230: 2013/03/29(金) 23:23:40.21 ID:vViTQSaEo

早(ry

AA乱発するから携帯の方はすみませぬ

結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【1】


とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)
231: 2013/03/29(金) 23:24:31.00 ID:vViTQSaEo


8.常盤台高校の風神・雷神


January Second Sunday 10:00

-黄泉川家・リビング- 



ガラララ



一方通行「……あァ、よく寝た。眠っ」ガチャリガチャリ

結標「凄まじくセリフが矛盾してるわよ」

一方通行「事実だからしょうがねェだろォが」

結標「ま、いいけど。おはよっ一方通行」

一方通行「おォ」

打ち止め「おはよー! お寝坊さんだね! ってミサカはミサカは時計を見ながら挨拶してみる」

一方通行「あァ? 寝坊どころか早起きのレベルだろォが。つゥか、日曜日くれェゆっくりさせろ」

結標「何か食べる? 一応、貴方の朝ご飯は残ってあるけど」

一方通行「いらねェ。どォせサラダやら納豆やらのオンパレードだろ? 朝からそンな気色悪りィモン食いたくねェ」

結標「納豆はともかくサラダは気色悪くはないでしょ」

一方通行「緑黄色野菜は敵だァ」

打ち止め「たしかにピーマンは恐ろしいよねー、ってミサカはミサカはうなずきながら同意してみたり」ウンウン

結標「あはは、じゃあコーヒーでも淹れとくわねー」

一方通行「あァ」


232: 2013/03/29(金) 23:25:14.56 ID:vViTQSaEo


一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……ハァ、コーヒーうめェ」

打ち止め「…………」ジー

一方通行「何だクソガキ」

打ち止め「何だか今日は暇そうな雰囲気を醸し出してるよね? ってミサカはミサカは考察しながらあなたを見つめてみたり」

一方通行「こっち見ンな。あとそれは考察って言わねェ」

結標「どうかしたの打ち止めちゃん?」

打ち止め「たまにはあなたと遊びたいかも、ってミサカはミサカは暗に遊べと要求してみる」

一方通行「オマエの思考駄々漏れの口癖のせいで全然暗じゃねェけどな」

打ち止め「というわけで一緒に遊ぼうよ! ってミサカはミサカは手を差し伸べてみる」スッ

一方通行「お断りだァ。つゥか、今日は木原のところのガキはどォした?」

打ち止め「エンシュウなら今日は実家に帰ってるみたいだよ?」

一方通行「実家ァ?」

結標「円周ちゃんはもともと木原さんの家の子じゃないでしょ? だから、今は実際に住んでるところに戻ってるらしいわ」

打ち止め「『すぐにバラバラにして戻ってくるねー』って言ってたからすぐに戻ってくると思うよ。バラバラって何をかな? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

一方通行「知らねェ方がイイと思うぜェ」


233: 2013/03/29(金) 23:25:58.07 ID:vViTQSaEo


打ち止め「というわけで今日はミサカは暇なのだ! 遊べぇ! ってミサカはミサカは命令口調になってお願いしてみる」

一方通行「命令なのかお願いなのかハッキリさせろよ」

結標「別にいいじゃない今日くらい。いつも学校行ってて構ってあげられてないんだし」

一方通行「つい最近まで冬休みだったってこと忘れたかァ?」

打ち止め「正直、冬休みはスキー旅行とかあったからあまりあなたと遊んだ記憶がない、ってミサカはミサカはぶーたれてみたり」ブーブー

一方通行「チッ、面倒臭せェ。つゥか結標ェ、オマエが遊ンでやれよ」

結標「えっ、私?」

一方通行「どォせオマエも暇だろ? ガキに構ってやってなかったのはお互いそォだっただろォが」

結標「ふっ、残念でした。私はもうすでに打ち止めちゃんサイドよ!」

一方通行「ハァ?」

結標「すでに遊ぶ約束をしてるってわけよ」

一方通行「くっ、抜かった。コイツらが同じ部屋にいる時点でそれを想定しとくべきだったか……!」

打ち止め「ふふふ、諦めてこちら側に来るがよいアクセラレータよ! ってミサカはミサカはラスボス風に勧誘してみる」

結標「そうよ。貴方の睡眠ばかりで何の充実感のなさそうな生活にピリオドを打たさせてもらうわ」

一方通行「面倒臭せェヤツらがタッグを組みやがった……」

打ち止め「どうするの? このままじゃぼっちだよぼっち? ってミサカはミサカは軽く煽ってみたり」

一方通行「ぼっちは構わねェがオマエの態度が気に食わねェな」


234: 2013/03/29(金) 23:26:45.43 ID:vViTQSaEo


一方通行「……はァ、まァイイ。もォ面倒臭せェが付き合ってやるよ」

打ち止め「おおっ! ついに難攻不落の第一位が落ちた! ってミサカはミサカは飛び跳ねながら喜んでみたり」

結標「まあ、難攻不落って言うほど防ぎきった経歴はそんなないけどね」

一方通行「うるせェぞ結標ェ!」

打ち止め「やっぱりアオガミが言ったとおりあなたってツンデレだね、ってミサカはミサカは――」

一方通行「俺ァツンデレじゃねェ! あと青髪ピアスクゥン!? 月曜日は覚えとけよゴルァ!」

結標「月曜日は祝日だから休みじゃない」

一方通行「…………火曜日は覚えとけよォ!!」


一方通行「……で、結局何して遊ぶってンだ? おままごととか言ったら張り倒すぞ」

打ち止め「馬鹿だなー、そんな子供っぽい遊びをミサカがするわけないじゃないかー、ってミサカはミサカは鼻で笑ってみたり」フン

一方通行「ガキが何言ってンだか」

結標「じゃあ何をやるのよ?」

打ち止め「久しぶりにゲームしようよゲーム! ってミサカはミサカは妙案を思いついてみたり」

一方通行「思いついたって、今考えたことかよ」

結標「ゲーム、ってことは『学園都市クエスト』のこと?」

打ち止め「うんそうだよ。今押入れかどこかで埃を被っているであろう学園都市クエストだよ! ってミサカはミサカは解説してみたり」

一方通行「誰にだよ」

結標「たしか『常盤台の風神・雷神コンビ』に勝てなくて諦めたんだっけ?」

打ち止め「そうだよ。あいつら本当に強すぎるよ、ってミサカはミサカはあの壮絶な戦いを思い出してみたり」

一方通行「あいつらってオマエの姉じゃねェのかよ、雷神の方は」

打ち止め「違うよゲームの話だよ、ってミサカはミサカはゲームと現実の区別がついてないあなたに怒りを覚えてみたり」

一方通行「何でゲーム知識ゼロだっつゥのに怒りを覚えられねェといけねェのかわかんねェンだけど」

結標「……姉ってどういうこと?」

一方通行「何でもねェからオマエは黙ってろ」

結標「ひどい!」

打ち止め「で、学園都市クエストは……『高性能ゲーム機 A-STAR』はどこだっけ、ってミサカはミサカは辺りを見渡して探してみたり」

結標「……ああ、それならたしか――」



シュン



打ち止め「消えたっ!? ってミサカはミサカはありのまま今起こったことを――」

一方通行「長くなりそォだから話すな」


235: 2013/03/29(金) 23:27:18.51 ID:vViTQSaEo



シュン



結標「お待たせ」つ『高性能ゲーム機 A-STAR』


打ち止め「おおっ! 懐かしきA-STAR!」

一方通行「相変わらず無駄にデケェゲーム機だなァオイ」

結標「年末に部屋を掃除してたとき出てきたのよね」

一方通行「……ああ、そォいやあったなァンなモン」

結標「ああ、って何で知ってるのよ?」

一方通行「そりゃ、あの日昼メシができたのを知らせるためにオマエの部屋に行ったか――あっ」

結標「ああ、そういえばそうだ――あっ」

一方通行「…………」

結標「…………」

打ち止め「? どうしたの二人とも固まって? ってミサカはミサカは頭に?マークを浮かべてみる」

一方通行「…………チッ」

結標「…………///」

打ち止め「?」


236: 2013/03/29(金) 23:28:28.72 ID:vViTQSaEo


結標「ま、まあとにかくゲーム機を起動しましょ? でないとゲームなんてできないんだから」

打ち止め「そうだね! ってミサカはミサカはケーブルをコンセントに挿し込んでみたり」カチ

一方通行「つゥか、それ動くのかよ? 長い間ほっとかれてたンだろ? ぶっ壊れてンじゃねェか?」

結標「馬鹿ねえ、これ学園都市製よ? そう簡単に壊れるわけないじゃない」

打ち止め「そうだよ! ナパーム弾が直撃しても壊れないんだよ! ってミサカはミサカは箱に書いてあったセールスポイントを読み上げてみたり」

一方通行「いや、俺は外部の話をしてンじゃなくて内部の話をしてンだよ」

結標「はい、スイッチオン」ピッウォーン



テレレーレーレーレーレー♪



―――――


『学園都市クエスト』


.  はじめから
ア つづきから
.  オプション


―――――



打ち止め「おっ、始まった始まった、ってミサカはミサカはコントローラーを手にわくてかしてみたり!」wktk

結標「おー、懐かしいわねこの画面」

一方通行「……って学園都市クエストってRPGかよ」

結標「知らなかったの?」

一方通行「当たり前だろ。てっきり俺を遊びに誘うくれェだからパーティーゲームか何かかと思ったじゃねェか」

打ち止め「残念ながらうちにはこれ以外ゲームはありません、ってミサカはミサカは非常な現実を伝えてみる」

一方通行「ふざけてやがンな、ホント現実ってヤツはァ」


237: 2013/03/29(金) 23:30:07.12 ID:vViTQSaEo


打ち止め「とりあえず進めなくなったとこまで行くね、ってミサカはミサカは軽快なコントローラー捌きをしてみる」カチカチ

一方通行「……つゥか俺寝てイイかァ? どォ見てもやることねェじゃねェか」

結標「駄目よ。見てコメントするだけでも十分楽しいでしょ?」

一方通行「他人のプレイ見て楽しむなンざァ、マゾヒスト君かよ?」

結標「マゾもサドも関係ないと思うけど……」

打ち止め「あっ、来たよ。ここでミサカは詰まったんだ、ってミサカはミサカは報告してみる」

結標「ほら、貴方もしっかりこれ見て打ち止めちゃんにアドバイスしなさいよ。第一位の脳みそ持ってるんでしょ?」

一方通行「オマエも第八位の脳みそ持ってるじゃねェか」



―――――



九月三〇日(月)午後五時〇〇分 常盤台高校 格技場 ~放課後~



風神「…………来ましたわね」



ザッ



らすとおーだー(以下らすと)「…………」

R子「…………うう」

風神「よく逃げずにやってこられましたわね。ほめて差し上げても構わなくてよ?」

らすと「そんなことより、本当に約束は守ってもらえるのよね?」

風神「ええもちろんですってよ。もし貴女がわたくしに勝つことが出来れば、そこにいる無能力者(レベル0)を能無しと言ったことを撤回して差し上げます」

らすと「約束だよ!」

R子「ら、らすとおーだーちゃん。やっぱりやめようよ、勝てっこないよ」

R子「相手は常盤台高校のトップに立つ、風神・雷神コンビの一人だよ」

らすと「……わかってるよ。でもね」


らすと「私はそんなどうでもいいことで我慢したくない! R子ちゃんを傷つけたこいつのことは絶対にゆるせない!」


R子「らすとおーだーちゃん……」



―――――



238: 2013/03/29(金) 23:30:46.65 ID:vViTQSaEo


一方通行「おォおォ、カッコイーこと言うじゃねェかクソガキのクセに」

打ち止め「いやぁ、それほどでもー」

結標「いや、別に貴女のことをほめているわけじゃないわよ、たぶん」

結標「しかし、常盤台中学ってあんな嫌な人ばかりなの実際?」

一方通行「いや、一応言っとくがこれ常盤台高校な。ゲームの中の架空の学校だからな」

結標「わ、わかってるわよ。で、実際の常盤台の人はどうなのよ?」

一方通行「さァな。まァ、選りすぐりのエリートが集まったお嬢様学校なンだから、こンなやつがいてもおかしくはねェ」

打ち止め「でもお姉様は違うよね? ってミサカはミサカは恐る恐る尋ねてみる」

一方通行「だとイイがな。アイツも何だかンだ言って超能力者(レベル5)だからな。どこかしら人格が破綻しててもおかしくはねェ」

結標「あれ? それって私の人格も破綻してるってことにならないかしら?」

一方通行「自覚してねェだけでどっか破綻してンじゃねェ?」

結標「本当にっ!? どのあたりが破綻してる!?」

一方通行「知らねェよ」

打ち止め「……ってことはお姉様は内心無能力者(レベル0)とかを見下しててもおかしくないってこと!?」

一方通行「いや、それはねェだろ。アイツのターゲットはそのレベル0なンだからよォ」

打ち止め「そっか、そういえばお姉様はあのヒーローさんのことが……ってミサカはミサカは言葉を濁してみたり」



―――――



風神「よろしい! ではかかってきなさい! この常盤台高校二年! 空力使い(エアロハンド)で、強度は大能力者(レベル4)! 常盤台の風神ことK后M子!」



風神「逃げも隠れもしないから、どこからでもかかってきなさい!!」



らすと「!!」キッ



タタタターン♪




239: 2013/03/29(金) 23:32:45.88 ID:vViTQSaEo



no title



結標「おおっ、懐かしい戦闘画面!」

一方通行「で、コイツに勝てねェのか」

打ち止め「んーん、風神のほうは何とか倒せるよ、ってミサカはミサカは事実を言ってみる」

結標「そうなんだ。じゃあおそらく次に出てくる……」

打ち止め「うん、雷神のほうが倒せないんだ、ってミサカはミサカは忌々しいライバルのことを思い出してみたり」

一方通行「ライバルだったのかよ」

打ち止め「あくまでミサカの中ではだけどね」


結標「ところでステータスは今どんな感じになってるの?」

打ち止め「こんな感じだよ! ってミサカはミサカはステータス画面を開いてみたり!」カチ


240: 2013/03/29(金) 23:34:35.77 ID:vViTQSaEo
no title


結標「……ふむ、私が見ないうちにかなり強くなってるわね」

打ち止め「えへへー」

一方通行「何がどォ強くてどォ弱いのかサッパリなンだが」

結標「説明書でも読む?」スッ

一方通行「読ンだところでわかるとは思えねェけどな」スッ

打ち止め「さーて、ぱっぱと風神のやつを倒すぞー! ってミサカはミサカは意気込みつつボタンを操作してみたり!」



~十分後~



241: 2013/03/29(金) 23:35:24.85 ID:vViTQSaEo
no title



トゥルルル~♪



打ち止め「ほら倒せた、ってミサカはミサカは得意気になってみる」フフン

結標「うん、たしかにきつくはなかったようね」

打ち止め「問題は次だよ次、ってミサカはミサカはボタンを連打してみたり!」カチカチ


242: 2013/03/29(金) 23:37:02.95 ID:vViTQSaEo



―――――



らすと「これで私の勝ちだね!」


風神「――はぁ、はぁ、な、何て強さですの? わたくしのほうが強度は上だというのに」

らすと「能力だけで人を判断するから足元をすくわれるのよ!」

風神「くっ、これは何かの間違いですわ、そう! これは夢ですわ!」

らすと「約束どおり早くR子ちゃんに謝ってよ!」

風神「うふふふっ、夢、夢……」

らすと「……この、いい加減にし――」



バリバリィ!!



らすと「ッ!?」

R子「な、なに!?」アセ


??「私の相棒を随分と可愛がってくれたようじゃない」


らすと「……あ、アンタは……?」

R子「と、常盤台の雷神……!」ガクガクブルブル

雷神「貴女、K后さんをたおすなんてなかなかやるじゃない。ほめてあげるわ」

風神「……み、M坂さん」

雷神「大丈夫K后さん?」

風神「え、ええ……すみません、わたくしたちの名を汚してしまって」

雷神「別にいいわよ。そんな不幸な日もたまにはあるわ」

らすと「風神! 早くR子ちゃんに謝ってよ!!」

雷神「謝らなくていいわK后さん」

らすと「何でアンタが出てくるわけ!? アンタに関係ないじゃない!!」

雷神「何を言っているの? 私とK后さんは常盤台の風神・雷神コンビ……いわば一心同体よ」

雷神「そんなに謝って欲しいのなら私を倒してみることね」



―――――



243: 2013/03/29(金) 23:39:15.30 ID:vViTQSaEo


一方通行「うわァ、この世界のお姉様性格悪りィな」

打ち止め「それミサカも最初思ったよ。でもまあフィクションだからいいかなって割り切ったんだ」

結標「……よくわからないけど、このキャラって実際に常盤台中学にいるミサカさんのお姉さんがモデルなんでしょ? 軽く風評被害とかになったりしないのかしら?」

一方通行「そこら辺は一応許可得てンじゃねェのか?」

結標「じゃあ貴方もこのゲームに出ているけど、許可とか申請されたわけ?」

一方通行「…………は? これ俺出てンの?」

結標「うん、学園都市の中で唯一の超能力者(レベル5)として登場するわよ」

打ち止め「そうだよ。一応このゲームのラスボスなんだよ、ってミサカはミサカは説明してみたり」

一方通行「オイ聞いてねェぞ! どォいうことだくそったれ!」

打ち止め「……どうやら何も聞かされていないみたいだね、ってミサカはミサカはあなたの様子から察してみたり」

結標「この調子じゃ、ミサカさんのお姉さんも無許可かもね」



―――――



らすと「常盤台の雷神かなんだか知らないけど、R子ちゃんとために絶対に勝ってやる!!」


雷神「ふん、いいわ。常盤台高校二年M坂M琴。能力は『電撃使い(エレクトロマスター)』、強度は大能力者(レベル4)!」


雷神「私の超電磁砲(レールガン)を止められるものなら止めてみなさい!」



タタタターン♪



―――――



一方通行「オイ、さっき超電磁砲っつったぞ」

結標「もはや特定されてるわよね、ミサカさんのお姉さん」

打ち止め「お姉様かわいそす(´・ω・`)」


244: 2013/03/29(金) 23:39:50.16 ID:vViTQSaEo
no title


一方通行「……連戦か。たしかにこれは辛れェな」

打ち止め「でしょー、あの風神命中率低いけど攻撃力は地味に高いんだよねー、だから無駄にダメージ受けちゃう、ってミサカはミサカ愚痴ってみたり」

結標「結構運要素が強いわね」

一方通行「さらに超電磁砲がどれだけ強いかも結構問題だな」

結標「回復アイテムとかないの?」

打ち止め「一応あるけど……」

結標「だったらとりあえず回復しましょ? 話はそれからよ」

打ち止め「了解ー、ってミサカはミサカはタタッと操作してみたり」カチカチッ


245: 2013/03/29(金) 23:41:44.14 ID:vViTQSaEo
no title

一方通行「」

結標「」


打ち止め「……ほらね、ってミサカはミサカは諦めのため息をついてみたり」ハァ


246: 2013/03/29(金) 23:42:24.96 ID:vViTQSaEo


一方通行「オイ、何だこれチートじゃねェか!」

結標「絶対勝てるわけないじゃない! 何『185のダメージ』って!? ヒットポイントの九十パー近く削られてるんですけど!?」

打ち止め「だから詰んだって言ったんだよ! ってミサカはミサカは文句たれてみたり」

一方通行「ひとまず回復だァ。もしかしたらアレは最初だけかもしれねェ」

結標「そうね。開幕ぶっぱかもしれないものね」

打ち止め「かいまくぶっぱ……?」

一方通行「とりあえず回復してろ」

打ち止め「りょ、了解! ってミサカはミサカは最強回復アイテムを選んでみたり」


no title

247: 2013/03/29(金) 23:43:11.62 ID:vViTQSaEo
no title


一方通行「」

結標「」

打ち止め「」


no title

248: 2013/03/29(金) 23:43:51.77 ID:vViTQSaEo


結標「……まあ何ていうか」

一方通行「無理、だな」

打ち止め「ですよねー、ってミサカはミサカはやけくそになってみたり」

一方通行「とりあえずよくわからねェが、レベル上げと大能力者(レベル4)くれェのチカラをつけなきゃ話にならねェな」

結標「た、たしかにそうかもしれないわね」

一方通行「つゥわけで育成頑張れクソガキ」

打ち止め「ええっー面倒臭ーい! ってミサカはミサカはコントローラーをブン投げてみる」ポイ

結標「じゃあどうするのこれ?」

打ち止め「アワキお姉ちゃんがんばっ! ってミサカはミサカは両手をぐっとさせてみる」

結標「えっ」

一方通行「頑張れ淡希お姉ちゃン」

結標「え、えっ!? い、今名前で――///」

一方通行「あン?」

打ち止め「?」













この日から結標淡希の日課にレベル上げが追加されたのであった。













結標「あ、一方通行の弟キャラか…………いいわね」グッ

一方通行「何馬鹿なこと言ってンだこの格下はァ?」


――――


254: 2013/03/30(土) 16:07:51.36 ID:Y1O8uFRdo

土曜日なんで投下します

255: 2013/03/30(土) 16:08:36.70 ID:Y1O8uFRdo


9.暗部


January Second Monday 13:00 ~成人の日~

-黄泉川家・リビング-



テレビ『――ええー、本日は成人の日ということあって、街中には振袖や袴を着た新成人の人たちがたくさん見られます』



黄泉川「へー、そういや今日は成人式の日かぁ」

芳川「あら、もうそんな時期なのね」

一方通行「ま、俺らには関係ねェ話だがな」

黄泉川「何言ってるじゃんよ、二十歳なんてもうあっという間にくるぞ?」

芳川「そうよ、気付いたらもう過ぎてるわよ二十歳は」

一方通行「ほォ、経験者は語るってかァ。さすが年寄りの言葉は――」



ゴッ!!



一方通行「がはっ、何しやがるッ!?」

黄泉川「口には気をつけるじゃん」

芳川「私たちは年寄りじゃないわよ。大人なのよ」

一方通行「ハイハイ、そォですか。ったく、ババァはうるせ――」



ゴッ!!



