1: 2008/07/23(水) 12:13:51.94 ID:MVckEdZZ0
翠星石「これでジュンは翠星石に構ってくれるようになるです」

雛苺「うゅ?真紅の鞄がないのー」

翠星石「チビ苺、真紅は出てっちゃったですよ」

雛苺「うええー?嫌なの、真紅出てきてなの」

翠星石「大丈夫ですよ、その内雛苺も真紅に
    会えるようになるですから」

ジュン「あれ、真紅は?」
グッドスマイルカンパニー ねんどろいど ローゼンメイデン 翠星石 ノンスケール ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア G12642
3: 2008/07/23(水) 12:16:14.17 ID:MVckEdZZ0
蒼星石「こんにちはー」

ジュン「ああ、蒼星石。真紅見なかったか?」

蒼星石「え、真紅?」

ジュン「今朝から鞄ごと消えちゃったみたいなんだ」

蒼星石「さあ。僕の所には来てないけど」

雛苺「真紅出てっちゃったみたいなの」

翠星石「ジュンに愛想尽かして出ていったですよ」

ジュン「はぁ???愛想って……そんな素振りも見せなかったけどなぁ…」

ジュン「とにかく、探しに行かなきゃいけない」

蒼星石「僕、金糸雀たちに聞いてみるよ」

翠星石「……」

4: 2008/07/23(水) 12:18:05.91 ID:MVckEdZZ0
翠星石「あっ、い、痛いですぅ!!!」

ジュン「な、何だ?」

翠星石「あああああ、お、お腹がああああぁ」

ジュン「ど、どうしたんだ翠星石、しっかりしろ!!」

翠星石「う…ジュ、ジュンがなでてくれれば治ると思うですぅ……」

ジュン「う……しょ、しょうがないな……おい、雛苺」

雛苺「はいなの」

ジュン「蒼星石と一緒に真紅を探してきてくれないか」

雛苺「分かったの」

5: 2008/07/23(水) 12:19:41.06 ID:MVckEdZZ0
真紅「………」

真紅「……ん……よく寝たわ……」

ガチ

真紅「…あら?」

ガチャガチャ

真紅「か、鞄が開かないのだわ、ジュン、ちょっとジュン!」

真紅「…返事がない……」

ブオオオオオ

真紅「…何、何の音…?」

7: 2008/07/23(水) 12:21:20.03 ID:MVckEdZZ0
「うわ、こんなでっかい鞄捨ててる奴がいる」

「これ燃えるゴミでいいんですかね」

「しょうがねえ、とりあえず投げこんでしまおう」

真紅「何、何の声?誰?」

がしっ

真紅「あっ」

ぽーい

真紅「あうっ」

ばきばきばきばきばき

真紅「か、鞄が…ああうおjヴぁ」

ばきばきばきばき

10: 2008/07/23(水) 12:23:47.94 ID:MVckEdZZ0
金糸雀「え、真紅は来てないわよ」

蒼星石「そう……」

雛苺「困ったなのー」

金糸雀「nのフィールドとかにいるんじゃないかしら」

蒼星石「あー、そうかな…」

雛苺「でも、そんなに長くいられないと思うの」

蒼星石「だとすると、やっぱりこっちの世界のどこかに……」

13: 2008/07/23(水) 12:27:16.94 ID:MVckEdZZ0
翠星石「ねぇ、ジュン………」

さすりさすり

ジュン「どうした、落ち着いたか?」

翠星石「う、うんですぅ……で、でも、まだ痛いです……」

ジュン「そうか……それにしても、真紅どこ行ったんだろうな」

翠星石「真紅…?」

翠星石「ジュンは真紅が気になるのですか…?」

ジュン「そりゃ気になるよ」

翠星石「どうしてです…?翠星石の事は心配してくれないのですか」

ジュン「え、いや、お前の事も心配だよ。でも、真紅は行方不明だし」

翠星石「……ジュンッ」

がしっ

ジュン「えっ、あ、す、翠星石」

翠星石「…ジュンは翠星石の事だけ考えてればいーのですぅ…///」

16: 2008/07/23(水) 12:30:45.52 ID:MVckEdZZ0
雛苺「うーん、真紅が行きそうな所のどこにもいないなの」

蒼星石「困ったな………」

金糸雀「ねぇ、でもどうして真紅の気配がどこにもしないのかしら」

蒼星石「えっ…?」

金糸雀「姉妹の気配は、私たち、大体どこにいるか分かるでしょ?」

蒼星石「そうだね。原作6巻で真紅も言ってるし」

金糸雀「でも、真紅の気配がどこにもない……」

雛苺「…どういうことなの?」

17: 2008/07/23(水) 12:32:11.73 ID:MVckEdZZ0
蒼星石「ローザミスティカの気配もないね、そういえば…」

金糸雀「でしょ?おかしいかしら」

雛苺「翠星石は、『真紅はジュンにあいそつかして出てった』って言ってたの」

蒼星石「………」

金糸雀「………」

18: 2008/07/23(水) 12:34:20.47 ID:MVckEdZZ0
ジュン「す、翠星石……」

翠星石「んぅ…何か変な気分になってきちまったですぅ…///」

ジュン「な、何だよその目は、ふざけてんのか」

翠星石「すりすり////」

ジュン「うっ…こそばゆい…」

翠星石「んふ」

翠星石「…?何か硬いものがお尻に当たってるですぅ…」

ジュン「!!!」

21: 2008/07/23(水) 12:40:40.34 ID:MVckEdZZ0
水銀燈「ふぅ…ゴミ処理場で鉄くず探すのも楽じゃないわねぇ…」


水銀燈「あっ、また収集車が来たわぁ」

ガシャ ガシャ ガシャ

水銀燈「…ん…何かしら、あのチカチカしたの」

水銀燈「…あ、あれ、ホーリエじゃない!!」

水銀燈「あっ、メイメイ、どこ行くの」

22: 2008/07/23(水) 12:42:49.53 ID:MVckEdZZ0
水銀燈「ちょっとメイメイ…ホーリエなんてほっときなさいよ」

水銀燈「…ん、何よホーリエ…え?」

水銀燈「…………」


水銀燈「……真紅が…何ですって…?」

水銀燈「………この紅色の布………」

水銀燈「……ひしゃげた靴……」

水銀燈「え…何…この平べったい物体…」

25: 2008/07/23(水) 12:46:25.15 ID:MVckEdZZ0
水銀燈「あははぁ、これが真紅だっていうの?」

水銀燈「嘘つきなさい、じゃあローザミスティカはどこに行ったの」

水銀燈「………壊れた身体から見えてるこのガラスの破片みたいのが?」

水銀燈「嘘はいい加減にしなさい。じゃあ真紅は、真紅の魂はどこ行ったのよ」

水銀燈「わからないですって…?あたしだってわかんないわよ」

水銀燈「このひしゃげたゴミが真紅?ゴミなのに?真紅?」

水銀燈「………………」

水銀燈「…………」

水銀燈「……あ………」

水銀燈「い…いやああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

53: 2008/07/23(水) 14:41:26.66 ID:MVckEdZZ0
水銀燈「はっ…はっ…はっ…はっ…」

へなへな

水銀燈「う…嘘…嘘……」

水銀燈「……ど、どうして…?何で?何で?何で?…」

水銀燈「………」

水銀燈「…翠星石が…?」

水銀燈「………」

水銀燈「こ…腰が抜けて……嫌……逃げなきゃ……逃げなきゃ…」

56: 2008/07/23(水) 14:49:14.32 ID:MVckEdZZ0
翠星石「ねぇ……ジュン?」

ジュン「な、何だよ…」

翠星石「………」

もぞもぞ

ジュン「うっ……な、何動いてんだ…」

翠星石「あっ……何かピクンって動いたですぅ…」

翠星石「何ですぅ?このお尻に当たってるのはぁ…」

ジュン「…お、お前」

翠星石「…ふふふ、ジュンはスOベですぅ…」

ジュン「や、やめろよ」

翠星石「やーですぅ…」

もぞもぞ

61: 2008/07/23(水) 14:52:51.31 ID:MVckEdZZ0
金糸雀「ね、どこ行くの蒼星石」

蒼星石「とにかく、翠星石に事情を詳しく聞いてみないと」

蒼星石「ねえ雛苺、水銀燈や薔薇水晶とのアリスゲームに出掛けて
    負けた、とか、そういう可能性はありそう?」

雛苺「うゅ?」

蒼星石「この3人の中で、真紅と一緒に住んでたのは君しかいないんだ。
    だから、感覚的にそういう雰囲気があったかどうかで
    構わないから、答えてほしいんだよ」

