1: 2013/06/11(火) 19:32:22 ID:LAFUxgAE
8巻までのネタバレあります

2: 2013/06/11(火) 19:33:03 ID:LAFUxgAE
ライナー「ん?おい…、あいつ…」

エレン「ん?あぁ…アニか…。また教官にバレないようにうまいことサボってるな」

アニ「…」

ライナー「…。よーしエレン、アニにも短刀の対処を教えてやるぞ」

エレン「は?」

ライナー「あの不真面目な奴にも説教だ。兵士とはどうあるべきか…教えてやろうじゃないか」
進撃の巨人(24) (週刊少年マガジンコミックス)
3: 2013/06/11(火) 19:33:40 ID:LAFUxgAE





アニ「…」

ライナー「教官の頭突きは嫌か?それ以上身長を縮めたくなかったら、ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな」

エレン「は?何だその言い草…」チラッ

エレン(すげぇ怒ってる…。いつも怖い顔してると思ってたけど…本当に怒った顔は比じゃねぇな…)

ライナー「そら!始めるぞエレン!」

4: 2013/06/11(火) 19:34:14 ID:LAFUxgAE






エレン「お前の倍近くあるライナーが宙を舞ったぞ…。すげぇ技術だな」

アニ「…!」

エレン「誰かから教わったんだろ?」

アニ「…お父さんが…」

エレン「親父さんがこの技術の体現者なのか?」

アニ「どうでもいい…」スタスタ

エレン「あ…。行っちまった…」

5: 2013/06/11(火) 19:34:39 ID:LAFUxgAE
こいつとの出会いは本当に何ともないことだった

いつものようにライナーが私にちょっかいを出して来た時に、たまたまいただけだ

こんなうるさい上に弱いやつは、本当にどうでもいいと思っていた

6: 2013/06/11(火) 19:35:22 ID:LAFUxgAE
エレン「しかし、どうだ!俺の蹴り技は?見よう見まねだが、うまく決まったよな」

アニ「は…、全然駄目。全くなってない」

エレン「何だよ…。どこが悪いって言うんだ?」

アニ「…。そんなにこの技が気に入ったんなら、教えてやってもいいけど?」

エレン「え?やだよ。足蹴られんの痛いし」

アニ「……。遠慮なんかしなくていいって」

7: 2013/06/11(火) 19:36:00 ID:LAFUxgAE








それは単なる気まぐれだった

久しぶりに話しかけてきたやつが、自分の足技を誉めてきて、気分が良くなったからなのか、それもよく分からない

とにかく気まぐれとしか言いようがなかった

でもそれは本当にいらない事をした
後でそう後悔した…

こいつの、言い出したら聞かない性格は、有名だったからなんとなく知っていた

でもこんなにしつこいなんて思わなかった…

本当に面倒な事をした

8: 2013/06/11(火) 19:36:44 ID:LAFUxgAE




それからというもの、格闘術の度、毎回毎回勝負を挑んで来た…

エレン「おいアニ!今日も組もうぜ!」

アニ「…何回言えば分かるんだ。私はあんたとはやりたくない」

エレン「…でも俺はお前に勝つまで挑み続けるって決めたんだ」

アニ「勝手に私を巻き込まないでくれないか」

エレン「…頼む!!」

アニ「チッ…。やるからには手加減しないよ…」

9: 2013/06/11(火) 19:37:35 ID:LAFUxgAE
私は1度も負けることなく、約1年が経った

とにかくうっとうしい…その言葉しかなかった

でもわざと負けようかとも思ったけど、それはしなかった

なんとなくここまでバカみたいに一生懸命なやつに、少し悪い気がしたからだ

でもある時、私は口が滑った…

10: 2013/06/11(火) 19:38:17 ID:LAFUxgAE








エレン「チクショウ…また負けた…」

アニ「…そろそろ諦めたらどうだい」

エレン「いや…諦めねぇ…」

アニ「言っとくけど、こっちだって迷惑してんだ」

エレン「…悪い。…そうだ!訓練後に教えてくれよ!頼む!」

アニ「…え…あぁ…」

エレン「やったぜ!!」

アニ「あっ…私はまだ

エレン「じゃあ、飯終わったらまたここに集合な」タタッ

アニ「あ…おい!」

11: 2013/06/11(火) 19:38:47 ID:LAFUxgAE




いつもそうだった。
こいつは本当に強引でバカだ
勘違いして、なんでも自分で勝手に話を進める

いつからだろう…その性格も別にうっとうしくなく感じて来たのは…

