30: 2008/07/29(火) 20:48:40.81 ID:izYhUfof0
真紅「……」

のり「あら、真紅ちゃん?ハンバーグ食べないの?」

真紅「いらないわ、ちょっと食欲がないの」

のり「そう…分かったわ、冷蔵庫に入れておくから、好きな時に食べてね」

真紅「ありがとう、のり…」

ジュン「どうしたんだ真紅」

真紅「いいえ、別に…。ねえ、ジュン」

ジュン「ん?」

真紅「やっぱり何でもないわ。ごめんなさい、忘れて頂戴」

ジュン「…?」

32: 2008/07/29(火) 20:53:03.60 ID:izYhUfof0
雛苺「うーん、眠いのー、おやすみなさいなの」

翠星石「翠星石ももう寝るですぅ。真紅はまだ寝ないのですか?」

真紅「いえ、もう上がるわ。ジュン、貴方ももう部屋に戻りなさい」

ジュン「ん、うん、もう少し観たいテレビがあるから」

真紅「……?」

チラチラと電話を見ているジュン

真紅「………ジュン?」

ジュン「……」

真紅「ジュン、どうかしたの」

ジュン「い、いや」

35: 2008/07/29(火) 21:00:25.12 ID:izYhUfof0
プルルルル

ジュン「はいもしもし」

ジュン「ああ、何だ柏葉か…」

ジュン「…ん、はい、はい、分かった、雛苺に伝えとく」

ガチャ

ジュン「はぁ…」

真紅「………」

ジュン「どうしたんだ真紅。早く寝た方がいいぞ」

真紅「まるで誰かの電話を待ってるみたいね、ジュン」

ジュン「え」

真紅「だって今、何だかがっかりしてたじゃない」

ジュン「い、いや、別に」

36: 2008/07/29(火) 21:02:54.80 ID:izYhUfof0
真紅「……」

ジュン「違うよ、何でもない」

真紅「あら、そう…」

ジュン「……」

真紅「ね、一ついいかしら」

ジュン「ん」

真紅「さっきね、実は水銀燈から電話があったのよ」

ジュン「えっ?」

真紅「貴方を騙そうとしてたから、切ったのだけれど」

ジュン「だ、騙そうとしてたって…?」

真紅「何?気になるの?」

ジュン「あ、いや…」

39: 2008/07/29(火) 21:06:55.42 ID:izYhUfof0
真紅「ね、ジュン」

ジュン「な、何だよ…」

真紅「貴方は私と契約してるのよね?」

ジュン「あ、ああ」

真紅「だったら、別に水銀燈からの電話なんて、気にかける必要、
   ないわよね」

ジュン「え、あ、いや…」

真紅「大丈夫よ、私がキチンと、『悪趣味な行為は慎んで頂戴』って言っておいたから」

ジュン「そ、そう…」

真紅「どうしたの、どうしてそんな顔をするの?」

ジュン「……いや、その」

真紅「……ごめんなさい、私もう寝るわ」

41: 2008/07/29(火) 21:12:11.27 ID:izYhUfof0
水銀燈「…今日はもう電話出来ないわねぇ…」

