354: 2013/04/18(木) 21:09:31.67 ID:Z5I0k0/0o

【まどマギ】ほむら「時の卵?」【前編】

第4話「もう何も怖くない」


このセーブデータをロードします。よろしいですか?


ニアよろしい

  よろしくない

355: 2013/04/18(木) 21:12:41.03 ID:Z5I0k0/0o
まどか「おはよう、ほむらちゃん」

さやか「遅いぞ、ほむらー」

仁美「おはようございます」


ほむら「お待たせ、みんな。さあ、行きましょう」


…………


まどか「でね。ラブレターでなく直に告白できるようでなきゃダメだって」

さやか「相変わらずまどかのママはカッコいいなあ。美人だしバリキャリだし」

仁美「そんな風にキッパリ割り切れたらいいんだけど……はぁ」

ほむら「……」


カラーン...コローン...

まどか「わあ、リーネの鐘があんなに気持ちよさそうに歌ってる」

ほむら「……え?」
夢の中で逢った、ような……

357: 2013/04/18(木) 21:15:12.20 ID:Z5I0k0/0o
まどか「どうかしたの? ほむらちゃん」

ほむら「いえ、なんでも……待って。リーネの……鐘……?」

さやか「そーだよ! リーネの鐘が鳴ってるってことは時間やばいじゃん!」

仁美「少し急いだほうが良さそうですわね」

さやか「よーし、走るかー」


まどか「あ、待ってよ! ほむらちゃん、いこ! 置いてかれちゃうよ」

ほむら「まどか、待って……何かおかしい……」

358: 2013/04/18(木) 21:17:47.37 ID:Z5I0k0/0o
まどか「何言ってるの? ねえ、ほむらちゃんってば!」

ほむら「そうよ……リーネ……中世……私は、私たちは魔王と戦ってて……」

まどか「ほむらちゃん! どうしたの? ほむらちゃん!」

ほむら「ゲートが……とても巨大なゲートが……」

まどか「ホムラチャン! ホムラチャン!! ホムラチャン!!!」



まどか「ホムラチャンホムラチャンホムラチャホムラホムホムホムほむほむほむほむ!!!」

ほむら「!?」

359: 2013/04/18(木) 21:20:11.84 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 イオカ村 酋長のテント


ほむら「んあー!?」

エイラ「ほむ! 気づいたか!」

ほむら「エイラ!? え……今のは、夢? ここは……」

エイラ「エイラ、会いたかった。不思議山、行った。お前たち、倒れてた」

エイラ「エイラ、ひとりでみなかついで、テント連れて来た」

ほむら「原始時代……あの巨大なゲートに吸い込まれた先が……」


ほむら「そ、そうだわ! 他のふたりは!? 杏子は? 魔王はどうなったの!?」

エイラ「落ち着け、ほむ。お前の連れ、そこ寝てる」

さやか「うーん……」

カエル「うぐぐぐ……」

360: 2013/04/18(木) 21:22:58.17 ID:Z5I0k0/0o
カエル「ぐお……ぐぐ……ま……魔王ーッ!」ガバッ

ほむら「カエルさん! 良かった、気がついたのね」

カエル「ほむら……。ここはいったい……」


エイラ「このカエル、デカい。みやげか? エイラ、食っていいか?」

カエル「うおぉおい!? 誰だこの女は!? やめろ、味見するな!」

さやか「うぅ……うるさいなあ……ん? あれ……」


カエル「さやか! 助けてくれ!」

さやか「……なにやってんの、師匠……」

361: 2013/04/18(木) 21:24:21.03 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「みやげじゃないのか。エイラ、つまらん」

カエル「くそ、なんでいきなりこんな目に……。おい、青白いツラしたマントのヤローはいなかったか?」

エイラ「いや、お前たちだけ。そいつ、お前よりウマイか?」

カエル「魔王……逃がしたか」

さやか「杏子もいないんだね……。また、離ればなれか……」

362: 2013/04/18(木) 21:26:23.13 ID:Z5I0k0/0o
マミ「暁美さん! 美樹さん!」

さやか「えっ!? ま、マミさん!?」

マミ「心配したのよ……。目を覚まさなかったら、どうしようかと」

ほむら「マミ。意外と早い再会になったわね」


キーノ「( ゚∀゚)o彡°おっOい! おっOい!」

さやか「あそこで、あたしを凝視して狂ったように踊ってるのは?」

マミ「キーノくんよ。あれはボボンガね。歓迎の踊りなの」

ほむら(絶対ボボンガじゃないわよ。おっOい言うてるし)


エイラ「お前たち、傷だらけ。今日は休め。テント、貸してやる」

ほむら「悪いわね」

364: 2013/04/18(木) 21:28:36.79 ID:Z5I0k0/0o
翌日


マミ「中世で魔王、か。ずいぶんと大変な戦いだったみたいね」

ほむら「結局、ラヴォスを生み出したのは魔王じゃなかった。当てが外れたわね」

さやか「じゃあラヴォスっていつからいたんだろ?」

カエル「魔王は『太古の時』と言っていたが……」


マミ(魔王さんか。『黒い風』……すごくそそられるわ。どうにかして技名に取り入れられないかしら)

ほむら「マミ? どうかしたの?」

マミ「えっ!? い、いえ。なんでもないのよ。オホホホ」

366: 2013/04/18(木) 21:31:11.79 ID:Z5I0k0/0o
キーノ「元気か、ほむたち。メシ持ってきた。食って、リキ、つけろ」

さやか「気が利くじゃん! サンキュー、キーノ!」


ほむら「そういえばエイラは? 朝から姿が見えないみたいだけど」

キーノ「エイラ、今、大変。ラルバの村、探してる」

ほむら「ラルバ……確か、恐竜人との戦いを避けて隠れ住んでる人たちの村よね」

マミ「恐竜人との最後の戦いが迫ってるのよ。何とか、ラルバの村の人たちの力も借りたいんだけど……」

キーノ「恐竜人ほろぼさなければ、キーノたち、ほろぶ。逃げ続けるの、無理!」

367: 2013/04/18(木) 21:34:25.70 ID:Z5I0k0/0o
イオカ族「キーノ!!」

キーノ「どした! ほむたち、休んでる。静かにする!」

イオカ族「北の森、メラ! メラ!! メラ!!!」

キーノ「!」

さやか「え、なに? メラメラメラ?」

カエル「北の森が燃えているってことか?」

マミ「そんな……だとしたら、大変よ! 北の森はエイラが向かった先なの!」

ほむら「なんですって!?」


キーノ「……ッ!!」

マミ「あっ、キーノくん! 待って、ひとりじゃ……」

ほむら「追いかけるわよ!」

369: 2013/04/18(木) 21:39:59.60 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 ラルバ村の焼け跡


さやか「なにこれ……ひどい……」

カエル「焼き討ちと略奪か。侵略戦争につきものとはいえ、気分のいいものではないな」

ほむら「キーノが見当たらないけど……」


ラルバ族「おまえら、イオカのやつらか……」

マミ「あの、ここに男の子が来ませんでした? イオカ族の……」

ラルバ族「キーノ、恐竜人、さらわれた。ラルバのみんな、さらわれた」

マミ「そ、そんな……」

ラルバ「恐竜人、さからった者、みな頃しする。きっと、助からない……」

ほむら「最悪の状況ね……」

370: 2013/04/18(木) 21:43:16.58 ID:Z5I0k0/0o
さやか「ほむら、マミさん! あそこに誰かいるよ!」



マミ「エイラ! ひどい怪我……」

エイラ「マミ……。恐竜人……キーノが……」

マミ「分かってるわ。でもまずはあなたの怪我を……」


ラルバ長老「エイラ……これ、みな、お前のせい……。見ろ、このありさま……」

さやか「え、だ、誰!?」

ほむら「ラルバ村の長老さんみたいね……」

371: 2013/04/18(木) 21:45:34.58 ID:Z5I0k0/0o
ラルバ長老「お前のあと、恐竜人つけてた! だからこの村、こんな目にあった!」

エイラ「……すまん……エイラ、うかつ……」

ラルバ長老「恐竜人、たてつく……おろか! 恐竜人、ワシらより昔から、この地いる」

ラルバ長老「だからワシら、かくれてた。だが、エイラ、いっしょに戦え言う……」

ラルバ長老「エイラ! こんな目あっても、戦え言うか!?」


さやか「ちょっと待ってよ! 一方的すぎるよ、そんな言い方!」

カエル「待て、さやか」

さやか「師匠……でも!」

372: 2013/04/18(木) 21:47:31.66 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「生きてるなら……エイラ戦う! 勝った者、生きる。負けた者、氏ぬ。それ、この大地のおきて」

エイラ「恐竜人もエイラたちも、生き物みな、このおきて、さからえない」

エイラ「長老……お前たち、生きてない。氏んでないだけ!」

ラルバ長老「エイラ、お前、強い。だからそう言える! ワシら、力、ない……」

エイラ「それ違う! 力あるから戦う、違う。戦うから……力、つく!」

ラルバ長老「……」

373: 2013/04/18(木) 21:49:43.18 ID:Z5I0k0/0o
マミ「長老さん。こんなことになってしまって、本当にごめんなさい……」

マミ「あなたたちの気持ち、分かります。私も昔はそうだったもの」

マミ「戦うのが怖くて、辛くて……泣いてばかり」

マミ「いえ、きっと今もそう。無理してカッコつけてるだけ」

ラルバ長老「……」

ほむら(マミ、あなた……)


マミ「でも……そんな私でも戦い続けられるのは、そばにいてくれる人がいるから。その人が大切だから」

マミ「長老さん。あなたも……いいえ、ラルバの人たちみんな、本当は悔しいんじゃないですか?」

マミ「あなたたちの大切な人が、危険な目にあってる。助けたい……」

マミ「私たち、力を貸します。キーノくんも、さらわれたラルバの人たちも、みんな助け出します!」

マミ「だからお願い……。あなたたちも、私たちに力を貸してください……!」

374: 2013/04/18(木) 21:52:54.88 ID:Z5I0k0/0o
ラルバ長老「……」

エイラ「長老、たのむ! このとおり!」

ラルバ長老「……ワシら、戦うの無理。手伝いたくても、手伝えない」

さやか「そんな!」

ラルバ長老「だから、別の方法、探す。エイラ、言え。ワシら、何すればいい?」

エイラ「長老!」

マミ「長老さん! ありがとう……」


さやか「良かった~。一時はどうなることかと……」

カエル「人は助け合えるさ。少しのきっかけさえあればな」

ほむら「さやか、カエルさんに感謝しなさいよ。あなたが出しゃばってたら余計ややこしくなってたわ」

さやか「うぐっ、言い返せない……」

375: 2013/04/18(木) 21:55:09.15 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「長老! プテラン! プテラン、今、必要。プテラン貸してくれ!」

ラルバ長老「プテラン……? ティラン城、乗り込み気か!?」

ラルバ長老「あそこ、恐竜人の城。キケン! いくらエイラでも! 氏にたいか?」

エイラ「違う。生きたいから、行く。エイラ、だいじょぶ。たのむ!」

ラルバ長老「……わかった。プテランの世話してる者、伝えておく。プテランの巣、行く」

ラルバ長老「気をつける、エイラ!」

エイラ「長老、助かる!」


エイラ「マミ、あと頼む。エイラ、行く!」

マミ「待って、エイラ! まだ傷の治療が……!」

376: 2013/04/18(木) 21:57:53.20 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「行ってしまったわね」

さやか「怪我してるってのに、すごいスピードだなあ~」

カエル「ひとりで氏地におもむくつもりか……」


ラルバ長老「ワシら、言えた義理ないが、頼む。エイラ、助けてやってくれ」

マミ「長老さん……。でも、ここに残った人たちのことが……助けてあげないと……」

377: 2013/04/18(木) 21:59:35.07 ID:Z5I0k0/0o
さやか「な~にしてんの、マミさん! 早く追いかけなよ!」

カエル「この村のことは、俺たちが引き受ける。あんたはあいつのもとに行ってやりな」

マミ「美樹さん、カエルさん! ……ごめんなさい、ありがとう。あなたたちに、お願いするわ」

さやか「任されました!」


ほむら「プテランの巣とやらの場所は聞いたわ。早くしなさい、マミ」

マミ「暁美さん……。ええ、行きましょう!」

カエル「気をつけてな、ふたりとも」

378: 2013/04/18(木) 22:01:49.45 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 プテランの巣 山頂


マミ「エイラ!」

エイラ「! ……マミ……」

ほむら「はー。これがプテランね。名前のとおり、プテラノドンなのね。空から乗り込むというわけ」


エイラ「マミ……なぜ来た」

マミ「ラルバ村のことは、美樹さんとカエルさんに頼んであるわ。大丈夫、あのふたりなら……」

エイラ「違う! ティラン城、危険! みな、氏ぬかもしれない!!」

エイラ「乗り込む、エイラ、ひとり!」

マミ「……」

379: 2013/04/18(木) 22:05:47.43 ID:Z5I0k0/0o
マミ「エイラ。私ね、あなたのこと親友だと思ってるわ」

エイラ「? 急にどうした、マミ」

マミ「エイラは私のこと、嫌い?」

エイラ「嫌い、違う! エイラ、マミ、好き。一番! いつも言ってる……」

マミ「ええ、そうよね。ありがとう……」


マミ「エイラ、言ってたわよね。大切なら、助けてやるって。それが仲間だって」

エイラ「!」

マミ「私、あなたが好きよ? だから助けてあげたいの。間違ってるかしら?」

エイラ「間違ってない……でも……」

マミ「大丈夫。ひとりなら難しいことでも、ふたりなら。みんないれば……きっと、大丈夫よ!」

マミ「私、ひとりぼっちじゃないもの。もう何も怖くない」


ほむら「あっ」

381: 2013/04/18(木) 22:10:07.66 ID:Z5I0k0/0o
マミ「? どうかしたの、暁美さん?」

ほむら「い、いいえ。なんでもないわ……」

ほむら(関係ないわよ。そういう世界観じゃないから。氏亡フラグ? なにそれおいしいの?)


エイラ「マミ……」

マミ「行きましょうエイラ。恐竜人と、決着つけなきゃね」

エイラ「……エイラ、行く! マミも、行く! ふたりで!!」

383: 2013/04/18(木) 22:11:49.48 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「ちょっとちょっと。私を忘れないで」

エイラ「ほむも行くのか?」

ほむら「まさかこんなところに、ひとり置いていくつもり? そっちのほうがひどいわよ」

エイラ「ほむ……すまん。助かる」



マミ「さあ乗り込むわよ。いざ、ティラン城! ってね」

384: 2013/04/18(木) 22:16:23.99 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 ティラン城 入り口


ほむら「ここがティラン城……恐竜人の本丸、ってわけね」

マミ「エイラ、怪我のほうは大丈夫?」

エイラ「エイラ、元気! マミのおかげ!」

ほむら「まずはさらわれた人たちを助けないと。どこにいるのかしら……」


…………


地下牢


牢番「われら、これからウタゲ! お前ら料理されて、皿の上! ゲゲゲ!」

キーノ「……」

ラルバ族たち「おしまい……みな、おしまい……」

385: 2013/04/18(木) 22:19:45.44 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「いたわ……キーノ。それに、ラルバ村の人たちも」

エイラ「みんな、助ける! あいつ、ぶっ飛ばす!」

マミ「待ってエイラ。ここは私に任せて」

ほむら「何をする気?」

マミ「ふふ……こうするのよ! 『レガーレ』!!」


牢番「ムググググ!?」

ほむら「なるほど、リボンによる拘束……。口もふさげば、増援も呼ばれないってわけね」

マミ「ナイスアイディアでしょ?」ドヤァ

ほむら「ついでに鍵もいただいておきましょう」

マミ「ああん、無視しないで!」

386: 2013/04/18(木) 22:22:35.41 ID:Z5I0k0/0o
キーノ「エイラ! マミ! ほむ!」

エイラ「キーノ、無事か?」

キーノ「エイラ、ゴメン。キーノのせい」

エイラ「そんなこといい。それよりキーノ、ラルバの村人と、先逃げる!」

キーノ「エイラ、どーする?」

エイラ「大地のおきてどおり、ケリつけ、行く」

キーノ「キーノ、いっしょ、行く!」

エイラ「キーノ来る、ダメ。エイラ負けたら、キーノ、イオカ酋長……」

キーノ「エイラ……」


マミ「大丈夫よキーノくん。私がついているもの」

キーノ「マミ! ……分かった。エイラ、がんばれ!」

エイラ「エイラ、強い。負けない!」

387: 2013/04/18(木) 22:25:02.66 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「さて……それじゃあいよいよ、決戦といきましょうか」

キーノ「待て。キーノ、いいこと教える。こっち、来い」

ほむら「何かしら?」

キーノ「ここ、抜け道。牢番、言ってた。近道」

ほむら「へえ……隠し通路かしら? 助かったわ、キーノ」


キーノ「オマエ強い。オレ弱い。うらやましい。……エイラ、マミ、たのむ」

ほむら「ええ、任せておいて。あなたはラルバ村の人たちのこと、お願いね」

キーノ「気をつけろ、ほむ!」


…………



388: 2013/04/18(木) 22:27:43.52 ID:Z5I0k0/0o
ニズベールR「グゲゲゲ……! サルどもが来るのが待ち遠しいぜ」

ニズベールR「以前は不覚を取ったが……『R』として生まれ変わったこのニズベール様の筋肉は無敵だ!」

ニズベールR「グゲゲゲゲゲゲ!!! さあ早く来い、サルども!」



ほむら「何か、壁の向こうから気持ち悪い笑い声が聞こえてくるわね」

マミ「恐竜人の城だもの。何がいてもおかしくはないわ」

エイラ「ほむ、マミ、はよ進む! ここ狭い! 苦しい!」


>ニズベールR、スルー!

389: 2013/04/18(木) 22:31:29.69 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 ティラン城 玉座


エイラ「アザーラ!!」

アザーラ「……やはり来たか……。これが、最後の勝負になりそうだな」

アザーラ「遅かれ早かれ、決めねばならぬことだ……。我々恐竜人か、貴様たちサルどもか!」

エイラ「それ決める、大地のおきて。エイラ、戦うだけ!」



ギャオオオオオオォォォォォン!!!

ほむら「な、なに!? この咆哮は!」

アザーラ「聞こえたようだな。フフ、あとでたっぷり聞かせてやるわ……」

マミ「! 待ちなさい!」

ほむら「奥の扉から出られるわ。追うわよ!」

391: 2013/04/18(木) 22:34:08.42 ID:Z5I0k0/0o
B.C.65000000 ティラン城 空中廊下


マミ「アザーラ! 逃げるなんて往生際が悪いわよ!」

アザーラ「逃げる……? 違うな、戦いの舞台をわざわざ用意してやっただけのこと……」

アザーラ「玉座の間は、このブラックティラノには少々狭すぎるのでな!」



Bティラノ「ギャオオオオオオォォォォォン!!!」

エイラ「でかい!」

ほむら「ティラノサウルス!? ウソでしょ……」

マミ「やるしかないわよ。覚悟を決めて、エイラ! 暁美さん!」

392: 2013/04/18(木) 22:37:59.95 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「……」

エイラ「アザーラ! 空見る、必要ない! エイラたち、こっち!」

アザーラ「赤い星め……ふるがいい」

マミ「星? 何のことよ!」

アザーラ「そして大地を赤く染めるがいい……」

ほむら(赤い星……? 確かに、空に赤く輝く星が見えるけど……あれが、なんだと言うのかしら)


アザーラ「たとえ、我々がほろぶ運命だとしても……」

アザーラ「サルどもなぞに……道をゆずるわけにはいかぬのだ!」



アザーラ「来い、サルども! ブラックティラノと私が、永遠に歴史から消し去ってやるわ!!」

393: 2013/04/18(木) 22:39:55.95 ID:Z5I0k0/0o
♪ボスバトル2


Bティラノ「ギャオオオオオオォォォォォン!!!」

マミ「くうっ!?」

エイラ「うるさい!」

ほむら「間近でこの咆哮……! 耳がおかしくなるわ!」


アザーラ「ひるんだな! 隙だらけだぞ、サルども……。『サイコキネシス』!!」

マミ「うあっ!?」

394: 2013/04/18(木) 22:42:49.73 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「マミ!」

マミ「か、体が動かない……!」

ほむら「あいつ、超能力を使えたの!?」

アザーラ「この場所にわざわざおびき寄せたのは、もうひとつ理由がある……」

アザーラ「狭い足場! 貴様らサルどもにくれてやる大地など、この足場程度がお似合いだ!」

ほむら「まさか! マミをこのまま、崖下に投げ飛ばす気!?」

アザーラ「ふふふ……。サルにしては頭が回るではないか……」


アザーラ「はあッ!」

マミ「ああ……っ!?」

エイラ「マミーーーッ!?」

395: 2013/04/18(木) 22:44:45.63 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「フハハハハ! あっけないものだな」

ほむら「マミの姿が見えない……!」

アザーラ「ヤツは地面に叩きつけられて、肉片を撒き散らしているだろうよ」

ほむら「そんな……!」


エイラ「……」

アザーラ「悲しむことはない。貴様らもすぐ肉塊にしてやる。あの牛女のようにな……」

エイラ「あの牛女のように……? ……マミのことか……?」

ほむら「エイラ?」


エイラ「マミのことかーーーーッ!!」

アザーラ「馬鹿な、金髪になっただと!? 穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めたのか!」

ほむら「金髪はもとからでしょ」

396: 2013/04/18(木) 22:47:14.89 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「アザーラ、許さない! 『まるまじろキック』!!」

アザーラ「ぬるいわ! 無駄だと言うのが分からんのか! 『サイコキネシス』!!」

エイラ「ぎっ!?」

アザーラ「地面とキスするがいい! さらばだ、ボス猿めがッ!」

ほむら「エイラ!」



「『ティロ・ドッピエッタ』!!」

ガガァン!!