雛苺「うんにゅー…」

蒼星石「どう?」

雛苺「…わかんないの…でも、真紅はそんな、悩んでる風には見えなかったの」

蒼星石「そう…」

67: 2008/07/23(水) 15:02:04.86 ID:MVckEdZZ0
雛苺「着いたのー」

ガチャリ

蒼星石「お邪魔しまーす」

金糸雀「かしらー」


翠星石「…誰か来たみたいですねぇ…」

ジュン「あ、ああ、そうだな、僕見てくるよ」

翠星石「…ダメですぅ」

がしっ

ジュン「えっ、お、おい離せよ」

翠星石「嫌ですぅ…翠星石お腹が痛くて、誰かに傍にいてもらえないと不安ですぅ…」

ジュン「う……」

翠星石「……ジュン……」

ジュン「そ、そんな目で見るなよ。分かった、分かったから、ここにいるよ」

翠星石「……(ぎゅうう)」

74: 2008/07/23(水) 15:13:52.88 ID:MVckEdZZ0
ガチャ

蒼星石「やあ」

ジュン「蒼星石!!」

翠星石「……」

金糸雀「こんにちはーかしらー」

雛苺「ただいまなの」

ジュン「どうだった?見つかったか」

蒼星石「………」

ジュン「おい蒼星石」

蒼星石「ん、あ、うん、いや、まだ見つかってないよ」

ジュン「そうか……」

蒼星石「ところで、ジュン君、ちょっと翠星石借りていいかな?」

翠星石「……?」

84: 2008/07/23(水) 15:25:26.96 ID:MVckEdZZ0
翠星石「何ですぅ?こんな所に連れてきて」

蒼星石「ん、いや」

翠星石「ちゃっちゃと話すです。翠星石は時間無駄に使うのはキライですぅ」

蒼星石「実は聞きたい事があって」

翠星石「…何ですぅ?」

蒼星石「真紅の事なんだけど」

88: 2008/07/23(水) 15:28:30.50 ID:MVckEdZZ0
翠星石「…真紅?」

蒼星石「うん、昨日さ、ジュン君に愛想を尽かして出ていったって、
    雛苺から聞いたんだけど」

翠星石「……ええ、そうですぅ」

蒼星石「でも、雛苺は、何か真紅がイラついてたり、隠してるような素振りは
    なかったって話なんだ」

翠星石「…へぇ」

蒼星石「だから、水銀燈や薔薇水晶と戦いに行ったわけでもないって」

翠星石「…ふうん」

蒼星石「雛苺は、その理由を翠星石から聞いたって言っててね」

翠星石「ええ、そうですねぇ」

94: 2008/07/23(水) 15:31:00.44 ID:MVckEdZZ0
翠星石「…で、本題は何ですかぁ?」

蒼「え」

翠「翠星石はちゃっちゃと話せと言ったはずですぅ」

蒼「ああ、ごめんね。あのさ、昨日、翠星石から見て、
  真紅はどうだったか、教えてほしいんだ」

翠「………どういう事です?」

蒼「たとえば、『誰かの所へ行く』とか、言ってなかったか」

翠「………」

107: 2008/07/23(水) 15:35:06.53 ID:MVckEdZZ0
翠「…別に」

蒼「え?」

翠「別に、何も言ってなかったですよぅ?」

蒼「そう…」

翠「話は終わりですかぁ?」

蒼「え、あ、うん」

翠「つまんねぇ事で呼び出すんじゃねえです」

ガラッ

バタン

蒼「………(真紅がいなくなったのに…つまんない事って…)」

蒼「…(あんな子だったかなぁ…翠星石って…)」


111: 2008/07/23(水) 15:37:42.65 ID:MVckEdZZ0
槐「うん、薔薇水晶、このペスカトーレ最高だよ」

薔薇「…気に入っていただけて、幸せです……」

白崎「そうだねぇ~、ドールズの中で結婚するなら、
   やっぱ薔薇水晶だよね~」

槐「お前にはやらんぞ」

白崎「はは、冗談冗談。そんな怖い顔しないで」

薔薇「…うふふ、ありがとう…白崎…」


ヒューン

槐「ん?」

白崎「あれ、鏡から…」

薔薇「あれは…メイメイ?」

115: 2008/07/23(水) 15:39:57.46 ID:MVckEdZZ0
槐「何だ、何チカチカしてるんだ」

薔薇「………」

薔薇「……」

白崎「何て言ってるんだい?」

薔薇「あ、いえ…ちょっと水銀燈が用事があるみたいで…」

槐「アリスゲームか!!僕の出番だな」

薔薇「違います……ちょっと、行ってきますね……」

120: 2008/07/23(水) 15:43:12.92 ID:MVckEdZZ0
雛「わーい、ジュン登りなの~」

ジュン「こ、こら苺、やめろよ勉強させろよ」

金「あはは、面白いかしら~」

ガチャ

翠「………何してるです?」

雛「あー、翠星石なのー。ヒナね、ジュン登りしてるのー」

ジュン「はは、やめろよ」

翠「……」

ガチャ

蒼「やあ、ごめんね皆。おわっ、雛苺、また今日もジュン君に登ってるんだね」

翠「……今日も?」

124: 2008/07/23(水) 15:46:45.02 ID:MVckEdZZ0
ジュン「全く、油断してると登ってくるんだから」

雛「うゅ、だってだって、ヒナ、ジュンの事だーい好きなんだもん」

翠「…………」

金「?」

蒼「どうしたんだい、翠星石」

翠「……へえ、なかなかやるですねぇチビ苺」

翠「こうなったら、翠星石も登ってやるですよぅ!!」

雛「うにゅ、負けないの~」

翠「へっへ~、所詮チビチビですぅ、翠星石の相手じゃないから、
  アウトオブ眼中ですぅ♪」

蒼「全く……」

金「(何かしらさっきの冷たい目…)」

129: 2008/07/23(水) 15:48:39.66 ID:MVckEdZZ0
薔薇「……こんにちは…」

銀「…………」

薔薇「もしもし?」

銀「………薔薇水晶…?」

薔薇「ええ、珍しいですね、お姉さまからお誘いなんて……」

銀「助けて………」

薔薇「えっ?」

銀「助けて、私も潰される、助けて」

薔薇「どうしたのです…」

139: 2008/07/23(水) 15:58:32.47 ID:MVckEdZZ0
~~水銀燈は震えながら全てを話した~~

薔薇「……翠星石がそんな事を?」

銀「……私も、真紅のように潰されて、魂も粉々にされる……私も…」

薔薇「落ち着いてお姉さま…貴女に被害はおそらく及ばない」

銀「…どうして…」

薔薇「まず、お姉さまが気づいた事なんて翠星石は知らないし、
   第一、桜田ジュンに、少なくとも桜田家に近づかなければ、
   お姉さまに危害が及ぶ心配はないでしょう?」