256: 2013/03/30(土) 16:09:14.91 ID:Y1O8uFRdo


結標「成人式かぁ……」

打ち止め「ミサカも振袖とか着てみたいな! ってミサカはミサカはあなたに目でおねだりしてみたり」キラキラ

一方通行「二十年早ェ」

結標「半年ぐらいの記憶しかないのに、あと三年で成人式なのね」

黄泉川「さすがにそのときになったら記憶は戻ってると思うじゃん」

芳川「そうね。ゆっくり回復を目指していけばいいと思うわ」

結標「……そうですよね」

一方通行「…………チッ」

打ち止め「どうしたのー? そんな不機嫌そうな顔して、ってミサカはミサカは下から顔を覗き込んでみたり」

一方通行「何でもねェよ」

打ち止め「?」

一方通行「……はァ、ちょっと散歩に出てくる」

黄泉川「散歩? お前が散歩なんて珍しいじゃんね」

芳川「今日は雪でも降るんじゃないかしら?」

一方通行「降るかよ」

結標「何でいきなり散歩……?」

打ち止め「たぶんあれだねー、振袖の女の子とかを見に行くつもりなんだと思うよ、ってミサカはミサカは散歩に出る理由を予想してみたり」

一方通行「青髪ピアスみてェなこと言ってンなよ」



ガラララ



一方通行「……じゃあ一、二時間くれェで戻る」ガチャリガチャリ

結標「いってらっしゃい一方通行」

打ち止め「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは見送りのあいさつをしてみたり」

芳川「さて、ネットでもするとしましょうか」テクテク

黄泉川「夕食の時間までには帰ってくるじゃん」

一方通行「一、二時間で帰ってくるっつってンじゃねェか」


―――
――



257: 2013/03/30(土) 16:10:27.04 ID:Y1O8uFRdo


同日 13:30

-第七学区・街頭-



ワイワイガヤガヤ



一方通行「……たしかにテレビで言ってた通り、振袖や袴を着たヤツらがのさばってやがンな」

一方通行「ケッ、せいぜい警備員(アンチスキル)のお世話にならねェ程度にハシャぐこったなァ」

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

一方通行「……おっ、あの自販機新作の缶コーヒーが出てやがる」

一方通行「ためしに一本いってみるか」ガチャリガチャリ



ピッ、ガチャン!



一方通行「…………」カチャ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……! おォ、悪くはねェじゃねェか」

一方通行「暇だからって寝ずに散歩に出た甲斐があったじゃねェか」

一方通行「どォせだからここで十本くれェ……いや、コンビニ行ってまとめ買いを……ン?」


258: 2013/03/30(土) 16:12:19.68 ID:Y1O8uFRdo


佐天「おおっー! 成人式だから振袖とか着てる人がたくさんいるよ初春!」

初春「わかりましたからそんなに走らないでくださいよ、佐天さーん!」

黒子「お姉様は着てみたい振袖のデザインとかあったりしますか?」

美琴「んーそうねぇ……ゲコ太の柄とかないかな?」

黒子「……お姉様、浴衣じゃないんですよ?」

美琴「そ、それくらいわかってるわよ! ってかまだ私たちには早すぎるでしょこの話!」

佐天「でもお正月とかに振袖着る人とか多いらしいですから、私たちにも着ようと思えば着れますよ?」

初春「お正月はもう終わっちゃいましたけどねー」



一方通行「……オリジナルとその連れか。祝日だから集まって遊ンでやがンのかァ?」

一方通行「はァ、ガキは楽しそォでイイねェ、ホント」

一方通行「…………おっと、アイツらに見つかると面倒臭せェことになりかねねェ」



一方通行「見つかる前に退散退散っと――ッ!?」ゾク



一方通行(何だッ!? この体中を締め付けるよォな感覚ァ!?)

一方通行(クソが、俺の体震えてるだとォ!? 何だってンだこりゃァ!?)

一方通行(いや、待て。この不快感どこかで……)


259: 2013/03/30(土) 16:14:12.66 ID:Y1O8uFRdo


-第七学区・物陰-


海原(ふむ、今日も御坂さんが楽しそうでなによりです)

海原(最近グループの仕事が多くて御坂さんを見守る時間がどうしても少なくなりがちでした)

海原(神経を擦り切るような仕事をした後ですが、あの笑顔を見るだけで癒されます)

海原(ああ御坂さん。いつまでもその美しい笑顔でいてください……)



海原「…………何か用ですか? 一方通行」



一方通行「こンなところでナニをやってンのかなァ? 海原クン?」



海原「……何と言われましても、御坂さんを見守っているとしか言いようがありませんね」

一方通行「何だただのストーカーか」

海原「ストーカーとは何ですか! 自分をそのような下賎な輩と一緒にしないでいただきたいですね」

一方通行「ハイハァイ、捕まったストーカーはみンな同じこと言うンですよォっと」

海原「……やれやれ。貴方とならわかり合えると思っていたのですが……どうやら自分の勘違いだったようです」

一方通行「そォだな。俺は一つもそンなこと思ってねかったから勘違いだな」

海原「さて、御坂さんウォッチングの続きをしましょうか」

一方通行「超電磁砲は鳥と同類なのかよ」

海原「あれ? 御坂さんが消えた……?」

一方通行「そりゃ、目ェ離してりゃすぐに見失うだろ。まして今日は祝日、街中の人通りは多い」

海原「……謀りましたね一方通行」

一方通行「一応、アイツらの姉だからな」


260: 2013/03/30(土) 16:14:57.97 ID:Y1O8uFRdo


海原「…………」

一方通行「…………」

海原「まあ、いいでしょう。今日はこの辺で諦めましょう」

一方通行「そォだな。このまま超電磁砲ウォッチングをするのを一生諦めてくれ」

海原「ところで貴方はこんなところで何を?」

一方通行「あァ? 別に、普通に散歩だ」

海原「つまり暇、ということですね?」

一方通行「嫌な予感がするから暇じゃねェ」

海原「せっかくなので自分とティータイムでもいかがでしょうか?」

一方通行「俺にそっち系の趣味ないンでェ」

海原「当然、自分にもありませんよ」

一方通行「だったら何で誘ってくるンですかねェ……?」

海原「知りたくないですか?」

一方通行「……何をだ」


海原「自分たち……『暗部』のことを」


一方通行「ッ」

海原「ふふっ、では付いてきてください。静かで紅茶の美味しい喫茶店を知っているので」

一方通行「…………」


―――
――



261: 2013/03/30(土) 16:15:46.06 ID:Y1O8uFRdo


同日 14:00

-第七学区・とある隠れた喫茶店-


海原「……さて、何からお話しましょうか?」

一方通行「…………」ズズズ

海原「何か聞きたいことでもありますか? 自分に話せる範囲のことならお話しますよ」

一方通行「結標の周囲に何が起こってやがる」

海原「……いきなりそれを聞いてきますか」

一方通行「オマエの知っていることを話せ」

海原「ふふっ、困りましたね。ちなみに貴方はどこまで掴んでいますか?」

一方通行「……それを知ったら、俺が暗部堕ちを決意する、それほど不味い状況だと土御門のヤツから聞いた」

海原「ほう、そうなんですか。たしかにそうかもしれませんね」

一方通行「教えろ。今アイツの周りで何が起こってやがる」

海原「…………」

一方通行「…………」

海原「……正直に言ってもよろしいでしょうか?」

一方通行「あァ、覚悟はできてる」

海原「…………」

一方通行「…………」


262: 2013/03/30(土) 16:16:40.83 ID:Y1O8uFRdo


海原「正直に言うと、自分もあまりわかっていません」ニコ


一方通行「……オイオイ、これだけ場を盛り上げてそれはねェだろ。これが新喜劇だったら客全員すっ転ンでるぞ」

海原「おっしゃることはよくわかりませんが、自分の持っている情報は貴方と大差ありませんよ」

一方通行「チッ、そォかよ」

海原「安心していますか? これを聞けなくて」

一方通行「黙れ。その化けの皮引き剥がすぞ」

海原「ふむ、よくわかりましたね。自分が偽者の海原光貴だと」

一方通行「オマエから気持ち悪りィ臭いがプンプンすンだよ」

海原「そうですか。次からは気をつけるとしましょう」

一方通行「チッ」

海原「では自分が持っている情報、というほどのものではありませんが、お教えしましょう」

一方通行「あァ? 俺と大差ねェンじゃねかったのかよ」

海原「差がないだけで、貴方よりは深く知っている自信はありますよ」

一方通行「……話せ」



海原「結標淡希。学園都市超能力者(レベル5)第八位の座標移動(ムーブポイント)。彼女を核とした計画があります」



263: 2013/03/30(土) 16:18:34.38 ID:Y1O8uFRdo


一方通行「……ほォ、それは耳寄りでくそったれな情報だなァオイ」

海原「どういったものかはまだわかりませんが、上層部が彼女の存在を必要としている計画だということはわかっています」

一方通行「一体結標のヤツに何をやらせるつもりなンだ」

海原「……おそらくですが、世界を動かすような計画、と自分は推測しています」

一方通行「世界を動かす……アイツがか?」

海原「はい」ニコ

一方通行「…………さっぱりわからねェな。テレポーターはたしかに珍しい能力だ。だが、俺や垣根みてェなヤツに比べればあまりに普通過ぎる」

海原「そこでなぜ第二位の名前が?」

一方通行「……よくは知らねェが俺と垣根は何らかのプランに組み込まれているンだろ?」

海原「……その情報をどこで?」

一方通行「雪合戦大会のときにアイツが言っていた。俺がサブプランでオマエメインプランだってな」

海原「…………」

一方通行「このことから俺たちは上のヤツらのくだらねェ思いつきに躍らせれてンだろ」

海原「……垣根帝督がそこまで話していたのですか」

一方通行「何なンだそのプランってヤツは?」

海原「正直に言いましょう。自分のような下っ端にはわかりません」

一方通行「だろォな」

海原「土御門さんなら何か知っているかもしれませんが……、教えてもらえる保障はありませんしね」

一方通行「ああ」

海原「…………まあ、とにかく今言えるのは」


海原「貴方と垣根帝督は何らかのプランに組み込まれている」

海原「そして結標淡希はそれとはまた別にプランに組み込まれている」

海原「これぐらいでしょうかね」


一方通行「チッ、クソ面倒臭せェことになってやがンなァ」ズズズ

海原「同感ですね。物事は単純なほうが楽に過ごしていけますからね」


264: 2013/03/30(土) 16:19:16.01 ID:Y1O8uFRdo


海原「……さて、そろそろ結標さんについての話は結構でしょう。他に聞きたいことはありませんか?」

一方通行「オマエの正体、っつったら?」

海原「教えませんよ」ニコ

一方通行「知りたくもねェよ」

海原「そうですか。残念です」

一方通行「教えてェのか教えたくねェのかどっちだよ」

海原「まあ、そうですね。聞きたいことがないというのなら……」

一方通行「チッ、無視かよ」


海原「……ふむ、ならば自分たち暗部組織について話しておきましょうか」


一方通行「オマエら……グループとかのことか?」

海原「はい」

一方通行「そンな面白れェ情報話してくれるなンざ、随分と太っ腹じゃねェか海原クン?」

海原「何、重要機密を話す気はありませんよ。まあこの組織の存在自体がトップシークレットではありますけど」

一方通行「……どォしてそンなモンを俺に?」

海原「貴方に関係することでもありますし、貴方にとって非常に興味のあること、だからでしょうかね」

一方通行「…………」


265: 2013/03/30(土) 16:19:50.80 ID:Y1O8uFRdo


海原「まず重要機密の暗部組織について話しましょう」

海原「自分たちトップシークレットの暗部組織の中で、今活発的に動いている組織は全部で五つあります」



海原「『グループ』、『スクール』、『アイテム』、『メンバー』、『ブロック』、以上で五つです」



一方通行「……そいつらが今暗部の中で幅を利かせてるヤツらっつゥことか?」

海原「そう考えてもらって構いません。昔は『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』という組織も存在しましたが、どういうわけか今は解散してしまいました」

一方通行(……猟犬部隊……、たしか木原の所属していた組織だったか……)

海原「……何か心当たりがあるようですね?」

一方通行「……まあ、つまりアレだァ」


一方通行「オマエら全員叩き潰せば学園都市も少しは平和になるってことかァ?」ニヤァ


海原「…………」

一方通行「ぎゃはっ」

海原「……まあ、仮にそうなったとしてもあまり変わらないと思いますがね。それに――」



海原「貴方一人でどうにかできるほど暗部というものは浅くはありませんよ」ニコ



一方通行「……チッ、わかってンだよそれくらい」


266: 2013/03/30(土) 16:21:13.40 ID:Y1O8uFRdo


海原「そうですか。では一つ一つ特徴というものを説明しましょう」

一方通行「つゥかイイのかよ。そンな情報ぺらぺら話してよォ?」

海原「問題ないでしょう。今話しているのはさわりの部分。企業でいう会社説明会のようなものです」

海原「会社説明会で企業機密を話す馬鹿な社員はいませんでしょう?」

一方通行「…………」


海原「ではまず自分が所属している『グループ』です」

海原「統括理事会の直属で、主に表に出回らない裏の仕事します」

海原「例えばそうですね、最近というほどではありませんが上層部に反乱を企てる『武装無能力集団(スキルアウト)』の鎮圧、とかですかね」

海原「構成員は四人。リーダーである土御門さん、そして自分もだということは知っていますね?」


一方通行「ああ、で、他の二人は誰なンだ?」

海原「残念ながらそれは教えることはできません。重要機密ですから」ニコ

一方通行「チッ、そォかよ」


267: 2013/03/30(土) 16:22:01.78 ID:Y1O8uFRdo


海原「次に『スクール』ですかね。貴方もよく知っていると思います」


一方通行「ああ。第二位の垣根帝督がリーダーで、『心理定規(メジャーハート)』っつゥ精神操作系の能力を持ったドレスの女」

一方通行「あと変なリング被った野郎に、雪合戦にまでわざわざ重火器持ってきてた……おそらくアイツは狙撃手ってところか」


海原「その狙撃手……砂皿緻密は残念ながら正規の構成員ではありませんね」

一方通行「ハァ?」

海原「基本、スクールの四人目はよく変わるんですよ。おそらく補充要員として雇っているのだと思います」

一方通行「……そォかよ。で、そいつらの目的は?」

海原「はい。彼らの目的はいまいちわかりませんが、おそらく垣根帝督の意思がそのまま彼らの行動する理由だと思います」

一方通行「垣根のために作られた組織、ッつゥわけか」

海原「そうだと思います。それ以外に目的がまったく見えないんですよね」

一方通行「チッ、くっだらねェ」


268: 2013/03/30(土) 16:22:43.66 ID:Y1O8uFRdo


海原「では次に『アイテム』ですね。主に学園都市内の不穏分子を消すことを業務としています」


一方通行「第四位の麦野沈利を中心とした組織だろ?」

海原「そうです。しかし、おそらくですがこのアイテムが暗部組織の中で一番戦力が高いと言えますね」

一方通行「スクールよりもか?」

海原「……たしかに第二位の話を持ち出せばスクールがトップかもしれません。しかし総合的に見ればアイテムが一番でしょう」

一方通行「…………」

海原「さて、構成員についてです」


海原「第四位の麦野沈利はもちろんですが、貴方もご存知だと思う『暗闇の五月計画』の被験者である絹旗最愛」

海原「爆発物などの道具を利用した戦いを得意とするフレンダ=セイヴェルン」


海原「そして、アイテムの中で一番恐ろしい存在。おそらく彼女に苦しめられた貴方が一番わかっていると思いますが……」

一方通行「滝壺っつゥヤツか……」

海原「はい。彼女は貴方のような超能力者(レベル5)に対抗するための、対能力者のチカラを持っているようですね」

一方通行「それが何なのか未だにわからねェがな」


269: 2013/03/30(土) 16:23:33.70 ID:Y1O8uFRdo


海原「残る『メンバー』と『ブロック』ですが……残念ながらあまり情報が集まっていません」

一方通行「どォしてだ?」

海原「先に挙げた三つの組織より動きが少ないからです。その良い例があの雪合戦大会ですね」

一方通行「……確かにそォだな」

海原「あのような表舞台に自分たちのような者が出ること事態が異質だということです」

一方通行「…………」

海原「しかし安心してください。構成員の人数はわかっています。基本、この五組の暗部組織は全て四人組で構成されています」

一方通行「たった四人か?」

海原「はい、そうです。理由はわかりませんが、どうやら四人組というのが決まっているみたいですね。おそらく組織として一番動きやすい人数なのでしょう」

一方通行「…………」


海原「以上で基本的なことの説明は終わります。何か質問はありませんか?」

一方通行「…………」

海原「……ないのでしたら、今日はこれで終わりにしましょう」

一方通行「そォだな。俺も考える時間が欲しい」

海原「あっ、そうだ。一つ言い忘れていました」

一方通行「何だ?」


270: 2013/03/30(土) 16:24:34.89 ID:Y1O8uFRdo




海原「近いうちにこの暗部組織間で抗争が起こるでしょう」




一方通行「抗争だァ?」

海原「はい。おそらく規模はかなり大きくなると思います。もちろん表の住人を巻き込む可能性も出てきます」

一方通行「…………」

海原「ですが心配はしないでください。そうさせないために自分たちがいるのですから」

一方通行「オマエらが?」

海原「はい。何とか自分たちが裏で抗争が勃発しないように働きかけています」

海原「なので、しばらくは大丈夫だと思いますので、安心していてください」

一方通行「……オイ」

海原「何でしょうか?」


一方通行「しばらくは大丈夫だっつってンのに、何でオマエは近いうちに抗争が起きるっつった?」


海原「……ふふっ、よく気付きましたね」

一方通行「超能力者(レベル5)ナメンじゃねェぞ小僧が」

海原「すみません、貴方を少し見くびっていたようですね。……では理由をお話しましょう」


海原「正直に言いますと、いつこの抗争が起きてもおかしくない状況にあります」

海原「しかし、この程度であれば自分たちでどうにかすることが出来る範囲です」

海原「ですがこの勃発してもおかしくない緊迫した状況を、一気に壊してしまうある条件があります」


271: 2013/03/30(土) 16:25:19.65 ID:Y1O8uFRdo


一方通行「…………何だその条件ってのは」

海原「……それはですね」ニコ




海原「一方通行。貴方の暗部堕ちです」




一方通行「…………どォいうことだ」

海原「そのままの意味です。例えば、貴方が何かを守るためにこちら側に堕ちてくるだけで全てが動き出します。今まで止まっていたもの全てがです」

海原「この影響は学園都市の中だけでは踏みとどまらないかもしれません。もしかしたら日本、いや世界全体に影響が及ぶかもしれない」

一方通行「…………」

海原「それほど貴方という存在が大きいということです。全て貴方次第ということになります。わかりましたか?」

一方通行「……チッ、くだらねェ」

海原「ではそろそろここを出るとしましょう。御代はこちら側で払っておきますので気にしないでください」

一方通行「……ああ」ガチャリガチャリ


―――
――



272: 2013/03/30(土) 16:26:30.04 ID:Y1O8uFRdo


同日 15:00

-第七学区・とある隠れた喫茶店前-



チャリンチャリーン



一方通行「…………」

海原「……さて、これで解散としましょう。時間も良い頃合になってきたころでしょう」

一方通行「…………」

海原「どうやら動揺されているようですね。仕方ありませんか、このようなことを聞かされたのですからね」



プップー!!



海原「……おや、こちらの迎えが来たようです」

一方通行「アレは……グループのヤツか」

海原「ええ、街中で見かけてもかかわない方がよいですよ? お互いにとって」

一方通行「……そォだな」

海原「……そうだ。最後に一つ、面白いことを教えて差し上げましょう」

一方通行「何だよ」

海原「気になっていますよね。なぜ自分がこのようなことを貴方に話したか」

一方通行「関係があるからだろ?」

海原「そうですね。しかし自分はそれ以外の理由でこのことをお話しました」

一方通行「ハァ?」


273: 2013/03/30(土) 16:28:18.51 ID:Y1O8uFRdo


海原「土御門さんはどうやら貴方をこちら側のことに関わらせたくないようですが、自分は違います」

海原「おそらくいくら自分たちが努力したところで抗争は始まります。確定事項と言ってもいい」

海原「どうせそうなるなら貴方が堕ちてきて抗争が始まったほうが、こちらも余計な手間をなくすことができます」

海原「さらに言うなら、超能力者(レベル5)最強の貴方がグループ側についてもらえればこちらとすれば大助かりなのですから」


一方通行「……どォして俺がグループに堕ちると決め付けてやがる。もしかしたら違う組織に行くかもしれねェだろォが」

海原「はい。たしかにそうです。しかしこれは決定事項なんですよ」

一方通行「どォいうことだ?」


海原「我々グループは現在四人組で構成されていますが、実は土御門さんと自分以外は正規の構成員じゃないんです」


一方通行「…………」

海原「本来この二つの席に座るはずだった人間がいるんですよ」

一方通行「……そォいうことか」


海原「そうです。そのうち一人は察しの通り貴方……『一方通行』です」


一方通行「……俺がそっちへ行く道筋はもォできてるっつゥことか」

海原「はい。そしてもう一人は、貴方に最も近い位置にいる人。そう言えばわかりますか?」

一方通行「…………オイ、まさか」

海原「そう、そのまさかです……」

一方通行「…………」


海原「では、また会えることを神にでもお祈りしておきましょうか」ガチャ

一方通行「……そォだな。お互い氏なねェよォに祈ってよォぜ。くそったれな神様によォ」



ガチャン、ブルルルーン!!



一方通行「…………」

一方通行「舐めたことほざいてくれンじゃねェか海原ァ」



ピピピッ! ピピピッ!



