1: 2008/09/08(月) 22:48:23.56 ID:kLqqfFwg0
このダンボールの中に入っているアメはふしぎなアメです。好きなだけ
持っていっていいです。全部あげます。
byOー木℃

水銀燈「変なのぉ……こんな道端に置かれたアメなんか持って帰るわけ無いじゃない」
水銀燈「ご丁寧にメモまでつけちゃって、バッカみたぁい」
スタスタスタ…ピタッ
水銀燈「私、甘いもの嫌いじゃないのよね……そういえば何日も食べてなかったわぁ……」
タッタッタッタ
水銀燈「これは私が貰ってあげるから感謝しなさい」


3: 2008/09/08(月) 22:58:50.56 ID:kLqqfFwg0
水銀燈「何だか不思議な包み紙ねぇ……これがふしぎって事なのかしら」
水銀燈「ひいふう……二十個はあるわぁ。面倒だから袋ごと持っていっていいわよね」
水銀燈「どこか適当な場所で…あそこの公園でいいわぁ」

4: 2008/09/08(月) 23:04:49.17 ID:kLqqfFwg0
水銀燈「それじゃあ早速……いただきまぁす」
ガサガサ
水銀燈「ちょっと、何この色。本当に大丈夫なのぉ?」
水銀燈「変な臭いはしないし……まぁ大丈夫よね。もっと酷いもの食べた事だってあるし」
パクッ
水銀燈「!! なんかふしぎな味ねぇ……色々なものを混ぜたような……」
水銀燈「うぅ……失敗したわぁ。やっぱり落ちてるものなんて食べるんじゃ無かった……」

6: 2008/09/08(月) 23:08:45.35 ID:kLqqfFwg0
水銀燈「……もう無くなっちゃった。本当にふしぎなアメなのね」
水銀燈「でも、何だかクセになる味ねぇ。もう一個くらいなら……」
ガサガサ

水銀燈「もう一個だけ、もう一個だけ」

ガサガサ

水銀燈「もう一個だけ、もう一個だけ」

8: 2008/09/08(月) 23:17:39.82 ID:kLqqfFwg0
>>7
ありがとう愛すべきツンデレ

ゴクンッ
水銀燈「もう一個……は無いわね。結局全部食べちゃったわぁ」
水銀燈「妙に食欲を駆り立てる味だったわね。もっと食べたかったわね……」
水銀燈「まぁいいわ。暇潰しくらいにはなったから。行くわよメイメイ」
ドクンッドクンッ
水銀燈「何だかクラクラするわぁ。もしかしてあのアメ腐ってたんじゃ……」
ドクンッドクンッドクンッ!
水銀燈「何、これ……意識が、ががが、が」
水銀燈「ろ、ろれ、つがま、わ、らない、あ、あ、あ」

14: 2008/09/08(月) 23:20:47.26 ID:kLqqfFwg0
水銀燈「メイ、メ、イ……」
水銀燈「も……だ、め」
ドサッ





おや…すいぎんとうのようすが…?

22: 2008/09/08(月) 23:26:53.55 ID:kLqqfFwg0
そのころ、桜田家

翠星石「やったですぅ! また翠星石が一位ですぅ!」
真紅「ちょっと! ジュン、この後ろにいるのは何なのか説明して頂戴!!」
ジュン「それはボンビーってやつで、勝手に物件とかを売っぱらっていくんだよ」
雛苺「真紅最下位なのー」
真紅「くっ、この真紅が……何て事!」

26: 2008/09/08(月) 23:30:28.04 ID:kLqqfFwg0
ピンポンピンポンピンポン!
翠星石「誰か来たですよ」
真紅「放っておけばいいのだわ」
ピンポンピンポンピンポン!!
雛苺「うるさいのー、何も聞こえないのー」
真紅「一体どうすれば…この…真紅が一位に…ブツブツ」
翠星石「うっせーです! チビ人間、さっさと行って来るですよ!!」
ジュン「わかったよ……はいはい今出ますよ」

32: 2008/09/08(月) 23:33:58.06 ID:kLqqfFwg0
ガチャッ
ジュン「ハイ、どなたですか……って誰もいないじゃないか」
ヒュン! ヒュンヒュン!!
ジュン「うわぁぁ! 何だ何だ!! 人工精霊!?」
ジュン「! この色って、確かアイツのだよな……」
ジュン「ちょっと誰でもいいから来てくれー! うわ、ちょ、目の前でチカチカ……」

37: 2008/09/08(月) 23:38:12.69 ID:kLqqfFwg0
翠星石「どーしたです? 大っきい声で喚きやがるなですぅ」
ジュン「お前コレ見てみろ。コレって人工精霊じゃないのか?」
翠星石「? 確かにそうですね…これは……!」
ジュン「この色ってもしかして水銀燈の……」
ヒュヒュヒュン!
翠星石「何か言いたそうにしてやがるですぅ。……スィドリームッ!」
ジュン「真紅と雛苺も呼んでくる」

38: 2008/09/08(月) 23:43:22.23 ID:kLqqfFwg0
ジュン「真紅、早く来るんだ早く! 雛苺は先に行ってろ!」
雛苺「ハイなの!」
真紅「嫌よ、嫌よ嫌よ! 私がいない間に勝手に物件を売りさばくつもりでしょう!?」
ジュン「そんなの後だ、また後でいいから」
真紅「嘘よ! この真紅はテコでも動かないわ!」
ジュン「じゃあもういいよ。翠星石たちで足りるだろうし、お前はそこにいろ」
ダダダッ…
真紅「……え、うそ」
真紅「………………待つのだわーーー!」

45: 2008/09/08(月) 23:48:04.28 ID:kLqqfFwg0
ジュン「翠星石何か分かったか?」
翠星石「無茶苦茶でよく分からんですぅ。とにかく公園に来いとか何とか……」
雛苺「すごく光ってるの」
ジュン「行ってみた方がいいのかな。罠かもしれないぞ」
翠星石「水銀燈ならそんな回りくどい事しねーです。第一、人工精霊にやらせるわけもねーですよ」
真紅「これは行ってみた方がスッキリするようね。行きましょう、ジュン」
ジュン「よし、今から行こう!」

47: 2008/09/08(月) 23:51:58.94 ID:kLqqfFwg0
ジュン「ここか? ここでいいのか」
ヒュンヒュン!
ジュン「うわ、わ、ゴメンナサイ! ちょっとサボってました走ります!」
真紅「メイメイは相当気が動転しているようね」
翠星石「こんなきったねー公園に何もねーですよ」
ヒュンッ
雛苺「あそこに何かあるのよ」
ジュン「アレ、水銀燈じゃないのか!?」

50: 2008/09/08(月) 23:55:21.32 ID:kLqqfFwg0
ジュン「やっぱりそうだ。おい、しっかり……し、ろ…」
翠星石「何ですチビ人間、何か…………え?」
真紅「これは……どうなっているの? ジュン説明しなさい」
ジュン「僕に訊くなよ……それにしても、これは……」
雛苺「水銀燈がのりぐらいに大きくなってるの……」

61: 2008/09/09(火) 00:00:20.82 ID:lKlyEcbh0
雛苺「これって知ってるの。せ、せ……」
ジュン「セクシー、か?」
雛苺「そうなの!」
翠星石「なんつー胸ですかコレは……はち切れんばかりですぅ」
真紅「ジュンのベッドの下にある本には、こんな体型の人間がよく出てくるのだわ」
ジュン「! バカな……完璧に隠してあったはずだ!!」
真紅「とにかくこのまま放置は出来ないわ。すぐに家へ連れていきましょう!」
ジュン「なぁどうやって見つけたんだ。一体どうやって見つけたんだ」
ヒュヒュヒュン!
ジュン「メイメイさんゴメンなさい! すぐに連れて行きます!」

71: 2008/09/09(火) 00:04:04.28 ID:lKlyEcbh0
ジュンHOUSE

翠星石「とりあえずチビ人間の部屋にまで運んだですけど……」
雛苺「よく寝てるの」
ジュン「やっぱこれからどうするかだよな」
真紅「まずはメイメイに詳しい話を訊くべきよ。ホーリエ」
ジュン「……本当に見つけたのかな、真紅」
雛苺「真紅と一緒に雛も見たのよ」
ジュン「! な、な、な、馬鹿を言え。やめるんだ雛苺……」
翠星石「今ホーリエとメイメイが話してるから静かにするですよ!」

76: 2008/09/09(火) 00:07:23.99 ID:lKlyEcbh0
真紅「……そう、わかったのだわ」
翠星石「何だったんですか?」
真紅「水銀燈は、変なアメを食べたらしいのだわ。そのあとすぐに体がおかしくなって……」
雛苺「アメ?」
真紅「道に落ちてたらしいわ。拾って食べたそうよ」
翠星石「……」
ジュン「そんな事でこんなになるもんか? どんなアメだったんだ?」
真紅「ふしぎなアメ、メイメイはそう言っているのだわ」
ジュン「!」

78: 2008/09/09(火) 00:09:35.36 ID:lKlyEcbh0
ジュン「ふしぎなアメだって!? おいおい、ちょっと待てよ」
真紅「どうしたの一体。驚くじゃないの」
翠星石「パソコンなんか開いてどーするですか。ここでハァハァしてもらっても困るです」
ジュン「バカ! それよりコレを見ろ!」
真紅「コレは……」

82: 2008/09/09(火) 00:14:17.52 ID:lKlyEcbh0
どんな人でも一発成長!? コレを食べればアナタも超一流の仲間入り!!

