427: 2013/05/04(土) 17:05:49.52 ID:ObKlSWDQo

428: 2013/05/04(土) 17:06:40.30 ID:ObKlSWDQo


15.奨学金


January Fourth Friday 16:00 ~放課後~

-とある高校・一年七組教室-


上条「よっしゃー! 今日は奨学金が振り込まれる日だー!」


土御門「よかったなぁカミやん。これで朝晩モヤシ生活を脱出することができるにゃー」

一方通行「バイトしててなおそンな生活を強いられるなンざァ、相変わらず元気にしてそォだな暴食シスターは」

上条「ああ本当に元気だぜ。正月の時は餅とかいろいろあったからマシだったけど」

青ピ「ほんま災難やなぁ、ウチなんて冷凍庫の奥底に謎のダークマター化した餅がゴロゴロ転がってるぐらい余ってるでー」

上条「くれっ! いらなくて捨てるくらいならくれっ!」

土御門「モヤシと餅を合わせてもおいしくはないと思うにゃー」

上条「モチを舐めんじゃねえぞ! あれの腹持ちのよさはすごいんだぜ。朝食に一つ食えば昼いらねえな」

青ピ「さすがにそれは言いすぎやろ」

上条「たしかに言い過ぎかもしれねーがあれはすげえぞ。実家から送られてきたときは泣いて喜んだな。インデックスともども」

土御門「向こうもそこまで喜んでくれるとは思わなかっただろうな」

一方通行「くっだらねェ」

とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)
429: 2013/05/04(土) 17:08:05.68 ID:ObKlSWDQo


結標「一方通行!」テクテク

一方通行「あァ? 何だ?」

結標「帰りにコンビニ寄っていい?」

一方通行「別に構わねェが……何か用か?」

結標「ちょっとね、手持ちが少なくなってきたからお金下ろそうかなって思って」

一方通行「カードでも作ればイイだろォが」

結標「いやよ、何か怖いし」

一方通行「何が怖いのかさっぱり理解できねェンだが」

結標「私の知識が『クレジットカードは恐ろしい!』と警告しているのよ」

結標「それに最近やけにカード会社から勧誘の資料が送られてくるから余計に怖いし……」

一方通行「使い方を誤らなけりゃ何の問題もねェよ」

結標「まあそうかもしれないけど……」

一方通行「別に無理にしろとは言わねェよ。オマエがしたいよォにすればイイ」

結標「……うん、じゃあ私は現金主義を貫くわ!」

一方通行「うわっ、効率悪りィ」

結標「何で速攻否定されるのよ!」



結標「というわけで今日はこれで帰るわ。じゃあね!」ノシ

吹寄「ばいばい! また月曜日ね!」

姫神「さようなら」

上条「またなー二人ともー」

土御門「じゃあなー」

青ピ「バイビー、アクセラちょわーん!」


一方通行「おォ。あと青髪ピアスは氏ね」


青ピ「何でやー!アクセラちょわーん!?」


一方通行「俺の癇に障ってンじゃねェよ、ゴミクズ野郎」

上条「大体何だよちょわーんって」


―――
――



430: 2013/05/04(土) 17:09:33.76 ID:ObKlSWDQo


同日 16:30

-第七学区・とある高校付近のコンビニ-



ウィーン



店員「いらっしゃいませー!」



結標「じゃあちょっと行ってくるわねー」テクテク

一方通行「おォ、さっさと済ませろよ」

結標「わかってるわよ」タッタッ


一方通行「……はァ」

一方通行「……さァて、俺ァ缶コーヒーの補充でもすっかなァ、と」ガチャ

一方通行「…………」ガチャリガチャリ


一方通行「……おっと、そォいやここのコンビニはあの銘柄は置いてねかったっけなァ」

一方通行「しょうがねェ、前飲ンでたヤツで我慢するか」

一方通行「我慢っつっても一ヶ月前にハマってたヤツだからなァ。もしかしたらまたハマるかもしれねェ」

一方通行「世の中ポジティブにいかねェとなァ……」

一方通行「…………」

一方通行「我ながら似合わねェセリフだなァオイ」ハァ

一方通行「くっだらねェ、とっととコーヒー買うか」ガチャンガチャン




結標「――ええええええええええええええええっ!!?」




一方通行「あン?」ガチャンガチャン


431: 2013/05/04(土) 17:11:19.19 ID:ObKlSWDQo


結標「あわわわわわわわわわわわ」

一方通行「どォした結標? キャッシュカードでも飲まれたか?」

結標「あああ一方通行……」

一方通行「あン? 声震えさせてどォしたオマエ。マジで飲まれたかァ?」

結標「な、な、何か……増えてたの……」

一方通行「増えてた? 体重がか?」



ゴッ!



結標「んなわけないでしょうが!! 何でコンビニまで来てわざわざ体重なんて測らなきゃいけないのよ!!」

一方通行「痛ってェ……! 軍用懐中電灯で殴ンじゃねェよ、普通に人を殺せるレベルの鈍器だぞそれ」

結標「貴方が失礼なこと言うからでしょ! ……たしかにお正月のときはお餅とかちょっと食べ過ぎちゃったけど……」ボソ

一方通行「やっぱり増えてンじゃねェか体重」



ゴッ!



結標「ふ、増えてないわよ!!」

一方通行「わかったから殴ンじゃねェ!」


432: 2013/05/04(土) 17:13:30.19 ID:ObKlSWDQo


一方通行「で、何が増えたンだよ」


結標「その……わ、私はお金を引き出すために自分の口座を開いたのよ」

結標「そうしたら……増えてたのよ。残高が……!」


一方通行「…………」

結標「…………」

一方通行「…………はァ」

結標「…………?」


一方通行「当たり前だろォが!」


結標「えっ!?」ビクッ


一方通行「忘れたかァ!? 今日は奨学金が振り込まれる日だ!」

結標「わ、わかってるわよ! それを差し引いても増えすぎているのよ!」

一方通行「……どォいうことだ?」

結標「知らないわよ! 私の予想してた額の十倍は増えてる気がするわ」

一方通行「…………待てよ」

結標「何よ」

一方通行「オマエってもしかしなくてもレベル5だよなァ?」

結標「う、うん、まだ公には出てないはずだけどね」

一方通行「強度が上がったンなら奨学金の額も上がるのが自然だよな?」

結標「……まさか、私がレベル5になったからこんなにお金が増えてたってこと?」

一方通行「それ以外考えよォがねェだろォが」

結標「……しかしレベルがたった1上がっただけでこんなにも増えるものなの?」

一方通行「そりゃレベル5っつゥモンは貴重だからな。学園都市の中でオマエ含めて八人しかいねェンだから、それに大金つぎ込むのが普通だろ」

結標「まあ言われてみればそう、かな?」

一方通行「だから別に怪しい金とかじゃねェから安心しろォ。オマエが思ってるよォな詐欺とかじゃねェから」

一方通行(まァ、このレベル5ビイキ自体、怪しいっつゥレベルじゃねェけどな)

結標「……うん、わかったわ。じゃあ気にせずこのお金は使わせてもらうわ」

一方通行「しかしよォやくわかったな。やけにカード会社からの勧誘がくる理由ってのがな」

結標「どういうこと?」


一方通行「レベル5はこの学園都市の中じゃ大富豪みてェなモンだ。つまり一番高い買い物をするお客様ってことになる」

一方通行「その買い物でカード払いしたときに出てくる手数料、よォするにおこぼれがヤツらの利益だ」

一方通行「デカイ買い物をすればそれが大きくなるンだから、どの会社もそれが欲しィから我先にと契約を勧めるっつゥわけだ」


433: 2013/05/04(土) 17:14:16.06 ID:ObKlSWDQo


結標「……つまり私がレベル5になったってことがバレてるってこと?」

一方通行「そォなるな」

結標「な、何で!? これってたしか機密事項とか何とか書いてあった気がするんだけど!?」

一方通行「そりゃあくまで俺らにとってはだろ。そンな情報裏じゃもしかしたら一般常識かもしれねェぞ?」

結標「ううっ、ってことは私の個人情報とかももしかしたら……」

一方通行「流出しまくってるかもなァ?」ニヤァ

結標「ぎゃああああああああっ!! 何かぎゃああああああああああああっ!!」

一方通行「うるせェ黙れ格下ァ、オマエの個人情報なンざせいぜい迷惑メールとかにしか使われねェよ」

結標「それはそれでヤなんだけど!」

一方通行「気にする必要はねェよ。ここに住ンでる時点で個人情報なンざあってねェモンだからな」

結標「……疑心暗鬼になりそうね」

一方通行「だから気にするなっつってンだろォが。そォそォねェぞそれが原因の事件なンてよォ」

結標「……じゃあみんなはそれを知った上で生活してるわけ?」

一方通行「大半は知らねェだろォな」

結標「……聞かなきゃよかった……」

一方通行「また一つ賢くなったって考えりゃイイ、レベル5としてな」


一方通行「わかったらとっとと金下ろしとけェ。俺はレジで会計済ませてくる」ドサッ

結標「相変わらずのコーヒーの山ね」


―――
――



434: 2013/05/04(土) 17:16:34.50 ID:ObKlSWDQo


同日 16:45

-第七学区・街頭-


結標「…………うーん」テクテク

一方通行「なァに一人歩きながら唸ってンだオマエ? もしかしてべん――」ガチャリガチャリ



シュバッ!!



一方通行「おわっ!? 危ねェじゃねェかゴルァ!」

結標「あらごめんなさい。貴方が何だか失礼なことを言おうとしているように思えたから」

一方通行「チッ、で何一人難しい顔してンだよ」

結標「いやー、何だか一気に大金が手に入ったから変な気分になっちゃって」

一方通行「ああアレか。貧乏人が宝くじとかで百万くれェ当たっちまって戸惑ってる感じか」

結標「わからないけどたぶんそんな感じね」

一方通行「ンなことで戸惑ってたらこの先確実に壊れていくぞ? 金銭感覚っつゥのがなァ」

結標「……たしかにそうよね。よくよく考えたら毎月あんな大金が入ってくるってわけだしね」

一方通行「さらに言うなら、自主的に実験とかに協力すりゃ一年もありゃあっという間に億万長者だ」

結標「実験?」

一方通行「ああ。学校でするよォな能力開発をもっと突き詰めたよォなモンだ」

結標「へー、そんなものがあるのね」

一方通行「個人的にはお勧めしねェがな」

結標「どうしてよ?」


435: 2013/05/04(土) 17:18:40.91 ID:ObKlSWDQo


一方通行「そンな大金が入るよォな実験なンてロクなモンじゃねェよ。蛆虫どもに食いつぶされて、最終的には棄てられるだけだからな」

結標「……ねえ一方通行?」

一方通行「あァ?」

結標「ずっと前から思ってたのだけど、貴方って何でそんなに裏事情、みたいなことに詳しいのよ?」

一方通行「…………」

結標「何でよ?」

一方通行「…………はァ、そりゃまァいろいろあったからな」


一方通行「俺はガキの頃からクソみてェな世界を生きてきた」

一方通行「裏切り、強奪、虐待……場合によっちゃ人頃しなンてザラにあったかもしれねェな」


結標「…………」


一方通行「俺はそれを何とも思わずただ眺めていた。慣れてきちまったンだろォな」

一方通行「そンな生活を続けりゃ自然と最悪な人格破綻者、怪物扱いされるよォなクソ野郎になる。当然だろォな」


一方通行「…………そして、最終的に俺ァ…………」

結標「俺は……?」

一方通行「…………いや、何でもねェ。これ以上は知らねェ方がイイ、お互いにとってな」

結標「…………」


一方通行「まァ、実験に参加するにしろしないにしろ、よく考えて動け」

一方通行「向こう側の研究員の口から出てくる言葉に対しては全て疑ってかかれ。どォすりゃイイのかわからなくなったら俺に聞けばイイ」

一方通行「……もし、どォしよォもねェ事態に堕ちいったっつゥなら……、俺が全力でそれを叩き潰してやる」


結標「…………」

一方通行「まァ、ンなモンに参加しねェのが最良の判断なンだけどなァ」

結標「……うん、わかったわ。絶対にそんな実験ってやつには参加しないわ」

一方通行「ほォ、金はいらねェと」

結標「奨学金の時点でもう十分なんだから、普通に考えていらないでしょこれ以上は」

一方通行「……そォだよな。それが普通の人間の判断だ」

結標「それに……私はそんなことしてるほど暇じゃないしね」

一方通行「あァ? 帰宅部所属バイト無し絶賛ニート中の結標クンが暇じゃないってェ?」

結標「それは貴方も同じじゃない」

一方通行「うるせェよ。で、どォいう意味だよその言葉はァ?」

結標「……まあ、私にはやることがあるってことよ!」

一方通行「やることだァ?」

結標「そっ」

一方通行「何だそりゃ?」

結標「んーと、秘密?」

一方通行「ハァ?」


436: 2013/05/04(土) 17:20:45.79 ID:ObKlSWDQo


結標「女の子にはいろいろあるってことよ」

一方通行「女の子()」



ゴッ!



結標「じゃ、一方通行! たくさんお金入ったからどうせだから何か買い食いでもしない? 今なら奢ってあげるわよ?」

一方通行「……オマエ誰に向かってその口利いてンだ? 俺の総資金はオマエの何千倍もあるンだぜェ?」

結標「いいじゃない……そうだ! たしかここの近くの公園にクレープ屋さんがあったわよね? 行かない?」

一方通行「行くかよ。知ってンだろォが俺が甘いモン食わねェことぐれェよォ」

結標「大丈夫よ。たぶん苦いコーヒー味とかがあると思うし」

一方通行「わかってねェなァ、ああいうモンは女子供に売るために作られてンだ。絶対ェ甘めェに決まってンだろォが」

結標「食べてみないとまだわからないじゃない」

一方通行「イイや。コーヒーメインとかほざきながら生クリームとか入れるなアイツらは」

結標「……もう! つべこべ言わずに行きましょ?」ガシッ

一方通行「オイ、俺の手ェ握ってどォするつもりだ?」

結標「私の能力はご存知?」

一方通行「…………チクショウ」

結標「じゃ、無限の彼方へさー行くぞー!」

一方通行「こンな時に使うセリフじゃねェだろそれェ!?」



シュン



―――
――



437: 2013/05/04(土) 17:21:20.38 ID:ObKlSWDQo


同日 同時

-第七学区・とある路地裏-



ピュン! ピュン! ピュン!



スキルアウトA「あべし!」

スキルアウトB「ひでぶ!」

スキルアウトC「たわば!」



土御門「……これで片付いたか」ガチャリ



カッ!



スキルアウトD「うわらば!」



ピーリィー、グバシャッ!!



海原「そうですね……」



438: 2013/05/04(土) 17:24:21.32 ID:ObKlSWDQo


海原「どうやら彼らは行ったようですよ」

土御門「ったく、まさかここまで連中の動きが早いとはな。少し甘く見ていたか……」

海原「まさか結標さんを直接狙ってくるとは……愚作にもほどがあるでしょうけど」

土御門「だが結標の心に傷をつけるには十分すぎる策だ」

海原「はい。しかし、今はまだこのスキルアウトたちが使われているだけマシでしょうね。向こうが本腰を入れればあっという間にことが進むでしょう」

土御門「……チッ、とりあえず一度隠れ家に戻るとしよう。お姫様たちが待ってることだろう」

海原「お姫様? ふふっ、冗談はよしてください。そんな柄じゃないでしょ彼女たちは」

土御門「何を言っている? お姫様扱いしているじゃないか。少なくとも片方一人には」

海原「自分としてはそんなつもりはないのですが……」

土御門「もしあれが無意識の内の行動ならお前はパシリの才能があるな」

海原「そんな不名誉な才能があっても嬉しくはないですよ」



プップー!



海原「……おや、どうやら迎えが来たようですね」

土御門「そのようだな。じゃあさっさと帰って終わらせるとしようぜ、このくだらない仕事をな」

海原「そうですね……ああ、そういえば」

土御門「どうかしたか?」

海原「たしかあそこの隠れ家はお菓子のストックが少なかったはず……すみませんが一度コンビニによってもらっても構わないでしょうか?」

土御門「やっぱりお前はパシリの素質があるな」ガタン

海原「そんな素質もいらないですよ」ガタン



ブルルルー!



――――


446: 2013/05/11(土) 11:24:39.81 ID:8tTqqgXOo


16.グループ

January Fourth Friday 17:00

-第七学区・とあるホテルの一室(グループの隠れ家)-



ガチャリ



土御門「おっまたせー! みんなのリーダー土御門さんが帰ってきたぜい!」



シーン



海原「……誰もいませんね」

土御門「にゃー、無視されるとさすがの土御門さんも傷つくぜい」

海原「心にもないことを言わないでください」ガチャ

海原「ふむ、やはり予想通りストックはありませんでしたね」ガサガサ

土御門「どーでもいいけどあんまりグループの予算を菓子で食いつぶすなよ。こちとら余計な食費に割く金なんてあまりないんだからな」

海原「役にもたたない開発部門にお金を回すからですよ。グループを結成してから一度でもまともなものを作りましたか?」

土御門「…………義手?」

海原「あんな悪趣味なものを作る予算があるなら、まだ彼女のためのお菓子やストラップを買ってあげたほうがいいとは思いませんか?」

土御門「残念ながら俺は戦力増強のほうが重要だと思うバトル脳だからにゃー。その意見には同意しかねるぜい」



ガチャリ



????「……あっれれー? 二人とも来てたんだー?」



447: 2013/05/11(土) 11:25:14.81 ID:8tTqqgXOo


土御門「……お前こそいたのかにゃー『番外個体(ミサカワースト)』」

番外個体「ミサカは最初からここに引きこもってたよー、ヒッキーはヒッキーらしくさー」

海原「……ッ!? ちょっ、何て格好をしているんですか貴女は!」

番外個体「あっ、ごめんごめん。ちょっとシャワー浴びててさー、着替えとか全部こっちに忘れてきちゃってたわけよ」

海原「何で貴女はこう……!」

番外個体「あれれー? 海原ァ? 顔赤くしちゃってー、照れちゃってんのー? もしかして勃っちゃったー?」

土御門「ほらっ、バスタオルだ」バサッ

番外個体「おっ、サンキュー、リーダーさん」ファサッ

海原「……というか早く服のほうを着てください! 露出狂か何かですか貴女は!」

番外個体「マイルームでそんなことを強要されるとは思いもしなかったなー」

海原「ここはグループの隠れ家の一つです。たしかに住居を目的として作られてはいますが、決して貴女の所有物ではありませんよ」

番外個体「ナ、ナンダッテー」

海原「わざとらしいリアクションはいいですから早く着替えてください!」

番外個体「はーい、じゃあタンスから着るもの適当にとってよ。そっちまで行くのダルいから」

海原「……まったく」ガサゴソ

番外個体「あっ、下着とかはそっちの引き出しだから。あなたのお好みなのをとっていいよー?」

海原「…………はい、どうぞ」スッ

番外個体「……ふーん、思春期真っ盛りよの海原クンはアダルトチックな黒色の下着が好みなのかにゃーん?」

海原「そういうわけではありませんよ。貴女に言われた通り適当にとっただけです」

番外個体「ま、そだよねー。海原の好きそうなタイプのミサカは持ってないよねー、例えばおこ──」

土御門「海原弄りをしているところ悪いが、もう一人はどうしたんだ番外個体?」


448: 2013/05/11(土) 11:25:40.74 ID:8tTqqgXOo


番外個体「んー? そういえば見当たらないね。どこ行ったのかなーあのコ」

海原「彼女のことですから、またどこかへ遊びにでも行っているのでしょう。招集時間のことを忘れて」

番外個体「ほほぉー、不良少女のミサカでさえここに来てるってのに遅刻してるワルっ娘が一人いるのかー」

土御門「何か知らないのか?」

番外個体「知らなーい。さっきも言ったけどミサカはアジトの警備員してたからねー。誰か来てたらわかるよ」

土御門「さっきのように気付いていないパターンがあるんじゃないかにゃー? 第一声が『二人とも来てたんだー』だったからな」

番外個体「そりゃないよ。ミサカだって多少ながら電磁波レーダー使えるんだから、誰かが入ってきてたらわかるよ」

土御門「精度はあまり期待できそうにないレーダーだがな」

番外個体「ま、そんなことは置いといて……今日のおやつは何かなー?」ガチャ

海原「あまり食べ過ぎないようにしてくださいよ。……太りますよ?」

番外個体「いいじゃん別にー、今までまともな食事なんて取らされなかったんだからさぁ。こういうときくらい自由を噛み締めさせて欲しいね」

海原「別に止めようとは思っていません。それについては同意見ですから」

番外個体「止められたところでミサカは止まらないけどねー。おっ、コンソメあるじゃんいただき」バリッ



ピンポーン



土御門「おっ? どうやら最後の一人が来たらしいぜい」

海原「……どなたでしょうか?」ピッ


449: 2013/05/11(土) 11:26:34.76 ID:8tTqqgXOo



??『──ふざけてんじゃねえよ。何勝手にカギ閉めてんだ、とっとと開けろ海原ァ』



海原「ここは仮にも暗部組織グループの隠れ家ですよ? 開けたまま放置する方がおかしいでしょう?」

土御門「というかグループ全員にカードキー渡してるはずだぜい? それを使って入ってくるといいにゃー」


『い、いや……アレだよアレ、カギをそん中に置いたままにしちまったんだよ』


番外個体「……おっ、ホントだ。テーブルの上に置いてある」ボリボリ

海原「あまりベッドの上に食べカスを落とさないでくださいよ」

番外個体「いいじゃん、どうせ掃除するのは下部組織の連中だし」


??『……つーかよぉ、いい加減開けてくれよ。遅れてきたのは悪かったからさぁ』


海原「駄目です。貴女は毎回毎回……、何回同じことを言うつもりなんですか? 遅刻した数なんて数え切れないんじゃないですか」


??『……って、オイ! 遅刻した回数&カードキー忘れた回数は番外個体もたいして変わんねーだろ!?』

??『それなのに番外個体に対してはいつもお前はおくすることなく笑顔のままロック解除してたじゃねーか!』


海原「彼女の場合能力で電子ロックをハッキングして入ることができます。それが原因で壊されたら困りますから」


??『ふざけんじゃねえっ! どう見ても贔屓じゃねーか、甘やかしてんじゃねーか!』


海原「関係ありませんよ。少しは外で反省したらどうですか? この機器の集音性なら十分話し合いに参加できるでしょう?」

番外個体「ぎゃはははっ、リアル廊下に立ってろ! ってヤツじゃんこれ! どうせなら水を満タンまで入れたバケツでも持ってこようか? もちろん二つ」






??『…………あァ、もォ面倒臭せェ』






土御門「……おおっと、お前ら一応扉から下がった方が良さそうだぜい?」

海原「ッ!?」

番外個体「?」ボリボリ






ドッゴォォォォォオオオッ!!