銀「……た、確かに……」

薔薇「目的が真紅の排除だったのなら、これ以上ローザミスティカが
   失われる心配もない」

銀「………」

144: 2008/07/23(水) 16:01:29.04 ID:MVckEdZZ0
銀「…でも、そうなると雛苺や蒼星石は…?」

薔薇「ですから、関わらなければいいのです。彼女たちが
   どうなろうと」

銀「ダメよ…これ以上ローザミスティカが失われれば、アリスゲームは
  確実に停止する…それじゃあ、アリスになれないわぁ…」

薔薇「……」

銀「貴女は薔薇乙女じゃないから、あまり関係ないのかもしれないけど」

薔薇「まあ、そうですね」

銀「…とにかく、翠星石を何とかしないと…」

148: 2008/07/23(水) 16:04:13.86 ID:MVckEdZZ0
蒼「じゃあ、そろそろ僕たち帰るね」

雛「ばいばいなのー」

翠「………」

金「………」

翠「何見てるです?金糸雀」

金「えっ!?あっ、い、いや、何でも、何でもないかしら」

翠「人の目ジロジロ見んなです」

雛「うゅ?どうしたの二人ともー」

翠「さあ、チビ苺には関係ねえですぅ」

蒼「………」

161: 2008/07/23(水) 16:14:10.02 ID:MVckEdZZ0
~夜~

雛「………」

ジュン「どうしたんだ雛苺」

雛「ううん、何でもないの」

ジュン「…心配なのか、真紅の事が」

雛「うゅ…」

ジュン「僕もだ、正直どうしていいか分からない」

雛「え?」

ジュン「本当は探しに行くべきなんだろうけど、翠星石の傍にもいてやらないといけないし…」

ジュン「ホーリエもいない。真紅に何かあったなら、ホーリエが知らせに
    来てくれるはずなんだ。でも、ホーリエも行方不明ときた」

ジュン「待っておくべきなのか…」

雛「……大丈夫なの、きっと元気に戻ってくるなの」

ジュン「そうだな、そうだと…いいけど」


翠「………」

166: 2008/07/23(水) 16:17:30.16 ID:MVckEdZZ0
ガチャ

ジュン「ふー」

翠「………」

ジュン「あれ、翠星石、何してんだそんなとこで。お腹は
    もういいのか?」

翠「うん、もう大丈夫ですぅ。チビ人間こそ疲れてるんじゃねえですか?
   さっさと寝るべきですぅ」

ジュン「ん、ああ、そうだな…ふわぁ…」

翠「チビ苺は翠星石が寝かしつけておくですから」

ジュン「ん、そうか、ありがとう……おやすみ」

翠「おやすみなさいです、ジュン///」


171: 2008/07/23(水) 16:20:49.99 ID:MVckEdZZ0
リビング


雛「………真紅……」

翠「どうしたです?チビ苺」

雛「あっ、翠星石」

翠「何だか顔色が悪いですよ?どうかしたですか?」

雛「うん…ヒナね、真紅の事が心配なの」

翠「……ふうん、真紅の事が」

雛「うんなの。どこ行っちゃったのかなぁって…」

翠「さあ、翠星石には見当もつかねえです。ひょっとしたら、
   もうジャンクになっちゃってるかもしれないですし」

雛「やめて翠星石、そんな事言わないでなの」

翠「…ああ、悪かったです…」

雛「……真紅…あんなに優しかったのに…」

翠「………」

176: 2008/07/23(水) 16:24:11.87 ID:MVckEdZZ0
雛「…実はね、翠星石」

翠「ん?どうしたです?」

雛「ヒナ、何だか眠くなってきたの」

翠「へえ、どうしてです」

雛「わからないの。でも…ヒナは真紅から力をもらってたの。
  それが途絶えたから…きっと…」

翠「何が言いたいのですぅ?」

雛「きっと…真紅はもう……」

翠「そうですかぁ…」

雛「でも、今朝いなくなって今日、もうこんなになってるなんて…」

翠「………?」

雛「ね、翠星石、ホントの事言って」

185: 2008/07/23(水) 16:28:05.99 ID:MVckEdZZ0
翠「はぁ?ホントの事って、何ですかぁ?」

雛「ホントに真紅は、自分から出てったの?」

翠「……何が言いたいのです?」

雛「真紅は自分から出てくような子じゃないの」

翠「だから何が言いたいのです?」

雛「……翠星石、怖いの……」

翠「そうですか、それはお前がビビってるだけじゃないですかぁ?」

雛「………」

翠「だぁーいじょうぶですよぉ、お前が止まっても、翠星石が
  いつか真紅を見つけてやるです。だから安心して寝ろです」

雛「………」

