1: ◆CBoesPsC1w 2014/06/24(火) 06:08:43.34 ID:mYCSg4d00
晩成高校沈む――

県予選 団体戦初戦敗退
10連覇ならず!!


・小走やえさん 個人戦優勝!

小走さんのコメント:個人戦での優勝には満足していますが、部全体の総合力は確実に低下しており、特に現1,2年生の層の薄さには憂慮を禁じ得ません。
今後晩成高校が以前の様に盤石を誇るためには、阿知賀女子の新子憧さんレベルのプレーヤーが必要不可欠であり――



――ばさっ。

晩成麻雀部顧問「この雑誌の記事……まずいでしょ、小走」

小走やえ「はい」

顧問「団体戦の敗退でお前が焦るのも解るけどさ……他の連中だってショックから立ち直ってないんだし……」

やえ「はい」

顧問「まぁ、今後は気をつけて発言してくれよ」

やえ「はい、済みませんでした!」

顧問「……行って良いよ」

やえ「失礼します!」

咲 -Saki- コミック 1-25巻セット

2: 2014/06/24(火) 06:11:23.68 ID:mYCSg4d0o
~晩成高校 麻雀部室~

上田良子「よぉよぉ、やえの奴、呼び出しくらったって?」

木村日菜「あ、はい。みたいですね」

丸瀬紀子「例の『雀通』の記事だろー? まぁ、小走はあの新子が中学の頃から意識してたもんなぁ」

良子「そうそう。この子がうちに入部してきたら、ビシバシ鍛えてやるって言ってな」

巽由華「でも、小走先輩の目に狂いは無かったって事ですね。県予選と言い、壮行試合と言い……技術的には阿知賀でもトップでしたし」

良子「まぁ、やえの事だ……うかつに口を滑らせたって事は無いだろうな。本気で晩成にヘッドハントする気かもな」

日菜「阿知賀は松実姉が卒業したら、定数割れますよね。彼女クラスの面子を阿知賀で補充出来るとは思えないし、それを見据えれば、可能性は十分にあるかと」

紀子「だなー。麻雀続けるなら尚更、そうでなくても進学、就職、どっちにせよ晩成卒は魅力だろうし」

岡橋初瀬「……」

3: 2014/06/24(火) 06:14:06.19 ID:mYCSg4d0o
~翌日 部室~

良子「え? 岡橋が来てない?」

1年生部員「はい。風邪気味なので帰宅すると」

良子「あの岡橋が風邪で、か」

やえ「解った、良いよ。活動初めて」

1年「はいっ!」

良子「……アタイは信じないな」

やえ「ん?」

良子「あれの練習バカっぷりは晩成一、例え盲腸になっても牌を握り続ける様な子さ」

やえ「……」

良子「あの子はお前さんの事を女神の如く崇拝してる。そんな岡橋がどこに行った?」

やえ「……」

良子「晩成は勝手な対外試合は厳禁。王者晩成に相応しくない闘牌でもしようもんなら即退部の掟もある。それを承知でどこに行ったかねぇ?」

やえ「……」

良子「お前が阿知賀の新子とか言う子を欲しがるのは構わん。でも巽以外の下級生を役立たずみたいに言っちゃ、纏まる物も纏まらないんじゃないか? なぁ、部長さんよ」

4: 2014/06/24(火) 06:16:42.24 ID:mYCSg4d0o
~阿知賀女子学院 麻雀部室~

――トントンッ、ガチャッ。
初瀬「失礼します。監督さんはいらっしゃいますか?」

赤土晴絵「え、私だけど……あれ、晩成の制服……貴女は確か」

初瀬「はい、晩成一年の岡橋です。本日は、新子選手と試合させて頂きたく参りました!」

晴絵「……ってさ?」

新子憧「初瀬……え? いや、どこかの卓でとは言ったけど……」

晴絵「……と言うか、貴女の高校は、個人的な対外試合を禁止してなかった?」

初瀬「はい、負けでもしたら退部もあり得ます」

晴絵「うわ……聞いた? まるで新撰組みたいよ。……で、片ドリルの近藤勇の許可は貰ってきたの?」

初瀬「金髪の土方歳三にも告げずに来ましたよ」

晴絵「……切腹覚悟ってわけか……OK、Ms.沖田総司。そこまで言うなら、私達の時間を貴女に少し貸すわ」

憧「……いや、やってもいいけどさ……初瀬、アンタ負けるよ?」

初瀬「っ……カッコイイー……上等ッ!」

