1: 2024/03/25(月) 23:19:18 ID:wWgBixbc00
・スレタイのMPはみらくらぱーく!のことです。字数制限のため略すことになりました

・以前書いたCB(スリーズブーケ)編、DC(DOLLCHESTRA)編とリンクした話です

・3ユニットで同時進行している話をみらくらぱーく!の視点から描く、というコンセプトのため単体では不可解な描写があるかもしれません

・作中のラップにこちらのサイトで音声化したものを添えていきます。
https://www.suno.ai

サンプル(スリーズブーケ編より)

https://cdn1.suno.ai/0bf4a86c-5b22-4a41-9363-2ac2a33631c9.mp4

2: 2024/03/25(月) 23:20:09 ID:wWgBixbc00

4: 2024/03/25(月) 23:26:17 ID:wWgBixbc00
瑠璃乃「なんだろうこれ、2本あるけど」

慈「マイク、マイクか…」

瑠璃乃「どうかな?これだったら」

慈「うーん…マイクね…適当に戻しといて」

瑠璃乃「あはは、わかりやすくどうでもいい感じに対応するね~」

慈「さすがにマイクじゃねー」

瑠璃乃「やっぱりお宝なんて見つからないんじゃないかな」

5: 2024/03/25(月) 23:28:24 ID:wWgBixbc00
瑠璃乃「いい加減そろそろまじめに片付けをするべきだとルリ思う。ゆえにルリあり」

慈「梢は士気を高めたいわけでしょ?だったら、ちまちまと片付けなくてもでっかいお宝の一つでも見つければ万事解決ってわけ」

慈「ま、使えるかどうかの確認くらいはしとくか」


瑠璃乃(話はちょっち前にさかのぼる)

瑠璃乃(梢先輩がラブライブ!に向けて部員総出で大倉庫の片付けをしようと言い出したのだ)

6: 2024/03/25(月) 23:31:08 ID:wWgBixbc00
瑠璃乃(で、始まるなりめぐちゃんはルリを連れて物陰に行き)

『ふふふ…私には名案があるのだよ!』

『名付けて、みらくらお宝ゲット作戦』

瑠璃乃(などど部長様の指示をガン無視した宝探しを提案してきた)

瑠璃乃(で、ルリはわかった)

瑠璃乃(あ…めぐちゃんサボりたいんだなって)

瑠璃乃(まあ、でさ…ルリは幼馴染としてバシッと言ってやったわけさ)


『いいね!のったよ!』

7: 2024/03/25(月) 23:32:12 ID:wWgBixbc00
瑠璃乃(まあ…怒られるかな?とか思ったよ)

瑠璃乃(梢先輩に見つかったらアウトだよなって思った)

瑠璃乃(でも、そゆとこあるじゃん?幼馴染って)


慈「んー、これまだ使えるかな?」ヒューン

慈「お、電源は入るみたいだね」

8: 2024/03/25(月) 23:41:20 ID:wWgBixbc00
瑠璃乃「め、めぐ…ちゃん?」

慈「るりちゃんこのマイク使えるみた…」

慈「……どしたの?」

瑠璃乃「めぐちゃん…それ」

慈「ん?」

慈「なんじゃ、こりゃあああ?」

瑠璃乃(驚くのも無理はない)

瑠璃乃(めぐちゃんの後ろにあったのは…)

9: 2024/03/25(月) 23:43:27 ID:wWgBixbc00
( ̄(工) ̄)ノ🎙クマー

瑠璃乃(でっかいテディベア…なんか、マイク持ってるぞ)

🔈\( ̄(工) ̄)ノ🎙💡

瑠璃乃(あ、違うわ放送機材一式装備してる)


慈「なんなの?これ?」

瑠璃乃「ん?なんかマイク入ってた箱に書いてあるや」

慈「えっと…『スクールアイドルラップバトル』?」

10: 2024/03/25(月) 23:53:45 ID:wWgBixbc00
慈「ラップ、ラップかぁ…前に企画でちょっとやったからできなくはないけど」

瑠璃乃「おお!めぐちゃん経験者!」

慈「見たいかい?めぐちゃんの超絶ぷりちーなイケイケラップを」

瑠璃乃「なんと!いいのかい?」

♪~~

瑠璃乃「おお!演奏機能付きと来た」

慈「じゃあ、いっくよー!めぐちゃんの本気、とくと味わうのだ!」

11: 2024/03/26(火) 08:38:32 ID:1lVsWu5oSp
【慈】
yo-yo!相棒、大沢瑠璃乃
もうチョー愛嬌超過だ罪ぞ
気持ちがくるくる狂う揺さぶる!
かわいさ余ってマジむかつく

キミが私の隣(ここ)にいること
相棒志望の理由問おう
本音を出しなよめぐちゃんマジ謎
はぐらかすのは絶対無しだぞ

https://app.suno.ai/song/1665b406-a908-44fa-95db-18e293debab8/

12: 2024/03/26(火) 08:55:01 ID:1lVsWu5oSp
慈「どうだ!」

瑠璃乃「やるね、さすがめぐちゃん!」

瑠璃乃(と、その時だった)

パアアアアアアアア!

瑠璃乃(ルリの体を白い光が包み込んだ)

慈「るりちゃん!?」

瑠璃乃「おお!なんかすげー愛を受け取っちまったぜ!」

瑠璃乃「今ならなんだってできそうな、無敵感に溢れているよ」

13: 2024/03/26(火) 20:44:49 ID:12qzzkUA00
瑠璃乃「…だったら、ルリはそれに答えねばなるまい」

慈「まさか…」

瑠璃乃「マイクは2本ある…ならば!」ヒューン!

グオオオオオオオオ!

瑠璃乃「おお!なんか、なんか出そう!」

⚾️🏏🔋🎣⚾️ドジャーン!

瑠璃乃「電池!?と、ボール?」

慈「それと…釣竿に、バット?」

14: 2024/03/26(火) 20:45:44 ID:12qzzkUA00
ヒューーーン

瑠璃乃「一箇所に集まって…まさか…」

ガシャーーーン

瑠璃乃「合体したああああ!」

慈「ふふっ…やるじゃあないか。るりちゃんも」

瑠璃乃「よっしゃー!この勢いでいくよ」

瑠璃乃「受け取りな!ルリのアンサーを!」

15: 2024/03/27(水) 18:19:39 ID:zay4Rf9cSp
【瑠璃乃】
知るかそんなん、もう説明とか困難
めぐちゃんが可愛すぎるのが発端
マジでついてる幼馴染ガチャUR
それ以外に語る理由ある?

めぐちゃんはルリの理想の天使
常にある頂点に不動の点P
声、姿、仕草全部キューティー
ほらよ、これにてQ.E.D

https://app.suno.ai/song/fd5f71fc-c9b8-4197-a917-61538b7710d7/

16: 2024/03/27(水) 18:22:18 ID:zay4Rf9cSp
瑠璃乃「おりゃー!」

瑠璃乃(ピンク色の光が、めぐちゃんに降り注ぐ)

慈「お、おおおおお!」

慈「こいつはすごい!みなぎる!みなぎるよ!」

瑠璃乃「へへっ、受け取ってくれた?ルリのアンサー」

慈「おうよ」

瑠璃乃「めぐちゃん」グッ!

慈「るりちゃん」グッ!

17: 2024/03/27(水) 18:23:59 ID:LGaQW2WcSp
瑠璃乃「こいつはひょっとすると」

慈「見つけちゃったかもね。とんでもないお宝を」

慈「さっそく梢たちに見せびら…報告しにいこう!」

瑠璃乃「れっつごー!」


瑠璃乃(てなわけで、梢先輩たちのところに戻ってきたわけなのだが)

瑠璃乃(当のこずセンたちが何やってたかというと………)

18: 2024/03/27(水) 18:27:50 ID:pMqCd4eQSp
梢「待ってちょうだい!!」

梢「ちょうどいいわ。さやかさん、わたくしとラップバトルしましょう」

さやか「何がちょうどいいのか不明ですが…ラップバトル?…しかも、私とですか?」

梢「なんとなく、この中では一番あなたが適任な気がするの」

梢「花帆さんを危険な目には合わせたくないし、綴理は言葉のセンスがアレだし」

花帆「ラップバトルで危険ってなに!?」

綴理「んー、アレ…とは?」

梢「さあ、やるの?やらないの?」

19: 2024/03/28(木) 08:24:53 ID:siIWomeoSp
瑠璃乃「めぐちゃん…あれ」

慈「マイクが…まだあっただと…?」

瑠璃乃「あ、気にするのそこなんだ」

瑠璃乃「どうする?ルリたちも行く?」

慈「ま、待て、今慌てて入っても…落ち着こう!落ち着いて見極めるんだ、状況を」

瑠璃乃(ま、いっか。下手に首突っ込むと危なそうな香りがビンビンしてるし)

20: 2024/03/28(木) 08:25:34 ID:siIWomeoSp
梢「では、いくわよ!」

バッシャアアアアアン!


瑠璃乃(………)


さやか「ここからいなくなれえええええ!」

ドゥグォオオオオオオオオン!!

梢「きゃあああああああっ!!」

21: 2024/03/28(木) 08:26:56 ID:jK3ojcpMSp
瑠璃乃(あれ?なんか…)

瑠璃乃(ヤバくね!?ご両人ともかなり殺意高めじゃね!?)

瑠璃乃(てか、もしやあのマイクって本来はこういう使い方をするものなのか?)

瑠璃乃「………」チラ

慈「あわわ…あわわわわ…」プルプル

瑠璃乃(めぐちゃんが、産まれたばかりの子鹿のごとく震えてやがる!)

瑠璃乃(無理もない、めぐちゃんはこう見えてかなりのびびりさんだ!)

瑠璃乃(今、めぐちゃんの脳内は下手に介入してあれが自分に向かって来ることへの恐怖で支配されている)

瑠璃乃「こうなったら…」

22: 2024/03/28(木) 08:28:12 ID:KB1X0BO.Sp
瑠璃乃「めぐちゃん!」

慈「甘かったんだ…甘々なのは私の方だったんだ…」

慈「はは…そうだ、そうだよ…私なんかあの二人にかかったら通販の段ボールに入ってるプチプチみたいに潰されちゃうんだ」

瑠璃乃「めぐちゃん!しっかりして!戦う前から負けてどうするの!逃げるな戦えだよ!」

慈「ルリちゃん、来世でも幼馴染になろうね」

瑠璃乃「諦めないで!まだ今世でも幼馴染が残ってるから!」

瑠璃乃「だ、大丈夫だよ。さっきのめぐちゃんのラップ最強だったもん!それにルリもいるから!みらくらぱーく無敵だから!」

23: 2024/03/28(木) 08:29:15 ID:KB1X0BO.Sp
慈「そ…そうだよね!」

瑠璃乃「めぐちゃんは可愛い!強い!最強!」

慈「そうだ…私は可愛い!私は強い!私は最強!私は可愛い!私は強い!私は最強!私は可愛い!私は強い!私は最強!私は可愛い!私は強い!私は最強!私は可愛い!私は強い!私は最強!」

慈「よっしゃ元気出た!藤島慈、最強!」

瑠璃乃「ルリも最強!」

慈「みらくらぱーく!」

瑠璃乃「ふぁいとー」

瑠璃乃&慈「「おー!!」」

24: 2024/03/28(木) 08:35:05 ID:JLc7iN02Sp
瑠璃乃「じゃあ!行こうか!」

慈「待て待て待て」

慈「ただ飛び込むんじゃ芸がないと思わない?」

瑠璃乃「たしかに!」

慈「というわけで、突撃にあたって作戦を展開します」

瑠璃乃「作戦?」

慈「あの二人が一斉に私たちを攻撃するのは避けたいんだよね…なので」

25: 2024/03/28(木) 08:35:40 ID:JLc7iN02Sp
ゴニョゴニョゴニョ…

瑠璃乃「ふんふん…」

瑠璃乃「おお!なるほど!」

慈「この展開なら私たちみらくらぱーく!が」

瑠璃乃「勝てる…かもしれない」

慈「しゃあ!いくぞおらー!」

瑠璃乃「みらくらなめんなおらー!」

26: 2024/03/28(木) 08:36:32 ID:JLc7iN02Sp
瑠璃乃「ちょおおおおおっとまったああああ」

慈「そこぉ!4人でいい感じのストーリーを展開するなあああ」


花帆「この声…!」

梢「誰!?いったい誰なの!?」

綴理「あれは誰だー?」

さやか「この状況で乱入してくる二人なんてわかりきってると思うのですが?声でわかりますし」

27: 2024/03/28(木) 08:37:23 ID:JLc7iN02Sp
瑠璃乃(うんうん、いい反応だ)

瑠璃乃(四者四様に注目してくれてる)

瑠璃乃(めぐちゃんとアイコンタクト、いける!感触はばっちりだ)

慈「なにやら騒がしいので駆けつけてみれば…めぐちゃんたちを退けものにしてラップバトル」

瑠璃乃「ラップ本場のアッメーリカからきたルリ抜きのラップバトルなんてありえねっすよ」


花帆「み、みらくらぱーくっ!?」

梢「どうやら、強敵の登場のようね」

28: 2024/03/28(木) 18:24:42 ID:ib9YGStw00
さや「…………」

綴理「さや、どうしたの?」

さやか「いえ…あまりにも予想通りなので」

瑠璃乃「まったくもう、こういうのはちゃんとホウレンソウしようよ」

慈「ホーレンソー!ホーレンソー!」

梢「そうは言ってもね…」

さやか「できればお二人にはそのまま片付けを続行していただきたいので、回れ右でお願いします」

慈「こいつら、私たちを除け者にすることにためらいがない!」

29: 2024/03/28(木) 18:25:12 ID:ib9YGStw00
瑠璃乃「こうなったら、めぐちゃん」

慈「出すしかないね、私たちの秘密兵器を!」

瑠璃乃「やっちまおうぜ相棒っ!」

慈「しかと見よ、これがみらくらぱーく!の切り札だ!」

瑠璃乃(さあ、決めるぜ…)

慈「じゃーーん!」

瑠璃乃「このマイクが目に入らぬか!」

30: 2024/03/28(木) 18:26:23 ID:HpBi9gtMSp
花帆「はあ…」

さやか「なるほど」

慈「そう…私たちも持っていたのだよ、マイクを!名付けて…」

瑠璃乃「み゛~ら゛~く゛~ら゛~マ゛イ゛ク゛~~~~」


花帆「まだ、あったんだね」

さやか「…まあ、4本あった時点でそんな気はしてました」

綴理「これでみんなお揃いだね」

梢「それで、瑠璃乃さんはなぜそんなダミ声を出しているの?」

31: 2024/03/29(金) 08:27:59 ID:GaayAD3QSp
慈「反応が薄いぞ!もっと驚くとこだろ」

瑠璃乃「登場タイミング…遅かったかもね…」

梢「要するにあなたたちもマイクを見つけたからバトルに入れろと、そういうことでいいのかしら?」

瑠璃乃「そうなのですよ!」

瑠璃乃「いくよっ!めぐちゃん!ともに敵をぶっ飛ばそうぜ!」

慈「ん~それは無理じゃないかと」

32: 2024/03/29(金) 08:30:30 ID:GaayAD3QSp
瑠璃乃「な゛ん゛で゛!?」

瑠璃乃(…なんてね。これはめぐちゃんのお勉強には適さないが悪知恵はピカイチの頭脳が導き出した作戦なのだ)

慈「いや、だって既に2対2でバトってるんだから、分かれて1人ずつでしょ流れ的には」

瑠璃乃「ルリとめぐちゃんはユニットなのに?てか、一緒に登場したよね?」

瑠璃乃(先にルリたちがチーム分けに言及し)

瑠璃乃(綴理先輩とさやかちゃんを分断、両方にみらくらぱーく!が付く組み合わせに持っていく)

34: 2024/03/29(金) 21:58:46 ID:XfgP2r4Q00
瑠璃乃(そして、なんかこう…うまいことやって、梢先輩とさやかちゃんを各個撃破して…あとは綴理先輩と花帆ちゃんを撃破)

瑠璃乃(これにてみらくらぱーく!大勝利!)

梢「それを言ったらスリーズブーケもDOLLCHESTRAも分かれているのだけれど」

さやか「ですが、たしかにユニットごとにわけて三つ巴の方がいいかもしれません。私としても綴理先輩に攻撃はしたくありませんし」

梢「先ほど思い切りわたくしに攻撃をしていた人が言うセリフではないと思うのだれど…」

瑠璃乃(ぐっ、さやかちゃん…ここでルリに寄り添ってくれるか、一周回ってなかなかの強敵だぜ)

35: 2024/03/29(金) 21:59:36 ID:XfgP2r4Q00
花帆「はは…困りましたねー」

綴理「困った、困った」


ゴゴゴゴゴ…


花帆「何?この音?」

沙知「うわあああっ!」

梢「沙知先輩!?」

36: 2024/03/29(金) 22:00:31 ID:XfgP2r4Q00
さやか「なぜ沙知先輩がここに?」

沙知「話は後だよ。それよりあれを」

花帆「あれ?…って」

ンゴオオオオオオ!!!

花帆「なに……あれ」

さやか「なんですかね…あれ」

37: 2024/03/29(金) 22:01:04 ID:XfgP2r4Q00
瑠璃乃「なんかでっかくてまっくろでどろどろうねうねで気持ち悪いのがこっちくる?」

慈「あー、めぐちゃんああいう系統はダメかも」

沙知「早く逃げろ!こいつは、あんたらが束になっても勝てない」

梢「逃げろと言われても」

綴理「どこに?」

沙知「どこでもいい早く…」

38: 2024/03/29(金) 22:05:20 ID:XfgP2r4Q00
…………

…………………

…………………………


瑠璃乃「…うぇ…ううう…」

瑠璃乃「はっ!」

瑠璃乃「ここは?てかめぐちゃんは?みんなは?」

慈「うにゃ……めぐちゃんはここだぞぉ」

瑠璃乃「めぐちゃ…!ん?」

39: 2024/03/29(金) 22:06:06 ID:XfgP2r4Q00
慈「梢ぇ…カンニングはダメだぞぉ…ちゃんと勉強してめぐちゃんみたいに100点取るんだぞ」

慈「そうだぞぉ…めぐちゃんはやれば…できるのだ」

瑠璃乃「めぐちゃん!起きてめぐちゃん!」

慈「綴理…それは食べ物じゃないから…」

慈「よーしよし…めぐちゃんがお菓子あげよう」

瑠璃乃「めーぐちゃーん!おーきーて!おーきーろ!」

慈「よかろう…二人とも私の子分になるのだぁ…」

40: 2024/03/29(金) 22:06:52 ID:XfgP2r4Q00
瑠璃乃(こんな状況でも、夢の中でもマウントを取ることに余念がない…まったく恐ろしいまでの負けず嫌いさんだよ)

瑠璃乃(いい夢見てるみたいだし、しばらくこのまま…)

瑠璃乃「いやいや!非常事態だし!こうなったら…」

こちょこちょこちょこちょ

慈「ぐ…ぷぷ」

慈「あははははは…ちょっ!るりちゃんやめ…」

瑠璃乃「おらおらおら~」

41: 2024/03/29(金) 22:07:25 ID:XfgP2r4Q00
慈「やめ…もう、起きたから!起きたから!」

瑠璃乃「おらおらおらおらおらぁ!」

慈「いやああ!ルリちゃんが怖いいいいい!」

……………
………………………

慈「ぜい…ぜい……はぁはぁ」

瑠璃乃「ごめんなさい。やりすぎました…」

42: 2024/03/30(土) 21:31:21 ID:cZpcqufYSp
慈「本当に天使になるかと思ったからね!天に召されるかと思ったからね!」

瑠璃乃「はい…申し訳ありませんです」

慈「で、何があったの?ここは…えっと、美術室?」

瑠璃乃「ビジュツシツ?」

慈「絵描いたり彫刻作ったりする系の子が作品作るとこ。るりちゃんはまだ1年だし途中からだから来たことないのか」

慈「んー、大倉庫からは結構あるんだけどな。何がどうなってここに来たんだろ」

瑠璃乃「ルリにはなんとも言えないっすよ」

43: 2024/03/30(土) 21:32:06 ID:cZpcqufYSp
慈「ま、とにかく今できることをやろう」

瑠璃乃「と、いうと?」

慈「物資の補給だよ。まずは適当な袋を2つっと…これでいいかな?」

瑠璃乃「およ?どうするの?」

慈「これに役立ちそうなものとか食べ物とか入れていくんだよ」

瑠璃乃「おお!めぐちゃんサバイバー!」

慈「前に番組の企画で教えてもらったんだ。伊達にタレントはやってないのだよ」

44: 2024/03/30(土) 21:32:47 ID:cZpcqufYSp
慈「まずはここにあるガムテープと、彫刻刀と…あ、この先もなんか見つけたら入れられるように空きは残しといてね」

瑠璃乃「りょーかい!」

瑠璃乃(二人で役立ちそうなものを袋に入れていく)

瑠璃乃(なんだかんだやはりめぐちゃんは頼りになるね!)