水銀燈「…でも、ジュンはきっと待ってくれてる……」

水銀燈「もう22時30分…真紅は寝たかしら…」

水銀燈「一回だけ、一回だけ掛けてみる事にするわぁ」


ピッ ピッ ピッ

プルルルルル

水銀燈「………」

水銀燈「ジュン………」

43: 2008/07/29(火) 21:18:22.23 ID:izYhUfof0
プルルルル

水銀燈「……」

プルルルル

水銀燈「ジュン…」

プルルルル

水銀燈「……」

プルルルル


プルルルル


プルルルル

44: 2008/07/29(火) 21:22:28.62 ID:izYhUfof0
プルルルル


水銀燈「…やっぱり、もう…」


ガチャ


『…はい』


水銀燈「!!!」


『もしもし…』

水銀燈「あの…もしもし…さ、桜田さんですか?」

『水銀燈か…?」

水銀燈「あ、ああ、あぁあ……」

『もしもし』

水銀燈「そ、そうよ、ジュン、良かった、ジュン!!」

48: 2008/07/29(火) 21:25:22.65 ID:izYhUfof0
水銀燈「ごめんなさい、さっき真紅が」

『ああ…さっき教えられたよ…お前から悪戯電話が入ったってな』

水銀燈「そ、そんな…ご、ごめんなさい…」

『多分気づかれてる』

水銀燈「………」

『水銀燈、ごめん…』

水銀燈「え…?」

50: 2008/07/29(火) 21:30:57.13 ID:izYhUfof0
『僕は、お前の事が好きだ、愛してる』

水銀燈「ジュン…」

『でも、それと同じくらい、真紅たちの事も大切なんだ』

水銀燈「ええ、それは分かってるわ、私も。それを承知で貴方と」

『ごめん、水銀燈』

水銀燈「どうしたの?さっきから。謝ってばかりじゃない。
    やめてよ、そんなの」

『僕は、のりや、翠星石や、雛苺、それに何より真紅たちとの 
 関係を壊したくないんだ』

水銀燈「ええ、だから、壊さないように私も気をつけるわ」

『………』

水銀燈「どうしたの?どうして黙るの。何とか言って。
    私貴方に会いたいの」

『…ごめん』

52: 2008/07/29(火) 21:39:27.06 ID:izYhUfof0
水銀燈「ねえジュン、やめて。今度から気をつけるから。
    絶対真紅たちに迷惑かけないから」

『………』

水銀燈「どうして?一昨日の夜、あんなに私を愛してくれたじゃない!
    あんなに『愛してる』って言って……」

『……』

水銀燈「あんなに……」

『ごめん…』

水銀燈「……」

『……』

水銀燈「…イヤ」

『え…』

水銀燈「イヤよ…私、私、貴方がいてくれないと…」


53: 2008/07/29(火) 21:39:56.23 ID:izYhUfof0
水銀燈「お願い、もう私は貴方がいないと駄目なの。
    貴方抜きの生活なんて考えられないの」