土御門「……あーらら、対能力者用に作られてる防護扉でもやっぱ大能力者(レベル4)クラスのチカラには耐え切れないかにゃー?」

海原「…………」

番外個体「あーあ、こりゃもうしばらくここ使えないねー」モグモグ


450: 2013/05/11(土) 11:27:03.93 ID:8tTqqgXOo




黒夜「ったくよォ、いつまでこの黒夜海鳥様を廊下に立たせるつもりだァー? ついブチッときちまって扉ァブッ飛ばしちまったじゃねェか」




海原「……そもそも貴女が遅刻してきたのが悪いのではないですか?」

黒夜「遅刻してねーよ。一度この部屋に入ってたっつーの」

土御門「入ってた? どういうことだ?」

黒夜「お前らがここに来る前にはすでにこの部屋に入ってたんだよ。ちょろーと小腹が空いたから腹ごしらえに行くためにな」

海原「あまりにもバレバレな嘘はつかないほうがいいですよ? 自らの品格を下げてしまうだけですから」

黒夜「嘘じゃねーよ。その証拠に……ほらっ、そこのベッドの枕の横に置いてあるだろうが。私のいつも持ち歩いてる『秘密兵器』がな」

番外個体「……おおっほんとだ! いつもクロにゃんが持ち歩いてるイルカの人形じゃん! あまりに背景に溶け込んでるからてっきりこの部屋の備え付け品かと思ったよ」

土御門「……ところで番外個体。お前は自分以外誰も入ってきてなかったと言っていなかったかにゃー?」

海原「そうですよ。レーダー使えるとか言っていたじゃないですか」

番外個体「…………あー、そういえばミサカも飲み物欲しくて外の自販機まで買いに行ってたの忘れてた」

土御門「…………」

海原「…………」

黒夜「ま、これで私の無実は証明されただろ? つーわけで土下座して詫びろ海原クゥン?」

海原「……ふっ、何を言っているのですか? 初めから来ていようが来ていまいが、集合時間にここに居なかった時点で遅刻は遅刻ですよ」

黒夜「ハァ? 馬鹿言ってンじゃねェよオマエ。あンま調子乗ってるとそのムカつくニヤケ顔ごと頭吹っ飛ばすぞゴルァ」

海原「できますかね? 正直掌から窒素を噴出するしかできないガキに自分を倒せるとは思えないんですが」ニコッ


451: 2013/05/11(土) 11:28:13.53 ID:8tTqqgXOo



黒夜「……上等だ。そンな舐めた口ィ利かしちまったことを地獄の底で後悔させて続けてやるよ」ゴゥウ

海原「いいでしょう。貴女のカラダ、どれが生身でどれが機械かわからないくらいバラバラに解体してさしあげますよ」スッ



ビリリリッ!



黒夜「ッ!? カラダがァ!?」



番外個体「ダメダメ、ダメだよクロにゃーん? あんまりおイタが過ぎちゃうとカラダの制御奪ったまま、全裸にしてから公園のトイレに四つん這いで放置しちゃうよ☆」



黒夜「番外個体ォ! ふざけてンじゃねェぞオマエ! 離しやがれゴルァ!!」

番外個体「海原はミサカの大事なパシリだからねー。クロにゃんなんかに殺されるとは思わないけど、一応ね」ビリビリ

黒夜「あばばばばばばばばばば、やめえええええええええええてえええええええええええ」ガクガク


海原「…………」

土御門「そーいうわけだ。だからその黒曜石のナイフはしまっておけ」

海原「はい。どうやら自分も少しばかり熱くなりすぎてしまったようですね」

番外個体「そーだよ海原。ミサカのおもちゃを勝手に壊しちゃいけないよ」

海原「……善処します」

土御門「さーて、人も集まったところで場所を変えるか」

黒夜「あン? 人がせっかく来てやったってのに場所を変えるだァ? 舐めてンのか潰すぞ」ギロ

土御門「そんな馬鹿っぽいセクシーポーズで言われても怖くないぜい」

黒夜「番外個体ォ! だから私のカラダで遊んでんじゃねェーよォ!!」

土御門「ま、それはそれでいいと思うぜい。口リが少し背伸びしてセクシーポーズ……何かこうグッとくるものがあるにゃー」

黒夜「手をわきわきさせるな、こっちへ来るな、そンな目で私を見るな! つゥかイイ加減にしろ番外個体ィ!!」

番外個体「ええっー? じゃあミサカはどーすればいいのさー?」

黒夜「黙って私を開放しろ!」

番外個体「やだよーだ」ビリビリ



黒夜「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ! スンマセン、マジでかんべんしてててててててててえええ」ガクガク



海原「黒夜にこの扉を壊されたおかげで、おそらくここの隠れ家はもう使い物になりませんね」

土御門「ああ。この物音につられて野次馬が来てもおかしくない時間帯だ」

海原「ではひとまず他の隠れ家へ移動しましょう。ここの代わりについてはあとでいいでしょう」

番外個体「りょーかーい。さあ行くよんクロにゃん28号、進め」ビビビ

黒夜「覚えてろよ番外個体おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」テクテク


―――
――



452: 2013/05/11(土) 11:29:24.69 ID:8tTqqgXOo


同日 17:40

-第七学区・とあるカラオケボックスの一室(グループの隠れ家)-


土御門「……さて、今日の議題だが――」


番外個体「クロにゃーん? どうせだから何か歌う? ミサカ的にはクロにゃんは猫っぽいから『はっぴぃ にゅう にゃあ』とかいいと思うんだけど」

黒夜「何だよその危ねェ臭いしかしねェ曲はよォ!? 私に一体何を歌わせるつもりだァ!?」

番外個体「一時期ミサカネットワークで流行ってた曲らしいよ? まあ、ミサカはネットワークに参加できないから詳しくは知らないけどね」

黒夜「ンなこたァどォでもイイ! それよりさっさと私のカラダを自由にさせろ!」

番外個体「ええっと……あったあった『はっぴぃ にゅう にゃあ』。海原ー、そこのパーティグッズから猫耳とって」

海原「了解しました」スッ

黒夜「オイイイイイイイイイイ!! 何つゥモン取り出してンだオマエらァ!!」

番外個体「それクロにゃんの頭に装着させてあげて」

海原「了解しました」ニコ

黒夜「やめろ海原ァ!! それだけは勘弁してくれェ!! さっきのこと謝るからマジでェ!!」

海原「黒夜……、貴女に謝れても正直自分は困るのですが」ニコ


黒夜「ぎゃあああああああああああああああああああっ!! やめてェえええええええええええええええええええっ!!」



ガチャン!!←猫耳装着音



黒夜「…………ぐすン」

番外個体「…………これでよし。はいクロにゃん、マイク」スッ

黒夜『あァ? 何だこりゃ』

番外個体「レッツシング!」

黒夜『は?』


『はっぴぃ にゅう にゃあ/芹沢文乃(伊藤かな恵)&梅ノ森千世(井口裕香)&霧谷希(竹達彩奈)』


黒夜『って何だこりゃァ!? どォみても暗部の人間が関わっちゃいけねェモンだろこれェ!?』

番外個体「レッツシング!」

黒夜『外道がァ!』



タータタタンタータタタタンタ♪ タータータータータタタタタタタタタン♪



黒夜『――――』スゥ


土御門「って、おい!!」ドン


黒夜『にゃあっ!?』

番外個体「ん?」

海原「…………」


453: 2013/05/11(土) 11:30:20.70 ID:8tTqqgXOo


土御門「お前ら何で普通にカラオケボックスに遊びにきたみたいな感じになっているんだ!? 遊びにきたわけじゃないんだぞ!」


番外個体「ええっー、カラオケボックスにきて歌わないとか、一体ここ何しにきたの?」

土御門「たまたまあのホテルから一番近い隠れ家がここだっただけだ! カラオケにきたわけじゃない!」

海原「そうですよ番外個体さん。あくまでここは話し合いの場として選ばれただけです。黒夜で遊ぶならそれが終わってからにしてください」

黒夜『オイふざけンな! 勝手に私を人柱にしよォとすンじゃねェ!』

海原「……黒夜。目的を達成するためには何かを犠牲にする必要があるのですよ」

黒夜『…………』

海原「…………」ニコッ


黒夜『チクショォオオオオオオオオオっ!!』


番外個体「クロにゃーん? 何だか口調がおかしいままだよ、もっと肩の力抜いたほうがいいんじゃないかにゃーん」

黒夜『誰のせェだ誰のォ!』

土御門「……いいからお前らは真面目に話を聞け。黒夜、お前はマイクを置いて頭についてる猫耳を外せ」

黒夜『ハァ? ンなモンできりゃあそォしてるよ! 早くこのビリビリ馬鹿にカラダの制御止めさせろ!』

番外個体「えっ? ミサカもうそんなことしてないよ」

黒夜『…………は?』

番外個体「さすがに制御奪われたままじゃ歌えないでしょ? だからマイクを渡した時点でクロにゃんは自由の身だったのにゃーん」

黒夜「…………」スッ

黒夜「あ、ほんとだ」

番外個体「つまりクロにゃんは自分の意思でレッツシングしようとしたわけってことだよ」ニヤニヤ

黒夜「は、ハァ!? べ、別に歌おォとか思ってねェし! 何か空気がそんな感じだっただけだしィ! 半ば矯正だったしィ!」

海原「後半の言い訳が歌おうとしたことに対してのものなんですけどそれは……」

黒夜「馬鹿なこと言ってンじゃねェ海原ァ! ミンチにされてェのかオマエはァ!?」

番外個体「実はこーいうの好きなんじゃないのかにゃーん? ク・ロ・にゃん?」


黒夜「好きなわけねェェだろォォがァァあああああああああああああああああああああああッ!!」


土御門「…………はぁ、いつになったら静かになってくれるんだろうなコイツらは……」


454: 2013/05/11(土) 11:31:07.24 ID:8tTqqgXOo


~しばらくして~


土御門「……さて、いいかげんに始めるぞ。無駄な時間を過ごしすぎた」


海原「まったくですね。おかげで御坂さんを見守るという自分の至福の時間が奪われてしまいました」

番外個体「ん? 呼んだ?」モグモグ

海原「いえ、貴女のことではありません」

黒夜「つーかさぁ、この遅延が全て私が悪いみてーな感じになってるみたいだけど大体このビリビリ女のせいだよな?」

海原「何を言っているんですか黒夜は? そもそも貴女が集合時間に遅れて……いえ、貴女が自分のカラダをサイボーグなんかにしなかったらこんなことにならなかったのでは?」

黒夜「散々弄ばれたうえに存在自体を否定されるなんてな。あァーマジでコロシタイ」

番外個体「で、リーダー。結局今日はミサカたちは何のために呼ばれたの? 別に仕事ってわけじゃないよね?」

土御門「ああ。これからのグループの方針について話し合うためだ」

黒夜「方針なんて勝手に決めてくれりゃいいのに、わざわざ私を巻き込んでんじゃねーよ」

海原「ならこれからの雑用を全て黒夜に任せる方針でいきましょう」

黒夜「ってオイ! 何勝手に決めてくれてンですかオマエはァ!?」

海原「貴女が勝手に決めてくれと言ったのでは?」

黒夜「私に実害が出ねェ範囲でだ! どォしてわざわざ私が下部組織の連中と肩を並べて雑用しなきゃいけねェンだよ!」

海原「肩なんて並べることはありませんよ。全ての雑用は貴女一人に一任しますから」ニコ

黒夜「随分ととンでもねェ方針を提案しやがるな海原クゥン!?」

番外個体「もーいいよ。これからはクロにゃんは一生ミサカの奴隷でーす。そーいう方針に決まりましたー☆」

黒夜「今までと変わらねェじゃねェか!」

番外個体「あれ? 自分が奴隷ってこと自覚してたんだ?」

黒夜「ッ!? 誰が奴隷だゴルァ!!」ゴウゥ

番外個体「はいはい大人しくしましょうねー」ビリビリ

黒夜「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」


455: 2013/05/11(土) 11:31:36.64 ID:8tTqqgXOo


土御門「……話が逸れているから戻すぞ」

海原「これからのグループの方針ですよね? それなら今までと変わらずで構わないのでは?」

番外個体「今までのグループの方針って何だったの? 雑用一生懸命頑張ります! とか?」

土御門「違うな。俺たちは今日までこれから起こるであろう暗部間の抗争を起こさせないように行動してきた」

番外個体「へー、あんなまさしく後始末! みたいな仕事をしているだけで防げちゃうような抗争なんだ。軽いね」

海原「いえ。あれもたしかにその一環ではありますが、重要部分のことは自分と土御門さんが処理しています」

黒夜「けっ、何のためにこんなつまらねーことしてんだお前らは?」

土御門「……どういう意味だ黒夜?」

黒夜「こンなツマンネー雑用してるよりはよォ、みンなで楽しくコロシアイしたほうが楽しィだろォが」

土御門「…………」


黒夜「あっ、もしかしてびびってンのかなァー土御門クン? まァそォだよなァ。周りの暗部組織には超能力者(レベル5)とかいうリーサルウェポンがいやがるわけだし」

黒夜「だがよォ、ンなこと関係ねェだろ。超能力者(レベル5)だろォが同じ人間、脳天に銃弾ブチ込めば即氏しちまうよォな安っぽい命だ」

黒夜「その程度のこともわかンねェよォだったらグループのリーダー失格だぞ土御門ォ」


海原「…………」


黒夜「大体よォ。何でオマエがリーダーなわけ? 無能力者(レベル0)でロクなチカラも持たねェゴミクズみてェなヤツのクセによォ」

黒夜「そンなカス野郎より私の方がよっぽどマシなリーダーになれるぜェ? 私に任せてくれりゃあ、スクールだがアイテムだが知ンねェが全部叩き潰してやるよォ」

黒夜「それだけの力と知識は植え付けられてあンだよ私にはなァ……」


456: 2013/05/11(土) 11:32:15.03 ID:8tTqqgXOo


土御門「…………ふふっ」

黒夜「なっ、何がおかしい!?」

土御門「そんな格好して大口叩かれたらもう笑うしかないだろ?」

黒夜「はっ、何言って……」ギョロ


黒夜「って何だこりゃあっ!? いつの間にか私のカラダが勝手にコマネチのポーズとってンだけどォ!?」


番外個体「あはははははっ! だってクロにゃんがいきなり調子に乗り出すんだもん。ついついちょっかいかけちゃった☆」

黒夜「番外個体ォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

番外個体「だいたいミサカにまったく歯が立たないクロにゃんがリーダーなんかになってもさー。間抜けなだけだよねー」

海原「ですね」クスッ

黒夜「笑ってンじゃねェ海原ァ!!」

番外個体「ま、クロにゃんの言いたいこともわかるよ。このいつまでも続く退屈な日々にもうミサカも飽き飽きしてきたところだしねー」

番外個体「ねえねえリーダーさん?」

土御門「何だ?」

番外個体「いつになったらミサカの本当の任務が始まるの?」

海原「…………」

土御門「……何のことだ?」


番外個体「またまたー、そんなはぐらかしちゃってー。そもそもミサカたちは別の用途で作られたものだよね」

番外個体「ミサカは第一位の殺害。クロにゃんは暗部組織が全て解体したときのバックアップ」

番外個体「こんな明らかに別ベクトルのミサカたちが、グループみたいなところに所属される時点でちょっとおかしいよね」


土御門「……今さらそんなことを言われても困るんだがな」

番外個体「ここに入って早四ヶ月くらいは経って、まあこんな生活も悪くないなーなんて思ってたけどやっぱ違うんだよねー。ミサカはそーいう風に作られてないから」

海原「番外個体さん……」

番外個体「ってことで、これからあの第一位頃しに行っていい?」

土御門「……ふっ、好きにすればいい……が」


土御門「俺はここでお前を頃してでも止めるぞ? それを乗り越えて行く覚悟がお前にあればの話だがな」


番外個体「…………」

土御門「…………」

海原「…………」ゴクリ



457: 2013/05/11(土) 11:32:41.33 ID:8tTqqgXOo


番外個体「ふふふっ。あはははははははははははっ! なーにマジになっちゃってんの? 冗談に決まってるじゃん」

土御門「…………」

番外個体「いくら不良のミサカでもさすがに上からの指示はちゃんと聞くよ。知ってるよ、まだ時期じゃないんだよねー」

黒夜「けっ、つまんね。てっきりここで楽しい殺戮ショーでも見れると思ったんだけどなー」

番外個体「それに、ここでミサカがグループ出て行っちゃったらクロにゃんが悲しむもんねー」

黒夜「ハァ!? 何でそーなるんだよ!?」

番外個体「ミサカのビリビリを受けすぎてクロにゃんはミサカなしでは生きていけないカラダに……」

黒夜「んなわけねーだろ。逆にアンタの電撃受けすぎて故障しちまう可能性の方が高いだろうが」

番外個体「相変わらずクロにゃんはツンデレさんだにゃーん」

黒夜「ツンデレじゃねーよ! 一度でも私がデレたことなんてあったか? あるわけねーよな常識的に考えて」

番外個体「またまたー、そんなこと言っちゃってー。悪い子にはおしおきだぜー」ビリビリ

黒夜「ひぐっ!? な、な、お、オマっ、な、何しやがった……」ビクッ

番外個体「少しいつもと違った趣向のビリビリをしてみました! ミサカじゃないと感じないカラダにし・て・あ・げ・る♪」ビリビリ

黒夜「ひぐぅぅっ、あ、あ、ふぁ、ひゃっ、ひゃめ///」


海原「…………」

土御門「まるでゴミ見るかのような目だな」

海原「まあゴミを見ていますからね」

土御門「ひどい言いようだにゃー」


458: 2013/05/11(土) 11:33:33.05 ID:8tTqqgXOo



ピピピピッ! ピピピピッ!



海原「……電話ですか?」

土御門「いいや。合図だな」

番外個体「んん? どーかしたの? 仕事?」

土御門「ああ。例のスキルアウトどもが動き出した。後始末の指令だ」

番外個体「はいはーい。ミサカたちも出なきゃいけないねー、じゃあクロにゃん行くよー」

黒夜「……ひょ、ひょっとま、って……こ、こしが」

海原「何を遊んでいるんですか黒夜? 早く立ってください」

黒夜「う、る、ひゃい……、こっち、うごけ、な」

番外個体「あー、動けないんだねー、じゃあミサカが操作してあげるよー」ビリビリ

黒夜「はぐぅぅっ!?」ビクンビクン

番外個体「あっ、出力間違えちゃった」

海原「使い物にならないサイボーグですね、ほんと」

土御門「……仕方がない。今回は三人で行くぞ」

番外個体「ええっー? クロにゃんがいないとつまんないじゃん!」

海原「大丈夫ですよ番外個体さん。早く仕事を終わらせてからあとでじっくりと黒夜で遊べばいいんですよ」ニコ

番外個体「そだね。じゃあ張り切ってカスどもの殲滅に向かうとするぜー!」

黒夜「…………お、ぼえ、うなば」

海原「まあせいぜいゆっくり休んでおいてください黒夜」ニコニコ



土御門「さて、グループ出陣だぜーい!」



――――


469: 2013/05/18(土) 18:09:18.07 ID:t4WfFdxeo


17.調理実習


January Fifth Thursday 10:40 ~三時間目・家庭科~

-とある高校学生寮・調理室-



キーンコーンカーンコーン



一方通行「……さァて、こっからは地獄の始まりっつゥことかァ」

結標「……ええ」ゴクリ

一方通行「お互い生きて帰れるとイイな」

結標「……そうね」

一方通行「……何だかンだ言って楽しかったぜ。オマエと過ごした日々はよォ」

結標「私もよ。人生の中で貴方と過ごした時間が一番楽しかったわ……記憶なくて半年くらいの人生だけど」

一方通行「……よし、行くぞ結標ェ。戦場に、な?」

結標「うん!」キッ



吹寄「何やってるのよ二人とも? 早く行くわよー」



結標「あ、うん、了解吹寄さん!」タッタッタ

一方通行「あァークソ。面倒臭せェなァオイ」ガチャリガチャリ


―――
――



470: 2013/05/18(土) 18:10:18.24 ID:t4WfFdxeo



~一週間前家庭科の授業・回想~



家庭科教師「――というわけで、来週の家庭科の時間は調理実習を行います」



<おおっー!! <調理実習キタコレ! <ふふふ、ついに私の料理テクニックを見せ付ける時がきたのね <俺味見専門な!



家庭科教師「調理室に調理台は六つあるので、一グループ六、七人で六つのグループに分かれてもらいます」

家庭科教師「メンバーは各々自由に決めてもらっても構いません。よいチームワークを発揮できるかどうか、期待していますよ」


土御門「調理実習かー。夏休み前に一回やったきりだったかにゃー?」

青ピ「せやな。あの時はチャーハン作ったんやったっけ。なぁカミやん」

上条「お、おう……(記憶がないからわからないでござる)」

青ピ「あのときは大変やったなー、カミやんが盛大にずっこけて卵全滅させたからなー」

土御門「卵なしのチャーハンは結構寂しかった気がするぜい」

青ピ「今回は何をしでかしてくれるんかなぁカミやんは」

上条「何もしねーよ! あ、あのときの上条さんとは違うんですよ! 俺だった日々成長して……」

土御門「これと言って変わってないように見えるのは気のせいかにゃー?」

上条「うるせぇ!」



ワイワイガヤガヤ



吹寄「……ったく、授業中なのにうるさい連中ね」



471: 2013/05/18(土) 18:10:56.11 ID:t4WfFdxeo


姫神「調理実習……ふふ。いつもなら影の薄い私でも活躍できる唯一のイベント……!」

吹寄「何だか燃えてるわね姫神さん。そういえば姫神さんは二学期から転入してきたから調理実習初めてよね?」

姫神「私料理得意だから。すごく楽しみ」

吹寄「ふふっ、だったらおいしい料理を期待できそうね……そういえば結標さんたちも初めてよね?」



一方通行「何……だと……?」

結標「嘘……でしょ……?」



吹寄「……どうしたのよ二人とも」

姫神「まるで絶望の淵にでも立たされたような表情」

結標「……ちょ、調理実習ってあれよね? 料理とかしちゃうアレよね?」

吹寄「え、ええ、それ以外ないと思うけど」

一方通行「……俺来週仮病で病欠するわ」

姫神「それ。ただのズル休み」

吹寄「ってどうしたのよいきなり! 何かあったのアクセラ?」

一方通行「料理ってオマ……下手したら氏人が出るぞ?」

姫神「氏人?」

一方通行「ああ……そこのテレポーターが料理ができねェのは知ってるよな?」

吹寄「う、うんまあ……」

姫神「切りにくい鶏肉を柔軟剤で柔らかくしようとしたあれ?」

結標「ううっ、あまり蒸し返して欲しくはない黒歴史なんだけど……」

一方通行「コイツはドが付くほどの料理音痴だ。野菜炒めの材料からダークマターを製造できるぐれェのなァ」


一方通行「つまり来週のこの時間は……、地獄を見ることになるぞ……?」


―――
――



472: 2013/05/18(土) 18:12:25.93 ID:t4WfFdxeo



~そして現在に至る~



吹寄「……さて、今回我らFグループが作る料理を改めて確認するわ!」

吹寄「親子丼! 味噌汁! 以上よ!」


一方通行「確認するまでもねェ品数だなァ」

青ピ「それにどのグループも同じもん作るしなー」

上条「親子丼かー、まだ簡単な方で助かったな」

青ピ「卵を使う時点で難易度急上昇やないか? カミやんにとって」

土御門「親子丼がただの鳥飯にならないようにしないといけないにゃー」

上条「わかってるよそれくらい。大体上条さんは毎日自炊しているんですよ? それもこれといった失敗もなく」

上条「だから同じ料理なら上条さんに失敗はないのですよっ! 絶対にっ!」

一方通行「絶対=フラグ、これマメな」

姫神「マメ。じゃなくて常識」

結標「上条君は卵から離したほうがいいんじゃないかしら?」

一方通行「オマエは食材から離れたほォがイイと思うが」

結標「ひどい! べ、別にいいじゃない。いくら私でももうさすがに致命的なミスはしないわよ! ……たぶん」

一方通行「たぶンじゃねェンだよ、絶対じゃねェといけねェンだよ」


吹寄「はいはいみんな落ち着いてー!」



473: 2013/05/18(土) 18:13:35.75 ID:t4WfFdxeo


吹寄「とりあえず役割を決めましょ。どんなことにも役割分担して効率よく勧めていくことが大事よ」


上条「具体的にどう分けるんだ?」

吹寄「そうね。大まかに分けると親子丼チームと味噌汁チームね」

青ピ「じゃあボクは味見チームがいいでーす!」

土御門「俺も俺もー!」

吹寄「そんなチームはないわよ馬鹿ども! これは授業よ! サボリは許さないわよ!」

姫神「働かざるもの食うべからず」

一方通行「結標。オマエはどのチームがイインだ?」

結標「どのチームって聞き方はおかしくないかしら。たしか選択肢は二つのはずよ?」

一方通行「みンなが安心して料理できる味見チームを忘れてンじゃねェよ」

結標「どうあっても貴方は私に料理をさせたくないみたいね……」

一方通行「命には代えられねェ」


吹寄「じゃあ質問だけど、料理が人並みくらいにはできるって人はどれくらいいる?」


上条「まあ、人並みくらいには」ノ

姫神「毎日お弁当を作るくらいには得意」ノ


吹寄「……うん、あたしを含めて三人か」


一方通行「……青髪ピアス。オマエ料理できねェのかよパン屋に住ンでるクセによォ」

青ピ「いやいやその理屈はおかしいでぇ。ボクは下宿先がパン屋なだけで別にパン作りの修行をしとるわけやないでー。太陽の手とか持ってへんでぇ!」

土御門「だいたいパンが作れたからって料理ができるとは限らないんじゃないかにゃー?」

姫神「パン作りのほうが難易度が上のような気が……」

上条「それより一方通行が料理できないってのが意外だったな。何でも卒なくこなせそうなイメージがあるし」

一方通行「得意料理はカップ麺と冷凍食品でェす」ドヤ

結標「ドヤ顔するほどのものではないと思うけど。それにその程度なら私だって作れるわよ」

土御門「それって料理するって言わないんじゃないかにゃー、ってツッコミはいるー?」


474: 2013/05/18(土) 18:14:53.80 ID:t4WfFdxeo


吹寄「……よし。じゃあ三つのグループに分けるわ」


上条「三つ? 二つじゃなくてか?」

吹寄「この四十五分間という短い授業時間の間に作る、食べる、片付け、これを全て終えないといけないわ」

土御門「にゃー、たしかに前よりはキツイかもしれないな」

吹寄「だから親子丼チーム、味噌汁チーム、サポートチームの三つに分けるわ」


吹寄「まず親子丼チームはあたしと土御門でいくわ」


土御門「了解だにゃー」


吹寄「次に味噌汁チームは姫神さんと青髪ピアス」


姫神「わかった」

青ピ「わっほーいヒメやんとの初めての共同作業やなー!」

姫神「別に初めてではない。あとそんなつもりもない」ジトー

青ピ「おうふっ、ヒメやんの冷たい視線がっ! ンギモヂィィィ!!」



ゴッ!



