1: 2008/09/20(土) 22:28:24.14 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「長かった……でも、ついに私はやったんだ!」

ラプラス「ついにやってしまったんですか……だからあれ程少女には手を出すなと……」

ローゼン「違う! 確かに、何度か警察の厄介にはなったけど……そうじゃないんだ」

ラプラス「もったいぶらなくていいですよ」

ローゼン「ついに出来たんだよ。私の最高傑作、ドールズ達が!」

ラプラス「人形なら普段から作ってるでしょう」

ローゼン「どこまで馬鹿なんだ君は! 最高傑作だよ、今までのとは違うの!」

ラプラス「へぇ……」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
2: 2008/09/20(土) 22:34:14.44 ID:kbXq8s8f0
ラプラス「それで私を呼んだわけですか」

ローゼン「もちろん。君ぐらいしか見せる相手もいないしね」

ラプラス「先生はそれでいいんですか……」

ローゼン「真剣な顔で言わないでくれよ……私にはこの道しか無かったんだから……」

ラプラス「まぁいいですよ。見せてもらう事にしましょう」

ローゼン「そうだろ? やっぱり君も見てみたいと思うだろ?」

ラプラス「うん……まぁ見せてください」

3: 2008/09/20(土) 22:39:04.97 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「じゃあ、まず一体目のドールから……」

ラプラス「一体目? 何体作ったんです?」

ローゼン「全部で7体。未完成のものもあるけど」

ラプラス「7体もですか……」

ローゼン「何だよ何だよ。その苦虫を噛み締めた様な顔は」

ラプラス「もしかして、今から全部のドールを見せるつもりですか?」

ローゼン「え? 駄目?」

ラプラス「どれくらい時間かかります?」

ローゼン「確実に二時間はかかるよ」

ラプラス「……」

ローゼン「じゃあ一体目から紹介するから、ちゃんと聞いておくんだぞ」

4: 2008/09/20(土) 22:44:00.58 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「まず一体目。第一ドールの水銀燈だ!」

ラプラス「あれ? このドール、」

ローゼン「うん。いきなりで悪いけど、これが未完成のドールなんだよ」

ラプラス「一体目から、ですか?」

ローゼン「うん……深いわけがあってね」

ラプラス「なるほど。じゃあ次のドールを……」

ローゼン「深い、わけがあって……」

ラプラス「ハァ……分かりましたよ、聞きますから」

ローゼン「おお! 聞いてくれるか!」

5: 2008/09/20(土) 22:50:14.16 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「私は最初のドールという事もあって、自分の技術を全て注ぎ込んだ」

ローゼン「そうして、水銀燈の上半身までを作ったんだ」

ラプラス「それで?」

ローゼン「何せ第一ドールだからね……皆のお姉さんを目指した。それが裏目に出た」

ラプラス「何か問題でもあったんですか?」

ローゼン「見てみろ……この長い銀髪、綺麗な顔。そして、ふくよかな胸」

ローゼン「私は……自分で作った水銀燈に心奪われてしまったんだよ……」

ラプラス「……」

6: 2008/09/20(土) 22:55:49.00 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「一度、水銀燈をただただ見つめていた事がある。見始めたのは七時だったかな」

ローゼン「しばらくして時計を見ると、七時十分になっていた」

ラプラス「十分間も見つめ続けていたわけですか……」

ローゼン「いや違う。見始めた七時から、一日と十分経過していたんだ!」

ラプラス「うわ……」

ローゼン「流石にまずいと思ったよ……これじゃ他のドールを作れやしない」

ラプラス「だから途中で、」

ローゼン「ああ。別のドールの下半身を作る事にしたんだ」

10: 2008/09/20(土) 23:02:14.23 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「しかし、水銀燈は頭から離れてくれなかった。気がつけば、水銀燈の下半身を作っていた」

ラプラス「結局作ってるんじゃないですか……」

ローゼン「しかし私には、その二つを繋げる事がどうしても出来なかった。そんな事をしたら、きっと心奪われてしまう」

ローゼン「一日中、抱きしめ続けてしまうんだ……」

ラプラス「他のドールズ製作に支障が出ますね」

ローゼン「だろ? だから、水銀燈のお腹は作ってないんだよ……」

ラプラス「一度も繋げていないんですか?」

ローゼン「……一度だけ繋げた。完成した姿はどんなものだろうと思って、試しにやってみた事がある」

ラプラス「やっぱり……」

11: 2008/09/20(土) 23:06:13.55 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「もうたまらなかった。心ときめいた」

ラプラス「気持ち悪い事言わないで下さい……」

ローゼン「水銀燈は美し過ぎた。だから、完成は見送った」

ラプラス「これで、一体目の説明は終わりですか?」

ローゼン「いや、まだまだあるぞ。でも君は多分聞いてくれないだろうね」

ラプラス「まぁ、聞きませんよね」

ローゼン「……じゃあ、二体目行こう」

12: 2008/09/20(土) 23:10:41.09 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「二体目からはちゃんと完成済み。安心していいぞ」

