1: ◆ZS3MUpa49nlt 2013/03/16(土) 21:36:02.73 ID:/ZqQqOoio


1スレ目
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」
2スレ目
結標「何でコイツと同じクラスなのよ!?」一方通行「それはコッチのセリフだ」
3スレ目
一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」

スレタイ通りあわきんがなんやかんやでレベル5になる、一方さんとあわきんコンビのラブコメ?です

※注意事項

>>1の勝手な想像で物語が進むので、設定改変・キャラ崩壊・ご都合主義がたくさんあります

基本台本形式

週一更新(目安)


あとは以前と大体同じなので、それらを踏まえた上でよろしくおねがいします

では、肩の力を抜いてどうぞご気楽に見てやってください



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363437362

2: 2013/03/16(土) 21:37:23.10 ID:/ZqQqOoio


プロローグ.暗躍するプラン


夜の学園都市。辺りはひっそりと静まっており、聞こえるのはビルの間を通る風の音ぐらいだった。
冬だということで肌に突き刺さるような冷気が外には流れている。
空に映るのは三日月、都市の明かりに負けずに輝きを見せる一等星たち。静けさの中で唯一の賑やかさを演出していた。

そんな中、第七学区にあるとある学校のとある男子寮。
その一室のベランダの手すりに一人の少年が寄りかかっていた。
金色に染めた頭と青いサングラスが特徴の、アロハシャツの上に学生服を羽織った少年。
左手に握られた携帯電話は彼の耳元に当てられている。


「……これで満足か?」


少年は吐き捨てるようにそう言い放った。その表情には苛立ちのようなものが見える。


『ふむ、よくやってくれたよ。これでプランの成果を確認することができた』

「そのふざけたプランはいつになったら完遂するんだ? 動くこちら側からしても迷惑で適わない」

『何、いずれ終わるさ。近いうちにな』

「推定寿命が千年を超えるお前にとっての近いうちとは、一体いつなんだろうな?」


皮肉を述べる少年の表情はさらに険しくなっていた。


「今回の件、氏人が出てもおかしくはなかった。お前がどういった意図でこれを行ったかは知らんが、先に言っておくぞ」


怒りの口調のまま少年は続ける


「俺たちであまり遊ばないことだな。やりすぎはお前の身を滅ぼすことになるぞ」


『…………』


電話の向こう側からの言葉はなかった。
おそらく向こう側では憎たらしく笑う電話主がいるだろう。
少年は舌打ちをし、再び口を動かした。

とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)
3: 2013/03/16(土) 21:38:17.96 ID:/ZqQqOoio


「で、次は何の用だ? わざわざお前の方から連絡を寄越すなどよっぽどのことがあったのだろう」

『学園都市を賑わすような出来事が起こる。これからな』


唐突な言葉に少年は顔をしかめる。


「何だそれは。大覇星祭、一端覧祭は既に終わり、残っているのは入試ぐらいか」


小学校から中学校。あるいは中学校から高等学校。
その中間点にある入試。時期的にもそろそろで今も受験生が血眼で机に向かっていることだろう。
ある種の戦争のようなもので祭のような楽しさはないが、盛り上がることには間違いない。


「お前がこのような俗事に関してのことを話すとはな。何のギャグだ」

『何を勘違いしているんだ? 誰もそんなことは言っていないだろう』

「……ならなにが起こるというんだ。もったいぶらずに早く言ったらどうだ! こちらも暇ではないんだぞ!」


少年は声は荒らげた。しかし電話の向こう側の人物の声は変わらず平坦なものだった。


『ふふふっ、まあそう焦ることではない、すぐにわかることだ』

「楽しみにしておけ、そういうことか」

『ああ。ではそろそろ切り上げるとしよう。ではな』


プツン。通話が切れて、スピーカーからはむなしく電子音が聞こえてくるだけだった。
少年は通話終了のボタンを押し、携帯電話を制服のポケットの中へと落とす。
サングラスを中指で押し上げて、夜空に写る光たちを眺めながら少年はつぶやいた。


「……ふざけやがって」


学園都市の夜。様々なものが暗躍する黒。少年もその闇の中をただもがくしかない。
それが彼へと課せられた使命なのだから……。



4: 2013/03/16(土) 21:38:59.00 ID:/ZqQqOoio


1.始業式

January second monday 07:00

-黄泉川家・結標の部屋-



ピピピピ! ピピピピ!



結標「……んっ…………」ゴロリ



ピピピピ! ピピピガチャ!



結標「…………朝?」

結標「…………」

結標「……そっか、今日から学校か……」

結標「…………」

結標「……起きよ」ムクリ


5: 2013/03/16(土) 21:40:06.74 ID:/ZqQqOoio


-黄泉川家・リビング-



ガラッ



黄泉川「おっ、おはようじゃん淡希」

結標「おはようございます黄泉川さん」

黄泉川「……ずいぶんと眠そうじゃんねー」

結標「昨日まで雪山でスキーやらなんやらしてましたからね」

黄泉川「ははっ、でもその体に残った疲れが、スキー旅行は楽しかったっていうことを照明してくれる証拠じゃん」

結標「そうですね、ふわぁ」

黄泉川「ま、それでも始業式の校長の話の時に寝ていい理由にはならないじゃん」

結標「あはは、見抜かれてますねー」

黄泉川「朝ご飯出来てるから顔洗ってきな」

結標「はーい」テクテク


6: 2013/03/16(土) 21:40:51.10 ID:/ZqQqOoio


結標「……あー、さっぱりした。でも眠いことは変わらないわね」

芳川「…………」ズズズ

結標「……相変わらずいつの間にかリビングに居ますよね、芳川さんって」

芳川「あら、随分な言いようね淡希」

結標「冗談ですよ。おはようございます芳川さん」

黄泉川「ほいコーヒー。少しぐらいは眠気が覚めると思うじゃん」スッ

結標「ありがとうございます」

芳川「そういえば他の子たちはどうしたのかしら?」

黄泉川「打ち止めはまだ寝てると思うじゃん。淡希と同じくスキー旅行で疲れているんだろ」

結標「一方通行は……って、言うまでもありませんね」

芳川「そうね。だって……」


一方通行「…………Zzz」


芳川「……ソファーの上に白いのが一人転がっているものね」

結標「アイツ今日から学校だって言うことわかっているのかしら?」

黄泉川「さすがにそこまで馬鹿じゃないじゃん。冬休み中だって補習期間は真面目に学校行ってたぐらいだし」

芳川「そうね。似合わないくらい真面目だわ。彼のことだから補習はサボり、宿題はスルーなんて当たり前のようにすると思ったけど」

結標「芳川さんの中でアイツはどんなキャラだったんですか……? まあ、何となくわかりますけど」

黄泉川「ま、時間になったらちゃんと起きるじゃん。ほっとけほっとけ」

結標「そうですね」ズズズ

芳川「さて、今日のニュースニュース」ピッ


―――
――



7: 2013/03/16(土) 21:41:33.26 ID:/ZqQqOoio


同日 7:55

-黄泉川家・結標の部屋-


結標「……よし、準備完了っと」

結標「そういえばアイツは起きたのかしら?」

結標「そろそろ出なきゃ結構つらくなる時間よね」

結標「……さすがに起きているわよね……?」


-黄泉川家・リビング-


一方通行「…………Zzz」

結標「と思っていた私が馬鹿だったわ……」

芳川「あら、まだ起きてなかったのね。愛穂はとっくに出発したというのに」

結標「これはもう起こすしかないですね。ちょっと一方通行ぁ!」ユサユサ

一方通行「…………Zzz」

結標「おーきーろー!」ユッサユサ

一方通行「Zzz……あァ? ンだよ……」

結標「貴方今日学校よ? 早く起きて準備しなさいよ」

一方通行「うっせェなァ……わかったからあと五時間眠らせろ」



ゴッ!



結標「起きろって言ってんでしょうが」

一方通行「はい」


8: 2013/03/16(土) 21:42:36.07 ID:/ZqQqOoio


一方通行「……くそったれが。何で学校なンてモンに行かなきゃいけねェンだァ?」←とりあえず制服に着替えた

芳川「それはキミが学生だからじゃないかしら?」

一方通行「チッ、面倒臭せェ」

結標「そろそろ出ないと本気で不味いから早く朝ご飯食べて!」

一方通行「いらねェよ。コイツだけで十分だ」つ缶コーヒー

芳川「……栄養失調起こしてもしょうがない食生活よね、キミって」

一方通行「そりゃねェだろ。なりたくても黄泉川の野郎が無理やり食わせて来るンだしよォ」

結標「……そういえば貴方って黄泉川さんにも弱いわよね。打ち止めちゃんとは違ったベクトルで」

一方通行「弱くねェよ。ただ面倒だから従っているだけだ」

芳川「……本当は怖かったりして」クス

一方通行「怖くねェよぶち頃すぞクソババァが」スッ

芳川「はいはいわかったから電極のスイッチ入れるのはやめてよね、ご近所様に迷惑だから」


9: 2013/03/16(土) 21:43:34.62 ID:/ZqQqOoio


一方通行「チッ」カチャリ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「あァ、コーヒーうめェ」

結標「……って、ちょっと! コーヒー飲んで和んでる場合じゃないわよ! 遅刻するわよ遅刻っ!」

一方通行「遅刻なンてするわけねェだろ。音速で空から行けば五分もいらねェ」

結標「私は貴方と違ってそんな芸当できないの!」

一方通行「そォかよ。だったら行くとするかァ」

結標「もう、じゃあ芳川行ってきますっ!」ドタドタ

芳川「ふふっ、いってらっしゃい二人とも」

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

結標「少しは急ぎなさい一方通行!」

一方通行「ったく、急かすンじゃねェよ」カチ



ドンッ!



―――
――



10: 2013/03/16(土) 21:44:21.00 ID:/ZqQqOoio


同日 08:20

-第七学区・通学路-



タッタッタッタッタ



結標「……ぜぇ、ぜぇ、ギリギリになりそうね」タッタッタ

一方通行「そォだな。全ての信号機に引っかかるなンて三下のよォな不幸に遭わなければな」シュー

結標「さすがにそれはないんじゃない普通」

一方通行「どォだか。今のところ三連チャンだぜ?」

結標「……偶然よ偶然」

一方通行「だとイイがな」シュー

結標「……しっかし貴方は楽そうねっ、低空飛行してるだけでっ」タッタッタ

一方通行「楽なわけねェだろォが。風や慣性、重力、空気抵抗その他諸々――それらのベクトル全部きっちり演算しながら飛行してンだよ」

一方通行「しかもオマエのノロマな速度にわざわざ合わせてやってるしなァ」

結標「はぁ、はぁ、すっごくムカつくわねえ、殴りたくなるくらい」

一方通行「今殴っても反射されるだけだけどな、ぎゃはっ」

結標「この野郎……って、あら?」



信号:赤



11: 2013/03/16(土) 21:44:49.91 ID:/ZqQqOoio


一方通行「おっと、赤信号か」カチ

結標「またか。ホントついてないわねえ」

一方通行「まァクールになれよ」

結標「クールになれる状況じゃないんだけど」

一方通行「…………」

結標「…………」



信号:青(パッ



結標「よし、変わったわ!」ダッ

一方通行「オラ走れ走れェ、遅刻になンねェよォになァ」カチ

結標「言われなくても……ッ!?」タッタッタ

一方通行「あァ?」シュー


信号:赤


12: 2013/03/16(土) 21:45:31.71 ID:/ZqQqOoio


一方通行「……どォいうことだ」カチ

結標「そ、そんな……こんな連続で引っかかるなんてことあるの?」

一方通行「さァな。事実引っかかってンだからありえるンだろけどよォ」

結標「ぐぬぬぬ、もどかしいわね……」

一方通行「まァまァ落ち着け。まだ慌てるよォな時間じゃねェ」

結標「遅刻しそうだってさっきから言ってんでしょうが」


???「ぜぇ、ぜぇ……おっ、二人とも今登校か!」


一方通行「あン?」

結標「この声は……」

上条「いやー、二人がいるってことはまだ安全圏ってことだよな。よかったよかったー」

一方通行「よォ上条、寝坊か。目覚ましでもぶっ壊れてたのかァ?」

上条「そうなんですよー、携帯の電池もなんか知らないけど切れててなぁー不幸だ」

結標「相変わらずの不幸ね」

一方通行「便利なのか不便なのかわかンねェ右手だなァ」

上条「本当だよ、今だって連続で信号に引っかかってるからな」


一方・結標「「……え?」」


13: 2013/03/16(土) 21:46:12.27 ID:/ZqQqOoio


上条「ったく、なんでこう都合の悪い時限定で信号に引っかかりまくるんだろうな? つーか学校までの道のり信号多すぎだろ」

一方通行「……オマエ、さっきから信号に引っかかってンのか?」

上条「そうなんだよ。聞いてくれよ、今のところ連続五回目だぜ? ホント笑えねえよ」

結標「……ってことはそこの道を通ってきてたってこと?」

上条「そういうことだな。こっちから行った方が近道だったんだけど……まあ信号に妨害されてりゃ意味ねえわな」

一方通行「…………」

結標「…………」

上条「……? どうかしたか二人とも。しかしここの信号長ぇなぁ」

結標「ええ、そうね。このままじゃ本当に遅刻しそうだわ」

一方通行「……さァて、遅刻はしたくねェから俺は先に行くぜェ」カチ

結標「貴方まさか――」

上条「えっ、なにを言って――」



ドンッ!



上条「……と、飛んだ!?」


14: 2013/03/16(土) 21:47:26.45 ID:/ZqQqOoio


結標「くっ、信号に引っかからないように空中から行く気ねアイツ……」

上条「そんなに時間がヤベーのか……」つ携帯電話

上条「って、本当に時間がやばい!」

結標「……ふふふ、アイツだけセーフなんて何の面白味のない結末は許されるわけがないわ」ブツブツ

上条「えっ、何を言って――」

結標「じゃあ上条君、先に行ってるわね♪」



シュン



上条「て、テレポートっ!? うわっ、しかもあんな遠いところまで、ずっりぃっ!」

上条「……あれ? 結標って自分のテレポートってできたのか?」

上条「今まで見たことなかったからてっきりできねーのかと思っていたが……」

上条「……つーか、何で信号変わらねーんだよ! このままじゃ遅刻確定じゃねえか!!」



上条「クソッ、不幸だぁあああああああああああああああああああっ!!」



―――
――



15: 2013/03/16(土) 21:48:24.37 ID:/ZqQqOoio


同日 08:30

-とある高校・一年七組教室-



ワイワイガヤガヤ



青ピ「しっかしカミやんたち遅いなぁ、一体何してんやろうなー」

吹寄「さあ? いつも通り『不幸だー』とか言って信号にでも引っかかってるんでしょ」

青ピ「まあそうやろうけどな。そしたら土御門君も一緒に『不幸だにゃー』言うとるんかな?」

吹寄「言われてみれば土御門もいないわね」

青ピ「不幸なカミやんのお隣さんなんて土御門君も難儀やなー」

吹寄「無視して勝手に行けばいいのに」

姫神「……そういえばアクセラ君たちもまだ」

青ピ「ホンマやな、何かあったんやろうか」

吹寄「朝、黄泉川先生とは普通に会ったから事件的なことはないんじゃないかと思うけど」

姫神「単純にアクセラ君の寝坊?」

青ピ「たしかにそれはありえるなー。いつも眠い眠い言うとるし」

吹寄「結標さんもそれに巻き込まれたってわけね」


16: 2013/03/16(土) 21:49:18.35 ID:/ZqQqOoio


青ピ「冬休み気分が抜けてないんやなー、子供やねーアクセラちゃ――」



ドグシャ!



青ピ「――んごぱぁ!!」ドンガラガッシャーン

一方通行「誰が子供だってェ?」

姫神「あっ。青髪君が吹っ飛んでいった」

吹寄「あら、アクセラおはよっ」

一方通行「おォ。どォやら間に合ったみてェだな」カチ

姫神「どうしたの? 寝坊?」

一方通行「寝坊じゃねェよ。まだ十分間に合う時間帯だった」

吹寄「ちなみに何時に起きたのよ?」

一方通行「八時前くれェ」

姫神「ファミリーサイドからここまでだったら。結構危ない時間帯じゃない?」

一方通行「能力使えば車より早く行けるぜ?」

吹寄「そりゃそうでしょ。あなたの能力を使えば学園都市の端から端だって分単位で行き来できるわけだし」


17: 2013/03/16(土) 21:50:06.35 ID:/ZqQqOoio


姫神「……そういえば結標さんは?」

一方通行「さァな? 今頃三下と一緒に仲良く信号待ちでもしてンじゃねェか」

吹寄「置いて来たわけ?」

一方通行「ああ。上条なンかと一緒に登校してたら遅刻確実だからな」

姫神「結標さんかわいそう」

吹寄「マラソン大会の時みたいに抱えて連れてきてくれればよかったのに」

一方通行「ンな面倒臭せェことするかよ」

青ピ「あーあ、おしいことしたなぁアクセラちゃん」

一方通行「あァ?」

青ピ「そこで『一緒に行く』っていう選択肢選んどけばイベントCG回収できたかもしれへんのに」

一方通行「何言ってンのかさっぱりわからねェが、とりあえず俺をおちょくってるっつゥことはわかる」

吹寄「このゲーム脳は……」

青ピ「ちなみにそろそろチャイムがなる時間なんやけど……」

一方通行「つゥことで悪りィが、結標には初日早々遅刻っつゥ烙印を押されてもらうっつゥことになるわけだ」



シュン



結標「ぜぇ、ぜぇ、ざ、残念でしたぁ。そう簡単に遅刻なんてしないわよ」


18: 2013/03/16(土) 21:50:49.99 ID:/ZqQqOoio


吹寄「あっ、結標さん!」

姫神「今のはテレポート?」

結標「お、おはよう二人とも」ゼェゼェ

青ピ「姉さん自分をテレポートさせることできたんやなぁ」

結標「前まではできなかったんだけどね」

姫神「前までは?」

結標「うん、実は――」



キーンコーンカーンコーン



結標「あっ、もうチャイム鳴っちゃったわね」

一方通行「そりゃギリギリだったしな」

吹寄「じゃあまた次の休み時間ね」



ガラララ!



小萌「はぁーいみなさーん、席に着くのですよー」



ワイワイガヤガヤ



小萌「皆さんおはようございます。そして明けましておめでとうございますなのですよ」



<おめでとうございまーす!



小萌「では今日の予定を話す前に出席をとるのですよ。まず――ちゃん!」


―――
――



19: 2013/03/16(土) 21:51:56.48 ID:/ZqQqOoio


小萌「――次、土御門ちゃん!」



シーン



小萌「? 土御門ちゃんはどうしたのですー?」

吹寄「そういえば土御門も来てなかったわね」

青ピ「姉さんらカミやんと会ったんやろ? そんとき土御門君おらへんかったん?」

一方通行「いやいなかったぞ」

結標「うん、上条君一人だったわね」

吹寄「スキー旅行帰りで風邪でも引いたんじゃない?」



ざわざわ



小萌「……ええっと、じゃあ次上条ちゃん!」



シーン



20: 2013/03/16(土) 21:52:51.22 ID:/ZqQqOoio


小萌「……むむ、じゃあ上条ちゃんはちこ――」



ガラララ!




上条「その遅刻待ったぁあああああああああああああああああああッ!!」




小萌「ふぇっ!?」ビク

吹寄「うるさい上条! もっと静かに教室に入れないのか貴様は!」

一方通行「待ったァ、つっても遅刻は遅刻だろ」

小萌「そ、そうですよ上条ちゃん! 始業のチャイムは鳴ったのですから、出席に間に合っても遅刻は遅刻なのですよー!」

上条「くっ、不幸だ……」

青ピ「カミやん、つっちーはどしたん?」

上条「土御門? あいつ来てねえのか?」

吹寄「……どういうこと?」


21: 2013/03/16(土) 21:53:59.20 ID:/ZqQqOoio


上条「いや、俺が部屋を出たときは既に留守だったから、てっきり先に学校に行ったのじゃないかと」

一方通行「つまり、サボリっつゥことかァ?」

姫神「もしかしたら何かあったのかも」

結標「それなら何か連絡してくるんじゃないかしら?」

上条「……つーか、二学期の始業式のときもあいついなくなかったか?」

一方通行「前例あンのかよ」

小萌「ま、まあ土御門ちゃんについてはあとで確認を取ってくるのですよ。今はとにかく静かにしてください」

上条(……また何か面倒なことにでも巻き込まれてんのかなーあいつ)ボー

小萌「上条ちゃん早く席につくのですー」

上条「あ、すんません」ガタ


小萌「では出席確認が終わったところで今日の予定を話すのですよ」

小萌「九時から始業式が始まるので、その十分前くらいには体育館に集合なのです」

小萌「それが終わったあとは各教室でホームルームをして今日は終わりなのですよ」

小萌「では早めに体育館に行くとしましょう」


22: 2013/03/16(土) 21:55:26.59 ID:/ZqQqOoio



ワイワイガヤガヤ



青ピ「しゃっー! 半ドンキター!」

一方通行「その前に地獄の校長の長話があるンだがな」

結標「どうせ貴方は寝るんだから話なんて聞かないでしょ? というか黄泉川さんに怒られるわよ」

一方通行「おいおい、校長の話中に能力使わなきゃいけなくなったじゃねェか。絶対ェ持たねェよバッテリー」

姫神「ちゃんと起きとけばいい」

一方通行「面倒臭せェ」

吹寄「別に座っとくだけなのに何が面倒なのかわからないわね」

青ピ「その退屈な時間が面倒やからなー逆に」

上条「何で長いんだろうなー校長の話って」

姫神「ああいうのには。どうやらマニュアルがあるらしい」

結標「それってほんとなの?」

姫神「テレビで見た」

一方通行「あの綺麗ごとはただのコピペっつゥことか、面白れェ話だなァオイ」

上条「……はぁ、こんな時だけは羨ましい限りだぜ土御門」


―――
――



23: 2013/03/16(土) 21:56:33.19 ID:/ZqQqOoio


同日 09:10

-とある高校・体育館-


校長『ええー、今日から三学期に入るということでぇ――』


一方通行「…………Zzz」コクリコクリ


結標(案の定寝てる……)

吹寄(起こした方がいいのかしら……?)