慈「ふぅ、こんな感じかな?」

瑠璃乃「で、ここからはどうするの?」

慈「人が集まってそうなところに行こうかな。ここからだと体育館だね」

「見つけたで~!ご主人のオリジナルちゃん!」

45: 2024/03/31(日) 09:26:14 ID:/ZBI4/a600
②藤島慈
~ふざけてませんよ大シリアス
 みらくらぱーく!大地に立つ~

慈「あれ?なんか聞こえた」

「ワイに見つかった不運を呪うんやなぁ~」

慈(気のせい、じゃないよね)

「さあ、覚悟せいやぁ~~」

瑠璃乃「あ、あれ見て!」

慈「な、ん?んんんんん?」

46: 2024/03/31(日) 09:39:58 ID:/ZBI4/a600
???「ワイが…いてこましたるわああああ!」

no title

47: 2024/03/31(日) 09:43:38 ID:/ZBI4/a600
慈「…………」

瑠璃乃「……………」

慈(えっと…あれは…犬?しかもなんか絶妙にぶちゃい)

???「なんや、恐怖で声も出せんか」

???「無理もない、ワイは…」

瑠璃乃「うおおおおおおおおお!?しゃべったあああああああ!」

慈「あれってアレだよね?るりちゃんがよく描いてる」

瑠璃乃「チャウチャウ!でっかいチャウチャウだ!」

48: 2024/03/31(日) 20:07:11 ID:/ZBI4/a600
???「ちゃーーーーーう!!」

瑠璃乃「おおお!!」

???「ワイはチャウチャウちゃう!」

???「聞いて驚け!ワイはブラックめぐちゃん四天王の一角…」

チャウチャウ=チャウ「"大地を這う狂犬"こと『チャウチャウ=チャウ』さんや!」

慈「………」

瑠璃乃「………」

チャウ「ま、言葉を失うわな。いきなりの四天王登場や!」

49: 2024/03/31(日) 20:08:05 ID:/ZBI4/a600
瑠璃乃「やっぱりチャウチャウだあああ!」

瑠璃乃「もふもふだよ!もふもふしてるよめぐちゃん!」

慈「だねー、よかったねーるりちゃん」

チャウ「話を聞けええええ!」

瑠璃乃「しかもしゃべる!しゃべるチャウチャウだよ!」

慈「うんうん、かしこいチャウチャウちゃんだねー」

50: 2024/03/31(日) 20:09:37 ID:/ZBI4/a600
チャウ「こうなったら…体に教えるしかないようやな」

チャウ「これが、ワイの…力やあああ!」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「およ?」

慈「るりちゃん!足元!」

瑠璃乃「足元?…ってはぁ!?」

瑠璃乃「なんか…ルリの足元がうねうねしてる?」

51: 2024/04/01(月) 09:51:32 ID:d.hlrEb6Sp
チャウ「ワイはあらゆる地面を操作できるんやで!それが土だろうと、コンクリートだろうと…」

チャウ「キミらの足元めっちゃ柔らかくしといたんで、このままじゃ動き取れんくなるなぁ」

瑠璃乃「やべ、足がどんどん埋まって…」

慈「このままじゃ…」

慈(動け!動け!一刻も早く、手遅れになる前に)

慈(美術室のテーブルによじ登ってロープをるりちゃんに投げる)

52: 2024/04/02(火) 08:31:18 ID:4T.w4aiASp
慈「るりちゃんつかまって!」

瑠璃乃「おっけー!」

慈「まさか、こんなに早く色々集めてたのが役立つなんてね」

慈「あとはこっちを適当に頑丈そうなところに縛ってと」

慈(この結び方なら…ちょっとやそっとじゃびくともしないはず)

慈(沙知先輩に嫌ってほど会場設営鍛えられてて良かった)

慈「るりちゃーん、自力でこれそう?」

53: 2024/04/02(火) 08:31:56 ID:4T.w4aiASp
瑠璃乃「おおっ!めぐちゃんマジサバイバー」

チャウ「ほう…その手際なかなかやるやん」

慈「地頭いいのがめぐちゃんのセールスポイントだからね」

慈「ま、私も机ごと沈んでるから時間稼ぎにしかならないんだけどさ…」ヒューン

慈「時間稼ぎで充分だよね」

54: 2024/04/02(火) 18:22:59 ID:5nhcx7goSp
【慈】
こちとら人間そちらは珍犬
パワーバランスは言ワンでもいいね👍
わんこは人語を喋らんよ
黙らんでもいいけどたまらんよ

わんちゃんの反抗、ワンチャンの犯行
じゃんじゃんと断行、めぐちゃんのBANコール
押し付けないよしつけのおすわり
だけどお願い、地に伏せろ即座に
https://app.suno.ai/song/dc6e8366-2273-4c77-954d-7146b273ae06

55: 2024/04/02(火) 18:26:50 ID:5nhcx7goSp
慈「ほーれ、這いつくばれー!」

チャウ「ぎゃああふん!」ベチャ

慈「見たか!めぐちゃんのサイキョーパワー」

瑠璃乃「よいしょっと!」

慈「るりちゃんナイスタイミング!」

チャウ「ぐ…くふっ…」

チャウ「逃さん、逃さんで…ゔゔゔ」

ヴォオオオオオオオオオン!

56: 2024/04/02(火) 18:41:54 ID:wMxM3GXISp
慈「ひっ!」

瑠璃乃「吠えた!しかもものすっごい声で」

チャウ「こうなったら…ワイの真の姿を見せるしかないようやな」

チャウ「先に言っとくが…この姿になったらワイ自身にも、どうなるかわからん…うおおおおおおおおお!!」

ピカーーーーーン!

瑠璃乃「うおっ!まぶしい!」

チャウ「これでジエンド…ワイの真の姿お披露目や!」

57: 2024/04/02(火) 18:46:58 ID:7gLh6pBMSp
チャウ「覚悟の準備せいやあああ!!」ドーーーーン!!

no title

58: 2024/04/02(火) 18:49:54 ID:EEsMtNE200
慈「なんか変わった?」

瑠璃乃「サングラスと蝶ネクタイ付けただけだよね」

チャウ「まったく、近頃の女子高生は見た目でしかものを判断しない、嘆かわしいのう」

チャウ「…普段の倍の速度とパワー味わえや」

ドドドドドドドド!!

慈「めっちゃ突っ込んできた!」

瑠璃乃「どうすんだめぐちゃん!」

慈「逃げる!逃げるんだよ!」

59: 2024/04/02(火) 18:58:21 ID:vQYw81V2Sp
瑠璃乃「って、地面まだ柔らかいままだし!」

チャウ「当然やろ!ワイ渾身の危険タックルをくらえや!」

ドドドド!

ドドド…ド…ド!ド!ド!

瑠璃乃「あれ?なんか…」

ド!ド!…ド!

……テクテク

チャウ「はぁ…はぁ…まって…しんどい」

60: 2024/04/02(火) 19:00:58 ID:q6syV5ncSp
瑠璃乃「いきなり超減速!」

慈「持久力が悲しいくらい無い!」

瑠璃乃「しかも、普段の倍がそれほど速くなかった!言っていいかわかんないけど!」

チャウ「倍…言うても…元が…げほっ!」

チャウ「元、やし…な…」ポテッ

チャウ「う…うう…気持ち悪……」ズリズリ

瑠璃乃「吐きそうになりながら地面を這ってる…」

慈「ああ、だから"大地を這う狂犬"なんだ…」

61: 2024/04/03(水) 08:39:23 ID:wVULDOPQSp
チャウ「待って……いかないで……置いていかないで……」

瑠璃乃「綴理先輩みたいなこと言い始めた」

慈「今のうちに体育館行くよ!」

瑠璃乃「お…お?おう!」


慈(そんなこんなで体育館に急いでるわけなのだが)

62: 2024/04/03(水) 08:52:53 ID:RnbofQhMSp
瑠璃乃「ねぇ…めぐちゃん?」

慈「ん?」

瑠璃乃「言って良かったの?ルリたちが体育館行くこと」

慈「あー、そこね。オケオケ!」

慈「我に秘策ありなのさ!芸能活動とゲームとスクールアイドルで培っためぐちゃんの頭脳プレイを見せてあげるよ」

瑠璃乃「おお!さすめぐが留まるところを知らない」

63: 2024/04/03(水) 22:41:32 ID:HJ4gh16c00
~数分後・体育館入り口~

瑠璃乃「ね…ねえ、めぐちゃん…本当にやるの?」

慈「るりちゃん…人にはやらねばならぬ時があるのだよ」

慈「頼んだよ。ベストタイミングで」

瑠璃乃「……おけ」


ザッザッザッ!

チャウ「ふぅ!ふぅ…追いついたで!」

チャウ「と、おおおおおおっ!!!」

64: 2024/04/03(水) 22:48:10 ID:HJ4gh16c00
慈(やっぱり、反応したか)

慈(そりゃそうだ…体育館入ってすぐに制服女子高生が2人倒れているんだから)

慈(それ、私たちのことなんだけどね)

チャウ「いっっただきまあああああす!!」

慈(ほのかな工口に理性を失ってルパンダイブを敢行する工口チャウチャウの魔の手が私たちにせま…)

慈「させるかあああい!」

瑠璃乃「せいやあああ!」

65: 2024/04/03(水) 22:50:34 ID:HJ4gh16c00
慈(絶妙のタイミングで同時にロープを引く、すると)

バサササササッ!

慈(変態チャウチャウの頭上からバレーボールのネットが降り注いだ)

チャウ「のあああっ!?」

チャウ「は?なんやこれ!動けな、動けん!」

慈(そりゃそうだ!ただのネットじゃあない…あちこちにガムテープをぺたぺたした超粘着力アップネットなのだ)

チャウ「いやああ!ワイのフサフサ毛量たっぷりの体に!見るものを魅力してやまないもふもふボデーに!ガムテープがジャストフィットして離してくれへん!」

66: 2024/04/03(水) 22:57:03 ID:HJ4gh16c00
慈「黙れや、性欲の権化」

慈「ちょっと剥がすか、ガムテープ」ベリベリ

チャウ「やめ、剥がさないで!いや!痛い!あ、でも逆にアリ!剥がして!もっと貼って剥がしてください!」

瑠璃乃「めぐちゃん、そろそろやめたげて…動物虐待?みたいになってるし」

慈「そうだね。なんか逆に喜んでるし」

慈「とはいえ…念には念をいれたいし、ガムテでぐるぐる巻きにしとくか」

瑠璃乃「あはは、ごめんねチャウチャウ=チャウさん」

67: 2024/04/03(水) 22:59:31 ID:HJ4gh16c00
………

………………


慈「さてと、このクッソむかつく犬っころの動きは封じたわけなんだけど」

慈「聞きたいことあるんで、洗いざらい話してもらうよ」

チャウ「ふふ…ワイは誇り高き四天王やで?そんな簡単にゲロるかいな」

慈「えい!必殺顔面ガムテ剥がし!」

チャウ「いやああああ!顔はやめて!」

68: 2024/04/03(水) 23:00:50 ID:HJ4gh16c00
慈「まだガムテのストックは存分にある、この意味がわかるよね?」

チャウ「話します。なんでも聞いてくださいな」

瑠璃乃「あー、すっかり大人しくなっちゃって…よしよし」

慈「まず、ここはどこ?」

チャウ「どこも何も蓮ノ空女学院ですがな。キミらの通ってる学校の」

慈「私とるりちゃん以外は誰もいないみたいだけど?」

チャウ「ま、並行世界?みたいなもんやな」

69: 2024/04/03(水) 23:02:29 ID:HJ4gh16c00
慈「並行世界に私たち二人だけが来ちゃった的な?」

チャウ「あー、そこはちょっと違うというか…キミら二人以外にも四人?ほど来たみたいやね」

慈「四人?…それって」

瑠璃乃「花帆ちゃん、さやかちゃん、梢先輩、綴理先輩…で四人?」

チャウ「どうやろうなー?ようわからんわ」

慈「まあ、いいや。次なんだけど、さっきの…えっとブラック…なんだっけ?」

チャウ「ブラックめぐちゃん四天王のことか?」

慈「そうそう」

70: 2024/04/04(木) 22:26:56 ID:P4YT6Hoo00
チャウ「ブラックめぐちゃん四天王はブラックめぐちゃん帝国の魔王、ブラックめぐちゃんに精鋭として選ばれし4体の魔物や」

瑠璃乃「その、ブラックめぐちゃんというのは」

チャウ「あー、なんかここでは人の想いやら感情やらから別の自分が生まれることがあってな」

チャウ「そんな感じで慈ちゃんから生まれた別の慈ちゃんがブラックめぐちゃんや」

チャウ「正式名称はシャドウとかいうらしいんやけど、ブラックめぐちゃんの方がかっこいいからってそう名乗ってるらしいんや」

瑠璃乃「いうほどカッコいいその名前?…めぐちゃんっぽくはあるんだけど」

チャウ「ワイからはノーコメントや」

慈「遠回しに私のセンスをぼろくそに言うなぁ!」

71: 2024/04/04(木) 22:28:21 ID:P4YT6Hoo00
チャウ「じゃあそろそろ…」

チャウ「さいならやああ!」ゴロゴロゴロ

瑠璃乃「うわ!ネットごと転がっていった」

慈「追うよ、るりちゃん!」

瑠璃乃(そんなこんなで立場を逆転させたるりたちとチャウチャウの追いかけっこがまた始まったのだ)


慈(……かと思いきや)

ゴロゴロゴロゴロ

チャウ「あ!待って痛い!ガムテープが剥がれる!転がると剥がれて痛い!」

チャウ「ストップ!ストオオオオップ!」

72: 2024/04/05(金) 08:53:16 ID:PGDkPaA2Sp
チャウ「はぁ…はぁ…なんて、なんて狡猾な罠を」

慈(勝手にダメージを受けて止まった)

瑠璃乃「まてー!チャウチャウ!」

チャウ「ぜえ…ぜえ…ふふふ…」

チャウ「ふふ….ふふふ…まさかワイに追いつくとはな」

慈「いや、見失う方が難しい存在感で転がってたし、てか何もしてないのに止まったし」

瑠璃乃「まあ、そこに関してはやや心が痛まないでもない」

チャウ「その力に免じて、大地の鍵は渡してやるで、ほらよっと!」

73: 2024/04/05(金) 08:54:55 ID:PGDkPaA2Sp
ピキーン!

慈「うわ、なんか空中に現れた」

瑠璃乃「なんだこれ…大地の鍵?」

チャウ「使い方はいずれわかる。でな、残念なお知らせや!」

慈「えっと、なに?」

チャウ「まず一つ目、ワイは四天王の中でも最弱なんや!」

慈「でしょうね。何の意外性もないよ」

瑠璃乃「あははー、キャラは濃いんだけどね」

74: 2024/04/05(金) 08:55:39 ID:PGDkPaA2Sp
チャウ「そして、残念なお知らせその2や!」

チャウ「ワイの役目は、ワイの力であんたら二人を真の戦いの舞台にご招待することやったんやな!これが!」

慈「真の戦いの」

瑠璃乃「舞台?」

チャウ「ほいやさー、2名様ご招待!」

カパッ

慈「地面が…開いた?」

75: 2024/04/05(金) 19:49:15 ID:fU.FWzTYSp
瑠璃乃「おおおお、落とし穴!」

慈(やば、落ち…)

慈「イヤアアアアアアアアアア」

瑠璃乃「ギャア゛ア゛ア゛アアアアアアアア!」



チャウ「達者でな。いい夢みろよ」

76: 2024/04/05(金) 19:50:02 ID:fU.FWzTYSp
………

………………

慈「あい…たたた」

瑠璃乃「見事にやられましたな」

慈「あー、わけわかんない…」

瑠璃乃「えっと、ルリたち落とされたんだよね…ここどこ?」

慈「うちの学校に地下なんかあったっけ?…って」

慈「なんですか……こりゃ」

77: 2024/04/05(金) 19:51:08 ID:fU.FWzTYSp
慈(私たちの目に入ってきたのは)

慈「これって、町…だよね。ゲームとかで見るやつ」

瑠璃乃「レトロなRPGのテンプレな光景だよね」

慈(ドラゴンなんちゃらとか、なんちゃファンタジーとかそういうのでよく見る、部屋数少なそうな家が並んでる…いくつかは剣とか盾の絵が描いてあるからそういうのを売ってるのかな)

慈「なんで、学校の地下にこんなものが?」

通りがかりの人「おお、あんたら上からきた人かい?」

慈「え?」

78: 2024/04/06(土) 19:24:07 ID:tcMLn2rUSp
通りがかりの人「ここはブラックめぐちゃんの支配するブラックめぐちゃん帝国町、あの大きい城がブラックめぐちゃんキャッスルだ」

通りがかりの人「四天王に挑むなら十分に準備をしてから行くといい」

慈「え、あの…今なんと」

通りがかりの人「……………」

通りがかりの人「おお、あんたら上からきた人かい?」

通りがかりの人「ここはブラックめぐちゃんの支配するブラックめぐちゃん帝国町、あの大きい城がブラックめぐちゃんキャッスルだ」

通りがかりの人「四天王に挑むなら十分に準備をしてから行くといい」

慈「ん?」

79: 2024/04/06(土) 19:24:42 ID:tcMLn2rUSp
通りがかりの人「……………」

通りがかりの人「おお、あんたら上からきた人かい?」

通りがかりの人「ここはブラックめぐちゃんの支配するブラックめぐちゃん帝国町、あの大きい城がブラックめぐちゃんキャッスルだ」

通りがかりの人「四天王に挑むなら十分に準備をしてから行くといい」

瑠璃乃「めぐちゃん、これはまさかRPG名物の!」

慈「親切だけど何度聞いても同じことしかいわない村人!?」

慈「え?こんな感じなんだ!逆に新鮮だよ!」

80: 2024/04/06(土) 19:25:25 ID:tcMLn2rUSp
通りがかりの人「……………」

通りがかりの人「おお、あんたら上からきた人かい?」

通りがかりの人「ここはブラックめぐちゃんの支配するブラックめぐちゃん帝国町、あの大きい城がブラックめぐちゃんキャッスルだ」

通りがかりの人「四天王に挑むなら十分に準備をしてから行くといい」

瑠璃乃「なんかホラーみもあるよね」

慈「わかるわかる」

慈「じゃああれか!多分村長さんあたりから情報もらえる感じ?」

瑠璃乃「そうそう、村長にね!」

81: 2024/04/06(土) 19:26:36 ID:tcMLn2rUSp
慈「あ、そういえばさ!さやかちゃんのことなんだけど」

瑠璃乃「お!村長、だけに?」

慈「あのね、この前私さ、さやかちゃんの配信のゲストだったじゃん」

瑠璃乃「うんうん見てたよ!」

瑠璃乃「めぐちゃんったら、まださやかちゃんがオープニングトークしてるのに出てきて…」

慈「あれはそういう作戦だから!って、そうじゃなくてさ」

慈「トマトさんあるじゃん?さやかちゃんの部屋に」

瑠璃乃「トマティーのこと?」

82: 2024/04/06(土) 19:27:24 ID:tcMLn2rUSp
慈「そうトマティー!あのね、あの時に聞いたんだけど…実は」

瑠璃乃「うんうん!」


『ちゃっちゃと進めろおおおおおお!!』


慈「なに今の?」

瑠璃乃「めぐちゃんの声だったけど」

近くの人A「あ、あれ見ろ!」

近くの人B「ブ、ブラックめぐちゃん様だああああ」

83: 2024/04/07(日) 17:56:18 ID:69jxNyyw00
慈(恐らくそういう役割を与えられてるだろうモブたちがみんな同じ方向を見て騒いでいる)

慈「一体何が…」


ブラックめぐちゃん『はーっはっはっは!苦しゅうないぞ愚民ども!』

慈(空に、めっちゃでっかい私が映し出されていた。あれか?あれがさっき犬っころが言ってたシャドウ慈…もといブラックめぐちゃんか?)

