1: 2008/09/10(水) 21:32:38.00 ID:KE2QjvuZO
翠「さっさと起きやがれですぅ」

ドスドス

ジュン「痛い…起きるから、踏むのは止めろ性悪人形」

翠「そうですか?」

翠「のりが朝食作って待ってるですから、さっさとくるですよ」

翠星石はドタドタと音を立てて、一階に降りて行った。

ジュン「ったく、もっと起こし方を考えてくれよ」
ローゼンメイデン 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
2: 2008/09/10(水) 21:34:08.12 ID:KE2QjvuZO
真紅「あらジュン、遅かったわね」

雛苺「おそよーなの」

ジュン「はいはい、おそよー」

のり「ジュン君、ほら席に座って」

何故か嬉しそうに馬鹿姉貴がせきたてる。
あぁ、久々だったな、みんなで朝食を食べるのは。

翠「さっさと座りやがれです。ご飯が冷めちまうですよ」

ジュン「はいはい」

5: 2008/09/10(水) 21:36:10.47 ID:KE2QjvuZO
のり「あのねジュンくん」

何故か深刻そうに、姉ちゃんが話しかけてくる。

ジュン「なんだよ、話は食べた後でいいだろ」

のり「そ、そうなんだけどね」

ジュン「なんだよ、だから後で」

雛「話はちゃんと聞くものなのよ」

真紅「そうよジュン」

ジュン「………わかったよ」

10: 2008/09/10(水) 21:39:00.00 ID:KE2QjvuZO
のり「あのね、その」

ジュン「なんだよ、聞いてやるから、はっきり言えよ」

のり「うん、びっくりしないでね」

のり「ここをね。引っ越すことになったの」

ジュン「え?」

13: 2008/09/10(水) 21:41:10.23 ID:KE2QjvuZO

ジュン「何言ってるんだよ」

のり「ごめんねジュン君、お父さんが勝手に決めちゃって」

ジュン「なっ、……」

のり「だから中学校も転校」

ジュン「は?」

転校?
せっかく柏葉と勉強して、復学しようとしてるのに?
なんだよそれ。まるで僕がイジメから逃げたみたいじゃないか……!

16: 2008/09/10(水) 21:44:21.67 ID:KE2QjvuZO
ジュン「なんでだよ!!」

ガチャン!!

ジュン「なんで転校なんか」

のり「ごめんね。お姉ちゃんなにもできなくて」

真紅「のりが悪いわけじゃないわ。ジュン、あなたも落ち着きなさい」

ジュン「くっ……」

ジュン「部屋に戻ってる」

19: 2008/09/10(水) 21:47:50.52 ID:KE2QjvuZO
ジュン「…………」

コンコン

真紅「入るわよジュン」

返事を待たずに真紅が部屋に入ってくる。

真紅「あなたの気持ちもわかるわ」

真紅「いえ、本当はわからない……」

ジュン「どっちだよ」

真紅「人の気持ちが私たちに分かるわけがないのだわ」

ジュン「そうかよ」

21: 2008/09/10(水) 21:50:38.59 ID:KE2QjvuZO
真紅「転校と言うものが私達には分からないの」

ジュン「…………」

真紅「でもねジュン、こんなことにイライラしても意味なんてないわ」

そうだよ、確かに意味なんてないさ。
でも、仕方ないじゃないか…

真紅「ジュン…あなたは負けてなんてないのだわ」

ジュン「え?」

真紅「あなたが何を気にしているなんかは知らないけれど…」

真紅「あなたは弱くないし、逃げてもないわ」

ジュン「真紅」

23: 2008/09/10(水) 21:53:28.45 ID:KE2QjvuZO
ジュン「そうか……ありがとな真紅」

真紅「主として下僕を慰めるのは当然のことよ」

ジュン「下僕か…そのうち下剋上してやる」

真紅「あらそう?私は逃げないから、いつでもかかってらっしゃい」

真紅「でも、まだ朝食の途中だわ。下剋上はその後にして頂戴」

そう言って、少し微笑をうかべながら、真紅は下へ降りて行った。

26: 2008/09/10(水) 21:56:14.60 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ちょっと出掛ける」