翠「…ねえ雛苺、もう一度訊くですよ。

  そ の 目 は 何 で す ? 」

195: 2008/07/23(水) 16:30:35.90 ID:MVckEdZZ0


銀「よっと」

薔薇「ふぅ」

銀「ここは納戸かしら」

薔薇「…のようですね…」

銀「……警戒する必要もないわね、行くわよ、メイメイ、ホーリエ」

薔薇「………」

銀「ここはリビングかしら?」

薔薇「開けてみましょう」

ガチャ

202: 2008/07/23(水) 16:34:15.67 ID:MVckEdZZ0
翠「!?」

雛「あっ」

銀「あっ」

薔薇「……翠星石…雛苺…」

翠「なっ、何しにきやがったです!アリスゲームでもしに来たですか!」

雛「ひっ…」

翠「ちっ、チビ苺、ジュンを呼んでくるです!!」

雛「りょ、りょーかいなの」

だだだだ バタン

薔薇「………」

204: 2008/07/23(水) 16:38:53.58 ID:MVckEdZZ0
銀「…翠星石」

翠「な、何ですかぁ?」

銀「事情は全て聞いたわよぉ、ホーリエ」

翠「はっ…………」

銀「貴女が真紅を、ぐしゃぐしゃのゴミにしたんでしょう?」

翠「………」

薔薇「貴女はアリスゲームを脅かそうとしている…」

翠「きっ、汚ねーですぅ!二人揃って!!」

銀「何とでも言いなさぁい。覚悟はしてもらうわ」

バァン!!

銀・薔薇「ぶっ!!」

ジュン「翠星石大丈夫か!!!」

翠「ジュ、ジュン!!」

銀「………」

薔薇「………」

207: 2008/07/23(水) 16:40:57.76 ID:MVckEdZZ0
ジュン「何しに来たんだこいつら……」

雛「気絶しちゃったのー」

翠「………」

ジュン「おい翠星石、聞いてるのか」

翠「きっ、聞いてるです……こいつらは翠星石が処理しとくですから、
  ジュン、お前はもう寝ろです」


ジュン「処理?…でも、こいつら何するか分からないぞ」

翠「いーいです、うまくやっとくですから」

雛「………」

212: 2008/07/23(水) 16:44:30.31 ID:MVckEdZZ0
ずる ずる

翠「……とりあえず包丁で……」

ずる ずる

翠「起きる前に……」

ずる ずる

翠「やっぱりジュンと翠星石は、赤い糸で結ばれてるのですぅ」

翠「この二人なら、ローザミスティカ奪ってたって、おかしくないですしねぇ」

翠「でも、人工精霊は、手元に置いとかないと、ホーリエみたいに
  バレる可能性もあるですし」

翠「次からは気をつけないとですぅ」

翠「ふふ」

銀「う……」

218: 2008/07/23(水) 16:46:36.02 ID:MVckEdZZ0
銀「うっ…」

翠「ちっ、さっさと刺さないと」

どつっ!!!

銀「あがっ!!………」

銀「………」

翠「目を見開いたまま氏ぬなんて、やっぱりこいつは
  ジャンクですぅ」

翠「ま、明日には文字通りのジャンクになってるですけど、くふふ」

薔薇「………」

翠「次はこいつですか」

226: 2008/07/23(水) 16:49:41.54 ID:MVckEdZZ0
薔薇「………」

翠「さ、お前もさっさと氏ねです」

ヒュッ

薔薇「くっ!!」

ざくっ

薔薇「痛っ…!!」

翠「ちっ」

翠「もらったばかりですけど…この羽食らえですぅ!!」

ダラララララッ

薔薇「ああああっ!!!!」

ドガシャーン

薔薇「…う……あ……ぐ……」

翠「大人しくするです。大人しくしてたら」

薔薇「ぐ……」

翠「痛くないように壊してあげるですからぁ」

232: 2008/07/23(水) 16:53:06.93 ID:MVckEdZZ0
薔薇「…貴女は…アリスなんかに…絶対なれない……」

翠「何とでも言えです。翠星石はジュンさえいれば、
  蒼星石だって、いらないのですから」

薔薇「………」

ヒュンッ

翠「えっ」

薔薇「………油断したわね……」

ドンッ

ゴロゴロゴロ

翠「え、あ」

薔薇「次は、もう片方の腕…」

翠「あああああああああああ翠星石の右腕がああああああ」

雛「薔薇水晶!!!」

翠「あがあああああ」

薔薇「!!!雛苺…」

238: 2008/07/23(水) 16:56:50.77 ID:MVckEdZZ0
雛「翠星石…!」

薔薇「(ひ、雛苺はどこから見ていたの?
    どの言葉から…?)」

翠「ああああああ氏ねえええええ」

薔薇「うっ」

どつっ!!!!