吹寄「……はい。じゃあ最後のサポートチームが上条、アクセラ、結標さんでお願い」


上条「おう」

一方通行「妥当な判断だな」

結標「そうね。やっぱり料理はまず見て覚えないとね」

一方通行「オマエはそれ以前の問題だけどな」

上条「ところでサポートチームって何をすればいいんだ?」

吹寄「基本的には他のチームの手伝いよ。あと空いた時間があったら器具とかを洗ってちょうだい」

結標「まかせて! 洗い物は得意よ!」

一方通行「得意もクソもねェよ」


吹寄「……じゃあちょっと時間短くなってるからテキパキ動いてちょうだいね。ミッションスタート!」


475: 2013/05/18(土) 18:17:03.56 ID:t4WfFdxeo



~親子丼チーム~



吹寄「さて土御門。さすがに包丁は使えるわよね?」

土御門「ふっ、侮るなよ。俺の包丁捌きは、斬られた相手が斬られたと気付かずに氏んでいくほどなんだぜい」

一方通行「元から生きてねェだろ食材どもは」

吹寄「あたしは割り下を先に作っておくから、あなたたちは食材を切っておいて」ガチャ

結標「割り下って何?」

土御門「簡単に言うなら親子丼の汁だにゃー。醤油をいろいろな調味料で割って下地を作る。略して割り下」

結標「へー、物知りなのねー」

土御門「まあな」

一方通行「そンなことを知ってても料理はできねェのかよ」

土御門「知識があるからそれが実行できるとは限らないんだぜい」

一方通行「オマエが本気を出したらこれくらい余裕で出来ンだろォよ」

土御門「その言葉そのままお前に返しておくぞ一方通行」

一方通行「チッ」

土御門「さて、あんまりお喋りしてたら吹寄に怒られちゃうぜい。作業に取り掛かるにゃー」

結標「了解。さあ頑張るわよ!」シャキーン

土御門「俺は玉ねぎと三つ葉やっとくから姉さんたちは鶏肉を頼む」

結標「と、鶏肉……忌まわしき宿敵であるあの鶏肉……?」

一方通行「鶏肉切りにくい(審議拒否)でお馴染みの鶏肉かァ。……ふっ」

結標「……今の私なら一瞬で貴方の頭に直接包丁をテレポートさせられるような気がするわ」

一方通行「それより早く俺が電極のスイッチを押すがな」


吹寄「ちょっと上条!」

上条「何でせう?」

吹寄「貴様は先にご飯を炊いといてちょうだい。二十分くらいで炊けるから早炊きでお願いね」

上条「おう、任せとけ」

吹寄「終わったら姫神さんたちのほうを手伝ってちょうだいね」

上条「了解了解。わかりましたよーと」テクテク

吹寄「…………上条当麻」

上条「まだ何かあんのか?」

吹寄「しくじるんじゃないわよ? これは絶対よ?」ギロ

上条「……わ、わかってますよ吹寄さん。あははー」テクテク


476: 2013/05/18(土) 18:18:10.27 ID:t4WfFdxeo



~味噌汁チーム~



姫神「材料は豆腐とわかめとネギ。つまりいたってシンプルな味噌汁」

青ピ「揚げがないやん!」

姫神「文句は先生に言って」

青ピ「じゃがいもないやん!」

姫神「なぜそこでじゃがいも?」

青ピ「あさりないやん!」

姫神「下ごしらえが面倒。というか時間が普通に足りないと思う」

青ピ「ヒメやんの腕なら余裕やと思うけどなぁ」

姫神「……そんなこと言ってもここにはあさりなんてない」

青ピ「せやな。ほな、ぼちぼち始めましょーかー」

姫神「うん」

青ピ「で、役割分担はどーすん?」

姫神「役割分担?」

青ピ「汁作るほうと具材切るほうとかあるやろ。向こうの親子丼チームみたいに」

姫神「……例えばだけど」

青ピ「うん?」

姫神「青髪君の言うとおりに役割分担をしたとしよう。豆腐は味噌汁が出来上がった最後の段階で切る。わかめはそのまま入れる。つまり……」

青ピ「切るもんネギしかないやん」

姫神「そういうこと。わざわざ分担する必要がないと思う」

青ピ「ほなヒメやん一人で十分っつーわけかいな?」

姫神「そう」

青ピ「ボクいらないやん!」ガーン

姫神「……まあとりあえずネギを刻んどいて。私は湯を沸かしたりして味噌汁を作っておくから」

青ピ「了解や」シャキーン


477: 2013/05/18(土) 18:19:02.99 ID:t4WfFdxeo



~サポートチーム~



上条「……ええっと、Fグループの炊飯器はーと」キョロキョロ

上条「あったあった。これか……」カパッ

上条「まず釜を取り出して軽く水洗いしてっと」ジャー

上条「そしてこの『すぐ炊ける、すぐ食べられる、すぐおいしい! 学園都市産特製無洗米』を水の入った釜に投入!」ザー

上条「たしか早炊きでよかったよな。時間的に……」ピッピッピ

上条「ほい完了!」ピッ

上条「あとは炊き上がるのを待つだけだな」

上条「さーて、姫神たちの方を手伝いに行きますか」テクテク



炊飯器『』シュゴーシュゴー



ピーピー!



炊飯器『深刻なエラーを察知しました。機能を停止します』



ピー!



478: 2013/05/18(土) 18:20:13.67 ID:t4WfFdxeo



~親子丼チーム~



ギチッ……ギチッ……!



結標「……くっ、相変わらず切りにくいわねーこれ」ギチギチ


一方通行「まだ終わらねェのかよ」

結標「そういう貴方は終わったのかしら?」

一方通行「そりゃまァ、こンな肉塊俺にかかれば一瞬で細切れだしィ」

結標「おのれ! 能力を使いやがったわね!」

一方通行「使えるモンは使う。それが俺の主義だ」

結標「くっ、こうなったら秘密兵器を使うしかないようね……」

一方通行「まさかまた柔軟剤ぶち込むとかほざきやがるンじゃねェだろォなァ?」

結標「馬鹿ねぇ、私がそんな何度も何度も同じようなミスをするわけないじゃない」アハハ

一方通行「……じゃあ何なンだよ、その秘密兵器とやらは?」


結標「てってれー♪ 塩酸ー!」スッ


一方通行「…………ハァ?」

結標「この塩酸を使って鶏肉の繊維を溶かしてしまえば、包丁でもらくらく切り刻めることが出来るわ!」

一方通行「どっからそンなモン持ってきた?」

結標「ちょっと理科室から拝借してきたわ」

一方通行「…………」

結標「…………」ドヤ


一方通行「ドヤじゃねェンだよクソ野郎がァ!!」ドン


結標「ひっ、な、何よ?」

一方通行「塩酸なンて料理で使えるわけねェだろォがッ! 常識的に考えてッ!」

結標「そ、そうかしら? いいアイデアだと思ったのだけど……」

一方通行「とりあえずそれはしまえ。そしてあとでそれはもと合った場所に返して来い!」

結標「わ、わかったわよ……」スッ

一方通行「ったく」


土御門「おーい、こっちは終わったぜい」ジュズズ


479: 2013/05/18(土) 18:22:24.71 ID:t4WfFdxeo


一方通行「……オイオイ何涙垂らしてンですか土御門ォ。あまりの結標の無様さに号泣してンですかオマエはァ?」

結標「誰が無様ですって……?」

土御門「いやー、玉ねぎを切るなんて小学生のときの調理実習以来だからにゃー。涙がポロポロだぜい」

一方通行「グラサンでガードしろォ」

土御門「あれは匂いから来るもんだからな。よくアニメとかで見るゴーグルあるから安全みたいなのは間違っているんだぜい」

一方通行「どちらにしろ俺には反射があるから無問題だな」

土御門「で、結標の姉さんはまだ終わらないのかにゃー?」

結標「ごめんね。思いのほか手こずっちゃって」ギチギチ

一方通行「もォ諦めて能力使っちまえよ」

結標「……いや、ここで諦めてしまったら一生料理なんてできないような気がするわ」ギチギチ

一方通行「安心しろ。どっちに転がろうがオマエの作る野菜炒めはダークマターだ」

結標「うっさいわね!」ギチギチ

土御門「……ちょいといいかい姉さん?」

結標「ん? 何かしら?」

土御門「包丁ってのは押さえつけて切るもんじゃないぜい。手前に引いて使うものだにゃー」

結標「えっ、そうなの?」シュッ

結標「おおっ! 簡単に切れた!」

土御門「そうそう、うまいうまい」

結標「ありがとう土御門君! 貴方のおかげで料理スキル会得への道が開けたわ!」

一方通行「次は料理に入れていいものと入れちゃいけねェものの区別を教えてもらえばどォだ? 料理スキル会得までぐっと距離が近づくぞ?」

結標「い、いやさすがにその分別くらいわかるわよ! フライパンに入れる油はサンオイルとか灯油とかじゃなくてサラダ油よね?」

土御門(サンオイル……!? 灯油……!?)

一方通行「じゃあ甘口の卵焼きを作りたいです。さて調味料は何を入れればイイでしょォか?」

結標「卵焼きを甘くするのよね……甘くする……甘くする……」

土御門「…………」

一方通行「…………」


480: 2013/05/18(土) 18:23:18.97 ID:t4WfFdxeo



結標「……! そうだわかった! 青酸カリね!」



土御門「どうしてそうなる!!」

結標「えっ? だってこれ結構甘酸っぱい香りがするのよ? それに某小学生探偵がよくペロって……」

土御門「それはコラだ! 偽者の情報だ!」

一方通行「大体青酸カリは毒だろォが」

結標「あ、そっか」

土御門「なぜ無難に砂糖と真っ先にいえない……?」

結標「おおー、砂糖かー。その手があったわね」

一方通行「オマエの思考回路は一体どォなってやがンだ。つゥか何だよさっきからこの薬物縛り」

吹寄「材料切るの終わったー?」

結標「うん、言われたものは全部切ったわ」

吹寄「じゃああとはこっちでするから使わない器具とかの片付けやっておいて」

結標「了解!」

土御門「アクセラちゃーん、面倒だから能力使ってぱぱーと一気に洗ってくれー」

一方通行「面倒臭せェ。自分で洗え」

結標「使えるものは使うんじゃなかったの?」

一方通行「使う必要のねェモンは使わねェ。それが俺の主義だ」

結標「コロコロ変わりすぎでしょ貴方の主義」


481: 2013/05/18(土) 18:24:32.05 ID:t4WfFdxeo



~味噌汁チーム~



姫神「…………」


グツグツ


青ピ「……おぉーふ、ええ香りやなぁーお腹空いてくるでー」

上条「ほんとだよなー。今日朝メシろくに食ってねーから余計に腹が減るぜ」グー

姫神「…………!」キッ

姫神「豆腐!」

青ピ「はい、豆腐やで」スッ

姫神「…………」シャキーン



ズバッズバッズバッ



姫神「…………」ボトボト

上条青ピ『おおっー!』パチパチ

姫神「一分ほど煮たあとにわかめを入れる」

上条「さすが姫神だな。手つきが鮮やかだ」

姫神「伊達に毎日料理していない」

青ピ「ほんまやなぁ。正直ボクらおらんでも十分作れたんちゃうかなー?」

姫神「うん」

上条「つーか、そもそもこれくらいのレシピでこんな大人数いらねーよな?」

姫神「人数の関係上しょうがない」

青ピ「一クラスの人数多いわりに部屋は狭いってなー」


482: 2013/05/18(土) 18:25:19.40 ID:t4WfFdxeo



グツグツ



上条「……おっ、そろそろいいんじゃないか姫神?」

姫神「そうだね。青髪君」

青ピ「ほいきた! わかめ爆弾投下ぁ!」ボトボト

上条「……何かわかめ多くねーか?」

青ピ「せやで。ただでさえ量少ないんやから、この『学園都市製超増えーるわかめ』を大量投入しないとやってられんで」

上条「どっから持って来やがった、その危険臭しかしない名前のわかめ!」



モリモリ



姫神「……ものすごい勢いでわかめが増えてる」

上条「ぎゃああああっ! 味噌汁がわかめを味噌で煮たものになってるぅううう!」


吹寄「ちょっと上条!」


上条「はい? 何でせうか吹寄さん?」

吹寄「そろそろご飯が炊けた時間じゃないかしら? 確認してきてちょうだい!」

上条「はいはーい、ほいじゃ言ってきますよーと」テクテク


483: 2013/05/18(土) 18:25:47.67 ID:t4WfFdxeo


上条「さてさてー、本日の主役親子丼に欠かせないお米ちゃーんはちゃんと炊けてるかなー?」テクテク

上条「ええっと、Fグループの炊飯器は……ん?」



炊飯器『深刻なエラーを察知しました。機能を停止しています』



上条「…………んん?」



炊飯器『深刻なエラーを察知しました。機能を停止しています』



上条「…………は? エラー……? 停止……?」



炊飯器『深刻なエラーを察知しました。機能を停止しています』



上条「……何度見てもエラー……だと?」



吹寄「――ちょっと上条当麻! 一体何をやって……え?」



炊飯器『深刻なエラーを察知しました。機能を停止しています』



吹寄「…………ちょっと上条? これはどういうことかしら?」ギロ

上条「……ははっ、おかしーなー? ボクはちゃんとボタンを押したはずなんだけどなー」

吹寄「……上条。とにかく何か言うことがあるんじゃないかしら?」

上条「……不幸だー?」



吹寄「謝れ馬鹿者!」



ゴッ!



上条「ふがっ!?」


485: 2013/05/18(土) 18:28:29.74 ID:t4WfFdxeo



~親子丼コーナー~



土御門「……そろそろ食べときじゃないかにゃー?」

結標「そうね。あとは卵を乗せるだけね。レシピ通りでいけば」

一方通行「その前にご飯が来るのを待たねェといけねェだろ。卵が無駄に固まっちまうぞ」

結標「貴方がそういうこと言うのって何か変よね。『異の中に入ったら同じだろォが』って言った方がお似合いよ?」

一方通行「うるせェ、レシピに書いてあンだよ」


吹寄「――まったく……これから……どうする……?」ブツブツ


結標「あっ、吹寄さんが帰ってきたわ」

土御門「吹寄ー。お米ちゃんはどーしたんだ?」

吹寄「大変よ! 上条がまたやらかしたわ!」

上条「あれは俺のせいじゃねえよ! なぜだか停止していた炊飯器が悪りぃんだよ!」

吹寄「確認を怠っていた貴様のせいでもあるでしょうが!」

上条「理不尽だ!」

結標「どうしたのよ一体?」

吹寄「率直に言うわ。ご飯がまだ炊けてないのよ!」

一方通行「ンだと?」

吹寄「どうやら今の今までエラーで停止しているのに気付かずに、ずっと放置してたわけよ」

土御門「そりゃ一大事だにゃー。このままじゃ親子丼がただの家なし親子になっちまうぜい」

結標「今から炊きなおしたら間に合わないの?」

吹寄「間に合わないこともないけど、その場合後片付けの時間含めて五分くらいしか残らないわ」

土御門「五分かー、食えないことはないが片付けのほうはキツイかにゃー」

一方通行「…………」

結標「……一体どうすればいいの……?」

上条「……すまねえみんな。全部俺のせいだ。俺がちゃんと炊飯器の起動確認までしていれば……」

吹寄「いや、そういうところまで見てなかったあたしの責任でもあるわ。ごめんなさい……」

結標「…………」

一方通行「……あァ面倒臭せェなァくそったれが」ガチャリガチャリ

結標「! どこに行くのよ一方通行」

一方通行「ちょっと米炊いてくる」

吹寄「何を言ってるのアクセラ。ハッキリ言ってもう時間には……」

一方通行「……ハァ、オマエらわかってねェ、全然わかってねェよ。俺を誰だと思ってやがる」

上条「……学園都市第一位の超能力者(レベル5)……?」

一方通行「そォだ。全てのベクトルを操る、よォするに最強の能力者である俺によォ――」



一方通行「たかが米粒、炊けねェわけねェだろォが……ぎゃはっ」カチ



486: 2013/05/18(土) 18:31:21.01 ID:t4WfFdxeo



カパッ



一方通行「よっと」ジャポッ

結標「お米の中に手を突っ込んだ?」

上条「何をするつもりだよ」

一方通行「熱っつゥのはアレだ、分子や固体の中の原子が熱振動することで起こるモンだろォが。つまり――」



ゴポポッ!



吹寄「!? 水が沸騰した!?」

一方通行「俺のベクトルを操るチカラで無理やり水の中にある原子を高速で振動させれば、すぐさま水を沸騰させて水温を上げることなンざ他愛もねェだろ」

結標「……でもいくらすぐに沸騰させることができても、ふたが開いてるから蒸気とかが逃げちゃうんじゃ……?」

一方通行「その点も問題ねェ」



シュゴー



吹寄「……蒸気が炊飯器の入り口をまるで透明な蓋でもあるかのように中に戻っていってる……?」

一方通行「左手で水を操り、右手で蒸気を操る。そォすりゃ釜一つありゃ人間炊飯器が可能っつゥわけだ」

一方通行「それに学園都市製の最新の炊飯器の性能の高さって知ってるかァ?」

結標「……そういえば最近黄泉川さんがまた買ってたわね。たしかあれって五分もあれば炊き上がるんでしょ?」

上条「ご、五分!? すごすぎんだろそれ!」

一方通行「機械にそれが実現できるっつゥンなら、この俺に再現できねェわけがねェ」



ゴポポッ!



一方通行「こンなこともあろうかと、昨日の晩あらかじめあの炊飯器の仕組みを調べておいた」

一方通行「つまりこの米はあと五分もしねェうちに炊き上がるわけだ。蒸し時間だって余裕で確保できるぜェ?」

結標「……それじゃあ……!」

土御門「ああ。きちんと時間内に親子丼が食べられるにゃー!」

上条「よっしゃー! 助かったー!」

一方通行「チッ、うっせェンだよオマエら。気が散るだろォが」

吹寄「……アクセラ」

一方通行「あァ?」

吹寄「何というか……ありがとね」

一方通行「ンなこたァどォでもイイから他のモンの準備をしろォ。米が炊き上がり次第メシの時間だくそったれが」


―――
――



487: 2013/05/18(土) 18:32:40.75 ID:t4WfFdxeo


吹寄「――最後にご飯の上に盛り付けて……と」サッ



全員『完成ーッ!』



青ピ「うおーっし! ようやく食べもんにありつけられるでー!」

土御門「いやー長かったにゃー。とてつもなく長かったにゃー」

上条「何言ってんだよ。時間がやばくて焦ってただろ?」

一方通行「誰のせェだ誰の」

上条「か、上条さんだっていつも気をつけているんですよ不幸ってやつがいつ起こってもいいように! でも無理なんですー回避不可なんですースピードスターなんですー!」

一方通行「知らねェよ」

姫神「……はい。味噌汁」ゴト

上条「おおー、いい香りだなー。サンキュー姫神」

結標「はい一方通行」ゴト

一方通行「おォ、アリガトよ。一応聞いておくがナニも余計なモン入れてねェよな?」

結標「なっ!? さ、さすがの私も完成されたものに手をくわえるなんて無粋なことはしないわよ!」

青ピ「信用されてへんなー姉さん。こりゃ料理をきちんと学んでもアクセラちゃんには一生警戒されそーやな」

上条「いや、さすがに一生はねえだろ」

土御門「すでにトラウマを植えつけられてるってことかにゃー?」

結標「……なぜだか私がフルボッコされる展開に……?」

一方通行「オイオマエらそろそろイイ加減にしとけ。レベル5様がお怒りになられるぞ」

結標「貴方もレベル5でしょうが!」

吹寄「はいはい落ち着いて結標さん。食べて片付けるまでが調理実習よ。早く食べなきゃ」

結標「あ、う、うん。そうね」アセ

姫神「……お茶汲んできた」テクテク

青ピ「この騒ぎの中でいつの間に……?」

土御門「この俺が察知できなかっただと……?」

姫神「何を言っているのかわからないけど。すごく馬鹿にされているような気が……」

上条「無視しとけ無視」


吹寄「はい、じゃあ――」



『いただきまーす!!』



――――



498: 2013/05/25(土) 17:11:36.32 ID:rulaMS95o


18.節分


February First Sunday 10:00 ~節分~

-黄泉川家・リビング-



打ち止め「おにはーそと!」バッ


一方通行「あン?」



パラパラパラー!