真紅「何このいかにも怪しげな通販は……」

証言者Rさんの話
いやー、マジびびったっすよ。最初は幼馴染みのじいさんから貰って、半信半疑で
食べてみたんですけどね。いきなり身長とかグングン伸びちゃってww
結局今は、その幼馴染みのお姉さんとヨロシクしてますよwww
でも実際二股してるんでwwカンナさんマジ最高っすwww

86: 2008/09/09(火) 00:17:32.24 ID:lKlyEcbh0
翠星石「怪しすぎて腹いっぱいです」

開発したOー木℃氏
今回の研究でますます世の中に美男美女が溢れることでしょう。ワシもこのアメで上手いこと
いっとりますwww
明日はどんな子にしようか毎日ピッピカチュウですよwwwはははwwwww

雛苺「最低なのよー」

90: 2008/09/09(火) 00:21:57.68 ID:lKlyEcbh0
真紅「もういいのだわ。それよりジュン、これは」
ジュン「最近見つけた通販のHPだよ。心惹かれるものがあったから覚えてたんだ」
翠星石「水銀燈はコレを食ってこんなになっちまったんですか?」
ジュン「俺も半信半疑だったんだけど、そうみたいだな」
真紅「このOなんとかに問い合わせてみるのだわ」
ジュン「駄目なんだ。確かこの人、最近捕まったんだよ。何でも助手として雇った人に手を出したとかで」
翠星石「やっぱり最低野郎ですよこいつは」
ジュン「水銀燈のこの様子じゃ、本物とみて間違いない」

94: 2008/09/09(火) 00:25:26.19 ID:lKlyEcbh0
翠星石「これからどーするですか?」
ジュン「とりあえず水銀燈が起きるまで待つしかないな」
真紅「そうね、それが妥当な判断だわ。それにしても……」
雛苺「うゆ……」
水銀燈「スースー……」
翠星石「大っきいですぅ……」
ジュン「ゴクッ」
ヒュヒュヒュヒュン!
ジュン「ゴメンなさい! ちょっとだけ欲情しましたすみません!」

98: 2008/09/09(火) 00:29:16.11 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「う……うん…」
真紅「! 水銀燈、私よ、真紅よ!」
水銀燈「しんくぅ? え、え、何よぉ……」
ジュン「意識がはっきりしてないんじゃないか?」
翠星石「とっとと起きるですよ水銀燈! ほら、しっかりするです!」
水銀燈「あなたたち……ここは、どこ…?」
ジュン「ここは僕の部屋だよ。公園で倒れてるところを連れて来たんだ」

102: 2008/09/09(火) 00:32:45.44 ID:lKlyEcbh0
真紅「メイメイが教えてくれたのよ。人工精霊に感謝しなくちゃいけないわね」
水銀燈「そう…なの……? メイメイ、よりにもよってこんな…」
翠星石「ちょっとだけいつもの調子に戻ってきたです」
雛苺「雛、飲み物持ってくるのよ」
タッタッタッタ…
水銀燈「あぁ、いえいえお構いなく……」
真紅「?」

107: 2008/09/09(火) 00:36:41.52 ID:lKlyEcbh0
翠星石「何か様子が変です」
ジュン「起きたばかりだからしょうがないだろ。それにしても……」
水銀燈「……?」
ジュン「(なんて素晴らしいBODYなんだ。服も多少は大きくなってるみたいだけど、それでもキツキツだ)」
ジュン「し、真紅ぅ。とりあえず水銀燈を着替えさせた方がいいんじゃないかぁ? 泥で汚れてるかもしれないしぃ」
真紅「声が裏返りすぎよ、ジュン」
ジュン「(コレでいい。コレで、後は冷静にチャンスを待つ……)」

113: 2008/09/09(火) 00:40:20.83 ID:lKlyEcbh0
雛苺「お水持ってきたのよー。はい水銀燈」
水銀燈「頂くわぁ」
翠星石「少しは動けるようになったですか?」
ジュン「そんな事より着替えじゃないかな、水銀燈」
水銀燈「お父様から貰った大事なものをそんな簡単に……」
水銀燈「な……何よこの体はぁぁぁ!!!」

122: 2008/09/09(火) 00:44:32.95 ID:lKlyEcbh0
>>114
君は天才だな。


水銀燈「見ないでぇ! 何よこれぇ!」
ジュン「(い、いかん。恥らう姿が素敵過ぎて全身から汁が……)」
真紅「落ち着きなさい水銀燈!」
翠星石「さっきまでチチの谷間見せ付けといて今さら嫌も何もないですぅ! 落ち着きやがれですぅ!」
真紅「雛苺、苺わだちよ!」
雛苺「ハイなの!」

126: 2008/09/09(火) 00:48:00.27 ID:lKlyEcbh0
シュルシュルシュル!
水銀燈「ああっ! んっ! ほ、ほどきなさいよぉ…」
真紅「つ、つたが食い込んで……」
水銀燈「え…えOちぃですぅ……」
ジュン「神々しい……あぁ神よ、僕は……」
雛苺「水銀燈がかわいそうだからほどくのよー」

130: 2008/09/09(火) 00:54:16.79 ID:lKlyEcbh0
真紅「どう? 少し落ち着いた?」
水銀燈「ええ…大きな声出して悪かったわぁ……」
ジュン「雛苺、いいか。本当のかわいそうってのはな」
翠星石「ジュンの言うとおり泥はねしてるです。こりゃ洗濯しないと駄目ですかね」
雛苺「晩御飯の前に一緒にお風呂入るのよー」
ジュン「(雛苺。やはり君は最高だよ。卓越している)
水銀燈「べ、別にいいわよぉ。急に世話焼いたりして、何か企んでるんじゃないのぉ?」
真紅「アラ、遠慮しなくてもいいのよ。それに今の貴女からは以前の刺々しさが感じられないもの。みんな優しくもなるわ」

133: 2008/09/09(火) 00:57:44.13 ID:lKlyEcbh0
雛苺「>>126の水銀燈は翠と間違えたのよー」


ジュン「さ、一緒にお風呂にですね…」
ヒュンヒュンヒュン!
ジュン「痛くない! もう痛くないぞ!」
雛苺「メイメイ見てるのよー」
メギッ!
ジュン「がっ、雛…いちご」
ドサッ
雛苺「巴に習ったのよー」
のり「ただいまー」

136: 2008/09/09(火) 01:01:34.44 ID:lKlyEcbh0
翠星石「のりが帰ってきたです。ほら水銀燈! のりに事情を説明しに行くですよ!」
水銀燈「あっ、ちょっとぉ……」
真紅「ジュンはそこで寝ているがいいのだわ」
雛苺「いいのー」
ジュン「……」
バタンッ
ジュン「くくく……雛苺。詰めが甘い、な。やはりお前はどんな意味でも優秀だよ」
ジュン「さてビデオビデオ。HD内臓のが確か……」

139: 2008/09/09(火) 01:05:36.40 ID:lKlyEcbh0
のり「あら、その子…その人は……」
翠星石「ほら、自己紹介するですよ!」
水銀燈「分かったわよぉ……水銀燈…です」
真紅「ちょっと大きいけど私たちと同じドールズなのだわ」
のり「そうなの? すごく大人っぽいからビックリしちゃって…」
雛苺「今からみんなでお風呂に入るのよー」
のり「アラそうなの? ならお湯沸かさなくっちゃね」

