784: 2008/10/11(土) 20:54:14 ID:AEA0Ggje
「エイラ…寂しくて眠れないの…」「キョウダケダカンナー」
「あれ、ここエイラの部屋か?部屋戻んの面倒だしここで寝ていいよな!」「キョウダケダカンナー」
「エイラ~、部屋に寝る場所がなくなっちゃってさ~」「キョウダケダカンナー」
「エイラさん~~~、私の部屋、お化けが出そうなんですぅぅぅぅ」「キョウダケダカンナー」
「エーイラッ!今日はエイラの部屋があたしの部屋ねっ!」「キョウダケダカンナー」
「エイラさん、一緒に寝て差し上げてもよろしいんですのよ?」「キョウダケダカンナー」
「エイラ、お前の部屋は良く眠れると聞いてな!」「キョウダケダカンナー」
「エイラさん、寝冷えがひどくて…一緒に寝ても良いかしら?」「キョウダケダカンナー」
「エイラ、お前のところに私の妹たちが揃っているときい(ry」「キョウダケダカンナー」
「エイラさんエイラさんっ!エイラさんの部屋に活きのいいおpp(ry」「サーニャヲソンナメデミンナァァァァー」

これで完成か
よし!至急このネタで書いてくれ
ストライクウィッチーズMemorial Episode いっしょだよ (角川スニーカー文庫)

771: 2008/10/11(土) 19:37:54 ID:qFG9K4S9

それは夜半も過ぎた真夜中の事。
突然ギィ、と部屋の扉が開いて、うつらうつらしていた私は目を覚ました。寝ぼけて部屋を間違えたサーニャが『偶然』この
部屋に入り込んでしまうことはあるけれど、それにしても、サーニャが帰ってくるには早すぎる。
まっすぐに私のベッドまで歩いてきて、ボス。サーニャと同じようにこちらに倒れこんできた人物を見つめて顔をしかめた。

「…オイ、ペリーヌ。」
「なんですの」
呼びかけると、その人物は顔を上げて怪しく笑う。なんなんだ、わけがわからない。
「なんでお前が私のベッドにいるんダ」
「寒いからですわ」
「何言ってんだお前」

開いたカーテンから眩しいくらいに、月の光が差し込んでいる。
ウェーブのかかった金髪がキラキラとそれに反射して、何だかひどく幻想的だ。

「メガネないからって見間違えるにも程があるダロ」
「失礼ですわね、間違えてなんていませんわよ。ここはエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉の部屋。違いまして?」
「…あってるけど…じゃあ頭がイカレてんだ」
「そう思うのならそれでもいいですわよ、別に」

ツンツンメガネ…いや、今はメガネなんてないからただのツンツンか…いやそんなことはどうでもいい。とにかくペリーヌと
来たら、私の主張なんて何ひとつ聞きいれようとせずに毛布の中に入り込んでくる。そして私の胸にぎゅうと額を押し付けて
くるのだ。その位置がまた、サーニャのそれと全く同じで。そういやあんまり身長とか変わらないんだっけ、なんて思う。
高飛車な態度の割にコイツがチビすけだってこと、みんな意外と知らないんだよな。

「明るい夜は、嫌い。」
ぽつん、と。沈黙の中にペリーヌが言葉の葉っぱを放り投げた。当然拾い上げてやれるヤツなんて私以外にいないから、
仕方なしに黙って聞いてやる。
「ガリアが落ちた日を、思い出します」
私の寝巻きを濡らす熱いものは涙だろうか。そうではないといいと、思う。ペリーヌなんていっつもツンツンしてて、たまに
坂本少佐に対してデレたりすりゃいいんだ。そして私はその様をからかって、笑い飛ばしてやる。それで、いいんだ。
いいはずなのに。

「坂本少佐のトコ行けばいいじゃんカ」
「……いやですわ」
「なんで」
「わたくしは、そんなに、弱くない。」
なんでコイツは私に甘えて来るんだ。これじゃあ突き放せないじゃないか。
『イッルは甘い』と故郷の同僚に笑われた事がある。けど、どうしても冷たくなんて出来ない。コイツが目の前で両親を
ネウロイに殺されたとか、そんな過去を中途半端に聞いた事があるぶん、余計に。

「…私だったら良いのカヨ」
「…」
答えは、ない。そして私はどうしたらいいのか、分からない。
(ああ、もう)
この光景を見たらサーニャはどんな顔するかな。怒る?泣く?それとも無反応?想像するだけで罪悪感がとうとうと湧くけれど。
(ごめん)
たぶん謝ることしか出来ない。なんとなじられても、私に今ここで怯えて泣いている人を振り払う勇気なんてない。