12: 2013/06/11(火) 19:39:31 ID:LAFUxgAE

夕食後、私は行く義理は全くなかった
むしろ断るつもりで行ったのに…

13: 2013/06/11(火) 19:40:18 ID:LAFUxgAE


エレン「お、アニ!来てくれたんだな!ありがとう!」

アニ「いや、私は…

エレン「それより見てくれよ!いくぞ…フッ!」バキッ

アニ「……」

エレン「ほら、どうだ?かなり上手くなってないか?」

アニ「…まだ全然甘い」

エレン「そっか…じゃあ、やってみせてくれよ」

アニ「…しょうがないね。…ハッ!」バキィィ

エレン「……すげぇ。やっぱアニはすげぇな!」

アニ「フンッ…こんぐらい普通だよ」

14: 2013/06/11(火) 19:40:49 ID:LAFUxgAE









エレン「…ふぅ。今日はありがとうな」

アニ「…フンッ。くだらない事に時間を使いすぎたよ」

エレン「そんなこと言うなよな。アニだって凄く生き生きしてただろ」

アニ「…そんなことはない」

15: 2013/06/11(火) 19:41:21 ID:LAFUxgAE

エレン「いや、いつもつまんなそうにしてんのに、今は生き生きしてて、…なんていうか、すごく綺麗だった」

アニ「……。下らない。私は帰るよ」

エレン「アニ待てよ。…そうだ、また今度も頼むぜ!」

アニ「…あぁ」

16: 2013/06/11(火) 19:41:45 ID:LAFUxgAE






なぜだろう、いつもこいつの勝手なペースに狂わされる

そのせいで、いつの間にか訓練後にまた一緒に格闘術をやる、という変な関係も築かれてしまった…

17: 2013/06/11(火) 19:42:54 ID:LAFUxgAE


でも気付いたら、あっという間に訓練兵団の解散式の前日になっていた

そして、いつの間にか、こいつといるのが、楽しく感じてた…

そんな時間がずっと続けば良かったのに…

18: 2013/06/11(火) 19:43:30 ID:LAFUxgAE



エレン「明日から訓練兵団じゃないってのに、格闘術の練習してるなんてよく考えたら、俺らすごくバカだな」

アニ「あんたが誘ったんだろ…」

エレン「そうだな…。まぁ…今日はこの練習も最後だと思って、感謝の気持ちも伝えたくてな」

アニ「へぇ…あんたでもそんな気が回るんだ…」

エレン「おい、バカにすんなって!」

19: 2013/06/11(火) 19:44:04 ID:LAFUxgAE

アニ「…で、何なのさ?」

エレン「あぁ…、俺昨日の寝る前にさ、アニとの訓練をずーっと思い返してみたんだ」

エレン「…でな、ここまで長い間頑張ってこれたのは、相手がアニだったからだ…って思ったんだ」

アニ「…」

エレン「最初の内はアニの事何も知らなくて、常に怒ってんのかなって思ってた…」

エレン「でも、…実はすごく優しいんだよな」

20: 2013/06/11(火) 19:44:41 ID:LAFUxgAE

エレン「いやいややってるって言いつつ、最後まで俺の練習付き合ってくれたしさ」

アニ「…それはあんたがしつこいからさ」

エレン「本当にありがとうな。結局勝てなかったけど、すげぇ強くなれたと思うし」

アニ「…フン。あんたはまだまだだよ」

エレン「あぁ…。」

21: 2013/06/11(火) 19:45:22 ID:LAFUxgAE

エレン「アニ、お前は憲兵団に行くんだよな?」

アニ「…そうだけど」

エレン「俺は調査兵団に行く。」

アニ「知ってるよ」

エレン「俺は兵団が違うのはどうでもいい」

エレン「…でもアニと関われなくなるのは嫌なんだ」

エレン「アニと訓練できなくなる…って言うだけじゃない」

エレン「俺にとってアニといる時間はすごく大切だった」

エレン「アニの事が本当に好きになってた…」

エレン「だからアニ、俺と付き合ってくれな…

アニ「やめて!!」

22: 2013/06/11(火) 19:45:50 ID:LAFUxgAE

エレン「えっ…」

アニ「私と付き合った人間は絶対に後悔する」

アニ「…特にあんたみたいなやつはね」

アニ「…私だって、あんたに特別な感情がなかったわけじゃない…」

アニ「でも、…あんたは私といると絶対に不幸になる。」

23: 2013/06/11(火) 19:46:23 ID:LAFUxgAE
エレン「…させない。」

アニ「は…?」

エレン「…俺は絶対に後悔しないし、アニにも後悔させないし、不幸にもさせない」

エレン「だから、…俺を信じてくれないか?」