140: 2008/09/09(火) 01:08:00.32 ID:lKlyEcbh0
風呂場内

ジュン「バカめ……そのままリビングで永遠に喋っているがいい」
ジュン「セット完了。これでいい。それにしてもあの水銀燈があんなにいやらしくなるとは……」
ジュン「さて退散」

143: 2008/09/09(火) 01:10:34.72 ID:lKlyEcbh0
のり「お風呂沸いたわよー」
雛苺「ハイなのー!」
翠星石「行くですよ水銀燈」
水銀燈「ちょっとぉ、分かったから押さないでよぉ」
真紅「翠星石、なんだか楽しそうね」
翠星石「そーですか? なんか今の水銀燈は怖くねーですから、そのせいかもです」
雛苺「おっふろーおっふろー」

148: 2008/09/09(火) 01:14:43.16 ID:lKlyEcbh0
脱衣所

翠星石「ほれ脱ぐですよ。じゃねーと、のりが洗濯できんですぅ」
水銀燈「……」
真紅「何も恥ずかしがる事は無くってよ」
水銀燈「私も確信はないんだけどぉ…」
真紅「何? 体の調子でも悪いの?」
翠星石「えーい! 早く脱ぐです!」
バサッ!
真&翠&雛&のり「!!!」

152: 2008/09/09(火) 01:17:06.52 ID:lKlyEcbh0
真紅「きゅ、球体関節が……」
雛苺「ないの……」
翠星石「これじゃホントに…」
のり「人間…」


ジュン部屋

ジュン「奇跡だ……奇跡が起きた…………神様、うっ、うぅっ…」

162: 2008/09/09(火) 01:21:14.76 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「あんまりジロジロ見るもんじゃないわぁ///」
のり「(B・W・H、全てにおいて負けている。女の私でも悩ましく思うスタイル…)」
翠星石「びっくりして…言葉も出んですぅ……」
真紅「貴女…人間になったの……」
雛苺「綺麗なのー」
真紅「これはお風呂に入っている場合じゃないわ! すぐにでも……」


ジュン「! 行くしかない!!」

169: 2008/09/09(火) 01:23:15.50 ID:lKlyEcbh0
ジュン「ちょっと待ったーーー!!」
真紅「ジュン!? 入ってきてはいけないわ!」
ジュン「ならドアごしでもいい!! お前らの話は聞かせてもらった!」
翠星石「何で聞こえてるです?」
ジュン「大きい声だったから、き、き、聞こえたんじゃないかなぁ」

182: 2008/09/09(火) 01:28:31.39 ID:lKlyEcbh0

ジュン「いいか。今から言う事をよく聞くんだ。真紅、お前は何を見て大変だと思ったんだ?」
真紅「それは……球体関節が…」
ジュン「それだ。球体関節が無ければ異端なのか? つまはじきか?」
ジュン「今一番辛いのは水銀燈なんだ。原因も分かっていないのに、むやみに水銀燈を混乱させる事は、追い詰めているのと同じだぞ」
真紅「……」
ジュン「驚く事だけど、今は水銀燈の心を癒してやる事が大切じゃないのか?」
ジュン「まずは風呂にでも入って、それからゆっくりと問題を解決したらどうだ? もちろん、俺も協力するからさ」

193: 2008/09/09(火) 01:32:45.80 ID:lKlyEcbh0
真紅「ジュン……そうね、私は気が動転しすぎていたわ。周りが冷静にならないと」
翠星石「たまにはチビ人間もいーこと言うですぅ」
のり「ジュンくん…」
水銀燈「……(これが、真紅のミーディアム)」
雛苺「みんなで入るのー!」
翠星石「そーするですぅ!」
真紅「さ、水銀燈。いらっしゃい」
水銀燈「えぇ……///」
ジュン「(YES! 流石だ僕。NICE!)」

204: 2008/09/09(火) 01:37:03.19 ID:lKlyEcbh0
風呂場
雛苺「水銀燈、体洗ってあげるのよー」
水銀燈「あ、ちょっとぉ……」
翠星石「水銀燈何だか柔らけーですぅ」
水銀燈「ちょっとドコ触って……っ…///」
翠星石「何だか気持ちいいですよ…」
水銀燈「駄目だったら……うぁ…」
真紅「何だか変な気分になってきたのだわ」

208: 2008/09/09(火) 01:40:00.73 ID:lKlyEcbh0
雛苺「水銀燈ビクビクしてるのよー」
水銀燈「へんな、とこ…触、る、からぁ…」
翠星石「ホレホレ。気持ちいーですか?」
水銀燈「いい加減にしなさいよぉ……」
真紅「本調子でない今がチャンスなのだわ」

リビング
のり「(乙女の貞操が危ない!)」

215: 2008/09/09(火) 01:44:12.81 ID:lKlyEcbh0
のり「コラッ、ふざけちゃ駄目でしょ! 水銀燈ちゃん困ってるわよ!」
雛苺「ハイなの…」
翠星石「ちーとばかしやりすぎたですかね」
真紅「その場の空気に流されてしまったようね。スキンシップだから気にしないで頂戴、水銀燈」
水銀燈「え、えぇ……」
水銀燈「(これが人間……人形のときは味わえなかった感触…)」

ジュン部屋
ジュン「何やっとんじゃあのバカ女ぁ!! ボディーブローをお見舞いするぞ!!」

224: 2008/09/09(火) 01:48:24.36 ID:lKlyEcbh0
雛苺「上がったのよー!」
のり「はーい。みんな拭くから待っててねー」
水銀燈「あの…タオルか何か……」
のり「あ、そうね。水銀燈ちゃんは自分で出来るわよね…」
翠星石「のり残念そうな顔してやがるですぅ」
真紅「のりも触ってみたいのよ」
のり「まぁ、女同士だから…ね? 水銀燈ちゃん、タオル出すね」
水銀燈「少しだけなら……いいけど…」
のり「!」

229: 2008/09/09(火) 01:51:58.18 ID:lKlyEcbh0
のり「い、行くからね…」
水銀燈「……」
フニッ
水銀燈「…っ……」
フニフニッ
水銀燈「ふ……う…」
のり「///」
のり「も、もういいわ。十分十分! さ、早く拭きましょう。風邪引いちゃうから///」
翠星石「顔真っ赤です」
真紅「一瞬にして感じとったのね。力量の差を」

ジュン室
ジュン「ティッシュティッシュ……」

243: 2008/09/09(火) 01:57:15.03 ID:lKlyEcbh0
ジュン「ふぅ……さて、そろそろ夕飯だ」
タッタッタ…
ジュン「おーみんなさっぱりして……!」
水銀燈「な、何よぉ。私、そんなに変な格好してるわけぇ?」
ジュン「(Tシャツにスウェット……だと。肌の露出はせいぜい腕ぐらいだが、これは…)」
ジュン「(上気した体に張り付くTシャツ……火照った肌……ほんのり赤らんだ頬……)」
のり「ジュンくんどうしたの? もうご飯できるよ?」
ジュン「ちょっとトイレットに行って来る」

250: 2008/09/09(火) 01:59:45.57 ID:lKlyEcbh0
雛苺「おいしかったのよー」
翠星石「ふぅ…いっぱい食べたら眠くなってきたですぅ」
真紅「翠星石、寝るのは後よ。今からが本番なのだから」
真紅「これからの事について話し合う必要があるのだわ」
水銀燈「……」

254: 2008/09/09(火) 02:02:29.62 ID:lKlyEcbh0
真紅「みんなテーブルについたわね。それじゃ始めましょう。まずは水銀燈」
水銀燈「何よぉ…」
真紅「あなたはこれからの予定はあるの?」
翠星石「そんなのあるわけねーですよ」
水銀燈「その通りよぉ…自分でもどうしたらいいか……」
真紅「でしょうね。そこで全員に提案があるのだわ」

261: 2008/09/09(火) 02:06:14.51 ID:lKlyEcbh0
ジュン「(提案しだいでは……沈む事になるぞ真紅)」
真紅「今の水銀燈の状態は私たちにも予測不可能よ。直す手立ても無い」
真紅「でもこのまま放っておくわけにもいかないわ」
ジュン「(真紅……まさか)」
真紅「私は、しばらく水銀燈にはここで暮らしてもらうのが一番と考えるわ」
ジュン「(真紅……導いたな、答えってやつを…)」
ジュン「賛成します。異議なし」

