1:◆qqtckwRIh. 2014/06/13(金) 20:41:56 ID:bAov0d1I
 
ザッ…

ザッザッザッ…


ヒュウウゥ…


…ザッ…!


剣士「…来たな、ついに」

武道家「あぁ!」


剣士「冒険学校に!」

武道家「冒険学校に!」

葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)



以下全シリーズの序章に当たるエピソードです


【竜騎士編】



【女剣士シリーズ】

【錬金術師シリーズ】

2: 2014/06/13(金) 20:43:08 ID:bAov0d1I
………
……………
That's where
the story begins!
―――――――――
【剣士「冒険学校…!】
―――――――――
Don't miss it!
……………
………

3: 2014/06/13(金) 20:43:39 ID:bAov0d1I
 
……………………

………………
…………
………
……



……
………
…………
………………

……………………

5: 2014/06/13(金) 20:44:09 ID:bAov0d1I
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北方大陸・北西 冒険学校 】


剣士「ようやく、俺らも冒険者になる日が来るんだな!」

武道家「入学出来る歳まで、かなり長かった…が」

剣士「冒険者を育成する冒険学校…か。ワクワクしてきたぜ」

武道家「俺だって同じくらい楽しみだ。だけどさ~…」

剣士「ん?」

武道家「今日から、学校の寮暮らしになるわけじゃん?家族と離れるのは少し寂しいんだよな」


剣士「ま…まぁ…」

剣士「…だけど!それ以上に、冒険者として世界を駆け回りたいと思う…そうだろ!?」


武道家「…当然!」

6: 2014/06/13(金) 20:44:43 ID:bAov0d1I
 
剣士「どんな奴らがいるんだろうな!やっぱり強い奴うじゃうじゃいたら嬉しいだが」ハハハ

武道家「冒険者を目指す奴らって、やっぱりクセのある奴が多そうだよなぁ」

剣士「な~に、俺らだって、日々鍛錬してきたじゃねーか。負けねぇよ!」グッ

武道家「そりゃ、俺だって腕には自信があるけどよ」

剣士「うむ。二人で地元の山に籠って、ずっと鍛錬してきたじゃん。魔獣だって沢山倒したし」

武道家「おうよ。それに俺とお前で何度も戦ったよな~…。ずっと引き分けてたが、1勝の差で俺の勝ちだったはずだ」

剣士「…待て。勝ったのは俺だろ」

武道家「あぁ?9年前にやった時、お前が崖から落ちて、負けと泣いて…」

剣士「そりゃお前だろ!」


武道家「…あぁん!?」

剣士「…あぁっ!?」

7: 2014/06/13(金) 20:45:13 ID:bAov0d1I
 
武道家「…」

剣士「…」

武道家「いや、入学当日からケンカはやめよう…」

剣士「そ、そうだな。大事な日だもんな」


武道家「…」

剣士「…」


武道家「時に…剣士くん」

剣士「なんだね、武道家くん」

8: 2014/06/13(金) 20:47:12 ID:bAov0d1I
 
武道家「あの時の勝利は、俺のものってことでいいね?」

剣士「…いえいえ、あれは俺のものですよ?」

武道家「…」

剣士「…」


武道家「やっぱり…」

剣士「決着つけるか!!」


武道家「…おらぁぁ!」ダッ

剣士「…あぁぁ!!」ダッ


ダダダダッ…ガキィンッ!!

9: 2014/06/13(金) 20:49:26 ID:bAov0d1I
 
トコトコ…
 
???「ん…、何の音だ?」

???「…」キョロキョロ

???「…」ハッ

???「な…何やってるんだ、あそこの二人は!」

…タタタタタッ!!

???「…ちょっと、そこの二人!その勝負、待ってくれるかな!」バッ


剣士「…んっ」ググッ

武道か「…あん?」ググッ


???「仲のいいことだが…、見たところ君らは新入生だね?」

???「新入生が目立つと、少々厄介なことになるぞ?」

 
剣士「あぁん!?誰だよ!」

武道家「これは俺らの話、誰か知らんが…引っ込んでてもらおうか!」バッ

10: 2014/06/13(金) 20:51:02 ID:bAov0d1I
 
???「…男同士の争いには、あまり口出ししないほうがいいのだろうが…」

???「いかんせん、この学校の"先生"としては見過ごせないものでな。すまんね」


剣士「…せん」

武道家「せい…?」


冒険先生「冒険先生という名前だ。君らの顔、しっかり覚えたからね」

冒険先生「…早く1年生の教室に入りなさいよ」クルッ

ザッザッザッザッ……

11: 2014/06/13(金) 20:51:46 ID:bAov0d1I
 
剣士「…」

武道家「…」


剣士「お…お前のせいで、初日から目ぇつけられたじゃねえかよ!!」

武道家「お前だって暴れてただろうが!んぎぎ…!!」


剣士「…」

武道家「…」


剣士「…ふん!」

武道家「…ふん!」


…………
………

12: 2014/06/13(金) 20:52:26 ID:bAov0d1I
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教 室 】

ザワザワ…


剣士「…」

武道家「…」


ガヤガヤ…


剣士「俺らの教室ここでいいんだよな。つーか、人、結構いるな…」

武道家「冒険学校は人気だし、仕方ない」

剣士「つーか先生とか来ないのかね」

武道家「さっきチャイムなったし、そろそろー…」

13: 2014/06/13(金) 20:53:00 ID:bAov0d1I
 
…ガラッ!!

冒険先生「やあ、おはよう!全員、適当でいいから席につけー」

剣士「!」

武道家「!」


冒険先生「…おっ。さっきの二人組、ケンカはもういいのか?」

剣士「だ、大丈夫です」

武道家「も、問題ないです」

剣士(あの人、担任だったのかよ…ついてねぇ…)


冒険先生「問題ないなら、何より。えーと、んじゃ…」ゴホン

冒険先生「みんな、入学おめでとう。これから、このクラスの担任を受け持つ冒険先生だ。よろしくな!」

14: 2014/06/13(金) 20:53:33 ID:bAov0d1I
 
生徒たち「よろしくお願いします!」

剣士「よろしくー…」

武道家「ういっす…」


冒険先生「うむ、元気でよろしい」

冒険先生「さて、早速なのだが…この学校についてもう1度だけ教えておく」

冒険先生「ここは秘境を探索したり、魔獣に対抗する戦士を育成する…、つまり、世界を駆け巡る冒険者の養成学校だ」

冒険先生「世界には、冒険学校はいくつか存在していて、君たちの同期は大陸中にいる」

冒険先生「そして、君たちの先輩は命を懸けて今日もどこかで戦っているんだ」


剣士(…かっけぇな)ボソボソ

武道家(うむ…)ボソボソ

15: 2014/06/13(金) 20:54:05 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「この学校に入学した時点で、君たちはヒヨっ子ではあるが"冒険者"には変わりなくなる」

冒険先生「つまり、命を賭した戦いの世界に身を置くことになる…。そういうことを認識してほしい」


生徒たち「…」


冒険先生「はは…、そんな静かになることもない」

冒険先生「確かに、"氏"に一番近い職業ではあるが、そのリスクの代わり…」

冒険先生「誰よりも強くなり、どこよりも美しくある秘境を冒険できる。それに、一攫千金だって夢じゃない!」バッ


生徒たち「…」

剣士「…」

武道家「…」

16: 2014/06/13(金) 20:54:37 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「勿論、この学校の滞在中に冒険者の道を諦めても文句は言わない」

冒険先生「まぁ…君たちは、覚悟があって来てるんだろうから、きっと大丈夫だと思うけどね」ニコッ


生徒たち「…はいっ!」


冒険先生「予定では、2年間の講習と演習、実習を繰り返して、卒業を迎える」

冒険先生「君らの先輩もいるわけだから、出来だけ先輩後輩の関係はしっかりね」


生徒たち「はいっ」


冒険先生「うん!よろしい。それじゃ君たちには最初、この用紙を配るから…ペンを用意してくれるかな」

…ペラッ

剣士「何じゃこりゃ…」

武道家「冒険術、選択用紙…?」

17: 2014/06/13(金) 20:55:31 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「冒険者といえども、それは一つの枠じゃない」

冒険先生「冒険者にも、戦士、魔術士、ナイト、盾士、格闘家…様々な振り分けがある」

冒険先生「まぁ皆も知ってただろうけど、学びたい冒険術を書いて俺のところまで持ってきてほしい」

冒険先生「午後から体力測定もあるから、それと照らし合わせて、希望の職業が向いてるか判断するんだ」


剣士(ってことは、向いてなかったら剣術を学べないってことか…?)


…スッ

???「質問…よろしいですか」

冒険先生「はいどうぞ。えーと…名前は?」

僧侶「僧侶です。あの…、今、先生が言った、"向いているかの判断"について聞きたいのですが」

18: 2014/06/13(金) 20:56:08 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「ふむ、いいぞ」


僧侶「もし、その測定で希望するモノに足りない結果だった場合、まさかとは思いますが…」

僧侶「別の冒険術を学ぶようにされたりするんでしょうか…。まさか、退学の処分なんてことも…」


冒険先生「うん、そうだ」


僧侶「…」

僧侶「ぼ、僕は、ここに来るまでに、それなりに自分でスキルを磨いてきたつもりです」

僧侶「もしこの学校で、それを認められず、その道で進めなければ意味がないのですが…」


冒険先生「それは残念、ってことで諦めてくれ」ニコッ

僧侶「…本気ですか?」

冒険先生「本気さ」

19: 2014/06/13(金) 20:56:48 ID:bAov0d1I
 
僧侶「…何故ですか」

冒険先生「向いていないものをやらせていたら、その子が氏ぬからだ」

僧侶「…っ」


冒険先生「お前らは、命を懸けた場所へこれから旅立つんだぞ」

冒険先生「俺らは、お前ら一人一人を、そんな場所で戦えるように、技術も一つ一つ教えなければならない」

冒険先生「氏んでほしくないのは当然だし、これが冒険学校のやり方だ」

冒険先生「自分に合わないと思ったら、この時点で帰ってもらって結構だ」


僧侶「…わかりました」


冒険先生「わかってもらって嬉しいぞ」

冒険先生「じゃ、全員改めて言うが…希望する冒険術を紙に記載して持ってくるように!」

………
……

20: 2014/06/13(金) 20:57:52 ID:bAov0d1I

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガヤガヤ…ザワザワ…


剣士「お前は、やっぱり格闘術?考える時間は貰ったけど、もう決まってるよなぁ」

武道家「当たり前だろ。お前だって剣術だろ?」

剣士「…そりゃ、それ以外の能ねーし」

武道家「だよな」


トコトコ…

僧侶「…あの」

剣士「おう?」

21: 2014/06/13(金) 20:58:30 ID:bAov0d1I
 
僧侶「初めまして。ぼ、僕は僧侶っていうだけど…」

剣士「知ってる知ってる。さっき、冒険先生に質問してたやつだろ」

僧侶「うん」

剣士「その僧侶クンが何か用かい?」


僧侶「さっき先生と知り合いみたいだったから、仲いいのかなって…」

剣士「あ、あぁ…」

武道家「お…おう…」

僧侶「?」


剣士「仲がいいっていうか、目ぇつけられたっつーか…。なぁ?」ハハ…

武道家「そうだな…」

22: 2014/06/13(金) 20:59:02 ID:bAov0d1I
 
僧侶「う、うん…?」

剣士「はっはっは、まぁ気にするな。っていうか、君は何を学ぶつもりなんだ?」

僧侶「支援魔法かな。回復とか、仲間の強化とか…仲間を裏から支える感じの魔法だよ」

剣士「ほぉ、いいね。俺ら魔法は疎いんだよな~」

武道家「俺は魔法っつーより、"気力"とか"闘気"だけどな」

剣士「あぁそうだっけ…」

僧侶「気力?闘気?」


武道家「魔力と似てるようなもんだけど、魔法とは違って無属性のオーラっつーか」

僧侶「ごめん、わかんないや…」

武道家「えーと、軽く見せたほうが早いな。少し下がって」スッ

僧侶「う、うん」

23: 2014/06/13(金) 20:59:41 ID:bAov0d1I
 
武道家「…おりゃっ!」ポッ

僧侶「!」

武道家「この右手に光ってるのが…気力を具現化した、闘気ってやつだ」

僧侶「これで攻撃するの?」


武道家「うむ。これを使って打撃の攻撃範囲伸ばしたり…」

武道家「こうして腕を振って、飛ばすイメージをすると、遠距離攻撃も~…」ブンッ


ポウッ…、ドゴォンッ!!


生徒たち「うわああっ!?」

生徒たち「きゃあっ!!」

ザワザワッ!!

24: 2014/06/13(金) 21:00:34 ID:bAov0d1I
 
武道家「あ゛っ」

剣士「」

僧侶「」


武道家「や、やべぇ!!申し訳ない!!」

剣士「バカ野郎かお前は!!」ゴンッ

武道家「あいだっ!!はは…、ご、ご愛嬌ってことで」

剣士「全く…」

僧侶「あ、あはは…」


剣士「仕方のねぇやつだ…。まぁとりあえず、さっさと用紙に希望を記入してー…」


カツカツカツ…ダァンッ!!

???「…ちょっと!!」

25: 2014/06/13(金) 21:01:40 ID:bAov0d1I
 
剣士「ん?」

???「あなたじゃなくて、今、スキルをぶっぱなしたほう!!」

武道家「お、俺か!な…なんだ?」

???「何すんのよ!!折角、今日の為に新調した服が、ボロくなっちゃったじゃないの!!」ボロッ

武道家「わ、悪かったって…」

???「教室の中で、技ぶっぱなすなんてバカじゃないの!」

武道家「ごめんってば!」

???「全く…」


剣士「ま、まぁまぁ。許してやってくれよ」

???「私は、この人と話してるの!」

剣士「そ…そうか。悪いな」

武道家「おい、助けてくれないのかよ」

剣士「だってコイツ、すげぇ勢いで…怖いんだもん!」

26: 2014/06/13(金) 21:02:21 ID:bAov0d1I
 
魔道士「…コイツって、私、魔道士っていう名前があるんだけど?」

剣士「そ、そうだったか。魔道士サン、悪いな。悪気があったんじゃないんだ、許してやってくれよ」

魔道士「…」

僧侶「そ、そうなんだ。僕に"気力"っていうのを見せてくれようとして…」

武道家「…悪かったな」


魔道士「はぁ…仕方ないわね。今度から気を付けてよ」プイッ

武道家「お、おう…」


カツカツカツ…ピタッ

魔道士「…」

魔道士「…ねぇ」クルッ

27: 2014/06/13(金) 21:02:51 ID:bAov0d1I
 
剣士「まだ何かあるんスか」

魔道士「三人の名前は?私の事を知ってて、貴方たちの名前を知らないのはおかしいでしょ?」


剣士「…剣士だ」

武道家「武道家」

僧侶「僕は僧侶」


魔道士「うん、ありがと。もうこんな事はしないでね」

カツカツカツ……


武道家「…おっかない娘だったな」

剣士「少し可愛かったな」

武道家「えっ…。お前、ああいう子が趣味なのか!?」

剣士「気が強い子は嫌いじゃないぜ?」

武道家「確かに気は強いし、少し可愛いかもしれないけど、ガサツっていうか…!!」

28: 2014/06/13(金) 21:03:26 ID:bAov0d1I
 
ポウッ…、ボォンッ!!!