青ピ(帰ったら積んでる工口ゲー消化せーへんとなー)

上条(今日の昼飯はどうすっかなー? つか、冷蔵庫に食材残ってたっけ?)

姫神(……あ。黄泉川先生)



ゴッ!



一方通行「ッ!? 何しやがるッ?」

黄泉川「いい加減起きるじゃん♪」ニコ

一方通行「ハァ? 面倒臭せ――」

黄泉川「起きるじゃん♪」ニコ

一方通行「お、おォ……」


上条(よ、黄泉川先生怖えー)

吹寄(お、恐ろしさしか感じない笑顔だったわ)

姫神(痛そう…)

結標(まあ、自業自得ね……)

青ピ(とりま帰ったら一発いっとこうかなぁ)


一方通行「……チッ、うっとォしい」


―――
――



25: 2013/03/16(土) 21:58:43.46 ID:/ZqQqOoio


同日 11:25

-とある高校・一年七組教室-


ワイワイガヤガヤ


青ピ「っしゃー、やっと始業式おわたー!」

上条「ああー疲れたー」

姫神「アクセラ君。頭大丈夫?」

吹寄「すごい音してたわよ」

一方通行「あァ? 別にたいしたことねェよ」

結標「日常的に結構食らってるしね」

一方通行「つゥか、辺り見渡したら普通に俺以外に寝てるヤツいたじゃねェか。明らかに俺のことだけ見てただろ黄泉川」

上条「身内のよしみっつーことじゃねえか? この場合逆の方向の話になるけど」

一方通行「迷惑極まりねェよしみだなァ」

結標「それに貴方見た目がこれだから、何かしてたらいやでも目立ってしまうんじゃないかしら?」

姫神「思い切って髪を染めてみたらどう? 黒に」

上条「うわー、一方通行の黒髪かー。全然想像つかねえな」

吹寄「似合わない、ってことはなさそうだけど違和感がすごそうね」

結標「ためしに白髪染めでも買ってやってみたら?」

一方通行「やらねェよ」

青ピ「ぷはっ、こんな歳で白髪染めを勧められるなんて自分おもろいでぇ」

一方通行「オマエの青髪毛根ごと全部引き抜いて、青髪ピアスから丸禿ピアスに改名させてやろうか?」

青ピ「いやどす」


26: 2013/03/16(土) 22:00:19.35 ID:/ZqQqOoio


上条「しかし、結局土御門のやつ来なかったな」

姫神「どこで何をやっているのやら」

吹寄「どうせメイド喫茶とかにでも行ってるんじゃないの?」

結標「さすがにそれはないんじゃない。土御門君もそこまで馬鹿じゃないでしょ」

一方通行「…………」

青ピ「どうせあれやでー、宿題が終わってなくて来たくても来れないんやでえ」

吹寄「お前は宿題終わっているんでしょうね?」

青ピ「何言うとん終わっとるに決まっとるやんけ。まあもちろん全部家に置いてきたんやけどなぁ!」

結標「えっ何で?」

青ピ「そりゃ小萌センセと甘い時間を過ごすために決まっとるやないか!」

上条「またお前はそんなこと言ってんのかよ」

青ピ「うっさいでぇカミやん。ボクらぁ一般人はカミやんと違ってぽんぽんフラグを建てるなんてことできへんのやから、こういうところできっちりせえへんと」

吹寄「どうでもいいけど努力する方向間違ってるわよ」


27: 2013/03/16(土) 22:01:19.28 ID:/ZqQqOoio


姫神「そういえば忘れてたけど結標さん」

結標「ん、何?」

姫神「今朝話してた結標さんの能力についてなんだけど」

青ピ「そういやそんな話しとったなぁ」

上条「前までは自分自身のテレポートはできなかった、っつー話だったか?」

結標「うん、そうなの。よく知らないんだけど私にはトラウマがあったのよ。記憶喪失前のね」

吹寄「? 記憶喪失前のことなのに記憶喪失してからもトラウマがあったってこと?」

上条「何だか頭痛くなってきた」

結標「あくまで体が覚えてたってだけよ。だからそのトラウマが邪魔して今まで自分の体を飛ばせなかったのよ」

青ピ「それは不便やなぁ、テレポーターなのに」

結標「でも昨日の雪合戦大会がきっかけでトラウマを克服することができたわけよ……だから」



シュン



上条「消えたッ!?」

青ピ「一体どこにッ!?」

姫神「黒板の前」


28: 2013/03/16(土) 22:02:14.50 ID:/ZqQqOoio


結標「……おかげでこういう風に自分自身のテレポートもできるようになったわけ」

吹寄「へー、よかったじゃない!」

姫神「便利そう」

一方通行「…………」

青ピ「ん? どしたんアクセラちゃん、さっきから全然会話に参加してないで」

姫神「どこか具合でも悪い?」

一方通行「あァ? 別に何でもねェよ。面倒臭せェから口を動かさなかっただけだ」

結標「休み時間くらい積極的に会話に参加しなさいよ。ただでさえグループワークとかの授業に鳴ったらまったく喋らないんだから」

吹寄「たしかに私たち以外の人とグループになったりしたら会話ゼロの状態になってしまうわよね」

青ピ「アクセラちゃんテラコミュ障!」



ガン!



青ピ「ぎゃあああああああああッ!! 弁慶がぁ!! 弁慶がぁぁ!!」

上条「ほんと学習しねーよなぁお前って」

一方通行「チッ、くだらねェ」



ガラララ



小萌「はぁーい、ホームルーム始めちゃいますからちゃっちゃと席に着いちゃってくださーい!」


―――
――



29: 2013/03/16(土) 22:02:57.66 ID:/ZqQqOoio


同日 12:20

-とある高校・一年七組教室-



キーンコーンカーンコーン



女子委員長「気をつけ、礼」



<ありがとうございました!



青ピ「放課後が来たでー!」

小萌「あっ、青髪ちゃんはちゃんと今日中に学校へ持ってきてくださいね」

青ピ「……え」

小萌「ちゃんと全部終わらせているんでしょ?」ニコニコ

青ピ「あ、はい。取ってきます」スタスタ


吹寄「結局あの馬鹿は何がやりたかったわけ?」

姫神「さあ?」

上条「あれがあいつにとっての幸せなんじゃねーの?」


30: 2013/03/16(土) 22:03:59.14 ID:/ZqQqOoio


結標「……ふぅ、さて帰るとしましょうか」

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

結標「あ、一方通行一緒に帰りましょ」

一方通行「悪りィな。少し寄るところがあるから一緒に帰れねェ」

結標「そう、寄り道くらいなら付き合ってあげるわよ」

一方通行「いやイイ。オマエに余計な時間は使わせたくねェからな」

結標「余計な時間って……どうせコンビニとかでしょ? それくらい大丈夫よ」

一方通行「違うっつゥの、もっと遠い場所だ。下手したら昼過ぎるかもなァ」

結標「うっ、たしかにそれは嫌ね」

一方通行「つゥことで吹寄たちとでも一緒に帰っててくれ。じゃあな」ガチャリガチャリ

結標「あ、うん」


結標「…………」

吹寄「あれ結標さん、一人で突っ立ってどうかしたの?」


31: 2013/03/16(土) 22:04:45.72 ID:/ZqQqOoio


結標「ちょっとね。一方通行が先に帰っちゃったのよ」

吹寄「なっ、それはどういうことかしら」

結標「何か用事があるとか言ってたわ」

吹寄「ふーん、何か怪しいわね」

姫神「うん。怪しい」

結標「怪しい? 何が?」

姫神「一人でコソコソしてるところ」

結標「別にコソコソはしてないと思うけど」

吹寄「その用事って何か聞いてないの?」

結標「いえ、少し時間がかかるかもしれないとは言っていたわ」

姫神「ますます怪しい」

結標「うーん……そう言われてみると怪しいように感じてきたわ」

吹寄「で、どうするの? 追いかけたりするわけ?」


32: 2013/03/16(土) 22:05:46.74 ID:/ZqQqOoio


結標「……いや、別にいいかな。アイツが何をしようと勝手だし、追いかけたら追いかけたで彼怒りそうだし」

吹寄「ま、そうよね」

結標「先に帰ってろ、って言ってたし今日はささっと帰るとしましょ」

吹寄「そうだ、どうせだしこれから三人でお昼でも食べに行かない?」

姫神「それは名案」

結標「いいわね。どこにいく? 地下街?」

吹寄「そうね、いつものファミレスとかじゃつまらないものね」

結標「そうと決まれば早速行くとしましょ──」


小萌「あっ、結標ちゃんちょっといいですかー?」


結標「何ですか先生」

小萌「悪いとは思いますが、ちょっと話すことがあるので職員室に来てもらえますー?」

結標「えっ、今からですか……?」

小萌「はい。楽しそうにランチの話しているところで本当に悪いと思っているのですが……」

結標「むむっ、それってどれくらいかかりますか?」

小萌「大丈夫ですよ。すぐに終わりますよ」

結標「そうですか、よかった……ちょっと二人とも待っててもらえ――」


33: 2013/03/16(土) 22:06:45.94 ID:/ZqQqOoio


黄泉川「――小萌先生ちょっといいじゃん?」


姫神「あっ。黄泉川先生」

小萌「何ですかー?」

黄泉川「ちょっと昼から必要な資料がまだ集まってなくってさ、今から緊急で手伝ってくれない?」

小萌「黄泉川先生! そういうのはあらかじめ前日から済ませておくことですよー!」

黄泉川「わ、わかってるじゃん。次から気をつけるから今日は手伝って! このとおーり!」

小萌「まったく……ええと、結標ちゃん」

結標「何だかすごく嫌な予感がするけど、何でしょう」

小萌「黄泉川先生が緊急事態のようなのでちょっと手伝ってきます。出来れば終わるまで待っててほしいのですよー」

結標「……どれくらいかかるんですか?」

黄泉川「だいたい二十分くらいかなー?」

吹寄「に、二十分……」

結標「結構かかりますね……」

小萌「生徒を待たせちゃいけないのでちゃっちゃと終わらせましょう! さっ、行きますよ黄泉川先生!」テクテク

黄泉川「あははー、悪いな淡希ー」

結標「いえ、構いませんけど……急いでくださいね?」

黄泉川「了解じゃん!」


結標「……はぁ、ごめんね二人とも」

吹寄「別に大丈夫よ。お昼が遅くなるだけだし」

姫神「うん。どうせ今からお店に行っても混んでいるから。これくらい時間を遅らせた方がいい」

結標「ありがとう。そう言ってもらえると助かるわ」


―――
――



34: 2013/03/16(土) 22:07:29.11 ID:/ZqQqOoio


同日 12:40

-第七学区・とある病院-


冥土帰し「……さてそろそろ昼食の時間としようかな?」



ガラララ



冥土帰し「……少し来るのが早いんじゃないかな?」

一方通行「…………」

冥土帰し「どうせならこれから君も一緒に昼食でもどうかな? この時間帯なら君もまだだろう」

一方通行「いらねェよ。それより例のものを早く寄越せ」

冥土帰し「まったく、君のせっかちさは相変わらずだね?」

一方通行「時間を無駄にしたくねェだけだ」

冥土帰し「…………ふぅ、まあその前に少しいいかい?」

一方通行「何だ?」

冥土帰し「君がこれを使って何をするのかなんてことは聞きはしない。その代わり一つだけ言っておこう」

一方通行「…………」


35: 2013/03/16(土) 22:09:22.17 ID:/ZqQqOoio


冥土帰し「あまり無茶をするな。君のやろうとすることは本来関わるべきでないものに首を突っ込んでいるようなものだ」

冥土帰し「君が面白半分でやっているわけじゃないことはわかっている。しかしこれは君の手に余るようなものだ」

冥土帰し「学園都市第一位の超能力を持った怪物と言われていても、君は一人の弱い子供であることには変わりないんだ」

冥土帰し「これのせいで日常が崩壊し、皆が傷つき、全てが壊れていくようになっていくかもしれない」

冥土帰し「そうなる前に僕たち大人に相談するんだ。決して一人で全てを抱え込もうなんてこと絶対に思うんじゃない」

冥土帰し「君がどんな状況に陥っても、どんな絶望の淵に立たされても、僕たちは絶対に君を救ってみせる」

冥土帰し「子供を守るのが大人の役目だからね?」


一方通行「…………チッ、つまンねェ話をぐだぐだ喋ってンじゃねェよ。ンなことはなっから端っからわかってンだよ」

一方通行「だけどよォ、俺ァ気付いちまったンだよ。このままじゃいけねェってことになァ」

一方通行「俺はかつて一万人以上の人間を頃した大罪人、どォしようもねェゴミクズだ」

一方通行「闇に片足突っ込むのは俺だけでイイ。アイツらみてェな善人が巻き込まれていいわけねェンだよ」


冥土帰し「……自分を犠牲に皆の日常を守る、そういうことかな?」

一方通行「ああ」

冥土帰し「君らしい考えではあるけど、一つ忘れていないかな?」

一方通行「何がだ?」


36: 2013/03/16(土) 22:10:01.51 ID:/ZqQqOoio




冥土帰し「その日常は君がいてから初めて成り立つものだ。君がいなくなればそれはまったくの別物となる」




一方通行「…………ああ、だからさっきから言ってンだろわかってるって」

一方通行「俺はアイツらの前から消える気なンてさらさらねェよ。だから俺は決めたンだよ」


一方通行「アイツらを絶対に守る。そのために俺は学園都市最強の超能力者(レベル5)になる」


冥土帰し「…………」

一方通行「……俺ァもォ行くぞ。邪魔したな」

冥土帰し「……一方通行」

一方通行「あァ?」

冥土帰し「もう一度言っておく。無茶だけはするな」


一方通行「…………何回も言わせンじゃねェよ、わかってンだよ」ガチャリガチャリ


―――
――



37: 2013/03/16(土) 22:10:34.56 ID:/ZqQqOoio


同日 12:50

-とある高校・一年七組教室-


結標「……しかし小萌先生遅いわね」

姫神「資料集めがよっぽど手こずっていると見える」

吹寄「そうね。資料ってやつが相当な量なんでしょうね」

結標「何かごめんね二人とも……」


小萌「――お待たせしました結標ちゃん!」

結標「あっ、小萌先生終わったんですか?」

小萌「はい。無事黄泉川先生を送り出すことができましたよー」

結標「じゃあ先生早く行きましょう。これ以上二人を待たせるわけにはいかないし」

小萌「そうですね。では職員室に行きましょう!」

吹寄「いってらっしゃい」

姫神「ごゆっくり……」


―――
――



38: 2013/03/16(土) 22:11:31.13 ID:/ZqQqOoio


-とある高校・職員室-



ガラララ



結標「失礼します」

小萌「こっちに来てください」テクテク

結標「はい」テクテク


小萌「……どうぞ座ってください」

結標「失礼します」スッ

結標「で、何ですか話って?」

小萌「はい。それがですね、これについてなんですけど」スッ

結標「……何です、この封筒?」

小萌「結標ちゃん宛てのものです」

結標「誰からですか?」

小萌「……統括理事会からです」

結標「と、統括理事会? 学園都市の上層部じゃないですか」

小萌「はい、今日の朝学校に届いていたようで……」


39: 2013/03/16(土) 22:12:20.84 ID:/ZqQqOoio


結標「わ、私何か悪いことでもしましたか……? まったく覚えがないんですけど」アセ

小萌「いえそんなことはないはずです! 結標ちゃんがいい子なのは先生がよぉくわかっていますから!」

結標「先生……」

小萌「とにかく開けてみましょう! でないと何が起こっているのかわかりません!」

小萌「それにもし何かあっても先生が絶対に守ってあげますから!」

結標「……わかりました! いざ!」ビリッ

結標「…………」ペラ

小萌「…………」ソワソワ

結標「…………」

小萌「……ど、どうでしたか?」

結標「……え、ええとよくわからないんですけど」

小萌「ちょっと見せてください……えっ、こ、これは……」



結標「な、何なのよこれ……?」



―――
――



40: 2013/03/16(土) 22:12:48.40 ID:/ZqQqOoio


同日 同時

-第七学区・とある病院・ロビー-


ガヤガヤ


一方通行「…………」

一方通行「…………」ペラッペラッ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……ふゥ、コーヒーうめェ」

一方通行「…………」ペラッペラッ


御坂妹「何をやっているのですか、とミサカは病院のロビーで一服しているあなたに問いかけます」


一方通行「あン? オマエか。コンビニのバイトはどォした?」

御坂妹「今日は休みです。その代わりここの手伝いをしています、とミサカはため息をつきながらぼやきます」ハァ

一方通行「そォかよ、大変だなオマエも」

御坂妹「ところであなたはこんなところで何をやっているのですか、とミサカは再度問いかけます」

一方通行「別に何でもねェよ。オマエには関係ねェ」


41: 2013/03/16(土) 22:13:59.36 ID:/ZqQqOoio


御坂妹「むむ、そう言われると非常に気になってしまいます、とミサカは胸にもやもやしたものを感じながらあなたを睨み付けます」

一方通行「何で俺が睨み付けられなきゃいけねェンだ」ペラッ

御坂妹「……何を読んでいるのですか、とミサカはあなたの持つファイルを指差してみます」

一方通行「何でもねェっつってンだろォが、イイからどっか行け」

御坂妹「…………」ジー

一方通行「……チッ、うっとォしい」ズズズ

御坂妹「……! 隙有りっ! とミサカはあなたからファイルの強奪を試みます」バッ

一方通行「ッ!? オマエッ……!」

御坂妹「能力がないと本当に駄目駄目ですね、とミサカは呆れながらもファイルを開きます」パラッ

一方通行「返しやがれッ!」バッ

御坂妹「おっと、そんな動きではミサカを捉えることはできませんよ、とミサカは軽やかなステップであなたの魔手から逃れます」

一方通行「くそったれが」

御坂妹「ふむふむなになに? とミサカは奪い取ったファイルの中を舐めまわすように眺めま……え」

一方通行「…………」


42: 2013/03/16(土) 22:16:39.63 ID:/ZqQqOoio


御坂妹「何ですか……これ、とミサカは恐る恐る尋ねます」

一方通行「……見りゃわかンだろ」

御坂妹「…………超能力者(レベル5)、七人全員のデータ……ですか?」

一方通行「ああ」

御坂妹「……冥土帰しが夜遅くまで調べ物をしていたのはこれだったのですね、とミサカは昨晩のことを思い出します」

御坂妹「しかし……こんなに細かい詳細まで調べ上げるとは……さすが冥土帰しと言えますね」ペラッペラッ

一方通行「だから言っただろォが、オマエには関係のないことだとな」

御坂妹「まったく関係ないとは言えませんよ」

一方通行「あァ?」

御坂妹「我らのお姉様の個人情報が流出しているのですから、それはミサカたちの情報が流出したのと等しいのでは、とミサカはお姉様のスリーサイズ欄を見て勝利を確信します」ニヤッ