薔薇「あ………」

薔薇「………」

翠「はぁ……はぁ……」

翠「偽物のくせに…偽物のくせに……偽物の……」

雛「す…翠星石……」

翠「……チビ苺?」

241: 2008/07/23(水) 17:00:14.77 ID:MVckEdZZ0
雛「……」

翠「ちょうど良かったです。今からこいつらゴミ捨て場に
   捨ててくるですから、お前も手伝えです」

雛「………」

翠「聞こえてるはずですよ?雛苺。早くゴミ捨て場に運ぶです」

雛「……や…なの……」

ガクガクガク

雛「嫌なの…嫌なの……」

翠「…何ですって?」

雛「怖いの…翠星石怖いの……」

翠「………見てたのですね?」

雛「……」

247: 2008/07/23(水) 17:03:29.39 ID:MVckEdZZ0
雛「………」

翠「答えないという事は、見てたと受け取ってよいんですね?」

雛「…や……」

翠「じゃあ、お前」

雛「いやああああああああああああああ」

しゅるるるるるる

翠「あっ!!」

雛「翠星石なんか嫌いなの!!」

翠「い、苺わだち!!」

雛「わああああ」

玄関ドアから駈け出していく雛苺

翠「ぎっ……取り逃がしたですぅ……」

どたどたどた

ジュン「何だ今の声!?」

253: 2008/07/23(水) 17:07:01.01 ID:MVckEdZZ0
ジュン「わっ、す、翠星石!どうしたんだ!?」

翠「(ちっ)」

翠「う……う…い、痛いです痛いですぅぅ!!ジュンンン!!」

ジュン「う、腕が!!」

翠「薔薇水晶にやられたですぅ!!うわあああん!!」

ジュン「その苺わだちは!?」

翠「雛苺が錯乱して、翠星石を縛って逃げてったですぅ!!
  うわああああああん!!!」

ジュン「何てこった…!僕がもうほんの少し、ここにいてやれば…!!」

翠「ジュン、こんな奴らゴミ捨て場に捨ててきてほしいですぅ!!」

ジュン「ゴ、ゴミ捨て場??何で??」

翠「嫌ですぅ!こんな奴らの顔なんか見てたくないですぅ!!」

ジュン「…翠星石」

257: 2008/07/23(水) 17:10:32.18 ID:MVckEdZZ0
雛「はっ……はっ……」

雛「嫌なの……いやなの……」

雛「あっ」

どてっ


雛「お…おかしいの…身体が…身体が……」

雛「も、もう……」

雛「おかしいの…そうなの、きっと……翠星石は…誰かに騙されてるの…
   いつもの翠星石は…意地悪もするけど…もっと優しくて…」

雛「誰も…傷…つけ…られない…ような……」

雛「ベリーベル……ヒナ、もう…ダメ…なの…」

雛「お願いが……」


雛「そう……ヒナを……届けて……」

雛「もう…い…や……………」


雛「…………」

270: 2008/07/23(水) 17:19:46.63 ID:MVckEdZZ0
倒れている雛苺

身体からローザミスティカが離れ、桜田家とは別の方向に飛んでいく



雪「…………」

雪「……雛苺…」

雪「可哀そうに……」

雪「身体を奪う機会を待っていたけど……」

雪「貴女のその気持ち、汲んであげましょう……」

雪「ただ、こんな所に倒れていたら、車に轢かれてしまうか…」

雪「別の場所へ行きましょう…もっと…優しい場所へ…」

雪「そう、貴女が見たのは、悪い夢……」

雪「悪い夢………」

275: 2008/07/23(水) 17:22:20.31 ID:MVckEdZZ0
蒼「………眠れない」

蒼「今日の翠星石は、何だかおかしかった」

蒼「気にするほどじゃないかもしれない」

蒼「でも、妹がいなくなって、あんな冷たい、いや、
  無関心な態度を取る子じゃなかった……」

蒼「それは僕が一番よく知っている」

蒼「まさか、翠星石が真紅を…?」


カツ カツ

蒼「ん?」

ガチャ

蒼「おわっ、ベリーベル!」

蒼「え…?これは……?」


蒼「ひ、雛苺のローザミスティカ…?」

280: 2008/07/23(水) 17:27:22.10 ID:MVckEdZZ0
金「そうなのよ、みっちゃん」

み「へえ、どうしたんだろうね」

金「カナ、何だか怖いかしら」

金「あんまりジュン君ちに行きたくないような……」


キィィン

金「ん」

み「あれ」

金「鏡から誰か……え、ひ、雛苺?」

雪「違います。私は雛苺じゃない」

金「だっ、誰!!!!目が、目の色が……」

雪「私は雪華綺晶」

金「き、きらきしょう???」

281: 2008/07/23(水) 17:29:31.89 ID:MVckEdZZ0
雪「彼女は眠りについた。それをたまたま私が拾っただけ」

金「な、何よ、ヒナに取り憑いて何を!!」

雪「彼女の身体をここまで持ってきただけです。今回の騒ぎは
  私には関係ない。下らない事で労力を割きたくない」

金「今回の騒ぎって…?」

雪「いずれ分かる…それは金糸雀、貴女
自身が感じている事があるはず…」

金「え…」

雪「貴女が真に、妹たちの事を想うのであれば」

金「………」

雪「この子を救ってあげなさい、金糸雀」

雪華綺晶の身体が離れ、雛苺の身体が倒れる

金「ヒナ!」

283: 2008/07/23(水) 17:31:11.89 ID:MVckEdZZ0
み「消えた……」

金「私自身が感じている事…?」

金「………どういう事かしら……」

み「ヒナちゃん、どうなってるの?」

金「わからないわ、ベリーベルもいないし、ローザミスティカも
  奪われてるみたい……でも、どうしてここへ…」

金「………どうして、雪華綺晶はここにヒナを…?」

285: 2008/07/23(水) 17:33:26.92 ID:MVckEdZZ0
蒼「……翠星石がそんな事を…?」

蒼「でも、そんな言葉や、二人を倒しただけじゃ何とも……」

蒼「………」

蒼「それでも、そういう考えに行きつかざるを得ない……」

蒼「ベリーベル、それなら、今残っているドールズは……」

蒼「あと一人」

蒼「……急ごう」

288: 2008/07/23(水) 17:36:57.98 ID:MVckEdZZ0
翠「そうです、こうしてバラバラにしておけば、ゴミ袋にも
  入るです」

ジュン「…なあ翠星石」

翠「何です?」

ジュン「やっぱり、僕は気が引けるよ」

翠「何がですか」

ジュン「お前の、姉妹なんだろ?それを」

ジュン「どうして肢体をバラバラにして、ゴミ袋に入れる必要があるんだ…」

翠「当たり前です。翠星石は右腕をちょん切られたのです」

ジュン「翠星石、お前ちょっとおかしいぞ、最近」

翠「何が?何がおかしいのです?翠星石はジュンと一緒にいたいだけです」

ジュン「とにかくこんな事はやめよう。可哀想過ぎる」

翠「いいです。なら翠星石が2袋とも捨ててきてやるです」

297: 2008/07/23(水) 17:46:01.56 ID:MVckEdZZ0