慈「えーっと、あれは…」

瑠璃乃「ホログラム?的なやつ?」

ブラックめぐちゃん『はい、で!私のオリジナルと今日もかわいいるりちゃん!』

84: 2024/04/07(日) 17:57:28 ID:69jxNyyw00
ブラックめぐちゃん『こういうのはさ…テンポよく進めてよ!
村長に聞いてみよう、まではさくさく行ってたよね?で、その後!』

ブラックめぐちゃん『なんで村長から村野さやか経由してトマティートークはじまってんの?』

瑠璃乃「えっと…」

ブラックめぐちゃん『トマティーの小話とか今必要?違うよね?危機感って言葉知ってます?』

慈「うわ、すっごい怒ってる」

ブラックめぐちゃん『あーっ!ていうか、いきなり出てきたから忘れてた。ちょっと待って』

ガサゴソガサゴソ

ブラックめぐちゃん『よしOK』

85: 2024/04/07(日) 18:02:15 ID:69jxNyyw00
ブラックめぐちゃん『はい、ちゅーもく!どん!』

慈(ホログラムから映像が切り替わってなにやら手書きの図が映し出された)

慈「えっと…それは地図かな?」

ブラックめぐちゃん『ごめいとう!これからキミら二人が乗り越えるべき試練を解説してあげる?のだ!』

瑠璃乃「お…おう」

ブラックめぐちゃん『ルールは実にシンプル!4つの鍵を集めてこの私、ブラックめぐちゃんの元に辿り着いて…』

ブラックめぐちゃん『私を倒せばキミらの勝ちだ!』

瑠璃乃「ってことは…この大地の鍵は…」

86: 2024/04/08(月) 12:36:31 ID:Oam2FdVwSp
ブラックめぐちゃん『なんと!すでに大地の鍵を手に入れていたか。いいぞいいぞー』

ブラックめぐちゃん『…なんてね、はいはい、もちろん知ってましたよ。さすがブラックめぐちゃん!ぱちぱちー』

慈「…ねぇ、るりちゃん」

瑠璃乃「ん?なんだい?」

慈「私って、あんな感じなの?」

瑠璃乃「あー…配信とかステージだとあんなだよね」

瑠璃乃「ルリ的にはああいうめぐちゃんもアリ」

ブラックめぐちゃん『えー、なので…あと3つなわけだね』

87: 2024/04/08(月) 12:38:53 ID:Oam2FdVwSp
ブラックめぐちゃん『なんと!あと3つの鍵の場所をここで公開しちゃうのだ』

オオオオオオオオ!

ザワザワ…ザワザワ…

ブラックめぐちゃん『うーむ、観客諸君良い反応だ』

慈(いい反応も何もやらせてるんだろとは思うが、つっこまないことにしよう)

ブラックめぐちゃん『では、発表いくよー』

\おおおおっ!?/

88: 2024/04/08(月) 18:28:01 ID:BEsHZcS6Sp
ブラックめぐちゃん『まずは猛火の鍵のありかは甲子炎(こうしえん)球場だ!地図だとここだよ』

慈(地図に赤い鍵のマークが表示された。そこにあるよってことらしい)

瑠璃乃「こうしえん?」

ブラックめぐちゃん『甲子園じゃないよー。なーんか竹林で見つかった女の子が原因で燃え上がるような試合をしてるらしいね』

ブラックめぐちゃん『ま、ブラックめぐちゃんは野球よくわかんないけど、早く行かないと大変なことになるかもね』

慈「野球か…」

慈(私もそんなに詳しくはないんだよね…早く行けって言ってるし、るりちゃんの充電あるうちに行っとくのがいいか)

89: 2024/04/08(月) 18:34:31 ID:BEsHZcS6Sp
ブラックめぐちゃん『続いて激流の鍵のありかはここ!毒光海岸だ!』

慈(今度は青い鍵のマーク…水属性か)

慈「徳光海岸?」

ブラックめぐちゃん『ノンノン、どくみつだよ。なーんか、特設会場で料理勝負?みたいなのやってるね』

ブラックめぐちゃん『でもー、あそこって名前通り海水も取れる魚も猛毒なはずなんだよなー?そんな場所で料理なんておかしいねー』

慈(料理かー、そこそこいけると思うけどあんまり得意ってほどでもないんだよな)

90: 2024/04/08(月) 20:12:23 ID:FP0bB9DE00
ブラックめぐちゃん『さあ、そんでもってラスト、暴風の鍵はここ!ハリハリメッセだ!』

慈(色は緑…名前からして明らかに風がらみの何かだよね)

慈「てか、えっと…ハリハリ?…」

ブラックめぐちゃん『もちろん幕なんちゃらじゃないよ。なーんか空気がザワザワしてるね。強風注意だ!』

ブラックめぐちゃん『実はとあるスクールアイドルがライブをするらしいんだけど、その会場が占拠されちゃったんだ』

ブラックめぐちゃん『急げって意味のハリーとハリケーンのハリをかけたナイスネーミングってわけだね』

ブラックめぐちゃん『って!あれれー、強風に加えて会場の周りが迷路になってるよ!もうライブは絶望的かな』

慈「なんかさ…むかつくね、あれ」

瑠璃乃「盛大なブーメランですな。その言葉」

91: 2024/04/09(火) 13:25:20 ID:Ynsh5OJ600
ブラックめぐちゃん『と、こんな感じで鍵を集めてもらうわけなんだが!ブラックめぐちゃんはテンポを重視してるので、タイムリミットを設けます!さあ…出てこい!』

ゴゴゴゴゴ…

慈「なんの…音?」

村人A「あ、あれは!」

村人B「なんてこと…なんてことなの」

慈(降下してきた黒い球体を見てモブたちが動揺している」

村人C「ああ!ブラックめぐちゃん様は本気なのだ!」

村人D「いやだ!氏にたくない!俺は氏にたくないぞ!」

慈「てかさ、これモブもブラックめぐちゃんとやらが動かしてんだよね?自業自得?」

瑠璃乃「そうだろうけど、正しくは自作自演かな?」

92: 2024/04/09(火) 13:26:48 ID:Ynsh5OJ600

ブラックめぐちゃん『見えてるー?その黒いのはズバリ、爆弾なのだ!』

慈「ばくだん?」

ブラックめぐちゃん『その威力はいかほどか?見よ、せーの!」

ドゴォオオオオオオオオオォン!

瑠璃乃「………えっ?」

慈「………」

慈(おちゃらけた喋りと軽いノリで油断してた)

慈(爆破という行為さえ、なんらかの冗談に思えるくらい緩んでいた)

瑠璃乃「……………っ!」

慈「るりちゃん!」

93: 2024/04/09(火) 13:27:53 ID:Ynsh5OJ600
慈(聞こえなかった。るりちゃんが何か言ってたけど)

慈「はぁ…はぁ…」

慈(さっきの場所からずいぶん飛ばされた)

慈(………町が一瞬で焼け野原に)

ブラックめぐちゃん『あー、ごめんやりすぎた?』

ブラックめぐちゃん『威力わかりやすくするためにモブは消したんだけど、そのせいでいらんダメージ与えちゃったか』

ブラックめぐちゃん『でもね、本題はここから』

ブラックめぐちゃん『なんと、さっきの爆弾と同じものが…この地下のあちこちに合計100個ありまーす』

慈「ひゃ、ひゃっこ!?」

94: 2024/04/09(火) 23:05:43 ID:Ynsh5OJ600
瑠璃乃「さっきのが100個も爆発したら」

ブラックめぐちゃん『地上も含めてどかーんだね』

ブラックめぐちゃん『もちろん学校なんて跡形もなく吹っ飛ぶよ』

ブラックめぐちゃん『解除できるのは私だけ。つまり爆発を阻止したいなら私を倒すしかないわけだ』

ブラックめぐちゃん『タイムリミットは今から5時間、さあ!始め』

慈(そう言うと、ブラックめぐちゃんの立体映像は消えた)

95: 2024/04/09(火) 23:07:27 ID:Ynsh5OJ600
慈「あいつ、言いたいことだけ言って消えたか」

瑠璃乃「めぐちゃん、なんで…こんなこと」

慈「考えるのは後だよ」

慈「乗るのはしゃくだけど、鍵集めろってならやってやる」

瑠璃乃「5時間で間に合うかな?そもそもが5時間じゃクリアできなくなってるという可能性も」

慈「それはやらないとわからないけど、5時間でクリアできない作りになってるとかはない気がする」

96: 2024/04/09(火) 23:13:49 ID:Ynsh5OJ600
慈「あれは私なんでしょ?ここまでしといて『実は元からクリア不可でしたー』なんて勝負する前から気持ちで負けてることはしないよ」

慈「有利な状況で戦うのと、そもそも相手に勝つ道がない状況で戦うのは違うの。相手に勝ち目がないものは勝負ではないんだよ、藤島慈にとっては」

瑠璃乃「あー、いつぞやの旅館バイトの勝負も圧倒的に有利ではあったけど勝とうと思えば勝てる道はあったよね」

瑠璃乃「で、それで負けたのがめぐちゃんだよね」

慈「あれは負けてないから」

慈「でも、私の勝負に対するスタンスはそういうこと。勝つにしても『そっちも勝てたはずなのにダメだったねー』じゃなきゃ意味ないの」

97: 2024/04/09(火) 23:22:50 ID:Ynsh5OJ600
瑠璃乃「妙なところで一線は越えないのがいかにもめぐちゃんだね」

慈「褒め言葉として受け取っておきます。で、これから私たちがどこに行くかなんだけど」

瑠璃乃「3箇所あるよね。どこから行く?」

慈「ま、近いところからでしょ。甲子炎球場だっけ?そこから行こう」

瑠璃乃「お、ベースボールだね!」

慈「では、しゅっぱーつ!」

98: 2024/04/10(水) 22:06:00 ID:HqSewKCA00
③-1 大沢瑠璃乃
~この世はでっかい宝島
 ってそれが集めるのは珠だしな~

~甲子炎球場~

瑠璃乃(てなわけで、第一の試練に到着したわけだが)

慈「えーっと、ここであってるよね」

瑠璃乃「見て!なんか書いてあるよ」

~~~~鍵の入手方法~~~~~

かぐや姫『どんぶらこデザートながれてこい』

かぐや姫が川で歌っても何も流れてきません

かぐや姫『そうか、ももがながれてくるためには』

かぐや姫『こうしないといけなかったんだ』

やっと桃が流れてきました

そうしてかぐや姫は桃の中に鍵を見つけました



~~~~~~~~~~~~~~~

99: 2024/04/10(水) 22:06:57 ID:HqSewKCA00
瑠璃乃「え…これは」

慈「おい、謎解き系は反則だぞ!」

瑠璃乃(王道中の王道なんだけどな)

瑠璃乃(まあ、めぐちゃんが作ったやつなら変な知識とかいらないだろうし逆にありがたくはある)

瑠璃乃「えーっと、かぐや姫にどんぶらこ…って、これまさか」

慈「うん、私も同じものが頭をよぎったよ」


「センパイ!目を開けてください!」

「もう…わたくしに構わず戻りなさい…いいわね…」

100: 2024/04/11(木) 08:27:49 ID:zL6msKFcSp
瑠璃乃「こいつはまさか」

慈「イベント発生ってとこかな」


選手(後輩)「いやです!あたし、最後までセンパイと一緒に…一緒に…げほっ…」

選手(先輩)「……最後、まさか…あなた…」

後輩「ははっ、そう…なんです…あたしも…さっきセンパイを助けようとして」

後輩「やられちゃいました…はは…」

先輩「なんてこと…ごめんなさい。わたくしのせいで」

101: 2024/04/11(木) 08:29:03 ID:zL6msKFcSp
後輩「いいんです…あたしの夢は、センパイと同じ夢…ううん、もうあたしたち二人の夢なんです」

後輩「二人一緒で叶えなきゃ…意味ないんです」

先輩「そう…ありがとう。あなたと共にここまで来られて、わたくしは幸せだった」

後輩「あなたの顔…もう見えないけど…でもね、闇の中でも浮かんでくるの…あなたの」

先輩「…か が  や く…笑 顔…が」


慈「……なんか、既視感あるやりとりだな」

瑠璃乃「ルリも見たことある気がする」

監督「そこの二人!君たち野球はできる?」

102: 2024/04/11(木) 18:00:02 ID:hMalUxioSp
瑠璃乃「はい?」

瑠璃乃(なんだろ?女の子?多分ルリより若いけど…)

監督「ボクはここで試合中のチームの監督さ。見ての通りメンバーが二人やられてしまってね…代わりを探してたんだ」

慈「そのちっこさで監督?年いくつよ?」

慈「あ、いや…ちっこくても歳上かもしれないのか」

監督「おいおい、年齢とか身長とかで他人を侮るもんじゃないぞ。少なくともボクはキミたちよりも多くを経験してる」

監督「で、話の続きだ。野球はできるのかい?」

慈「…野球か、できないわけじゃないけど」

103: 2024/04/12(金) 08:36:05 ID:Quojs5cA00
瑠璃乃「ルリにまかせて!伊達にひとりバッセン極めてないよ」

監督「バッティングセンターと実戦はまた違うだろ…とはいえそんな指摘をしてる余裕はないか」

監督「感謝するよ。じゃあよろしく」

監督「まずはユニフォームに着替えないとだな。余りがあったはずだ。多分サイズも合うだろうからそれを使えばいい」

慈「ちょっとストップ!」

慈「…聞きたいことがあるんだけどいい?」

慈「さっきのあれはなんなの?野球であんなことになる?」

慈「あそこまでして試合を続ける理由があるとは思えないんだけど?」

104: 2024/04/12(金) 08:37:02 ID:i57o5tMkSp
監督「全部を話すには時間が足りないが、できる限りを話そう」

監督「ボクらはね、とある少女を取り戻しに来たんだ」

瑠璃乃「ある少女?」

監督「もともとはボクと同じところにいたんだが、ま…ちょっとしたアクシデントで時空を超えてこっちに来てしまったんだ」

慈「ちょっとしたアクシデントで時空は超えられないと思うけど」

監督「いるんだよ。世の中にはちょっとしたアクシデントで時空を繋げてしまう天才が」

105: 2024/04/12(金) 08:38:38 ID:QTIRKjZ.Sp
監督「ボクにとっては天使のような天才さ…ちょうどいい、その子の話をしよう」

瑠璃乃「あの、時間が足りないのでは?」

監督「ご、ごほん!すまない…でさ、時空を超えたせいで身体と精神の幼児化に加えて記憶の喪失が起こってしまったようで」

瑠璃乃「さらっと怖いこと言った」

監督「幼児化の方はこっちの世界で元の年齢になるタイミングにくればいいだけなんでタイムマシンを使って来てみたんだが」

慈「うわ…当たり前のようにタイムマシン使ってる」

106: 2024/04/12(金) 12:36:32 ID:l099.dlASp
監督「どうも見つかったのが竹林の中らしくてね…日本の昔話になぞらえて"かぐや姫"なんて呼ばれて大事に育てられてたのさ」

監督「で、ボクはそのお話の月の使者扱いってわけ。連れ戻したければ野球の大会で優勝しろという条件を叩きつけられたんだ」

瑠璃乃「そこでなんで野球なのか疑問なのですが」

監督「…ここまで長かった」

監督「何人犠牲になったかわからない、文字通り命をかけて戦ってきたんだ」

監督「そうしてようやく迎えられた最終戦…あいつにみんなやられた。球をバットに当てることすらできなかった」

監督「9回まで0点に抑えることはできたが、なんとか一人当てられたらあのザマさ」

監督「あいつの球さえなんとかできたら、勝てるんだ…なのに」

107: 2024/04/12(金) 18:22:25 ID:k9hE2.WgSp
慈「あいつ?」

監督「向こうのチームの総大将、ブラックめぐちゃん四天王の一角、"業火の竹取り好々爺(こうこうや)"…タケトリノ=オキナさ」

慈「竹取の翁って、あれでしょ?かぐや姫の」

瑠璃乃「ってか元ネタの竹取物語のおじいさんだね」

監督「急に巻き込んでしまってすまない。だが、君たちを見た時にビビッときたんだ。君たちがこの状況を打破する鍵だと」

慈「鍵が欲しいのはこっちなんだけど…それに、聞けば聞くほどわからなくなったし」

監督「この説明で納得してもらえるとは思ってない。語れないことが多すぎるんだ」

108: 2024/04/12(金) 18:30:28 ID:9tgFjVskSp
瑠璃乃(仲間を連れ戻すか…めぐちゃんを部に連れ戻すんだーってなってたこともあるルリ的にはほっとけないかな)

瑠璃乃「…めぐちゃん、ルリは行くべきだと思う」

慈「……はぁ」

慈「ああ!もう!わかったよ。るりちゃんが決めたなら私は反対しない」

慈「ただし、危険なことはしないしさせない。言い方悪いけど、さっき見た二人組みたいになるのなんかごめんだから」

慈「まったく…もう一人の私も無駄に設定作り込みやがって…」

監督「設定?」

慈「なんでもありません!私たちもかぐや姫奪還に協力しますってだけです」

瑠璃乃「よっしゃ!ちゃっちゃとユニフォームに着替えてグラウンドに向かうぜ」

109: 2024/04/13(土) 09:49:58 ID:v/4A9Il6Sp
~入場口~

監督「さあ、心の準備はいいかい?」

瑠璃乃「おうよ!」

監督「…頼んだよ助っ人さん」


『さあ、帰ってきました。9回裏…試合再開、試合再開です!!!』

ワアアアアアアアア!