一方通行「ハァ? ンなどォでもイイ情報まであンのかよ。余計なモン入れやがって」

御坂妹「あなたが頼んだのではないのですか? とミサカは変態一方通行に軽蔑のまなざしを送りながら問いかけます」

一方通行「その視線はあのオッサンに向けやがれ。俺は興味ねェよそンな情報」

御坂妹「なら何を思ってこれを手に入れたのですか? とミサカは疑問を浮かべます」

一方通行「俺が知りてかったのは超能力者(レベル5)全員のチカラの情報だ」

御坂妹「何でそんなものが必要なのですか? とミサカは首を傾げます」

一方通行「…………」


43: 2013/03/16(土) 22:17:45.68 ID:/ZqQqOoio


御坂妹「あなたは第一位という圧倒的なチカラを持つ最強の能力者。そのようなものを知ったところで利益になるとは思えませんが……」

一方通行「……俺は知ったンだよ。自分の弱さってやつをな」

御坂妹「弱さ、ですか?」


一方通行「ああ。俺は決して最強なわけじゃねェ。最強なら俺はアイツらを巻き込むなンてことなかったンだ」

一方通行「だから俺は強くなる。超能力者(レベル5)全員をまとめて相手にしても、アイツらに指一本たりとも触れさせることなく守り通すために」


御坂妹「……一つよろしいですか? とミサカは確認を取ります」

一方通行「何だよ」

御坂妹「何かキャラが違いませんか? とミサカは率直な感想を述べます」

一方通行「ハァ? 別に違わねェだろ」

御坂妹「いいえ違いますよ、とミサカは即座に切り捨てます」

御坂妹「普段のあなたはこのようなことは決して考えません。あなたにはいつも『面倒臭せェ』とか『くだらねェ』とかつぶやいて面倒ごとを避けている傾向がありました」

一方通行「……そォだな、違いねェ」

御坂妹「何かあったのですか? とミサカは少しばかり心配してみます」

一方通行「さァな……つゥかオマエまでどォした? いつも通り憎まれ口をたたけよ」

御坂妹「いえ、何でもないのならいいんです、とミサカは再びファイルに視線を移します」パラララ

一方通行「チッ、イイ加減返しやがれそれ」


45: 2013/03/16(土) 22:18:59.77 ID:/ZqQqOoio


御坂妹「…………あれ?」

一方通行「あァ? どォかしたか」

御坂妹「……一方通行に質問なのですが、学園都市にいる超能力者(レベル5)の人数は全員合わせて何人でしたでしょうか? とミサカは質問します」

一方通行「何言ってンだオマエ。俺たちレベル5は全員で七人だろォが」

御坂妹「……はい、そうですよね」

一方通行「ついに頭が狂ったンじゃねェか? 一度調整でも受けたらどォだ」

御坂妹「いえ、ミサカの方は正常です、ご安心ください。ただ……」

一方通行「ただ?」



御坂妹「このファイルの中に超能力者(レベル5)が八人いるんですが、とミサカはありのまま見たことを話します」



一方通行「…………………………………………は?」



御坂妹「嘘はついていませんよ。まだエイプリルフールはきていませんから、とミサカはカレンダーを見ながら――」

一方通行「オイ、それを寄越せ」バッ

御坂妹「はい、とミサカは素直にファイルを渡します」スッ

一方通行「…………」パラララ



一方通行「…………オイオイ、コイツはどォいうことだ」



46: 2013/03/16(土) 22:19:39.50 ID:/ZqQqOoio





一方通行「結標のヤツが――」


結標「わ、私が――」






一方・結標『――超能力者(レベル5)だとォ(ですって)!?』






59: 2013/03/19(火) 20:41:14.49 ID:EqYpGonEo

みなさんこんばんは
一週間後の予定でしたが早く書けたので投下します

60: 2013/03/19(火) 20:42:16.18 ID:EqYpGonEo


2.翻弄される超能力者(レベル5)たち


January second monday 13:00

-第七学区・とある病院・ロビー-


一方通行「結標が……超能力者(レベル5)だと……?」


御坂妹「結標淡希。『残骸(レムナント)』の件での首謀者である外部の科学結社、その協力者。現在は記憶を失っており、至って普通の学生生活を送っている」

御坂妹「……彼女ですよね。ミサカが働いているコンビニによく足を運んでくれる……とミサカは常連客の一人を思い出してみます」

一方通行「ああ」

御坂妹「彼女は大能力者(レベル4)だと認識していましたが、どうやら違ったようですね、とミサカは自己の情報収集能力の未熟さを知りました」

一方通行「いや、アイツはレベル4だ」

御坂妹「ではこの資料はどういうことなのでしょうか、とミサカはあなたに説明を求めます」

一方通行「……チッ、それこっちのセリフだくそったれが」ガチャリガチャリ

御坂妹「どこへ行くつもりです? とミサカは唐突に歩き出したあなたに問いかけます」

一方通行「これを作った本人に聞きに行く。こいつがどォいうことなのかをよォ」

御坂妹「……無駄だと思いますが、とミサカは意味深な発言をします」

一方通行「あァ? どォいうことだ」

御坂妹「冥土帰しは午後から出張です。だからミサカがこうして手伝いに駆られているのですよ、とミサカは懇切丁寧に説明しました」


61: 2013/03/19(火) 20:42:46.69 ID:EqYpGonEo


一方通行「間が悪りィにも程があンだろ。俺は上条じゃねェっつゥのによォ」

御坂妹「そういうわけで、また後日来てもらうか直接電話していただくしかありませんよ、とミサカは帰宅を促してみます」

一方通行「そォか。電話っつゥ手があったか。だったら早速――」スッ

御坂妹「よっと」パシッ

一方通行「……オイ何しやがる。返しやがれ」

御坂妹「病院内の通話はマナー違反ですよ。するなら外に出てからお願いします、とミサカはここの職員らしく注意してみせます」

一方通行「わかったよ。だから返しやがれ」

御坂妹「どうぞ、とミサカは奪い取った携帯電話をリリースします」スッ

一方通行「チッ、だったらとっとと外に出るぞ」

御坂妹「え、ミサカもですか? とミサカは目を丸くさせます」

一方通行「ハァ? オマエが知りたいっつったンだろォが」

御坂妹「正直ミサカはどうでもいいのですが、とミサカは思ったことを率直に述べてみます」

一方通行「どォでもいいだと?」

御坂妹「はい」



御坂妹「なぜなら、超能力者(レベル5)だろうと大能力者(レベル4)だろうと彼女が彼女であることに変わりありませんから」



62: 2013/03/19(火) 20:43:26.26 ID:EqYpGonEo


一方通行「…………」

御坂妹「とミサカはちょっと良いことを言ってみます」ドヤァ

一方通行「……ケッ、自分で良いこととか言ってンじゃねェよ、台無しじゃねェか。……まァそォだな」


一方通行「そンな当たり前のことを言えるよォになったっつゥことは、オマエも少しは成長したってことか」


御坂妹「当然です。ミサカだって生まれて長いのですから、とミサカは今までの長い人生を思いだしてみます」

一方通行「生まれて一年も満たねェガキが何言ってンだか」

御坂妹「むっ、ガキと言ったほうがガキなんですよ、とミサカは反論してみます」

一方通行「そォいうところがガキだっつってンだよ」

御坂妹「くっ、これについては反論ができません、とミサカは白旗を上げます」スッ

一方通行「まァイイ、じゃあ俺はもォ帰るとするわ。今日は午前で終わりって言ってあるからな。あンまり遅せェとオマエらの上位固体様がうるせェ」

御坂妹「そうでしょうか。今現在は新しくできた友達とやらと遊んでいるのであなたのことなど頭から消えているのでは? とミサカは推測します」

一方通行「だとイイけどな……。ああそォだ、オイ10032号」

御坂妹「何でしょうか?」

一方通行「一応言っとくがこの話は他言無用だ。もちろンミサカネットワーク上にもだ」

御坂妹「……わかりました。あなたの言うとおりにしましょう、とミサカは要求に素直に応じてみます」

一歩通行「……? エラく素直じゃねェか」

御坂妹「ミサカも面倒ごとはあまり好きじゃない、そういうことですよ」


―――
――



63: 2013/03/19(火) 20:44:10.51 ID:EqYpGonEo


同日 14:00

-第七学区・地下街・とある飲食店-


吹寄「れ、超能力者(レベル5)になったぁ!?」


結標「ちょ、ちょっと吹寄さん声が大きい」

姫神「しかしこれは。驚かない方が異常」

結標「その割にはあまり表情の変化はないけど」

姫神「私も一応驚いている。ただ吹寄さんのように外に出さないだけ」

吹寄「……しかし結標さんがレベル5かぁ。何というか……すごいわね」

結標「まだあまり実感とか湧かないけどね」

姫神「やっぱりうれしかったりする?」

結標「い、いや特にそうは感じないわね。別にレベル5になりたいと思ったことはないし」

吹寄「しかしこれはすごいことになったわね。クラスにレベル5がいるってだけですごいのに、これで二人になるってことだもの」

結標「お、大げさよ。これといって何も変わってないんだし」

姫神「結標さんからしたらそうかもしれない。だけど周りはそうは思わない」

結標「そうなの?」


64: 2013/03/19(火) 20:45:32.55 ID:EqYpGonEo


吹寄「超能力者(レベル5)っていうのは学園都市じゃ憧れの的、一種のアイドルみたいなものよ」

結標「あ、アイドルって……」

吹寄「まあそんな感じだから、結標さんはもっと誇ってもいいと思うわ」

姫神「うん」

結標「うーむ、そうは言っても……ねえ?」

吹寄「でもレベル5になったってことは、一応はアクセラと同じ位置に立てたってことよね?」

結標「順位の問題を抜けば……まあ」

吹寄「少しはアクセラの見る目も少しは変わるんじゃないかしら?」

姫神「もしかしたらもっと親密になれるかも」

結標「え、そ、そうなの……かな……?」

吹寄「家に帰ったら真っ先にアクセラに報告すればいいんじゃない?」

姫神「たぶん彼も喜んでくれると思う。素直にじゃないと思うけど」

結標「そ、そうね。じゃあそうしてみるわ」

吹寄「そうと決まればそろそろお開きね」

結標「あっ、そうだ。一応だけどこの話はまだできるだけ言いふらしたりとかしないでね」

姫神「どうして?」

結標「何かまだ正式に発表はされてないみたいで、機密事項らしいわ」

吹寄「そ、そんな重要な情報だったのね……」

姫神「口外したら消されてもおかしくないレベル」

結標「まあそんな大げさに考えなくていいわよ。近いうちにこの情報は発表されるらしいわ」

吹寄「……わかったわ。これはあたしたちだけで留めとくってことね」

姫神「了解した」

結標「じゃ、また明日ね」ノシ

吹寄「ばいばい!」

姫神「……ばいばい」


―――
――



65: 2013/03/19(火) 20:46:13.22 ID:EqYpGonEo


同日 14:30

-第七学区・とある公園-


一方通行「…………」ピッガチャン

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

一方通行「…………」←ベンチに座る


一方通行「……はァ、さァてどォすっかな」カチャ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……ふゥ」


一方通行(一体どォして結標がレベル5なンかに……?)

一方通行(この資料を作った冥土帰しに電話をかけたのはイイが、一向に出る気配はねェ)

一方通行(どォする? 馬鹿正直に聞くか? 結標本人に……)


一方通行「…………」ズズズ


一方通行「普通に考えて無理、っつーか無駄だろうな」フゥ


66: 2013/03/19(火) 20:47:02.41 ID:EqYpGonEo


一方通行(俺でも知らなかった情報をアイツが知っているわけがねェ)

一方通行(それよりこの情報の真偽を確かめる方が先なンじゃねェか?)

一方通行(大体いつアイツの強度が上がったってンだ。普通は身体検査(システムスキャン)を一度受けねェと強度の上がり下がりなンてわかりもしねェ)

一方通行(たしかアイツの期末考査の時点ではまだレベル4判定だった)

一方通行(それ以降はまだ一度も身体検査を受けてねェはずだ……つまり)



一方通行「この情報はガセ、っわけか」ボソッ

美琴「何がよ」



一方通行「…………ああ、何だ超電磁砲か。何か用か?」

美琴「何だとは何よ、ていうか別に用なんてないし」

一方通行「じゃあ何でこンなところにいるンですかねェ」

美琴「べ、別にいいじゃない! 私がどこにいようとアンタには関係ないでしょ!」

一方通行「はァ、くっだらねェ」

美琴「ところでガセって何のことよ?」

一方通行「何でもねェよ。オマエには関係ねェ」

美琴「ふーん、まあ別にどうでもいいけど」

一方通行「だったら話しかけてくンなよ」

美琴「アンタが変な独り言言うからでしょ? 黙って座ってるだけなら私だってスルーしてたわよ」トンットンッ


67: 2013/03/19(火) 20:47:49.40 ID:EqYpGonEo


一方通行「……で、オマエはその自動販売機の前で何やってンだ」

美琴「見てわからないの? のど渇いたからちょろっとジュースを飲もうかと思ってるのよ」サッ

一方通行「なら何で自販機の前で構えているンですかねェ」

美琴「そりゃこういうこと……よっ!」ダッ



ガン!! ガラララガシャン!



美琴「……おっし、ヤシの実サイダーゲット!」スッ


一方通行「あァもしもし風紀委員(ジャッジメント)ですか? 自販機蹴り倒してジュースを強奪してる馬鹿が一人――」


美琴「ちょ、ちょっとタンマ!」バシッ

一方通行「おっと」

美琴「……えっと、あれ? 通話状態、じゃない……?」

一方通行「チッ、安心しろ。冗談だ冗談」

美琴「あ、ああ冗談ね、よかった」アセ

一方通行「ったく、オマエら姉妹は何で人の持ちモンを強奪するっつゥ考えしか浮かばねェンだよ」

美琴「い、いつもそんなものをとってるわけじゃないわよ! ……って姉妹?」

一方通行「何でもねェよ気にするな。つゥか、いつまでそれ持ってるつもりだ」

美琴「あっ、ごめん」スッ


68: 2013/03/19(火) 20:48:27.50 ID:EqYpGonEo


一方通行「チッ」ズズズ

美琴「…………」ゴクゴク

一方通行「…………」

美琴「…………」

一方通行「オイ、まだ何か用ォか?」

美琴「ベ、別に用なんかないって言ってるでしょ!」

一方通行「だったら何でここにいるンだよ」

美琴「何よ。私がいるのがそんなに不味いっていうわけ?」

一方通行「チッ、話になンねェな」ガチャリガチャリ

美琴「どうしたの?」

一方通行「家に帰ンだよ。オマエがいると落ち着かねェ」

美琴「何よそれッ! 随分な言いようね……!」

一方通行「オマエが無意味に俺の近くにいるからだろォが」

美琴「無意味じゃないわよ!」


69: 2013/03/19(火) 20:49:16.31 ID:EqYpGonEo


一方通行「じゃあ何の意味があるのか懇切丁寧に説明してみろよ」

美琴「ぐっ、その、ええと……って、あ、アンタには関係ないでしょ!」

一方通行「関係あるから聞いてンだろォが……まァ、どォでもイイけどよォ」

美琴「どうでもいいなら聞くな!」

一方通行「はァ……、ああそォだ。超電磁砲、一つ質問イイか?」

美琴「ん、何よ」



一方通行「超能力者(レベル5)って全員で何人いたっけか?」



美琴「……はぁ? アンタ何言ってんの? そんなの七人に決まってるでしょうが」

一方通行「そォ……だよな」

美琴「アンタそんなこと聞くなんてどうかしちゃったんじゃない? もしかしてまだ頭の怪我治ってないんじゃ……?」

一方通行「残念ながら俺ァ正常だ……本当に残念ながらな」

美琴「……?」

一方通行「じゃあな超電磁砲」ガチャリガチャリ



上条「──ありゃ? 御坂に一方通行じゃねえか」



70: 2013/03/19(火) 20:50:02.80 ID:EqYpGonEo


一方通行「あン?」

美琴「あっ、あ、あ、アンタ! ぐ、ぐぐ偶然じゃない!」

一方通行「ハァ?」

上条「何してんだ二人して。しかし珍しい組み合わせだな」

一方通行「そォいうオマエは何してやがンだ?」

上条「何って見りゃわかんだろ? 買い出しだよ買い出し」ガサリ

一方通行「買出し……つゥことは今帰り道か何かっつゥことか?」

上条「そういうことになるな」

一方通行「…………ああそォいうことか」

美琴「……何よ」

一方通行「たしかにこれは俺には関係のねェ話だったなァ」

美琴「……う、うるさい///」

上条「?」


───
──



71: 2013/03/19(火) 20:50:54.31 ID:EqYpGonEo


同日 15:00

-第七学区・ファミリーサイド・十三階廊下-


キンコーン←エレベーターの音


結標「よし、着いた着いた」

結標「さあて、アイツは帰っているかなーと」テクテク


打ち止め「あっ、アワキお姉ちゃんだ! おかえりなさーいー! ってミサカはミサカは手をぶんぶん振りながらあいさつしてみたり」ノシ

円周「おかえりー淡希お姉ちゃん!」ノシ


結標「打ち止めちゃんに円周ちゃん、二人揃ってどうしたの?」

打ち止め「これからコンビニにお菓子を買いにいくところなんだよ、ってミサカはミサカは質問を簡潔に答えてみたり」

円周「数多おじちゃんが連れて行ってくれるらしいから、外で待ってるんだ」

結標「へー、何だかんだいって打ち止めちゃんも木原さんのところに慣れてるのね。最初は苦手とか言ってたけど」

打ち止め「もしよかったらアワキお姉ちゃんもコンビニに行く? ってミサカはミサカは旅の仲間は多いほうがいいの言葉に基づいて勧誘してみたり」

結標「んーどうしようかなー。そういえばアイツはもう帰ってるの?」

打ち止め「あの人のこと? まだ帰ってきてないみたいだよ、ってミサカはミサカはビビッと電波を察知してみる」ビビッ

円周「そもそもあの扉、朝見たときから動いた形跡はないね」


72: 2013/03/19(火) 20:52:49.40 ID:EqYpGonEo


結標「そんなことわかるの?」

円周「そりゃ私も『木原』の一員だもん。それくらい見とかないと駄目なんだよ」

結標「……『木原』って探偵一族か何かなの?」

円周「うーん、全然違うかなー。『木原』っていうのは――」


数多「円周ちゃーん?」


円周「あ、数多おじちゃん準備終わった?」

結標「木原さんこんにちは」

数多「よぉ結標さん。んだぁ、あのクソガキは一緒じゃねぇのか?」

結標「はい。用事あるって言って先に帰っちゃって」

打ち止め「ええっーそれはひどいね! レディを置いて先に帰るなんて、ってミサカはミサカはあの人のだめだめさに腹を立ててみたり」

円周「これはアクセラお兄ちゃんにはおしおきだねー、ジャッジメントタイムだね!」

結標「いや、別にそこまで怒ることでもないから」

数多「ったく、あのクソガキは相変わらずっつーことか」

結標「一方通行に何か用ですか?」

数多「いや、別に特にはねぇけど。まあ強いて挙げるなら雪合戦大会のことをネタにおちょくるくれーかな?」

結標「あはは、あんまり無茶するとこのマンションがなくなりかねないのでほどほどにしといてくださいよ?」


73: 2013/03/19(火) 20:53:58.71 ID:EqYpGonEo


数多「さーてガキどもぉ、とっととコンビニ行くぞ。こちとら忙しい中わざわざ時間作ってやってんだからな」


打止・円周『はーい!』タッタッタ


結標「いってらっしゃいねー」

数多「……そうだ、結標さん」

結標「何ですか?」


数多「超能力者(レベル5)に昇格おめでとさん」


結標「…………えっ」

数多「何で知ってんだ、っつー顔してんじゃねぇか。予想通りの反応だ」

結標「何で知ってるんですか? この情報は機密事項って聞きましたけど」

数多「あぁ? 機密事項だぁ? んなもん俺には関係ねぇよ」

結標「関係ない、ですか……?」


数多「そりゃそうだろ。なぜなら俺は『木原』だからなぁ」


結標「……『木原』って本当に何なんですか?」

数多「知りたいか?」

結標「……まあ、一応は」

数多「そうか。だったら教えてやってもいいけどよぉ、でもそうしたら――」



数多「テメェは二度とここには戻ってこられなくなるかもしれねぇぜ?」ニヤァ



結標「ッ!?」ビクッ

数多「はっ、冗談だよ冗談。んな大層なもんじゃねぇよ『木原』なんてなぁ」

結標「そ、そうなんですか……」


結標(……嘘だ。とても冗談を言っているような目じゃなかった)


数多「まあ『木原』ってのは簡単に言うとゴキブリみてぇなもんだ」

結標「ご、ゴキ……!?」

数多「エサのあるところにはどこでも現れる、意地汚ねぇクズどもの集まりだ」

結標「…………」

数多「ま、言ってもわかんねぇだろうけどな」


74: 2013/03/19(火) 20:55:09.48 ID:EqYpGonEo


打ち止め「キハラー! エレベーター来たよー早くー! ってミサカはミサカはボタンを押しながら急かしてみたり」

円周「そうだよ数多おじちゃーん! 早くしないとエレベーターがなぜか止まっちゃって階段でおりないといけなくなっちゃうかもよー!」


数多「ったく、うっせぇんだよクソガキども! 黙ってろ!」

結標「……えっと」

数多「じゃ、俺は行くとするわ。ガキどもが騒がしいからな……あ、あと最後に一つ」

結標「何ですか?」


数多「お前に群がってくるクズどもの言うことは信じるんじゃねぇぞ」


結標「えっ」

数多「そいつらの話を聞いても何の得にもなりゃしねぇ、最悪こっちが食いつぶされるだけだからな。つまり――」




打止・円周『はぁーやぁーくぅー!!』




75: 2013/03/19(火) 20:56:17.46 ID:EqYpGonEo


数多「わぁってんだよ! 少しは静かにできねぇのか! ……ああ面倒臭せぇ、結標さんよぉ!」

結標「は、はい!」

数多「お前はクソガキの言うことだけ信じてろ。それ以外はクソって考えてもいい」

結標「一方通行の……ですか?」

数多「ああ、そうすれば間違いねぇよ」

結標「…………」

数多「つーわけで俺の話も信じねぇようにするこったな」

結標「えっ、ちょ、ちょっとそれじゃあ私どうすれば……?」

数多「自分で決めるんだな、自分のことはよぉ」

結標「…………」



<モォーキハラナニハナシテタノー、ッテミサカハミサカハ ウルセェヨオマエラニハカンケイネェオトナノハナシダ ウワーモシカシテアマタオジチャンアワキオネエチャンノコトヲネラッテンノー、ロリコーン ンナワケーダロコロスゾエンシュウ!






