18: 2008/09/13(土) 17:32:18.37 ID:ARNOGq8JO
翠「こうやって飲むですよ」
そう言って、翠星石は音を立てずにスープを飲む。
ジュン「別にいいじゃないか、僕の勝手だろ」
真紅「あなたの勝手かもしれないけど、少しだけ気になるわ」
雛苺「ヒナも飲めるのよ」
翠星石に続いて雛苺も飲み始めた。
ズズっと音を立てて。
翠「やーい、チビ苺、全然できてないですぅ」
雛苺「うゆ……おかしいの」
そう言って、翠星石は音を立てずにスープを飲む。
ジュン「別にいいじゃないか、僕の勝手だろ」
真紅「あなたの勝手かもしれないけど、少しだけ気になるわ」
雛苺「ヒナも飲めるのよ」
翠星石に続いて雛苺も飲み始めた。
ズズっと音を立てて。
翠「やーい、チビ苺、全然できてないですぅ」
雛苺「うゆ……おかしいの」
20: 2008/09/13(土) 17:43:25.37 ID:ARNOGq8JO
ジュン「だいたい病院の料理はまずいんだ」
真紅「そんなことを言ってはダメよ」
翠「文句言ってねーで、いっぱい食べて早く元気になるです」
翠星石は何故かスプーンと茶碗を持つ。
翠「ほら、あ、あー…」
真紅「なっ、翠星石!」
真紅「そんなことを言ってはダメよ」
翠「文句言ってねーで、いっぱい食べて早く元気になるです」
翠星石は何故かスプーンと茶碗を持つ。
翠「ほら、あ、あー…」
真紅「なっ、翠星石!」
22: 2008/09/13(土) 17:46:43.21 ID:ARNOGq8JO
何日もこのやりとりをするので、僕はさすがに慣れた。
翠「チビ苺、スプーンをとるなです」
雛苺「抜け駆けはダメなのよ」
だんだんと騒がしくなっていく。
ジュン「こら静かにしろ、看護婦さんが来るだろ」
雛、翠「はい(です/なの)」
翠「チビ苺、スプーンをとるなです」
雛苺「抜け駆けはダメなのよ」
だんだんと騒がしくなっていく。
ジュン「こら静かにしろ、看護婦さんが来るだろ」
雛、翠「はい(です/なの)」
23: 2008/09/13(土) 17:50:28.38 ID:ARNOGq8JO
病院。
それが、今僕のいる場所だ。
なんでいるのか?
理由はよく分からない。
気付いたらここにいた。
気を失ったときのことを思い出そうとしても頭が痛む。
たしか…扉を……
ジュン「うっ……」
真紅「ジュン!?」
翠「ち、チビ人間!?」
ジュン「いや、大丈夫。大丈夫だよ」
それが、今僕のいる場所だ。
なんでいるのか?
理由はよく分からない。
気付いたらここにいた。
気を失ったときのことを思い出そうとしても頭が痛む。
たしか…扉を……
ジュン「うっ……」
真紅「ジュン!?」
翠「ち、チビ人間!?」
ジュン「いや、大丈夫。大丈夫だよ」
24: 2008/09/13(土) 17:56:38.52 ID:ARNOGq8JO
翠「チビ人間………ほら、元気になるためにこれを食べるです」
ジュン「あぁ……」
翠星石がご飯をスプーンで掬って、こちらへ向ける。
僕はそれを食べる。
初めてやられたときは、かなり恥ずかしかったが、今ではもう慣れてしまった。
ジュン「うん、マズイな」
翠「あったり前です、おいしい病院食なんでないですよ」
ジュン「探したらあるかもしれないぞ」
翠「ないったら、ないですぅ」
そう言って翠星石は再びご飯を掬って、僕の前に突き出した。
ジュン「あぁ……」
翠星石がご飯をスプーンで掬って、こちらへ向ける。
僕はそれを食べる。
初めてやられたときは、かなり恥ずかしかったが、今ではもう慣れてしまった。
ジュン「うん、マズイな」
翠「あったり前です、おいしい病院食なんでないですよ」
ジュン「探したらあるかもしれないぞ」
翠「ないったら、ないですぅ」
そう言って翠星石は再びご飯を掬って、僕の前に突き出した。
26: 2008/09/13(土) 18:02:58.46 ID:ARNOGq8JO
病院食を食べ終え、少し横になる。
隣を見ると、いつも通り真紅が分厚い本を読んでいた。
人形って本読んで意味あるのか。
前に真紅にそんな質問をしたことがある。
たしか真紅は
「私たちは何年、何十年と眠り続けているのよ、新しい知識を入れなければいけないわ」
とか言ってたっけ。
隣を見ると、いつも通り真紅が分厚い本を読んでいた。
人形って本読んで意味あるのか。
前に真紅にそんな質問をしたことがある。
たしか真紅は
「私たちは何年、何十年と眠り続けているのよ、新しい知識を入れなければいけないわ」
とか言ってたっけ。
27: 2008/09/13(土) 18:08:46.64 ID:ARNOGq8JO
翠「真紅なんか見てどうしたですか?」
ジュン「あ、いや平和だなぁと」
本当に平和だ。
前までアリスゲームとかいうのをやっていたのが嘘みたいだ。
翠「チビ人間にそんな言葉は似合わねーです」
ジュン「うるさいな」
なんだか恥ずかしくなり、「寝る」と言って布団に潜る。
なんか翠星石が、逃げたですぅとか言ってたが、この際無視だ。
ジュン「あ、いや平和だなぁと」
本当に平和だ。
前までアリスゲームとかいうのをやっていたのが嘘みたいだ。
翠「チビ人間にそんな言葉は似合わねーです」
ジュン「うるさいな」
なんだか恥ずかしくなり、「寝る」と言って布団に潜る。
なんか翠星石が、逃げたですぅとか言ってたが、この際無視だ。
28: 2008/09/13(土) 18:15:10.80 ID:ARNOGq8JO
ジュン「ん……」
布団に潜っていたら、いつの間にか寝ていたようだ。
時計を見ると6時になっていた。
沈みかけの太陽が白い部屋を赤く染めていた。
ジュン「静かだな」
辺りを見回すと、真紅たちはもういなかった。
代わりに、テーブルに何か文字が書かれた紙が置いてある。
それには『のりが迎えに来たからかえるのー。ジュンは早く元気になるのよ』
と汚い字で書かれていた。
布団に潜っていたら、いつの間にか寝ていたようだ。
時計を見ると6時になっていた。
沈みかけの太陽が白い部屋を赤く染めていた。
ジュン「静かだな」
辺りを見回すと、真紅たちはもういなかった。
代わりに、テーブルに何か文字が書かれた紙が置いてある。
それには『のりが迎えに来たからかえるのー。ジュンは早く元気になるのよ』
と汚い字で書かれていた。
30: 2008/09/13(土) 18:26:11.47 ID:ARNOGq8JO
ジュン「字、うまくなったな」
あの霊感商法みたいな手紙からは、ものすごい進歩だ。
紙をテーブルに戻し、病室を見渡す。
悲しくなるほど静かだった。
こんなとき、子供子供してる雛苺や毒舌をはく翠星石が恋しく思う。
ジュン「僕は何考えてるんだ」
翠星石や雛苺がいたらいいなぁ、なんて思うのは初めてだ。
寝よう、そう決めて布団に潜る。
寝れば何も寂しくない。
さっきまで寝てたがお構いなしだ。
あの霊感商法みたいな手紙からは、ものすごい進歩だ。
紙をテーブルに戻し、病室を見渡す。
悲しくなるほど静かだった。
こんなとき、子供子供してる雛苺や毒舌をはく翠星石が恋しく思う。
ジュン「僕は何考えてるんだ」
翠星石や雛苺がいたらいいなぁ、なんて思うのは初めてだ。
寝よう、そう決めて布団に潜る。
寝れば何も寂しくない。
さっきまで寝てたがお構いなしだ。
31: 2008/09/13(土) 18:34:06.49 ID:ARNOGq8JO
こんな生活が何日も続いたある日だった。
ジュン「退院?」
のり「そうなのよぅジュン君。先生がもう大丈夫だろうってぇ」
ジュン「やっとここから出れるのか」
そう思うと、自然とため息が出た。
もともと、どんな理由で入院したのかも分からないので、この退院という言葉はとても嬉しかった。
姉ちゃんの話によると、明日には退院できるそうだ。
明日、やっと自分の家に帰れるのか……
ジュン「退院?」
のり「そうなのよぅジュン君。先生がもう大丈夫だろうってぇ」
ジュン「やっとここから出れるのか」
そう思うと、自然とため息が出た。
もともと、どんな理由で入院したのかも分からないので、この退院という言葉はとても嬉しかった。
姉ちゃんの話によると、明日には退院できるそうだ。
明日、やっと自分の家に帰れるのか……
35: 2008/09/13(土) 18:42:27.55 ID:ARNOGq8JO
退院当日。
荷物の整理は思ったより早く終わった。
そもそも、病室にあったのが真紅の本と雛苺のクレヨンとノートだけだったので当たり前だった。
久しぶりの家を見る。
こうして見ると、とても安心するんだな。
そんなことを思いつつ、僕は玄関のドアを開けた。
荷物の整理は思ったより早く終わった。
そもそも、病室にあったのが真紅の本と雛苺のクレヨンとノートだけだったので当たり前だった。
久しぶりの家を見る。
こうして見ると、とても安心するんだな。
そんなことを思いつつ、僕は玄関のドアを開けた。
36: 2008/09/13(土) 18:50:20.49 ID:ARNOGq8JO
雛苺「ジュゥゥンー」
ドアを開けた途端、雛苺が飛び込んできた。
驚きつつも、僕は雛苺を抱き留めた。
雛苺「おかえりジュン」
ジュン「あぁ、ただいま」
翠「あああぁ!!何やってるですかチビ苺!1番初めにおかえりって言うのは翠星石ですよ!」
真紅「翠星石、静かにしなさい」
翠「でも、でも、せっかくジャンケンで勝ったのに………」
なんだか、よく分からないけど、どうやらジャンケンで何か決めていたみたいだ。
翠「まぁいいです。チビ苺と違って、翠星石が大人ですからね」
雛苺「むぅ、ヒナだって大人なの!!」
翠「うるせぇです。いいからさっさとジュンから降りるですぅ」
ドアを開けた途端、雛苺が飛び込んできた。
驚きつつも、僕は雛苺を抱き留めた。
雛苺「おかえりジュン」
ジュン「あぁ、ただいま」
翠「あああぁ!!何やってるですかチビ苺!1番初めにおかえりって言うのは翠星石ですよ!」
真紅「翠星石、静かにしなさい」
翠「でも、でも、せっかくジャンケンで勝ったのに………」
なんだか、よく分からないけど、どうやらジャンケンで何か決めていたみたいだ。
翠「まぁいいです。チビ苺と違って、翠星石が大人ですからね」
雛苺「むぅ、ヒナだって大人なの!!」
翠「うるせぇです。いいからさっさとジュンから降りるですぅ」
40: 2008/09/13(土) 19:30:36.74 ID:ARNOGq8JO
真紅「雛苺降りなさい」
雛苺「う~……わかったの」
真紅の声にしぶしぶ頷き、雛苺は僕から降りた。
真紅「ジュン、夕食ができているわ。早くリビングに行きましょ」
真紅はくるりと後ろを向き、リビングへと入って行った。
翠「ほら早く行くですよ」
雛苺「ヒナもお腹ペコペコなのー」
翠星石と雛苺に足を押され、僕たちもリビングへと入って行った。
雛苺「う~……わかったの」
真紅の声にしぶしぶ頷き、雛苺は僕から降りた。
真紅「ジュン、夕食ができているわ。早くリビングに行きましょ」
真紅はくるりと後ろを向き、リビングへと入って行った。
翠「ほら早く行くですよ」
雛苺「ヒナもお腹ペコペコなのー」
翠星石と雛苺に足を押され、僕たちもリビングへと入って行った。
43: 2008/09/13(土) 19:39:23.16 ID:ARNOGq8JO
リビングに入ると、カレーのいい匂いがした。
のり「あらジュン君、おかえり」
ジュン「あぁただいま」
ちょうど調理を終えたのか、姉ちゃんがカレーが盛られた皿を持って、キッチンが出て来る。
のり「ほら、早速ご飯にしましょうよぅ。座って座って」
ジュン「あ、うん」
真紅「みんな揃ったわね」
雛苺「みんなでの夕食は久しぶりなのよ」
翠「チビ人間が入院してるのが悪いです」
のり「翠星石ちゃん、そんなこと言っちゃダメなのよぅ」
真紅「そんなことより、早く食べましょ。お腹が減ってしかたがないわ」
のり「そうね、じゃあいただきま~す」
のり「あらジュン君、おかえり」
ジュン「あぁただいま」
ちょうど調理を終えたのか、姉ちゃんがカレーが盛られた皿を持って、キッチンが出て来る。
のり「ほら、早速ご飯にしましょうよぅ。座って座って」
ジュン「あ、うん」
真紅「みんな揃ったわね」
雛苺「みんなでの夕食は久しぶりなのよ」
翠「チビ人間が入院してるのが悪いです」
のり「翠星石ちゃん、そんなこと言っちゃダメなのよぅ」
真紅「そんなことより、早く食べましょ。お腹が減ってしかたがないわ」
のり「そうね、じゃあいただきま~す」
46: 2008/09/13(土) 19:46:07.57 ID:ARNOGq8JO
病院食に飽き飽きしていた僕にとって、久しぶりのまともな料理はとてもおいしかった。
おかげで、かなりおかわりしてしまった。
ジュン「あぁ、腹が痛いな…」
少し苦しいので、ベットに横になる。