397: 2013/04/18(木) 22:49:10.21 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「ぐ!? な……! なんだ!?」


エイラ「マミ!」

マミ「YES,I AM! チッチッ♪」

ほむら「無事だったの?」

マミ「あの程度でやられはしないわよ」

アザーラ「そんな馬鹿な! 貴様は確かに崖下に落ちたはず!」

マミ「ふふ……。アザーラ、周りを見てみなさい!」


アザーラ「こ、これは! 紐がこの廊下と城壁のあいだに無数に張り巡らされている!?」

マミ「私の魔法はリボンの魔法……。足場を作らさせてもらったわ!」

ほむら「そうか、これ……『委員長の魔女』と戦った時にも使った……」

398: 2013/04/18(木) 22:51:11.42 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「こしゃくな……。焼き払え、ブラックティラノ! 『火炎放射』だ!!」

Bティラノ「ゴアアオオオオオオォォォォォン!!!」

エイラ「燃えた! ヒモ、燃えた!」

マミ「無駄よ! 何度でも作り直してあげるわ!」


アザーラ「ちいっ……。口惜しいが、直接貴様らを投げ飛ばすのは無理なようだな……」

ほむら「その超能力はもう使えないわね。ざまぁみろだわ!」

アザーラ「くっくっく……使えないだと? 勘違いしてもらっては困るな……」

マミ「え?」


アザーラ「『サイコキネシス』にはこういう使い方もある。見るがいい!」

エイラ「岩! アザーラ、周り、岩! いっぱい!」

ほむら「地上から超能力で引き寄せたの!?」

アザーラ「氏ね、サルども! この岩石の下敷きになってしまえーッ!!」

399: 2013/04/18(木) 22:53:07.10 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「飛んでくる! ふたりとも、よけて!」

エイラ「必要ない。任せろ!」

マミ「エイラ!?」


エイラ「だらっしゃあーッ!!」

アザーラ「岩を受け止めただと!?」

エイラ「こんなもん要らん。アザーラ、返す! 『がんせきなげ』!!」

Bティラノ「ギャオ!?」

アザーラ「くっ、ブラックティラノが!」


ほむら「あの巨体じゃ、どこかしらに当たるわよね」

マミ「ナイスよ、エイラ! まだまだあるわ。全部ノシつけて返しちゃいなさい!」

エイラ「おっしゃ!」

アザーラ「お、おのれ……!」

400: 2013/04/18(木) 22:55:02.80 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「配下ばかり痛めつけるのはフェアじゃないわね。あなたも、高みの見物は飽きたでしょう?」

アザーラ「!? 貴様、いつの間にこんな近くに!」

ほむら「視界の外から近づかせてもらったわ。『ヘイスト』と『リボンの足場』を使ってね」

ほむら「うかつだったわね。岩の弾幕にばかり気を取られているからよ」

アザーラ「ちいっ!」

ほむら「この至近距離なら! 食らえ、『レミントンM870』!!」


アザーラ「『瞬間移動』!!」

ほむら「なっ!?」

401: 2013/04/18(木) 22:57:03.91 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「侮っていたよ……。そういえば貴様は、サルの中でも知恵に長けていたのであったな」

マミ「短距離とはいえ瞬間移動……。あなた、ヤードラット星人か何かなの!?」


アザーラ「残念だったな。貴様の奇襲は外れた……」

アザーラ「不幸なことに、その弾丸はブラックティラノに命中したが……見ろ」

Bティラノ「ギャギャギャギャ!」

ほむら「わ、笑ってるの? こいつ……」

アザーラ「そのような豆粒、虫刺され程度にしか感じぬと言っておるわ。フハハハ!」


ほむら「……あら、そう? 忠告するわ。虫だって怖いのよ」

アザーラ「なに?」

ほむら「目に入ったら痛いでしょう! 『89式小銃』!!」

402: 2013/04/18(木) 22:59:20.87 ID:Z5I0k0/0o
Bティラノ「ギャオオオオオ!!!」

アザーラ「しまった! 貴様……ブラックティラノの目を!」

ほむら「デカいヤツは目が弱点。王道よね」

アザーラ「くそっ! 振り落とせ、ブラックティラノ!」

ほむら「おっと危ない。揺れる足場はあまり気持ちのいいものではないわね」

アザーラ「この……サルが……チョコマカと……!」


マミ「やるじゃない、暁美さん!」

エイラ「ほむ、よくやった!」

ほむら「まあ、ザッとこんなもんよ」

アザーラ「……」

403: 2013/04/18(木) 23:01:22.42 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「どうやら我々も本気にならざるを得ないようだ……」

ほむら「強がりを……。なら、準備運動だけで終わらせてあげるわ」

アザーラ「くくく……。虚勢を張っているのはどちらかな?」



アザーラ「ブラックティラノ……お前の真の力を見せる時が来たぞ! ゆけ!」

Bティラノ「グオオオオオオオオオオオ!!!」

>防御をといて、力をためている!


エイラ「アイツ、様子、変!」

マミ「いかにも強力な攻撃をしますって感じね!」

404: 2013/04/18(木) 23:03:26.31 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「『5』!!」

Bティラノ「オオオオオオオ...!!!」

アザーラ「『4』……!!」


マミ「カウントダウン!?」

ほむら「なめられたものね。そんな見え見えの攻撃、やらせると思っているの!」

エイラ「エイラ、お前ら、止める!」

ほむら「ブラックティラノに総攻撃するわよ! 奥の手なんて見せてもらう必要はないわ!」


アザーラ「邪魔してもらっては困るなァーッ!!」

ほむら「!」

アザーラ「そこでおとなしくしていろッ! 『ブラックアウト』!!」

マミ「え!?」

405: 2013/04/18(木) 23:04:55.27 ID:Z5I0k0/0o
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒデオ:::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

406: 2013/04/18(木) 23:06:12.23 ID:Z5I0k0/0o
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒデオ:::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

407: 2013/04/18(木) 23:08:43.06 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「フハハハハハハハ!!!」

マミ「なに、今の!?」

エイラ「画面真っ暗!」

ほむら「リモコンのボタンを誤って押したのかと思ったわ……」


アザーラ「さて……。どうやらブラックティラノの準備は完了したようだな……」

マミ「あ! し、しまった……!」

408: 2013/04/18(木) 23:10:31.09 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「なぎ払えッ!! 『ティラノ火炎』!!」

Bティラノ「ゴバアアアアアアアアアアアオオオオオオォォォォォォォォ!!!」

ほむら「うあっ!?」

マミ「きゃあああっ!!」

エイラ「ういいいいいっ!!」


アザーラ「ハッハッハ! 見たか、これが我らの力だ!」

ほむら「く、くそ……!」

エイラ「まだ、まだ……!」

マミ「だ、大丈夫……? ふたりとも……」

アザーラ「存外にしぶとい……。だが無駄な足掻きだ、今楽にしてやる……」

409: 2013/04/18(木) 23:14:19.16 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「まずはその目障りな足場を管理している牛女からにしようか……」

マミ「!」


Bティラノ「ギャギャギャギャ!」

アザーラ「そうだな、お前の言うとおりだ。ヤツら、こんがり焼けてうまそうではないか」

アザーラ「腹がすいたのか、ブラックティラノ? んん? そうなんだろう?」

Bティラノ「ウオオウ! ウオッ! ウオッ!」

アザーラ「そうか、そうか……。そうだろうな……ふふふ……」



アザーラ「今日の食事は牛女の丸焼きだッ! 食ってしまえ、ブラックティラノ!!」

Bティラノ「グバアアアア!!!」

マミ「あ」


バクン!!!

410: 2013/04/18(木) 23:17:01.03 ID:Z5I0k0/0o
no title

412: 2013/04/18(木) 23:21:09.32 ID:Z5I0k0/0o
ほむら「マミーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!??」

アザーラ「フハハハハ! ハアーッハッハッハ! フラグ回収!!」

ほむら「馬鹿……マミ……『もう何も怖くない』とか言うから……」

アザーラ「どうだ、ブラックティラノ。牛女は美味いだろう? ふふふ……」

Bティラノ「……?」


アザーラ「ん? どうした、何か歯に挟まったのか?」

アザーラ「あの女……やわらかそうな体に見えたが、実は筋肉質だったのか?」

Bティラノ「オゴ...? アガガ、ギャアガ...???」

アザーラ「おい! いったいどうしたというのだ、ブラックティラノ!? ただごとではないぞ!」

ほむら「え……?」

414: 2013/04/18(木) 23:24:10.28 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「ふんぬぎぎぎぎぎ……ッ!!!」

Bティラノ「アガガガガガガガ!!!」


ほむら「エイラ!? 口をこじ開けてる!」

アザーラ「なあッ!? ボス猿……! 貴様、いつの間にブラックティラノの口内に!?」

エイラ「……まぁ……みいぃいいぃ……!!」



マミ「……ほんと……あなたがいてくれて良かったわ……!」

ほむら「マミ! マミられてなかったのね!!」

アザーラ「ば、馬鹿な!?」

415: 2013/04/18(木) 23:26:05.09 ID:Z5I0k0/0o
マミ「『ティロ・フィナーレ』えええーッ!!」

ズガガァン!!!


Bティラノ「ギャバアアアアアアアアア!!!」

アザーラ「こっ、口内に砲撃を!?」

ほむら「やった! あれは効いたわよ!」



エイラ「ぷはあっ! マミ、無事か!」

マミ「氏んだかと思ったわ……。ありがとう、エイラ!」

416: 2013/04/18(木) 23:29:50.27 ID:Z5I0k0/0o
Bティラノ「ギャオオ...! グギャアアオオン...!」

ほむら「マミの『ティロ・フィナーレ』でヤツはもだえている! 今が好機よ!」

エイラ「ぶっ飛ばあーすッ!!」

アザーラ(ま、まずい! ブラックティラノが回復するまでの時間を稼がなければ!)


アザーラ「待て、サルども!」

マミ「待つわけないでしょう!」

アザーラ「ふ、ふふ……。そんな単純に突撃してきてもいいのかな……?」

ほむら「ハッタリは通じないわよ!」

アザーラ「くく……。私には、貴様らの行動が手にとるように分かるのだと言ったら、どうする?」

エイラ「ウソつけ!」

417: 2013/04/18(木) 23:32:00.65 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「ウソではない……。私はテレパシー能力で貴様らと同調し、その思考を読み取れるのだ!」

ほむら「なんですって……!?」

アザーラ「貴様の性格を当ててやろう……。いや、貴様の過去というべきかな?」

マミ「過去……?」

アザーラ「ふーむ……」


アザーラ「セーブを怠っているようだな? ここまで3回しか記録していない。大胆なようだな……」

アザーラ「それと、ときメモが好きなようだな」

ほむら「……」

エイラ「なんのことだ?」

マミ「私にも分からないわ……」

418: 2013/04/18(木) 23:35:19.40 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「まだ信じないのか。仕方あるまい……。では、個別に見ていくとしよう」

アザーラ「まずは牛女……貴様だ」

マミ「私?」

アザーラ「ふーむ……」


アザーラ「見えたぞ……。『エイラ』、か……」

エイラ「呼んだか?」

マミ「エイラがなんだと言うのよ!」

アザーラ「いや、ボス猿のことではない……。影の羅刹と書いてエイラ……」

マミ「!!!」

419: 2013/04/18(木) 23:37:28.08 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「ほう、なるほど……。影羅(エイラ)は牛女の第2人格らしい……」

エイラ「は?」

アザーラ「その人格が主のもとを離れ、魔眼の力によって形をなした……」

ほむら「ええ?」


アザーラ「惑星(ほし)の『選択』によりふたりは出会い……意気投合する……」

アザーラ「もとが同じ生命体……。影羅(エイラ)は牛女を決して裏切らず、常に傍らに立つ存在……」

アザーラ「自らの闇の人格と思っていた牛女は、最初は影羅(エイラ)をこころよく思わなかったが……」

アザーラ「彼女の妖しくも魅力的なその心に惹かれ、次第にふたりは……」



マミ「やめてえええええええええええええ!!!!!」ゴロゴロゴロ!!

420: 2013/04/18(木) 23:39:54.57 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「マミ、どした! なぜ転がる!」

マミ「ちがうのぅ……わたし、そんなふうにあなたをみてたわけじゃあ……」

エイラ「意味わからん!」


アザーラ「フハハハハ! 隠すことはない。最近はずいぶんと、はかどっているようではないか!」

アザーラ「『影羅(エイラ)、私はあなたを殺さなくちゃならない……』」

アザーラ「『いいよ、マミになら……。大好きなあなたになら……』」

アザーラ「ふたりは涙を流しながら幸せなキスをして……」

マミ「いやあああ!! いやああああああああッ!!!」


ほむら「……マミ……」

マミ「お願い……穢れた私を見ないで……」

421: 2013/04/18(木) 23:42:06.91 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「これで牛女は戦闘不能だな! フハハハハッ!!」

ほむら「こ、この……! 卑怯よ、精神攻撃だなんて!」

アザーラ「なんとでも言え。これが私の戦法だ」


マミ「ごめん、ごめんね……エイラ……ごめんなさい……」

エイラ「なぜ謝る! マミ、悪いこと、ない!」


アザーラ「さーて。ではお次は……貴様だ、新顔」

ほむら「! ……ふ、ふん。私にやましいところなんて何もないわよ」

アザーラ「それはどうかな? ふーむ……」

422: 2013/04/18(木) 23:44:25.02 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「おっと、これは……くふ……くくく……」

ほむら「な、何よ!」

アザーラ「ふふふ……。貴様、なかなか可愛いところがあるではないか」

エイラ「アザーラ、様子、ヘン」


アザーラ「これは……えー……『アケミホムラ』か……」

ほむら「はっ、何かと思えば。ええ、そうよ。私の名前は暁美……」

アザーラ「アケミホムラ……演出ノート……No.12……」

ほむら「!!!」

423: 2013/04/18(木) 23:45:46.90 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「貴様は夜な夜な考えているのだろう? いかに登場場面を格好良く見せるか……」

ほむら「なっなななな何を言っているの!」


アザーラ「どの方角から出てきて……どちらにはけるか……。その際に発する一言……」

アザーラ「クール、かつミステリアスに。そして強い印象を残すにはどうすればいいか……」

アザーラ「毎日2時間、鏡の前で練習しているな? ……おお、どうやらこの赤文字は強調の意味らしいな」

アザーラ「『それには及ばないわ←採用! 余裕を見せるように髪をかきあげるしぐさを忘れずに』……」



ほむら「ホワアアアアアアアアアーーーッ!!!!!」ゴロゴロゴロ!!

424: 2013/04/18(木) 23:47:57.91 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「ほむも転がりだした!」

ほむら「違う! 違うわ! 私はそんなことしてない!」

ほむら「これはインキュベーターの陰謀よ! まどかァーッ! そいつの言葉に耳を貸しちゃダメぇ!!」

エイラ「さらに意味わからん!」



アザーラ「ハアーッハッハッハ! これで残ったのは貴様だけだな!」

エイラ「うぎ……。マミ、ほむ、立て! なにやってる!」


マミ「エーイラちゃん……あそびましょ……」

ほむら「……愛ゆえに……人は苦しまねばならぬ……」

エイラ「だめだこりゃ」

アザーラ「仕上げといこうか。ボス猿……最後は貴様の心の闇を暴いてやる!」

425: 2013/04/18(木) 23:49:30.86 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「ふーむ……」

エイラ「……」

アザーラ「……ん……? な……!? こ、これは!」

エイラ「なんか見えたか、アザーラ」


アザーラ「き、き、き……貴様!! ひいっ……! イ、イヤ!」

エイラ「??? どした?」

マミ「あら……? アザーラの様子がおかしいわね」

ほむら「いったいエイラの何を見たのかしら……」

426: 2013/04/18(木) 23:51:40.23 ID:Z5I0k0/0o
アザーラ「こ、ここここの破廉恥が! 信じられん!!」

ほむら「ちょっと、なにごと? ずいぶんと動揺しているじゃない」

アザーラ「あ、当たり前であろう! この女の心にあるのは牛女……」

マミ「私?」

アザーラ「牛女と……」


アザーラ「みだらなことをしたいと思っている!!」

マミ「え……」

ほむら「……具体的には?」

アザーラ「ぐ、具体的……! 言えるか、ばか者!」

427: 2013/04/18(木) 23:53:51.35 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「それ、いけないことか?」

アザーラ「なんだと!?」

エイラ「エイラ、マミ、好き。好き、つまり、にゃんにゃんしたい」

アザーラ「ふ、ふざけるな! そのような即物的思考! だから貴様はサルだというのだ!」

アザーラ「恋愛というのは、もっとこう……美しく、陽だまりのようにぽかぽかするもので……」


マミ「ちょっとエイラ……。どういう空想をしたのよ?」

エイラ「ん? そーだな。たとえば……」

アザーラ「やめろおおおおおっ!!! 聞きたくなあああいッ!!!」ゴロゴロゴロ!!

ほむら「エイラじゃなくて、アザーラが転がりだしたわ」

428: 2013/04/18(木) 23:56:02.57 ID:Z5I0k0/0o
エイラ「お? なんか落ちた」

アザーラ「! そ、それは! くっ、拾わせるか!」

マミ「『レガーレ』!!」

アザーラ「あっ!」


マミ「リボンで回収したわ。ノートみたいね」

ほむら「もしかして、私たちに対抗するための秘策がここに?」

マミ「なるほど、作戦ノートというわけ! 残念だったわね、アザーラ!」

ほむら「これを見ればあいつの手の内が明らかに……よし!」

アザーラ「ち、ちがっ……あああああッ!!」

マミ「えーっと……。なになに……?」

429: 2013/04/18(木) 23:58:53.49 ID:Z5I0k0/0o
ああ わたしたちはみな
眼をあけたまま
空を飛ぶ夢を見てるんだ

軋む軋む 浄罪の塔
光のごとくに 世界を貫く
揺れる揺れる 背骨の塔
堕ちてゆくのは わたしか空か

わたしたちは ひかれあう
水滴のように 惑星のように
わたしたちは 反発しあう
磁石のように 肌の色のように

そう、わたしたちに運命などない
無知と恐怖にのまれ
足を踏み外したものたちだけが
運命と呼ばれる濁流の中へと
堕ちてゆくのだ

この世界に意味などなく
そこに生きるわたしたちにも意味などない
無意味なわたしは世界を想う
そこに意味は無いと知ることにすら
意味など無いというのに

たとえば この 大地のすべてが
水に沈んでしまうとしても

たとえば この 空のすべてが
わたしを光で射抜くとしても

失くしたものを
奪い取る
血と肉と骨と
あとひとつ

わたしの心に 指を入れないで

そう、何ものも わたしの世界を 変えられはしない

432: 2013/04/19(金) 00:01:32.57 ID:qW+wepQxo
ほむら「……」

マミ「……」

エイラ「長い! 今北産業!」

ほむら「アザーラ
     まさかの
     ポエム集」

エイラ「把握!」


ほむら「アザーラ、あなた……こんな趣味が……」

アザーラ「……」

マミ「いえ、待って暁美さん。この詩、よく読めば結構……いえ、かなりすばらしいと思わない?」

ほむら「はい?」

434: 2013/04/19(金) 00:04:06.63 ID:qW+wepQxo
マミ「アザーラはこの詩の中で、自らの無力とこの世のはかなさを詠っているわ……」

ほむら(マミの変なスイッチが入ってしまった)


アザーラ「……理解できるのか……サルである貴様に……」

マミ「あなたをここまで絶望させたものは、一体なに? この『空』は何を意味しているの?」

アザーラ「……じきに分かる……。そう……それはすぐそこまで来ているのだから……」


マミ「アザーラ。あなたは絶望の中で、なお、自らの生き方を通すと叫んでいる……」

マミ「その身が焼かれる時まで。なんて悲しく、そして勇気を与えてくれる文章なのかしら……」

アザーラ「……」

435: 2013/04/19(金) 00:06:23.82 ID:qW+wepQxo
Bティラノ「ギャオオオオオオォォォォォン!!!」

エイラ「! ブラックティラノ、復活!?」

ほむら「まずいわ! グダグダやってるうちに回復されてしまった!」


アザーラ「ブラックティラノ……」

Bティラノ「ギャオ! ギャオオオン!!」

アザーラ「そうだな……。生き物はみな、心に闇を持つ……。それは我々もサルどもと変わらん……」

マミ「私、この詩を通してあなたの想いに触れられた。ねえ、アザーラ。私たちは……」

437: 2013/04/19(金) 00:08:22.35 ID:qW+wepQxo
アザーラ「それ以上言うな」

マミ「!」

アザーラ「生き残るべき種は、ひとつでしかない。たとえお前が、私に共感を寄せたのだとしても」

マミ「でも! アザーラ……!」

アザーラ「牛女……。いや、マミ。お前とは、もっと別のかたちで会いたかったよ……」

アザーラ「だがもはや、遅すぎたのだ!」


アザーラ「ことここに至っては、すべてを天にゆだねようではないか……!」

アザーラ「これが最後だ! 選ばれるのは、我ら恐竜人か、貴様たちサルどもか!」

エイラ「アザーラ! ケリ、つける!!」

438: 2013/04/19(金) 00:10:26.54 ID:qW+wepQxo
アザーラ「我らのすべてをこの一撃にかけよ! 『ティラノ火炎』だ!!」

Bティラノ「グオオオオオオオオオオオ!!!」

>防御をといて、力をためている!


ほむら「またあの火炎攻撃か!」

エイラ「やらせない! マミ!」

マミ「……。分かったわ、エイラ!」

アザーラ「サルどもが飛び上がった!?」

439: 2013/04/19(金) 00:12:18.44 ID:qW+wepQxo
エイラ「お姉さま、アレを使うわ」

マミ「えぇ、よくってよ」

エイラ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


エイラ「『まるまじろキック』!!」

マミ「『黄金の美脚』!! 私たちの蹴りが……天を、うがつ!!」



エイラ「スーパー!」

マミ「イナヅマ!」


エイラ&マミ「キィィィィィィィィック!!!」

440: 2013/04/19(金) 00:13:33.32 ID:qW+wepQxo
Bティラノ「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

アザーラ「ぐあああああっ!?」

ほむら「やった! 『れんけいわざ』が完璧に決まったわ!」


Bティラノ「グオオオオオ...!!」

アザーラ「ブラックティラノ……!」

ほむら「落ちていく……! あの巨体が、この空中廊下から……」

441: 2013/04/19(金) 00:15:33.75 ID:qW+wepQxo
マミ「私たちの勝ちよ、アザーラ……」

アザーラ「う、うう……! 天は……お前たち、サルどもを選んだというのか……!」

エイラ「アザーラ! もう充分!」


アザーラ「……サルどもよ、聞け。そして伝えよ」

アザーラ「我ら恐竜人は、運命に戦いを挑み、誇り高く滅びたと……!」

エイラ「……アザーラ……。分かった、伝える。エイラたち、恐竜人、忘れない!」

442: 2013/04/19(金) 00:17:06.63 ID:qW+wepQxo
ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!

マミ「きゃっ!? なに、この地響きは!?」

ほむら「赤い星が……!?」

アザーラ「はじめに、炎をまとった大岩がふってくる……」

ほむら「え……!?」


アザーラ「灼熱の火球は、万物を焼き尽くす……」

アザーラ「焼き尽くされた大地は、やがて冷え始め、すべてが凍りつく長く厳しい時代が来る……」

ほむら(隕石の衝突による恐竜の絶滅……)

443: 2013/04/19(金) 00:18:38.95 ID:qW+wepQxo
エイラ「ラヴォス……」

ほむら「!? どういうこと、エイラ!」

エイラ「エイラたちの言葉。『ラ』、火のこと。『ヴォス』、大きいこと……」

ほむら(あの赤い星が……隕石とされてきたものが、ラヴォス!?)