268: 2008/09/09(火) 02:09:25.37 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「ちょっと待ってよ……いきなり急に…」
真紅「じゃあこれから一人でどうするつもり?」
水銀燈「う…」
雛苺「水銀燈、ここは楽しいのよー。のりも、ジュンも、みーんな優しいのー」
翠星石「別に困りはしねーですよ」
ジュン「そうだ! 一緒に暮らそうよ!!!」

276: 2008/09/09(火) 02:14:20.70 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「……わかったわ、一緒にいればいいんでしょう…」
水銀燈「仕方ないから…いてあげるわよぉ、感謝なさ…い……うっ、う…ひくっ」
真紅「水銀燈、貴女…」
水銀燈「アレ…何よこれぇ…うぐっ、うぅ…変なのぉ、止まんなぁい……」
雛苺「これで拭くのよー」
水銀燈「何でぇ…うぐっ……こんなのぉ……」
真紅「(もしかしたら、いや……そう考えるしか…)」
ジュン「(ちょっと感動したなぁ。そして、さっきまでの僕の行動が申し訳なく思えてきたぞ)」

284: 2008/09/09(火) 02:17:19.31 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「グス…ありがとう、大分落ち着いてきたわぁ……」
のり「今日は私の部屋で寝ましょう」
翠星石「変なことしちゃ駄目ですよ」
のり「し、しないわよぉ」
雛苺「真紅ー、顔が怖いのよ?」
真紅「……あぁ御免なさい雛苺。何でもないのよ」

292: 2008/09/09(火) 02:21:20.05 ID:lKlyEcbh0
ジュンroom

雛苺「おやすみなのー」
翠星石「今日はいろいろありすぎて疲れたですぅ。とりあえず明日考えるですよ」
真紅「そうね。今日はもう寝てしまいましょう。明日、他の姉妹達も呼んで相談する事にしましょう」
ジュン「(ビデオは明日パソコンに取り込もう)」
ジュン「お休み」

295: 2008/09/09(火) 02:24:24.32 ID:lKlyEcbh0
次の日

水銀燈「うう……うん…」
銀……水銀…ちゃん……水銀燈ちゃん…
水銀燈「はっ!! ハァーハァー……」
のり「ひどくうなされてたけど大丈夫? どこか痛い?」
水銀燈「え、えぇ……心配無いわ…」

299: 2008/09/09(火) 02:27:30.40 ID:lKlyEcbh0
リビング

のり「みんな早起きねー」
翠星石「チビ人間だけいつも通り寝てるです」
雛苺「いつものことなのよー」
水銀燈「私、ちょっと見てくるわぁ」
真紅「放っておいていいわ水銀燈。いつもの事だもの」
水銀燈「でも一応…」

305: 2008/09/09(火) 02:30:13.72 ID:lKlyEcbh0
翠星石「行っちまったですよ」
真紅「やっぱり、そうなのかしら」
翠星石「どーしたです? 真紅」
真紅「水銀燈が戻ってくる前に、話しておいた方がよさそうね」
雛苺「キョーミしんしんなのー」
真紅「確証は無いのだけれど……」

310: 2008/09/09(火) 02:33:59.35 ID:lKlyEcbh0
ジュン「ううーん……ん、んん…うわぁ!」
水銀燈「キャッ!」
ジュン「ビックリした……脅かすなよ…」
水銀燈「ご、ごめんなさい……起こそうと思って…」
ジュン「(なんか優しくなっているような気がするな)」
水銀燈「あの…朝食が出来たから、呼びに来てやったわぁ」
ジュン「無理して強がらなくていいぞ」

315: 2008/09/09(火) 02:37:03.55 ID:lKlyEcbh0
ジュン「久しぶりだな…こんな朝早くに起きるなんて」
水銀燈「あの…」
ジュン「? 何だ、早く下に……」
水銀燈「ちょっと……話があって…」
ジュン「(え、マジ? 朝から? オイオイ勘弁してくれよ~~♪)」
ジュン「何だよ、話って」
水銀燈「今日、夢を見たのよ」

323: 2008/09/09(火) 02:42:09.29 ID:lKlyEcbh0
ジュン「夢?(なんだ…そっちのあれじゃ無いのか……)」
水銀燈「夢の中で、何だか分からない暗闇の中に一人でいたのよ」
ジュン「水銀燈が?」
水銀燈「コクッ」
ジュン「それで?」
水銀燈「どれだけもがいても先に進まなくて、逆に深く深く沈んでいったわ」
水銀燈「私怖くなって…何だか涙が出てきて……」
水銀燈「そんなとき、急に辺りが眩しくなって。さっきまでの暗闇が嘘のように明るくなったわぁ」

327: 2008/09/09(火) 02:44:33.49 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「真っ白な光に包まれて、とても暖かくて…」
水銀燈「そして、誰かが私の手を取ってくれたわ」
水銀燈「優しく、でもしっかりと握ってくれたその手が、私は嬉しくて……」
ジュン「その相手は……」
水銀燈「……アナタ」

335: 2008/09/09(火) 02:47:33.93 ID:lKlyEcbh0
ジュン「(夢の中の僕、やるなぁ)」
水銀燈「なんだか……不思議な気分になったわ。起きたときは流石にうなされていたみたいだけど」
ジュン「水銀燈……」
水銀燈「何だか…私の中が変わっていくような、そんな気がしたわ」
水銀燈「さ、一階に行きましょう」

338: 2008/09/09(火) 02:49:34.94 ID:lKlyEcbh0
翠星石「ソレ……マジで言ってるですか?」
真紅「マジも何も真剣よ」
雛苺「そうだったら凄いのー」
翠星石「まぁ、ありえなくはないですけどぉ……」
真紅「でしょう? これなら今までの水銀燈に納得がいくのだわ」

346: 2008/09/09(火) 02:54:11.55 ID:lKlyEcbh0
翠星石「じゃあ、やっぱり真紅の言うとおり……」
真紅「ええ…恐らく……」
真紅「体の変化に伴い、内面的な変化も起こっているのだわ」
翠星石「確かに優しかったです昨日の水銀燈」
真紅「この考えに間違いはないようね」
翠星石「でも、それが何です? 逆に良い事じゃないんですか?」
雛苺「そうなの。優しい水銀燈は好きなの」
真紅「そうでも無いのだわ」

353: 2008/09/09(火) 02:58:58.51 ID:lKlyEcbh0
真紅「いいこと? 水銀燈の精神が変化している、ということは性格が変化しているということよ」
真紅「のり。あなたはずっとジュンが立ち直るように面倒を見ていたはずよ。その経験で知っているでしょう? 性格というのは中々変わらないものだ、と」
のり「確かに…そう簡単に変わるものじゃないわ」
真紅「最初は、私たちの態度に感激したものと思っていたわ。でも、これはあまりに変化しすぎよ。別人じゃないの」
翠星石「って事は…」
真紅「恐らく、まだアメの効果は続いているのだわ。そして、水銀燈に常に変化を与えている」
真紅「つまり、これから先どうなるか分からないって事よ」

363: 2008/09/09(火) 03:03:39.52 ID:lKlyEcbh0
翠星石「じゃあ、水銀燈はどーなるですか?」
真紅「分からないわ」
雛苺「今の水銀燈は好きなの…変な事になっちゃ嫌なのよ……」
真紅「それよ雛苺」
雛苺「?」
真紅「私たちは、水銀燈に好意を抱いているわ。同じドールズとして」
真紅「もし、アメの力だとするなら……」
翠星石「考えすぎですよぉ……」
真紅「脅かすわけじゃないわ。ただ…もしアメの力が、水銀燈には支えられない程のものになったら……」

371: 2008/09/09(火) 03:07:15.10 ID:lKlyEcbh0
ジュン「いつまで喋ってるんだよお前ら」
真紅「! ジュン、いつから……」
ジュン「言っとくけど筒抜けだったぞ。水銀燈も聞いてるし」
水銀燈「真紅…私の体だから、私が一番分かるわ。私の中で、力が溢れてきているもの」
真紅「それって……」
ジュン「何とかしてみせるよ。もうHDがどうとか言ってる場合じゃないしな」
雛苺「HD?」
ジュン「こっちの話さ」