武道家「…がふっ!」

…ドサッ!


魔道士「…聞こえてんのよ!」


剣士「か、火炎魔法…」

僧侶「自分で教室で使うなって言ってたのに…ひぃぃ…」

剣士「…はは」


………
……

29: 2014/06/13(金) 21:04:16 ID:bAov0d1I
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…トントンッ、ペラッ

冒険先生「…うしっ。これで40枚」

冒険先生「これで全員、提出が終わったなー?」

冒険先生「んじゃ、今から校庭に出て、体力測定を開始するぞ~」


剣士「来た来た。頑張ろうぜ」

武道家「おうよ」

30: 2014/06/13(金) 21:04:59 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「んじゃ、移動~。校庭には他の先生も待機してるし、紹介するからな」

生徒たち「はいっ!」

剣士「ういーっす」

武道家「ういっす」


………
……

31: 2014/06/13(金) 21:06:17 ID:bAov0d1I
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 校 庭 】

ガヤガヤ…

冒険先生「んじゃ、静かにしろー」パンパン

冒険先生「こちらにいらっしゃるのが、我が校の先生たちだ」

冒険先生「きちんと挨拶するように」


…スタッ

格闘先生「格闘先生だ。体術、近接の格闘術を担当している」

魔法先生「魔法先生です。魔術の担当をしております」

武装先生「武装先生と呼んでくれ。剣や槍を始めとする全ての武器術関連の担当をしている」

聖魔先生「聖魔先生です。主に支援魔法を担当しています」

32: 2014/06/13(金) 21:07:45 ID:bAov0d1I
 
剣士「格闘、魔法、武装先生ねぇ…」

剣士「…」

剣士「…んんっ…?おかしくねえか?」


武道家「何が?」

剣士「格闘術とか、魔法とかは専門的な担当だけど、武装先生っておかしくね?」

武道家「あぁ、確かにな。考えてみたら…総合担当って、剣術専門とかそういうわけじゃないのか」

剣士「そういうこと。命預ける学校なのに、総合担当でいいのかよ…」

武道家「お前のスキル、ハズレじゃね?ぷくく…」

剣士「ぶんなぐるぞ」


…ザッ

冒険先生「…これで一先ず、今紹介できる先生はこの方々だけだ」

冒険先生「では、改め…俺が冒険先生だ。あらゆる冒険術の基礎を教える担当だ。よろしくな」

冒険先生「それと、ここでは武装先生が最も年長で、偉い先生になる。覚えておくように」

33: 2014/06/13(金) 21:08:26 ID:bAov0d1I
 
…ザッ

武装先生「うむ。今、紹介に与った武装先生だ。改めて自己紹介をさせてもらう」

武装先生「武具の関係する総合的な担当をしている他に、一応、この学校の責任者ではある」

武装先生「技術講師として以外に、学校の責任者としても、よろしく頼むぞ」


冒険先生「この方は、世界政府の中心である、中央国の中央軍本部に所属していた方でな」

冒険先生「冒険者としても熟練者で、君らの大先輩だ。敬うようにな」


生徒たち「!」


武装先生「ははっ、そんな褒めなくても。これからは若い人らの時代だ」

冒険先生「いえいえ、そんな」

34: 2014/06/13(金) 21:08:57 ID:bAov0d1I
 
剣士「ぷっ…年とってるからって、強いわけじゃねーのに敬えって」ボソッ
 
武道家「お、おい…」


武装先生「…」ピクッ 
 
 
剣士「だってそうじゃね?そもそも、沢山の武器があるのに、総合的に使ってたら、そこまで強くなれねーだろ」ボソボソ

武道家「まぁ確かにそうかもしれんが、お前より強いかもしれねえだろ」ボソボソ

剣士「はぁ…ちょっと落胆したわ。もっと名のある人とかに教えて貰えると思ったのに」

武道家「お前さすがに、それは言い過ぎ…」


武装先生「…そこの君。立て」


剣士「へっ?」

35: 2014/06/13(金) 21:09:30 ID:bAov0d1I
 
武装先生「立て」

剣士「は、はぁ」スクッ


武道家(あらら…知らねぇっと)

僧侶(あ…、剣士クン…)

魔道士(さっきの…)


武装先生「今の言葉、もう1度言ってみろ」

剣士「い、いやぁ何も言ってませんよ?」

武装先生「言ってみろ」

剣士「…」

36: 2014/06/13(金) 21:10:18 ID:bAov0d1I
 
武装先生「聞こえないのか?もう1度言うー…」

剣士「…偉そうだな~って言ったんだよ」

武装先生「ほう?」

武道家「お、おい!」


剣士「あのさ、さっき冒険先生が言ってたけど、"冒険で氏なせないため"のも学校の第一なんでしょ?」

剣士「他の格闘やら、魔法は専門の先生がいるのにさ…」
 
剣士「何で、武器の関係している人だけ、総合担当の人に教わらないといけないわけ?」

剣士「少し経験があって、年取ってるからって…その辺にいる冒険者以下の実力だと俺らが困るわけで」


冒険先生「こ、こら!!」

武装先生「まぁまぁ」

37: 2014/06/13(金) 21:10:51 ID:bAov0d1I
 
剣士「総合担当だっけ?武装先生は剣術とか、槍術とか、短剣術とかさぁ…全部完璧にできるの?」

剣士「命を賭けたのが冒険で、それを教えるのが冒険学校でしょ?なのにさ…」

剣士「それが総合担当の人とか、不安でしかないんだけど…。みんなも、そうじゃないのか?」クルッ


生徒たち「…」


武装先生「…だったら、学校をやめるか?」

剣士「へ?」


武装先生「ここがそれのやり方だ。それについて来れないなら、やめればいい」

武装先生「過去にもそういう奴はいた。みんな辞めていったがな」


剣士「あんたが辞めさせたのか」

武装先生「いや、違う」

38: 2014/06/13(金) 21:11:25 ID:bAov0d1I
 
剣士「…ふ~ん」

武装先生「…わかっているんだろう?」クイッ

剣士「そうッスね。さすが、冒険学校。話が早くて助かる」

ザッザッザッ…


武道家「お、おい!剣士!」

剣士「…」


冒険先生「武装先生!頼みますから…毎年、こういう事はやめてくださいよ…」

冒険先生「いつもこれで辞めていくんですから…」


武装先生「一人でも規律を乱す者がいれば、即刻排除すべきだろう」

冒険先生「ここは軍隊じゃないんですけどね…」

39: 2014/06/13(金) 21:12:11 ID:bAov0d1I
 
武装先生「冒険先生。いつもの準備を」

冒険先生「はぁ…わかりました…」

タッタッタッタッ…


剣士「…」

武装先生「まぁ落ち着け。お前が得意なのは剣術だな?」

剣士「あぁ」

武装先生「今、冒険先生が武器の準備をしている。少し待て」

剣士「…」

武装先生「お前の得意の武器に合わせてやる」

剣士「なんじゃそりゃ、余裕か?」

武装先生「お前と俺じゃ実力の差もあるだろうに。余裕ってことだ」

40: 2014/06/13(金) 21:13:17 ID:bAov0d1I
 
剣士「…」

武装先生「…」


タッタッタッタッ…

冒険先生「剣士!武装先生!」


武装先生「来たぞ」

剣士「ん…」


冒険先生「それっ!」ポイッ!

…クルクルクルッ…

41: 2014/06/13(金) 21:14:39 ID:bAov0d1I
 
剣士「…おっ」パシッ

武装先生「ご苦労」パシッ

剣士「何だこりゃ、模擬刀?」チャキッ

武装先生「さすがに真剣で戦うわけにはいかないだろう」

剣士「別に真剣でもいいんだけどね。俺にはコレは軽すぎる」ヒョイッ


武装先生「はっはっはっ、お前も余裕を見せているつもりか」

剣士「御託はいいから、ちゃっちゃと始めましょうや」チャキッ

武装先生「…落ち着いているな。同級生のギャラリーがいるというのに」


生徒たち「…」

魔道士(剣士…)

僧侶(剣士君…)

武道家(バカ野郎…)

42: 2014/06/13(金) 21:15:50 ID:bAov0d1I
 
剣士「…燃えるじゃないの」

武装先生「面白い」

剣士「ルールは?」

武装先生「参ったで負けか、気絶したら負けでいいな」

剣士「いいや、気絶したら負けでいいよ。単純でいい」

武装先生「はははっ!面白い!」


トコトコトコ…

冒険先生「はぁぁ…またか…。武道家だったかな、君は。隣、座らせて貰うよ」ストンッ

武道家「あ、どうぞ。冒険先生、毎年こんな感じなんですか?」


冒険先生「…」

冒険先生「武装先生は軍部のあがりで、実力行使で相手をひれ伏すのが好きなんだ」

冒険先生「実力もあるんだけど、あの態度だからいつも敵を作ってしまうんだよ…」ポリポリ

43: 2014/06/13(金) 21:16:33 ID:bAov0d1I
 
武道家「やっぱり実力は高いのか…」

魔道士「うん。確かに、武装先生は強そうよね」ヌッ

武道家「ぬおっ!」ビクッ

僧侶「た、大変なことになってるけど大丈夫なの…?」ヌッ

武道家「お、お前ら!」


冒険先生「そりゃ強いさ。だから、ああいう生徒はすぐにやられて…学校を去ってしまう」

武道家「…っ」

冒険先生「君の仲の良い友達だったね。残念だけど、また同じように…」

武道家「いや…やられないッスよ。あいつは強い」

冒険先生「…」

44: 2014/06/13(金) 21:17:26 ID:bAov0d1I
 
ゴォォ…

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…どうした?いつでもかかってこい」


剣士「ぬ…おらぁぁっ!!」ダッ!!

武装先生「おっ」

剣士「うらぁっ!!」ブンッ

武装先生「ふん」

…カキィンッ!!


剣士「…まだまだっ!!」ブンッ

…カキィン!!

武装先生「どうした?ただ打ち込むだけか…それでは当たらないぞ?」

45: 2014/06/13(金) 21:18:15 ID:bAov0d1I
 
武道家「…」

冒険先生「…」

魔道士「…」

僧侶「…」


剣士「…いや?ただ、俺の振り下ろしを弾けるか見ただけさ」

武装先生「そんな偉そうな口を叩いたんだ、スキルの1つくらい覚えているんだろう?」

剣士「…」

武装先生「…来ないのか?なら、こっちから行くぞ!」ダッ!

ダダダッ!!!

剣士(早い!)


武装先生「…小斬っ!!」ブワッ!

46: 2014/06/13(金) 21:18:52 ID:bAov0d1I
 
ビュンッ……ガガキィン!!

剣士「ぬぐっ!」

武装先生「!」

剣士「へへっ…」ググッ

武装先生「…いつもの生意気な奴らは、下級技で沈むんだがな」

剣士「そりゃとんだ二流の相手ばかりしてきたんだな…」ググッ…

武装先生「…」

…ビュッ!!ゲシッ!!


剣士「ぬあっ!」

ドサッ!!


武道家「あそこから足蹴り!?地面に倒された!」

魔道士「あ、危ない!」

47: 2014/06/13(金) 21:19:28 ID:bAov0d1I
 
武装先生「ふんっ!!」ブンッ!!

剣士「やべっ!!」


…ガキィィンッ!!!


武装先生「…!」

剣士「あ、危ねぇ~…!!」ビリビリ

武装先生「倒れてから、俺の降り下ろしを防ぐとは…やるじゃないか」

剣士「これでも鍛錬してきたんでね…!」

武装先生「…っ」チラッ


生徒たち「…!」

ガヤガヤ…ザワザワ…

48: 2014/06/13(金) 21:20:55 ID:bAov0d1I
 
武装先生「さっさと決めねば、他の生徒たちにも見栄えが悪いか…」

武装先生「そろそろ沈んでもらおうか!」

武装先生「…小斬っ!」ブンッ!!


剣士「ここでかよ!」ビュッ

ガキィンッ!!…ビリビリ…!

剣士「い、いでで…!」

武装先生「…ッ!」


生徒たち「おぉ…まだ防ぐのか!」

生徒たち「な、なんかアイツ応援したくなってくるな」

生徒たち「武装先生って本当に、口とか見掛けばかりで強くないんじゃ…?」

49: 2014/06/13(金) 21:21:42 ID:bAov0d1I
 
武道家「冒険先生、なっ?剣士は強いんだって!」
 
冒険先生「…た、確かに、めちゃくちゃだが面白い動きを…」


武装先生「…」イラッ

武装先生「こ、この!」ビュッ

…バキャッ!!

剣士「ふぎっ!」

ゴロゴロゴロッ…ズザザァ…


武道家「っ!?」

生徒たち「あっ!!」

冒険先生「ぶ、武装先生!?」

魔道士「きゃあっ!!」

50: 2014/06/13(金) 21:22:30 ID:bAov0d1I
 
武装先生「はぁ…はぁ…」

剣士「…」

ドシャッ…ダランッ…

ドクドク…


武道家「け、剣術の勝負なのに…顔をボールみたく蹴飛ばしやがった!!」

冒険先生「武装先生!いくらなんでもそれは…!」

武装先生「…っ」

冒険先生「せ、聖魔先生…回復魔法を!」

聖魔先生「あっ…は、はい…!」ダッ

51: 2014/06/13(金) 21:23:22 ID:bAov0d1I
 
ブンッ!!…カランカランッ!!

聖魔先生「うわっ、危なっ!」

剣士「いぢぢ…。く、来るんじゃねぇ」ポタポタ

聖魔先生「立った…!?鼻血を止めないといけませんよ!」

剣士「お前らも…武道家も、騒ぐんじゃないよ…。勝負っつったらこうじゃないと…」ユラッ


武装先生「…黙って休めばいいものを」

剣士「負けるのは大嫌いなんでね…」

武装先生「…なら楽にしてやろう。投げた剣をさっさと拾え」チャキンッ

剣士「ん~…」

武装先生「早く拾わないか!」


剣士「冒険先生、武器って軽いのしかないのかな。もっと重いやつない?」

冒険先生「…重いといえば、大鎌ならあるが…あれは古い模擬武器で、重すぎて使えたものじゃ…」

52: 2014/06/13(金) 21:24:03 ID:bAov0d1I
 
剣士「…それ頼むよ。俺さ、軽い武器は合わないんだわ」

冒険先生「し、しかしな」

剣士「頼むよ」

冒険先生「…わかった」ダッ

タッタッタッ…


武装先生「勝負を諦めたか?」

剣士「軽いのは好みじゃないんでね」

武装先生「相手が軽武器のうえに、一対一の状態で、重い武器とは…。両手持ち用だぞ?素人もいいところだな」

剣士「誰が両手っつったのよ」

武装先生「大鎌は重武器だ。古い模擬武器は、重さもそのまま作ってあるんだぞ」

剣士「だから…、重いからって両手持ちだと誰が決めたのよ」

武装先生「…?」

53: 2014/06/13(金) 21:25:04 ID:bAov0d1I
 
タッタッタッタッ…

冒険先生「おぉい…これでいいのか…!」ゼェゼェ

ズリズリ…


…ザワッ!!