のり「あら?どこへいくのぉ?」

ジュン「……柏葉のとこに」

雛苺「トモエのとこに?ヒナも着いていくのー」

ジュン「………勝手にしろ」

雛苺「じゃあ、勝手にさせてもらうの」

31: 2008/09/10(水) 21:59:12.22 ID:KE2QjvuZO
雛苺「トゥモエー!!」

ガシッ

ジュン「いきなり飛び付くなよ」

雛苺「トモエトモエトモエー」

巴「雛苺は今日も元気ね」

雛苺「ヒナはいつも元気なのよ」

34: 2008/09/10(水) 22:02:40.72 ID:KE2QjvuZO
ジュン「急に呼び出してごめんな」

巴「気にしないで」

雛苺「気にしないの~」

ジュン「お前には言ってない」

ジュン「あと雛苺、少し静かにしててもらえるか?ちょっと大事な話があるんだ」

雛苺「わかったわ。お口にチャックね。まかせてなの」

ジュン「サンキュ」

35: 2008/09/10(水) 22:03:35.30 ID:KE2QjvuZO
ジュン「なぁ柏葉、学校はどうなんだ?」

巴「?、いつもと変わらないと思う」

ジュン「そうか……その……」

巴「……」

39: 2008/09/10(水) 22:06:37.13 ID:KE2QjvuZO
ジュン「僕、引っ越して、転校するんだ」

巴「え?」

ジュン「ごめん。勉強とか付き合ってもらったのに」

巴「それは気にしないで」

巴「いつくらいになりそうなの?」

ジュン「それはちょっと分からない。でも、するんだ」

巴「そう」

42: 2008/09/10(水) 22:09:36.15 ID:KE2QjvuZO
ジュン「僕さ、新しい学校ではちゃんと登校しようと思う」

ジュン「いや、しないといけないんだ」

巴「うん……」

ジュン「だから……柏葉もさ」

巴「なに?」

ジュン「自分が言いたいことを言えるようになってほしい」

巴「え?」

46: 2008/09/10(水) 22:12:02.02 ID:KE2QjvuZO
ジュン「僕が言えることじゃないけどさ……でも」

巴「そんなことはないわ。桜田君は頑張ってるもの」

巴「桜田君が頑張るなら、私も頑張らないと」

ジュン「………」

雛苺「トモエ……」

48: 2008/09/10(水) 22:15:16.93 ID:KE2QjvuZO
雛苺「ヒナはずっとトモエを応援しているわ」

雛苺「離れちゃうのは嫌だけど、ヒナはずっとトモエが大好きなの」

巴「雛苺………」

ジュン「お前もたまにはいいこと言うんだな」

雛苺「たまにはは余計なのー」

51: 2008/09/10(水) 22:17:53.12 ID:KE2QjvuZO
ジュン「じゃあ…それだけだから」

巴「うん」

雛苺「バイバイなの、トモエ」

巴「うん、バイバイ」

ジュン「じゃあ」

巴「…………」

54: 2008/09/10(水) 22:20:11.46 ID:KE2QjvuZO
巴「桜田君!」

ジュン「ん?」

振り向くと、柏葉がこちらに向かって走ってきていた。

巴「はぁ……はぁ…」

ジュン「大丈夫か?」

巴「桜田君、あの……」

ジュン「…………」

巴「引っ越すのも、そう遠くないんでしょ?」

巴「だったら……」

ジュン「?」

巴「ううん…なんでもない」

巴「一緒の高校に入れたらいいねって思っただけだから」

ジュン「え?」

巴「それじゃあ、バイバイ」

55: 2008/09/10(水) 22:22:43.63 ID:KE2QjvuZO
のり「今日は花丸ハンバーグよ」

ジュン「今日もな」

翠「細かいことわ気にするなです」

雛苺「細かいことを気にするとはげるのー」

ジュン「なっ」

雛苺「ハゲハゲツルツルなの」

ジュン「な、な……!!」

真紅「ジュン、落ち着きなさい。せっかくの夕食がまずくなってしまうわ」

ジュン「はぁ……わかったよ」

58: 2008/09/10(水) 22:26:01.77 ID:KE2QjvuZO
のり「ジュン君、引っ越しは二日後になりそう」

ジュン「そうか……」

のり「ごめんねジュン君」

ジュン「いいよ、もう気にしてない」

のり「そう……」

ジュン「あと……ご飯おいしいよ」

のり「ふふ、ありがとうジュン君」

59: 2008/09/10(水) 22:28:57.01 ID:KE2QjvuZO
真紅「ジュン、起きなさい」

翠「転校初日に遅刻する気ですか?さっさと起きるです」

ジュン「ん……」

ドタドタと僕の布団の上で暴れる翠星石のおかげ?で目が覚めた。

真紅「やっと起きたわね」

ジュン「仕方ないだろ、新しい家に慣れなくて、よく眠れなかったんだから」

真紅「そう?でも急いだほうがいいわよ」

翠「これを見るですぅ」

バッと翠星石が目覚まし時計を目の前に突き付ける。

ジュン「8時……15分」

61: 2008/09/10(水) 22:30:35.00 ID:KE2QjvuZO
ジュン「くそ、マジで初日から遅刻かよ」

見知らぬ校舎の中をトボトボと歩く。
授業が始まってるみたいで、誰一人として廊下にはいなかった。

ジュン「まぁいい…まだ大丈夫だ」

ジュン「えっと職員室、職員室」

ジュン「あった」

すぐに見つかった。
もう少し迷うものだと思ってたんだけどな。

ジュン「ふぅ…失礼しまーす」

63: 2008/09/10(水) 22:32:43.27 ID:KE2QjvuZO
担任「そうかそうか!来ないからビックリしたぞ」

ジュン「すみません」

担任「まぁそんなに気にするな。ほら、クラスに行こう」

ジュン「わかりました」

66: 2008/09/10(水) 22:35:41.85 ID:KE2QjvuZO
担任「今日から一緒に勉強する、桜田ジュン君だ。みんな仲良くしてやってくれよ」

ジュン「桜田ジュンです。よろしく」

みんながみんな、違う目で見てくる。
好奇心に満ちた目、様子を見ているような目、目、目、目。
あぁ、なんか嫌だな。

担任「ほら、桜田の席はあそこだ」

ジュン「はい」

68: 2008/09/10(水) 22:39:24.68 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ふぅ………」

男子「よろしくな」

席に座ると、隣の席のヤツが声をかけてきた。

ジュン「あ、あぁ、よろしく」

男子「まぁ色々と頼ってくれていいからな」

ジュン「うん。サンキュ」

担任「じゃあ、2時間目はじめるぞー」

70: 2008/09/10(水) 22:42:58.18 ID:KE2QjvuZO
それからは、退屈な授業だった。
学校の授業ってこんなんだったか。

放課中には色んなヤツが声をかけてきた。

そうなこんながあって、僕の転校初登校は終わった。

71: 2008/09/10(水) 22:44:39.18 ID:KE2QjvuZO
のり「今日はどうだったの?」

ジュン「まぁまぁだよ」

のり「そうお?よかったわね」

ジュン「まだよかったかは分からないけどな」

73: 2008/09/10(水) 22:49:46.92 ID:KE2QjvuZO
翠「チビ人間、今日の学校はどうだったですか?」

雛苺「ヒナも、ヒナも気になるのー」

ジュン「なんだよお前たちも」

真紅「仕方ないのだわ。あなたの初登校だもの」

ジュン「そうかよ」

翠「でも、チビ人間は家に引きこもってるほうがいいですぅ」

ジュン「なっ」

翠「冗談です。本気にしないでほしいです」

ジュン「…………」

77: 2008/09/10(水) 22:55:37.32 ID:KE2QjvuZO
真紅「…………」

ジュン「お前はなんかないのか」

真紅「……もう全部言われてしまったのだわ」ボソッ

ジュン「ん?」

真紅「気にしないで頂戴。あなたのことはあなたが決めることよ」

真紅「私が気にすることじゃないわ」

ジュン「はぁ……そっ」

80: 2008/09/10(水) 23:01:03.68 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ふぁ……そろそろ寝るか」

真紅「もう?まだ9時にもなってないわ」

ジュン「なんか疲れたし、明日は遅刻したくない」

真紅「そう。なら止める必要はないわね」

ジュン「もとから止められる理由もないけどな」

ジュン「じゃあおやすみ」

真紅「おやすみ、ジュン」

83: 2008/09/10(水) 23:05:50.52 ID:KE2QjvuZO
翠「かわいい寝顔です」

真紅「翠星石、あまり近くによると起きてしまうわ」

雛苺「ジュンぐっすり寝てるの」

真紅「ええ、本当に」

翠「あんまり無理はしてほしくないです」

雛苺「ジュンは自分で決めたのよ。ジュンは絶対に無理なんで思ってないのー」

翠「な、そんなことはチビ苺に言われなくてもわかってるですぅ」

真紅「静かにするのだわ。ジュンが起きてしまうでしょう」

雛、翠「はいなの(です)」

85: 2008/09/10(水) 23:10:53.02 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ん…朝か」