ジュン「あぁ……なんか眠いな」
今日は色々あって疲れたことや、満腹なこともあって、すぐに睡魔が襲ってきた。
今日はこのまま寝よう。
そう思い、目をつむると、僕の意識はすぐに眠りに落ちた。
おかげで、かなりおかわりしてしまった。
ジュン「あぁ、腹が痛いな…」
少し苦しいので、ベットに横になる。
ジュン「あぁ……なんか眠いな」
今日は色々あって疲れたことや、満腹なこともあって、すぐに睡魔が襲ってきた。
今日はこのまま寝よう。
そう思い、目をつむると、僕の意識はすぐに眠りに落ちた。
47: 2008/09/13(土) 19:55:11.91 ID:ARNOGq8JO
翠「さっさと起きやがれです」
ドスドスと、僕のお腹が踏まれる感覚に目を覚ます。
翠「やっと起きたですか」
ジュン「こんなことされれば誰だって起きるだろ……」
翠「うるせーです。朝食ができたですから、さっさと下にくるですよ」
ジュン「あぁ、分かったよ……」
ドスドスと、僕のお腹が踏まれる感覚に目を覚ます。
翠「やっと起きたですか」
ジュン「こんなことされれば誰だって起きるだろ……」
翠「うるせーです。朝食ができたですから、さっさと下にくるですよ」
ジュン「あぁ、分かったよ……」
50: 2008/09/13(土) 20:07:08.30 ID:ARNOGq8JO
朝食を終え、自分の部屋に戻ると、先に戻って本を読む真紅がいた。
ジュン「相変わらず本が好きなんだな」
真紅「ええ、色んなことが載っていて楽しいわ」
ジュン「そんなもんか?」
真紅の隣に腰掛ける。
真紅「ねぇジュン、あなたは今幸せ?」
すると、真紅はそんなことを聞いてきた。
ジュン「相変わらず本が好きなんだな」
真紅「ええ、色んなことが載っていて楽しいわ」
ジュン「そんなもんか?」
真紅の隣に腰掛ける。
真紅「ねぇジュン、あなたは今幸せ?」
すると、真紅はそんなことを聞いてきた。
51: 2008/09/13(土) 20:07:41.61 ID:ARNOGq8JO
飯行ってくる
54: 2008/09/13(土) 20:30:02.10 ID:ARNOGq8JO
ジュン「幸せ……ねぇ」
ジュン「そういうお前はどうなんだよ」
真紅「質問に質問で返すべきではないわ。あなたが先に答えて頂戴」
相変わらず、うるさいやつだな。
幸せねぇ…考えたこともなかった。
ただ食事をして、ただ睡眠をとって……
それが幸せなのだろうか。
真紅「少し難しかったようね。質問を変えるわ」
真紅「あなたはこのまま生活したい?それとも、したくないかしら?」
ジュン「なんだよ、その質問」
真紅「いいから答えて頂戴」
面倒くさいな…
僕はその質問にこう答えた。
>>56
したいorしたくない
ジュン「そういうお前はどうなんだよ」
真紅「質問に質問で返すべきではないわ。あなたが先に答えて頂戴」
相変わらず、うるさいやつだな。
幸せねぇ…考えたこともなかった。
ただ食事をして、ただ睡眠をとって……
それが幸せなのだろうか。
真紅「少し難しかったようね。質問を変えるわ」
真紅「あなたはこのまま生活したい?それとも、したくないかしら?」
ジュン「なんだよ、その質問」
真紅「いいから答えて頂戴」
面倒くさいな…
僕はその質問にこう答えた。
>>56
したいorしたくない
56: 2008/09/13(土) 20:37:18.87 ID:pnBQC7Ok0
童Oのままじゃ嫌だ
58: 2008/09/13(土) 20:42:46.56 ID:ARNOGq8JO
ジュン「童Oのままじゃ嫌だ」
真紅「何を言っているのジュン?」
ジュン「いや、その」
真紅「それは、したくないってこと?」
>>59
1、そうだ
2、違う
真紅「何を言っているのジュン?」
ジュン「いや、その」
真紅「それは、したくないってこと?」
>>59
1、そうだ
2、違う
59: 2008/09/13(土) 20:46:11.04 ID:bhjOB/G70
童Oのままじゃ嫌だ
64: 2008/09/13(土) 20:54:30.89 ID:ARNOGq8JO
ジュン「童Oのままじゃ…」
真紅「いい加減にして頂戴」
どうやら真紅はお怒りのようだ。
ここは真面目に答えないとな。
>>65
したいorしたくない
真紅「いい加減にして頂戴」
どうやら真紅はお怒りのようだ。
ここは真面目に答えないとな。
>>65
したいorしたくない
65: 2008/09/13(土) 20:54:58.10 ID:2JOk/1+c0
したい
67: 2008/09/13(土) 20:57:15.74 ID:ARNOGq8JO
ジュン「したい……かな」
真紅「そう……あなたはこの中での生活を望むのね」
ジュン「何言ってるんだよ真紅」
真紅「なんでもないわ。気にしないで」
雪華綺晶「気にしないで……偽りの夢の中でおやすみなさい」
BadEnd
真紅「そう……あなたはこの中での生活を望むのね」
ジュン「何言ってるんだよ真紅」
真紅「なんでもないわ。気にしないで」
雪華綺晶「気にしないで……偽りの夢の中でおやすみなさい」
BadEnd
68: 2008/09/13(土) 20:58:50.75 ID:2gYdyd4Q0
な、なんだってーっ!
69: 2008/09/13(土) 21:01:26.72 ID:HPtxq3Im0
軽く終わったw
77: 2008/09/13(土) 21:10:36.06 ID:ARNOGq8JO
ロードか………
>>67
ジュン「僕はこのままの生活を……」
>>80
1、望む
2、望まない
>>67
ジュン「僕はこのままの生活を……」
>>80
1、望む
2、望まない
80: 2008/09/13(土) 21:12:30.88 ID:wr7/a6A30
1
81: 2008/09/13(土) 21:18:17.60 ID:ARNOGq8JO
真紅「そう、望むのね」
ジュン「あぁ」
真紅「それは……たとえ、この世界が夢の中でも?」
ジュン「夢の中?」
真紅「例えばの話よ」
ジュン「夢の中か…」
夢の中…
夢で幸せな生活も悪くないのかもしれない。
でも、それは所詮夢で…
ジュン「その夢は覚めないのか?」
ジュン「あぁ」
真紅「それは……たとえ、この世界が夢の中でも?」
ジュン「夢の中?」
真紅「例えばの話よ」
ジュン「夢の中か…」
夢の中…
夢で幸せな生活も悪くないのかもしれない。
でも、それは所詮夢で…
ジュン「その夢は覚めないのか?」
83: 2008/09/13(土) 21:21:18.07 ID:ARNOGq8JO
真紅「あなたが望むなら覚ますことができる」
僕が望むなら…
ジュン「なら覚ましてくれ」
真紅「え?ジュン、あなたはさっきこの生活を続けたいと言ったわ」
ジュン「あぁ、でもそれは現実ならだ。夢の中なんて僕は嫌だからな」
真紅「………なら、これから言うことを聞いて頂戴」
ジュン「わかった」
僕が望むなら…
ジュン「なら覚ましてくれ」
真紅「え?ジュン、あなたはさっきこの生活を続けたいと言ったわ」
ジュン「あぁ、でもそれは現実ならだ。夢の中なんて僕は嫌だからな」
真紅「………なら、これから言うことを聞いて頂戴」
ジュン「わかった」
86: 2008/09/13(土) 21:25:00.85 ID:ARNOGq8JO
真紅「あなたは雪華綺晶に挑んで、眠らされた」
ジュン「え?」
真紅「ジュン、この世界はどこかおかしいとは思わない?」
おかしい?
一体どこがおかしいんだ。
真紅「なぜ、"雛苺"がいるの?」
ジュン「雛苺?あいつはお前の下僕に」
真紅「そうではないわ。よく思い出して頂戴」
思い出す?
一体何を……
たしか雛苺は……
ジュン「え?」
真紅「ジュン、この世界はどこかおかしいとは思わない?」
おかしい?
一体どこがおかしいんだ。
真紅「なぜ、"雛苺"がいるの?」
ジュン「雛苺?あいつはお前の下僕に」
真紅「そうではないわ。よく思い出して頂戴」
思い出す?
一体何を……
たしか雛苺は……
87: 2008/09/13(土) 21:28:38.60 ID:ARNOGq8JO
ジュン「いて……」
頭が痛み始める。
真紅「頑張ってジュン」
雛苺……
雪華綺晶…?
ジュン「そうだ」
真紅「思い出したかしら?」
ジュン「あぁ、思い出したよ」
雛苺は雪華綺晶に食べたれたんだ。
そして僕は真紅たちを助けるためにnのフィールドに行ったんだ。
頭が痛み始める。
真紅「頑張ってジュン」
雛苺……
雪華綺晶…?
ジュン「そうだ」
真紅「思い出したかしら?」
ジュン「あぁ、思い出したよ」
雛苺は雪華綺晶に食べたれたんだ。
そして僕は真紅たちを助けるためにnのフィールドに行ったんだ。
88: 2008/09/13(土) 21:31:53.53 ID:ARNOGq8JO
ジュン「今、外はどうなってるんだ?」
真紅「金糸雀がなんとか持ちこたえているわ」
ジュン「そうか……どうしたら戻れる?」
真紅「あなたが強く願えば戻れるわ」
強く願えば…
よし、待ってろ、今戻ってやる。
真紅「金糸雀がなんとか持ちこたえているわ」
ジュン「そうか……どうしたら戻れる?」
真紅「あなたが強く願えば戻れるわ」
強く願えば…
よし、待ってろ、今戻ってやる。
91: 2008/09/13(土) 21:36:07.70 ID:ARNOGq8JO
真紅「待って頂戴ジュン」
ジュン「なんだよ」
真紅「あなたと金糸雀だけでは白薔薇には勝てないわ」
ジュン「なっ………じゃあどうすればいいんだよ…」
真紅「絵画にされた私たちをもとに戻して…」
ジュン「絵画にされた?」
真紅「えぇ…それでも勝てるかは分からないわ。
でも少なくとも、そうしなければ勝つ可能性はないのだわ」
ジュン「わかった。絶対にもとに戻してやる」
真紅「ジュン………お願いね」
ジュン「なんだよ」
真紅「あなたと金糸雀だけでは白薔薇には勝てないわ」
ジュン「なっ………じゃあどうすればいいんだよ…」
真紅「絵画にされた私たちをもとに戻して…」
ジュン「絵画にされた?」
真紅「えぇ…それでも勝てるかは分からないわ。
でも少なくとも、そうしなければ勝つ可能性はないのだわ」
ジュン「わかった。絶対にもとに戻してやる」
真紅「ジュン………お願いね」
94: 2008/09/13(土) 21:41:11.52 ID:ARNOGq8JO
ジュン「…」
目をつむり、もとの世界に戻りたいと強く願う。
ジュン「……」
だんだんとこの世界から切り離されていくのがわかる。
あと少し、あと少しだ…
目をつむり、もとの世界に戻りたいと強く願う。
ジュン「……」
だんだんとこの世界から切り離されていくのがわかる。
あと少し、あと少しだ…
96: 2008/09/13(土) 21:47:17.06 ID:ARNOGq8JO
意識が戻ってくる。
ジュン「ん……ここは」
さっきまでの自分の部屋とは違う。
何もない空間。
nのフィールド。
ラプラス「ブラボー!!」
パチパチと拍手が聞こえる。
ジュン「ラプラスの魔?」
ラプラス「まさか、あの空間から戻ってくるとは……これも運命というものなのでしょうか」
ジュン「今はお前に構ってる暇はないんだ」
ラプラスを無視して、歩き出す。
ラプラス「おや、あなたを案内しようとして来たというのに…
これは酷い仕打ちですね」
ジュン「僕を案内?」
ラプラス「ええ」
ジュン「ん……ここは」
さっきまでの自分の部屋とは違う。
何もない空間。
nのフィールド。
ラプラス「ブラボー!!」
パチパチと拍手が聞こえる。
ジュン「ラプラスの魔?」
ラプラス「まさか、あの空間から戻ってくるとは……これも運命というものなのでしょうか」
ジュン「今はお前に構ってる暇はないんだ」
ラプラスを無視して、歩き出す。
ラプラス「おや、あなたを案内しようとして来たというのに…
これは酷い仕打ちですね」
ジュン「僕を案内?」
ラプラス「ええ」
98: 2008/09/13(土) 21:52:55.94 ID:ARNOGq8JO
ラプラス「こちらをご覧になって下さい」
目の前に、絵画が貼られた扉が三枚現れる。
ジュン「みんな……」
ラプラス「人を他の場所へと移動させる、それが扉の役割
その先に何が待っているかは、開けてからのお楽しみ
さて、あなたはどの扉を開けますか?」
>>100
1、真紅
2、翠星石
3、水銀燈
目の前に、絵画が貼られた扉が三枚現れる。
ジュン「みんな……」
ラプラス「人を他の場所へと移動させる、それが扉の役割
その先に何が待っているかは、開けてからのお楽しみ
さて、あなたはどの扉を開けますか?」
>>100
1、真紅
2、翠星石
3、水銀燈
100: 2008/09/13(土) 21:54:22.74 ID:2gYdyd4Q0
まあ、ここは素直に真紅…か?
