだ?」
提督「────痛っ!? ちょっ、マジでグーは止めてっ!!」
ビスマルク「────────っ!!」
192: 2014/09/23(火) 20:00:49.18 ID:to3AmIafO
春イムヤ
193: 2014/09/23(火) 20:01:24.28 ID:to3AmIafO
春眠
イムヤ「司令官、おはよっ!」
提督「おはようスズヤ」
提督「今日はまた随分と早いな、何かあったか?」
イムヤ「イムヤよっ。それだと重巡になっちゃうじゃない!」
イムヤ「もうっ……いっつもそうやってからかうんだから……」
提督「ははっ、すまんすまん。イオナの反応が可愛くてつい」
イムヤ「……もう突っ込まないわよ?」
イムヤ「それと、別に私は早く来てないわ。いつも通りよ」
提督「そうか? と、なると……俺がいつもより遅かっただけか」
提督「普段時計見ないから分からなかったよ」
イムヤ「……司令官、時間はちゃんと確認しないと駄目よ」
イムヤ「実は上官とお会いする予定が入ってたなんてことになったら大変なんだから」
提督「いやいや、そんなことにはならないさ」
提督「何たってうちには優秀な秘書艦がいるんだからな!」
イムヤ「ほ、褒めても何も出ないわよっ!」
提督「いつもありがとな、イムヤ」
イムヤ「────っ!?」
イムヤ「………うぅー………ズルい、ズルいわ」
194: 2014/09/23(火) 20:02:06.66 ID:to3AmIafO
桜
イムヤ「……綺麗な桜ね」
提督「そうだなー」
イムヤ「むぅ……反応がイマイチなのはどうしてなのかしら?」
提督「俺はほら、花より団子だからな。それに桜なんて何十回って見てるし」
イムヤ「まったくもう……つまらないわね……」
イムヤ「……はい、これ。あげるわ」
提督「……桜?」
イムヤ「司令官は桜の花言葉なんて知らないわよね」
イムヤ「『淡泊』って意味よ。お似合いでしょ?」
提督「……へぇー、なるほど。確かにそうだな」
提督「それじゃあ俺からもイムヤにあげようか」
イムヤ「ちょ、ちょっとっ!? どうして返すのよっ!?」
提督「ん? イムヤは桜の花言葉知ってるんだろ?」
提督「『優れた美人』」
提督「イムヤにぴったりじゃないか!」
イムヤ「────あぅっ……!?」
イムヤ「そ、そういうことっ、外で言わないでよねっ。恥ずかしいじゃないっ」
提督「二人きりの時は良いのか……」
イムヤ「そういう意味じゃないわよっ! ばかぁっ!」
195: 2014/09/23(火) 20:02:46.91 ID:to3AmIafO
陽気に当てられて
提督「────なぁイムヤ」
イムヤ「イムヤよ! ……って、間違ってないわね」
イムヤ「どうかしたの?」
提督「大体の仕事は終わったし、天気も良いからお昼寝でもしないか?」
イムヤ「それは魅力的な提案だけど……」
イムヤ「何か企んでないわよね?」
提督「……別に何も?」
イムヤ「嘘ね、流石に分かるわよ」
提督「くそっ、バレたか!」
提督「こっそり寝顔をカメラに収めてやろうと思ったのに……!」
イムヤ「………………」
イムヤ「あ、あのね、司令官……」
196: 2014/09/23(火) 20:03:31.39 ID:to3AmIafO
イムヤ「それくらいのことなら、こそこそやらなくても先に言ってくれれば別に構わないわ」
イムヤ「……司令官だけよ?」
197: 2014/09/23(火) 20:04:07.74 ID:to3AmIafO
提督「────添い寝に変更でお願いしますっ!」
イムヤ「そ、それはその……恥ずかしいわ……」
202: 2014/09/27(土) 22:16:51.83 ID:dKKCm8I2O
夏鈴谷 2
203: 2014/09/27(土) 22:17:35.24 ID:dKKCm8I2O
鈴谷「────視界良好ぉー。提督、そろそろ帰投してもいい?」