久しぶりの静かな目覚めだな。
いつもは翠星石の足踏み体操とかだったからな。

ジュン「ん?」

布団から出ようと思ったら、布団の上に真紅たちが眠っていた。

ジュン「何やってるんだ、こいつら」

ジュン「まぁいいや、この時間だと、まだ遅刻じゃないしな」

ジュン「たまには寝顔を見るのも悪くない」

90: 2008/09/10(水) 23:15:40.49 ID:KE2QjvuZO
翠「うわーん、もうお嫁に行けないです~」

のり「あらどうしたの翠星石ちゃん?」

翠「チビ人間に寝顔見られたです」

真紅「レディの寝顔を見たジュンは悪いけれど、それくらいで騒いではダメよ翠星石」

翠「そういう真紅も、そうとう取り乱してたですー」

真紅「な、そ、そんなことはないのだわ!そうよねジュン」

雛苺「ヒナの寝顔はどうだったのー?」

ジュン「一気にうるさくなったな……」

93: 2008/09/10(水) 23:21:08.66 ID:KE2QjvuZO
ジュン「てゆーか、お前らと話しているうちにこんな時間じゃないか!」

翠「人のせいにするのはよくないですぅ!」

真紅「ジュン、それはあなたの責任ね」

ジュン「あぁ、もう!二度遅刻なんてありえないだろ」

雛苺「ヒナの、ヒナの寝顔は~?」

ジュン「かわいいかわいいから…あっと、い、いってきます」

のり「いってらっしゃい」

翠「二度と帰ってくるなですぅ」

98: 2008/09/10(水) 23:25:07.43 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ハァハァ…な、なんとか間に合った」

女子「おはよう桜田君、今日はギリギリだね」

ジュン「あ、お、うん、おはよう」

女子「くすくす……早く座ったほうがいいよ?」

ジュン「そ、そうだね。それじゃ」

102: 2008/09/10(水) 23:29:29.02 ID:KE2QjvuZO
なんか今日中に終わらない気がしてきた



男子「へぇ、桜田ってもの知りだな」

ジュン「そんなことないよ。インターネットとかやってると色んな情報が入ってくるっていうか」

男子「ネットかよ。桜田ってもしかしてオタクかぁ?」

ジュン「そ、そんなわけないだろ」

ジュン「だいたい、なんでインターネットやってるだけでオタクなんだよ」

男子「それもそうだな、わりぃわりぃ」

105: 2008/09/10(水) 23:33:28.34 ID:KE2QjvuZO
授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

ジュン「帰るか……」

男子「桜田ちょっと待てよ」

ジュン「なんだ?」

男子「他中の友達から聞いたんだけどさ」

男子「お前って、人形とかの服作ったりすんの?」

ジュン「え?」

117: 2008/09/10(水) 23:57:47.58 ID:KE2QjvuZO
ジュン「な、そ、そんなわけないだろ」

男子「そうかぁ?そいつの言ってたこと、リアルだったんだけどさ」

ジュン「ないって、さすがにさ」

男子「まぁそうだよな。そうだったら、さすがにひくわ」

ジュン「………」

ジュン「また明日な……」

男子「おう!またな」

118: 2008/09/10(水) 23:59:59.63 ID:KE2QjvuZO
ジュン「ただいま」

雛苺「おかえりなの~」

ジュン「…………」

雛苺「??」

のり「あらジュン君、おかえり。今日は」

ジュン「ただいま。今日は夜ご飯いらない」

のり「え?ジュン君?」

ジュン「…………」

121: 2008/09/11(木) 00:03:47.00 ID:VEUGHjRhO
あいつらか…
またあいつらなのか……
くそっ……
僕がせっかく…

真紅「ジュン、ジュン。聞こえているの?」

ジュン「……なんだよ」

真紅「聞こえていたのね。なんだか様子が変だわ」

ジュン「………」

真紅「まさか、また引きこもる気?」

ジュン「………」

真紅「聞いているのジュン?」

ジュン「聞こえてるよ!!」

真紅「!!」

123: 2008/09/11(木) 00:06:58.65 ID:VEUGHjRhO
真紅「ジュン…何があったの?話して頂戴」

ジュン「なんでもない」

真紅「ジュン…」

パチンッ!