ラプラス「心配してませんけど」

ローゼン「ほら! 第二ドールの金糸雀だ!」

ラプラス「さっきのに比べると少し小さい様な気もしますね」

ローゼン「水銀燈はお姉さんをイメージして作ったからね。この金糸雀はドジな姉をイメージしたんだ」

ラプラス「へぇ……」

ローゼン「力を入れた部分は、何と言ってもこのおでこだよ」

ラプラス「おでこ……確かにむき出しですけど……」

13: 2008/09/20(土) 23:14:43.61 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「思わず触りたくなるおでこだろ?」

ラプラス「ええ、まぁ……」

ローゼン「触ると幸せになれるって、僕の中では噂されているんだ」

ローゼン「仕事に行き詰ったときなんかも、よく触っていたものさ!」

スリスリ……

ローゼン「ほらラプラス! 君も一緒に!」

ラプラス「はぁ……」

スリスリスリスリ……

ローゼン「どう?」

ラプラス「別にどうって事は……ただ、先生と手が触れ合っているのが嫌です」

ローゼン「…………そう……か……」

ラプラス「三体目に行って貰えますか?」

15: 2008/09/20(土) 23:22:18.98 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「ジャーン! 三体目はその名も翠星石!」

ラプラス「翠星石……ですか」

ローゼン「どう? 生意気そうな顔してるだろ?」

ラプラス「まあ……そう言われてみれば」

ローゼン「この子はね、素直じゃないんだよ。例え好きな人がいても、その人の前では思わず憎まれ口を叩く様な子なんだ」

ラプラス「そんな設定をいつも一人で考えているんですか……」

ローゼン「君、うるさいよ」

ラプラス「第一、そんなの流行りませんよ。女性はおしとやかが一番です」

ローゼン「いーや、絶対流行るね。僕は確信してるんだ」

ラプラス「生意気な性格が流行りますかね」

ローゼン「流行るね。素直じゃないところに食いつく奴は多いはずだ」

ラプラス「……四体目行きましょう」

ローゼン「ラプラス。段々ペースが速くなってきてな」

ラプラス「四体目に行きましょう」

ローゼン「分かったから……そんなに睨まないでくれよ……」

17: 2008/09/20(土) 23:29:08.85 ID:kbXq8s8f0
ローゼン「ババン! 四体目はその名も蒼星石!」

ラプラス「あれ? さっきの翠星石と名前が似てますね。手抜きですか?」

ローゼン「違うよ。実はこの蒼星石とさっきの翠星石は、双子なんだ」

ラプラス「なるほど……それで」

ローゼン「今は目を閉じてるから分かんないけど、二人はオッドアイなんだ。それぞれ右と左が色違いの」

ラプラス「結構考えてますね」

ローゼン「だろ? 自分でも中々の発想だと思うよ」

ラプラス「このドールにも性格とか決めてあるんですか?」

ローゼン「そんなの当たり前じゃないか。変な事聞くね、君も」

ラプラス「あるんだ……」

ローゼン「実はね……この子は、男の子口調なんだ」

ラプラス「…………は?」

ローゼン「いや、だから男の子。一人称は僕」

ラプラス「先生……あなたって人は……」

ローゼン「いや誤解するなって! そういう事じゃなくて!」

18: 2008/09/20(土) 23:34:20.99 ID:kbXq8s8f0
ラプラス「何が誤解ですか! 流石にここまで行くと変態ですよ!」

ローゼン「何言うんだ君は! 女の子が男口調なだけじゃないか!」

ラプラス「先生は覚えてないんですか? この前、二人で飲みに行った事があったでしょう」

ローゼン「……それが何だ」

ラプラス「あの時、先生はそばにいた男の子とずっと話していましたよね? 可愛いからとか言って」

ローゼン「え……まぁ、そんな事もあったね」

ラプラス「最終的には店から連れ出して、一緒に遊びに行こうともしましたよね」

ローゼン「まぁ……いいじゃないそれは」

ラプラス「あの後、何されたか覚えてない先生でもないでしょう!」

21: 2008/09/20(土) 23:39:23.90 ID:kbXq8s8f0
ラプラス「警察呼ばれたんですよ! 変質者だと思われて!」

ローゼン「本当に失礼な話だよね」

ラプラス「そりゃ半裸で小さな男の子を抱えてたら疑われますよ!」

ローゼン「しかもあの子、スリだったんだよね。お陰で財布ごと盗まれちゃって」

ラプラス「身分も証明できないから、二人で朝まで詰問されて……」

ローゼン「中々スリリングな一夜だったよね」

ラプラス「そんな体験をして、この第四ドールを製作……明らかに目覚めてるじゃないですか!」

ローゼン「まぁ、そう言うなよ」

22: 2008/09/20(土) 23:47:50.61 ID:kbXq8s8f0
ラプラス「もういいです。残りのドール、一気に見せて下さい!」

ローゼン「ああ! 色々と段取りとかあるんだぞ!」

ラプラス「こっちの赤い奴の名前は!」

ローゼン「その子はね……真紅って言ってさ、ドールズの中で一番プ」

ラプラス「次は!」

ローゼン「ラプラス怖い……それは雛苺」

ラプラス「これで六体。あと一体は」

ローゼン「ラストの奴は完成してるんだけどまだ調整中でね。今は見せられないかな」

ラプラス「ふぅ、これで全部ですか。じゃ、失礼します」

ローゼン「ちょっと待ってくれ! 話はここからなんだから!」

32: 2008/09/21(日) 00:00:12.66 ID:U3u1KePr0

ラプラス「命を吹き込んでやろうと思うんだ、とか言うんでしょ?」

ローゼン「君はエスパーだったのか……」

ラプラス「この前、飲みながら言ってたじゃないですか」

ローゼン「そうだったっけ……」

ラプラス「先生はその時点で裸にハチマキしてましたからね。覚えてないと思います」

ローゼン「ああ……そうだよね」

ラプラス「出来るわけも無いですから、聞くだけ無駄です。じゃ、これで」

34: 2008/09/21(日) 00:06:57.87 ID:U3u1KePr0
ローゼン「待って! ホント、一回だけ! お願いだから!」

ラプラス「放して下さい! もう帰りたいんです僕は!」

ローゼン「本当に動くんだよ~本当なんだよ~」

ラプラス「泣きついても駄目です! 人形が動くわけないでしょう!」

ローゼン「本当なんだよ~ローザミスティカがあれば動くんだよ~」

ラプラス「またわけの分からない事言って! 騙されませんよ!」

ドンッ!

ローゼン「うひゃ!?」

ラプラス「それじゃ先生。この前の警察沙汰を反省する事が出来たら、また会いに来ますよ」

バタンッ!