一方通行「…………」ピッ


274: 2013/03/30(土) 16:29:09.26 ID:Y1O8uFRdo


一方通行「……もしもし」

結標『ちょっと一方通行。貴方どこまで散歩行っているのよ?』

一方通行「……悪りィ、ちょっと喫茶店で茶ァ飲ンでた」

結標『うわぁ……似合わないわねぇ』

一方通行「で、わざわざ電話までして何か用か?」

結標『いや、別に……ちょっと帰りが遅いかなー、って思って』

一方通行「チッ、別に遅くはねェだろォが。いちいち電話してくンな」

結標『ご、ごめんなさい。でもそんな言い方はないと思うんだけど』

一方通行「うっせェな、用がねェなら切るぞ?」

結標『あ、う、うん……』

一方通行「…………そォだ結標」

結標『何?』

一方通行「オマエは……いや何でもねェ」

結標『?』

一方通行「じゃあな」ピッ


一方通行「…………」



一方通行「…………コンビニでも寄って帰るか、くそったれが」ガチャリガチャリ



――――


281: 2013/04/02(火) 17:30:17.58 ID:NfqZ2lpJo


10.ドッジボール


January Third Wednesday 13:10 ~五時間目・体育~

-とある高校・体育館-



黄泉川「――はい、今日もいい天気じゃんねー」



ザーザー、ザーザー、ザーザー



一方通行「窓の外からよォ、空から地面に液体が叩きつけられるよォな音がスゲェすンだけど……」

結標「一方通行。たぶんツッコンだら負けよ」

吹寄「今日の天気予報は晴れだったはずなんだけどね」

青ピ「最近……というか八月くらいから学園都市の天気予報当たらんなったよなぁ」

土御門「あくまで予報予測だからにゃー。はずれることだって十分にありえるんだぜい」

姫神「傘持って来ていてよかった」

上条「……うわぁ、絶対俺の置き傘パクられてるよ。帰る頃になったら消えうせてるよ」

一方通行「カギぐれェ付けとけよ」

上条「んなもんに金なんてかけられるかよ!」



ワイワイガヤガヤ



黄泉川「はーい、お前ら静かにするじゃん!」


シーン


黄泉川「今日の体育の授業は予定していた『超次元サッカー』を雨が降っているから中止するじゃん」

黄泉川「そして運よく体育館を借りることができたので、この中でできる運動をしようと思うじゃん」

黄泉川「というわけで今日はこれをするじゃん!」



黄泉川「体育の自由時間の定番! ドッジボールじゃん!!」



<おおっー! <懐かしいー! <俺の得意競技キター! <俺一人で全滅させてやるぜ!



一方通行「ドッジボール?」

上条「お前ドッジボール知らねえのか?」

青ピ「うわー、アクセラちゃんおっくれってるー!」

吹寄「本当に知らないわけ? 小学生のときとかにやらなかった?」

一方通行「そンなモンで遊ぶ環境がねかったンだからしょうがねェじゃねェか。あと青髪ピアスは頃す」

結標「記憶喪失してる私でも知ってたわよ?」

一方通行「大体何なンだよドッジボールってよォ」


282: 2013/04/02(火) 17:31:28.79 ID:NfqZ2lpJo


黄泉川「ドッジボールっていうのは二チームに分かれて行う競技じゃん」

黄泉川「それぞれ各チーム内野と外野を決めてから競技が始まるじゃん」

黄泉川「基本的には相手の内野の人にボールをぶつけてアウトにすることが目的で、当てられた人は外野に出て行くじゃん」

黄泉川「先に相手チームの内野を全滅をさせた方のチームが勝ち、って感じのゲームなんだけど」


一方通行「なるほど。オマエのわかりにくい説明からするに相手にひたすらボールを投げつける競技なンだな」

上条「まあ、聞いて覚えるより実際にやって覚えたほうが早いと思うぜ?」

土御門「そうだにゃー。もともと気付いたら知っていたみたいなゲームだしな」

吹寄「簡単だし、アクセラくらいの人ならすぐ覚えられると思うわ」

姫神「うん」

一方通行「……まァ、覚えるのは簡単なンだろォがなァ、どちらにしろ俺には向かねェ競技だよな」

結標「ああそうか、二学期は陸上競技とかばっかりだったから何とか杖付きでも対応はできたけど、今回はそうはいかないのね」

黄泉川「その点は大丈夫じゃん。三学期からは能力使用モードを許可してやる」

一方通行「……オマエ、それマジで言ってンのか?」

黄泉川「大マジじゃん」

結標「よかったじゃない一方通行!」

一方通行「一体どォいう風の吹き回しだァ?」

黄泉川「別にー、たまには許してやってもいいかなーって思ってな」

青ピ「何でやぁ! それで被害をこうむるのはボクらやんか!」

土御門「そうだそうだー。ゲームっていうのは対等な条件だから面白いんだぜい! 誰かがチートを使うだけでその場の空気が一気にさめるんだにゃー」

上条「いや、そもそも一方通行が杖付きの時点でフェアではねーだろ」

一方通行「あぎゃはっ! ザマァねェなァ三下どもォ! これで今までの借りが返せるっつゥわけだァ!」

吹寄「体育の授業の時に散々からかわれたから、ここで恨みを晴らすつもりなのね」

姫神「特に持久走の時とかひどかった」

結標「まあでも、授業終わったあとすぐボコボコにしてるから恨みもくそもないと思うのだけど……」

黄泉川「二十人一組で二チーム作るんだけど、安心しろ。もうメンバーは決めてあるじゃん」

一方通行「面倒臭せェことなりそォな予感がビンビンじゃねェか」

青ピ「センセー! ちなみにその選出基準って何ですかー?」

黄泉川「パソコン使って適当にランダムに……」

土御門「まさしく適当だにゃー」

吹寄「せいぜい上条が一緒にならないように祈るとしましょう」

上条「人を貧乏くじ扱いするのはやめてもらえませんかっ?」

結標「上条君、運動神経いいからどちらかと言ったら一緒のチームの方がいいんじゃないの?」

上条「む、結標ぇ……」ブワッ

吹寄「運動神経は良くても運がなさ過ぎるわ。前行ったボウリングがいい例よ」

結標「……そういえばダントツでスコア低かったような……」

土御門「つまりドッジボールならボールを取りこぼしたり、手が滑って相手にパスなんてことがカミやんにとっては日常茶飯事なんだぜい」

結標「たしかにそれは嫌ね」

上条「結標さんッ!?」


283: 2013/04/02(火) 17:33:29.11 ID:NfqZ2lpJo


――何だかんだでチームに分かれて試合開始。


Aチーム


一方通行「……まァ、何つゥか……不幸だァ」

上条「あのー、人のセリフ勝手に取らないでくれないか?」

姫神(やった! 上条君と同じチーム)


残りその他Aモブ達『頑張るぞー』


Bチーム


土御門「にゃー、これはこれは」

青ピ「素晴らしい組み合わせやなぁ、ほんま」

吹寄「さあてあなた達、あたしの指示に従いなさい! 絶対に勝利に導いてあげるから!」

結標(……一方通行と同じチームが良かったなぁ……(´・ω・`))



残りその他Bモブ達『やったるぞー』



黄泉川「Bチームボールからスタートな。ほいじゃー試合開始ー!」スッ



ピイイイイィィィィィィッ!!



吹寄「覚悟しなさい上条当麻! 一瞬で沈めてあげるから!」


上条「何で俺名指しッ!?」

一方通行「うっとォしいからじゃね?」

上条「まったく覚えがないんですがぁ!?」

吹寄「食らいなさい!」バッ


ゴォオウ!!


上条「うわっ危ねっ!」バッ

一方通行「おーおー、何つー剛速球だ」

吹寄「外野っ! 頼むわよ!」

青ピ「オーケーオーケー。内野&外野の挟み撃ち作戦やなー」バシッ



バシュウバシュウバシュウ!!



上条「何か俺ばっか狙われてるような気がするんですけどーっ!!」バッダッ



一方通行「安心しろォ。オマエのおかげで他のヤツラは狙われてねェわけだから」


284: 2013/04/02(火) 17:34:21.65 ID:NfqZ2lpJo



バシュウ!!



B内野1「よっとっ! ……ん?」


一方通行「ふわァ……眠っ……」ボリボリ


B内野1「隙有りだぞアクセラぁぁぁ!!」バッ


一方通行「あン?」



バシュウ!!



一方通行「ほォ、俺を狙ってくるなンざ随分と面白ェことしてくるじゃねェか」カチ

一方通行「だがよォ、能力使用モードの俺に歯向かうっつゥことは自殺行為だってことがわか――」











no title


Bモブ1「あっ」

上条「えっ」


285: 2013/04/02(火) 17:36:03.29 ID:NfqZ2lpJo


一方通行「…………」

黄泉川「顔面はセーフじゃん!」

上条「……あれ、能力使用モードはどうしたんだ一方通行?」

一方通行「…………オイ」

黄泉川「何じゃん?」


一方通行「これ能力使用モードじゃねェじゃねェか! マラソン大会の時の中途半端能力使用モードだろこれェ!?」


黄泉川「あっ、バレた? この授業の時間内は少し制限させてもらってるじゃんよ」



~その頃~



打ち止め「ぷぷぷっ、今ごろ能力が使えると思ったら使えなかった。何が起こってるか(ryとか言ってることかな? ってミサカはミサカはおせんべいをかじりながら笑みをこぼしてみたり」