提督『駄目だ。見回り終了まであと三十分も残っている』
提督『もう少ししたら反転して同じルートを辿るように』
鈴谷「えぇー……、もう敵なんていないっしょ?」
鈴谷「鈴谷、かれこれ二時間は見回ってるんですけどー」
提督『そうか、あと三十分頑張れ』
鈴谷「むぅー……」
鈴谷(三十分かー……)
鈴谷(提督とのお喋りは楽しいから好きなんだけど、もう二時間も話したしこれ以上は話題が無いんだよねぇ……)
鈴谷「……どーしても駄目?」
提督『駄目だ』
鈴谷「そこを何とか!」
提督『駄目だ』
鈴谷「……あー、暑くて熱中症になっちゃいそうだなー」
提督『今日は夏の割に涼しいから大丈夫と言ったのはお前だろう? しかもつい三十分くらい前にだ』
鈴谷「むむむっ……!」
鈴谷「何か提督冷たくない? 最近の鈴谷の扱いが雑になってる気がするんですけど!」
提督『そんなことはない』
鈴谷「もー、そーゆう態度が雑なのっ」
鈴谷「………………」
鈴谷「………………」
鈴谷「……もしかして、私のこと嫌いになった?」
提督『……どうしてそうなる?』
鈴谷「だって……」
提督『……そんな悲しそうな声を出すな』
提督『俺は見回りのお前と通信するために、他の仕事を先に片付けておいたんだ』
提督『……嫌いな奴のためにそこまですると思うか?』
鈴谷「………………」
鈴谷「…………分かりにくい」
提督『何がだ?』
鈴谷「だからっ!」
鈴谷「もっとシンプルな言葉でってこと!」
提督『………………』
204: 2014/09/27(土) 22:18:03.11 ID:dKKCm8I2O
提督『────俺はお前が好きだ』
提督『嫌いになんてなれない』
提督『不安にさせたのなら謝ろう……すまなかった』
205: 2014/09/27(土) 22:18:32.29 ID:dKKCm8I2O
鈴谷「………………」
提督『…………鈴谷?』
鈴谷「…………帰ったら、間宮さんのアイス食べたい」
提督『用意しておこう。俺の分も食べて良いぞ』
鈴谷「それじゃ駄目じゃん? 違うアイス頼んで、一緒に食べよ?」
鈴谷「……その方が幸せだもん」
鈴谷「……ね?」
提督『……ああ、そうだな』
提督『待ってるよ、鈴谷』
鈴谷「えへへ♪」
鈴谷「待っててね、提督!」
206: 2014/09/27(土) 22:19:05.00 ID:dKKCm8I2O
鈴谷「────間宮さんのバニラアイス美味しー♪」
鈴谷「提督のは何? チョコアイス?」
鈴谷「一口貰うねー」
鈴谷「………………苦い」
鈴谷「大人の味ってやつ? よく分かんないけどさ」
鈴谷「………………」
鈴谷「ねぇ提督? もう一口もらってもいい?」
鈴谷「あっ、違う違う。そうじゃなくて……」
鈴谷「……あーん、ってして欲しいなー……なんて……」
鈴谷「……いいの? そ、それじゃ────」
207: 2014/09/27(土) 22:19:54.05 ID:dKKCm8I2O
鈴谷「──────うん、ちょっと甘くなったかも」
鈴谷「…………次はもっと甘くなるよね?」
208: 2014/09/27(土) 22:21:26.11 ID:dKKCm8I2O
投下終了。
鈴谷は二度目なので一つです。
次回から本編に戻ります。
それではまた。
255: 2014/10/13(月) 22:45:11.53 ID:VPq3hdza0
秋夕立
256: 2014/10/13(月) 22:46:08.48 ID:VPq3hdza0
提督「────食料よし、消耗品よし……」
提督「…………ふぅ。買い出しはこれで全部だな……」
提督「そっちはどうだ、夕立?」
夕立「えーとえーと……ちょっと待って欲しいっぽい!」
提督「あっはっはっ、別に急がなくてもいいぞ。ゆっくりでいいからな?」
夕立「お菓子もあるし……ジュースもあるし……」
夕立「……………………」