ジュン「イタッ!なにするんだよ!」

真紅「あなたは自分で決めたことも守れないの!?」

ジュン「なっ…」

126: 2008/09/11(木) 00:11:56.43 ID:VEUGHjRhO
真紅「翠星石!見てるんでしょ、あなたも何か言ってやって頂戴」

翠「………」

ジュン「すいせ…」

パチン

翠「チビ人間はなんですぐに殻に閉じこもろうとするですか!」

ジュン「………」

翠「翠星石には何があったか分からないです…」

翠「でも、でも……」

翠「翠星石の大好きなチビ人間はそんなにへたれた野郎じゃないです!」

ジュン「……は?」

翠「え、あ……今のは違うです」

真紅「翠星石…」

翠「あ、明日のスコーンを作る準備をしてくるです!」

ジュン「…………」

128: 2008/09/11(木) 00:16:23.40 ID:VEUGHjRhO
雛苺「ヒナも応援してるのよ」

ジュン「雛苺……」

雛苺「トモエとの約束を破ったらヒナが許さないのー!」

真紅「いい?ジュン」

真紅「あなたは弱くない。私たちとの生活の中でとても強くなったわ」

ジュン「……そうだな」

ジュン「誰が引きこもるって言ったんだよ」

真紅「ジュン……」

雛苺「それでこそジュンなの」

まだ大丈夫。
完全にばれた訳じゃないんだ。

131: 2008/09/11(木) 00:20:35.63 ID:VEUGHjRhO
真紅「とりあえず、翠星石は氏刑なのだわ」

雛苺「あれは反則なの」

ジュン「え?」

真紅「なんでもないわ。気にしないで頂戴」

135: 2008/09/11(木) 00:26:06.51 ID:VEUGHjRhO
ジュン「行ってきます」

のり「いってらっしゃい」




真紅「ジュンが行ったわ」

翠「今日は学校でのジュンの様子を見てやるです」

雛苺「見つからないように行くのよ」

136: 2008/09/11(木) 00:28:28.65 ID:VEUGHjRhO
ジュン「おはよ」

男子「おう」

女子「おはよう」



翠「ジュンが席に着いたです」

真紅「よく見えないのだわ」

雛苺「あっちから見てみるのー」

138: 2008/09/11(木) 00:33:25.35 ID:VEUGHjRhO
男子「昨日はごめんな」

ジュン「いいって、気にしてない」

男子「友達がしつこくてさ」

ジュン「ははっ…そうなんだ」




雛苺「見やすいの~」

真紅「雛苺!戻って来なさい!」

翠「だ、誰か来たですぅ」

担任「なんだこれ。人形?」

142: 2008/09/11(木) 00:40:43.78 ID:VEUGHjRhO
担任「おぅい、廊下に落ちてたんだが、誰のだ?」

雛苺「…………」

ジュン「なっ、ひな」

男子「なんだ桜田、お前のか?」

ジュン「い、いや、その」

担任「桜田のかぁ。また可愛いもんを持ってるんだな」

ジュン「え?」

担任「気持ちはわかるが、学校には持ってくるなよ」

ジュン「そ、それは、違っ」

「うわ、まじかよありえねぇ…
気持ち悪い趣味ぃ…
クスクス」

ジュン「あっ、あっ…」

やめろ、やめろ……!
そんな目で見ないでくれ!やめてくれ……!

ジュン「うっ…」ダッ

担任「おい、桜田!どこに行くんだ」

147: 2008/09/11(木) 00:45:32.23 ID:VEUGHjRhO
ジュン「おえぇ…」

嘔吐感が堪えられなくなり、トイレへとかけこんだ。

ジュン「はぁはぁ…終わった」

ははは…
まさかこんなに早いとは。

ジュン「昨日決めたばっかりだったのにな…」

渇いた笑いが口から漏れる。

ジュン「ははっ…は……は……帰ろう」

153: 2008/09/11(木) 00:51:26.64 ID:VEUGHjRhO
真紅「ジュン…ドアを開けて頂戴」

ジュン「…………」

雛苺「ジュン……ヒナ、ヒナ…」

翠「あの………」

ジュン「うるさいな……」

ジュン「ほっといてくれよ…」

真紅「ジュン……」

ジュン「気にしてないから……ほっといてくれ」

157: 2008/09/11(木) 00:56:45.87 ID:VEUGHjRhO
いいじゃないか…
いつもの生活だ…いつもの…
いつも通りパソコンを付けて。
いつも通り通販をして…
いつも通り……

水銀燈「ふぅん、ここが新しい家なんだぁ」

ジュン「なっ、なんでお前が!?」

水銀燈「ふふふ、そんなに驚かなくたっていいじゃなぁい」

159: 2008/09/11(木) 01:00:24.59 ID:VEUGHjRhO
水銀燈「あなたがあの鏡をここに置いたんでしょぉ?」

ジュン「あれは真紅が」

水銀燈「まぁそんなことに興味なんてないわぁ」

ジュン「おい…出てけよ」

水銀燈「出てけとは失礼ね……学校には相変わらず行ってないのぉ?」

ジュン「…………」

水銀燈「あら図星?」

ジュン「うるさいな……」

162: 2008/09/11(木) 01:04:44.86 ID:VEUGHjRhO
ジュン「出ていってくれよ」

水銀燈「はぁ……」

水銀燈「戦う気が失せるわね」

ジュン「そうか……ちょうどいいじゃないか」

水銀燈「あなたムカつくわぁ」

ジュン「そうかよ」

164: 2008/09/11(木) 01:10:51.59 ID:VEUGHjRhO
水銀燈「あなたね…」

ジュン「なんだよ」

水銀燈「自分がどれだけ恵まれてるか分かってるの!」

ジュン「なんだよいきなり」

水銀燈「病院から出たくても出れない人だっているのに」

水銀燈「あなたは自由なのに……籠から出ようとしない」

水銀燈「なんで、めぐなのよぉ!引きこもりならあなたのほうがお似合いじゃなぁい」

ジュン「………」

水銀燈「………もういいわぁ…今日は止めといてあげる」

ジュン「………あぁ…」

167: 2008/09/11(木) 01:18:20.57 ID:VEUGHjRhO
引きこもり…
あぁそうだよ、引きこもりさ……
何が悪いんだよ。
たしかに人形の服とか縫ったことあるよ、それの何が悪いんだよ…

人には色んな趣味があるじゃないか…
恥ずかしい趣味があるじゃないか…

?「起きて…起きてジュン君」

ジュン「……ん?」

蒼「やっと起きたね。倒れているからビックリしたよ」

170: 2008/09/11(木) 01:22:48.30 ID:VEUGHjRhO
ジュン「なんで……」

翠「翠星石が呼んだです…」

蒼「僕なら相談役にちょうどいいって思ったみたいだよ」

蒼「まぁそんなに相談に乗れるとは思わないけどね」

ジュン「たしかに……相談役には良さそうだな」

蒼「そうかい?僕はそう思わないんだけどね」

173: 2008/09/11(木) 01:31:42.36 ID:VEUGHjRhO
蒼「相談内容はイジメでいいのかな?」

ジュン「………」

蒼「正直、僕にはイジメっていうのはよく分からないよ」

ジュン「そうだろうな」

蒼「そこまでストレートに言われるとショックだね」

蒼「君のお姉さんに聞いた話だと、"女の子向けの服"が原因みたいだね」

ジュン「………っ……」

蒼「でもねジュン君…僕はそれを悪いこととは思えないんだ」

ジュン「え?」

175: 2008/09/11(木) 01:35:01.11 ID:VEUGHjRhO
蒼「恥ずかしい?」

蒼「そう思うからダメなんだよ」

蒼「君のそれはマエストロ級なんだ」

ジュン「あぁ」

蒼「欠点じゃない、誇るべきものなんだよ」

ジュン「………」

蒼「あは、ちょっと恥ずかしいことを言っちゃったかな」

177: 2008/09/11(木) 01:40:29.35 ID:VEUGHjRhO
ジュン「そんなことないさ」

蒼「そうかい?」

ジュン「あぁ、元気がでたよ。ありがとう」

ナデナデ

翠「なっ……」

蒼「ジュン君、帽子が潰れちゃうよ」

ジュン「あ、ごめん」

蒼「ううん、気にしないで」

蒼「僕の仕事は終わったみたいだし、帰らせてもらうよ」

ジュン「あぁ、またな」

蒼「うん、また」

181: 2008/09/11(木) 01:45:56.70 ID:VEUGHjRhO
翠「ちょ、蒼星石!一人だけナデナデしてもらってずるいですよ!」

ジュン「騒がしいな…」

雛苺「ジュン……」

ジュン「雛苺、こっち来いよ」

雛苺(コクッ)