瑠璃乃「盛り上がってんねー」

慈「決勝戦らしいからね」

110: 2024/04/13(土) 09:51:11 ID:v/4A9Il6Sp
慈「まぁ…まずはこの試合に勝ってかぐや姫さんとやらを取り戻さないとかな」

瑠璃乃「わざわざ条件として名指しされてるもんね」

タケトリ=オキナ「ほっほっほ戻ってきたか、さあ!次に儂の魔球の餌食になるのは誰かのう?」

瑠璃乃「あれが…四天王…」

慈「よぼよぼのおじいちゃんじゃん!いや、名前からしてご老人を想像はしてたけど」

監督「見た目に騙されるな。油断したら命はない」

瑠璃乃「うん…ルリ、行くよ」

瑠璃乃「野球勝負から逃げるわけにはいかないっしょ」

111: 2024/04/13(土) 23:47:52 ID:PSd1MDdM00
『7番、ショート、大沢瑠璃乃!』

ウオオオオオオオオオオオ!

瑠璃乃「おっしゃ!かっ飛ばすよ!」

オキナ「ほほう、威勢のいいお嬢さんだ。…まったく!」

オキナ「残念でたまらんよ。そんな子をこの手にかけねばならないことが」

キュウウウウウウ…

慈「おじいちゃんの腕が…」

瑠璃乃「光ってる?」

112: 2024/04/13(土) 23:48:42 ID:PSd1MDdM00
オキナ「これは儂の決意の光…!髪飾り強く結んで結んで、さらに結んで結んだ想いが輝きを紡いでいき…」

オキナ「命を刈り取る業火となる!!」

ガッ…

瑠璃乃(おじいちゃんが…投球フォームに入った…!)

オキナ「ゆくぞ!魔球『猛る竹取の流れ星』!!」

ギュオオオオオオオオオオオオン

瑠璃乃「ぐっ…こいつは…」

113: 2024/04/13(土) 23:51:00 ID:PSd1MDdM00
瑠璃乃(あまりの迫力に時間がゆっくりに感じる)

瑠璃乃(いけるか…?いや!ここは一球見極める)

瑠璃乃(炎の渦を纏ったボールがルリの脇を通り過ぎていく)

パン!

「ストライク!」

瑠璃乃「…今のが魔球」

オキナ「打てるかのう?あと2球で」

瑠璃乃「まいったね…こいつは一撃でかなりのスタミナが持ってかれそうだよ」

114: 2024/04/14(日) 22:09:56 ID:ReIwv7ZoSp
オキナ「ほっほっほ、この最終試合のために生み出した儂の生涯最高の魔球じゃからのぅ」

瑠璃乃「だけど次で、いく」

オキナ「ならば、打ってみぃ!二球目も同じじゃ!」

オキナ「魔球『猛る竹取の流れ星』!!」


ギュオオオオオオオオオオオオン


瑠璃乃「いける、バットに当てて…」

瑠璃乃「ぐ….ぐおおおおおお!?」

瑠璃乃(なんだ…この球!打てそうに見えて…)

瑠璃乃(めっちゃ、重い!…重い想いが伝わる!)

115: 2024/04/15(月) 18:51:25 ID:6pCXHLBwSp
瑠璃乃「く、腕が…腕が持ってかれ…」


『やめてください!!!もうバットから手を離して!!!』

『あなたにはそれは打てません!!これ以上無駄な犠牲を出さないでください!!!』


瑠璃乃「へ?」

バキッ…………

ギュオオオオオオオオオオオオン!!

瑠璃乃「うわ、バットが折れて」

116: 2024/04/15(月) 18:53:20 ID:6pCXHLBwSp
「ストライク!」

慈「バットが折れなかったら…」

瑠璃乃「ルリごと行ってた。良くて腕が使い物にならなくなってた」

慈「今からでも代打?だっけ?なんとかならないの!?」

監督「出せる控えはキミだけだ…慈」

慈「じゃあ、私が!」

瑠璃乃「いえ、ルリがやります」

瑠璃乃「ルリも危ないけど、でもめぐちゃんよりはルリの方がまだ打てる可能性はある」

瑠璃乃「ってそうだ!さっきの」

117: 2024/04/15(月) 18:55:40 ID:6pCXHLBwSp
慈「あ…ウグイス嬢だったよね?入場の時とかの」

オキナ「なぜじゃ…なぜじゃ…」

オキナ「なぜ!儂の邪魔をする、かぐや!」

瑠璃乃「かぐや?」

『すみません…ですが』

『私は!私の正しいと思うものを貫きたいのです!』

オキナ「正しい?誰かに言われたことをただ鵜呑みにするのが正しいのか?」

118: 2024/04/15(月) 18:57:33 ID:6pCXHLBwSp
『違います。これ以上、おじいちゃんに誰かを不幸にしてほしくはないんです!!』

『何もわからずに彷徨っていた私に手を差し伸べたおじいちゃんが誰かを不幸にするのなんて!!』

『……見ていられないんです!!』

『監督も、考え直してください!ここまでする意味があるのか!』

瑠璃乃(…めっちゃビックリマークつけて話すなこのウグイス嬢)

オキナ「見てられない…か」

オキナ「お前が……儂の野球をうれしそうに見てくれるのが、儂の救いじゃった」

オキナ「それでお前にはもっと野球を見てほしいと、ウグイス嬢の道を勧めた」

119: 2024/04/15(月) 23:20:26 ID:ycjadnhE00
オキナ「それが、こんなことになるとはのう」

『…………』

監督「なあ、ご老人」

監督「あんたにとって、このお姫さんはそんなに大事なのかい?その…」

オキナ「……血は繋がってないのに、とでも言う気かの?」

オキナ「それとも、あの子は別世界の存在なのだから元の世界に帰すべきとでも?」

オキナ「記憶を無くして右も左もわからなかったあの子が、自分の名前すらわからなかったあの子が、どれほど苦しんだか…あんたらはわかっていない」

オキナ「あの子がどこから来たかなど関係ない。わけのわからないまま、連れ戻しに来おって!」

120: 2024/04/15(月) 23:21:28 ID:ycjadnhE00
オキナ「あの子が何をしたんじゃ?あの子も、何一つ思い出せないままに、帰ることが正しいなどど丸め込まれおって…思い出も何もない世界に帰るなど間違っとる…」

オキナ「あの子はかぐや、儂らの大事なかぐや姫なんじゃ!」

監督「…あんたとあんたの姫様にとってボクらはようやく築いた幸せを奪う侵略者でしかないのは承知さ」

監督「……だけど、ボクらにとってはあんたの姫様は夢を掴むための大事なピースなんだ」

監督「だからここまでする意味なんてありすぎるのさ。かぐや姫さん」

『……』

オキナ「黙れ!あの子が苦しんでいた時にそばにいなかった人間が、後からのこのこ現れよって!」

121: 2024/04/15(月) 23:23:14 ID:ycjadnhE00

オキナ「そんな輩に、あの子についてどうこう語る権利など無いわ!諦めて帰れ」

監督「…っ」

瑠璃乃(話を聞いただけでルリたちは外の人間だ…)

瑠璃乃(ぶっちゃけ、なんで野球してるのかはまったくわからない!)

瑠璃乃(単体で1つの話になるやつのクライマックスだけ見せられてる感がパない!)

瑠璃乃(だけど、ふとルリは思ってしまった)

瑠璃乃(なんかこう、みんな幸せになれる結末ってないのかなって)

瑠璃乃「ん?」

瑠璃乃(そうだ、そうだよ)

122: 2024/04/15(月) 23:25:05 ID:ycjadnhE00
瑠璃乃「ねえ、めぐちゃん」

慈「へ!!?」

瑠璃乃「めぐちゃんはさ、どう思う?」

瑠璃乃「誰かの幸せのために、別の誰かが不幸にならないといけないそんな前提のストーリーは」

慈「……ま、あくまでもフィクションのお話としてで答えるけど」

慈「むかつく。ふざけんな。三流。プロットからやり直せ…こんな感じ?」

慈「みんな楽しい、みんなハッピー、フィクションくらいさ…そういうのでいいじゃん」

瑠璃乃「そうだよね。うん、ありがとう」

瑠璃乃「やっとわかったよ…このステージの攻略法」

123: 2024/04/15(月) 23:33:03 ID:ycjadnhE00
瑠璃乃(考えるべきは"どうやって打つか"でも"どうやって勝つか"でもない)

瑠璃乃("どんなストーリーにするか"なんだ)

瑠璃乃(これはめぐちゃんが考えたシナリオ…だったらゴールはめぐちゃんが好きなみんな楽しい、みんなハッピーな結末のはず)

瑠璃乃(そもそもかぐや姫で、9回裏なんだろ?だったら)

瑠璃乃(鬼退治を任されたから鬼を退治しまーす!なんてのはダメなんだ)

瑠璃乃(あの魔球をルリが打って、かぐや姫は元の世界に帰りました!めでたしめでたし!……なんてなるはずがない)

124: 2024/04/16(火) 08:22:50 ID:lOtVjejESp
瑠璃乃「って言っても遊園地と温泉とサウナ作れって話でもないだろうし」

瑠璃乃(考えろ、思い出せ、どんな小さな手ががりでもいい)

瑠璃乃(そうだよ。めぐちゃんが言ってたじゃん)

瑠璃乃(無理ゲーは仕掛けない、それがポリシーだって)

瑠璃乃(ヒントはここまでに出てきているはずなんだ)

瑠璃乃「うーん…」

瑠璃乃「あるのか?こっからみんながハッピーになる平和的解決とか」

125: 2024/04/16(火) 19:04:51 ID:qwASFjuY00
瑠璃乃「てか…」

ザワザワザワザワ

オキナ「そろそろ覚悟は決まったかのう、ほっほつ」

監督「な、なあ…どうした?」

瑠璃乃(この状況で長考とか限界だよ…充電切れそう)

瑠璃乃(いや、ルリに構わずにとっとと投げるとかされたら試合が終わるんだがね)

瑠璃乃「ん?……でも」

ザワザワザワザワ

瑠璃乃「逆に、なんでここで誰も動かないんだ?」

126: 2024/04/16(火) 19:06:08 ID:qwASFjuY00
『あの…どうかされましたか?』

オキナ「かぐや、お前は口を出すな」

瑠璃乃「あ、なんだ…ちゃんと進行はす…」

瑠璃乃「……?」

瑠璃乃(いや、待て…そもそもウグイス嬢がかぐや姫ってなんだ?)

『ホームラン、かぐや姫が叫ぶ(9回裏のストーリー!)』

瑠璃乃(とかしたいんだろうなと流したけどさ、めぐちゃんの野球知識的にそうなのかなとか思ったけどさ)

瑠璃乃(ウグイス嬢はホームランを叫ばんだろ!いや、ホームランで叫ぶウグイス嬢もいるかもだけどね)

127: 2024/04/17(水) 08:19:11 ID:4UsiutZESp
瑠璃乃(ましてや、試合中に介入してくるウグイス嬢とか)

瑠璃乃「……そういうことか」

瑠璃乃「うん、ようやくいろんなものが繋がった…」

瑠璃乃「やっぱり、めぐちゃんはすげーよ。高難易度ゲーに見えてちゃんと初心者への配慮もしてる」

瑠璃乃「ちょっと、タイムいいですか?」

瑠璃乃「監督、お願いがあります」

監督「お願い?まあ、構わないけど何を」

128: 2024/04/17(水) 08:23:05 ID:1Hr5JFrESp
瑠璃乃「代打です」

瑠璃乃(ヒントはちゃんと出ていた)

瑠璃乃(まずは、この局面での代打は可能だということ)

監督「代打って…慈かい?」

慈「私、やるよ」

瑠璃乃「いいえ、めぐちゃんじゃないです」

瑠璃乃(そして…代打をさせる相手もちゃんとヒントがあった)

瑠璃乃「監督言ってましたよね?『出せる控えは君だけだ』って」

129: 2024/04/17(水) 08:24:20 ID:hq9wyKccSp
瑠璃乃「出せない控えが、いるんですよね」

監督「…なるほど。そう来たか」

瑠璃乃「出せるわけがなかった。だって、その控えの選手は…別のことをしてたんだから」

瑠璃乃「ウグイス嬢をね」

『……なぜ、それを』

瑠璃乃(メタ読みすれば、かぐや姫なんて役柄を試合中にも干渉し合える位置に置いてることがデカいが、それだけじゃない)

瑠璃乃「呼んでたじゃないですか。監督さんのことを『監督』って」

130: 2024/04/17(水) 08:28:25 ID:WXTOb6sASp
瑠璃乃「そんな呼び方するのは、その監督のチームにいたか…今もいる人くらい」

瑠璃乃「今思えば、『もっと野球を見てほしいと、ウグイス嬢の道を勧めた』ってのは…プレーする側じゃなくて見る側として関わってほしいって意味だったんじゃないですか?」

オキナ「当たり前じゃろ。ケガなどされてたまるか」

瑠璃乃(そう、このチームにはもう一人選手がいた。そして多分…そのもう一人が試合に出る展開は用意されている。だから、二人欠員が出ても"一人出るかどうか"しか話題にならなかった)

瑠璃乃「監督がこっちに来てから今まで何があったとか、その間にあなたたちの間に何があったかとか、説明端折られすぎて全然わかりませんでしたよ」

監督「そこはすまない。…この試合の前にいきなり言われたんだよ。最終試合は出られないと」

監督「で、瑠璃乃の要望はここで代打ということだが」

131: 2024/04/17(水) 22:51:00 ID:aX5AbWVsSp
瑠璃乃「はい、私の代わりに打ってください。かぐや姫さん」

『それを、私が了承するとでも?』

『それに!私が出たらどうなるというんですか!』

瑠璃乃「勝てます。この試合に」

瑠璃乃「打てるんじゃないですか?あの魔球を、あなたなら」

瑠璃乃「だからあなたはこの試合に出ないと決めた。おじいさんの望みを自分の手で潰してしまうのが怖くて」

『ずいぶんと、想像力が豊かなんですね』

132: 2024/04/17(水) 22:58:20 ID:3yDkst/QSp
瑠璃乃「はい、これはルリの想像です。でもそんなに外れてないはず」

瑠璃乃「さっき、あなたはルリにこう言いました。『あなたにはそれは打てません』と」

瑠璃乃「この最終試合のために生み出された魔球を打てるだろう人が他にいて、あなたは心当たりがあって…そして」

瑠璃乃「あなたは『これ以上、無駄な犠牲を出さない』方法を知っている」

瑠璃乃(まあ…これらを繋ぎ合わせてもかぐや姫が候補にはなっても確信には至らないんだ)

瑠璃乃(めぐちゃん好みの結末にこれまでの情報から持ってくにはどうすればいいかの答えを、ブラフとして言ってみただけではある)

『…なるほど。まだ穴はある主張ですが、正解です』

『私は控え選手として代打に出られる立場にあり、そして…恐らくは魔球を打てる可能性がある』

133: 2024/04/19(金) 04:18:01 ID:lRyPJOqM00
『ですが、だから何なのです?私はこの試合に出ないと決めている、それを貫く意志も』

慈「ふざけんな!」

『…!!?』

慈「さっきから聞いてれば、腑抜けたことをごちゃごちゃと」

『私が腑抜けている?』

慈「ああ、そうだよ!追いかけて来てくれた人がいるのに、走ってきたこれまでを見守ってくれた人がいるのに、そのどっちにも背を向けてなんにもしない!」

慈「そんなの腑抜けもいいところだよ」

『あなたに何が…』

慈「わかるよ!だって私はずっとできなかったんだ」

134: 2024/04/19(金) 04:22:41 ID:lRyPJOqM00
瑠璃乃「めぐちゃん…」

慈「帰りたくないならこんな試合させるな!帰りたいなら出てきて打て!そういう単純な話でしょ?これは」

慈「私だったら、もっとシンプルで、もっとみんなが幸せになれる道を考える…こんなつまらないごちゃごちゃしたのなんて認めない」

『私だって、それで解決できるならしたいですよ…』

監督「なあ、一つ聞いてもいいか?」

監督「君は帰りたいと言ってくれた。ボクらに協力すると言ってくれた。でも、もしかしてあれは」

監督「…気遣ってくれたのか?ボクらのことを?だとしたらすまない。」

『そうではないです。帰りたいという気持ちも、課された試練をあなたたちと超えたいと思った気持ちも何一つ偽りなどない』

135: 2024/04/20(土) 00:37:48 ID:e5D7GTE200
『ですが、だから何なのです?私はこの試合に出ないと決めている、それを貫く意志もある』

慈「ふざけんな!」

『…!!?』

慈「さっきから聞いてれば、腑抜けたことをごちゃごちゃと」

『私が腑抜けている?』

慈「ああ、そうだよ!追いかけて来てくれた人がいるのに、走ってきたこれまでを見守ってくれた人がいるのに、なんにもしないで言い訳ばっかり」

慈「そんなの腑抜けもいいところだよ」

『あなたに何が…』

慈「そうだよわかんないよ。ステージで何もできなくなって、それでもステージに出たかった私には、ステージに出ようともしないあなたのことなんてわからない」

瑠璃乃「めぐちゃん…」

136: 2024/04/20(土) 09:24:15 ID:ASGC6VIgSp
慈「あなたはまだ何かをできる人なんだよ?だったらできることをやりなよ」

慈「帰りたくないならこんな試合させるな!帰りたいなら出てきて打て!そういう単純な話でしょこれは」

『私だって、それで解決できるならしたいですよ…』

監督「なあ、一ついいか?」

監督「君は帰りたいと言ってくれた。ボクらに協力すると言ってくれた」

監督「あれがボクらを気遣って、君の意思を捻じ曲げて出した答えというなら今すぐ取り下げてくれ」

監督「…だが、もし違うというなら、もう一度周りをよく見て欲しい」

監督「腑抜けた目なんてできないくらいのものをボクたちは作ってきたはずだ」

監督「手を伸ばしていいんだよ。君もボクも本当の夢ってやつにさ」

137: 2024/04/20(土) 09:26:42 ID:pMYXLuvkSp
『…わかってます。今こうして私たちが迎えた最後の一打席がどれほどの熱意と奇跡の上にあるか』

『勝ちなど見えない戦いを、何度もくぐり抜けられた…それは私の中にちゃんと気持ちがあったから成し得たことなんです』

『帰りたいという気持ちも、課された試練をあなたたちと超えたいと思った気持ちも何一つ偽りなどない』

『湧き上がってくるんです!戻ってやりたいことがあるのだと心が叫ぶんです!』

『だけど、育ててくれた人を前にそんなわがままを貫けるほど…ここで私が受けた想いも軽くないんです!」


オキナ「…やれやれ…最初からそれを言えば良いんじゃ」

オキナ「つまり、あれだ。お前は帰りたいんじゃろ?元いた世界に」

138: 2024/04/20(土) 09:27:48 ID:nMOp1Rj6Sp
オキナ「なのに、帰るべきだの気持ちに答えなければだの…回りくどいんじゃお前はいつも」

オキナ「いや…その回りくどさに、甘えていたんだな儂は」

『そんな…これは私が決めた』

オキナ「決めておらんじゃろ?儂にはわかる…お前は一番の答えをわかっていながら、それをやろうと決めていない」

『……』

オキナ「儂から言うことは変わらんよ。この試合に勝ち、優勝しなければお前が帰ることなど認めん」

オキナ「…見せてみぃ。帰りたいのなら、儂の自慢のかぐや姫の全力で、儂の生涯最高の一球を打ち取ってみぃ」

オキナ「もっとも、そのためには儂がお前と勝負する気になるようにせねばなるまいな…かっかっか!」

139: 2024/04/21(日) 08:10:18 ID:Lz3T/BNU00
『ありがとう…おじいちゃん』

オキナ「はて?感謝などされてもなんのことやら。儂はお前の敵チームの投手じゃぞ」

『おじいちゃん、私の本当のわがままを聞いてもらえますか?』

オキナ「…言うてみい。面と向かってこの偏屈なじじいにな」


瑠璃乃「えっと、これは…」

慈「…ま、こんなとこだよね。てか、ここまでのストーリーとか全然知らない私たちの前でさ、それを前提にして熱く語らせんなっての」

瑠璃乃「あれ?もしかして」

慈「私だったら、本当に悪い人なんか出さないもん。損な役回りをするとしてもそれは私自身」

慈「こっからはまかせるよ。みらぱでハッピーエンドにしよう」

140: 2024/04/21(日) 10:49:30 ID:Lz3T/BNU00
瑠璃乃「まったく。充電切れそうだったのにフル充電しないでよ…」

瑠璃乃「まかせろ!ルリがこっから最高の送りバントかましてやる」

瑠璃乃(ここでルリが送りバントしたら試合終わりだろ!なんて野暮なツッコミは無しだぜ)

かぐや姫「望み通り出てきました。決着をつけるために」

瑠璃乃「お、おう…」

瑠璃乃(うわ、見事な黒髪だ。三つ編みも雰囲気出てるし、かぐや姫って呼ばれるだけあんよ)

かぐや「ここに出てくるまでもいっぱい、考えたんです」

かぐや「だけど私の答えは変わりませんでした!」

オキナ「ほう…して、一番のわがままとはいかに」

141: 2024/04/22(月) 00:06:05 ID:GlIuj.go00
かぐや「あなたに勝負を申し込みます。この試合の最後の一球を私とあなたの物語の最高の幕切れのために使いたい」

かぐや「いいですよね」

オキナ「良きかな。その勝負、受けて立とう!」

かぐや「では、ウグイス嬢としての最後の責務を全うしましょう!」

かぐや「バッター…大沢瑠璃乃に代わり!私です!」

バッ!