マミ「暁美さん、まずいわ! あの隕石、こっちに向かって降ってくる!!」

444: 2013/04/19(金) 00:20:06.64 ID:qW+wepQxo
キーノ「エイラーッ!!」


ほむら「キーノ!」

マミ「プテランに乗ってきてくれたのね! みんな、早くプテランに!」

キーノ「いそげ! ラヴォス、降りてくる! 脱出する!」

ほむら「逃げるが勝ちね!」

445: 2013/04/19(金) 00:21:37.98 ID:qW+wepQxo
アザーラ「フフ、我らが時代に……ふさわしい幕引きだ……! フハハハハハ……!!」

エイラ「……」

マミ「エイラ! 何してるの!? 早く!!」

エイラ「……アザーラ……」



エイラ「来い! アザーラ! 来い!!」

マミ「! エイラ……」

446: 2013/04/19(金) 00:24:05.87 ID:qW+wepQxo
エイラ「アザーラ! プテラン、乗る!」

アザーラ「駄目だ! これは、大地が決めたことだ!」

エイラ「……!」


アザーラ「助けなど要らぬ! 生き恥などさらさぬ!」

アザーラ「大地のおきてと私の運命を変えることは、誰にも許さん!」

アザーラ「それが……それこそが、我ら恐竜人の誇り!!」

エイラ「……」

447: 2013/04/19(金) 00:26:05.44 ID:qW+wepQxo
キーノ「エイラ、早く! 時間、ない!!」



エイラ「……アザーラ……。忘れないっ……!」


アザーラ「……未来……」

エイラ「未来? 未来がどうした!」

448: 2013/04/19(金) 00:27:29.98 ID:qW+wepQxo


「……未来……を……」


…………



449: 2013/04/19(金) 00:29:11.64 ID:qW+wepQxo



キュアアアアオオオアオオオォォォォオオン…………!!!!!



…………

………

……



450: 2013/04/19(金) 00:32:09.31 ID:qW+wepQxo
B.C.65000000 ティラン城跡


ほむら「衝撃ですべてが焼け野原、か。恐ろしいものね……」

さやか「いやービックリしたよ。いきなり隕石が降ってくるんだもん」

さやか「おまけにここまで来るのにプテラノドン、だし。人生に二度とはない体験だったわー」

カエル「ノンキなもんだな。ラヴォスの落下位置が少しでもズレていたら、今ごろ俺たちはあの世だぞ」

さやか「へへ。師匠ってば、大慌てでゲロゲロ言ってたもんね」

カエル「ゲ、ゲロゲロなど言っていない!」


マミ「でも、美樹さんたちが無事で良かったわ。ラルバの人たちもイオカ村に避難したんですってね?」

キーノ「イオカ、人、増えた。これから忙しくなる!」

451: 2013/04/19(金) 00:34:06.97 ID:qW+wepQxo
ほむら「……で、どう?エイラ」

エイラ「ラヴォス……すごく、速い! 大地の奥、深く、もぐってる」

カエル「『太古の時より地中深く存在し』……か」

さやか「ラヴォスが地球外生命体とはね~。なんかぶっ飛びすぎてて、実感わかないや」


マミ「このゲート、どこにつながってるのかしら?」

カエル「爆心地にできたゲートか……。もしかしたら……」

ほむら「ええ。ラヴォス本体につながっている可能性も考えられるわね」

452: 2013/04/19(金) 00:35:20.59 ID:qW+wepQxo
ほむら「ゲートの発生は、ラヴォスの力のせいなのかしら? ここだけじゃなく、すべてのゲートも……」

カエル「そうかもしれないな。魔王城の時は、バカみたいにデカかった」


さやか「なんにしてもさ。ここ、入るしかないんでしょ?」

ほむら「そうね。でも、いったん時の最果てに戻りましょう」

ほむら「残ってるみんなに話をして、準備しなきゃ。決戦の可能性が高いなら、なおさらね」

453: 2013/04/19(金) 00:37:21.52 ID:qW+wepQxo
ほむら「マミ、今度はついてきてくれるのよね?」

エイラ「! ……」

マミ「……ええ、そうね。私、言ったものね。恐竜人との戦いが終わったら……って」

さやか「やった! マミさんがいれば百人力っすよ!」

カエル「あんた、かなりの手だれらしいな。頼りにさせてもらうぜ」

マミ「そんな、私なんて……」

さやか「うーん。師匠とマミさん、どっちが強いかなあ」

カエル(最近さやかの俺に対する敬意がゴリゴリ下がっていっている気がするが……なぜだ)

454: 2013/04/19(金) 00:38:31.50 ID:qW+wepQxo
キーノ「マミ。やっぱり行くか」

マミ「ごめんね。エイラ、キーノくん。こればっかりは……」

エイラ「分かってる。エイラ、言った。巣立つ時、送り出す」

エイラ「エイラ、さみしい。でも、笑う。マミ、がんばれ!」

マミ「……うん……」

455: 2013/04/19(金) 00:40:06.45 ID:qW+wepQxo
ほむら「マミ、不思議山のゲートの場所は分かる?」

マミ「え? ええ、あそこは何度か探索したことがあるから……」

ほむら「そう。ならいいわ。私たちは先に行くから、あなたは一晩、イオカで休んでから来なさい」

マミ「え、でも……」

ほむら「……別れの時間は必要でしょう?」

マミ「暁美さん……ありがとう……」


キーノ「みんな、またいつでも来い! イオカ、ラルバ、みな歓迎する!」


…………



456: 2013/04/19(金) 00:42:43.40 ID:qW+wepQxo
B.C.65000000 不思議山

翌日 早朝


マミ「ここ、よね? 崖下にゲートが見えるし、間違いないはずだけど……」

マミ(これって飛び降りろってことよね。まさかとは思うけど、そのまま落下なんてことは……)

マミ(……暁美さんたち、よくこんなの平気でいけるなあ)

マミ「……」


マミ(ごめんね、エイラ。最後の最後で何も言わず出てきちゃって……)

マミ(でもダメなの。ちゃんとお別れしたら、きっと帰りたくなくなっちゃう)

マミ(弱いんだ、私。だから……ごめん……)



マミ「今までお世話になりました。ありがとう。……さようなら……」

457: 2013/04/19(金) 00:45:54.39 ID:qW+wepQxo
「……マミー……ッ!」

マミ「……」


マミ(いやだわ、幻聴が聞こえるなんて。私ったら、そんなに未練がましいのね)

マミ(もう行きましょう。何も考えず、ここから足を踏み出せば……)

マミ「いくわよ、巴マミ! いち……にの……!」



エイラ「マミ! 待て! マミ!!!」

458: 2013/04/19(金) 00:47:35.47 ID:qW+wepQxo
マミ「さ……! え、ええ!?」

エイラ「マミ! 落ちる! つかまれ!」

マミ「え、エイラ!? うそ、どうして!?」


エイラ「マミ、氏ぬ気か? ほむたち、合流、しないか?」

マミ「いえ、ゲートに入るには飛び降りなきゃ……って、そうじゃないわよ! エイラ、なぜここに!?」

エイラ「エイラ、マミ、いっしょ行く!」

マミ「なんで……だって、あなたはイオカ村の酋長で……」

エイラ「酋長、キーノ! エイラ、引退!」

マミ「はぁ!?」

459: 2013/04/19(金) 00:50:41.53 ID:qW+wepQxo
エイラ「キーノ、言った。『エイラ、追いかける。マミ、いっしょ行け!』」

エイラ『イオカ、ラルバ、キーノ面倒みる! エイラ、マミ、いっしょ。一番!』」

マミ「キーノくん……」


エイラ「エイラ、マミ、好き。だから助ける。間違ってるか?」

マミ「……」

エイラ「ひとり、辛い。でもふたり。できる! みんないっしょ、だいじょぶ!」

エイラ「エイラ、ぼっちじゃない。もう何も怖くない!」

460: 2013/04/19(金) 00:52:50.57 ID:qW+wepQxo
マミ「それ……私の、セリフじゃない……。取らないでよ、もう……」

エイラ「マミ、なぜ泣く? どこか痛いか?」

マミ「違う……違うのよ……」


マミ「参ったなぁ。まだまだちゃんとカッコつけてなきゃいけないのになぁ……。やっぱり私ダメな子だ」

エイラ「マミ、ダメ、違う!」

マミ「ふふ……そうね。あなたとなら私、きっとがんばれるわ……」

エイラ「エイラ、マミ、ふたり、無敵! ラヴォス、負けない!」

461: 2013/04/19(金) 00:54:39.12 ID:qW+wepQxo


マミ「ありがとう、エイラ……。これからも、私のそばにいてください」



462: 2013/04/19(金) 00:56:39.12 ID:qW+wepQxo
第4話「もう何も怖くない」 終了


  セーブしてつづける(第5話「もう誰にも頼らない」へすすむ)

ニアセーブしておわる

  セーブしないでおわる

469: 2013/04/19(金) 21:29:34.51 ID:OeViC6fVo
第5話「もう誰にも頼らない」


このセーブデータをロードします。よろしいですか?


ニアよろしい

  よろしくない

470: 2013/04/19(金) 21:35:15.76 ID:OeViC6fVo
年代不明 時の最果て


カエル「たまげたな。からくり人形が動いてしゃべるとは」

ロボ「ロボでス。カエルさんの話、ルッカから聞いてマス。トテモ勇敢な戦士だトカ」

ルッカ「ふふん、ロボだって強いんだから。負けてないわよ」

カエル「なぜお前が威張るんだ……」


エイラ「お前、エイラ、似てる。イオカ族か?」

マール「違うよ~。でもほんと、なんだか他人の気がしないっていうか……不思議だね」

マミ「もしかして、血のつながりがあるんですかね?」

さやか「マミさんも実はふたりの子孫だったりして! 金髪だし巨Oだし!」

マール「私は、ふたりほどおっきくないけどね~」

471: 2013/04/19(金) 21:38:38.62 ID:OeViC6fVo
ほむら「ずいぶん大所帯になったものね……」

老人「ホッホッホ。ここがこんなににぎやかなのは、初めてじゃわい」


クロノ「僕はクロノ! ツンツン頭がトレードマークの、日本刀使いです!」

ほむら「きゅ、急にどうしたのよ……」

クロノ「いやあ、久しぶりの出番だろ? 忘れられてやしないかと思って、改めて自己紹介をさ」

ほむら(クロノが壊れた……)

473: 2013/04/19(金) 21:40:46.82 ID:OeViC6fVo
ほむら「はいはい、みんな。おしゃべりはそこまでにして」

さやか「ほむら、お母さんみたい」

ルッカ「せめて先生にしてあげなさいよ」

ほむら「……あなたたちがまとまりないから、仕方なくやってるのよ」

クロノ「ほむらはリーダー適任だな!」

ほむら「あの、えっと……ごめんなさい」

クロノ「なんで謝るんだよ?」

474: 2013/04/19(金) 21:45:18.50 ID:OeViC6fVo
ほむら「ゴホン。とにかく、これまでのいきさつはみんな把握してくれたわね?」

マール「いよいよラヴォスとの対決かあー。なんか、ドキドキしちゃうね」

カエル「まだそう決まったわけじゃないけどな」


マミ「それで暁美さん。あのゲートには誰が入るの? 3人までなんでしょ?」

エイラ「エイラ、あばれる! 連れてけ!」

ほむら「そうねえ……って、私が選ぶ流れになってるけど?」

ロボ「ほむらはリーダーですカラ、その権利がありマス」

ルッカ「ルッカちゃんの出番ね!」

さやか「いやいや、ここはさやかちゃんっすよ!」

ほむら「このふたりは論外として……」

さやルッカ「「なんで!?」」


ほむら「……」チラッ

クロノ「?」

476: 2013/04/19(金) 21:50:02.74 ID:OeViC6fVo
B.C.65000000 ティラン城跡


クロノ「僕で良かったのかい? 他に行きたい人、いっぱいいたと思うけど」

ほむら「いえ、いいのよ。クロノ、それにマールも。頼むわね」

マール「うーん! 腕が鳴るね!」

クロノ「勘が鈍ってるかもしれないのが心配だな。刀を握るのも久々だし」


ほむら「時の最果てでは何をして過ごしていたの?」

クロノ「モノマネゲームさ! もとは、現代のリーネ広場のお祭りでの催し物なんだ」

クロノ「管理人さんと対戦してたんだけど、これが意外に手ごわくてね。つい白熱しちゃって」

クロノ「いま、48勝48敗なんだぜ! 次の一戦が天王山なんだ!」

ほむら「……あの……私、これからはもう少しクロノのこと気にかけるわ……」

クロノ「なんだよ突然?」

ほむら「だから、そんなキラキラした少年のような目でこっちを見ないで……」

477: 2013/04/19(金) 21:52:09.48 ID:OeViC6fVo
ほむら「あ、マール……あなたは……」

マール「クロノと管理人さんの対戦を見てた! 面白かったよ!」

ほむら「あ、そうなの……。えーと、放置してたことについては……」

マール「うーん。私は、クロノと一緒にいられればそれでいいかな? って」

ほむら(こいつら、いつの間にフラグを!?)


クロノ「長話もなんだし、そろそろ行こうぜ!」

478: 2013/04/19(金) 21:54:55.98 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 小さな洞窟


ほむら「ここは……」

マール「洞窟かな?」

クロノ「あっちに出口があるみたいだぞ」


…………


ほむら「さささささせがわささみ! じゃなくて寒い!!!」

マール「吹雪で何も見えないよ~。クロノ~ほむらちゃ~ん……いるよねー!?」

クロノ「手を離すなよふたりとも!」

479: 2013/04/19(金) 21:57:42.81 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 天への道


ほむら「氏ぬかと思ったわ……」

クロノ「洞窟を出た途端、猛吹雪だもんな。どの時代だろ、ここは?」

ほむら「こんなところでラヴォスと戦いたくはないわね……」


マール「この建物、なんだろうね? ずいぶん近代的なつくりみたいだけど」

ほむら「雪をしのげればなんでもいいわ」

クロノ「おーい、ふたりとも! こっち来てみなよ!」



マール「なになに、どうしたの?」

ほむら「これは……魔方陣?」

クロノ「あやしいよな?」

ほむら「見たこともない図式だわ……。ルッカかロボなら分かるのかしら……」

480: 2013/04/19(金) 21:59:46.49 ID:OeViC6fVo
マール「不思議だね。どうやって描かれてるんだろ……きゃっ!?」

クロノ「大丈夫か? 足元気をつけろよ」

マール「えへへ、こけちゃった……あれ?」キイイイイイン...


マール「な、なにこれ! 体が浮いて……きゃあああああっ!」

クロノ「マール!!」

ほむら「うそ……空に向かって飛んでいったわ……」

クロノ「ほむら! 行こう!」

481: 2013/04/19(金) 22:03:39.61 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 浮遊大陸


ほむら「……」

クロノ「なんだこれ……」

マール「すっ……ごおおおおお~い!!! 陸地が空に浮いてる!」



♪時の回廊


ほむら「あの魔方陣は、地上とここをつなぐ転送装置だったのね……」

クロノ「なんか、天国に来た気分だよ」

マール「あっちに町があるよ! 行ってみよ!」

482: 2013/04/19(金) 22:07:37.47 ID:OeViC6fVo
ほむら「ご機嫌ね、マールは」

クロノ「女の子だからな。夜景とか好きだろ、ほむらも」

ほむら「さあ、どうだったかしら……。少なくとも、この景色は嫌いではないわ」


マール「ふたりとも何してるの~! 早く早く!」

ほむら「はいはい、せかさないで」

483: 2013/04/19(金) 22:12:26.28 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 エンハーサ


マール「みてみてクロノ! 本から炎が! あ! あっちは噴水だ!」

クロノ「なんというか、まあ……驚きすぎて言葉も出ないよ」


魔法生物?「ここは永遠なる魔法王国ジール。すべての望みのかなう場所さ」

魔法生物?「だけど、その代償がどのくらい高くつくかは知らないけれどね……」

ほむら「……」


光の民「この国をみちびくのは女王ジール様。この世にふたりといない、美しく偉大なお方です」

マール「女王さまか~。こんなきれいな国の王さまなんだもの、会ってみたいよね!」

クロノ「そうだな……ん?」

484: 2013/04/19(金) 22:14:57.47 ID:OeViC6fVo
少年「……」

マール「どうしたの、ボク? 迷子かな?」

少年「……黒い風が泣いてる……」

ほむら「!」


少年「あなたたちのうち、誰かひとり……氏ぬよ、もうすぐ……」

485: 2013/04/19(金) 22:17:42.77 ID:OeViC6fVo
クロノ「え!?」

マール「な、なに言ってるの……? クロノ……この子、なんだか気味悪いよ……」

ほむら(黒い風……どういうこと? この子、魔王と何か関係が……)



???「やれやれ。やっと見つけたよ」

少年「……!」

ほむら「え? ……な……!? え……っ!!!???」

486: 2013/04/19(金) 22:23:25.96 ID:OeViC6fVo
QB「ジャキ。駄目じゃないか、あんまり遠くにいっちゃ」

ほむら「イ……インキュベーター……!!!」


QB「うん? その名称を知ってる君は、何者だい?」

ほむら(な、何故ここにこいつが……どういうこと!?)

QB「ふーむ。見たところ、魔法少女みたいだね。でもおかしいな、君とは契約した覚えがないんだけど」

ほむら(私のことを知らない? 別の個体なのかしら……)

488: 2013/04/19(金) 22:27:08.86 ID:OeViC6fVo
ジャキ「何の用だよ、淫獣」

QB「『淫獣』はやめておくれよ。僕の名前はキュゥべえだ」

ほむら(やっぱりこいつ、キュゥべえじゃないの!)


ジャキ「どうでもいいよ。ボクのことはほっといてくれって言っただろ」

QB「そうはいかない。もうそろそろ宮殿に帰らなくちゃ」

QB「遅くなったら、ジールに叱られるのは僕なんだよ? それにサラも心配してるんじゃないかな?」

ジャキ「……分かったよ。ちぇっ……なんでこんなやつがアルファドの代わりなんだ……」

QB「氏んでしまったペットのことを僕のせいにされてもなあ。あ、待ちなよ!」

ジャキ「ついてくんな!」

491: 2013/04/19(金) 22:31:04.67 ID:OeViC6fVo
クロノ「行っちゃったな……」

マール「ほむらちゃん、大丈夫? さっきから顔色悪いよ?」


ほむら「……宮殿……宮殿に行きましょう」

クロノ「あの子を追いかけるのか?」

ほむら「あの子もそうだけれど……インキュベーターをあのままにしてはおけないわ」

マール「いんきゅ……なんとかって、さっきの白いウサギさんだか猫さんみたいな動物のこと?」

ほむら「! あいつが見えたの?」

クロノ「見えちゃまずかったのか?」

ほむら(あの少年にも見えていた……。なぜ? 彼らはインキュベーターが選んだ人間なの……?)

493: 2013/04/19(金) 22:33:34.97 ID:OeViC6fVo
ほむら「……こんなこと、突然言っても驚くだけだと思うけど……あいつは敵なの」

ほむら「放置してはおけない。お願い、私を信じて……」

クロノ「……分かった。何か事情があるんだな?」

マール「いつか聞かせてね。今は、追いかけよ!」

494: 2013/04/19(金) 22:35:55.75 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 ジール宮殿


マール「宮殿っていうから一般人は立ち入り禁止かと思ったけど、あっさり入れちゃったね」

ほむら「インキュベーターは!?」

クロノ「真っ白で目立つからな。きっとすぐに……おや? あれはさっきの少年……」


…………


マール「この扉の向こうの部屋に入っていったみたいだね」

ほむら「! ……扉が開いてる……待って、なにか聞こえるわ。話し声……?」

495: 2013/04/19(金) 22:39:05.81 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 ジール宮殿 おやすみの間


♪サラのテーマ


サラ「はい、できたわよ」

???「わあ、ポニーテールだ!」

サラ「いつものもかわいいけど、たまには他の髪型も似合うんじゃないかと思って」

???「サラちゃんに髪さわられるの、気持ちいいから、わたし好きだよ」

サラ「ふふっ、ありがとう」

???「そうだ! サラちゃんも髪型変えてみようよ! わたしのリボン貸してあげるから」

サラ「ええ? いいわよ、私は」

???「いいからいいから! ほら、座って。今度はわたしがやってあげる!」

サラ「もう、強引なんだから。わかったわ、じゃあお願いね……」



サラ「まどか」

496: 2013/04/19(金) 22:42:14.95 ID:OeViC6fVo
ジャキ「あねう……えっ!?」

サラ「あら、ジャキ。おかえりなさい。……どうかしたの?」

ジャキ「姉上がまどか姉さまで、まどか姉さまが姉上に……」

まどか「??? なに言ってるの?」

サラ「きっと髪型のことよ」

まどか「あーそっか。ジャキくん、わたしのポニテとサラちゃんのツインポンポン、どっちが好み?」

ジャキ「ど、どっちでもいいよ……」

まどか「照れてる~。ウェヒヒヒ! かわいいなあ!」

ジャキ「やめろよっ。はなせよっ」

まどか「……」

498: 2013/04/19(金) 22:44:46.94 ID:OeViC6fVo
サラ「……まどか。タツヤくんのことを思い出していたの?」

まどか「え? ち、違うよ? ……あ、ごめんね。抱きついてたら暑苦しいよね」

ジャキ「……別に。まどか姉さまがこうしてたいなら、仕方ないからもうちょっとだけ我慢してやるよ」

まどか「え、でも……」

サラ「いいのよまどか。ジャキだって甘えたいのに、素直じゃないんだから」

ジャキ「そ、そんなんじゃないよ!」

499: 2013/04/19(金) 22:46:32.29 ID:OeViC6fVo
サラ「……ごめんね。いつでも私がそばにいてあげられたらいいのだけれど。でも母様の計画が……」

ジャキ「あんなヤツ、母様じゃない! 姿かたちは母様だけど中身は別のモノだ!」

サラ「……それでも私には……。ゴメンなさい、ジャキ……」

まどか「大丈夫だよ。サラちゃんがいないときは、わたしがそばにいてあげるから」

ジャキ「まどか姉さま……」


ガタンッ

ジャキ「! 誰だ!?」

500: 2013/04/19(金) 22:48:36.81 ID:OeViC6fVo
マール「ちょ、ちょっと押さないで……あ~あ」

クロノ「やばい、見つかった……いやーハハハ。僕たち決してあやしいものでは……」

マール「確実にあやしい人が言うセリフだよそれ!」

マール「……って、いつもならほむらちゃんのツッコミが入るはずなのに、あれ?」

クロノ「ほむら?」


ほむら「……」

まどか「え……うそ……夢……?」

ほむら「……夢じゃ……ない、わ……。ずっと……ずっと、あなたを探してた……」

501: 2013/04/19(金) 22:49:29.56 ID:OeViC6fVo
まどか「ほむらちゃん!!!」

ほむら「まどかあーっ!!!」


…………



502: 2013/04/19(金) 22:51:42.32 ID:OeViC6fVo
サラ「良かったわね、まどか。お友達が見つかって」

まどか「うん、うん……!」

ほむら「あの、あなたは……」

サラ「私はサラ。この子はジャキよ」

ジャキ「……」

まどか「サラちゃんはこの国の王女さまで、ジャキくんは王子さまなんだよ!」

マール「王族なの!? すごい!」

クロノ「いや、君も王女さまだろ」


ほむら「まどかにいろいろ良くしてくれて、ありがとうございます」

ほむら「このご恩は忘れません。さあ、まどか。行きましょう。マミやさやかも心配してるわよ」

まどか「マミさんやさやかちゃんも!? ……あ、でも……」

ジャキ「まどか姉さま! 行っちゃうの!?」

ほむら「まどか、なにしてるの? 早く帰りましょう。あなたの居場所はここじゃないでしょ?」

クロノ「お、おい。ほむら……」

503: 2013/04/19(金) 22:54:04.60 ID:OeViC6fVo
女官「失礼いたします、サラ様。鹿目様。女王がお呼びです」

女官「至急、海底神殿のほうに下りていただきたいとのことです」

まどか「え? わ、わたしも?」

女官「計画に変更があったとか。わたくしどもには詳しい内容は知らされておりませんが……」


ほむら「まどかを連れていく気? させないわ」

女官「な、なんですかあなたは!? それは武器ですか!?」

クロノ「おい、ほむら! よせ! 銃をおろせ!」

ほむら「っ! はなして! クロノ! 放しなさい!」

マール「ほむらちゃん、どうしちゃったの!? いつもの冷静なほむらちゃんらしくないよ!」

504: 2013/04/19(金) 22:55:58.33 ID:OeViC6fVo
女官「無礼な……衛兵! 来なさい、ここに不届き者が……」

サラ「っ! 待ってください。母様が呼んでいるのでしょう? 早く行かないと」

女官「……そうでしたね。遅れると私が女王様に……分かりました、こちらです」

サラ「さあ、まどか。あなたも……」

まどか「う、うん……」

ほむら「待って、まどか! ……放しなさい! 放しなさいよおおっ!!」


…………



505: 2013/04/19(金) 22:59:12.89 ID:OeViC6fVo
ジャキ「バカなヤツ。姉上がとりなしてなかったら、今ごろ囚われの身だぜ」

ほむら「……」

マール「クロノ、もう放してあげたら?」

クロノ「そうだな……」


ほむら「ああああああああっ!!!」ドンッ!