一方通行「ッ!? 何しやがるクソガ──」


打ち止め「ふくはーうちー!」バッ



パラパラパラー!



一方通行「ぐっ、痛ッ、オイやめろ――」


打ち止め「おにはーそとー!」



パラパラパラー!



一方通行「だからやめろっつってンだろォが! このクソガキがァ!」カチ



キュイーン、パラパラパラー!



打ち止め「ぎゃあああああああっ! 投げた豆が全部反射されてきたー! ってミサカはミサカは全速力でこうた──痛っ! 痛い痛い豆痛い!」ビシッビシッ



499: 2013/05/25(土) 17:13:04.81 ID:rulaMS95o


打ち止め「……ううっ、体中に豆の当たった痕ができて痛いよー、ってミサカはミサカは涙を浮かべながら嘆いてみたり」

一方通行「自分がやられて嫌なことは他の人にやっちゃいけませン、って習わなかったのかオマエ」カチ

芳川「逆に聞くけど、キミはそんなこと習ったのかしら?」

一方通行「ンなこと教えてくれるヤツなンざいるわけねェだろ。ちなみに俺ァ『どうせやられたら倍返しにするんだから、やられる前に倍返ししとけ』って習った」

芳川「何それ怖い」

結標「一体貴方はどんな先生の下で育ってきたのよ」

一方通行「先生なンて高尚なモンじゃねェよ。ただのゴミクズだ」

結標「ひどい言いようね……」

一方通行「つゥか、どォしてこのクソガキは俺に大豆なンざぶつけてきやがったンだァ? またくだらねェ反抗期ごっこでもしてンのか? 十年以上早ェ」

打ち止め「ち、違うよ! ていうか早いってどういうこと! ってミサカはミサカはあなたの言葉に食いついてみたり!」

芳川「今日が何の日か知ってるかしら?」

一方通行「たしか今日は二月三日だろ? 何かあったか?」

結標「カレンダー見なさいよ。節分って書いてあるでしょ?」

一方通行「節分? そォいやそンなモンあったな」

結標「ほんと貴方ってそういうものに無関心よね」

一方通行「興味ねェンだからしょうがねェ。で、どォして俺はコイツに豆ェぶつけられねェといけねェンだ?」

芳川「節分には豆撒きっていう摩滅のために行う儀式みたいなものがあるのよ。鬼に豆をぶつけることによって邪気を追い払う、って感じにね」

結標「それで掛け声が『鬼は外! 福は内!』って感じになるらしいわ」

芳川「まあ地域によっては『鬼は内!』になっていることもあるけど、キミにとっては些細な問題でしょ?」



500: 2013/05/25(土) 17:14:27.60 ID:rulaMS95o


一方通行「……つまり何だァ? このクソガキは俺を鬼に見立てて豆を投げつけてたっつゥことか?」

打ち止め「イエス! ってミサカはミサカは指を二本立てて肯定してみたり」

一方通行「何で俺がそンな三下みてェな役割をしなきゃいけねェンだよ?」

芳川「いや、だって……ねえ」

結標「うん……まあ、そうね」

一方通行「何で目を逸らせてやがンだこのアマどもは……」

打ち止め「それはあなたが鬼役にピッタリだからだよ! ってミサカはミサカは簡潔に答えてみたり」

一方通行「ハァ? どこがピッタリだってンだよ」

芳川「そりゃ顔が怖いからに決まってるわよ……ぷぷっ」

一方通行「オイオイ、そンなクソみてェ理由で俺ァ豆を投げつけられねェといけねェのかァ?」

結標「まあこの家で貴方が唯一の男なわけだし、こういう役を買って出るのが普通じゃないかしら?」

一方通行「普通じゃねェよ。大体そンな男なら少々痛い思いをしてもイイみてェな風潮やめろよ。俺から見たらオマエらの方がよっぽど鬼だっつゥの」

芳川「そういうことをこの環境で言ったところで何だ、って話にならないかしら?」

一方通行「つゥか黄泉川はどこいったァ!? アイツこそまさしく鬼役にピッタリだろォが!」

結標「黄泉川さんならアンチスキルの仕事で出てるわよ。昼までには帰ってくるらしいけど」

一方通行「クソが! てか、そもそもこの儀式とやらはやらなきゃいけねェことなのかァ? 魔除けなンざオカルトをこの科学の街学園都市で」

結標「まあ一種のイベントのようなものだからいいんじゃない? 初詣みたいなものよ」

打ち止め「そうそう! イベントなんだから楽しまなきゃいけないんだよ! ってミサカはミサカ目を輝かせながら熱弁してみたり」

一方通行「オマエはとりあえず豆を投げつけてェだけだろォがクソガキが!」

芳川「もうキミのツンデレ展開は見飽きたからはい」スッ

一方通行「ツンデレじゃねェっつってンだろ。……って、何だこりゃ?」

芳川「鬼のお面よ」

一方通行「…………」


501: 2013/05/25(土) 17:16:09.58 ID:rulaMS95o


一方通行「…………わかった。鬼だろォが悪魔だろォと何でもやってやるよ」←鬼のお面装着

打ち止め「おおっ! 珍しくあなたが乗り気だね、ってミサカはミサカはあなたの成長ぶりに感心してみたり」

一方通行「うるせェよ。何でクソガキに感心されなきゃいけねェンだ」

結標「貴方のことだからさっさと終わらせて昼寝でもしようって魂胆でしょ?」

一方通行「当たり前だろ。せっかくの休日を寝て過ごさねェわけにはいかねェだろ」

芳川「普通の学生たちはみんなで集まって街で遊んでいると思うのだけど」

一方通行「普通ってのは他人が決めることじゃねェ。俺自身が決めることだ」

芳川「こうして自己中心的な考えしか持てないコミュ障が生まれるわけね」

一方通行「今すぐ『芳川は外』って言いながら、音速の三倍で豆投げつけてやろォか?」

芳川「いやね冗談よ。だいたい鬼役の人が豆を持っちゃダメじゃない」


打ち止め「じゃー気を取り直して再開しよう! ってミサカはミサカは再び豆を手にとって見たり」スッ

結標「そうね。一方通行も早く終わらせて欲しいようだし、こっちもできるだけ早く終わらせてあげないとね」スッ

芳川「ふふっ、久しぶりね。大豆をこんなに手に取るなんて」スッ


一方通行「……クソガキだけじゃなくオマエらも投げンのかよ」

結標「ま、どうせだしやってみようかなって」

一方通行「チッ、この『イベントならとりあえず参加しとこ脳』め……」



打ち止め「じゃー行くよー! せーの――」



打止結標芳川『おにはーそとー!』バッ



パラパラパラー!



一方通行「反射」カチ



キュイーン、パラパラパラー!



打ち止め「ぎゃあああああああああっ! なんでえええええええええっ!」ビシビシ

芳川「痛っ! 久しぶりに痛いっ!」ビシビシ


504: 2013/05/25(土) 17:21:04.53 ID:rulaMS95o


一方通行「鬼っつゥのは力の象徴みてェなモンだろ? よォするに学園都市最強のチカラを持つ俺はまさしく鬼っつゥわけだ」

一方通行「それを豆粒ごときで追い出そォなンざ考えが甘ェンじゃねェのかァ? あァン?」



シュン!



結標「随分と大人気ない鬼さんね」シュタ

一方通行「テレポートして逃げてやがったか。さすがだな」

打ち止め「ぶーぶー! ちゃんと鬼役してよー! ミサカたちに追い出されてよー! ってミサカはミサカは文句をたれてみたり!」

芳川「そうよ。ネタをネタだと思えない人には社会を生きていくのは難しいわよ」

一方通行「あぎゃはっ! だったらその豆粒で倒してみろよォ! この俺、一方通行をよォ!」

芳川「ぐぬぬ……まさか反射を本気で使ってくるなんて思わなかったわ」

打ち止め「こうなったら……ミサカが演算をストップさせて――」

一方通行「あ、そォしたら俺ぐれて寝るわ」

結標「汚っ!? 学園都市第一位が姑息な手を取り出したわ!」

芳川「このままではなすすべがないわ……」

一方通行「ぎゃははははははっ!! オラオラァ! どォしたかかってこ――」





数多「はい、おにはーそとー」スチャ




ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!



一方通行「ご、はっ……!?」

結標「一方通行ぁ!?」


505: 2013/05/25(土) 17:24:08.97 ID:rulaMS95o


数多「ったくよぉ、ザコの癖に調子に乗ってんじゃねぇよクソガキが」

打ち止め「あっ、キハラだ! 何その手に持ってるものは何? ってミサカはミサカは興味を示してみたり」

数多「ああこれかぁ? これはあれだ、大豆を弾丸として発射することが出来るアサルトライフル」

結標「あ、アサルトライフル!?」

数多「安心しろ、殺傷能力はねぇよ。まぁ、殺せねぇことはねーけどな」

芳川「……ところで何で大豆でアサルトライフルを? 節分だからかしら?」

数多「それもあるけどよぉ、実は最近FPSのゲームにはまっててさぁ」

打ち止め「FPS?」

数多「ファーストパーソン・シューティングゲーム。ようするに銃で相手を射頃するゲームのことだ」

数多「そのゲームでアサルトライフル使って遊んでてふと思ったんだよ。弾丸を別のものに換えたら面白くねーか、ってな」

結標「いや、わけがわかりませんよ」

数多「そこでたまたまテレビに映ってた大豆を弾にしてみよーと決めて」

数多「そこらへんに落ちてたアサルトライフル拾って撃てるように改造してみたっつーわけだ」

結標「……落ちてるの? アサルトライフル」

打ち止め「んーとね、よく武器みたいなものは置いてあったりするよ、ってミサカはミサカは思い出してみる」


一方通行「……木ィィ原クゥン」ヨロッ


数多「おーおーふらっふらじゃねーか。たかがあれだけの銃撃で根ぇ上げてんじゃねぇよクソガキ」

一方通行「上げてねェよ! つゥか何だよそれはァ! どォして俺の反射を通り抜けやがンだよ!」

数多「あぁ? そんなもんもわからねーのかテメェは」

一方通行「……まさかその弾丸は反射が発動する寸前に引き返す仕組みになってるとか言わねェだろォな?」

数多「んなわけねーだろ。そんな面倒臭せぇもん俺が作るわけねーじゃん。もっと簡単なもんだよ」

一方通行「……! この感覚……」

数多「やっとわかったか。このアサルトライフルにはお前専用のAIMジャマーが搭載されてんだよ」

数多「引き金を引いた瞬間、周囲二十メートル内の特定の数値を持つAIM拡散力場を乱すっつー仕組みだ」
                 アクセラレータ
数多「ようするにこれは対節分の鬼役用アサルトライフルっつーわけだ。わかったか?」

一方通行「変なモン作ってンじゃねェよ木原ァ!!」

数多「そゆわけで、せーの――」スチャ

一方通行「あン?」



数多打止結標芳川『おにはーそとー!』




ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!




―――
――



506: 2013/05/25(土) 17:25:37.21 ID:rulaMS95o


一方通行「」プスプス


数多「……あー、スッキリした。やっぱストレス溜まってるときはリアル銃撃戦だな」スチャ

打ち止め「床がすごいことに……ってミサカはミサカは一面に広がる大豆たちを眺めながら呟いてみたり」

結標「これは片付けるのに手間がかかりそうですね」

芳川「大丈夫よ。彼のベクトル操作を使えば一瞬で大豆が一箇所に集まるわ」

結標「その彼ですが今伸びますよ?」


一方通行「」プスプス


芳川「あら、少しやりすぎちゃったかしらね」

数多「チッ、しょうがねぇなぁ」スッ



プルルルルル、プルルルルルガチャ



マイク『はい! こちら従犬部隊です』

数多「出るの遅せぇんだよマイク。ワンコールで出ろビジネスの常識だぞテメェ」

マイク『しゃ、社長!? 一体どうして電話なんか……』

数多「お前ら社員全員、今すぐ掃除道具持ってこっちに来い。十秒以内な」

マイク『…………は? ちょっとおっしゃってることの意味が……』

数多「はい、じゅー」

マイク『!?』

数多「きゅー」

マイク『い、今すぐ参ります!』ガチャ

数多「はーち、ななろくごぉよんさんにぃ――」



ガラララ!!



マイク「それ十秒じゃないです!!」ゼェゼェ


507: 2013/05/25(土) 17:26:38.94 ID:rulaMS95o


数多「うるせぇよ。生き物ってのは体感時間がそれぞれ違うだろうが。ヒトにとっての一秒と虫けらにとっての一秒が違うようによぉ」

オーソン「社長はたしかヒトでしたよね!?」

ナンシー「ところでなぜ私たちは掃除道具などを持ってこんなところへ呼ばれたのでしょうか?」

数多「テメェらこれを見てみろ」



床『ダイズーン』



ロッド「うわっ、床が大豆だらけに!?」

オーソン「これってたしか昨日社長が作ってた改造アサルトライフルの弾じゃ……」

数多「さぁ、さっさとお前ら掃除しろ。今すぐ」

マイク「えっ、ちょ、これをたった四人でですか……?」

数多「十分すぎんだろ」

ナンシー「いや、箒と塵取り一個ずつしか持ってきていないんですが……?」

数多「掃除機持ってこないテメェらが悪りぃ」

ロッド「そもそもこれって社長が――」




ズドドドドドドドドドドドドッ!!




数多「いいからやれカスども」



社員達『はい』


結標(さらに散らかった……)


―――
――



508: 2013/05/25(土) 17:28:16.98 ID:rulaMS95o


同日 11:00

-黄泉川家・リビング-


一方通行「…………」ムクリ

一方通行「俺は一体何をしていたンだ……?」

打ち止め「あっ、おはよう! ってミサカはミサカはさっきまで気絶してたあなたに挨拶してみる!」

一方通行「気絶だァ? 一体何が……って、木原クゥゥン!!」ガバッ

結標「木原さんなら掃除が終わるなり帰ったわよ」

一方通行「あの野郎あとで絶対ェ頃してやる! つゥか今すぐ肉塊に変えに行ってやろォか!?」

黄泉川「そんなことよりおつかいに行って欲しいじゃん一方通行」

一方通行「……帰ってたのか黄泉川」

打ち止め「あなたが気絶している間にね、ってミサカはミサカは説明してみる」

一方通行「つゥか何で俺がおつかいになンざ行かなきゃならねェンだ?」

黄泉川「休みの日に部屋に引きこもってるのは体に悪いぞ? たまには外に出て新鮮な空気でも吸ってくるといいじゃん」

一方通行「芳川クゥン!? 出番ですよォ!?」

結標「芳川さんなら部屋に引きこもったわよ」

一方通行「クソが、またかよ!」

一方通行「……てか、学校のある日は外に出てンだから問題ねェだろ。そもそも外の空気なンてそンな綺麗なモンじゃねェし」

黄泉川「ごちゃごちゃ言ってないでとっととこのメモに書いてあるものを買ってくるじゃん」スッ

一方通行「……チッ、わかったよ。行ってくりゃイインだろ行ってくりゃ」パシッ

打ち止め「おおっ! 珍しくすぐに折れたね、ってミサカはミサカは少し驚いてみたり」

一方通行「粘ったところで行かされるのが目に見えてる。時間の浪費はしたくねェ」

結標「いつも昼寝して時間の浪費をしている人のセリフとは思えないわね」

一方通行「うるせェよ。だいたい睡眠っつゥのは人間に必要不可欠なモンだろォが。無駄な睡眠なンてねェ」

結標「貴方のは確実に惰眠を貪るタイプの無駄な睡眠よね」

一方通行「……まァイイ。じゃあ行ってくる」ガチャリガチャリ

打ち止め「わーい! ミサカも行くー! ってミサカはミサカは──」

一方通行「面倒臭せェから付いてくンな!」

打ち止め「ぶーぶー!」


───
──



509: 2013/05/25(土) 17:30:46.82 ID:rulaMS95o


同日 11:10

-第七学区・街頭-


一方通行「……さて、メモに書かれてるモンはお酢と巻き寿司用の海苔か」ガチャリガチャリ

一方通行「酢はコンビニに行きゃあ売ってるだろォが海苔の方はわかンねェなァ……」

一方通行「だいたい何で巻き寿司? よりにもよって今日なンだァ?」

一方通行「……まァイイ、スーパーにでも行きゃあンだろ。面倒臭せェがな……」ガチャリガチャリ



ワイワイガヤガヤ



一方通行「あン?」


女子高生A「…………」モグモグ

女子高生B「…………」モシャモシャ

女子高生C「…………」マグマグ


一方通行「……んだァ? 同じ方向を向いて巻き寿司を頬張ってやがる……? 何だこの異様な光景はァ、儀式か何かか?」



ハァハァ



一方通行「あァ?」


510: 2013/05/25(土) 17:32:28.08 ID:rulaMS95o


青ピ「巻き寿司を咥えとる娘がたくさんおるぅ! これは素晴らしい! 絶景や──」

一方通行「…………」

青ピ「はぁ、はぁ、なるほど、なるほ――」



ドパァー!!



一方通行「あァもしもしジャッジメントですかァ? 第七学区のカフェが並んでる辺りのところに変態が一匹いやがるンですがァ」カチ

青ピ「ちょっアクセラちゃん! やめてぇ! やめたげてぇ! 通報だけはせーへんといてー!」ボロッ

一方通行「こンなところで何してやがる変質者がァ」

青ピ「いやーちょっと恵方巻ウォッチングを少々……」

一方通行「恵方巻だァ? 何だそりゃ?」

青ピ「えっ、アクセラちゃん恵方巻も知らへんの? おっくれって──」



ゴッ



青ピ「ぎゃあああああああっ! 膝がああああああああっ! 膝の皿が割れたあああああああっ!」ゴロンゴロン

一方通行「で、一体何なンだァその恵方巻とやらはァ?」カチ

青ピ「膝の皿割れた言うとんのに平然と話しかけてくるなぁキミぃ」スタッ

一方通行「本当に割れたヤツは割れたなンて口では言わねェよ」

青ピ「せやろか?」


511: 2013/05/25(土) 17:35:20.41 ID:rulaMS95o


一方通行「うるせェよ。現にオマエは直立してンだから膝の皿は割れてねェだろォが。結局、恵方巻っつゥモンは何なンだよ一体ィ」

青ピ「恵方巻っていうのは節分の日に巻き寿司を食べると縁起がいい、って感じの風習やで」

一方通行「へェ、そンなモンがあったのか」

青ピ「マジで知らへんかったん? これ常識やで常識」

一方通行「そォいう環境で育ってねかったンだからしょうがねェだろ」

青ピ「環境云々言うてるけどなぁ、普通にこの時期ならコンビニとかに行ってたら見るやろ恵方巻くらい」

一方通行「……そォいえばあったよォな気がする」

青ピ「せやろ。つまり一見常識知らずに見えるアクセラちゃんやけど、実は結構知ってたりするんやで」

一方通行「いやその理屈はおかしい。つゥか知っていると常識があるはまた別の話だろ」

青ピ「まぁそうやけどな。現実は厳しいでー」

一方通行「そォいや忘れてたがオマエはどォして路上で発情してやがったンだァ?」

青ピ「そりゃ決まっとるやろ!! だって女の子が巻き寿司を口に咥えているんやで!!」

一方通行「わけがわからねェよ。オマエは食事中の女眺めてても興奮できるよォなどォしよォもねェ変態だったのか?」

青ピ「いやそれでも余裕でイけるけど違うで!!」

一方通行「イけるのかよ」

青ピ「だってアクセラちゃん!? 女の子が、大きくてぶっとい黒光りしたものを口に咥えているんやで!?」

一方通行「…………そォか。そォいうことか」

青ピ「おおっやっと気付いたかアクセラちゃん。ほんま鈍いねキミぃ、カミやんもビックリやでー」


512: 2013/05/25(土) 17:37:32.94 ID:rulaMS95o


一方通行「で、それがどォかしたのか?」

青ピ「なんやねんキミ! 興奮するやろ! あんなもん咥えとるところ見たら!」

一方通行「しねェよ。生憎だが俺はオマエみてェな変態野郎じゃねェからな」

青ピ「……もしかしてアクセラちゃん、もうアソコが枯れ果てて……」

一方通行「枯れ果ててねェよ!」

青ピ「……はっ! まさかホ――」

一方通行「それ以上言うとオマエの急所にベクトルパンチブチ込むぞコラ」

青ピ「そういえばアクセラちゃんはこんなところで何してん? 趣味は家に引きこもってニートするじゃなかったっけ?」

一方通行「誰がニートだ。面倒臭せェけど買いモンだよ買いモン」

青ピ「買い物? おつかいでも頼まれたんかいな」

一方通行「まァそンなところだ。酢と海苔……よォするにその恵方巻とやらの材料を買いに行かされているっつゥわけだ」

青ピ「…………ほほぉ、つまりアクセラちゃんの家ではこれから恵方巻パーチーが行われるってことでええんやな?」

一方通行「だろォな」

青ピ「なあなあアクセラちゃん。ちょっと頼みがあるんやけどなー」

一方通行「あン?」

青ピ「ボクもそのパーチーに連れて行ってくれへん?」

一方通行「断る」

青ピ「何でやっ! 頼む! 一生のお願いやから!」

一方通行「一生のお願いっつゥのはなァ、コイツならいつでもお願いを受け入れてくれるってヤツにしか使わねェンだよ」

青ピ「……? どゆこと?」

一方通行「つまり断る」

青ピ「何でやねん!」


513: 2013/05/25(土) 17:39:12.76 ID:rulaMS95o


一方通行「何でそンなに必氏なンだよオマエ。巻き寿司ぐれェコンビニにでも行って買ってこいよ」

青ピ「それじゃあダメやねん!」

一方通行「ハァ? どォいうことだ」

青ピ「実はなぁボク、軽くホームシックになってしもうたんや」

一方通行「ホームシックだァ? 似合わねェこと言ってンじゃねェよ」


青ピ「似合わないことはわかっとる! でもなってしもうたんやからしゃーないやん!」

青ピ「アクセラちゃんはこれから家に帰っても温かく迎えてくれる人たちがおる。でもボクは違うんや」

青ピ「家に帰っても一人。誰もいない静寂だけが広がる空間。それはボクの心に空しさと寂しさを与えるだけやった……」

青ピ「だからなぁアクセラちゃん! ボクはただ温もりが欲しいだけなんや! それ以上のモンは望まん!」


一方通行「本当は?」

青ピ「黄泉川先生とか芳川さんとか結標の姉さんとか打ち止めちゃんとかが巻き寿司を咥えている姿が見たいですハァハァ」

一方通行「…………」

青ピ「…………あ」

一方通行「青髪ピアスクン?」

青ピ「はい」


一方通行「こっから先は一方通行だ大人しく尻尾ォ巻きつつ泣いて無様に元の居場所へ引き返しやがれ」カチ



ガァン!!



