真紅「あら。つまりあなたも素養があるということね？ちょっと付き合って頂戴」

翠星石「まぁったく、真紅は言い出したらきかないですぅ。それで、何をするですか？」

真紅「これよ」

翠星石「はぁ…

　　『ドキドキの冒険が君を待っている！未体験ＭＭＯ、ら…ぐ　何ですかこれ」

真紅「私も始めたばかりなのだけど…簡単に言うならゲームね。
　擬似的に構築された異世界の中で生活するキャラクターを使って
　襲ってくる外敵を倒したり、他者と会話したりすることができるわ」

翠星石「キャラクター…翠星石たちが人工精霊を使うようなものですか？
　うー…真紅の説明は堅苦しくてよくわかんねーですけど…まぁ、百聞は一見にしかずですね。
　どれ、翠星石に見せてみるですぅ」

ホーリエ　さんが接続しました。

翠星石「わ、テレビの中にちっこい人間がいるですよ？」

ホーリエ ： 翠星石m9(^Д^)ｗｗｗｗｗ

翠星石「ちょお…！！…あ、これ真紅が動かしてるですね？」

真紅「ええ、そうよ。同様に今、この時間にこのゲームをしている他の人たちも
　同じ世界に存在して、行動を共にすることも出来るわ。
　そして、これが私の…？」

翠星石「どうしたです？」

真紅「……ちょっとここで待っていて」

（──雛苺！雛苺！どういうこと？ちっともレベルが上がっていないじゃない！）

（うゅ…？真紅、お茶いらないの？）

（うゆじゃないわ。昨日言いつけたこと、忘れたの？）

（あ…だってぇ～…真紅のアコさん、ちっとも強くならないの…ヒナつまんないの～）

（もうここはいいから、巴の家でＩＮなさい！ほら、ｎのフィールドを通って…早く！）

真紅「待たせたわね翠星石。突然だけど、雛苺は巴の家にお泊まりすることになったわ。三日ほど」

翠星石「真紅…ま、まあ先に進めるですかね」

真紅「このゲームでは、様々な能力を持つ職業から自分のなりたいものを選ぶことができるわ。
　私の使っているキャラクターは他の人を回復・支援できる職業に就いているわね」

翠星石「真紅、さっき襲ってくる敵がいるとか言ってたですよね？
　『生きることは戦い』が信条の真紅にしては、珍しい選択ですねぇ」

真紅「ふふ…やっぱり素人は甘いのだわ」

翠星石「なん…ですぅ！？」

真紅「支援職…聖職者はね、選ばれし職業なの」

真紅「『直接攻撃に向いていない』だとか『パーティープレイの寄生虫』だとか『不人気』だとか…
　まったくもって戯言だとした言いようがないわ。
　いいこと翠星石。集団で行動する時、パーティーの要になるのは聖職者なの。
　私が気まぐれで立ち止まれば、勝手に先行した前衛職もきびすを返して戻ってくるわ。
　私の指先ひとつで何人もの人間が右往左往するのよ。
　まさに誇り高きローゼンメイデン第五ドール、
　この真紅に相応しい職業なのだわ」

翠星石「し、真紅…？」

ベリーベル　さんが接続しました。

真紅「来たわね」

ベリーベル ： 真紅おまたせー

翠星石「およ、真紅のちびキャラに別のちびキャラが近づいてくるですよ！
　見た目が随分違うようですけど」

真紅「この子は雛苺よ。まったく、戦士がいなければ話にならない」

真紅「職業には一次職と二次職があるの。
　一次職は経験を積むことで、やがてより強い二次職に孵化できる」

翠星石「始めたての真紅は、まだ一次なのでしょう？」

真紅「残念ながらそういうことね。あとはそれとは別に拡張職というものもあるけど…
　これは忘れてくれて構わないわ」

翠星石「金糸雀みたいなもんですね」

真紅「そうね」

翠星石「こうして別のキャラクター同士での会話というのも、こそばゆいというか…
　こう、新鮮な感じがするですねぇ」

真紅「確かにそれはあるのだわ。ネットゲームの醍醐味ね」

翠星石「それじゃ真紅、何か会話して…」


ﾀﾞｶﾀﾞｶﾀﾞｶﾀﾞｶ　ﾀﾞｶﾀﾞｶﾀﾞｶﾀﾞｶｯ

翠星石（打つの早ッ…！）

ホーリエ ： 前衛ｋｔｋｒ

ベリーベル ： ベリーベルインしたおｗｗｗ

ホーリエ ： うぜえｗｗｗｗｗｗｗ早くＰＴよこせｗｗｗ

ベリーベル ： ＰＴ作成コマンド忘れたｗ

ホーリエ ： 紅茶噴いたｗｗｗ


真紅「…まったく、使えない家来ね」

翠星石（…誇り…高い…？）

真紅「できた…と。こうして他人同士がパーティーを組むことでメンバーがもらえる経験を共有したり、
　他の人には聞こえないようにメンバーの中だけで会話することもできるのよ。
　それと私さっきから説明多すぎね」