102: 2008/09/13(土) 22:00:23.92 ID:ARNOGq8JO
ジュン「これだ」
僕は真紅の絵画が貼られた扉の前に立った。
ラプラス「美しく気高い紅薔薇の扉
あなたの選択が吉とでるか凶とでるか
では、よい旅を」
僕は真紅の絵画が貼られた扉の前に立った。
ラプラス「美しく気高い紅薔薇の扉
あなたの選択が吉とでるか凶とでるか
では、よい旅を」
106: 2008/09/13(土) 22:06:17.72 ID:ARNOGq8JO
~エピソード真紅~
ジュンの部屋で本を読む、それが私の習慣になっていた。
別に本が格別好きというわけではない。
ただ他にやることがなかった、と言うべきだろうか。
そんなことを考えながら、ペラっとまた1ページめくる。
真紅「ジュンはまだかしら」
ジュンが学校に通うようになって、大体半月が過ぎた。
嬉しい半面、それはなんだか寂しくもあった。
ジュンの部屋で本を読む、それが私の習慣になっていた。
別に本が格別好きというわけではない。
ただ他にやることがなかった、と言うべきだろうか。
そんなことを考えながら、ペラっとまた1ページめくる。
真紅「ジュンはまだかしら」
ジュンが学校に通うようになって、大体半月が過ぎた。
嬉しい半面、それはなんだか寂しくもあった。
108: 2008/09/13(土) 22:10:55.22 ID:ARNOGq8JO
ガチャと玄関のドアが開く音がする。
ジュンが帰って来たのだろうか。
少しだけ嬉しい気分になる。
ドタドタと慌ただしく階段を駆け登る音が聞こえる。
真紅「全く、もう少し静かにしてほしいわ」
どんな注意をしてあげようか。
そんなことを考えるだけで、私はとても楽しかった。
ジュンが帰って来たのだろうか。
少しだけ嬉しい気分になる。
ドタドタと慌ただしく階段を駆け登る音が聞こえる。
真紅「全く、もう少し静かにしてほしいわ」
どんな注意をしてあげようか。
そんなことを考えるだけで、私はとても楽しかった。
111: 2008/09/13(土) 22:16:09.00 ID:ARNOGq8JO
ジュン「真紅!!」
バタン、と大きな音を立ててジュンが部屋に入ってくる。
真紅「静かにして頂戴」
ジュン「はぁはぁ……そ、それどころじゃないんだ」
部屋に入ってきたジュンは、なんだかとても慌てていた。
それに違和感を感じた。
一体何だろうと、ジュンをよく見る。
そうだ、制服だ。
家を出るときのジュンは制服で、このジュンはいつもの服なのだ。
バタン、と大きな音を立ててジュンが部屋に入ってくる。
真紅「静かにして頂戴」
ジュン「はぁはぁ……そ、それどころじゃないんだ」
部屋に入ってきたジュンは、なんだかとても慌てていた。
それに違和感を感じた。
一体何だろうと、ジュンをよく見る。
そうだ、制服だ。
家を出るときのジュンは制服で、このジュンはいつもの服なのだ。
113: 2008/09/13(土) 22:20:29.66 ID:ARNOGq8JO
真紅「ジュン、制服はどうしたの?」
ジュン「制服?」
目の前のジュンは何だよそれ、といった顔をしている。
どうして、そんな顔をするのだろう。
真紅「ジュン?」
ジュン「すまない真紅、あんまり説明してる暇はないんだ」
ジュンが私の手を握る。
いつもなら嬉しいのだけれど、今回は恐怖を感じた。
真紅「やめて!!」
そして気がつくと、私はジュンの手を振り払っていた。
ジュン「制服?」
目の前のジュンは何だよそれ、といった顔をしている。
どうして、そんな顔をするのだろう。
真紅「ジュン?」
ジュン「すまない真紅、あんまり説明してる暇はないんだ」
ジュンが私の手を握る。
いつもなら嬉しいのだけれど、今回は恐怖を感じた。
真紅「やめて!!」
そして気がつくと、私はジュンの手を振り払っていた。
118: 2008/09/13(土) 22:32:42.48 ID:ARNOGq8JO
ローゼンSS書くのは二回目だから、話方とか表現とか心配だ
なんか変なとこあったら言ってください
なんか変なとこあったら言ってください
120: 2008/09/13(土) 22:37:04.81 ID:ARNOGq8JO
――ジュン目線
一瞬何が起きたのか分からなかった。
真紅を掴んだはずの手が、その真紅によって振り払われていた。
ジュン「なんで……」
真紅「ジュン?あなた一体どうしたの?学校は?」
ジュン「学校?」
学校?
一体なんのことを言ってるんだ?
ジュン「どういうことだ真紅?」
真紅「え?」
ジュン「頼む真紅、説明してくれ」
真紅「わ、わかったわ」
一瞬何が起きたのか分からなかった。
真紅を掴んだはずの手が、その真紅によって振り払われていた。
ジュン「なんで……」
真紅「ジュン?あなた一体どうしたの?学校は?」
ジュン「学校?」
学校?
一体なんのことを言ってるんだ?
ジュン「どういうことだ真紅?」
真紅「え?」
ジュン「頼む真紅、説明してくれ」
真紅「わ、わかったわ」
122: 2008/09/13(土) 22:42:25.17 ID:ARNOGq8JO
真紅の説明によると、僕は復学に成功し、毎日楽しい学校生活を送ってるそうだった。
一体どういうことだ?
頭の中にハテナが飛び交う。
真紅「ジュン、一体どうしたの?なんだか今日のあなたはおかしいわ」
真紅が心配そうに僕の顔を覗きこむ。
なんだろうこの感じは…
この世界では、桜田ジュンは普通の中学生で、引きこもっていない。
もしかして、この世界は……
一体どういうことだ?
頭の中にハテナが飛び交う。
真紅「ジュン、一体どうしたの?なんだか今日のあなたはおかしいわ」
真紅が心配そうに僕の顔を覗きこむ。
なんだろうこの感じは…
この世界では、桜田ジュンは普通の中学生で、引きこもっていない。
もしかして、この世界は……
125: 2008/09/13(土) 22:47:19.42 ID:ARNOGq8JO
ジュン「なぁ真紅、僕が引きこもってるとき、お前の願いはなんだった?」
真紅「私の願い……?」
どうしてそんなことを聞くの?といった顔をして、真紅は何かを考え始める。
真紅「私の願いはアリスになって……」
ジュン「違う、そうじゃなくて……
他になんかなかったか?」
真紅「他に?えっと……」
顎にてをあて、真剣に考え始める。
そして、何かを思い付いたように顔をあげた。
真紅「私の願い……?」
どうしてそんなことを聞くの?といった顔をして、真紅は何かを考え始める。
真紅「私の願いはアリスになって……」
ジュン「違う、そうじゃなくて……
他になんかなかったか?」
真紅「他に?えっと……」
顎にてをあて、真剣に考え始める。
そして、何かを思い付いたように顔をあげた。
127: 2008/09/13(土) 22:52:33.89 ID:ARNOGq8JO
真紅「そう……たしか、ジュンがきちんと学校に行って、幸せに暮らしてほしいと思っていたのだわ」
ジュン「……真紅」
やっぱりそうだ。
どうやら、この世界では願っていたものが叶っているようだ。
それにしても真紅…
いつもは素っ気ないようなふりして、そんなことを考えていたのか。
その事実に僕の心が温かくなる。
そしてすぐに、それは冷める。
僕がこれからしなくちゃならないこと……
それは、真紅の幸せを壊すことなんだと……
ジュン「……真紅」
やっぱりそうだ。
どうやら、この世界では願っていたものが叶っているようだ。
それにしても真紅…
いつもは素っ気ないようなふりして、そんなことを考えていたのか。
その事実に僕の心が温かくなる。
そしてすぐに、それは冷める。
僕がこれからしなくちゃならないこと……
それは、真紅の幸せを壊すことなんだと……
129: 2008/09/13(土) 22:56:58.23 ID:ARNOGq8JO
ジュン「真紅、これから僕がいうことをよく聞いてくれ」
真紅「え、ええ、わかったわ」
僕の真剣な顔に、真紅が唾の飲むのがわかった。
ジュン「この世界は夢なんだ」
真紅「………夢?ジュン、あなた何をいって」
ジュン「お願いだ、信じてくれ」
この世界はたしかに幸せかもしれない。
でも、偽りの世界で幸せになっても、それは不幸でしかないんだ。
真紅「え、ええ、わかったわ」
僕の真剣な顔に、真紅が唾の飲むのがわかった。
ジュン「この世界は夢なんだ」
真紅「………夢?ジュン、あなた何をいって」
ジュン「お願いだ、信じてくれ」
この世界はたしかに幸せかもしれない。
でも、偽りの世界で幸せになっても、それは不幸でしかないんだ。
130: 2008/09/13(土) 23:02:27.84 ID:ARNOGq8JO
ジュン「頼む真紅、目を覚ましてくれ」
真紅「…………」
ジュン「真紅…?」
真紅「あなたを信じるわ」
ジュン「…え?」
願っていたことだけど、こうも簡単に認められるとビックリする。
ジュン「本当か?」
真紅「ええ、あなたは私の下僕ですもの。下僕の言うことを信じるのは、主として当たり前ではないかしら?」
下僕か……
なんとも真紅らしい解釈だった。
そんな変わっていない真紅を見て、僕は何故かホッとした。
真紅「…………」
ジュン「真紅…?」
真紅「あなたを信じるわ」
ジュン「…え?」
願っていたことだけど、こうも簡単に認められるとビックリする。
ジュン「本当か?」
真紅「ええ、あなたは私の下僕ですもの。下僕の言うことを信じるのは、主として当たり前ではないかしら?」
下僕か……
なんとも真紅らしい解釈だった。
そんな変わっていない真紅を見て、僕は何故かホッとした。
131: 2008/09/13(土) 23:07:04.31 ID:ARNOGq8JO
ラプラス「まさか、こんなに早く説得していまうとは……
私も少々びっくりしております
あぁ、なんと美しい主従愛でしょうか」
ラプラスの魔が、僕のパソコンの液晶から出て来る。
こんなところからも出て来れるんだな……
真紅「ラプラス…!?」
真紅が警戒の体制に入る。
僕はそれを何とか説得して、その警戒体制をといた。
私も少々びっくりしております
あぁ、なんと美しい主従愛でしょうか」
ラプラスの魔が、僕のパソコンの液晶から出て来る。
こんなところからも出て来れるんだな……
真紅「ラプラス…!?」
真紅が警戒の体制に入る。
僕はそれを何とか説得して、その警戒体制をといた。
133: 2008/09/13(土) 23:14:05.41 ID:ARNOGq8JO
ジュン「ラプラス、僕たちを雪華綺晶のところへ」
早く行かないと、金糸雀が危ない。
ラプラス「おや、たったお二人で行くのですか?」
ジュン「え?」
ラプラス「あなたは紅薔薇の言ったことをお忘れで?」
真紅「私が言ったこと?」
ラプラス「おや、これは失敬、あなたではなく、彼の夢の世界のあなたです」
僕の夢の世界の真紅?
何か言っていたっけ……
そうだ、みんなを助けないと白薔薇には…!!
ラプラス「そのお顔、思い出したようで何よりです
では、次はどの扉を?」
>>135
1、翠星石
2、水銀燈
早く行かないと、金糸雀が危ない。
ラプラス「おや、たったお二人で行くのですか?」
ジュン「え?」
ラプラス「あなたは紅薔薇の言ったことをお忘れで?」
真紅「私が言ったこと?」
ラプラス「おや、これは失敬、あなたではなく、彼の夢の世界のあなたです」
僕の夢の世界の真紅?
何か言っていたっけ……
そうだ、みんなを助けないと白薔薇には…!!