生徒たち「うおおぉ!?でかっ!!」

生徒たち「ちょっ、あれは…。先生すっごい重そう!」


魔道士「ちょっ…あれはいくらなんでも…」

僧侶「無理だよさすがに!」

武道家「あぁ…。あれなら丁度なんじゃないの」

魔道士「え?」

武道家「あいつさ、元々、片手とかの軽剣じゃなくて…」

54: 2014/06/13(金) 21:26:04 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「ほ、ほら…これでいいか…」ハァハァ

…スッ

剣士「はいっ、どーも」ヂャキンッ

…ブンブンッ!!

剣士「…これでも少し軽いかな?」ヒョイッ


武道家「鋼で出来た、大剣持ちでずっとやってきたからさ」


武装先生「…なっ!」

剣士「さっ…やろうか。武装先生」

武装先生「…多少、力はあるようだな…」

剣士「そうかな」

55: 2014/06/13(金) 21:26:50 ID:bAov0d1I
 
武装先生「だが、使いなれていないカマで俺を倒せるのかな?」

剣士「いいからかかってきなよ」クイッ

武装先生「…ッ!!」

ダッ…ダダダダッ!!


剣士「いっせーの…」ググッ

武装先生「大…」チャキッ


剣士「せっ!!!!」

武装先生「斬っ!!!」


…バキャアンッ!!!!

56: 2014/06/13(金) 21:27:38 ID:bAov0d1I
 
ドシャッ!ズザザザァ…!!

ブワッ…モクモク…!


冒険先生「うわっぷ!」

魔道士「ごほ、ごほごほっ!」

武道家「土煙が…」ゴホッ

僧侶「前が見えない…!」


魔道士「えぇい、もう!小風刃魔法っ!」パァッ

ビュウウウッ!!

57: 2014/06/13(金) 21:28:18 ID:bAov0d1I
 
サァァッ…

武道家「お…」

魔道士「これなら見えるでしょ!」

冒険先生「土煙が晴れて…」


生徒たち「どっちが勝ったんだ…?」

生徒たち「すげぇ爆音してたな。氏んだんじゃねえの…」

生徒たち「ん…見えてきたぞ…」


武道家「…」

武道家「…おっ…!」

58: 2014/06/13(金) 21:29:03 ID:bAov0d1I
 
サァァッ…、ヒュウウッ…

剣士「…ふん」スタッ


武道家「…剣士!!」

剣士「はっはっは!」

魔道士「えっ…、剣士が立ってるってことは…」チラッ


武装先生「…」ダランッ


冒険先生「…!!」

武道家「あーあ、ハデにやっちゃったな」

剣士「俺は悪くないよな。勝負に持ち込んだのあっちだし」

武道家「確かにな。これで退学になったら、俺も一緒にやめてやろうか」

剣士「まじか!」

武道家「うそだけど」

59: 2014/06/13(金) 21:29:42 ID:bAov0d1I
 
剣士「ウソかよ!こら!一瞬、ときめいた俺の気持ちを返せ!」

武道家「お前のせいで辞めるなんざゴメンだね!」

剣士「無理やりにでも辞めさせるからな!」

武道家「あぁっ!?」

剣士「あぁん!?」


…ゴツゴツンッ!!

剣士「」

武道家「」


冒険先生「落ち着け…お前たち。剣士は一回、聖魔先生と休憩室へ行け」

60: 2014/06/13(金) 21:31:08 ID:bAov0d1I
 
剣士「だ、だけどこれから体力測定が…」

冒険先生「剣術希望だったな。…合格だろう、何をしなくとも」

剣士「まじか!?」

冒険先生「全員納得の結果だ。いいから休憩室で休んで来い」

聖魔先生「行きますよ、剣士くん」

剣士「へいへい…」


武道家「くっそ~…。おい、剣士!俺も合格してすぐに追いつくからな!」

剣士「…おう!」

ザッザッザッザッ……

61: 2014/06/13(金) 21:31:50 ID:bAov0d1I
 
冒険先生「よし…行ったか。やれやれ…凄い子が入って来たもんだ」

武道家「俺だってアイツと引き分けしてるくらい強いんだぜ。見ててくれよ!」

冒険先生「うむ。では、頑張ってもらおうか!」

武道家「さっさと始めようぜ!」


魔道士「…勝っちゃった」

僧侶「す、凄く強かったんだね剣士君」

魔道士「…うん、凄かった」

僧侶「僕も合格して、剣士君に報告しないと!」

魔道士「私も、頑張るっ」


…………
………

73: 2014/06/15(日) 21:12:41 ID:V6JdvEdE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 休憩室 】

パァッ…

聖魔先生「はい。これで治療は終わり」

剣士「うっしゃ!じゃあ改めて…」ダッ

聖魔先生「待ちなさい」

…グイッ!

剣士「おごぉっ!!」

ズルッ…ビタァンッ!!

74: 2014/06/15(日) 21:13:20 ID:V6JdvEdE
 
剣士「へんへぃ…、まは、はなひが…」ダラダラ
(先生…、また、鼻血が…)


聖魔先生「貴方はもう合格したでしょう。それに、すぐ動くのは良くないです」

剣士「だけどさ!」

聖魔先生「教室にでも戻ってるか、ここで横になってなさい」

剣士「んむむ…」

聖魔先生「やれやれ…。やる気に満ち溢れているのは、いい事ですけどね」

剣士「そりゃあ…」


カツカツカツ…
 
武装先生「…聖魔先生、申し訳ない。自分の治療も頼みます」

剣士「!」

聖魔先生「あっ、武装先生。いいですよ、そこへ座ってください」

75: 2014/06/15(日) 21:13:58 ID:V6JdvEdE
 
剣士「…」


カツカツカツ…ストンッ

武装先生「失礼。感謝します」

聖魔先生「いえいえ」パァッ

…シュウウウッ


剣士「…」

武装先生「…どうした、顔に何かついているか」

剣士「いや、何でもない」

武装先生「そうか」

剣士「…」

76: 2014/06/15(日) 21:14:38 ID:V6JdvEdE
 
パァァッ…

聖魔先生「よしっ、これで大丈夫です。でも、少し休んでてくださいね」

武装先生「了解した。では、体力測定のほうに戻ってくれても構いません」

聖魔先生「毎年ケガ人出ますもんね。急いでいってきます」

タッタッタッタッ…


武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…なぁ、オッサン」

77: 2014/06/15(日) 21:15:25 ID:V6JdvEdE
 
武装先生「…オッサンとは、俺のことか」

剣士「…以外、いないっしょ」

武装先生「…何かな」

剣士「オッサン、俺より強いよな」

武装先生「俺に勝った奴の言うセリフか?」

剣士「あの蹴り飛ばしの後、真剣勝負だったら刺されて終わってた。俺の負けだろ」

武装先生「…ほう。潔いな」


剣士「冒険者になるために、鍛錬を積んできた。負けは負けと認めないと、俺自身が許さない」

剣士「すっげー悔しいけど…な」

78: 2014/06/15(日) 21:16:20 ID:V6JdvEdE
 
武装先生「だが、結果的にはお前の勝ちだぞ」

剣士「試合としては、だろ。勝負には負けてる」

武装先生「勝負の話でいえば、最初からお前が得意の大剣を使っていれば…分からなかっただろう」

剣士「いや…わかってる。オッサンは片手剣がメイン武器じゃないだろ」

武装先生「なぜそう思う」


剣士「近接での足蹴りの速さや、倒れこんだ相手に即座に立ち回る変則的な動き…」

剣士「恐らく使い慣れてる武器は短剣…。違うか?」


武装先生「正解だ」

剣士「本気武器同士なら、どうなってたかなんて…。分かってたことだっつーの、くそっ!」

武装先生「本気武器の話なら、お前の一撃で俺は吹き飛ぶんじゃないか?」

79: 2014/06/15(日) 21:17:07 ID:V6JdvEdE
 
剣士「ウソつくなよ。アンタ、相当な実力を隠してるだろ」

武装先生「…」


剣士「慣れてない片手剣で、上級技の大斬をぶっぱなしたり出来る訳ねぇ」

剣士「恐らくそうだな…、最後に俺の攻撃と正面きって打ち合ったのは、俺の顔を蹴飛ばした事への反省じゃないのか」

剣士「押し負けるとわかっててやったんだろ」


武装先生「…さぁな」

剣士「くそっ…情けない。同級生らは俺が完全勝利したんだと思ってるんだろうな」ハァァ


武装先生「…」

武装先生「…ついてこい」

80: 2014/06/15(日) 21:17:46 ID:V6JdvEdE
 
剣士「お、おい…どこへ?」

武装先生「いいから来い」

剣士「あ…あぁ」


タッタッタッタッ…

………
……

81: 2014/06/15(日) 21:18:35 ID:V6JdvEdE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 重役室 】

ガチャッ、ギィィ…


剣士「…何だここ」

武装先生「俺の部屋だ。重役室っていうところか」

剣士「ここがどうしたんだ?」

武装先生「…上を見ろ」


剣士「ん?」

剣士「……おっ」

82: 2014/06/15(日) 21:19:21 ID:V6JdvEdE
 
キラキラキラ…

武装先生「凄い数だろ。俺が中央国の中央軍へ所属していた時の、表彰状やらだ」

剣士「…自慢かよ」

武装先生「ここに、俺が育てた子供らが表彰され、俺が育成者としての功労賞を受け取ったのもある」

剣士「だから自慢じゃないかー…」


武装先生「…俺の教え子らが、軍人として、見事に散ったという事でな」

剣士「!」


武装先生「冒険者の道の一つに、"軍人"という道があるのは知っているか?」

剣士「い、いや…」

武装先生「冒険時代といえる今、軍への加入は手厚い保護を受け、冒険を出来る仕事場になっている」

剣士「…そうなのか」

83: 2014/06/15(日) 21:20:25 ID:V6JdvEdE
 
武装先生「表向きはな」

剣士「表向き?」


武装先生「本当は、一般冒険者が立ち入れないような危険な場所へ、冒険者を送り出す手段なんだよ」

武装先生「確かに軍人としての過保護とまでいえる恩恵はあるが、それは表向きの甘い募集だ」

武装先生「実際は過酷な場所へ送り出す人材を、冒険学校の卒業者から入隊させる、ひどい場所なんだ」


剣士「…」

武装先生「そのやり方に反発した俺は、こんな中央国から遠い学校へ飛ばされちまったわけだ」ハハハ

剣士「…なるほどね。そういう事か」

武装先生「ん?」

剣士「オッサン、わざと軍隊式みたく…戦いに積極的、乱暴に見せてるだろ」

武装先生「…」

84: 2014/06/15(日) 21:21:03 ID:V6JdvEdE
 
剣士「"軍とは辛いものだから、絶対に入るな"とは口で言えないから、態度で示して、俺たちを軍から遠ざけようとしてる」

剣士「…そんな感じだなと、少し思ったんだが。どうかな」


武装先生「勘のいいことだ」

剣士「大体わかるよ。っつーか、察してくれって感じじゃん」

武装先生「…」ニヤッ

剣士「どうして俺にこんなのを見せた?」

武装先生「お前が気に入ったからだ」

剣士「はぁ?」


武装先生「俺にたてついたうえで、実力で示したのはお前が初めてだからな」

武装先生「しかも、負けも認める潔さもあったもんだ。ついつい、こんな話をしちまった」ポリポリ

85: 2014/06/15(日) 21:21:54 ID:V6JdvEdE
 
剣士「あぁ…そう…」

武装先生「…頑張れよ。お前はもっと強くなる」


剣士「…」

剣士「…なぁオッサン」


武装先生「何だ?」

剣士「…さっき、校庭で、総合担当なんてクソだとか…言って、悪かった。オッサンは強いよ…くそっ」

武装先生「はははっ、まぁ…武器全般の総合担当なんて、信じられないのも無理はない」


剣士「俺のせいで、オッサンの信頼も下がっちまったろ」

武装先生「…たてつく奴は、力づくで、分からせてやるさ」グッ

剣士「くく…」

86: 2014/06/15(日) 21:22:43 ID:V6JdvEdE

…ザワッ

ガヤガヤ…ワイワイ…


剣士「ん?」

武装先生「なんか急に外が騒がしく…」

 
ガチャガチャ…バタァンッ!!


武道家「ここか!?」

魔道士「ここだと思う…って、いたっ!」

僧侶「あっ、剣士くん!」


剣士「お、お前ら!?」

武道家「おうおう、聞いてくれよ!俺、合格したぞ!お前に追いついたぜ!」

87: 2014/06/15(日) 21:23:32 ID:V6JdvEdE
 
剣士「当たり前だろ。お前が合格できなくてどうする」

武道家「はっはっはっ!」


魔道士「私だって合格したんだから」

僧侶「僕も!」

剣士「やるじゃねえか!」

魔道士「ふふんっ」


武装先生「…ふっ。ほら、さっさと次の授業が始まる前に、教室へ戻れ」

剣士「…おうよ、ありがとさん。また手合せしてくれよ。次は本気でさ」

武装先生「機会があればな」ニヤッ

88: 2014/06/15(日) 21:24:10 ID:V6JdvEdE
 
ガチャッ…バタンッ…


トコトコ…

武道家「お前、あの先生と妙に仲良くなってなかったか?」

剣士「まぁ色々あったんだよ」

武道家「教えろよ!」

剣士「秘密にしておくかな、はっはっは」

武道家「この…」


魔道士「まぁまぁ…。今は合格しただけ、良しとしようよ」

武道家「むっ…」

僧侶「うん、それがいいと思う!」

89: 2014/06/15(日) 21:25:14 ID:V6JdvEdE
 
剣士「ほらな、じゃあ…俺は先に教室戻ってるぜ!先に着いたほう勝ちな!」ダッ

武道家「あっ、待てコラァ!」ダッ

僧侶「ちょっ…待ってよ!」ダッ

魔道士「こら~!置いていくなぁ~!」ダッ

タッタッタッタッ…

………

……


90: 2014/06/15(日) 21:26:28 ID:V6JdvEdE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後・帰路 】


カァ、カァ…


剣士「ふぅ~…」

武道家「初日、終わったな…。あっという間だった」

剣士「思ったよりも楽だったよな。体力測定なんざ、余裕過ぎて欠伸が出たぜ」フワァ

武道家「鼻血出して、ヒールにかかってた奴が何を」


剣士「…あぁん!?」

武道家「…あぁ!?」

91: 2014/06/15(日) 21:27:11 ID:V6JdvEdE
 
…ズイッ

剣士「ふむぐっ」

武道家「ぬおっ」


魔道士「はいはい、ケンカしないの」

剣士「…けっ」

武道家「分かりましたよ…」


剣士「つーか、何でお前も一緒にいるのよ」

魔道士「何となく」

剣士「まぁいいけど」

92: 2014/06/15(日) 21:27:51 ID:V6JdvEdE
 
魔道士「本音を言えば…凄いって思ったからかな。本当に武装先生を倒しちゃうなんて」

剣士「…」

魔道士「最初に立ち上がって挑んでった時は、初日に学校辞める事になるのかなって思ったけど」

剣士「やめねぇよ!」

魔道士「あははっ!」


剣士「まぁ、俺の実力を見て仲良くなりたいと思ったというなら、仲良くしてやろう」キラキラ


武道家「…」

武道家「…バ~カ」


剣士「…」

剣士「…んだとコラァ!!」


武道家「あぁん!?」

剣士「おぉっ!?」

93: 2014/06/15(日) 21:28:59 ID:V6JdvEdE
 
…ズイッ!!