382: 2008/09/09(火) 03:11:38.05 ID:lKlyEcbh0
雛苺「朝ごはん美味しかったのよ……ジュンもいたし…」
翠星石「チビ苺元気出すですよ」
雛苺「雛、雛…水銀燈と一緒がいいのっ! 一緒が…うっ……う…」
水銀燈「雛苺……」
ジュン「ちょっと待て待て! 水銀燈が氏んだみたいに言うなよ!」
真紅「そうよ。せっかく分かり合えたのだもの」
ピンポーン
ジュン「? 誰だよこんな朝早く……」
翠星石「助っ人を呼んどいたですよ」

397: 2008/09/09(火) 03:15:41.00 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「お邪魔します」
金糸雀「来てやったかしら!」
翠星石「一人だけちょっと頼りねーけど、これで少しはましになったですぅ」
金糸雀「誰の事かしら!!」
ジュン「これからゆっくり考えていこう。必ず何とかしてみせるから」
ジュン「(僕はまだ……諦めたわけじゃないんだぞ。ふ、筆おろしをな…)」

408: 2008/09/09(火) 03:19:06.21 ID:lKlyEcbh0
金糸雀「みっちゃんの口にスィドリームが入ったときはビックリしたかしら!」
蒼星石「僕もいきなりスィドリームが鏡から出てきて驚いたよ」
翠星石「ちーとばかし飛ばし気味で行かせたですからね。仕方ないですよ」
金糸雀「それにしても……大きいかしら…」
蒼星石「これは……たまらないね」
ジュン「(蒼星石め…だが何故だろう、負ける気がしない)」

425: 2008/09/09(火) 03:24:11.45 ID:lKlyEcbh0
真紅「……というわけなのだわ」
蒼星石「そうだったんだ…拾い食い……」
水銀燈「そ、そこを掘り返さないでよぉ…」
金糸雀「私もそのアメが欲しいかしら」
翠星石「誰も助けてくれないからやめた方がいいですよ」
金糸雀「ー!」
ジュン「とにかく、みんなの意見を聞きたい。意思を統一しよう」
のり「(立派になって……お姉ちゃん嬉しい…)」

433: 2008/09/09(火) 03:27:51.07 ID:lKlyEcbh0
真紅「様子を見るべきだと思うわ」
翠星石「同じくです」
雛苺「いっぱい遊んだら治るのよー」
金糸雀「アメそのものの情報を集めるのが一番かしら」
蒼星石「体を動かしたら元に戻るんじゃないかな」
ジュン「(蒼星石ってやつは……)」

446: 2008/09/09(火) 03:32:20.07 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「そういえば、前の頃の能力は使えるの?」
真紅「昨日は何が何やらで調べてなかったわ。迂闊、実に迂闊だったわ」
翠星石「今さらカッコつけんでも、もう十分置いてけぼりですよ」
雛苺「羽を出してみるのよー」
バサァッ!
水銀燈「……これは…」
金糸雀「羽が出るには出たけど……」
ジュン「でっか!!」

454: 2008/09/09(火) 03:36:28.53 ID:lKlyEcbh0
真紅「力だめしなのだわ。行って!」
翠星石「バラの花びら、真紅の必殺技ですぅ!」
水銀燈「気を悪くしないでね真紅。……ふぅっ」
バシュッ!
金糸雀「一息で……」
雛苺「全部消えちゃったの」
翠星石「真紅ダッセーです」
蒼星石「ダッサいね…」

476: 2008/09/09(火) 03:42:55.79 ID:lKlyEcbh0
真紅「……nのフィールドへ行くのだわ」
ジュン「何するつもりだよ真紅」
真紅「今、名案を思いついたのだわ。あそこで思いっきり力を使えば、風船がしぼむように元に戻るかもしれない」
翠星石「さっきのが悔しいだけです」
金糸雀「たぶんそうだけど、一理あるかしら。nのフィールドなら暴れても平気かしら」
のり「ねぇジュン君、どうしてリビングが更地になってるの?」
真紅「のり、そんなの後で直してあげるから。今はnのフィールドへ行くのだわ」
翠星石「仕方ねーです。のりはここで留守番してるですよ」
ジュン「僕も部屋にもど」
蒼星石「ジュン君はついて来なくちゃ」
ジュン「(結果的に体を動かして解決の方向に進んでいる……やはり、かなりの策士…)」

481: 2008/09/09(火) 03:46:39.17 ID:lKlyEcbh0
nのフィールド
蒼星石「フゥフゥ……でやぁ!!」
水銀燈「えーい」
蒼星石「うっぎゃあああああ!!!」
真紅「喰らうのだわ!! 慄くのだわ!!!」
水銀燈「とーう」
真紅「シヌッ!!!!!」
ジュン「みんなどうしたんだよ! 水銀燈は一歩も動いてないぞ!」
翠星石「片腕だけでこの有様ですぅ」
金糸雀「力を使い切る作戦はムリかしら……」

490: 2008/09/09(火) 03:50:34.80 ID:lKlyEcbh0
10分後…
翠星石「半端ない強さですぅ…」
金糸雀「束でかかっても駄目かしら…」
雛苺「水銀燈強いのよー」
真紅「悔しいわ……悔しいったらないわ!!」
蒼星石「僕もうボロボロだよ……」
ジュン「仕方ない…おーい水銀燈」
ジュン「このまま、一人で力を解放し続けてくれー」

496: 2008/09/09(火) 03:55:14.74 ID:lKlyEcbh0
真紅「シヌシヌ!! 駄目よ! 狂っているのジュン!!」
ジュン「大丈夫、今の水銀燈なら何とかしてくれるさ」
ジュン「(それに僕の中での作戦では、これで上手くいくはずなんだ)」

~ジュンの作戦~
1 水銀燈が力開放
2 氏なない程度に傷つく一同(ジュンは皆に守ってもらう)
3 水銀燈、恐らく暴走
4 ここで水銀燈を助けに行く。夢を正夢にしてしまう
5 水銀燈、恋の足音を聞く
6 ギッコンバッコン

503: 2008/09/09(火) 03:59:58.91 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「……いいの? 知らないわよぉ」
ジュン「大丈夫だ、行け!」
ゴゴゴゴゴゴ…
蒼星石「し、氏ぬのかい? 僕たち、氏ぬのかい?」
金糸雀「水銀燈から何か噴き出してるかしら…」
ジュン「(あれ……おかしいな。これは予想外の威力では…)」
蒼星石「こんな事なら…会ったときに水銀燈とよろしくやっ」
水銀燈「はぁっ!」
シャッ!

508: 2008/09/09(火) 04:02:59.11 ID:lKlyEcbh0
真紅「まだよ私の後ろへ!」
真紅「壁となり私たちを守りなさい!」
ボンッ
翠星石「集まる前に消えたです」
真紅「…………面目ないのだわ」
ジュン「ちょ、待て! 僕の計画が、が、が、がぁぁぁぁぁ!!!!」
バババババッ!
金糸雀「みっちゃん…先立つ不幸を許してかしら……」

520: 2008/09/09(火) 04:06:26.23 ID:lKlyEcbh0
真紅「…………アレ」
翠星石「生きてるですよ、全員」
蒼星石「それどころか……」
雛苺「花丸元気なのー!」
金糸雀「体の傷も、服の傷も……」
ジュン「全部治っていく……僕ケガしてないけど」
翠星石「ジュン! あれ見るです!!」

530: 2008/09/09(火) 04:12:20.67 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「…………」
金糸雀「水銀燈の羽が白くなってるかしら……」
雛苺「天使みたいなのー」
翠星石「全然感じが違うです…」
蒼星石「これは…」
真紅「これは…分かったのだわ! きっと水銀燈はき」
蒼星石「きっと水銀燈は傷を治したんじゃなくて、アメの力によって増幅された生命力を僕たちに分けたんだよ!」
真紅「そ、そうね。それによってぜ」
蒼星石「それによって全員の傷が元に戻ったんだ!」
翠星石「服は時間のネジを戻して直してるですかね。真紅と同じです」
真紅「……これで分かったのだわ。水銀燈は」
蒼星石「水銀燈は、その力を他人に分け与えれば元に戻るかもしれないんだね!」
真紅「蒼星石、もしかして私のこと嫌い?」