青ピ「えべぐりょ!?」



ヒューン、キラン



一方通行「…………さて、悪は潰えた」カチ

一方通行「とっととスーパーに行ってブツを買いに行くか」ガチャリガチャリ


―――
――



514: 2013/05/25(土) 17:41:38.12 ID:rulaMS95o


同日 12:00

-黄泉川家・リビング-



ガラッ



一方通行「帰ったぞ」

黄泉川「おかえりじゃん。お昼できてるから手洗ってくるじゃん」

打ち止め「今日のお昼はちゃんぽん麺イン炊飯ジャーだよ、ってミサカはミサカは両手に箸を一本ずつ持ちながら待ち焦がれてみたり」wktk

一方通行「ほらっ、これでイインだろ?」スッ

黄泉川「おお、ありがとじゃん」

一方通行「チッ、面倒臭せェから二度と頼むンじゃねェぞ」

芳川「はいはい、これからは毎回おつかいを頼んで欲しいらしいわよ愛穂」ボリボリ

黄泉川「おっ、そうじゃん? だったら次からも頼もうかな?」

一方通行「オイ、何勝手なこと言ってンだオマエら。……つゥか、何ボリボリ食ってやがンだ芳川」

芳川「何って豆について決まっているじゃない」

一方通行「豆……?」

芳川「そう。節分の日に豆を歳の数だけ食べれば縁起がいい、っていう風習があるのよ」

結標「例えば私は十七歳だから十七粒って感じね」

一方通行「そォいえばオマエ十七歳だったっけなァ、同級生なのに」

結標「ううっ、あまりツッコンで欲しくないんだけど……」

芳川「そういうわけでキミも十六粒食べてみてはどうかしら?」スッ

一方通行「チッ、元担ぎなンざくだらねェ」

打ち止め「わーい! だったらその分はミサカがいただくぜー! ってミサカはミサカは大豆の強奪を試みてみたり」ダッ

一方通行「まだ一歳にも満たねェガキが何言ってンだ?」

打ち止め「ぜ、ゼロ歳でも四捨五入すれば一歳だし! お豆一つ分くらい生きてるはずだし! ってミサカはミサカは必氏に反論してみる!」

一方通行「今年で二十歳の十九歳のヤツは酒を飲ンじゃいけねェ。あとはわかるな?」

打ち止め「ぐぬぬ、妙に説得力があるのが悔しい、ってミサカはミサカは歯噛みしてみる」

黄泉川「お前らー、豆を食べるのはいいけどこれからメシの時間なのを忘れるなよー」

芳川「わかっているわよ。子供じゃあるまいし、豆を食べ過ぎてご飯が食べられないなんてことあるわけないじゃない」ポリポリ

芳川「それにもう出してる分はもう残り少な──」

一方通行「オイ、オマエにしては豆の量が少なくねェか? 俺が増やしてやるよ」



パラパラパラー



芳川「…………」

一方通行「…………」

芳川「……これどういう意味よ」

一方通行「…………」ニヤァ


515: 2013/05/25(土) 17:43:02.25 ID:rulaMS95o


芳川「……ふふふっ、どうやらキミは私に喧嘩を売っているようね」ゴゴゴゴ

結標「お、落ち着いてください芳川さん!」

一方通行「あはっ、ぎゃはっ、笑いが止まらねェくれェ無様じゃねェか芳川ァ!」

芳川「幼女に豆を投げられるしか能のない煽り耐性ゼロの口リコン野郎が面白いこと言うわね……!」

一方通行「あァン!? 誰が煽り耐性ゼロだってェ!? つゥか俺ァ口リコンじゃねェ!」

結標「いや、どう見ても煽り耐性ゼロじゃない」

一方通行「うるせェぞ結標ェ! ……どォやらオマエはここで片付けておかねェといけねェよォだなァ」

芳川「そうね。私もキミに言いたいことが山ほどあるわ」

一方通行「…………」

芳川「…………」



一方通行「都合の悪りィ時だけ引きこもってンじゃねェよニート野郎がァ!!」バッ

芳川「私はバイトしてるからニートじゃないって言ってるでしょうが、この引きこもり白髪モヤシウルトラマン!!」バッ



黄泉川「うるさい」



ガツン!!



黄泉川「これから昼メシだってのに暴れてんじゃないじゃん」


一方芳川『……すみません』


───
──



516: 2013/05/25(土) 17:45:28.01 ID:rulaMS95o


同日 18:00

-黄泉川家・キッチン-


打ち止め「──というわけで、何だかんだあって今から恵方巻をみんなで作りまーす、ってミサカはミサカはこれからの予定を簡単に説明してみたり」

黄泉川「一体誰に向かって説明しているじゃん?」

一方通行「つまり俺の昼寝の時間っつゥわけか」

結標「そんなわけないじゃない。というかもはや昼寝っていえる時間帯じゃないわよね?」

一方通行「つまりよい子が寝る時間っつゥことか。じゃあ俺も寝ねェとな」

結標「それにしても早すぎるわよ。まだ夕食の時間かどうかも怪しい時間帯だし」

芳川「そもそもキミはよい子じゃないわよね?」

一方通行「……つゥかよォ、どォしてこンなモンわざわざ俺が作らなきゃいけねェンだ?」

黄泉川「働かざるもの食うべからず、って言葉知ってるじゃん?」

一方通行「ああ。じゃあ俺食わなくてイイから働かねェ」

黄泉川「きちん三食食べなきゃダメじゃん」

一方通行「いや、だからいら──」

黄泉川「ダメじゃん♪」ニコッ

一方通行「お、おォ……」

芳川「何という笑顔の圧力」

結標「さすが黄泉川さんですね」

黄泉川「本日の恵方巻に入れる具材は無難にかんぴょう、キュウリ・シイタケ煮、卵、アナゴ、おぼろの七種類じゃん」

芳川「無難ね。ウィキペディアの概要辺りに載ってそうなくらい」

一方通行「何を言ってンだオマエは?」

結標「別にいいんじゃないですか無難で。奇抜な発想で不味くするよりは遥かに」

一方通行「奇抜過ぎる発想で料理をするオマエのセリフとは思えねェよな」

結標「ば、馬鹿にしないでちょうだい! 私はもう包丁で鶏肉をすんなり切ることができるくらい料理スキルが上がっているのよ! そんなことを言われる筋合いはないわ!」

一方通行「その程度でスキルが上がったとは言わねェよ。初歩の段階だ初歩の」

一方通行「それにオマエはもォ少し常識のスキルを身に付けたほうが遥かにイイと思うがな」

打ち止め「それについてはあなたも大概だと思うけどね、ってミサカはミサカは小さい声で呟いてみたり」ボソッ

一方通行「あァ? 誰が常識がないってェ?」ギロ

打ち止め「げっ、最近流行りの難聴スキルを持っていると思ってたけど別にそんなことはなかったぜ、ってミサカはミサカは顔を引きつらせながら後ずさりしてみたり」

芳川「まあ、事実だから仕方がないけど」

一方通行「灰にされてェのか芳川クン?」

結標「いい加減煽り耐性上げなさいよ」

打ち止め「そうだよ! そろそろ大人にならなきゃ、ってミサカはミサカはあなたの肩を叩こうと思ったけどやっぱり背が足りない」ヒョイヒョイ

一方通行「…………」

打ち止め「…………」ヒョイヒョイ

一方通行「……チッ、うっとォしい」

芳川「やはり幼女には勝てないようね」

一方通行「オマエあとでスクラップな」


517: 2013/05/25(土) 17:46:43.95 ID:rulaMS95o


黄泉川「はいじゃあ早速巻き寿司を作るとするじゃん」

芳川「まあ作ると言ってもただ巻くだけだけど」

一方通行「そォなのか?」

黄泉川「まあな」

一方通行「だったら俺いらねェだろ。何のために呼ばれたのかさっぱり検討もつかねェぞ?」

黄泉川「巻き寿司は準備さえできてれば作るのが本当に簡単じゃん。だから家族団欒で楽しめる優秀な料理じゃん」

一方通行「既に楽しめてねェヤツがいンだが……」

結標「楽しむ以前に何もやってないじゃない貴方」

一方通行「思い込みのチカラってのはすげェンだぜ?」

打ち止め「思い込みのチカラって? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

一方通行「そォだな。例えばどンな安っぽい肉で作られたステーキでも、高級レストランのシェフみてェな信用度の高いヤツが『高級和牛』とか言えば馬鹿は騙されるンだよ」

結標「…………つまりどういうことよ?」

一方通行「俺が楽しくねェと思い込ンでるうちは何をやろォが面白くねェ」

結標「だったら早くこれは『楽しいこと』と思い込みなさいよ」

芳川「これだから中二病は……」

一方通行「くそったれが、黄泉川ァ! やるならとっととやれェ! コイツらがうっとォしくて敵わねェ!」

芳川「素直に巻き寿司作りたいって言えばいいのに」クス

黄泉川「おう、じゃあまずは私がお手本を見せてやるじゃんよ」スッ


黄泉川「まずは巻き寿司用のすだれの上に海苔を乗せる」スッ

黄泉川「んで、その上に酢飯を乗せるんだけどここであまり乗せすぎないようにするのがポイントじゃん」


打ち止め「何で? いっぱい乗せたほうが量が多くなるんじゃないの? ってミサカはミサカは少し疑問に思ってみたり」

芳川「単純に入れすぎると巻けないからじゃないかしら? ただ固めるだけのおにぎりとは違って、綺麗に巻いてこそ巻き寿司だから」


黄泉川「そうじゃん。あと少なめの量からスタートすれば調整もしやすいじゃんよ」

黄泉川「それにあらかじめこういう風に小分けにして乗せとけば均等に海苔の上に広げることができるじゃん」


結標「へー、勉強になりますね」

一方通行「本当かよ?」

結標「……何よ? 言いたいことがあるなら言ってみなさいよ」

一方通行「別に何でもねェよ」


黄泉川「で、あらかじめ下準備を済ませておいた具を上に乗せるじゃん」パッパッ

黄泉川「ここで真ん中より下の方に乗せておくと綺麗に巻きやすいじゃん」


打ち止め「おおっー、どんどん具が乗せられていく、ってミサカはミサカはすだれの上の状況を実況してみたり」

芳川「さすが愛穂ね。手際がいいわ」


黄泉川「褒めても何も出ないじゃんよ。そいじゃあここから巻きに入るじゃん」

黄泉川「具を抑えながらこうぐいーと」グイー


518: 2013/05/25(土) 17:48:00.13 ID:rulaMS95o


黄泉川「最後に形を整えて完成! ね、簡単でしょ?」


結標「……見てる分には簡単に見えますけど」

打ち止め「こーいうのは実際やってみると思ったようにいかないことが多いよねー、ってミサカはミサカは一つあるあるを言ってみたり」

黄泉川「まあ初めは誰だってうまくいかないもんじゃん。失敗を恐れずチャレンジしていくことが大事じゃん!」

芳川「そうね。チャレンジ精神を持つことはいいことよ」グイー

打ち止め「ってあれ? ヨシカワいつの間に……?」

結標「よ、芳川さん上手ですね……」

芳川「まあ学生の頃愛穂と一緒に作ってたしね。私はコンビニとかのでいいって言ってのだけど」

一方通行「えっ、オマエらの学生時代ってコンビニある――」



ゴッ! ガッ!



芳川「ハッキリ言って巻き寿司なんて卵焼き作るより簡単よ? よっぽどなことしない限り不味くならないわけだし」

黄泉川「そうそう。それに材料もたくさんあるし、レッツチャレンジ!」

結標「……よし! いざ尋常に――」

打ち止め「勝負! ってミサカはミサカは強敵と相対する気分で巻き寿司作りに挑んでみたり!」

一方通行「……面倒臭せェ」ズキズキ


―――
――



519: 2013/05/25(土) 17:49:14.86 ID:rulaMS95o



ボローン



打ち止め「うーん、やっぱりうまくいかないねー、ってミサカはミサカは腕を組んで考える素振りを見せてみたり」

結標「うまく形が整えられないわね。木工用ボンドでも使って固定させてみようかしら?」

一方通行「オマエ木工用ボンドの注意書きを読んでみろよ。出来れば二十回くらい」

黄泉川「頑張れー、今日の晩メシはそのまま自分が作ったものになるからー」

芳川「あんまり作りすぎるとすごい量の夕食になりそうね」

一方通行「地獄絵図になりそォだな」

結標「ところで貴方は巻き寿司作らないの? 何もしてないように見えるけど」

一方通行「あァ? 逆にこンなモン何個も作るモンじゃねェだろ」

打ち止め「? どういうこと?」

一方通行「一個作れば十分ってことだ」スッ

結標「なっ、その完璧な巻き寿司貴方が作ったの!?」

打ち止め「す、すごい! ヨミカワたちに引けをとらないくらいの完成度だ! ってミサカはミサカは驚愕してみたり」

一方通行「やり方を一回見れば余裕で作れンだろォが」

芳川「さすがは第一位のレベル5なだけあるわね。キミって本気を出せば大抵のことはできるよね? 面倒だから本気を出さないだけで」

一方通行「そりゃそォだ。俺を誰だと思ってやがる」

打ち止め「おおっー! ってミサカはミサカは賛美の拍手を送ってみたり!」パチパチパチ

結標「……ねえ一方通行?」

一方通行「あァ?」

結標「貴方能力使ったでしょ?」

一方通行「…………何を証拠にそンなこと言ってやがンだ?」

結標「だって貴方能力使わないとまともに両手使えないでしょ?」

一方通行「…………」

結標「…………」

一方通行「たいした推理だ結標名探偵」

結標「そんなことだろうとは思ってたわよ」


―――
――



520: 2013/05/25(土) 17:50:59.49 ID:rulaMS95o


同日 19:00

-黄泉川家・食卓-



打ち止め「よっしゃー! やっと綺麗に巻けたぜー! ってミサカはミサカは完成品を掲げながら喜びに浸ってみたり!」

結標「やったわ! ボンドがなくても固まったわ!」



黄泉川「よし、二人ともが完成したし、時間もいい頃だからメシの時間とするじゃん」

芳川「ようやく終わったのね。あまりに暇すぎてマインスイーパーの上級を三回もクリアしてしまったわ」カチカチ

一方通行「…………Zzz」

芳川「この子にいたっては昼寝をしているわね」

結標「下手すれば本眠に入ってしまいそうな時間ですよね」

打ち止め「おおーい! 晩ご飯の時間だよー! ってミサカはミサカは耳元に呼びかけてみたり」

一方通行「…………おォ、やっと終わったか。ふわァ……」

結標「……珍しくすぐに起きたわね」

芳川「まだ眠りが浅かったのでしょ」

黄泉川「じゃあ一方通行も起きたことだし、さっそく恵方巻といこうじゃん!」

結標「恵方巻って決まった方向に向かって食べるんですよね、たしか?」

黄泉川「そうじゃん。ちなみに今年は南南東じゃん」

一方通行「南南東…………あァ、あの異様な儀式はそォいうことだったのか」

打ち止め「どうかしたの? ってミサカはミサカは小首を傾げてみる」

一方通行「何でもねェ」


521: 2013/05/25(土) 17:52:22.33 ID:rulaMS95o


黄泉川「ちなみに恵方巻は一口で、それも無言で願いを思い浮かべながら食べるじゃん」

打ち止め「ひっ、一口……、ミサカにはちょっときついかも、ってミサカはミサカは巨大な恵方巻を前に愕然としてみたり」

芳川「間違ってるわよ愛穂。あくまでお願い事をしているときだけ咥えていればいいだけで、別に一口で食べろってわけじゃないわ」

黄泉川「ありゃ? そーだったけ?」

芳川「そうよ。だから極端に言えば一口かじったら、あとは輪切りにして食べたところで誰も怒らないわ」

一方通行「そもそもよォ、この科学の街学園都市で縁起がいいとか言ってる時点でおかしいだろ」

結標「別にいいじゃない。おみくじや占いみたいなものでしょ?」

一方通行「面倒臭せェ、こンなモン胃に入っちまえば全部一緒だろォが、ン」ガジッ

打ち止め「あー、すぐにかじっちゃった。願い事をしないなんてもったいないねー、ってミサカはミサカは哀れみの視線を送ってみたり」

一方通行「どォでもイイだろォがそンなモン」モグモグ

芳川「でもちゃっかり南南東には向いているツンデレ一方通行でした」

一方通行「……たまたまだ」


黄泉川「じゃあ私らもいただくとするじゃん、ん」パク

芳川「そうね」パク

結標「いただきまーす」パク

打ち止め「やっぱり結構おっきいかも、ってミサカはミサカははむっ」パク


一方通行「…………」モグモグ



青ピ『女の子が、大きくてぶっとい黒光りしたものを口に咥えているんやで!?』



一方通行「…………」


黄泉川「…………」ガジガジ

芳川「…………」マグマグ

結標「…………」パクパク

打ち止め「…………」ハムハム


一方通行「…………ハァ、くっだらねェ」ガジッ


――――


533: 2013/06/02(日) 17:08:22.23 ID:qApZSdNAo

待たせてすみません、投下します

※軽くオリキャラ注意

534: 2013/06/02(日) 17:08:50.66 ID:qApZSdNAo


19.学内ラジオ


February First Tuesday 12:29

-とある高校・放送室-



部員『──放送開始前三十秒前でーす!』



一方通行「…………」

部長「そんなに緊張しなくてもいいよー、肩の力抜いてリラックスリラックスー」

一方通行「……あ、あァ」


部員「十秒前でーす!」


一方通行(…………どォして)


部長「じゃ、マイクスイッチ入れて」カチ


一方通行(……どォして)


部員「5、4、3……」


部長「…………」スゥ



部長『とある高校の放送局ー!』



タッタッタララー♪



一方通行(どォしてこォなった……)


───
──



535: 2013/06/02(日) 17:10:19.01 ID:qApZSdNAo



~一週間前の昼休み・回想~



部長『──はい、『とある高校の放送局』。どうやら終わりの時間が近付いてきたようです』



部長『本日はお忙しい中ありがとうございました雲川先輩』

雲川『こちらこそ。大変貴重な時間だったよ。お昼休みをゆっくり過ごせないのは難点だったけど』


青ピ「はい! ストレートキター!」

土御門「ふっ、甘いぜ! こっちはフルハウスだにゃー」

青ピ「な、何やて!? また土御門君の勝ちかいな」

土御門「まだカミやんがいるからわからないぜい。まぁ、でも……」

上条「…………」

青ピ「聞かなくてもわかるんやけどなー」

上条「……や、やった……!」

土御門「何?」

青ピ「ま、まさかつっちーより強い手札が……!」


上条「や、やっとカードが揃った!」


土御門「…………は?」

上条「見ろよこれ! 近年稀に見る2のワンペアだぞ!?」

青ピ「……たしかに見事なワンペアやなぁ、カミやんが揃えてるの初めて見るでー」

土御門「にゃー、カミやんがブタ以外なんて信じられないにゃー」

姫神「逆にこれまでカードが一枚も揃わない方が。確率的には難しい」


536: 2013/06/02(日) 17:12:31.69 ID:qApZSdNAo


部長『では次回のゲストなのですが、雲川先輩お願いします!』

雲川『たしか友人や知り合いに電話をかければよかったか?』

部長『はい! その相手が次回のゲストとなります!』


一方通行「……ずっと疑問に思ってたンだけどよォ」

結標「何?」

一方通行「このラジオまがいの電話相手がゲストっつゥのはどォして成立できてンだろォな」

結標「どうして、って……別におかしくはないんじゃない?」

一方通行「こォいうのに出たがらねェヤツだっていンだろォが。電話先のヤツがそォいうヤツだったらどォすンだよ?」

結標「言われてみれば……」

吹寄「それなら問題ないわよ」

一方通行「どォいうことだ?」

吹寄「一応呼ぶのは基本友達とかになるから、事前に許可とかは取ってると思うわ」

結標「たしかにそうよね。ゲストとして出るのがわかってるのだから、あらかじめ『次はお前に電話かけるわ』みたいな会話があってもおかしくはないわ」

一方通行「ちなみにイタズラ目的でまったく聞かされてねェヤツがゲストになった場合は?」

吹寄「さあ? そんな話聞いたことないからわからないわ。まあでも、一度呼ばれたからにはたぶん強制参加よ」

一方通行「当人からしたら、迷惑極まりねェ話だなァ」


雲川『……ならば私は彼に次のゲストをお願いしようと思うのだけど』

部長『はい! では、お電話をお願いします!』


一方通行「大体、何でこの学校はこンなよくわかンねェラジオ紛いの放送を毎週やってンだァ?」

結標「たしかこの学校ってスタンダードを極めるのが方針だったわよね? パンフに書いてあったわ」

吹寄「よく知らないけど、そのスタンダードっていうのが嫌な学生たちが始めたことらしいわ。ラジオを放送する学校なんて珍しいでしょ?」
 
一方通行「初めからこの学校に入るなよ、そのラジオ創設者ども」

吹寄「まあそれなりに好評らしいし、先生たちついで連絡用に使えるから便利に思っているらしいし」

結標「そういえばよく最後あたりに連絡があるわね。避難訓練とかの」

一方通行「チッ、まァ今さら俺には関係ねェことだがな。ラジオなンざくだら――」


ピピピピッ! ピピピピッ!