~みっちゃん宅~

み「ZZZZ」

金「………」

キィィン

金「(びくっ)だ、誰?!」

蒼「僕だよ金糸雀」

金「そ、蒼星石………

蒼「ちょっと話があってさ」

金「話…?」

蒼「そう、翠星石の事だよ」

305: 2008/07/23(水) 17:56:06.47 ID:MVckEdZZ0
翠「よいしょ、よいしょ」

ドサッ

翠「ふう……燃えるゴミだから、半透明のでいいんですよね」

翠「でもびっくりしたです…まさか水銀燈と薔薇水晶が結託してくるなんて…」

翠「翠星石とジュンが幸せに過ごすには…いらないものが多すぎるんですぅ」

翠「………あと…いらないもの……」

翠「真紅は潰れた…水銀燈と薔薇水晶もバラバラにした…雛苺も、きっとこれで停止する…」

翠「メイメイ、ホーリエは私の命令を聞くようにした…」

翠「ベリーベルが、ひょっとしたら蒼星石か金糸雀の所に…?」

翠「まさかこれで真紅の事まで突き止める事はないでしょうが…確証もないし…」

翠「疑いの目を向けるようであれば、二人とも壊してあげた方がいいですよねぇ……」

翠「とにかく、隠すです。いなくなった妹たちを心配する姉として。
  時たまに、泣いたりするのもいいかもしれないですぅ」

翠「………しかし大変ですねぇ…隠すというのは…」

翠「この二人のゴミ袋も、ゴミ山の奥に押し込んでおくです」

313: 2008/07/23(水) 18:08:17.72 ID:MVckEdZZ0
ジュン「何なんだ一体…?何がどうなってる…?」

ガチャ

ジュン「ん」

翠「うう……しくしく……」

ジュン「おい、どうした」

翠「翠星石がどうかしてたですぅ、ジュン、うわあああああん!!」

がしっ

ジュン「何だなんだ、どうした」

翠「うっ……翠星石がだらしないせいで……
  真紅も出て行ってしまった……雛苺もいなくなってしまった……」

ジュン「お、お前」

翠「翠星石は…翠星石は…ダメな人形ですぅ…」

ジュン「泣くなよ翠星石。大丈夫だよ、きっと、きっと二人とも…」

翠「うぅ……」

322: 2008/07/23(水) 18:18:45.81 ID:MVckEdZZ0
蒼「……とにかく、1対1で翠星石と話すのはやめよう」

金「…そうね、カナも、あの冷たい目見た後だと、話しかけるのも
  怖いかしら」

蒼「…明日、二人でもう一度ジュン君の家に行こう。
  そこで翠星石をよく見極めるんだ」

金「見極めるって…?」

蒼「……」

金「…どういう事?」

蒼「あんまり言いたくないんだけど…ああ、言うよ、
  単純に、クロかシロかを判断する」

金「明日……」

蒼「呼び戻せるのなら、全員、呼び戻せるうちに行動しよう」

金「ええ、分かったかしら」

324: 2008/07/23(水) 18:22:14.12 ID:MVckEdZZ0
~~あくる日~~

金「ふわぁ……何でこんな朝早くにぃ…?」

蒼「雛苺は、翠星石が『今からこいつらゴミ捨て場に捨ててくる』と
  言ってたのを聞いている」

金「え…」

蒼「この近くのゴミ捨て場に、ひょっとしたら、水銀燈と薔薇水晶が捨てられて
  るかもしれないってことさ」

金「………ゴミ…捨て場……」

蒼「あまり考えたくないけどね」

325: 2008/07/23(水) 18:25:56.76 ID:MVckEdZZ0
金「ここが一番近いゴミ捨て場ね」

蒼「………」

金「特にそれらしいものは見当たらないかしら」

蒼「いや」

金「?」

蒼「金糸雀、何も見えないって事は、隠されている可能性もあるって事だよ」

金「隠す…?」

蒼「もしゴミ捨て場に捨てられてて、無造作に二人が置かれてたら、
  僕は翠星石が錯乱してた、で済ませる、つもりだった」

金「……でも、どこにもないじゃない」

蒼「もしこのゴミ山の中に、二人の身体が隠されていたら」

金「え」

蒼「金糸雀、君はどう考える?」

328: 2008/07/23(水) 18:28:44.79 ID:MVckEdZZ0
金「探さなくても、きっとないわよ」

蒼「金糸雀、いいかい」

蒼「真紅が行方不明になったのも、どこにも手がかりがない。
  水銀燈と薔薇水晶が、どうして二人で桜田家を襲ったのかも分からない」

金「あっ……」

蒼「分からない事だらけの場合は、とにかく思いついた事をするしかない」

蒼「何より、僕だって、翠星石に対する疑念を払拭したい」

蒼「彼女は僕の双子の姉だから」

335: 2008/07/23(水) 18:32:32.67 ID:MVckEdZZ0
蒼「んっ……こ、これは重たい…レンピカ」

キィン

蒼「鋏で…てこの原理で…んぐぐぐぐぐ」

金「蒼星石、そこをどくかしら」

蒼「えっ?」

金「終わりのない追走曲!」

ゴオオオ


蒼「わっ、ゴミ袋が!!」

ドサドサドサドサ

金「ふっふ~、カナだって、伊達に次女張ってるわけじゃないのよ?」

蒼「はは…やるなぁ……あっ!!!???」

金「ひっ!!」

340: 2008/07/23(水) 18:35:33.74 ID:MVckEdZZ0
蒼「水銀燈の首が…」

金「これ、薔薇水晶のドレス…いえ、か、身体…」

蒼「ひ、酷い…バラバラにしてある……」

金「ま、まさか翠星石が?ほ、本当にこんな事を…?」

蒼「…………」

金「このままだったら、一時間後には二人はぐしゃぐしゃに潰されて…」

蒼「…ローザミスティカも……」

金「……」

蒼「……」

金「…もし、翠星石が真紅を同じ目に遭わせたのだとしたら……」

341: 2008/07/23(水) 18:37:08.82 ID:MVckEdZZ0
蒼「真紅は、もう…………」

金「か、考えたくないけど……けど…」

金「それなら、ローザミスティカの気配がどこにもない事に
  説明がつくわ」

蒼「……そうだね……」

金「…………」

350: 2008/07/23(水) 18:46:52.36 ID:MVckEdZZ0
蒼「まだ6時半だ。水銀燈と薔薇水晶の袋を、金糸雀の家まで運ぼう」

金「わかったかしら」





翠「…ふうん、そういう事ですかぁ。チビ苺が蒼星石の所に…
  それに、何か気付きやがったみたいですねぇ………」

翠「翠星石の中には、水銀燈のローザミスティカがあるですのに…」

翠「下らん事推理するような妹は、ちゃっちゃと始末するべきですね」

翠「これで終わりです。金糸雀、蒼星石」


後を追う翠星石

351: 2008/07/23(水) 18:51:46.52 ID:MVckEdZZ0
蒼「今日は金糸雀のマスターはいないのかい?」

金「朝イチで出張に出掛けちゃったわ」

蒼「そうなの」

金「……正直、カナは信じたくないわ…」

蒼「何を?」

金「翠星石があんな事、してるかもなんて…」

蒼「………」

蒼「僕だって信じたくないさ。でも……」