剣士「むぐっ!」

武道家「んぐっ!」


魔道士「だから、ケンカしないの!」

剣士「…へいへい」

武道家「…分かったよ」


魔道士「仲がいいんだか悪いんだか分からないんだから」

剣士「俺がこいつと?」

武道家「仲がいいって?」


剣士&武道家「…まぁ、そうかもな」

94: 2014/06/15(日) 21:29:38 ID:V6JdvEdE
 
魔道士「あなたたち、幼馴染とかなんかなんでしょ?」

剣士「…そうなのか?」

武道家「同じ村でずっと一緒だったし、そうだろ。二人でバカな事もたくさんしてきたよなー」

剣士「あ~…色々やってきたな」ハハハ

魔道士「どんな事?」


剣士「キャンプファイア飛び火して、村長の家を燃やしたり、冒険ごっことか言って、川に流されて氏にかけた」

武道家「村の守り神の石碑の下にお宝が眠ってるとかってう噂聞いて、掘り起こしたりもしたな」

剣士「あと何だっけほら、確か隣村まで話が伝わった事やったよな…ほら…あれ…」

武道家「勝手に溜め池の水路掘って、隣村の畑の水を全部抜いちゃって、村同士の抗争になったんじゃなかったか?」


魔道士「…」


剣士「まぁ、可愛い子供のやることで」ニコッ

95: 2014/06/15(日) 21:30:25 ID:V6JdvEdE
 
魔道士「どこがよ!!」

剣士「はっはっは!」

魔道士「悪童って言葉、そのまんまじゃないの…」

剣士「でも、毎日が楽しかったぜ?自然に囲まれてたし、新しい発見が毎日あった気がする」

魔道士「…へぇ、少し楽しそうね」


剣士「武道家、確かその頃だよな?冒険者の事を知って…二人で世界を見たいって思ったのは」

武道家「そうそう。お前の叔父さんが結構有名な冒険家で、よくお土産貰ってたよなー」

剣士「俺らが冒険者目指したのは、叔父さんの影響がでけぇかも」

武道家「うむ、確かに」


魔道士「叔父さんがきっかけで冒険者を目指したってこと?」

剣士「そうかもしれん」

96: 2014/06/15(日) 21:31:56 ID:V6JdvEdE
 
魔道士「そっかー…」

剣士「お前は?」

魔道士「うん?」

剣士「お前は何で冒険者を目指してんの?女性もたまにいるけど、やっぱ珍しいなとは思っちまうな」

魔道士「…確かにね」

剣士「なんか目指すきっかけとか、教えてくれよ」


魔道士「ん~…」

剣士「…」

魔道士「…引かない?」

剣士「何が。聞かないとわからん」

97: 2014/06/15(日) 21:33:53 ID:V6JdvEdE
 
魔道士「…そこはさ、引かないって言ってくれる場面じゃないの」

剣士「うんとは言えねぇよ。殺人とか罪犯して、逃げてココへ来たとか言われたら嫌だし」

魔道士「…そんなわけないでしょ!!」

剣士「うひっ!じゃ、じゃあなんだよ!」


魔道士「…」

魔道士「お、男っぽい…から!」


剣士「あん?」

魔道士「私がすぐに手を出したり、調子乗ったりして、男っぽいって言われ続けて…」

剣士「ふむ」

魔道士「気が強すぎるとかさ…なんか色々言われてたの。頭にきて、だったら冒険者になってやるみたいな…」

剣士「…それだけ?」

魔道士「え?う…うんっ…」

98: 2014/06/15(日) 21:35:29 ID:V6JdvEdE
 
剣士「なんだ凄い理由あるわけじゃねえのか。その程度なら、俺らと一緒だな?」

武道家「似たりよったりじゃないか」

魔道士「…それだけの理由で飛び出して、バカみたいとかは言わないの?」


剣士「まぁ、何がきっかけだろうといいんじゃないの?」

剣士「理由はどうあれ、俺らは目指す同期だし、さっきみたいな人道を外すような理由じゃない限りは、どうも思わん」


魔道士「そ、そっか」

魔道士「そっかぁ……」


剣士「?」


武道家「それに、剣士は魔道士みたいな気が強い子好きなんだよな?」ニヤッ

剣士「なっ…」

魔道士「!」

99: 2014/06/15(日) 21:36:52 ID:V6JdvEdE
 
武道家「さっき、言ってたじゃん。可愛いくせに、気が強くて俺好みだとかー…」

剣士「おいコラ!」

魔道士「…」


武道家「剣士君、素直になろうよ」ニタニタ

剣士「こ…コラァ!!」グイッ

武道家「あぁ…?やんのかオラァ!!」グイッ


魔道士「さ…先戻ってる!」ダッ

タッタッタッ…

100: 2014/06/15(日) 21:38:09 ID:V6JdvEdE
 
剣士「あ…」

武道家「あらら。追いかけなくていいの?」

剣士「おめぇのせいだろうが!!」

武道家「怒るってことは図星だろ?うーん…やっぱり分からん。確かに可愛いとは思うが、俺のタイプではないな」

剣士「お前には分からんでよい」シッシッ


武道家「確かにスレンダーともいえるし、いいとは思うが…」

武道家「見た感じ、お姉さま!と呼ばれるのとは、かけ離れた存在で…魔道士はもうちょっとこう、身体に肉付きがー…」


ヒュッ…ボォンッ!!!

武道家「おごぉっ!?」


魔道士「…だから、聞こえてるってのっ!!」

101: 2014/06/15(日) 21:39:12 ID:V6JdvEdE
 
剣士「あ、あんな遠くから…。地獄耳だ…」


武道家「あの距離から正確に打ち抜くとは…」ブスブス

武道家「む…無念…」

…バタッ


剣士「く…くはははっ!」

剣士「…楽しくなってきたじゃねえか!」

剣士「おら、武道家!寝てないで早く立て、今日から寮なんだ…相部屋だし気合入れていくぞ!」


武道家「へいへい…」ムクッ


…………
……

102: 2014/06/15(日) 21:39:56 ID:V6JdvEdE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

103: 2014/06/15(日) 21:40:40 ID:V6JdvEdE
本日はここまでです、有難うございました。

109: 2014/06/19(木) 21:04:00 ID:jhxaNc3g
  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 冒険学校寮 】

ユサユサ…

剣士「…むにゃ」

武道家「おい、起きろ。朝だ」

剣士「まじかよぉ…もう…?」モゾモゾ

武道家「もう。遅刻すんぞ」


剣士「…」

剣士「…」グー


武道家「…」

110: 2014/06/19(木) 21:05:26 ID:jhxaNc3g
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トコトコ…

剣士「なんか、朝から頭がいてぇな」ズキズキ

武道家「さっきベッドから落ちてたからじゃね?」

剣士「そうか…」


武道家「さっさと食堂で朝飯食って、学校行こうぜ」

剣士「んだな…。しかし、食堂があるのは楽だよなぁ…」フワァ


ガチャッ、ギィィ…

剣士「ここでいいんだっけ」

武道家「そう。もう朝飯は置いてあるから、勝手にとって食べていいらしいぞ」

剣士「うむ…」

111: 2014/06/19(木) 21:06:16 ID:jhxaNc3g
 
魔道士「…あっ」

モグモグ…


剣士「お…魔道士」

魔道士「おはよっ」

剣士「おう、おはよう。折角だから相席でもいいか」

魔道士「うん」

剣士「んじゃ朝飯とってくるよ」

……

112: 2014/06/19(木) 21:07:21 ID:jhxaNc3g
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カチャカチャ…モグモグ…

剣士「ふむ、美味い」

武道家「意外と美味いな」

魔道士「うん、美味しい」


剣士「っつーかさ、魔道士」

魔道士「ん?」

剣士「今思ったんだけど、お前…女子なのに、一緒の寮なの?」

魔道士「うん」

剣士「それっていいのか…?」

113: 2014/06/19(木) 21:07:56 ID:jhxaNc3g
 
魔道士「元々入学する前から、それは前提で言われてたし…」

剣士「そうなのか」

魔道士「冒険するうえで、やっぱり男女関係なく立ち回らないといけないからじゃないのかなー」

剣士「男女関係なく、ねぇ」

魔道士「うん」

剣士「そうか、そうかそうか」ニヤニヤ


武道家「…」

魔道士「…」

剣士「…」


武道家「剣士、朝から健康なことだな」フッ

剣士「な、何がだよ!」ガタッ

114: 2014/06/19(木) 21:09:07 ID:jhxaNc3g
 
魔道士「はぁ…」

武道家「こういう奴だから、気にしないでくれよ」

魔道士「うん、わかってる」

剣士「…」


…ガチャッ!

僧侶「急いで食べて学校行かないと…遅刻しちゃう!」


剣士「あ、僧侶」

僧侶「あぁっ、みんな!みんなも、今から食べ始めるのっ?」

剣士「いや、食べ終わって学校行くところ」

僧侶「そ、そんなぁ!」

115: 2014/06/19(木) 21:10:01 ID:jhxaNc3g
 
剣士「ゆっくり、遅刻でもしてきてくださいなー」ハハハ

僧侶「う~っ!」


剣士「んじゃ、行こうか」ガタッ

魔道士「早起きは冒険者の基本なんだから、しっかりしないと」

剣士「そうだぜ。ずっと寝ているようじゃ、冒険者失格だ」フッ

武道家「…」


…ゴツンッ!!


剣士「!?」

116: 2014/06/19(木) 21:10:41 ID:jhxaNc3g
 
武道家「…あっ、つい手が」

剣士「な、何しやがるこの野郎!!」ズキズキ


武道家「何となくだよ!遅刻する前にさっさと行くぞ!」ダッ

剣士「待てこの野郎!おい!」ダッ

魔道士「また走るの!?ちょっ、私も行くから待ってって!」ダッ


タッタッタッタッ…

………
……

117: 2014/06/19(木) 21:11:23 ID:jhxaNc3g
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒険学校 】


キーンコーンカーンコーン…


冒険先生「はーい、注目ー」

冒険先生「入学2日目で、一人も脱落者がいなかったのは嬉しいぞ」


生徒たち「…」


冒険先生「さて、今日の授業なのだが…軽くパーティを組んでもらいたい」

冒険先生「その後で、今後の予定を話させてもらおうと思う」

118: 2014/06/19(木) 21:12:28 ID:jhxaNc3g
 
剣士「…へぇ」

武道家「パーティねぇ」


冒険先生「今後、今年1年間で絆を深める意味で、挨拶という意味合いもあるが…」

冒険先生「身内同士でも構わないが、冒険者たるもの知らない人たちに人見知りをしていては話にならん」


生徒たち「…」


冒険先生「本来ならクジ引きなどで決めるのも悪くないんだが、あえて自ら動いて組みたい人を見つけてほしい」

冒険先生「…言い方は悪いが、余った者は余った者同士でくっつけることになるのは理解してほしい」


生徒たち「…はいっ」

119: 2014/06/19(木) 21:13:47 ID:jhxaNc3g
 
冒険先生「よし!それでは、溢れる人数ではないし…見たところ学ぶ職業術もバラバラといい感じだ」

冒険先生「前衛2人、後衛2人のパーティを組んでもらう」

冒険先生「組み合わせが出来たら、俺に報告してくれ。それでいいか俺が決める」

冒険先生「もし、君たちが良ければ今後の演習にもそのパーティで参加してもらうつもりだ」


ザワザワ…!

生徒たち「おっ、それじゃあ俺はアイツとかな」ガタッ

生徒たち「うーん、なりたい奴はいるけど…」チラッ

生徒たち「俺も少し気になってる奴はいるんだよな~」ジッ


冒険先生「それじゃ、開始っ!」パンッ

120: 2014/06/19(木) 21:14:50 ID:jhxaNc3g
 
生徒たち「…」ガタッ
 
ガタガタガタッ!!…トコトコトコ…ピタッ


剣士「…」

剣士「…な、何だお前ら」ビクッ


冒険先生(ふむ…)


生徒たち「剣士クン、俺とパーティを組んでくれないかな!」

生徒たち「お、俺は上級魔法の一部使えるよ!」

生徒たち「僕だって!」

ワーワー!!ギャーギャー!!

121: 2014/06/19(木) 21:15:36 ID:jhxaNc3g
 
剣士「な、何だぁお前ら!?」

武道家「大人気じゃねえか」

剣士「何なんですかねぇ…」

武道家「そりゃ初日にあんなド派手なことすりゃなぁ」ククク

剣士「うっせー!」


ガヤガヤ…!!

冒険先生「おいおい…お前ら、落ち着け!」

冒険先生「確かに剣士は魅力的だが、本人が困ってるし、本人に希望があるかもしれないだろ!」

冒険先生「まずは本人の意思を確認してあげる事が先決だ!」


生徒たち「そ、そうか…」

生徒たち「剣士君は、組みたい人とかいるのかい?」

122: 2014/06/19(木) 21:16:55 ID:jhxaNc3g
 
剣士「ん…俺か?そりゃ…先ずは一人はいる」

生徒たち「誰?」

剣士「武道家だ」

武道家「おう」ガタッ


剣士「もう1人も決まってる。僧侶」


僧侶「えっ、ぼ、僕っ!?」

剣士「初日に話かけてくれたのはお前だしな」

僧侶「僕でいいの…?」

剣士「だから来いよ!俺が決めたんだ!」

僧侶「…うんっ!」


生徒たち「あと一人は…?」ゴクッ

123: 2014/06/19(木) 21:18:37 ID:jhxaNc3g
 
剣士「ん~…なんつうのかな」

剣士「まぁ、魔道士は、きっかけがどうあれ俺らと初日に話をしてくれたし…」


生徒たち「…」


剣士「それに可愛いと思うし…」ウン


魔道士「!?」

武道家「!?」

僧侶「!?」

生徒たち「…!?」

生徒たち「!?」

…ザワッ!!

124: 2014/06/19(木) 21:19:21 ID:jhxaNc3g
 
剣士「強気な性格も嫌いじゃねーし」

剣士「何より、そんくらいのほうが俺は話やすいし楽しいしな…」

剣士「うん…そんな感じ…。わかった?」


武道家「…お、おい」

剣士「…ん?」


魔道士「…」プルプル


剣士「どうした?」

魔道士「ぜ、全員の前で、恥ずかしい事言うなぁぁ!!」

剣士「!?」

魔道士「小火炎魔法~~っ!!」パァッ!

125: 2014/06/19(木) 21:20:00 ID:jhxaNc3g
 
…ボォンッ!!!

剣士「ぬおおっ!?」

武道家「ぬぁぁっ!!」

生徒たち「うあああ!!」


魔道士「こらぁ、当たれぇぇ!」

剣士「やだよ!」

魔道士「こ、この~っ!」

剣士「これからよろしく~!はははっ!」

ヒョイヒョイッ…タッタッタ

魔道士「もうっ…こっちこそよろしくっ!!だけど、一回当てないと気が済まないのっ!」パァッ

…ボォンッ!!ボォンッ!!