アニ「………あんたは本当にバカだよ…」

アニ「…何も知らないくせに、分かろうともしない…それでいて勝手に突っ走る…」

エレン「…自分がバカだってのは知ってる。でも…俺は絶対にアニといない方が後悔する」

エレン「だから、アニ…俺と付き合ってくれ!!…どんなことでも俺は受け止めてみせる!!」

アニ「…………分かったよ。……あんたはしつこいんだったね…。」

エレン「アニ!」ギュ

アニ「…あんたは本当に大馬鹿だ…」グス

エレン「あぁ……。…アニ…好きだ」

アニ「……私も…」ギュ

24: 2013/06/11(火) 19:46:53 ID:LAFUxgAE

こんな私でも少しは幸せになってもいいのかな…

そんな風に思ってしまってた…

29: 2013/06/11(火) 20:53:47 ID:LAFUxgAE









アルミン『トーマス・ワグナー ナック・ティアス ミリウス・ゼルムスキー ミーナ・カロライナ エレン・イェーガー』

アルミン『以上5名は自分の使命を全うし…壮絶な戦氏を遂げました…』

30: 2013/06/11(火) 20:54:37 ID:LAFUxgAE








………私はそう聞いたとき、もちろんとても大きな喪失感に襲われた…

つい2日前にあんなことを言ったそばから…

31: 2013/06/11(火) 20:55:12 ID:LAFUxgAE
でも、それと同時に、…本当にこれで良かった。

…そう思っていた
喪失感と同じか、もしくはそれ以上に…

私の全てを知ったらこいつは絶対に私の事を憎む…

それがわかっていたから、心の底から、良かったんだと安心した…

本気で好きになったこいつに嫌われずに済んだ、と思ったから…

私は最低だ…
こいつに言う勇気がなかったし、自分の使命に逆らう勇気もなかった…

32: 2013/06/11(火) 20:55:37 ID:LAFUxgAE








…でも、その安心はすぐに崩された

33: 2013/06/11(火) 20:56:07 ID:LAFUxgAE





アルミン「共食い…?」

ミカサ「どうにかして、あの巨人の謎を解明できれば…、この絶望的な現状を、打開するきっかけに、なるかもしれないと思ったに…」

ライナー「同感だ!あのまま食い尽くされちゃ何も分からず終いだ!あの巨人にこびりついてる奴らを俺たちで排除して…とりあえずは延命させよう!」

34: 2013/06/11(火) 20:56:33 ID:LAFUxgAE

ジャン『正気かライナー!やっと…この窮地から脱出できるんだぞ!?』

アニ「例えばあの巨人が味方になる可能性があるとしたら どう…?どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」

ジャン「!?…味方だと…!?本気で言ってるのか!?」

35: 2013/06/11(火) 20:57:12 ID:LAFUxgAE

アルミン「…あいつは…トーマスを食った奇行種…!?」


『アアアアアアアアアアァァァァ』









ジャン「……オイ。何を助けるって?」

ジャン「さすがに力尽きたみてぇだな。もういいだろ……?ずらかるぞ!あんな化け物が味方なわけねぇ。巨人は巨人なんだ」

ジャン「…?…オイ」

36: 2013/06/11(火) 20:57:49 ID:LAFUxgAE






目の前にいる巨人が、こいつがエレンなんて…

…それはエレンが氏んだことよりも……もっと…もっと悲しかった

……やっぱり私は幸せにはなれないんだ…

37: 2013/06/11(火) 21:02:30 ID:LAFUxgAE

~兵団決定から約1ヶ月~

「今回の壁外調査でエレンを奪う」

アニ「…」

「アニは予定通りに頼む」

アニ「……分かった…」

38: 2013/06/11(火) 21:02:59 ID:LAFUxgAE








この世界は残酷なんだね…

そのことをこれほどまでに感じたことはなかったよ…

……私は再び非情になるしかないんだ……

でも…せめて私だって事は気付かないで……

39: 2013/06/11(火) 21:05:39 ID:LAFUxgAE







ズバッ!

リヴァイ「オイ!ずらかるぞ!!」

ミカサ「エレン!!」

リヴァイ「多分無事だ生きてる。汚ねぇが…。もうヤツには関わるな…撤退する」

リヴァイ「作戦の本質を見失うな。自分の欲求を満たすことの方が大事なのか?お前の大切な友人だろ?」

ミカサ「……ちがう……私は……」

リヴァイ「!?」
(……涙…か?)