蒼「守るものが互いにあるなら、いつかは人と人は、衝突するように
  出来ている」

蒼「僕は、真紅や雛苺の日常を守りたい。そして翠星石も…」

蒼「ひょっとしたら、彼女には、姉妹以上に守りたいものが
  出来たのかもしれない……」

蒼「大団円なんてあり得ない。どちらかが必ず消える」

蒼「闘うって、そういう事でしょ」

金「………」

354: 2008/07/23(水) 18:54:24.19 ID:MVckEdZZ0
金「そうね…カナも、みっちゃんを守りたい」

金「ヒナの想いも、守りたい」

蒼「金糸雀……」

ヒュウウウン

ガシャアアアアン

ダラララララッ

金「きゃあっ!!」

蒼「金糸雀!!!??」

翠「やっぱり双子なんですねぇ、蒼星石」

翠「当たりですよ、翠星石にも、守りたいもの、出来たんですぅ」

357: 2008/07/23(水) 18:57:40.31 ID:MVckEdZZ0
蒼「翠星石!!!」

翠「酷いですぅ…二人とも…」

蒼「な、何がだよ」

翠「翠星石は、ただ、ジュンと一緒に過ごしたいだけなのに……」

蒼「ジュン君と…?まさか…?」

翠「ああ、会話するのもめんどくさい。お願いですぅ、蒼星石。
  このまま壊れてほしいんですぅ」

ヒュ ヒュ ヒュッ

蒼「うぐあっ」

金「そ、蒼……星……」

金「………」

金糸雀の身体が光り始め、ローザミスティカが現れる

361: 2008/07/23(水) 19:01:38.24 ID:MVckEdZZ0
蒼「金糸雀!!」

ヒュウウウン

蒼「ちっ…!羽根がっ…!」

翠「どうして?どうして翠星石の邪魔をしようとするんですか?」

蒼「何をっ…!」

翠「真紅とばかり一緒にいて。雛苺はジュン登り。水銀燈も薔薇水晶も
  邪魔してきて」

蒼「やめるんだ翠星石!!翠星石!!」

翠「金糸雀も、蒼星石、お前も」

蒼「どうして!!僕たち姉妹でしょ!何でこんな事しなきゃいけないの!?」

翠「邪魔なんですぅ」

翠「皆邪魔なんです、邪魔なんですぅ」

363: 2008/07/23(水) 19:03:09.49 ID:MVckEdZZ0
蒼「くっそ」

鏡に飛び込む蒼星石

翠「金糸雀のローザミスティカ…これで3つ…あとは……」

後を追う翠星石


翠「お前だけですぅ、蒼星石」

384: 2008/07/23(水) 19:19:10.22 ID:MVckEdZZ0
蒼「くっ……肩をやられた…」

蒼「……」

蒼「まだ後ろは見えない……」

蒼「こうなったら………レンピカ!!ベリーベル!!」




翠「バレバレですぅ。遠くでも光ってりゃ、こっちからは
  見えるですよ」

翠「どこかの扉へ入りやがったですね」

翠「追うです。ホーリエ、ピチカート、メイメイ、スィドリーム」

388: 2008/07/23(水) 19:26:50.94 ID:MVckEdZZ0
翠「……ここは……」

翠「真っ暗ですぅ」

翠「……うっ…にゃんか埃くさいですぅ……」

翠「…ここはまさか……ジュンの家の物置…?」

翠「とにかく外に出ないと…」


ガラッ


ジュン「翠星石!!!!」

翠「えっ!!ジュン!!!」

392: 2008/07/23(水) 19:33:14.23 ID:MVckEdZZ0
ジュン「もうやめるんだ!!翠星石!!」

翠「ど、どうしてジュンが……」

ジュン「話は聞いた、もう姉妹を壊すのはやめろ」

翠「ジュ、ジュン…」

ジュン「昨日からのお前見てておかしいと思ったら…蒼星石が話してくれたよ…」

翠「………」

翠「………」

蒼「翠星石…」

翠「…や……」

翠「やぁですねぇ、ジュン。す、翠星石は、蒼星石と鬼ごっこしてただけですよ?」

396: 2008/07/23(水) 19:37:06.98 ID:MVckEdZZ0
翠「それを大袈裟に…何です、蒼星石ばっかり」

ジュン「じゃあどうして、真紅や金糸雀の人工精霊まで引き連れてる?」

翠「………」

翠「これは、たまたまホーリエが舞い戻ってきたから」

ジュン「じゃあホーリエに、真紅の事聞けばいいんだな?」

翠「あ……」

翠「あの、ホーリエは知らないって言ってたですぅ」

ジュン「知らないはずはない。ホーリエこそ、真紅がどうなってるか、
   一番よく分かっているはずだ」

翠「……だ、ダメですぅ!!真紅はもうどこにもいないに決まってます!!」

ジュン「どこにも…いない?」

翠「だからジュンは、ジュンは翠星石と一緒に、ずーっと一緒に
  いてくれれば……翠星石は…翠星石は……」

蒼「……翠星石」

399: 2008/07/23(水) 19:41:23.66 ID:MVckEdZZ0
蒼「翠星石、もういいんだ…やめて…」

蒼「双子の君の、そんな姿を見たくはないんだ…僕は」

翠「な、何とんちんかんな事言ってるんです!こっち来んなです!!
  バカ!!蒼星石のバカ!来るなです!来るなです!!」

ヒュッ ヒュッ

蒼「ぐっ!?」

ジュン「蒼星石!?翠星石やめろ!!」

翠「イヤです!!イヤですぅ!!翠星石はずっとジュンと一緒に
  いるんですぅ!!誰も邪魔なんかさせねーですぅ!!」

蒼「…翠星石」

ジュン「…翠星石…」

402: 2008/07/23(水) 19:48:43.30 ID:MVckEdZZ0
翠「どうして…どうしてです……?」

ジュン「……」

蒼「………」

翠「何で…何でそんな目で見るですか。それじゃまるで、
  翠星石が…翠星石が………」

ジュン「…翠星石、もう…もういいんだ……」

翠「やめてです!そんな目で見てほしくて、真紅を捨てたわけじゃ
  ないですぅ!!ジュン、嫌ですぅ!!」

蒼「真紅を……やっぱり…」

ジュン「真紅を捨てた?どういう事だ?」

翠「真紅を鞄ごと、ゴミ捨て場に捨ててやったですよ!!
  翠星石の邪魔ばっかりするから!!
  ジュンがちっとも翠星石を見てくれないからぁ…!!」

翠「うっ……うううっ………」

ジュン「翠星石っ!!お前っ!!」

蒼「やめてジュン君!!ここは僕が!!」

翠「………分かってたですぅ……」

419: 2008/07/23(水) 19:59:40.70 ID:MVckEdZZ0
翠「………いくら真紅がいなくなったって……」

翠「ジュンは決して翠星石を見てくれない…」

ジュン「……」

翠「どこか遠くに行ってしまった、真紅の方ばかりを見てるですぅ……」

蒼「翠星石…」

翠「だから、翠星石の心の樹は、いつまでも経っても…」

翠「満たされないまま………」

ジュン「………」

翠「…でも、それももう終わりですぅ…」

423: 2008/07/23(水) 20:03:45.81 ID:MVckEdZZ0
翠「ジュン、蒼星石」

翠「悪かったですぅ……」

ジュン「え…」

翠「もう真紅は戻ってこないです」