ジュン「よし」

俯きながら近づいてきた雛苺を抱き上げる。

ジュン「心配して、ついてきたんだろ?」

雛苺「うっ…ごめんなさいジュン…グス」

ジュン「あぁもう、泣くな」

雛苺「ヒナ…いけないことしちゃった」

ジュン「だから気にしてない」

186: 2008/09/11(木) 01:52:46.90 ID:VEUGHjRhO
ジュン「ほら真紅も来い」

真紅「わかったのだわ」

トテトテ

翠「な、なんでチビ苺が抱っこされてやがるんですか!!」

ジュン「叫ぶな叫ぶな。お前もしてやるから」

翠「別にして欲しいわけじゃねぇです…」

翠「で、でも特別に抱かれてやるです」

ジュン「素直じゃないな」

翠「うるせぇですぅ」

188: 2008/09/11(木) 01:59:22.74 ID:VEUGHjRhO
ジュン「ていうか、もう朝じゃないか!」

翠「うわ…急に立ち上がるなです」

雛苺「ジュンタワーなのー」

真紅「ジュン、学校には行くの?」

ジュン「行くに決まってるだろ。水銀燈と蒼星石にまで言われたら行くしかない」

195: 2008/09/11(木) 02:05:05.40 ID:VEUGHjRhO
原作しか読んでない俺にバラスィーを出せと…


教室の前で大きく息を吸って吐く。

ジュン「よし」

ガラガラ

ジュン「……」

みんな見てるな…
気にするな、大丈夫さ。
もうくじけたりしない。

ジュン「みんな、おはよう」

返事なしか…

女子「おはよう」

ジュン「え?」

203: 2008/09/11(木) 02:10:02.85 ID:VEUGHjRhO
ジュン「あ、うん、おはよう」

女子「桜田君って凄く裁縫が上手なんだね」

ジュン「そ、そうかな?」

男子「いや、ビックリしたよ。あの人形の服、桜田が作ったのか?」

ジュン「ま、まぁ、直したりくらいわ」

男子「さすがにあの人形と服はひくけど、あれはあれですげぇよ」

206: 2008/09/11(木) 02:15:58.60 ID:VEUGHjRhO
男子「服破れたときとか直してもらえるし」

ジュン「僕は便利屋かなんかなのか…」

男子「そう落ち込むなよ、ああいうのじゃなくて、もっとカッコイイ服とかさ」

ジュン「……………」

男子「どうかしたか?」

ジュン「あ、いや、なんでもない」

209: 2008/09/11(木) 02:22:52.75 ID:VEUGHjRhO
担任「おはよぅ!ってなんでみんな立ってるんだ」

担任「ほら、桜田もさっさと座れ」

ジュン「あ、はい」


少しずつ、少しずつ近づいていけばいいと思っていた。
少しずつ分かってもらえばいいって。

まさか、いきなりだとは予想もしていなかった。
でも、これもきっとみんななおかげなのかな。





金糸雀「完全に忘れられてるかしら」

211: 2008/09/11(木) 02:24:41.51 ID:VEUGHjRhO
おわり

269: 2008/09/11(木) 18:08:30.01 ID:VEUGHjRhO
雛苺「ジュンのぼりー」

机に向かって勉強をしていると、雛苺がいきなり僕をのぼりはじめた。

雛苺「ねぇジュン、遊ぼ?」

ジュン「遊ぼって……今、僕は勉強してるんだ」

雛苺「お勉強?ジュンの字は綺麗なのー」

ジュン「まぁ、お前のにくらべればな」

雛苺「ジュン、それは言ってはいけないのよ。ヒナだって頑張ってる…なのよ」

ジュン「姉ちゃんに教わってるんだってな」

雛苺「うん!」

270: 2008/09/11(木) 18:16:23.06 ID:VEUGHjRhO
ジュン「とりあえず、降りてくれないか」

雛苺「ぶー、いやなのー」

ジュン「ほら、あとでアレ買ってやるから」

雛苺「うにゅー?」

ジュン「あぁそれだ」

雛苺「じゃあ降りるのよー」

ジュン「あぁそうしてくれ」

雛苺「じゃあ待ってるのー」

そう言って雛苺は僕から降りる。
そして、トテトテとドアに向かって歩いて行き、ドアの前で振り返った。

雛苺「ヒナはジュンも大好きなのー」

ジュン「………あぁ」

なぜかそれを言い残し、下へと降りて行った。
ジュン"も"ね…

ジュン「あいつに嫌いなやつなんているのか?」

272: 2008/09/11(木) 18:23:47.28 ID:VEUGHjRhO
雛苺が出ていって、勉強を再開する。
季節はもう高校受験だった。

ジュン「なんで勉強なんか…」

ジュン「まぁ考えたって仕方ないか」

とりあえず、目先の受験のことを考えよう。
勉強についての疑問はそれからだ。

274: 2008/09/11(木) 18:26:52.01 ID:VEUGHjRhO
コンコン…

勉強を再開して、だいたい一時間くらいたったくらいに、ドアがノックされる音が聞こえた。

翠「入るですよ」

ガチャ

ジュン「おい、まだ返事してないだろ」

翠「男がそんなこと気にすんなです」

ジュン「いや、僕にだってプライバシーは」

翠「そんなの人形の翠星石には関係ねーですよ~」

ジュン「………」

275: 2008/09/11(木) 18:32:41.58 ID:VEUGHjRhO
翠「そんなことはどうだっていいですぅ」

翠「あんまり詰め込むのはよくないですよ。これ食べて休憩するです」

翠星石の差し出したてには、何故か茶碗に盛られたクッキーがあった。

ジュン「あ、ありがとう」

翠「もっと感謝するですぅ」

ジュン「あんまり調子に乗るな」

ジュン「クッキーだけじゃ口が渇くから、飲み物をもってくるか…」

翠「それなら心配ねーですよ」

ジュン「?」

277: 2008/09/11(木) 18:37:54.17 ID:VEUGHjRhO
翠「さっき真紅が……あっ、来たです」

真紅「………そっと…そぉっと」

翠星石が指差す方向から、大きなお盆を持って、真紅が僕の部屋に入ってきていた。

真紅「ふぅ、やっと着いたのだわ」

ジュン「ん……なんだこれ」

真紅「なっ…」

真紅「見て分かるでしょ、紅茶よ」

ジュン「ふぅん、姉ちゃんが作ったのか?」

279: 2008/09/11(木) 18:43:57.77 ID:VEUGHjRhO