瑠璃乃(そう言うとかぐや姫さんは髪をほどき、羽織っていた服を脱ぎ捨てた…)

瑠璃乃(解かれた髪、脱ぎ捨てられた服の下から現れたユニフォーム、さっきまでとは別人とさえ言える女の子が立っていた)

142: 2024/04/22(月) 20:13:35 ID:GlIuj.go00
かぐや「さあ、投げてください!これからを決める一球を!!!」

オキナ「先刻まで逃げ腰だったお前に打てるかの?儂の…」

キュウウウウウウ…

オキナ「決意の一撃を」

ヒュッ

グオオオオオオオオオオオオオ!

瑠璃乃「う…」

瑠璃乃(見ていてもわかる、こいつはさっきルリに投げられた2球を遥かに超える気迫を持ってる)

143: 2024/04/22(月) 20:14:58 ID:GlIuj.go00
かぐや「くっ!」

カキッ!

瑠璃乃(たけど、そんな球に怯むこともなくかぐや姫さんはバットを振り!ボールを真芯で捉えた…しかし)

グオオオオオオオオオオオオオオ…

かぐや「バットが…進まない!耐えるので精一杯だなんて」

ミシッ…ミシッ…

かぐや「バットが…」

瑠璃乃(このままバットが折れたらルリと同じ…)

144: 2024/04/22(月) 20:16:01 ID:GlIuj.go00
瑠璃乃「そうだ…こんな時こそ」

監督「ん?マイクで何をする気なんだ瑠璃乃」

瑠璃乃「うちらにはうちらの事情があってさ、代打は頼んでも見てるだけなんてつもりはないんだ」

瑠璃乃「だからさ…ルリはこうするんだ」ヒューン

瑠璃乃「ちゃんと聞けよ!ルリからのエールを!」

145: 2024/04/22(月) 20:19:24 ID:GlIuj.go00
【瑠璃乃】
負けんな、避けんな、さあ目開けんだ
サヨナラへget up打つしかねんだ
もう引っ張んな流すな狙いはセンター
セットアップに叩き込め選択

轟かせろセンタクしたきれいごと
桃も竹もまっすぐに切れ見事
ブルってんな振ってぶった斬れ
ガツンと勝つんだ飛ばすんだかぐや姫

https://suno.com/song/5ff5a948-0c9c-45d3-ad94-062add78711d

146: 2024/04/22(月) 20:21:28 ID:GlIuj.go00
瑠璃乃「受け取れええええええええ!!」

かぐや「これは、ピンクの光が私に染み込んで…」

瑠璃乃「ルリからできるのは元気を送ること、あなたの大事な気持ちの背中を押すこと…それをここで…全力でやりとげる!」

瑠璃乃「使い切るぜ、ルリのバッテリー!うおおおおおお!!!」

かぐや「ああ…そうです!!私は!!私は!!!」

かぐや「私はおじいちゃんが、ここで出会った皆さんが…ダイスキなんです!!」

かぐや「だから、私は伝えたい!!ここでのダイスキを、これから私が出会うダイスキな人たちにも!!」

かぐや「それが私のやりたいこと!私の野望なんです!!!」

147: 2024/04/22(月) 20:26:08 ID:GlIuj.go00
オキナ「…そうか、ならば勝ち取ってみせい。お前の幸せを」

オキナ「儂の手元に留めたところでお前が幸せになれないなら…手元になんておらんでもいい!」

オキナ「大事なのはお前の幸せ、おまえが幸せになれないのが嫌なだけじゃった」

オキナ「お前が幸せなら、それで良かったんじゃ」

かぐや「あ…」


『だったら…だったらラブライブ!なんて出なくていい!』

『私は◼️◼️◼️ちゃんが幸せになれないのが嫌なだけ』

148: 2024/04/22(月) 20:27:54 ID:GlIuj.go00
かぐや「この声…そうだ、私は」

オキナ「始めるがいい…新たな物語をお前自身の手で」

かぐや「そうだったんですね…思い出しました!!始まったのなら、貫くのみなんです!!」

監督「…まさか、記憶が戻ったのか!?」

かぐや「かぐや姫…長い時を経て語り継がれた物語のヒロインの名…」

かぐや「良い名前です。皆に守られる者にふさわしいダイスキに溢れた名前…しかし、私は!!」

かぐや「私が目指すのは…守られるヒロインなどではない!!」

149: 2024/04/22(月) 20:34:57 ID:GlIuj.go00
かぐや「困難に立ち向かう、自らの手で戦う、ヒロインのために!みんなのために!何度でも立ち上がる者!!」

かぐや「わたしは!ヒーローになるんです!!」

監督「そうさ、そして…そんな君に合うのは永遠に語り継がれる名前なんかじゃない」

監督「限りなくゼロに近づきながらたしかに存在して、何よりも心を打つ…」

監督「そんな一瞬に冠される名前こそ君には似合う…」

かぐや「そうですね!!やっと!やっと取り戻しました!!」

かぐや「いえ!取り戻したんじゃない…前よりも熱く熱く燃えているんです!!!」

150: 2024/04/22(月) 20:40:27 ID:GlIuj.go00
オキナ「さあ、来い…儂は立ち塞がろう!」

オキナ「最後の最後まで、お前を試す壁として、役を全うしよう!!」

かぐや「伝えますっ!!取り戻した"私"とこの世界での"私"のすべてを合わせたこの技で!!!!」

かぐや「はあああああ!!!!」

瑠璃乃「なんだ…炎が…どんどん…」

慈「まさか、おじいさんの魔球の光を取り込んでるの?」


かぐや「これが!今の私のすべて!!!!燃え盛れ!!『竹取に捧ぐ永遠と刹那の紅蓮打撃(セツナ・スカーレットストーム・カグヤ)』!!!」

151: 2024/04/22(月) 20:46:17 ID:GlIuj.go00
瑠璃乃「おおおお!」

慈「謎な振り仮名が振られてる難しそうな技が出たぁ!!」

ゴオオオオオオオオオオオ!!

瑠璃乃(打ち返された打球は炎となって、オキナ…炎の四天王へと打ち返される)

オキナ「ピッチャーへ打ち返すとは…詰めが甘いわい!」

かぐや「いいえ!これが私の一番の選択!!」

瑠璃乃(打ち返された炎はおじいちゃんを飲み込んでいき、その姿を燃やしつく…)

瑠璃乃「え?」

152: 2024/04/22(月) 20:47:01 ID:GlIuj.go00
オキナ「炎が、暖かいだと?」

かぐや「ダイスキは誰かを傷つけるためのものじゃない!想いを伝えてみんなで大切なものを掴むための力!!!!」

オキナ「ほう、だが!」

オキナ「焼き尽くせぬ炎で何を貫く!何を押し通す!」

かぐや「貫いてみせる!!!押し通してみせる!!!だって!!!!」

かぐや「ダイスキは誰にも止められない!ダイスキは世界のどこまでも届く無敵の力なんです!!」

グオオオオオオオオ!!

オキナ「儂が…押し負けるじゃと…」

153: 2024/04/22(月) 20:48:35 ID:GlIuj.go00
かぐや「この炎にはこの世界でもらったたくさんのダイスキが詰まっている!あなたが私をここまで強くしてくれたんです!!おじいちゃん!」

オキナ「ふ…ふふ…そうか…お前はもう…守られるだけの"かぐや姫"ではないのだな」

オキナ「ならば、老ぼれはかわいいかぐや姫のダイスキと共に世界の果てへと退散するかの」

オキナ「遠慮なく帰りなさい。お前の本当の名で、お前の本当の仲間の元へ…」

かぐや「はい!私は…私は…」


せつ菜「行ってきます!おじいちゃん!!!」

154: 2024/04/22(月) 20:50:08 ID:GlIuj.go00
瑠璃乃(そして四天王の一角さんは、世界の果てまで貫くダイスキとやらと共に球場の外へと消えていった…つまり)

瑠璃乃「場外」

慈「ホームラン?」

ウオオオオオオオオオオオ!!

瑠璃乃「おおお!」

瑠璃乃(沸いてる!会場めっちゃ沸いてる)

155: 2024/04/22(月) 20:52:42 ID:GlIuj.go00
せつ菜「みなさん!!今まで、お世話になりました!!」

せつ菜「私はこの地でたくさんのダイスキをもらいました!!」

せつ菜「これからの私を、ここにいるみなさんに見せることはできない…でも!約束します!」

せつ菜「あなたたちの愛した私は!永遠の名と一瞬の名、相反する名を胸に私は……どんな世界だろうとダイスキを諦めないヒーローになってみせます!!!」

せつ菜「以上、竹から生まれたかぐや姫こと…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、優木せつ菜でした!!」

瑠璃乃(満を持して、万感の思いを込めて、かぐや姫は叫んだのだった…ん?)

瑠璃乃「は?スクールアイドル?」

監督「そうさ…ボクらはスクールアイドル」

156: 2024/04/22(月) 20:54:21 ID:GlIuj.go00
監督「っと、そうかそうか名乗ってなかったな…ボクとしたことが」

ミア「ミア・テイラー、お騒がせしまくった優木せつ菜と同じく虹ヶ咲学園でスクールアイドルをやってる」

慈「まーた、妙な設定を」

ミア「…なあ、その"設定"ってのはなんだ?」

慈「え?だってこれはブラックめぐちゃんが作った…」

ミア「ああ…こっちで何回か聞いたなその名前」

ミア「でもさ、すでに言ってるがボクらはアクシデントでこっちにいるだけで、ブラックめぐちゃんとやらに作られたわけじゃないぞ」

157: 2024/04/23(火) 08:24:44 ID:SEJQCDOUSp
ミア「ま、そのアクシデント自体が作られた設定である可能性も否定できないけどね」

せつ菜「あ!どうなんですかね…特に私の場合は何年もこちらにいたという事実がありますし、いえ、それこそが作られた認識で実は…」ブツブツ

ミア「とりあえずだ。優木せつ菜もミア・テイラーも実在するスクールアイドルだ。君らと同じようにね」

慈「は?ん?んんんん?」

瑠璃乃「めぐちゃんの脳では処理できないSF考察がぶち込まれてしまったなこれは…」

瑠璃乃「あれ?そういえば鍵は?」

監督「鍵?」

せつ菜「お!!何かお困りですか!?」

158: 2024/04/23(火) 08:28:04 ID:SEJQCDOUSp
慈「私たち、猛火の鍵ってのを探してここまで来てたんだけど、それを手に入れるにはかぐや姫…じゃなかったええと」

せつ菜「構いませんよ。呼びやすい方で呼んでください」

瑠璃乃「どうやらかぐや姫のところに桃が流れてくると鍵が手に入るらしいんです」

せつ菜「……もしかして、これですか?」

瑠璃乃「およ?」

慈「何で持ってるの?」

せつ菜「えっと、やるぞって決めてグラウンドに出てこようとした時に、ピロンって感じに現れました」

せつ菜「で、そのままにしとくのも何なので回収しておきました!」

159: 2024/04/24(水) 01:51:25 ID:EqmQOO8A00
慈「それはいいけど、なんでそのタイミング?」

瑠璃乃「……あ、ルリわかったかも」

せつ菜「ん?桃が流れてくる?やるぞと決めた時に?…」

せつ菜「ああ、なるほど」

監督「はは……ボクもわかった」

慈「るりちゃんはともかく、二人にもわかるの?」

せつ菜「いるんです。私たちの仲間にこういうのが好きなのが」

ミア「たしかに!言いそうだ」

160: 2024/04/24(水) 01:53:13 ID:EqmQOO8A00
瑠璃乃「あのね…桃太郎でおばあさんが桃を見つけた時にしていたことも、何かをやろうと決めることも」

慈「ん?まさか、そんな…」

せつ菜「そういうことだと思います」

ミア「そうだな。そりゃ決めた瞬間に桃も流れてくる」

せつ菜「「せんたく…だけに!」」

ピコン!ピコン!

ミア「お、そういえばそろそろ結果報告だな」

歩夢『あーあー、聞こえてますか?』

161: 2024/04/24(水) 01:54:32 ID:EqmQOO8A00
せつ菜「おおおお!!!歩夢さんっ!お久しぶりです!!」

歩夢『せつ菜ちゃん!…そうか、こっちだと1日も経ってないけどそっちじゃもう何年も経ってるんだっけ』

せつ菜「な…なんと、そちらでは1日も経ってないと。それは衝撃の事実…」

ミア「当面はせつ菜とボクたちの時間感覚のズレをどうにかしないとかな。璃奈がいるから心配はしてないけど」

ランジュ『きゃあ!せつ菜が戻っきたのね!お手柄よミア』

ミア「色々と助けられてやっとミッション達成さ。こっちのスクールアイドルもなかなかやるようだ」

ランジュ『あら!そっちの子たちもスクールなのね!ランジュのお友達を助けてくれて謝謝』

慈「気づいてたの?」

162: 2024/04/24(水) 08:28:24 ID:PwAlmZG6Sp
ミア「あくまでも勘だけどね」

歩夢『私からもお礼を言わせてください。ご協力ありがとうございます』

歩夢『…で、あなたたちの名前とか聞いちゃっていいかな?』

慈「私は藤島慈、それでこっちのは私の幼馴染の大沢瑠璃乃…るりちゃんだよ」

歩夢『幼馴染!!いいね!いつか私もあなたたちとお話をしたいな』

瑠璃乃「二人でみらくらぱーく!ってユニットでやらせてもらってます。よろよろです」

歩夢『うんうん、よろしく!幼馴染は大切にね』

163: 2024/04/25(木) 04:26:25 ID:jA4F6mqo00
ミア「これからキミらはどうするんだい?ボクらは戻る準備ができるまで少しゆっくりしようと思うんだが」

瑠璃乃「あ、いえ…それが、その…」

………

………………

ミア「は?ここがまるごと爆発!?」

せつ菜「ならば私が止めてみせましょう!!」

せつ菜「ここは私の第二の故郷と言っても過言ではないので」

慈「あー、お気持ちだけもらっとくよ。できれば二人にはこのまま元の世界?とやらに帰ってほしいかな」

164: 2024/04/25(木) 04:27:35 ID:jA4F6mqo00
慈「止めるつもりではいるけど、万が一ってのがあるからね」

瑠璃乃「よく考えたら先に巻き込んだのはこっちなのかもってのもありますし」

ミア「そうか。とはいえ、どっちみち帰れるようになるまであと数時間はかかりそうなんだよな」

せつ菜「それにしても、ここがあなたたちの学校の地下だなんて…」

ミア「地底世界ってやつなのかな。世界の至る所にそういう伝承はあるだろ?」

瑠璃乃「この広さと充実っぷりは異様だよね」

慈「こんなの作る気合いは褒めたいけどね」

165: 2024/04/25(木) 04:29:53 ID:jA4F6mqo00
せつ菜「では、ご武運を祈ります」

ミア「達者でやれよ…シーユーアゲOン」

瑠璃乃「はい!しーゆー、あげいんっす!」

瑠璃乃(こうして第一ステージをクリアしたルリたちは次なるステージに向かうのだった)

瑠璃乃「いや…それにしても、メタ読みした挙句に盛大な勘違いとはね」

慈「結局どこからどこまでがブラックめぐちゃんのシナリオだったんだろうね」

瑠璃乃「ってか、あの人たちもスクールアイドルかぁ…エグすぎだろ個性」

166: 2024/04/25(木) 04:37:30 ID:jA4F6mqo00
慈「なんだろ。私さ、またあの人たちに会える気がするんだ」

瑠璃乃「うん、ルリも」

璃乃「って…ああ…やべ…やっぱり…じゅうでん、むりそ」

バタッ…

瑠璃乃(充電ゼロでぶっ倒れたルリはいつものごとく、めぐちゃんに抱きかかえられることになるのだ)

慈「うんうん、るりちゃんめっちゃ頑張ったね」

慈「とはいえ、この状態のるりちゃんとどう移動したものか」

ザッ…

慈「あ、あんたは…」

167: 2024/04/25(木) 19:29:18 ID:oQx/WU1U00
~???~

瑠璃乃(ふわふわと、浮かんでた)

瑠璃乃(ああ…そっか、ルリ充電きれて…)

瑠璃乃(しかもいつも以上に使い果たしてるからさ、意識も落ちてぐっすりおやすみモードってわけか)

???「そうやって、寝てる時間なんかないよね?」

瑠璃乃「んえ?ここは」

???「受け入れてもらえた。それでいいって言われた」

???「そこに嘘はない。でも、その好意に甘えていいのかなってルリは思う」

???「ゆえに、ルリあり…なんてね」

168: 2024/04/26(金) 12:37:22 ID:IG/snZokSp
瑠璃乃「…まさか」

シャドウ瑠璃乃「うん、ルリは大沢瑠璃乃のシャドウだよ。よろよろー」

シャドウ瑠璃乃「こんな形だけどさ、やっと会えたね。でもルリたちの出会いはここが一番だと思った」

シャドウ瑠璃乃「だって、ルリたちは"ルリ"だけでいた方がいいもんね」

瑠璃乃「ちがう、ルリはみんなでいると充電切れしちゃうけど、一人じゃないとダメな時はあるけど…」

瑠璃乃「みんなとわいわいやるのだって好きだ!それは胸を張って言えるよ」

シャドウ瑠璃乃「そろそろかな。じゃあ、また会おう。ルリたちだけの世界で」

シャドウ瑠璃乃「まだまだめぐちゃんのお遊びは終わらないだろうしね」

169: 2024/04/27(土) 10:17:42 ID:gADTIlwI00
③-2
藤島慈
~高速のヴィジョン見逃すな
 おばあちゃんの名は出すな~

瑠璃乃「ん…ん……」

慈「あ、瑠璃乃ちゃん起きた」

瑠璃乃「えっと、ルリは充電切れて寝ちゃって」

瑠璃乃「あれ?なんか…もふもふしてる?」

慈「ああ…うん、ルリちゃんが寝ちゃってさ、どうしようってなってた時にね」

チャウチャウ=チャウ「ワイが現れて瑠璃乃ちゃんを背負ってトコトコ、ちゅうわけや!」

瑠璃乃「おおおお!チャウチャウ!生きてたのか」

チャウ「チャウチャウ=チャウや!チャウチャウちゃう!…ってそこはもうええわ」

170: 2024/04/27(土) 10:20:56 ID:gADTIlwI00
チャウ「誰かさんらのおかげでガムテープまみれになっとったけどな、痛みを堪えて復活や」