5: 2014/06/24(火) 06:17:29.04 ID:mYCSg4d0o
~晩成高校 中庭~

やえ「ふうっ……」

良子「もう休憩時間終わってるよ、やえ。こんな所で何してる?」

やえ「ん? うん……」

良子「やっぱり気になるか? 岡橋のことがさ」

やえ「いや……」

良子「それもそうか、あの岡橋に限って」

やえ「岡橋は負ける」

良子「え?」

やえ「新子は既に、県内の高校生とは違う次元の麻雀を打ちつつある。岡橋は……決定的に負ける」

6: 2014/06/24(火) 12:12:36.85 ID:mYCSg4d0o
~阿知賀 部室~

初瀬「憧と打つのは1年ぶりだな」

憧「そうだっけ?」

初瀬「私の59勝47敗」

憧「覚えてないなー」

初瀬「……ちょっと小走先輩に気に入られてるからって、良い気になるなよな。県大会でうちに勝ったのだって……!」

憧「んじゃ、始めるよー」

――カラカラカラッ、チャッ。

晴絵「……」タンッ

憧「チー」

初瀬(「……この序盤でいきなり両面をチー? ケチな点棒集めた所で、腰の入った長打ですぐに……」)タンッ

憧「ロン。タンヤオ三色ドラ2 7700」

初瀬「くっ……へぇ、少しは成長の跡が見られるじゃんか」

――カラカラカラッ、チャッ。

松実宥(「な、なんで私この卓に連れて来られたのー……空気悪いよぉ」)ぶるぶる タンッ

初瀬「ロン。平和タンヤオ一盃口ドラ1。11600」

宥「ぴぃっ?!」がくぶる

高鴨穏乃「やりますね、あの人」

鷺森灼「さすが晩成」

7: 2014/06/24(火) 12:14:45.93 ID:mYCSg4d0o
~晩成 中庭~

やえ「とにかく、岡橋の抜けた穴。それを埋める人材を確保すること、それが私達の急務だよ」

良子「ちょっと待ちなよ、部長!」

やえ「……」

良子「そんな話聞いて、岡橋がどう思うかね。アタイらと苦楽を共にしてきた岡橋がさ!」

やえ「その憐憫が、晩成の王者復活にどう役に立つ? 私達の引退を遠い先の事の様に考えていては困る。……じき、秋が来る」

8: 2014/06/24(火) 12:19:08.95 ID:mYCSg4d0o
~阿知賀 部室~

憧「ツモ。2000,4000」

初瀬「……」

宥「……え、えっと、晩成の子……親よ?」

初瀬「(まるで仕掛け所が見えない……揺さぶりも効かない……まるで大学生か社会人と打ってるみたいだ……)」

憧「ポン――ロン。3900」



~阿太峯中時代~

初瀬「憧、なんでそんな見え見えの危険牌で振り込むんだよ!」

憧「あはは……やっちゃった」

初瀬「それにお前、ほんと喰い仕掛けが下手クソだなぁ。欲しい色バレバレだよ」

憧「そ、そう? 初瀬はやっぱ上手いよねー」



初瀬「(どこで間違えた……何に躓いた……?)」

憧「リーチ……ツモ。3000,6000」

初瀬「あぁっ!!」ガタッ

宥「ぴっ!?」びくっ

初瀬「なんで憧なんだよ! 私は努力した! 憧の10倍……100倍、1000倍努力した! 小走先輩に認められる為に! 晩成のレギュラーになる為に! それこそ朝から晩まで麻雀の事だけ考えて!」

憧「それはさー、初瀬に麻雀の才能が無いからじゃない?」

初瀬「えっ……?」

憧「それだけの事だから、騒ぐ様なことじゃないよ。もう終わりでいい? あたし達、全国に向けて練習しなきゃいけないんだ」

初瀬「……そんな……はず……」ガシャッ!

13: 2014/06/24(火) 18:12:53.67 ID:mYCSg4d0o
晴絵「……」

宥「行っちゃった……」ぶるぶる

穏乃「憧、なんであんな事言うんだよ! 友達なんだろ?」

憧「ううん」

穏乃「え?」

憧「それだけじゃない。初瀬はさ、あたしにとって……最高のライバルだったんだよ」

穏乃「ライバル……」

憧「ずっと切磋琢磨して……追い越して、追い越されて……目標にして、目標にされて……」

穏乃「……」

憧「確かにあたしには、晴絵っていう優秀なコーチが居る。でもさ、初瀬は客席で応援なんかやってるはずじゃないんだ。一年から晩成でレギュラー張ってなきゃいけないんだ!」