翠星石「ははぁ、それでチビ苺を剣士にしたですか…ゲームの中でも家来扱いとは、哀れですぅ…」

ホーリエ ： とりあえず転職まで上げたい
ベリーベル ： おｋ

真紅「適当な狩り場にでも行ってみましょうか」

翠星石「今のは真紅の出した魔法なのですか？」

真紅「ワープポータル、長距離移動用のゲートを開く魔法ね。
　ここは迷宮の森と言って、私たちのレベルでも戦えるモンスターがいるわ。
　これから聖職者、アコライトの戦い方を見せてあげる。戦うのは雛苺だけど」

翠星石「なにやらぶよぶよしたのが変なのがいっぱいいるですぅ…」

真紅「ポリンに構っているような時間じゃないのだわ。行くわよ雛苺。
　…じゃなかった、こっちで話さないと」

ベリーベル ： うにゅうｗｗｗｗうにゅうｗｗｗｗｗｗ

ホーリエ ： ｕｚｅｅｅｅｅｅｅ！こっち恋糟

翠星石「…」

翠星石「なにやら先客がいるですね。こっちは剣士と…？」

真紅「魔法使い、しかも二次職のウィザードね。ちっ…ここで狩りをしようと思ったのに…」

ベリーベル（※ＰＴ内会話） ： なんかいるけど・・どーする？

ホーリエ（同上） ： ぶっちゃけ早く消えてほしいｗｗ

真紅「友達の育成かなにか知らないけど、二次職がこんな初級の狩り場に来るなんて…不愉快だわ」

翠星石「ちょっと真紅！向こうから近寄ってきたですよ？」

ten-cho ： おふたりさんこんにちは＾＾

ホーリエ ： （…？）

ベリーベル ： （…？）

ten-cho ： 今、この子のレベル上げ手伝ってあげてるんだけどさ

†さいとー† ： 了(￡(￡

ten-cho ： よかったら一緒にどう？ホーリエちゃん？

ホーリエ ： （…！）

ベリーベル ： （…！）

翠星石「この相手、初対面なのになれなれしくねぇですか？」

真紅「これは…直結厨なのだわ」

翠星石「直結厨ぅ！？」

真紅「私たちのような女性キャラとみれば近寄ってくる、善意の皮をかぶった不逞の輩。
　ゲームの世界を生殖社交界か何かだと思っている、下半身直結型のオスよ」

翠星石「下半身…？それよりどうするですか、この状況は？」

真紅「雛苺と話し合ってみないと」

ホーリエ（ＰＴ内会話） ： ちょｗｗだまんなｗｗ

ベリーベル ：

真紅（雛苺…対応できずにかたまってしまったわね…）

ten-cho ： 緊張してる？＾＾大丈夫だって俺が転職まで引っ張ってあげるからさ

†さいとー† ： ω・冫→？

ten-cho ： ホーリエちゃんとベリーベルちゃんも俺のギルド入らない！？俺ギルマスだから面倒みれるし

真紅 「困ったわね…厨に関わり合いになりたくないわ」

翠星石「こいつもいい加減しつこいですね…」

真紅「連れもいかにも頭悪そうなのだわ」

ten-cho ： 無視とかきついんですけど＾＾

ホーリエ ： お前の存在がきついのだわ

真紅「ごめんなさい、まだ馴れていなくて」

翠星石「ちょｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ真紅ｗｗｗ」

真紅「何かしら翠星石」

ten-cho ： はぁ！？

ten-cho ： あーそっかそっかｗｗ

真紅「…？」

ten-cho ： 何だこいつら男だわｗｗｗなのだわとか超きめえｗｗｗ

†さいとー† ： маぢ？きも→ﾚヽ

真紅「……え！？」

ten-cho ： いるんだよなーおまえらみたいなのｗｗリアルで人の目も見て話せなくてさ

ten-cho ： ネットでネカマやってりゃチヤホヤされると思って、それですら他人と話すのが怖いってヤツｗｗ

真紅「…！」

ten-cho ： あー損した話しかけてｗｗｗおまえらじゃリアルでもネットでも人生楽しむの無理だからｗｗｗ

†さいとー† ： τωちょ→ヵゝｯこﾚヽ→

真紅「ぐ…っ！！」

ベリーベル ： でもさあ？結局騙されたのはお前じゃね？

ten-cho ： あ？何言ってるのお前ｗｗｗ

ベリーベル ： それを誤魔化すために相手を貶めてバランス保とうとしてるんだよな？低学歴の浅ましい自己防衛手段丸出しで笑えるｗｗ

ベリーベル ： テキトーな人生送るのに精一杯でその実この世がまるで見えてな（以下略


翠星石「真紅ぅ、突然何ごとですかこれは…」

真紅「雛苺…ではないわね。あまり突っ込まない方が良さそうだわ。
　今はただ…彼女のお気に入りの子を馬鹿にした彼の末路をお茶でも飲みながら見届けることにしましょう」