円周「ねえねえ木原おじちゃん! このおせんべいをこの角度で削って音速の三倍で射出すればダイヤモンド切断できるかな?」

数多「食べ物で遊んでんじゃねーよクソガキが」



~~~~~



一方通行「クソがっ、あの野郎が俺のチカラを許した時点で警戒するべきだったンだよ。気ィ抜きすぎだろ俺ェ」

上条「大丈夫か一方通行……?」

一方通行「あァ、別に何ともねェよ」ドクドク

上条「俺が思うにその鼻から出てきてる赤い液体は鼻血だと思うんだが……」


287: 2013/04/02(火) 17:36:52.59 ID:NfqZ2lpJo


一方通行「こンなモン俺のベクトル操作で……って、できねェンだったァ!」

姫神「はい。ティッシュ」スッ

一方通行「あァわざわざ外野からすまねェな」ゴソゴソ

姫神「構わない。それより棄権したほうがいいんじゃ?」

一方通行「この程度で俺がくたばるわけねェだろ」

姫神「いや。そういう意味じゃない」


一方通行「……さァて、反撃と行こォかなァっと」スッ

B内野1「ん? ……げっ、俺!?」



一方通行「さっきはよくもやってくれたなクソ野郎がぁ!!」バッ



B内野1「くそっ、これ……は?」



ひょろひょろー



B内野1「…………」ポスッ


一方通行「あ」


土御門「……弱っ」プププ


B内野1「…………」バッ



バシュウ!!



A内野1「うわっ、やられた」


一方通行「oh……」


―――
――



289: 2013/04/02(火) 17:39:32.74 ID:NfqZ2lpJo


土御門「――よっと。もらったにゃー!」バッ

A内野2「くっ、だけどこの距離なら余裕で避けられる」ダッ

土御門「あっ、手が滑った」ポイ

A内野2「えっ」



バン



A内野3「ぐえっ」


B外野1「な、何だあれは! どう見ても視線は真っ直ぐ向いていたはずだ!」

B外野2「それをあんなに鮮やかに目標を変更できるのか!? いや、あのサングラスの下の目はすでにアイツをターゲットにしていたってことかっ!?」

青ピ「解説乙」


土御門「にゃっはっはー、悪い悪い。油断してたからつい手が滑ってしまったにゃー」

上条(相変わらず悪趣味なフェイントだな……)







A内野4「っ、来た!」



パシッ



A内野4「よし取った!」


A外野1「おおぉーい! こっちだこっちー!」


A内野4「了解。そらっパス」ポイ



ヒューン



結標「……ふふっ」ニヤリ


シュン


B内野2「あっ、結標さんが消えたっ!?」


パシッ


結標「よし、ゲット!」


B外野4「何いぃ!? 高めに投げられたパスを自らテレポートをすることによってパスカットだとぉ!?」

B外野5「何と言う無茶苦茶! 理不尽な戦闘力っ! さすがは大能力者(レベル4)っ!」

青ピ「解説乙」


292: 2013/04/02(火) 17:41:02.66 ID:NfqZ2lpJo






吹寄「食らえっ! 必殺フォークボールっ!」シュバッ



ズキュゥゥゥゥ!!



A内野6「競技違うだろぐはっ!!」バキッ


B外野1「フォークボールとドッジボールと関係ないことを叫ぶことによって相手の集中力を削いでいるのかっ!?」

B外野2「それに全然落ちてないドストレートなところが――」


吹寄「失礼なっ! ちゃんと落ちてるわよ!」





青ピ「近距離もらった! おらっ、くたばれアクセラちゃん!」バッ


バシュウ!!


一方通行「よっと」サッ


青ピ「なっ、あの球を避けたやと!?」


B外野1「す、すごい! 三メートルもない至近距離の球を最小限の動きで避けた!?」

B外野2「あらかじめどこに球が来るかわかってないとできない動きだぞ!?」

青ピ「キミらぁ、解説するのはええけどきちんと働きぃや」


一方通行「こっちは能力使用中に音速を超える速度で移動してンだよ。超能力者(レベル5)の動体視力舐めンじゃねェ」


土御門「まあ、身体能力は女子以下だけどにゃー」


一方通行「うるせェ頃すぞ土御門」


293: 2013/04/02(火) 17:42:24.72 ID:NfqZ2lpJo



~そんなことしながら数十分後~



Aチーム残りメンバー


上条「ぜぇ、ぜぇ、何とか生き残ったか……」

一方通行「これはひどい」

A内野7「ううっ、最後まで残っちゃったよー」

A内野8「端っこにいなかったらよかったー」


Bチーム残りメンバー


吹寄「ふふふ、最後まで無駄な抵抗をしてきたようだけど、もうラッキーはこれ以上は続かないわよ」

土御門「だにゃー、そろそろ観念したほうがいいと思うぜカミやん」

結標「何か悪役っぽいセリフよね。別にいいけど」

B内野3「戦況は圧倒的にこちらが有利だな」

B内野4「俺の気流操作能力を利用したスーパーショットで殲滅してやるぜ」←空力使い(エアロハンド)レベル1

B内野5「私の念動能力(テレキネシス)も負けないわよ」←念動使い(テレキネシスト)レベル1


一方通行「チッ、レベル1の能力でも、こォいう競技に利用するだけならうっとォしいな」

上条「事実上無能力者ばかりのこちらのチームは不利というわけですねー、不幸だー」

A内野7「上条君、そろそろボール取らないと不味いと思うんだけど」

上条「ま、まあそうだな。ボール奪わねーと防戦一方だしな」

一方通行「つーわけで頑張れヒーロー」

上条「へっ?」

A内野8「そりゃそうよー。だって向こうのチームの剛速球に対抗できそうなの上条君くらいだもん」

上条「あっ、いや、そうだな、はは」

一方通行「頑張って不幸を乗り越えて来い」

上条「はぁ、わかったよ。どちらにしろやらなきゃいけねーだんからな。今まで避けることに専念してたけど、何とかしてみるよ」


B内野4「おらっ、相談は終わったかっ!?」


上条「いつでもきやがれコンチクショー!」


B内野4「くぅぅらええええっ!!」バッ



シュブァァン!!



B外野1「こ、これは微量ながら風を操ってボールの挙動が不規則になっている!?」

B外野2「取れない! こんな球は絶対に取れないぜ!! 取れるほうがおかしい!!」

青ピ「ほんまどんだけ解説好きなんキミら」


294: 2013/04/02(火) 17:43:01.71 ID:NfqZ2lpJo


上条「…………」



シュブァァン!!



上条「……! そこだっ!」



バシン!!



B内野4「な、何ぃ!? 取っただとう!?」


上条「油断してんじゃねえよ! おらっ!!」バッ



ソゲブゥ!!



B内野4「ぐわっ!」


土御門「チッ、さすがカミやん。あの程度じゃ通用しないか」

吹寄「ちょっと、こぼれ球拾いなさい! 早くしないと外野に出るわよ!」

B内野3「よし、俺が」バッ



コロコロ



B内野3(やばい、ボールがラインを越えそうだ。まあ、審判の黄泉川先生は反対側だし、なぜか外野の方にも人が回ってないようだから少々大丈夫か)

B内野3「おらっ、ボールいただきぃ!!」



パシッ



B内野3「……あれ?」


姫神「……ふふっ」ニヤ


B内野3「……ひ、姫神さんんん!? い、いたのかぁぁ!?」

姫神「私のとりえは影が薄いこと。これくらいしか役に立てない」ポイ



パスン



B内野3「ぐほっ!」


B外野1「こ、この一瞬で二人がアウトだと!?」

B外野2「一体何が起こってやがるんだ、この体育館にっ!?」

青ピ「思うたんやけど、キミら一回もボール触ってへんよな?」


296: 2013/04/02(火) 17:44:19.51 ID:NfqZ2lpJo


土御門「にゃー、一気に人数追いつかれたぜい。どうする吹寄」

結標「くっ、ごめん。私がテレポートして取りに行っていれば……」

吹寄「大丈夫よ結標さん、問題ないわ。言っちゃ悪いけどこちらのほうが戦力は上だから……!」

B内野5「そうよ。ここは私に任せて!」バッ



パシュウ!!



A内野7「この程度なら避けられ――」バッ


B内野5「甘いわ! まっがーれ!」



クイ



A内野7「な、曲が――」



バシン



A内野7「あうっ!」


B内野5「そしてその球をすかさず外野に向けて方向転換!」バッ


青ピ「ナイスやでー」パシッ


B外野1「強い! 念動能力強すぎるぞ! しかもアフターサービスもばっちりだと!?」

B外野2「ドッジボールという競技のために生まれた能力と言っても過言ではないっ!?」

青ピ「……なぁ、このボールあげるから投げてみい」

B外野1「いや、遠慮しとく」

B外野2「俺らが投げてもパスにしかならないからな」


297: 2013/04/02(火) 17:46:42.87 ID:NfqZ2lpJo


黄泉川「――おおーい、あと十分くらいでチャイム鳴るから、早くケリつけてくれー」


青ピ「おっ、時間がないようやな」


吹寄「青髪! 外野対外野の挟み撃ち攻撃よ!」


青ピ「了解了解! これターンで終わらせるでー!」バッ



バシュウバシュウバシュウバシュウ!!



A内野8「あー、目が回るー」


B外野3「それ!」バッ


A内野8「あっ、しまった」


吹寄「よし! これでアクセラと上条の二人だけ」

土御門「勝ったな……」


一方通行「……チッ、舐められてやがンな」

上条「どうする一方通行。ここは潔く負けを認めるか?」

一方通行「オマエはそォしたいのか?」

上条「……俺はお前と同じ気持ちだぜ」

一方通行「そォか……」


一方通行「だったら何とかしてあの馬鹿ども叩き潰すぞ」


上条「えっ」

上条(あ、あれー!? てっきり面倒臭いって言うと思ってたのにあれー!?」


298: 2013/04/02(火) 17:47:55.97 ID:NfqZ2lpJo


一方通行「で、上条。オマエはアイツらのうち誰か一人でも一撃で叩き潰せる自信があるか?」

上条「ねーよ。大体全員こっち向いてるし、吹寄と土御門は普通に無理だし、結標にいたってはテレポートで逃げ出すし」

一方通行「だったらあの念動力野郎か狙い目は」

上条「狙い目っつっても普通に難関だけどな」

一方通行「……上条。超電磁砲の電撃を見切れるオマエの動体視力と反射神経を見越して作戦がある」

上条「何だか過大評価してるような気がしてならねーが聞いてやる」



結標「……何相談してるのかしら?」

B内野5「さあ?」

吹寄「どうせ最後の悪あがきの方法でも考えてるのでしょ?」

土御門「……何だかいやーな予感がするんだぜい」


一方通行「……わかったか?」

上条「……わかったけど無茶苦茶言うよなお前」

一方通行「俺なら余裕でこなせる仕事だ。オマエは俺に勝ったンだから余裕でできンだろ」

上条「いやー、あれはたまたまですよたまたま」

一方通行「イイからさっさと投げろ」

上条「了解ですよーと。そりゃ!」バッ



ソゲブゥ!!



299: 2013/04/02(火) 17:48:59.86 ID:NfqZ2lpJo


B内野5「! 狙いは私ね、舐められたものね。ふっ!」バッ



キュン!



B外野1「か、上条の鋭い投球が空中で停止した!?」

B外野2「応用性が高すぎるぞ念動力っ!」

青ピ「もうツッコマんで」


B内野5「ふふっ、お返しをさせてもらうわよ上条君!」バッ



パシュウ!



上条「…………」


B内野5「ポツンと立ってるだけなんて舐めてるとしか思えないわね。それじゃあ遠慮なく、まっが――」



上条「! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」ガシッ



バキン!!



B外野1「なっ、なんだと! 上条が球が曲がる前に右手でキャッチした!?」


上条「――このぉ!!」バッ


B外野2「そしてその球を投げ返した!」

青ピ「今度は実況かいな」



ソゲブゥ!!



B内野5「ッ!!」


B外野1「このままじゃB内野5がアウトに!」

B外野2「だが、やつがやられても他の三人が強すぎる! 特に結標淡希!!」

一方通行「違げェよ」

B外野1・2『ッ!?』

一方通行「狙ってンのはあの念動力野郎じゃねェよ」


300: 2013/04/02(火) 17:50:09.95 ID:NfqZ2lpJo


一方通行「本当の狙いは――」



クイッ



結標「ッ!?」



一方通行「あのうっとォしいテレポーターだ」


B外野1・2『た、球が曲がったぁあああああああああああああああああああっ!?』



バシッ



結標「うっ、な、何で……?」


一方通行「たしかにそいつの念動力は強力だ。異能力者(レベル2)扱いされてもおかしくねェくらいにな」

一方通行「それでも低能力者(レベル1)だっつゥことは、チカラの強さの割りに演算能力が足りてねェっつゥことだ」

一方通行「だが、それでもあンなレベル2染みた挙動をしてるっつゥのはなぜか……」


一方通行「それはチカラに法則性を作って、演算を簡略化させてるからだ」


B内野5「!!」


一方通行「簡単に言やァ、九九の要領と同じだ。『6×7』をいちいち6を七回足すのは面倒だから、そのまま『42』っつゥ答えを覚える感じになァ」

一方通行「同じようにいちいち演算式を立てるのが面倒、いやできねェからあらかじめ一定の法則を自分の中で立てておく。マニュアルを作っておくみてェなモンだな」


301: 2013/04/02(火) 17:51:12.14 ID:NfqZ2lpJo


吹寄「……よ、よくわからないけどじゃあ何で結標さんのところで曲がったのよ」

一方通行「そりゃ簡単だ。そいつがマニュアル通りの動きしかできねェからだ」

B内野5「…………」

一方通行「まずは投げた球を曲げる。そのあとに外野に向けて球を動かす。おそらくこの一連の動作をパターン化しているンだろう」

一方通行「逆に言えばこれはどンなことがあってもこれはやり通す、っつゥことにならねェか?」

土御門「……ふっ、そういうことか。まんまとやられたな」

吹寄「どういうことよ?」

結標「要するに外野に向けて球を動かすときの動作を利用して私を狙ったということね」

一方通行「まァこれはあくまで中断できねェっつゥのを前提とした作戦だったがなァ」

B内野5「……ふふっ、さすが超能力者(レベル5)ね。まさかここまで見破られるとは思わなかったわ」

一方通行「そォいう簡略化はあまりお勧めしねェぞ。イコール成長を放棄するっつゥことになるからな」

B内野5「そうね。次からはそうするわアクセラ君」


黄泉川「おおーい! お前らドッジボールしてるってこと忘れてないかー?」


吹寄「あっ、そういえば……、先生、あと何分くらいですか?」

黄泉川「チャイム鳴るまであと三分弱ってところかなー。まあこの時間で今日の授業終わりだから少々過ぎても大丈夫じゃん」

吹寄「よし! それだけあれば楽勝ね! さあ続きを始めましょ!」

土御門「おっしゃー! 姉さんが倒れてもまだまだこっちが有利だってことには変わらないにゃー!」


一方通行「チッ、面倒臭せェ」

上条「どうする一方通行。正直アイツらの球受け止められる気がしねーぞ」

一方通行「大丈夫だ。勝算はある」

上条「本当か?」

一方通行「まァ、手順が面倒だけどな」

上条「…………努力してみるわ」


―――
――



302: 2013/04/02(火) 17:51:51.32 ID:NfqZ2lpJo



バシュウバシュウバシュウバシュウ!!



上条「くっ」バッ

一方通行「チッ」バッ


土御門「にゃろー、さすが一方通行。俺のフェイントも通用しないかー」

B内野5「私のはとっくに見破られてるし、さっきの二の舞になっちゃいけないからダメよ」

吹寄「大丈夫。ここまでくればもうゴリ押しよっ!!」バッ



ゴオォウ!!



上条「――くっそぉ!」スッ



バシィ!!



吹寄「なっ、取った!?」


上条「こんにゃろぉ!!」バッ



ソゲブゥ!!



B内野5「しまっ、能力が間に合わ――」



バシッ



B内野5「あぐっ」


上条「よしっ!」


土御門「カーミやーん、油断は禁物だぜい」バッ

上条「なっ、土御門っ!!」


303: 2013/04/02(火) 17:52:44.27 ID:NfqZ2lpJo



バシッ



上条「くっ」


吹寄「よし! あとはアクセラ一人!」

土御門「もらったにゃー」


一方通行「…………ほらっ、パスだァ外野ァ」バッ


A外野1「お、おう」パシッ


吹寄「外野対外野の挟み撃ちね。いい手だわ」



バシュウバシュウバシュウバシュウ!!



土御門「でもそういうのは――」


上条「おらっ」バシュ



バシィ!!



土御門「強いアタッカーが外野にいないと話にならないぜい」


上条「くっ」


304: 2013/04/02(火) 17:54:26.75 ID:NfqZ2lpJo



土御門「さて、時間もないしアウトになってもらうぜアクセラちゃん――」バッ



バシュウ



一方通行「……そォだな」


B外野1「な、なぜ一方通行は動かないぃ!? いや、動けないのかぁ!?」

B外野2「しかも何でアイツはセンターラインの真ん前に立っているぅ!? 前線に立ちすぎだろぉ!!」

青ピ「うおっ、急に喋りだしたなぁ自分ら」



キーンコーンカーンコーン



一方通行「たしかに時間がねェ……けどなァ」ニヤァ



バシィ!



土御門「ッ!?」

吹寄「えっ!?」

結標「なっ!」


B外野1「と、止めたっ!? あのアクセラが土御門の剛速球を片手で止めたっ!?」

B外野2「しかも何だアレはっ!? まるで手のひらに張り付いているようにボールが地面に落ちないぞっ!?」


305: 2013/04/02(火) 17:55:47.32 ID:NfqZ2lpJo


吹寄「そ、そんな……まさか」


一方通行「ぎゃはっ、そのまさかだァ!!」バッ


吹寄「能力使用モードが――」

土御門「回復してる……!?」



ギュオオオオオオオオオオオン!!



B外野1「な、なんなんだあの挙動はっ!?」

B外野2「回転だ! ものすごい勢いで回転しているんだ!!」


土御門「ぐっ、動きがまったく読めな――」



バシッ



土御門「ぐおっ!?」



キュイーン! ボッ!!



吹寄「――えっ」



バシッ



吹寄「あぐっ!」


306: 2013/04/02(火) 17:57:09.40 ID:NfqZ2lpJo



B外野1・2『だ、だ、だ、ダブルアウトだとぉぉぉぉっ!?』



青ピ「キミらぁ何しにきたんほんまマジで」


一方通行「オマエらからしたら『ただ常套手段だから外野対外野の挟み撃ちをした』よォにしか見えねェかもしれねェが実は違う」

一方通行「あれはオマエら二人を一箇所に固めるよォに誘導するための作戦だったンだよ」

一方通行「俺のベクトル操作の回転球でいいよォにダブルアウトできるようにな」


黄泉川「というか何でお前能力使えるじゃん!」

一方通行「あァ? そりゃもォ授業の時間が終わってるからだろ」カチ

一方通行「どォせアレだろ。この時間帯を能力制限してくれってきっちり伝えたンだろ」

黄泉川「そ、そうだけど……」

一方通行「アイツらだって馬鹿じゃねェ。言われた仕事はきっちりこなす。だから予定通りチャイムがなった瞬間俺に能力が返ってきたわけだ」

吹寄「くっ、こんなところまで計算してドッジボールをしていたということか……」

土御門「にゃー、いつもどおり余裕勝ちできると思ったんだけどにゃー」

一方通行「ぎゃはっ、そォいうわけだ。能力使用モードに許可が出た時点でオマエらの負けは確定していたっつゥわけだよ」


結標「だったら次から授業終了後五分ぐらいまで能力使用モード制限すればいいんじゃないの?」


一方通行「えっ? 何だって?」


黄泉川「そうじゃんね。じゃあ次からそういうことで」


一方通行「えっ? 何だって?」


上条「諦めろよ一方通行」ポン


一方通行「……不幸だ」



――――



307: 2013/04/02(火) 18:00:49.07 ID:NfqZ2lpJo

今回はここまでにしたいと思います
ここまで見てくださった皆さんありがとうございました

実際にできるかどうかわからん超絶理論が働いていた気がしたけど気にしない方向でお願いします
雪合戦以来の効果音バトルで書く方はいいストレス解消にあったわww

       カミノビータ
次回『11.一方増毛』


一スレ目で誰かが提案していた案を使うときがきたぜ
ではではノシ

309: 2013/04/02(火) 18:18:09.92 ID:WATEqlPx0


なお座標移動よりテレキネシスさんが頑張ったもよう

315: 2013/04/06(土) 09:39:03.87 ID:WatOllkzo

.   カミノビータ
11.一方増毛


January Third Friday 12:30 ~昼休み~

-とある高校・一年七組教室-


結標「…………ねえねえ一方通行?」

一方通行「あン?」

結標「貴方ちょっと髪の毛伸びすぎじゃない?」

一方通行「ハァ?」

結標「だって襟足とか肩を乗り越えて背中ゾーンにまで侵入しているんだもの」

上条「言われてみればそうだな。後ろから見れば普通に女子、って感じだしな」

姫神「転入した時と比べれば。かなりのスピードで伸びてる」

土御門「というかいくらなんでも伸びるスピード早過ぎないかにゃー?」

上条「このままほっとけば普通に腰ぐらいまで伸びるんじゃねえか?」

吹寄「……たしか男の人って髪の毛は肩ぐらいまでが伸びる限界じゃなかったかしら?」

一方通行「いや、たぶン俺には関係ねェと思うぞ。もともとこの能力のせいでホルモンバランス狂って男か女かわからねェ体になってンだよ」

上条「……つまりどういうことだ?」

一方通行「だから男だからとか女だからとか基本関係ねェっつゥことだ。たぶン髪の毛普通にこれからも伸び続けるンじゃねェか?」

青ピ「……ふむ、つまりアクセラちゃんはリアル男の娘――」


ゴッ


青ピ「」バタッ

上条「青髪ぃ!」

土御門「それは言っちゃいけないことだったにゃー」


316: 2013/04/06(土) 09:39:55.99 ID:WatOllkzo


結標「まあ、そういうわけで髪の毛切ったほうがいいんじゃない?」

一方通行「面倒臭せェ。別に長くても困らねェだろォが」カチ

上条「うっとおしくねえのか?」

一方通行「昔から長かったからな。もォ慣れた」

吹寄「昔も放置していたわけ?」

一方通行「気が向いたら切ってた。まァでも腰まで伸びたことはねかったと思うが」

姫神「いっそのこと伸ばし続けてギネス記録を目指してみるのは?」

土御門「たぶん受理されないと思うぜい。何たってここは学園都市。オリンピックにパワードスーツ着た人が出場した時みたいな視線を受けると思うにゃー」

一方通行「大体伸ばすつもりはねェよ面倒臭せェ」

結標「だったら切りなさいよ」

一方通行「……面倒臭せェ」

上条「面倒臭せェ言い過ぎだろ」

結標「……こうなったら私が直々に切ってやりましょうか……」シャキーン

一方通行「結標さァン。危ないから刃物を持つのをやめてくださいませンかねェ」

結標「冗談よ冗談。じゃあ髪の毛全部テレポートで抜き去ってしまいましょうか?」

一方通行「オマエが手ェ加えるってところが変わってねェンだが……」


―――
――



317: 2013/04/06(土) 09:41:15.55 ID:WatOllkzo


同日 19:00

-黄泉川家・食卓-


黄泉川「うーん、たしかに伸びたって言ったら伸びてるじゃんね」

芳川「そうねえ、知らない人が見たら女の子に間違えてもおかしくないくらいは長いわね」

打ち止め「うーん、ミサカはどっちでもいい気がするけど、ってミサカはミサカは今食べてるカレーライスの方に夢中になってみたり」パクパク

結標「はい、多数決で髪を切ることに決定しましたー」


黄泉芳川打止『わー』パチパチパチ


一方通行「オイ待て」

結標「何?」

一方通行「何だこれ。多数決っつっても誰も行くとは言ってねェぞ」

結標「残念ながら貴方に決定権はありませーん」

一方通行「その垂れ下がった髪の毛一束引き抜くぞコラ」

打ち止め「まあいいんじゃないかなイメチェンってことで、ってミサカはミサカは適当に言ってみたり」モグモグ

一方通行「イメチェンだァ?」