一方通行「あン?」

吹寄「電話の着信音? 誰の?」

一方通行「俺のだ」スッ

結標「相変わらず味気のない着信音ね」

一方通行「うっせェよ……あァ? 非通知だァ?」

結標「非通知? どうしてそんな……」

一方通行「知るかよ。……もしもし?」ピッ


??『……やあ一方通行君。初めましてかな?』


一方通行「(女の声……?)誰だ?」


537: 2013/06/02(日) 17:13:51.85 ID:qApZSdNAo


??『そう身構えなくてもいいと思うけど。私は君が思っているようなものではないよ』

一方通行「自分の名前も名乗らねェヤツからの非通知電話だ。怪しまねェわけねェだろォが」

??『私が誰、かという疑問はすぐに君の中から消え去ると思うけど……本当にすぐ、にな?』

一方通行「……一体何を――」


結標「ちょ、ちょっと一方通行ぁ!」


一方通行「あァ? 何だよ、今通話中だ――」

結標「あ、貴方の声が……」

一方通行「ハァ? 俺の声がどォ――」


一方通行(ラジオ)『――したァ?』


一方通行「ッ!?」

??『そろそろわかった? 君の電話相手が誰なのかを』

一方通行「…………雲川、 芹亜」

雲川『そう。私は泣く子も黙る雲川先輩だけど』

一方通行「……何の用かな雲川クゥン? わざわざこンなふざけた電話かけてきやがって……」

雲川『さっき言ったように私は君にとっての先輩、上級生なのだけど。その呼び方は少しイラつくものがあるな』

一方通行「チッ、何の用ですかァ? 雲川センパイ」

雲川『私が今君に電話をするということ、それは一体どういう意味なのか。君ならすぐにわかると思うけど』

一方通行「…………まさか」

雲川『そう、そのまさかだ……ではな』

一方通行「ちょ、待っ――」


部長『もしもし一方通行君? どうもこんにちはー!』


一方通行「…………」

部長『というわけで、来週のゲストは君に選ばれました! おめでとー!』

一方通行「いや、ちょ、俺ちょっと用事があるンでェ……」

部長『ちなみに拒否権はありません! じゃあ来週来てくれるかなー?』

一方通行「…………」



一方通行「つゥか、強制ならその質問意味ねェじゃねェかァああああああああああああああああああああッ!!」



───
──



538: 2013/06/02(日) 17:15:25.10 ID:qApZSdNAo


同日 同時

-とある高校・一年七組教室-


吹寄「……そろそろ始まる時間ね」

結標「うん。というか大丈夫かしらアイツ」

吹寄「まあ何とかなるんじゃない? たかが二十分のラジオだし」

結標「その二十分が長いと思うわ。彼にとって……」

姫神「たしかに初対面の人と一対一の会話は。かなりつらいものがある」


青ピ「たっだいまー!」

土御門「ふー、何とか間に合ったぜい」

上条「五百円玉落とした……不幸だ……」


結標「おかえりなさい三人とも」

吹寄「また上条はご飯を買えなかったたわけ?」

上条「いや、何とか焼きそばパン一つは買えたんだ。でも勘定のときに財布から……五百玉が……こう、人混みの方へと……」

姫神「ご愁傷様」

土御門「まあいつものことだけどにゃー」

青ピ「それより今ご愁傷様って言ってやらんといかんのはアクセラちゃんのほうやろ」

吹寄「少し疑問に思ったんだけど、雲川先輩とアクセラは一体どんな関係なんだろ?」

姫神「会話の内容を聞く限り。アクセラ君はこのことを知らないみたいだった」

上条「このことってラジオのこと出演のことか?」

姫神「そう」

結標「そう言えば一方通行が携帯に非通知で電話がかかってきた、って言ってたわ」

青ピ「ちゅーことは雲川先輩が一方的にアクセラちゃんの番号知っとったってことになるんかな?」

吹寄「あの反応ならそうかも知れないわね。何でここで電話がかかってくるんだ、って感じだったし」

結標「一体何者なの? その雲川先輩っていう人」

青ピ「さあ? 美人で巨Oで黒髪ロングが似合うクールでミステリアスな先輩、ってことは知っとるけど……」

上条「そーいや俺、よくあの人と話したりするんだけどクラスだとか学年だとか、そういうこと一切知らねーんだよな」

青ピ「ほぉ、さすがカミやんやな。クラスの女子だけでなく巨Oセンパイまで手を広げていたなんて……あー憎らしい」

上条「何言ってんだお前は?」



キンコンカンコーン♪



土御門「おっ、どうやら始まったみたいだぜい。例のラジオが」


539: 2013/06/02(日) 17:17:02.67 ID:qApZSdNAo



部長『とある高校の放送局ー!』



タッタッタララー♪



部長『どうもみなさんこんにちは! 今週も始まりましたとある高校の放送局!』

部長『本日もパーソナリティを勤めさせていただくのは、放送部部長、二年○組の××です!』


結標「まあとにかく、一方通行が放送部部長さんに変なこと言わないか心配だわ」

青ピ「むしろボクはガチガチに緊張して何も言えへんみたいな展開にならんか心配やけどな」

上条「緊張? あの一方通行がか? 想像できねーな」

結標「初対面の人との一対一の会話ができなくて、逃げ出したくなって私にテレポート要請してきたヤツよ? むしろ想像しやすいと思うけど」

姫神「そういえばそんなこともあった。一月くらい前のことだけど懐かしく感じる」

吹寄「たしか風斬さんと一緒の車だったのよね。隣同士で」

青ピ「たしかにあーいうタイプの娘との会話はキツイわなー。ボクでもちょっと手こずると思うでぇ」

上条「そうか? 別に普通に話せると思うけど……」

土御門「そりゃカミやんはそれなりに付き合いがあるからだろ? 初対面ってことを忘れちゃいけないぜい」

吹寄「まあでも、部長さんはラジオのパーソナリティをやっているのだからいわゆる話のプロ」

吹寄「初対面の人でも色々聞き出して会話に発展させていくのは容易だとは思うわ」

結標「でもそれってあくまで普通の人が相手に限る話よね?」

結標(人とのコミュニケーションが苦手な上に口が悪いし、問題をしでかさない可能性のほうが遥かに低いわよね……心配だわ)ハァ


部長『――さて、では早速本日のゲストを紹介しましょう!』

部長『七人しかいない超能力者(レベル5)の中でなんと第一位の高位能力者!』

部長『一年七組所属の一方通行君です!』


一方通行『…………』

部長『…………』

一方通行『…………』


部長『(…………ちょっと一方通行君! 挨拶挨拶!)』ボソ


一方通行『……あ、ど、どォも。い、一年七組の一方通行です』


青ピ「あはははっ、放送事故かと思うたやん~~! 面白っ~~!」

結標「…………はぁ、やっぱり」

上条「随分と緊張してるみてーだな」

吹寄「そういえばアクセラって、転入してきたときの自己紹介も下手糞だったっけね」

土御門「あー、姉さんに言われるまでずっと黙ってたもんな」


540: 2013/06/02(日) 17:18:57.07 ID:qApZSdNAo


部長『今日はゲストの一方通行君と一緒にやっていきたいと思います』

一方通行『…………』

部長『よろしくお願いしますね、一方通行君』

一方通行『…………』

部長『…………』

一方通行『…………』

部長『ではとある高校の放送局。始まり始まりー!』


タララララー♪


青ピ「普段は二人組で仲良くやってるラジオにゲストで来たラジオ慣れしていない人並みに喋らへんやん」

上条「下手したらそれ以上だろ」

吹寄「問題なのはこれが一対一のラジオってところなのよね」

結標「アイツにとって長い二十分間になりそうね……」


部長『改めてこんにちは! ××です!』

一方通行『……一方通行です』

部長『まず最初に一方通行君の紹介から』

部長『現在一年七組に所属している十六歳!』

部長『先ほど言ったように学園都市の中で七人しかいない超能力者(レベル5)の中のなんと第一位!』

部長『能力名はええと……お名前と同じ一方通行(アクセラレータ)です!』

部長『たしか一方通行君は去年の十一月ぐらいに転入してきた転入生でしたよね?』

一方通行『……あ、あァ』

部長『ズバリ聞きます! 高位能力者である君がわざわざこんな平々凡々な学校へ転入してきた理由は!?』

一方通行『……別に大した理由なンてねェよ。家から近かったから、と同レベルの理由だ』

部長『ということは別に理由はないということですか?』

一方通行『いや理由がねェわけじゃねェよ。ただ話すまでもねェだけだ』

部長『?』


姫神「やっとまともに会話した」

土御門「会話かどうか怪しいけどにゃー」

吹寄「あれじゃあ弾む会話も弾まないわね」

青ピ「てか、ほんま姉さんらはどーしてウチに転入してきたん? ずっと疑問に思ってたんやけど」

上条「たしかにそうだよな。お前らならもっと上の学校に行けるだろうに」

結標「一方通行の言ったとおり別にこれといった面白い理由なんてないわよ。ただ面倒見てくれてる黄泉川さんが勤務してる学校だから、って感じに……」

結標(まあ本当はいつの間にか勝手に入れられてたんだけど、そんなこと言うわけにもいかないわよね)

吹寄「へー、中途半端な転入にはそんなわけがあったのね」

姫神「それを言えばいいのに。なぜアクセラ君はあんなにことはを濁しているのだろう?」

結標「彼のことだから、単純に面倒臭いだけじゃないかしら?」

姫神「納得」


541: 2013/06/02(日) 17:20:51.99 ID:qApZSdNAo


部長『──では軽くゲストの紹介が終わったところでメールを紹介しましょう!』

部長『『ハンドルネーム:小萌先生に罵られたい』さんですね。ありがとうございます!』

一方通行(コイツ青髪ピアスじゃね?)

部長『××さん、ゲストの一方通行さんこんにちは! はいこんにちはー!』

一方通行『…………』

部長『……今日のゲストの一方通行さんはレベル5の中でも第一位というわけですが』

部長『少し汚い話になるんですけど……ぶっちゃけ月の奨学金はどれだけもらっているんですか?』

部長『差しさわりのない程度に教えてください! 以上、雀の涙くらいしかもらえないレベル0からでした!』

部長『……はい、ということで月の奨学金ですね。どうですか一方通行君?』

一方通行『そンなモン気にしたことねェよ』

部長『ほほぉ? お金がありすぎてどうでもいいということでしょうか?』

一方通行『金なンてあってもたいした使い道がねェしな』

部長『その発言。おそらく全校生徒を敵に回す発言だと思うよ?』

一方通行『どォでもイイ……そォだ。どいつかは言えねェが他のレベル5の奨学金の額は知ってる』

部長『ホントですか! プライバシーに関わりますから、大体で教えてくれませんか?』

一方通行『そォだな……サラリーマンの年収を鼻で笑えるくれェにはもらってるな』

部長『金持ち爆発しろ!』


結標「…………」

姫神「もらってるの? 鼻で笑えるくらい」

結標「あ、あははー何を言ってるのかしら吹寄さん。別にあれ私のことを言っているとは限らな――」

吹寄「でも結標さんのくらいしか、アクセラは知りようがないんじゃない?」

結標「…………」

青ピ「姉さん姉さん! ボク今度出るアニメのブルーレイボックスがほちぃ!」

土御門「義妹へプレゼントするコスプレ衣装の制作費がほちぃ!」

吹寄「自分でバイトして買え!」ゴゥ



バキッ!



542: 2013/06/02(日) 17:21:48.30 ID:qApZSdNAo


部長『続きまして『ハンドルネーム:カナミンちゃんは俺の嫁』さんからです、ありがとうございます!』

一方通行(コイツ青髪ピアスじゃね?)

部長『××さん、一方通行さんこんにちは! はいこんにちは!』

一方通行『…………』

部長『……一方通行さんはレベル5なのでテストとかでも結構高得点を取れるくらい勉強できそうですが』

部長『一方通行さんにとって、苦手な教科はありますか? よかったら教えてください』

部長『というわけで、苦手な教科はありますか?』

一方通行『……そォだな。国語とか英語はなぜだか知らねェが満点が取れねェ。そォいう意味ではその系統が苦手だな』

部長『文系の問題が苦手ってことですね? ということは理数系の問題は?』

一方通行『ここの学校レベルなら解き終わるのに十分もかからねェ。一瞬で満点だ』

部長『ほほぉ、すごいですねー。私も一度くらいは満点を取ってみたいですよ』

一方通行『ハァ? オマエ取ったことねェのか?』

部長『ええまあ、八十点くらいならありますけど……』

一方通行『あの程度の問題でそれくらいしか取れねェのかよ』

部長『……もしかして君ってこの学校の生徒たちに喧嘩を売りにここまで来てる?』

一方通行『来たくて来てるわけじゃねェからな』


青ピ「全校生徒に堂々と喧嘩を売る……さすがアクセラちゃんやで!」

土御門「生徒どころか教員にも思いっきり売ってるぜい!」

結標「この学校の中アイツの好感度だだ下がりしてそうね」

上条「このラジオに出て、ここまでイメージダウンを謀るヤツ始めてみた気がする」

土御門「もともとのイメージがどんなもんか知らないけどにゃー」


543: 2013/06/02(日) 17:24:10.09 ID:qApZSdNAo


部長『……ではふつおたが終わったところで次のコーナーに行きましょう!』

部長『第一火曜日はこのコーナー!』


部長『能力判定検査いたしますっ(非公式)ー!』


一方通行『非公式って何だよ非公式って』

部長『学園都市では能力開発によって生まれるチカラ、要するに超能力が重要視されています』

部長『超能力とは時には手から火を出したり、時にはある場所からある場所までテレポートしたり、時には身体能力を高めたり、と様々です!』

部長『なのでどんなチカラが超能力として判定されるのかわかりません』

部長『ですから『あれ? これ実は超能力なんじゃね?』と思った特技などをリスナーさんにメールで送ってもらい』

部長『それを私たちが無能力者(レベル0)から超能力者(レベル5)までの六段階で勝手に査定し、それに名前を付けちゃうのがこのコーナー!』

一方通行『ちょっと何言ってンのかわからねェ』

部長『別に難しく考えなくてもいいですよ。ただのネタコーナーですし』

一方通行『…………』

部長『まずは前回の能力をおさらいしてみましょう!』

部長『『ハンドルネーム:ボブ・サック』さんの『速攻の虹色忍者』大能力者(レベル4)!』

一方通行『は?』

部長『『ハンドルネーム:トンコツラーメン』さんの『十秒の壁が厚い!!』異能力者(レベル2)!』

一方通行『何だって?』

部長『以上の二つが前回紹介した能力です!』

一方通行『これ能力名だったのかよ。一体何をどォしたらこンなクソみてェな名前が生まれンだよ』

部長『ちなみにどんな能力だったかはさっぱり覚えていません! 一ヶ月前だからしょうがないよね』

一方通行『オイふざけンな気になって授業中もおちおち寝られねェじゃねェか』


吹寄「……たしか一つ目のは折り紙で鶴を速く折れる能力だったっけ?」

姫神「違う。たしか手裏剣」

結標「ああ、だから名前に忍者って付いてるのね」

吹寄「二つ目のが全然思い出せないわ」

青ピ「名前からして百メートルを十秒で走ることができる能力やないかな?」

上条「たしかにすげーけど、この街じゃ微妙じゃね」

土御門「まあそーいう特技を募集するのがこのコーナーだしな」

吹寄「でもそんな能力じゃなかったような気がするのだけど」

結標「思い出せやすい能力名付いたことないわよねこのコーナー」


544: 2013/06/02(日) 17:25:47.42 ID:qApZSdNAo


部長『ところで一方通行君は何か能力はありますか?』

一方通行『ハァ? 何言ってンだオマエ? 超能力者(レベル5)なンだから能力がねェとおかしいだろ』

部長『そういうわけじゃなくて特技です特技』

一方通行『特技だァ? ンなモン考えたこともねェよ』

部長『何かないんですか? 例えば体が柔らかいとか……』

一方通行『ねェよ、そンなクソみてェ特技』

部長『……何かつまんないですねー』ハァ

一方通行『それがゲストに対する態度かクソパーソナリティー』

部長『やれやれ、しょうがないですねー。じゃあ君の持っている能力とかで構いませんよ。一方通行(アクセラレータ)って一体どんなチカラなんですか?』

一方通行『どォして特技がねェだけでこンな扱いを受けなきゃいけねェンですかねェ』ピキピキ

部長『まあまあ落ち着いてください。別に特技なんてなくても大丈夫ですって。だからそんなに自分を責めないで』

一方通行『俺がムカついてンのはオマエという存在そのものについてなンだけどよォ』

部長『……じゃあ時間も押してますしコーナーを進めましょう! まずは『ハンドルネーム:イケメガネ』さんです、ありがとうございます!』

一方通行『華麗にスルーしてくれてンじゃねェぞゴルァ』

部長『私の能力は授業中に暇な時にやるペン回しです! 最初は何気なくやってみてたのですが、今は何か神がかってます!』

部長『クラスメイトたちに見せると『お前の手、どうなってんの?』とドン引きされるほどです! こんな能力ですが能力判定おねがいします!』

部長『と、こんな感じですね。どー思いますか一方通行君?』

一方通行『……チッ、どォでもイイ』

部長『ペン回しですかー、私も結構やりますよ下手糞ですけど。よく床に落っことして先生に怒られますよあはは』

一方通行『真面目に授業受けろよ。俺が言うことじゃねェだろォがな』

部長『ちなみに一方通行君はこのペン回しみたいな授業中とかによくやることはありますか?』

一方通行『あァ? ああ、授業中は基本仮眠を取ってるか、寝てるかのどっちかだ』

部長『……ん? 仮眠を取ってると寝てる……ですか? 一体どう違うんでしょうか?』

一方通行『仮眠はわずかに意識は残して寝る。だから一応は教師の話を聞いてることになるわけだ。反対に寝るっつゥのは本格的に寝てる』

部長『え、そんなこと可能なんですか?』

一方通行『俺を誰だと思ってやがる? 学園都市最強のレベル5だぞ?』

部長『……さすがレベル5ですね! パネェです!』


結標「……そういえば寝てるわね、結構な頻度で」

姫神「小萌先生がよく涙目になってる」

青ピ「涙目の小萌センセかあいい!」

上条「俺も授業は結構寝ちまうなー」

土御門「授業中はメイドさん本を読むのに限るぜい!」

吹寄「どうでもいいけど、きちんと授業受けなさいよ貴様ら」


545: 2013/06/02(日) 17:28:12.95 ID:qApZSdNAo


部長『ところでこのイケメガネさんに能力名とレベルを付けて上げなきゃなんですけど』

一方通行『あァ? 何で俺のほうを見やがるンだ?』

部長『まずは名前を付けましょう。何かいい案ありませんか?』

一方通行『ハァ? ンなモン俺に聞いてどォする?』

部長『一方通行君こういうの考えるの得意そうじゃないですか! だって『一方通行(アクセラレータ)』なんてかっこいい能力名を自分でつけてるくらいですから!』

一方通行『ッ!? オマエ、どォしてそれを知っていやがる……?』

部長『だってこういうあまり聞かないような能力名って自分で決めてるやつなんでしょ? 先生から聞いたことありますよ』

一方通行『ぐっ……ふざけやがって……』

部長『ほらほら、じゃあちゃっちゃと名前付けちゃってくださいよ。一方通行みたいなかっこいい名前を』ニヤニヤ

一方通行(このクソアマァ、人ォおちょくって楽しンでやがるな……)

一方通行『……そォいうオマエは何かイイ案ねェのかよ? オマエのほうが名前を付けた経験あンだろォが』

部長『えっ、私ですか? そーですねー、んー…………あっ!』

一方通行『何か思い浮かンだのか?』

部長『『くるくるペンシル』ってどうでしょうか!?』

一方通行『ハァ?』

部長『我ながらいい名前だと思うんですが……!』ドヤ

一方通行(だ、ダセェ……、そのままな上にものすごくダセェ……)

一方通行(そもそも読み方に擬音入れてる時点でヤベェって気付けよ。どォしてコイツはこンなにドヤ顔でいられンだ?)

一方通行(コイツ……もしかしなくても馬鹿か……? こンなのがよくラジオのパーソナリティーなンて務めることが出来るなァ……)

部長『ん? 黙りこくっちゃってどうかしました?』

一方通行『……いや、あまり素晴らしい名前だったモンでなァ。感動的過ぎて絶句しちまった』

部長『本当ですか! ならこのイケメガネさんの能力名はくるくるペンシルで決定ですね!』

部長『じゃあ何かペン回しが神がかってるようなのでレベルは超能力者(レベル5)にしましょう!』

一方通行『は?』

部長『じゃあイケメガネさんの能力は、『くるくるペンシル』超能力者(レベル5)に決定です! おめでとうございます!』ドンドンパフパフ

一方通行(何か知らねェが超能力者(レベル5)また一人増えた……)


吹寄「……相変わらずこの部長さんのネーミングセンスは壊滅的ね」

姫神「ゲストが名前を考えられる人じゃないと。必ずひどい名前になる」

上条「……能力名といえば結標? お前の『座標移動(ムーブポイント)』は自分で付けた名前なのか?」

結標「えっ? さ、さあ……記憶がないからわからないわ」

青ピ「そーいや姉さんの能力名って変わってるよなー、普通は『空間移動能力者(テレポーター)』やし」

土御門「カミやんも変わってるよなー、無能力者なのに『幻想頃し(イマジンブレイカー)』って能力名あるし」

上条「えっ、いや、そりゃちゃんと俺の右手にチカラあるし……」

青ピ「ん? あれ? もしかしてカミやんって無能力者じゃあらへんのちゃうん?」

吹寄「言われてみればそうね。能力を消す能力なんてよくよく考えたら普通に能力だし」

土御門「それなのに何で無能力者(レベル0)のままなんだろうなー?」ニヤニヤ

上条「……んなもんこっちが聞きてえよ! つーか誰か俺の右手を能力と認めてくれよ! せめて低能力者(レベル1)判定ぐらいちょうだいよ! 奨学金増額してくれよ!」ブワッ

姫神(……実は私も無能力者(レベル0)の能力持ちだけど。言ったら面倒臭いことになりそうだから黙ってよう)


546: 2013/06/02(日) 17:30:36.80 ID:qApZSdNAo

部長『――さあて、お次の方は……へっ? 時間がないから切り上げろ? ええー、そんなー! まだ一つしかお便り読めてませんよー!』

一方通行(助かった……よォやくこのクソみてェなラジオからおさらばできる)

部長『……まあ、しょうがないですね。能力判定検査いたしますっ(非公式)のコーナーでした!』

一方通行『だから非公式って何だよ』


部長『ではお知らせです!』

部長『来週の水曜日からテスト週間が始まります。ですので部活動はお休みとなります』

部長『ちなみにこのラジオはテスト週間中でも流れますので心配しないでください。えっ? お前らちゃんと勉強しろって? テストなど知らんなぁ!』

部長『まあテストも大事ですが、来週は一大イベント、バレンタインデーがあります!』

部長『それについて生活指導の先生から一言もらっています。『お菓子を持ってくるのはいいが、学校で食い散らかすのはやめてくれ』だそうです』

部長『みなさんお菓子もらってはしゃいでも、食べるのは帰宅してからにしてくださいね』

部長『以上、お知らせでした』


部長『――はい、『とある高校の放送局』。そろそろ終わりの時間ですね!』

部長『さて、本日はありがとうございました一方通行君。初ラジオはどうでしたでしょうか?』

一方通行『…………』

部長『……あれ? 一方通行君?』

一方通行『…………Zzz』

部長『ちょっと一方通行君!? 何で放送中に寝てるの!? 別にお知らせそんなに長くなったよねーおい!』

一方通行『……あァ? ンだよオマエ?』

部長『それはこっちのセリフだこの野郎。ラジオこれで終わりますので感想聞いてんですよ』

一方通行『感想だァ? そォだな……面倒臭かったです』

部長『そーでしたかー! 楽しめてもらえて何よりです!』

一方通行『オイお前の耳腐ってンじゃねェか?』

部長『いやー本当に楽しかったですよこっちは。また来てくださいね一方通行君』

一方通行『来ねェよ。つゥか、もォ二度と呼ぶンじゃねェぞ』

部長『それは保証できませんねー、ゲストを決めるのはその日のゲストであって私じゃありませんから』

一方通行『チッ……』

部長『そういえば、先ほどお知らせでもあったように来週はバレンタイデーですね!』

一方通行『……は? 今何つった?』

部長『何って……バレンタインデーって言ったんですけど……?』

一方通行『バレンタイン……だと……?』

部長『ところで一方通行君はバレンタインデーにチョコをもらう予定はあるのかなー?』

一方通行『……! ン、ンなモンねェ……と思う、そォ信じたい……』

部長『? もしかしてあげる予定とかもあったりするのかなー?』

一方通行『何で男の俺がチョコなンざやらなきゃなンねェンだよ』

部長『いやー今逆チョコとか流行ってるみたいですし……』

一方通行『そンなくだらねェ流行になンて俺が乗るわけねェだろォが』

部長『ないのかー、ちぇーつまんないのー』

一方通行『ぶっ頃すぞオマエ』

547: 2013/06/02(日) 17:31:37.09 ID:qApZSdNAo


部長『それじゃあ恒例のお次のゲストを電話で呼んでください!』

一方通行『ゲスト?』

部長『はい。携帯電話でお友達にTEL! その電話相手が来週のゲストです!』

一方通行(あ、ヤベェ、誰に電話するか決めンの忘れてた)

部長『……一方通行君?』

一方通行『お、おォ待ってろ』ピッ

一方通行(……ま、面倒だからコイツでいいか)ピッピッ



プルルルルルルル、プルルルルルル



吹寄「……一体アクセラは誰をゲストとして呼ぶんだろ……?」

姫神「もし呼ばれたら……嫌だな」

青ピ「あーどーしよー! ほんま呼ばれたら困っちゃうなーマジで」

結標「とか言いながら呼んで欲しそうね貴方」

土御門「ま、呼ぶとしたらこの中の六人以外いないんじゃないかにゃー?」

上条「ま、無難に吹寄辺りじゃねえか? 一番こういうのに慣れてそうだし」

吹寄「な、何を言っているのよ貴様! 何であたしが慣れてるって決め付けているのよ!」

上条「い、いや吹寄って大覇星祭の実行委員とかやってたし……」

吹寄「そんなの関係ないわよ! 勝手に決め付けてないで欲しいわ!」

上条「……何でそんなに怒ってらっしゃるのかわかりませんがすみません」

土御門「ま、ここで何を言ってもゲストを決めるのはアクセラちゃんだぜい。大人しく受け入れるにゃー」

姫神「ちなみに土御門君は出たいの? ラジオ」

土御門「正直面倒臭いにゃー! 昼休みくらいゆっくりしたいぜよ」

上条「俺もゆっくりしてーよ。ただでさえ昼休みの購買での氏闘のあとだしな」

上条「ラジオなんて出てたらまともに休めねーよ。そんなのは絶対ごめんだぜ」

青ピ「あ、それフラ――」



ブーブー、ブーブー!