翠星石「やはりあの女…キレると恐ろしいですぅ…」

真紅「ふぅ…あら？気が付けば誰もいなくなってるわ」

翠星石「３０分あの調子なら、そりゃ相手は逃げるですよ…」

ホーリエ ： ベリーベルさんおつかれしたｗｗｗｗｗ中の人は？ｗｗｗｗｗ

ベリーベル ： コンビニ行ったｗｗじゃ狩りするおｗ

真紅「やれやれ、こんなことで時間を取られるなんてね…ギオペ様おいしいのだわ」

翠星石「雛苺が敵を倒した経験が真紅にも行って、順調にレベル上がってるですね」

真紅「私の支援あればこそよ？本来ならこの敵に囲まれたら雛苺一人では厳しいもの…それブレス、速度増加…と」

ベリーベル ： 転職＠２

ホーリエ ： 同じくｗｗ

真紅「翠星石、悪いのだけどティーセットを片付けてきて頂戴」

翠星石「しょうがないですね…」

真紅「翠星石！見て頂戴！ついに二次の支援職・プリーストになったのだわ！」

翠星石「転職の記念的瞬間を見逃しちまったですぅ…雛苺がいねぇですね？」

真紅「雛苺も転職に向かったわ。ずっと私に付き合わせてしまったから、しばらくは自由に楽しませてあげましょう」

翠星石「真紅はどうするですか？」

真紅「前衛職なら序盤はひとりでもレベルは上げやすいけれど、プリーストはそうもいかないわ。
　ここは転職記念に、臨公にでも参加してみようかしらね」

翠星石「臨公？わっ…ここは今までと違って、人がたくさんいるですよ！？姿もいろいろですぅ」

真紅「今は首都の前にいるわ。人が多く集まる場所なだけに、ここでチャットを出して他の人に呼びかけることができるのよ」

翠星石「ああ、これですね。なになに『臨：Lｖ５０－６０の前衛の方』、こっちは支援職を募集してますねぇ」

真紅「レベル帯域さえ合えば、見ず知らずの人とでもパーティーを組んで一緒に冒険できるの」

翠星石「なるほど、臨時のパーティーってことですか」

真紅「この募集条件なら私でも入れそうだわ…」


（ホーリエ　さんが入室しました）

ホーリエ ： こんにちは

クッキングママ ： こんばんはーｗ

愛夢 ： ばんわｗ

夜王 ： ばわーｗｗ

真紅「もうこんばんはの時間になっていたのね…出鼻をくじかれたような感じなのだわ」

ホーリエ ： なりたてホヤホヤのプリですけど、需要ありますかｗ

翠星石「真紅、今までとリアクションがちがくねーですか？」

真紅「こういう時はフレンドリーに行くものよ。多少の失敗も見逃してもらうためにね」

愛夢 ： よろー♪

クッキングママ ：よろりんｗｗ

夜王 ： プリで…ホーリエさん？

愛夢 ： ？

クッキングママ ： 夜王さんどした？ｗｗ

真紅「…？」

ﾋﾟｭｰﾝ

愛夢 ： 夜王さん？

クッキングママ ： 落ちちゃったのかな？

愛夢 ： あ　ギルチャ来た

クッキングママ ： はいはい

ホーリエ ： はい

愛夢 ： すみませんちょっと呼ばれたので抜けまーす

真紅「そんな…」

クッキングママ ： 仕方ないですね　解散ってことで

ホーリエ ： はい…

クッキングママ ： またよろーｗ

真紅「何か腑に落ちない…私のローザミスティカがしきりに警鐘を鳴らしているのだわ」

（from ベリーベル）大変よ真紅！

翠星石「チビ苺が何か言ってきてるですけど、どうして黄色の文字ですか？」

真紅「耳打ちチャットと呼ばれるものよ。これはこの世界にいる限りキャラからキャラへ、どこにでも届くわ」

（To ベリーベル）何かしら？

翠星石「ふむ、これは真紅からチビへ送ったメッセージですね？」