ラプラス「そのお顔、思い出したようで何よりです
では、次はどの扉を?」
>>135
1、翠星石
2、水銀燈
135: 2008/09/13(土) 23:15:11.96 ID:W0zpbt/Z0
1
139: 2008/09/13(土) 23:20:54.99 ID:ARNOGq8JO
真紅「ジュン」
ジュン「あぁわかってる」
僕は真紅を抱き抱え、翠星石が描かれている絵画の前に立った。
ラプラス「優しく全てを包みこむ、それはまるで大木のよう
あなたの選択は正しいのでしょうか
では、お気をつけて」
ジュン「あぁわかってる」
僕は真紅を抱き抱え、翠星石が描かれている絵画の前に立った。
ラプラス「優しく全てを包みこむ、それはまるで大木のよう
あなたの選択は正しいのでしょうか
では、お気をつけて」
142: 2008/09/13(土) 23:25:43.40 ID:ARNOGq8JO
~エピソード翠星石~
花がたくさん咲いている原っぱを駆け回る。
片手にはサンドイッチの入ったバスケット、そしてもう片方は大切な妹の手を掴んで。
蒼「あんまり急ぐとこけるよ、翠星石」
妹が息を少しだけきらしながらそう言った。
翠「大丈夫ですよ、こけたときは蒼星石も一緒ですから」
その言葉に蒼星石は大丈夫じゃないよ、とため息をついた。
花がたくさん咲いている原っぱを駆け回る。
片手にはサンドイッチの入ったバスケット、そしてもう片方は大切な妹の手を掴んで。
蒼「あんまり急ぐとこけるよ、翠星石」
妹が息を少しだけきらしながらそう言った。
翠「大丈夫ですよ、こけたときは蒼星石も一緒ですから」
その言葉に蒼星石は大丈夫じゃないよ、とため息をついた。
143: 2008/09/13(土) 23:32:34.07 ID:ARNOGq8JO
翠「そろそろお昼にするですぅ」
いっぱい遊んで、少しお腹が減ってきた。
蒼星石も同じだったようで、その言葉にすぐに頷いた。
翠「どこで食べるですか?」
蒼「あそこがいいんじゃないかな?」
スッと原っぱの中心にある、大きな木を指差す。
たしかにあそこなら涼しく、とても楽しい昼食が楽しめそうだ。
翠「じゃああそこまで競争ですよ蒼星石」
私はそんな昼食を早く楽しみたくて、駆け出す。
その後を、やれやれといった感じで蒼星石がついてくる。
私はそんな蒼星石が大好きで、1番大切だった。
いっぱい遊んで、少しお腹が減ってきた。
蒼星石も同じだったようで、その言葉にすぐに頷いた。
翠「どこで食べるですか?」
蒼「あそこがいいんじゃないかな?」
スッと原っぱの中心にある、大きな木を指差す。
たしかにあそこなら涼しく、とても楽しい昼食が楽しめそうだ。
翠「じゃああそこまで競争ですよ蒼星石」
私はそんな昼食を早く楽しみたくて、駆け出す。
その後を、やれやれといった感じで蒼星石がついてくる。
私はそんな蒼星石が大好きで、1番大切だった。
147: 2008/09/13(土) 23:40:09.33 ID:ARNOGq8JO
翠「ほら、食べさせてやるです」
蒼「い、いいよ。僕は自分で食べれるから」
翠「遠慮するなです」
蒼「はぁ、わかった」
あきらめたように、あーんと口を開ける蒼星石。
その顔が、エサを待つヒナのようでとても可愛かった。
翠「あ~んですぅ」
蒼「ん、モグモグ……うん、やっぱり翠星石の料理はおいしいね」
そんなことを笑顔で言ってくるので、私はたまらなくなり、蒼星石を抱きしめた。
蒼「ちょ、翠星石、危ないよ」
翠「気にするなです」
蒼「そうだね」
そして、蒼星石も私を抱き返す。
私は今、世界で1番幸せだな、と感じた。
蒼「い、いいよ。僕は自分で食べれるから」
翠「遠慮するなです」
蒼「はぁ、わかった」
あきらめたように、あーんと口を開ける蒼星石。
その顔が、エサを待つヒナのようでとても可愛かった。
翠「あ~んですぅ」
蒼「ん、モグモグ……うん、やっぱり翠星石の料理はおいしいね」
そんなことを笑顔で言ってくるので、私はたまらなくなり、蒼星石を抱きしめた。
蒼「ちょ、翠星石、危ないよ」
翠「気にするなです」
蒼「そうだね」
そして、蒼星石も私を抱き返す。
私は今、世界で1番幸せだな、と感じた。
150: 2008/09/13(土) 23:45:35.12 ID:ARNOGq8JO
――ジュン目線
さて、一体ここはどこなんだろう。
真紅も同じことを考えているようで、目を点にしていた。
ジュン「なぁ真紅」
真紅「何?ジュン」
ジュン「ここはどこだ」
真紅「さぁ?私の記憶には、全くないわ」
それもそうだろう。
こんな原っぱ、日本のどこにもないさ。
さて、一体ここはどこなんだろう。
真紅も同じことを考えているようで、目を点にしていた。
ジュン「なぁ真紅」
真紅「何?ジュン」
ジュン「ここはどこだ」
真紅「さぁ?私の記憶には、全くないわ」
それもそうだろう。
こんな原っぱ、日本のどこにもないさ。
152: 2008/09/13(土) 23:51:14.83 ID:ARNOGq8JO
ジュン「とりあえずさ」
真紅「どうしたの?」
ジュン「あそこに行ってみないか?」
ちょうど丘の上にある、たった一つの木を指差す。
真紅「ジュン、あなたにしてはいい考えね」
ジュン「僕にしてはは余計だ」
真紅「さ、行きましょ」
真紅が先に歩きだす。
かと、思ったらすぐに止まり、こちらを向く。
ジュン「行かないのか?」
真紅「抱っこして頂戴」
ジュン「は?」
真紅「抱っこして頂戴と言っているの」
ジュン「あぁ、わかったわかった。だからあんまり怖い顔するなよ」
真紅「ふん…!」
全く、困った主だな。
真紅「どうしたの?」
ジュン「あそこに行ってみないか?」
ちょうど丘の上にある、たった一つの木を指差す。
真紅「ジュン、あなたにしてはいい考えね」
ジュン「僕にしてはは余計だ」
真紅「さ、行きましょ」
真紅が先に歩きだす。
かと、思ったらすぐに止まり、こちらを向く。
ジュン「行かないのか?」
真紅「抱っこして頂戴」
ジュン「は?」
真紅「抱っこして頂戴と言っているの」
ジュン「あぁ、わかったわかった。だからあんまり怖い顔するなよ」
真紅「ふん…!」
全く、困った主だな。
154: 2008/09/13(土) 23:55:04.64 ID:ARNOGq8JO
木に近づくにつれて、木の下に誰かがいることに気付く。
あれは…蒼星石と……翠星石!!
ジュン「真紅走るぞ!」
真紅「え?ちょ、まっ……」
真紅が何か言っていた気がしたが、そんなのに構わず走り出した。
あれは…蒼星石と……翠星石!!
ジュン「真紅走るぞ!」
真紅「え?ちょ、まっ……」
真紅が何か言っていた気がしたが、そんなのに構わず走り出した。
156: 2008/09/14(日) 00:01:39.20 ID:FodK6rJnO
ジュン「翠星石!」
木までの距離が大体十メートルをきった位で、僕は翠星石の名前を叫んでいた。
翠星石「え?チビ人間?」
ジュン「久しぶりに会った瞬間それか……」
真紅「私には何もないの?」
翠「真紅まで……遊びにきたですか?」
やはり翠星石も状況を忘れているようで、全く緊張感がなかった。
ジュン「いいや、翠星石、僕の言うことを聞いてくれ」
隣に蒼星石がいることが気になったが、今はそんな場合でもないので、手早く説明を始めた。
木までの距離が大体十メートルをきった位で、僕は翠星石の名前を叫んでいた。
翠星石「え?チビ人間?」
ジュン「久しぶりに会った瞬間それか……」
真紅「私には何もないの?」
翠「真紅まで……遊びにきたですか?」
やはり翠星石も状況を忘れているようで、全く緊張感がなかった。
ジュン「いいや、翠星石、僕の言うことを聞いてくれ」
隣に蒼星石がいることが気になったが、今はそんな場合でもないので、手早く説明を始めた。
158: 2008/09/14(日) 00:11:10.90 ID:FodK6rJnO
翠「だって…だって……!!
蒼星石はこうしてここにいるんですよ!!」
蒼星石「翠星石……」
翠「なんで、翠星石と蒼星石を離そうとするですか?」
俯いている翠星石から、キラリと光る何かが落ちる。
ジュン「翠星石…?」
翠「嫌いです…」
ジュン「嫌い?」
翠「チビ人間も!真紅も!だいっきらいです!!」
真紅「なっ……」
蒼星石はこうしてここにいるんですよ!!」
蒼星石「翠星石……」
翠「なんで、翠星石と蒼星石を離そうとするですか?」
俯いている翠星石から、キラリと光る何かが落ちる。
ジュン「翠星石…?」
翠「嫌いです…」
ジュン「嫌い?」
翠「チビ人間も!真紅も!だいっきらいです!!」
真紅「なっ……」
159: 2008/09/14(日) 00:15:17.23 ID:FodK6rJnO
翠「翠星石は絶対に蒼星石と離れないって決めたんです」
そう言って、翠星石は手から如雨露を取り出す。
真紅「落ち着きなさい翠星石!」
翠「うるさいです……翠星石と蒼星石の邪魔をするやつは……」
翠「全部翠星石が壊してやるです!!」
翠星石が如雨露を振り上げる。
しかし、攻撃が来ることはなかった。
そう言って、翠星石は手から如雨露を取り出す。
真紅「落ち着きなさい翠星石!」
翠「うるさいです……翠星石と蒼星石の邪魔をするやつは……」
翠「全部翠星石が壊してやるです!!」
翠星石が如雨露を振り上げる。
しかし、攻撃が来ることはなかった。
160: 2008/09/14(日) 00:20:37.66 ID:FodK6rJnO
翠「蒼せ……」
蒼「やめて、翠星石」
翠星石が振り上げたその手を、蒼星石が優しく握って、攻撃を妨げていた。
翠「どうして……」
へにゃり、と力が抜けたように、翠星石がその場に崩れ落ちる。
翠「なんで…ですか……蒼星石は、翠星石と一緒にいたくないですか……?」
目に涙をいっぱいに溜め、翠星石は蒼星石を見上げる。
蒼「いたいよ。僕は翠星石が大好きだからね」
翠「じゃあなんで……!」
興奮状態にある翠星石を、蒼星石が優しく諭す。
蒼「やめて、翠星石」
翠星石が振り上げたその手を、蒼星石が優しく握って、攻撃を妨げていた。
翠「どうして……」
へにゃり、と力が抜けたように、翠星石がその場に崩れ落ちる。
翠「なんで…ですか……蒼星石は、翠星石と一緒にいたくないですか……?」
目に涙をいっぱいに溜め、翠星石は蒼星石を見上げる。
蒼「いたいよ。僕は翠星石が大好きだからね」
翠「じゃあなんで……!」
興奮状態にある翠星石を、蒼星石が優しく諭す。
161: 2008/09/14(日) 00:27:10.86 ID:FodK6rJnO
蒼「翠星石……たぶん真紅たちの言っていることは本当だよ」
翠「でも、なんで蒼星石が……」
蒼「君が願った、からじゃないかな」
翠「翠星石が?」
蒼「うん、ここは願いが叶った世界みたいだからね……
あは、翠星石が僕との時間を望んでたなんて嬉しいな」
翠「蒼星石……」
涙を流す翠星石の頭を、蒼星石が大切な人を触るように撫でる。
まるで、一枚の絵のように……
蒼「翠星石…夢はとても楽しいかもしれない。
でも、それでも夢からは覚めなくちゃならないんだ……」
翠星石の頭を撫でながら、蒼星石は話を続ける。
翠「でも、なんで蒼星石が……」
蒼「君が願った、からじゃないかな」
翠「翠星石が?」
蒼「うん、ここは願いが叶った世界みたいだからね……
あは、翠星石が僕との時間を望んでたなんて嬉しいな」
翠「蒼星石……」
涙を流す翠星石の頭を、蒼星石が大切な人を触るように撫でる。
まるで、一枚の絵のように……
蒼「翠星石…夢はとても楽しいかもしれない。
でも、それでも夢からは覚めなくちゃならないんだ……」
翠星石の頭を撫でながら、蒼星石は話を続ける。
162: 2008/09/14(日) 00:33:49.84 ID:FodK6rJnO
蒼「それに僕の好きな翠星石は、逃げてばかりじゃなくて、ここぞってときに立ち向かって行く翠星石なんだよ」
翠「蒼星石……」
蒼「ほら、いつまでも座ってないで、立って」
蒼星石がのばした手を、翠星石が掴み立ち上がる。
蒼「こんなに汚れてるじゃないか」
パンパンと蒼星石が、ドレスについた砂をはらう。
蒼「ほら、いってらっしゃい」
翠「………いってきますです」
蒼「うん、それでこそ僕の大好きな翠星石だ」
翠「蒼星石!!」
翠星石が蒼星石を抱きしめる。
初めは驚いていた蒼星石も、笑って抱き返す。
そのとき、七姉妹で1番中のいい双子は、今までで1番の笑顔で笑った気がした。
翠「蒼星石……」
蒼「ほら、いつまでも座ってないで、立って」
蒼星石がのばした手を、翠星石が掴み立ち上がる。
蒼「こんなに汚れてるじゃないか」
パンパンと蒼星石が、ドレスについた砂をはらう。
蒼「ほら、いってらっしゃい」
翠「………いってきますです」
蒼「うん、それでこそ僕の大好きな翠星石だ」
翠「蒼星石!!」
翠星石が蒼星石を抱きしめる。
初めは驚いていた蒼星石も、笑って抱き返す。
そのとき、七姉妹で1番中のいい双子は、今までで1番の笑顔で笑った気がした。
164: 2008/09/14(日) 00:38:24.22 ID:FodK6rJnO
抱き合う二人を見つめていると、パンパンと手を叩く音が聞こえた。
ラプラス「今回はなかなか時間がかかりましたね」
ジュン「うるさいな」
ラプラス「あまり怒らないでください」
ジュン「別に怒ってないさ」
ラプラス「では最後の選択を……」
ラプラス「今回はなかなか時間がかかりましたね」
ジュン「うるさいな」
ラプラス「あまり怒らないでください」
ジュン「別に怒ってないさ」
ラプラス「では最後の選択を……」
165: 2008/09/14(日) 00:42:16.79 ID:FodK6rJnO
翠「ほら、さっさと行くですよ」
そう言って僕の足を翠星石が引っ張った。
さっきまで泣いていたのに、もう泣き止んでやがる。
お姉ちゃんは強いんだな。
真紅「最後の扉……」
水銀燈が描かれた絵画。
それが貼られた扉の前に立つ。
ラプラス「一見冷たいように見え、本当は心やさしい黒薔薇
その優しさは一体なんなのでしょうね
お早い帰りを願っています」
そう言って僕の足を翠星石が引っ張った。
さっきまで泣いていたのに、もう泣き止んでやがる。
お姉ちゃんは強いんだな。
真紅「最後の扉……」
水銀燈が描かれた絵画。
それが貼られた扉の前に立つ。
ラプラス「一見冷たいように見え、本当は心やさしい黒薔薇
その優しさは一体なんなのでしょうね
お早い帰りを願っています」
172: 2008/09/14(日) 01:18:16.66 ID:FodK6rJnO
~エピソード水銀燈~
真っ白い部屋の中。
そこに私は佇んでいる。
めぐ「ねぇ水銀燈」
その部屋にあるベットに寝ている少女が私に話かける。
水銀燈「なによ…」
めぐ「人間って、氏んだら本当にお星さまになるのかな」
またおかしなことを言う。
この少女はいつでもそうだった。
氏にたい、早く氏にたい。
ホントに馬鹿みたい。
真っ白い部屋の中。
そこに私は佇んでいる。
めぐ「ねぇ水銀燈」
その部屋にあるベットに寝ている少女が私に話かける。
水銀燈「なによ…」
めぐ「人間って、氏んだら本当にお星さまになるのかな」
またおかしなことを言う。
この少女はいつでもそうだった。
氏にたい、早く氏にたい。
ホントに馬鹿みたい。
173: 2008/09/14(日) 01:21:50.98 ID:FodK6rJnO
水銀燈「おバカさぁん、そんなの嘘に決まってるじゃなぁい」
私がそういうと、めぐはムスッとした表情になる。
めぐ「じゃあ人魚姫みたいに泡に?」
水銀燈「そんなことも、絶対にないわ」
全く、頭の中が一回見てみたい。
人間は、星にも泡にもなるわけないじゃない。
ただ、土に還るだけ。
そう、それだけ……
私がそういうと、めぐはムスッとした表情になる。
めぐ「じゃあ人魚姫みたいに泡に?」
水銀燈「そんなことも、絶対にないわ」
全く、頭の中が一回見てみたい。
人間は、星にも泡にもなるわけないじゃない。
ただ、土に還るだけ。
そう、それだけ……
175: 2008/09/14(日) 01:26:49.35 ID:FodK6rJnO
めぐ「じゃあ…」
水銀燈「もういいわよ。あなたの何々になるのかなぁは聞き飽きたわぁ」
それを聞いて、一瞬めぐの表情が曇る。
しかし、それも一瞬のことで、すぐに表現を輝かせる。
めぐ「ねぇ、水銀燈。契約しましょ」
はぁ……
またこれだ。
何回このやりとりをしただろうか。
いい加減に呆れてくる。
水銀燈「もういいわよ。あなたの何々になるのかなぁは聞き飽きたわぁ」
それを聞いて、一瞬めぐの表情が曇る。
しかし、それも一瞬のことで、すぐに表現を輝かせる。
めぐ「ねぇ、水銀燈。契約しましょ」
はぁ……
またこれだ。
何回このやりとりをしただろうか。
いい加減に呆れてくる。
177: 2008/09/14(日) 01:31:47.75 ID:FodK6rJnO
水銀燈「いい?あなたにはまだ早いと言ったら何度わかるの?」
めぐ「う~……ケチ」
水銀燈「け、けっ……」
この子は全く…
なんで私がケチなのよ。
水銀燈「別にケチでもいいわよ」
めぐ「ふーん。じゃあケチ、ケチ、水銀燈のケチ」
う……
なにもそこまで連発しなくてもいいじゃない。
正直、なんだか少し傷ついた気がした……
この病室の中では、時がゆっくりと流れる。
私はこの雰囲気を割と気に入っていた。
めぐ「う~……ケチ」
水銀燈「け、けっ……」
この子は全く…
なんで私がケチなのよ。
水銀燈「別にケチでもいいわよ」
めぐ「ふーん。じゃあケチ、ケチ、水銀燈のケチ」
う……
なにもそこまで連発しなくてもいいじゃない。
正直、なんだか少し傷ついた気がした……
この病室の中では、時がゆっくりと流れる。
私はこの雰囲気を割と気に入っていた。
180: 2008/09/14(日) 01:36:39.15 ID:FodK6rJnO
――ジュン目線
ジュン「ここは……」
翠「病院ですね」
目の前にそびえ立つ白い建物。
人間が生きていれば、必ず一回は行くだろう。
真紅「この中に水銀燈が?」
ジュン「たぶん……そうなんだろうけど」
なんで病院なのだろう。
僕の常識では、お墓の次くらいに幸せから遠い場所だ。
水銀燈は、こんなところに叶えたい願いがあったのか………?