ローゼン「行ってしまった……」


35: 2008/09/21(日) 00:12:36.18 ID:U3u1KePr0
ローゼン「ちくしょー、いいじゃないか……趣味なんだから」

ローゼン「これで、一人も味方がいなくなってしまったな」

ローゼン「でも、こんな事でくじける私じゃないぞ! 絶対にローザミスティカを作ってやる!」

―その日から、ローゼンの研究は躍進した

ローゼン「原理は分かってるんだ。後は調合を間違えなければ……」

ローゼン「これでこうして……えーと、何これ?」

―研究は深夜にまで及んだ


37: 2008/09/21(日) 00:17:34.31 ID:U3u1KePr0
―そしてついに、ローザミスティカが完成したのである

ローゼン「凄い……出来た! 本当に出来た!」

ローゼン「適当にグチャグチャやってたら出来たーー!」

ローゼン「よーし! ずっと禁酒してたんだ! 今日は飲むぞー!」

ローゼン「町に繰り出せレッツゴーだー!」


三時間後、


警察署内 待合室

ラプラス「……先生、いい加減にして下さい」

ローゼン「反省してます。ごめんなさい」

40: 2008/09/21(日) 00:22:41.57 ID:U3u1KePr0
ローゼン「ありがとう……君がいなかったら今頃はぶち込まれていたよ」

ラプラス「いきなり家に警察が来るからビックリしましたよ」

ローゼン「だって身元の証明とか出来ないし……」

ラプラス「前だけおちょこで隠して、町を疾走するのがいけないんですよ」

ローゼン「ごめんなさい……」

ラプラス「まぁ、いいですよ……ホラ、家に着きましたよ。それじゃあ、私はこれで」

ローゼン「あ……ラプラス! 行っちゃった……」

ローゼン「仕方ない……一人で寂しく、ローザミスティカの実験だ……」

41: 2008/09/21(日) 00:28:22.39 ID:U3u1KePr0
―三日後、ラプラスにローゼン宛ての手紙が届いた

ラプラス「何だこれ……」

『ラプラスへ
 
 私の家に来なさい。遅れたら許さない
                ローゼン』

ラプラス「行かなきゃ駄目なのか……」

―ラプラスは手土産(苺大福)を持って、しぶしぶローゼン宅へ向かった

ラプラス「はぁ……何だか嫌な予感しかしないな」

ラプラス「ん? 庭に誰かいるぞ」

???「そりゃ! 決まったですぅ!」

???「あーん、速くて取れないのー!」

ラプラス「ボール遊びか。あそこは先生の庭のはず……」

43: 2008/09/21(日) 00:33:22.42 ID:U3u1KePr0
ラプラス「おーい君たち! 先生の知り合いかーい?」

???「何か呼んでるのよ」

???「怪しげな奴ですぅ。ちょいと蒼星石、とっちめて来るですよ」

ローゼン「いや、その必要はないよ。おーいラプラス! こっちだー!」

ラプラス「先生……? どうなってるんだ?」

ローゼン「早くこっちに来い! 中で待っててくれー!」

―ラプラスは言われるまま、中に入るのであった

ラプラス「なんだこれは……」

45: 2008/09/21(日) 00:38:18.94 ID:U3u1KePr0
真紅「翠星石、客人よ。紅茶を出してあげて頂戴」

翠星石「そんなの真紅がやればいーです! 命令すんなです!」

蒼星石「翠星石、お客様の前だよ。恥ずかしいよ」

ラプラス「な……な……」

トコトコトコ……

雛苺「この箱なぁに?」

ラプラス「え……あ、これはね……お土産のお菓子なんだけど……」

雛苺「お菓子!? ヒナ食べたいのー!」

ラプラス「え、あぁ……どうぞ」

雛苺「わーい! お菓子貰ったのよー!」

翠星石「中々気の利く奴ですぅ」

ラプラス「何が……どうなってるんだ?」

46: 2008/09/21(日) 00:41:26.98 ID:U3u1KePr0
ローゼン「フフン、ラプラス。フフン、驚いただろう」

ラプラス「ローゼン! これは一体、」

ローゼン「前話した通りだよ。ローザミスティカを作って、ドールズに入れたんだ」

ラプラス「じゃあこの子達は……」

ローゼン「この前のドールズ達だよモチロン。どうだ、凄いだろう」

ラプラス「まさか本当だったなんて……」

ローゼン「私の言葉の内、三つに一つくらいは本当なのさ」

47: 2008/09/21(日) 00:44:47.17 ID:U3u1KePr0
ローゼン「せっかく来たんだ。昼食くらい食べていってくれ」

ローゼン「よし皆! 昼食の準備をするぞー!」

真紅「ハイお父様」

翠星石「わかったですぅ!」

ラプラス「(本当に人間と変わらない……何という……)」

ローゼン「おっと。金糸雀と水銀燈も呼んでこなければ」

50: 2008/09/21(日) 00:48:43.04 ID:U3u1KePr0
ラプラス「……最後のドールはどうなったんですか?」

ローゼン「ああ……あの子はちょっと特別でね。一緒に暮らしていないんだ」

ラプラス「そうですか……」

バタンッ!