翠「もうペシャンコに潰されて、どこかのゴミ処理場の
  ゴミの山に埋もれて」

翠「ローザミスティカも粉々に潰されてしまった」

翠「……ジュンが真紅を見ている以上、翠星石は、幸せになれないですぅ」

翠「だから、さよならです」

蒼「何を!?」

包丁を取り出す翠星石

ジュン「バッ……」

蒼「やめて!!!」


グサッ

428: 2008/07/23(水) 20:06:23.48 ID:MVckEdZZ0
翠「…………」

翠「う……

蒼「何てことを!!」

翠「…バカな姉で…」

蒼「喋らないで!!」

翠「ご……………」

翠星石の身体が輝き始め、ローザミスティカが3つ飛び出してくる


翠「…………」


ジュン「……翠星石」

蒼「う………」

蒼「うわあああああああああああああああああっっっっっ!!!!!!!!!」

440: 2008/07/23(水) 20:12:31.81 ID:MVckEdZZ0



翠「どうですこのケータイ小説」

紅「駄作ね。赤い糸以上に稚拙だわ」

ジュン「お前…僕にこんな感情抱いてたのか?」

雛「わーい、ヒナが活躍してるの」

蒼「僕が最後まで残ってるなんて」

金「ちょっと、何でカナがあっさりやられてるのかしら!!」


翠「んなーーーーっ!!!何です何ですその反応!!
  せっかく翠星石が文豪ぶりを見せつけてあげたというのに!!!!」

ジュン「いや、だって……」

紅「冒頭で私が潰されて氏ぬって何なのかしら。あり得ないのだわ」

翠「う~~……」

450: 2008/07/23(水) 20:16:07.30 ID:MVckEdZZ0
翠「うえ~ん、酷いですぅ、せっかく翠星石が…うぅ…」

薔薇「あら…どうしたのですか…こんな所で…」

翠「おーっ!!薔薇水晶!!丁度良かったですぅ!!これ
  読んでみてほしいですぅ!」

薔薇「…?」


~~10分後~~

薔薇「………」

翠「ど、どうですどうです?」

薔薇「私はこんなに弱くない……そもそも貴女は準主役…
   どんなにあがいても、人気があっても、準決勝に
   進めないベスト8止まりのドール……」

翠「きええええーーっ!!
  やかましいですやかましいです黙れです黙れです!!!!」

翠「うあああん、酷いですぅー」

466: 2008/07/23(水) 20:22:55.93 ID:MVckEdZZ0
翠「うぅ……ひっく…ひっく……」

銀「あらぁ、どうしたのぉ、翠星石」

翠「うぅ…水銀燈…?」

銀「らしくないわねぇ、独りぼっちで泣くなんて…
  お姉さんに話してみなさいよぉ。カウンセリング代は
  ローザミスティカひとつでいいわぁ」

翠「ちょっとコレ読んでみてほしいですぅ」

銀「何これ」


468: 2008/07/23(水) 20:23:36.46 ID:MVckEdZZ0
~~15分後~~

銀「何よこの序盤のヘタレな私は!!!何で
  私が腰抜かして『逃げなきゃ…』とか言ってんのよぉ!!」

翠「そ、そんなに怒らなくたっていいじゃないですかぁ」

銀「ふん、こんな妄想繰り広げてないで、さっさと就職活動でも
  したらどうなの?どうせ貴女は、アリスゲームしたって
  かませで終わるんだから」

翠「う、うるさいですうるさいですうるさいです……」

銀「じゃあね、ばいばーい」


翠「…………」

477: 2008/07/23(水) 20:25:48.93 ID:MVckEdZZ0
紅「ジュン、抱っこして頂戴」

ジュン「ああ、はいはい」

雛「あっ、ヒナもヒナも!!」

ジュン「ああ。後でな」

翠「…………」

ジュン「あれ、小説捨てるのか?」

翠「…………」


ビリビリ ぐしゃ びりびり びっ ぐしゃぐしゃ

翠「………」

ジュン「おい」

翠「…もういいです…」

482: 2008/07/23(水) 20:29:30.30 ID:MVckEdZZ0
~~物置~~

翠「あーあ。結局妄想な妄想のままですぅ。現実になんて
  なりっこないですねぇ」

翠「…ホントはそりゃ、たまーのたまーに、こんな鬼畜な事
  考えたりもしますけどぉ」

翠「…やっぱり、翠星石は、ジュンの笑顔も、真紅の笑顔も、蒼星石も
  雛苺も金糸雀も、みぃんなみんな、大好きなんですぅ」

翠「だったら、翠星石はその笑顔を守るために生きてたいですし…」

翠「………」

翠「ふふふ」

翠「さ、そろそろ晩ごはんの時間です、さっさと行くです」

?「待って……」

490: 2008/07/23(水) 20:32:39.58 ID:MVckEdZZ0
翠「んあ?」

翠「何か鏡から声がしたです」

翠「………」

翠「んー?」

しゅるるるるっ

翠「あっ…」

鏡の中に引き込まれる翠星石




~~~10分後~~~


翠「ふう……」

翠「これでようやく、望みを叶えられそう…」

496: 2008/07/23(水) 20:36:07.26 ID:MVckEdZZ0
翠「ふふふ」


ガラッ

紅「あら、こんな所にいたの?翠星石」

翠「ええ、ちょっと次のネタを考えてたの」

紅「?あら、どうしたのその目、カラーコンタクト?

翠「そうですわ、金色も、なかなか味があって良いでしょう?」

紅「ふふ、そうね」

翠「……」

紅「さ、ごはんにしましょう」

踵を返す真紅

翠「そうですね、遠慮なくいただきますわ」

翠「この子が望んだように」


紅「…え?」

ドスッ

506: 2008/07/23(水) 20:39:22.63 ID:MVckEdZZ0
紅「す…翠星石?」

翠「ごめんなさいね、紅薔薇のお姉さま」

ドスドスッ

紅「あ……」

紅「………」

真紅の身体から、ローザミスティカが出てくる

翠「さて、どうしましょうか。この肢体」

翠「ふふ、やっぱり……」


翠「鞄ごとゴミに出すのが、一番ですわね…」

翠「ふふふふ……」




翠星石「眠ってる真紅の鞄をゴミに出したです」   【完】

507: 2008/07/23(水) 20:39:50.12 ID:avq1anNi0

508: 2008/07/23(水) 20:40:12.29 ID:CYubR/1+0
おっつー

534: 2008/07/23(水) 20:52:22.45 ID:MVckEdZZ0
途中でぷん太のにゅーすの話が出たけど、
実は過去に、書いたSSがぷん太に載った事があるんだ。
作風はその時とは違うけど、
楽しんでもらえてよかったよ。みんな、乙!!!!

552: 2008/07/23(水) 21:31:13.33 ID:MVckEdZZ0
>>550当てれるはずがないさ

555: 2008/07/23(水) 21:35:01.26 ID:MVckEdZZ0
>>554そりゃローゼンだよ
あとは脳内補完してくれ

引用: 翠星石「眠ってる真紅の鞄をゴミに出したです」