ジュン「ここは……」
翠「病院ですね」
目の前にそびえ立つ白い建物。
人間が生きていれば、必ず一回は行くだろう。
真紅「この中に水銀燈が?」
ジュン「たぶん……そうなんだろうけど」
なんで病院なのだろう。
僕の常識では、お墓の次くらいに幸せから遠い場所だ。
水銀燈は、こんなところに叶えたい願いがあったのか………?
184: 2008/09/14(日) 01:43:34.36 ID:FodK6rJnO
外でうだうだしてても意味がないので、病院の中に入る。
ジュン「なんだ……これ」
翠「誰もいないです」
病院に入って、まず驚いたこと、それは誰もいない。
そしてあまりにも無機質で、何かがそこにある、という感じが全くしなかった。
真紅「恐らく……」
真紅が自分の推測を話し始める。
真紅の予想では、水銀燈はこの病院の外見と外、部屋の一部しか知らないのだろうというものだった。
翠「たしかにそんな感じです」
ジュン「そうだな」
でもそのイメージのおかげで、階段、長い廊下はあっても、入口がある部屋はただ一つだった。
ジュン「なんだ……これ」
翠「誰もいないです」
病院に入って、まず驚いたこと、それは誰もいない。
そしてあまりにも無機質で、何かがそこにある、という感じが全くしなかった。
真紅「恐らく……」
真紅が自分の推測を話し始める。
真紅の予想では、水銀燈はこの病院の外見と外、部屋の一部しか知らないのだろうというものだった。
翠「たしかにそんな感じです」
ジュン「そうだな」
でもそのイメージのおかげで、階段、長い廊下はあっても、入口がある部屋はただ一つだった。
185: 2008/09/14(日) 01:47:42.67 ID:FodK6rJnO
たった一つの入口の前に立つ。
ジュン「たぶんここだよな」
真紅「えぇ」
翠「中から水銀燈と誰かの声がするですよ」
扉に耳を押し付けている翠星石がそう言った。
誰か…?
一体誰だろう。
真紅「とりあえず、入りましょう」
ジュン「あ、あぁ」
ドアノブに手をかける、鍵はかかっていないようで、簡単に開けることができた。
ジュン「たぶんここだよな」
真紅「えぇ」
翠「中から水銀燈と誰かの声がするですよ」
扉に耳を押し付けている翠星石がそう言った。
誰か…?
一体誰だろう。
真紅「とりあえず、入りましょう」
ジュン「あ、あぁ」
ドアノブに手をかける、鍵はかかっていないようで、簡単に開けることができた。
186: 2008/09/14(日) 01:52:39.43 ID:FodK6rJnO
めぐ「あら、ノックもなしに何のよう?」
中に入ると、パジャマを着て、白いシーツの中に足を入れている少女がいた。
ジュン「いや、その…」
めぐ「あれ?その子たちもしかして」
少女の目がキラキラ輝きだす。
その目線と追えば、真紅と翠星石を行き来していた。
翠「な、なんなんですかあの人間」
真紅「どうやら、私たちがなんなのか知っているようね」
中に入ると、パジャマを着て、白いシーツの中に足を入れている少女がいた。
ジュン「いや、その…」
めぐ「あれ?その子たちもしかして」
少女の目がキラキラ輝きだす。
その目線と追えば、真紅と翠星石を行き来していた。
翠「な、なんなんですかあの人間」
真紅「どうやら、私たちがなんなのか知っているようね」
187: 2008/09/14(日) 01:57:02.91 ID:FodK6rJnO
めぐ「もしかして、あなたたちも天使さん?」
真紅たちを何回か見つめ、やっと何かを言ったかと思ったら、天使……??
一体何のことを言っているのだろうか。
真紅「私たちは天使じゃないわ」
めぐ「そうなの?あっ、羽がないものね」
翠「そ、そういう問題じゃねーですぅ」
なんなのだろうこの子は。
どこか一本くらいネジが抜けていそうな雰囲気だった。
真紅たちを何回か見つめ、やっと何かを言ったかと思ったら、天使……??
一体何のことを言っているのだろうか。
真紅「私たちは天使じゃないわ」
めぐ「そうなの?あっ、羽がないものね」
翠「そ、そういう問題じゃねーですぅ」
なんなのだろうこの子は。
どこか一本くらいネジが抜けていそうな雰囲気だった。
189: 2008/09/14(日) 02:03:50.46 ID:FodK6rJnO
めぐ「あっ、そうだ」
何か悪戯を思い付いたような子供のように、少女は顔をパッと明るくさせた。
めぐ「水銀燈、大丈夫だから出てきて」
ジュン「水銀燈……」
どうやら、やっぱりここにいたようだ。
少女が窓を開けると、バサッと黒い羽が空を二つに分ける。
その姿は天に見捨てられた、堕天使のようだった。
何か悪戯を思い付いたような子供のように、少女は顔をパッと明るくさせた。
めぐ「水銀燈、大丈夫だから出てきて」
ジュン「水銀燈……」
どうやら、やっぱりここにいたようだ。
少女が窓を開けると、バサッと黒い羽が空を二つに分ける。
その姿は天に見捨てられた、堕天使のようだった。
190: 2008/09/14(日) 02:09:26.50 ID:FodK6rJnO
真紅「水銀燈…やっぱりここにいたのね」
水銀燈「うるさいわね…だいたいなんでわかったのよ」
真紅「安心して、私はあなたとアリスゲームをしにきたわけじゃないわ」
水銀燈「じゃあ何しにきたのよ。なんのようもないなんて、ただのおバカさんよ」
ジュン「実はな水銀燈」
真紅「まってジュン」
僕が説明を始めようとすると、真紅がそれを遮った。
真紅「彼女には私から説明するわ」
そう言って真紅が前に出る。
そして、水銀燈の前に立つと、今の状況の説明を始めた。
水銀燈「うるさいわね…だいたいなんでわかったのよ」
真紅「安心して、私はあなたとアリスゲームをしにきたわけじゃないわ」
水銀燈「じゃあ何しにきたのよ。なんのようもないなんて、ただのおバカさんよ」
ジュン「実はな水銀燈」
真紅「まってジュン」
僕が説明を始めようとすると、真紅がそれを遮った。
真紅「彼女には私から説明するわ」
そう言って真紅が前に出る。
そして、水銀燈の前に立つと、今の状況の説明を始めた。
192: 2008/09/14(日) 02:17:17.01 ID:FodK6rJnO
水銀燈「………そう」
説明を聞き終わった水銀燈が、興味なさ気に返事をする。
真紅「水銀燈」
水銀燈「真紅ってホントにおバカさん」
真紅「なっ…!!!ん……」
罵りの言葉を受け、少しキレそうなった真紅がなんとか気を落ち着ける。
水銀燈「なぁに?言い返さないなんて、真紅らしくないじゃない」
真紅「…………」
水銀燈「だいたい願いが叶う空間なら、お父様に逢いたいに決まってるわ」
たしかにそうだ。
僕は、初めからそれだけが疑問だった。
ここは彼女の願いが叶った空間。
でも、幸せな要素が全くない。
一体何が水銀燈の願いなのだろう……
説明を聞き終わった水銀燈が、興味なさ気に返事をする。
真紅「水銀燈」
水銀燈「真紅ってホントにおバカさん」
真紅「なっ…!!!ん……」
罵りの言葉を受け、少しキレそうなった真紅がなんとか気を落ち着ける。
水銀燈「なぁに?言い返さないなんて、真紅らしくないじゃない」
真紅「…………」
水銀燈「だいたい願いが叶う空間なら、お父様に逢いたいに決まってるわ」
たしかにそうだ。
僕は、初めからそれだけが疑問だった。
ここは彼女の願いが叶った空間。
でも、幸せな要素が全くない。
一体何が水銀燈の願いなのだろう……
193: 2008/09/14(日) 02:23:39.91 ID:FodK6rJnO
ジュン「なぁ水銀燈、お前って……」
水銀燈「何よ、私はあなたになんか興味ないわぁ」
なんかムカつくな。
その感情を押し頃して、話を続ける。
ジュン「お前は、この普通な日常を望んだんじゃないのか?」
水銀燈「…………私が?」
ジュン「あぁ…」
水銀燈「私がお父様より大切な物なんであるはず……」
真紅「でも、この空間はあなたの願いを叶えるのよ?」
水銀燈「じゃあ……私は……」
今まで、病室の窓の外を飛んでいた水銀燈が、少女の寝ているベットの上に降り立つ。
水銀燈「何よ、私はあなたになんか興味ないわぁ」
なんかムカつくな。
その感情を押し頃して、話を続ける。
ジュン「お前は、この普通な日常を望んだんじゃないのか?」
水銀燈「…………私が?」
ジュン「あぁ…」
水銀燈「私がお父様より大切な物なんであるはず……」
真紅「でも、この空間はあなたの願いを叶えるのよ?」
水銀燈「じゃあ……私は……」
今まで、病室の窓の外を飛んでいた水銀燈が、少女の寝ているベットの上に降り立つ。
194: 2008/09/14(日) 02:31:06.84 ID:FodK6rJnO
水銀燈「私が…お父様よりめぐとの日常を……?」
水銀燈が、めぐと呼んだ少女へと近づく。
めぐ「水銀燈……?」
水銀燈「めぐ……私、私は……」
すぐに少女のもとへ水銀燈がたどり着く。
水銀燈「私…う……私はとんだジャンクだわ……グス」
そして、そのまま少女に抱き着き、涙を流し始めた。
水銀燈「お父様より、あなたと……めぐとの日常が大事だなんて……」
めぐ「水銀燈、大丈夫?」
水銀燈「嫌なのよ…」
めぐ「……え?」
水銀燈が、めぐと呼んだ少女へと近づく。
めぐ「水銀燈……?」
水銀燈「めぐ……私、私は……」
すぐに少女のもとへ水銀燈がたどり着く。
水銀燈「私…う……私はとんだジャンクだわ……グス」
そして、そのまま少女に抱き着き、涙を流し始めた。
水銀燈「お父様より、あなたと……めぐとの日常が大事だなんて……」
めぐ「水銀燈、大丈夫?」
水銀燈「嫌なのよ…」
めぐ「……え?」
195: 2008/09/14(日) 02:37:38.49 ID:FodK6rJnO
水銀燈「あなたが氏ぬのは見たくないのよ」
めぐ「…………」
ダムが崩壊して水が流れ出すように、水銀燈は話し続ける。
水銀燈「氏にたいなんて言わないで……
あなたが氏んで悲しむ人もいるのよ」
めぐ「前にも言ったけどそんな人は」
水銀燈「いるわよ!!」
ビックリするくらいの大きな声が、病室に響き渡る。
水銀燈「あなたのお父様やお母様が、あなたを本当に見捨てたと思うの?」
めぐ「だって…」
水銀燈「私は思わない、思いたくないだけなのかもしれないけれど……」
めぐ「…水銀燈」
めぐ「…………」
ダムが崩壊して水が流れ出すように、水銀燈は話し続ける。
水銀燈「氏にたいなんて言わないで……
あなたが氏んで悲しむ人もいるのよ」
めぐ「前にも言ったけどそんな人は」
水銀燈「いるわよ!!」
ビックリするくらいの大きな声が、病室に響き渡る。
水銀燈「あなたのお父様やお母様が、あなたを本当に見捨てたと思うの?」
めぐ「だって…」
水銀燈「私は思わない、思いたくないだけなのかもしれないけれど……」
めぐ「…水銀燈」
199: 2008/09/14(日) 02:45:25.11 ID:FodK6rJnO
水銀燈「人は氏んでも、土に還るだけ
絶対に星や泡になったりなんかしないわ
綺麗な氏に方なんてないのよ…」
めぐ「…………」
水銀燈「あなたの病気は治らないかもしれない
でも、それでも、希望を持ちなさいよ!