ジャキ「ひっ!? な、なんだよこいつ……急に床を……」

マール「やめて! ほむらちゃん……殴った手を見せて。血が出てるじゃない!」

クロノ「深刻だな……。そんなにあのまどかって子が大事なのか……」

ほむら(せっかく……せっかく会えたっていうのに……!)

マール「大丈夫だよ。呼ばれただけなんでしょう? きっとすぐ戻ってくるよ。だから、ね……」

507: 2013/04/19(金) 23:01:53.29 ID:OeViC6fVo
QB「それはどうだろうね」

ジャキ「淫獣!? なにしてんだよ、ここにお前は出入り禁止だって言っただろ!」

QB「そんな場合じゃないんじゃないかな。あのふたりをほっておいていいのかい?」

クロノ「どういうことだ?」

QB「説明してあげなよ、ジャキ。海底神殿のこと。それに、預言者と巫女のことも」


クロノ「預言者? 巫女?」

ジャキ「……フードで身をおおった、うさんくさいヤツらだよ。突然あらわれて、母様に取り入った」

ジャキ「未来に起きる出来事を的確に当てるってんで、預言者だの巫女だの呼ばれてあがめられてる」

509: 2013/04/19(金) 23:06:25.12 ID:OeViC6fVo
クロノ「海底神殿ってのは?」

ジャキ「『大いなるエネルギー』……この国は、そう呼ばれるものですべてが成り立ってる」

ジャキ「そのみなもとが海中深くで発見されたってんで、神殿を建設してるのさ……」

QB「預言者たちの協力のもと、ジールは神殿の建設にやっきさ。まもなく完成するだろうね」


クロノ「なるほどな。しかし、サラたちは何のために呼ばれたんだ?」

QB「サラもまどかも、ものすごい魔力の持ち主だからね。まどかは才能という意味でだけど」

クロノ「関係あるのか?」

QB「大有りさ。来なよ、いいものを見せてあげる」

510: 2013/04/19(金) 23:08:38.90 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 ジール宮殿 魔神器の間


クロノ「これは……!?」

QB「『魔神器』さ。『大いなるエネルギー』の回収および増幅装置といったところかな」

QB「これを作動させるのは常人では無理だ。そこで、サラの出番というわけさ」

QB「まどかが連れていかれた理由は不明だけど。ジールの考えてることは僕にも分からない」

QB「たぶん、手伝いでもさせるんじゃないかな? もしくは、サラに言うことを聞かせるための人質か」

ジャキ「……」


ほむら「……そんなこと、させないわよ……」

マール「ほむらちゃん!?」

ほむら「マール、もういいわ。血は止まった。だから手を離して」

マール「でも……」

511: 2013/04/19(金) 23:11:10.26 ID:OeViC6fVo
ほむら「インキュベーター。お前がどうしてこんなことを私たちに話すのか、今はどうでもいいわ」

ほむら「お前を頃す暇も惜しい。教えなさい、女王はどこにいるの」

QB「やれやれ。どうして僕が殺されなきゃいけないんだい? わけがわからないよ」


QB「……まあいいか。それより、気になってたんだけど。そこの君」

マール「えっ? わ、私?」

QB「君の持つペンダント、サラのと同じものだね? 何故なのかはしらないけど、この状況では好都合だ」

QB「ペンダントを魔神器にかざしてごらん」

マール「こう? ……わっ!」キイイイイイン...


QB「ペンダントに『大いなるエネルギー』が注入された」

QB「女王の間は『封印の扉』によって閉ざされている。でもこれで入れるよ」

ジャキ「女王の間はこっちだよ……。お前ら気に入らないけど、姉上たちを助けるってんなら協力してやる」

512: 2013/04/19(金) 23:16:23.64 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 ジール宮殿 女王の間


ダルトン「ずいぶんとノンビリしたご到着ですなあ、サラ様に鹿目様。何か変事でも?」

サラ「ダルトン。いいえ、母様の側近であるあなたを煩わせるほどのことは何もありませんわ」

ダルトン「さようで。まあどうでもいいんですけどね、ヘッ」

ジール「ひかえろ、ダルトン。ふたりに話があるのはわらわぞ」

ダルトン「はッ! 失礼いたしました……」


サラ「母様……」

ジール「そう構えるな、サラ。今回はただの下見だ。本番に向けてのな」

ジール「海底神殿はまもなく完成する。そのあかつきには……フ……フハハ……」

サラ(母様は変わってしまわれた。『大いなるエネルギー』の力に魅せられて……)

513: 2013/04/19(金) 23:18:34.57 ID:OeViC6fVo
ジール「鹿目まどかよ。お前にもついてきてもらうぞ」

まどか「わ、わたしは……」

サラ「なぜです母様! まどかは関係ないはず……」

ジール「こやつは『予備』だ。何かあったときのためのな……」

ジール「用意は抜かりなく、だったな? 巫女よ。お前の発案、受け入れてやった。これでいいのだろう?」

巫女「……」


ザワザワ

ダルトン「ん? おい、なにごとだ! 騒がしいぞ!」

514: 2013/04/19(金) 23:20:06.13 ID:OeViC6fVo
ほむら「まどかっ!!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ダルトン「なんだお前ら、どうやってここに入った? ひかえろ、女王陛下の御前だぞ!」

ほむら「女王ジール……!」

ジール「!」

サラ「!? ほむらさん、やめて!」


ダァン!!

515: 2013/04/19(金) 23:21:50.12 ID:OeViC6fVo
ダルトン「こっ!? こいつ、撃ちやがった!?」

ジール「……お、おのれ……貴様……わらわの顔にキズを……!!」

ほむら「くっ、はずした! ……ッ!?」

巫女「……」ガスッ!

ほむら「う! あっ……」


予言者「そのまま締め上げろ」

巫女「……」ギリギリ...

ほむら「あ、ああ……う、腕が……」

まどか「ほむらちゃん! やめて! やめてよ!!」

517: 2013/04/19(金) 23:23:58.08 ID:OeViC6fVo
予言者「お分かりいただけましたか? 女王よ」

予言者「この者どもこそ、私の警告した『わざわいをなす者』たちです」

ジール「異国の者め……! 貴様らも、三賢者ども同様このジールにたてつこうというのか……」


ジール「ダルトン!!!」

ダルトン「は。残りのテ口リストどもは捕らえましてございます」

マール「く、クロノ~……」

クロノ(また牢獄行きか……)

518: 2013/04/19(金) 23:25:35.06 ID:OeViC6fVo
ジール「安心しろ、すぐには殺さぬわ……」

ジール「あらゆる悲しみ、苦しみ……そして恐怖を味わわせてから頃してやる……」

ジール「わらわの計画に逆らったこと、後悔するがいい……フフフ……」


ジール「アーッハッハッハッ……!」

519: 2013/04/19(金) 23:27:29.65 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 ジール宮殿 監獄の間


ほむら「……」

クロノ(くそ……なんだよ、この光線……体がまったく動かない。口も……)

マール(私たち、ここで氏んじゃうのかなあ……)


…………


サラ「どう、まどか?」ボソボソ

まどか「待って……。うん、誰もいないみたい」ボソボソ

サラ「よし、じゃあ扉を開けるわね……」ボソボソ

520: 2013/04/19(金) 23:29:11.34 ID:OeViC6fVo
まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「!」

サラ「しーっ! 大声出すと気づかれるわよ」

まどか「あ……ご、ごめん」


ジャキ「バカなヤツら。あれだけ忠告してやったのに、結局つかまってるじゃん」

サラ「待っててくださいね、今助けますから。えっと端末は……確か、ここを操作して……」

521: 2013/04/19(金) 23:31:12.13 ID:OeViC6fVo
ほむら「っ……はあっ! た、助かったわ……」

まどか「ほむらちゃん。それにクロノさんとマールさんも。ここから逃げて!」

サラ「このままではあなた方は大罪人として処刑されるだけです。ジャキに案内させますから、どうか……」

ジャキ「めんどくさいなあ」


サラ「そして、できることなら『命の賢者』様をお助けしていただきたいのです……」

マール「命の賢者様って?」

サラ「かつてこの国には、3人の賢者様がおられました。命の賢者様はそのおひとり」

サラ「でも、母様の計画に反対した命の賢者様は追放され、今は『なげきの山』に幽閉されて……」

まどか「あとのふたりの賢者様も、行方が知れないの。お願い、賢者様を助けてあげて!」

ほむら「でも、私はまどかを……」

523: 2013/04/19(金) 23:33:55.79 ID:OeViC6fVo
予言者「そこまでにしてもらおうか」

クロノ「! お前らは……」

予言者「好き勝手してくれたものだな、サラ。こんなことをして、ただですむとでも?」

ジャキ「おいッ! 姉上たちに手を出したら許さないからな!」

予言者「……安心しろ。あなたたちをどうこうするつもりはない」


予言者「しかし、うしろの3人はそうもいかないがな……」

巫女「……」

まどか「やめて! ほむらちゃんたちにひどいことしないで!」

525: 2013/04/19(金) 23:36:08.52 ID:OeViC6fVo
予言者「……フッ。よかろう、そいつらの命は助けてやる」

サラ「!」

予言者「そのかわり、あなたには力をかしてもらうぞ。サラ……」

サラ「……それで、この方たちが助かるのであれば……」

予言者「決まりだ。さあ、お前たちがどうやってこの時代へ来られたのか教えてもらおうか……」

527: 2013/04/19(金) 23:39:38.45 ID:OeViC6fVo
B.C.12000 小さな洞窟


予言者「ほう、こんなところから……」


予言者「さあ、サラ。こいつらをその中に放りこんだら、そこに結界を張るのだ」

サラ「結界!? そんなことをしたら、もうここは通れなくなって……」

予言者「私の言うとおりにしなければ、その者たちの命はない」

サラ「……わかりました」


まどか「ごめんね、ほむらちゃん。ごめんね……」

ほむら「まどか……! 待って! まどかは関係ないでしょう? 彼女だけでも連れていかせて!」

予言者「くどいぞ。氏にたいのか?」

ほむら「私はどうなってもいい! でも……でも、まどかだけは!」

528: 2013/04/19(金) 23:42:30.59 ID:OeViC6fVo
巫女「まどかがここでいなくなれば、アタシたちがジールに疑われる」

ほむら「!?」

クロノ(しゃ、しゃべった!?)

マール(あの子、しゃべれたんだ……)


予言者「……そういうことだ。さあ、さっさと消えろ」

ほむら「で、でも……」

巫女「早く……行けっての!」グイッ

ほむら「お、押さないで!」

529: 2013/04/19(金) 23:45:08.26 ID:OeViC6fVo
巫女「ジールがまどかの素質に気づいちまった」ボソッ

ほむら「!?」

巫女「アタシの立場じゃあ、アイツを予備扱いしてできるだけ関わらせないようにするのが精一杯だ」

ほむら「あなた……誰なの!? どういうことよ!?」

巫女「……やれやれ。錯乱しすぎだぜ、ほむら」


巫女「ちっとは頭……冷やせって、の!」ドンッ!

ほむら「! ま、まど……!」


…………



530: 2013/04/19(金) 23:47:07.35 ID:OeViC6fVo
サラ「……終わりました。……ごめんなさい……みなさん……」

予言者「これでもう、このゲートからヤツらが来ることはあるまい」

まどか「ほむらちゃん……」

予言者「帰るぞ、巫女」

巫女「ああ……」


まどか「待って! 巫女さん……あなた、もしかして……」

巫女「……」

予言者「早くしろ」

巫女「分かってる。今行くよ……」

531: 2013/04/19(金) 23:49:37.28 ID:OeViC6fVo
年代不明 時の最果て


ルッカ「ロボ、何か分かった?」

ロボ「スキャンの結果、このペンダントに蓄積されたエネルギーはラヴォスのものと同一ト判明」

ロボ「マタ、時空ジャイロによる検査では王国暦前1万2千年代のものと判明しまシタ」

クロノ「『大いなるエネルギー』ってのはつまり、ラヴォスのエネルギーか」

カエル「身震いするぜ。生活に使うエネルギーが実は破壊神によるものだったなんてな」

ルッカ「B.C.12000……便宜上、『古代』とでも名づけましょうか」

さやか「超古代文明かあ……。漫画なんかだと王道ですよね」


エイラ「みな、なに言ってる? エイラ、頭、火山。マミ、説明してくれ」

マミ「え? えーと……。うん! エイラ、あっちで遊んでましょうか?」

カエル(投げた)

さやか(投げたね)

532: 2013/04/19(金) 23:52:46.76 ID:OeViC6fVo
ルッカ「こうなってくると、その海底神殿ってやつは是が非でも止めないといけないわね」

さやか「エネルギーのみなもとってラヴォスっすよね? モロじゃん!」

カエル「しかし、古代に続くゲートは封印されてしまったぞ」

クロノ「八方ふさがりか……」


ロボ「ルッカ。ワタシに考えがあるのデスガ」

ルッカ「どうするの?」

ロボ「このペンダントで開くという扉、そこに描かれた紋章ハ確かワタシの時代にもあったはずデス」

ロボ「紋章の出自が古代であるナラバ、その先に何かあるのではないでショウカ?」

ルッカ「ふむ……確かに行ってみる価値はありそうね」

533: 2013/04/19(金) 23:54:37.29 ID:OeViC6fVo
ルッカ「ただ、リーダーであるほむらがあの状態じゃあねえ」


ほむら「……」

マール「元気出して、ほむらちゃん。ほら、アイス食べる?」

ほむら「ハーゲンダッツじゃないとやだ……」


クロノ「ほむらは僕とマールで見てるよ。みんなは、調査のほうを頼む」

さやか(ていうかあれ、とっくに回復してなくない?)

535: 2013/04/19(金) 23:57:26.01 ID:OeViC6fVo
さやか「となると、戦力になりそうなのは……」


マミ「うふふ、どう? エイラ」

エイラ「お、おお……。マミ、エイラ、のど、なでる。気持ちいいぞ……」ゴロゴロ


さやか「あのふたりはなんか別の世界にいってるし……」

カエル「よし、俺が行こう。準備しろ、さやか」

さやか「待ってました!」

ロボ「デハ、ワタシが紋章の場所まで案内しマス」

ルッカ「私が留守番か。まあいいわ、ちょっと調べたいこともあるしね……」

ルッカ「あんたら、なんでもいいから手がかりつかんできなさいよ!」

537: 2013/04/20(土) 00:02:02.44 ID:M6LmT3nro
A.D.2300 アリスドーム付近


さやか「この廃墟しかない世界が、あたしたちの未来か……。なんか、やるせないね……」

カエル「こうならないようにするのが俺たちの役目だ。気張れよ、さやか」

ロボ「目的地はここから南下した場所にある地下水道ヲ抜けた先にありマス」


…………


地下水道跡


さやか「くさっ!? ここ下水道じゃん!」

ロボ「正確には跡地デス」


さやか「え~……ここ通るの? 濡れるし、臭いが服につきそうでやだな~……」

カエル「お前はちょいちょい、どうでもいいことを気にするな」

さやか「女の子にとってはどうでもよくないの! そんなこと言ってるからモテないんだよ師匠は!」

カエル「どどどど童Oちゃうわ!」

538: 2013/04/20(土) 00:04:39.04 ID:M6LmT3nro
ロボ「おふたりとも、あまり騒ぐとミュータントに気づかれマスよ」

カエル「ミュータント? 魔物のことか?」

ロボ「そう理解していただいてかまいマセン。ここを束ねているのハ……」


\ウオオオォォォォ!!!/


さやか「な、なに!?」

カエル「敵襲か!?」

539: 2013/04/20(土) 00:07:20.64 ID:M6LmT3nro
クロウリー様「レ●プレ●プレ●プレ●プレ●プレ●プレ●プレ●プレ●プレ●プ!!!」

みはり「出た……クロウリーさんの1秒間に10回レ●プ発言!」

クロウリー様「SATSUGAI SATSUGAIせよ! SATSUGAI SATSUGAIせよ!!」

おやぶん「うわあああ! 最高に猟奇的だ!」

こぶん「Go to DMC!! Go to DMC!!!」


さやか「……」

カエル「……」

ロボ「ここの主、ヨハネ・クロウリー様II世コト、クロウリーさんデス」

カエル「係わり合いにならんほうがよさそうだな……」

ロボ「賢明な判断デス。興味本位による干渉はクロウリーさんに対する冒涜デス」

さやか「ロボ……あんた……いや、なんでもないわ」

540: 2013/04/20(土) 00:10:49.95 ID:M6LmT3nro
A.D.2300 監視者のドーム


カエル「ここか……」

さやか「待って師匠! なんかいる……」


なぞの物体「……」

さやか「な、なんなのこいつ……生き物?」

ロボ「生体反応はありマセン」

カエル「眠っているようにも見えるが……。動き出されても困る。放置しよう」


ロボ「扉はこれデス」

カエル「よし、開けるぞ!」

541: 2013/04/20(土) 00:12:29.50 ID:M6LmT3nro
さやか「まだ先があるみたいだね……あれ?」

カエル「何か見つけたのか?」

ロボ「音声データチップですネ。お待ちクダサイ、今再生シマス」



「……扉を開けた者たちへ……。私は、理の賢者ガッシュ……」


さやか「ガッシュってクロノさんたちが言ってた、三賢者のひとりの?」

カエル「そのようだな。待て、続きがあるようだぞ……」

542: 2013/04/20(土) 00:17:58.31 ID:M6LmT3nro
「扉を開けた者たちへ……。私は、理の賢者ガッシュ。魔法王国ジールの、ガッシュ」


「私はジールの大災害のおり、この時代へとばされた」

「驚いたことに ラヴォスが現れるのは私の時代だけではなかった」

「ラヴォスははるか太古の時代に空より落下し、ジールに出現し……」

「地中深くひそみ、この地球のエネルギーを吸いながら成長を続けた……」


「王国暦600年。魔王が呼び出し、一時その姿を現す」

「王国暦1999年。再びその姿を現し地表を破壊しだす」

「この世の終わりかと思われたが、すべてを破壊することなく再び眠りについたようだ」

「王国暦2011年。大嵐によって、あまたの生命が失われた。嵐は1年半続いたと記録にある」

「王国暦2012年。ジールではこの年に世界が終わるとされてきた。長期暦が、この年で終わるからだ」

「予言は事実となった。ラヴォスが四度その姿を現し、ついに地表をそのテリトリーにしたのだ」

「嵐はやんでいた。思えば、あれはラヴォス復活の前兆――最も強力な『黒き風』であったのだろう」

543: 2013/04/20(土) 00:22:33.83 ID:M6LmT3nro
「ラヴォスはその後、まるで卵を生むかのように自らの分身を次々と誕生させていった」

「私はその場所を『氏の山』と名付けた……」

「ラヴォスは、星全体に巣くう巨大な寄生虫なのだ」


「私は、ここでラヴォスの監視と研究を続けて来た」

「だが、すでに限界じゃ。こんな時代に正常な精神をたもつのは不可能なのかもしれぬ……」

「私の精神が氏をむかえる前に、この記憶を残しておくことにする。私の生がい最後の発明と共に……」


「私は自分の時代になんとか帰ろうと研究を続けた」

「しかしこの研究が完成するころには、私自身、寿命を感じていた」

544: 2013/04/20(土) 00:24:53.18 ID:M6LmT3nro
「だから、託すのだ。ここを開く者に」

「時代を行き来できれば……時代を超えて人間が、この星そのもののためにひとつになれば……」

「あのラヴォスをどうにかできるかも知れぬ……」


「可能性はゼロに等しい……。しかしゼロでない限り、かけてみる」

「この扉を開く者に、この地球のすべてを……」

「さあ、開けるがいい、最後の扉を。そして手に入れるのだ。私の最後の発明……」



「『時をわたる翼』を……」

545: 2013/04/20(土) 00:27:08.81 ID:M6LmT3nro
A.D.2300 監視者のドーム 格納庫


カエル「これは……!」

さやか「で、でかい卵!?」

ロボ「乗り物のようデスネ。中央に操縦室がありマス」

さやか「『時をわたる翼』……つまり、タイムマシンってこと!?」



♪シルバード ~時を渡る翼~


さやか「すげーすげー! ドラえもんじゃん! デ口リアンじゃん!」

カエル「どら……なんだ?」

ロボ「前者はA.D.1969より連載開始サレ世界的に有名になったSF漫画作品デ、後者はA.D.1985ニ……」

カエル「いや、いい。説明されても分からん」

546: 2013/04/20(土) 00:30:09.26 ID:M6LmT3nro
なぞの物体「驚いてくれたようだな」

さやか「!?」

なぞの物体「私だよ。ガッシュだ。この物体に、私の頭脳をコピーしておいたのだ」

ロボ「そんなことマデ……」

カエル「ダメだ、俺にはついていけん。とにかく、これがあれば古代時代に行けるんだな?」

ガッシュ「ほう……。君たちは、私の元いた時代に行こうというのか」


ガッシュ「これも何かの運命かもしれんのう。君たちが何をなすため時空を越えるのか興味があるが……」

ガッシュ「私はすでに託したのだ。こいつを、役立ててやってくれ」



ガッシュ「このタイムマシン……『シルバード』を、な!」

547: 2013/04/20(土) 00:33:15.45 ID:M6LmT3nro
年代不明 時の最果て


ルッカ「まさかだわ。タイムマシンを見つけてくるなんて……」

老人(あの男、完成させたか……。時をわたる翼を……その命と引き換えに……)


さやか「ふふん、さやかちゃんにかかればこんなもんすよ!」

マミ「すごいわ美樹さん!」

カエル「あまり調子に乗らせるなよ、巴。作ったのはこいつじゃないんだからな」


マール「でも、これでまどかちゃんを助けに行けるよ。良かったね、ほむらちゃん!」

ほむら「……」

さやか「感謝しろよ、ほむら~」

カエル「こいつ、さっきの俺のセリフ聞いてねえな……」

548: 2013/04/20(土) 00:35:45.08 ID:M6LmT3nro
ほむら「そうね……。どうもありがとう、さやか」

さやか「ぅえ?」

ほむら「なによ?」

さやか「いや、別に……」

さやか(ほむらが素直にありがとうとか言うなんて……。やっぱりまだ調子悪いのか?)