結標「一方通行を信じろ、か……」


―――
――



76: 2013/03/19(火) 20:56:49.87 ID:EqYpGonEo


同日 16:00

-第七学区・ファミリーサイド・十三階廊下-


ピンポーン←エレベ(ry


一方通行「さて、結標のヤツはさすがに帰ってきてンだろォな」ガチャリガチャリ

一方通行「…………」スッ

一方通行「…………」ガチャガチャ

一方通行「…………」ガチャッ


-黄泉川家・玄関-


一方通行「…………」キョロキョロ

一方通行(結標の靴はある。だが他のヤツのはねェ)

一方通行「つゥか、あのクソガキ。今日は早く帰れるっつってたのに、まだ木原ンとこで遊んでやがンのか」

一方通行「まァ、今はどォでもイイか」ガチャリガチャリ

一方通行「結標は……リビングか?」ガラララ


77: 2013/03/19(火) 20:58:21.44 ID:EqYpGonEo


-黄泉川家・リビング-


ガララララ


一方通行「…………」

結標「あっ、おかえりなさい一方通行」

一方通行「おォ」

結標「随分と遅かったじゃない。一体どこで何をやってたのよ」

一方通行「ちょっとな……いろいろあンだよ俺にはな」

結標「ふーん、何か怪しいわね」

一方通行「そォかよ」ガチャリガチャリ

結標「……何よ、つれないわね」

一方通行「いつも通りだろォが」ガチャ

一方通行「……チッ、コーヒーラスト一本かよ」ハァ

結標「買いに行くの?」

一方通行「あァ? そォだな、こいつを飲ンでから行くとするか」カチャ

結標「貴方って缶コーヒーに関してだけは面倒臭いって言わないわよね」

一方通行「気のせいだろ……」ズズズ


78: 2013/03/19(火) 20:59:05.53 ID:EqYpGonEo


結標「…………」

一方通行「……そろそろこの銘柄も飽きてきたな。ここいらで新境地を開拓する必要があるかァ?」

結標「じゃあ思い切ってこのコーヒー牛乳でも飲んでみたら?」スッ

一方通行「そンなコーヒーのよさを根こそぎ破壊しつくしたよォなモン勧めてきてンじゃねェよ」

結標「冗談よ冗談」

一方通行「ったく……」ズズズ

結標「…………」

一方通行「…………」

結標「ねぇ一方通行?」

一方通行「あァ?」

結標「ちょっと話があるんだけど……いい?」

一方通行「それは今話さねェといけねェことか?」

結標「う、うん。できれば……」

一方通行「…………話せ」


79: 2013/03/19(火) 21:00:11.41 ID:EqYpGonEo


結標「うん、ありがと。ええっとね、実は私――」

一方通行「待て」

結標「ん、どうしたのよ?」



一方通行「まさかとは思うがオマエ、『実は私超能力者(レベル5)になったの』とか言わねェだろォな?」



結標「…………え」

一方通行「……あン?」

結標「な、何で……」

一方通行「どォかしたか?」

結標「どうして……」



結標「どうして貴方までそのことを知っているのよ……?」



一方通行「…………」

結標「…………」



一方通行「……チッ、面倒臭せェことになってきやがったなァ……くそったれが」



――――


86: 2013/03/21(木) 10:00:06.79 ID:xO8+gzuJo


3.約束


January First Monday 19:00

-黄泉川家・リビング-



黄泉川・打止『淡希(アワキお姉ちゃん)がレベル5になったぁ!?(ってミサカはミサカは突然のビッグニュースに驚愕してみる)』ガチャ



一方通行「……食事中だァ、うっせェぞ馬鹿ども」モグモグ

打ち止め「いやいやいや、こんなの聞かされたら普通驚くよ、ってミサカはミサカは驚いて落としてしまった箸を拾いなおしてみる」スッ

結標「それ、ちゃんと洗いなさいよ?」

黄泉川「しかし淡希がレベル5かぁ……いやー、こりゃめでたい話じゃんねぇ」

結標「あ、ありがとうございます」

打ち止め「お祝いパーティーしようよパーティー! ってミサカはミサカは提案してみる」

結標「いや、そこまでしてくれなくてもいいわよ」

黄泉川「遠慮しなくてもいいじゃん! 何なら今すぐケーキでも買ってこようか」

打ち止め「おっ、いいねケーキいいねぇ! ってミサカはミサカはじゅるりと舌なめずりしてみたり」ジュルリ

芳川「はいはい二人とも、めでたいのはわかったから少し落ち着いて」


87: 2013/03/21(木) 10:01:00.87 ID:xO8+gzuJo


芳川「……淡希、ちょっといいかしら?」

結標「何でしょうか?」

芳川「おそらくだけどこのことは機密事項だと思うのだけど、私たちなんかに話しても大丈夫なのかしら?」

結標「ええと……一応機密事項ということにはなってます」

打ち止め「え、そんな大事なこと言っちゃってもいいの? ってミサカはミサカは少し戸惑ってみたり」

結標「まあ駄目なんだろうけど吹寄さんたちにはもう話したし、なぜか木原さんには知られてたし……」

結標「というわけで、もうどうでもいいやということで話しました」

黄泉川「じゃあこのことはできる限り外には出さないほうがいいってことじゃん?」

結標「そういうことになりますね」

打ち止め「だったらこの話はミサカたちでストップだね、打ち止めだけに、ってミサカはミサカはうまいこと言ってみる」ドヤッ

一方通行「別にうまくねェからそのムカつくドヤ顔やめろ」

芳川「ところで淡希。レベル5になったということだけど、順位はいくつなのかしら?」

結標「まだ詳しい情報が集まっていないらしくて、現状では第八位ということになっているそうですよ」

芳川「……情報が集まってない、ね」

打ち止め「……ん? どうかしたの、ってミサカはミサカは不穏な表情を浮かべているヨシカワに尋ねてみる」

芳川「いえ、何でもないわ」

一方通行「…………」


88: 2013/03/21(木) 10:01:50.06 ID:xO8+gzuJo


黄泉川「ってことはあれか、もしかしたらもっと順位は上になる、って可能性もあるってことじゃん?」

結標「たぶんそういうことだと思いますけど」

打ち止め「アワキお姉ちゃんは何位くらいがいいの? ってミサカはミサカは素朴な疑問をぶつけてみたり!」

結標「別にこのまま八位でいいわよ。レベル5ってだけであれなのに、もっと順位が上がったりなんかしたら注目されてしょうがないわ」

芳川「順位が上がったからってそんなに変わらないと思うけどね。まあ、その点については安心してもらって構わないわ」

結標「? どういうことですか?」

芳川「ここに順位は高くてもそこまで人気じゃないレベル5の先輩がいるのだから」

一方通行「捻り殺されてェのか芳川」

芳川「彼が第一位のレベル5だということは学校じゃ知れ渡ってると思うけど、別に大勢に囲まれるような人気者ではないでしょ?」

結標「そうですねぇ、どちらかと言ったら避けられてるような気がします」

一方通行「オイふざけたこと言ってンじゃねェぞ。つゥか何だよ避けられてるって」

打ち止め「顔が怖いから避けられてるんじゃないの? 普段から不機嫌そうな顔してるし、ってミサカはミサカはあなたの日常での印象を思い出してみる」

一方通行「誰の顔が怖いってェ?」ギロ

打ち止め「そ、その顔だよその顔! ってミサカはミサカはすかさず指摘してみたり」ビシッ

芳川「まあたしかに多少は注目されることもあるかもしれないけ、所詮は一過性のものよ。しばらく経てば普通の日常に戻るわ」

芳川「それにいちいち高位能力者だからといってもてはやしてる学校とは違うでしょ、貴女の通ってる学校は。ね、愛穂?」

黄泉川「そうじゃん。レベル5だろうと何だろうと、ビシバシいくのがウチのルールじゃん!」

結標「……そうですよね。私の考えすぎだったかもしれませんね」

黄泉川「だからレベル5になっても別に甘やかしたりしないじゃん」

結標「わ、わかってますよそれくらい」

黄泉川「例えば校長の長話中に居眠りなんて絶対に許さないし」

一方通行「チッ、うっとォしい校風だなァウチの学校はァ」

結標「というか常識的に寝ちゃ駄目でしょ」

打ち止め「ということはアワキお姉ちゃんは一位でも二位でもなれるってことだね、ってミサカはミサカは楽観的な発想をしてみる」

結標「さすがにそんな高位能力じゃないわよ、私の『座標移動(ムーブポイント)』」


―――
――



89: 2013/03/21(木) 10:02:25.58 ID:xO8+gzuJo


同日 22:00

-黄泉川家・芳川の部屋-


芳川「…………」カタカタカタ

芳川「……ふむ、このマシーンはなかなかの高評価ね」

芳川「よし、一個ポチった」カチ



コンコンコン



芳川「どうぞ」



ガチャ



芳川「……ふふ、来ると思っていたわ」

一方通行「そォかよ」

芳川「で、何か用かしら?」

一方通行「来ると思っていたなら言わなくてもわかンだろォが」

芳川「そうね。まあ確認のために一応聞くけど……」


芳川「淡希が超能力者(レベル5)になったこと、についてよね?」


一方通行「……ああ」


90: 2013/03/21(木) 10:03:08.74 ID:xO8+gzuJo


一方通行「この格上げについてどォいう意図で行われたのか、一時期そっち側にいたオマエの意見が聞きたい」

芳川「そうは言われても困るのだけどね。私はあくまでキミのレベルアップの研究をしていたわけで、そんな大層なことはしていないわ」

一方通行「だが感じてンだろ? 今回の件について違和感を」

芳川「……感じない、と言ったら嘘になるわね」

一方通行「別に答えを導き出せとは言わねェよ、オマエは自分の考えを適当に話してくれればイイ。あとは俺が勝手にまとめる」

芳川「なら淡希がレベル5昇格したやっほーい! そう言えばキミは許してくれるのかしら?」

一方通行「真面目にやれ。そこのパソコンぶち壊すぞ」

芳川「適当でいいって言ったのはキミじゃない」

一方通行「俺が言ってるのはテストの問題文とかに出てくる適当だ。いい加減っつゥ意味じゃねェよ」

芳川「それくらいわかってるわよ。冗談じゃない冗談。私だってそこまで馬鹿じゃないわ」

一方通行「チッ、くだらねェこと言ってンじゃねェよ」

芳川「まったく、相変わらず面白味のない子ね、キミは」

一方通行「オマエは相変わらず面倒臭せェババァだな」


91: 2013/03/21(木) 10:03:45.00 ID:xO8+gzuJo


芳川「……さて、まず結論を導き出す前の過程を楽しむとしましょ?」

一方通行「過程だァ?」

芳川「キミも気になっているであろう、どうして彼女が昇格できたか、それについて考えてみましょう」

一方通行「……大して意味変わらなくねェか?」

芳川「そうかしら? 可能という根拠と実行しようという意思は大きく違うと思うけど」

一方通行「……チッ、そォかよ」

芳川「まず、彼女はなぜ超能力者(レベル5)になれたか、ね」

一方通行「決まってンだろォが。自分自身の転移を可能にしたからだろォが」

芳川「あら、さすがにそれはわかってたのね」

一方通行「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」

芳川「そうね。以前話したように彼女はレベル5に認定されてもおかしくないほどのチカラを持っていた」

一方通行「だがアイツは空間移動能力者(テレポーター)として致命的な欠点があった。自分の体をテレポートできねェ、っつゥな」

芳川「これが克服された、ってことはレベル5相当のチカラを手に入れたということ。それをわざわざレベル4と認定しておくのはおかしいということね」

一方通行「……でもよォ、それについて少し疑問があるンだが」

芳川「何かしら?」


92: 2013/03/21(木) 10:04:43.56 ID:xO8+gzuJo


一方通行「能力判定っつゥのは『身体測定(システムスキャン)』で規定の数値を測ってから行うモンだろォが」

芳川「……そうね、それが普通よ」

一方通行「一番最後にアイツが受けた身体測定は二学期の期末考査の時だ。だがそのときのアイツの強度はレベル4だった」

芳川「たしかにいきなりレベル5、って通達がくるのもおかしな話ね」

一方通行「一体どォいう経緯でアイツは格上げしたっつゥンだ」

芳川「大人の事情、じゃないかしら?」

一方通行「ハァ?」

芳川「淡希をレベル5にしたい、だから無理やりレベル5にした。そういうことじゃないかしら」

一方通行「オマエ真面目考えろよ。遊んでンじゃねェンだぞ」

芳川「ごめんなさいごめんなさい。じゃあ例えばの話だけど聞いてくれるかしら?」

一方通行「あァ?」

芳川「身体測定ってのは何をすることを言うのかしら」

一方通行「ンなモン能力の数値を測定するに決まってンだろォが」

芳川「そうね。じゃあテレポーターの測定方法は?」

一方通行「……詳しくは知らねェが、おもりとかを飛ばして飛距離や正確性、対応重量を測ったりすンじゃねェのか?」

芳川「細部は異なるけど大体は合ってるわ」


93: 2013/03/21(木) 10:05:30.52 ID:xO8+gzuJo


一方通行「つゥかさっきから例え話なンて言ってねェじゃねェか。質問ばっかでよォ」

芳川「ごめんなさいね、少し確認を取ってみようと思ってね」

一方通行「ケッ、大体わかってるからとっとと例え話とやらを話しやがれよ」

芳川「わかったわ。あくまで例えばの話よ」

一方通行「ああ」



芳川「例えばそうね、あの雪合戦をした場所が能力の測定場所としてみてはどうかしら」



一方通行「雪合戦の会場が、か?」

芳川「そう。何なら雪合戦大会という行事自体が身体測定だとしてもいいわ」

一方通行「どォしてそォなる」

芳川「理由は簡単よ。彼女がトラウマを克服したのがその雪合戦大会だからよ」

一方通行「……そォいえばそォだったな」

芳川「キミが言ったテレポーターの強度設定に必要な数値、全部その雪合戦で測れると思わない?」

一方通行「いや無理だろ」

芳川「そうかしら?」


一方通行「大体アイツの最大射程は八〇〇メートル越えだろォが。あの会場の端から端どころか観客席入れてもそンな長くねェよ」

一方通行「さらに最大重量の四五〇〇トン強。そンなモンアイツが一度でもテレポートさせたかァ? させてねェだろ」

一方通行「正確性はたしかに測れるかもしれねェが、どォ考えてもそれらの項目は測り切れねェだろが」


芳川「……そうね。キミの言うとおりだわ……でもね」

一方通行「でも何だ?」

芳川「研究者側の立場からしたらそんなことハッキリ言ってどうでもいいのよ」

一方通行「は? どォでもいいってそりゃどォいうことだ」

芳川「私たちが見ているのはその能力値の最大点じゃなくて、その演算能力を見ているの」

一方通行「演算能力……?」


芳川「例えばテレポーターが物を飛ばすときにする演算、それは距離が遠ければ遠いほど、重量が大きければ大きいほどより複雑になっていくわ」

芳川「正直重さは一〇〇キロ、距離なら八〇メートル越えればかなり辛いんじゃないかしら?」

芳川「しかし今回の雪合戦で淡希はそれを行ったわ。軽々とね」

芳川「人間五人を飲み込めるほど巨大な雪の塊を、遥か上空へと一気にテレポートさせる」

芳川「ハッキリ言うと怪物じゃないかしらね。他のテレポーターから見れば」


94: 2013/03/21(木) 10:06:09.67 ID:xO8+gzuJo


一方通行「…………」


芳川「さらに彼女の能力は座標移動(ムーブポイント)。普通の空間移動とは違って始点や終点が固定されない強力なチカラ。それゆえに演算負荷がかなり大きくなる」

芳川「そしてテレポーターの強度を決める最大の要因である自分自身の転移。それすらこの雪合戦で成功させた」

芳川「以上のことからあの会場自体が試験会場だったと推測できるわ」


一方通行「……いや、そンなわけねェ。そンなことがあったとしても正確な数値は――」

芳川「一方通行」

一方通行「あァ?」

芳川「私最初に言ったわよね。彼女がレベル5になれたのは大人の事情じゃないかって」

一方通行「…………」

芳川「能力の強度を決めるお偉いさんたちが彼女をレベル5にしたいのだったら、そんな簡易的な測定でも誰も文句は言わないわ」

一方通行「…………」

芳川「たぶんだけど、あの会場をもう一度見てみれば周りに計測器とかがたくさん置いているはずよ。まあ、今から見に行ったとしても無駄だと思うけど」

一方通行「雪合戦が……身体測定……」ブツブツ

芳川「ん、どうしたの?」


95: 2013/03/21(木) 10:07:24.01 ID:xO8+gzuJo


一方通行「……チッ、そォいうことかよ」

芳川「えっと、何の話?」

一方通行「よォやく合点がいった。あの雪合戦の全てがなァ」

芳川「?」

一方通行「ふっざけンじゃねェよ……、舐めやがって……!」ギリリ

芳川「……何に対してキミがそんなに怒っているのかがさっぱりなのだけど」

一方通行「何でもねェよ。帰る」ガチャリガチャリ

芳川「ちょっと、どういう意図で彼女がレベル5にされたかっていう話はいいの?」

一方通行「ああ、俺の中で勝手に解決した。もォ大丈夫だ」

芳川「それじゃあ私のほうが逆に気になるんだけど?」

一方通行「……オマエは知らなくてイイことだ」

芳川「そう言われると知りたくなるのが人の性なんじゃないかしら?」

一方通行「深入りはするべきじゃねェンだよ。これ以上首を突っ込まないでくれ、……頼む」

芳川「…………」

一方通行「…………」

芳川「…………はぁ、わかったわよ。これ以上は聞かないわ」

一方通行「……アリガトよ」



ガチャリ



一方通行「邪魔したな」

芳川「……一方通行」

一方通行「あン?」

芳川「頑張るのはいいけど、ほどほどに、ね?」

一方通行「……わかってる」ガチャリガチャリ

芳川「おやすみ一方通行」

一方通行「……おやすみ」



バタン



芳川「…………」


―――
――



96: 2013/03/21(木) 10:08:26.52 ID:xO8+gzuJo


同日 22:30

-黄泉川家・リビング-


一方通行「……寝る前にコーヒーでも飲むか」ガチャリガチャリ



ガラッ



結標「……あら、まだ寝てなかったのね」

一方通行「オマエか」

結標「どうしたの、コーヒー?」

一方通行「ああ」

結標「ちょっと待ってね。今淹れるから適当に座ってて」カチャ

一方通行「変な工夫してダークマタードリンクにすンじゃねェぞ」サッ

結標「失礼ね、コーヒーぐらい普通に淹れられるわよ」ガチャガチャ

一方通行「野菜炒めただけで化学兵器を製造することができるヤツのセリフとは思えねェよなァ」

結標「……私泣いてもいいかしら」コトコトコト

一方通行「ご自由にィ」

結標「ひどいわね……」カチャリ

一方通行「…………」

結標「……はい、できた! どうぞ」カタリ

一方通行「……見た目は普通じゃねェか」

結標「当たり前じゃない。普通に淹れたんだから」


97: 2013/03/21(木) 10:09:09.32 ID:xO8+gzuJo


一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……ふゥ」ゴクリ


結標「……ど、どう?」

一方通行「別に悪くはねェよ。至って普通のインスタントコーヒーの味だ」

結標「そ、そう、よかった……」ホッ

一方通行「ンだァ? その安心のし様はァ? アレだけ大丈夫と豪語してたのは一体何だったンですかねェ」

結標「う、うるさいわね! いいでしょ別に!」サッ

一方通行「くっだらねェ」ズズズ

結標「…………」ゴクゴク

一方通行「なァ結標?」

結標「ん、何かしら?」

一方通行「オマエはどォ思ってンだ?」

結標「どう、って何が?」

一方通行「レベル5になったことだ」


98: 2013/03/21(木) 10:09:47.76 ID:xO8+gzuJo


結標「ああ、そのことね」

一方通行「それ以外何があるってンだ」

結標「あ、あるわよ何か……たぶん」

一方通行「……で、どォ思ってンだよ。オマエ自身は」

結標「……正直に言っていい?」

一方通行「構わねェよ」ズズズ

結標「何というか……不安、ね」

一方通行「不安?」

結標「そう。それが私の中で一番大きい感情だわ」

一方通行「どォしてそォ思う」

結標「どうしてって……そりゃ不安だからに決まってるじゃない」

一方通行「…………」ジッ

結標「……そうね。ちゃんと言うからその睨んでくるのやめてくれないかしら?」

一方通行「別に睨ンではねェよ」

結標「だったらそんなじっとこっち見つめないでよ。何か不安になるでしょ!」

一方通行「オマエらが人の目ェ見て話せってうるせェから実行してやってるっつゥのに、いざやるとこの扱いかよ」

結標「いや、どう見ても貴方は睨み付けてたわ。まるで獲物を狩る狩人の如く」

一方通行「あっそォ、で何なンだよその不安の原因ってのは」


99: 2013/03/21(木) 10:10:40.00 ID:xO8+gzuJo


結標「えっとね……何か怖いのよ」

一方通行「怖い?」

結標「うん。レベル5になったら今までの楽しかった日常がなくなってしまいそうで」

一方通行「…………」

結標「たしかに黄泉川さんや芳川さんは大丈夫と言ってくれたわ。けど、それでも不安なのよ」

一方通行「……そォか」

結標「ねぇ、貴方がレベル5になったときってどうだったの? やっぱり嬉しいとか思ってたの?」

一方通行「俺はガキの頃から最強だったからな。よくわかンねェよ」

結標「そう……」

一方通行「でも一つだけ言えることがある。嬉しいなンて気持ちは一ミリたりともねかったよ、あの時は」

結標「どうしてよ?」

一方通行「想像してみろよ。世界中の人間が自分の敵に回るっつゥ面白ェ情景をよォ」

結標「……え」

一方通行「そンなモンをガキの頃から見てきたンだ。人格が破綻したって何もおかしくねェ」

結標「……何というか、ごめんなさい」


100: 2013/03/21(木) 10:11:21.92 ID:xO8+gzuJo