夕立「……大丈夫っぽい!」
提督「よし! それじゃそろそろ帰るか!」
夕立「夕立お腹減ったっぽい! 早く帰ってご飯食べよっ!」
夕立「ごっはん、ごっはん♪」
提督「夕立は気が早いなぁ……」
提督「…………っと、荷物は俺が持つよ」
夕立「えっ? 提督さん、いいの?」
提督「大人をなめるな。これくらい楽勝だ」
提督「ほら、こっち渡して」
夕立「えへへ……♪」
夕立「じゃあ提督さんにお願いするっぽい!」
提督「おう、任せとけ」
257: 2014/10/13(月) 22:47:17.20 ID:VPq3hdza0
夕立「────あぅ……」
提督「最近風が強くなってきたなぁ……」
提督「夕立、大丈夫か? 寒くないか?」
夕立「うーん……大丈夫……?」
提督「……不安だな」
提督「手袋貸そうか? 暖かいぞ?」
夕立「むぅー……」
夕立「提督さんは両手に荷物持ってるから、手袋脱いだら寒いでしょ? だから脱がない方が良いと思う」
提督「でもなぁ……」
提督「夕立だってさっきからしきりに両手摺り合わせてるよな? 寒いんだろ?」
夕立「そ、それはその……」
夕立「……ぽい?」
提督「誤魔化すなよ、可愛いけど」
提督「俺と違ってお前が風邪ひいたりしたら大変だってことくらい、分かるだろ?」
夕立「ぽいぃ……」
夕立「……………………っ!」
夕立「良いこと思い付いたっぽい!」
夕立「提督さん、片方だけ貸してっ!」
提督「……片方?」
提督「別にいいけど……どうするつもりだ?」
夕立「ふふん♪ それはね────」
258: 2014/10/13(月) 22:48:08.54 ID:VPq3hdza0
夕立「ふふふーんふふーん♪」
提督「夕立、重くないかー?」
夕立「まだまだ大丈夫っぽい! ……提督さんこそ平気?」
提督「夕立が半分持ってくれてるからな。全然平気だよ」
提督「……重くなったら言うんだぞ?」
夕立「ぽいっ!」
提督「それは返事なのか……?」
夕立「……えへへー♪」
夕立「提督さんの手、手袋よりも暖かいっぽい♪」
提督「んー? 夕立の手の方が暖かいと思うけどなぁ……」
提督「……そうだな、まるで熱でもあるみたいだ」
夕立「──────っ!?」
夕立「そ、そんなこと無いっぽい!」
夕立「提督さんの気のせいっぽい!」
提督「……そうか?」
提督「……ん? さらに暖かくなった気がするんだが……」
夕立「あうぅ……!」
259: 2014/10/13(月) 22:48:47.68 ID:VPq3hdza0
夕立「…………提督さんのばかぁ」
263: 2014/10/15(水) 23:30:19.28 ID:mXXqcorp0
春夕立
264: 2014/10/15(水) 23:31:09.46 ID:mXXqcorp0
提督「……………………」
夕立「そーっとそーっと……」
夕立「っと……」
夕立「────ふふん♪ 提督さん、あったかーい♪」
提督「────ん…………?」
提督「…………夕立か?」
夕立「あっ、提督さん起きちゃった?」
夕立「ちょっと失礼してるっぽい!」
提督「あー……うん」
提督「……なぁ、夕立。人の布団に勝手に入ってくるもんじゃないぞ?」
夕立「えー、提督さんは嫌?」
提督「……それはちょっと答えにくい」
夕立「あのね、夕立は好きっぽい!」
夕立「提督さんのそばに居るとね、こう……胸の所がじわーってあったかくなるの!」
夕立「それでね、なんだかよく分からないけどとっても嬉しくなっちゃうっぽい!」
夕立「……提督さんは、そういうの無い?」
提督「…………そうだな」
提督「俺は────」
夕立「ひゃっ?!」
提督「────こうやって夕立を抱きしめると、あったかいなぁって思うぞ」
提督「湯たんぽみたいでな」
夕立「……むぅー」
夕立「最後の一言は余計っぽい!」
提督「ははっ、悪い悪い」
提督「…………なぁ。髪、触ってもいいか?」