「今夜だけでいいですから」
「……今日だけだかんな」
免罪符のように放たれた一言に私は苦し紛れの返答を以って、白旗を掲げた。

785: 2008/10/11(土) 21:18:08 ID:bfZ0y1AU

 深夜、日付けが変わるころ。わたしの部屋のドアが音を立てて開いた。今夜もサーニャは哨戒任務についているし、誰かがたずねてくる予定もない。いったい誰が、なんの用でこんな時間にやってくるのだろう。
「誰ダ?」
 廊下の暗闇にたたずむ影がゆっくりとした足取りで敷居をまたぐ。黒い人影のボディラインはやけに起伏が激しい。それでいてさほど上背があるようには見えない。わたしがいま一度名前を問おうとすると、
「エイラさん」「……リーネか、こんな時間になんの用ダ?」
 それはネグリジェに身を包んだリーネだった。どこか浮かない顔をしていて眉尻も下がっている。なにかあったのだろうか。
 まさかサーニャじゃあるまいし、部屋を間違えたというわけではなさそうだけど。リーネはベッドの近くまで来ると、いきなり倒れ込むようにしてわたしに抱きついてきた。
「エイラさん!」「わ、なな、なんダ……!」
 いったい全体、なにがどうなってるのかわからない。なんでリーネがわたしに抱きつく必要がある? 首にまわされた手にぎゅっとちからが込められる。なんだかワケありなリーネを引き剥がすのもためらわれて、わたしはため息とともにリーネの頭を撫でてやった。
「リーネ、なにがあったんダ?」
 ぐす、と鼻をすする彼女はわたしの胸に顔をうずめ、震える声で言うのだった。
「わたし、ぐす……、よし、ちゃんに……、きらわれちゃった、かも、って……」
 わたしは眠気に負けそうになりつつもリーネに問い返してやった。
「なにがあったんダヨ」「明日の晩ごはん、ぐす……、芳佳ちゃん、みそ汁がいい、って……、わたしはホワイトシチューが、って……」「あー……」
 頭が痛くなっていくのを堪えて、わたしは眉間を指で揉みほぐした。たまにこういう女の子がいるとは聞いたことはあった。でもまさか同僚のウィッチがそうだとは思わなかった。
 かってにしろヨとか、ノロケてんじゃねーヨとか、一蹴してやってもよかったのかもしれない。けれど、リーネは宮藤とちがって繊細なところがあるから、ついついわたしも甘くなってしまうのだ。
「あー、それ大丈夫ダロ」「だいじょぶ、でしょうか……? ぐす」「わたしの言葉が信じられないのカ?」
 ウィッチのなかでもひときわめずらしい、未来を予知する能力をもったエイラ様の御言葉ダゾ、信じないとバチが当たるんだからナ。そう心のなかでつぶやいてリーネの目からあふれる涙をぬぐってやった。
「泣いてたら宮藤だって心配するダロ?」
 べつに慰めるつもりはなかったけど、ようやくリーネも不安がやわらいだみたいで胸の中からありがとう、ございます……、と小さな声が聞こえた。
 まったく宮藤といいリーネといい、新人はなにかと手が掛かるから困ってしまう。まあ、そこが後輩の愛嬌でかわいいところなのかもしれないナ、とは口が裂けても言えない。
「……」「ン?」
 くぐもっていてよく聞こえなかった。わたしはいいかげん押し寄せてくる眠気に身を任せたくて、リーネの言葉にてきとうに相槌を打った。
「……ても、いいですか?」「あー、うん、はいはい、いいから、わたしも眠いんダヨ」「わかりました。失礼します」
 失礼、という単語を疑問に思う間もなく、リーネがわたしの布団にもぐりこんできた。え、どど、どういうことダ……?
「な、なにやってんだよ、おまえ!」「え? いいって言ってくれたから、わたし……、今日はここで寝たいなって……」「ななナなーッ!」
 ピトッとくっついてくるリーネはあたたかくてやわらかい。寒さをしのぐにはいいかもしれないけど、でもなぜわたしのベッドで寝ようとするのか理解できない。ケンカしたのなら宮藤のところに行けばいいのに。リーネが布団のなかでもぞもぞと動いてわたしを見上げてくる。
「あした、芳佳ちゃんにあやまります。でも今日は、その、意外にエイラさんってやさしいんだなって、思っていっしょに寝たいなって……」
「そ、そんなんじゃねーヨ……」
 なんだろう、このシンクロニシティ。前にも誰かに似たようなことを言われた気がする。まあどうでもいいのさ。いまのわたしは眠いのだ。
「……今日だけ、だかんナ」「はい、おやすみなさい」
 くるんと丸くなってリーネに背をむける。すると背中に大きな弾力のあるものが押しつけられてわたしはなにかの罰ゲームなんじゃないかと疑いたくなったけど眠気が思ったより強力だった。
 落ちていく意識のなかでそういえば例によってサーニャが部屋を間違えたらどう思うだろうとか頭をよぎった。すぐにそんなことはどうでもよくなり、わたしは深い深い夢の淵へと落ちていった。
 翌朝、雑魚寝状態で目が覚めたわたしにサーニャが詰め寄ってきたのは言うまでもない。

 おしまい

引用: ストライクウィッチーズpart6