打ち止め「うん。あっ、ちなみにミサカネットワーク内でアンケートとってみたら約三割が切った方がいい、一割が切らなくていい、残りがどうでもいいだったよ」

一方通行「果てしなくどォでもイイ情報アリガトウ」


318: 2013/04/06(土) 09:41:58.03 ID:WatOllkzo


黄泉川「じゃあとりあえずこれ渡しとくな」スッ

一方通行「あァ?」


つ千円札×2


一方通行「……何で二千円?」

黄泉川「安いところならそんなもんだろ?」

一方通行「床屋じゃねェンだぞ! さすがの俺でも美容院ぐれェ行くぞォ!?」

黄泉川「別にいいじゃん床屋でも」

一方通行「ふざけンじゃねェ! 誰がスポーツ刈りなンかにするかよ!」

芳川「一方通行のスポーツ刈り……ぷぷっ、いいわねえ、やりなさいよ」

一方通行「ハイさっきの反応でやらない決心がさらに固くなりましたァ」

芳川「いいじゃない。どうせキミのことだから驚異的スピードでまた髪の毛伸びるんでしょ?」

一方通行「髪は元に戻っても俺の傷ついた心は元には戻らないンですけどォ?」

結標「貴方が傷ついた心とか言うと面白いわね」

一方通行「わかってンだよ。こちとらテメェらのボケを裁くのに必氏なンだよ」

結標「スルーすればいいのに」

一方通行「うるせェ」

打ち止め「まあでも、あのときのあなたの髪型をもう一度見てみたい気もするなー、ってミサカはミサカはあの夏のころを思い出してみたり」

一方通行「あァ、あの時のか……つゥかオマエはミサカネットワーク上に記憶が転がってるから見放題じゃねェのかよ」

打ち止め「ミサカは今のあなたが見たいの、ってミサカはミサカは正確に答えてみたり」


319: 2013/04/06(土) 09:43:21.56 ID:WatOllkzo


一方通行「……ハァ、わかったわかった。明日休みだから切りに行ってくる」

結標「やっぱり貴方って打ち止めちゃんには弱いわよね」

一方通行「弱くねェよ。あとこれはたまたまだ。たまたま気が変わって髪切りに行く気になっただけだ」

結標「はいはいそうですね、たまたまですよねたまたま」

一方通行「ンだァ、その癇に障る態度はァ」

芳川「まあキミのツンデレっぷりは今に始まったことじゃないしね」

一方通行「誰がツンデレだってェ?」

芳川「そろそろ認めたら? 『私はツンデレです』って」

一方通行「そンなに氏にてかったのか芳川ァ。悪りィな気がついてやれなくて」カチ

芳川「あら、ちょっと今日は沸点低いわよ? 落ち着いたらどう?」

打ち止め「やっぱりあなたっていじられることで輝けるよね、ってミサカはミサカはあなたの役割を分析してみたり」

一方通行「これは俺の役割じゃねェ。どっちかと言ったらあの三下の役割だ」

打ち止め「でもスキー旅行の時はあなたは結構いじられてたよね。あの二人に」

一方通行「うるせェぞクソガキ!」

黄泉川「そうだ一方通行。髪切るなら第七学区のはずれに安い店があるじゃんよ。なんと千円で全部やってくれるじゃん」

一方通行「だから角刈りにもしねェっつってンだろォが!」


―――
――



320: 2013/04/06(土) 09:44:35.11 ID:WatOllkzo


January Third Saturday 10:00

-第七学区・街頭-



一方通行「…………あン?」


一方通行「あれ? たしかここじゃねかったっけか、俺の行き着けの美容院」

一方通行「美容院どころか建物すらねェンだけど」

老人「これこれ、そこの方」カツンカツン

一方通行「あン?」

老人「こんなところで立ち尽くして何をしておられるのじゃ?」

一方通行「……オイジイさン、ここらに美容院がねかったか? ひっそりとやってた小せェ店なンだけど」

老人「ああー、あの店なら潰れたよ」

一方通行「は?」

老人「最近は不景気じゃからのぉ、社会の荒波に流されたということかのう」

一方通行「……チッ、ふざけてやがンな」

老人「……そうじゃ若者。髪を切るならここの近くにある床屋がええぞ。千円で全部やってくれる」

一方通行「俺ァ床屋には行かねェよ」

老人「おっほっほっほ、実はあそこの見せにはむふふな本が置いてあるんじゃよなー」

一方通行「どォでもイイ」

老人「なんじゃ、お前さんのは髪の毛と一緒に枯れ果ててしもうとんか?」

一方通行「何一つ枯れ果ててねェよ! イイ加減黙らねェと残り少ない希望を全部引き抜くぞォ!?」

老人「おうおう怖い怖い。それじゃーのー」カツンカツン


一方通行「チッ、うっとォしいジジィだぜ」

一方通行「…………」

一方通行「さて、どォすっか……」

一方通行「…………」

一方通行「とりあえずあそこかァ」ガチャリガチャリ


―――
――



321: 2013/04/06(土) 09:45:34.55 ID:WatOllkzo


同日 10:30

-第七学区・とある公園-



ピッ、ガタン



一方通行「やっぱり疲れたときは公園のベンチで飲む缶コーヒーだよなァ」スッ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……うめェ」

一方通行「…………」

一方通行「さて、聞き込み調査といきますかァ」ピッ



-とある高校学生寮・上条の部屋-



プルルルル! プルルルル!



禁書「……とうまー! ケータイデンワーが鳴ってるよー!」


上条「悪りーインデックス! 今洗い物してて手ぇ離せねーから代わりに出てくれー!」


禁書「う、うん、わかったんだよ! ええっと……これだ!」ピッ

禁書「も、もしもしかみじょうです!」

一方通行『あァ? 何やってンだオマエ?』

禁書「その声はあくせられーただね? 何か用かな?」

一方通行『……アレ? 悪りィどォやら電話先間違えたよォだ』

禁書「これはとうまのケータイデンワーだから間違えてないと思うよ」


322: 2013/04/06(土) 09:47:49.78 ID:WatOllkzo


一方通行『じゃあ何でオマエが出てくンだよ』

禁書「今とうまは手が離せないんだよ」

一方通行『そォかよ』

禁書「何か用なら聞くけど」

一方通行『そォだな、少なくともオマエには用はねェから早く上条を出せ』

禁書「むー、あくせられーたは何でそんなに人に対して冷たくするような口調なのかな? 癖か何かなのかな?」

一方通行『癖じゃねェよ。これが俺自身を表すアイデンティティみてェなモンだ』

禁書「嘘はいけないんだよあくせられーた。あなたは本当はもっと優しい人でしょ?」

一方通行『…………氏ねクソシスター』

禁書「ほらっ、また誤魔化すようにわざと暴言を言った」

一方通行『…………』


上条「おーいインデックスー? 誰からだー?」


禁書「あっ、どうやらとうまの洗い物が終わったみたいなんだよ! 代わるねー」

一方通行『…………』

禁書「とうまー、あくせられーたからー!」

上条「一方通行? 何だこんな休みの日に……もしもし」

一方通行『よォ、やっと来たか三下ァ』

上条「……あれ? 何か怒ってませんか一方通行様?」

一方通行『怒ってなンかねェよ。それより聞きてェことがあンだけどよォ』

上条「何だよ」

一方通行『オマエ行きつけの美容院とかねェか?』

上条「美容院? 結局お前髪切るのか」

一方通行『理由は聞くな。早く教えろ』

上条「美容院かぁ……正直上条さんにはそんな場所に行くお金がないんですよ。だから第七学区のはずれにある千円でやってくれる床屋に――」

一方通行『またそこかよ! 流行ってンのかその床屋!』

上条「へっ、またって何だよ」

一方通行『チッ、手間かけさせたな。ああ、そォだ。テメェのところのクソシスターに百回氏ねって言っといてくれ。じゃあな』ピッ

上条「えっ、ちょ、まっ」


上条「…………」

禁書「あくせられーた何だって?」

上条「……お前、あいつに何言ったんだよ?」

禁書「ふぇ?」


―――
――



323: 2013/04/06(土) 09:50:15.89 ID:WatOllkzo


-第一一学区・とある倉庫-



スキルアウトA「ぐわっ」バタッ

スキルアウトB「がはっ」バタッ



土御門「……ふぅ、さてこちらリーダーシスコン軍曹! Bエリア制圧完了だにゃー」


『――ジジ――こちら海原。A、F、Gエリア制圧済みです』


土御門「おーおー、頑張るねー海原ちゃーん」


『からかわないでください――ジジジ――引き続きDエリアの制圧に向かいます』


『はいはーいこちら――ジジ――ありゃ、電波悪いねー、まいっか。Dは終わったから援護要らないよー』


土御門「だってな海原。他のエリアに行ってくれ」


『了解です――ジ――』


土御門「ほいじゃー、Cエリアはどうかにゃー?」


『――ジジジジ――はーいこちらCエリアー。とっくに制圧済みだけどメンドイから休憩中ー。どぞー』


土御門「……だったら休憩は終了だ。他のエリアの援護に向かえ」


『ええっー、だって普通に考えて私要らないじゃーん。他のヤツらで十分対処できるじゃーん』


土御門「リーダーの命令だ。行け」


『チッ、面倒臭せェ――ジジジジジ――おおっとっと! 馬鹿どもが物資取り戻しに来やがった。こりゃ撃退するしかねーよな?』


土御門「……わかった。引き続き防衛を頼む」


『あはっぎゃはっ!! 全員まとめて首フッ飛ばしてやっからかく――ジジジジジジジジジジジジジ』


324: 2013/04/06(土) 09:51:18.82 ID:WatOllkzo


土御門「…………俺も次のエリアにむか――」



ブーブーブー



土御門「電話? 誰からだ」ピッ

土御門「もしもし」

一方通行『おォ土御門。ちょっとイイか?』

土御門「何だアクセラちゃん? 休日だから俺に会えなくて寂しいのかにゃー?」

一方通行『馬鹿言ってンじゃねェよ。それより聞きてェことが一つある』


スキルアウトC「おらぁ! 氏ねー」バッ


土御門「何だ? 出来る限り手短に頼むぜい」スッ


スキルアウトC「何ッ!?」



パァンパァンパァン!



スキルアウトC「ぐはっ」バタリ


一方通行『……銃声か? 随分と楽しいそうなことしてンじゃねェか土御門』


スキルアウトD「へへへっ」

スキルアウトE「頃す」

スキルアウトF「絶対に逃がさない。絶対にだ!」


325: 2013/04/06(土) 09:53:24.55 ID:WatOllkzo


土御門「そういうわけだから早くしてくれないかにゃー? 怖いお兄さんたちに囲まれて俺っちちびりそうなんだぜい」

一方通行『じゃあ手短に言う。オマエの行きつけの床屋……じゃねェ美容院教えろ』


バキッ、ゴキッ


スキルアウトD「あべしっ!」


土御門「そりゃまた何でだ? 姉さんに言われたから切るのかにゃー?」

一方通行『結標は関係ねェよ。俺の意思だ』


ゴッ、ガギィ


スキルアウトE「ひでぶっ!」

土御門「ふむ、美容院かー。実は俺イギリスの美容院で髪切ってんだぜい」

一方通行『イギリスだァ? 似合わねェな。もっとマシな嘘つきやがれ』


ガシュ、ドッ


スキルアウトF「だばらっ!」

土御門「嘘じゃないんだぜい! こう見えて土御門さんはグローバルに活躍するスーパーマンなんだにゃー!」

一方通行『チッ、だったらそれを信じるとして、緊急事態で学園都市で切らねェといけなくなったときはどォする?』


スキルアウトG「うわあああああああああっ! 氏ねえええええええええええええええええええええっ!!」



ドカン、ドカン、ドカン!



土御門「チッ、ショットガンとは古臭いもん持ってきやがって……」

一方通行『あァ? ショットガンが何だって?』

土御門「何でもないにゃー。そうだなー、学園都市だったら第七学区の端っこにある床屋がお勧めだぜい」

一方通行『……オマエそれもしかして一回千円のところか?』


パァン、パァン、パァン!


スキルアウトG「おばぁ!」

土御門「そうそう。よく知ってるじゃないか、さすが第一位!」

一方通行『チッ、そのまま氏んでしまえ土御門。じゃあな』ピッ

土御門「えっ、ちょっとどういうこと!? アクセラちゃーん!?」


プー、プー


土御門「…………」ピッ

土御門「さて、こちら土御門。Eエリアクリアー」


―――
――



326: 2013/04/06(土) 09:54:07.42 ID:WatOllkzo


同日 10:40

-第七学区・とある公園-


一方通行「チッ、あァくそったれが。どいつもこいつも同じ店勧めやがって」

一方通行「どォせ青髪ピアスの野郎も同じこと言うのが目に見えてるからな」

一方通行「電話するだけ電話代が無駄だなくそったれが……」


一方通行「…………」

一方通行「ハァ、どォすっかなァ」


一方通行「ネットとかで調べて出ンのは大抵有名所。つまり人がクソ多いっつゥことだ」

一方通行「あンま人の多い場所で髪は切りたくねェンだよなァ。見世物でも見るよォな目でヤツらは見やがる」

一方通行「クソ、どォする……?」


??「……んん? まーたアンタかぁー」ハァ


一方通行「……あァ? またオマエか超電磁砲」

美琴「何でアンタはいつもいつもこの公園に現れるわけ?」

一方通行「そりゃァここは俺の休憩場所って決まってるからだろ」

美琴「ああそう……、で、今日は休日だけど何でこんなところにいるのよ?」

一方通行「なァ超電磁砲。俺の髪長げェと思うか?」

美琴「唐突ね。まあ長いんじゃない? 男の中で見たら……」

一方通行「そォか……」

美琴「どうしたのよ? 髪でも切るつもりなの?」

一方通行「まァな。別に切る必要はねェとは思ってンだけどなァ」

美琴「いや、さすがに切った方がいいと思うけど」


327: 2013/04/06(土) 09:54:52.32 ID:WatOllkzo


一方通行「で、いつも行ってた美容院に行ったら潰れててなァ、髪切る場所がなくて困ってンだよ」

美琴「……別に美容院くらい掃いて捨てるくらいあるじゃない」

一方通行「俺は人の少ねェ静かな場所がイインだよ」

美琴「アンタは髪切られるところは見られたくないって人?」

一方通行「馬鹿どもには見られたくねェな」

美琴「……まあ私もわからないことはないけど」

一方通行「自意識過剰かよ」

美琴「アンタには言われたくないわよ。というかレベル5なんだからちょっとぐらいそうは思ってもいいじゃない」

一方通行「そォだな。ところでオマエはどォいう美容院に行ってンだ?」

美琴「私? 私は学校指定の美容院よ」

一方通行「そォか。てっきり千円で行ける第七学区のはずれにある床屋にでも行ってるのかと思った」

美琴「何で私がそんなところに行かなきゃいけないのよ」

一方通行「あァくっそだりィ」

美琴「ふむ……!」ピカン

一方通行「どォした?」

美琴「そんなに静かな場所行きたいなら連れて行ってあげるわ」

一方通行「ハァ? どこだよそれ」

美琴「私の行ってるところよ。ちょっと変わったオッサンはいるけど結構静かな方よ」

一方通行「そォか。そりゃ助かるが、オマエの学校指定っつゥことは『学舎の園』の中っつゥことだよな」

美琴「そうだけど」

一方通行「俺は入れねェじゃん」

美琴「ふっふっふ、ここは美琴先生にまっかせなさーい!」

一方通行「ひどく不安になるのはどォしてだろォな」

美琴「というわけで私についてきなさい。それじゃあ美容院行く前にちょっとセブンスミスト寄るわよ?」

一方通行「……何で服屋?」

美琴「いいからいいからー♪」

一方通行「?」


―――
――



328: 2013/04/06(土) 09:56:34.03 ID:WatOllkzo


同日 11:20

-第七学区・セブンスミスト前-



ウィーン



美琴「さあて、服も着替えたことだし、早く学舎の園に行きましょ?」

???「……オイ」

美琴「何? 美琴さんセレクトの洋服が気に入らないって言う気?」

???「いや、そォじゃなくてよォ」

美琴「じゃあ何よ? ああ、学舎の園の許可ならさっきぱぱっと取ったから大丈夫よ安心して」

???「だから、そォじゃなくてよォ」

美琴「あっ、美容院の方もちゃんと予約取れたわよ。昼からならいつでもオッケーだって」

???「そォでもなくてよォ」

美琴「もーあんまり文句言われるといくら私でも怒るわよ?」

???「オマエは結構な頻度でキレてンじゃねェか。つゥか違う、そォじゃねェ」

美琴「だから何なのよ。ハッキリ言ってちょうだい」

???「――ェ」ボソッ

美琴「えっ? 何だって?」

???「――ねェ」ボソッ


美琴「ちょっと聞こえないんだけど。もうちょっとハッキリ言ってくれないかしら――鈴科百合子ちゃん?」




















一方通行(女装)「何で俺が女装してるンですかねェ、っつってンだよクソ野郎がァ!!」













――――


347: 2013/04/13(土) 21:32:13.90 ID:ErR3kOJdo


12.学舎の園


January Third Saturday 11:50

-第七学区・学舎の園入口-


美琴「さて、着いたわよ」

一方通行「どォしてこォなった」

美琴「はい、これ」スッ

一方通行「あン? ンだァこりゃ」

美琴「招待状よ。まあ、ちょっと簡易的なものだけど」

一方通行「コピー用紙……って簡易的にもほどがあるだろ」

美琴「しょうがないじゃない! 本当は学舎の園の中でちゃんと手続きしないと駄目なところを何とかしたんだから!」

一方通行「ハイハイそォですねェ……」

美琴「まあ、これをゲートの係員の人に見せれば難なく学舎の園に入れるわ」

一方通行「つゥかよォ、さすがにバレンだろ。見たこともねェよ、こンな声の低い女なンざ」

美琴「喋らなかったらいいんじゃない?」

一方通行「常盤台のお嬢さまは無理難題をおっしゃる」

美琴「冗談冗談。とにかく声を限界まで高くしたら?」

一方通行「だからバレるだろ(裏声)」

美琴「ぷっ、たしかにこれは……」


348: 2013/04/13(土) 21:34:16.08 ID:ErR3kOJdo


一方通行「チッ、仕方がねェな……」ピッ

美琴「ん? 携帯なんか出してどうする気? まさかボイスチェンジャー機能でも使うんじゃないでしょうね?」

一方通行「ンなモン使ったところで逆に怪しまれるだけだ。どっかの探偵漫画みたくマスクとかに仕込まねェとな」ピッピッ

美琴「じゃあ何なのよ」

一方通行「もっと出来のイイボイスチェンジャーだ」ピッ



プルルルルル、プルルルルルピッ



打ち止め『もしもしー? どうかしたの、ってミサカはミサカは電話越しのあなたに問いかけてみたり』

一方通行「一つ頼みがある」

打ち止め『唐突だね、何? ってミサカはミサカは耳を傾けてみる』

一方通行「能力使用モードに制限をつけてくれ」

打ち止め『制限? それって体育の時間に使ってるアレのこと?』

一方通行「ああ。ただし制限するものは違う。制限するのは――」


打ち止め『……ふむふむ、了解了解。じゃあそういう風に指令出しとくね、ってミサカはミサカは言われたことを実行してみたり』

一方通行「頼む」

打ち止め『じゃあ準備ができたらまた連絡するね、ってミサカはミサカは通話終了ボタンをポチっと――ツーツー』


一方通行「……さて」


美琴「…………誰と電話してたわけ?」

一方通行「あン? ただのクソガキだ」

美琴「打ち止めのこと? 何でまた」

一方通行「ちょっとな……」

美琴「えらく言葉を濁らせるわね、まあいいけど。で、結局その声はどうするわけ?」

一方通行「こォする――」カチ



キュイーン



一方通行「――あーあー(姫神ボイス)」

美琴「えっ!? こ、声が変わった!?」

一方通行「そォいうわけだ。これならさすがにバレねェだろ(以下姫神ボイス)」

美琴「た、たしかにこれならばれないと思うけど……一体どういう仕組みよそれ」


一方通行「声ってのはよォするに声帯を動かすことで起こる空気の振動だろ?」

一方通行「だったらその空気を伝わっていく振動を弄くってやれば、声の一つや二つ変えられるだろ」

一方通行「知ってるヤツの声の質を数値化して、それに合わせればあっという間にそいつと同じ声っつゥわけだ」

一方通行「まァさすがにオリジナルと同じ声を出すってのは難しいが、知らねェヤツならまずわからねェだろ」


美琴「へ、へー相変わらず無茶苦茶な能力よねーアンタのベクトル操作」


349: 2013/04/13(土) 21:35:17.41 ID:ErR3kOJdo



ピピピッ! ピピピッ!



一方通行「おっと電話か……」カチ


一方通行「もしもし(一方ボイス)」

打ち止め『もしもーし! ってミサカはミサカは元気に電話の挨拶をしてみたり』

一方通行「うっせェぞクソガキ。用意はできたか?」

打ち止め『うんバッチシだよ! でもね、一つ忠告しておかなきゃいけないことがあるの、ってミサカはミサカは人差し指を一本立てて言ってみる』

一方通行「立てられても見えねェよ。何だ?」

打ち止め『正直、この声のベクトル操作は結構演算が複雑で、杖なしモードに比べてかなり電力を消費しそうなの』

一方通行「制限時間が思い切り短くなるってことか」

打ち止め『そうそう。だいたい杖なしが十二時間なのに比べて、今回のはその四分の一……三時間くらいしか持続しそうにないよ、ってミサカはミサカは対比をしつつ説明してみる』

一方通行「あれ十二時間ももったのかよ」

打ち止め『何に使うか知らないけどそこんとこは気をつけてねー、ってミサカはミサカは忠告終了!』

一方通行「了解だァ。そォだ、お土産に高そうなケーキでも買ってきてやるよ」

打ち止め『えっマジでか!? ひゃっほーい!! ってミサカはミサカは突然のラッキーに胸を躍らせてみたり!』

一方通行「じゃあ切るぞ」

打ち止め『ケーキ楽しみにしてるよー、ってミサカはミサカは――』ピッ


一方通行「…………」

美琴「……電話終わったー?」

一方通行「ああ」

美琴「じゃあさっさと入るとしましょうか」

一方通行「ちょっと待て。一つ疑問があるンだけどよォ」

美琴「何?」

一方通行「鈴科百合子って何だよ? どっからこンな名前持ってきたンだァ?」

美琴「んーと、何となくよ何となく。何となく思いついたからそれを書き込んだけよ」

一方通行「オマエは何となくで鈴科って苗字が思いつくのかよ」

美琴「何よ、だったら田中花子とかいう前時代的な名前にしてあげましょうか?」

一方通行「正直名前なンざどォでもいい。こン中に入れれば問題ねェ」

美琴「なら聞かないでよ!」

一方通行「うっせェなァ、ちょっと気になっただけじゃねェか」

一方通行「つゥかこっちには時間がねェンだ。さっさと行くぞ超電磁砲(以下姫神ボイス)」カチ

美琴「ほいほーい、じゃあ私は先に行ってるわねー」タッタッタ


―――
――



350: 2013/04/13(土) 21:36:21.97 ID:ErR3kOJdo


-学舎の園・入り口ゲート-


係員「――はい、次の方」

一方通行「どォも」

係員「では招待状を出してください」

一方通行「お願いしまァす」スッ

係員「ええっと……常盤台中学二年生の御坂美琴さんに招待された、鈴科百合子さんね?」

一方通行「ハイそォです」

係員「うーん、これ仮招待状なんだけどね」

一方通行(仮招待状だァ?)

係員「一応だけどIDとかの確認させてくれないかな?」


一方通行(何ィ!?)

一方通行(オイオイ聞いてねェぞIDが必要なンてよォ、どォいうことだ超電磁砲ッ!?)

一方通行(大体、鈴科百合子なンて生徒は存在しねェ。イコールIDなンて存在しねェ)

一方通行(たしかに俺はIDは持ってはいるが、それは俺自身の……一方通行としてのID……!)

一方通行(出せば通報される、確実に通報される……いろンな意味で)


係員「?」


一方通行(どォする……、いっそベクトル操作を使って逃げ――いや無理だ、今は制限されている)

一方通行(普通に逃げても逆に怪しまれるだけだ、かといってID出しても変態扱いだ)

一方通行(くそったれが、俺は上条じゃねェっつゥのに何でこんな不幸なことにィ……!?)



351: 2013/04/13(土) 21:38:16.79 ID:ErR3kOJdo


係員「……ええと鈴科さん?」

一方通行「……は、ハイ!?」

係員「IDを出してくれないかな?」

一方通行「……え、えェと」

係員「もしかしてID忘れちゃったかな?」

一方通行「……! は、ハイ! そォなンなンすよID家に置いてきちゃって――」