瑠璃乃「はは、そこは誠にすみませんです」

慈「私一人でるりちゃん担いでいく、とかにはならなくて助かったけどさ」

慈「あんた四天王なんでしょ?私たちを助けていいの?」

チャウ「ブラックめぐちゃん様はテンポ重視や。課題のクリアに手を貸さなければこういう進行を手助けするのはOKやろ」

チャウ「さあ!そろそろ次のステージやで」

171: 2024/04/27(土) 10:28:02 ID:gADTIlwI00
~毒光海岸~

慈「あー、やっぱり見た目は徳光海岸なんだ」

瑠璃乃「懐かしいね。めぐちゃんが入って初めて6人でライブしたんだよ」

チャウ「ま、ぱっと見が同じだけやけどな」

チャウ「ここは毒光海岸、海水も獲れる魚も猛毒まみれのデンジャーゾーンや」

瑠璃乃「そんなところで料理勝負ってのがわけわかんないんだけど」

司会「さあ!実食!」

チャウ「はじまったようやな」

チャウ「こっからワイはただのワンコとして見守らせてもらうわ」

172: 2024/04/28(日) 03:34:25 ID:kDQFsBc.Sp
司会「まずは先に調理完了したチャンピオンの料理から」

???「お、おねげぇしますだ」

慈(鯉に手足がついた半魚人みたいなのがいる…あれが次の敵か)

↓イメージ図
no title

173: 2024/04/28(日) 03:37:41 ID:kDQFsBc.Sp
審査員A「ふむ…」

審査員A「やはり、鯉料理できましたか」

審査員A「今回も良い仕事をしていますね。臭みの強い食材を丁寧に処理している」

審査員A「魚料理は難しいんです。本当に」

審査員B「おいしいね。お魚がきらめいてるよ」

審査員C「…はい、おいしいです!」モグモグ


司会「いやー、おいしそうだね。ルビ…じゃなかった」

司会「……俺もさぁ…味見、したいんだよね(イケボ)」

???「へっへ、お粗末さまですだぁ」

174: 2024/04/28(日) 03:39:49 ID:kDQFsBc.Sp
瑠璃乃「なるほど、鯉か。なかなか渋いね」

慈「そっか、るりちゃん釣りするもんね。お魚詳しいんだ」

慈「ていうか、鯉の味って…」

慈「鯉って食べれるの?」

瑠璃乃「食べれることは食べれるかな?実はよく知らない」


司会「ということで、次はチャレンジャーの番です」

料理人「へへっ、この勝負の本質を理解した俺に負けはない」

司会「なるほど。自信があると」

175: 2024/04/28(日) 03:41:31 ID:kDQFsBc.Sp
料理人「料理人は料理のすべてを手がけるべし。単に調理の腕を磨くだけでは真の料理人にはなれない」

料理人「だから、あんたらは"あんな条件"を出したんだろ?」

司会「どうでしょうね」

司会「では、チャレンジャーの料理をどうぞ」


審査員A「これは…牛肉?いえ…まさか…」

審査員A「間違いありません!これは国産和牛ですね」

審査員B「やさしいね。やっぱり国産和牛はやさしい」

審査員C「これは…深淵の!じゃなくて…えっと…おいしいですね」

176: 2024/04/28(日) 18:35:26 ID:mVPpPznsSp
慈「案外普通に勝負してるね」

???「お、次の挑戦者はおんめぇらだで?」

慈「あ…いやー」

慈「ま、やるしかないよね。そうだよ」

瑠璃乃「やべぇ、ルリってば料理とか全然なんだが」

???「へっへ、関係ねぇだ。どっちみちオデの料理に勝てるやつなんていねぇ」

???「オデはブラックめぐちゃん四天王の一角、"最高潮の包丁人"チューチュー=マッゴイなんだな」

慈「マッゴイ?あ、真鯉だからか」

瑠璃乃「ここまで模様がついてたらもはや錦鯉なんだけどね」

177: 2024/04/28(日) 18:37:58 ID:mVPpPznsSp
マッゴイ「この勝負も…いただきなんだな」

司会「それでは判定どうぞ!」

ーーーーーーーーーーー
チャンピオン◯◯◯

チャレンジャー
ーーーーーーーーーーー

司会「文句なしの完封!またもや連覇達成だよ!」

審査員A「これほどまでの腕、達するには尋常ならない努力を重ねたのでしょう」

審査員A「心は堅く、石を穿つような…努力を」

審査員B「きょうは鯉を食べました。おいしかったです」

審査員C「ゴホゴホ…えっと、喉の調子?が悪いので私のコメントはいいです」

178: 2024/04/28(日) 18:41:00 ID:32d4DwsgSp
司会「さあ、マッゴイさん。これで99連覇達成。あと1勝で100連覇となりますね」

司会「まさに向かうところ敵なし。よっ!最高潮の包丁人」

マッゴイ「それほどでもねーだ。オデはオデの料理を食って笑顔になる人が見れてうれしいだ」

慈「あれ?意外といいやつなのか」

マッゴイ「それに、オデの一番の目的は…」

ガシッ!

料理人「ひいっ!」

慈(さっきの勝負で負けた料理人に抱きついた?)

179: 2024/04/28(日) 18:42:58 ID:4eQvJ22.Sp
マッゴイ「敗北に歪んだ、イキのいい料理人の魂を、チューチューすることなんだなぁ!」

チュウウウウウウ

料理人「ギャアアアアアアアアアアア!!」

慈「………」

チャウ「あ、ワイはしばらくここ離れるんで」

慈「…………まて」

チャウ「堪忍してや」

慈「いやいやいやいや、私たちがあれに勝てるわけないじゃん!チューチューされるの?アレに?」

180: 2024/04/28(日) 18:45:56 ID:r.0KZ/ewSp
瑠璃乃「え、えっと…ルリは、ルリはああいうのも別にオーケ…うぶっ」

慈「るりちゃんの優しさを生理的嫌悪が上回っただと…」

マッゴイ「おんめぇら!オデがこんななりだからって馬鹿にしてるだな!」

マッゴイ「ま、いいだ。こんの料理勝負でおんめぇらの魂もチューチューさせてもらうだ」

司会「おおっと!早くも挑戦者とチャンプの熱いやり取りが繰り広げられているぞ!」

マッゴイ「おっと、オデとしたことが取り乱しただ」

マッゴイ「すんまね。司会の嬢ちゃん」

司会「OKOK、決着は料理でつけるってことだね」

181: 2024/04/29(月) 11:45:22 ID:59rKMQus00
瑠璃乃「あの、挑戦なんですが…今から取りやめとかは」

司会「うーん、多分なんだけどあなたたちは挑戦するしかないんじゃないかなって思うよ」

司会「ほら、書いてあるし」


~~~~鍵の入手方法~~~~~

チャンスは1回

勝て、以上

~~~~~~~~~~~~~~~

瑠璃乃「さっきのところの捻り具合どこいった!」

慈「裏も何もあったもんじゃない文じゃん」

182: 2024/04/29(月) 11:46:50 ID:59rKMQus00
司会「…えっと、このまま挑戦ってことでいいよね」

慈「仕方ないのでやりますよ。はいはい」

司会「じゃあ対戦開始だよ。ではでは、ルールはこちらだ!」


・使える食材は対戦開始以降に確保したもののみ

・使える調理器具は会場にあるもの、および対戦開始以降に確保したもののみ

・確保とは動植物の捕獲、金銭による購入、他者から
の譲渡、自身による作成のいずれかに該当するものとする

・両者の料理が揃い次第、審査を開始する

・審査の順番は調理完了した順とする

・審査員3名の投票により勝敗を決定する

183: 2024/04/29(月) 11:48:22 ID:59rKMQus00
慈「えーっと、んん?」

瑠璃乃「めぐちゃん、全部読める?ルリが説明しようか?」

慈「……あー…大丈夫…大丈夫?」

瑠璃乃「疑問が隠せてないのだが!?梢先輩の大丈夫よりも心配だよ」

司会「簡単に説明すると、食材も道具もこっから先に自分たちで手に入れたものしか使えないってルールです」

慈「ああ、現地調達してくださいってことね。オーケー」

司会「で、料理ができたらここに持ってきてね

司会「両方の調理が揃ったら審査員がさ…味見、しちゃうんだよね」

司会「では料理対決スタート!えい、えい、おー!」

184: 2024/04/29(月) 23:03:47 ID:xXO/QjDISp
~海岸付近~

瑠璃乃「…ねえ、これめっちゃピンチじゃない?」

慈「…まったく、なんなんだよこれ」

瑠璃乃「どうしようか?素直に料理する?」

慈「犬っころぉ…なんとかなんないの?地面操れるんでしょ?ほら地面グニャグニャするやつとかであの鯉倒せない?」

チャウ「いやー、それはさっきも言ったけどルール違反でな」

チャウ「こうなったらもう手は貸せへんのや」

「お困りかい?若いの」

慈「ん?誰ですか…って…」

185: 2024/04/29(月) 23:14:42 ID:q20KeLzkSp
船長「必要なのは食材?道具?どっちにしても私なら力になれると思うよ」

慈「お若いのって…」

慈(またもや見た目は私と年がそんなに変わんないのが)

船長「このままじゃ君たちも負ける。それは気づいてるよね?」

船長「賭ける価値のある作戦がある、と言ったら乗る?」

慈「罠かもしれないけど……乗る以外ないか」

瑠璃乃「なんか怪しいなってルリも思わなくもない」

186: 2024/04/30(火) 20:17:37 ID:8BdVGs4gSp
船長「まあまあ、そんなに警戒しないで。私たちもそろそろ本来の任務に戻りたいだけなんだよ」

慈「本来の任務?」

船長「…詳しいことは場所を変えて話すよ。さあ、乗って乗って」

瑠璃乃「乗ってって…」

船長「もちろん船にだよ」

慈「え?なにいきなり!?」

船長「では!全速前進、ヨーソロー!!」

187: 2024/05/01(水) 12:27:31 ID:1p0d6UTISp
~船上~

船長「さて、乗ってもらったわけだが…」

瑠璃乃「………」

慈「………」

船長「どうしたの?」

慈「あの、船に乗るのになんで防護服とゴーグルとゴム手袋のフル装備を?」

船長「あー、これね」

船長「このあたりの海は猛毒、獲れるものも猛毒ってのは聞いてるよね…だからさ、たとえばうっかりなんかものを落としたりすると」

ポチャン…

慈(船長さんが持っていた石を海に落とすと…)

ジュウウウウウウウ……

慈「へ?」

瑠璃乃「とけ…た?」

188: 2024/05/01(水) 12:29:11 ID:1p0d6UTISp
船長「いやー、私も見た時に驚いたのなんの」

船長「万が一にも体に海水がかかったら一大事さ」

慈「そのための重装備ってことなのか」

船長「……こんなんじゃまともに魚も獲れないよね。この船みたいに毒に耐えられる素材の道具を使えば獲れるんだけど」

瑠璃乃「獲ったところで猛毒の魚をどうすんだって問題が」

船長「そう、つまるところ普通にやるなら海のものは使えないんだ」

慈「あの、じゃあなんで船に乗って海に出たんでしょうかという疑問が」

189: 2024/05/02(木) 08:24:03 ID:c4HBKFe2Sp
船長「…その指摘はもっとも。言ってみれば人払いかな」

船長「今から話すことは、あんまり聞かれたく無いんだ」

慈「怪しい人ってのは当たりだったわけだ」

船長「私から君たちにお願いしたいことは一つ、どんな形でもいいから相手よりも先に料理を完成させてほしい」

慈「あの、それはいったい」

船長「そうすれば勝てるようにするよ、私たちが」

慈「私…たち?」

190: 2024/05/02(木) 08:25:03 ID:c4HBKFe2Sp
船長「すでに手は回してある。会場に協力者がいるんだ」

船長「と言っても、勝敗を変えられるほどの手回しはできなかったけどね」

瑠璃乃「じゃあ、先に料理を作っても結果おいしくないなら負けちゃうんじゃ」

船長「そこは私たちの頑張り次第ではあるんだけど、先に作るって条件だけなんとかしてほしいんだ」

慈「そうは言ってもね…」

慈「あなたが挑戦者をすればいいんじゃないの?」

船長「それが妙なんだよね。私たちが挑戦しようとしても取り合ってもらえないというか…」

船長「それぞれなんとか入れる役割を見つけたけど、挑戦者になれる人が必要だったんだよね」

191: 2024/05/02(木) 08:27:44 ID:c4HBKFe2Sp
瑠璃乃「はぁ…」

船長「さっきの料理人さんにも話はしたんだけど、俺の料理の腕を馬鹿にしてるのかーって怒られてさ」

船長「ここに来てから踏んだり蹴ったりだよ。って、いつもこんな感じか私たちは…あはは」

慈「まさか…」

瑠璃乃「うん、ルリも思った」

慈「あの、つかぬことをお聞きしますが…もしかして外から来た方々だったり」

船長「ん…外?……ああ!そっちもなんだ」

船長「そっかそっか、そっちも訳ありかぁ」

192: 2024/05/03(金) 04:21:42 ID:bR5m.W8gSp
瑠璃乃「…おおう、ここでもか」

慈「なにやってんだよ…もう一人の私」

慈「しょうがない。巻き込んじゃった感もあるし、協力するよ」

船長「そっか、ありがとう」

瑠璃乃「でもさ、先に料理するって何を作るの?今から食材を集めて、それですぐに作れるものって」

船長「なんか欲しいものがあるなら言ってよ。これでも食材は一通り集めているんだ。私からの譲渡ならルール的にもオッケーのはず」


「お、おーっと!チャンピオン、普段よりもだいぶ早い調理開始だ」


船長「…え?」

193: 2024/05/03(金) 23:00:29 ID:icr5CaeQSp
慈「ちょっと!もう調理始めてんの?」

船長「あ…あれー、おかしいな。いつもはもっと遅いのに」

瑠璃乃「と、と、と、とりあえず戻ろっ!」

~会場~

慈「戻って来れた…けど」

瑠璃乃「ぜい…ぜい…息が苦しい…」

司会「え…えーっと…普段よりもだいぶ早い調理開始をしたチャンピオン!いつも通りの丁寧な下ごしらえです!」

司会「おっ!チャレンジャーも戻ってきました!いつもよりハイペースな戦いになりそうだ」

194: 2024/05/03(金) 23:02:57 ID:icr5CaeQSp
慈(船長さんによるとこの会場にいる協力者は2人、一人はステージでワタワタしてる司会の子)

慈(そして、もう一人は)

審査員C「…」

慈(口数少なく座ってる審査員の子)

マッゴイ「戻ってきただな。おんめぇらが何企んでっか知らねーだで、先に作らせなきゃ作戦もなんもねーだな」

慈「くっ…」

慈「って、あれ?」

瑠璃乃「どうすんのめぐちゃん!まだルリたち食材の確保もできてないんだよ」

195: 2024/05/03(金) 23:04:12 ID:icr5CaeQSp
長「とりあえず今すぐ出せるものだけでも出すよ」

慈「そうするしかないか…」

慈(まさに絶体絶命。こんな状況からどうやって先に料理を作れば…)

慈(と、その瞬間だった。勝負のルール、なんだかややこしい文の羅列のとある一節が私の目に入ってきた)

慈「あ…」

慈(走る…めぐちゃんに…電撃走るっ!!)

慈「あのさ…もしかしてなんだけど、私がそう読んじゃっただけなのかもしれないけど」

船長「ん?なに?」

196: 2024/05/04(土) 20:43:12 ID:Dj/mpxkcSp
船長「ん?なに?」

慈「こう解釈しちゃうのはアリなのかなってのが」

瑠璃乃「聞きたい!こういうときのめぐちゃんの閃きは大抵当たってるんだ」

慈「えっとね…」

慈(突拍子もない解釈を、そこから導き出される最速で料理を作り上げる案を、二人に伝える…もちろん他の人には聞こえないように)

船長「…な、なるほどね」

慈「いやー、やっぱりこんなのはやめて」

船長「乗ったよ!それでいこう!ステージにいる協力者にはその場で察してもらうしかないけど…いけるいける」

197: 2024/05/04(土) 20:45:08 ID:Dj/mpxkcSp
瑠璃乃「これを…本当にやるの?」

船長「うまくいけば面白いことになる。それに…」

船長「ゼロからイチを作るっていう発想が気に入ったからね!」

瑠璃乃「いやいやでも、さすがにこれは」

船長「用意するものがそれ一つならすぐにできるしね」

慈「…腹くくるしかないか」

慈「いくよるりちゃん!かぐや姫の次は裸の王様だ!」

瑠璃乃「それ、ろくな結果にならないフラグ立ってない?」

198: 2024/05/04(土) 21:23:38 ID:Dj/mpxkcSp
慈(私たちは調理台に向かう…数々の不安要素を悟られないように)

瑠璃乃「めぐちゃん…ルリ、寒くもないのに手足の震えが止まんねーんだが…」

慈「笑顔で胸を張るんだよ。こういう時こそ笑うのが真の強者ってやつなのさ」

瑠璃乃「…そうだね。ここで踏ん張れなきゃ天下は取れないってルリは思う」

瑠璃乃「ゆえに、ルリあり!どこまでも駆け抜けようぜ」

慈「行くよ、みらくらぱーく!最強!」

瑠璃乃「おうよ、みらくらぱーく!最強!」

199: 2024/05/04(土) 21:25:13 ID:Dj/mpxkcSp
慈(大丈夫…私はこんな場面を何度も切り抜けてきた)

慈(それに、今の私の隣には最強で最高の相棒がいるんだ!)

慈(さあ、はじめよう!私たちのステージを)

慈「あー、ちょっと司会さん。マイク借りてもいい?」

司会「あ、どど、どうぞどうぞ」

慈(まずは、船長さんがあれを持って来るまでの時間稼ぎと相手の進行妨害、やってやる)

慈(盛大にはったりをかましてやれ!)

200: 2024/05/05(日) 14:38:11 ID:YjgIKhFISp
慈「みんなー!ハロめぐー!めぐちゃんたち、これから料理始めまーす!」

慈「めぐちゃん特製のTKGとか作ってもよかったんだけどー、みんなに早くめぐちゃんの料理見てもらいたすぎて…」

慈「って、お相手さんもう料理はじめてる!センコーレッシャだよ!」

瑠璃乃「電光石火って言いたいのかな…?」

アハハハハハ

慈「いや知ってたよ!デンコウセッカとも言うね!」

慈「じゃあ今日はめぐちゃんもデンコーセッカの超絶時短レシピを公開しちゃうぞ!」

201: 2024/05/05(日) 14:41:38 ID:YjgIKhFISp
マッゴイ「おい、おんめぇら!騒がしいだまじめにやれ!」

慈「おやおや、お魚さんが食いついてきたぞ」

慈「……こわいのかなぁ?負けちゃうのが」

慈「て言いますか~、手が止まっちゃってますよ?いいんですか?先にめぐちゃんたちが料理作っちゃいますよ?」

マッゴイ「おんめぇら、頭いかれたか?料理なんてどうやってすんだ?食材のひとつも持ってきてねぇで」

慈「食材?そんなの作ればいいんだよ」

慈「こうやってね!」ヒューン

慈「ちゃんと聴いていってね、めぐちゃんのラップスタートなのだぁ!」

202: 2024/05/05(日) 14:47:32 ID:YjgIKhFISp
【慈】
あらまどうしよう?思考逃避行
ってのはトーシロー、しよう御指導
チョーチョー高機動、勝利の料理を
大変未体験で超希少見よー!