最後の最後まであきらめちゃダメなのよ」
めぐ「うん……」
今まで、水銀燈の話に対して、否定的な意見だった少女が、初めて肯定的な意見を出した。
めぐ「水銀燈…あなたがそこまで言うなら、私は頑張ってみる」
水銀燈「めぐ……」
めぐ「あ~あ……氏にたいなんて思ってた私が馬鹿みたい」
水銀燈「ふふ…あなたは本当におバカさんよ」
絶対に星や泡になったりなんかしないわ
綺麗な氏に方なんてないのよ…」
めぐ「…………」
水銀燈「あなたの病気は治らないかもしれない
でも、それでも、希望を持ちなさいよ!
最後の最後まであきらめちゃダメなのよ」
めぐ「うん……」
今まで、水銀燈の話に対して、否定的な意見だった少女が、初めて肯定的な意見を出した。
めぐ「水銀燈…あなたがそこまで言うなら、私は頑張ってみる」
水銀燈「めぐ……」
めぐ「あ~あ……氏にたいなんて思ってた私が馬鹿みたい」
水銀燈「ふふ…あなたは本当におバカさんよ」
203: 2008/09/14(日) 02:55:52.77 ID:FodK6rJnO
めぐ「水銀燈……私、あなたが世界で1番大好きよ」
少女はそう言って、水銀燈を抱きしめる。
水銀燈「私はだいっきらいよ」
めぐ「あら?さっきまでの発言だと両想いだと思ったのに」
水銀燈「本当に気が狂ってるわね、あなた。
私がお父様以外の人間を好きになるわけないじゃなぁい」
そう言って水銀燈は少しだけ微笑んだ。
めぐ「水銀燈が私を好きになるまでは氏ねないなぁ」
水銀燈「じゃあ一生氏ねないわね」
めぐ「水銀燈って、やっぱりケチ」
水銀燈「うるさいわね……」
少女はそう言って、水銀燈を抱きしめる。
水銀燈「私はだいっきらいよ」
めぐ「あら?さっきまでの発言だと両想いだと思ったのに」
水銀燈「本当に気が狂ってるわね、あなた。
私がお父様以外の人間を好きになるわけないじゃなぁい」
そう言って水銀燈は少しだけ微笑んだ。
めぐ「水銀燈が私を好きになるまでは氏ねないなぁ」
水銀燈「じゃあ一生氏ねないわね」
めぐ「水銀燈って、やっぱりケチ」
水銀燈「うるさいわね……」
204: 2008/09/14(日) 03:02:35.80 ID:FodK6rJnO
ラプラス「ビューティフル
なんと美しい愛でしょうか」
水銀燈「ラプラスの魔?」
めぐ「なに?あのウサギ?」
ラプラス「おや、そんなに睨まないで下さい」
水銀燈「何をしに来たの?」
ジュン「落ち着いてくれ水銀燈」
警戒を解こうとしない水銀燈をなだめる。
水銀燈「無理だわ。私はあのウサギがだいっきらいなの」
ラプラス「私も嫌われたものですね
はてさて、そんなことより駒は全て揃いましたね」
ジュン「あぁ」
なんと美しい愛でしょうか」
水銀燈「ラプラスの魔?」
めぐ「なに?あのウサギ?」
ラプラス「おや、そんなに睨まないで下さい」
水銀燈「何をしに来たの?」
ジュン「落ち着いてくれ水銀燈」
警戒を解こうとしない水銀燈をなだめる。
水銀燈「無理だわ。私はあのウサギがだいっきらいなの」
ラプラス「私も嫌われたものですね
はてさて、そんなことより駒は全て揃いましたね」
ジュン「あぁ」
206: 2008/09/14(日) 03:05:40.99 ID:FodK6rJnO
ラプラス「では、これが最後の扉」
今までいた病室が消え、真っ暗闇の中に扉が現れる。
水銀燈「めぐ?一体どうなってるのよ」
真紅「私にもよく分からないわ、でも無理矢理にでも理解するしかないでしょう」
翠「そうですよ、水銀燈」
水銀燈「わかったわよ…」
今までいた病室が消え、真っ暗闇の中に扉が現れる。
水銀燈「めぐ?一体どうなってるのよ」
真紅「私にもよく分からないわ、でも無理矢理にでも理解するしかないでしょう」
翠「そうですよ、水銀燈」
水銀燈「わかったわよ…」
207: 2008/09/14(日) 03:10:05.55 ID:FodK6rJnO
ラプラス「お話はおしまいでしょうか?」
真紅「ええ」
ラプラス「そうですか
この扉を開くも開かないもあなたしだい
この先に待つのは希望の光か、それとも絶望の闇か
これ以上はあなたの選択次第」
ラプラス「さぁ最後の選択を
開けますか?
開けませんか?」
真紅「ええ」
ラプラス「そうですか
この扉を開くも開かないもあなたしだい
この先に待つのは希望の光か、それとも絶望の闇か
これ以上はあなたの選択次第」
ラプラス「さぁ最後の選択を
開けますか?
開けませんか?」
228: 2008/09/14(日) 09:24:15.73 ID:FodK6rJnO
何分経っただろうか。
金糸雀「はぁ…はぁ…」
雪華綺晶「………」
私の攻撃を受けても、白薔薇は平気な顔で立ち続けていた。
これはさすがに危ないかしら……
金糸雀「……!終りのない追走曲!!」
また技を繰り出す。
しかし、それもまた荊で防がれる。
金糸雀「くっ……クレッシェンド!」
なんとか威力を強める。
しかし、それも1番最初の攻撃よりは明らかに威力は衰えていた。
金糸雀「はぁ…はぁ…」
雪華綺晶「………」
私の攻撃を受けても、白薔薇は平気な顔で立ち続けていた。
これはさすがに危ないかしら……
金糸雀「……!終りのない追走曲!!」
また技を繰り出す。
しかし、それもまた荊で防がれる。
金糸雀「くっ……クレッシェンド!」
なんとか威力を強める。
しかし、それも1番最初の攻撃よりは明らかに威力は衰えていた。
229: 2008/09/14(日) 09:30:34.45 ID:FodK6rJnO
案の定、威力の衰えた攻撃は弾かれた。
その反動に少し地に膝をつく。
さすがに限界だった……
金糸雀「ふぃ……あっ、しまっ」
なんとか息を調えようとしたとき、下から荊が現れ、私を縛りつける。
金糸雀「くっ、うっ……」
刺の痛みにバイオリンとその弓を落とす。
金糸雀「絶体絶命かしら」
雪華綺晶「可哀相なお姉様。大丈夫、今楽にしてあげます」
ふふふ、と白薔薇が不気味に笑う。
そこで、私の意識は途絶えた。
その反動に少し地に膝をつく。
さすがに限界だった……
金糸雀「ふぃ……あっ、しまっ」
なんとか息を調えようとしたとき、下から荊が現れ、私を縛りつける。
金糸雀「くっ、うっ……」
刺の痛みにバイオリンとその弓を落とす。
金糸雀「絶体絶命かしら」
雪華綺晶「可哀相なお姉様。大丈夫、今楽にしてあげます」
ふふふ、と白薔薇が不気味に笑う。
そこで、私の意識は途絶えた。
230: 2008/09/14(日) 09:38:58.46 ID:FodK6rJnO
――ジュン目線
扉を開けた先は、真っ白な平原だった。
下を見ると、その白の正体が薔薇であることがわかる。
ジュン「どこなんだ、ここは」
辺りを見渡しても、白、白、白…
水銀燈「なんか不気味な世界ね」
翠「お前の世界も十分不気味だったですぅ」
水銀燈「なんですって」
翠星石の発言に、少しだけ憎しみの念をこめて、発言者を睨む水銀燈。
翠「ひっ、や、やるですか…?」
水銀燈「あなたとは決着をつけないといけないわぁ」
翠「ど、どこからでもかかって来やがれです!」
はぁ。
全く何をしてるんだか。
真紅「あなたたち、喧嘩はやめなさい」
僕が呆れたため息をついていると、真紅が二人の仲裁に入っていた。
なんだか、またややこしくなりそうだ。
扉を開けた先は、真っ白な平原だった。
下を見ると、その白の正体が薔薇であることがわかる。
ジュン「どこなんだ、ここは」
辺りを見渡しても、白、白、白…
水銀燈「なんか不気味な世界ね」
翠「お前の世界も十分不気味だったですぅ」
水銀燈「なんですって」
翠星石の発言に、少しだけ憎しみの念をこめて、発言者を睨む水銀燈。
翠「ひっ、や、やるですか…?」
水銀燈「あなたとは決着をつけないといけないわぁ」
翠「ど、どこからでもかかって来やがれです!」
はぁ。
全く何をしてるんだか。
真紅「あなたたち、喧嘩はやめなさい」
僕が呆れたため息をついていると、真紅が二人の仲裁に入っていた。
なんだか、またややこしくなりそうだ。
231: 2008/09/14(日) 09:44:02.40 ID:FodK6rJnO
あのあと、やっぱり喧嘩になった。
全く、みんな子供かよ…
水銀燈はもっと大人かと思っていたのに、ほとんど喧嘩の中心だった。
それを止める僕の気持ちにもなってくれよ。
そんなことを考えながら、このヘンテコな世界を歩き回る。
翠「変です」
翠星石が、何かに気付いたように立ち止まる。
真紅「どうしたの?」
翠「景色が全く変わってないんですよ」
景色が変わってない?
どういうことだろうか。
僕たちはちゃんと歩いてるし……
全く、みんな子供かよ…
水銀燈はもっと大人かと思っていたのに、ほとんど喧嘩の中心だった。
それを止める僕の気持ちにもなってくれよ。
そんなことを考えながら、このヘンテコな世界を歩き回る。
翠「変です」
翠星石が、何かに気付いたように立ち止まる。
真紅「どうしたの?」
翠「景色が全く変わってないんですよ」
景色が変わってない?
どういうことだろうか。
僕たちはちゃんと歩いてるし……
233: 2008/09/14(日) 09:48:36.68 ID:FodK6rJnO
翠「水銀燈、ちょっと上から見てきてほしいです」
水銀燈「はぁ?なんで私が」
真紅「飛べるのはあなたしかいない。私からもお願いするわ、水銀燈」
水銀燈「……わかったわよ」
仕方ないわね、といった感じに、水銀燈は漆黒の翼を伸ばし、空高く舞い上がる。
そのとき僕も翼が欲しいな、と思ったのは恥ずかしいから秘密にしておこう。
水銀燈「はぁ?なんで私が」
真紅「飛べるのはあなたしかいない。私からもお願いするわ、水銀燈」
水銀燈「……わかったわよ」
仕方ないわね、といった感じに、水銀燈は漆黒の翼を伸ばし、空高く舞い上がる。
そのとき僕も翼が欲しいな、と思ったのは恥ずかしいから秘密にしておこう。
234: 2008/09/14(日) 09:57:56.92 ID:FodK6rJnO
空で、ここ一帯を見渡し、水銀燈が地に降りてくる。
翠「どうだったですか?」
水銀燈「ちょ、近いわよ」
翠「あ、ごめんなさいです」
水銀燈「まぁいいけど……」
はぁ、と水銀燈はため息をつき、話を始めた。
水銀燈の話によると、なんら問題はないそうだ。
ただ、同じような平原が続いてるだけらしい。
236: 2008/09/14(日) 10:15:55.90 ID:FodK6rJnO
平原を歩いていると、やっと今までとは違う景色が現れる?
ジュン「小屋?」
何もない平原に、ただ一つだけ小さな家があった。
ジュン「よし、早く行くぞ」
やっとの変化が嬉しくて、僕は小屋に走り出した。
翠「きゅ、急に走りだすなですぅ……」
真紅「全く……」
水銀燈「………」
ジュン「しょうがないだろ、なんか嬉しかったんだから」
三人が三人、僕に何かを言っていたが、僕はそれを無視して小屋を調べ続けた。
ジュン「小屋?」
何もない平原に、ただ一つだけ小さな家があった。
ジュン「よし、早く行くぞ」
やっとの変化が嬉しくて、僕は小屋に走り出した。
翠「きゅ、急に走りだすなですぅ……」
真紅「全く……」
水銀燈「………」
ジュン「しょうがないだろ、なんか嬉しかったんだから」
三人が三人、僕に何かを言っていたが、僕はそれを無視して小屋を調べ続けた。
237: 2008/09/14(日) 10:20:51.49 ID:FodK6rJnO
ジュン「ん……?」
小屋の裏にまわると、扉があった。
ジュン「開けるぞ」
真紅「え?ま、まちなさいジュン」
真紅が僕を止めてきたが、これ以上はあまり時間がなさそうなので、少しだけ警戒をしながら扉を開けた。
ジュン「なんだ、これ?」
小屋の中にたった一つだけある机に絵本が置かれていた。
何気ない気持ちで、僕はそれを開いた。
小屋の裏にまわると、扉があった。
ジュン「開けるぞ」
真紅「え?ま、まちなさいジュン」
真紅が僕を止めてきたが、これ以上はあまり時間がなさそうなので、少しだけ警戒をしながら扉を開けた。
ジュン「なんだ、これ?」
小屋の中にたった一つだけある机に絵本が置かれていた。
何気ない気持ちで、僕はそれを開いた。
238: 2008/09/14(日) 10:35:02.76 ID:FodK6rJnO
~エピソード雪華綺晶~
ふわふわ、ふわふわと空間を漂う。
何もない。ここには何もなかった。
身体を捻り、仰向けから俯せになる。
そのまま水の中を泳ぐように、空間を漂う。
ふわふわ、ふわふわと空間を漂う。
何もない。ここには何もなかった。
身体を捻り、仰向けから俯せになる。
そのまま水の中を泳ぐように、空間を漂う。
251: 2008/09/14(日) 13:41:39.12 ID:FodK6rJnO
ぼーって漂い続ける。
だんだんと前に進む。
すると、目の前に一枚の鏡が現れる。
中を覗くと、小さな男の子と大人の女性が歩いていた。
手を繋ぎ、小さな男の子のが何かを言う。
それを大人の女性は笑顔で見守る。
分からない…分からない…
どうして笑っているの?