クロノ「それで、ルッカのほうはどうだったんだ? 何か調べてたろ」

ルッカ「まあね。いろいろ興味深いことが分かったわ」

マミ(あ、難しい話始まりそう……。エイラ、大丈夫かしら……)

エイラ「?」

549: 2013/04/20(土) 00:38:12.01 ID:M6LmT3nro
ルッカ「ま、結論から言うと古代の人たちがあれだけ繁栄したのはラヴォスの影響なの」

クロノ「『大いなるエネルギー』のことか?」

ルッカ「それもまあ、そうだけど。もっと根源的な部分で……」


ルッカ「原始の時代から、魔法を覚え行使し、歴史上最も進んだ文明を持つ『ヒト』への進化」

ルッカ「これは『ドリストーン』によるものとされる説があるわ」

ルッカ「そしてドリストーンとはラヴォスの破片……。わたしたちヒトは、ラヴォスの子とも言える」


さやか「まじで!? ラヴォスがあたしらのママ!?」

マミ「女の子なのかしら? ラヴォスって……」

カエル「そこはどうでもいいだろ……」

550: 2013/04/20(土) 00:41:32.59 ID:M6LmT3nro
ロボ「ラヴォスが飛来する前にもドリストーンは存在していマシタガ?」

ルッカ「それはたぶん、先行して落ちてきた欠片なんじゃないかしら」

さやか「隕石みたいなもんですもんね~、ラヴォスって」


ルッカ「ドリストーンの原石は長い年月を経て失われたとは言え、形を変えて今も残っているわ」

ルッカ「マールのペンダント、カエルのグランドリオン、古代にあるという魔神器」



ルッカ「そして……ソウルジェム」

ほむら「!?」

552: 2013/04/20(土) 00:43:52.96 ID:M6LmT3nro
マミ「ええっ!? 私たちのソウルジェムが、ドリストーン!?」

マール「赤くないけど……」

ルッカ「原石が赤い色してるだけよ。現に、そのペンダントも赤くないでしょ」

さやか「で、でもこれはあたしらの魂で……」

カエル「魂? どういうことだ?」

さやか「……あ。い、言っちゃっていいのかな……」

ほむら「……仕方ないわ。必要になればと思っていたけれど、今がそのときというのなら……」


…………



553: 2013/04/20(土) 00:46:52.75 ID:M6LmT3nro
マール「ひ、ひどい……。魂を抜き取って宝石に変えちゃうなんて……」

クロノ「とんでもないやつだな、そのインキュベーターってのは……!」

ほむら「私があいつを『敵』だと言った理由、分かってもらえたかしら」


ルッカ「つまりこうね。私たちは魔法の民の子孫。魔法とはラヴォスの力によるもの」

ルッカ「私たちの中にある最も濃い『ラヴォスとしての部分』を抽出、宝石化したものがソウルジェム」

マール「ル、ルッカ……そんな淡々と……」

ほむら「……」

さやか「……」

マミ「……」

ルッカ「……可能性の高い自論を述べただけよ」

554: 2013/04/20(土) 00:48:50.95 ID:M6LmT3nro
ロボ「ワタシ、思うのデスガ。ワタシの魂とはどこにあるのデショウカ?」

ほむら「え?」


ロボ「ワタシのこの身体は機械デス。いわバ、ハードウェアでス」

ロボ「ではCPUや内蔵記憶装置が魂なのデショウカ? ワタシはそうは思いマセン」

ロボ「ルッカたちと出会ったコト。ほむらたちと旅したコト。そこで感じたコト。思い出……」

ロボ「それらが今のワタシをかたち作ってイマス。それが魂なのだト、ワタシは思いマス」

ほむら「ロボ、あなた……」

555: 2013/04/20(土) 00:50:49.61 ID:M6LmT3nro
カエル「いいこと言うぜ、ロボ」

さやか「師匠……?」


カエル「安心しろさやか。俺なんて、カエルだぜ?」

カエル「だがサイラスのこころざしを受け継いだ魂は、ここにある。大事なのは、心だ!」

カエル「お前もゾンビが嫌ならカエルになってみればいいさ!」

さやか「なにそれ……。全然なぐさめになってないっての、もう……アハハ」

556: 2013/04/20(土) 00:52:42.97 ID:M6LmT3nro
エイラ「そのとーりだ!」

マミ「エ、エイラ? 大丈夫? 頭から湯気が出てるけど……」


エイラ「みな言うこと、さっぱり分からん! でも、エイラ、分かることある!」

エイラ「マミはマミ! なにあっても、変わらん! エイラ、トモダチ!」

マミ「……ありがとう、エイラ……」

557: 2013/04/20(土) 00:54:37.11 ID:M6LmT3nro
クロノ「つらいこと、聞いちゃってゴメンな。僕たちにどうこうできる問題ではないけど……」

マール「でも、手伝えることがあったら何でも言ってね! 仲間だもん、支えあわなきゃ!」

ルッカ「……ま、そういうことよ」

ほむら「問題ないわ。私たちは覚悟しているのだから」

マミ「でも、みんなの気持ちうれしかったわ」

さやか「これからもよろしくってことで! そうと決まれば、まどかを助けに行かなくちゃね!」


クロノ「よし、みんな! 旅の準備だ! まどかを助けるまでは帰れないぜ!」


…………



559: 2013/04/20(土) 00:56:59.95 ID:M6LmT3nro
ルッカ「あなたは秘密が多いのね」

ほむら「知的好奇心の旺盛な誰かさんは、興味津々でしょうね」

ルッカ「意地悪な言い方しないでよ。悪かったわ」

ほむら「別に、怒ってないわよ」

ルッカ「どうだか。最近は丸くなってきたと思ってたのに、今のあなたは最初に出会ったころのようだわ」

ルッカ「『もう誰にも頼らない』って顔、してるわよ」

ほむら「……」


ルッカ「ねえ、ほむら。いつか……すべて話してくれるときが来るのかしら?」

ほむら「……なにが言いたいの?」

ルッカ「信頼されるようにがんばらなきゃなってことよ」

ほむら「……」

561: 2013/04/20(土) 01:01:53.35 ID:M6LmT3nro
ルッカ(ほむら。あなたはまだ何か隠してる……)


ルッカ(ほむらたちが持っているグリーフシード……。あれも、調べたところドリストーン製)

ルッカ(ドリストーンは、ヒトの希望と絶望を糧とするもの)

ルッカ(グランドリオンが、持ち主の意志によって聖剣にも魔剣にもなるという話……)


ルッカ(ならソウルジェムは? 絶望を吸えば、どうなるの? グリーフシードになるのではないの?)

ルッカ(魔法少女の魂。魔女のみなもと。あれらの石が、ともにドリストーンなのだとしたら……)

ルッカ(魔女と魔法少女は関係があるんじゃないの?)


ルッカ(教えてよ、ほむら。私たち……仲間でしょ……)

ルッカ(あなたの背負うもの、私たちが一緒に背負うことはできないの?)



ルッカ(ねえ、ほむら……)

562: 2013/04/20(土) 01:04:44.07 ID:M6LmT3nro
第5話「もう誰にも頼らない」 終了


  セーブしてつづける(第6話「本当の運命と向き合えるかい?」へすすむ)

ニアセーブしておわる

  セーブしないでおわる

580: 2013/04/24(水) 21:31:51.51 ID:a1fvDYyto
第6話「本当の運命と向き合えるかい?」


このセーブデータをロードします。よろしいですか?


ニアよろしい

  よろしくない

581: 2013/04/24(水) 21:35:46.84 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 小さな洞窟付近


ほむら「ここは、最初に来た場所の近くみたいね」

マール「シルバードから出たら、また吹雪だよね……。今回はちゃんと防寒してきたけど……」

クロノ「さて、これからどうする? 罪人扱いされてる僕らが宮殿に乗り込むわけにもいかないし……」

ほむら「私はそれでいいと思うけど」

クロノ「いやいや」


マール「ね、気になってたんだけど。向こうの空に、おっきくて黒い影があるよね?」

ほむら「吹雪でよく見えないけれど……山、かしら?」

マール「うん、私もそう思う。あれ、『なげきの山』なんじゃないかなあ?」

クロノ「命の賢者様がとらわれている場所か」

マール「賢者様の協力が得られれば、宮殿に入る方法も見つかるかもしれないよ」

ほむら「なら、近くまで行ってみましょうか」


…………



582: 2013/04/24(水) 21:39:31.95 ID:a1fvDYyto
クロノ「驚いたな。山は山でも、空に浮いてるぞ」

ほむら「それも地上から鎖につながれて、ね。本当になんでもありよね、この時代は」

クロノ「あの山に行くには鎖を伝っていくしかないのかな……」


マール「……むにゃむにゃ……」

クロノ「って、おぉい!? 寝るな、マール! 氏ぬぞ!」

ほむら「そこに洞窟があるわ。とりあえず避難しましょう」

583: 2013/04/24(水) 21:42:02.41 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 アルゲティ


アルゲティ長老「おや、サラ様たち以外のお客さんが来るとは珍しい……」

マール「え……人? この洞窟、人が住んでるんですか?」

アルゲティ長老「洞窟か……。そう思われるのも無理はない。しかしここは一応、村なのだよ」

マール「あ……ご、ごめんなさい」

アルゲティ長老「かまわんよ。あんた方、異国の者じゃろう」

アルゲティ長老「ようこそ、地の民の村アルゲティへ。わしはこの村の長老じゃ」

ほむら「地の民……?」


アルゲティ長老「魔法を使える者は『光の民』と呼ばれ、浮遊大陸で人生を謳歌する」

アルゲティ長老「しかし魔力を持たぬ我ら『地の民』は天空の王国を追放され、極寒の地で暮らすしかない」

マール「ひどい……」

ほむら「華やかな王国の裏に隠された闇……か」

584: 2013/04/24(水) 21:44:35.95 ID:a1fvDYyto
アルゲティ長老「あんた方、こんなところにわざわざ何用じゃ? 観光なら浮遊大陸のほうに行けばええ」

アルゲティ長老「……いやしかし、『天への道』は今は封印されておったか……」


クロノ「僕たちはなげきの山に行きたいんです」

アルゲティ長老「あのような危険な場所へ進んで入りたがるとは……何か理由でもあるのかね?」

マール「私たち、命の賢者様を助けに行くんです!」

アルゲティ長老「なんと……」

585: 2013/04/24(水) 21:48:52.65 ID:a1fvDYyto
アルゲティ長老「サラ様や鹿目様、三賢者様たちぐらいのもんじゃ……」

アルゲティ長老「わしらを自分と同等に扱ってくださり、こんな村に何度も足を運んでくれてのう……」

アルゲティ長老「彼女らのおかげで、わしらは腐らずにおれる」

ほむら「まどかが……」


アルゲティ長老「あんた方が賢者様を助け出してくれるというなら『ドロクイの巣』への道を開けておこう」

アルゲティ長老「そこを通れば、なげきの山をこの大地につなぎとめている鎖のところまで行けるはずじゃ」

アルゲティ長老「わしからもお頼み申す。賢者様を助けてあげてくだされ……」

586: 2013/04/24(水) 21:51:32.51 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 ドロクイの巣


ドロクイ「モルスァ」

ほむら「アリクイならぬドロクイ、ね」

マール「キモカワイイってやつかな?」

クロノ「襲ってきた時点で可愛いも何もないけどな」

ほむら「見えたわ。あれが鎖の連結地点ね」


…………


ビュウウウウウ...!

ほむら「うあ……!!」

マール「高い寒い怖い風が強い!!!」

クロノ「下を見るなよ! 進めなくなるぞ!」

587: 2013/04/24(水) 21:53:43.99 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 なげきの山


ほむら「ハァ……ハァ……。……な、なんとかたどり着けたわね……」

クロノ「帰りもあるぞ。しかも下り」

ほむら「今は考えたくないわ……」


マール「浮遊大陸と違って、この山は整備されてないね~」

ほむら「山自体が牢獄のようなものでしょうしね」

マール「ふわあ……この崖の端から落ちたらひとたまりもなさそう」

クロノ「気をつけて進まなきゃな」

588: 2013/04/24(水) 21:55:31.65 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 なげきの山 山頂


ほむら「ここに命の賢者が閉じ込められているのか……」

マール「あれ? なんだろ、台座の上に何か……氷塊……?」

ほむら「待って。透けて中が見えそう……人よ! 中に人が!」

クロノ「賢者様か!?」


キイイイイイン...

ほむら「! 氷塊が……」

マール「消えちゃったよ!?」


ズズズズズ...!

クロノ「何か来るぞ!」

589: 2013/04/24(水) 21:57:29.51 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「グオオオオォォォ!!!」


クロノ「で、でかい!」

マール「巨人!?」

ほむら「なんて大きさなの……! ティラン城のブラックティラノより大きいじゃない!」

クロノ「こいつをなんとかしろって言うのか!? むちゃくちゃだな……!」

590: 2013/04/24(水) 21:59:09.88 ID:a1fvDYyto
ほむら「……ふん。ちょうどいいわ……」

マール「ほむらちゃん……?」

ほむら「鬱憤がたまってたのよ……。これだけ大きければ、よけれられる心配もないわね」


ほむら「『M252 81mm迫撃砲』!!」

クロノ「なっ……なんだよ、その筒!?」

ほむら「発射ッ!!」

591: 2013/04/24(水) 22:01:19.04 ID:a1fvDYyto
ズドドドドッ!! ガガアアアァァァン!!!

ギガガイア「ゴオオオオォォォ!?」


クロノ「ゆ、ゆれる! 山が揺れている!」

マール「わわわわわっ!? 立ってられないぃ~……」

ほむら「ああ、気持ちいい。図体がでかいだけのでくの坊ね。そのまま氏ねばいいんだわ」


クロノ「! マール、あぶない! 土砂崩れだ!」

マール「えっ……! きゃああ!!」

ほむら「あら、失敗。着弾地点が広範囲すぎて、周囲にも損害が出たわね」

592: 2013/04/24(水) 22:03:40.87 ID:a1fvDYyto
クロノ「大丈夫か、マール!」

マール「う、うん。なんとか……」

クロノ「ほむら! なに考えてるんだよ、味方にも被害が出てるじゃないか!」

ほむら「そう、ごめんなさいね。邪魔だから下がっててくれる?」

クロノ「おい……!」


マール「ほむらちゃん……。ど、どうしちゃったの……」

ほむら「邪魔よ、マール。バックブラストの餌食になりたいの?」

マール「えっ……」

593: 2013/04/24(水) 22:05:44.47 ID:a1fvDYyto
ほむら「『M136 AT-4』!!」ドォン!!

ギガガイア「グアアオ!!」ズガアン!!


マール「ゲホ、ゲホ! なにこれ……煙が!」

ほむら「だから邪魔だって言ったじゃない」

マール「あ、あの……ごめん……」

ほむら「どんくさいわね。足手まといは嫌いよ」

マール「……」


クロノ「……! ほむらッ!!」ドン!

ほむら「いたっ……!? 何するの、クロノ! 頭にきたからって、突き飛ばすことは……」

594: 2013/04/24(水) 22:08:53.56 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「ウオオオオォォォ!!!」

ほむら「!?」

ギガガイア「ガアアッ!!!」ズドオン!!!


ほむら「くっ……! あの巨大な腕、振り下ろされるだけで脅威ね……」

マール「ほむらちゃん! 大丈夫?」

ほむら「さっきの場所にいたらつぶされていた……。クロノ、あなたはそれを知らせるために……?」

マール「あ、あれ? クロノ!? クロノがいないよ!」

ほむら「え……!? ま、まさか……私をかばって……」

595: 2013/04/24(水) 22:11:10.20 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「オオォォォッ!!!」

『ダブルハンドブラスター』

ズオオオオッ!!!


マール「きゃああっ!!」

ほむら「こいつ……! ただ力任せに振り回すだけでなく、魔法まで……!」



ギガガイア「シイイイイ...!」

『防御アームでヘッドを回復』

マール「回復されちゃった……」

ほむら(右腕で攻撃、左腕で回復……。両腕があけば、強力な魔法が飛んでくる……)


ほむら「厄介ね、あの腕は……!」

596: 2013/04/24(水) 22:13:16.55 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「グ...!? ゴオオオ...!!」


マール「あれ……? 巨人の様子が変だよ?」

ほむら「背中を気にしている……?」

マール「かゆいのかな?」

ほむら「冗談を言ってる場合じゃないでしょ」

マール「うーん、でも巨人だって人でしょ? かゆかったらムズがるんじゃない?」

ほむら「……人……あれが……」

597: 2013/04/24(水) 22:16:07.15 ID:a1fvDYyto
クロノ「やれやれ……。振り落とされるかと思ったよ」

マール「あ、あれ!? クロノ!?」

ほむら「巨人の背中に張り付いている……! なるほど、だからヤツが気持ち悪がったのね」


クロノ「うまく接近できたな。よし、食らえ! 『みだれ斬り』!!」

ギガガイア「ギャバア!!!」

マール「連続攻撃がクリーンヒット! クロノすごーい!」


ギガガイア「グアアア!! オオオオオォォォ!!!」

ほむら「すごい痛がりようね……」

クロノ「うわ、わ……! さすがにこう動かれると張り付くのは無理だな。離脱、っと」

598: 2013/04/24(水) 22:18:20.41 ID:a1fvDYyto
マール「クロノ! 無事だったんだね!」

クロノ「へへ、振り下ろされた腕を伝って登ってやったよ。対巨人戦闘の常套手段だろ?」

ほむら「よくやるわね、あなたは。私をかばいながら、その一瞬で……」

クロノ「ほむら、危なかったな。あのままだったらぺちゃんこだったぜ」

ほむら「……ヘイストで避けられたわ」

クロノ「それもそうか。ほむらは強いもんな。余計なことしちゃったかな?」

ほむら(……気づいていれば、だけれど。あの状況では、きっと間に合わなかったわね……)

599: 2013/04/24(水) 22:21:20.39 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「グウウゥゥ...!!」

『防御アームでヘッドを回復』


マール「また回復されちゃった……」

クロノ「くそっ! せっかくダメージを与えてやったのに……」

ほむら「いえ、クロノ。あなたのおかげでヤツの弱点が分かったわよ」

クロノ「ホントかい?」

ほむら「ええ。マールの言うとおりだったわ」

マール「私の……?」

ほむら「巨大さばかりに惑わされてはいけない。あいつを、人もしくは人型生物とみなせば話は簡単」

600: 2013/04/24(水) 22:24:52.69 ID:a1fvDYyto
ほむら「人体の急所のひとつ、頭部。目、鼻、アゴ、こめかみ、眉間。果ては、そのすぐ下の首まで……」

ほむら「衝撃を受ければ致命傷となる部分が集中している頭部を狙われることを、あの巨人は嫌がっている」

ほむら「だから腕で顔をかばい、優先的に回復しようとしているのよ」


マール「そ、そっか。じゃあ頭を重点的に狙えば……」

ほむら「そのためには、あの腕をなんとかする必要がある。作戦はこうよ」

ほむら「私とマールの『れんけいわざ』で腕のガードを引き剥がす。いいわね、マール」

マール「オッケー!」

ほむら「クロノ、あなたがトドメを刺しなさい。眉間にその刀を思いっきり突き立ててやればいいわ」


クロノ「……へへっ」

ほむら「なにを笑っているのよ。今の話に面白いところなんてあったかしら?」

クロノ「そうじゃないよ。ほむらの調子が戻ってきたみたいだからね」

ほむら「……」

クロノ「やっぱり君は頼りになる。それでこそ僕らのリーダーだ」

602: 2013/04/24(水) 22:28:07.85 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「グアアアア!!!」

マール「巨人が攻撃してくる!」

ほむら「散開して!」


『ガイアマグナード』

ズガァン!!


クロノ「ぐっ……! さすがにキツイな!」

マール「でも、距離を取ったおかげでそこまで被害は大きくないよ!」

ほむら「今度はこちらの番! いくわよ、マール!」

603: 2013/04/24(水) 22:30:02.93 ID:a1fvDYyto
マール「『アイスガ』!!」

ほむら「『M26手榴弾』!!」


ほむら&マール「ふたりわざ『メドローアボム2』!!」

ギガガイア「グゲッ...!! グググ...!!!」


マール「手をついた!」

ほむら「体勢は崩したわ……クロノ!」

604: 2013/04/24(水) 22:33:09.89 ID:a1fvDYyto
クロノ「ふたりが作ったこのチャンス……。逃す手はないよな!」

クロノ「うおおおおっ! 『ぜんりょく斬り』!!」


ズバアンッ!!

ギガガイア「ギャオオオオ!!!」



マール「やったあ! 今度こそ……」

ほむら「! いえ、まだよ……!」


ギガガイア「グギギギ...!」

マール「耐えてる……! しぶといなあ、もう!」

ほむら「とはいえ、もう少しだわ。私たちの攻撃で腕もボロボロ。あれでは頭部を回復させることも……」

605: 2013/04/24(水) 22:35:07.78 ID:a1fvDYyto
『アームを復活』


マール「え!?」

ギガガイア「ウオオオオ...!!」

ほむら「冗談でしょ!? 腕が再生していく……!」

マール「ど、どうしよう、ほむらちゃん! プランBは!?」

ほむら「ないわよそんなもん!」

606: 2013/04/24(水) 22:37:58.57 ID:a1fvDYyto
クロノ「いや、ある!」

マール「クロノ!?」


クロノ「ヤツは満身創痍……。ほむら! 今こそ僕と君の『れんけいわざ』を叩き込むときだ!」

ほむら「私とあなたの……!?」

クロノ「今度はちゃんと狙ってくれよ。あの筒……一点集中で、ね!」

ほむら「! 『M252 81mm迫撃砲』……」

クロノ「合わせてくれ、ほむら!」

607: 2013/04/24(水) 22:39:34.77 ID:a1fvDYyto
クロノ「『サンダガ』!!」

ほむら「『M252 81mm迫撃砲』!!」


マール「こ、これは……!」

クロノ「無数の落雷と砲弾のシャワー! 耐えられるかい、巨人!」

ギガガイア「ゴオオオオオ!?」



クロノ「そのまま沈めッ!! ふたりわざ『ダークスパーク』だ!!」

608: 2013/04/24(水) 22:41:47.51 ID:a1fvDYyto
ギガガイア「ギャアアアアアアアアアァァァオオオオオォォォ...!!!」


マール「巨人が倒れていく……」

ほむら「やられる姿すら迫力満点ね。我ながら、よくなんとかなったものだと感心するわ」

クロノ「ほむらの知略と僕らの戦力。合わせれば、どんな敵でも対処できるって僕は信じてたよ」

マール「うんうん。ほむらちゃんのおかげだね!」

ほむら「あまりおだてないで。お世辞は好きじゃない」

マール「お世辞じゃないってば~」

ほむら「……」


ほむら(……『コンビネーションの質の高さが、実力以上の力を発揮させている』……か……)

609: 2013/04/24(水) 22:44:08.69 ID:a1fvDYyto
クロノ「それにしても、あの巨人がここの牢番だったのかな?」

ほむら「とんでもない牢番もいたものね」

マール「あ、見て! 氷塊が戻ってきたよ」


パリーン!!