『ごめん、許してくれ』

水銀燈「待って、ジュン、ジュン」

ガチャ

ツーツー

水銀燈「ジュン、待って!!待って…ジュン……」

水銀燈「……」

水銀燈「……う」

水銀燈「うわああああああっ!!!」

57: 2008/07/29(火) 21:47:19.61 ID:izYhUfof0
真紅「ありがとう、ホーリエ」

キィン キィン

真紅「これで水銀燈は諦めてくれるはずだわ」

翠星石「しんくー」

真紅「あら」

翠星石「ジュンを眠りにつかせたのはいいですけど、
    いつ起こせばいいですかぁ?」

真紅「そうね……」

真紅「3日間くらい寝かせておきましょうか」

翠星石「3日間も?」

真紅「そうよ。最近少し疲れてたみたいだから、強制的にでも
   眠りにつかせておいた方がよいのだわ」

翠星石「そうですかぁ…ん、まあ分かったです」

真紅「ええ、お願いね」

63: 2008/07/29(火) 21:54:11.03 ID:izYhUfof0
水銀燈「うう…うぅ…ぅ……」

水銀燈「どうして…どうして……」

水銀燈「ジュン…愛してるって…」


水銀燈「愛してるって……言ってくれたじゃない…」

水銀燈「私、私はこんなに……貴方の事……」

水銀燈「愛してるのにぃ……」

水銀燈「………」

水銀燈「………どうすればいいの…」

水銀燈「どうすれば…ジュンはこっちを向いてくれるの…」

水銀燈「うぅ……」

68: 2008/07/29(火) 22:00:48.36 ID:izYhUfof0
水銀燈「……」

水銀燈「そうよ……」

水銀燈「真紅たちがいるから…」

水銀燈「………」

水銀燈「いいえ、駄目ね…そんな事したって、ジュンは喜ばないわ…」

水銀燈「だったら…」


水銀燈「さっきの電話も、きっと真紅が近くにいたに違いないわ!そうよ!」

水銀燈「だったら、真紅に直接話をつけないと…」

水銀燈「………」

75: 2008/07/29(火) 22:07:34.78 ID:izYhUfof0
明くる日


のり「皆、朝ごはんよー」

翠星石「スコーン焼けたですぅ、早く来るですぅ」

雛苺「はーいなの、今行くのー」

真紅「……」

雛苺「どうしたの真紅ー?早く下りるの」

真紅「私はもう少しやる事があるから、遅れて行くわ。伝えておいて頂戴」

雛苺「分かったなのー」

ガチャ

バタン

真紅「………」

真紅「ジュン……」

83: 2008/07/29(火) 22:16:08.87 ID:izYhUfof0
ジュン「………」

真紅「ジュン…」

真紅「ふふ、可愛い寝顔…」

真紅「……」

真紅「きっと…」

真紅「きっと、一時の気の迷いで、貴方は道を外れていただけ…」

真紅「でもね、もう大丈夫よ」

真紅「これからは、何も迷わなくていい…」

真紅「私が、ずっと傍にいてあげる」

つつー

真紅「可愛い唇…この唾液、もらっちゃっていいかしら」

ぺろぺろ

真紅「ん……ふぅ…」

真紅「もう貴方がどこにも行かないように…」

真紅「私頑張るから…」

88: 2008/07/29(火) 22:24:15.12 ID:izYhUfof0
キィィン


水銀燈「着いたわ…」

水銀燈「…ここは、物置…?どこにいるのかしら、真紅…」

水銀燈「……」

ガラガラ

水銀燈「あっ…」


のり「ヒナちゃーん、真紅ちゃんはー?」

雛苺「まだ2階にいるのー、後から来るなの」


水銀燈「……2階……」

91: 2008/07/29(火) 22:29:25.57 ID:izYhUfof0