夕立「…………ぽいっ」
提督「なるほど、オーケーと。それじゃ遠慮なく……」
夕立「────んっ……」
265: 2014/10/15(水) 23:31:45.30 ID:mXXqcorp0
夕立「…………えへへ♪」
269: 2014/10/21(火) 00:21:33.57 ID:YjKZPRlU0
夏千歳
270: 2014/10/21(火) 00:22:29.37 ID:YjKZPRlU0
千歳「────提督、お疲れ様です」
千歳「仕事中に執務室からお出になられるなんて、珍しいですね。おかげで探し回る羽目になりましたよ?」
提督「ああ、千歳さん。千歳さんこそお疲れ様です」
提督「……どうやら迷惑をかけてしまったようですね……ごめんなさい」
千歳「うふふっ、冗談ですよ?」
千歳「ですからそう真に受けないでもらえると助かります」
千歳「……提督はどうして外に?」
提督「どうして、ですか……」
提督「……そうですね、理由という理由は無いんですが、強いて言うなら涼むためでしょうか?」
千歳「ああ……」
千歳「確かに最近は特に暑いですからね……」
提督「いよいよ夏も本番ということでしょうね」
提督「日の入りも遅くなっているようで困ります。五時を過ぎたのに明るいなんて……夜は一番好きな時間なのに……」
千歳「『夏は夜』とも言われますしね。夜が短いのが夏なのに、それが良いと感じた昔の人の感性は面白いですね」
提督「短いからこそ、でしょう。そもそも古来から──────」
千歳「……提督。悪い癖が出てますよ?」
提督「──────っとと……」
提督「……気を付けてはいるんですけど、千歳さんと一緒に居るとついつい昔の自分に戻ってしまいますね」
千歳「……相変わらず口が達者で」
千歳「褒め言葉として受け取っておきますね」
提督「手厳しいなぁ……」
千歳「うふふ……♪」
千歳(提督の言葉、嬉しく思いますが……)
千歳(古典について語っている時が一番楽しそうなんですもの)
千歳(その間は気持ちまで受け取るわけにはいかないわ)
千歳(私も一番になれるよう頑張りますから……ね?)
提督「────千歳さん、どうかしましたか?」
千歳「……ふふっ、何でもありませんよ?」
千歳「それよりも、そろそろ仕事に戻られてはいかがですか?」
千歳「思っていたよりも時間が経っていると思いますよ?」
提督「え…………?」
提督「………………確かに千歳さんの言う通りですね」
提督「それでは仕事に戻ります。……後でまた」
千歳「────はい」
271: 2014/10/21(火) 00:23:18.98 ID:YjKZPRlU0
千歳「晩御飯、腕によりをかけて作って待ってますから……」
千歳「……ね?」
277: 2014/10/28(火) 22:53:23.03 ID:pWt/Wu/y0
冬千歳
278: 2014/10/28(火) 22:54:19.73 ID:pWt/Wu/y0
「…………あら?」
ドアノブを回そうとすること数回。
最初は何かの間違いだと思ったのだが、どうやら間違いではなかったらしい。
時刻は午前九時。
いつもならこの執務室の扉の鍵は既に開けられていて、扉の向こうには朝早くから書類の山とにらめっこをしている提督がいるはずなのだが、今日はそうではないらしい。
「寝坊かしら?」
冬の冷気に当てられたドアノブから手を離す。白い吐息を吹きかけると、じんわりと熱が広がった。
……それにしても珍しいことが起こったものだ。
前職では日本の歴史を研究する仕事に就いていた提督は、たまたま適性があったためこの職に就くことになったと聞いている。
周囲に押される形であったため本人は乗り気ではなかったらしいが、根が真面目なのだろう。仕事で手を抜くというところは今まで見たことが無かった。