晴絵「……憧」

憧「初瀬はもっと、強くなれる……強くなってくれなきゃあたしが困る!」

14: 2014/06/24(火) 18:17:31.95 ID:mYCSg4d0o
~晩成 職員室~

顧問「……二週間の謹慎。自主休部扱い……今回は、本当に特別な措置なんだぞ。……時期も時期だしな」

初瀬「……はい……本当に済みませんでした」

顧問「……行って良い。休部中も、麻雀は続けろよ? 戻って来て鈍ってたら、私が許さないからな」

初瀬「はい、失礼します」

――ガラガラッ、パタン。

顧問「ふうっ……これで良かったか?」

やえ「済みません、お手数をお掛けして」

顧問「なぁに、これくらいなんでも無いさ。対外試合の禁止というのも、まぁ建前みたいなものだし……私もあの子を退部にしたくはない。練習熱心で真っ直ぐで……いい子だ」

やえ「……あの子なら、晩成を決勝卓まで連れて行ってくれると信じてますよ。では、失礼します」

――ガラガラッ、パタン。

顧問「……小走が本当に欲しかったのは……目覚めた初瀬だったってわけか……」

17: 2014/06/24(火) 22:22:38.00 ID:mYCSg4d0o
~初瀬宅 自室~

初瀬「ネット麻雀なんかでも、少しは練習になるかな……自分の名前、名前……適当でいいや。『やっT』と」カタカタ、カチカチ

ナレーション「面子が揃いました。対局を開始します」

――ジャラジャラジャラ。

初瀬「こう言うのは、実際に牌を手にした事も無い、点数計算も出来ない素人が多いって言うじゃないか。なら、その中でも精々強い連中とやらなきゃな」

ナレーション「ドラは九索。親はやっTさんです」

初瀬「対面の名前……『透華』? ぷっ……長野の龍門渕透華にあやかってるのかよ。名前だけ強くしたって無駄だよっと」カチカチ

透華「リーチ!」

初瀬「もうリーチ? どうせやっすいケチな手だろ。こっちも親で良い手だ……ガンガン押していく!」

透華「ロン!」

ナレーション「リーチ一発タンヤオ平和一盃口ドラ1 ハネ満 12000」

初瀬「げっ!? いきなりツイてない……と言うか、コイツがツイてるのか」

ナレーション「ドラは三筒。親はかまぼこさんです」

初瀬「かまぼこだって、可愛いネーミングだな」カチ

かまぼこ「ロン!」

ナレーション「ダブ東混一赤1 満貫 12000」

初瀬「ひえっ?! やっぱり可愛くない! っていうかもう……飛ぶ?! 嘘だろ……こんな……ネット雀士なんかに……」

のどっち「リーチ」

初瀬「ちょ、おま……この状況でリーチは無いだろ!? 3確する気かよ! これだからネット麻雀は……」

のどっち「ツモ」

ナレーション「リーチ一発ツモ平和三色同順純全帯ドラ1赤1裏1 三倍満 6000,12000 終局です」

初瀬「……あ、あはは……は……こ、こんなのただの事故だ! もう一度!」



ナレーション「終局です」

初瀬「ボロ負け……はは……憧の言う通りなのかな……私には才能なんてないのかな……」カチッ

ナレーション「お疲れ様でした」

18: 2014/06/24(火) 22:23:55.71 ID:mYCSg4d0o
~晩成 麻雀部室~

やえ「いいかい、こういう局面はね……」

二年「はい!」

一年「部長! こっちもお願いします!」

日菜「なんだか例の一件以来、下級生達の目の色が違いますね。小走さんのショック療法が効いたんでしょうか」

紀子「でもよぉ……岡橋、マジで退部になっちまったのかな……あれから一度も来てねーもんな。顧問もやえも何も言わねーし」

由華「……小走先輩……あんなに岡橋さんの事を目にかけてたのに……」

良子「ほーらそこのレギュラーども! お前らも駄弁ってないで、ちゃんと部活やれよ」

一同「「はーい」」

良子(「やえ……本気で岡橋を諦めるのか……?」)