550: 2008/09/09(火) 04:18:47.73 ID:lKlyEcbh0
ジュン「決め付けはよくないけど、それは一理あるかもな。おーい水銀燈」
ポウッ…
翠星石「光が消えたです」
ジュン「どうだ? 力の方は」
水銀燈「……少しだけ、少しだけ減ってる…」
ジュン「てことは…」
真紅「わた」
蒼星石「僕の予想どうりってことか!」
翠星石「すげーです! さすが自慢の妹です!」
雛苺「すっごいのー!天才なのー!」
金糸雀「中々やるかしら。カナのように頭脳派を名乗ってもいいかしら」
真紅「はいはい、偉い偉い」
ジュン「(これで、フラグは立った!)」
蒼星石「立ってないよジュン君」
ジュン「!」

563: 2008/09/09(火) 04:24:37.98 ID:lKlyEcbh0
リビング(真紅が責任持って直した)

翠星石「これで一件落着ですね」
水銀燈「……みんなの気持ちは嬉しいけど、多分駄目よぉ…」
真紅「どうして? どこにでも行って何でも治してくればいいのだわ」
水銀燈「みんなの傷を治したときに減った力は、本当にごく微量だったのよぉ…」
翠星石「じゃあ……」
蒼星石「この中の誰かを、瀕氏→再生のサイクルに当てはめたらどうかな」
水銀燈「何年もかかるし……何よりそんな事したくないわぁ……」
ジュン「(蒼星石…発想が殺伐としている……)」

573: 2008/09/09(火) 04:28:53.53 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「私は…嬉しかったわぁ。みんなに優しくしてもらって」
水銀燈「一緒に暮らして良いって言われたときは感極まって泣いちゃったけど、あの涙はアメのせいだけじゃ無いわぁ」
水銀燈「一人で絶望して、何もかも壊してまでアリスになろうとしていた自分がバカみたぁい」
ジュン「(この口調でその体型はたまらないものがありますな)」
蒼星石「まったくだねジュン君」
ジュン「!」
水銀燈「私は、もうこのままでいいわぁ。自分が助かるために、誰かを犠牲にしたくないもの」
水銀燈「そんな事をしたら、一番悲しむのはお父様だと思うから……」

587: 2008/09/09(火) 04:34:41.60 ID:lKlyEcbh0
真紅「水銀燈……」
水銀燈「だから、もういいの。私はこのまま。ローゼンメイデンの第1ドール、水銀燈よ」
翠星石「水銀燈…」
金糸雀「……」
蒼星石「君は、もしかしたら既にアリスなのかもしれないね……」
ジュン「………………」

そのとき、ジュンの頭の中に電撃が走った。駆け抜け、広がっていった。

ジュン「あああああああ!!! そうだ!! SOUDA!!」
水銀燈「ビクッ!!」
ジュン「水銀燈! お前もっと自分の力を考えろ!!!!」

593: 2008/09/09(火) 04:37:58.98 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「自分の……ちから…」
ジュン「一人いるだろ! 誰よりも助けを必要としている人が!!」
水銀燈「…………!……!!!!!」
ジュン「分かったか?」
水銀燈「私の……そうよ! 私のミーディアムよ!!」
ジュン「そうだ! ハイ正解!!」
ジュン「(まぁ、真紅からちょこっと聞いただけだから確信は無かったけど)」

600: 2008/09/09(火) 04:41:09.11 ID:lKlyEcbh0
翠星石「? 何のことです?」
ジュン「水銀燈のミーディアムはめぐさんって言って、今も重い病気に苦しんでいるんだ」
水銀燈「心臓が悪いらしいのよぉ。いつ氏んでもおかしくないって…」
真紅「! そうか、わか」
蒼星石「そうか、わかったよ!」
真紅「ちょいやさ!」
ドスッ
蒼星石「…」
真紅「ここだけは…譲れないっ」

623: 2008/09/09(火) 04:50:36.62 ID:lKlyEcbh0
真紅「普通なら余命数年の体。しかも、心臓そのものも既に限界。それを生命力だけで治すとすると、相当な力が必要になるわ」
真紅「しかも相手は人間。私たちのように力の恩恵を100%受けられるとは限らない」
真紅「水銀燈の力を、最後の一滴まで搾り出してちょうどいいくらいなのだわ」
ジュン「そうだ。つまり……」
ジュン「メグさんに力を分け与えることが、水銀燈が元に戻る方法だ」
金糸雀「そう上手く行くかしら……」

636: 2008/09/09(火) 04:58:42.27 ID:lKlyEcbh0
ジュン「大丈夫。メグさんは水銀燈と契約してるんだ。ある程度は繋がってる。力の受け渡しも、きっと上手くいく」
翠星石「でも、その体で水銀燈の力をまともに受けたらもたんですぅ。かといってゆっくりやってたら意味ねーです」
真紅「そこは私たちでサポートするのだわ。翠星石とそーせーせきの力で」
真紅「そーせーせきの力で不安な記憶を刈り取って、翠星石の力で勇気に水をやればいいのだわ」
雛苺「真紅かっこいいのー」
真紅「もちろん私たちも協力するわ。雛苺の力でメグをベッドごとnのフィールドへ連れていくのよ。私と金糸雀は、水銀燈が万が一にも暴走しないように支えるわ」
ジュン「もちろん俺も手伝うよ。どうだ水銀燈。やってみる価値はあるんじゃないか?」

643: 2008/09/09(火) 05:03:42.59 ID:lKlyEcbh0
真紅「もちろん、これはあくまで周りの環境を良くしているだけよ」
真紅「庭師の力も、はっきりとした効果を出すわけではないわ」
真紅「だけれど、希望と勇気に満ち溢れた状態なら……」
ジュン「成功率は上がるな」
真紅「やるだけの事はやりましょう。まずは庭師二人。あなたたちにかかっているのよ」
翠星石「よし! やってやるです!」
蒼星石「……」
真紅「ちょいやさ!」
ドスッ
蒼星石「ん、どうしたのみんな。水銀燈は脱いだのかい?」

650: 2008/09/09(火) 05:09:51.88 ID:lKlyEcbh0
ジュン「真紅の言ってる事は無茶苦茶だけど、やってみないか? 皆でやるんだ」
水銀燈「……いいの? 本当に、いいの?」
ジュン「いいさ。今の水銀燈に反対するやつはいないよ」
ジュン「(これは……僕相当にポイント稼いでるんじゃないか? 下衆の発想だけど)」
水銀燈「! 嬉しいっ!」
ギュッ!
ジュン「! お、おい水銀燈、な、何してるんだよぉ」
水銀燈「うぅ……うっ、う……うぅ…」
ジュン「泣くなって、水銀燈」
ジュン「(なんていい香りだ。間違いを起こしてしまいたい)」

661: 2008/09/09(火) 05:17:17.94 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「こんなの……夢見たい。メグも治って私も元に戻るなんて……う、う…」
ジュン「現実にしよう、二人で……」
翠星石「何言ってやがるですか! みんなで、です!」
翠星石「あと、とっとと離れるです水銀燈!」
蒼星石「(僕が意識を失っている間に、ジュン君は随分と先へ進んだようだね…このままじゃあ…)」
真紅「そうと決まれば、明日の作戦会議なのだわ。くんくんの様に、スマートに行くのだわ」
蒼星石「そうだね。すまーと、にいこうね」
真紅「……棘のある言い方ね」
シャキンシャキン…
蒼星石「僕が気を失っている間に、随分と話が進んでいるんだ。一体これは、どういう事なの か な」
シャキンシャキン……
真紅「さ、作戦会議をはじめるわ、は、早く、皆こっちにい、いらっしゃいな」

668: 2008/09/09(火) 05:22:02.68 ID:lKlyEcbh0
その後、僕たちは九時までみっちりと話し合った。もはや空気と化した姉ちゃんをさて置いて。
そして、みんなは明日の朝にそなえて鞄に入っていった。    語り:ジュン

リビング
ジュン「はぁ、結局あのグラマー水銀燈とも明日でお別れかぁ」
ジュン「せめて触るぐらいはしておくべきだった」
水銀燈「真紅の…ミーディアム、そこにいるの?」
ジュン「!?」
ジュン「いますいます! すごくいます!」

672: 2008/09/09(火) 05:24:25.96 ID:lKlyEcbh0
ジュン「何だよ、姉ちゃんの部屋で寝てたんじゃないのか?」
水銀燈「のりさんは寝てるわ……私は、何だか寝付けなくて」
ジュン「そ、そうか…」
水銀燈「ねぇ…」
ジュン「な、んあ何ですかぁ」
水銀燈「ちょっと話してもいい?」