キシッ

水銀燈「……」

キシッ

水銀燈「…何を言えばいいのかしら…」

キシッ

水銀燈「本当は、ジュンは、私の事を疎ましく思って…」

キシッ

水銀燈「そうだとしたら…」

キシッ

水銀燈「私は、何をしに来たの…?」

キシッ

水銀燈「いえ、今は、真紅と話す事だけ…」

キシッ

水銀燈「考えればいいわ…」


93: 2008/07/29(火) 22:31:05.05 ID:izYhUfof0
キシッ

水銀燈「ジュンはきっと、真紅に唆されたのよ…」

キシッ

水銀燈「そうよ、だって、私の方が絶対」

キシッ

水銀燈「綺麗だもの…」

キシッ

水銀燈「私の方が、絶対真紅よりも…」


97: 2008/07/29(火) 22:38:26.62 ID:izYhUfof0
真紅「ジュンの事はこれで心配ないし、そろそろ下に行こうかしら」

真紅「もう水銀燈も来ないでしょうし、電話掛けてきたら、
   また昨日みたいにホーリエに相手させればいいわ」



水銀燈「……え…」

水銀燈「……い、今のは…」

水銀燈「…真紅の声…?」

ガチャ

水銀燈「きゃあっ!!」

真紅「え…きゃっ!?」

101: 2008/07/29(火) 22:48:17.90 ID:izYhUfof0
真紅「す、水銀燈!!!」

水銀燈「し、真紅!!」

真紅「あ、貴女どうしてここに!?」

水銀燈「あ、貴女に話があって来たのよ」

真紅「…話ですって?………」

水銀燈「あのベッド…ジュンが寝てるのね?」

真紅「…そうよ、だからどうしたの?」

水銀燈「会わせて」

真紅「駄目よ、ジュンは疲れてるのよ。昨日の貴女からの電話で」

水銀燈「…電話?」

真紅「正直迷惑してるの。ジュンは。今朝もご飯食べたくないって、
   寝込んでるのよ」

水銀燈「……嘘」

真紅「嘘じゃないわ。その証拠に、呼んでも起きないもの」

105: 2008/07/29(火) 22:54:44.22 ID:izYhUfof0
水銀燈「………」

真紅「……」

水銀燈「呼んでみてもいいかしら…?」

真紅「…ええ、どうぞ」

水銀燈「ジュン、私よ、水銀燈よ」

ジュン「………」

水銀燈「ジュン、ね、起きて頂戴」

ジュン「………」

水銀燈「ジュン…」

真紅「…分かったでしょう?もう。貴女は、私たちの、いいえ、
   ジュンの日常を自分勝手に乱しているだけ…」

水銀燈「……」

真紅「帰って。迷惑なの」


107: 2008/07/29(火) 22:58:14.48 ID:izYhUfof0
水銀燈「…嘘よ」

真紅「嘘じゃないわ」

水銀燈「嘘よ。私は、ジュンに何度も愛してもらったのよ。
    私知ってるのよ。ジュンは」

真紅「ちょっと…聞こえないの。帰って」

水銀燈「私の中に、ジュンは何度も愛を注いでくれたのよ」

真紅「…何言ってるの?」

水銀燈「とても熱くて、でも、何度も私を満たしてくれたわ」

真紅「…それは何?何をしたの?ジュンと?」

水銀燈「私だけを愛してくれてたわ。初めてだったって言ってた。
    聞いたのよ」

真紅「…知らないわ。帰って。帰って」

水銀燈「…イヤよ、どきなさい真紅。直接話したいわ」

真紅「…何言ってるの?貴女一人で勝手に他所の家庭を乱して
   楽しいの?」

117: 2008/07/29(火) 23:18:42.76 ID:izYhUfof0
水銀燈「乱してなんかないわ。ジュンだって、私と一緒の方が
    幸せに決まってるわ」