ねぇどうして……?
教えてお父様……
だんだんと前に進む。
すると、目の前に一枚の鏡が現れる。
中を覗くと、小さな男の子と大人の女性が歩いていた。
手を繋ぎ、小さな男の子のが何かを言う。
それを大人の女性は笑顔で見守る。
分からない…分からない…
どうして笑っているの?
ねぇどうして……?
教えてお父様……
253: 2008/09/14(日) 13:42:51.69 ID:FodK6rJnO
誤字が多いね……
ごめん、脳内で変換しといてください
ごめん、脳内で変換しといてください
255: 2008/09/14(日) 13:47:34.31 ID:FodK6rJnO
もちろん返事はない。
胸がチクりと痛む。
なんだろう、この気持ちは。
鏡が別の映像を映し出す。
雪華綺晶「これは……」
鏡の中には、紅薔薇のお姉さま、そして人間の男の子がいた。
笑顔はないけれど、どこか温かい感じがした。
胸がチクりと痛む。
なんだろう、この気持ちは。
鏡が別の映像を映し出す。
雪華綺晶「これは……」
鏡の中には、紅薔薇のお姉さま、そして人間の男の子がいた。
笑顔はないけれど、どこか温かい感じがした。
256: 2008/09/14(日) 13:52:49.83 ID:FodK6rJnO
また映像が変わる。
今度は、双子のお姉さまたちが映し出される。
広い草原で、手を繋ぎ、笑顔で走りまわる二人が。
何故だか、また胸が痛む。
チクチク、まるで針でつつかれているように。
今度は、双子のお姉さまたちが映し出される。
広い草原で、手を繋ぎ、笑顔で走りまわる二人が。
何故だか、また胸が痛む。
チクチク、まるで針でつつかれているように。
257: 2008/09/14(日) 13:57:05.36 ID:FodK6rJnO
その痛みのせいなのか、目から水が流れる。
なんなのだろうこれは……
泣いているの……?
どうして、泣いているの?
鏡を再び見る。
中には、黒薔薇のお姉さまと白いシーツに包まれている少女がいた。
少女が一方的に話し掛けている。
それに、面倒くさそうに返事をするお姉さま。
でも、どこか嬉しそうだった。
なんなのだろうこれは……
泣いているの……?
どうして、泣いているの?
鏡を再び見る。
中には、黒薔薇のお姉さまと白いシーツに包まれている少女がいた。
少女が一方的に話し掛けている。
それに、面倒くさそうに返事をするお姉さま。
でも、どこか嬉しそうだった。
258: 2008/09/14(日) 14:03:23.18 ID:FodK6rJnO
その映像を見て、さらに涙が溢れ出る……
なんだろう、この気持ちは。
胸の中に穴が開いた気持ちになる……
―――寂しい
寂しい?
初めて聞く言葉だった。
孤独……寂しい……
雪華綺晶「なんで………なんで……」
なんで私は一人なの?
なんだろう、この気持ちは。
胸の中に穴が開いた気持ちになる……
―――寂しい
寂しい?
初めて聞く言葉だった。
孤独……寂しい……
雪華綺晶「なんで………なんで……」
なんで私は一人なの?
259: 2008/09/14(日) 14:08:29.28 ID:FodK6rJnO
――ジュン目線
パンパンと手を叩く音で、現実に引き戻される。
辺りを見ると、さっきまでの小屋ではなく、闇が広がっていた。
ラプラス「どうでしたか、彼女の心の世界は?」
ジュン「雪華綺晶の心の世界?」
ラプラス「ええ…
感情なき子が初めて覚えた感情
それは喜びでも怒りでもなく、悲しみ
あぁ、なんと可哀相な白薔薇」
悲しみ、寂しさ。
まるでそれしかないような世界が、あいつの中だと?
パンパンと手を叩く音で、現実に引き戻される。
辺りを見ると、さっきまでの小屋ではなく、闇が広がっていた。
ラプラス「どうでしたか、彼女の心の世界は?」
ジュン「雪華綺晶の心の世界?」
ラプラス「ええ…
感情なき子が初めて覚えた感情
それは喜びでも怒りでもなく、悲しみ
あぁ、なんと可哀相な白薔薇」
悲しみ、寂しさ。
まるでそれしかないような世界が、あいつの中だと?
260: 2008/09/14(日) 14:12:39.23 ID:FodK6rJnO
真紅「あの子………」
水銀燈「白薔薇…なんなのよ……一体」
翠「あんなに悲しい世界は初めてです…」
三人が少し動揺を見せる。
たしかにあんなものを見せられれば、こんな感情も出るだろう。
真紅「ジュン、行くわよ」
真紅が顔をあげる。
その目には決意のようなものが見えた。
水銀燈「白薔薇…なんなのよ……一体」
翠「あんなに悲しい世界は初めてです…」
三人が少し動揺を見せる。
たしかにあんなものを見せられれば、こんな感情も出るだろう。
真紅「ジュン、行くわよ」
真紅が顔をあげる。
その目には決意のようなものが見えた。
262: 2008/09/14(日) 14:17:45.05 ID:FodK6rJnO
真紅「水銀燈、翠星石」
真紅が振り返り、水銀燈と翠星石を見つめる。
水銀燈「そんな目で見なくたって、わかってるわよ」
翠「絶対に救いだしてやるですよ」
三人が同時に、うんと頷く。
ラプラス「これはこれは美しいかな
姉妹の愛情はきれないものですね
では、幸運を祈っています」
暗闇の中に扉が現れ、開く。
ジュン「行くぞ」
僕がそう言うと、三人は黙って頷いた。
真紅が振り返り、水銀燈と翠星石を見つめる。
水銀燈「そんな目で見なくたって、わかってるわよ」
翠「絶対に救いだしてやるですよ」
三人が同時に、うんと頷く。
ラプラス「これはこれは美しいかな
姉妹の愛情はきれないものですね
では、幸運を祈っています」
暗闇の中に扉が現れ、開く。
ジュン「行くぞ」
僕がそう言うと、三人は黙って頷いた。
263: 2008/09/14(日) 14:21:28.65 ID:FodK6rJnO
扉の中に入ると、まばゆい光が差し込んできて、一瞬目を閉じる。
それを我慢して、ゆっくりを目を開けていく。
ジュン「金糸雀!!」
目を開け、まず目に入ったのが、服がボロボロになり、地面に倒れている金糸雀だった。
雪華綺晶「あら、帰ってきたのですか?」
その言葉を無視して、金糸雀に駆け寄る。
ジュン「おい!大丈夫か!?」
金糸雀の身体を抱き上げ、ペチペチと頬を軽く叩く。
それを我慢して、ゆっくりを目を開けていく。
ジュン「金糸雀!!」
目を開け、まず目に入ったのが、服がボロボロになり、地面に倒れている金糸雀だった。
雪華綺晶「あら、帰ってきたのですか?」
その言葉を無視して、金糸雀に駆け寄る。
ジュン「おい!大丈夫か!?」
金糸雀の身体を抱き上げ、ペチペチと頬を軽く叩く。
264: 2008/09/14(日) 14:27:32.45 ID:FodK6rJnO
金糸雀「ん……」
気を失っていた金糸雀の顔が歪み、目が開かれる。
そして、今にも消えそうな声で『す……少し遅かったかしら』と言った。
ジュン「金糸雀……遅くなってごめん」
僕がそう言うと、金糸雀はニコリを笑顔を浮かべ、再び目を閉じた。
気を失っていた金糸雀の顔が歪み、目が開かれる。
そして、今にも消えそうな声で『す……少し遅かったかしら』と言った。
ジュン「金糸雀……遅くなってごめん」
僕がそう言うと、金糸雀はニコリを笑顔を浮かべ、再び目を閉じた。
265: 2008/09/14(日) 14:31:09.85 ID:FodK6rJnO
真紅「白薔薇」
僕が金糸雀を優しく抱いて立ち上がると同時に、真紅たちは雪華綺晶の前に立った。
雪華綺晶「どうしたのですか、お姉さま方?」
雪華綺晶はあくまで感情のない笑顔で、首を傾げた。
その笑顔に臆さず、真紅は雪華綺晶へと歩みよる。
僕が金糸雀を優しく抱いて立ち上がると同時に、真紅たちは雪華綺晶の前に立った。
雪華綺晶「どうしたのですか、お姉さま方?」
雪華綺晶はあくまで感情のない笑顔で、首を傾げた。
その笑顔に臆さず、真紅は雪華綺晶へと歩みよる。
267: 2008/09/14(日) 14:34:21.37 ID:FodK6rJnO
真紅「ごめんなさい」
真紅が話ながら、雪華綺晶へと近づく。
雪華綺晶「何を謝っているのですか?」
真紅「寂しかったのでしょう」
その言葉に、雪華綺晶の顔が怒りに歪む。
雪華綺晶「お姉さま…あなたに何がわかるんですか?」
どこからともなく荊が現れ、ただ歩みよる真紅を襲う。
真紅が話ながら、雪華綺晶へと近づく。
雪華綺晶「何を謝っているのですか?」
真紅「寂しかったのでしょう」
その言葉に、雪華綺晶の顔が怒りに歪む。
雪華綺晶「お姉さま…あなたに何がわかるんですか?」
どこからともなく荊が現れ、ただ歩みよる真紅を襲う。
268: 2008/09/14(日) 14:39:47.52 ID:FodK6rJnO
真紅「くっ……」
ザシュッと音を立てて、真紅のドレスが裂かれる。
かすかに身体に当たったのか真紅の顔が歪む。
ジュン「真紅!!」
僕が真紅に駆け寄ろうとすると、目の前に翠星石と水銀燈が立ちはだかる。
ジュン「どいてくれよ」
翠「ダメです」
ジュン「なんで……」
水銀燈「あれは真紅が決めたことよ。あなたにそれを邪魔する権利なんでないわ」
真紅が決めたこと…
自分が痛い思いをしても、雪華綺晶を助ける…か。
ザシュッと音を立てて、真紅のドレスが裂かれる。
かすかに身体に当たったのか真紅の顔が歪む。
ジュン「真紅!!」
僕が真紅に駆け寄ろうとすると、目の前に翠星石と水銀燈が立ちはだかる。
ジュン「どいてくれよ」
翠「ダメです」
ジュン「なんで……」
水銀燈「あれは真紅が決めたことよ。あなたにそれを邪魔する権利なんでないわ」
真紅が決めたこと…
自分が痛い思いをしても、雪華綺晶を助ける…か。
269: 2008/09/14(日) 14:44:13.40 ID:FodK6rJnO
真紅「ごめんなさい……一人で……」
雪華綺晶「うるさい、うるさい……」
雪華綺晶の攻撃が早さを増す。
それでも、真紅は避けることをせず、ただ自分の妹に歩み寄る。
真紅「…………雪華綺晶」
そして、真紅が雪華綺晶のもとへたどり着く。
雪華綺晶「な、なんで……なんで、貴方は………」
動揺をしはじめている雪華綺晶を真紅が、ギュッと抱きしめた。
雪華綺晶「うるさい、うるさい……」
雪華綺晶の攻撃が早さを増す。
それでも、真紅は避けることをせず、ただ自分の妹に歩み寄る。
真紅「…………雪華綺晶」
そして、真紅が雪華綺晶のもとへたどり着く。
雪華綺晶「な、なんで……なんで、貴方は………」
動揺をしはじめている雪華綺晶を真紅が、ギュッと抱きしめた。
272: 2008/09/14(日) 15:00:50.07 ID:FodK6rJnO
真紅「一人は辛かったでしょう」
抱きしめたまま、左手で雪華綺晶の頭を撫でる。
真紅「孤独ほどの不幸はないわ」
雪華綺晶「……う…あぁ…」
雪華綺晶が涙を流し始める。
それに気付いた真紅はさらに強く抱きしめた。
真紅「泣きなさい……私が全て受け止めてあげるわ」
雪華綺晶「ああぁ……うっ……」
抱きしめたまま、左手で雪華綺晶の頭を撫でる。
真紅「孤独ほどの不幸はないわ」
雪華綺晶「……う…あぁ…」
雪華綺晶が涙を流し始める。
それに気付いた真紅はさらに強く抱きしめた。
真紅「泣きなさい……私が全て受け止めてあげるわ」
雪華綺晶「ああぁ……うっ……」
275: 2008/09/14(日) 15:06:19.22 ID:FodK6rJnO
雪華綺晶「お姉さま、ごめんなさい…ごめんなさい」
泣き続ける雪華綺晶を、真紅は撫で続けた。
真紅「あなたがやったことは消えるわけではないわ」
雪華綺晶「……う……は、はい」
真紅「あなたは色々な人に迷惑をかけた」
真紅は微笑みを浮かべながら、話を続ける。
泣き続ける雪華綺晶を、真紅は撫で続けた。
真紅「あなたがやったことは消えるわけではないわ」
雪華綺晶「……う……は、はい」
真紅「あなたは色々な人に迷惑をかけた」
真紅は微笑みを浮かべながら、話を続ける。
277: 2008/09/14(日) 15:13:25.30 ID:FodK6rJnO
雪華綺晶「ありがとうごさいます、お姉さま」
そう言って、雪華綺晶は真紅から離れる。
雪華綺晶「今、眠っていた、全てのミーディアムが目を覚ましました」
真紅「そう」
どうやら、雪華綺晶は呪縛を解いたようだ。
雪華綺晶「この身体もお返ししますね」
そう言うと、雪華綺晶の身体が光り始め、二つに分離する。
一つは実体、もう一つは器を持たない幻に。
そう言って、雪華綺晶は真紅から離れる。
雪華綺晶「今、眠っていた、全てのミーディアムが目を覚ましました」
真紅「そう」
どうやら、雪華綺晶は呪縛を解いたようだ。
雪華綺晶「この身体もお返ししますね」
そう言うと、雪華綺晶の身体が光り始め、二つに分離する。
一つは実体、もう一つは器を持たない幻に。
280: 2008/09/14(日) 15:19:49.04 ID:FodK6rJnO
ジュン「雛苺!」
分離した実体のほうが、雛苺へと変わる。
雪華綺晶「ごめんなさい、紅薔薇のお姉さまのマスター…」
雛苺の身体に駆け寄った僕に、雪華綺晶が話しかける。
ジュン「気にしてないって言ったら嘘になる……」
雪華綺晶「はい……」
ジュン「許せないか許せるかと言ったら、いつまで経っても許すことはできない」
雪華綺晶「はい……ごめんなさい……」
僕の言葉を聞いた雪華綺晶が、少し残念そうな顔をして、すぐに優しい微笑みに変わる。
分離した実体のほうが、雛苺へと変わる。
雪華綺晶「ごめんなさい、紅薔薇のお姉さまのマスター…」
雛苺の身体に駆け寄った僕に、雪華綺晶が話しかける。
ジュン「気にしてないって言ったら嘘になる……」
雪華綺晶「はい……」
ジュン「許せないか許せるかと言ったら、いつまで経っても許すことはできない」
雪華綺晶「はい……ごめんなさい……」
僕の言葉を聞いた雪華綺晶が、少し残念そうな顔をして、すぐに優しい微笑みに変わる。
282: 2008/09/14(日) 15:23:15.82 ID:FodK6rJnO
雪華綺晶「私はこれで消えますね……」
ジュン「え?」
雪華綺晶「私は幻のようなもの……夢が必ず覚めるのならば、幻も消えるのが運命……」
幻?