金糸雀「お父様! 野菜を沢山採って来たかしら!」

水銀燈「殆ど私が採ったんです、お父様」

ローゼン「おお、二人とも! 早速調理にとりかかろう!」

53: 2008/09/21(日) 00:53:12.11 ID:U3u1KePr0
雛苺「いただきますなのー!」

ラプラス「(みんな普通に食べている……)」

ローゼン「どうしたラプラス? 食べないのか?」

ラプラス「いや……食べますよ」

ローゼン「そのキノコのソテーは水銀燈が作ったんだ。水銀燈は料理上手だから、美味しいだろう?」

水銀燈「お父様ったら……///」

ラプラス「ああ、本当だ。美味しいです」

水銀燈「お口に合って光栄ですわ」

ラプラス「(あれ……? そういえば水銀燈は未完成だったはずだ。まぁいい、食べた後で聞いてみるか)」

56: 2008/09/21(日) 00:58:59.11 ID:U3u1KePr0
昼食後 ローゼン宅の庭

ラプラス「あの……水銀燈は結局完成させたんですか?」

ローゼン「ん? ああ、完成させたよ。胴体も作って」

ラプラス「……それにしても驚きましたよ。まさか、本当に実現させるとは」

ローゼン「さっきからそればっかりだな、君は」

ラプラス「だって、凄い事ですよこれは。人間を生み出した様なものだ」

ローゼン「別に変わらないよ。僕にとっては」

ラプラス「でも……」

ローゼン「愛する人形が、動き出しただけだよ」

トットットット……

雛苺「ねぇお父様、何のお話してるのー?」

58: 2008/09/21(日) 01:04:20.63 ID:U3u1KePr0
翠星石「あ、雛苺ずるいです! 翠星石も行こうとしてたですのに!」

蒼星石「待ってよ翠星石。僕も行くよ」

真紅「ふぅ、皆まだまだ子供ね。あんなに行っては、お父様が迷惑するのだわ」

水銀燈「真紅、貴女も行っていいのよ?」

真紅「……良いのかしら」

水銀燈「ホラ、早く行ってきなさいな」

真紅「……そうするわ」

タッタッタ……

水銀燈「はぁ……良いお天気ね」


59: 2008/09/21(日) 01:09:34.18 ID:U3u1KePr0
ローゼン「どうだラプラス。いいものだろう、こんな生活は」

ラプラス「楽しいとは思います」

ローゼン「ドールズ達が動いたときは、それはもう感動した。でもね、本当の楽しみはその後にあった」

ローゼン「この子達には自我がある。心がある。一緒に暮らせるだけで、私は今幸せなんだ」

ラプラス「先生、少し変わったんじゃないですか?」

ローゼン「この子達との生活が楽しすぎてね。嫌な事は全て忘れてしまった」

ラプラス「(目に変態の輝きが無い……こんな先生見た事がないぞ)」

ローゼン「ほら、雛苺。お父さんにチューだ、チュー」

ラプラス「止めろ」

60: 2008/09/21(日) 01:15:27.87 ID:U3u1KePr0
ラプラス「じゃ、私はそろそろ失礼します」

ローゼン「もう帰るのか。せめて夕飯も食べていけばいいのに。何だったら泊まっていってもいいんだぞ」

ラプラス「いえ、嬉しいお言葉ですがもう帰ります」

水銀燈「あの……ラプラスさん」

ラプラス「ハイ?」

水銀燈「コレ、皆で焼いたクッキーです。よろしかったら食べて下さい」

ラプラス「あぁ、どうもすみません」

ローゼン「じゃ、気をつけて帰れよ。またいつでも遊びに来てくれ」

ラプラス「ええ。先生が皆に変な事しないよう、見張りに来ますよ」

ローゼン「じゃあなー」

ラプラス「どうも」

61: 2008/09/21(日) 01:20:33.35 ID:U3u1KePr0
ラプラス「(今日は驚きすぎて変な感じだ)」

ラプラス「ただいまー……って誰もいないけどね」

ラプラス「先生でさえ家族がいるってのに、私ときたら……」

ラプラス「いや、お前がいるよな。イガス←(家で飼ってるウサギ)」