一方通行(しめた……! 超電磁砲には悪りィがこれでここから脱出でき――)


係員「だったら登録番号とかわかる? 他にも携帯電話の電話番号とかでも大丈夫だけど?」


一方通行「」


一方通行(……お、終わった。俺の人生全てが終わった)

一方通行(くそったれが。俺はまだ何もできちゃいねェンだぞ? なのにこンな理不尽なことで……)

一方通行(……もォ覚悟決めるしかねェ)


一方通行「……じゃあ登録番号言います」

係員「はい――ッ!」ビクッ


一方通行「……×××――」


係員「――どうぞお通りください」


一方通行「○△□――……ハァ?」


352: 2013/04/13(土) 21:39:16.18 ID:ErR3kOJdo


係員「失礼いたしました。どうぞお通りください」

一方通行「通ってもイイのかよ?」

係員「大丈夫です。どうぞお通りください」

一方通行「? ならそォさせてもらう」

係員「ごゆっくりどうぞ」

一方通行「…………」ガチャリガチャリ


一方通行(何だァ? 急に対応が変わりやがって、どォいうことだ)

一方通行(さっきまであンなに一生懸命身分照明を求めてきてたのによォ)

一方通行(まるで人格が変わったかのよォだったな……)

一方通行(そして一瞬だけだが感じたあの感覚は……)


一方通行「…………」

一方通行「チッ、まァイイ。俺ァ上条じゃねェからな」

一方通行「どォやら俺には幸運の女神様が味方についていたらしい」

一方通行「…………」

一方通行「チッ、くっだらねェ」ガチャリガチャリ


―――
――



353: 2013/04/13(土) 21:40:16.97 ID:ErR3kOJdo


同日 12:10

-学舎の園・エントランス-



美琴「…………遅い」ブツブツ



一方通行「待たせたな」ガチャリガチャリ

美琴「遅い! たかがゲートくぐるだけでどんだけ時間かけてんのよ!」

一方通行「うるせェよ! 大体こっちはなァ、オマエのせいで危うく変質者にされかけてたンだぞ!」

美琴「? どうしたのよ」

一方通行「オマエのくれた招待状はどォやら仮だったよォでなァ、この場合IDの提示が必要って話じゃねェか!」

美琴「…………ああー、たしかそうだったわねえ、あはは」

一方通行「あはは、じゃねェよ」

美琴「ごめんごめん。じゃあお詫びにお昼奢ってあげるから、ね?」

一方通行「そンなモンで許してもらえると思ってンのか? つゥか昼飯って何だよ?」

美琴「何、ってもう十二時過ぎてんだからお昼ご飯食べるのは当たり前でしょ?」

一方通行「言ったよなァ、俺には時間がねェって」

美琴「別にいいでしょ? 髪切るのだってそんな時間かかんないし。パーマとかかけたりするんなら話は別だけど」

一方通行「つっても二時間ぐれェかかるじゃねェか!」

美琴「それじゃあどこ行く? パスタとかどうよ? それかラザニアとか」

一方通行「人の話を聞け超電磁砲っ! つゥかそれ両方パスタだろォが!」

美琴「早くしないと置いていくわよー?」タッタッタ

一方通行「何ィ? 待ちやがれクソガキが!」ガチャリガチャリ

一方通行「……ったく、あのコイツといいあのクソガキといい、どォしてこォ人の話をかねェンだよ」

一方通行「チッ、さすがは遺伝子レベルで同じ姉妹だけあるってかァ、くそったれが……」


―――
――



354: 2013/04/13(土) 21:42:10.77 ID:ErR3kOJdo


-学舎の園・街頭-


美琴「……うーん、やっぱりこの時間はどこも混んでるわねー」テクテク

一方通行「……オイ」ガチャリガチャリ

美琴「何? 百合子ちゃん」

一方通行「今さらだけどよォ、ここって制服着とかねェといけねェンじゃねェのか?」

美琴「どうして?」

一方通行「さっきから目に入るヤツらのほぼ全員が制服着てンじゃねェか。そォ思ってもしょうがねェじゃねェか」

美琴「よっぽどみすぼらしい格好じゃなきゃ大丈夫よ。何のためにこの美琴様直々に洋服を選んでやったと思ってるのよ」

美琴「それにそんなんじゃ制服がない大学生とかはここに入れないってことになるでしょ? まあ、スーツ着て来いって言われたらしょうがないけど」

一方通行「まァアレだな。どちらにしろ目立って敵わねェな。ジロジロと馬鹿どもが見てきやがる」

美琴「服装もそうだけど、アンタのその頭からして目立ちまくりじゃない。それに変わった杖とか使ってるし」

一方通行「うっとォしい」

美琴「まあいいじゃない。目立つのとか慣れてるんじゃないの?」

一方通行「ンなわけねェだろ。いつも目立たねェよォに裏路地とか通ってンだよ。その代わりにクソ野郎どもによく出会うわけだがな」

美琴「あ、それ私もわかるわ。ことあるごとに絡んできやがるわよね、アイツら」

一方通行「俺とオマエじゃ絡む目的が違うだろォがな」

美琴「でもそのおかげであの馬鹿と出会えたわけなのよね……」

一方通行「相変わらず人助けに熱心な三下なこった」

美琴「あの頃のことを思い出すだけで……何だかムカついてきたわ」ビリッ

一方通行「何があった、オマエらの初遭遇時」


355: 2013/04/13(土) 21:43:04.96 ID:ErR3kOJdo


美琴「ところで何か食べたいものの希望とかある? 大抵のものなら学舎の園の中で食べられると思うけど」

一方通行「時間のかからねェモン」

美琴「ならカップ麺でも食ってなさいよ」

一方通行「できることならそォするが」

美琴「少しは食事を楽しむということを心掛けたらどう?」

一方通行「不味くなけりゃどォでもイイわそンなモン」

美琴「はぁ……だったら空いてるところを適当に入るとしましょ」

一方通行「何ならメシ抜きでも俺は生きていける」

美琴「私はちゃんと食べたいのよ! 別に今ダイエットとかしてないし……」

一方通行「ダイエットしてるときでも食った方がイイと思うがな。栄養失調起こして倒れたりしたら元もこォもねェし」

美琴「今さっきお昼抜きでもいいって言ったヤツのセリフとは思えないわね」

一方通行「食わないといけねェものを食わねェのと、食わなくてもイイものを食わねェのは大きく違うぞ」

美琴「まあたしかにそうだけど……って、今はそういう話をしてるんじゃない!」

一方通行「ハイハイそォですねェ……っと、あそこ空いてンじゃねェか?」

美琴「ええっと……喫茶店か。ま、いっか」

一方通行「ちなみにオマエは何がよかったんだ? パスタか?」

美琴「別に何でもよかったわよ。ただ学舎の園にはおいしいパスタが食べられる店があるからどうかなって勧めてみただけよ」

一方通行「パスタが食いてェならそォ言えばイイのに」

美琴「だ・か・ら・何でもよかったって言ってるでしょう!」ビリッ

一方通行「危ねェ! 今反射使えねェンだぞ!? 頃す気か!」

美琴「だ、大丈夫よ! ちゃんと手加減はしてるから…………せいぜい五万ボルトくらいよ」ボソッ

一方通行「何だかスタンガンクラスの電圧が聞こえたのは気のせェですよねェ!?」


356: 2013/04/13(土) 21:43:53.92 ID:ErR3kOJdo


美琴「い、いいから行くわよ!」ガシッ

一方通行「引っ張ンじゃねェ! こっちは杖付きなンだから変に引っ張ンじゃねェ、こけンだろォおあァ!?」



バタン



美琴「あっ」

一方通行「…………」ムクッ

美琴「え、ええと……ごめん」

一方通行「オマエ頃す」カチ

美琴「あ」



一方通行「って能力使えねェンだったァああああッ!?(一方ボイス)」



ざわ……ざわ……


一方通行「……あン?」

美琴「ちょ、ちょっと声戻ってるわよ!? 能力能力!(小声)」

一方通行「おっと」カチ

一方通行「あーあー(以下姫神ボイス)」

一方通行「よし、これで問題ねェ」

美琴「ふぅ、危ないところだったわね。これはボロが出る前に学舎の園を出たほうがいいかもね」

一方通行「当たり前だろォが。ここに居続けることは俺にとってリスクしかねェからな」

美琴「じゃあちょっと急ぐとしましょ」

一方通行「そォだな。つゥことでとっとと美容院に……」

美琴「お腹空いたから早く喫茶店に行きましょ!」ガシッ

一方通行「急がなきゃいけねェってわかってンなら急がせてくれませンかねェ!? あと引っ張ンじゃねェ、イイ加減学習しろゴルァ!」


―――
――



357: 2013/04/13(土) 21:44:28.82 ID:ErR3kOJdo


同日 12:20

-学舎の園・とある喫茶店-



店員「ご注文をどうぞ」



美琴「サンドイッチのスタンダード一つ、あと飲み物にミルクティーをお願い」

一方通行「アイスコーヒー」

美琴「……アンタ料理のほうは?」

一方通行「いらねェ、コーヒーだけで十分だ」

美琴「お腹空いても知らないわよ?」

一方通行「いらねェ心配してンじゃねェ。必要ねェンだよ俺には」

美琴「……まあいいけど」


店員「サンドイッチのスタンダードがお一つ、ミルクティーがお一つ、アイスコーヒーがお一つでよろしいでしょうか?」


美琴「うん、大丈夫よ」


店員「かしこまりました。では少々お待ちください」ペコスタスタ


美琴「…………アンタ、ホントに食べるもの頼まなくて大丈夫なわけ?」

一方通行「しつけェな、大丈夫だっつってンだろ」

美琴「まあいいならいいんだけど。というかお詫びに昼食奢ってあげるって話だったじゃない?」

一方通行「そォいやそォだったなァ」

美琴「つまり私はアイスコーヒー一杯しか奢らないってことになるわよね?」

一方通行「そォなるな」

美琴「…………」

一方通行「…………?」


358: 2013/04/13(土) 21:46:01.67 ID:ErR3kOJdo


美琴「……はぁ、ま、別にいいけどね」

一方通行「何言ってンだオマエは?」


店員「お待たせいたしました。ミルクティーとアイスコーヒーでございます」スッ


美琴「ありがと」

一方通行「ン」


店員「サンドイッチのほうはもう少しお待ちください」ペコスタスタ


美琴「はいストロー」スッ

一方通行「いらねェ」ズズズ

美琴「ちょ、そのまま飲むの?」

一方通行「悪りィかよ」

美琴「缶コーヒーとかコーヒーカップとかならいいけど、そのグラスで直飲みはちょっと……」

一方通行「オマエはわかってねェ。コーヒーっつゥモンはこォやって少しずつ口に含ンでゆっくりと味わっていくモンなンだよ」

美琴「聞くだけなら一流っぽい飲み方ね。でもそれならストローで飲んでも大丈夫じゃないの?」

一方通行「ストローだったら一度に口に入る量が変わるだろォが」

美琴「そんなに変わらないわよ」

一方通行「わかってねェなァ、超電磁砲……」ヤレヤレ

美琴「ぐっ、別に負けてはないのに何これムカつく……てかそういう細かいとこまで見なきゃ第一位として君臨できないわけ?」

一方通行「ンだァ? オマエ第一位にでもなりてェのか?」

美琴「別にぃ、なりたいなんて思わないわよ。私は第三位くらいでちょうどいいわ」

一方通行「そォだな。オマエはこれくらいが限界だ」

美琴「何よ? 私はこれ以上上がりませんよとでも言う気?」

一方通行「……まァな。アイツとオマエじゃ差がありすぎる」

美琴「アイツって第二位のこと?」

一方通行「そォだ」

美琴「……どんなヤツなの第二位って?」

一方通行「何つゥかアレだ。自分を最強とでも思ってるよォなナルシストクン?」

美琴「それだけ聞くと滑稽に聞こえるわね」

一方通行「だが、能力は最強クラスのチカラだろォな。応用性で言えば俺と同等……いや、俺以上かもな」

美琴「ふーん、何でもできるアンタのベクトル操作の能力より万能ねえ、想像もつかないわ」

一方通行「まァ、ソイツはオマエとは一生縁のねェところで生きているヤツだ。別にする必要もねェよ」

美琴「…………」ズズゥー

一方通行「…………」ズズズ


359: 2013/04/13(土) 21:47:03.12 ID:ErR3kOJdo


美琴「……ねえ、一つ聞いていい?」

一方通行「何だ?」


美琴「超能力者(レベル5)に八人目って本当にいるの?」


一方通行「…………」

美琴「どうなのよ」

一方通行「……どこで聞いた」

美琴「噂好きの友達がいてね、その子からちょっと」

一方通行「そォか……で、何で俺に聞いてくる」

美琴「アンタ前私に聞いてきたじゃない。超能力者(レベル5)って何人だったか、って」

一方通行「……あァ、あの時か」

美琴「実はそのとき知ってたんじゃないの? その八人目のことを」

一方通行「…………」

美琴「で、信じられないから私に聞いてきた、違う?」

一方通行「…………」

美琴「…………」

一方通行「そォだな……」



一方通行「仮に俺が『いる』っつったらオマエはどォする気だ?」



360: 2013/04/13(土) 21:47:59.15 ID:ErR3kOJdo


美琴「…………」

一方通行「…………」

美琴「……別にどうもしないわよ、ただちょっと気になっただけ」

一方通行「……チッ、だったらそンなことでいちいち聞いてくンじゃねェ」ズズズ

美琴「で、結局いるのいないのどっち?」

一方通行「どォでもよかったンじゃねェのかよ」

美琴「どうでもいいとは言ってないじゃない。気になるものは気になるし」

一方通行「……ったく、面倒臭せェな」

美琴「面倒臭いって何よ!」

一方通行「そのままの意味だ」

美琴「ふーん、まあアンタがそこまで隠そうとするくらいだからいるんでしょうね。その八人目さん?」

一方通行「オマエがそォ思うンならそォじゃねェか? オマエン中ではな」

美琴「まあいいわ。いたところで私には関係ない話だし」

一方通行「……そォだな」


店員「お待たせいたしました。サンドイッチのスタンダードでございます」スッ


美琴「あっ、やっときたわね。もうお腹ぺこぺこよ」

一方通行「…………」ズズズ


店員「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」


美琴「大丈夫よ」


店員「ではごゆっくり」ペコスタスタ


361: 2013/04/13(土) 21:48:52.86 ID:ErR3kOJdo


美琴「いただきまーす」

一方通行「さっさと食えよ。俺には時間がねェンだ」

美琴「何よ、食事くらいゆっくりさせなさいよ」モグモグ

一方通行「それは今まで急いできたヤツのセリフだ」

美琴「急いであげたじゃない。時間短縮のために空いてる店に入って……」

一方通行「オマエやっぱりパスタの店行きたかっただろ? 絶対ェ根に持ってンだろ?」

美琴「別に持ってないわよ。パスタなんていつでも食べられるし」

一方通行「ったく、うっとォしい野郎だ……」ズズズ

美琴「うっとおしいとは何よ!」

一方通行「面倒臭せェ野郎だ」

美琴「誰が面倒臭いですって!?」

一方通行「うっせェよ、オマエだオマエ。つゥかメシの時間ぐれェ静かに──」


??「──あら? もしかして御坂さんじゃありません?」


一方通行「……あァ?」

美琴「……あっ、婚后さん! それに湾内さんと泡浮さんじゃない」


婚后「こんにちは御坂さん」

泡浮「こんにちは」ニコ

湾内「今日もいい天気ですね」ニコ


一方通行(ンだァ、常盤台の制服……っつゥことは超電磁砲の連れか?)


362: 2013/04/13(土) 21:49:41.76 ID:ErR3kOJdo


婚后「……あら? そちらの方はどなたかしら?」

美琴「ああ、私の……ええと、ちょっとした知り合いよ。今日は学舎の園の中を案内してあげてるのよ」

湾内「あら、そうでしたの。道理で見かけない方だと思いましたわ」

泡浮「お名前は何と言いますの?」

美琴「えっと、あく……じゃなくて鈴科百合子っていうの」

泡浮「鈴科さんですね。わたくし泡浮万彬と申します」

湾内「湾内絹保ですわ」

婚后「わたくしは常盤台中学二年の婚后光子です。以後お見知りおきを」

一方通行「……おォ」

美琴「婚后さんたちはここで何してたの?」

婚后「わたくしたちは今から昼食をとるためにこの辺りを歩いていましたの」

泡浮「先ほどまで少し雑事をしていたのでこの通り出遅れてしまいました」

湾内「空いているお店などを探していたら、偶然御坂様がお目にかかったので」

美琴「大変ね……そうだ! よかった一緒にどう?」

一方通行「え?」

泡浮「よろしいのですか?」

一方通行「え?」

湾内「それは助かりますね。ありがとうございます」

一方通行「え?」

婚后「ま、まあ、御坂さんがそこまで言うならやぶさかではありませんわ」

一方通行「え?」


―――
――



363: 2013/04/13(土) 21:50:07.83 ID:ErR3kOJdo


店員「お待たせいたしました。ハムエッグでございます」


湾内「ありがとうございます」ニコ

婚后「……ふむ、たまにはこういう店で食べるのも悪くはありませんわね」モグモグ

美琴「雑事って何やってたの?」

泡浮「常盤台への入学試験の準備の手伝いですわ」

美琴「あー、そういえばもうそんな時期ね。大変ねー」

湾内「いえいえ、これもよい経験ですわ」



ワイワイガヤガヤ



一方通行「どォしてこォなった」


一方通行(ありのまま今起こったを話すぜ。超電磁砲が美容院に連れて行ってくれるっていうからついて行ったらいつの間にか女子会が始まってた。何を――)


湾内「ところで鈴科さん」

一方通行「…………」ブツブツ

湾内「鈴科さん?」

一方通行「あ、あァ俺か。何だ?」

婚后「俺? 変わった喋り方をするのですね貴女」

美琴「あははー、そういうヤツなのよコイツー」


美琴「(アンタ少しぐらい口調変えなさいよ! 一応女子って設定でしょうが!)」ボソ

一方通行「(うるせェよ。俺のアイデンティティであるこの口調に文句付けてンじゃねェよ)」ボソ

美琴「(自分の声を女子に変えてるヤツのセリフとは思えないわね)」

一方通行「(緊急事態だからしょうがねェだろォが)」

美琴「(だったら口調も変えなさいよ、緊急事態なんだから!)」


364: 2013/04/13(土) 21:50:51.28 ID:ErR3kOJdo


湾内「……あ、あの」

一方通行「あ、あァ悪りィ何だ?」

湾内「鈴科さんは高校生なんでしょうか?」

一方通行「……ああ、そォだが。どォしてだ?」

湾内「いえ、女性にしては身長がお高いと思いまして」

泡浮「たしかにそうですわね。モデルさんのようですわ」

一方通行(そりゃまァ男だしなァ)

婚后「わたくしはてっきり大学生かと思いましたわ。制服ではなく私服を着ておられるので」

一方通行「あァ……制服はアレだ。クリーニングに出してンだよ」

婚后「こんな時期にですか?」

一方通行「あ、アレだアレ。ドブに落ちたンだよドブに」

美琴「ぷっ」

一方通行「何だよ」ギロ

美琴「ごめんごめん、何でもないわぷぷっ」

一方通行(あとで覚えてろよこのクソガキが)

湾内「それは災難だったですわね」

泡浮「月曜日までに間に合うといいのですが」

一方通行「オマエらが気にすることじゃねェよ」


365: 2013/04/13(土) 21:51:34.99 ID:ErR3kOJdo


婚后「ところで鈴科さんはわざわざ学舎の園まで何をしにきたのでしょうか?」

一方通行「髪を切りにきた」

婚后「髪?」

一方通行「ああ、髪」

婚后「……それだけですか?」

一方通行「それだけだ」

湾内「わざわざここに来たのですから、どこの美容院にいくか決めておられるのですか? ここにはたくさん美容院がありますよ」

美琴「ああ、それは常盤台指定のあそこに連れて行くつもりよ」

婚后「え゛っ、あそこですか?」

一方通行「あン? 何だその反応はァ?」

湾内「ええと……あそこの店主がちょっと」

一方通行「どォいうことだ?」

泡浮「わたくしたちの行く学校指定の美容院があるのですが、そこの店主がちょっと変といいますか、油断ならないと言いますか……」

婚后「本当にあの時は危なかったですわ。危うくこの綺麗な黒髪が虹色アフロヘアーに変えられるところでしたもの」

一方通行「……オイ、超電磁砲?」

美琴「な、何よ?」

一方通行「何つーところに連れて行くつもりだったンだオマエは……!」

美琴「べ、別にいいじゃない! たしかにあの人はちょっと変かもしれないけどそれでも腕は確かよ! 店もそんなに人が多いってわけじゃないし」

一方通行「ふざけンじゃねェぞアフロなンかにされた途端、俺の人生軽く詰むぞ!」

美琴「ちゃんとしてれば問題ないわよ……たぶん」

一方通行「たぶンって言ったよなたぶンって!?」


366: 2013/04/13(土) 21:52:11.22 ID:ErR3kOJdo


一方通行「……つゥか俺には時間がねェっつゥ深刻な問題があるンだよ。早く連れてけよその美容院とやらに」

泡浮「あらそうでしたの。それならこんなところで談笑している暇はありませんわね」

美琴「そうね。じゃあ私たちはそろそろ行くわ」

一方通行「やっとかよ」

婚后「鈴科さん。決して油断しないでくださいね。少しでも油断したらその綺麗な白髪が面白おかしくなってしまいますから」

一方通行「そォか。忠告アリガトよ」

美琴「じゃあここの支払いは私がやっとくからね」

湾内「そ、そんな悪いですわ」

美琴「いいっていいって。ついでよついで」

泡浮「それじゃあお言葉に甘えさせていただきますわ」

一方通行「俺ァ先に出とくぞ超電磁砲」

美琴「りょうかーい、ちょっとだけ待っててねー」

湾内「鈴科さん。短い時間かもしれませんが学舎の園をぜひ楽しんでいってくださいね」ニコ

泡浮「またお会いできるといいですね」ニコ

婚后「今度お会いした時に髪型が急激に変化していないことをお祈りいたしますわ」

一方通行「おォ」



一方通行(まァ、もォ二度と会うことなンざねェだろォがな……)



――――


375: 2013/04/20(土) 22:10:15.17 ID:aAe8VzjBo


13.美容院


January Third Saturday 13:00

-学舎の園・常盤台中学指定美容院-



ピヨピヨ



美琴「こんにちはー」

一方通行「……たしかにガラッとしやがるな」

美琴「あれ? あの馬鹿店主がいない……?」

一方通行「あァ?」

美琴「いつもならそこで携帯ゲームしてるんだけど、おーい坂島さーん?」

一方通行「……オイ、あそこでヘッドホンつけてパン食ってるアイツは何だ?」

美琴「ん?」



坂島「ふんふふんふふーん♪」シャカシャカ



美琴「…………おい」

坂島「ふふふーん……ん? あれ御坂ちゃんじゃーん? 来るの早くなーい?」

美琴「昼過ぎに行くってちゃんと連絡しといたじゃない」

坂島「ええー、まだ一時だよ一時ジャスト。学校とかならまだギリ昼休みっしょ?」

美琴「ここは学校じゃないでしょうが」


376: 2013/04/20(土) 22:11:26.44 ID:aAe8VzjBo


坂島「……で、そこに立っている白髪の子が御坂ちゃんのお友達?」

美琴「うん、静かで人の少ない美容院を希望してたから連れてきたわ。客を連れてきたんだから感謝しなさい」

坂島「ウチの店けなされた上に感謝を求められるとは思いもしなかったなぁ」

一方通行「…………」

坂島「じゃあそこに座って。ええっと――」

一方通行「鈴科だ」ガチャリガチャリ

美琴「じゃ、私はそこで雑誌でも読んでるから。何かあったら呼んでね」

一方通行「何かあったら、って何があンだよ」


坂道「ほいじゃー鈴科ちゃん、本日はどういう髪型に? 個人的にはアロンジュとかいいと思うなぁ、もちろん地毛で」

一方通行「俺は音楽家になるつもりはねェよ」

坂道「あれ? 一人称俺なんだ? 君面白いねぇ。あっ、髪飾り取っとくねー」ヒョイ

一方通行「人の口癖面白がってンじゃねェ」

坂道「君の声質一見大人しそうなのに、口調は結構荒いよね」

一方通行「もォ俺の口癖の話はするなうっとォしい」

坂道「つれないなぁ、じゃあとりあえずリーゼントとか似合いそうだからリーゼントね」

一方通行「一体さっきのやり取りだけでどォしてそンな前時代の遺物みてェな髪型の名前が出てくるンですかねェ?」

坂道「一人称俺プラスドスの利いた口調。これはもうリーゼントにするっきゃないでしょ」

一方通行「どォしてそォなる。普通に切れ、全体的に短くなるよォになァ」

坂道「えー切っちゃうのぉ? もしかして失恋しちゃった?」