真紅「は、妄想はいい加減にして頂戴、貴女長女でしょう?
   何でそんなだらしのない妄想にいつまでも、浸っていられるの?」

水銀燈「妄想なんかじゃないわよ」

真紅「妄想よ、妄想。妄想。あの病人と一緒にいる内に、現実と妄想の
   区別がつかなくなったんじゃないの」

水銀燈「めぐをバカにしないで」

真紅「あら、本当の事しか言ってないわよ?私。違うの?」

水銀燈「ちが……」

真紅「違うって言うんでしょ?どうせ。身の丈も分かってない、
   貴女は可哀想なドール。でもね」

水銀燈「何を言うの…」

真紅「そんな可哀想なドールにストーカーまがいの事されて、
   ジュンはどれだけ可哀想か、考えた事ある?」

水銀燈「やめて、そんなの嘘よ、貴女嘘ついてるわ…やめて…」

127: 2008/07/29(火) 23:34:24.60 ID:izYhUfof0
真紅「だから帰って。もう来ないで」

水銀燈「……」

真紅「さ、早く」

どんっ

水銀燈「うっ…」

真紅「早く帰りなさいよ。どうせ鏡の部屋から来たんでしょう?ほら、ほら、ほらほら」

水銀燈「…お願い」

真紅「は?」

水銀燈「お願い、ジュンと話させてぇ!」

がしっ

真紅「ちょっ……苦し…」

水銀燈「お願い、お願いお願い、ジュンの口から聞けたら、
    私諦めるわぁ!!私だって、貴女たちを不幸になんて
    したくない!!だから!!お願い!!」

真紅「や、やめて、苦しい…」

131: 2008/07/29(火) 23:39:51.84 ID:izYhUfof0
水銀燈「お願い、どいて!どいて!!」

真紅「やめなさい!ホーリエ!!」

水銀燈「きゃあっ!!何するの!!」

真紅「貴女、今私を壊そうとしたでしょう!?これは正当防衛よ」

水銀燈「そんな事考えてないわ!私はただジュンと…」

真紅「もう聞きたくないわ!!帰って!!」

胸倉をつかむ真紅

水銀燈「うっ……」

真紅「この階段から落とせば、貴女だって流石にジャンクになるわよ?
   文字通りのジャンクに…」

水銀燈「や、やめて…」

真紅「それがイヤなら、今すぐ出て行きなさい」

水銀燈「わ…私は…」

真紅「それ以上余計な事喋ったら、突き落とすわよ」

水銀燈「…お願い…ジュンと…話を…うぅ…」

137: 2008/07/29(火) 23:46:24.11 ID:izYhUfof0
真紅「…言ったわね?余計な事…」

水銀燈「や、やめっ…」

真紅「じゃあね、水銀燈」

水銀燈「やめて、やめて、やめて」

真紅「やめないわ」

水銀燈「…や」

水銀燈「やめてぇっ…!!!」

ドンッ!

真紅「あっ」


ガシャガシャドガシャガシャン

水銀燈「う……」

水銀燈「……?」

145: 2008/07/29(火) 23:52:06.62 ID:izYhUfof0
水銀燈「ひっ…!」

水銀燈「し、真紅の首が…」

水銀燈「取れてる…」


ドタドタ

のり「真紅ちゃーん、今の音何?」

翠星石「大丈夫ですかぁ?物凄い音がしたですよぅ」

水銀燈「!!!!」

水銀燈「逃げなきゃ…!」

ガチャ

バタン





水銀燈「……私、私…」

水銀燈「真紅を……ジャンクに…」

水銀燈「わ、私、私が、私が…」

151: 2008/07/29(火) 23:57:50.51 ID:izYhUfof0
水銀燈「…ジュン…」

ジュン「………」

水銀燈「寝てるの…?」

水銀燈「ねえ、ジュン」

水銀燈はベッドによじ登る

ジュン「………」

ゆさゆさ

水銀燈「起きて、ジュン、起きて…私……」

水銀燈「私…妹を壊しちゃったの…」

水銀燈「どうすればいいか分からないの…」


152: 2008/07/29(火) 23:58:28.01 ID:izYhUfof0
水銀燈「ね、ジュン、ジュン…」

水銀燈「いつもみたいに、私に『愛してるよ』って言って」

水銀燈「そしたら、私安心出来るから」


ドタドタ

翠星石「ジュ、ジュン!大変ですぅ!!真紅が、真紅が…!」

ガチャ

155: 2008/07/30(水) 00:06:04.14 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「え」

翠星石「あっ、す、水銀燈!!??」

雛苺「あーっ、水銀燈なの!!」

水銀燈「あ、あんたたち…」

翠星石「ど、どうして…どうして水銀燈が…まさか!!」

雛苺「し、真紅を…壊しちゃったの…水銀燈…なの…」

水銀燈「……違うわ」

翠星石「…たった今、真紅が階段から落ちて、首が取れてたです…」

水銀燈「私は…知らないわ…」

翠星石「仰向けで倒れてて…」

翠星石「つまり、後ろ向きに落ちたって事です…」

水銀燈「知らない…私じゃない…」

翠星石「ふざけて後ろ向きに下りるなんて事はしない子です…」

翠星石「誰かが突き落としでも、しない限り…」

159: 2008/07/30(水) 00:10:26.05 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「私知らないわ」

翠星石「………」

雛苺「…水銀燈…怖いの…」

水銀燈「何よ…雛苺」

雛苺「……」

水銀燈「その目…何よ、何なのよ」

雛苺「ひっ…」

翠星石「水銀燈…正直に答えるです」

水銀燈「…」

翠星石「真紅を突き落としたのは、お前ですか?」

163: 2008/07/30(水) 00:19:45.57 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「………」