上条「ん、電話? 一体誰だ?」ピッ

結標「あ」


548: 2013/06/02(日) 17:32:49.23 ID:qApZSdNAo


上条「もしもし?」


一方通行『よォ三下ァ?』


上条「」
 
                    ゲスト
一方通行『つゥわけで来週の犠牲者はオマエだ。よかったな』


上条「」


一方通行『じゃあ電話代わるぞ?』


上条「」


部長『もしもし上条君? こんにちはー!』


上条「」


部長『というわけで、来週のゲストは君に選ばれました! おめでとー!』


上条「」


部長『じゃ、来週は来てくれるかなー?』





上条「……ふ、不幸だァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」





吹寄「うるさい!」

土御門「……やっぱりこういう展開になっちゃったかにゃー」

姫神「まあ。なんとなくは読めてた」

青ピ「よし! 次はボクが出演させてもらえるようにカミやんに頼んでおこう!」

結標「やっぱり青髪君は出たかったのね、あはは」

結標(…………まあ、それより)



結標(……バレンタイン、か……)



――――


563: 2013/06/10(月) 23:45:30.65 ID:/LxwAGo5o


20.バレンタイン前日


February 13,Wednesday 15:00 ~放課後~

-とある高校・一年七組教室-


吹寄「……さて、いよいよ明日はバレンタインデーよ」

姫神「…………」

結標「…………」ゴクリ


吹寄「バレンタインデーは恋愛成就させるためには持ってこいのイベント!」

吹寄「ここで一気に距離を縮められれば……恋が実るなんてことがあれば御の字よ!」

吹寄「でもそのためにはそれ相応の準備が必要なのよ!」


結標「何だかえらく張り切っているわね吹寄さん」

吹寄「そりゃまあサポートするって決めたんだから、成功するまで全力でサポートするに決まってるじゃない」

姫神「……吹寄さん。私は……?」

吹寄「大丈夫よ! 倍率は高いかもしれないけど、 何だかんだ言ってクラスで一番あいつと交流してるのは姫神さんだもの!」

姫神(……吹寄さん。インデックスのこと絶対に忘れてると思う)

結標「で、私たちは一体どうすればいいのかしら?」

吹寄「ターゲットに渡すチョコレートを用意しましょう!」

結標「そうね。それがないと話ならないわよね、バレンタインなのだから」

吹寄「別にチョコレートじゃなくてもいいけど、まあシンプルイズベスト、無難でいいと思うわ」

結標「それじゃあ早速デパートにでも行って良さそうなものでも探しに行きましょうか?」

吹寄「ん? 何でデパート?」

結標「いや、デパートならちょっと高級な感じのチョコレート売ってそうでしょ?」

吹寄「……まさか既製品で済ますつもりじゃないでしょうね?」

結標「えっ、駄目なの?」

姫神「…………」

吹寄「……はぁ、まあ駄目じゃあないけど……ただ」


564: 2013/06/10(月) 23:47:03.19 ID:/LxwAGo5o


吹寄「たぶんだけど、相手にそのまま既製品を渡したところで気持ちは伝わりにくいと思うわ」

結標「……って、ことは?」

姫神「必然的に。手作りが好ましいことになる」

吹寄「というわけで今から作りましょう! アクセラに渡す手作りチョコレートを!」

結標「」

吹寄「どうかした結標さん?」

結標「……や」

姫神「矢?」



結標「やっぱりこういう展開かあああああああああああああああああああっ!!」



姫神「!?」ビク

吹寄「む、結標さん!?」

                                                              デビルコック
結標「て、手作りなんて駄目よ! だって私は野菜を炒めるだけで未元物質を生み出すことができる氏の生産者なのよ!?」


姫神「うん。知ってる」

結標「ぐはっ、こ、こう当たり前のように返されたら結構傷付くわ……」

吹寄「大丈夫! そこまで自分を卑下する必要はないわ。結標さんはあくまで基本がわかってないだけよ! 決して料理音痴ってわけじゃないわ!」

結標「吹寄さん……」

吹寄「というわけで、早速材料を買い出しに行きましょ! バレンタインまで時間がないわ!」

結標「わ、わかったわ!」

姫神「……あの。吹寄さん」

吹寄「何かしら?」

姫神「今から結標さんに作り方を教えながら明日のチョコレートを作る。ってことでいい?」

吹寄「そうだけど、それがどうかした?」

姫神「わざわざ前日に教えなくても。もっと前から準備に取りかかっててもよかったんじゃ……?」

吹寄「…………」

結標「…………」

姫神「…………」

吹寄「……姫神さん」

姫神「何?」


565: 2013/06/10(月) 23:48:09.36 ID:/LxwAGo5o



吹寄「人間っていうのはギリギリになればなるほど大きな力を発揮できるのよ!」



姫神「今まで忘れていたのならそう言えばいい」

吹寄「しょ、しょうがないのよ! なぜだかわからないけど今の今まで忘れていたのだから!」

姫神「大宇宙の意志的な何かを感じる」

結標「な、何だかよくわからないけどすごそうね……!」

吹寄「面目ない……」

結標「だ、大丈夫よ吹寄さん。チョコレートなんて作るのそんなに時間はかからないでしょ……たぶん」

姫神「作るものによって違ってくる。まあ簡単に作れるものを選べばいい」

結標「そうね。簡単な方がこっちも大助かりだし」

姫神「でも時間がないのは事実。動くのは早い方がいい」

結標「じゃあ今すぐ出ましょ? 材料の買い出しに」

吹寄「……わかったわ。いつまでも失敗を引きずっててもしょがないものね!」

姫神「そう。そもそも大宇宙の意志的な何かなのだからしょうがない」

結標「で、材料はどこに買いに行けばいいのかしら? やっぱりスーパーとか?」

吹寄「スーパーでも別に構わないけど、正直良いものを作ろうと思ったら専門店とかに行った方がいいわよ?」

結標「うーむ、だったらスーパーとかでいいかもしれないわね。こんな壊滅的な料理センスで高級品だなんて猫に小判のレベルを超えてるわ」

姫神「やはり練習するのだから。業務用のものを買って。たくさん練習した方がいいと思う」

結標「うん、私もそれが良いと思う。その方が安くつきそうだし」

吹寄「だったらここから少し歩いたところにあるスーパーにでも行きましょう。あそこは結構安いから」

結標「わかったわ」


566: 2013/06/10(月) 23:50:04.12 ID:/LxwAGo5o


吹寄「あっ、でも飾り付けとかするのならやっぱり専門店とか行ったほうがいいかも」

結標「飾り付けか……その発想はなかったわ」

吹寄「別に業務用のチョコレートくらいなら、少し割高にはなるけど専門店のほうでも売ってるだろうし……どうする?」

結標「うーん……」

姫神「そこまで難しく考えることはない。単純にチョコレートを溶かして固めるだけなら。そういう店にわざわざ出向く必要もない」

結標「反対にいろいろデコレーションするのなら専門店とかに行った方がいいってわけね」

吹寄「まあ、あくまで作るものが決まっていたらの話だけどね」

姫神「何を作るか決めてる?」

結標「んー、正直どれが作れて、どれが作れないものなのかわからないのよね」

姫神「つまり。とくに何を作るかは決めてないってこと?」

結標「まあ……」

吹寄「だったら専門店とかに行った方が良いと思う。そこなら詳しいレシピ本とか売ってると思うわ」

吹寄「それにもしスーパーとかに行って本格的な飾りが必要になったら、結局そういう店に行かないといけないわけだし」

結標「……そうね。だったら専門店に行きましょ! 猫に小判とか言ってる場合じゃないわ」

姫神「通学路の少し遠回りに行ったところに一軒あるはず。そう時間はかからない」

吹寄「よし! じゃあ出発しましょ!」

姫神「うん」


結標(……ふー、て、手作りチョコレートか……なんか緊張するなぁ)


姫神「……そういえば」

吹寄「どうかした姫神さん?」

姫神「結標さんって……」

結標「……私がどうかした?」


姫神「今さらだけど。結標さんはサラリーマンの年収を鼻で笑えるくらいお金持っているのだから。別に安いとか考えなくても良いんじゃ……?」


結標「…………」

吹寄「…………」

姫神「…………」

結標「い、いやーまだレベル4の時の感覚が残ってて……」

吹寄「それでも十分お金持ちじゃない」


───
──



567: 2013/06/10(月) 23:52:06.60 ID:/LxwAGo5o


同日 15:20

-第七学区・とある公園-


一方通行「…………」


ピッ、ガチャコン!


一方通行「…………」スッ

一方通行「…………」ガチャリガチャリ

一方通行「…………」ストッ←ベンチに座る

一方通行「…………はァ」


一方通行「……バレンタイン、か」


一方通行(節分という風習を知らなかった俺でも、さすがにバレンタインぐらいはわかった)

一方通行(昔、十字教のとある司祭が氏刑された日であり、向こうじゃ恋人やら親しい人やらに贈り物をする日)

一方通行(日本じゃ女が好きな異性にチョコレートを送るっつゥことになっている)

一方通行(正直馬鹿どもいくらハシャいだところで俺には関係ねェ、何も変わらねェただの平日だと、以前までの俺はそォ思ってた)

一方通行(だが今は違う。ある一つの懸念材料が俺の目の前に現れたからだ)

一方通行(結標淡希。八人目の超能力者(レベル5)であり、俺と同じ家に居候している同居人)

一方通行(同じところに住ンでいるせいか、俺のことをやけに気にかけやがる口うるせェ野郎だ)

一方通行(……おそらくアイツは明日、確実に俺へチョコレートを渡すだろう)

一方通行(別にアイツが俺に好意を抱いているなンて勘違いも華々しい妄言を吐くつもりはさらさらねェ)

一方通行(だがアイツが確実にこのバレンタインの波に乗る、そォ思える心当たりが俺にはあった)


一方通行(結標淡希は……『イベントならとりあえず参加しとこ脳』だ)


一方通行(アイツには今記憶喪失で思い出というものがあまりない)

一方通行(だからかヤツは思い出作りに対しては積極的に、熱心に行動するよォになった)

一方通行(まァ、半分俺のせいみてェなモンだけどな……)

一方通行(つまり、そンなヤツがこのバレンタインデーという一年間の中でも恐らくトップクラスに騒がれるイベントに参加しないわけがない)

一方通行(物事には熱心に取り組むンだから、必然的には用意されるチョコレートなどの菓子類は確実に手作りだろう)

一方通行(殺人級の料理を平然と行うヤツが作ったモンだ。確実に象一頭は容易に潰すくれェの兵器になってるに違いねェ)

一方通行(そンなモン食ったら、いくら学園都市最強の超能力者(レベル5)の俺でも瀕氏、最悪氏ぬ)

一方通行(今の内に遺言と遺産分配やっといた方がイイか? 俺の財産はクソガキにこれから必要になるだろォ金に全部充てる、みてェに)

一方通行(…………)

一方通行(馬鹿馬鹿しい。何で俺がンなことしなきゃいけねェンだ?)

一方通行(あァクソ、何だか面倒臭くなってきた……)


一方通行「……もォどォにでもなれってンだ」ゴロン


―――
――



568: 2013/06/10(月) 23:54:04.17 ID:/LxwAGo5o


同日 15:30

-第七学区・とあるチョコレート専門店-



ワイワイガヤガヤ



吹寄「やっぱり日が日だから混んでるわね」

結標「……何かみんな既製品の高そうなチョコ買ってるように見えるんだけど」

姫神「ほんとだ」

吹寄「あれはたぶん義理とかそういう類のものよ。さすがに義理を手作りとかは、本命の余り物とか以外そんなないと思うし」

吹寄「まあ、料理とかができない人は、既製品の値段を上げて本命の相手にアピールするんじゃないかしら?」

姫神「そもそも本命の人の分は。手作りする人ならもうとっくに作ってるだろうし」

結標「……や、やっぱり私も既製品にした方がいいかしら?」

吹寄「駄目よ! ここまで来たらもう材料買って手作りするしかないわ!」

結標「ええっー!? まだ余裕で引き返せると思うんだけど!?」

姫神「初めに吹寄さんが言ったように。手作りの方が既製品よりは心に伝わりやすい」

結標「……今さらだけどそういうの気にするヤツじゃないわよアイツ」

吹寄「まだわからないわよ! 外っ面はあんなでも内面はもっと純粋かも……!」

結標「うん、ないわね」

姫神「ない」

吹寄「やっぱり? まあでも、このバレンタインで少しでも料理を勉強できるいい機会じゃない」

結標「うっ、ま、まあそうかもしれないけど……でも」

姫神「でも?」

結標「仮に作れたとしてもそれがアイツにとって不味かったりしたら、『何で既製品にしなかったンだテメェ!』って怒り狂うに決まってるわ」

姫神「……そんなに厳しいの? アクセラ君」

結標「厳しいというか……、私の料理自体に拒否反応を示しているというか……」

吹寄「何があったのよあなたたちの間に……」

姫神「その場合。味を見てもらう前に口に入れてもらえないんじゃあ?」

結標「……なおさら既製品の方がよく感じてきたわ」

吹寄「ま、でも何とかなると思うわよ?」

結標「えっ?」


569: 2013/06/10(月) 23:55:53.95 ID:/LxwAGo5o


吹寄「だって別に結標さんが一人でチョコレートを作るわけじゃないじゃない」

吹寄「ちゃんとあたしが一から作り方教えるし、間違ったことはちゃんと指摘するし、絶対にあなたの言うようなことには絶対にさせないわ」

姫神「……もちろん私も協力する。料理は得意だから」

結標「…………」

吹寄「だから精一杯あたしたちを頼ってちょうだい! 絶対に力になってみせるから!」

姫神「…………」コクリ

結標「……ありがとう、二人とも。よし! 私頑張って、絶対に一方通行においしいって言わせてやるわ!」

吹寄「その意気よ結標さん! じゃあまず何を作るかを決めましょ?」

結標「どんなものがあるのかしら?」

姫神「ここにサンプルとかが置いてある」

吹寄「生チョコ、クッキー、ガトーショコラ、ブラウニー……、いろいろあるわね」

結標「ぐぬぬ、どれも難しそうなオーラをガンガン放っているわね……」

姫神「大丈夫。そういうオーラを放っていたとしてもそれは大体思い込み。いざやってみれば簡単だということもある」

結標「とは言っても……うーん、どれにしようか……」

吹寄「無難にクッキーとかどう? 簡単だし余程なことがない限りミスはないわ」

姫神「生チョコとかどうだろう? チョコを溶かして生クリームとかバターを混ぜて固めるだけ。簡単」

結標「うーん、どれもぱっとしないわね……ん?」

吹寄「どうかしたの?」

結標「この粉がいっぱい付いた丸っこいヤツって何?」

吹寄「ああこれ? これはトリュフよ」

結標「トリュフか……」

吹寄「気になる?」

結標「うん、まあ……これって作るの難しい?」

姫神「基本的に生チョコと作り方は変わらない。丸めるかどうかの違い」

結標「そう。だったら私でもできるかな?」

姫神「大丈夫。トリュフは結構基本的なお菓子だから」

吹寄「トリュフにするの?」

結標「…………うん! 私これを作りたいわ!」

吹寄「決定ね! 姫神さんは何を作るつもりなの?」

姫神「シンプルイズベスト。いろいろな味のチョコレートを溶かして加工したのにしようかと」

結標「加工……ってどうするの? ガスバーナーとかでばがぁーってやるの? チェーンソーでぎゅいーんってやるの?」

姫神「ガスバーナーは使わないけど。溶かしてから形を整えてから固める」

結標「へー、そんなことができるのねえ……」

吹寄「というか何でそんな実験道具や工具が話に出てくるのよ……」


570: 2013/06/10(月) 23:57:34.34 ID:/LxwAGo5o


吹寄「……うん。まあ姫神さんは作る段階では問題なさそうね」

姫神「問題ない」

吹寄「じゃあ早速材料を探しに行きましょ!」テクテク

姫神「うん」テクテク

結標「……そういえば吹寄さん?」

吹寄「何?」


吹寄「吹寄さんは誰かにチョコレート渡さないの?」


吹寄「…………えっ?」

姫神「……おお。たしかに気にはなっていた」

吹寄「な、何でそんなことが気になっているのかしら姫神さん?」

姫神「もし渡す人がいたのなら。人のサポートばかりで自分のことをしてないことになる。大丈夫?」

吹寄「あ、ああそーいうことなら大丈夫大丈夫。別にあたしは渡そうと思ってるやつなんていないから」

結標「ってことは義理も何もなしってこと?」

吹寄「え、ええまあ……」

結標「ええー、何かつまんないわねえ、私たちばっか」

姫神「うん。つまらない」

吹寄「別にあたしはつまらなくていいわよ? 今は二人の方が大事だし」

結標「せっかくだし吹寄さんも誰かに渡したら?」

吹寄「は? いやいやいいわよそんなの!」

姫神「どうしてそんなに拒否反応を示すのか」

結標「別に誰でも渡すだけなら誰でもいいんじゃないの? それなら土御門君とか青髪ピアス君とか……」

吹寄「ないないないないないないないないないないない。何であたしがそんな馬鹿どもにチョコレートなんて渡さなきゃいけないのよ」

結標「でも義理チョコってあれでしょ? 普段からお世話になってる人に送るものなんでしょ? あそこのポップに書いてるみたいに」

吹寄「ま、まあそうだけど、別にヤツらに世話になっているわけじゃないわよ」

結標「たしかに世話にはなってはいないかもしれないけど、学校だったら結構一緒にいるんだからそういう義理があってもいいんじゃないかしら?」

吹寄「い、いや別にそんなことは……」

姫神「私もそう思う」

吹寄「姫神さん!?」


571: 2013/06/10(月) 23:58:38.53 ID:/LxwAGo5o



姫神「打ち上げやスキー旅行にこの前の調理実習。何かとそういう縁があるのは事実」



吹寄「ぐぐっ……でも……」

結標「……うーん、まあ吹寄さんがそこまで嫌なら無理強いするのはかわいそうよね」

吹寄「へっ?」

姫神「うん。たしかに強いられるのはかわいそう」

吹寄「えっ?」

結標「私たちのバレンタインがあるように、吹寄さんにも私たちをサポートするというバレンタインがあるのよね」

姫神「そう。自分は表舞台には立たずに裏方に徹する。非常に残念なバレンタイン」


吹寄「……あああっもう! わかったわよ! 渡せばいいんでしょ渡せばっ!」


結標「さすが吹寄さん!」

姫神「必ず乗ってくれると信じてた」

吹寄「ただしこっちにも条件があるわ」

結標「条件?」

吹寄「たしかにヤツらにも世話になっているのかもしれないけど、それは上条やアクセラも一緒」

吹寄「だから渡すのはその二人を含めて四人よ!」

結標「…………ってことは?」



吹寄「もしあたしが作ったものより不味かったら、決して思い人にいい印象を与えない残念なバレンタインデーになるわね」ニヤッ



結標「そ、それは勘弁願いたいわね……」

姫神「大丈夫。負けるつもりはない」

吹寄「ということで結標さん。手作りのハードルがどんどん上がっていくわよ?」

結標「……今から既製品を買ってきてもいいでしょうか?」

吹寄「ダメです♪」ニコ

結標「あははー、ですよねー」


―――
――



572: 2013/06/10(月) 23:59:34.13 ID:/LxwAGo5o


同日 16:00

-第七学区・とあるチョコレート専門店前-


結標「……ふぅ、たくさん買ったわね」ドサッ

姫神「これだけ買えば。いくらでも作り直すことは可能」

結標「でもそれって逆に言えば一発で作っちゃうと、ものすごくチョコレートが余ってしまうってことよね?」

姫神「それはない。なぜなら一発で作れないから」

結標「ぐっ、否定できない自分が悔しい……」

吹寄「……というか本当にそのチョコでよかったの?」

結標「何が?」

吹寄「いや、だってそのチョコって……」

結標「……もしかしてこれじゃあトリュフ作れない……!?」

姫神「大丈夫。作るのには問題ない」

吹寄「でもそれでおいしくトリュフを作るのは正直難しいと思うわよ?」

結標「うーん、まあ何とかなるんじゃないかしら?」

吹寄「……まあ結標さんがいいのならいいけど」

姫神「嫌な予感しかしない……」

結標「あ、そういうのやめて姫神さん」

吹寄「さて、じゃあ部屋に戻って制作に取り掛かるとしましょ」

姫神「……待って」

吹寄「何姫神さん?」

姫神「戻るってどこの部屋に?」

吹寄「どこって……とりあえずあたしの部屋かな?」

姫神「吹寄さんの部屋のキッチンは三人で調理できるぐらいの設備がある?」

吹寄「えっと……ギリギリいけるんじゃないかしら?」


573: 2013/06/11(火) 00:00:49.09 ID:8KAQP11no


姫神「じゃあ器具は一通りある? 三人同時に作業をしても滞りなく勧められるくらいには」

吹寄「べ、別に三人同時に作るわけじゃないでしょ?」

姫神「私たちはそれぞれ違うものを作る。だからいろいろな材料を使う。つまり器具はたくさん必要」

吹寄「あ、洗えば問題ないんじゃない?」

姫神「洗う時間も入れれば余計な時間を取ってしまう。結標さんの練習時間が減る可能性もある」

吹寄「じゃ、じゃあ姫神さんの部屋から道具を取ってくれば……」

姫神「そんなにたくさんの道具を使えるスペースはあるの?」

吹寄「えっと……ないわ、わね」

姫神「だからこれからどうするかを考えたほうがいい。最悪三人バラバラになることも必要」

吹寄「それは色々と不味いわね……」

姫神「…………」

結標「あ、あの……」

吹寄「何かしら?」

結標「何だかよくわからないけど、ウチの部屋使えばいいんじゃないかなーって」

吹寄「結標さんの部屋、ってことは黄泉川先生の部屋ってことよね?」

結標「うん。ウチは結構広いし、そういう特殊な器具とかもたくさん備え付けられてるし。まあ埃は被ってるけど」

吹寄「……たしかに好条件ではあるけど」

結標「何か問題があるの?」

姫神「結標さんの部屋ということは。同時にアクセラ君の部屋ということにもなる」

結標「あ、そっか」

吹寄「一応、こういうのは男子には見られたくないものだし」

結標「……だったら一方通行がチョコ作ってる間ウチに帰ってこなきゃいいのよね?」

吹寄「うん、まあそういうことにはなるけど……」

結標「だったらたぶん大丈夫よ。私に任せて……!」スッ

姫神「?」


―――
――



574: 2013/06/11(火) 00:02:45.39 ID:8KAQP11no


同日 16:10

-第七学区・とある公園-


一方通行「Zzz――おァ?」ムクッ

一方通行「…………」ボー

一方通行「…………」キョロキョロ


一方通行(……いつの間にか寝ちまってたよォだな。二月の寒空だっつゥのにアホか俺ァ)


一方通行「…………ハァ」


一方通行(まァ、バレンタインとかいう面倒臭せェモンはもォほっとくか)

一方通行(俺がどォ行動しよォがおそらく未来は決まってンだ)

一方通行(ヤツの手作りチョコレートを食わされて……、おェ)


一方通行「…………帰るか」


上条「――おお! 一方通行じゃねえか!」


一方通行「……あン? 何だ上条か」

上条「何だとは何だ。こんなところで座って何やってんだよ?」

一方通行「公園のベンチに座ってすることなンざァ、営業サボるか休憩ぐれェしかねェだろォが」ズズズ

上条「あー、のんきに公園でコーヒーブレイクっつーことか」

一方通行「で、そォいうオマエは何をやってンだ三下ァ?」

上条「俺か? これからスーパーまで買出しに行こうと思ってな」

一方通行「そいつは大変だな。まァ保護者とかいううっとォしいヤツがいる俺には関係ねェ話だがな」

上条「つまり帰ったら温かいご飯が待ってるわけか……いいなぁ」

一方通行「ンだァ? もしかしてホームシックにでもなったかァ?」

上条「そういうわけじゃねえよ。ただウチに帰ったら料理が並んである、ってのは一人暮らしとかが長いと憧れてしまうんですよ」

一方通行「だったらオマエン家に住ンでるシスターに料理を教えてやればイイ。その憧れを実現することができるぞ?」

上条「……いや、やめとく」

一方通行「どォしてだ?」

上条「インデックスが料理を覚えたら、冷蔵庫の中身が常にゼロっていう無間地獄に陥りそうで怖い」

一方通行「随分と信用されてねェシスターだこった……」


575: 2013/06/11(火) 00:04:28.14 ID:8KAQP11no



ピピピピッ! ピピピピッ!