ラプラス「……先生、幸せそうだったなぁ」

63: 2008/09/21(日) 01:25:42.48 ID:U3u1KePr0
―その後も、ローゼンとドールズは幸せな日々を送った
 
 そんなある日

ローゼン「さぁ、もう寝る時間だ」

雛苺「今日もお父様と寝るのー!」

翠星石「ず、ずりーです! 翠星石も寝るです!」

ローゼン「よーし、今日は皆で寝よう! さ、皆集まって……」

ドンドンドンッ!

ローゼン「何だ? こんな夜中に……ドアが壊れる」

蒼星石「お父様はここに。僕が様子を見て来ます」

ローゼン「いや、私が行くよ。多分ラプラスだからね」

ドンドンドンッ!

ローゼン「はーい、今出ますよー」

65: 2008/09/21(日) 01:33:58.40 ID:U3u1KePr0
ガチャッ

ラプラス「ハァ……ハァ……」

ローゼン「何だ、やっぱりラプラスじゃないか」

ラプラス「先生、今すぐ逃げて下さい!」

ローゼン「どーしたラプラス。何かしたのか? もしかして君、幼女に……」

ラプラス「先生! 先生を狙っている奴らがいるんです! 早く!!」

ローゼン「……本当かい、それ」

ラプラス「さっき私の家が襲撃されました。家は全焼、何とか体一つで逃げて来たんです」

ローゼン「……皆! 今すぐここから離れるぞ!」

ラプラス「早くして下さい! もうじきここにも来ます!」

66: 2008/09/21(日) 01:40:09.70 ID:U3u1KePr0
山中

ローゼン「何とかここまで来たか……」

ラプラス「くそ、あいつ等。きっと先生のローザミスティカを狙っているんですよ」

ローゼン「いや、それは無いよ」

ラプラス「でもそれ以外に考えられない。私に先生の居場所を訊いて、答えなかっただけで家に火をつけた奴らですよ」

ローゼン「そもそもローザミスティカなんてもの誰も信じない。君しか知らないんだ」

ローゼン「仮に、君が周りに話していたとしても誰も信じちゃくれないよ」

ラプラス「じゃあ何だって……」

ローゼン「もしかしたら、よそ者かもしれないな」

ラプラス「よそ者?」

ローゼン「こんな田舎町で派手な事しようなんて輩はまずいない。この町の流儀を知らないよそ者なら別として」

67: 2008/09/21(日) 01:44:56.61 ID:U3u1KePr0
ローゼン「もしかしたら、この子達を誘拐しようとしているのかもね」

ラプラス「……」

雛苺「お父様……ヒナ…………怖いの……」

ローゼン「大丈夫、お父さんがついてるからね」

ラプラス「ん……あれは」

ローゼン「村の人じゃないか!」

ラプラス「よかった! 事情を説明して警察を呼んでもらいましょう!」

ローゼン「! 待て、ラプラス!」

ドゥンッ!

ラプラス「な……!」

71: 2008/09/21(日) 01:49:44.04 ID:U3u1KePr0
ローゼン「水銀燈!」

ラプラス「どうして! 水銀燈ちゃん! ああ……お腹が」

水銀燈「私なら……大丈夫。い、痛みはそれほど、あ、ありませんから……」

ローゼン「貴様ぁ! 何故こんな事をする!」

村人A「うるせぇ! 人頃しのくせに!」

ローゼン「何の事だ! ふざけるな!」

村人A「お前しか犯人はいねえんだ! この人頃し野郎!」

ローゼン「何を言っているんだ……」

72: 2008/09/21(日) 01:55:38.47 ID:U3u1KePr0
ラプラス「何の事を言ってるんだ! 説明しろ!」

村人A「今、町で起きてる事も知らねぇのが何よりの証拠だ! みんなー、こっちだ! こっちにいるぞー!」

ラプラス「まずい……仲間が来ますよ! 相手は銃を持ってる!」

ローゼン「この……人形師ローゼンを舐めるな!」

村人A「来るんじゃねぇ人頃し!」

ビュンッ!

ローゼン「なってない! どうりゃあ!」

村人A「がっ!?」

ドサッ!