675: 2008/09/09(火) 05:26:31.22 ID:lKlyEcbh0
ジュン「いいよいいよ! 全然いいよ!!」
水銀燈「そう、良かった」
ジュン「隣、隣にどーぞ」
水銀燈「じゃあ失礼して」
ジュン「(ソファーで二人っきりソファーで二人っきりソファーで二人っきりソファーで二人っきり)」

684: 2008/09/09(火) 05:31:04.13 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「ねぇ、明日のことなんだけど……」
水銀燈「あの子、OKするかしら」
ジュン「するよ。水銀燈の願いなら聞いてくれる」
水銀燈「なら、いいんだけど……」
水銀燈「正直、私の事はどうでもいいの。でもね、あの子が、あの子が助かるならやってみたいわ」
ジュン「そ、そですね」
水銀燈「最初の拾い食いからは想像も出来ない程話が飛んじゃったけど、ね」
ジュン「ぼ、僕もです。ハイ」

690: 2008/09/09(火) 05:36:51.56 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「何か貴重な体験をした気がするわ。アナタ達と出会って、初めてミーディアムと向き合える」
水銀燈「メグが治ったら、色々やりたいことがあるのよ。色々、楽しい事……」
ジュン「お、おい。泣くなよ」
水銀燈「ごめんなさい……だってこんな事になるなんて思ってなくて…」
ジュン「(いつのまにかミーディアムの病気が治るなんて話になれば当然か)」
水銀燈「……ふぅ、ちょっと落ち着いたわ。ありがとう」
ジュン「あぁ、別にいいよ」
水銀燈「ねぇ…」
ジュン「?」
水銀燈「明日の今頃は、私の体は元に戻ってるのよね……?」

696: 2008/09/09(火) 05:42:38.16 ID:lKlyEcbh0
水銀燈「朝の夢の通りよ。真紅のミーディアム、いえジュン。あなたは私を助けてくれる」
ジュン「え、あ、あ」
水銀燈「ジュン……今から起きることは、夢よ。そう思って」
ジュン「ちょ、ま、え?」
水銀燈「この体でしか出来ない事……私にはこんな恩返ししか出来ないけど…」
水銀燈「ジュンと……一緒にいれた証…」
シュルシュル…
ジュン「!!?」
水銀燈「ごめんなさい。明日の事をするのに、勇気がいるのよ。それを貰うわ」

707: 2008/09/09(火) 05:48:38.65 ID:lKlyEcbh0
ジュン「まずいってマズイMAZUI! そんな一時の感情に流されてそんな…」
水銀燈「綺麗…? 私の体……」
ジュン「あわわ、わ、わ、綺麗です! だから、一時の、いきなり……」
水銀燈「そういえば昨日のりさんから教えてもらった事があるの。女の極意とかいうやつなんだけどね」
水銀燈「欲しいものは……何が何でも手に入れるってねぇ!」
ジィィィィィ……ボロンッ
ジュン「(出てしまった……僕のダガー…)」
水銀燈「へぇ…こんなに脈打つものなの…」
スリ…スリ…
水銀燈「どう? 気持ち良い?」
ジュン「あ……ヤバいです…」
水銀燈「手だけじゃつまんなぁい」
パクッ
ジュン「!?」

736: 2008/09/09(火) 06:00:28.13 ID:lKlyEcbh0

水銀燈「じゃあ、そろそろ頂こうかしらぁ」
ジュン「(父さん母さん、桜田ジュンは……今日…大人になります…)」
水銀燈「じゃあ、ゆっくりいくわぁ……」

797: 2008/09/09(火) 06:27:14.00 ID:lKlyEcbh0
それからしばらくして、水銀燈は部屋に戻っていった。僕はしばらく放心状態で動けなかった。
水銀燈はどんな気持ちでいたのだろうか。それを考えると、良い思いをしたな、というだけでは割り切れないものがあった。
語り:ジュン


翠星石「あーよく寝たです」
真紅「ほら。雛苺、ジュン、起きなさい」
雛苺「うゆー…おはよーなの……」
ジュン「…………」
翠星石「チビ人間はほっとくです。どーせいつもみたいに起きんですよ」
真紅「仕方無いわね。私たちだけで行きましょう」
スタスタ…
翠星石「下りてきたですけど……なんですコレは…」
真紅「すごく臭いのだわ……」

803: 2008/09/09(火) 06:31:41.69 ID:lKlyEcbh0
翠星石「ファブリーズかけとくですよ」
真紅「生ゴミの臭いなのだわ。生臭いのだわ」
のり「おはよー。みんな早起きねー」
金糸雀「おはようかしらー」
蒼星石「おはよう……スンッ…クンクンッ…これは……」
翠星石「どーしたです? 蒼星石」
蒼星石「いや……なんでも、何でもないさ」
蒼星石「(ジュン君……栄光は、君にあるよ…)」

811: 2008/09/09(火) 06:38:00.45 ID:lKlyEcbh0
翠星石「さて、そろそろ水銀燈とチビ人間を起こしに行くですよ」
蒼星石「今は、そっとしておいてあげないかな? 僕たちだけでこっそりやってしまおうよ」
翠星石「なーに言ってるですか! サボりは厳禁ですぅ!」
蒼星石「知らないうちにやっておいたらジュン君喜ぶよ」
翠星石「……べ、別にどーってことねぇですけどー、まぁ蒼星石がそう言うならやってやらんこともないです」
蒼星石「じゃあ決まり。ジュン君が寝てるうちに下準備しておこうか」
雛苺「さんせーなのー!」
真紅「水銀燈のミーディアムのところには私とのりで行くのだわ」
のり「え、私?」
真紅「さ、行くわよのり」
のり「まって真紅ちゃん」
テテテ…
蒼星石「さて、後は待つだけかな」

815: 2008/09/09(火) 06:45:42.67 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「ジュン君……起きてよ」
ジュン「う……うわぁ! 脅かすなよ!!」
蒼星石「ごめんごめん。あんまりに眠ってるものだから」
蒼星石「さ、行こう。下でみんな待ってる」
ジュン「……水銀燈も?」
蒼星石「もちろん。さぁ行こう」
トテトテ…
蒼星石「ねぇジュン君。昨日は上手くやったみたいだね」
ジュン「!? 何のことだか……」
蒼星石「これは僕の独り言だから、聞き流していいよ」
蒼星石「あのね。昨日、水銀燈はどうしてあんなにも積極的だったのかな?」
蒼星石「誰かに後押しされたとしか考えられないよね」
蒼星石「誰がしたんだろうね。誰が言ったんだろうね。ジュン君と思い出を作っておいた方がいい、体で感じられるような、って」
ジュン「まさか……」
蒼星石「おめでとうジュン君。栄光は君に手の中……いや、ズボンの中にあるよ」
ジュン「(恐ろしい……恐ろしい子だ………)」

824: 2008/09/09(火) 06:52:52.86 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「みんな、連れてきたよー」
真紅「遅いのだわ!」
金糸雀「先にご飯食べてるかしら」
翠星石「ほら、とっとと食べるですよ」
水銀燈「……///」
ジュン「……///」
真紅「今日の夕方、メグをnのフィールドに連れ出すことにしたわ」
ジュン「……もう会ってきたのか?」
真紅「遅いんだもの。とっくに話はつけてきたわ」
翠星石「なんか最初はゴネてたみたいです」
真紅「水銀燈の名前が出るたびに迷っていたけど、きちんと返事は貰ってきたわ。メグもこのチャンスを試してみたいんですって」
水銀燈「そう……」
ジュン「あとは待つだけだな」

825: 2008/09/09(火) 06:57:00.63 ID:lKlyEcbh0
そして、夕方 nのフィールド

真紅「いよいよね」
水銀燈「首尾よく進んでいるかしら」
真紅「心配無いわ。今頃庭師の二人が夢の中で仕事をこなしているはずだもの」
金糸雀「それが終わったら、あっちの鏡からnのフィールドへ入るだけかしら」
真紅「病院でよかったわ。大きな鏡があるもの。引っぺがすのには少し手間取ったけど」
金糸雀「……来たかしら!」