何を言ってるんだよ。
ジュン「お前は消えちゃいけない」
雪華綺晶「……え?」
ジュン「え?」
雪華綺晶「私は幻のようなもの……夢が必ず覚めるのならば、幻も消えるのが運命……」
幻?
何を言ってるんだよ。
ジュン「お前は消えちゃいけない」
雪華綺晶「……え?」
283: 2008/09/14(日) 15:28:28.17 ID:FodK6rJnO
ジュン「お前は幻なんかじゃない」
雪華綺晶「………」
僕の言葉に雪華綺晶は耳をかたむける。
ジュン「お前には感情があるんだ」
そう、感情があるんだ。
まだ、悲しみ、寂しさだけだけど……
ジュン「だからお前は幻じゃなくて、ちゃんと生きてるんだ」
雪華綺晶「でも、身体が……」
ジュン「それなら僕が作ってやる!」
雪華綺晶「え?……できるわけないですよ」
お父様でもないかぎり、そんなことは無理です。
雪華綺晶はそう続けた。
雪華綺晶「………」
僕の言葉に雪華綺晶は耳をかたむける。
ジュン「お前には感情があるんだ」
そう、感情があるんだ。
まだ、悲しみ、寂しさだけだけど……
ジュン「だからお前は幻じゃなくて、ちゃんと生きてるんだ」
雪華綺晶「でも、身体が……」
ジュン「それなら僕が作ってやる!」
雪華綺晶「え?……できるわけないですよ」
お父様でもないかぎり、そんなことは無理です。
雪華綺晶はそう続けた。
284: 2008/09/14(日) 15:33:31.13 ID:FodK6rJnO
ジュン「いいから、消えるんじゃない」
雪華綺晶「でも……」
真紅「いつまでそんなことを続けるのよ」
水銀燈「ほんとぉにおバカさんね、あなたたち」
翠「もう、消えてなくなっちまえです」
真紅「ちょっと翠星石!!」
痺れを切らしたのか、三人が僕らの会話に入ってくる。
雪華綺晶「でも……」
真紅「いつまでそんなことを続けるのよ」
水銀燈「ほんとぉにおバカさんね、あなたたち」
翠「もう、消えてなくなっちまえです」
真紅「ちょっと翠星石!!」
痺れを切らしたのか、三人が僕らの会話に入ってくる。
286: 2008/09/14(日) 15:38:50.48 ID:FodK6rJnO
翠「チビ人間!そんなやつの身体つくるなら、翠星石に新しいドレス作りやがれですぅ」
ジュン「ま、まて、足を引っ張るな!」
真紅「あとジュン…あなたはいつまで金糸雀を抱いているの?
だいたい金糸雀!あなたも起きてるでしょう!う」
金糸雀「ぎ、ギクゥ!な、なんでばれたかしらー」
ジュン「お前起きてたのかよ」
水銀燈「…………はぁ…全く付き合ってられなぁい…」
雪華綺晶「ぷっ……ふふふ……」
みんな「え?」
ジュン「ま、まて、足を引っ張るな!」
真紅「あとジュン…あなたはいつまで金糸雀を抱いているの?
だいたい金糸雀!あなたも起きてるでしょう!う」
金糸雀「ぎ、ギクゥ!な、なんでばれたかしらー」
ジュン「お前起きてたのかよ」
水銀燈「…………はぁ…全く付き合ってられなぁい…」
雪華綺晶「ぷっ……ふふふ……」
みんな「え?」
287: 2008/09/14(日) 15:42:56.33 ID:FodK6rJnO
ジュン「笑った……」
翠「なぁに勝手に笑ってるですか」
雪華綺晶「ごめんなさい。本当に……」
雪華綺晶が笑いをこらえる。
雪華綺晶「わかりました、消えません」
真紅「そう、消えないのね」
雪華綺晶「こんなに楽しいことがあるのなら……私も楽しんでみたいです」
そう言って雪華綺晶は微笑んだ。
たぶん、心の底からの笑みだった。
翠「なぁに勝手に笑ってるですか」
雪華綺晶「ごめんなさい。本当に……」
雪華綺晶が笑いをこらえる。
雪華綺晶「わかりました、消えません」
真紅「そう、消えないのね」
雪華綺晶「こんなに楽しいことがあるのなら……私も楽しんでみたいです」
そう言って雪華綺晶は微笑んだ。
たぶん、心の底からの笑みだった。
289: 2008/09/14(日) 15:47:38.98 ID:FodK6rJnO
~水銀燈~
めぐ「ねぇ水銀燈」
水銀燈「なによ」
めぐ「私のこと好き?」
水銀燈「その質問何回目?」
めぐ「いいじゃない、もしかしたら変わってるかもしてないでしょ?」
水銀燈「まだまだだいっきらいよ」
めぐ「ケチね」
水銀燈「うるさいわね……」
めぐ「ねぇ水銀燈」
水銀燈「なによ」
めぐ「私のこと好き?」
水銀燈「その質問何回目?」
めぐ「いいじゃない、もしかしたら変わってるかもしてないでしょ?」
水銀燈「まだまだだいっきらいよ」
めぐ「ケチね」
水銀燈「うるさいわね……」
291: 2008/09/14(日) 16:00:36.25 ID:FodK6rJnO
~翠星石~
翠「おじじ!遊びに来てやったですよ」
一葉「今日はガラスを割らないんだね」
翠「毎回毎回ガラスを割ったら、おじじが可哀相です」
一葉「そうか…」
翠「ほら、さっさと紅茶をいれやがれですぅ」
一葉「はいはい」
翠「おじじ!遊びに来てやったですよ」
一葉「今日はガラスを割らないんだね」
翠「毎回毎回ガラスを割ったら、おじじが可哀相です」
一葉「そうか…」
翠「ほら、さっさと紅茶をいれやがれですぅ」
一葉「はいはい」
295: 2008/09/14(日) 16:04:08.67 ID:FodK6rJnO
~金糸雀~
みつ「今日はパーティーよ」
金糸雀「鍋なのかしらー」
みつ「ふっふっーん、もちろんカナの大好きなタマゴ焼も入ってるわよ」
金糸雀「え?」
みつ「鍋はいろんなものを入れるから楽しいのよー」
金糸雀「今日も、みっちゃんは暴走してるかしら…」
みつ「今日はパーティーよ」
金糸雀「鍋なのかしらー」
みつ「ふっふっーん、もちろんカナの大好きなタマゴ焼も入ってるわよ」
金糸雀「え?」
みつ「鍋はいろんなものを入れるから楽しいのよー」
金糸雀「今日も、みっちゃんは暴走してるかしら…」
297: 2008/09/14(日) 16:08:44.33 ID:FodK6rJnO
~真紅~
真紅「ジュン、起きなさい」
ジュン「…ん……」
真紅「起きないわ……
そうだ、この本で……」
バン!
ジュン「ぐぁ……」
真紅「目が覚めた?朝食を作ってほしいから、早く下に来て頂戴」
ジュン「いてて…もうちょっと、起こし方をだな……」
真紅「ふふ、いいじゃない
ジュン、早く下にきて紅茶をいれて頂戴」
真紅「ジュン、起きなさい」
ジュン「…ん……」
真紅「起きないわ……
そうだ、この本で……」
バン!
ジュン「ぐぁ……」
真紅「目が覚めた?朝食を作ってほしいから、早く下に来て頂戴」
ジュン「いてて…もうちょっと、起こし方をだな……」
真紅「ふふ、いいじゃない
ジュン、早く下にきて紅茶をいれて頂戴」
299: 2008/09/14(日) 16:12:22.18 ID:FodK6rJnO
~ジュン~
あのあと、みんなは自分の好きな生活をしている。
翠星石は毎日おじいさんの家に遊びに行っているし、金糸雀はあいかわらず、僕の家にくる。
水銀燈は………
最近、全然襲ってこないな……
アリスになるのはどうしたんだろう。
あのあと、みんなは自分の好きな生活をしている。
翠星石は毎日おじいさんの家に遊びに行っているし、金糸雀はあいかわらず、僕の家にくる。
水銀燈は………
最近、全然襲ってこないな……
アリスになるのはどうしたんだろう。
300: 2008/09/14(日) 16:15:50.60 ID:FodK6rJnO
ジュン「ふぅ……」
僕は頑張って勉強して、復学をしようと頑張っている。
ジュン「疲れた……少し休むか」
椅子から立ち上がり、ベットへと向かう。
そして、ベットに座ろうとした瞬間、真紅が僕の部屋に入ってきた。
僕は頑張って勉強して、復学をしようと頑張っている。
ジュン「疲れた……少し休むか」
椅子から立ち上がり、ベットへと向かう。
そして、ベットに座ろうとした瞬間、真紅が僕の部屋に入ってきた。
302: 2008/09/14(日) 16:19:34.21 ID:FodK6rJnO
真紅「あらジュン。もう勉強はいいの?」
ジュン「あんまり詰め込んでも意味がないんだよ」
真紅「そう」
トテトテと真紅が僕に近づいてくる。
真紅「今日は行かないの?」
ジュン「雪華綺晶のところか?」
真紅「ええ」
真紅が僕の顔をじっと見る。
だが恥ずかしくなったのか、僕が目をそらす前に、真紅が目をそらす。
ジュン「あんまり詰め込んでも意味がないんだよ」
真紅「そう」
トテトテと真紅が僕に近づいてくる。
真紅「今日は行かないの?」
ジュン「雪華綺晶のところか?」
真紅「ええ」
真紅が僕の顔をじっと見る。
だが恥ずかしくなったのか、僕が目をそらす前に、真紅が目をそらす。
303: 2008/09/14(日) 16:23:12.84 ID:FodK6rJnO
真紅「だいたい、いつになったらあの子の身体を作るの?」
ジュン「今作ってるんだよ」
真紅「いつになったらできるのかと、あの子は楽しみにしていたわ」
ジュン「そうなのか」
その言葉に顔がひきつる。
実は、まだ全然できてない。
作ってるときに、初めてローゼンってすごいんだなと思った。
ジュン「今作ってるんだよ」
真紅「いつになったらできるのかと、あの子は楽しみにしていたわ」
ジュン「そうなのか」
その言葉に顔がひきつる。
実は、まだ全然できてない。
作ってるときに、初めてローゼンってすごいんだなと思った。
306: 2008/09/14(日) 16:29:09.71 ID:FodK6rJnO
ジュン「というか、なんでお前が、そんなに急かすんだよ」
真紅「そ、それは…」
僕の質問に、珍しく真紅が口を濁す。
真紅「あの子がいれば、簡単にローザミスティカが集まりそう……」
そうか…
まだアリスゲームは終わってないんだな。
僕はとっくに終わったと思ってたよ……
真紅「もう、そんなことはどうでもいいわ!」
真紅はいきなり大声を出して、僕の手を握る。
真紅「ほら、さっさと行くのだわ」
僕の手をひき、真紅が部屋から出ようとする。
あぁ、こんな普通の生活もいいな。
真紅「そ、それは…」
僕の質問に、珍しく真紅が口を濁す。
真紅「あの子がいれば、簡単にローザミスティカが集まりそう……」
そうか…
まだアリスゲームは終わってないんだな。
僕はとっくに終わったと思ってたよ……
真紅「もう、そんなことはどうでもいいわ!」
真紅はいきなり大声を出して、僕の手を握る。
真紅「ほら、さっさと行くのだわ」
僕の手をひき、真紅が部屋から出ようとする。
あぁ、こんな普通の生活もいいな。
307: 2008/09/14(日) 16:34:19.92 ID:FodK6rJnO
人の幸せにはいろんなものがあるみたいだ。
姉妹や兄弟で暮らすことだったり
好きな人のそばにいることだったり
普通の日常だったり
真紅「ほら、早く歩きなさい」
ジュン「わかったよ」
その中でも僕の幸せは………
閉幕
姉妹や兄弟で暮らすことだったり
好きな人のそばにいることだったり
普通の日常だったり
真紅「ほら、早く歩きなさい」
ジュン「わかったよ」
その中でも僕の幸せは………
閉幕
308: 2008/09/14(日) 16:38:06.18 ID:FodK6rJnO
以上乗っ取りでした
最後のほう、かなりgdgdですが許してください…
軽く読み返すと、我ながら文章力ないなと思ったよ……
最後のほう、かなりgdgdですが許してください…
軽く読み返すと、我ながら文章力ないなと思ったよ……
309: 2008/09/14(日) 16:39:17.74 ID:EMSABZW+0
乙!
俺は面白いと思ったぜw
俺は面白いと思ったぜw
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