翠星石「答えるです。返事次第では容赦しないですぅ」

水銀燈「…そうよ、私よ、私が真紅を突き落としたのよ」

翠星石「なっ…」

水銀燈「でも違うのよ。最初に落とされそうになってたのは私で」

雛苺「い…いや…いやなの…」

水銀燈「違う、聞いて。私の話を聞いて」

翠星石「…よくも真紅をっ!!!スィドリームッ!!!」

水銀燈「…くっ!!…そう、そうなの、やっぱり私は信じてもらえないのね…」

翠星石「水銀燈を拘束するですぅ!!」

水銀燈「少数派だから…何をしても信用されない…
    真紅が私を陥れても、誰も私をかばってくれないのに…」

水銀燈「分かったわぁ…じゃあ、私は排除を選ぶわぁ」






170: 2008/07/30(水) 00:23:04.57 ID:FE2UF2JL0
お昼過ぎ


ジュン「ん……」

水銀燈「ジュン」

ジュン「んお?あ、あれ、水銀燈!!」

水銀燈「おはよう、ジュン」

ジュン「ど、どうしてうちに?」

水銀燈「ちょっと頑張っちゃったわぁ。結構勇気いったのよぉ」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「ね、褒めて。私貴方に会いたくてここまで来たのよぉ」

ジュン「そ、そうなのか。真紅たちは何も言わなかったのか」

水銀燈「さあ、どっかに行っちゃったみたいよぉ」

ジュン「どっかに?会ってもないのか?」

水銀燈「ええ。今この家には貴方と私しかいないわよぉ」

ジュン「へえ…」

172: 2008/07/30(水) 00:24:07.72 ID:qhj8YdDN0
水銀灯TUEEEEEEEE

177: 2008/07/30(水) 00:25:36.96 ID:FE2UF2JL0
ジュン「……」

水銀燈「ね、おかしいでしょう、どこに行っちゃったのかしら」

ジュン「全く…朝食も片付けずに。姉ちゃんは学校にでも行ったのか?」

水銀燈「……さあ?」

ジュン「……」

水銀燈「どこ行くの?」

ジュン「ん、玄関」


ジュン「…靴はあるな…」

182: 2008/07/30(水) 00:30:26.76 ID:FE2UF2JL0
ジュン「なあ水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「うちの姉ちゃんさ、出掛ける時ってか、今日学校だから、
    この靴はいつも履いて出掛けるんだ」

水銀燈「そうなのぉ?」

ジュン「だから、逆説的に、姉ちゃんは家から出てないって事になるんだよ」

水銀燈「そう」

ジュン「朝食を放っておいて」

水銀燈「………」

ジュン「お前、本当に何も知らないのか?」

水銀燈「知らないわよぉ、それより」

ジュン「ん……うぷっ」

水銀燈「せっかく二人きりになれたんだからぁ、
    お部屋に行きましょうよ。ね」

195: 2008/07/30(水) 00:53:07.47 ID:RsxO3QsJ0
銀様は誰も傷つけたくなかったんだ。桜田家の生活を乱す気は無かったし、
真紅が壊れてしまった時には本気で動揺していたし。
でも、一度『決意』したら無関係ののりまでジェノサイドしてしまう。
そんな銀様の烈しさと意志の強さと儚さがね、もう。
このまま愛という名の執着に溺れてしまうのか。