真紅「………」

翠「ぷぷぷ……」

真紅「わ、笑わないで頂戴!」

翠「じ、実はですねチビ人間」

ジュン「なんだよ」

翠「この紅茶は真紅がいれたですよ」

真紅「……///」

ジュン「真紅が?」

翠「三回くらい失敗してたですぅ」

真紅「なっ、それは言わなくてもいいでしょう」

翠「わー、真紅が怒ったですー」

真紅「ま、待ちなさい翠星石」

ドタドタと部屋の中を走り回る二人。
意外と珍しい光景だった。

ジュン「でも騒がしいな……」

281: 2008/09/11(木) 18:48:55.57 ID:VEUGHjRhO
ジュン「やっと静かになったか……」

真紅「翠星石、薔薇乙女ならば、もっと大人しくなりなさい」

翠「そういう真紅のが暴れてたです」

真紅「うっ……そ、そんなことは」

ジュン「あぁもう、いいから。ほら、クッキーと紅茶」

真紅「あ、ありがとう」

翠「…ありがとうです」

282: 2008/09/11(木) 18:55:34.57 ID:VEUGHjRhO
雛苺「あー、みんなずるいのよ」

ジュン「あ、雛苺」

雛苺「ヒナもお菓子食べるのー」

翠星石「チビ苺のクッキーなんてないですぅ」

ジュン「おい翠星石」

真紅「雛苺、いらっしゃい。あなたにも紅茶をいれてあげるわ」

雛苺「真紅ありがとうなのー」

ドアから覗いていた雛苺が、トトトっとこっちに走って来た。

283: 2008/09/11(木) 19:02:41.43 ID:VEUGHjRhO
雛苺「ヒナの席はここなのー」

そう言い、雛苺は僕の膝の上に座る。

真紅、翠「なっ…」

翠「ち、チビ苺!今すぐそこから降りるです!」

真紅「そうよ雛苺。あなたも床に座るべきだわ」

雛苺「嫌なの、ヒナはここがいいのよ」

翠星石「そんなこと言ってねーで、はやく降りやがれです」

ジュン「ちょ、翠星石、お前まで乗るなよ」

翠星石「うるせぇですぅ」

真紅「あなたたち、いい加減にしなさい」

雛苺「ジュン、ヒナにクッキーを食べさせてほしいのー」

あぁ、騒がしいな。
でもたまには、勉強ばかりじゃなくて…
こういうのもいいかもな。

286: 2008/09/11(木) 19:09:32.05 ID:VEUGHjRhO
一方桜田家の外

金糸雀「新しい家なのかしらー」

金糸雀「そして、久しぶりに会いに来てみれば、なんて羨ましいことになってるのかしら」

水銀燈「はぁ…」

金糸雀「え?ってなんであなたがここにいるのかしらー!?」

水銀燈「別にいいじゃなぁい。私がどこにいたって」

金糸雀「た、たしかにそれは自由かしら」

289: 2008/09/11(木) 19:14:16.43 ID:VEUGHjRhO
金糸雀「アリスゲームなら相手になるわよ」

水銀燈「そのつもりで来たのに……あんなの見たら戦う気が起きないわぁ」

金糸雀「た、たしかにそうかしら」

銀、金「はぁ~」

291: 2008/09/11(木) 19:21:55.88 ID:VEUGHjRhO
ジュン「あ、もうこんな時間か」

翠「どうかしたですかチビ人間?」

ジュン「いや、図書館にでも行こうかと」

真紅「図書館?」

ジュン「あぁ」

真紅「ならお願いしたいものがあるわ」

ジュン「お願いしたいもの?」

293: 2008/09/11(木) 19:26:39.62 ID:VEUGHjRhO
ジュン「なんだよこれ」

図書館への道を歩きながら、真紅が作ったメモを見る。
真紅が作ったと言っても、真紅が言ったものを僕が書いたんだけど。

ジュン「こんなに借りられるはずないだろ」

メモには、約十冊くらいの題名がならんでいた。
だいたい、どうやって題名を調べたんだか。

ジュン「うだうだしてても仕方ないか…さっさと行こう」

299: 2008/09/11(木) 20:11:10.19 ID:VEUGHjRhO
図書館に着いてみると、やっぱり一人五冊までだった。

ジュン「まぁそうだよな」

ジュン「とりあえず、上から五冊を借りるか」

巴「……桜田君?」

ジュン「え?」

300: 2008/09/11(木) 20:14:29.39 ID:VEUGHjRhO
ジュン「柏葉?なんでここに?」

巴「たまたま……」

巴「ただ、たまには遠くの図書館に」

ジュン「電車に乗って?」

巴「うん」

ジュン「すごいことするんだな……」

303: 2008/09/11(木) 20:18:27.45 ID:VEUGHjRhO
巴「桜田君はここの近くなの?」

ジュン「え?あぁ、まぁ」

巴「そうなんだ……」

巴「あの…」

ジュン「なんだ?」

巴「家に行ってもいい?」

ジュン「?」

巴「久しぶりに雛苺にも会いたいし…」

ジュン「そ、そうか、いいよ別に」

巴「ありがとう」

305: 2008/09/11(木) 20:23:30.02 ID:VEUGHjRhO
ジュン「ただいま」

雛苺「トゥ、モ、エー!!」

ジュン「うわぁ!?」

ガチャとドアを開け、玄関に入るといきなり雛苺が飛び込んできた。

雛苺「トモエ、久しぶりなの。とっても会いたかったのよ」

巴「雛苺…私も会いたかったわ」

雛苺「久しぶりのトモエの匂いなのー」

巴「雛苺は元気ね」

雛苺「もちろん元気よ。ヒナは元気が大好きなのー」

307: 2008/09/11(木) 20:26:57.00 ID:VEUGHjRhO
雛苺「トモエ、新しい家を案内してあげるの」

巴「え、あの…」

ジュン「雛苺に付き合ってやってくれ」

巴「うん」

雛苺「こっちよトモエ」

309: 2008/09/11(木) 20:30:56.31 ID:VEUGHjRhO
雛苺「ここはトイレなの」

まず一階から紹介しようとしてるのか、何故か風呂、トイレという風に案内していく雛苺。

雛苺「あれはキッチンなのよトモエ」

トモエ「広いね」

雛苺「とっても広々なのー」

雛苺「で、あれがくんくんなのー」

311: 2008/09/11(木) 20:36:46.85 ID:VEUGHjRhO
翠「どうしたですか?」