一方通行「だから今の内に言っておく。レベル5っつゥのは極端だ」

結標「極端……って?」


一方通行「富や権力や地位。欲しいモンは何でも手に入る、誰もが羨ましがろうとするチカラ」

一方通行「その反面、嫉妬、遺恨、寄生、裏切り……、目に映るもの全てが敵に見えるかもしれねェ」


結標「…………」


一方通行「あくまで俺の経験に基づいた言葉だ。他のヤツらの話を聞けばまた違った言葉を返ってくるだろォ」

一方通行「オマエがこれからどォいう人生を歩むかなンて誰もわかンねェ。その先が天国か地獄なンてなァ」

一方通行「だから覚悟しておけ。地獄みてェな……俺みてェなくそったれな人生を送ることになるかもしれねェっつゥ未来に対してのなァ」


結標「……な、何かレベル5になりたくなくなってくる話ね」

一方通行「本当はこれ以上増やすべきじゃねェンだよ。超能力者(レベル5)なンてくだらねェ幻想に踊らされる俺たちみてェなのはな」

結標「…………」

一方通行「…………」

結標「……ねぇ、一方通行?」

一方通行「何だ」

結標「……私、どうすればいいと思う?」


101: 2013/03/21(木) 10:13:17.47 ID:xO8+gzuJo


一方通行「どォもしなくてイイ」

結標「……え、どういうことよ?」

一方通行「オマエは何も気にせずいつも通りの生活を送っていればイイ」

結標「ちょ、ちょっと! あんな話聞かされた後にそれはないんじゃないかしら?」


一方通行「だから言ってンだろォが。あくまで可能性の話だ。レベル5の中にも普通に学園生活を送ってるヤツだっている」

一方通行「その反対にくそったれな闇の中でもがき苦しンでいるヤツだっていンだよ」


結標「貴方は……、どっちなのよ?」

一方通行「……さァな」

結標「…………」

一方通行「まァ何が言いてェかというと、明日からドン底に叩き落される覚悟もしておけっつゥことだ」

結標「……貴方もしかして私を泣かせたいわけ?」

一方通行「そンなつもりねェよ」

結標「じゃあ何でそんなマイナス方面の話ばっかするのよっ!」

一方通行「うっせェな。さっきからもしもの話だっつってンだろォが。気にすンじゃねェ」

結標「そ、そんなこと言われたって……無理よぉ……」グスン

一方通行「あァうっとォしい、泣くンじゃねェよ。ただ一つ、これだけは覚えとけェ」

一方通行「オマエがどンな絶望の淵に立たされよォが、例え世界全体がオマエの敵に回ろうとなァ」






一方通行「オマエは……オマエとその周りある世界は全部俺が守る。絶対だッ!」






102: 2013/03/21(木) 10:14:27.98 ID:xO8+gzuJo


結標「…………、え……?」ウル

一方通行「チッ、くそったれが。だから泣くンじゃねェ、俺が悪かった」

結標「ほ、本当に守ってくれるの?」

一方通行「オマエの日常は絶対に壊させねェ。約束する」

結標「……約束よ?」

一方通行「ああ、約束だ。だからオマエはいつも通り馬鹿みてェに笑って過ごしてりゃイインだよ」

結標「……う、うん。わかったわ」

一方通行「これで少しはその不安とやらは和らげられたのかァ?」

結標「……たぶん大丈夫よ。まだちょっとはあるかもしれないけど」

一方通行「そォか。だったら今日はもォ寝とけ。明日からどンな世界が待ち受けているかわかったモンじゃねェからなァ」

結標「……変わらないわよ」

一方通行「あァ?」

結標「だって貴方が守ってくれるのでしょ?」ニコ

一方通行「……チッ、くだらねェこと言ってねェで早く寝ろ」

結標「はーい、おやすみなさい一方通行!」

一方通行「ああ」



ガラッ



103: 2013/03/21(木) 10:15:36.82 ID:xO8+gzuJo


一方通行「…………」

一方通行「……さて、俺も部屋に戻って寝るとすっかな」ガチャリ



ガラッ



芳川「ニヤニヤ」ニヤニヤ


一方通行「」


芳川「オマエは俺が守る(キリ いいわねぇ、かっこいいわよキミ」

一方通行「……オマエ。いつからここにいたァ?」

芳川「キミが『コーヒーでも飲むかァ』とか呟いてリビングに入った辺りからよ。淡希も最後まで気付かなかったみたいだけど」

一方通行「最初からじゃねェかふざけンなッ!」

芳川「いやー、あんな意味深なセリフを言ってから部屋を出て行くんだもの。気になってつい盗み聞きしちゃったわ」

一方通行「今すぐ忘れろ。じゃねェとその頭蓋骨こじ開けて、脳みそを直接弄くることになるぞ?」

芳川「はいはい、わかっているわよ。誰にも口外はしないし、する気ももともとないわけだし」

一方通行「チッ、もし漏らしたときはわかってンだろォな?」

芳川「ええ、そのときは頭叩き割ろうと体を真っ二つにしようと構わないわ。でもそういうのは淡希にも言ってあげるべきじゃないかしらね」

一方通行「くっ、そォいえば……!」

芳川「……まあ頑張ってちょうだいね、ヒーローさん?」

一方通行「茶化してンじゃねェぶっ頃すぞォ!」

芳川「じゃ、改めておやすみなさい」テクテク

一方通行「ふざけンじゃねェぞ、クソ野郎がァ……!」


――――


118: 2013/03/22(金) 12:52:46.58 ID:pLE4zQUpo


4.役割


January second Tuesday 08:15

-とある高校・一年次階廊下-


一方通行「……オマエわかってンだろォな」ガチャリガチャリ

結標「何がよ」テクテク

一方通行「昨日のことだ。絶対ェ誰にも言うンじゃねェぞ」

結標「ああ、私がレベル5になったことね、わかってるわよ。一応これ機密事項よ?」

一方通行「そォじゃねェだろ」

結標「えっ、違うの? じゃあ何なのよ?」

一方通行「そ、それァ、アレだ。昨日の夜、俺がオマエにした約束のことだ」

結標「……あー、そのことね。って何で黙ってなきゃいけないのよ」

一方通行「オマエはわかってねェよ。アレは俺たちがレベル5同士だからこそできた約束だ。そォ易々と他人に話してイイモンじゃねェ」

結標「別にそうは思えないけど?」

一方通行「そンなこと思えなくてもそォなンだよ」

結標「……ははーん?」

一方通行「あァ?」


119: 2013/03/22(金) 12:53:38.34 ID:pLE4zQUpo


結標「さては貴方、あのとき言ったセリフが今になってすごく恥ずかしくなったのね?」

一方通行「ハァ!? べ、別にそンなことねェしィ、俺の生き方に恥じることなンざ一つもねェしィ!」

結標「そう。じゃあこのことは遠慮なくみんなに話すことにするわ」

一方通行「まァ落ち着け。早まるンじゃねェよ」

結標「あら、別に早まってるつもりはないけど?」

一方通行「そもそもアイツらに話すメリット……いや、そもそも意味がねェじゃねェか」

結標「意味ならあるわよ」

一方通行「何だよそれァ?」

結標「休み時間のみんなとの雑談に使うネタの一つとして」

一方通行「オイオイ待ちたまえよ結標クゥン。そンなことのために俺の名台詞を使うンじゃねェよ」

結標「別に名台詞ってほどじゃあないじゃない? あとよくよく考えてみると使い古されたセリフの組み合わせだったし」

一方通行「ハァ? わけわかンねェよ、マジでわけわかンねェよ!」

結標「こっちからしたら貴方のその反応がわけわからないわ」

一方通行「……そォいうわけだ。アレは話のネタとかに使わない方向でこの話は終わりだ」

結標「どういうわけよ」


120: 2013/03/22(金) 12:54:17.64 ID:pLE4zQUpo


結標「というかさっさと認めちゃったらー? 実はあのセリフマジで恥ずかしかったんすよー、って」

一方通行「だがらさっきから言ってンだろォが! 別に恥ずかしくなンざねェってよォ!」

結標「……ふーん、あくまでそういう態度とるっていうんだ?」

一方通行「どォ言われよォと俺の態度が変わることなンざねェよ」

結標「そうですか、へー」

一方通行「……ンだよその態度ァ?」

結標「あっ、青髪君だ!」

一方通行「ハァ!?」



結標「……おーい、青髪君おはよー! 実は面白い話があるんだ――」



一方通行「スンマセン、マジで勘弁してくれませンかスンマセン」

結標「やっと本性を現したわね」

一方通行「……あン? 青髪ピアスの野郎はどこだ?」

結標「嘘に決まってるじゃない。貴方を釣るためのね」

一方通行「ふざけンじゃねェよ! 嘘ついてンじゃねェよ!」

結標「貴方もさっきまで素直にならないという嘘ついてたのだからお互い様でしょ」

一方通行「いや、アレだよアレ。人には黒歴史っつゥモンがあってなァ、そォいうモンはほじくり返しちゃいけねェンだよ」

結標「歴史というほど前のことではないわよね」

一方通行「気にしちゃいけねェ」


121: 2013/03/22(金) 12:55:05.31 ID:pLE4zQUpo


一方通行「だから本気でやめてもらえませンかねェ? お願いしますよォ三百円あげますからァ」

結標「貴方さっきからキャラ崩壊が凄まじいわね、まあいいけど」

一方通行「お願いしますゥ」

結標「……わかったわよ。一応貴方に守ってもらうっていう約束だし、これが原因で守ってもらえなくなったら私が困るものね」

一方通行「随分と聞き分けがイイじゃねェか。さすがレベル5認定されるだけあるな」

結標「こんなことでレベル5が決まったら、そこら中にレベル5いるわよ。レベル5のバーゲンセールよ?」

一方通行「とりあえずこの話はオマエの墓まで持っていけよォ? 絶対ェ話すなよ、フリじゃねェからな絶対だぞォ?」

結標「わかってるから、その必氏すぎて起こってるキャラ崩壊を今すぐ直しなさいよ」

一方通行「チッ、わかりゃイインだわかりゃあ」

結標「戻ったら戻ったでまたムカつくわね」

一方通行「ほら結標、受け取れ」チャリン

結標「何?」

一方通行「三百円」

結標「何で?」

一方通行「さっき言ったじゃねェか、『三百円あげるから』って」

結標「あれ本気だったのね。ていうかいらないわよ、これ貴方の缶コーヒー用の小銭でしょ?」

一方通行「大丈夫だ。まだ五百円玉が残ってる、気にすンな」

結標「そういう問題じゃないわよ」

一方通行「別にそこまでかたくなに拒否することねェじゃねェか。それでジュースなりなンなり買えばイイ」

結標「うーん、まあわかったわ。ありがたくいただいとくわね」

一方通行「そォしろ」


122: 2013/03/22(金) 12:55:46.78 ID:pLE4zQUpo


結標「どうせだし今から何か買いに行こうかな? まだ時間は少しあるし」

青ピ「ええなぁ、ボクにもそれ奢ってくれやぁ」

結標「…………」

一方通行「…………」

青ピ「…………」

一方通行「オマエ、いつからここにいた?」

青ピ「いつからやと思う?」

一方通行「……俺が結標に『オマエわかってンだろォな』って言った辺りからか?」

青ピ「正解」

一方通行「最初からじゃねェか。最近流行ってンのかよ、最初からいましたっつゥの」

結標「……ええと青髪君? 最初からってことは全部聞いてたってわけ?」

青ピ「モチのロンやで!」グッ

一方通行「…………」

結標「…………」



一方通行「記憶ぶっ飛べゴルァああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」カチ



ドグシャァ!!



青ピ「あびゃりゅっ!!」

結標「青髪君が四回転ジャンプしながら吹っ飛んでいったッ!?」


123: 2013/03/22(金) 12:56:38.86 ID:pLE4zQUpo


青ピ「」ピクピク


結標「いつも以上に滅茶苦茶ね」

一方通行「ついカッとなってやった。反省はしていない」

結標「そんなニュースとかの常套句風に言われても」

一方通行「まァ、これは十中八九青髪ピアスクンが悪りィ。平然と見えねェところで人の話盗み聞きしてたからな」

結標「どう見ても貴方の方にも過失があると思うけど」

一方通行「ハァ? ふざけンじゃねェ。オマエが何と言おうとそれでも俺はやってねェよ」

結標「ついにこの話をなかったことにしやがったわ……というか真面目に青髪君大丈夫かしら……?」

一方通行「大丈夫だろ。オラァ、とっとと起きろ青髪ピアス」ゲシゲシ

結標「起こし方雑すぎじゃないかしら!?」


青ピ「」ピクピク


結標「…………」

一方通行「…………」

結標「お、起きないわね」

一方通行「ああ、起きねェな」

結標「…………」

一方通行「…………」


124: 2013/03/22(金) 12:58:53.64 ID:pLE4zQUpo


結標「ちょ、ちょっとぉぉぉっ! これって不味くなぁぁぁい!?」

一方通行「あァ? 何が不味いのかサッパリ理解できねェな」

結標「とぼけてんじゃないわよ、どう見ても不味いじゃない! どれくらい不味いかと言ったら今すぐここにコナン君が飛び込んできてもおかしくないくらい!」

一方通行「くっだらねェ、落ち着けよ結標」

結標「昨日私を守る発言したヤツが今殺人の容疑者になっているのよ! 落ち着いていられるか!」

一方通行「容疑者じゃねェよ、そのまま現行犯だろ」

結標「そんなどうでもいいところツッコンできてんじゃないわよ! どうするのよこれ!」

一方通行「どォするも何も……決まってンだろォがンなモン」スッ

結標「えっ、何をしているのよ……?」


一方通行「起きねェっつゥならしょうがねェ、だから木っ端微塵に粉々にして証拠隠滅するに決まってンじゃねェか」カチ


結標「ちょ、貴方何言って――」

一方通行「ぎゃはっ、解体ショーの時間だァ!!」バッ



青ピ「ちょ、タンマタンマ! スンマセンボクが悪かったですー!!」ガタッ



結標「…………あれ? 無事だったの青髪君?」

青ピ「何言うとるん、ボクを誰だと思ってんねん。伊達にいつもアクセラちゃんにぶっ飛ばされてねーねんで」

一方通行「チッ、あともう少しでこのうっとォしい野郎を始末できるところだったンだがなァ」カチ

青ピ「あれ? ちょっとアクセラちゃん? それ冗談よなぁ? 本気で言うとらへんよなぁ!?」

一方通行「…………さて、そろそろ時間だァ、教室行くぞ」ガチャリガチャリ

結標「あっ、ちょっと待って」タッタッ

青ピ「何さっき間ッ!? ちょ、何か言ってやアックセラちゃーん!」


―――
――



125: 2013/03/22(金) 12:59:23.55 ID:pLE4zQUpo


同日 08:25

-とある高校・一年七組教室-


吹寄「――あら、二人ともおはよっ」

姫神「おはよう」


一方通行「おォ」

結標「おはよう吹寄さん、姫神さん」

吹寄「さすがに今日は遅刻しそう、みたいなことはなかったわね」

結標「そうね、今日はさすがにすぐに起こしたわ。寝起きはすっごく不機嫌そうだったけど」

姫神「容易に予想できる」

一方通行「くっだらねェ……」ガチャリガチャリ


上条「おっす一方通行」

土御門「おはようアクセラちゃーん!」

一方通行「……さすがに今日も遅刻っつゥ不幸イベントはねェか」

上条「当たり前だろ、二日連続遅刻なんて絶対するわけねーよ」

土御門「まあ、俺が起こしにいかなかったらどうなってたかわからないけどにゃー」

上条「うっ、たしかにそうだけど……」

一方通行「土御門は今日から復帰か」

土御門「復帰と言っても別に風邪とかで休んでたわけじゃないけどにゃー」

上条「そうだ、お前昨日何やってたんだよ?」

土御門「ちょっと野暮用だにゃー。俺にはいろいろやることがあるんだぜい」


126: 2013/03/22(金) 13:00:31.88 ID:pLE4zQUpo


青ピ「いやいや騙されたらあかんよ二人とも! どうせ宿題終わってなかっただけやでーこれ!」


上条「おう青髪、やけにトイレ長かったな」

土御門「もしかして大のほうだったのかにゃー?」

青ピ「ちゃうねんちゃうねん、実は廊下で通り魔に会ってなー」

上条「通り魔?」

青ピ「そうそう。あれはボクじゃなかったら危なかったかもしれへんなー」

一方通行「むしろオマエじゃなかったらその通り魔は発生しなかったンじゃねェか?」

青ピ「通り魔の特徴は白い頭でー、女の子もドン引きするぐらい体が細かったでー」

上条「それってどう見ても一方通行だろ」

土御門「何があったんだ?」

一方通行「何もねェよ。コイツがただ馬鹿だっただけだ」カチ


青ピ「あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたッ!? 何これ体中が痛いッ!?」


土御門「いやーこれを見るとスキー旅行の日を思い出すにゃー。懐かしい思い出だぜい」

上条「懐かしいっつってもつい二、三日前くらいの話じゃねーか」


127: 2013/03/22(金) 13:01:59.45 ID:pLE4zQUpo


青ピ「思い出話しとらんで助けてや!! ちょ、体も動かへんやん!! マジでヤバイ!!」

上条「とりあえず謝っとけよ」

土御門「にゃー、俺たちレベル0じゃ助けようがないんだぜい」

青ピ「ふひひサーセ――あっ冗談ですスミマセン、マジでごめんなさいゆるしてくださぁい!!」

一方通行「チッ、朝から無駄な電力使わせてンじゃねェよ」カチ

上条「しかし青髪ピアスってタフだよな」

土御門「病院で『またあのツンツン頭か』とナースに噂話されるほどのカミやんがそれを言うのかにゃー?」

上条「いや、でも最近は入院なんてしてねーぞ? 面倒ごとにもあんまり巻き込まれなくなってきたし」

青ピ「よかったやんカミやん。一時期出席率がすごいことになってはったしなぁ」

土御門「そろそろ何かに巻き込まれてもおかしくないぜい」

上条「土御門、お前が言うと洒落にならねーからやめてくれ」

一方通行「チッ、くっだらねェ」ガタン

土御門「そうだそうだアクセラちゃん」

一方通行「あン?」


土御門「聞いたぜー、結標の姉さんがレベル5に昇格したってなー。こりゃビックリ――」


ゴォウ!!


上条「おわっ!?」

青ピ「なんやッ!?」


128: 2013/03/22(金) 13:03:12.15 ID:pLE4zQUpo


一方通行「…………」

土御門「おおーと危ない危ない。てか、アクセラちゃん顔が怖いぜい? スマイルスマイル♪」

一方通行「土御門テメェ……!」ギリリ

土御門「いくら強力なチカラを使っても、そんな単調な攻撃じゃあ当たるものも当たらないにゃー」


青ピ「つ、つっちーの顔の横にアクセラちゃんの腕が……」

上条「……な、何が起こってんだ?」


土御門「まあ安心しろ一方通行。さっきの言葉はカミやんたち以外には聞こえていないにゃー」

一方通行「何が安心しろだ。つゥか、どこからその情報を仕入れた?」

土御門「俺がどういう人間かよーく思い出してみればおのずとわかると思うぜい?」

一方通行「どォいうつもりだ土御門」

土御門「守り通せない秘密を無理に守る必要はないってことですたい」

一方通行「…………」



ガラララ



小萌「――はーいみなさん、朝のホームルームを始めるので席に――って、ちょっとアクセラちゃんに土御門ちゃん何をやってるんですかー!?」



土御門「おっと時間切れだにゃー。とっとと席に着くとしようぜアクセラちゃーん?」

一方通行「…………チッ」カチ


小萌「喧嘩は駄目ですよー二人ともー」


土御門「すみませーん先生! 口リのバストの許容範囲について語り合ってたらちょっとヒートアップしてしまいましたー!」

小萌「そんな変な話でそこまでヒートアップしないでくださーい!」


吹寄「ったく、アイツらは何でこう馬鹿なことしか考えられないんでしょうかねー?」

姫神「そういう生き物だと思うしかない」

結標「一方通行……?」


―――
――



129: 2013/03/22(金) 13:03:51.21 ID:pLE4zQUpo


同日 09:35

-とある高校・一年七組教室-



キーンコーンカーンコーン



青ピ「気をつけ、れいっ!」



<ありがとうございましたー



上条「……へー、結標ってレベル5になったんだなぁ」

結標「う、うん。そうなのよ」

姫神「全然驚いていない?」

上条「だってレベル4がレベル5になっただけだろ? 別にそんな騒ぐことでもねーだろ」

吹寄「なっ、貴様それ本気で言っているのわけ? レベル5よレベル5!」

結標「ちょ、ちょっと吹寄さん声大きいっ!」

吹寄「あ、ご、ごめんなさい」

上条「うーん、たしかにすげーと思うよ。そりゃクラスメイトが成果を上げてるんだから祝福してやるのは当然だとは思ってる」

上条「でもさ、逆にそれで結標を萎縮させちまうのは違うんじゃねえか?」

吹寄「えっ」

上条「何つーか……結標も嫌なんじゃねえのか? こう騒がれるのって」

結標「えーと、まあうん……」


上条「そもそもレベル5になったからって結標自身が変わったわけじゃねえだろ?」

上条「結標が『レベル5になったんだぞすげーだろ』って言ってんならこれでいいかもしれねえけど、違うんだったら今までと変わらず馬鹿みたいに接してやるべきだろ」

上条「それが俺たちクラスメイトがしてやるべきことなんじゃねえのか?」


130: 2013/03/22(金) 13:04:52.12 ID:pLE4zQUpo


吹寄「…………」

青ピ「……カーミやーん?」

上条「何だよ」

青ピ「まーたいつもの説教が始まってるでー」

上条「え?」

姫神「うん。朝っぱらからする話じゃないと思う」

上条「マジでか?」

吹寄「……上条」

上条「ひぃすみません吹寄様ぁ! わたくしめのような大馬鹿野郎が偉そうな口を叩いてしまってぇ!」ドゲザ

吹寄「……別にいいわよ。上条の言ってることは正論だし。それにあたしだってそんなつもりはなかったし」

青ピ「というかカミやんビビリすぎやでー? さすがの吹寄さんもそうぽんぽんと頭突きをかましてくるよぉなお方じゃないやろ」

上条「い、いやついクセで」

吹寄「何よ! そのいつもあたしが頭突きしている女みたいなセリフは!」

上条「ひぃぃ許してくださいぃ!」ドゲザ



ワイワイガヤガヤ



結標(……ふふ、たしかに黄泉川さんや芳川さんの言う通りだったわね。何も心配なんてすることなかったわ)