一方通行「……あン? 電話だァ?」スッ


一方通行「もしもし?」

結標『もしもし一方通行?』

一方通行「……何か用か? 帰りにコンビニ寄ってガキの菓子買ってこいっつったら切るぞ」

結標『あー、大丈夫そういう話をするために電話したわけじゃないわ』

一方通行「じゃあ何の用だよ?」

結標『ちょっとね、しばらく家に帰ってきて欲しくないのよ』

一方通行「……ハァ? 何だって?」

結標『だからしばらくの間家には帰ってきて欲しくないのよ』

一方通行「理由は?」

結標『え、ええっと……それはちょっと……』

一方通行「言えねェよォな理由か。一体何をやらかしたンだオマエは?」

結標『別になにもやらかしてはいないわよ!』

一方通行「だったら何なンだよ。俺がしばらく帰宅できねェ理由とやらはよォ」

結標『そ、その……と、とにかく! こっちが良いって言うまで絶対に帰ってこないでね! じゃ』

一方通行「ハァ? オイ、どォいうことだ結標。オイ!」



プー、プー!



576: 2013/06/11(火) 00:05:48.01 ID:8KAQP11no


一方通行「……チッ、うっとォしいヤツ」スッ

上条「何の電話だったんだ?」

一方通行「結標からだ。しばらく家には帰ってくるなとさ」

上条「ケンカでもしてんのかよ」

一方通行「別にそンなモンじゃねェよ。オマエには関係ねェ話だ」

上条「ふーん」

一方通行「……まァ、家を追い出された理由はどォでもイイが、許可が出るまでどォするかが問題だなァ」


一方通行(久しぶりにゲーセンでも行くかァ? いや面倒だからイイや)

一方通行(ビジネスホテルでも借りて、連絡が来るまで寝ておくか? いや手続きが面倒だからイイや)

一方通行(あえてここでまた寝る……、いやまたここで寝たら確実に風邪をひく自信がある)


一方通行「…………はァ、面倒臭せェ」

上条「……何だかよくわからねーけど、要するに結標から帰ってきていいって言われるまでの暇つぶしを考えてんのか?」

一方通行「あァ? まァそォいうことにはなるな」

上条「つまり、お前は今暇っつーことか?」

一方通行「ああ」

上条「…………」

一方通行「…………?」

上条「…………」ニヤ

一方通行「…………!? な、何だよ?」

上条「お前……暇ならさ――」



上条「連絡くるまで俺んち来るか?」



一方通行「…………ハァ?」


―――
――



586: 2013/06/15(土) 22:45:27.72 ID:JRUIOP3Go


同日 16:30

-第七学区・とあるスーパー-


ワイワイガヤガヤ!


上条「くっ、やっぱり大勢集まってたか……!」


一方通行「…………なァ?」


上条「こうなったら覚悟決めるしかねえかもしれねえな……」


一方通行「オイ三下?」


上条「……よし! 行くぞ一方通行ぁ! うおおおおおおおおおおおっ!!」ダッ


一方通行「オラァ!」カチ


ゴッ!


上条「痛てっ!? 何すんだよ一方通行!?」

一方通行「行くぞじゃねェンだよ、うおおおじゃねェンだよ。人の呼びかけ無視すンじゃねェぞこの三下がァ」カチ

上条「何か用か? 大した用じゃねえならあとにしてくれ、今忙しいから」

一方通行「あァ? もォ一発いっとくかァ?」カチ

上条「すんません話聞きますゆるしてくださいおねがいします」

一方通行「チッ、たったら質問だァ。たしか俺はオマエの部屋に来ねェか、って誘われたンだよなァ?」カチ

上条「ああ」

一方通行「だったら何で俺は今スーパーの精肉売場の前に立ってンだよ?」

上条「そりゃ、俺の買い物がまだ終わってなかったからな」

一方通行「だったら誘うンじゃねェよ。わざわざ一緒に仲良くショッピングする意味ねェじゃねェか」

上条「いやいや、意味ならちゃんとあるぞ?」

一方通行「あン?」

上条「今日の特売はステーキ用の牛肉が200グラムがお一人様限定で十円だ」

一方通行「ほォ、一体どンないわく付き牛肉なのか疑いたくなるくれェには安いな」

上条「おいやめろ」

一方通行「で、そのクソみてェな安物牛肉がどォかしたのか?」

上条「ふふふ、つまりだ。今俺は二十円でステーキ肉を400グラム買うことができるわけだ」

一方通行「……はァ、つまりアレかァ? 俺も無様に安肉を掴んでレジへ並べ、っつゥことかァ?」

上条「そういうことだ」ニヤッ

一方通行「そンなくだらねェことしねェといけねェくれェ、オマエは貧相な生活してるっつゥことかよ」

上条「うっせぇ! 貧乏人舐めんな! この金持ち野郎が!」

一方通行「チッ、まァイイ。だったらとっとと目的のモン買って、ここを出るぞ?」

上条「いやー、そうしたいのはやまやまなんだが……」

一方通行「……何だよ?」


587: 2013/06/15(土) 22:46:29.09 ID:JRUIOP3Go


上条「それを買うにはあれを突破しなきゃいけねえんだよ」



ワイワイガヤガヤドッガシャーン!!



モブA「おらっ! この肉は俺のもんだぁ!!」ゴッ

モブB「何言ってんのよ! これはあたしのよっ!!」ドガッ

モブC「ひゃっはっー! どけどけどけええええっ!!」グパァ



ワイワイガヤガヤグガガガーン!!



一方通行「……何やってンだこの馬鹿どもは……?」

上条「見ての通り限られた特売品の奪い合いだ。安い肉っつっても数には限りがあるからな」

一方通行「にしたってやりすぎだろこれ。軽く乱闘になってンぞ?」

上条「まあこれが特売のときの恒例行事みてーなもんだしな。店側も店内の商品に被害を出さない限り容認してるらしいし」

一方通行「チッ、どンだけステーキ食いてェンだよコイツら」

上条「そういうわけだから、そろそろ俺も参戦するとするぜ! 早くしねーと全部売り切れちまうからな!」ダッ

一方通行「あ、オイ」



上条「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」バッ



モブD「あん? また来やがったなウニ頭ぁ!!」

モブE「返り討ちにしてやるよ小僧!!」



上条「今晩、勝利のステーキを食べるのは、俺たちだあああああああああああああああああああああああああああッ!!」



ゴッ、バギッ、ゴバッ、ガゴッ、ドグシャ!!



上条「…………ふ、ふこ……うだ」バタッ

一方通行「なァに一人で正面から突っ込んで返り討ちにあってンですかオマエはァ?」

上条「あ、あはは、やっぱ今日は激しいわ。くそう……ちくわの特売のときはこうじゃなかったのに……」

一方通行「まァ、肉に比べれば倍率低そォだよな。ちくわ」

上条「む、無念……」ガクッ


588: 2013/06/15(土) 22:48:54.01 ID:JRUIOP3Go


一方通行「…………」

上条「…………」

一方通行「オラッ」ゲシッ

上条「ぐえっ! な、何しやがる!」

一方通行「いや、あまりにも滑稽で蹴りやすそォなモンが転がっていたモンで……」

上条「そんなわけのわからねえ理由で俺は蹴られたのかよ!」

一方通行「ンなことよりよォ、さっさと買いモン終わらせよォぜ面倒臭せェ」

上条「い、いや、だからあそこのステーキ肉を……」

一方通行「他に買うモンあるンじゃねェのか? 野菜とか飲みモンとか」

上条「そりゃあるけど……何でそんなこと今聞くんだ?」

一方通行「今からそれを買ってこい。肉は俺が手に入れる」

上条「お前……まさか能力を使う気か?」

一方通行「まァな。俺の場合使わねェとまともに行動できねェし。……まァ安心しろ頃しはしねェ」

上条「いや、それは当たり前だろ」

一方通行「ただ、そォだな……」カチッ


一方通行「静かに買いモンもできねェ馬鹿どもにマナーの教育ぐれェはしてやるよ」ニヤァ


~10分後~


一方通行「ほらっ、約束の牛肉二パックだ」スッ

上条「お、おう……」チラッ


モブA「はーい、欲しい方は二列で並んでくださーい」

モブB「そこっ! 勝手に列を外れてんじゃないわよ!!」

モブC「残り十パックでーす、押さないでくださーい!」


上条(……あの荒くれどもがすげえ丸くなってる……?)

上条「お前一体何をやったんだ?」

一方通行「あァ? 別に大したことはやってねェよ。まァ、そォだな。強いて言えば……」


一方通行「アイツらにちょっとした恐怖を与えてやったくれェだな」ニヤリ


上条「いいっ」ゾクッ

一方通行「まァ、教育すンのに一番便利なのは恐怖だって話なだけだ。ちょっと軽く演出してやっただけで全員ビビッて萎縮しやがって。面白れェ」

上条「たかが買い物にどんだけ無茶をしたんだよ」

一方通行「向こうが本気で殺りに来てンだから、こっちもそれ相応の対応を取らせてもらうのは当然のことだろ?」

上条(コイツを本気で怒らせたら俺は確実に氏ぬ。いろいろな意味で……)

一方通行「おっ、コイツは今ハマってる缶コーヒーじゃねェか。オイ、あとで金払うから買っといてくれ」ガチャンガチャン

上条(俺はただただそう思っていたのだった……)


―――
――


589: 2013/06/15(土) 22:49:35.77 ID:JRUIOP3Go


同日 16:50

-黄泉川家・リビング-



ガラッ



結標「ただいまー!」

打ち止め「おかえりアワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカはお決まりの挨拶を交わしてみたり……おっ?」


吹寄「……お、おじゃましまーす」

姫神「おじゃまします」


打ち止め「セイリお姉ちゃんにアイサお姉ちゃんだ! いらっしゃい、ってミサカはミサカは来客に歓迎の言葉を送ってみたり!」

吹寄「相変わらず元気そうね打ち止めちゃん」

打ち止め「うん! 相も変わらず元気だよ! ってミサカはミサカは飛び跳ねながら元気アピールをしてみたり!」ピョンピョン

姫神(……かわいい)

結標「ええっと……芳川さんは?」

打ち止め「ヨシカワなら今自分の部屋に篭ってネットしてると思うよ? ってミサカはミサカは現状報告してみる」

結標「うん、まあわかってたけどね」

打ち止め「ところでお二人さんは一体どうしたの? わざわざここまで来るのは珍しいよね、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

吹寄「ああ、明日バレンタインデーでしょ? それの準備をするためにここに来たのよ」

打ち止め「おおっそうだったんだ! ってことは手作りチョコレートとか作るの? ってミサカはミサカは目をキラキラと輝かせてみたり」キラキラ

吹寄「一体どうやって輝かせてるのよそれ? まあ、そういうことになるわね」

打ち止め「おおっー!!」キラキラ

結標「ま、そういうことだからちょっと台所がカカオ臭くなるかもよ?」


590: 2013/06/15(土) 22:50:51.42 ID:JRUIOP3Go


打ち止め「……ええと、もしかしてアワキお姉ちゃんも作るの? チョコレート……」

結標「ええ、まあ……」

打ち止め「え……大丈夫なの……アワキお姉ちゃん? だって」

結標「ああー、言わなくてもわかるから言わないで」

吹寄「そんな心配しなくてもいいわよ打ち止めちゃん。結標さんには私たちが付いているのだから」

姫神「大船に乗ったつもりでいるといい」

結標「……ほんとごめんね」

吹寄「別に謝らなくてもいいわよ。迷惑なんて思ってないし」

姫神「友達は。お互い助け合うもの」

打ち止め「いい話だなー、ってミサカはミサカはほろりと涙を浮かべてみたり」ポロッ

結標「あ、語尾では隠せてるようだけど相変わらず目薬差してるのはバレバレよ?」

打ち止め「バレちったかーてへぺろ! ってミサカはミサカはあざといドジっ子アピールをしてみたり!」テヘッ

結標「自分であざといって言ってどうするのよ」

吹寄「それじゃあ時間もあまりないし、ちゃっちゃと準備して始めましょうか?」スッ

結標「う、うん」スッ

姫神「段取りはどうする? まずは最初に結標さんに基本を教える?」ドサッ

打ち止め「おおっ! ものすごい量のチョコレートだ! すげえっ、ってミサカはミサカは夢のような光景を目の前にテンションアップを抑えきれなかったり!」

結標「あっ、晩ご飯の時間近いから食べちゃダメよ?」

打ち止め「ちぇー、別にチョコレートの一つや二つ、食べたところで影響はないと思うのに……」

結標「ゴミ箱にポテチの袋が入っているのだけど? あれ、打ち止めちゃんが食べたんじゃないかしら?」

打ち止め「おうふっ、バレたか、ってミサカはミサカはチョコレート天国を諦めてイスに座ってみたり」


591: 2013/06/15(土) 22:52:13.47 ID:JRUIOP3Go


吹寄「よし。まずは湯銭のかけかたからね」

結標「ゆせん? 何それ?」

姫神「ボウルとかの容器に刻んだチョコレートを入れて。それを温めて溶かすこと」

結標「何でそんなまどろっこしいことするのよ? 普通にフライパンで焼けばすぐ溶けるじゃない」

姫神「それは溶けるを通り越して焼けると思う」

吹寄「とりあえずチョコレートを溶かすときはそういう方法を使うってことは覚えてて」

結標「うん、わかったわ」

吹寄「じゃあまずチョコレートを溶かしやすくするために刻んで小さくしましょうか」

結標「刻むのね? 了解!」スッ

吹寄「こういう風に包丁で叩くように刻んでいって――」



ギコギコ



吹寄「ん? 何の音?」




結標「……よっと。鶏肉よりは切りやすいわね」つノコギリ




ギーコギーコ



吹寄「」


592: 2013/06/15(土) 22:53:35.26 ID:JRUIOP3Go


姫神「結標さん。わざわざそんなものを持ち出す必要はない」

結標「えっ、でも刻めるわよ? 普通に」

姫神「そういう問題ではなく。単純に危ない」

結標「包丁も十分危ないと思うのだけど?」

姫神「そもそも用途が違う」

結標「えー、切りやすいのになーこれ」つノコギリ

姫神「いや。というかどこから持ってきたのそれ?」

結標「こんなこともあろうかとあらかじめホームセンターで買って準備しておきました!」

姫神「どんなことを想定していたの? もしかして料理?」

結標「うん」

打ち止め「さすがアワキお姉ちゃん! 期待を裏切らないぜ!」

姫神「……頭痛い」

結標「?」

吹寄「え、ええっと、とりあえずそれしまってくれない?」

結標「えっ? 何で?」

吹寄「例えばテレビでやってる料理番組とかで、ノコギリなんてものを使っているシェフを見たことある?」

結標「うーん、まったくないけど……」

吹寄「つまり、普通はそういうものは使わないってことよ。わかった?」

結標「……でも普通じゃないからって全部否定することは私間違っていると思う」

吹寄「えっ?」


結標「例えば天動説が普通だった時代に地動説を唱えたガリレオ=ガリレイ!」

結標「はたから見たら常識知らずの普通からかけ離れた変人だったかもしれないわ!」

結標「でも実際は地球自体が動いてた。変人扱いされてたガリレオが正しかったわ! 違う?」


吹寄「た、たしかにそうだけど……」




結標「だから! 私はそういう常識に囚われない料理法! つまり、このノコギリを――」




姫神「それとこれとは話が違う」

結標「はい」


―――
――



594: 2013/06/15(土) 22:54:35.90 ID:JRUIOP3Go


同日 17:00

-第七学区・とある高校男子寮-


カッ、カッ。


上条「……はぁ、まさかエレベーターが調整中だなんて……不幸だ」

一方通行「たしか七階だったかオマエの部屋は?」

上条「ああ。階層が高いって結構不便だよな。登校時間はエレベーター混むし」

一方通行「まァ、ウチの十三階にある部屋よりは遥かにマシだろ。階段なンか使ったら一瞬で筋肉痛だ」

上条「うわっ、スゲェな。さすが高級マンション」

一方通行「オマエじゃ一生住むことができねェ場所だろォな」

上条「くそう、おのれ金持ちめ!」

一方通行「……しかし、俺はいつになったら帰れンだァ? 面倒臭せェ」

上条「しかしケンカじゃないなら一体何があったんだ? お前を家に入れたくない何かでもあんのか?」

一方通行「……ヒント。明日」

上条「明日? ええっと……今日が二月十三日だから……バレンタイン?」

一方通行「そォいうことだ。今ごろアイツは義理チョコという名の化学兵器を製造してるところだろォ」

上条「ひでえ言いようだな」

一方通行「事実だからしょうがねェ」

上条「まあでも、バレンタインにチョコをもらえる予定があるっていうのは羨ましい限りだなぁ……はぁ」

一方通行「化学兵器だぞ?」

上条「それでもだよ。よく言うじゃねえか、味が重要なんじゃない、大事なのは込められた気持ちだって」

一方通行「その気持ちでカバーしきれねェから兵器って言われてンだよ」

上条「……はぁ、誰かくれねーかなー。義理でもいいからくれねーかなー」

一方通行「安心しろ。俺の中でももらえるアテが五人くれェいるからよォ」

上条「は? んなもんいるわけねーだろアホか」

一方通行「オーケーオーケー。今から手すりの外へぶっ飛ばしてやるから覚悟しろォ」カチ

上条「ぎゃああああああああああああッ!! スンマセン!! 何で怒っておられるのかわかりませんがスンマセン!!」

一方通行「……チッ、まァつまり、もらえねェなンてこと絶対ェねェから安心しろっつゥことだ」

上条「……本当かよ? 不幸の塊上条さんだぞ? どう考えても青髪ピアス辺りに偽チョコ&偽ラブレターというドッキリを仕組まれる未来しか見えねえんだけど」

一方通行「どちらかと言えばオマエが集団暴行を受ける未来しか俺には見えねェがな」

上条「どちらにしろ不幸じゃねえかくそぅ」

一方通行「ま、こンな感じにくだらねェ世間話をしてる間に、あっという間に七階っつゥわけだ」

上条「帰ったらまずメシ作らねーとな。あっ、お前晩メシどうすんだ? 何なら作るけど?」

一方通行「いらねェよ。いつ帰宅命令が下るかわからねェからな」

上条「じゃあとりあえずお前の分も作っとくよ。もしいらなくなってもインデックスのヤツが食べるだろうし」

一方通行「チッ、余計なことしよォとしてンじゃねェよ三下が」

上条「ははは、別に遠慮しなくてもいいのに」ガチャ

一方通行「してねェよ頃すぞ」


595: 2013/06/15(土) 22:55:38.28 ID:JRUIOP3Go



-とある高校学生寮男子寮・上条当麻の部屋-



ガチャ



上条「ただいま帰りましたよーと」

一方通行「…………あン?」

上条「どうかしたか?」

一方通行「……あのシスター、ローファーなンか履くのか?」

上条「ローファー? いや、履かねえけど。つーかそんなもん買う金ねえよ」

一方通行「じゃあこれ誰の靴だよ」

上条「えっ、……ああ、どうやらお前以外にも客がいたようだぜ」

一方通行「ハァ?」



上条「おいーす、帰ったぞインデックスー!」テクテク


禁書「あっ、おかえりとうま」

スフィンクス「にゃー」トコトコ


一方通行「お邪魔しまァす」ガチャリガチャリ


禁書「……ってあれ? あくせられーた?」

一方通行「よォ」

禁書「どうしたの? あなたがこんなところに来るなんて珍しいね」

一方通行「いろいろあって今家に帰れねェからな。で、偶然上条と会って、スーパーを経由してここまで至ったわけだ」

禁書「ふーん、何かあったの? 家の人とけんかでもした?」

一方通行「してねェよ。何でオマエらは揃いも揃ってそっちの発想しかできねェンだよ」

上条「いや、普通はそう思うだろ」


??「……、え、えっと……その」


596: 2013/06/15(土) 22:56:14.30 ID:JRUIOP3Go


上条「あっ、やっぱりあの靴はお前だったか風斬」

風斬「その、えっと、お、おじゃましてます」ペコ

上条「おう、まあゆっくりしていけよ」

風斬「は、はい……あの」チラッ

一方通行「あン?」ギロッ

風斬「ひっ……!」ビクッ

禁書「あくせられーた! ひょうかは繊細なんだからそんな目で睨んじゃだめかも!」

一方通行「睨ンでねェよ。ただ目ェ合わせただけだろォが」

禁書「もっと表情を柔らかくした方がいいと思うんだよ。それじゃあみんな怖がって近寄ってくれなくなるかも」

上条「たしかにそうだよな。俺たちはいいけど、未だに一方通行のこと警戒してるクラスメイトとか結構いるしな」

一方通行「チッ、どォでもイインだよ。別に関わらなくても問題はねェだろォが」

禁書「人との繋がりがあるってことは大事なことなんだよ」

一方通行「うるせェよクソシスターが」

禁書「もう。またそんな威圧的な言葉遣いをして」

一方通行「ほっとけ」

風斬「…………、え、えっと」オロオロ

一方通行「……まァ、イイ。オイ」

風斬「!? あ、はい!」



一方通行「久しぶりじゃねェか……風斬」

風斬「…………、はい!」



―――
――



598: 2013/06/15(土) 23:02:35.57 ID:JRUIOP3Go

中途半端ですが今回はここまで
ここまで見てくださった皆さんありがとうございました

あと一、二回の投下で前日は終わると思います
問題は当日のことなんだがな……

というか打ち止めの使う二人称&三人称が安定しないなww
だからここで統一しとくわ

男→苗字呼び捨て

女(年下、同年代)→名前呼び捨て
女(年上)→名前プラスお姉ちゃん
※ただしババァはのぞ……おっとこんな時間に来客か?

ではではノシ

599: 2013/06/15(土) 23:05:59.32 ID:LP7RQNFa0
乙ー!!!
常識に囚われないあわきんの解体クッキングにはまいったなぁwwwwww

結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【4】

引用: 結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」