雛苺「あっ、翠星石なのー」

巴「翠星石ちゃん、久しぶりね」

翠「なっ、なんでお前がここにいるですか!?」

ジュン「僕が連れてきたからだけど」

翠「チビ人間が……?」

ジュン「あぁ…どうかしたか?」

翠「チビ人間が連れてきたなら仕方ないです」

ジュン「??」

314: 2008/09/11(木) 20:44:37.43 ID:VEUGHjRhO
翠「そこの人間、翠星石が特別にクッキーやるですから、着いてくるです」

巴「え?」

ジュン「着いて行ってやってくれ。あいつなりの努力だからさ」

雛苺「トモエ!苺ジャムをクッキーにつけるとおいしいのよ」

翠星石「チビチビたちはうるせーです!ほら、さっさと来るです」

巴「う、うん」

317: 2008/09/11(木) 20:52:48.06 ID:VEUGHjRhO
巴「おいしい…」

翠「翠星石が作ったんだから、おいしいのは当たり前ですぅ」

巴「本当においしいよ」

雛苺「トモエ、私に食べさせて!」

巴「え?あ、はい。あーん」

雛苺「あーん……うゆ、やっぱりおいしいのー」

翠「………ち、チビ人間」

ジュン「なんだよ」

翠「あ、あー……あー…」

翠「やっぱり、なんでもないですぅ!」

ジュン「はぁ…?」

322: 2008/09/11(木) 21:01:35.15 ID:VEUGHjRhO
のり「ただいまー」

真紅「ただいまだわ」

真紅がいないなぁと思っていたら
姉ちゃんと一緒に出掛けていたようだった。

のり「あら?あらあらぁ?巴ちゃん久しぶりじゃないのぉ」

巴「お久しぶりです」

真紅「元気そうね」

巴「うん」

325: 2008/09/11(木) 21:06:11.43 ID:VEUGHjRhO
のり「学校はどうなのぅ?」

巴「それなりに……」

のり「あと、あと…」

ジュン「姉ちゃん、質問しすぎだ」

久しぶりに会ったのが、余程嬉しかったのか、さっきから柏葉は質問責めにあっていた。

巴「私は大丈夫」

のり「ほら、巴ちゃんもそう言ってるじゃないのよぉ」

ジュン「む…」

真紅「のり、あなたは少し落ち着くべきだわ」

のり「真紅ちゃんまで…」

327: 2008/09/11(木) 21:11:41.84 ID:VEUGHjRhO
のり「あ、巴ちゃん?晩御飯食べてかない?」

巴「それは……えっと」

ジュン「あ、柏葉!ちょっと話があるから、来てくれ」

翠「翠星石も行くですぅ」

雛苺「翠星石はダメなのよ。ジュンとトモエを二人にしてあげるの」

翠「ち、チビ苺に言われなくてもわかってるです」

329: 2008/09/11(木) 21:16:04.85 ID:VEUGHjRhO
二階へと駆け上がり、自分の部屋に入る。

ジュン「ふぅ…」

巴「桜田君?」

ジュン「大丈夫か?さすがにあれは騒がしいだろ?」

巴「ううん…とっても楽しい」

巴「こんなに楽しいのは久しぶり…」

ジュン「楽しいのか?」

巴「うん」

332: 2008/09/11(木) 21:18:27.13 ID:VEUGHjRhO
巴「話って?」

ジュン「いや、その……別に話はないんだけど」

巴「なら、私が話してもいい?」

ジュン「え、まぁ」

巴「ありがとう」

334: 2008/09/11(木) 21:23:54.78 ID:VEUGHjRhO
巴「私、頑張ったよ」

ジュン「そうなのか?」

巴「うん…全部が全部じゃないけど、言いたいことを言えるようになった」

巴「父にはワガママって言われちゃった」

ジュン「そ、そっか」

巴「でも、どこか嬉しそうだった」




翠(よく聞こえないです)

真紅(翠星石、もっとつめて頂戴)

雛苺(うゆー…)

337: 2008/09/11(木) 21:30:21.53 ID:VEUGHjRhO
巴「桜田君は?」

ジュン「僕?僕は…」

ジュン「ちゃんと学校にも行ってる」

巴「そうなんだ」

ジュン「あぁ……学校って楽しかったんだなって思った」




翠星石(痛い痛いですぅ。足を踏んでるです)

雛苺(ごめんなさいなの)

真紅(し!静かに)

338: 2008/09/11(木) 21:34:34.76 ID:VEUGHjRhO
巴「変われないって思ってた」

ジュン「あぁ」

巴「でも、そんなことはないんだね」

ジュン「すぐには変われないけど、努力すれば変われるんだな」

巴「そう…本当に」




翠(…………)

真紅(ジュン…)

雛苺(トモエ…)

342: 2008/09/11(木) 21:46:06.40 ID:VEUGHjRhO
巴「ねぇ桜田君」

翠「ちょっとまったぁ!です」

ジュン「え?」

真紅「ちょ、翠星石!」

雛苺「巴頑張ったのね…ヒナがナデナデしてあげるのー」

344: 2008/09/11(木) 21:49:42.25 ID:VEUGHjRhO
風呂行ってくる

348: 2008/09/11(木) 22:15:19.84 ID:VEUGHjRhO
翠「そんな、そんなイイ雰囲気になってるんじゃねーです」

ジュン「はぁ…」

真紅「ごめんなさいジュン。そんなつもりはなかったわ」

ジュン「どんなつもりだよ」



雛苺「頑張ったのー」

ナデナデ

巴「あはは、くすぐったいよ」

350: 2008/09/11(木) 22:18:50.90 ID:VEUGHjRhO
のり「本当に帰っちゃうのぉ?」

巴「はい」

のり「う~」

ジュン「なくなよ姉ちゃん。またな柏葉」

巴「うん」

雛苺「バイバイなのトモエ」

巴「うん、バイバイ」

352: 2008/09/11(木) 22:23:06.47 ID:VEUGHjRhO
のり「よかったじゃないジュン君」

ジュン「なにがだよ」

のり「久しぶりでしょお?巴ちゃん」

ジュン「まぁ」

のり「青春ねぇ」

ジュン「ばっ、なにいって」

のり「うふふ」

354: 2008/09/11(木) 22:30:01.77 ID:VEUGHjRhO
本のページが強い風でめくられるかのように、中学三年の年は過ぎていく。
歳を重ねるごとに、一年一年が短くなってる気がする。