そして仕事を休むことも滅多に無かったのだから、今回のこの状況が私にとってどれだけ驚くべきことなのかが分かるだろう。
(風邪……? いえ、そんな様子は見られなかったわね)
寒さはあるが待てないほどではない。
もうそろそろ来ると考えて、ここで待機してもいい。
(……部屋の方を訪ねましょうか)
そういえば特に用事が無い限りはここから提督の部屋までは一本道だった。
すれ違う可能性も低いだろうし、向かっても損は無いだろう。
そう結論付けて、歩を進め始める。
279: 2014/10/28(火) 22:55:02.44 ID:pWt/Wu/y0
「……もしかしたら寝顔を拝見できるかもしれないわね」
それはあくまで可能性の話。
だから私の歩みが速まったこととは、全くもって関係無いのである。無いのである。
280: 2014/10/28(火) 22:55:44.42 ID:pWt/Wu/y0
さて、唐突だが人には個性、いわゆるキャラクターというものがある。
それは在り方であったり性格であったり特徴であったりと様々なのだが、形を 二つに分けることが可能だ。
『自分が望んだもの』
『自分に望まれたもの』
この二つである。
要は主観と客観のようなものなのだが、果たして私はどちらに当てはまるだろうか?
自分で言うのもアレだけど、この鎮守府で私は『頼れるお姉さん』で通っている。
生活面でそうあることが多かったが、改造を繰り返して軽空母になってからは戦闘面でもそういったことが起きるようになった。
最初はきっと、自主的なものだったはずだ。
千代田は手のかかる妹だったから、私がしっかりしなくてはという思いがあったのだ。
そしてその私の様子を見た他の子達も私 を頼ってくるようになって、気付いた時には手遅れだった。
頼られるのは嫌いではない。むしろ好きだと言っていい。
でも『頼れるお姉さん』でいる私は、そのイメージを崩すわけにはいかない。
必然的に多少の無茶をすることになるし、いろいろと嫌なモノが私に溜まっていってしまうのだ。
……だからといって現状ではどうすることも出来ないのが一番ネックなのだけれども。
結局どうすることも出来ないのになぜこんなことを長々と語ったのか。
要するに私はこう言いたいのだ。
281: 2014/10/28(火) 22:56:34.77 ID:pWt/Wu/y0
私だって失敗したり恥をかいたりします、と。
282: 2014/10/28(火) 22:57:29.88 ID:pWt/Wu/y0
「すみません千歳さんっ! 廊下、寒かったですよね……。こんなに赤くなって……」
「あ、いえ、これはその……ち、違いますからっ……」
執務室にだって鍵があるんです。個人の部屋にかかってないわけがありません。
それを失念したまま、私はここまで豊かな想像を繰り広げてきたわけです。
どうやって起こしてあげようか、だとか。
体が冷えてしまったからこっそり潜り込んでしまおうか、だとか。
そういうことを考えていたのです。お間抜けですね。
人に知られない、あるいは気付いてもらえないことの方 が恥ずかしいこともあると言いますが、まさにその状態になってしまいました。
変な汗が出ているのが分かってしまいます。ああもう、恥ずかしい……。
283: 2014/10/28(火) 22:58:14.43 ID:pWt/Wu/y0
自分のせいで、と謝る提督。
恥ずかしさからしどろもどろになる私。
そんな悪循環の泥沼と化した廊下での騒ぎは、冬の鎮守府によく響いたのでした。
284: 2014/10/28(火) 22:59:42.14 ID:pWt/Wu/y0
投下終了。
それではまた。
285: 2014/10/28(火) 23:02:55.64 ID:vCyFgb4bo
乙です
引用: 提督「艦娘との一年」 改
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