40: 2013/06/11(火) 21:06:35 ID:LAFUxgAE






私はこの作戦に失敗した……

多分私は調査兵団に目星を付けられるだろう…

きっと、もう……エレンを奪うとしたら……正体がばれずにはすまない……

……これで…エレンにまで後悔させることになる………

せめて…自分だけが不幸になるなら…
エレンまで巻き込みたくなかった……

41: 2013/06/11(火) 21:08:00 ID:LAFUxgAE
ガチャ

エルヴィン「遅れて申し訳ない」

エレン「いえ…」ガタッ

エレン「アルミン?ミカサも…」

エルヴィン「女型の巨人と思わしき人物を見つけた」

42: 2013/06/11(火) 21:09:32 ID:LAFUxgAE







エルヴィン「女型と接触したアルミンの推察によるところでは、いわく女型は君達104期訓練兵団である可能性があり、生け捕りにした2体の巨人を頃した犯人とも思われる」

エルヴィン「彼女の名は」

『アニ・レオンハート』

43: 2013/06/11(火) 21:10:07 ID:LAFUxgAE








エレン「アニが…?女型の巨人?」

エレン「何で…そう思うんだよ…アルミン」

44: 2013/06/11(火) 21:11:20 ID:LAFUxgAE






リヴァイ「オイ ガキ。さっきから女型と思われる、だとか言ってるが、他に根拠は無いのか?」

アルミン「はい…」

ミカサ「アニは…女型と顔が似ていると私は思いました」

45: 2013/06/11(火) 21:12:09 ID:LAFUxgAE

エレン「は!?何言ってんだ?そんな根拠で…」

リヴァイ「つまり…根拠はねぇがやるんだな…」

エレン「…根拠がない?何だそれ?どうすんだよ…アニじゃなかったら」

ミカサ「アニじゃなかったら…アニの疑いが晴れるだけ」

アルミン「そうなったらアニには悪いと思うよ…。でも…だからって、何もしなければ、エレンが中央のヤツの生け贄になるだけだ」

46: 2013/06/11(火) 21:12:36 ID:LAFUxgAE

エレン「…。アニを…疑うなんてどうかしてる…」

ミカサ「エレン。アニと聞いた今思い当たることは無いの?女型の巨人と格闘戦を交えたのなら、アニ独特の技術を目にしたりしなかったの?」

47: 2013/06/11(火) 21:13:04 ID:LAFUxgAE







『わかっているんでしょ?』

48: 2013/06/11(火) 21:13:42 ID:LAFUxgAE





ミカサ『女型の巨人がアニだってこと…』

ミカサ『じゃあ…戦わなくちゃダメでしょ?』

49: 2013/06/11(火) 21:14:20 ID:LAFUxgAE





エレン『な…何でお前らは…戦えるんだよ』

ミカサ「仕方ないでしょ?」

ミカサ『世界は残酷なんだから』

50: 2013/06/11(火) 21:14:50 ID:LAFUxgAE






エレン『…だよな』ガリッ

51: 2013/06/11(火) 21:15:32 ID:LAFUxgAE









『アァァアアアアァ』

「アニ…」

「お前は…いつも 周りがバカに見えて仕方がないって顔してたな……」

「いつも…つまんなそうにしてた」

52: 2013/06/11(火) 21:16:01 ID:LAFUxgAE

「そんなお前が生き生きしてる時がある」

「その格闘術を披露する時だ…」

「お前は…」

「嘘をつくのがヘタな奴だと…」

「俺はそう 思っていた…」

53: 2013/06/11(火) 21:16:24 ID:LAFUxgAE

「なぁ…アニ」

「お前……何のために…戦ってんだ」

「どんな大義があって」

「人を殺せた」

54: 2013/06/11(火) 21:17:02 ID:LAFUxgAE






ミカサ「……アニ」 トンッ

ミカサ「落ちて」

55: 2013/06/11(火) 21:17:33 ID:LAFUxgAE






……やっぱり私は…あんたを不幸にさせた…

……エレン…ごめんなさい……

…あんたにだけは…知って欲しくなかった…嫌われたくなかった………

56: 2013/06/11(火) 21:18:13 ID:LAFUxgAE








エレン「…アルミン」

エレン「アニは…どう…なった…?」

アルミン「エレン…。多分今は…誰にもわからない…」





~終わり~

57: 2013/06/11(火) 21:18:47 ID:XEJ/Ggkg
乙、もの悲しい感じがいいね

引用: エレン「本当にアニなのか…?」