830: 2008/09/09(火) 07:01:26.32 ID:lKlyEcbh0
翠星石「遅くなっちまったですぅ」
蒼星石「ごめん、少し遅れたね」
雛苺「疲れたのよー」
ジュン「何とか着いた……」
真紅「容態は……」
ジュン「翠星石と蒼星石のお陰で何とかなりそうだよ」
蒼星石「治るイメージを邪魔する記憶は取り除いておいたよ。細々としたものだけどね」
翠星石「しーっかり水をやっておいたですから、ちょっとやそっとじゃへこたれん心の木になったですぅ!」
真紅「そう……じゃあ始めましょう水銀燈」
水銀燈「ええ……みんな本当にありがとう…」

833: 2008/09/09(火) 07:07:22.59 ID:lKlyEcbh0
水銀燈の光は、僕たちを含む全てを照らしていきました。そして水銀燈の力が、メグさんの体へと
流れて行くのが分かりました。僕たちは、その光景を見つめながら、ローゼンメイデンは何故人間
と契約するのか、その理由を少しだけ理解しました。
語り:脱童Oのジュン氏

水銀燈「……」
ドサッ
真紅「水銀燈!」
翠星石「元の大きさに戻ってるです……」
金糸雀「成功かしら!!」
雛苺「やったのよーーー!!」
ジュン「(これでいいんだ。メグさんと仲良くな水銀燈)」

844: 2008/09/09(火) 07:12:38.67 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「メグさんを病院に戻さなくちゃ。さ、行こう。水銀燈は任せたよ」
金糸雀「メグさんは起きないかしら……」
蒼星石「僕と翠星石の力で眠らせてあったからね。仕方ないよ」
翠星石「起きたらすぐに元気になるですよ」
雛苺「そうなのよ。元気になるのよー!」
真紅「そっちは任せたのだわ。さ、私たちは水銀燈を」
ジュン「ああ…そうだな」
ズズズ…
ジュン「(やっと……帰ってきた。すごく長い間あそこにいた気がする…)」

849: 2008/09/09(火) 07:22:34.06 ID:lKlyEcbh0
真紅「水銀燈、起きなさい。水銀燈、水銀燈!」
水銀燈「う……う、う…」
翠星石「やっと起きやがったですか」
水銀燈「ここは……メグは、メグはどうなったの!?」
蒼星石「今は病院で寝てるよ。僕たちは成功したんだ」
水銀燈「そう……」
真紅「もう心配する必要は無いのだわ」
水銀燈「ふん! 心配する必要なんて無いに決まっているでしょう。私を誰だと思っているの」
翠星石「元に戻っちまったです」
雛苺「水銀燈怖いの……」
水銀燈「う…まぁ、いいわぁ。一応、礼は言っておくわよ」
真紅「これからどこに行くつもり?」
水銀燈「別にどこだっていいでしょう? 少なくとも真紅、アナタのいないところよ」
真紅「そう……分かり合えたと思ったけど残念ね」
水銀燈「…………ありがと」
真紅「? 何、何か言った?」
水銀燈「何でも無いわ。それじゃ、さようなら」
翠星石「元に戻った瞬間にああなるなんて薄情な奴ですぅ! 許せんですぅ!」
蒼星石「まぁまぁ。今度メグさんのお見舞いにでも行こうよ。その時には水銀燈も少しは変わっているかもしれないし」
真紅「そうね……」
真紅「(貴女の言葉、確かにうけと)」
ジュン「水銀燈の言葉、確かに受け取ったぞ……」
真紅「!」

853: 2008/09/09(火) 07:26:27.06 ID:lKlyEcbh0
翠星石「さーて、ご飯にするですよ」
のり「おかえりみんな。今作るからまっててね」
雛苺「花丸ハンバーグがいいのー!」
金糸雀「かしらー!」
ジュン「……」
蒼星石「ジュン君、部屋に行くのかい?」
ジュン「いや、ちょっとトイレ……」
蒼星石「そっか。その後でいいから、部屋に行くといいよ」
ジュン「?」

859: 2008/09/09(火) 07:31:40.39 ID:lKlyEcbh0
ジュン「なんだってんだ蒼星石のやつ……」
ガチャッ
ジュン「何もないじゃないか……」
ジュン「窓が…開いて」
水銀燈「ミーディアム」
ジュン「うおっと……脅かすな」
水銀燈「世話になったわ。ドールズ達によろしく言っておいて頂戴」
ジュン「あ、ああ……」
水銀燈「それじゃあ」
ジュン「…おい、ちょっと待てよ」
水銀燈「何?」
ジュン「また、遊びに来いよ。暇な時でいいからさ」
水銀燈「……一度だけ名前を呼んであげるわぁ、ジュン」
バサァ…
水銀燈「…また今度、ね」
ジュン「水銀燈…」

869: 2008/09/09(火) 07:36:14.56 ID:lKlyEcbh0
本当はもっと言いたいことがいっぱいあったのだけれど、水銀燈を目の前にして
引き止める事も出来なかった。でも、約束は取り付けられた。きっと水銀燈と、
分かり合える日は近い。
語り:JUNくん

ジュン「……」
ジュン「(行こう。またすぐに会いに来るだろうし)」

879: 2008/09/09(火) 07:41:59.58 ID:lKlyEcbh0
翠星石「お腹いっぱいで動けねーです」
真紅「だらしないわ。もっとしゃんとしなさい」
雛苺「うう…苦しいのよー」
蒼星石「僕はもうそろそろ行くよ」
金糸雀「カナも帰るかしら。みっちゃんが心配しちゃうかしら」
真紅「そう。巻き込んだみたいで悪かったわね」
蒼星石「全然。楽しませてもらったよ」
金糸雀「ま、たまにはこんなのも良かったかしらー」
ジュン「お前らもまた来いよ」
蒼星石「そうだね。僕達もまた来るよ」
蒼星石「(僕達 も ね…)」

883: 2008/09/09(火) 07:45:52.08 ID:lKlyEcbh0
ジュン部屋
翠星石「先に寝るですよジュン。いつまでも起きてんじゃねーですよ」
ジュン「ああ……僕も今日はもう寝るよ。なんだか疲れたから……」
真紅「おやすみなさいジュン」
ジュン「おやすみ」
雛苺「おやすみなのー」
ジュン「ああ、おやすみ」
ジュン「(おやすみ水銀燈…)」

885: 2008/09/09(火) 07:49:15.63 ID:lKlyEcbh0
それから一週間、水銀燈からは何の音沙汰も無かった。当然のような気もしたけれど
やっぱり寂しい。どうしていがみ合ってしまうのだろうか。引きこもっている僕には
なんとなく想像はつくけれど。
語り手:また一つ成長した桜田ジュン



「ねぇ、本当にこっちでいいの?」
「しつこいわねぇ。こっちでいいわよ」

889: 2008/09/09(火) 07:52:53.13 ID:lKlyEcbh0
「ふぅ……ちょっと急ぎすぎたみたい。息切れしちゃって…」
「まだ病み上がりなんだから無理しない方がいいわぁ」
「……やっぱり水銀燈は変わったわね」
水銀燈「別に変わってないわ」
「私には分かるわ。だって私の天使様だもの」
蒼星石「お二人さん」

902: 2008/09/09(火) 08:05:00.24 ID:lKlyEcbh0
蒼星石「これからどこに行くの?」
水銀燈「……貴女が良く知っているところよ」
蒼星石「へぇ…もし良かったら、僕も一緒に行っていいかな。もしかしたら同じ場所に着くかもしれない」
水銀燈「勝手にすればぁ……」
「あなた、この前の子でしょ? 一人だけ男の子みたいだったから良く覚えてるわ」
蒼星石「僕もちゃんと覚えているよ。最近じゃ新聞にも出ていたから、余計に忘れないよ。氏の淵から奇跡の生還、なんて見出しで」
「お陰様で。それで、ぜひ皆さんに一度お礼がしたくて」
蒼星石「それで、水銀燈も着いてきたってわけか。…道案内として」
水銀燈「ご名答。流石に頭は回るわねぇ」
蒼星石「…フフ、素直じゃないなぁ」
「ねぇ、一つお願いがあるんだけど……いい?」
蒼星石「はい、いいですよ」

柿崎めぐ「桜田ジュンくんと水銀燈のお友達がいる所まで、案内してくれる?」


終わり

903: 2008/09/09(火) 08:06:13.41 ID:qwtq5hTp0

引用: 水銀燈「なぁにコレ……ふしぎなアメ……?」