~その外~

初瀬「……(こうしてる間にも、皆はどんどん上手くなって……私は必要なくなって)……バイバイ、麻雀」

20: 2014/06/24(火) 22:31:08.40 ID:mYCSg4d0o
~初瀬宅~

岡橋母「初瀬、麻雀の番組やってるわよ。アナタの好きな何とかってプロも出てる試合。見なくていいの?」

初瀬「んー……」

母「どうしたのかしらね、あの子。ちょっと前まで寝ても覚めても麻雀麻雀だったのに」

父「まぁ良いんじゃ無いか。晩成なんかに入っちゃったんだから、勉強の方も頑張ってくれないと」

母「もしかして、好きな人でも出来たのかしらね?」

父「ぶほぁっ!!?」

母「あらあら……冗談ですよ」



~風呂場~

――ちゃぽん。

初瀬「……小走先輩……憧……もう一緒の卓を囲めないんだね……グスッ」ぶくぶく

初瀬「……もう……」ぶくぶく

初瀬「……もがくことさえ……」ちゃぷん

母「初瀬? いつまで入ってるのー? そろそろお母さん達も……初瀬? 開けるわよ?」ガラガラッ

初瀬「……」ぶく……ぶく……

母「ちょっと初瀬! 初瀬!?」

22: 2014/06/24(火) 23:52:04.62 ID:mYCSg4d0o
~初瀬の部屋~

初瀬「……」

母「そうだったの……初瀬ったら、全然話してくれないんだもん」

初瀬「ごめん……」

母「お母さんもね、昔麻雀やってたんだ」

初瀬「えっ?」

母「中高と麻雀部でね、インハイに出た事もあるのよ」

初瀬「そんな話、全然……」

母「うん、結局何の活躍も出来ないままチームも負けちゃってね。そのまま麻雀もやめちゃった」

初瀬「そうだったんだ……」

母「だから、何も言ってないのに初瀬が麻雀に興味を持って、麻雀やりたいって、必氏に勉強して晩成に入った時は、嬉しかったんだ」

初瀬「……」

母「初瀬が、私の分もやってくれるんじゃないかって……」

初瀬「……そうだったんだ……」

母「でも、そんなのはお母さんの勝手。初瀬は初瀬の好きなようにしなきゃ」

初瀬「お母さん……」

母「初瀬の好きな道を行きなさい」

初瀬「有難う……」ぎゅっ

母「あらあら、何年ぶりかしらね、こんな風にするのは」なでなで

初瀬「……もう少しだけ……やってみる。辞めるなら、自分が全部納得できてからにする」

母「うん、お母さんはいつだって初瀬の味方だからね」ぎゅっ

23: 2014/06/25(水) 00:05:35.25 ID:r+xa9AnHo
~地区センター 麻雀教室~

講師「ですので、この中で、待ち方として最も効率的なのは、両面待ちになります」

初瀬「……」カキカキ

講師「では、今度は少し応用問題です。待ち牌のうち河に沈んでいる牌がこの様な場合……」

初瀬「……」カリカリ



~公民館 麻雀コーナー~

初瀬「こんにちは、打てますか……?」

おじさん「あぁ、構わないよ。丁度1人欠けてたんだ。さぁ入って」

おじさん「こんな若い子と卓を囲むのは久しぶりだな、ははは」

おじさん「こりゃ格好悪い所は見せられんな」

おじさん「このスOベじじいが!」

初瀬「はは……」

おじさん「お嬢ちゃん、こう見えてわしは若い頃、さすらいの雀鬼と呼ばれて各地の雀荘を渡り歩いていたんじゃよ」

おじさん「それを言うならな、わしなんかあの大沼秋一郎と良く卓を囲んだもんじゃ!」

初瀬「あはは……本当ですかー?」

――ジャラジャラジャラ。



~自室~

初瀬「……」カチカチ

のどっち「リーチ」

初瀬「……」カチッ

25: 2014/06/25(水) 00:15:36.75 ID:r+xa9AnHo
~二週間後 阿知賀 応接室~

憧「あたしが、晩成に……ですか……?」

晩成麻雀部顧問「あぁ、もちろん今日明日とか言うんじゃなくてね……インハイ後……もしくは来年以降という話なんだが」

憧「……」

顧問「ゆっくり親御さん達とも相談しなきゃいけないだろうし、何しろ一生のことだからね。新子さんの場合は学力的にも、十分に対応出来るだろうし」

憧「晴絵は……うちのコーチは?」

顧問「うん、赤土さんも様々な事を見据えて考えるなら、晩成に行くのはクレバーな案だと言って下さった。後は新子さん次第だと」

憧「そうですか……」

顧問「まぁ、今日はほんの挨拶みたいなものだから。転入の話に興味が出たり、聞きたい事があったりしたら、私の所に連絡を」

憧「あの、もう決まってます……有りがたいお話ですが」

顧問「……そうか、やはりそうだろうね……うちの小走もそう言ってたよ」

憧「え? 小走さんが?」