結標「……って、あれ? 一方通行がいない……? それに土御門君まで」


―――
――



131: 2013/03/22(金) 13:05:22.59 ID:pLE4zQUpo


同日 同時

-とある高校・一年次廊下-


土御門「何だアクセラちゃーん? わざわざ教室の外まで呼び出して」

一方通行「オマエはどこまでわかってンだ?」

土御門「わかってる? 何のことだかサッパリだにゃー」

一方通行「とぼけてンじゃねェよ。結標のことだ」

土御門「結標がレベル5になったことを俺が知っていたことかにゃー?」

一方通行「それも含めてだ。どこまで知っていやがる?」

土御門「……例えばだ」

一方通行「あン?」


土御門「例えばお前が知っている以上の情報を俺が持っているとしよう。で、それをお前に教えたとする。それでお前はどうするつもりだ?」


一方通行「何ィ?」

土御門「所詮お前はただの超能力者(レベル5)、それ以上でもそれ以下でもない。そんなお前が今回の情報を知ってどうすると聞いているんだ」

一方通行「…………」

土御門「何もできないさ。だから教える必要がないわけだ」

一方通行「…………たしかに」

土御門「ん?」

一方通行「たしかに何もできねェかもしれねェ。俺なンかがどォにかできるよォな問題じゃねェかもしれねェよ」


132: 2013/03/22(金) 13:06:21.20 ID:pLE4zQUpo


一方通行「だけどよォ、そンなンで俺がただ指をくわえて見てなきゃいけねェ理由にはならねェだろォが!」


土御門「……ああ、たしかにそうだな」

一方通行「教えろ土御門。今アイツの周りで起きている状況をッ!」

土御門「…………」

一方通行「…………」

土御門「……ふふっ、やーだよぉーだ!」

一方通行「ハァ?」

土御門「誰がお前なんかに教えるもんですたい! 面倒臭くてしょうがないにゃー!」

一方通行「……土御門ォ」プルプル

土御門「おっ? おっ? もしかして効いてる効いてるー?」

一方通行「俺ァ真面目に話してンだよ。ふざけてンじゃねェぞゴルァ!」

土御門「ふざけてないぜい。大真面目だぜい!」

一方通行「どこが……!」

土御門「きちんと真面目にお前を止めてるじゃないですかにゃー」

一方通行「ハァ? わけわかンねェよ」

土御門「お前はこれ以上知る必要がないってことだぜい」

一方通行「どォしてだ!」


133: 2013/03/22(金) 13:07:07.80 ID:pLE4zQUpo


土御門「例えば俺の知っている情報を全てお前に話したとする。そうしたらお前は必ず氏ぬ」

土御門「それだけじゃない。お前の守ろうとする世界さえも跡形もなく壊されてしまうだろう」

一方通行「…………」

土御門「どうしてかわかるか?」

一方通行「……さァな」



土御門「お前が必ずこちら側に堕ちてくることを決心するからだ」



一方通行「ッ!?」

土御門「それだけのことだからだ」

一方通行「オイ!! 一体ィ何が起きてやがンだッ!! 教えろ土御門ォ!!」

土御門「落ち着け一方通行」

一方通行「落ち着いていられるか! そンなクソみてェな状況になってるってのに俺ァ!! 俺ァ!!」

土御門「お前は結標淡希を守るんじゃなかったのか?」

一方通行「……ッ」

土御門「だったら俺の知っていることは知る必要のないことだ」

一方通行「……くそったれが。なら俺はどォすればイインだよ」

土御門「お前はお前の役割を果たせばいい」

一方通行「俺の役割……?」

土御門「ああ。こんな汚い裏の世界のことなど考えることなく、この平和ボケした世界を満喫すればいい」


134: 2013/03/22(金) 13:07:49.60 ID:pLE4zQUpo


一方通行「……指くわえて見てろってか」

土御門「そうじゃない。もし仮に結標……、オマエたちの日常を脅かす何かが目の前に現れたときは、お前がそのチカラを振るえばいい」

一方通行「当たり前だ。このチカラはそのためにあるンだからよォ」

土御門「だがそのチカラは絶対に使わせないさ?」

一方通行「ハァ?」

土御門「なぜなら、この件を処理するのは俺たちこちら側の人間の役割だからだ」

土御門「わざわざお前の手をわずらわせることなんてない。その前に俺たちが終わらせてやる」

一方通行「……オマエ」

土御門「なぁに心配するな。汚れ仕事はもともとこっちのもんだ。気にする必要はない」

一方通行「別に心配なンざしてねェし」

土御門「ふっ、相変わらずのツンデレっぷりで嬉しいにゃー!」

一方通行「急にキャラ戻してンじゃねェよクソ野郎が! あとツンデレなンかじゃねェよ俺ァ!」



キーンコーンカーンコーン



土御門「おっともう時間か。教室に戻るぞ一方通行」テクテク

一方通行「ああ」ガチャリガチャリ

土御門「そうだ。最後に一つ」

一方通行「ンだよ」

土御門「今回の新しい超能力者(レベル5)の増員。このことは思ったより学園都市内で波及しているようだぜい」

一方通行「…………そォか」

土御門「ま、あくまで噂程度のものだと思うから、安心しておけばいいにゃー」


一方通行「…………」

一方通行(俺の役割を果たせ……か)

一方通行「チッ、くっだらねェ」


――――


140: 2013/03/23(土) 21:01:07.95 ID:jhbxpUNQo

週一投下なんで投下しまーす

141: 2013/03/23(土) 21:02:06.13 ID:jhbxpUNQo

          Level5
5.広がっていく噂


January Second Tuesday ⅩⅩ:ⅩⅩ

-第七学区・とあるファミレス-


初春「――八人目の超能力者(レベル5)……ですか?」

佐天「そうそう。今ネットで噂になってる都市伝説の一つなんだけどさぁ」

黒子「またその手の話ですの? こりずにまあいろいろ調べてきますわよねぇ」

佐天「でも今回のはいつものより信憑性高そうじゃないですか?」

佐天「『七人だと思われていた超能力者(レベル5)だが実は幻の八人目(エイトマン)がいたっ!?』ですよ!」

黒子「変わりませんの。所詮はくだらない噂が一人歩きした結果でしょうに」

初春「エイトマン、ってことは男の人なんでしょうか?」

佐天「さあ? ただそう書かれていただけで詳しくは書かれてなかったけど」

黒子「胡散臭さしかありませんの」

佐天「むむー、こうなったら初春隊員! 今すぐ『書庫(バンク)』にアクセスして調べるのだー!」

初春「いやですよ。だいたい仕事でもないのにそんなこと許されるわけないじゃないですか」

佐天「そこをどうにかー!」

初春「無理ですって」

佐天「どうしても?」

初春「はい」

佐天「ちっ、使えないなー」

初春「ちょっと! 使えないとは何ですか使えないとはー!」プンプン


142: 2013/03/23(土) 21:03:42.18 ID:jhbxpUNQo


黒子「はぁ、いいですの佐天さん?」

佐天「何ですか?」

黒子「そういう噂話を見て楽しむのは結構ですが、それを解明するみたいなことはやめたほうがいいんじゃありませんの? 大覇星祭のときのこともありますし」

佐天「いいじゃないですかー! 別に首突っ込もうとか思ってるわけじゃないし、ただ調べるだけで――」

黒子「それがすでに首を突っ込んでるということになるのですよ」

初春「そうですよ! ただでさえ問題に巻き込まれやすいんですから佐天さんは!」

佐天「うう、ここには敵しかいないよー、助けて御坂さーん!」

初春「そういえば御坂さん遅いですね。どうかしたんでしょうか?」

黒子「野暮用があるから少し遅れるとはおっしゃってましたが……」

佐天「おっ、これはもしかして例の上条さんかなー?」

黒子「なっ、なんですっとー!?」ガタン

初春「ちょ、ちょっと白井さん!」

黒子「おのれ腐れ類人猿めぇ! よくもお姉様をっ!!」

初春「ちょっと声が大きいですよ!? 注目浴びちゃってるじゃないですかー!」

佐天「その点を言ったら今さらって感じがするけどねー」ズズゥー


143: 2013/03/23(土) 21:04:28.29 ID:jhbxpUNQo


黒子「……すみません二人とも。わたくしにも少し野暮用ができましたの」

初春「そんなものできてませんから今すぐ席に座ってください!」

佐天「ちょっとドリンクバー行ってくるねー」テクテク

初春「佐天さん!? そんなのんきに飲み物取りに行ってないで一緒に白井さん止めてくださいよ!」

佐天「ええっー? 普通に考えて無能力者(レベル0)が大能力者(レベル4)を止められるわけないじゃん」

初春「大丈夫です。私は低能力者(レベル1)ですから!」

佐天「初春の能力とかこの状況じゃ実質レベル0と変わんないじゃん」

初春「ううっ、たしかにそうですけど……」

黒子「では皆さん。ごきげんよ――」


美琴「おっまたせー、って何やってんの?」


佐天「あっ、御坂さん!」

初春「やっと来てくれたんですねっ!」

美琴「ん? ホント何この状況?」



黒子「……ォォおお姉さまぁああああああああああああああああああっ!!」ガバッ



144: 2013/03/23(土) 21:05:53.17 ID:jhbxpUNQo


美琴「ッ!? ちょ、ちょっと黒子! は、離れなさい!」

黒子「ああー会いたかったですのお姉様! 黒子は! 黒子は大変寂しゅうございましたぁ!」

美琴「寂しかったって今朝会ったばっかりじゃないのよ!」

黒子「くんかくんかお姉様の慎ましいお胸ぇ、はあはあ」

美琴「」ピキ

美琴「いい加減にしなさい黒子ォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」



バチバチィッ!!



黒子「おおぅ!! イッツアワァァァァァァァァァァルド!!」ビリビリ


佐天「いつも思うんだけど、そろそろここ出禁になってもおかしくないよねー」

初春「そこは店員さんの優しさに甘えときましょうよ」

佐天「それが優しさかどうかはわからないけどねー」



~しばらく経って~



美琴「……いい加減落ち着いた?」ムスッ

黒子「はい。本当に申し訳ないと思ってますの。少しお姉様分欠乏症にかかってしまっていました」プスプス


145: 2013/03/23(土) 21:06:25.90 ID:jhbxpUNQo


佐天「さて、白井さんが落ち着いて、御坂さんも来たことですし、あの話に戻すとしましょうか」

美琴「あの話? なになにー?」

初春「またその話をするんですかー?」

佐天「だって気になるじゃん!」

黒子「どうせガセ情報に決まってますの」

美琴「……? 何の話をしているの?」

佐天「レベル5の話ですよ。それも幻のエイトマン!」

美琴「エイトマン……? 八人目ってこと?」

佐天「そうです! 実は超能力者(レベル5)は八人いるらしいんですよー!」

黒子「信じないでくださいねお姉様。所詮は噂です」

佐天「現超能力者(レベル5)で第三位の御坂さんはこの噂について何か知りませんか?」

美琴「うーん、ちょっと聞いたことはないわねー」

初春「ほら佐天さん。レベル5の御坂さんも知らないんですからそれはガセですよ」

黒子「当然ですの。だいたい八人目なんていたら未だに知られていないのがおかしいくらいですわ」

佐天「ちぇー、面白い都市伝説だと思ったんだけどなー」

美琴「…………」



一方通行『超能力者(レベル5)って全員で何人いたっけか?』



美琴(……もしかしてアイツが言ってたのって)