126: 2014/06/19(木) 21:21:44 ID:jhxaNc3g
 
ギャーギャー!!ドタドタ…

ボォンッ!!パラパラ…ボォンッ!!


冒険先生「うーむ…。今年のは本当に当たり年かもしれないな…」シミジミ

冒険先生「ほら、みんなもサッサと決めちゃってねー」パンパン


武道家「はは…むちゃくちゃだな」

僧侶「…だね」


………
……

127: 2014/06/19(木) 21:23:12 ID:jhxaNc3g
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

冒険先生「うしっ…席替え完了。これでパーティは分けられたわけだ」

冒険先生「互いに改めて挨拶してくれ。そしたら今後の予定を発表する」


生徒たち「俺の出身はあの山の近くでさ…うん。よろしくー」

生徒たち「へぇ、うちの近くだったんだな。僕はその隣村なんだ、よろしくなー」

ザワザワ…

128: 2014/06/19(木) 21:24:14 ID:jhxaNc3g
 
武道家「…ごほんっ!」

武道家「俺は武道家っす。出身は北方側の小さな村。よろしく!」


僧侶「僕は中央国から少し離れた場所にある、道中町ってところ!」

僧侶「よろしくお願いしますっ!」ペコッ


魔道士「私は、北西冒険学校から近い村の出身なの」

魔道士「よろしくね」


剣士「俺は武道家と同じ、北側にある村の出身だ。よろしく!」コゲッ


武道家「…剣士」

剣士「あん?」

武道家「…お前、イメチェンしたの?髪の毛アフロになってるよ」

剣士「おう。これが巷で話題の流行の髪型らしい」

魔道士「懲りないやつめ…」

129: 2014/06/19(木) 21:25:53 ID:jhxaNc3g
 
冒険先生「全員…簡単な挨拶は終わったな?んじゃ、今後の予定を発表するぞ」

冒険先生「それぞれの志願した個人授業は勿論予定しているが、このパーティは今後の授業に重要な意味を持つ」

冒険先生「実際に演習を行ったりする場合、今のパーティでともに行動してもらう事になるかもしれん」

冒険先生「しっかりと連携を鍛え、どんな困難でも乗り越えられるように頑張るんだぞ」


生徒たち「はいっ!」


冒険先生「うむ、返事はよろしい」

冒険先生「簡単なクエストやらもやってもらう事にはなっていくだろうから、前準備はしっかりとしないとな」


剣士「…なぁ、クエストってなんだ?」ボソボソ

武道家「知らん」

剣士「なんかの食材か?」

武道家「確かに食えって言ってるな」

剣士「ごはんか!?」

130: 2014/06/19(木) 21:27:06 ID:jhxaNc3g
 
冒険先生「…クエストとは、依頼のこと。冒険稼業の1つで、生活する為に必要な事だ。ご飯ではない…」

剣士「あ、そうなんすか」


冒険先生「例えば、剣士君が"強い剣を作りたい"って思った時、まず何をする?」

剣士「買う」

冒険先生「…消費者目線は大事だな。だけど、違うぞ…。"作りたい"と思った時だ…」

剣士「作りたい…?だって俺、鍛冶屋じゃねえから作れないぜ」

武道家「はっはっは、俺はいざとなれば武器なんかいらないからな。俺の勝ちだな」


剣士「なんだと…」ガタッ

武道家「おっ?やるか…?」


剣士「…あぁ!?」

武道家「おぉ!?」

131: 2014/06/19(木) 21:27:59 ID:jhxaNc3g
 
…ゴツゴツンッ!!

剣士「」

武道家「」


冒険先生「誰か、クエストについて説明してくれる人~」


魔道士「…はい」

魔道士「剣士、武道家、よーく聞きなさい。例えば、村に住んでる人が畑を作ってたとするでしょ?」

魔道士「その畑を荒らす動物がいて、村人は困ってます。だけど、自分だけでは対処できない…どうしよう」

魔道士「そんな時、対処できる人に依頼をして、対価であるお金とかを払う代わりに、処理してもらうの」

魔道士「その過程であった、依頼のことをクエストっていうの。分かった?」


冒険先生「うむ。そんな感じだ、分かったか?」

132: 2014/06/19(木) 21:29:48 ID:jhxaNc3g
 
剣士「…何となく分かった」

武道家「そういや、俺らが村長の家に火つけた時、盗人の仕業だから捕まえてくれって冒険者来なかったっけ?」

剣士「あ~来た来た!あれがクエストってことか!」

武道家「結局、俺らってバレて超怒られたな」ハッハッハッ

剣士「はっはっは、そうだったな!」


冒険先生「…」

冒険先生「ごほんっ。まぁ理解すればよろしい」

冒険先生「話を戻すぞ。そのクエストの準備やらの為に、己の力もしっかり磨くように!」


剣士「ういっす」

武道家「うい」

僧侶「はいっ!」

魔道士「はい!」

生徒たち「はいっ!」

133: 2014/06/19(木) 21:30:50 ID:jhxaNc3g
 
剣士「…でもよ、クエストってそんな必要なのか?」

冒険先生「む?」

剣士「依頼とかは人とのつながりだから大事だと思うけどさ。冒険者のやる事?」

冒険先生「…あのな。クエストをこなすのは、冒険者の基本であり、冒険者の全てだぞ?」

剣士「…え?」

冒険先生「探検、冒険するというのは、"依頼を受けてから"ということが基本だぞ…?」

剣士「えっ」


冒険先生「確かに自由区域は、自分勝手に遺跡調査やら、宝物探索も出来るが…」

冒険先生「本当に危険な場所は、クエスト受諾後しか許可が下りないんだ」

冒険先生「だから、依頼をこなす事で実力や名前をあげて、ようやく難易度の高いクエストの受諾の許可がおりる」

冒険先生「それを繰り返す事で、やがて人類未踏の地への扉となる…のだが…」

134: 2014/06/19(木) 21:31:44 ID:jhxaNc3g
 
剣士「…まじで?」

冒険先生「周知だぞ」

剣士「…まじで?」クルッ


全員「…」コクン


冒険先生「…」

剣士「…」

武道家「…」


魔道士「…はぁ」

僧侶「あはは…」

135: 2014/06/19(木) 21:33:11 ID:jhxaNc3g
 
剣士「…まじかぁぁ…。卒業すりゃもう、金入ったり自由に冒険できるもんだとばっかり思ってたぁぁ!」

冒険先生「はは…。まぁ、それも有りだ。とにかくクエストが基本になるのは間違いはないけどな」


剣士「くっそ…武道家、そうらしいぜ!」

武道家「…お、おれ知ってたし?」

剣士「う…ウソつくなコラァ!俺だけバカみてえじゃねえか!」

武道家「クエストとか基本だしー。冒険者なら知ってて当然だしー」


剣士「ウソつくなよこらぁ!」

武道家「お?やんのかオラァ!」

剣士「あぁん!?」

武道家「あぁ!?」

136: 2014/06/19(木) 21:34:18 ID:jhxaNc3g
 
冒険先生「この…」

魔道士「…小火炎魔法っ!!」

パァッ…ボボォンッ!!

剣士「」

武道家「」

ドサドサッ…


冒険先生「…あら」


魔道士「お、同じパーティとして彼らにしっかり教えておきますので…」

冒険先生「…よろしくたのむぞ」

魔道士「は…はい…」アハハ…


………
……

137: 2014/06/19(木) 21:35:12 ID:jhxaNc3g
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 廊下の一角 】


剣士「遠慮ナシにぶっぱなしやがって…。俺の髪型が流行通り越して未来先取りしてんじゃねーか」ブスブス

武道家「俺はやっと流行に追いついたな」ボワボワ

僧侶「これが流行なのかぁ…」

剣士「おう、お前もこの髪型に…」


魔道士「バカなこと教えないで」

魔道士「っていうか、二人とも本当にクエストとか何も知らなかったの?」


剣士「うーむ…てっきり冒険学校卒業ですぐに未来が確約されるものだと」

武道家「思っていた」

138: 2014/06/19(木) 21:37:00 ID:jhxaNc3g
 
魔道士「はぁ…」

僧侶「二人とも、クエストは簡単なものから難しいのもあるし、知名度をあげれば依頼の難易度も上がるんだよ」

魔道士「そうそう。だから、小さなモノを積み重ねて、やがて巨大なクエストに挑むって感じ」


剣士「じゃあ最初から遺跡探検とかはできないってことなのか」

魔道士「場所によってはあるだろうけど、古代遺跡とかは危険なのも多いしねぇ…」

剣士「魔獣とかいるんだっけ」

魔道士「うん。魔力を身に纏って、強力な攻撃とかしてくるし…」

剣士「その辺の簡単な奴なら余裕で倒せるんだけどなー」

魔道士「昔から崇められてきた神様の正体は、1000年物の魔獣でした…とか珍しくないからね」

剣士「面白そうじゃねえか」

139: 2014/06/19(木) 21:38:26 ID:jhxaNc3g
 
僧侶「…今後、演習とかもするって冒険先生がいってたけど、やっぱり魔獣関係とか出てくるのかな」

魔道士「そうじゃない?」

剣士「ほぉ!早く戦ってみてぇな!」

魔道士「脳筋ね…」


武道家「戦いとか、体力には自信あったけど、そういうのには全然疎いな俺ら」

剣士「まともな勉強してこなかったしなー。魔法書なんかまともに読んだ事ねぇよ」

魔道士「えっ…じゃあ、魔法詠唱とかできないの?」

剣士「うむ。まず魔法の仕組みとか、使用する感覚すらわかってないし」

魔道士「…」ヒクッ

剣士「まぁ、俺ら前衛だし魔法なんか使えなくても…な!」

武道家「いや俺、気力あるし」

剣士「ずるい」

140: 2014/06/19(木) 21:40:57 ID:jhxaNc3g
 
…キーンコーンカーンコーン…

剣士「あっ」

武道家「やべっ、予鈴か…?次の授業なんだっけ!」

魔道士「次は確か、共通の授業で基本冒険学じゃなかったかな」

僧侶「また、冒険先生の担当だったはずだよ」


剣士「うへっ、怒られる前に教室に行こうぜ!」

武道家「だな」

魔道士「遅刻したらまた怒られちゃうからね~」

僧侶「今度は連帯責任とかで、パーティ全員が怒られそうだし…」


剣士「おう、急ごう!」


タッタッタッタッ…

………
……

147: 2014/06/21(土) 21:13:53 ID:ZBRsAtVs
皆さま有難うございます。
投下致します。

148: 2014/06/21(土) 21:14:41 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教 室 】


剣士「はぁ~、間に合った…」

魔道士「危なかったぁ…」


冒険先生「俺と一緒に教室に入るとは…」

冒険先生「授業が始まる5分前には入っておく余裕も必要だぞ」


剣士「次から気を付けるよ」

魔道士「ごめんなさい…」

剣士「はっはっは、気にするなよ」

魔道士「あのね」

149: 2014/06/21(土) 21:15:17 ID:ZBRsAtVs
 
…パンパン

冒険先生「ほら、静かに」

冒険先生「今日の授業は世界の仕組みについて簡単にやった後に、冒険術の基礎から教えていくぞ」


剣士「世界の仕組み?」

魔道士「社会とか地理とか、そういうのでしょ」

剣士「なるほど」


冒険先生「その通り。この世界は、5つの巨大な大陸から形成されているのは知っているな?」


剣士「そうなのか」

武道家「そうらしい」

魔道士「あんたたち…」

150: 2014/06/21(土) 21:15:50 ID:ZBRsAtVs
 
冒険先生「東方大陸、西方大陸、南方大陸、北方大陸。そしてその全ての中心である中央大陸がある」

剣士「うむ…」

冒険先生「世界は平和条約で結ばれており、中央大陸にある中央国に所属する中央軍がその政権の中心となっている」

剣士「中央中心うるせえな」

魔道士「静かに」


冒険先生「中央軍には、魔法研究連盟、世界軍事連合などが存在し、あらゆる連合連盟の中心となってもいる」

冒険先生「冒険学校の設立も中央国の立ち上げからの始まりであり、君たちは、いち中央国の希望の星というワケだ」

冒険先生「中央軍が社会的組織の中心ではあるが、これとは別に、独立国家もいくつか存在している」

冒険先生「その辺は追々話すが、まぁ基本として5大陸と中央軍、中央国家の事だけ覚えていればいいだろう」


剣士「なるほどね…。勉強になるな」

魔道士「大体の人が知ってることなんだけどね…」

151: 2014/06/21(土) 21:16:40 ID:ZBRsAtVs
 
剣士「でも、それだけ広い世界だからこそ、冒険者も必要ってことなんだろ」

魔道士「うん」


冒険先生「剣士くん、いい言葉だ。そういうことだな」

剣士「その分、危険もあるだろうけどワクワクしてくるぜ」

冒険先生「君みたいな子が、いずれ名の馳せた冒険者になるのかもしれないぞ」

剣士「おうよ、当たり前だぜ」


冒険先生「ははは、自信たっぷりで結構」

冒険先生「じゃあ、次は冒険の基礎学から始めていくぞ。教科書出してー…」


剣士「ういっす」

武道家「ういーっす」


…………
……

152: 2014/06/21(土) 21:17:12 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後・帰路 】

ザッザッザッ…

剣士「…頭いてぇ。今日は体を動かす授業全然なかったな…」

武道家「お前、本当に参考書読むのとかダメな」

剣士「まじで無理だって…」

武道家「まぁ俺も体で覚えるタイプだし、気持ちは分からんでもないが」

剣士「…オメーも本を読むのは得意じゃねーだろうが」


魔道士「でも、少しはそういう事も慣れないと…今後苦労するんじゃない?」

剣士「わかってんだけどよ…」

魔道士「そういや昼間言ってたけど、魔法も全然ダメなんでしょ?」

剣士「そうなんだよなー」

153: 2014/06/21(土) 21:17:57 ID:ZBRsAtVs
 
魔道士「今、使えるやつとか全然ないの?」

剣士「…」

魔道士「…?」

剣士「…小火炎魔法っ!!」パァッ!

…ブシャアアッ!!ビチャビチャッ!