木の葉が赤く染まり、落ちる。

クリスマスが過ぎる。
もっとも受験生の僕には、あまり関係なかった。
そう思いたい。

そして、受験当日。

356: 2008/09/11(木) 22:33:46.98 ID:VEUGHjRhO
のり「忘れ物ない?ほらお弁当とか」

ジュン「大丈夫だよ」

のり「あああぁ、心配だわぁ」

ジュン「なんで僕より姉ちゃんが焦ってるんだ」

真紅「仕方ないのだわ。これがのりなのだから」

ジュン「そうだな」

雛苺「ジュン、ヒナがおまじないしてあげるの!」

ジュン「おまじない!」

雛苺「ナデナデなのー」

ジュン「い、いいよ別に」

358: 2008/09/11(木) 22:37:15.33 ID:VEUGHjRhO
ジュン「じゃあ行ってくるよ」

翠「ちょっと待つです」

ジュン「はぁ、今度はなんなんだ」

翠「これ……」

ジュン「スコーン?」

翠「これで受験もスコーンと合格ですぅ」

ジュン「意味がわからない」

真紅「ジュン、時間が」

ジュン「うわ、やば…い、いってきます」

皆「いってらっしゃい(なの/ですぅ)」

361: 2008/09/11(木) 22:42:26.92 ID:VEUGHjRhO
ジュン(なんだこの問題…)

ジュン(彼女は愛ではなく、お金のために結婚した……これを英訳)

ジュン(つか、なんつー昼ドラな問題だよ)

ジュン(えっと、次)

363: 2008/09/11(木) 22:47:36.47 ID:VEUGHjRhO
試験が終わり、家路の途中。

ジュン「はぁ……大丈夫かな」

結果ばかりが気になる。
家に帰って、自己採点して……

ジュン「面倒だな」

考えるのも鬱になるので、何も考えず、とっとと家に帰ることにした。

365: 2008/09/11(木) 22:52:44.95 ID:VEUGHjRhO
ジュン「ただいま」

のり「おかえり!どうだったのぉ?」

ドアを開けると、目の前に姉ちゃんの顔があった。

ジュン「近いよ」

のり「あ、ごめんねジュン君。っで、で?どうだったの?」

ジュン「はぁ」

この質問責めは、このあと夕食が終わるまで続いた。

369: 2008/09/11(木) 22:58:35.28 ID:VEUGHjRhO
受験は結果からいうと、第一志望が落ちて、第二志望に受かった。
なんというか複雑な気持ちだった。

もちろん翠星石はプンスカと言った感じに怒っていた。
「翠星石のスコーンがあったのに」と。

雛苺は「ジュンは頑張ったのよ。偉いのー」とか言っていた。

真紅は……
ノーコメントに近かった。
まぁクールに気取っていたのだろう、本を逆さまにして読んでいた。

371: 2008/09/11(木) 23:02:29.56 ID:VEUGHjRhO
ジュン「明日は入学式かぁ」

翠「どうかしたですか?」

ジュン「遅刻はしたくないな、と」

真紅「ジュンは遅刻魔だったわね」

雛苺「遅刻マンなのー」

ジュン「なっ、僕はそんなに遅刻してないぞ」

真紅「そうだったかしら?」

ジュン「そうだよ」

374: 2008/09/11(木) 23:05:58.12 ID:VEUGHjRhO
翠「遅刻人間はさっさと寝て、明日に備えるですぅ」

ジュン「だから遅刻人間じゃない」

真紅「でも早く寝たほうがいいのではないの?」

ジュン「さすがに早過ぎだろ、まだ8時半だ」

376: 2008/09/11(木) 23:09:56.93 ID:VEUGHjRhO
ジュン「って、思ってた僕がバカだった」

真紅「備えあれば憂いなし、という言葉を勉強していなかったの?」

ジュン「うるさいぞ!くそっ、また初日から遅刻かよ」

雛苺「諦めたらダメなの。まだ大丈夫なのよ」

翠「口開けるです!翠星石がパンを放り込んでやるです」

ジュン「あぁもう…」

380: 2008/09/11(木) 23:16:03.41 ID:VEUGHjRhO
翠「ネクタイが曲がってるですよ」

雛苺「ヒナが直してあげるの」

ジュン「大丈夫だ、自分で直すから」

真紅「ほら、鞄なのだわ」

ジュン「あぁ、ありがと真紅」

ジュン「じゃあ行ってきます」

381: 2008/09/11(木) 23:21:23.23 ID:VEUGHjRhO
ジュン「はぁはぁ……」

ギリギリのタイミングで校門をくぐり抜ける。

ジュン「なんとか……ま、間に合った」

少しずつ、荒れた息を整えていく。

ジュン「ふぅ……」

ジュン「よし。行くか」

巴「桜田君?」

ジュン「はい?」

385: 2008/09/11(木) 23:27:22.73 ID:VEUGHjRhO
巴「桜田君もここだったんだね」

ジュン「あ、うん、まぁ」

一応、第一志望は落ちたことは伏せておく。

巴「一緒の高校、なれたね」

ジュン「そうだな、これからよろしく」

巴「うん…よろしく」

キーンコーンカーンコーン

ジュン「あ……」

巴「なっちゃった……」

ジュン「遅刻かぁ」

巴「どうかした、桜田君?」

ジュン「いやなんでもない」

393: 2008/09/11(木) 23:36:55.66 ID:VEUGHjRhO
教室に入ると、自己紹介の真っ最中だった。

担任「なんだ二人揃って遅刻か」

クラスメイトの視線が僕たちに集まる。

巴「すみません。電車に乗り遅れてしまって」

ジュン「あ、僕も……」

担任「そうか…まぁ初日だから許してやる」

担任「とりあえず席に着く前に自己紹介してもらおうか」

ジュン「あ、はい」

ジュン「えっと……桜田ジュンです。趣味は裁縫です。
変な趣味だと思うかもしれませんが…」

ジュン「これからよろしくお願いします」


おわり

395: 2008/09/11(木) 23:39:02.18 ID:AUON90hE0

400: 2008/09/11(木) 23:40:40.14 ID:VEUGHjRhO
金糸雀「出番少ないかしら」

水銀燈「私もかなり少ないじゃなぁい」

蒼「僕も……かな」

水銀燈「私を使わないなんて、本当におバカさぁん」

金糸雀「私のほうが使いやすいかしらー」

蒼「僕も人気あると思ったんだけどな……」

三人「はぁ…」

401: 2008/09/11(木) 23:40:46.20 ID:Rgz9JsuSO


是非続きを期待したいな

409: 2008/09/11(木) 23:44:27.72 ID:VEUGHjRhO
読んでくれてありがとう
ローゼンは変態が多めな感じがしたから
たまには普通のもいいかなと

ハルヒは少し書いてたけど
ローゼンSSは初めてだから、ちょっと自信なかったんだ

422: 2008/09/12(金) 01:28:49.63 ID:iMIaLNVwO
乙っす

引用: 翠「さっさと起きやがれです」