ボッシュ「うう……ここは……?」

ほむら「ボッシュさん!?」

610: 2013/04/24(水) 22:46:17.51 ID:a1fvDYyto
ボッシュ「いかにも、ワシはボッシュじゃが……なぜワシの名を? 会うのは初めてじゃぞ」

クロノ「ボッシュが命の賢者様だったのか。でも、現代にいたはずじゃ?」

ほむら(元は古代の人間だったのね。ということは、このあとなんらかの理由で時間跳躍を……?)

ボッシュ「まあええわい。助けてくれたこと、礼を言おう。ところで女王は? 海底神殿はどうなった?」


ゴゴゴゴゴ...!

マール「きゃあ! じ、地震!?」

クロノ「空に浮いてるのにか!?」

ボッシュ「いかん、ここの封印を解いたため山が落ちるぞ! 急いで下りるのじゃ!」

611: 2013/04/24(水) 22:48:14.39 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 アルゲティ


地の民A「長老! な、なげきの山が!!」

アルゲティ長老「彼らは、やってくれたか……」


地の民の子供「ママ、お山が落ちてくるです~!」

地の民B「大丈夫よタラちゃん。ここにいれば安全だからね……」


…………



612: 2013/04/24(水) 22:50:36.37 ID:a1fvDYyto
ボッシュ「そうか……。女王の心は、既にそこまで……」


ボッシュ「ラヴォスに、人としての心を食われてしまったのじゃろう。もはや女王は正気ではない」

アルゲティ長老「何も知らされず、わしらは奴隷として重労働を強いられました。神殿を建設するため……」

ボッシュ「魔神器を海底までおろせば、ラヴォスそのものを目覚めさせてしまうかもしれぬ」

マール「なんとかしないと!」

ほむら「宮殿へ乗り込む方法は?」

ボッシュ「そうじゃな。まずは天への道の封印を解いて……」


地の民「長老! サラ様がおいでです!」

ボッシュ「なに、サラが?」

613: 2013/04/24(水) 22:52:42.49 ID:a1fvDYyto
アルゲティ長老「おお、サラ様……。それに、鹿目様も……」

ほむら「まどか!」

まどか「えっ!? ほ、ほむらちゃん!? どうやってこの時代に……」

クロノ「いやあ、タイムマシンでちょっとね」

まどか「タ、タイムマシン!?」

サラ「みなさん、良かった……」

ジャキ「へこたれないヤツらだよ」

614: 2013/04/24(水) 22:55:47.73 ID:a1fvDYyto
ボッシュ「サラ。久しぶりじゃな」

サラ「ボッシュ……。なげきの山が落ちたので、ここに来ればきっと会えると……」

ボッシュ「宮殿を抜け出したりして、大丈夫なのか?」

サラ「それどころではありません。神殿が……海底神殿が、完成してしまったのです!」

ボッシュ「! 間に合わなんだか……!」


サラ「しかし、私かまどかでなければ魔神器は動きません……」

サラ「私はまどかと逃げます。天への道は開いておきました。みなさん、どうかお願いします……」

サラ「女王を……母を、止めてください!」

まどか「お願い、ほむらちゃん。サラちゃんの頼み、聞いてあげて!」

ほむら「まどか……どうしてあなたは、そこまでこの国のことを……」

615: 2013/04/24(水) 22:58:22.58 ID:a1fvDYyto
ダルトン「そこまでにしていただきましょうか」

サラ「ダルトン!?」

ダルトン「たまげましたねえ。甘ちゃんの王女さまが、とんだ暴挙に出たもんだ」

ダルトン「鹿目様の入れ知恵かね? かごの中の鳥は、おとなしくさえずってりゃいいんですよ」


ボッシュ「ダルトン! おぬしの好きにはさせんぞ!」

ダルトン「ジジイは説教くさくてたまらねえ。黙らせろ、衛兵」

ボッシュ「ぐはっ!」

まどか「ボッシュさん!」

616: 2013/04/24(水) 23:00:59.55 ID:a1fvDYyto
ダルトン「連れていけ。ふたりともだ」

ほむら「!」

ジャキ「姉上! まどか姉さま! こいつら……その手を放せ!」

ダルトン「王家のガキはどいつもこいつも……気が強くていけない、ね!」バシッ!

ジャキ「うあっ!」

サラ「ジャキ!」


マール「あんたたちぃ……!」

ダルトン「おーっと、お前たちも手を出すなよ? 俺様は女王など少しも恐れちゃいない」

ダルトン「ふたりともと言ったが、必要なのはどっちかひとりだ」

ダルトン「要らんほうのクビをここでハネてもいいんだぜ? そうだなあ……やはりここは、鹿目様かね?」

ほむら「そんなことをしてみろ。次に飛ぶのは、お前のクビよ……!」

ダルトン「やってみるか?」

617: 2013/04/24(水) 23:02:54.12 ID:a1fvDYyto
まどか「やめて……お願い。言うとおりにするから……」

ダルトン「それでいい。素直なのが一番ですぜ」

ほむら「まどか!」

ダルトン「さーて行きましょうか。やさしいお母上がお待ちかねですよ」


ダルトン「ハッハッハッハ!!!」


…………



618: 2013/04/24(水) 23:04:56.42 ID:a1fvDYyto
ほむら(またまどかを救えなかった……! どうしてこう、邪魔ばかり入るの!)


クロノ「ボッシュ、大丈夫か?」

ボッシュ「うむ、すまん……。まずいぞ、なんとしてもふたりを救い出さねば、大変なことに……」

アルゲティ長老「無茶です! いかにボッシュ様といえど……」

ボッシュ「この計画が実行されれば、すべての人間……いや、すべての生命が危機にさらされるんじゃぞ!」

アルゲティ長老「し、しかし……」


クロノ「……マール」

マール「言われるまでもないよ!」

クロノ「……ほむら」

ほむら「だから言ったでしょう? さっさと乗り込むべきだって」

クロノ「……よし!」

619: 2013/04/24(水) 23:07:48.22 ID:a1fvDYyto
♪クロノ・トリガー


ボッシュ「何をする気じゃ……」

マール「決まってるよ!」

クロノ「僕たちに任せてくれ!」

ほむら「まどかを救うついでに世界も救ってあげるわ」

ボッシュ「お、お主ら……。すまぬ……名も知らぬお前さんたちに、何から何まで……」


ほむら「気にしないで。あなたには借りがあるから」

マール「名前なら、そのうち知ることになるよ!」

ボッシュ「な、なに???」

クロノ「よし、宮殿に行こう!」

620: 2013/04/24(水) 23:09:51.24 ID:a1fvDYyto
ボッシュ「待て、これを持っていけ」

ほむら「これは……ナイフ?」

ボッシュ「そいつは魔神器と同じ赤き石のかけらで作られたもの。それなら魔神器を壊せるじゃろう」

ほむら(ドリストーン……)


ボッシュ「ワシも、あとのふたりの賢者に連絡して、すぐにあとを追う。頼んだぞ、お主ら!」

621: 2013/04/24(水) 23:11:35.38 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 ジール宮殿 女王の間


ほむら「ジール!!!」

マール「……誰もいないね」

ほむら「……」

マール(勢いつけて飛び込んだ分、反動で恥ずかしさが加速してるほむらちゃんカワイイ)

クロノ「というか、宮殿自体に誰もいなかったな。どこに行ったんだろう……」

622: 2013/04/24(水) 23:14:23.41 ID:a1fvDYyto
QB「海底神殿が完成したからね。ラヴォス復活に備え、みんなそっちへ行ってるのさ」

ほむら「インキュベーター……!」

QB「おっと。どうして君は、会うたび僕を殺そうとするんだい?」

マール「……」

QB「……うしろのふたりも、以前と様子が違うね。何を話したんだい?」

ほむら「お前に教える筋合いはないわ」

QB「やれやれ。結局、君もまどかと一緒か。彼女も僕の話を聞こうとしなかった」

QB「それどころか、彼女の影響でサラもジャキも僕を嫌う始末さ」

ほむら「いい気味だわ」

623: 2013/04/24(水) 23:18:28.33 ID:a1fvDYyto
QB「……僕たちは共通の敵を持っている。ラヴォスは、最終的には倒されなければならない存在だ」

QB「その点において、僕たちは協調できると思うんだけどな」

ほむら(ラヴォスは星のエネルギーを食らいつくす寄生虫)

ほむら(確かに、管理側のこいつらにしてみれば天敵とも言えるわね。でも……)


ほむら「お前との協力なんて、こっちから願い下げよ」

QB「そうかい。まあいいけど。僕は僕で、動かせてもらうよ」

ほむら「……邪魔はさせないわ」

QB「邪魔なんてしないよ。海底神殿に行くんだろう? ほら、ここから下りられるよ」

クロノ「ほむら、行こう! 時間がない」

ほむら「命拾いしたわね、インキュベーター」

QB「……」


…………


QB「行ったみたいだね。さて、僕も追いかけようか」

624: 2013/04/24(水) 23:22:34.70 ID:a1fvDYyto
B.C.12000 海底神殿


リオン「やあ、お姉ちゃんたち」

ほむら「リオン!? なぜあなたが……」

リオン「黒い気が、高まってくる……。こわいものが目を覚ましちゃうよ」

クロノ「何を言って……うおっ!?」


ゴゴゴゴゴ...!

マール「ま、また地震!?」

ほむら「まさか……!」


…………



625: 2013/04/24(水) 23:25:07.07 ID:a1fvDYyto
ジール「さあ、サラよ。魔神器のパワーを限界まで上げるのだ」

サラ「……」

ジール「サラ! わらわの言うことが聞けぬのか!?」

サラ「分かりました……母上……」


キュイイイイイイン...

ジール「おお……なんとまばゆい輝き! すばらしきラヴォス様の力よ!!」

まどか「サラちゃん……」

予言者「……」


…………



626: 2013/04/24(水) 23:26:41.60 ID:a1fvDYyto
光の民「異国の者、立ち去れ……。神聖なるラヴォス様の復活……邪魔はさせない……」

ほむら「どきなさい!」

光の民「ラヴォス様……万歳……ギャギャギャギャギャ!!」

マール「人間が魔物に……!?」

クロノ「ラヴォスの影響か!?」

ほむら「強行突破よ!」


…………



627: 2013/04/24(水) 23:29:13.65 ID:a1fvDYyto
ジール「ああ、感じる……感じるぞ! 永遠の生命の鼓動を……!」

まどか「な、なに……この黒い気の渦……!?」

巫女「……!!」


キュイン! キュイン! キュイイイン...!!

側近「ま、魔神器の様子が……! 女王様、これ以上は危険なのでは……」

ジール「臆病者はこの場にふさわしくないな……。氏ね!!」

側近「ギャアーッ!?」

サラ「母上……! なんてことを……」


…………



628: 2013/04/24(水) 23:32:30.40 ID:a1fvDYyto
グラン「ボクらはナイフにこめられたボッシュの希望なんだよ……」

ほむら「このナイフが……? じゃあ、もしかしてこれは……」

グラン「さあ、女王たちのところに行くつもりなら急がないと。頼むぜ、姉ちゃんたち」


…………



サラ「う……ッ!」

ジール「続けるのだ、サラ! あともう少しだ……」

ジール「わらわは永遠の生命を手に入れる! 我がジール王国は……神の光に包まれるのだ!」


ジール「ククク……フハハ……アーッハッハッハッ……!」


…………



629: 2013/04/24(水) 23:37:39.19 ID:a1fvDYyto
ダルトン「ったく、予言者のヤローが中に入れて、なぜ俺様が見張り……む?」


ほむら「ダルトン!!」

ダルトン「お前ら、マジでこんなところまで追いかけてきやがったのか……」

マール「サラさんとまどかちゃんは、どこ!?」

ダルトン「予言者のヤツらが何かボロを出すかと思って泳がせておいたが……もうお前らも用済みだな」


ダルトン「お前らの始末はコイツがつけてくれる! いでよ、ゴーレム・シスターズ!」

ダルトンゴーレム・シスターズ(姉)「わたくしたちの出番ですね」

ダルトンゴーレム・シスターズ(妹)「がんばるさー!」


クロノ「空間からゴーレムが!?」

ほむら「くっ、こんなことしてる時間はないのに!」

ダルトン「いさぎよく氏ねーいッ!」

630: 2013/04/24(水) 23:41:42.06 ID:a1fvDYyto
シスターズ姉「ダルトン様の野望を邪魔立てする者に氏を。『エネルギーボール』!!」

マール「きゃあっ!?」

クロノ「マール!」


ほむら「どきなさい! あなたたちを相手にしている暇なんてないのよ!」

シスターズ妹「ここを通ろうってんなら、自分らを倒してからにするさ」

ほむら(すぐ目の前に、まどかがいるっていうのに……こいつら……!!)


クロノ「ほむら! 相手はふたりだ。ここはなげきの山の時のように『れんけいわざ』で……」

ほむら「うるさいッ!!」

クロノ「!?」

631: 2013/04/24(水) 23:43:42.52 ID:a1fvDYyto
ほむら「『89式小銃』!!」

シスターズ妹「おっと危ない! 『鉄球』!!」

マール「鉄の塊!?」

シスターズ妹「そんな豆鉄砲、この鉄球には効かないぞ! このまま押し込んでやる!」

ほむら「!? 鉄球を盾にしたまま強引に突っ込んできた……!」

マール「ほむらちゃん、逃げて!」


シスターズ妹「そーれっ!!」ドスッ!

ほむら「あ、がふっ……!」

632: 2013/04/24(水) 23:47:19.15 ID:a1fvDYyto
シスターズ姉「あらあら。見事なまでにお腹にめり込みましたね」

ほむら「……ぐ……うぐ……!」

シスターズ妹「ハハハッ! そこでそのまま、うずくまってればいいさー!」

ほむら「げほっ……えぅ……が、えほっ……」ビチャビチャ!

シスターズ姉「ふふ、吐血しましたか。内臓のいずれかがつぶれたのではないですか?」


マール「ほむらちゃん! しっかりして、今回復を……」

ほむら「……必要……ない、わ……!」

マール「え……?」

ほむら「必要ないと言っているの! こんなもの、魔力ですぐ修復してやるわ!」

マール「で、でも……」

ほむら「何をやっているのよ、あなたは! 余計な心配をする暇があったら、あいつらを頃しなさい!!」

マール「ほむらちゃん……」

633: 2013/04/24(水) 23:49:06.31 ID:a1fvDYyto
シスターズ妹「頃すだって? よく言うさ。そんなボロボロで何ができるって言うんだ?」

シスターズ姉「油断はなりませぬ。追い詰められたネズミに噛まれる前に、トドメを刺しましょう」

シスターズ妹「オッケー。みんなまとめてあの世行きだぞ! 『ダークレイ』……」


ほむら「やらせるかああッ!!」

シスターズ姉「!」

ほむら「『FN MINIMI M249パラトルーパー』!!」

634: 2013/04/24(水) 23:50:59.57 ID:a1fvDYyto
シスターズ妹「うぎゃーッ!? こ、こいつムチャクチャだぞ!」

シスターズ姉「なんてデタラメな弾幕……! どこを狙っているのです!」


ほむら「ああああああッ!!」ドガガガガガガ!!


マール「きゃあああっ!?」

クロノ「ほむら、クソ……! ダメだ、見境をなくしている!」


ダルトン「うおおおッ!? あ、あぶねえ! こっちにまで流れ弾が!」

シスターズ姉「ダルトン様! 危険です、お下がりください!」

ほむら「……!」

635: 2013/04/24(水) 23:53:13.09 ID:a1fvDYyto
マール「はあ、はあ……。あうう~……ちょっと足にかすっちゃったよ……」

クロノ「どういうつもりなんだ、ほむらは……。こんな……!」

シスターズ妹「ふい~……。なんとか切り抜けたぞ……」

シスターズ姉「!? あの女がいません! どこに行ったのですか!?」

マール「え……」


ダルトン「シ、シスターズ……! 助けてくれえ……」

シスターズ姉「ダルトン様?」

636: 2013/04/24(水) 23:54:50.02 ID:a1fvDYyto
ほむら「……捕まえたわ……!」


シスターズ妹「な!? あ、あいつ、ダルトン様を!?」

シスターズ姉「なんのつもりです、貴女!」

ほむら「大事な大事なご主人様を殺されたくなかったら、投降しなさい……」


マール「ほむらちゃん!? 何してるの!?」

ほむら「人質よ。テ口リストの私たちにはお似合いでしょう?」

クロノ「き、君は……!」

637: 2013/04/24(水) 23:57:19.76 ID:a1fvDYyto
ほむら「あなたたちがこいつの安否を気にしているのを見てね、ひらめいたのよ」

ダルトン「ひいいッ! やめろ、銃を向けるな!」

ほむら「当然よね、自分の主なんだもの。見頃しにできるわけがない」

シスターズ妹「卑怯だぞ、お前!」

ほむら「まどかをいいように利用し続けたあなたたちに言われたくはないわ」


ほむら「さあ、そこをどきなさい。私たちが先に進み、安全が確保されたらこいつは放してあげるわ」

シスターズ姉「……仕方ありません。ダルトン様に危害を加えさせるわけにはいきませんから……」

ほむら「お利口さんね……。クロノ、マール。行くわよ」

マール「……」

638: 2013/04/24(水) 23:59:05.48 ID:a1fvDYyto
ほむら「……!? ぐっ……!」

ダルトン「む……?」

ほむら(ま、まずい……視界がボヤける……。思ったよりダメージを受けすぎていた……!)


ダルトン「バカめ、ヒザを突いたな? 隙だらけだぞ!」ドスッ!

ほむら「あうっ……!?」

マール「ほむらちゃん!」

639: 2013/04/25(木) 00:00:49.72 ID:fw7wNjbjo
シスターズ妹「やったぞ! ダルトン様が解放された!」

シスターズ姉「損傷の激しい腹部への肘打ち。お見事です、ダルトン様」

ダルトン「チッ、このアバズレが! よくも汚らしい手でこの俺様に触れてくれたな……」


シスターズ妹「さ~て、ナメた真似をしてくれたお礼だぞ。楽には氏なせてやらないさ」

シスターズ姉「非道なる行い、目に余ります。あなたはこの美しき王国にふさわしくありませんね」

ほむら「……!」


ダルトン「ぶっ殺せ! シスターズ!!」

640: 2013/04/25(木) 00:03:01.07 ID:fw7wNjbjo
クロノ「『ぜんりょく斬り』!!」

シスターズ妹「!?」ガキィン!!

クロノ「くそ……防がれた……!」ギリギリ...!!

シスターズ妹「こ、こいつ……! 邪魔するなぁっ……!」ギギギギ...!!

クロノ「ほむらに手出しはさせない……ッ!」ガギギギ...!!


シスターズ姉「つばぜり合い状態……!」

ダルトン「何をしているッ! さっさと押し切ってしまえ、シスターズ!」

641: 2013/04/25(木) 00:04:30.55 ID:fw7wNjbjo
ほむら「ああ……いいわね、クロノ。その状態、すごくいいわよ」

クロノ「な……んだっ、て……? ほむら……とにか、く……そこから下がれ……!!」

シスターズ妹「うぎぎぎ……!!」

ほむら「そのまま、そいつを押さえつけておいてね……」



ほむら「『パイプ爆弾』!!」

クロノ「なっ!?」


ドカァン!!

642: 2013/04/25(木) 00:06:35.82 ID:fw7wNjbjo
シスターズ妹「うぎゃーっ!?」

クロノ「ぐあ……っ!」


マール「ク、クロノーッ!!」

ダルトン「信じらんねえ!? 味方もろとも爆破しやがった!」


マール「ほむらちゃん、なんてことを!」

ほむら「敵が拘束されていたのよ。チャンスじゃない」

マール「だからって……!」

ほむら「魔法って便利よね。さっさとクロノを回復してあげなさい。氏ぬわよ、彼」

マール「あなたねえ……!!」

644: 2013/04/25(木) 00:08:45.22 ID:fw7wNjbjo
シスターズ妹「うぎぎ……オ、オマエェ……ッ!!」

ほむら「!」

シスターズ妹「よくもやってくれたな!」

シスターズ姉「貴女は第一級の危険人物ですね。速やかに排除せねばなりません」


マール「クロノ! 大丈夫!?」

クロノ「ゲホッ、ガハッ……! なんなんだよ、これ……。なんでほむらは……!」

645: 2013/04/25(木) 00:10:47.95 ID:fw7wNjbjo
ダルトン「クソ忌々しい女が! 早く殺せ、シスターズ!」

ほむら「……どいつもこいつも……ギャーギャーわめきたてて……うっとうしいったらありはしない……」


ほむら「『M252 81mm迫撃砲』!!」

マール「あの筒……なげきの山の時の……!」

クロノ「おいおいおいおい! 冗談はよしてくれ……!」



ほむら「みんな、みんな……消えなさいッ!!」

646: 2013/04/25(木) 00:12:29.07 ID:fw7wNjbjo
ダルトン「正気かアーッ!? あの女、室内で砲撃しやがった!!」

シスターズ妹「ぎゃーっ!? 天井が崩れる!」

シスターズ姉「ダルトン様……!」


マール「きゃああああッ!!」

クロノ「マール! クソッ……!!」


ズズウ...ン!!