一方通行「してねェよ! 変な勘を働かせてンじゃねェ!」


377: 2013/04/20(土) 22:12:14.07 ID:aAe8VzjBo


坂道「んーまあ短くするにしても、どれくらいか具体的に言ってもらわないとこっちも困っちゃうかなー?」

一方通行「……後ろ髪が肩にかからねェ程度だな」

坂道「わぉ、思い切っちゃうなぁ。もしかして心は男の子とかだったりするのかなぁ?」

一方通行「くだらねェこと聞いてンじゃねェよ。イイからとっとと切れ」

坂道「はいはーい、じゃあ切っちゃうねー」チョキチョキ

一方通行「…………」

坂道「…………」チョキチョキ

一方通行「…………」

坂道「……ところでパーマとかかけたりする? 今なら――」チョキチョキ

一方通行「だから切るだけでイイっつってンだろォが!」

坂道「ええっ、ほんと鈴科ちゃんここに何しに来たのぉ? 美容院に行って切るだけって」チョキチョキ

一方通行「別に構わねェだろォが」

坂道「それじゃあ俺がつまんないじゃん」サッサッ

一方通行「知るか」

坂道「いや、わりとマジで切るだけなら床屋とか行ったほうがいいよ? 美容院なんかより数段安いし」チョキ

一方通行「美容院の店主とは思えねェセリフだなァ」

坂道「そんな変わんないって、床屋でも切るのめっさうまい人とかいるし」チョキチョキ

一方通行「どォでもイイ」

坂道「ちなみに第七学区のはずれに一軒床屋があるんだけどさ。そこの店主がまた腕がいいんだわー」チョキチョキ

一方通行「……それってアレか? 一回千円でやってくれるってところ」

坂道「そうそう。しかしあのテクニックなら普通に万単位はとれるのに、随分と気前のいい店主だよねぇ、ほんと」チョキチョキ

一方通行「一体何なンだよその店はァ」


378: 2013/04/20(土) 22:13:48.56 ID:aAe8VzjBo


坂道「そういえば御坂ちゃーん?」

美琴「……何?」ペラッ

坂道「御坂ちゃんは髪切っていかないのー?」ジャキジャキ

美琴「いいわよ別に。私十二月に切ったばっかだし」

坂道「あー、そーいえばそーだったね。たしかあれはクリスマスデートの前だったっけねー」パッパッ

美琴「なっ!?」ガバッ

一方通行(……あァ、あの時か)

坂道「あのときの御坂ちゃんは乙女だったねぇ、結局どうだったのクリスマスデート」サラリ

美琴「でででデートじゃないわよ馬鹿! べべ別に、ただあのときは余ったチケットを消費したに過ぎないし、だから何にもあるわけないしぃ!」

坂道「そっかー、残念だったねぇー何もなくて」チョキチョキ

美琴「だからぁ! 何もないのが普通なんだってばぁ!」

一方通行「くっだらねェ」

坂道「鈴科ちゃんは恋愛とか興味なさそーだよね、御坂ちゃんと違って」チョキチョキ

美琴「何よ! その私が興味津々みたいな言い方!」

一方通行「……たしかにそォだな。恋愛なンざ考えたこともねェ」

坂島「もったいないねぇ、こんなに美人さんなのに」チョキリ

一方通行「ハァ!?」ビク

美琴「ぷっ」

坂島「でもねー、恋愛には興味なくてももう少し髪は丁寧に扱ったほうがいいと思うよ? 一見さらさらだけど実はダメージ結構受けてるよ?」サーサー

一方通行「ンなモンどォでもイイ」

坂島「髪は女性の命だよ? いい素材持ってるんだから大事にしなきゃ駄目だよー?」チョキチョキ

一方通行「……お、おう」

美琴「ぷぷぷっ」


坂道「……ところでさあ」

一方通行「あァ?」

坂道「鈴科ちゃんはチョンマゲ希望だったっけ?」

一方通行「さっき髪を大事にしろっつったヤツのセリフじゃねェだろそれ」


―――
――



379: 2013/04/20(土) 22:15:07.64 ID:aAe8VzjBo


同日 14:30

-学舎の園・街頭-



ピヨピヨ



坂道「また来てねー」ノシ



一方通行「……あァ、やっと開放された」

美琴「お疲れー、よかったわね普通に終わって」

一方通行「実際アフロとかにされたヤツいンのか?」

美琴「さあ? 私は見たことはないけど、たぶんないんじゃない?」

一方通行「あったら間違いなく問題になってるだろォしな」

美琴「何だかんだ言ってあのオッサンもプロだしね」


美琴「で、その髪型はあの時のか……」

一方通行「あァ、クソガキが見てェっつってたから仕方なくな」

美琴「ふーん、髪を切ったのは打ち止めのためだったのね」

一方通行「別にクソガキのためじゃねェよ。俺もそろそろ髪がうっとォしいと思ってたところだったンだよ」

美琴「切らなくてもいいと思ってるとか言ってなかったっけ?」

一方通行「……まァイイ。これで俺のミッションは終了だァ。あとは適当にケーキとか買ってここを出るだけだな」

美琴「打ち止めへのおみやげ? へー優しいとこあるじゃない」

一方通行「勘違いすンじゃねェよ。アイツにはこの電極のこととかで世話になってるからな。その借りを返すだけに過ぎねェよ」

美琴「ふーん、まあそれくらいなら付き合うわよ? こっちも暇だし」

一方通行「そりゃアリガテェこった。ならここから最短距離で行けるケーキ屋に連れて行ってくれ。面倒臭せェから」

美琴「何が面倒なのかわからないけど了解了解」


―――
――



380: 2013/04/20(土) 22:15:55.97 ID:aAe8VzjBo


同日 14:45

-学舎の園・とあるケーキ屋-


美琴「──ありゃりゃー、結構混んじゃってるわねー」

一方通行「チッ、面倒臭せェ」

美琴「まあもう三時近いからね」

一方通行「つゥかケーキってモンはこンなに種類があるモンなのかよ」

美琴「そりゃ学舎の園だし、外のお店とは段違いよ」

一方通行「さすがお嬢様学校の巣窟だけあって、無駄に高いモンのオンパレードだなァオイ」

美琴「まあ、そうでもしないと成り立っていかないところだし」

美琴「で、打ち止めにはどういうケーキを買ってあげるの?」

一方通行「アイツの好みなンざァ知ったこっちゃねェからな。特に決めてねェよ」

美琴「何かないの? 九月くらいからずっと一緒にいたんでしょ?」

一方通行「知らねェモンは知らねェよ」

美琴「うーん、だったら私が代わりに選んであげようか?」

一方通行「ハァ? 何でオマエが」

美琴「私の妹なんだから味の趣味嗜好は似通ってるはずでしょ? 多分」

一方通行「……そォいうのは普段の食生活によって変わンじゃねェのか?」

美琴「たしかにそうかもだけど、根本的なところは一緒なんだから大丈夫でしょ」

一方通行「まァ確かにそォだな。アイツもガキだからオマエと趣味が似通ってもおかしくはねェ」

美琴「まるで私がお子様趣味だと言わんばかりのセリフね」

一方通行「違うのか?」

美琴「違うわよ!」


381: 2013/04/20(土) 22:16:56.20 ID:aAe8VzjBo


美琴「じゃあ私が選んであげるから……というか私が奢ってあげるわよ」

一方通行「どォしてそォなる」

美琴「だってアンタお昼コーヒーしか頼んでないじゃない。何だか借りを返した気がしないのよ」

一方通行「別にオマエが気にすることじゃねェよ」

美琴「これはあくまで私の自己満足よ。大人しくアンタは奢られてなさいよ」

一方通行「……チッ、わかった、好きにしろ」

美琴「ちょっと待っててねー、すぐ選んでくるから」

一方通行「俺の電極の電池が切れる前には戻ってこいよ」

美琴「善処するわ」タッタッタ

一方通行「戻ってくる気ねェだろオマエ」


一方通行「……はァ、ケーキなンざ買ってくるなンて言わなきゃよかったかもなァ」

一方通行「まァ、それも今さらな話だがな」

一方通行「…………」

一方通行「あァ、コーヒー飲みてェなァ……」

一方通行「…………」




一方通行「……何の用だ第五位」ギロッ




食蜂「……ふふふ、あれぇ気付かれちゃってたぁ?」スッ


382: 2013/04/20(土) 22:18:39.72 ID:aAe8VzjBo


一方通行「オマエからはよくわかンねェが気持ち悪りィモンを感じンだよ、オマエ自身気付いてねェよォだがなァ」

食蜂「もぉうなんなのよぉ、乙女に向かって気持ち悪いなんて言ったらダメなんだゾ☆」

一方通行「うっとォしいから普通に喋れ」

食蜂「私はこれが普通の喋り方よぉ、操祈ちゃんの個性なんだゾ☆」

一方通行「だからそのうっとォしい語尾をやめろっつってンだろォが!」

食蜂「アナタの言ってることがよくわかんなーい。私はフツーに喋ってるのにぃ」

一方通行「消えろクソガキ」

食蜂「ひどぉい! それが恩人に対しての態度なのかしらぁ?」

一方通行「恩人だァ?」

食蜂「アナタが学舎の園の入り口で困っていたのを助けてあげたのは、実はこの私なんだゾ☆」

一方通行「……あの不自然な態度の変わりよォ、やっぱりオマエが原因か」

食蜂「あら気付いてたのぉ?」

一方通行「言っただろォが。オマエからは気持ち悪りィモンを感じるってなァ」

食蜂「……まぁ、そういうわけで、アナタが変態扱いされるのを免れることができたのも私の洗脳力のおかげよぉ、第一位さん?」

一方通行「ッ!?」キョロキョロ

食蜂「大丈夫大丈夫、安心してちょうだい。ここにいる人たち私たちを認識することはできない、そういう風に私がしたから♪」

一方通行「胸糞悪りィ能力だな」

食蜂「自覚はしてるわぁ、でもそーいうの関係ないわよねぇ? だって私の改竄力ならその胸糞悪いという感情を快感に変えることだって簡単なんだからぁ♡」

一方通行「そォかよ」

食蜂「ま、それでも例外はいるわぁ。例えばあそこでケーキを選んでる御坂さん。彼女のまとってる電磁バリアーが邪魔で私の干渉力を受け付けないのよねぇ」

食蜂「そしてアナタもその例外の一人よぉ。『反射』という絶対的な防御力を持つ一方通行さん?」

一方通行「…………」

食蜂「でもでもぉ、今はその圧倒的なチカラは使用不可。私がこのリモコンのスイッチを押すだけでアナタは操り人形状態」

一方通行「……で?」

食蜂「ん?」


383: 2013/04/20(土) 22:20:02.00 ID:aAe8VzjBo


一方通行「俺はどンなリアクションをとればイインだァ? 泣いて許しを請えばイイのかァ? 靴舐めて絶対服従宣言すりゃイイのかァ?」

食蜂「くすっ、それも面白いけどぉ、今はそんな気分じゃないわぁ」

一方通行「だったら何の用だ? 用がねェならとっとと失せろ」

食蜂「用がないと話しちゃいけないのかしらぁ?」

一方通行「いけねェなァ、生憎だが俺はオマエが大嫌いだからなァ」

食蜂「残念ね。私は結構アナタのこと好きなのにぃ」

一方通行「心にもねェこと言ってンじゃねェよ。精神系最強の能力を持ってンなら自分の心操ってからそォいうセリフ吐け」

食蜂「そうねぇ、次からはそうするわぁ」

一方通行「…………チッ」

食蜂「そーいえばどうしてアナタはこんなところにいるのかしらぁ? たしか甘いものは苦手じゃなかったぁ?」

一方通行「お得意の読心能力でも使ったらどォだ? オマエなら一発だろ?」

食蜂「ダメよぉ、アナタ今脳みその中空っぽにしてるでしょ? そーいうのはいくら私でも読めないわぁ」

食蜂「…………まぁでも」スッ

食蜂「私が本気を出せば表層から深層まで全ての心理を文字通り掌握することも可能よ。そんなにして欲しいならしてあげてもいいケドぉ?」

一方通行「…………」

食蜂「……ふふっ、今はやめておくわぁ」

一方通行「あン?」

食蜂「今やったら後ろにいるお姫様に怒られちゃいそうだもん☆」



美琴「……アンタぁ……!」ギリリ



384: 2013/04/20(土) 22:21:34.92 ID:aAe8VzjBo


食蜂「こんにちは御坂さん♪ 今日もいい天気よねぇ」

美琴「ふざけんじゃないわよっ! アンタはまた私の知り合いに……!」

食蜂「別にぃ何もしてないわよぉ。そんな言いがかりを付けられても私困っちゃうんだゾ☆」

美琴「この野郎っ……」ビリッ

食蜂「あっ、あと御坂さん。今はあんまり大声とか出さないほうがいいわよぉ」


アレハミサカサマトショクホウサマ? フタリシテイッタイナニヲヤラレテイルノデショウカ? ケンカデショウカ?


美琴「ッ!?」

食蜂「ちょっと手が滑って能力解除しちゃった。てへぺろ☆」

一方通行「オイ超電磁砲、少しは落ち着いたらどォだ」

美琴「でも……!」

一方通行「あァいうヤツと対峙するときは冷静になることだ。じゃねェと自分の足元すくわれかねねェからな」

美琴「…………」

食蜂「さぁて、そろそろ私もお暇しちゃおうかしらぁ?」

一方通行「さっさと俺の視界から消えろ」

食蜂「また会えるときを楽しみにしてるわねぇ、鈴科さん♪」

一方通行「そン時はそのうっとォしい口調を直せ。話はそれからだ」

食蜂「そのケーキ打ち止めちゃんに喜んでもらえるといいわねぇ」

一方通行「……ッ」

食蜂「くすっ、やっと心を見せてくれたわねぇ。ばいばぁい♪」タッタッタ



一方通行「……チッ、俺もまだまだだなァ。木原のクソ野郎のよォにはいかねェか」

美琴「…………食蜂操祈。一体何のためにコイツと接触しにきたってのよ」

一方通行「帰るぞ」ガチャリガチャリ

美琴「ちょ、ちょっとアンタ待ちなさいよ! 急にどうしたのよ!」タッタッタ



ピーピーピー!!



美琴「……ん? これ何の音?」

一方通行「そォだな。言うならシンデレラの魔法が切れる鐘の音みてェなモンだな」

美琴「うわっ、似合わない言い回しね……」

一方通行「わかってンだよ、言われなくてもなァ!」

美琴「要するにその電極の時間切れの合図ってことでしょ?」

一方通行「そォいうわけだ。つゥことで今から外に出るまで喋らねェから」

美琴「わかったわ。じゃあ行きましょ、外の世界へ」

一方通行「ああ」カチ


―――
――



385: 2013/04/20(土) 22:22:13.19 ID:aAe8VzjBo


同日 15:15

-第七学区・とある公園-


一方通行「……あァ、やっとクソみてェな女物の服から開放されたわ」

美琴「お疲れー、こっちからしたらまさかアンタが女装をしてくれるなんて思ってもみなかったわ」

一方通行「そォだな。俺もンなこと思ってもみなかった」

美琴「でも結構似合ってたわよー、最後の性悪女以外はみんな気付いてなかったようだし」

一方通行「嬉しくもねェよ、ンなこと褒められてもよォ」

美琴「しかし着てた服全部捨てるなんてもったいないわね。普通に持って帰ればいいのに」

一方通行「馬鹿言うな。あンなモン持って帰った瞬間、皆から軽蔑の視線を送られるのは俺なンだぞ」

美琴「……彼女のプレゼント! とかにすれば?」

一方通行「ンなモンいると思うか?」

美琴「いないんじゃない?」

一方通行「即答かよ」

美琴「だってそんなのいたら私なんかとこんなことしないでしょ?」

一方通行「そォいうモンか?」

美琴「そういうもんでしょ?」

一方通行「……ハァ、まァ俺には縁のねェ世界の話だけどな」

美琴「もしかしたらあの馬鹿と一緒で自分だけが気付いてないだけ、って可能性もあるわよ?」

一方通行「……そォかもな」

美琴「うわっ、否定しないの?」

一方通行「否定しよォがしまいが関係ねェよ。言っただろ、俺には住み着くことも許されねェ世界だってな」

美琴「…………」


386: 2013/04/20(土) 22:22:44.36 ID:aAe8VzjBo


美琴「……じゃ、そろそろ私は帰るとするわ」

一方通行「世話になったな超電磁砲」

美琴「学び舎の園に行きたくなったらいつでも言いなさい。美琴先生がまたコーディネートしてあげるから」

一方通行「行くわけねェだろクソが」

美琴「だったら次から髪切る時はどうするわけ?」

一方通行「…………それまでに新しい店探しとく」

美琴「そ、まあぜいぜい頑張ってちょうだいね」

一方通行「ああ」

美琴「ほいじゃ……ぷぷっ、ば、ばいばーい!」ノシ

一方通行「ハァ? オイ、今何で笑った?」



タッタッタ



一方通行「…………」

一方通行「…………まァイイか」

一方通行「……さァて、俺もバッテリーが切れる前に帰るとするかァ」ガチャリガチャリ


―――
――



387: 2013/04/20(土) 22:24:00.60 ID:aAe8VzjBo


同日 15:45

-黄泉川家・リビング-



ガラララ



一方通行「……戻ったぞ」ガチャリガチャリ


打ち止め「わぁーいおかえりー! ってミサカはミサカは元気にお出迎えしてみたりー!」トテチテ

一方通行「出てきてねェじゃねェか。あとうるせェから少しは黙ってろ」

結標「おかえりなさい一方通行。随分と頭がスッキリしたじゃない」

一方通行「まァな。髪の毛を切ることをオマエらに強いられていたからなァ」

芳川「もうツンデレなんてやめて、『打ち止めのために切りました(キリ』って言えばいいのに」

一方通行「そろそろ俺のためにオマエを叩き潰す必要があるかァ?」

黄泉川「んー、個人的にはもう少し短くしてもよかったじゃんよ。こうバリカンでぐいっと」

一方通行「だから坊主なンかにはしねェつってンだろォが」

打ち止め「で! で! で! おみやげのケーキはぁ? ってミサカはミサカは目をキラキラさせながら催促してみたり!」

一方通行「ほらよ」スッ

打ち止め「わー、ありがとうさぎー! ってミサカはミサカは懐かしのネタでお礼を言ってみたり!」

一方通行「オマエらの分もあるから適当に食ってろ。俺はいらねェ」

黄泉川「おっ、いいじゃん? 悪いねー」

芳川「ごちになりまーす」

結標「ありがとー……って、これって『PASTICCERIA MANICAGNI』のケーキじゃない!」

一方通行「ぱすてぃ……何だって?」

芳川「『PASTICCERIA MANICAGNI』。イタリアで有名なケーキ屋ね。日本じゃ学舎の園でしか出店してないわ」

打ち止め「そんなものどうしてあなたが持っているの? ってミサカはミサカは素朴な疑問を浮かべてみたり」

一方通行「あ、ああアレだよアレ。アレをアレなンだよ」

黄泉川「あれあれ言い過ぎて何が言いたいのか全然わからないじゃん」

芳川「ところで一方通行?」

一方通行「ンだよ」



芳川「このケーキがここにあるのと、キミの頭に付いている花形の髪飾りは何か関係があるのかしら?」



388: 2013/04/20(土) 22:24:48.06 ID:aAe8VzjBo


一方通行「……ハァ? 髪飾りィ? 何を言って――」スッ


つ『花形の髪飾り』


一方通行「」


打ち止め「わぁーかわいい髪飾りだねー、ってミサカはミサカは素直な感想を言ってみる」

一方通行「」

結標「……一方通行、まさか……?」

一方通行「」

黄泉川「?」

一方通行「」

芳川「これはどういうことかしらね?」ニヤニヤ


一方通行「…………ブツブツ」


芳川「えっ? 何だって?」



シュバァァァ!!




一方通行「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか――ッ!!」




打ち止め「ぎゃああああああああっ! 久しぶりにキレたー!! ってミサカはミサカは本気で逃走をしてみたり!」ダッ

芳川「これは……プラズマ……!? 風の吹いていないこの室内でどうやってこんなものを……!?」

黄泉川「おおっー、何かこんなの昔漫画でみたことあるじゃん。たしかげんきだ――」

結標「そんなこと言ってる場合じゃないですよ黄泉川さん! 早く逃げましょう!」




一方通行「圧縮圧縮ッー!! 空気を圧縮ゥ!! 跡形もなく全て消し去ってやるよあぎゃはははははははははっ!!」




※暴れだした一方さんは通りすがりの科学者にフルボッコされました。



―――――



397: 2013/04/27(土) 11:10:44.00 ID:s8pMqQrPo


14.木原家の一日


January Fourth Tuesday 09:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-


数多「ふわぁー、火曜日っつーのはどうしてこう面倒臭せぇんだろうな?」

円周「何言ってるの数多おじちゃん。数多おじちゃんは年中無休で面倒臭いって言ってるよね?」

数多「そうだったか? そりゃ気付かなかったわ」

円周「もー、数多おじちゃんはおっちょこちょいだねー」

数多「こういう場合はおっちょこちょいって言わねぇんじゃねえのか?」



ピンポーン!



円周「……あっ、打ち止めちゃんだ!」タッタッタ

数多「走んじゃねぇよクソガキ! オフェスに埃が舞うだろうが」スタスタ

円周「はいはーい。今出るよー!」ガチャ


打ち止め「おっすエンシュウ! ってミサカはミサカは朝の挨拶をしてみたり!」


円周「おはよー打ち止めちゃん! 今日も相変わらず変な語尾だねー」


芳川「おはようございます木原さん」

数多「あぁどうも」

芳川「今日もこの子をよろしくおねがいしますね」

数多「はいはいわかってますよ。積まれた金の分は働きますから」

芳川「では今日は三時くらいに帰れると思うので……」

数多「了解でーす」

打ち止め「いってらっしゃいヨシカワ! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ

数多「いってらっしゃい桔梗おばちゃん!」ノシ

芳川「はいはい行ってきます。あと円周ちゃん、おばちゃんじゃなくてお姉さんよ」


398: 2013/04/27(土) 11:12:08.40 ID:s8pMqQrPo


数多「……さぁて、今日の仕事の確認でもすっかなー」ペラッ

打ち止め「キハラー! 人生ゲームしようよー、ってミサカはミサカは箱からボードを取り出しながら誘ってみたり」

数多「お前さっきの俺の呟ききちんと聞いてたか?」

円周「そうだよ打ち止めちゃん! 数多おじちゃんだって忙しいんだよ!」

数多「さすが円周ちゃん。よぉくわかってんじゃねぇか」

打ち止め「うぅ、ごめんなさいキハラ」

数多「わかればいいわかれば。さて、とっとと仕事のかく――」

円周「数多おじちゃんコンビに行こうよコンビニー!」

数多「あれれー? お前さっき俺が忙しいって自分で説明してたよなぁ?」

円周「そんな資料とにらめっこするばかりじゃ体に悪いよ? というわけで散歩がてらにコンビニだね!」

数多「まだにらめっこ始まって十秒も経ってねぇんだけど。さらに言うなら始まってすらねぇんだけど」

打ち止め「いいねーコンビニ! 今から出ればヨシカワに追いつけるかも、ってミサカはミサカはおそらく今マンションから出たであろうヨシカワを思い浮かべながら言ってみたり」

数多「何でコンビニに行くってことになってんだよ。いい加減にしろクソガキども、こっちは仕事があんだよ仕事」

打ち止め「いっつも部下に全部任せてるくせにこういう時だけ仕事して逃げようとしてるよねキハラって、ってミサカはミサカはジト目で睨みながら言ってみたり」ジトー

円周「そうだよねーうんうんわかってるよ数多おじさん。『木原』ならこういうとき相手をジト目で見て精神を不安定にさせるんだよね」ジトー

数多「うるせぇぞテメェら! 目障りだ俺の視界から消えろ!」

打ち止め「はーい」トテチテ

円周「ムカつくから数多おじちゃんの部屋荒らしとくねー」テクテク

数多「一ミリでも物の位置がずれてたらぶち頃すぞ」


399: 2013/04/27(土) 11:13:18.86 ID:s8pMqQrPo


数多「…………はぁ、頭痛ぇ……、バファ○ンどこやったっけか?」ゴソゴソ



ガチャ



マイク「おはようございます!」

オーソン「おはようございます!」

ヴェーラ「おはようございます!」


数多「おうこんな時間に来るたぁ中々やる気があんじゃねぇか」



<ワーワーヤッチャエヤッチャエ! <フハハハハハハッ オカシノタメナラミサカハアクニモナレルノダ ッテミサカハミサカハ



ガシャン! ガチャガチャ! ドコーン!



ヴェーラ「……何をやっているのですか?」

数多「……あー、あのクソガキどもが遊んでやがるだけだ。ほっとけ」

マイク「とりあえずオフェスの掃除を始めますね」ガチャガチャ

オーソン「自分は車の整備に行ってきます」

数多「じゃあ俺はガキどもの掃除でもしてくっかなぁっと」スタスタ


<ウワァーヤセイノアマタオジチャンガアラワレター!! <コレハマズイ ッテミサカハミサカハセンリャクテキテッタイヲ <トットトカタヅケロクソガキドモ!!



ゴチン!!



ヴェーラ「…………」

