1: 2016/09/19(月) 01:05:05 ID:30.5axrU
女騎士「いりませんかー」

2: 2016/09/19(月) 01:08:10 ID:30.5axrU
オーク「おっ、今話題の水素水か」

女騎士「おうオーク。今日の私は水素水を売る女だぞ」

オーク「ほう」

女騎士「紙コップ一杯で580円だ」

オーク「ちぃと高いな」

女騎士「なんてったって水素水だからな」

3: 2016/09/19(月) 01:11:24 ID:30.5axrU
オーク「まぁ話のネタに飲んでみるか。一杯おくれ」

チャリーン

女騎士「まいどあり。では準備をしようか」

スッ

オーク「うん?その缶は…」

女騎士「水素ガスだ。まずはこれを私が吸う」

カポッ
プシュー

女騎士「スゥーーー」

4: 2016/09/19(月) 01:13:36 ID:30.5axrU
プシュッ

女騎士「よし、腹一杯に水素を溜めた」

オーク「ほうほう」

女騎士「紙コップを私の股の下にセットする」

オーク「うん…?」

女騎士「で、だ」

ニヤリ

女騎士「どうすると思う?」

8: 2016/09/19(月) 05:38:07 ID:30.5axrU
オーク「ど、どうするっておめぇ…まさか…」

ガクガク ブルブル

オーク「その紙コップめがけて、にょ、尿を…」

女騎士「ンフフフフ…それでは芸があるまいよ」

フッ クシャッ

オーク「あっ、紙コップを…踏んづけた…?」

女騎士「さぁお遊びはここまでだ」

9: 2016/09/19(月) 05:45:20 ID:30.5axrU
オーク「で、ではいったい…どうやって水素水を…作るっていうんだ、えぇ!?」

女騎士「そう声を荒げるな、なぁにじき分かる」

ピョンピョン ブラブラ

オーク「な、何だ急に…体操なんか始めて」

女騎士「全身に水素を行き渡らせているのさ、これがな」

オイッチニ サンシ

女騎士「血液、体液、皮膚に頭髪、細胞の一つ一つを…水素で…満たせ、満たせ、満たせ…満たす、満たす、満たす」

女騎士「私は水素、私は水素、私は水素…故に…水素は私、水素は私、水素は私」

10: 2016/09/19(月) 05:47:28 ID:30.5axrU
女騎士「…」

カッ

女騎士「サモ=ハン!」

シュゥゥゥ

オーク「女騎士の動きが、止まった…?」

女騎士「…」

オーク「お、おい…どうしたんだ…」

女騎士「…」

ジワリ

11: 2016/09/19(月) 05:51:14 ID:30.5axrU
オーク「…?」

女騎士「…」

ジワリ

オーク「あ、汗…?」

女騎士「そうだ…私は今、尋常でない量の汗をかいている…その汗は、つまりだ」

オーク「つまり?」

女騎士「水素を…含んでいる…!」

オーク「!!!」

12: 2016/09/19(月) 05:53:30 ID:30.5axrU
その時オークに電流走る!

なるほど、その手があったか

難解な知恵の輪が解けたような

霧がスゥーッと晴れる感覚。

オークは感動のあまり失禁していた。

15: 2016/09/19(月) 21:22:32 ID:30.5axrU
その時、不思議な事が起こった。

女騎士の肌という肌から溢れ出る水素を含んだ汗と
オークの新鮮な黄金水が
無造作に混ざり合い
まだこの世界で解き明かされていない化学反応式のもと
未知の物質となりて

―――爆ぜた―――

オーク「に、尿と汗が…!?」

女騎士「これは闇の渦…ダークマター…いや、違う、これは!」

ギュギュギュギュ

16: 2016/09/19(月) 21:26:10 ID:30.5axrU
くぉぉぉぉぉん!