ハートが沸く沸くバクバク面白い
私たちが作るわくわくとドキドキ
それがみらぱの最強食材さ
調理はじめるよ愛をちょうだいな

https://suno.com/song/6034999a-a508-4380-abc8-c5b8c9eb76ab

203: 2024/05/05(日) 14:51:24 ID:YjgIKhFISp
慈「ご覧あれ!これが…」

瑠璃乃「みらくらぱーく!の作る…」

慈&瑠璃乃「「ワクワクと、ドキドキだ!」」

キュウウウウウウウン

慈(会場に溢れる何かが、集まってくる)

司会「すごい!よくわからないですが!前代未聞の事態です」

マッゴイ「なんだその怪しげなもんは!ワクワクだがドキドキだか知んねーだが、そんなもん食材して認められるもんか」

204: 2024/05/05(日) 14:55:15 ID:YjgIKhFISp
慈「おいおい、このワクワクとドキドキは私たちが作ったものだよ。だったら食材として認められるんじゃないかな?」

マッゴイ「なーに、わけわからないことを…」

司会「いえ、認められます」

司会「ルールにのっとれば使える食材の条件は"対戦開始以降に確保したもの"のみ。そして」


・確保とは動植物の捕獲、金銭による購入、他者から
の譲渡、自身による作成のいずれかに該当するものとする


司会「"自身で作成した食材"が確保したものかどうかはこの一文に書かれています」

司会「もっとも、自身で作成というのは調理器具を想定して付けられた文言ですが…セーフはセーフです」

205: 2024/05/06(月) 11:18:53 ID:i00r0kNY00
マッゴイ「なら、それでもいいだが…そんなもんを使った料理なんぞオデが叩き潰してやるだ」

船長「おーい!これ、頼まれてたやつ!これだけでいいんだよね」

慈「お、ありがとう!これだけは調達してもらわないとなんだよね」

マッゴイ「調理…再開だぁ!30秒もあれば完成だでな」

慈「30秒…?ならもう追いつけないよ。私たちなんか無視して調理してればあるいは先に終わっただろうけどね」

慈「よっしゃ仕上げるよ!るりちゃん!」

瑠璃乃「いつものあれだね、了解!!」

206: 2024/05/06(月) 11:20:33 ID:i00r0kNY00
慈(そうさ、こっから秒で終わる、終わらせる!)

慈(超加速だ、時間の流れをすり抜ける超加速で!やってやる!)

慈「いちっ!ワクワクはすり切り一杯っ!」

慈(集まったワクワクを大きめの計量カップですり切り一杯!ここまで2秒!)

瑠璃乃「に!ドキドキはお好み適量っ!」

慈(るりちゃんががばっとドキドキを取ってボールへ、ここまで3.5秒)

慈「さんっ!いちとにをっ!ハートに入れてっっ!」

瑠璃乃「よーく、かき混ぜますっっ!!!」

ブァン!ブァン!

慈(ワクワクとドキドキを、ハート型の容器にいれてよくかき混ぜる!加速して、加速してるから、ちゃんと混ざった!…7.5秒)

207: 2024/05/06(月) 11:21:52 ID:i00r0kNY00
瑠璃乃「よんっ!シュガーは思ってる…3ばああああいっ!?」

慈(勢いをミスったんだろう、るりちゃんが持っていた砂糖の袋、船長さんが持ってきたやつ…の中身をまるまる盛大にハート容器にぶちまけた)

慈「るりちゃ…」

瑠璃乃「」グッ !

慈(無理矢理の笑顔サムズアップ!心配すんなってことか…)

慈(そうだ!このどう考えても糖尿病まっしぐらのこれを!大沢瑠璃乃の思ってた3倍にしてやれ!…ここまで9秒!)

慈「ごぉっっ!熱いので4は冷やして!」

慈(るりちゃんが開いていた冷蔵庫へとハート容器をシュート!oh!エキサイティン!!…11秒)

208: 2024/05/06(月) 11:23:40 ID:i00r0kNY00
慈「ろくっ!」

瑠璃乃「まてなくってええええ!!」

慈(るりちゃんが冷蔵庫から即座にハート容器を取り出す!)

慈(それと同時に私は備え付けの調理用バーナーを手に駆け出す!)

慈「こんがり焼いたらああああああああ!!!!」

慈(汚物は消毒だああ!のテンションで火炎放射!あってよかった調理用バーナー)

ブモオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

慈(…火力強くない?これ調理用じゃなくね?)

209: 2024/05/06(月) 11:26:29 ID:i00r0kNY00
瑠璃乃「おいっ!ちょっ、まてええっ!それただの火炎放射器!」

瑠璃乃「熱いっ!ルリごと焼けちゃうんだが!」

慈「あー、うん…がんばって!」

瑠璃乃「がんばるけど!やるけど!」

慈(まいっか、結果はやるまえからわかってたよね?みんな)

慈(以上、記録15秒でございます)

210: 2024/05/06(月) 11:30:52 ID:i00r0kNY00
慈「はぁはぁ…やっぱり」

瑠璃乃「また…」

司会「失敗!調理失敗だぁ!完成を急いだか!?」

マッゴイ「……」

慈(やりきった、やりきったよ)

瑠璃乃「めぐちゃん…これ…」

慈「どうしよっか」

慈(るりちゃんの手には、バーナーの火に炙られて溶けた砂糖の塊の下で未知の物質がグツグツと煮えたぎる)

慈(ハート型の地獄絵図があった)

211: 2024/05/06(月) 23:09:00 ID:i00r0kNY00
マッゴイ「調理完成だ」

慈「あ、どもです」

マッゴイ「…終わりでいいだな?」

慈「あーっと」

慈(先に調理を終えればいい、それさえクリアしてくれればいい、そういう話だったからやったけど)

慈(このハート地獄絵図から勝てるヴィジョンが見えない)

審査員C「いえ、終わりではないわ!」

審査員C「作られた料理があるなら食す、それが審査員としての私の定め」

212: 2024/05/06(月) 23:12:06 ID:i00r0kNY00
審査員C「…いただくわ。その失敗作とやら」

慈「あ、いえ…ん?」

慈(船長さんが身振り手振りで指示を…つ、づ、け、て?)

瑠璃乃「めぐちゃん…あの船長さんの動きは」

慈「そうだね。OK…じゃあ、続けさせてもらいますか」



慈「聞きたいんだけど、審査員さんは、これが失敗作じゃないって言いたいの?審査する価値のある料理だって言いたいの?」

審査員C「そうよ。それは立派な一つの作品。この世に生まれ落ちた可能性という名の獣」

213: 2024/05/07(火) 20:06:05 ID:PwkNPGKk00
審査員C「その可能性を摘み取ってしまうのは七つの大罪にも匹敵する愚行…ゆえに、私が食しましょう」

司会「さすがです。よっ!審査員の鑑!」

審査員C「ふふっ、当然よ。そんなに褒めることではないわ」

司会「では残りお二人はどうします?」

審査員A「私もいただきましょう。単純に好奇心からですが」

審査員B「ボクも食べたいな。ワクワクとドキドキを」

司会「ではチャレンジャーの料理も審査対象ということで、完成順のため先にチャレンジャーのから審査でよろしいでしょうか?」

マッゴイ「ふん、勝手にしろだ」

司会「では、実食!」

214: 2024/05/07(火) 20:08:20 ID:t3hruFOUSp
審査員A「さて、食べると言ったものの」

審査員A「いざ目にしますとその…」

審査員B「きれい」

審査員A「え?」

審査員B「きれいな、飴色だね」

審査員A「あ…そうですね。言われてみれば砂糖が溶けて…」

審査員A「ふふっ、綺麗に見えてきました。不思議です」

審査員C「ま!言い出したからには私が最初に食べるわ」

パクッ

審査員C「う…」

215: 2024/05/07(火) 20:09:19 ID:t3hruFOUSp
審査員C「ううっ…ゔっ!」

瑠璃乃「お…おおっと…やべえ雰囲気がぷんぷんしてる」

慈「やっぱり、食べられるようなもんじゃなかったか」

審査員C「うんまああああああい!!」

瑠璃乃「え…?」

司会「ちょっと!それはルビ…じゃなくて私の持ちネタ!…でもなくてええっと!」

審査員C「な、なによこれ!砂糖とよくわかんないもんの混合物からなんでこんな味がすんの!?」

審査員C「情けと気遣いで食べてあげようって思ったけど全然いけるじゃない!これを失敗にしたのがむしろ失敗よ!」

216: 2024/05/07(火) 20:17:50 ID:t3hruFOUSp
司会「感激したのはわかるけど、本音でちゃってるよ!」

審査員A「そんなにですか?では私も」

審査員B「ボクも」

パクッ、パクッ

審査員A「こ、これは…まるで、色の褪せた帰り道で頬を木枯らしがなでるような…」

審査員B「こうして、ずっとこの時間が続けばいいなって思う、そんな味なんだ」

審査員A「なるほど、ワクワクもドキドキもひと時の感情…時間が経てば消えてしまう。調理には時間をかけられない…」

審査員B「だから、キミたちはあんなに急いでいたんだね」

217: 2024/05/07(火) 20:20:26 ID:t3hruFOUSp
審査員A「そんなワクワクとドキドキをただ取り扱うだけでなく、冷やしたり焦がしたりすることで、その裏にある味をも引き出した」

審査員B「あんな大量の砂糖を使いながら、ただ甘いだけじゃなく色とりどりの味に仕上げた…この味は言葉じゃたりない」

慈「……」

慈「そ、そうさ!その通り!」

慈(作った人、そこまで考えてませんでしたよ)

瑠璃乃「これならいけるかも!」

慈「そうだね。普通にこのまま勝てるかも」

マッゴイ「やれやれ、こいつは驚いただ」

218: 2024/05/08(水) 14:07:30 ID:8PjE6tj.00
マッゴイ「やれやれ、こいつは驚いただ」

マッゴイ「だけんど、料理じゃ負けねぇ。さあ、食ってけれ」

司会「そ、そうですね。では実食」

審査員A「やはり今回も鯉、ですか」

マッゴイ「んだ」

審査員A「ふむ…もはや99戦を通して疑いようのない実力を皿に込めている…お見事です」

審査員B「今日は2回鯉を食べました。おいしいです」

審査員C「そ、そ、それでは私も…」

慈「……ん?」

219: 2024/05/08(水) 14:09:05 ID:8PjE6tj.00
慈(なんだろう協力者の審査員さんの様子が)

司会「……」

船長「……」

慈(心なしか船長さんと司会さんも)

審査員C「いただきます」

パクッ

審査員C「う…」

審査員C「ううっ…ゔっ!」

マッゴイ「うまくて声も出ねぇってか」

220: 2024/05/09(木) 08:16:52 ID:MlqizgW6Sp
審査員C「ゔぁっ……」

バタッ…

慈「……あれ?」

審査員A「ど、どうしたんですか!」

審査員B「ねぇ…これ…」

審査員A「ひぃっ!」

瑠璃乃「手足の先からどんどん紫色になってる」

マッゴイ「ま…まさか…そんな…」

マッゴイ「オデが…失敗した…のか」

221: 2024/05/09(木) 08:19:15 ID:MlqizgW6Sp
司会「なにか心当たりがあるようですね」

マッゴイ「ち、違う!こんなはずねーだ!」

マッゴイ「まさか…オデ、オデ…」

マッゴイ「油断…しちまった…のか」

司会「とりあえず!この審査員さんは至急で救護室へ!」

ザワザワザワザワ

瑠璃乃「ねえ、めぐちゃん?そういえば、料理を作った後のことって聞いてる?」

慈「なんてことを…」

慈(全速力で、客席で顔をしかめている船長さんへ駆け寄る)

222: 2024/05/09(木) 08:21:43 ID:MlqizgW6Sp
慈「……話して。全部」

曜「そうだよ…これは全部、私たちが仕組んだこと」

曜「ごめん、ここまでしないとこじ開けられないって思ったんだ」

曜「まさか、君たちがあそこまでのものを作るなんて…これはもう、やり過ぎを超えてるよね」


『ゔあああああ!オデは!オデはあああああ!』


瑠璃乃「お相手さんが!どんどん大きく」

船長「こうなったら、もうやるしかない」

ピッ…

慈(船長さんがブレスレットのボタンを押した)

223: 2024/05/09(木) 22:11:40 ID:S74oNtZQ00
船長「こちらライトブルー、作戦ですが…はまりすぎて逆に失敗しました」

船長「はい、ブラックはピンクが救助しました」

船長「コード…シャゼリア☆キッスを要請します!」

慈「あの…あなたたちはいったい」

『ゔおお!オオオ…オオオオぁぁああア゛゛あああ!!』

慈(巨大化したマッゴイが、錯乱して暴れている)

グオオオン!

審査員A「危ない!」

審査員B「っ!」

224: 2024/05/09(木) 22:12:34 ID:S74oNtZQ00
慈(無造作に振り回された腕が審査員さんのギリギリをかすめる、なんとか避けたみたいだけど)

瑠璃乃「やべえよ…こんなん…」

慈「しょうがない!また、私が」ヒューン


『まてーーーい!』


慈「ん?」

瑠璃乃「めぐちゃん!あそこ、なんか出てきた」

225: 2024/05/09(木) 22:15:46 ID:S74oNtZQ00
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

西暦20XX年、世界は混沌に疲れ切っていた…!

しかし、その混迷の暗雲を打ち払い、迷える人々の希望となるべく、燦々と輝く瞬きがあった!!

これは蓮ノ空のSSだろ、なんでこいつらが出てくるんだ?

そんな些細なことは気にするな

ヒーローとヒーロー!まだ誰も見たことのない共闘を!!!

作品の壁を超えた!!熱き血潮の交わりを!!!!

見逃すなんてえええええええ!……あ り え な い !


特別編『お騒がせのあいつらがやってきた!~シャゼリア⭐︎キッス vs みらくらぱーく!白昼堂々の大激戦~』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

226: 2024/05/09(木) 22:16:29 ID:S74oNtZQ00
♪デデッデーデデデー!

从c*・ヮ・§『みかん色!』

メイ*σ _ σリ『サクラピンク!』

∬(_c||^ヮ^|| 『エメラルドグリーン!』

|c||^.- ^||『レッド!』

(*> ᴗ •*)ゞ『ライトブルー!』

¶cリ?・ヮ?・)|『ブラック!』

ノcノ,,・o・,,ノレ『イ工口ー!』

ノξソ^ω^ハ6『バイオレット!』

⌒°( ・ω・)°⌒『ピンクぅ~~~!』

ワーオ!!

\シャーゼリア⭐︎キッス!/

227: 2024/05/09(木) 22:18:05 ID:S74oNtZQ00
\ゴー!/

从c*・ヮ・§「ダッシュで駆けつけてやったのだぁ!おい!」

ノξソ^ω^ハ6「またまたマリーのパワーが役に立ったわね。持つべきものは金!権力!人材よ!」

|c||^.- ^||「がんばりましたわねピンク!帰ったら髪を乾かしてあげるのですわ」

∬(_c||^ヮ^|| 「また断られるだろうけどね」

(*> ᴗ •*)ゞ「いやー、今回はわれわれ三人の不甲斐なさをカバーされっぱなしであります!」

メイ*σ _ σリ「気にしないで。そもそもは私が無理矢理お願いしたんだから」

228: 2024/05/09(木) 22:19:29 ID:S74oNtZQ00
瑠璃乃「あの、あなたたちは一体」

ノcノ,,・o・,,ノレ「シャゼリア☆キッス…混沌に疲れ切った世界を救うために戦うヒーローずら」

¶cリ?・ヮ?・)|「色んな意味であなたたちの先輩ではあるけど、詳しくは言えないの。ごめんなさいね」

⌒°( ・ω・)°⌒「ここは私たちに任せてほしい。あと、そうだね言いたいことは」

⌒°( ・ω・)°⌒b「背中を…私たちの背中を見な!」


慈「ていうかその…」

(*> ᴗ •*)ゞ
¶cリ?・ヮ?・)|
⌒°( ・ω・)°⌒

慈「そこの三人はなんで混ざってるの?って聞いてもいい?」

229: 2024/05/09(木) 22:21:10 ID:S74oNtZQ00
瑠璃乃「てか、ブラックさんはさっき紫になってぶっ倒れたんじゃないの!?」

ノξソ^ω^ハ6「実はねー!ブラックはここのお魚さんの毒に当たってあんなことになったのよー」

∬(_c||^ヮ^|| 「私たちの調べによるとあのマッゴイさんは鯉と偽ってここの魚を出してたんだ」

|c||^.- ^||「理由を本人から聞き出してから対処しようとも思ったのですが」

慈「いや、あの…一つ質問よろしいですか?」

从c*・ヮ・§「いいぞ!」

慈「今まで何度も審査して毒で倒れたりしなかったのに、そんな都合よく毒に当たるわけないですよね?」

230: 2024/05/09(木) 22:34:18 ID:S74oNtZQ00
从c*・ヮ・§「………」

慈「しかも食べた本人ぴんぴんしてますが?」

从c*・ヮ・§「…ライトブルー」

(*> ᴗ •*)ゞ「この人たちは協力者だから隠さなくてもいいかと思うであります」

从c*・ヮ・§「あー、そういうことね。おけおけ」

从c*・ヮ・§「正直に言いますと、毒を入れたのは私たちです」

瑠璃乃「はい?」

231: 2024/05/09(木) 22:35:21 ID:S74oNtZQ00
从c*・ヮ・§「こっちに三人が来てすぐの時にね、ブラックがたまたま猛毒のお魚を間違えて食べちゃったのだ」

瑠璃乃「たまたまで食べるとかどんだけ運悪いんだよ」

メイ*σ _ σリ「私が緊急で向かってもらうように三人に頼んでたから情報不足だったのもあるけどね」

¶cリ?・ヮ?・)|「危なかったわ。体がどんどん紫色になって、さすがの私も命の終わりを覚悟した」

⌒°( ・ω・)°⌒「で、慌ててバイオレットに連絡してお医者さんをこっちに呼んでもらったの」

ノξソ^ω^ハ6「うちの医者は銀河クラスの名医なの。絶対に失敗しないの」

232: 2024/05/09(木) 22:36:44 ID:S74oNtZQ00
ノcノ,,・o・,,ノレ「そのおかげであの鯉さんが出してるのが猛毒の魚だとわかったし、解毒薬も作れたずら」

(*> ᴗ •*)ゞ「で、どうせだから一芝居打って相手を自白に追い込めないかなーと思った次第であります」

¶cリ?・ヮ?・)|「一番危ない橋渡ったのは私なんだけど!解毒薬があるからってなんで私がまた食べなきゃなのよ!」

⌒°( ・ω・)°⌒「くじ引きでハズレ引いたのがブラックだからね」

慈「つまり自作自演の茶番ってわけね」

瑠璃乃「やってることがヒーローのそれじゃない気がするんだが?」

233: 2024/05/09(木) 22:37:51 ID:S74oNtZQ00
从c*・ヮ・§「一刻も早く止めるために、もはや手段を選んでなんて選んでいられなかったのだ。茶番なのは否定しないのだ」

慈「で、私たちが予想を超えるものをお出ししたところに、その茶番が炸裂して自分が油断したせいでやらかしたと思い込んだ」

慈「…その結果があの巨大化した」

『ヴォォオオオオ゛オ゛おおおお!!』

慈「モンスター鯉さんってわけか」

瑠璃乃「このまま放っておくわけにもいかないよね」

234: 2024/05/10(金) 20:44:20 ID:/Dic1NNYSp
从c*・ヮ・§「古来よりこういうときの解決方法は決まっているのだ」

从c*・ヮ・§「ずばり…ぶっ叩いて直す!」

从c*・ヮ・§「いくよ、ライトブルー!ピンク!」

从c*・ヮ・§「とおっ!」

(*> ᴗ •*)ゞ⌒°( ・ω・)°⌒「オッケー!とおっ!」



从c*・ヮ・§(*> ᴗ •*)ゞ⌒°( ・ω・)°⌒「ロケットパンチー!」

グオオオオオオオオ!!