202: 2008/07/30(水) 01:00:45.21 ID:FE2UF2JL0


ジュン「………」

ジュン「なあ……」

水銀燈「ん…」

ジュン「さっきの言葉……」

206: 2008/07/30(水) 01:08:05.05 ID:FE2UF2JL0
ジュン「もう真紅と翠星石がいないって…」

水銀燈「………」

ぴちゃぴちゃ

ジュン「…どういう、意味だ?」

水銀燈「ね、ジュン…」

ジュン「ん…」

水銀燈「頭、なでてほしいわぁ…んふ…」

ジュン「ああ…こうか…?」

水銀燈「うん、そう…気持ちいいわぁ」


207: 2008/07/30(水) 01:08:26.39 ID:FE2UF2JL0
ジュン「…」

ジュン「あのさ…」




水銀燈「二人とも…私が壊しちゃったわぁ…」

ジュン「う…え…?」

216: 2008/07/30(水) 01:19:17.00 ID:FE2UF2JL0
ジュン「…な…何?何て…?」

水銀燈「私真紅に騙されちゃったのよぉ…」

ジュン「おい、水銀燈…」

水銀燈「ジュンは私の事迷惑に思ってるって…
    だから帰ってほしいですって…嘘っぱちじゃないの、ねぇ…?」

かぽかぽ

ジュン「あっ…う、うう…」

水銀燈「んふ…」

水銀燈「正当防衛だったのよぉ…」

ジュン「はぁ…はぁ…」

水銀燈「私…階段から突き落とされそうになっちゃってぇ…」

水銀燈「ん…おいひ…」

ジュン「す…水銀燈…」


218: 2008/07/30(水) 01:21:20.50 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「でもバカな子…弾みで、あの子の方が落ちちゃって…」

水銀燈「首がねじ切れちゃって…ね……人を陥れた罰が下ったのよぉ…」

ジュン「や、やめろ…」

水銀燈「翠星石と雛苺が私に気づいてぇ…」

水銀燈「なぁんにも聞いてくれないのよぉ…独りって、損ねぇ…?」

水銀燈「絶対、私の方が綺麗だし、正しいのにねぇ……だから…」

水銀燈「壊しちゃった…」

ジュン「ど、どうして…」

水銀燈「3体とも…nのフィールドに捨ててきたわぁ…
    適当にバラまいてきたからぁ…」


水銀燈「もう呼び戻すなんて無理じゃないかしらぁ…」

226: 2008/07/30(水) 01:30:01.85 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「分かってるのよぉ…」

ジュン「う…」

水銀燈「幾ら正しいったって、私のした事は許されないわぁ…」

水銀燈「私が妹たちを壊した…」

ちゅうう

水銀燈「ン…だからね、ジュン…」

ちゅぽん


ジュン「あ……」

水銀燈「う…ふぅ…」

水銀燈「物置で、貴方のお姉さんが眠っているわ…」

水銀燈「眠ってもらってるだけよぉ…傷つけたりはしてないわぁ…」

227: 2008/07/30(水) 01:31:14.03 ID:FE2UF2JL0
ジュン「す…水銀燈…」

水銀燈「スィドリームの力で…ね…」

水銀燈「だから…」

ジュン「……ぶ、無事なのか…?」

水銀燈「私はずうっと貴方と二人でいたい…」

水銀燈「でも、もしそれが許されないのなら、私を壊してほしいの…」

水銀燈「そうしてね…」

水銀燈「蒼星石とスィドリームの力で、お姉さんを呼び戻してあげて…」

水銀燈「私のワガママはここまで……この先は…」

水銀燈「貴方に決めてもらいたいの…」

ジュン「水銀燈…」

232: 2008/07/30(水) 01:34:21.56 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「貴方を慕っていた真紅、翠星石、雛苺を、私は壊したの」

水銀燈「だから貴方の手で…」

水銀燈「少しでも幸せを感じられた…それは貴方のお蔭だから…」

ジュン「……」

水銀燈「ね、ジュン…」

水銀燈「選んで頂戴…」


ジュン「………」

ジュン「分かったよ…水銀燈…」

水銀燈「………」

ジュン「………」

ジュン「…僕は」

ジュン「僕を支えてくれた家族を、大切にしたい」

水銀燈「………」

ジュン「ごめんな…」

238: 2008/07/30(水) 01:38:37.55 ID:FE2UF2JL0
水銀燈「…そう…」

ジュン「………」

水銀燈「ふふふ、何てカオしてるのよ、貴方の選択は間違ってないわよ?」

ジュン「……」

水銀燈「それが正解。私だって、めぐを殺されたなら、そいつを
    くびり頃してやるわよ…?」

ジュン「……」

水銀燈「本当はね、貴方が私を選んでくれたとしても、私は自刃するつもりだったわ」

ジュン「え…」

水銀燈「だからね、そんなカオはしないで頂戴。私が悪いのだから」

ジュン「…」

キィン

ジュン「え、剣…?」

水銀燈「さよなら、ジュン」

ジュン「あっ、水銀…」

グサッ!!!