648: 2013/04/25(木) 00:14:08.11 ID:fw7wNjbjo
ほむら「……はあ、はあ……ゲホッ……」

ほむら「……」

ほむら「全部……瓦礫の下敷きね……。ざまぁみろ……」


クロノ「ぐ……いて……。大丈夫か……マール……」

マール「う、うん……。クロノがかばってくれたから……」


ほむら「あら、生きていたの。たいした生命力ね」

マール「……ほむらちゃん……」

ほむら「ヤツらは瓦礫につぶされておしまい。上々の戦果でしょう?」

マール「……」

ほむら「なによ、その顔は。言いたいことがあるならハッキリ言いなさいよ」

651: 2013/04/25(木) 00:16:51.93 ID:fw7wNjbjo
クロノ「いい加減にしろよ、ほむら!」

ほむら「……」

クロノ「君らしくないよ、こんなやり方! 君はもっと冷静で、頼りになる……」

ほむら「知ったような口を聞かないで」

クロノ「……!」

ほむら「私らしいって、なに? 私のこと、何も知らないくせに」

クロノ「それは君がちゃんと話してくれないからだろう!」


マール「やめて、ふたりとも! 仲間割れしてる場合じゃないでしょ……」

クロノ「マール……」

マール「じっとしてて……。クロノもほむらちゃんも、もうボロボロなんだから……。私に任せて……」

ほむら「……」

652: 2013/04/25(木) 00:19:46.49 ID:fw7wNjbjo
ほむら「クロノ。憎いなら、その刀で私を刺せばいいわ」

クロノ「……」

ほむら「でも、できるならまどかを助けてからにしてほしいわね」

ほむら「そのあとなら、私はどうなってもいいわ。好きにしてくれていいわよ」

クロノ「……ほむら……君は……」


マール「なに言ってるの、ほむらちゃん! 今のあなた、おかしいよ!」

ほむら「ええ、おかしいわ。仲間だなんだとぬるま湯に浸っていたことが、そもそもおかしかったのよ」

マール「やめて……。そんなこと言わないで……」

653: 2013/04/25(木) 00:22:17.34 ID:fw7wNjbjo
ダルトン「くそッ! お前ら……よくもやってくれたな!」


クロノ「ダルトン!」

ほむら「ちっ……しぶといヤツ。まだ生きていたのね」

ダルトン「シスターズがやられたか……! こうなりゃマスター・ゴーレムで……」



ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!

ほむら「! この地響き、魔王城の時と同じ……!」

ダルトン「な、なんだこの不気味な気の高まりは? これがマジもんのラヴォス!?」

654: 2013/04/25(木) 00:25:05.50 ID:fw7wNjbjo
クロノ「ちくしょう、時間がない!」

ダルトン「……永遠の力を手に入れたとしても、氏んじまっちゃあ元も子もねえ……」

ダルトン「今日のところは見逃してやる! あばよッ!」


マール「逃げちゃった……」

ほむら「ほっときなさい。今は、まどかを助け出すことが最優先だわ」

クロノ「……サラも、だろ。きっとこの先だ。行こう!」

マール「う、うん……」

ほむら「そんなおびえた目で見なくても、後ろから撃ったりしないわよ」

マール「あ、や……そういうわけじゃ……」

クロノ「もうやめろ。行くぞ、ほむら」

ほむら「私に命令しないで」

マール「……」

656: 2013/04/25(木) 00:29:55.31 ID:fw7wNjbjo
B.C.12000 海底神殿 魔神器の祭壇


ほむら「まどか!!」

まどか「ほむらちゃん! 来てくれたんだ……」


ジール「貴様らか……。呼んだ覚えはないぞ」

クロノ「ジール、やめるんだ! ラヴォスは災いしか生まない!」

ジール「貴様らにはラヴォス様の偉大さが分からんと見える……。感じないのか? このゆらぎ……」

マール「こ、これ……次元のゆらぎ……」


サラ「み、みなさん……もう間に合わない……。逃げて……あああっ!!」

予言者「サラ!」

ジール「何をやっている! 魔神器の波長が乱れているぞ、サラ!」

ほむら「今よ……! こいつを食らいなさい!」

657: 2013/04/25(木) 00:33:46.87 ID:fw7wNjbjo
ジール「!? 魔神器が……! なんだ、あのナイフは!」


グラン「よし、行くぞリオン!」

リオン「うん、グラン兄ちゃん!」

グランとリオン「止まれえええええーッ!!!」


マール「あ、あれ!? ナイフが剣に……」

ほむら「やっぱりあれは、グランドリオン……!」

クロノ「よし、聖剣の力さえあれば!」

658: 2013/04/25(木) 00:35:18.20 ID:fw7wNjbjo
ジール「フ、フフフ……フハハハハ!」

ほむら「!? ……止まらない……」

サラ「い、いけない……あの剣だけでは、この力を抑えきることは……」

予言者「来る……!!」



ジール「ラヴォス神の降臨だ!! アハハハハハハッ!!!」

659: 2013/04/25(木) 00:37:19.31 ID:fw7wNjbjo
♪ラヴォスのテーマ


「キュアアアアオオオアオオオォォォォオオン…………!!!!!」


ほむら「う……うそ……」

マール「これが……本物の……」

クロノ「ラヴォス……!」



『天からふりそそぐものが世界を滅ぼす』


側近たち「!? ぎゃああああ……!!」

まどか「み、みんな……あっ!?」

ほむら「! いけない、まどか! 逃げて!」

660: 2013/04/25(木) 00:39:15.37 ID:fw7wNjbjo
まどか「……う……あ、あれ……? なんともない……」

巫女「ぼーっとしてんなよ、まどか」

まどか「巫女さん!?」

巫女「アタシが防御結界を張る。こいつとふたりで、隠れてろ」

サラ「まどか! 大丈夫!?」

まどか「サラちゃん!」


巫女「打ち合わせどおり、ふたりは避難させたぜ。やっちまえ、ジャキ」

661: 2013/04/25(木) 00:42:36.64 ID:fw7wNjbjo
予言者「どれほど待ちわびたことか……。この時がくるのを……」

魔王「久しぶりだな、ラヴォス!!」


マール「え……!? 予言者が……魔王!?」

まどか「あ、あれ……? ジャキくん? でもなんだかずいぶん年がいってるような……」

サラ「……」

ほむら「じゃあ……あなたは、やっぱり……」


巫女「やっぱりってなんだよ」

杏子「あーあ。ださいフードかぶってた意味ないじゃん」

662: 2013/04/25(木) 00:44:54.07 ID:fw7wNjbjo
魔王「お前は変装が下手すぎる。もっと隠す努力をしろ」

杏子「うっさいよ」

ジール「クックック……」

魔王「!」


ジール「偽りの予言者めが……こんなことだろうと思ったよ……」

まどか「ジールさん、なに言ってるの!? ジャキくんなんだよ!」

サラ「まどか……無駄よ……。母上はもう、正気を失っている……」

663: 2013/04/25(木) 00:46:57.57 ID:fw7wNjbjo
魔王「遠いあの日、俺は誓ったのだ。ラヴォス、貴様だけは……この手で叩き潰してやると!」

魔王「たとえそのために、何を失うことになろうともな……!」

杏子「……」


魔王「ついに誓いを果たす時が来た! 氏ね、ラヴォスよ!」

ジール「できるかな、お前に? ラヴォス様の餌食にしてくれるわ!」

魔王「!? ……うぐ……ま、魔力が……吸い取られてゆく!?」

ジール「アッハッハッハ! その程度か?」

魔王「や、やられぬぞ俺は……ラヴォス……! 貴様を倒すためだけに、闇の中……俺は……!」

664: 2013/04/25(木) 00:49:16.83 ID:fw7wNjbjo
杏子「ジャキ! ……くそっ! そこにいろよ、ふたりとも!」

まどか「杏子ちゃん!」


ほむら「杏子、手を貸すわ」

クロノ「詳しい事情はまだ分からないけど……」

マール「今は、みんなでラヴォスを止めなきゃ!」

杏子「アンタら……」

665: 2013/04/25(木) 00:50:25.60 ID:fw7wNjbjo
ジール「愚か者どもめ……。ちっぽけな貴様らの力などラヴォス様には通用せぬわ!」


『カオティックゾーン』


ほむら「なっ!?」

魔王「ぐおおおおおっ!?」

杏子「うあっ!」

666: 2013/04/25(木) 00:52:09.17 ID:fw7wNjbjo
まどか「きゃあああっ!」

杏子「! くそっ……結界が……!」

サラ「う、ぐ……! 母上……もう……やめてください……。もう、これ以上は……!」

ジール「邪魔だてするな、サラ。もはや運命は変えられぬ」

ジール「ラヴォス様の偉大なる生命の力は、わらわの中に息づいておる。お前も、その一部なのだぞ?」


ジール「この世のすべての生き物は、ラヴォス様の中で一体となるのだ!!」

667: 2013/04/25(木) 00:56:05.71 ID:fw7wNjbjo
ほむら「まどか……せめて、まどかだけでもなんとか……」

ジール「ほう? まだ動ける者がいたようだな。存外にしぶとい……」


ジール「フフ……よかろう。わらわからの贈り物だ」

ジール「黒髪の女よ。永遠の生命となり、ラヴォス様の中で生きるがよい」

ほむら「!」

ジール「忘れてはおらぬぞ……。貴様が、わらわの顔にキズをつけたこと……」

ジール「喜べ! 貴様はラヴォス様の、最初のいけにえに選ばれたのだ! アーッハッハッハッ!!」



"あなたたちのうち、誰かひとり……氏ぬよ、もうすぐ……"

668: 2013/04/25(木) 00:59:49.51 ID:fw7wNjbjo
ジール「! ……何のつもりだ?」

クロノ「……」


ほむら「ク、クロノ……!? あなた……何を……」

クロノ「ほむら。大切な人を守るって、大変だけど気分いいな」

ほむら「え……」

669: 2013/04/25(木) 01:02:35.85 ID:fw7wNjbjo
クロノ「ずるいぜ、君は。こんなカッコいいこと、たったひとりでやってきたんだろ?」

クロノ「君にとって大切な、まどかを守るってこと……ずっと続けてきたんだろ?」

クロノ「たまには、守られる側にも回ってみなよ。意外とそっちのほうが似合ってるかもしれないぜ」


ほむら「……私……は……あなたに守られる資格なんて……」

クロノ「そんなことを言っちゃダメだ」

ほむら「……」

クロノ「守られる資格がないとか、どうなってもいいとか、自虐するのはよしてくれ。悲しくなるだろ?」

ほむら「クロノ……」


クロノ「僕は君やルッカのように頭がいいわけじゃあない」

クロノ「バカだから……目の前で君が辛そうにしているのをほっておけないんだ」

クロノ「ただ、それだけなんだ……」

670: 2013/04/25(木) 01:05:50.38 ID:fw7wNjbjo
クロノ「悪かったよ、さっきは。決戦を前に、僕もちょっと変にテンションが上がっちゃったみたいだ」

ほむら「……私の……ほうこそ……」

クロノ「……へへっ。良かったよ、喧嘩したままじゃあ、覚悟が鈍っちゃうからね」

ほむら「なに……なにを言ってるの……クロノ……」

クロノ「みんなにゴメンって伝えといてくれ」

ほむら「やめ……やめて……!」


ジール「やるというのか? 異国の少年……お前に何ができる」

クロノ「……」

671: 2013/04/25(木) 01:07:39.50 ID:fw7wNjbjo
ほむら「クロノ……! ダメ……逃げて……!」

クロノ「ほむら。もうひとつだけ、お願いしてもいいかな」

ほむら「え……?」


クロノ「頼ってくれよ、僕を。僕らを……」

ほむら「! ……」

クロノ「君の力になりたいんだ。きっとみんな、そう思っている……」



クロノ「じゃ……あとは任せたぜ、リーダー」

672: 2013/04/25(木) 01:09:26.19 ID:fw7wNjbjo
ジール「その傷ついた体でただひとり、ラヴォス様に挑むのか? ククク……勇敢なことだ……」

クロノ「ジール……そしてラヴォス……。お前たちの好きにはさせない……!」

ジール「虫ケラめが……。氏ねい! ラヴォス様の力を見よ!」


クロノ「うおおおおおおおおおおおーッ!!!!!」

「キュアアアアオオオアオオオォォォォオオン…………!!!!!」



「クロノ……!? クロノーッ!!!」

673: 2013/04/25(木) 01:12:40.98 ID:fw7wNjbjo
ジール「アハハハハハハハッ! ゴミクズのように消し飛びおったわ!」


マール「クロノ……!? クロノは、どこ……!? いやあーッ……!!」

ほむら「……うそ……うそよ……」

まどか「ひどいよ……こんなの……あんまりだよ……」

サラ「……クロノ……」


ゴゴゴゴゴ...!!

杏子「! やべえ、神殿が……!」

674: 2013/04/25(木) 01:15:05.33 ID:fw7wNjbjo
ジール「崩れるか……まあよかろう。ラヴォス様の聖なる住処として、生まれ変わってもらうとするか」

ジール「その前に、まずは不要となった以前の住居をきっちり掃除しておかねばな……」

魔王「待て、ラヴォス……!」


ジール「さあ行きましょう、ラヴォス様。この星のすべてをあなた様の支配下に。フハハハ……!」



魔王「……ぐっ……。俺の力では、ヤツに勝てぬというのか……!」

杏子「ジャキ、どうする!? ここは海の底だぞ!」

魔王「無駄だ……もはや……脱出はかなわん……」

杏子「あきらめるのかよ!?」

675: 2013/04/25(木) 01:17:50.29 ID:fw7wNjbjo
サラ「私の最後の力を振り絞れば、みなさんを地上に飛ばすことぐらいはできるでしょう」

まどか「サラちゃん!?」

サラ「許されるはずはないけれど……どうか母を……この国を憎まないで……。ごめんなさい……」


魔王「……サラ!」

サラ「ジャキ……さようなら……」

杏子「光が……!?」

676: 2013/04/25(木) 01:19:43.18 ID:fw7wNjbjo
まどか「サラちゃん! ダメ、やめて! あなたも一緒に……!!」

サラ「まどか……今まで、ありがとう……。私、あなたのこと忘れないよ……」

まどか「サラちゃん……! わたし、わたし……!」

サラ「泣かないで、まどか。きっとまた会えるから」

サラ「忘れないで。私はずっとあなたのそばにいる。ずっと、守ってあげるから」

サラ「だから……ほんのちょっとだけ……お別れ、だね……」


まどか「サラちゃああああああんッ!!!」


…………



677: 2013/04/25(木) 01:22:22.87 ID:fw7wNjbjo
サラ「……まどか……」

サラ「……」


QB「鹿目まどかは数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった特別な存在だ」

サラ「……キュゥべえ」

QB「しかし、サラ。驚くべきことに、君にもまどかに劣らない素質がある」

QB「まったく、どういうわけだろうね? こんなすばらしい魔法少女候補が同時に存在するなんて」

サラ「ずっと狙っていたのね、あなたは……こうなることを……」

678: 2013/04/25(木) 01:24:37.14 ID:fw7wNjbjo
QB「ラヴォスは浮遊大陸を破壊し、その後この星のすべてを焼き尽くすだろう」

QB「君の魔力はさっきの転送ですべて尽きてしまった」

QB「サラ。君は、この星の本当の運命と向き合えるかい? いや、無理だね」


QB「それに、必要もない。僕なら、君の中に眠る魔法の力を限界を超えて引き出すことができる」

QB「避けようのない滅びも、嘆きも、すべて君が覆せばいい」

サラ「……」



QB「さあ、サラ・キッド・ジール――その魂を代価にして、君は何を願う?」

サラ「……私の……願いは……」

679: 2013/04/25(木) 01:26:31.83 ID:fw7wNjbjo


「契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した」



680: 2013/04/25(木) 01:28:11.58 ID:fw7wNjbjo
第6話「本当の運命と向き合えるかい?」 終了


  セーブしてつづける(第7話「こんなの絶対おかしいわ」へすすむ)

ニアセーブしておわる

  セーブしないでおわる

689: 2013/04/25(木) 21:52:51.07 ID:XYECFjvCo
第7話「こんなの絶対おかしいわ」


このセーブデータをロードします。よろしいですか?


ニアよろしい

  よろしくない

690: 2013/04/25(木) 21:56:48.68 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 残された村


ほむら「……」

マール「……うう……クロノ……クロノ……!」

まどか「……サラちゃん……」


ほむら「私たちだけ……か……」

アルゲティ長老「倒れていたのは、あんた方だけじゃった。そのキョーコさんとやらも、見当たらん」

ほむら「ここは……地の民の村?」

アルゲティ長老「海底神殿から起こった大災害で、たったひとつ残された村じゃ」


アルゲティ長老「何もかも無くなってしもうた。浮遊大陸も、ラヴォスに破壊され崩壊した」

アルゲティ長老「じゃが、ラヴォスは不思議な光に包まれて再び眠りについた。吹雪も晴れた……」

アルゲティ長老「ワシら人間はまた、ここからやり直すべきなのじゃろう……」

691: 2013/04/25(木) 22:01:25.86 ID:XYECFjvCo
ほむら「ボッシュさんは……」

アルゲティ長老「大災害の時、黒いゆがみのようなものが現れての……」

アルゲティ長老「吸い込まれそうになったジャキ様を助けようと、ボッシュ様を含め、三賢者様はみな……」

ほむら(ゲートか。ジャキ……たぶん、子供のほうね……。じゃあ魔王は……)


まどか「サラちゃんはどうなったの……」

アルゲティ長老「分かりませぬ……。サラ様の姿は誰も見ていない……」

まどか「そんな……」


アルゲティ長老「無事なのは、あんた方の船ぐらいじゃ。驚くほど頑丈じゃな」

アルゲティ長老「あんたらのあとを追うように、ここに流れ着いておった。不思議な船じゃ……」

ほむら「シルバードは無事なのね……」

692: 2013/04/25(木) 22:03:41.54 ID:XYECFjvCo
アルゲティ長老「鹿目様。これを……」

まどか「これ……サラちゃんのペンダント……。どうして……」

アルゲティ長老「鹿目様の肩の上にありましたんじゃ。そう、まるで守るようにのう……」

まどか「……」


ほむら「戻りましょう……。時の、最果てに……」

693: 2013/04/25(木) 22:06:17.80 ID:XYECFjvCo
年代不明 時の最果て


ルッカ「ウソ! ウソよ!! クロノが氏んだなんて……冗談でも、そんなこと言わないで!!」

マール「……」

マミ「冗談じゃ……ないんですね……」

カエル「なんてこった……。サイラスばかりか……クロノまでも……」

エイラ「負けた者、氏ぬ。大地のおきて。……でも……」


ルッカ「ほむら!! あんた何やってたのよ! あんたがついていながら、どうして!」

ほむら「……」

694: 2013/04/25(木) 22:10:07.34 ID:XYECFjvCo
ルッカ「……ッ! なんとか言いなさいよ!!!」

ほむら「っ……!」


ロボ「ルッカ!? やめてクダサイ! 喧嘩はいけマセン!」

ルッカ「放しなさい、ロボ!!」

ロボ「イイエ、放すのはアナタデス! ほむらの胸倉をつかんだその手を放してクダサイ!」

ルッカ「だって……! だって、こいつが……!!」

ロボ「それ以上言ってはいけマセン! その先を言えバ……取り返しがつかなくなりマス……」

ルッカ「……ぐっ……」

ほむら「……」


ロボ「落ち着いてクダサイ。ほむらのせいではありマセン。イエ、誰のせいでもナイ……」

ルッカ「分かってる! 分かってる……けど……」

695: 2013/04/25(木) 22:14:24.46 ID:XYECFjvCo
まどか「……」

さやか「まどか、大丈夫? 顔が真っ青だよ?」

まどか「さやかちゃん……。ひどすぎるよね、こんなの……絶対、おかしいよ……」

さやか「……」


ルッカ「おかしいと思ったのよ……。やっぱりあんた、普通じゃなかった……」

ほむら「……」

ルッカ「それが分かっていながら、どうして……。なんでついて行かなかったの、私は……」

ルッカ「クソ……。日和ったあの時の私を、ぶっ飛ばしてやりたいわ……」

マミ「ルッカさん……」

エイラ「……むぅ……」

696: 2013/04/25(木) 22:17:26.67 ID:XYECFjvCo
ルッカ「……あきらめないわよ……」

ロボ「ルッカ?」

ルッカ「シルバードが無事だったんだもの……。クロノだって、きっと……」


ルッカ「ほむら! なにボサッとしてんの!」

ほむら「……え……」

ルッカ「必ず手がかりはあるはずだわ。もう一度戻るわよ、古代に!」

ほむら「でも……彼は、もう……」

697: 2013/04/25(木) 22:20:25.01 ID:XYECFjvCo
ルッカ「あーもう! ウジウジした空気は嫌いなのよ!」ムニー!

ほむら「ひょっ……ひゃめへ……ほほをふめらはいで……」

ルッカ「私が言いすぎた! やりすぎたわ、ゴメン!」

ほむら「……」

ルッカ「しっかりしてよ、ほむら……。あんたがそんな調子だと、張り合いがないのよ!」

ほむら「ルッカ……」


ルッカ「任されたんでしょ……クロノに!!」

ほむら「……!」

698: 2013/04/25(木) 22:23:51.51 ID:XYECFjvCo
ほむら「そう……そうね……。嘆き悲しむのはあとにしましょう」

ルッカ「よっしゃ! 頼むから、ローテンションほむらちゃんはこれっきりにしてよね」

ほむら「……善処するわ」

ルッカ「なんか頼りないなあ~。やっぱり私がついてないと、ダメね!」

ほむら「はいはい」


ロボ「仲直りハ早いうちニ。オオゴトにならズ、ホッとしまシタ」

ほむら「ロボ……。あなたが仲裁してくれたおかげよ」

ロボ「イエイエ、ワタシは何もしていマセン」


カエル「クロノはお前に任せるか。頼んだぜ、ほむら」

ほむら「カエルさん、どこに行くの?」

カエル「ああ、気にするな。お前の話を聞いていて、気になることがあったからな。すぐ戻る」

699: 2013/04/25(木) 22:26:29.37 ID:XYECFjvCo
マミ「ねえ暁美さん。古代に行くなら、エイラも連れていってあげてくれないかしら?」

ほむら「エイラを?」


マミ「最近、体がなまっちゃってるみたいなのよね。本当なら私も行きたいところだけれど……」

エイラ「エイラ、あばれる!」

ルッカ「いいんじゃない? エイラなら、何があっても大丈夫そうだし」

ほむら「分かったわ。よろしくね、エイラ」

エイラ「任せろ!」

700: 2013/04/25(木) 22:28:58.10 ID:XYECFjvCo
マール「ほむらちゃん……」

ほむら「マール、ごめんなさい。確かにルッカの言うとおり、最近の私はどうかしてたわ」

ほむら「クロノはそれを教えてくれたのよね。やっと、分かった……」

マール「……」


ほむら「彼にもう一度会って……謝って……ちゃんと、ありがとうって言わないと」

マール「……うん! クロノ、きっと待ってるよ!」

701: 2013/04/25(木) 22:31:36.73 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 残された村 広場


アルゲティ長老「おや、戻ってきたのか……」

ほむら「あのあと、なにか変わったことはあった?」

アルゲティ長老「変わったのはお前さんじゃないかね? 目に生気が戻ってきとる」

ほむら「え……」

アルゲティ長老「フォッフォッ。まぁそれはさておき、変わったこと、か……」

アルゲティ長老「あるぞ。それも、少々やっかいな問題じゃ」

ほむら「問題って……」


親衛隊A「え~い、頭が高い! 新王ダルトン様のおな~り~!」

アルゲティ長老「ほれ、噂をすれば……じゃ」

702: 2013/04/25(木) 22:35:40.85 ID:XYECFjvCo
ダルトン「なんだなんだ、おめえら! せっかく生き残ったってーのにそのシケたツラは!」

ほむら「ダ、ダルトン!? あいつ……」


ダルトン「あのイカれた女王も、こざかしい予言者もいなくなった」

ダルトン「しかぁ~しッ! どんなときでも上に立つ者は必要だ! ん? そう思うだろう?」

ルッカ「あれがダルトン? 聞いた話以上にウザそうなヤツね」


ダルトン「そこでだ! このダルトン様が迷える子羊どもを導いてやろう! 感謝しろ!」

地の民たち「Boooooooo!!!」

ダルトン「ええい、黙れ黙れ! いいか、これからジール王国は『ダルトン王国』とするッ!!」

703: 2013/04/25(木) 22:39:12.27 ID:XYECFjvCo
地の民A「冗談じゃねぇぞ! ほら、あんたも文句言ってやれ!」

光の民「ええ!? わ、私ですか? しかし、私は……あのダルトンのようにあなた方を……」

地の民B「関係ないわよ。浮遊大陸もなくなった今、生き残った私たちは運命共同体なんだから」

地の民A「そういうこと! いいか、俺の真似をして立てた親指を下に向けるんだ」

光の民「こ、こうでしょうか……」

地の民B「うまいわよ!」


村民たち「Boooooooo!!!」

704: 2013/04/25(木) 22:44:37.59 ID:XYECFjvCo
ほむら「皮肉なものね。王国とともに、差別意識も破壊されたなんて」

ルッカ「あのダルトンってヤツ、そういう意味ではなかなかいい悪役してるじゃない」

ルッカ「人が団結するには共通の敵を作るのが手っ取り早いってね」

ほむら「本人はそんなこと考えてもいないでしょうけど。ただ欲望に忠実なだけだわ」


エイラ「ハハハ! お前ら、面白い! エイラもやる!」

地の民の子供「ボクもやるですー!」

村民たち「KA・E・RE!! KA・E・RE!!!」

ダルトン「ぐぬぬぬぬぬぬ……! 人が優しくしてりゃ付けあがりやがって……」

705: 2013/04/25(木) 22:47:50.46 ID:XYECFjvCo
ダルトン「愚民連中には少しばかり教育が必要なようだな! おい、兵士ども!」


親衛隊A「はッ、ただちに! 貴様ら、調子に乗る……ニャー!?」バリバリ!!