（from ベリーベル）さっき、町で休んでいたらこんなメッセージが流れてたの！

　『ベリーベルとホーリエってキャラはキチOイだから関わらない方がいい』

　もう、誰にも相手にしてもらえないの…！

真紅「…晒されたわね」

翠星石「つまりはこうですか？…あの直結野郎が逆恨みして…」

真紅「知人関係のコネを利用して噂をばらまいたようね…正直、これは凹むのだわ…」

翠星石「べつに真紅は悪いことはしちゃいねーですぅ！こちらもそれを主張するですぅ！
　まぁ最悪、雛苺はつるし上げなければならないかもしれねぇですが…」

真紅「そういう問題ではないのよ翠星石。ここは案外狭いコミュニティなの。
　一度噂をばらまかれたが最後、皆が関わり合いになりたくないと思うわ」

翠星石「ですが…そんなのって！」

真紅「でも、私は誇り高きローゼンメイデン第五ドールよ。決してキャラを作り直したりしないわ」

翠星石「それでこそ真紅なのですぅ！で、どーするですか？」

真紅「噂は広がるのも早いけど、忘れられるのも早いものよ。臨公にはあまり行けなくなるかも知れない、
　それでも地道に出来ることをしていくだけよ」

翠星石「…真紅、このゲームは、その…無料でできるのですよね？」

真紅「ええ、今はそういうことになっているようね」

翠星石「承知ですぅ！」

蒼星石「ごめんなさい、マスター」

結菱「ああ構わないよ。蒼星石がわがままを言ってくれるなんてそうないことだからね」

翠星石「ゲームのためにＰＣ丸ごと買ってくれるなんて、さすが金持ちはやることがごーきですねえ」

蒼星石「本当、原作設定じゃないと出来ない芸当だね」

結菱「…？」

翠星石（見てるですよ、真紅。ささやかながら、私たち姉妹があなたの力になるですぅ！）

翠星石「さてと、次はカナチビのところにでも行ってやるですか…」

みつ「どうしたの、カナ？」

金糸雀「大仕事にかり出されそうな悪寒がするのかしら…」

そして──

レンピカ ： なんだかんだ言って、みんなここに居着いてしまったね

スィドリーム ： パラディン転職おめでとうなのです、似合ってるですよ？

ベリーベル ： こんどヒナのナイトと戦って欲しいの！ｗｗ

宝理恵 ： 私もいろんなキャラを作るうちに、晒されたことはどうでもよくなってしまったのだわ

ベリーベル ： 真紅はキャラを作りすぎなの…

ホーリエ ： あら、記念すべきギルド設立一周年の集会にはこちらで参列した方が良かった？

ピチカート ： みんな、ギルドのためにめいっぱい貢献したカナを忘れないで欲しいのかしらー！

ピチカート ： うう…商人キャラの扱いなんてこんなものかしら…

ホーリエ ： こうして１ｓｔキャラで町を普通に歩ける日が来るなんてね。もう何もかも感慨深いのだわ

レンピカ ： あれ？何か広場に人だかりが出来ているね。またアイテムばらまきでもやってるのかな？

スィドリーム ： ここはクローキングでこっそり様子を見に行くですぅ…


荒巻 ： 姫、ギルド設立一周年おめでとうございます！！

キャベツ太郎 ： たった一年でもうすっかりサーバー１のギルドになりましたね！

Mickey ： おめでとうございます！


ＭＭ ： みんな、ありがとう。これからも私のためにギルドを盛り上げて、そしてどんどん貢いでちょうだぁい♪

一同 ： 喜んで！！


ドールズ「ぎゃふん」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり

全然廃人にならなかった、正直反省している

メイメイｗｗｗ

乙ｗｗｗ