魔道士「きゃあっ!」


剣士「…って感じ」

魔道士「これ水魔法でしょ!」

剣士「魔法が使えないわけじゃないんだが、変なの出るし、まぁどうしようもねぇ」

魔道士「魔法を使う感覚っていうか、放出するのが苦手なの?」

剣士「何もかも苦手」

魔道士「あぁ…」

154: 2014/06/21(土) 21:18:42 ID:ZBRsAtVs
 
武道家「僧侶なんかは、基本の魔法は使えるんだろ?」チラッ

僧侶「あ、僕?うん、使えるよ。火、水、風…あとは回復術の基本くらいだけど…」

武道家「充分過ぎだ」


魔道士「私は中級魔法も使えるのあるし、それなりに役に立てるかな」

武道家「俺は近接特化だが、前に見せた気力での遠距離攻撃は出来る」

魔道士「私を吹き飛ばしたやつね」

武道家「申し訳ございませんでした」


剣士「…俺だけかよ、使えないの!」

武道家「やーいやーい」

剣士「あぁ!?」

武道家「あぁ!?」

155: 2014/06/21(土) 21:19:59 ID:ZBRsAtVs
 
…ズイッ

魔道士「二人とも、いつも争ってないと気が済まないの?」

武道家「申し訳ない」

剣士「ごめんなさい」


魔道士「でも、使えないと不便っちゃ不便だと思うだけどなぁ…」

剣士「共通の魔法授業とかはあったけど、何言ってるかサッパリだ」

魔道士「…勉強したら?」


剣士「…」

剣士「嫌だ」


魔道士「…」

剣士「無理だって…似合わないし…。ね?」

156: 2014/06/21(土) 21:20:33 ID:ZBRsAtVs
 
魔道士「似合わないとかじゃなくて、基礎魔術とか覚えてないと、苦労するでしょ」

剣士「えー…。わざわざ先生のところ行きたくないし、聞くのも面倒じゃね…」

魔道士「あのねぇ…」ハァ

剣士「まぁ、そのうちやるよ。前衛として、覚えなくちゃいけないのは分かってるし」

魔道士「うん、そういうのも大事だと思う」


武道家「んじゃ俺も少しは勉強すっかなぁ」

剣士「似合わねぇ」プッ


武道家「…お?」ズイッ

剣士「…あ?」ズイッ


魔道士「…私、このパーティは大変な気がしてきた」

僧侶「うん…僕も少し…」

……………
…………
……

157: 2014/06/21(土) 21:21:19 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

158: 2014/06/21(土) 21:21:57 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・食堂 】 
 

ザワザワ…


剣士「今日は早起き出来て余裕だな」

武道家「いつもそれだといいんだがな…」

僧侶「今日は僕も一緒っ」フンッ


魔道士「あっ、来た来た。お~い!」


剣士「ういーっす」

武道家「おっ」

僧侶「あ、魔道士さ~ん!」

159: 2014/06/21(土) 21:22:33 ID:ZBRsAtVs
 
トコトコ…ストンッ

剣士「おはようさん」

魔道士「うん、おはよっ」

剣士「今日の飯は何だ?」

魔道士「いつものと一緒だけど、今日は豆腐がついてるよ」

剣士「豆腐好きじゃねえんだよなぁ…」ポリポリ

魔道士「きちんと食べないとダメでしょ。冒険者なら、好き嫌いしないで食べないと!」

剣士「しかし…」


魔道士「好き嫌いしてる冒険者は二流って言われるよ~?」

剣士「むっ…」

魔道士「ほら、早く朝食貰って来て、学校いこっ」

160: 2014/06/21(土) 21:23:35 ID:ZBRsAtVs
 
剣士「はぁ…もらってくるか…」

魔道士「よろしいっ」


武道家「なら、俺が食ってやろうか?」

剣士「俺が食べます」

武道家「ちぇっ」

僧侶「武道家くんは、豆腐好きなの?」

武道家「まぁまぁな…」


トコトコトコ……

………

161: 2014/06/21(土) 21:24:17 ID:ZBRsAtVs
 
魔道士「~♪」モグモグ

魔道士「…」モグモグ


…ガタガタッ

???「…おい」

魔道士「えっ…?は、はい…?」

???「今、なんつったよ」

魔道士「な…何がですか?」


…グイッ!!

魔道士「…っ!?」

162: 2014/06/21(土) 21:25:03 ID:ZBRsAtVs
 
???「お前…今、俺のこと二流冒険者っつったよな」

魔道士「な、なんなの…!そ、そんな事言ってない…」ググッ

???「いーや聞こえた。豆腐が食えないからって二流なのか?あ?」

魔道士「ち、違っ…貴方に言ったんじゃ…」

???「違わねぇよ。先輩に向かって確かに、"二流の冒険者"だと言っただろ」


魔道士「せ、先輩…?」

二流騎士「二流って言葉が大っ嫌いなんだよ俺は!二流二流と…そんなに二流が好きなのか!?」

魔道士「そ、そんな事知らない…」グググッ

二流騎士「クソ女が…今ここで全員の前で、服でも剥いでやろうか!?」

魔道士「…や、やめっ…!」

163: 2014/06/21(土) 21:25:37 ID:ZBRsAtVs
 
二流騎士「勘弁ならねぇな。おーら!」グイッ

魔道士「…っ!」ググッ

二流騎士「息出来なくて苦しいか?はははっ!」

魔道士「…ご、ごほっ…」

二流騎士「はははっ!!」

魔道士「う…ぐっ…」

二流騎士「豆腐が食えなくて悪かったなぁ…こらぁぁ!!」ギリギリ!


ヒュッ…ベチャッ!!

二流騎士「うぷっ!?」

164: 2014/06/21(土) 21:26:35 ID:ZBRsAtVs
 
パッ…ドサッ!!

魔道士「いたっ!ごほっごほごほ!」


二流騎士「な…何だこりゃ…、豆腐…!?」ベチャッ


剣士「あ~やっぱ俺、豆腐苦手だわ。ついつい投げちゃったわ」

二流騎士「…テメェか…」ギロッ

剣士「いやー豆腐嫌いすぎて投げちゃったんですよ」

二流騎士「ぶっころされてぇのか…」

剣士「そんな事ばっかしてっから、二流なんじゃねえの?つーか二流だから、二流って言葉に反応するんでしょ」プププッ

二流騎士「てめぇぇ!!」ダッ


ヒュッ…ビチャアッ!!

二流騎士「あっ…あ゛ぢぢぢぢっ!?」

165: 2014/06/21(土) 21:27:13 ID:ZBRsAtVs
 
武道家「あ~…実は俺もこのスープ苦手なんだわー。ついつい投げちゃったわ」

二流騎士「て…てめぇらぁぁ…」ブルブル


剣士「先輩だか何だか知らないが、友達…しかも女子に手出されて、黙って見てるワケにはいかんでしょ」

剣士「ねっ…二流先輩?」ニカッ


二流騎士「…ぶっころす」ブチッ


剣士「いいね、そうこなくっちゃ!」

武道家「はっはっはっ!加勢するぜっ!」


…………
………

166: 2014/06/21(土) 21:27:52 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教員室 】


冒険先生「この…バカもんっ!!」ビリビリ


剣士「…」

武道家「…」


冒険先生「うちの生徒が問題を起こしたと行ってみれば…」

冒険先生「やっぱり君たちだったか…。入って1週間もしないうちに、ここまで目立って生徒はいないぞ…」ハァ


剣士「…」

武道家「…」

167: 2014/06/21(土) 21:28:24 ID:ZBRsAtVs
 
冒険先生「乱闘騒ぎの果てに、先輩を治療院に送るとは…」

冒険先生「規律を乱したことで、本当なら一発で停学か退学処分ものなんだからな!?」


剣士「へぇい」

武道家「うい」


冒険先生「全く…、武装先生が許してやれというから…。どうして寛容に受け止めるんですか」

…ズイッ

武装先生「はっはっは、聞けば相手側が、この子らのパーティにケンカを売ったらしいじゃないか」

武装先生「しかも売られたのは女の子だったというし、何も問題はないと思うがな」


冒険先生「早朝から食堂で乱闘騒ぎにするどこがですか…。仲間を守るのはいいですが、やりすぎなんですよ…」

武装先生「若いな、君は」

冒険先生「えぇ…そうかもしれませんね」ハァ

168: 2014/06/21(土) 21:29:17 ID:ZBRsAtVs
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 廊 下 】 
 

武装先生「次からはもう少し大人しくやったほうがいいぞ。冒険先生に怒られるからな」ハハハ

剣士「オッサン、ありがと。助かったぜ」


武装先生「とはいえ、今日は1日授業に出るのは禁止されたんだろう?」

武装先生「本当ならそこも庇護してやりたいが、そこはルールとして受け止めて、部屋に籠っていることだな」


剣士「そうするよ」

武道家「あざっす。剣士が仲良くしてたおかげで助かったぜ」

剣士「くはは」

169: 2014/06/21(土) 21:30:15 ID:ZBRsAtVs
 
武装先生「まだ俺の授業は予定に入ってないが、その血気盛んな若さを発散できるような授業は準備しておいてやろう」

武装先生「キツイかもしれんが、楽しみにしておけ。ではな」クルッ

カツ、カツカツカツ…

剣士「おおうよ!望むところだ!」

カツカツカツ…

……


剣士「…」フンッ

武道家「なんか本当に仲良くなってるな。初日のやり取りが嘘みてーだ」

剣士「まぁな!」


タッタッタッタッ…

魔道士「ふ、二人とも~!」

僧侶「おーい!」

剣士「ん?」

170: 2014/06/21(土) 21:30:52 ID:ZBRsAtVs
 
武道家「あれ、魔道士と僧侶。どうした?」

剣士「お前ら、もうすぐ授業始まるじゃん。ここで何してんの?」

魔道士「はぁはぁ…。ど、どうだったの?何か罰受けた…?」

剣士「いや別に」

魔道士「えっ、ないの!?」


剣士「…ないよな?」チラッ

武道家「お…おう。そうだな」

魔道士「良かった…」ホッ


剣士「でも、今日一日は学校サボる予定」

魔道士「え?」

171: 2014/06/21(土) 21:31:30 ID:ZBRsAtVs
 
剣士「ちょっと怒られたのがムカついたから授業は出ない!なぁ!」チラッ

武道家「お…おうよ!」

剣士「ってなわけで、お前らは授業戻れ」シッシッ


魔道士「ち…ちゃんと出なさいよ!」

僧侶「出たほうがいいよ…」


剣士「し…仕方ないだろが!」

魔道士「何が!」

剣士「今日1日、授業受けちゃいけないって言われたんだから!」

魔道士「えっ…」


剣士「…あっ」

武道家「…バカ」

172: 2014/06/21(土) 21:32:23 ID:ZBRsAtVs
 
剣士「…はぁ」

剣士「そういうこと。だから気にしないで、お前らは授業出てこい」


魔道士「私のせいだよね…ごめん…」

剣士「気にしてねーし、手ぇ出したのは俺だし、仕方ないっしょ。休日だと思ってのんびりしてるわ」

魔道士「寮で1日待機ってことだよね」

剣士「そうだけど…。でもよ~武道家」

武道家「うん?」


剣士「待機じゃ面白くねーし、町出てみねぇ?」

武道家「あぁいいな。親からの仕送りで金も少し持ってるし、町に馴染むにはいい機会じゃね?」

剣士「よっしゃ決まりだな。ってなわけで、俺らは町に遊びにー…」

173: 2014/06/21(土) 21:33:08 ID:ZBRsAtVs
 
魔道士「私も服着替えてくる。待ってて!」

剣士「」ズルッ


魔道士「私のせいだから、私も行く!」

剣士「お前は授業出ておけよ!」

魔道士「いいの!」

剣士「…いいの?」

魔道士「いいの!」

剣士「よし、遊ぼう」


武道家「剣士、お前折れるの早くね?」

剣士「ははは!まぁパーティ同士、絆を深めようぜ!」

武道家「まぁいいけども…」

174: 2014/06/21(土) 21:34:21 ID:ZBRsAtVs
 
魔道士「じゃあ、準備してくる」

僧侶「ぼ…僕も行く!僕も準備してくるね!」

ダッ…タッタッタッタッ…


剣士「…あらら」

武道家「しかし地元の町か。学校ばっか気にしてて、周辺のこと全然知らないもんな」

剣士「だから、丁度いい機会だろ?」

武道家「まぁそうかもしれねえけど、バレたら厄介なことにならないかね」

剣士「…しらん!」

武道家「…そうだな、知らんな!」


剣士「俺らはこれで丁度いいんだよ!おっしゃあ!途中でアイツらを回収していくぞ!」ダッ

武道家「おうよ!」ダッ

タッタッタッタッタッタッ…

175: 2014/06/21(土) 21:36:29 ID:ZBRsAtVs
 
タッタッタッタッタッタッ…

……

…コソッ
 
武装先生「…書類を忘れて取りにきてみれば…あいつらは…」

武装先生「…」

武装先生「サボるのはよくある事だが…あの二人は少し心配だ…」

…………
………

187: 2014/06/25(水) 22:33:33 ID:AmecDhDc
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北 西 町 】

ガヤガヤ…


剣士「へぇー…、結構人がいるんだな」

魔道士「まぁね。冒険学校が出来て、冒険者も増えて、それなりに賑わってるみたい」

剣士「魔道士って確か、この付近の村の出身なんだよな?」

魔道士「うん。地元はここから近いから、よく遊びに来てたよ」

剣士「面白いところあったら紹介してくれよ。なんか色々と見たい」

魔道士「面白いところかぁ…う~ん…」


武道家「おすすめスポットとかはないのか」

魔道士「何かあったかなぁ…」

188: 2014/06/25(水) 22:34:03 ID:AmecDhDc
 
剣士「…」

剣士「…」グゥゥ

剣士「…腹減ったな。まずは飯が食いたいかもしれん」


魔道士「そういや朝ごはん、まともに食べてないもんね」

剣士「朝からやってる食い物屋とかないのか?」

魔道士「うん、それならすぐ案内出来るよ。こっち」

剣士「ほいほい」

189: 2014/06/25(水) 22:34:35 ID:AmecDhDc
  
トコトコトコ…

剣士「しかし、いい町だな」キョロキョロ

魔道士「そうかな?」

剣士「なんか、歩いている人みんな、楽しそうじゃね?」

魔道士「えへへ、嬉しい事言うね。地元ってわけじゃないけど、思い出深い町だから褒められると嬉しいな」

剣士「おう。良い思い出が出来そうな町だ」

魔道士「ありがとっ♪」


武道家「み…見ましたか?人前でイチャついてるなんて嫌だわね」ボソボソ

僧侶「なんか、妙に仲良くなってるよねっ」ボソボソ


魔道士「そこ、全部聞こえてるから」

190: 2014/06/25(水) 22:35:21 ID:AmecDhDc
 
剣士「はは…、ところで魔道士の村はここから歩くとどのくらいかかるんだ?」

魔道士「歩いては…無理だけど、馬車で1日かからないよ」

剣士「俺と武道家は地元まで3日くらいかかるな」

僧侶「僕もそれくらいかな?」


魔道士「へぇ~…。あ、すぐ料理屋さん着くよ。もう見えた」

剣士「ちけぇな」

魔道士「あそこあそこ。すっごい美味しいけど、それなりの値段しちゃうけど大丈夫?」

剣士「おいくらくらい?」

魔道士「おなかいっぱい食べたら、1人あたり3,000ゴールドくらいかな」

剣士「たけぇ!!」

魔道士「朝からやってるのあそこくらいだしなぁ~…」

191: 2014/06/25(水) 22:36:03 ID:AmecDhDc
 
剣士「武道家、僧侶、魔道士の所持金は?」

武道家「5,000ゴールド。俺も少し厳しいな」

僧侶「僕も同じくらいかな」

魔道士「一緒くらいだけど、私は朝ご飯食べたし…そんなに食べれないから…」


剣士「いや俺と武道家が食うしなぁ…。金がありゃいいんだが…」

剣士「…おっ?」


ドンドン、パフパフ…

ガヤガヤ…


剣士「なんか、あそこで道の真ん中に人集まってるぞ。何だあれ」

魔道士「見せ物か何かかな」

剣士「行ってみようぜ」

192: 2014/06/25(水) 22:36:36 ID:AmecDhDc
 
タッタッタッタッ…

剣士「何してるのかな~っと…」ヒョイッ

剣士「…おっ!」


武道家「…ほお」

僧侶「これは…」

魔道士「なるほどね」


男「さぁさぁ、こちらの少年に一撃を与えられれば1万ゴールドだ!」

男「挑戦者はいないかい!挑戦金は、一人1回5,000ゴールド!さぁさぁ…いないかい!」


剣士「こちらの少年って…」


少年「…」チョコン


剣士「本気で子供じゃん!」

193: 2014/06/25(水) 22:37:11 ID:AmecDhDc
 
魔道士「確かに小さいね。だけど、見かけで判断すると痛い目みるわよ~」

剣士「そりゃまあ、出来るほうなんだろうけどさ…」


…ザッ

屈強な男「ぐはは!そんなガキでいいなら、俺がやってやるよ!5,000ゴールドだ!」チャリンッ

男「毎度~♪」

屈強な男「泣いても知らないぞガキ!」

少年「…どうぞ」


屈強な男「一撃を与えりゃいいんだな?治療院送りになったら…すまんな!!」グググッ

屈強な男「そおりゃあっ!!」ブンッ!!