親衛隊B「うおおっ、なんだこの凶暴な女は!」

エイラ「こいつら、傷つける。エイラ、ゆるさない!」


ダルトン「なっ……誰だお前は!? ええい、何とかしろ!」

親衛隊C「む、無理ですぅ~。この人、強すぎますぅ~」

ほむら「さすがエイラね。私たちが出る幕もなかったわ」

706: 2013/04/25(木) 22:50:51.10 ID:XYECFjvCo
ダルトン「お、お前……テ口リストの女か! しぶとく生き残ってやがったとは……」

ルッカ「テ口リストって……あんた何やったのよ」

ほむら「やんごとなき理由によるものよ」


ダルトン「お前がここにいるということは……そうか、外にある乗り物はお前らのか」

ダルトン「以前ガッシュが設計していたものとそっくりだ……大方、それも盗んだんだろう!」

ルッカ「ちょっとちょっと。とんだ言いがかりよ。あれは譲り受けたもので……」

ダルトン「事実などどうでもいい! よーし、決めたぞ」

ダルトン「お前らにゃ過ぎたオモチャだ。この新王ダルトン様の愛機にしてやろう!」

ほむら「なに勝手に決めてるの? あなたバカなの?」

707: 2013/04/25(木) 22:53:19.94 ID:XYECFjvCo
ダルトン「こ、この口の減らないガキめ……。おい、この犯罪者をひっとらえろ!」


親衛隊B「や、やめろ! 噛むな! 俺はおいしくないぞ!」

親衛隊C「ダルトン様ぁ~! 助けてくださいぃ~」

エイラ「逃げるな! 戦え!」


ダルトン「……」

ほむら「部下の失態は上司の責任。上に立つって大変よね」

ダルトン「お……おのれ……」

ルッカ「で、どうしましょうか。こいつ、縛っちゃったほうがいいのかしら?」

ダルトン「……」


ダルトン「あっ!? 女王陛下!!」

ほむら「えっ!?」

708: 2013/04/25(木) 22:55:21.39 ID:XYECFjvCo
ダルトン「引っかかったなァーッ!!」

ほむら「うあっ!」


ダルトン「ヒャアッハッハッハ!! 捕まえたぞ、これで形勢逆転だなあ~?」

ほむら「しまった……!」

ルッカ「ちょっと! なんちゅー古典的な手法に引っかかってるのよ!」

ほむら「く、屈辱だわ……」

709: 2013/04/25(木) 22:57:31.47 ID:XYECFjvCo
ダルトン「そこのメガネと金髪の女! 仲間を殺されたくなければ、おとなしくしやがれ!」

エイラ「むお?」ガジガジ

親衛隊B「なんか噛まれるの気持ちよくなってきた……」

ルッカ「くそ……ほむらが人質にされてちゃ手が出せない……」


ダルトン「ついてきてもらおうか。安心しろ、お楽しみは黒鳥号に戻ってからだ……」

ダルトン「お前らにはたっぷりお仕置きしてやる。工口同人みたいにな!」

親衛隊A「本が薄くなるな……」

ダルトン「ヒャアッハッハッハッハ!!」


…………



710: 2013/04/25(木) 23:01:46.26 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 営倉


ほむら「う……」


ルッカ「やっとお目覚めか」

ほむら「ルッカ……ここは……」

ルッカ「飛行船の中よ。黒鳥号って言うらしいけど」

ほむら「飛行船……? そんなものまで……」

ルッカ「理の賢者ガッシュが設計したものを、彼の失踪後にダルトンが指示して完成させたみたいね」

ほむら「ずいぶん詳しいわね」

ルッカ「ヒマだったからね。いろいろ調べたわ」

ほむら「調べたってどうやって……」

711: 2013/04/25(木) 23:03:58.72 ID:XYECFjvCo
エイラ「お? ほむ、起きたか!」

ほむら「エイラ!? どうして上半身だけ壁から……!?」

ルッカ「よく見なさい。エア・ダクトよ。ここからこっそり抜け出して、機内の様子を探ってたの」


ルッカ「で、どうだった? 私たちの装備、見つかったかしら?」

エイラ「小部屋、ある! 武器、いっぱい!」

ほむら(そういえば身包みはがされてるわね。ソウルジェムが無事だったのは不幸中の幸いか……)

ほむら(素っ裸にされたわけでもなし。服飾の一部と思われたのかしら)

712: 2013/04/25(木) 23:05:39.25 ID:XYECFjvCo
ルッカ「オッケー。ほむらも目が覚めたことだし、そろそろ脱獄といきましょうか」

ほむら「なんだかずいぶん手馴れてるわね」

ルッカ「こちとら二回目だっつーのよ。慣れもするわ」

ほむら「あなたこそ、いったい何やったのよ……」

ルッカ「言っとくけど、つかまったのは私じゃないからね」


エイラ「エイラ、穴、はさまった! 助けろ、ほむ!」

713: 2013/04/25(木) 23:10:09.90 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 エア・ダクト内


ほむら「狭いわね……」

ルッカ「贅沢言わない」

ほむら「おまけにホコリっぽいし……。ちょっと! おしりさわらないで!」

エイラ「すまん。エイラ、間違えた」

ほむら「気をつけてよ、もう……」

エイラ「ほむ、ケツ小さい。元気な子、産めないぞ。マミ、デカイ。見習う!」

ほむら「大きなお世話よ……」

ルッカ「ちょっと静かにして。通風孔から下が見えるわ。格納庫……?」

714: 2013/04/25(木) 23:13:03.33 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 格納庫


ダルトン「貴様らっ、キリキリ働けよ! 手を抜いたりしやがったら、承知しねえからな?」

ダルトン「なにしろコイツは、この新王ダルトン様の空飛ぶ玉座なんだからな!」

整備班「うぇ~す……」

ダルトン「コイツが完成すりゃあ、この世界は俺様の意のままだぜ。ヒャアッハッハア!」


…………


ほむら「あ、あいつシルバードを……」

ルッカ「なんてことすんのよ! シルバードは私が改造する予定だったのに!」

ほむら「怒るとこ、そこ?」

エイラ「シルバード、助ける! ほむ、ルッカ、武器取り戻す! 早く!」

715: 2013/04/25(木) 23:17:36.34 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 武器庫


親衛隊A「工口同人みたいにってことはよォ~、やっぱ複数人プレイなんかね?」

親衛隊B「俺、無理やりは好きじゃないんだよなあ。なんとかラブラブえOちに持ち込めないかな」

親衛隊A「無理だろ……」

親衛隊C「えOちなのはいけないと思います!」

親衛隊A「まぁなんにしても、ダルトン様のお許しがないことには何も……ん?」チョンチョン


親衛隊A「誰だ、俺を呼ぶの……わあッ!?」

エイラ「ニイメンハオ」

親衛隊B「お、おま……!?」

エイラ「あいさつは?」


ドタン ガタン! ギャー! ウワー!!!

716: 2013/04/25(木) 23:19:59.14 ID:XYECFjvCo
親衛隊たち「きゅ~……」


ルッカ「はい、お疲れさま」

エイラ「エイラ、武器、この体! 戦える!」

ほむら「エイラをつれてきて正解だったわね」


ルッカ「さてと。装備を取り戻したはいいけど、どうしたものかしら。脱出しても空の上じゃあね」

ほむら「ブリッジをおさえる?」

ルッカ「乗っ取りか。それしかないかな……」

ほむら「じゃあ、もう一度エア・ダクトを通って……」

ルッカ「待って。それよりもいい手があるわ。この部屋にあるコレを使って……」

717: 2013/04/25(木) 23:21:45.92 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 通路


警備兵「……」

警備兵「! 誰かそこにいるのか!?」

警備兵「……なんだ、ダンボールか。やれやれ、見回りも楽じゃないよ……」


ルッカ「見たか! 古今東西、潜入任務にはダンボールよ!」コソコソ

エイラ「この箱、すごい。エイラ、土産、する」コソコソ

ほむら「なんでバレないのかしら……」コソコソ

718: 2013/04/25(木) 23:27:29.09 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 主翼


ゴオオオオオオオ!!!

ほむら「か、風が……!!」

ルッカ「ハシゴから手を離したら氏ぬわよ!!」

ほむら「こんな危険なところからブリッジに上がる意味はなんなのよ!!」

ルッカ「なに!? 聞こえない!!」

ほむら「わざわざ外から回る理由はって聞いてるの!!」

ルッカ「真正面はさすがに無理でしょ!! 奇襲よ、奇襲!!」

ほむら「その前に氏んだら意味ないわよ!!」


エイラ「おー。ここ、見晴らしいい。ほむ、ルッカ、はよ来い」


ほむら「なんでエイラは平気なの!!」

ルッカ「チートだからでしょ!!」

ほむら「最近こんなのばっかりよ、もう!!」

719: 2013/04/25(木) 23:29:43.11 ID:XYECFjvCo
マスターゴーレム「脱走犯、見つけたの」

ほむら「!」

マスターゴーレム「可及的速やかに処理すべしとの命令なの」

ルッカ「や、やばい! この状況じゃ……エイラ! 助けて!」


エイラ「雲、流れる、すごい速さ! 風、気持ちいい!」キャッキャッ


ルッカ「聞こえてねえええ!!!」

720: 2013/04/25(木) 23:33:07.49 ID:XYECFjvCo
マスターゴーレム「超破壊必殺魔法~!」

ほむら「なんとかしてよルッカ! あなた天才なんでしょ!」

ルッカ「私にだって……できないことぐらい……ある……」

マスターゴーレム「5、4……2……」

ほむら「ま、まずい!」


マスターゴーレム「え~と……どこまで数えたっけ? 5、4……」

ほむら「え?」

721: 2013/04/25(木) 23:35:22.22 ID:XYECFjvCo
マスターゴーレム「……2……ダメん、こわい~!」

ルッカ「は?」

マスターゴーレム「たかいとこニガテなの~! うわ~ん!!」

ほむら「……」


ルッカ「どっか行っちゃった……わね」

ほむら「あれ、ダルトンのゴーレムよ。確か以前、マスターゴーレムがどうのこうの言ってたし……」

ルッカ「ああ……。だと思ったわ……」

722: 2013/04/25(木) 23:38:46.94 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 格納庫


ダルトン「へーちょ」

整備班長「風邪ですか?」

ダルトン「ふん、下界ではこの新王ダルトン様の噂で持ちきりなのだろうよ」

整備班長「はあ……」

ダルトン「それより! まだ完成せんのか!?」

整備班長「ご安心ください。たった今、すべての作業が終わったところであります!」

ダルトン「よし、見せろ!」

723: 2013/04/25(木) 23:41:19.71 ID:XYECFjvCo
ダルトン「……ほう」

整備班長「いかがですか? 閣下のご要望どおり、美しい翼でしょう!」

ダルトン「脚がないようだが?」

整備班長「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」

整備班A(偉い人ってダルトン様だよな)

整備班B(ていうか飛行機に脚は必要ねえだろ)


ダルトン「うむ、気に入ったッ! さっそく処O飛行といくぞ!」

724: 2013/04/25(木) 23:44:43.60 ID:XYECFjvCo
♪クロノ・トリガー


管制官「進路クリア、オールグリーン! 発進どうぞ!」

整備班長「整備班退避! ハッチ開け! ダルトン様が出られるぞ!」


ダルトン「待て待て待てぇ~いッ!!」

整備班長「は? 発進中止ですか?」

ダルトン「そうではない! 音響班、BGMが違うだろうが! やり直せ!」

整備班長「……」

725: 2013/04/25(木) 23:46:25.99 ID:XYECFjvCo
♪危機一髪


ダルトン「フハハ! これだ、これだ! 出すぞ!」

管制官「あ、えと……発進どうぞ……」

整備班長「ハッチを……え、もうとっくに開いてる? あ、そうですか……」



ダルトン「よおおぉ~しッ! 新王ダルトン様の玉座、名づけて……」

ダルトン「『スカイ・ダルトン・ギョクーザ』!! 発進んん~ッ!!!」

726: 2013/04/25(木) 23:49:26.78 ID:XYECFjvCo
B.C.12000 黒鳥号 主翼


ほむら「くっ……もう少しで、ブリッジに……」


キイイイイイン...!!

ルッカ「なに? 耳鳴り!?」

ほむら「! 違うわ……あれは!」


ダルトン「ヒャヒャヒャアーッ!! 実に気分爽快だ!」

ルッカ「シ、シルバードが……」

ほむら「飛んでるーッ!?」

727: 2013/04/25(木) 23:51:47.86 ID:XYECFjvCo
ダルトン「む? あんなところに虫ケラどもが……」

ダルトン「ちょこまかとうっとうしいヤツらだ! ちょうどいい、レーザー砲の試運転といくか!」

ダルトン「空のもくずと消えろーッ!! ヒャハハ!」


ルッカ「な、なんか撃ってきそうよ!?」

ほむら「ダメ、避けられない!」

728: 2013/04/25(木) 23:53:58.36 ID:XYECFjvCo
エイラ「ほっほーい!!」

ほむら「エイラ!」

ルッカ「もっと早く助けなさいよね、もう!」


ダルトン「チッ、はずしたか!」

ダルトン「あの金髪女、なんつー身体能力だ。人ふたりを抱えて飛び跳ねられるとは……」

ダルトン「だがしかぁ~しッ! そう何度も避けきれるかな!?」


ルッカ「また来るわよ!?」

729: 2013/04/25(木) 23:56:19.15 ID:XYECFjvCo
エイラ「ほむ、ルッカ。つかまれ、しっかり。離すな!」

ほむら「え……ちょっと……」

ルッカ「ま……まさか……」


エイラ「大ジャアァァァ~ンプッ!!!」

ほむら「いやああああああっ!!!」

ダルトン「なにいいいっ!?」

730: 2013/04/25(木) 23:58:20.08 ID:XYECFjvCo
エイラ「ほいっ! っと」

ダルトン「こ、こいつ……飛び移りやがった!?」


ルッカ「落ちる落ちる落ちる!!」

ほむら「ダルトン! どきなさい!」

ダルトン「アホぬかせ! どいたら俺様が落ちて氏ぬだろうが!」

ルッカ「シルバードはあんたのオモチャじゃないっつーの!」

ダルトン「シルバードではない! スカイ・ダルトン・ギョクーザだ!!」

ほむら「なによそのダサい名前! エイラ、ここ開けて!」

エイラ「ぶっ壊していいのか?」

ダルトン「バカ、やめろ! ハッチが!」

731: 2013/04/26(金) 00:02:06.32 ID:2u/E7qwVo
ダルトン「あばばばばばば! 俺様の高貴なるヘアーが風で乱れる!!」

ほむら「どけ……っつってんでしょ……!」

ダルトン「やめろ、押すな! 押すなよ! 絶対に押すなよ!」

ルッカ「はいはい……! 押せってこと……よ、ね!」

ダルトン「俺様は芸人じゃねえ! だから押すなって!!」

ほむら「くっ……こいつ、意外にしぶとい……!」


ダルトン「調子にのりやがって! いでよ、マスターゴーレム!」

ルッカ「残念、あんたのゴーレムはさっき逃げ出しちゃったわよ!」

ダルトン「ぬ、ぬあにぃ~!?」

ほむら「往生際が悪いわよダルトン!」

732: 2013/04/26(金) 00:06:28.23 ID:2u/E7qwVo
ダルトン「くそ……こうなっては俺様の最終兵器を使わざるを得んな……!」

ほむら「最終兵器ですって!?」

ルッカ「こいつ、まだそんなものを!?」

ダルトン「切り札は最後まで取っておくもんだぜ!」

エイラ「やらせない!」

ダルトン「遅いわあッ! 食らえッ!!」



『オナラぷー』ブボボモワッ

733: 2013/04/26(金) 00:09:15.35 ID:2u/E7qwVo
ほむら「はあ!?」

ルッカ「サ、サイアク! レディの前でおならを……」

エイラ「? 臭い、ないぞ?」

ダルトン「……」


ほむら「……? こいつ、仁王立ちのまま動かないけど……」

ルッカ「! そうか、そういうことね!」

ほむら「なにがよ?」

ルッカ「私たちがいるのは船首方向、対してダルトンは船尾方向。つまり、風下……」

ほむら「……まさか!」



ルッカ「そう……ヤツは『自爆』したッ!!」

734: 2013/04/26(金) 00:12:30.04 ID:2u/E7qwVo
ダルトン「……」ヒュウウウウウ...


ルッカ「気絶したまま落ちてったわね……」

ほむら「ビネガーといい、ダルトンといい、なんで落下オチなのよ……。こんなの絶対おかしいわ」

エイラ「ダルトン、氏んだか?」

ほむら「どうかしら。あいつ、空間を操る魔法の使い手らしいし、途中で気づけば……」


ビー! ビー!

ほむら「今度はなによ!」

735: 2013/04/26(金) 00:16:33.73 ID:2u/E7qwVo
エイラ「シルバード、落ちる! 大変!」

ほむら「高度が……! ルッカ、どうにかならないの!?」

ルッカ「ちょっと待ってよ! くそ、あいつらが変にいじくり回したせいで操縦方法が……!」


ルッカ「ええと、ええと……こ、これかな?」ポチッ

『Laser system running』

ルッカ「えっ」

736: 2013/04/26(金) 00:18:19.50 ID:2u/E7qwVo
B.C.12000 黒鳥号 艦橋


ブリッジクルー「スカイ・ダルトン・ギョクーザより再攻撃!」

艦長「ええい、ダルトン様は気でも違ったのか!? 我らを頃すおつもりか!」

ブリッジクルー「主翼がやられました! 墜落します!」

艦長「もういい! 総員退艦! 急げ!!」

738: 2013/04/26(金) 00:20:12.91 ID:2u/E7qwVo
B.C.12000 残された村 広場


光の民「黒鳥号が、墜ちる……」

アルゲティ長老「なんちゅうもろい船じゃ」

地の民A「ダルトンのヤツ、ざまあねーや!」


地の民B「見て、あそこ!」

アルゲティ長老「おお……。あの船は異国の者たちの……飛んでおる……!」

739: 2013/04/26(金) 00:25:17.28 ID:2u/E7qwVo
B.C.12000 シルバード


ルッカ「ふーッ、大体わかったわ」

ほむら「大惨事が起きたけどね」

ルッカ「ま、まあいいじゃない? どのみち、黒鳥号をほっておくわけにはいかなかったでしょ」

ほむら「それはそうだけど」

エイラ「シルバード、元気! シルバード、鳥なった!」

ほむら「怪我の功名ってやつかしら。これで、行動範囲が一気に広がるわね」


ズズズズズズ...!!!

ほむら「なに!?」

ルッカ「シルバードの時空ジャイロに高エネルギー反応!? まさか……ゲート!?」

ほむら「あれは……」

740: 2013/04/26(金) 00:27:12.03 ID:2u/E7qwVo
♪黒の夢


エイラ「デカイ巻き貝!」

ルッカ「船? いえ、城? とてつもない存在感だわ……」

エイラ「アレ、憎んでる! エイラたち憎んでる!」

ほむら「私たちを呼んでいるの……? この感じ……以前にも……」


ほむら「間違いない……。あそこに、ジールが……ラヴォスが、いる!!」

741: 2013/04/26(金) 00:29:42.64 ID:2u/E7qwVo
エイラ「ラヴォス! 突入するか?」

ほむら「いえ、やめておきましょう。今の私たちでは勝てる見込みがないわ」

ルッカ「シルバードもメンテしなきゃいけないしね」

ほむら「そういえばハッチが壊れたままか……」

エイラ「このイス、臭い」

ほむら「ダルトンのアレね……」

ルッカ「それに関してはロボになんとかしてもらいましょう。こんなときのための消臭機能だし」

ほむら「ロボも災難よね……」

742: 2013/04/26(金) 00:34:29.29 ID:2u/E7qwVo
ルッカ「そして、シルバードが万全になったら……! この子さえいれば!」

ほむら「ルッカ?」


ルッカ「クロノを探すわよ! 世界中をめぐり、いくつもの時代を越えてでもね!!」

ほむら「……」

ルッカ「付き合ってもらうわよ、ほむら」

ほむら「……任せておいて。迷路の出口を探すのは、慣れてるから」

ルッカ「どういうこと?」

ほむら「……そのうち、ね」

ルッカ「また秘密主義ってわけ? まーいいけど」

エイラ「クロ、強い! クロ、氏なない!!」

743: 2013/04/26(金) 00:36:27.95 ID:2u/E7qwVo


ほむら「そうね。探しに行きましょう……クロノを」



744: 2013/04/26(金) 00:38:01.85 ID:2u/E7qwVo
第7話「こんなの絶対おかしいわ」 終了


  セーブしてつづける(第8話「そんなの、私が許さない」へすすむ)

ニアセーブしておわる

  セーブしないでおわる

745: 2013/04/26(金) 00:39:19.03 ID:2u/E7qwVo
中編終了。今日はここまでです。

それでは、また明日。



引用: ほむら「時の卵?」