黒子「? お姉様? どうかなさいましたか?」

美琴「……別に、何でもないわ」

佐天「じゃあ次の噂話行ってみましょうかー!」

初春「まだあったんですかぁー!?」


―――
――



146: 2013/03/23(土) 21:07:05.96 ID:jhbxpUNQo


同日 ⅩⅩ:ⅩⅩ

-第三学区・アイテム隠れ家-


フレンダ「……ああー、結局年明けは暗部の仕事がなくって暇って訳よ」グデーン


絹旗「こうして超ニートが生まれるのでした」カタカタ

浜面「てかお前いつも『楽がしたい』とか言ってねかったか?」

フレンダ「暇すぎて何もないよりは忙しい方がマシじゃん」

麦野「でもアンタの場合忙しかったら逆のこと言うんじゃない? 『暇すぎる方がマシって訳よ!』って感じに」

浜面「つーか、前スキー場で仕事したばっかじゃねえか」

絹旗「浜面は超何もしてませんでしたけどね」カタカタ

浜面「な、何だと!? い、いや何かやったはずだ! たぶん!」

麦野「ただ雄たけびを上げながら自爆していっただけじゃねえか」

フレンダ「しまいには海原とかいうやつとすり替わっていた訳だし、何もしてないところか足引っ張ってた訳よ」

浜面「くそっ、反論できねえのが悔しいぜ……」

滝壺「大丈夫だよはまづら。はまづらは私たちをスキー場まで運ぶという仕事をちゃんとしてくれたよ」

浜面「た、滝壺ぉ……!」ウル

フレンダ「でも浜面が私たちのアシになるのは当然じゃん。火を点ければ爆弾が必ず爆発するみたいに」

絹旗「それ以外してないってことは何の付加価値もないものということですね」カチ

浜面「ひでぇ!」

滝壺「んー、言われてみればそうかも……」

浜面「滝壺さん!?」


147: 2013/03/23(土) 21:07:44.89 ID:jhbxpUNQo


フレンダ「ああー本気で暇だー!」ゴローン

麦野「たしかにそれは同意するわ。暇だから浜面に一発芸でもさせて遊ぶか」

浜面「これだけの仕打ちを受けさせてなおこの追い討ちか……」

麦野「誰も笑わなかったら指一本ずつ焦がしていくから♪」キュイーン

浜面「それ指一本じゃ済まないよねっ!? 腕一本確実に持って行かれるよねっ!?」

滝壺「頑張ってはまづら。私ははまづらのギャグセンスを信じるよ」

浜面「ハードルがくっそ上がってんじゃねえかチクショウ!」

フレンダ「……そういやどうでもいいけど絹旗さっきから何やってんのー? パソコンの前に座ってさ」

絹旗「普通にネットですよ。最新の映画情報とかを探すべく掲示板とかを超見て回っているところです」

フレンダ「掲示板? 普通に映画で検索とかすれば出てくるんじゃないの?」

絹旗「何を言っているんですか? これだから素人は……」ヤレヤレ

フレンダ「何かすっごく腹が立つんだけど」

絹旗「私の見るような映画は超検索しても必ず上の方には上がってきませんよ。B級ならまだしもC級レベルになったら」

フレンダ「あっ、そうか。絹旗のは趣味が悪すぎて検索サイトのほうも規制をかけているのかー」

絹旗「それは私に喧嘩を売っているということで超よろしいですね?」

フレンダ「面倒臭いから売り切れってことでー」

絹旗「あなたは暇じゃなかったんですか……?」


148: 2013/03/23(土) 21:08:24.16 ID:jhbxpUNQo


浜面「く、くそう。やってやる、そんなに言うならやってやるよ! も、物真似やりま――」


麦野「やっぱいいや。どうせシラけるだけだし」

浜面「人が覚悟を決めたそばからこれかよ!」

絹旗「そもそも浜面の物真似なんて誰も見たくないでしょうしね」

フレンダ「まだ一発屋芸人の寒いネタ見たほうがマシって訳よ」

滝壺「大丈夫だよはまづら。そんなフルボッコなはまづらを私は応援してるから、たぶん」

浜面「滝壺さん!? ついにたぶんとかいう大変不安になる言葉が付いたんですけどぉ!?」

絹旗「それだけ浜面のギャグセンスに誰も超期待していないということですよ……ん?」カチカチ

フレンダ「どうかした絹旗ー?」

絹旗「いえ、少し超気になることが掲示板に書かれてあったのですが……」

浜面「少しなのかすごくなのかどっちなんだよ」

フレンダ「何のー、その気になることってさー?」

絹旗「はい、これです」カチ

フレンダ「なになにー? 『七人だと思われていた超能力者(レベル5)だが実は幻の八人目(エイトマン)がいたっ!?』だって」

滝壺「ほんとなのむぎの?」

麦野「んなわけねーでしょうが、私たち超能力者(レベル5)は七人だ七人。『ガセだろ氏ね』って書き込んどけ」


149: 2013/03/23(土) 21:09:15.74 ID:jhbxpUNQo


フレンダ「しかしこれすごいねー。学園都市の都市伝説の一つに追加されてんじゃん」

浜面「都市伝説? 『脱ぎ女』とか『幻想御手(レベルアッパー)』とかか?」

絹旗「レベルアッパーについては実際にそれに関係する事件がありましたよね。事件解決に第三位が超関わってるって話ですが」

麦野「さすが第三位様。学園都市の平和のためにごくろうなこった」

フレンダ「私が相対したときはそんな学園都市のヒーローみたいには見えなかったけどね」

滝壺「うん、そうだね」

浜面「へー、お前ら第三位と戦ったことでもあんのか?」

絹旗「浜面がまだいなかったときの話ですよ。あの頃のアイテムは超輝いてましたよねー」

フレンダ「だねー仕事もそこそこ多かったし」

麦野「一番人を頃した数が多かった期間だったのかもしれないわね」

浜面「おい何だこの俺のせいで仕事が減ってるみてえな雰囲気は」

滝壺「…………」

浜面「ついに応援すらしなくなった!?」

フレンダ「結局、浜面は浜面って訳よね」

浜面「(´・ω・`)」


150: 2013/03/23(土) 21:09:52.09 ID:jhbxpUNQo


絹旗「で、この八人目についてはどうしますか麦野?」

麦野「どうするって何が?」

絹旗「もし気になるようでしたらこちらで調べておきましょうか? どうせ超暇なので」

麦野「あー、別にどうでもいいわ。そんなあからさまなガセネタ野郎のことなんて」

浜面「どうしてガセだなんてわかるんだ? もしかしたらレベルアッパーのときみたいに本当にいるかもしれねーじゃねえか」

麦野「そもそもそんな八人目のレベル5なんていたら普通に私の耳に届いてるはずよ? でもそんなの一度も聞いたことないわ」

フレンダ「たしかに聞いたことはないねー」

滝壺「……もしかしたら最近増えたのかも」

麦野「たしかにそれなら私の耳に届いてなくてもしょうがないけど、時期が時期でしょう? ほぼありえないわね」

フレンダ「何で?」

麦野「身体測定(システムスキャン)をしねーと能力判定できないでしょ? 今そんなのやるなんて外部から転入生でも来ない限りありえないわ」

浜面「じゃあその転入生がそうなんじゃねえのか?」

麦野「残念ながらここ最近外部からきた学生の人数はゼロ。上のヤツらが隠してるとかならもしかしたらあるかもしれないけど」

浜面「たしかにそれを言ったらどうしようもねえ話になってくるな」

麦野「そーゆーこと。だから絹旗。別に調べるなら調べるで構わないけど、あとで無駄だったー、って言って後悔すんじゃないわよ?」

絹旗「……了解です」

フレンダ「まあ結局、私たちが暇だってことは変わらないって訳よ」ダラーン


―――
――



151: 2013/03/23(土) 21:10:52.70 ID:jhbxpUNQo


同日 ⅩⅩ:ⅩⅩ

-第三学区・スクール隠れ家-


垣根「……八人目の超能力者(レベル5)だぁ?」

ゴーグル「そうっス。今何かと話題になってる裏情報っスよ」

垣根「チッ、すっげぇどうでもいい情報だな」

心理定規「そうかしら? 少しは興味深い情報だと思うけど」

ゴーグル「掲示板とかでは『七人だと思われていた超能力者(レベル5)だが実は幻の八人目(エイトマン)がいたっ!?』って書き込まれたりしてるらしいス」

垣根「ハイそれダウト」

心理定規「ロマンというものがないわね貴方は」

ゴーグル「そうっスよ垣根さん。夢あるじゃないですか謎のレベル5だなんて」

垣根「あぁ? 何言ってんだテメーら。俺が嘘っつったのはそっちじゃねーよ」

ゴーグル「? どういうことっスか?」

垣根「さっきテメーが言った八人目(エイトマン)っつー部分が嘘だって言ってんだよ」

ゴーグル「……あんまり変わらなくないですか? 垣根さんが言ってるのってエイトじゃなくてセブンだろってことっスよね?」

垣根「違げーよ。馬鹿かお前は?」

心理定規「……ふーん、もしかして垣根、その謎の八人目の正体に検討がついているのね?」

垣根「そうだ」

ゴーグル「えっ、マジっスか!?」


152: 2013/03/23(土) 21:12:08.44 ID:jhbxpUNQo


垣根「俺が思うにその八人目(エイトマン)……いや、八人目(エイトレディ)っつったほうがいいか?」

ゴーグル「レディ……女ってことっスか」

垣根「ああ。おそらく八人目は『座標移動(ムーブポイント)』、結標淡希だ」

心理定規「……へぇ、彼女が。たしかにそれだけの実力はあるわね」

ゴーグル「でもどうしていきなりそいつが昇格してんスか?」

垣根「……チッ、おいテメェ、その掲示板とやらはよく見るのか?」

ゴーグル「は、はい。一応情報収集には使います」

垣根「その噂は最近出てき始めただろう。ここ二、三日の間ぐらいからな」

ゴーグル「ちょっと待ってください、……!」カタカタ

ゴーグル「た、たしかにそうっス! 一番最初の書き込みは一月五日の十九時五十八分です!」

心理定規「ジャスト三日以内ね」

ゴーグル「でもどうしてわかったんですか?」

垣根「……あームカつくからあんま話したくねーが、その日俺たちは雪合戦大会に出てただろ?」

心理定規「ああ、本来そこで貴方は第一位を倒してメインプランになる予定だったはずだけど、どっかの垣根が舐めプしてたせいで駄目だったあの雪合戦ね」

垣根「うるせえ俺もそれくれえわかってるっつーの。次は必ず潰す」

心理定規「どうせ負けちゃう未来しか見えないわ」

垣根「頃すぞテメェ」

ゴーグル「……け、結局その雪合戦がどうしたんスか?」


153: 2013/03/23(土) 21:13:09.65 ID:jhbxpUNQo


垣根「ああ、そこで座標移動は自分自身の転移を成功させやがったんだよ」

ゴーグル「『空間移動能力者(テレポーター)』が自分自身をテレポートさせるのは普通なんじゃないんスか? ましてレベル4以上になれば」

心理定規「彼女はそれができなかったのよ。それゆえにレベル5級の能力を持ちながらも今までレベル4認定だったってわけ」

ゴーグル「そうだったんスか」

垣根「だからその八人目ってのを聞いて真っ先にそれが思いついたわけだ。つまりどうでもいいってことだ」

心理定規「あら、せっかくお仲間さんが増えるというのに嬉しくないの?」

垣根「俺はザコには興味がねーよ。だいたいレベル4から上がってきたんだから必然的に第八位、よくて五、六位くらいの中途半端なレベル5になるだろ」

ゴーグル「自分の順位が脅かされないから平気ってことっスね」

垣根「ま、あの程度の常識的な能力で俺の『未元物質(ダークマター)』を潰せるわけねーけどな」

心理定規「それってもしかして敗北フラグかしら?」

垣根「負けるわけねえだろ。俺はなぁ、アイツに負けてから未元物質の強化に力を入れてんだよ」

ゴーグル「垣根さんのあのハンパないチカラがまだ強化されるって言うんスか!?」

心理定規「具体的にどういう強化をしているのかしら?」

垣根「未元物質はこの世にねえ物質を生み出すチカラだ。今まで俺はそれを既存の現象と組み合わせて使っていた」

垣根「でもそんなもんじゃねーはずなんだ。俺の未元物質には常識が通用しないんだからよ」

ゴーグル「……つまりどういうことっスか?」


154: 2013/03/23(土) 21:14:08.77 ID:jhbxpUNQo


垣根「そうだな……今やってるの未元物質の精製だ」

心理定規「……それいつもやってるじゃない。能力を使用するたびに」

垣根「ああ言い方が悪かったか。もっと具体的に言うなら未元物質の可視化、具現化っつーところか」

ゴーグル「?」

垣根「わかってねーって表情だな。しょうがねえ見せてやるよ」バサッ

心理定規「出た、垣根さんのメルヘンチックな翼だ!」

ゴーグル「まるでチョコボールのくちばしに描かれている天使のような神々しい翼だ!」

垣根「お前らあとで頃すからな。よっと」



シュイーン



ゴーグル「これは……なんですか?」

心理定規「バラ、ね。花びらから茎まで全て真っ白なバラ。趣味悪っ」

ゴーグル「バラなんか生み出してこれがどうかしたんですか?」

垣根「それをどっか適当な壁にでも投げてみろよ」

ゴーグル「これをっスか? よっと」ヒョイ



ドガァァァン!!



心理定規「」

ゴーグル「」


155: 2013/03/23(土) 21:15:53.92 ID:jhbxpUNQo



シュー



心理定規「…………」

ゴーグル「…………た、たしかあれって一応核にも耐えられるシェルターとかじゃなかったっけ?」

心理定規「そう、他の暗部からの襲撃を防ぐために造られた特別製ね」

垣根「ま、こういうわけだ」

ゴーグル「どういうわけっスか!」

垣根「他にも未元物質製の盾とか銃とか……最近はああいうものを作ってるってことだ」

心理定規「最近は武器を工作して遊んでるってことね」

垣根「違う違う。アレはあくまで俺が強くなるまでの過程に過ぎねーよ」

垣根「それにあんなおもちゃ作ったところで第一位にも勝てやしねーし、わくわくもしねーだろうが」

ゴーグル「武器を作ってるわけじゃないってことは何を作ってんですか?」

垣根「そうだな。今は具体的には言えねーしできるかわからねーけど」




垣根「アイツのトラウマを生み出すことができりゃあ俺の勝ちだな」ニヤァ




砂皿「」ピクピク


―――
――



156: 2013/03/23(土) 21:16:27.11 ID:jhbxpUNQo


同日 ⅩⅩ:ⅩⅩ

-第七学区・とある路地裏-



削板「すごいパァァンチッ!!」



ゴバシャァッ!!



横須賀「ぶるがりぃ!?」ドカン


不良達『横須賀さん!?』


削板「ふん、オレのすごいパーンチをまさか二十発も耐えられるようになるとはな」

横須賀「……がはっ、ふ、ふん。この『内臓潰しの横須賀』を舐めてもらってはこま――」


削板「すごいパーンチ」



ドグッシャァッ!!



横須賀「るぼるぶぅ!?」ボカン


不良達『横須賀さんっ!?』


削板「しかぁし! その程度の根性じゃあオレには勝てんぞ!!」


157: 2013/03/23(土) 21:17:12.24 ID:jhbxpUNQo


原谷「あのーすみません」

不良A「何だ!」

原谷「そろそろ俺、帰ってもいいですかねえ?」

不良A「何だとテメェ! 横須賀さんが頑張ってるっつーのにテメェは帰るっつーのかよ!」

原谷「いや、俺そもそも関係ないし。たまたまあんたらにカツアゲされてただけだし」

不良B「うるせえぞカツアゲされてるくせに生意気な!」

原谷「知らないですよ、早く帰ってゲームの続きがしたいんですよー!」


削板「すごいパーンチ?」



ゴボオォォオン!!



横須賀「何で疑問系なぐぼらぁ!?」


不良達『横須賀さんっっ!?』


原谷「俺がここにいる意味絶対ないよね!?」


~すごパ十発後~


横須賀「……無念、がくっ」

不良A「ちくしょう覚えてやがれぇ!」

不良B「ほら横須賀さん行きますよ!」

不良C「次はボッコボコだぞグルァ!」



ドタバタドタバタ



158: 2013/03/23(土) 21:17:50.28 ID:jhbxpUNQo


削板「根性がある限り何度でもかかってくるがいい!! そのたびに俺がぶっ飛ばしてやる!!」

原谷「あのー、たびたびありがとうございました」

削板「おう、怪我はねーか少年!」

原谷「いやー、こう何度もレベル5の人に助けてもらうなんて俺も運が良いのか悪いのかわかりませんね。あはは」

削板「運など関係ない。日頃の行いがいいやつほど根性があるのだ!」

原谷(何言ってんのかわからないが、つまり俺は根性が日頃から足りていないということだろうか……)

原谷「……そ、そういえば削板さんはレベル5なんですよね? さっきも言ったとおり」

削板「いかにも! 超能力者(レベル5)の七人のうち第七位! ナンバーセブン削板軍覇だがっ!!」

原谷「近ごろレベル5に八人目がいる、みたいな噂が流れているんですよ」

削板「ほぉ、それは初耳だ」

原谷「そうなんすか。てっきりレベル5だからその手の話は詳しいのかと」

削板「しかし八人目か。どんなやつか知らんがきっと根性に満ち溢れた若者なんだろうな!!」

原谷「ははー、そうすねー」

削板「もしそうならオレもうかうかしてられないぜ! 順位を抜かれてナンバーエイトならないようにしないとな!」



削板「そうと決まれば今日から猛特訓だっ!! 根性ォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」ダッ



ドッカーン!!



原谷「……無茶苦茶だ」


―――
――



159: 2013/03/23(土) 21:19:50.31 ID:jhbxpUNQo


同日 ⅩⅩ:ⅩⅩ

-学び舎の園・とある喫茶店-


店員「お待たせいたしました。エクレアとショートケーキでございます」

食蜂「くすっ、ありがとぉ」

縦ロール「女王! また貴女はそんなにたくさんのスイーツを!」

食蜂「ええっーいいじゃん別にー。ていうか別に多くないしぃ」

縦ロール「駄目です。最近はお正月だとかこつけてお餅ばかりお食べになられていたではないですか!」

食蜂「だってお餅おいしーんだもん」

縦ロール「女王はお餅の恐ろしさを知らない過ぎるのです! そしてお菓子の恐ろしさも!」

食蜂「育ち盛りの女子中学生なんだから、しっかり育つように食べたほうがいいんじゃないかしらぁ?」

縦ロール「それが裏目に出て体が横に成長したらどうするおつもりですか!」


取り巻きA「(また太られたのね)」ヒソヒソ

取り巻きB「(自制ができないのかしらね)」ヒソヒソ


縦ロール「そこ! うるさいですよ! ううっ……」

食蜂「もぐもぐ、うん、やっぱりここのエクレアは最高ねぇー」

縦ロール「女王!」

食蜂「そんなことよりぃ、今日はいったい何のための集まりなのかしらぁ?」


160: 2013/03/23(土) 21:20:36.95 ID:jhbxpUNQo


縦ロール「……はい。今日は冬期休暇を終え、三学期が始まったので、これからの派閥全体の予定を立てるための集まりです」

食蜂「ふーん、そういうのはアナタが勝手に決めちゃって構わないのにぃ」

縦ロール「いけません。この派閥のトップである女王が話し合いに参加しなくてどうするというのですか!」

食蜂「そんなことより何かおしゃべりしましょ? せっかくの女子会なのだしぃ」

縦ロール「だから女王! 女子会などではありません!」

食蜂「そこのアナタぁ? 何か面白い話題ないかしらぁ」

取り巻きB「え、ええっと……」

縦ロール「話題は三学期からの予定についてです! あと貴女も女王の話に耳を傾けない!」

取り巻きA「あ、そうだ。食蜂様、一つ気になる話があるのですが」

食蜂「えっ、なになにぃー? 話して話してー!」

縦ロール「貴女! 余計なこと言って女王の気をひかないでくださる!?」

食蜂「もう、少しうるさいゾ、えい☆」ピッ


縦ロール「」ピタ


取り巻き達『…………』アゼン

食蜂「どうぞアナタ続けて続けて♪」

取り巻きA「あ、はい。ええと……」


161: 2013/03/23(土) 21:21:31.58 ID:jhbxpUNQo


取り巻きA「どうやら私たちの派閥の中である噂が流れているんですよ」

食蜂「うんうん」モグモグ

取り巻きA[その噂の内容が『七人しかいない超能力者(レベル5)ですが、実は八人目がいた』と、このようなものなのですが」

食蜂「……へー、それは興味深いわねぇ」

取り巻きB「食蜂様はご存知ではありませんか? この謎の八人目のレベル5について」

食蜂「うーん、どうかしらぁ。その八人目さんがもともといたのか、新しく出てきたのかによって話が変わるのよねぇ」

取り巻きA「? 実は八人目がいた、とあるのですからもともといたのではないのでしょうか?」

食蜂「そうねぇ、その噂が百パー正しいと言えるならそうだけど、実際はただの噂だものぉ」

取り巻き「い、言われてみれば……」

食蜂「噂ほど信用のないものはないわ。まあ、気になるよぉならこっちで調べとくけど」

取り巻きB「い、いえそんな! 食蜂様自らそのようなことせずとも……!」

食蜂「別に構わないわぁ、実は結構興味が湧いてきたし。何かわかったら教えてあげるわぁ」

取り巻きA「あ、ありがとうございます!」



食蜂(うふふっ、さぁて結標さん? アナタはこれから一体どういう道を歩むのかしらねぇ)



―――
――



162: 2013/03/23(土) 21:23:24.15 ID:jhbxpUNQo


同日 ⅩⅩ:ⅩⅩ

-第七学区・街頭-


土御門『というわけで、あとはよろしくたのむぜい海原』

海原「わかりました。後処理はこちらに任せて置いてください」

土御門『しかし悪いなー合流できなくて。こっちは宿題が終わらなくて学校で居残りでさぁ』

海原「大丈夫ですよ。貴方がいなくてもこの程度の仕事、完璧にこなしてみせます」

土御門『それはそれで寂しい気がするぜい。あ、あともし少しでも大変だと思ったらすぐ連絡寄越してくれ。援軍を送ってやるからにゃー』

海原「……他二人をですか?」

土御門「そうだにゃー」

海原「結構です。どうせ連絡しても来ませんよ。仮に来たとしても片方は邪魔しかしませんから」

土御門「そうだな。――おおっと、すまない。小萌先生が呼んでるからまたかけ直すにゃー。頼むぜい海原」

海原「了解です」ピッ


海原「…………さて、と」

海原「御坂さんの様子が心配ですが、こちらはこちらで大変になりそうですからね」

海原「行きますか――」

<ヒビキアウーネガイガイマメザメテクー♪

海原「おやっ」ピッ


海原「もしもし、何でしょうか?」

海原「えっ、買い溜めのお菓子がなくなったのですか?」

海原「わかりました。これから仕事なのでこれが終わったらすぐに持って行きますよ」

海原「……えっ、大丈夫です、一人で大丈夫なので貴女はそこで待っていてください」

海原「…………はい、では」ピッ


海原「…………」

海原「さて、改めて行くとしますか」


―――
――



184: 2013/03/25(月) 17:03:34.26 ID:CYv5IHq/o


6.とある高校の昼休み


January Second Wednesday 12:20 ~昼休み~

-とある高校・一年七組教室-



キーンコーンカーンコーン



女子委員長「気をつけ、礼!」



<ありがとうございました!



青ピ「あぁー、やっと昼休みやでー」

上条「授業ってこんなにきつかったっけ?」

土御門「年末まで補習で学校に来てたカミやんが言う言葉かにゃー?」

上条「補習には慣れてても久しぶりの授業ってのはやっぱり慣れてねーんだよ」

青ピ「言うてて悲しゅうならんの自分?」

上条「うっせぇ。よし、だったら上条さんは宣言しますよ!」



上条「三学期は補習ゼロで終わらせて、すがすがしい気持ちで二年生を向かえてやるよ!」



185: 2013/03/25(月) 17:04:26.90 ID:CYv5IHq/o


青ピ「なお、次の中間テストで撃沈される模様」

土御門「ここまで信用のない宣言はないぜい」

上条「テメェら見てろよ。ぜってー赤点しのいでやっからな!」


吹寄「でも上条。貴様は能力開発の単位足りてないじゃない」


上条「…………え」

青ピ「せやな。その右手のせいでカミやんは完全無欠の無能力者やからなー」

土御門「どちらにしろ補習が待ち構えているというわけだにゃー」

上条「…………不幸だ」



ワイワイガヤガヤ



結標「……楽しそうねえ」

一方通行「馬鹿が集まると騒がしくて敵わねェな」

結標「いいじゃない賑やかで」

一方通行「うっとォしいだけだ」

姫神「結標さん。一緒に食べよう」

結標「あっ、いいわよ。一方通行も一緒にどう?」

一方通行「先に食ってろ」ガタン

結標「どこか行くの?」

一方通行「飲みモン買ってくる」ガチャリガチャリ


186: 2013/03/25(月) 17:05:03.57 ID:CYv5IHq/o


結標「……じゃあ先にいただいときましょ」カパッ

姫神「そうだね」ガタン

青ピ「アックセラちゃーん! 一緒に食べ……ありゃ? アクセラちゃんは?」

結標「一方通行なら自販機に飲み物買いに行ったわ」

青ピ「なんやって!? こんなことならパシリ頼めばよかったわー」

姫神「それに応じるとは。到底思えないけど」

結標「他の人たちはどうしたの?」

青ピ「昼食目当てに戦場に出て行ったでぇー」

姫神「おそらく上条君だけ。戦果なしで帰ってくる」

結標「もはや予想じゃなく断定なのね」

青ピ「ふーむ、ってことはカミやんたちはアクセラちゃんと合流してるかもしれへんなぁ」

結標「そうね。自販機と購買は同じ方向にあるわけだし」

姫神「ところで青髪君。あなたの昼食は?」

青ピ「今日は下宿先のパン屋の売れ残りを持ってきたんやでえ」ドン

結標「おおっ、いっぱい持ってきてるわねえ」

姫神「あんぱん。カレーパン。クロワッサン。メロンパン……種類が豊富」


187: 2013/03/25(月) 17:05:38.00 ID:CYv5IHq/o


青ピ「今ならパン屋を開けるかもれしれへんなぁ」

結標「いや、普通に足りないでしょ」

姫神「これ全部食べるつもり?」

青ピ「んなわけないやん。面倒やから全部まとめて持ってきただけやし」

結標「これ絶対食べきれないわよね?」

青ピ「せやな。まあ、残ってもおやつとかにするし大丈夫やろ。よかったら姉さんらも食べる?」

結標「じゃあジャムパンもらうわね」ヒョイ

姫神「私はソーセージパンで」ヒョイ

青ピ「ソーセージ……うっ」

姫神「……どうかした? ソーセージは駄目だった?」

青ピ「いや、別にいいんやでぇ、別にぃ。ボクのソーセージやから大事に食べてーやぁ」

姫神「? うん。ありがとう」パク

青ピ「はうぅ!」

姫神「?」モグモグ

青ピ「これはいいっ!!」グッ

結標「何となくだけど一方通行がいたら電極のスイッチが入っちゃいそうよね、何となくだけど」


―――
――



188: 2013/03/25(月) 17:06:06.86 ID:CYv5IHq/o


同日 12:30

-とある高校・購買-



ワーワーギャーギャー!!



一方通行「……相変わらず人がゴミのよォに集まる場所だなァここァ」

一方通行「まァ俺には関係ねェがな」チャリン



ピッ、ガタン!



一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……ふゥ、さて教室に帰るとすっかァ」ガチャリガチャリ


土御門「おっ、アクセラちゃんじゃないか」


一方通行「……チッ、嫌なヤツに出会っちまったなァ」

土御門「随分な言われようだにゃー」

一方通行「こンなところで何してやがる」

土御門「購買に来たらすることは一つじゃないか?」

一方通行「……その手に持つサンドイッチは戦利品っつゥことか」

土御門「そのとおりだぜい」


189: 2013/03/25(月) 17:06:37.61 ID:CYv5IHq/o


一方通行「オマエ一人か?」

土御門「いーや、他にもカミやんと吹寄が来てる、けど……」



吹寄「くっ、いつもより壁が厚いわね……!」

上条「あーくっそ、不幸だ……」



土御門「あの通り頑張って食料を手に入れようと努力しているんだにゃー」

一方通行「さすが暗部の人間は違うな。この程度の障害はどォってことねェってことか」

土御門「何のことだかわからないにゃー」

一方通行「チッ」



吹寄「よしっ! 『脳を活性化させる一二の栄養素が入った能力上昇パン』ゲットぉ!!」



土御門「お疲れ吹寄ぃ!」

一方通行「争奪するまでなく売れ残ンだろ、ンな不味そォなパン」

吹寄「ちゃんとおいしいわよ! しかも能力上昇するし!」

土御門「てか、それって通販で売ってるやつじゃなかったにゃー? 何で購買で売ってるんだ?」

吹寄「さあ? 私も今日初めてここで見たから知らないわよ」

一方通行「どォせアレだァ、教員側があまりにも能力の平均値が低すぎるのを危惧して、苦肉の策として導入されたモンの一つだろ」

吹寄「でも平均は前よりだいぶ上がっているとは思うけど。あなたたち二人がいるおかげで」

一方通行「所詮二人だけだ。大して変わらねェよ」


190: 2013/03/25(月) 17:07:10.55 ID:CYv5IHq/o




上条「よっしゃぁああああああああああああああああっ!! 焼きそばパン取ったぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」




土御門「な、何だと!?」

吹寄「そ、そんなっ! 上条がパンを買えたですってっ!?」

一方通行「珍しく右手が仕事しなかったわけか」

上条「へへっ、上条さんだって日々成長してるってわけですよーと」

土御門「今日は雪でも降るんじゃないかにゃー」

吹寄「雪じゃ普通すぎるわ。人工衛星でも降ってくるんじゃないかしら」

上条「お前ら……さすがの上条さんでもそこまで不幸じゃ――」ツルン



ステーン!