顧問「あぁ、阿知賀はコーチも部員同士も結束が固いから、誰かを引き抜くのは無理だろうと。こないだの壮行試合で確信したんだろう」

憧「そうですか……はい、私が阿知賀以外で打つ事は無いです!」

顧問「来年もインハイの前に大きな壁だなぁ……お手柔らかに頼むよ」

憧「えへへ、こちらこそー♪ ……そうだ、あの……初瀬……岡橋さんは……」

顧問「あぁ……岡橋は――」

27: 2014/06/25(水) 06:16:36.74 ID:r+xa9AnHo
~その頃 晩成麻雀部室~

初瀬「……こんにちは」

日菜「岡橋さん!」

良子「岡橋! あれから全然来なくて、心配してたんだぞ!」

紀子「お前、マジであれか? 阿知賀に……」

やえ「岡橋」

初瀬「は、はい!」

やえ「こっち来な。それに上田、巽もだ」

由華「はい……?」

やえ「二週間休部してた奴が、どれくらい鈍ってるか確かめる。余りに酷い様なら帰ってこなくて良い」

良子「おい、やえ! お前……!」

初瀬「はい、宜しくお願いします!」

由華「岡橋さん……」

28: 2014/06/25(水) 06:27:33.62 ID:r+xa9AnHo
――カラカラカラッ チャッ。

やえ「……」タンッ

初瀬「……」タンッ

良子(「やえ……せっかく戻って来たってのに、なんでそんな厳しく当たるんだ……?」)タンッ

やえ「ロン。七対子ドラ2 9600」

良子「ひえっ!?」

やえ「上田、集中出来ない様なら丸瀬に代わりな」

良子「わ、わるい、もう大丈夫だ……(余計な事は考えなくて良いか。やえはちゃんと考えてるはずだ……だよなぁ?)」



やえ「……」タンッ

初瀬(「皆さん、ご心配お掛けして……本当に済みませんでした!」)チャッ、タンッ

良子「……」タンッ

巽「……」タンッ

初瀬「リーチ!」タンッ

由華「……!(子で岡橋さんが速攻リーチ……余程の好配牌だったのね。安牌も無いし、取りあえず……)」タンッ

初瀬「ロン。リーチ一発ドラ1裏1 8000です」

由華「っ!?(嵌張待ち……両面で平和への手変わりを待たずに即リー……これまでの岡橋さんには殆ど無かった打法)」

29: 2014/06/25(水) 06:31:46.54 ID:r+xa9AnHo
初瀬「ポン! ……チー!」チャッ、タンッ

由華(「風一鳴きからの両面チー……でも一手目が赤五筒切り……」)タンッ

良子(「迷彩はまずない。ドラの殆どは在処も明らか。安手なら退く必要なし!」)タンッ

初瀬「ロン。南混一ドラ1 7700です」

良子「んごっ!」

初瀬(「もう、二度と……先輩方にご心配かけたりしませんから……!」)



やえ「リーチ」タンッ

由華(「小走先輩の親リー……捨て牌から見ても牽制の安手とは考えにくい……」)タンッ

良子(「降りるしかないな……」)タンッ

初瀬「通らば、リーチ」

良子・由華「「なっ!?」」

やえ「……ふっ……(お帰り、岡橋)」タンッ

初瀬「ロン! ラストです!」

30: 2014/06/25(水) 06:33:30.68 ID:r+xa9AnHo
~その後、数週間が経ち 阿知賀女子学院前~

ギバード桜子「がんばっでー!」

桐田凛「がんばってー!」

一同「目指せ全国制覇!!」

初瀬「憧」

憧「え? は、初瀬……どうしたの?」

初瀬「豆、前より大きくなった?」ぎゅ

憧「え、あぁいや……最近は大分マシになって来たと言うか」

初瀬「憧達は県大会よりも強くなってるんだね。全国でも勝つために」

憧「っ……もちろん」

穏乃「うちら、全国でやる事があるからね!」

晴絵「そろそろ出るよー」

憧・穏乃「「はーい」」

初瀬「頑張って、憧!」

憧「初瀬も!」

初瀬「うん、来年は私が勝つから!」

憧「上等ォ!」



初瀬・憧(「絶対負けないからね、私のライバルっ!」)



~おわり~

31: 2014/06/25(水) 06:36:58.60 ID:r+xa9AnHo
まずは読んで下さった方、レス下さった方、本当に有難うございました!

ご推察の通り、本SSは松本大洋さんの名作「ピンポン」をオマージュしたものです。
前半において、丸パクリの劣化コピーじゃねーかと言う印象をお持ちになった方も多くいらしたと思います。
私自身もピンポンという作品を敬愛しておりますので、俺の好きな作品を気安くパクるんじゃねぇと言う憤りやご叱責は、真摯に受け止めさせて頂きます。

その上で、読み終えて頂いた後に、少しでも印象を変えて頂ける部分があれば、非常に嬉しく思います。

引用: 【咲-Saki-】バンポン Bang Pong