オーク「ぐぅっ、何だこの耳をつんざく音は!」

女騎士「まるで悲鳴…氏霊の金切り声だ!」

オーク「だが俺は…知っている…知っているぞ!この感覚を!この先に!因果律の彼方に!幾度となく目指した、その先を!」

17: 2016/09/19(月) 21:28:55 ID:30.5axrU
女騎士「お、オーク…?いったいお前は何を…」

オーク「これが何回目…何億回目の俺なのか分からないが…俺はずっとこの先にある『なにか』の為に…繰り返し…繰り返し繰り返し繰り返し!汗と尿を!俺が!お前の!世界は!その運命も!因果律を書き換えた世界が!わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

18: 2016/09/19(月) 21:32:53 ID:30.5axrU
――チョロッ――――

オーク「さぁ、追加の黄金水だ!さらに因果律を!書き換えろ!混沌で満たせ!世界を!そしてその先に!」

ジョバババババババババババ

女騎士「うわぁぁぁぁぁ!これでは汗が追いつかない!尿が飽和する!世界が酸性になってしま…」

ジョバババババババババババ

女騎士「うわぁぁぁぁぁ!」

ゴポォ

女騎士「ブクブクブク…」

そして女騎士の意識は
アンモニア臭の奥底へと沈んでいった…

19: 2016/09/19(月) 21:35:28 ID:30.5axrU
――――――――――

――――――――――

『ここは』

『ひろいな』

『それに、まっしろだ』

『だれかいるかい?』

『いないのかい?』

『ぼく、だけかい?』

20: 2016/09/19(月) 21:36:53 ID:30.5axrU
『なんだか』

『さみしいな』

『きっと、こんなせかいを』

『だれより のぞんだのは』

『ぼくなのに』

『なのに』

『ここは』

『ひろくて』

『まっしろで』

『なぁんにも、ないや』

21: 2016/09/19(月) 21:39:08 ID:30.5axrU
ドサッ

『あれ?』

『だれか、きたの?』

『きみはだれ?』

『ふしぎなすがたをしているね』

『それに、あせびっしょりだ』

『え?』

『ぼくがだれかって?』

『そうだね』

『しいていうなら』

『む』

『かな』

22: 2016/09/19(月) 21:41:42 ID:30.5axrU
『ぼくはね、やっとなれたんだ』

『む、に』

『ずっと』

『ひとりになりたかった』
『みんなきえてほしかった』
『やさしいてがにがてだった』
『あわれみのめがきらいだった』
『しんぱいするこえがいやだった』
『はだがふれたら はきけがした』

23: 2016/09/19(月) 21:44:57 ID:30.5axrU
『むれるやつらがにくかった』
『たのしそうなかおがうらめしかった』
『あたたかさからにげだしたかった』

『なんどふりはらってもさしのべられる そのてが』
『いくどもぼくをくるしめた』

『だから』

『ひとりになりたかった』

『そして』

『むに なりたかった』

24: 2016/09/19(月) 21:46:33 ID:30.5axrU
『…』

『ひぐっ…えぐっ…』

『やっぱり』

『ひとりは かなしいよ』

『あんなにものぞんだのに』

『なのに』

『なのに!』

25: 2016/09/19(月) 21:51:43 ID:30.5axrU
『なの、に』

『またきみは そのてを』

『こんなぼくに そのてを』

『さしのべるの?』

―――ピシッ―――

当たり前だ!
なんてったって、私だぞ?
差し伸べるさ、何度でも!

―――ピシッ、ピシピシ――――

そんな風にいじけたお前を!
その泣きはらした横っ面を!
容赦なくひっぱたいてやる!

―――ピシピシピシッ!―――

―――パキン!―――

だから―――

目を、覚ませ!

26: 2016/09/19(月) 21:53:48 ID:30.5axrU
女騎士「オぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

女騎士「歯ぁ食いしばれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

バチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!

オーク「い」

オーク「っっっっっっっっっっ」

オーク「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

28: 2016/09/20(火) 01:24:27 ID:Z5wm3VN2
女騎士「そう!水素水は体に溜まった活性酸素と結びつき、なんか健康になるっぽい!」

オーク「うさんくさいけど、なんかすげぇ!」

女騎士「そうだ、だからどんどん飲め!私が作る水素水は無限なのだから!」

ジョバババババババババババ

オーク「よぅし、ならばいくか!」

女騎士「応!」

オーク「咆!」



みんなも水素水が飲みたいなら
女騎士に会いに行こうぜ!

【完】

31: 2016/09/21(水) 15:59:12 ID:q.Ktm2gA
水素水ってすごい、あらためてそう思った
というか結局、尿になってないかこれ

いつもより爽やかテイストだったな乙

引用: 女騎士「くっ、水素水…!」