ローゼン「今のうちだ、逃げるぞ!」

ラプラス「水銀燈ちゃんは私が運びます! 皆早く!」

ダッダッダッダ……

77: 2008/09/21(日) 02:03:05.88 ID:U3u1KePr0
ローゼン「くそ……水銀燈、すまない……」

水銀燈「大丈夫です……お父様、これくらい……」

ラプラス「思い出しましたよ、先生。あいつが言っていた事」

ローゼン「人頃しがどうとか、ってやつか」

ラプラス「はい、最近あったみたいなんですよ。町長の娘さんが殺されたらしくて」

ローゼン「なるほど……そういう事か」

ラプラス「普通、この町に住んでいる人間なら誰でも知っている話です。町長さんの信頼は高いですから」

ローゼン「疑われるとしたら、町から離れた所にひっそりと住んでいる私くらいなものだな」

ローゼン「それに、町の人間には私の事を快く思っていない奴もいる。そいつ等が妙な噂でも流したか」

ラプラス「実際私も良く思われていませんからね。最初に狙われたわけですよ」

ローゼン「嫌われ者同士だな」

ラプラス「……ですね」

78: 2008/09/21(日) 02:08:13.21 ID:U3u1KePr0
ローゼン「この町の町長さんを慕う人間はいくらでもいる。その中には何でもする様な連中もいる」

ラプラス「とにかくこの町を離れましょう。まだ推測の域を超えない話です。何が原因かも分からない」

ローゼン「……そうだな。この子たちも守らなければ」

―いたぞー! こっちだー!

ローゼン「しまった……見つかったか!」

ラプラス「まずい……先生、走りましょう!」

ローゼン「……」

ラプラス「先生!? 何突っ立ってるんですか! ふざけてる場合じゃないですよ!」

ローゼン「……ラプラス、頼みがあるんだ」

81: 2008/09/21(日) 02:18:16.92 ID:U3u1KePr0
ローゼン「この子たちを連れて、君は逃げて欲しい」

ラプラス「何を言ってるんですか! 早く逃げますよ!」

ローゼン「私達が山へ逃げた事は既に知られているだろう。当然、下で待ち構えている奴らもいる」

ローゼン「そいつらから逃げるには、山中におびき出すしかない。ローゼンが山中で見つかる事で」

ラプラス「囮になるって事ですか……駄目です、そんなの」

ローゼン「行けラプラス……その子たちは任せたぞ」

ラプラス「絶対に行かせません! 貴方は氏んではいけない!」

ローゼン「ラプラス、私は氏ぬつもりはない。ドールズたちに寂しい思いはさせない」

ラプラス「先生……」

ローゼン「人形師界の暴れ馬の異名を持つ、私の実力を見せてやるさ。……さぁ行け!」

翠星石「嫌ですぅ! 絶対嫌ですぅ!」

蒼星石「お父様! 嫌だ!」

雛苺「嫌なの……嫌なのー!」

水銀燈「うるさいっ! ラプラスさん、行って下さい!」

ローゼン「水銀燈すまない……君をお姉ちゃんにして正解だった」

84: 2008/09/21(日) 02:24:11.76 ID:U3u1KePr0
―ラプラスと一行は、ローゼンを残して去って行った。ドールズ達の叫びが、山中に響いた

ローゼン「囲まれたか……」

村人A「撃て! 撃っちまえ!!」

ドンッ! ドンッ!

村人B「ぎゃああああ!!」

村人A「おい! 仲間を撃ってどうする! あいつをやれ!」

ローゼン「無駄だ。もう君達に私の姿は見えない……そうだな、雪華綺晶」

雪華綺晶「はい……お父様」

ローゼン「さぁ雪華綺晶! 町民なのに村人という、途中で気づいた致命的なミスを消し去るのだ!!」

86: 2008/09/21(日) 02:27:06.60 ID:U3u1KePr0
ローゼン「終わったな……雪華綺晶」

雪華綺晶「はい、お父様」

ローゼン「約束は守る。雪華綺晶、君の望みを叶えよう」

雪華綺晶「嬉しい……私だけのお父様になる……」

ローゼン「まずラプラスのところに行かなくては」

87: 2008/09/21(日) 02:32:07.48 ID:U3u1KePr0
―ローゼンは、ラプラスたちと合流した。雪華綺晶のお陰で、すんなりと合流する事が出来た

ラプラス「……どうして、そんな隠し玉を使わなかったんですか」

ローゼン「きらきーの事か。まぁ……その、色々あるんだよ」

ラプラス「みんなどれだけ心配したか!」

ローゼン「わー! バカス! 皆起きちゃうじゃないか!!」

ラプラス「まったく……」

ラプラス「まぁ、とにかくこれで何とかなりますね。すぐにでも逃げましょう。こんな所にいてもいつ見つかるか分からない」

ローゼン「……それが、出来ない。ここで、みんなお別れだ」

ラプラス「何言ってるんですか」

ローゼン「話を聞いてくれラプラス」

89: 2008/09/21(日) 02:37:39.13 ID:U3u1KePr0
ローゼン「さっき、きらきーと協力してむらび……町人どもをやっつけた。実は、あれには一つの交換条件があるんだ」