244: 2008/07/30(水) 01:42:09.51 ID:FE2UF2JL0
ジュン「ばっ、バカ野郎!何て事を!!!」

水銀燈「……っ!!」

水銀燈「ジュ、ジュ……ン……」

ジュン「喋るな!!今抜いてやるから…!」

水銀燈「最後に、一つだけワガママ聞いて…」

ジュン「す……」


水銀燈「抱っこして……ジュ…ン……」


ジュン「う…わ……」

ジュン「うわあああああああああああああっっっ!!!」

270: 2008/07/30(水) 02:02:19.60 ID:FE2UF2JL0



ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ


真紅「ちょっと水銀燈!!何してるの!!大事な台本を!!」

水銀燈「何よ、何よ何よ何よこの脚本はぁ!!!」

ジュン「お、おい…」

パァン

ジュン「ぐえっ」

水銀燈「ど、どうして私が貴方と、こ、こ、こんな…誰、脚本書いたのは!!」

真紅「しょうがないじゃない。>>1がこういうドロドロ系のSSを書いてくれって
   言ったんだから」

雛苺「しょーがないなの。スポット当たってるだけでも羨ましいのー」

翠星石「そうです。翠星石たちなんか、散り際省略されたのですよ?
    せっかくのオイシイ役どころなのに……」

水銀燈「イヤよ!!こんな、昔あった神SSの劣化版みたいな台本!!
    大体人形と人間がせっ、せっ、……こういう事するなんて物理的に…」

真紅「そろそろ黙りなさい。私の不人気設定に比べれば羨ましいのだわ」

276: 2008/07/30(水) 02:04:45.36 ID:FE2UF2JL0
ジュン「あのさ、僕だってこんな、女同士の争いすら感知出来ない二股野郎です的な
    設定はイヤだよ。一番水銀燈が人気出る役じゃないかJK…」

ガチャ

雪華綺晶「こんにちはお姉様たち…本番前に、差し入れ持ってきましたわ。
     ウィダーインゼリーですけど、良かったらどうぞ」

翠星石「おーっ、雪華綺晶!気が利くですねぇ!!早速もらうですよぅ!」

ガチャ

金糸雀「皆ごめんねぇ、もうちょっと待って。音響の調子が悪いかしら」

蒼星石「頑張ってね。打ち上げは、薔薇水晶と僕の手料理だから」

薔薇水晶「時期が時期ですし、今回は思い切って、バーベキュー準備
     したの…頑張ってね…」

翠星石「バッ、バーベキューですとおおおお!?」

雛苺「うゅ、頑張るのー、楽しみになってきたのよー」

蒼星石「でも、失敗したら取りやめだからね、分かった?
    特に 水 銀 燈 」

水銀燈「ぐぅぅぅ……わ、わかったわぁ…最近食パンしか食べてなかったしぃ…」

蒼星石「うん、じゃあ、頑張ってね」

281: 2008/07/30(水) 02:07:08.92 ID:FE2UF2JL0
真紅「まあ、食パンですって!?この小麦が値上がりしてる時期に…!」

翠星石「しゃーーーねえなーですぅ。翠星石のウィダーあげるですから、
    濡れ場も、熱演頼むですよぅ」

雛苺「ヒナも出番少ないから、水銀燈にゼリーあげるのー」

真紅「私も、少しくらいなら我慢出来るから、水銀燈にあげるわ。
   ちゃんと精力つけて腰振るのよ」

水銀燈「こっ、ここここここ腰って腰って…あ、あんた…////」

ジュン「ま、参ったな……よろしくな、水銀燈」


水銀燈「ああぁぁ…お、お父様…私、もうアリスになれなぁい…うぅ……」






おしまい☆

286: 2008/07/30(水) 02:08:41.12 ID:9pQHVmkx0
なんという銀ちゃんオチwwww
乙www

引用: 水銀燈「もしもし、ジュン?今夜会えないかしら…ダメ?」