瑠璃乃「おおっとぉ!名前からしてパンチが飛んでいくように思わせてからの、ロケットのごとく突貫してパンチをするというフェイントだああああ!」

慈「…これ、ロケットパンチじゃなくない?」

235: 2024/05/10(金) 20:47:41 ID:/Dic1NNYSp
c||^.- ^||「わたくしたちも行きますわよ!エメラルドグリーン!イ工口ー!」


∬(_c||^ヮ^|| ノcノ,,・o・,,ノレ「オッケー!!」


|c||^.- ^||「刮目してご覧なさい!つつじよりも可憐に赤く燃えるわたくしたちの輝きを!」


|c||^.- ^|| ∬(_c||^ヮ^|| ノcノ,,・o・,,ノレ「ファイヤーキーック!!」

ウギャアアアア!

瑠璃乃「なんとぉっ!火力!火力だよ!やっぱ火力はいいね!」

慈「もしかして、さっきのバーナーのこと根に持ってる?」

236: 2024/05/10(金) 20:50:16 ID:/Dic1NNYSp
¶cリ?・ヮ?・)|「準備はできてるかしら?バイオレット、サクラピンク」

ノξソ^ω^ハ6「オー、イエス」

メイ*σ _ σリ「さあ、いきましょう!」

¶cリ?・ヮ?・)|ノξソ^ω^ハ6メイ*σ _ σリ「スーパージャンプ!」

瑠璃乃「跳んだああああ!」

慈「いや跳んでもな」

瑠璃乃「ふっふっふ、こういうのはそっから次に繋げるんだよ」

237: 2024/05/10(金) 21:03:09 ID:/Dic1NNYSp
¶cリ?・ヮ?・)|「その通りよ!」

ノξソ^ω^ハ6「マリーたちと地獄でパーフェクトハーモニーしましょう!」

メイ*σ _ σリ「喰らいなさい!すべてを砕く断罪の雷!」

¶cリ?・ヮ?・)|ノξソ^ω^ハ6メノ^ノ。^リ「サンダーチョーップ!」

ギャアアォアアアアアァァ!

瑠璃乃「おお!でんきはみずにこうかばつぐんだ!」

慈「ちくしょう、わかってしまうのが悔しい」

ウ…ヴァアアア!

从c*・ヮ・§「今だ!一気に決めよう!」

238: 2024/05/10(金) 21:07:21 ID:/Dic1NNYSp
从c*・ヮ・§「みんな!悩みをぶっ飛ばすようなイメージをするのだ!」

8人「了解!」

キュウウウウウウウウアアアアン

瑠璃乃「9人の体が輝いている!?」

慈「よくわかんないけど、すごい!」

从c*・ヮ・§「これが、私たちの魂!ゼロからイチへと踏み出すステップから続く奥義…」

从c*・ヮ・§ メイ*σ _ σリ ∬(_c||^ヮ^||
|c||^.- ^|| (*> ᴗ •*)ゞ ¶cリ?・ヮ?・)|
ノcノ,,・o・,,ノレ ノξソ^ω^ハ6 ⌒°( ・ω・)°⌒

『Aqoursパンチ!!!!!!!!!』

マッゴイ「ゔあああああ!」

239: 2024/05/10(金) 21:09:04 ID:/Dic1NNYSp
瑠璃乃「うおおお!ただのパンチ!だが、それゆえに味がある!」

慈「いや…地味でしょ。なんか、奥義にしては名前がシンプルだし」

瑠璃乃「いや!ルリにはわかるよ!あれは初期の初期に繰り出された技なのさ!」

瑠璃乃「最後に出す奥義が初期技ってのはある種のテンプレなんだよ!」

マッゴイ「う…うう…」

慈「縮んでいく!」

瑠璃乃「暴走が止まったんだ!」

240: 2024/05/11(土) 11:41:08 ID:l6dYSGeE00
从c*・ヮ・§「さて、ようやく話ができそうなのだ」

(*> ᴗ •*)ゞ 「ごめん、ここから先は、私たち3人に任せてほしいんだ」

从c*・ヮ・§「……ほう」

¶cリ?・ヮ?・)|「元々は私たちが請け負った任務だしね…あまりよくない手段を取った手前、最後くらいはちゃんとやらせてほしいの」

⌒°( ・ω・)°⌒「お願い、おねえ…じゃなかったレッド」

从c*・ヮ・§「…わかったのだ」

从c*・ヮ・§「私たち6人は先に母なる地に帰る」

|c||^.- ^||「責務をまっとうなさい」

241: 2024/05/11(土) 11:42:04 ID:l6dYSGeE00
(*> ᴗ •*)ゞ 「…そうだね。こっからは私たちも本当の私たちで話すよ」

曜「…名乗るのは初めてだよね。私は渡辺曜」

ルビィ「黒澤ルビィです」

善子「そして私が堕天使ヨハ…」

ルビィ「よしこちゃん?」

善子「そうね…津島善子。それが私の名前よ」

曜「ごめんなさい。形はどうあれ、あなたは料理には真摯だった」

曜「その気持ちを踏みにじる手段をとったことをまずは詫びさせてほしい」

242: 2024/05/12(日) 10:05:47 ID:daTlcsYc00
善子「私が倒れたのは私たちが用意した毒のせい。あなたの料理には毒なんて無かった」

善子「それが、たとえこの海で獲れたものだとしても、あなたはそれをちゃんと私たちに提供できるものに仕上げた」

マッゴイ「…自分から毒を入れて食った?正気とは思えねだ」

ルビィ「一刻も早くあなたたちを止めてほしいと頼まれて急いでいたんだ」

慈「あなた、たち?」

曜「この人にも…私たちと同じで協力者がいたんだよ」

マッゴイ「止めてほしい、か…おおかたマズってばれて大会側に裏から手ぇ回されたか。うまくいかねぇな」

243: 2024/05/12(日) 10:06:50 ID:daTlcsYc00
マッゴイ「なんで…なんで、なんでオデらはいつもこう」

マッゴイ「みんな…毒だ毒だってこわがるだけで…ちゃんと見てもくれね」

マッゴイ「ちゃんとそこに…生きてるオデらがいるのに」

曜「ここで生きてる…か…やっぱりあなたは」

曜「…あなたはこの海で生まれて育ったんだね」

曜「だから、この海はあなたにとって毒じゃないし…自由に泳いで私たちの話を聞くこともできた」

マッゴイ「この海は、オデらにとって二つとねぇ居場所なんだ」

瑠璃乃「この海が、居場所…」

244: 2024/05/12(日) 10:07:49 ID:daTlcsYc00
慈(そうだ。そんな気はしてた)

慈(目の前にいるこいつは、私たちが船の上で話していた内容を知っていた)

慈(こいつはいたんだ。あの時、海の中に…私たちの近くに)

慈(だからいつもよりも早くに調理をはじめて、私たちの計画を潰そうとした)

善子「だけどね、だとしたらあなたが私たちに食べさせたあの魚は」

マッゴイ「そうさ、同じ海で育った仲間だで」

マッゴイ「さっきのは…小さい頃から面倒見とった近所のガキども…その前のは力自慢だった学校の先生」

245: 2024/05/12(日) 10:08:53 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「まさか、協力者って…"あなたたち"ってのは」

ルビィ「そうだよ。食材と調理者が協力関係だったんだ」

瑠璃乃「自分の仲間を、料理して食べさせたの?」

瑠璃乃「そんな、なんで…そんな恐ろしいことを」

マッゴイ「これがオデらの覚悟だ、オデら自身がオデらの価値を認めさせるだ」

マッゴイ「なにが、毒だ…ここじゃなきゃ生きれねぇオデらにとってここは何よりもかけがえのない場所だで」

マッゴイ「この場所にもあんたらに認められるもんがあるんだとオデらは証明したかった」

246: 2024/05/12(日) 10:15:33 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「あのさ、これはできれば聞きたくないんだ」

瑠璃乃「でも聞かないで逃げちゃうのはいやだから、聞く」

マッゴイ「ああ」

瑠璃乃「食材は勝負が始まってから確保しないとなんだよね」

瑠璃乃「…ってことは…さ…」

マッゴイ「ああ、頃しただ。同意の上でな」

瑠璃乃「……うそ…そんなのって」

マッゴイ「忌み嫌われた場所で生まれ、理解されない場所でしか安らげない、そんなオデらはここまでしないとならなかった」

247: 2024/05/12(日) 10:19:01 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「……っ!」

マッゴイ「でも、ダメだ…やっぱり生まれて背負った運命は変わんね」

マッゴイ「だったら、もう…いい…恐れ忌み嫌われるんならとことんやるだ」

マッゴイ「そうさ…ほんとは…ずっと前からわかってただ」

マッゴイ「仲間さえ手にかけることをよしとした…そんなオデらは嫌われて当然だっただ」

慈(よろよろと、マッゴイは海に近づいていく)

マッゴイ「もしオデを倒しても、この海に生きる命はまだまだ終わらんねーだ」

マッゴイ「忌み嫌われた海とそこで生きる命はこっから先も日陰で生き続ける」

248: 2024/05/12(日) 10:27:51 ID:daTlcsYc00
マッゴイ「なんも…変わらずな」

瑠璃乃「ちょっと、待て!」

マッゴイ「ん?」

瑠璃乃「なんで?なんで怒んないんだよ!あきらめちゃうんだよ」

瑠璃乃「毒だろうが嫌われてようが居場所がある。その居場所を認めてほしい」

瑠璃乃「それは別に悪いことじゃないってルリは思う」

瑠璃乃「やり方に問題はあったかもしれないけど、ここまでやってきたんでしょ」

249: 2024/05/12(日) 10:29:49 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「仲間を料理するとかえげつないし、そこんとこルリの理解超えちゃってるけどさ」

瑠璃乃「正々堂々と戦ってきたのすげーってルリは思う。それに今回はルリたちの方がいけないことをした」

瑠璃乃「まだ負けてないじゃん!なんならルリたちの反則負けじゃん!」

慈「るりちゃん、それは…」

慈(いや、止められない)

慈(居場所を認めてもらえないかもしれない辛さを知っていて、誰かが嫌な思いをしないといけないのが我慢できなくて)

慈(悲しい顔をした人を目にしたら動かずにはいられない)

慈(そんなるりちゃんがこれを許せるわけないって私はわかってるから)

250: 2024/05/12(日) 22:33:26 ID:daTlcsYc00
マッゴイ「……負けたら困んだろ?ならそれで」

瑠璃乃「よくない!もっかい勝負しよう、それで」

マッゴイ「また、仲間をこの手でさばけというんか?」

瑠璃乃「あ…」

マッゴイ「この海に生きる、猛毒の魚をなんのためらいもなく食えなんて言えね。だからこそオデは隠した」

瑠璃乃「だけど!こんな終わり方」

マッゴイ「詰んでんだ。もう、オデらは」

審査員A「いえ、詰んでなどいません」

251: 2024/05/12(日) 22:35:33 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「あ…」

審査員A「あなたがこれまで100回に渡ってこの海の食材を利用した料理を披露した、その事実は無くなりません」

審査員B「陰からだけど、全部見させてもらったよ」

審査員A「無知は罪とはよく言ったものです。この海の食材を食してなお生きている実例をあなたは作り出してしまった」

審査員B「そして、毒への対処法も見つかった。だよね?えーっと、ブラック?ヨハネ?善子?」

善子「事故みたいなものだけどね。料理勝負につまらない水差した埋め合わせもかねて毒への対処法の情報提供くらいはするわ」

マッゴイ「おめぇら…」

252: 2024/05/12(日) 22:45:07 ID:daTlcsYc00
審査員A「変えていきましょう。私たちでこの海をみなに愛されるものに」

審査員A「食材として利用するあなたのお知り合いの命を奪ってしまう件については、要相談ではありますが…」

審査員B「一緒に行こう。今なら、すごいことができそうだ」

瑠璃乃「これって…」

曜「ふふ、そっかぁ…そうだったね」

慈「なに、笑ってんの?」

曜「少し、話をしていいかな?…とあるスクールアイドルの子の話」

慈「また、スクールアイドルか」

253: 2024/05/12(日) 22:47:30 ID:daTlcsYc00
曜「その子はね。ずっと何かをやりとげたかったんだ…でも、できなかったんだ」

曜「それでスクールアイドルになって、自分の通っていた学校が廃校になるかもしれないことになって、その子はね…喜んだんだよ」

曜「もしも、スクールアイドルとして学校を廃校から救えば、何かをやり遂げることができる。みんなのヒーローになれるって」

慈「どっかで聞いた話だね」

善子「そうして、その子は仲間とともに試練を乗り越えて…」

慈「学校を廃校から救ったと」

ルビィ「ううん、できなかったんだ」

慈「え?」

254: 2024/05/12(日) 22:49:11 ID:daTlcsYc00
曜「廃校は止められなかった。全力を尽くして、ギリギリまで廃校を止めようとしたけどできなかったんだ」

瑠璃乃「そんなの…」

曜「だけどね。無駄じゃなかった」

曜「廃校阻止の目標は達成できなかったけど、その子は2つの答えを見つけたんだ」

曜「一つは、なにかをやりとげたいと動き出した時点でもう変わってたんだってこと」

善子「その子は"輝き"って言ってたけどね」

曜「そして二つ目は、そうやって変わったものはゼロになんてならないんだってこと」

255: 2024/05/12(日) 22:51:40 ID:daTlcsYc00
ルビィ「どうやら鯉さんたちは全部をゼロにして勝負に挑んだみたいだけど…」

ルビィ「ゼロになんてなってなかったんだよ。踏み出した時点でイチになってた」

善子「あなたを理解しようとし、あなたのために怒った瑠璃乃の行為も、ここまでを見た人たちが考えを改めるのも」

善子「マッゴイ、あなたが踏み出した時点から起こるべくして起きた必然だったってことね」

ルビィ「そして、イチはゼロになんかならない」

マッゴイ「無駄じゃ…なかったんだな」

瑠璃乃「となれば!この変化を爆発なんかで無かったことにはさせるわけにゃぁいかねぇな」

慈「この先はめぐちゃんとるりちゃんにどんとまかせんしゃい」

256: 2024/05/12(日) 23:36:27 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「あなたたちの気持ちはみらくらぱーく!が受け取ったよ」

マッゴイ「おんめぇら…」

ピ口リン!

慈「鍵が」

瑠璃乃「現れた!」

マッゴイ「オデの負けだ。この激流のカギ、持ってけぇ」 

慈「よっしゃ、3つめの鍵ゲットだ!」

257: 2024/05/12(日) 23:40:33 ID:daTlcsYc00
曜「そっかそっか、君らもミッション達成か」

慈「あ、そういえばそっちの任務だのミッションだのってなんなの?」

瑠璃乃「誰かに頼まれたとか言ってたね」

曜「あー、それはね」

曜「そうだ…これは言っとかないとだね。特にマッゴイさんには」

マッゴイ「オデに…?」

曜「私たちに依頼してきたのが誰かってこと」

258: 2024/05/12(日) 23:56:54 ID:daTlcsYc00
マッゴイ「誰かなんてそんなん…」

曜「海だよ。ここの海…マッゴイさんにとっての大事な居場所」

マッゴイ「海が?依頼?」

曜「海の音が聞こえたらしいんだ。私のせいで苦しんでる子たちがいるから助けてほしいって」

慈「…海の音?」

曜「それで、りk…じゃなかった!サクラピンクのお願いで来たものの、いやー!危なかったぁ」

マッゴイ「…そうか、オデらは海を救うつもりで…本当は海に救われてたんだな」

マッゴイ「まったく、海にはかなわねぇだな!わはは!」

259: 2024/05/12(日) 23:59:19 ID:daTlcsYc00
瑠璃乃「マッゴイさん、笑ってる」

善子「これで一件落着と。二人には助けられてしまったわね。えーっと」

ルビィ「そういえば名前聞いてなかったような」

瑠璃乃「大沢瑠璃乃だよ、よろよろ!で相方の」

慈「藤島慈。よろしくね」

善子「そう…あなたたちとはそのうちまた会うかもね。私個人としてはあなたたちとは縁のようなものを感じたわ」

ルビィ「今度あったら、一緒にピザを食べよう」

曜「お、いいね!どうせなら愛と夢を乗せて、えいやっとせいやっと食べちゃおう」

慈「なぜに…ピザ?」

260: 2024/05/13(月) 00:00:42 ID:xKFxu7T200
曜「では…ここでしばしのお別れってことで」

曜「その、一緒に言ってほしい言葉があるんだけど」

慈「何?」

曜「海に出る時にやったやつだよ」

慈「ああ、あれね」

瑠璃乃「ルリ、実はやってみたかったんだ」

善子「高らかに宣言しましょう」

ルビィ「かちどきだね!エイエイオー!」

261: 2024/05/13(月) 00:03:24 ID:xKFxu7T200
曜「ごほん!それでは…我々の明るい未来に向かって、全速前進」


「「「「「ヨーソロー!!!!!!」」」」」

……

…………

262: 2024/05/13(月) 00:05:02 ID:xKFxu7T200
慈(てな感じで、毒光海岸から次のステージに向かってる私たちなわけだが)

瑠璃乃「うー、うーん…むにゅ」

慈「ルリちゃんまた充電きれちゃった上におねむか」

慈「ま、今回もよくがんばりました!だよね」

チャウ「せや、せや」

慈「…」

チャウ「お、どうした?」

慈「一応、礼は言っとく。ありがと」


みらくらぱーく!編(前編)・完

後編に続く

263: 2024/05/13(月) 00:09:01 ID:xKFxu7T200
ここまで読んでくれてありがとうございます
まだまだ物語は続きますし、失踪するつもりなど毛頭ないのですが、板の方が終わるかもしれないとのことなので
ここから先についてキリのいいタイミングで書こうかと思いました

まず、みらぱ編は他よりも長くなる予定でして、ここまでで予定の半分です
ぶっちゃけ板が無くなるまでに終わらないです

よってここまでを前編として、ひとまずこの板ではここで一旦区切りにします
続きをどこで書くかは未定ですが、5chの方にしろ新しいしたらばにしろここを見てる人が集まるような場所で再開します

再開時にはこのスレのリンク貼って、これの続きでーすみたいな感じにしようかなと

4つ目の鍵では一体どんな試練が待つのか?
そこでは誰との出会いがあるのか?

ブラックめぐちゃんとの対決はどうなるのか?

瑠璃乃シャドウは物語にどう関わってくるのか?


後編ですべてが明らかになるのをご期待ください
また会う日まで

264: 2024/05/13(月) 00:22:05 ID:xKFxu7T200
まだ板は少し続くのですが、管理人さん今までお疲れ様でした
板を終わらせるという判断を表明するのも大変だったかと思います
いちSS書きとして、ラブライバーとして、この板という場を作っていただいたこと感謝しております

私も始まった物語はちゃんと責任をもって終わらせたいと思います
本当にありがとうございました

引用: 【ラップSS】瑠璃乃「めぐちゃん!お宝っぽいマイクが!」【MP編】