194: 2014/06/25(水) 22:38:01 ID:AmecDhDc
 
剣士「!」

武道家「あの図体で…早いっ!」


少年「…」ヒョイッ

屈強な男「!」

ズドォン!!…パラパラ…

少年「…余裕」


屈強な男「ぐはは、一撃で仕留めてやろうと思ったが、避けるとは…なかなかやるじゃないか」

少年「…ありがと」

屈強な男「今度は本気で行くぞぉ?おらぁっ!!」ブンッ!

少年「…」ピクッ

…ヒョイッ

195: 2014/06/25(水) 22:38:45 ID:AmecDhDc
 
屈強な男「!」

ズルッ…ドシャアッ!!

屈強な男「い…いでで…!」


周りの人々「ははは!転ぶとは情けない!」

周りの人々「どうしたぁ!子供に遊ばれてるぞ!」

ハハ、ワハハハ…!


武道家「…み、見たか?」

剣士「あぁ…」

武道家「…何て動きしてやがるんだ…。流れるように避けやがった…。相当な鍛錬積んでるぜあの子供」

剣士「恐らくは体術の類か?あそこまでキレイに動けるとは…」

武道家「こりゃあ…あの男、負けるんじゃないか」

剣士「…かもしれん」

196: 2014/06/25(水) 22:39:22 ID:AmecDhDc
 
屈強な男「くっ…!」スクッ

少年「…」

屈強な男「…もう許さん!敏捷魔法!!」パァッ!


剣士「!」

武道家「!」

剣士「強化魔法だっけか…?あのオッチャンも、結構なやり手みたいだな」

武道家「だけど子供に強化魔法使うようじゃ、情けないの一言だぜ」


屈強な男「おらぁぁ!吹き飛べコラァ!!」ブンッ!!

少年「…やぁっ!」

…ガシッ!

屈強な男「!」

197: 2014/06/25(水) 22:39:58 ID:AmecDhDc
 
剣士「おっ、腕をつかんだ!」

武道家「何かするつもりだぞ!」


屈強な男「離せ…オラァァ!!」

少年「…ッシ!!」グイッ!

ギュルンッ!!

屈強な男「ぬおぁっっ!?」

…ドシャアッ!!モクモク…


剣士「お、男が回転した…。あの巨大な男を簡単に投げやがった…」

武道家「あの小さな体で、…どんな腕力してやがるんだよ…」

198: 2014/06/25(水) 22:41:13 ID:AmecDhDc
 
トコトコトコ…ポンッ

男「どうですか~?まだやりますか~?」

屈強な男「い…いや…」

男「毎度ぉ♪」ニコッ


ザワッ…

周囲の人たち「う…うおぉぉぉ!!」

周囲の人たち「すげぇぞガキ!今の何だ、投げ技か!?」

周囲の人たち「やるじゃねえか!!」

ワァァァ…!!

少年「…」テレッ


武道家「…」

剣士「…」

199: 2014/06/25(水) 22:42:18 ID:AmecDhDc
 
魔道士「す、すっごーい…」

僧侶「あんなに子供なのに、僕より強そう…」


剣士「おい…行くか?」

武道家「丁度5,000ゴールド。こりゃ、運命だろ」

剣士「そうだな。見たところ素手での戦いだし、お前の出番だな」ニヤッ

武道家「うめーもん、お前らに奢ってやるぜ」スクッ


魔道士「えっ、戦うの!?」

僧侶「武道家くんが!?」


武道家「後衛のお前らに、俺の実力も知ってて貰わないとな」フンッ

ザッザッザッ…

200: 2014/06/25(水) 22:42:50 ID:AmecDhDc
 
男「さぁ~…、挑戦する人はいませんか!」

男「誰でも構いません!ただし、この周囲をぶっ飛ばすような重火器はやめてくださいね」アハハ


ザッザッザッ…ザッ!

武道家「ほい、5,000ゴールド。俺がやる」ペラッ

男「…若いね。君じゃ勝てないよ」

武道家「忠告どーも。でも、誰でもいいんだろ?」

男「…いいよ」

武道家「ありがと」


男「さぁ!新たな挑戦者が現れました!!果たして勝てるのか!?」


周囲の人たち「無理すんなよ~!」

周囲の人たち「あの男の子より少し上くらい?ケガだけはしないようにね~!」

201: 2014/06/25(水) 22:43:23 ID:AmecDhDc
 
魔道士「…大丈夫なの?」

剣士「大丈夫だろ。武道家は割と本気で強い」

魔道士「ずっと、引き分けなんだっけ」

剣士「1回は俺の勝ちだ」フンッ

魔道士「それはわかんないけど、剣士くらい強いなら…大丈夫かな」


…ポキポキッ

武道家「さぁて…いいか?」

少年「…」コクン

武道家「先ずは軽く…、おりゃッ!!」ブンッ!!

202: 2014/06/25(水) 22:43:56 ID:AmecDhDc
 
少年「…」

スゥッ…ヒュンッ


武道家「おっ!?」

少年「…」

武道家「へぇ…思ったより消えていくように動くんだな。さっきのオッチャンがこけた理由がわかったぜ」

少年「…」


武道家「なら…これはどうだ!」ブンッ!!

少年「…」ヒョイッ

武道家「…二連撃!!」ビュビュッ!

少年「!」

…ガシィンッ!!


武道家「…っと、防がれたか」

少年「…っ!」ビリビリ

203: 2014/06/25(水) 22:44:44 ID:AmecDhDc
 
武道家「はは、びっくりしたか?確かに早いが、避ける方向は充分見えてるぜ」

少年「…見えたの?」

武道家「あぁ、丸見えだ」

少年「…」


ザワザワ…

周囲の人たち「おぉ、なんかいけそうじゃねえか?」

周囲の人たち「結構いい動きしてたぞ…」


武道家「んじゃもう1回…行くぞ!」ブンッ!!

少年「…」ヒョイッ

武道家「見えてるぞ、二連撃!!」ビュッ!

少年「…」ヒュッ!ヒョイッ!

204: 2014/06/25(水) 22:45:15 ID:AmecDhDc
 
武道家「うおっと…!」ヨロッ

少年「…今度は、避けたから…僕の勝ちだね」

武道家「うまく避けられちまったなぁ」

少年「攻撃…丸見え…」

武道家「…言うじゃないか」

少年「…えへっ」


魔道士「…凄い」

剣士「単純な戦いだが、やっぱりかなり出来るぞ、あの子供…」

僧侶「うん、見ててわかる…」

205: 2014/06/25(水) 22:45:47 ID:AmecDhDc
 
武道家「じゃあ…これならどうだ!?」

ブンッ!!…ヒュッ!

ブンッ、ヒョイッ!

武道家「一…二連…からの…!三連撃だっ!」

少年「…見える」ヒョイッ!

武道家「さらに…四連撃ぃ!!下からだ!」ブンッ!!

少年「っ!」

…ガシィン!!

少年「うくっ…」ビリビリ


武道家「あ…あら…」

少年「あ、危なかった…」

206: 2014/06/25(水) 22:46:20 ID:AmecDhDc
 
武道家「…入ったと思ったんだがな」

少年「まだ、負けない」

武道家「…面白いじゃないか」

少年「うん」コクン

武道家「お前の名前は?」

童子戦士「…童子戦士」


武道家「…いい名前だな。今度会ったら、またやろうぜ」

童子戦士「え?僕はまだ負けてない…」

武道家「友達が待ってるから、一瞬で終わらせるさ」

童子戦士「…え?」


武道家「よっと!」グンッ!

207: 2014/06/25(水) 22:47:07 ID:AmecDhDc
 
童子戦士「わっ!近っ…!」

…トンッ…!ビシュッ!

童子戦士「あっ…!?」ズキンッ


武道家「…ほい、でこぴん一発。これで俺の勝ちだろ?」

童子戦士「あっ…、えっ…?」


…ザワザワッ!

周囲の人たち「な…当たった!?」

周囲の人たち「今の見えたか?デコピンって言ってたが…攻撃が早すぎて、俺見えなかったぞ」

周囲の人たち「今ので決まったのか…?何で当たったんだ!?」

208: 2014/06/25(水) 22:47:44 ID:AmecDhDc
 
武道家「お兄さん、今ので決着でしょ?1万ちょーだい」

男「え…、あ、あぁ…。わかった…」ペラッ

武道家「毎度♪」パシッ


童子戦士「ぼ、僕、負けたの…?」

武道家「俺の勝ちだ」ニカッ

童子戦士「いま…何をしたの…!?」

武道家「思い切り踏み込んで、一発当てただけ。技でもなんでもないんだなコレが」

童子戦士「…!?」

209: 2014/06/25(水) 22:48:18 ID:AmecDhDc
 
魔道士「い、今の見えなかった…。何をしたの!?」

剣士「ははは、簡単な仕組みだぜ」

魔道士「なんで攻撃が当たったの?っていうか攻撃が早すぎて見えなかった」

剣士「お前、最初に武道家が仕掛ける時に、武道家のどこを見ていた?」

魔道士「そりゃ…、最初に動かす腕とか…」


剣士「そう。あの子供も一緒だ」

剣士「まさか、今のやり取りの流れから、"距離自体"を詰めるとは予想しなかったんだ」

剣士「だから最初に、武道家自身が急に目の前に突っ込んできた事にあの子は驚いた」

剣士「そしてあの子も、周りのお前らも、突然突っ込んだ武道家の身体へ目がいっちまったんだ」

剣士「その瞬間に攻撃をした。だけど、武道家の身体に目がいってたせいで、腕に目が追い付かなかった」

剣士「そのせいで攻撃があまりにも早く見えて…反応が遅れちまったんだろ。ちょっとしたテクニックだな」

210: 2014/06/25(水) 22:48:59 ID:AmecDhDc
 
魔道士「な、なるほどぉ…」

剣士「しかも武道家の野郎、距離を詰める時に、わざとゆっくりやりやがった」

魔道士「へぇ…」

剣士「ま、あの子も凄かったが、武道家は単純な経験の差を見抜いたんだな」


魔道士(…あの短い戦いの中で、経験の差を見抜いて、単純な動きで攻め入るのって凄いんじゃないのかな…)

魔道士(結構、勇気がいりそうな事だと思うんだけど…普通なのかなぁ)


ザッザッザッ…

武道家「さて、飯食いにいこか。奢るぜ3人とも」ピラッ


剣士「いやっほう!待ってました!」

魔道士「いいの?」

僧侶「あ、ありがとうっ」

211: 2014/06/25(水) 22:49:29 ID:AmecDhDc
 
タタタタッ…ギュッ

武道家「んお?」クルッ

童子戦士「も…もっかい…」

武道家「もっかい?」

童子戦士「次は負けないから…」グスッ

武道家「お、おー…どうするか…」


男「こ、こらこら。ゴメンよ、兄ちゃん達」

武道家「いえいえ」

剣士「おい、童子戦士っていったか」ポンッ

童子戦士「うん」

212: 2014/06/25(水) 22:50:15 ID:AmecDhDc
 
剣士「俺ら腹ぁ減ってんだ。飯食ったら、今度は俺が相手してやるから、少し待っててくれねぇかな」

童子戦士「…」

剣士「…何だよその目は」

童子戦士「…こっちの人がいい」ギュウッ

剣士「…」


武道家「あぁ、名前を名乗るのが遅れてすまん。俺は武道家」

剣士「俺は剣士…」

魔道士「私は魔道士」

僧侶「僕が僧侶だよ」


武道家「ごめんな、俺はこの人たちと約束があるからさ、終わったらまた相手してあげるからよ」

武道家「少しばかり待っててくれないかね?」

213: 2014/06/25(水) 22:50:50 ID:AmecDhDc
 
童子戦士「…わかった」コクン

武道家「はは、分かってくれて有難うよ」ポンッ


男「おいおい、また負けちゃかなわないよ」

武道家「次は金銭ナシで、この童子戦士が納得するカタチでやらせてもらうよ」

男「…それなら」フゥ


武道家「んじゃ、飯ィ食いにいくかぁ。良い感じに更に腹減ったし」クルッ

童子戦士「また後でね!」

武道家「おうっ」

214: 2014/06/25(水) 22:51:34 ID:AmecDhDc
 
ザッザッザッザッ…


武道家「さて、どんなメニューあるんだ?」

魔道士「えっとね、美味しいのはシチューとか…」

剣士「午前中から重いな…食うけど…」

僧侶「食べるんだ…」


………
……

215: 2014/06/25(水) 22:52:16 ID:AmecDhDc
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】


ガチャガチャッ、ギィィ…

剣士「ぷはぁぁ!食った食ったぁぁ!」

魔道士「美味しかったでしょ~?」

僧侶「すっごく美味しかった…」

武道家「お前ら本気で1万ゴールド分全部食うとは思わなかったわ」


剣士「まぁまぁ」

武道家「他人事だと思いやがって」

216: 2014/06/25(水) 22:53:13 ID:AmecDhDc

剣士「んじゃ…行きますかぁ!?」パンッ

武道家「どこにだ?」

剣士「さっきの子供、今度は俺が挑むんだよ!」

武道家「あぁ、なるほど」


魔道士「戦いたいのは武道家って言ってたでしょ」

剣士「だったら、5,000ゴールド払って試合する!」

魔道士「まぁそれなら…」

剣士「食後の運動だぜ!」

魔道士「朝から本当に元気なんだから」

217: 2014/06/25(水) 22:53:54 ID:AmecDhDc
 
ザッザッザッ…

剣士「確かこの辺にさっきまでいたよな。…あれ?」


ヒュウウッ、シーン…


剣士「…あの男は?あの子供は?」

武道家「いないな」

剣士「な…なんだと…」

武道家「移動したのか?」

剣士「さっき戦いたいって言ってたし、動くはずないと思うんだが…すいませーん!」


町人「なんだい?」

剣士「さっきまでココで、子供が戦って金せしめてたでしょ?どこいったか分からないスか?」

魔道士「何ていう言い方」


町人「あ~…さっきね、そういう事はココじゃしてはいけないって衛兵に睨まれてさ」

町人「この町から逃げるようにして出てったみたいだよ」

218: 2014/06/25(水) 22:54:25 ID:AmecDhDc
 
剣士「マジで!?そ…そんなぁ…」ガクッ

武道家「どんまい」

魔道士「どんまい」

僧侶「ど、どんまい!」

剣士「うっせー!」


武道家「しかし何者だったんだろうな、あの子」

剣士「あの子もだが、正直一緒にいた男のほうも戦ってみたいと思った」

武道家「あっ、俺も思った」


魔道士「男って…あの童子戦士の保護者みたいな人?」

剣士「そうだ」

武道家「そう」

219: 2014/06/25(水) 22:54:56 ID:AmecDhDc
 
魔道士「何で?」

剣士「恐らく、あっちのほうが強いと思うぜ」

武道家「師匠的な存在なのかもしれんな。どう考えても、オーラが違った」

魔道士「…そんなの分かるの?」


剣士「…何となくだけど」

武道家「わかる気がする」


魔道士「へぇ…、戦う者同士の何かがあるのかもしれないわね」

僧侶「すごいなぁ…」

220: 2014/06/25(水) 22:55:38 ID:AmecDhDc
 
剣士「それより…」ウズッ

武道家「ん?」

剣士「俺だけ戦ってねぇのは反則だ!今ここで、勝負しろコラァ!」クワッ

武道家「おぉ!?やるのかコラァ!」クワッ


魔道士「あのさ…」ハァ

僧侶「二人とも、町の中なんだから!」


武道家「くっくっく…お前、剣もナシで戦えるのかよ。町に出る前に、自分の武器は置いて来ただろ?」

剣士「お前こそ、得意のナックルもなしで、そのヘナチョコ拳で威力が出せるのか?おぉ?」

武道家「…」

剣士「…」

221: 2014/06/25(水) 22:56:10 ID:AmecDhDc
 
武道家「…やってやるよオラァ!」ダッ

剣士「いくぞコラァ!」ダッ
 
魔道士「このバカ…っ」パァッ! 