上条「痛っ!?」

一方通行「なァにオマエは何もねェ場所で転ンでンだよ」

土御門「そういうのはドジっ娘属性の娘がやる役割だぜい。男のドジなんて誰得だにゃー」

吹寄「……そういえば上条、焼きそばパンはどこにやったのよ?」

上条「へっ?」


191: 2013/03/25(月) 17:07:47.87 ID:CYv5IHq/o



no title




上条「ぎゃああああああああああああああああああっ!! 俺の焼きそばパぁああああああああああああああン!!」




no title




上条「不幸だぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」





吹寄「……あーあ、これはもう駄目ね」

土御門「ドンマイとしか言いようがないにゃー」

一方通行「さすが幻想頃し。抜け目のねェ」


―――
――



192: 2013/03/25(月) 17:09:21.24 ID:CYv5IHq/o


同日 12:40

-とある高校・一年七組教室-


結標「――そういうわけで上条君は戦果なし、と?」

上条「…………はい」シクシク

青ピ「あちゃー、見事予想通りやったなー。これでも食って元気だしぃ」つコッペパン

上条「サンキュー青髪」モグモグ

姫神「しかし今回は。お金を払ってからという……」

吹寄「最後の最後で油断するからこうなるのよ」

上条「ええっ!? これ絶対油断とか関係ないですよねっ!?」

一方通行「わかってンなら誰かに買いに行かせるとかしろよ」

上条「いや、そんなパシリみてーなことはしたくねーんだよな」

土御門「この場合はパシリとは言わないんじゃないかにゃー?」

一方通行「まァ、この面子でまともに働いてくれるヤツなンざ限られてるからなァ」

青ピ「働いたら負けだと思ってる」(キリ

吹寄「思うな」

一方通行「つゥか、次から結標一人で買いにいかせりゃイインじゃねェのか?」

結標「えっ、私?」

一方通行「オマエのチカラァ使えば、あの群衆の中でも余裕で人数分の食料確保できるだろ」


193: 2013/03/25(月) 17:10:21.94 ID:CYv5IHq/o


吹寄「そういえばそうね。視認さえすればどこからでもアポートできるものね」

土御門「さすがは座標移動(ムーブポイント)! 俺たちのできないことを平然とやってのけるっ!」

結標「いや、まだ何もやってないけど」

一方通行「オマエが行けばみンなに食料が行き渡る。つまりみンな幸せ」

結標「貴方、たぶん私をパシリか何かに仕立て上げようとしてるでしょ?」

一方通行「ンなこたァねェよ。誰も面倒だからついでにコーヒーを買ってきてもらおう、なンて思ってもねェよ」

結標「普通に思ってるじゃない! というか貴方の能力でも余裕でパシリ可能なんじゃないかしら?」

一方通行「俺にここの生徒を蹴散らせってかァ? さすがこっち側に来ただけあって順調に人格破綻してきてンじゃねェか」

結標「え、や、違うわよ! 別にそんなことを言ってるわけじゃ――」

吹寄「はいはーい二人とも落ち着いて落ち着いて」

結標「吹寄さん?」

吹寄「別に結標さんをパシリにしようなんて誰も思ってないわよ」

上条「そうだぞ。そもそも俺がメシ買えなかったのは俺のせいだしな」

青ピ「せやでぇ、アクセラちゃんも冗談で言ったんやろ?」

一方通行「…………おォ」

結標「さっきの間は何よ」


194: 2013/03/25(月) 17:11:14.66 ID:CYv5IHq/o


吹寄「ところで結標さんって毎日お弁当よね」

結標「うん、そうだけど」

吹寄「毎朝自分で作ってたりするの?」

結標「えっ」

一方通行「あァー、残念ながらコイツに料理は無理だ」

結標「ちょっと一方通行ぁ?」

姫神「そうなの?」

青ピ「へー、意外やなぁ。姉さん料理得意そうな雰囲気醸し出しとんのになぁ」

上条「美人で高位能力者という万能なお姉さんにも苦手なもんとかあったんだな」

結標「えっ、び、美人なんてそんな……」テレッ



ゴッ、ガッ、バキッ!



上条「痛ってぇっ!? な、何しやがるんですか!?」


吹寄「またか貴様は……」ゴゴゴゴゴ

青ピ「カミやーん、フラグ立てる場所間違えとるでー?」ゴゴゴゴゴ

土御門「そろそろカミやん病の病原菌を滅菌したほうがよくないかにゃー?」ゴゴゴゴゴ


上条「えっ、ちょ、何なんですかこの展開ぃ!?」


195: 2013/03/25(月) 17:11:48.93 ID:CYv5IHq/o



ゴキッ、ボキッ、グシャ、グパァ、ゴリュ、メメタァ!



一方通行「ちなみにコイツには切りにくい鶏肉を柔軟剤で柔らかくしようとした経歴がある」

姫神「これはひどい」

結標「な、何で貴方はそう躊躇なく人の恥ずかしい話を……!」カァ

姫神「鶏肉。確かに切りにくいよね」

一方通行「他にも野菜を炒めるだけでダークマターが――」

結標「ちょっとぉ! これ以上はやめてぇ! 私のライフポイントがぁ!」



吹寄「成敗ッ!!」



バキィッ!!



上条「おぐっ……」バタリ


土御門「さすが吹寄、見事なお手前だにゃー」

青ピ「一生ついていきますぅ!」


上条「ふこ……うだ……」


――――


210: 2013/03/27(水) 23:56:09.75 ID:E+nH+vQho

   Younger or older
7.あなたの好みはどっち?


January Second Thursday 13:45 ~休み時間~

-とある高校・一年七組教室-



青ピ「なぁなぁ、彼女にするなら年上か年下どちらがええ?」



上条「は?」

一方通行「あァ?」

土御門「年下ッ!!」

一方通行「いきなり何ほざいてやがンだオマエは?」

青ピ「いやいや、ちょろっと疑問に思うたから話題に出してみよーかと思うてな」

上条「つーか、この会話半年くらい前にもやらなかったか?」

青ピ「半年もあれば趣味趣向も少しは変わっとるやろ」

上条「まあ、たしかにそうかもしれねえけど」

一方通行「……あァ、そォいえば用事あるの思い出したわ。じゃあな」カチ

土御門「カミやん」

上条「お、おう」ガシッ

一方通行「クソがァァああああああッ!! どォいうことだ。能力使用モード使ってんンのに能力が使えねェ!! 何なンだよその右手はァ!!」

上条「何って……ただのゲンコロですが」

青ピ「よし、ナイスやでカミやん! 今回の主賓をみすみす帰らせたら悪いからなぁ」

一方通行「ふざけンじゃねェ、クソ野郎がァ!!」


211: 2013/03/27(水) 23:56:48.30 ID:E+nH+vQho



ワイワイガヤガヤ



吹寄「……何やってんだか、あの馬鹿どもは」

結標「いつものことでしょ?」

姫神「いや。今回の青髪君はグッジョブ」

結標「どういうこと姫神さん?」

姫神「これはあなたにも大変関係ある話。そうでしょ結標さん」

結標「?」

吹寄「あなたの恋するアクセラの好みがハッキリわかるってことよ」

結標「…………いやいや、どうせアイツのことだからちゃんと答えないわよ、たぶん」

吹寄「まあ、そこは他のメンツのトークスキルによるわね」

結標「ふーん、アイツの好み、か……」


青ピ「さて、まず率先して答えてくれた土御門君からやな」

土御門「年下一択なんだぜい! 年上なんてアーリーエーナーイー」

上条「テメェは義妹なら何でもいいんだろうが」

土御門「年下サイコー! ひんぬーサイコー! 口リサイコー! 義妹ばんざーい!!」

一方通行「コイツ……脳にウジでも沸いてンじゃねェか?」

上条「教室で堂々と叫ぶなよ」


212: 2013/03/27(水) 23:57:23.65 ID:E+nH+vQho


青ピ「じゃあ次ボク言ってみましょーか!」

上条「お前って趣味変わんのかよ?」

一方通行「コイツはもともと何だったンだ?」

土御門「たしか――」


土御門「落下型ヒロイン義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さん口リシOタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘、とかだったかにゃー」


上条「うわっ、よく覚えてたなお前」

一方通行「よォするに女なら何でもイイってことかよ」


青ピ「それだけじゃないでー、他にも従姉妹ハトコ赤髪青髪緑髪ツインドリルお団子ヘア昇天ペガサスMIX盛り未手入れヘア魔女っ娘作業着褐色露出狂サングラス研究員不良クーデレデレデレヤンデレイカダンサーミュージシャン中二病高二病脱力系男の娘くノ一頃し屋OLビXチ女教師保健室の女医さん巨人小人妖精女神天使っ娘悪魔っ娘読書家陰湿女騎士魔王陸上部サイボーグとかもいけるんやでー」


上条「だから明らかに一つ女じゃねえやつが混じってんじゃねえか」

一方通行「人外とサイボーグはどォ違うだよ」

青ピ「何言っとんアクセラちゃん! サイボーグは人外やないでー、きちんと人の心が残っているから人なんやでー」

一方通行「果てしなくてどォでもイイ」

青ピ「『私の腕パーツ壊れちゃったのぉ、だからあなたの手で予備のパーツに換えて、お・ね・が・い♪』とか言われたら萌えるやろーが」

一方通行「知らねェよ」


213: 2013/03/27(水) 23:57:53.87 ID:E+nH+vQho


青ピ「じゃあ次はカミやんやな」

一方通行「オイ待て」

青ピ「何ぃや?」

一方通行「結局、オマエは年上と年下どっちがイインだよ?」

青ピ「そんなの決まっとるやん、どっちも最高やでー!!」

一方通行「アリかよそれ」

土御門「改めて、カミやんはどうだ?」

上条「俺か? うーん、そうだなーやっぱ年上かな?」


姫神「」ガタン

結標「ひ、姫神さん!?」

吹寄「だ、大丈夫よ姫神さん! あの年上っていうのは自分の年齢以上だから! 同級生も含まれてるから……たぶん」ボソ


一方通行「意外だな。暴食シスターっつゥ戦略兵器家に住まわしてるくらいだから、てっきりそっちの趣味があるかと」

上条「なっ、そんなモンあるわけねーだろ! だいたいあいつはそういうのじゃねえよ!」

土御門「ほんとかにゃー? 実は本当はそっちのほうが――」



上条「その幻想をぶち頃すッ!!」ゴォウ



土御門「よっと」



スカッ



214: 2013/03/27(水) 23:58:39.69 ID:E+nH+vQho


土御門「甘いぜいカミやん。そんな目をつむってでも避けられそうなパンチじゃ無駄無駄ァぜよ」

上条「クソッ、軽快なステップで避けやがって……」

青ピ「ふむ、相変わらずカミやんは年上趣向か……ってことはまだ寮の管理人のお姉さんタイプとかが好みなん?」

上条「まあ、そうだな。たまに憧れたりとかする」



姫神「」ガタン

結標「姫神さん!!」

吹寄「だ、大丈夫よ姫神さん! あれはたぶん姉とかに憧れるあれと同じよ! だからまだ希望はあるわ!」


青ピ「さーて、じゃあ最後にアクセラちゃんを――ってあれ?」

上条「どうした青髪?」

青ピ「カミやん、手ぇ離してへん?」

上条「へっ……あっ」


一方通行「さァて、そろそろ風が俺を呼ンでいる時間だな」カチ


青ピ「カミやん! 逃がしたらあかんで!」

一方通行「ぎゃはっ、遅せェ、遅せェぞ! そンなンじゃ百年遅せェぞ三下ァ!!」ドン

上条「くそっ、間に合わねぇ!」



一方通行「俺のォ、勝ちだァ!! オラァ!!」ガッ



215: 2013/03/27(水) 23:59:07.60 ID:E+nH+vQho


一方通行「…………あれ?」

上条「…………」

青ピ「…………」

一方通行「…………オラァ!!」

上条「…………」

青ピ「…………」

一方通行「な、何で能力が使えねェンだッ!?」



ヒラヒラ



一方通行「あン? 何だこの宙にいっぺェ浮いてる銀色の紙みてェな物体はァ!?」



土御門「『攪乱の羽(チャフシード)』。電波攪乱兵器の一種だぜい」



一方通行「は? 電波攪乱……だと?」

土御門「だにゃー、お前の電極に届く能力使用時の代理演算のための電波、少しばかりジャミングさせてもらったぜい」

上条「何でそんなもん学校に持ってきてんだよお前は」

青ピ「まあ、何はともあれこれでアクセラちゃんの趣味を聞くことができるわぁ」



一方通行「くそったれェ!!」



216: 2013/03/27(水) 23:59:41.40 ID:E+nH+vQho


青ピ「というわけでアクセラちゃんの性癖はどっちなん? 幼女? 熟女?」

一方通行「何だよその両極端な選択はァ? 年上か年下かじゃねェのかよ。あと性癖とか言うンじゃねェ」

上条「で、どっちなんだ一方通行?」

一方通行「じゃあどっちでもいいで」



ドン!!



青ピ「ふざけるんやないでぇアクセラちゃん! 人が真面目に聞いとんのに何やその答えはぁ!?」

一方通行「両方って言ったヤツは誰だったっけかァ!?」

青ピ「ボクは両方愛せるからそう言うたんで!」

一方通行「じゃあ俺も両方愛せるで」

青ピ「心がこもってなーい!」

一方通行「どォしろってンだよ!」

土御門「どちらか答えればいいと思うにゃー」

一方通行「チッ、……じゃあ年下で」


結標「」ガタン

吹寄「結標さんっ!?」

姫神「やはりアクセラ君は。口リコン……?」


217: 2013/03/28(木) 00:00:08.83 ID:TFOkf//Zo


土御門「ほぉ、その心は?」

一方通行「別にねェよ。正直どっちでもイイ」

青ピ「だから違うねん! ちゃんと考えーやアクセラちゃん!」

一方通行「何でだよ。きちンと片方決めてやったじゃねェか」

青ピ「て・き・と・う・や・な・い・か・い!!」

一方通行「チッ、わかったよ……」

上条「…………」

青ピ「…………」

土御門「…………」

一方通行「…………年下で」



ドン!!



青ピ「なんも考えとらんかったやろっ!?」

一方通行「い、いや、か、考えてたぞ……?」

一方通行(何だコイツ……何で俺が適当に黙っていたことがわかったンだァ……?)

青ピ「今、何でわかったんだァ……? って思うとるやろ」

一方通行「…………おい、こいついつから『読心能力者(サイコメトリー)』になったァ?」

上条「さあ?」

土御門「俺らに聞かれてもわからないにゃー」


218: 2013/03/28(木) 00:01:05.42 ID:TFOkf//Zo


一方通行「……まァアレだな。要するに真面目に考えて答えを出せってことか?」

青ピ「せやで。初めからそうしてくれればスムーズに展開が進んでくれたんやでー」

一方通行「…………」チラ



時計『13:53』



一方通行(あと二分か……)

青ピ「あっ、ちなみにこの時間中に答えられなかったら、次の休み時間まで持ち越すことになるでぇ」

土御門「授業終了の瞬間に開幕チャフシードかますぜい」

一方通行「クソが……」

上条「まあ何つーか、頑張れ」

一方通行「…………」


一方通行(さて、年上と年下どっちがイイか、っつゥ話だったか)

一方通行(そもそも俺に正直恋愛感情なンてモンは存在しねェ。つまり、俺にとってうっとォしくねェヤツが対象になるっつぅことか)

一方通行(……面倒だから年下でイインじゃねェか?)

一方通行(いや待て、年下っつったら――)




打ち止め『ねえねえ! 動物園ってところに連れて行ってー! ってミサカはミサカは上目遣いでお願いしてみたり!』



禁書『あくせられーた! おなかへったんだよ!』



美琴『何よ! アンタには関係ないでしょ!』



御坂妹『またコーヒーですか……いい加減ブラックがかっこいいという風潮を真に受けるのはどうかと思いますが、とミサカは腹の中でこっそり笑って見せます』



円周『アクセラお兄ちゃーん! このマンションで毒ガスを蔓延させるのにはどういう方法が一番いいか一緒に考察しよー!』











一方通行(…………うっとォしいヤツしかいねェ)


219: 2013/03/28(木) 00:01:39.13 ID:TFOkf//Zo


一方通行(ヤベェよ。俺が知ってる中で年下クソ面倒臭せェヤツしかいねェよ)

一方通行(こんなヤツらといつも一緒にいるとしたら、いつか脳の血管が破裂しちまうぞ)

一方通行(…………まァ、それに比べりゃ年上は――)




黄泉川『野菜を残すんじゃないじゃん! ちゃんと食べないと大きくなれないじゃんよ!』



芳川『うふふっ、私ねえ、働いたら負けだと思っているのよ』



結標『早く起きなさいよ一方通行ぁ!』




一方通行(…………こっちのほうが遥かにマシだな)

















小萌『あれ!? 先生はどうしたんですー!?』


220: 2013/03/28(木) 00:02:24.00 ID:TFOkf//Zo


一方通行「…………よし、決めたぞ」

上条「おっ、やっとか」

土御門「『まったく、小学生は最高だぜ!』か『幼女! 幼女!』か……運命の分かれ道だにゃー」

上条「どっちも口リコンじゃねえか」

青ピ「今度はちゃんと決めたんやろうなー?」

一方通行「当たり前だろォが。時間がねェ、すぐ答えンぞ」



一方通行「俺は年上が好きだ」



結標「!!」ガタッ

吹寄「おおっ!」

姫神「意外な答え」



土御門「ほほう、これはどういう方向転換だにゃー?」

上条「たしかに。さっきまで年下年下言ってたのに」

青ピ「アクセラちゃんは口リコンじゃなかったんやなー」

一方通行「誰が口リコンだ」



キーンコーンカーンコーン



親船「はい! 開始のチャイムは鳴ってるわよ! 早く座って!」


一方通行「そォいうわけだ。じゃあな」

上条「おう」

土御門「次の休み時間だにゃー」

青ピ「ほななぁ、熟女趣味のアクセラちゃーん」

一方通行「だからどォしてそォ極端なことになってンですかねェ!?」


―――
――



221: 2013/03/28(木) 00:03:22.58 ID:TFOkf//Zo


同日 17:00

-第七学区・とある公園-


一方通行「――つゥことがあったわけだ」

美琴「……で、何でそれを私に話すわけ?」

一方通行「あン? 何でってアレだろ。また性懲りもなくオマエが、ベンチに座って一服してる俺に絡ンできたからだろ」

美琴「それはアンタが『面倒臭せェ』とか一人で呟いてたからでしょ?」

一方通行「まァ、そォいうわけで残念だったな超電磁砲」

美琴「? 残念って何が?」

一方通行「オマエの大好きな三下は年上趣味だ」

美琴「べ、別に好きじゃないしっ!! …………え」

一方通行「イイ加減素直になっとけよ。ツンデレなンて現実じゃうっとォしいだけだ」

美琴「えっ、ちょっとどういうことよ。アイツが年上趣味って……」

一方通行「そのままの意味だ」

美琴「」

一方通行「おっ、絶望に満ち溢れた表情してやがるなァ」

美琴「」

一方通行「…………」ズズズ

美琴「」

一方通行「あァ、コーヒーうめェ」


222: 2013/03/28(木) 00:04:42.59 ID:TFOkf//Zo


美琴「……ふ、ふんだ! そんなの私に関係ないわよ!」

一方通行「おっ、思ったより立ち直るの早かったなァ」

美琴「うっさい。だいたい恋愛に年上とか年下とか関係ないし。恋人イコール趣味の人じゃないし」

一方通行「たしかにそォかもしれねェな……つゥかやっと認めたか」

美琴「認めてないわよ!」

一方通行「あァハイハイそォですかァ……あン? ありゃ三下じゃねェか」

美琴「えっ、どこ!?」



上条「わざわざ日本まで来なくてよかったのに」

女性「いえ、さすが年賀状だけでは……、とりあえず今回は私だけでも代表で挨拶にと思いまして」

上条「そんな気を使わなくていいって……まあ、今日はゆっくりしていけよ。インデックスのヤツが喜ぶと思うから」

女性「はい、そうさせていただきます」

上条「じゃあ今日の夕食はちょっと豪勢にいってやらねーといけねえかなー?」

女性「いえ、そんなお気を使わずに! 普通で結構です!」



223: 2013/03/28(木) 00:05:24.18 ID:TFOkf//Zo


一方通行「……誰だあの露出狂女はァ? しっかしデケェなァいろいろと」

美琴「…………」プルプル

一方通行「あァ? どォした超電磁砲」

美琴「…………そ」

一方通行「そ?」






美琴「そんなに巨Oがいいのかこんの工口野郎ォがぁあああああああああああああああっ!!」ビリビリ







<ウワッナンダビリビリカッ!? テキシュウデスカッ!? イ、イヤチガッ ドウヤッタラソンナフウニナルノヨチクショー!! オ、オチツケオマエラ…アアモウ







上条「不幸だァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」







一方通行「……年上か年下か」

一方通行「…………」

一方通行「俺ァ一体どっちなンだろォな?」ズズズ


――――


224: 2013/03/28(木) 00:10:20.07 ID:TFOkf//Zo

今回はここまでにしたいと思います
ここまで見てくださった皆さんありがとうございました

本当は女子パートもやりたかったけど、他二人がどっちかいまいちわからんからやめた
というか全開空気だったからみこっちゃんをできるだけ起用してたら今度はインさんが……


次回『常盤台高校の風神・雷神』


何人の方がこのサブタイを勘違いなさるのでしょうか……
ではではノシ

>>203
ち、違うし、あれはコッペパン的な何かだし(震え声)


226: 2013/03/28(木) 00:39:58.95 ID:TH65Rm380

みこっちゃんは年齢という壁を持ち前の世話焼きスキルで打ち砕こうぜ
次回常盤台高校、だと…?

結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【2】

引用: 結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」