ラプラス「……条件ですか?」

ローゼン「きらきーが言ってるんだよ。姉妹同士による戦いを許して欲しい、と」

ラプラス「何ですかそれ!? どうしてそんな……」

ローゼン「きらきーはね、人一倍私を大切に思ってくれている。ただ、方向が少しだけ皆と違うんだ。」

ローゼン「あの子は、他のドールズを排除してでも私を独り占めしたい様なんだ」

ラプラス「そうか……だから一緒には」

ローゼン「ああ、暮らせないんだよ」

90: 2008/09/21(日) 02:41:39.71 ID:U3u1KePr0
ローゼン「今までも何回か危ない事はあった。でも、その度に私が説得してきた」

ラプラス「待ってください。もしかしたら、今回の……」

ローゼン「ラプラス! ……間違ってもそんな事言うもんじゃない」

ラプラス「……すいません」

ローゼン「私は何にせよ、きらきーとの約束を守らなければならなくなった」

ローゼン「そこでラプラス。君にお願いだ」

94: 2008/09/21(日) 02:47:26.66 ID:U3u1KePr0
ローゼン「今、きらきーはnのフィールドというところにいる。この世界とはまた違う場所だ」

ローゼン「そこに姉妹達を連れて行って欲しい。きらきーの力なら、その世界に入れる」

ラプラス「どうしてそんな場所に……」

ローゼン「きらきーには体が無いんだ。さっきも、私の体を貸して助けてもらった」

ラプラス「超人ですか貴方は……」

ローゼン「とにかく、体の無いきらきーにはnのフィールドの方が都合がいい」

ローゼン「さ、すぐにでもドールズを連れて行ってくれ」

96: 2008/09/21(日) 02:57:09.57 ID:U3u1KePr0
―ラプラスはドールズ達を起こさないまま、出発の支度をした

ローゼン「水銀燈は体も直してやりたかったな。服しか直らなかった」

ラプラス「先生、一つだけいいですか?」

ローゼン「なんだ」

ラプラス「先生が雪華綺晶の条件を飲んだのは、他の姉妹を守るためですね」

ラプラス「これ以上自分がぐずっていたら、いつか雪華綺晶は無理矢理にでも他のドールズを襲ってしまう」

ラプラス「それならいっそ、雪華綺晶の条件を飲んだ方が、助かる可能性がある」

ローゼン「可能性なんか無いよ。戦う準備が出来てるきらきーと、わけの分からないまま戦う他のドールズ。結果は目に見えてる」

ラプラス「いや、可能性はあります。私に頼む事で、何とかしてくれるだろうと考えた」

ローゼン「頭の良い事だ。……ところでラプラス、一つ言っておく事がある」

ローゼン「僕はね、きらきーを恨んじゃいないよ。あの子だってドールズだ」

97: 2008/09/21(日) 03:01:21.92 ID:U3u1KePr0
ラプラス「……行って来ます」

ローゼン「おう。色々と悪いね」

ラプラス「先生、貴方も巻き込ませてもらいますよ。当事者なんだから」

ローゼン「ああ。すぐにでも迎えに来い」

雪華綺晶「……」

ローゼン「nのフィールドへの扉が開いた。……頼んだ、ラプラス」

ラプラス「私の人生、これで終わりですかね」

ローゼン「私もすぐに君と同じになるよ」

ラプラス「……行って来ます、ローゼン」

―ラプラスとドールズは、引っ張られる様に消えていった

99: 2008/09/21(日) 03:07:47.21 ID:U3u1KePr0
nのフィールド

雪華綺晶「貴方を呼んだ……覚えは無い」

ラプラス「僕は君のお父さんに頼まれた立会人だよ。公平な勝負が出来るようにね」

雪華綺晶「そう……なら、すぐにでもドールズを起こして」

ラプラス「ごめん。君のお父さんはね……これを望んでいたんだ!」

雪華綺晶「(強い光……ローザミスティカ!)」

雪華綺晶「空間が歪む……やめてっ」

ラプラス「うひゃあああ!」

―まばゆい光と共に、皆の姿は消えて無くなった
 
 そして、長い時が経った

101: 2008/09/21(日) 03:13:02.27 ID:U3u1KePr0
nのフィールド

???「ハァ……最後の一体、真紅を持ってきました」

???「ご苦労様。これできらきーを除いて、みんな無事揃った」

???「長かったですね……」

???「ああ。きらきーの勝負を回避するためとはいえ、皆には強いダメージを与えてしまった」

???「前にも言いましたけど、フィールド内の歪みに巻き込まれたドールズは……」

???「覚えてるよ。……殆ど記憶が無いんだろ。消えてしまって」

???「ハイ……お互いの事も、何も覚えていないかと……」

103: 2008/09/21(日) 03:18:52.30 ID:U3u1KePr0
???「それでもやるんですか?」

???「ああ、もちろん。この子たちをかつての世界に戻す」

???「何も覚えていないんですよ。姉妹だって事も分からない……」

???「問題無し。……じゃん!」

???「なんですかこの光ってるハエみたいなのは」

???「人工精霊っていうんだ。ここに、必要最低限の記憶を入れ込む」

???「大きさからしても、それほどの量は入らないだろうけど、姉妹の事や私の事を知ることが出来る」

???「そこまで用意してたんですか、先生」