ヴェーラ「私も掃除しよ」ガチャガチャ



―――
――



400: 2013/04/27(土) 11:14:13.34 ID:s8pMqQrPo


同日 10:00 ~朝礼~

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-


数多「――さーて今日のテメェらのお仕事の説明をはっじめまーす!」


マイク「…………」

オーソン「…………」

ヴェーラ「…………」


数多「まずマイク。テメェはいつものババァの飼ってる犬の散歩。それが終わったら第五学区のいつもの大学にいって清掃活動な」

マイク「了解です」

数多「次にオーソン。荷物が届いてる。これを『屋台尖塔』の方に届けろ」

オーソン「はい」

数多「ヴェーラは事務だ。資料やらなんやらが溜まってっからな」

ヴェーラ「わかりました」


数多「ほいじゃ、さっさと働けクズども」



三人『イエッサー!』



401: 2013/04/27(土) 11:15:30.17 ID:s8pMqQrPo


数多「……さて、仕事だ仕事」カタカタカタ

円周「何やってるの数多おじちゃん? こんな時間からえOちぃサイトでも巡回してるのー?」

数多「んなわけねぇだろうが。どう見ても仕事をしている真面目なサラリーマンだろうが」

打ち止め「顔に刺青入れてるサラリーマンなんて見たことないよ、ってミサカはミサカは指摘してみる」

数多「こまけぇこたぁいいんだよ。ガキどもは隅っこで遊んでろ」

円周「人生ゲーム飽きちゃったよ。ちょっと力の量をいじればルーレットなんて普通に調整できるし」

打ち止め「だからミサカはテレビゲーム版の人生ゲームが欲しい! ってミサカはミサカは借金まみれの経歴を隠しながら要求してみたり」

数多「ったく、そこまで遊びごときでマジになってんじゃねぇよ。わぁったわぁったいつか買ってやるから隅っこで遊んでろ」

打ち止め「わぁーい話が最初に戻っちゃったよ、ってミサカはミサカは無限ループの怖さを味わう勇者のような気持ちになってみたり」

円周「どうせだからあの隅っこの壁をぶち壊して打ち止めちゃんたちの部屋につながるトンネルを作ろうよ! そしてらいつでも遊べるよー」

数多「おいおいふざけんなよクソガキ。無茶して怒られんのは俺なんだぞ?」

打ち止め「そうだよエンシュウ! ミサカもヨミカワには怒られたくない、ってミサカはミサカは体をぶるぶると震わせてみたり」ブルブル

円周「そっかー残念だねー」

数多「……はぁ、おいヴェーラ」

ヴェーラ「何でしょうか社長」

数多「人生ゲームのテレビゲーム版を注文しといてくれ」

ヴェーラ「わかりました……ええと」カタカタカタ

ヴェーラ「……いろいろ種類がありますがどうしましょうか」

数多「あー、とりあえず一番新しいの買っとけ、面倒臭せぇ」

ヴェーラ「了解です」カチ


―――
――



402: 2013/04/27(土) 11:18:28.61 ID:s8pMqQrPo


同日 12:00 ~昼休み~

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-



打ち止め「――はーい! お昼の時間だよー! ってミサカはミサカは空腹を感じながら時間報告してみたり」



数多「るせぇな、適当にカップ麺でも食ってろ」

円周「……あっ、もしもし。お寿司の特上を一つお願いしまーす」

数多「おいテメェ、何勝手にいいモン頼んでんだ!」

打ち止め「じゃあミサカも特上お寿司がいいー! ってミサカはミサカは要求してみたり」

円周「うんわかってるよ……あとお子様セット一つで」

打ち止め「ちょっとちょっとエンシュウー! ミサカも特上だよ! ってミサカはミサカは訂正を求めてみたり!」

数多「お子様セットで十分だろ。つーか円周ちゃーん? ちょっとその受話器寄越してみよぉか?」

円周「うん、うん、わかってるよ数多おじさん。『木原』ならこういうときはこうするよね」ダッ

数多「おらっ円周ぅ!! 逃げ回ってんじゃねぇぞコラッ!!」ダッ



バタバタドタドタパリーンガシャーン!!



ヴェーラ「……はぁ、また掃除しなきゃいけないわね」



ガチャ



オーソン「ただいま戻りました!」

ヴェーラ「あら、おかえりなさいオーソン」

オーソン「社長は?」

ヴェーラ「ご覧の通りよ」

オーソン「……あぁ」


数多「ったく、こう何度も高級料理を頼まれたらこっちの金が全部吹っ飛ぶじゃねぇか」

円周「ちっ、あともう少しでお寿司が手に入るところだったのに」

数多「テメェは唯一の野郎に金もらってんだろうが。それで好きなもん食ってろよ」

円周「私は『木原』だからね、他人のお金で食べるメシはうまい! って感じなんだよー」

数多「いつから『木原』っつーのはこんなに小さくなっちまったんだ?」

オーソン「社長! ただいま戻りました!」

数多「おう、特に問題はねかったか?」

オーソン「大丈夫です!」

数多「だったら昼休憩だ。適当に休んでろ」

オーソン「了解です!」

数多「あとマイクの野郎が帰ってきたら休みだって伝えといてくれ」

オーソン「はい!」


403: 2013/04/27(土) 11:20:45.62 ID:s8pMqQrPo


打ち止め「ねえねえ! エンシュウってそんなにお金持ってるの? ってミサカはミサカは好奇心を働かせてみたり」

円周「うん持ってるよ! ゲームショップに行ってゲームハードを全色全種類余裕で大人買いできるくらいは持ってるよ!」

打ち止め「おおっー! 何だかよくわからないけどすごそうだね、ってミサカはミサカはとりあえず驚いてみる」

円周「まあまあ『木原』にとってお金があるないなんて些細な問題だよねー」

打ち止め「キハラはいっつも金、金、言ってるような気がするけど、ってミサカはミサカは普段のキハラを思い出してみたり」

円周「数多おじちゃんはあれだよ、一時のテンションに身を任せてしまったから……このざまだぜ!」

打ち止め「可愛そうなキハラ……ってミサカはミサカはハンカチを取り出して嘘なきしてみたり」シクシク

円周「そうだねー可愛そうだよねー数多おじちゃん」

数多「本人のいる前で勝手に可愛そう判定すんじゃねぇよ! あと俺は身を滅ぼしてねぇ!」

打ち止め「結局ミサカの今日のお昼は何なのかな、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

数多「寿司のお子様セット」

打ち止め「ぐわああああああっ!! まさかのお子様セットだとォおおおおおおっ!? ってミサカはミサカは床を叩きながら悔しがってみたり!」ドンドン

円周「ひどいねー数多おじちゃん。こんなイタイケな女の子のお昼ご飯をお子様セットにするなんて……児童相談所に訴えれば勝てるね」

数多「うるせぇよ、つーかそんなことで相談所は動くわけねーだろ」

円周「大丈夫だよ打ち止めちゃん。私の特上お寿司セットのガリ辺りを分けてあげるからね!」

打ち止め「わぁーい! ってミサカはミサカは喜ぶべきなのかわからないけどとりあえず喜んでみたり!」

数多「勘違いすんじゃねーぞ円周。テメェの分もお子様セットだ」

円周「まさに外道!」


404: 2013/04/27(土) 11:22:54.49 ID:s8pMqQrPo


~三十分後~


オーソン「……社長。寿司が届きましたよ」


数多「おう、そこに置いといてくれ」

打ち止め「わーい、待ちに待った昼食だ! ってミサカはミサカは飛びついてみたり」バッ

円周「って、何だこりゃー? 数多おじちゃんのお寿司が特上……だと?」

打ち止め「おやおや、それは本当ですかなエンシュウ? ってミサカはミサカは怪しい老人風に尋ねてみたり」

数多「当たり前だろうが。お前らガキ、俺大人。わかるかなーん?」

円周「うわーこれはひどい。大人という権力を行使して自分だけ甘い汁を吸おうとしてるよ」


数多「なぁにが甘い汁だ。これは俺のポケットマネーで買ったんだぜ? つまり当然の対価を払って手に入れてるっつーわけだ」

数多「お前らみてーにただ口を開けてエサを待ってるだけの雛鳥ちゃんとは違うんだよ」

数多「だから大人しくお子様セットの付属品のおもちゃで遊びながらぜいぜい安っぽい寿司ぃ楽し――ん?」


円周「うん、うん、やっぱり大トロはおいしいねー」モグモグ

打ち止め「タマゴでさえこのおいしさだと……!? ってミサカはミサカは特上品のおいしさに絶句してみたり」モグモグ




数多「おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!! 何勝手に食ってんだクソガキどもぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」




405: 2013/04/27(土) 11:23:33.52 ID:s8pMqQrPo


円周「いやー数多おじちゃんの話が長すぎて待てなかったよ。ごめんねー数多おじちゃん」モグモグ

打ち止め「キハラ。世の中は弱肉強食だよ! 早いほうが強いんだよ! ってミサカはミサカは世界の理について語ってみたり」モグモグ



ゴッ!!



円周「ばごヴぇるごぶちゃえ!?」

打ち止め「あうっ!」


数多「……さぁーて、数多おじさん怒っちゃったよぉー、面倒臭せぇーけど怒っちゃったよぉ?」


円周「……う、うん、わわわかってるよあああまたおじちゃん。きききはらならここで――」ガクガクブルブル

打ち止め「あわわわわわわ」ガクガクブルブル



数多「今さら謝っても許さねーからなぁ? みっちり教育をしてやるよクソガキども」ゴキゴキ



打ち止め「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!! ってミサカはミサカは真後ろに向かって全速前進だっ!!」ドタドタ

円周「『木原』ならここですみやかに退場ぉー!!」バタバタ



数多「悪りぃがこの木原数多を怒らせた時点でテメェらに逃げ場はねーんだよぉ!!」ダッ



バタバタドタドタパリーンガシャーン!!



ヴェーラ「……また掃除をしなきゃいけないのかしら?」

オーソン「ちょっと吉野家行ってくる」スタスタ


―――
――



406: 2013/04/27(土) 11:24:53.96 ID:s8pMqQrPo


同日 13:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-



数多「……さて、午後の仕事はデスクワーク。社蓄のように働けゴミども」



マイク「了解」カタカタカタ

ヴェーラ「はい、こちら『従犬部隊(オビディエンスドッグ)』です。ご用件は?」

オーソン「…………」カキカキ


打ち止め「ふわぁー、この時間帯は暇な上に眠いねー、ってミサカはミサカは目をこすりながら呟いてみたり」

円周「何か眠気を吹き飛ばせるようなイベントがあればいいのになー」

打ち止め「例えば?」

円周「謎のテ口リストがこの部屋に侵入してきたり?」

打ち止め「わー、あれだねー! テ口リストの隙を突いて鉄砲とかを奪うんだね? ってミサカはミサカは中二的な発想をしてみたり」

円周「鉄砲を奪うのは情弱のすることだよ。情強はテ口リストのアシを破壊して、逃げられなくなったところをじわじわといたぶってあげるんだよー」

打ち止め「……そもそも普通はいたぶるところができないから鉄砲を奪うんじゃないかな? ってミサカはミサカは反論してみたり」

円周「銃弾なんて余裕で避けられるよ。万が一のときはここの人たちを盾にすればオッケーだし」

打ち止め「それはどうかと思うけど……」

円周「そもそも侵入する前に叩くの理想だよねー、入り口とかに地雷とか仕掛けて」

打ち止め「……あれ? 仕掛けてないよね地雷!? ってミサカはミサカは恐る恐る尋ねてみたり!」

円周「はじめは仕掛けようとしたんだよー? でも数多おじちゃんに怒られちゃって」

数多「テメェは人の客を爆氏させるつもりか」


407: 2013/04/27(土) 11:25:44.20 ID:s8pMqQrPo


円周「まあそんなわけで、ここの部屋はテ口リストはおろか幼稚園児でも簡単に侵入をすることができるザルセキュリティってことだよー」

打ち止め「いや、さすがに幼稚園児は無理だと思うよ、ってミサカはミサカはすかさずツッコンでみたり」

数多「あぁ? 馬鹿言ってんじゃねぇよ、ここのセキリュティ舐めんな。テ口リストはおろかテメェでも容易に侵入できねーよ」

円周「ええっーそんなー。あの程度のトビラくらいちょこっと道具を使えばすぐ打ち破れるよー」

数多「それは進入じゃなくて強行突破だろーが」

円周「同じだよー。よーはここに入ってくればいいんだしねー」

打ち止め「むむむ、ミサカには難しい話しすぎてさっぱりだぜ、ってミサカはミサカは諦めてオレンジジュースを飲んで一服してみる」ゴクゴク



ピンポーン



数多「あん? 客か? 珍しい」

円周「言ってて悲しくならないの数多おじちゃん?」

数多「うるせぇよ、おいヴェーラ出てこい」

ヴェーラ「わかりました」スタスタ


打ち止め「本当に珍しいよねー。初めてじゃないかなー? ミサカがここに来るようになってから、ってミサカはミサカは今までのことを思い返してみたり」

円周「それだけこの会社が信用されてないってことだよ。現に仕事のほとんどは裏の仕事だし」

数多「余計なこと吹き込んでんじゃねぇよ円周」



<ハーイドナタデ―キャッチョットアグッ!?



ガシャン!!



408: 2013/04/27(土) 11:27:07.43 ID:s8pMqQrPo


数多「あぁ?」

円周「ん?」

打ち止め「えっ!?」



イヌロボ達『…………』ウィーン



数多「……何だこいつら?」

打ち止め「い、犬だ! 犬型のロボットだよ! ってミサカはミサカは指差しながら報告してみたり」

円周「……五、六、全部で七体だねー」

数多「たしかこいつらって『T:GD(タイプ:グレートデーン)』とかいうヤツじゃねかったっけなぁ?」


イヌロボ1『……ふふふ、よくご存知ですね』


打ち止め「犬が喋った! ってミサカはミサカは素直に驚いてみたり」

円周「ロボットだから喋ってもおかしくないよー」

数多「んだぁ? ゾロゾロと人ン家の中に土足で上がりこみやがって、犬の散歩のコース間違えてんじゃねぇのか?」


イヌロボ1『こんにちは木原数多さん。今回僕がここにきたのはあるお願いがあるからです』


数多「お願い? いきなりじゃねぇか、そりゃ仕事っつー意味で捉えて構わねぇんだな?」



イヌロボ1『はい』



数多「なら言ってみろ。こちとら金さえ出せば何でもしてやるぜぇ?」



409: 2013/04/27(土) 11:28:06.50 ID:s8pMqQrPo



イヌロボ1「では『最終信号(ラストオーダー)』を引き渡してください』



打ち止め「……え」

数多「あん? このガキのことかぁ?」


イヌロボ1『ええ、そうですよ』

イヌロボ1『僕たちは上層部から依頼を受けてここまで来ました。内容はただ『最終信号(ラストオーダー)を回収せよ』と書いてあるだけでした』

イヌロボ1『そういうわけで引き渡して欲しいのですが。あなたも上層部を敵に回したくはないでしょう?』


数多「……あー、つまりあれかぁ? 俺のしようとしてたことを代わりにテメェらがやるってことかぁ?」


イヌロボ1『そう考えてもらって構いません』


数多「ったく、まだ懲りてねかったのかあの野郎は……」


イヌロボ1『では引き渡してくださいますか最終信号を』


数多「残念だがこの子は大事なお客様から預かってる子でねぇ、ただっつーわけにはいかねぇんだわ」


イヌロボ1『そうですか。では報酬を払うとしましょう。こちらもそれなりに予算が下りていますからね』


数多「ほぉ……いくらだ?」

打ち止め「……き、キハラ?」



イヌロボ1『……その子を引き渡してくだされば、あなたに三億円そのままを差し上げましょう』



410: 2013/04/27(土) 11:30:49.69 ID:s8pMqQrPo


打ち止め「さ、三億っ! ってミサカはミサカは驚愕の表情を浮かべてみたり」

数多「ぎゃはっ、サラリーマンの生涯年収分くれるってかぁ? 太っ腹だねぇお前ら」

打ち止め「えっ、キハラ……まさかミサカを売るつもりなの……?」

数多「いやいや俺だってさぁ、正直生きるのに疲れてたわけよ。残りの人生楽に過ごしてぇなんてこと思ってるわけだ」

数多「楽に過ごすってことは必然的に金が必要になる。その必要なモンがお前を向こうに差し出すだけで手に入る。利率がすげーことになるよなぁ?」

打ち止め「え、う、嘘だよね……キハラぁ、ってミサカはミサカは涙目になりながら尋ねてみる」

数多「……おい犬っころ」


イヌロボ1『何でしょう?』


数多「売ってやるよ、この視界に入るだけでうっとおしいクソガキをな」

打ち止め「!?」


イヌロボ1『懸命な判断ですよ木原数多。では最終信号を引き渡――』



数多「――ただしこいつの価格は『十億』だ」



イヌロボ1『じゅ、十億!? 何を馬鹿なこと言っているんですか!?』



数多「別に馬鹿なことは言ってねぇよ。人の命は金には換えられねぇとかクソくだらねぇこと言うつもりはねぇよ」

数多「だがあのクソガキがコイツにかけた金は十億っ! つまりこのガキはそれだけの価値があるってことだよなぁ!?」

打ち止め「……キハラぁ」グスッ

数多「あぁ泣くんじゃねぇよ。テメェを守ることが保護者様の依頼なんだからよぉ、クライアントの要望にはきちんと答えねぇとなぁ」


イヌロボ1『……交渉決裂……というわけですか?』


数多「あん? まさかテメェら『メンバー』はたった十億すら出せねぇ貧弱組織なのかぁ? 笑っちまうぜぎゃははははっ!」


イヌロボ1『……ほぅ、いつから気付いていたのですか? 僕たちが『メンバー』だと』


数多「そんな悪趣味なおもちゃ使うヤツらなんざ、あの趣味悪りぃクソジジィが率いてるテメェらぐれーだろうが」


イヌロボ1『いいでしょう。ここからは実力行使と行きましょう』



バキッ! ゴバッ!



マイク「ぐわっ!?」

オーソン「がはっ!?」


打ち止め「わっ、マイク! オーソン!」


イヌロボ1『T:GD(タイプ:グレートデーン)』七機。それに比べてあなたは一人。守りきれるかなー? そのクローンを!』


411: 2013/04/27(土) 11:32:46.94 ID:s8pMqQrPo


数多「……あー、わかってねぇなーお前」


イヌロボ1『何がだ?』


数多「そりゃ、お前……あれだろ」



数多「お前らは一体誰を敵に回しているのか、ってことをだクソガキ」ギロ



イヌロボ1『……やれ! 『T:GD(タイプ:グレートデーン)』!!』

イヌロボ2『!!』バッ



数多「下がってろクソガキ」

打ち止め「で、でも武器は!? 素手でどうするつもりなの、ってミサカは――」

数多「武器だぁ? いらねーよこんなゴミども相手になんか」



イヌロボ『!!』ウィーン



シュバババババッ



数多「よっと」スッ


イヌロボ2『!?』


数多「ひゃはっ、ほらよっ」



ガゴン!!



イヌロボ2『ジジージージー』キュイーン


412: 2013/04/27(土) 11:34:11.93 ID:s8pMqQrPo


イヌロボ1『な、なにぃ!? T:GDがパンチたった一発でっ!?』


数多「別に何も驚くことはねぇだろうが。外装をいくらガチガチのメタルで固めようが、中身のコンピュータはネズミでも破壊できるくれぇ脆い」

数多「だったら簡単だ。直接そのコンピュータ部分を叩けばいい」


イヌロボ1『わ、わけがわからないぞ……一体どうやってそんな……』


数多「どうやってって……そりゃ外側から殴った衝撃を、全部中身のコンピュータ部分に持っていきゃいい話だろ?」


イヌロボ1『ちょっとよくわからないです』


数多「ったく、これだから低脳相手に会話するのは疲れるんだよ。まず聞くが俺は誰だ?」


イヌロボ1『……木原数多』


数多「そういうことだ」


イヌロボ1『い、いやわけがわからないぞ!』


数多「小学校で習わなかったのかぁ? 『木原』は何でもできるスーパーマンだってなぁ」


イヌロボ1『そんなこと習うか!!』


数多「俺ぐらいの天才になるとなぁ、金槌のような打撃の力を顕微鏡クラスの精密レベルで操れんだよ」

数多「岩の上にいるカエルがいたとする。そのカエルだけ殴って下の岩だけ破壊するってことも余裕でできんだよ俺は」


イヌロボ1『そんな馬鹿な! そんな馬鹿なことがあるわけ――』


数多「まぁ、んなことどうでもいいけどよぉ、周り見てみろよ」


イヌロボ1『……えっ』



413: 2013/04/27(土) 11:35:24.03 ID:s8pMqQrPo



ゴキャッ、バキャ、メリッ、グシャ、ガキン!!



円周「……うん、うん、わかってるよ数多おじさん。『木原』ならバレないように相手の数を減らすことなんて造作もないことだよね」ピーガガガ



イヌロボ1『い、いつの間に!? T:GDが僕以外全滅っ!?』


数多「いやぁー間抜けな話だよな。敵と仲良く談話してたらあっという間に形勢逆転。ホント愉快愉快」


イヌロボ1『くっ、出来損ないの『猟犬部隊(ハウンドドッグ)』に僕が負けるなんて――』


数多「あー違う違う。今はそーいう名前じゃなくて……」



ヴェーラ「私たちはッ!!」スッ

マイク「『従犬部隊(オビディエンスドッグ)』だッ!!」バッ

オーソン「覚えとけタコッ!!」ゴゥ



イヌロボ1『ッ!?』



ガシャン!!!



数多「 ……『HsLH-02』か。随分と利口なモン使えるようになったじゃねぇか」



414: 2013/04/27(土) 11:38:43.22 ID:s8pMqQrPo



イヌロボ1『そ、そんな……』ガガガガガ


数多「ひゃはっ、まるで道路に貼り付いてるカエルの氏骸みてーだなぁおい」ケラケラ


イヌロボ1『……お前は絶対後悔するぞ! 木原数多! お前を狙う刺客たちがさらに強力な戦力を持って再び襲い掛かるぞ!!』


数多「ぎゃはっ、おいクソガキ。じゃあ上のヤツラに伝えとけ」






数多「俺らを頃すんだったら第三位の『FIVE_Over(ファイブオーバー)』の百機くれぇ持って来い、ってなぁ!」スッ






ガシャン!!



数多「ま、その程度で殺されるほど楽な生き方してねぇんだけどな。なぁ、アレイスター?」



―――
――



415: 2013/04/27(土) 11:40:18.44 ID:s8pMqQrPo


同日 15:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-



ピンポーン



芳川「こんにちは――って」



ボローン



芳川「な、何!? 強盗!?」


打ち止め「おかえりヨシカワー! ってミサカはミサカはお出迎えしてみたり」トテチテ

芳川「何があったの打ち止め?」

打ち止め「うーんと、ちょっとテ口リストに襲われちゃったかな? ってミサカはミサカは簡潔に説明してみたり」

芳川「て、テ口リストっ!?」

数多「ああ、芳川さんこんちはーす」

芳川「テ口リストが来たって本当!?」

数多「テ口リスト……って言えばテ口リストかぁ? まぁゴミクズが来たのは本当だな」

芳川「だ、大丈夫? 怪我とかされてないですか?」

数多「別に問題ねぇよ。まだあのクソガキを相手にしたほうが楽しめる戦いでしたわぁ」

円周「大丈夫だよー! 私たちがいれば、打ち止めちゃんには傷一つ付かないからー!」

芳川「そ、そう。よかったわ……」ホッ




数多「…………っつーわけでこれからも『従犬部隊(オビディエンスドッグ)』をよろしくお願いしまーす」




――――


416: 2013/04/27(土) 11:42:01.13 ID:s8pMqQrPo

今回はここまでにしたいと思います
ここまで見てくださった皆さんありがとうございました

安定の擬音系バトル
タイトルで他の木原が出るとか思った人もいるかもしれませんがそんなことなかったぜ! すまん


次回『奨学金』


久しぶりにあわきん回
ではではノシ

417: 2013/04/27(土) 11:57:12.63 ID:j5CWBcfhO

引用: 結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」