ローゼン「当然じゃないか。親が子供の世話をするのは」

ラプラス「親バカですねぇ」

105: 2008/09/21(日) 03:26:41.78 ID:U3u1KePr0
ローゼン「鞄、ネジ、人工精霊。……よし、全部揃ったな」

ラプラス「じゃあ、人工精霊飛ばしますよ」

ローゼン「頼んだ」

ラプラス「よし飛んでけ! ぴったりの相手を見つけてこいよ!」

ローゼン「これで、後は人工精霊が人間を探してくるだけだ」

ラプラス「それにしても考えましたね。人間のエネルギーを借りる事で、ドールズを動かそうなんて」

ローゼン「……だって、彼女たちは姉妹として再会できるのはいつになるか分からないんだよ。それまでずっと一人なんて寂しいじゃないか」

ラプラス「ですね。それに人間同士の繋がりから再会できる可能性もありますし」

ローゼン「そういう事。さ、鞄にみんなを入れてしまおう」

106: 2008/09/21(日) 03:31:59.82 ID:U3u1KePr0
ラプラス「お、人工精霊が帰ってきましたよ。これは真紅のだ」

ローゼン「おー! 見つけてきたか! じゃあ早速届けなくちゃな」

ローゼン「人工精霊には、届くまでの間に記憶の処理を任せるからな。しっかりやるんだぞ」

ラプラス「じゃ、飛ばしますよ」

ローゼン「頼む」

ラプラス「それっ!」

ローゼン「これで真紅は大丈夫。後は他のドールズ達だな」

ラプラス「お、水銀燈のが帰ってきましたよ」

ローゼン「よし! じゃあ……」

………………

108: 2008/09/21(日) 03:37:01.48 ID:U3u1KePr0
ラプラス「皆いなくなっちゃいましたね」

ローゼン「だね」

ラプラス「ホントに良かったんですか? 人工精霊に、アリスゲームなんて記憶持たせて」

ローゼン「だってそうしないと、きらきーとの約束破っちゃうでしょ」

ラプラス「姉妹同士が戦ってもいいんですか?」

ローゼン「もちろん嫌に決まってるよ。でもね、私は信じてる」

ラプラス「何を」

ローゼン「誰でもいい。アリスゲームなんてものを、戦わずに終わらせようとする子がいる事を」

ローゼン「もちろん、そのゲームに乗っかってもいいけどね」

ラプラス「……ストッパーがいますからね」

110: 2008/09/21(日) 03:47:44.91 ID:U3u1KePr0
ローゼン「おお、分かってるじゃないか」

ラプラス「はぁ……いよいよ出番かぁ」

ローゼン「頑張れよラプラス。いや、ラプラスの魔」

ラプラス「その呼び方は止めて下さい」

ローゼン「いいじゃないか、魔」

ラプラス「……フィールドに異常が無いか見てきます」

ブーーーーン

ローゼン「あーあ、行っちゃった……」

ローゼン「(私は雪華綺晶との約束がある。だから、この戦いが終わらない限りはみんなとは会えない)」

ローゼン「(だけど、終わったらすぐにでも会いに行こう。そして、残りのみんなも元に戻してやるんだ)」

ローゼン「(だから安心して、この戦いでもっともっと自分たちを磨いておいで)」

―これは、遠い昔の出来事である

113: 2008/09/21(日) 03:51:09.22 ID:U3u1KePr0
桜田家

翠星石「また翠星石の勝ちですぅ!」

雛苺「ずるいのよ! 翠星石ひきょーなの!」

翠星石「チビチビ苺がおバカなのが悪いんですよ~」

ジュン「ウルサイなぁ……僕の部屋では静かにしてくれ……」

真紅「……」

ジュン「……真紅? どうかしたか?」

114: 2008/09/21(日) 03:54:47.06 ID:U3u1KePr0
真紅「今、何か思い出した気がするのだわ」

ジュン「何だよそれ」

真紅「皆で手を繋いで、一緒にいた様な……」

ジュン「皆って、翠星石とか雛苺の事か?」

真紅「ええ、でもそれだけじゃないの。蒼星石に金糸雀、水銀燈もいた様な……」

ジュン「おいおい、流石にそれは無いだろ」

真紅「そうね……きっと気のせいね。忘れて頂戴」

真紅「(気のせいよね……)」

115: 2008/09/21(日) 03:58:10.32 ID:U3u1KePr0
のり「みんなー、お夕飯出来たわよー!」

翠星石「ご飯ですぅ!」

雛苺「行くのよー!」

ジュン「おい、どうしたんだよ。行くぞ真紅」

真紅「ねぇ……ジュン」

ジュン「なんだよ、さっきの事気にしてんのか?」

真紅「ご飯の後、他のドールズもこの家に呼びましょう。……来るか分からないけど、水銀燈も」

116: 2008/09/21(日) 04:02:52.22 ID:U3u1KePr0
ジュン「どうしたんだよいきなり。別に構わないけどさ」

真紅「何となく、そんな気分なのよ。……じゃあ、連絡しておくわ」

ジュン「姉ちゃんにも言っておくよ。ホラ、だから早く行くぞ」

真紅「……ええ。じゃあホーリエ、連絡よろしくね」

チカッチカチカッ…………ヒュンッ……

真紅「(今のホーリエ、なんだか嬉しそうだった様な……)」

ジュン「ほら、行くぞ真紅」

真紅「ええ……行きましょう、ジュン」


終わり

117: 2008/09/21(日) 04:04:36.12 ID:V+9GeOYc0
おつ。

引用: ローゼン「おいラプラス! こっちこっち!」