…ピピー!!

剣士「!?」ピタッ

武道家「!?」ピタッ


魔道士「な、何…今の笛の音…」

222: 2014/06/25(水) 22:56:59 ID:AmecDhDc
 
ピピー!!

衛兵A「こらー!!町の中で暴れるんじゃない!!」

衛兵B「さっきも秩序を乱すやつを追い払ったばかりというのに…、捕まえるぞ!」

タッタッタッタッタッ!!


剣士「やべぇ…逃げろ!」

武道家「うげっ、走るぞ!」

魔道士「えっ、ちょっとぉ!」

僧侶「えぇっ!」

タッタッタッタッタッ…

…………
……

223: 2014/06/25(水) 22:57:33 ID:AmecDhDc
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕方 教員室 】


冒険先生「…」ピクピク


剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

224: 2014/06/25(水) 22:58:35 ID:AmecDhDc
 
冒険先生「何か、弁解する言葉は」


剣士「んーむ…」

武道家「ないです」

魔道士「ど、どういえばいいか…」

僧侶「そ、その…」


冒険先生「寮から出るなと言ったのに、勝手に町に出歩いた挙句…」

冒険先生「魔道士と僧侶の2人も混じって衛兵に追いかけられ!!」

冒険先生「町の中を走り回って商業馬車を壊し…、商通りの棚も壊して被害をだし…」

冒険先生「…どういうつもりなのかな」ピクピク

225: 2014/06/25(水) 22:59:06 ID:AmecDhDc
 
剣士「…ま、まぁ少しすまなかったと思ってる」

武道家「そうだな。悪かったです」

魔道士「…ごめんなさい」

僧侶「申し訳ないです…」


冒険先生「はぁぁ…。入学して何日もたってないんだぞ!!」

冒険先生「どれだけ問題を起こせば気が済むんだ!」


剣士「そ、そんな怒らなくとも…」


冒険先生「この学校だけでなく社会にも規律というものがある!」

冒険先生「それを無視した立ち振る舞い、あまりにひどすぎるぞ!」


剣士「も、申し訳ないっす…」

226: 2014/06/25(水) 22:59:38 ID:AmecDhDc
 
冒険先生「初日から何かやらかすとは思っていたが、これでは学校においておけんぞ…」ハァ

剣士「えっ」

武道家「ちょっ」

魔道士「えぇっ!」

僧侶「そんな!」


冒険先生「魔道士と僧侶はまだしも、剣士と武道家の二人はこれ以上問題を起こすようなら、退学もあるんだぞ?」

冒険先生「やっと学校に入学出来たというのに、それでもいいのか?」


剣士「そ、それは困る…」

武道家「うむ…」

227: 2014/06/25(水) 23:00:36 ID:AmecDhDc
 
冒険先生「はぁ…」

ガラッ!カツカツカツ…

武装先生「はっはっはっ、冒険先生の怒鳴り声が廊下まで響いてたぞ」

冒険先生「武装先生…」

武装先生「まぁそこまで怒ってやりなさんな。確かに秩序もあるが、若い時はこんなもんだろう」

冒険先生「しかしですな、余りにもひどすぎますよ。学校内ならまだしも、町に迷惑をかけるなんて…」

武装先生「う~む…。確かに外に被害を出したのはよろしくないな」


剣士「うっ…」

武道家「…」


冒険先生「でしょう?ここは1か月程度の寮で停学処分を考えています」

冒険先生「その間に問題を起こさなければ、また、授業を受けられるようにしようかなと思ってました」

228: 2014/06/25(水) 23:01:30 ID:AmecDhDc
 
剣士「なっ!」

武道家「ま、待ってくださいよ!」


武装先生「ふぅむ…」

冒険先生「武装先生が甘く見てやりたい気持ちも分かりますが、さすがに今回のは…」

武装先生「…」


剣士「お、オッサン!助けてくれないっスか!」

武道家「今度から気を付けるから!」


武装先生「…お前ら、敬語はもう少しまともに覚えたほうがいいんじゃないか」

武道先生「…」

武装先生「…では冒険先生、いい案があるんだが」


冒険先生「何でしょうか?」

229: 2014/06/25(水) 23:02:37 ID:AmecDhDc
 
武装先生「1年生たちの1か月後にある、学校の初演習。これをトップで抜けたらお咎めなしということで」

冒険先生「…ふむ」

武装先生「もしトップで抜けられなかった場合は、2か月処分。いかがでしょうか」

冒険先生「…来月から2か月という事は、期末試験もう受けられませんし、下手したら一発で退学ですよ?」


剣士「!」

武道家「!」


武装先生「そうか、そうだったな…それは確かに厳しいな。…だが、本人たちに希望を聞こうじゃないか」

武装先生「君たちは…どっちがいいかな?」


剣士「片方は、今日から1か月の停学だろ?」

武道家「で…、もう1つは、演習をトップ成績で抜けられなかった場合…、来月から2か月の停学処分か…」

武装先生「もし来月から2か月の停学になると、期末試験が受けられないからな…退学が確定するぞ」

230: 2014/06/25(水) 23:03:16 ID:AmecDhDc
 
剣士「…」チラッ

武道家「…」チラッ

…コクン


武装先生「二人とも、決まっているようだな」フッ


剣士「当たり前だ」

武道家「おうよ」


武装先生「では、聞かせてもらおうか」

武装先生「どちらを選ぶ?」

231: 2014/06/25(水) 23:03:56 ID:AmecDhDc
 
剣士「…」スゥッ

武道家「…」スゥッ


剣士&武道家「今日から1か月の停学処分で」


冒険先生「」

武装先生「」

魔道士「」

僧侶「」


剣士「…ん?」

武道家「どうした?」

232: 2014/06/25(水) 23:04:57 ID:AmecDhDc
 
魔道士「ば…バッカじゃないの!?」

魔道士「いやどっち道、どっち答えても言うつもりだったけど、えっ…あの、ちょっ…」


武装先生「くっ…はぁっはっはっ!」

冒険先生「"トップ成績でやってやる"って言うだろうと、意外に豊富なセリフを考えていたんだがな…」ハァァ
 
僧侶「まさかの回答だよ、二人とも…」


剣士「だって…なぁ?」

武道家「うむ」


冒険先生「だって、なんだ?」

233: 2014/06/25(水) 23:05:41 ID:AmecDhDc
 
剣士「実践とかでトップ取るの当たり前だし、そんなの賭けにされても面白くもなんともないし」

武道家「その通り。だったら1か月休んで、備えたほうがいいって思うよな」


冒険先生「…!」

武装先生「!」

魔道士「剣士、武道家…」

僧侶「当たり前って…」


冒険先生「はぁ~…」

武装先生「はっはっは、冒険先生の負けだな」

…ポンッ

冒険先生「何が負けてるんですか、何が」

冒険先生「しかし、今ので拍子抜けしましたよ。今回はお咎めナシでいいってことにしよう…」ハァ

234: 2014/06/25(水) 23:06:11 ID:AmecDhDc
 
武道家「!」

剣士「まじっすか!」


冒険先生「ただし、自分の言葉に責任を持て。本当にトップで抜けられるんだな?」

剣士「…当然」

武道家「負ける気がしませんね」

冒険先生「…分かった。その言葉、信じよう」

剣士「ういっす!」

武道家「あざっす!」


剣士「ところで、実践演習って冒険実習するってことでしょ?具体的に何するか教えてくれない?」

冒険先生「あぁ、それはな…」

………
……

235: 2014/06/25(水) 23:06:56 ID:AmecDhDc
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後 帰り道 】

カァ…カァ…


剣士「…ははっ、楽しみになってきたな!」

武道家「魔獣の住む魔石の洞窟を、2日かけて探索かぁ!」

僧侶「最深部がゴールみたいだし、そこまで一番で辿り着けるかが鍵だね」

魔道士「魔獣もいるのかぁ…。でも、少しだけ面白そうかも」


剣士「よっしゃ、ワクワクしてきた!」

剣士「今日から特訓しようぜ、秘密の特訓!」


魔道士「剣士たちといると、何もしなくても毎日が秘密の特訓だと思うんだけど」

236: 2014/06/25(水) 23:07:52 ID:AmecDhDc
 
剣士「褒めんなってぇ!」

魔道士「ほめてないから」


武道家「しかし、実践のスピード早くないか?1か月って、結構凄い速度で授業進んでるよな」

僧侶「元々この学校に入る人らは、経験がないわけじゃないんじゃないかな…?」

武道家「未経験の奴もいなくはないと思うんだがなー」

僧侶「う~ん…。僕ですら、簡単だけど実践やってないわけじゃないし…」

武道家「僧侶も実践経験あるのか?俺らは毎日実践だったようなもんだが」

僧侶「うん。簡単なクエストには参加したことあるよ」

武道家「マジでか!?」

237: 2014/06/25(水) 23:08:45 ID:AmecDhDc
 
僧侶「親が元々冒険者で、親も支援魔法で仲間を支える事をメインにしててね」

僧侶「僕が産まれて引退した後も、たま~に昔の仲間と簡単なクエストとか行っててさ」

僧侶「だから、僕も簡単なのには着いていってたんだ」

僧侶「直接倒したわけじゃないけど、僕の支援魔法で間接的に魔獣を倒したことならあるよ!」


剣士「…ほぉ」

魔道士「へぇ…」


武道家「支援系魔法だけじゃなくて、攻撃魔法もそれなりに使えるんだったよな?」

僧侶「うん」

武道家「やべえな、心強い味方じゃん」

僧侶「あはは、ありがとう」

武道家「前衛は俺と剣士でやるし、のびのびやれるように努力するさ」

僧侶「うん」

238: 2014/06/25(水) 23:09:31 ID:AmecDhDc
 
魔道士「…」

魔道士「…じゃあ、実践らしい実践してないのは私だけってことだよね…」


剣士「武道家が、そういう人もいるって言ってたじゃん。気にすんなって」

魔道士「でもなぁ…、足引っ張っちゃいそうで怖いかも…」

剣士「大丈夫だっつーの!」

魔道士「そうかなぁ…」

剣士「いつもの俺らに火球ぶっ放すみたく、適当にやりゃ魔獣も倒せるし」

魔道士「…」

剣士「それに、前衛は俺と武道家だぜ?何かあったら、僧侶ともども守ってやるっつーの」クハハ

魔道士「…うん」


武道家「ちょっと~、聞きましたか?」ボソボソ

僧侶「うん」ボソボソ

武道家「かっこいいこと言ってるつもりですよ、彼」ボソボソ

僧侶「魔道士さんも、まんざらじゃない気が…」ボソボソ

239: 2014/06/25(水) 23:10:02 ID:AmecDhDc
 
剣士「…」

魔道士「…」


武道家「…」

僧侶「…」


剣士「…やっぱり僧侶は守らねー」

魔道士「武道家は、危険だと思っても支援しない」


僧侶「そ、そんなぁ!!」

武道家「なんでや!!」

240: 2014/06/25(水) 23:10:35 ID:AmecDhDc
 
剣士「知らん知らん!とにかく、明日から実践に向けて頑張るしかねぇってことだよ!」

武道家「一番は余裕でとれるとして、何か目立つことしたいよな」

魔道士「これ以上目立たなくていいんですけど」

僧侶「また冒険先生に怒られちゃうよ~…」


剣士「大丈夫だって!怒られる事以上に、すげぇ事やればいいんだから!」

武道家「お前頭いいな」

剣士「ふっ…今更かよ」


魔道士「…」

僧侶「…」

241: 2014/06/25(水) 23:11:06 ID:AmecDhDc
 
剣士「おっしゃ、常に特訓てことで…誰が一番最初に寮に着くか勝負だ!」ダッ

武道家「あっ!ずりぃぞコラ!」ダッ

魔道士「どんだけ走るの好きなの!」ダッ

僧侶「た、体力には自信がないのにぃ…」ダッ


剣士「だぁっ~はっはっはっ…!」


タッタッタッタッタッ…!

…………
………

242: 2014/06/25(水) 23:11:42 ID:AmecDhDc
 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

249: 2014/06/27(金) 21:05:43 ID:yb62nmts
 

……
…………
…………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 3週間が過ぎた頃 】

キーンコーンカーンコーン…

魔法先生「…おっと。では、これで本日の共通魔法の授業を終わります」

魔法先生「各自、予習や復習はきちんとしておくように」

魔法先生「それでは、失礼しました」


ガチャッ…バタンッ…

250: 2014/06/27(金) 21:06:19 ID:yb62nmts
 
剣士「」プシュー

武道家「」プシュー


…ポンッ

魔道士「ほーら、二人とも授業終わったから顔あげて」

剣士「…はっ!」ガバッ

武道家「おっ!?」ガバッ


魔道士「剣士は今日の授業、いつもより長く聞いてられたじゃん」

魔道士「成長してるんじゃないの?」

251: 2014/06/27(金) 21:06:59 ID:yb62nmts
 
剣士「いや~…ダメだ。本気でパンクする」

武道家「何だよ共通魔法って…。未だに納得いかないぜ…魔術を選択した人以外も受けるなんてなぁ…」

魔道士「そんな事言ったら、共通の体術とか色々私だってやってるんだから」


剣士「組み手、魔道士も何気に出来るようになってきたよな」

魔道士「基本だけね」


剣士「共通の格闘術、共通の魔術、共通の支援魔術…」

剣士「なぜ、共通の剣術がない!?」


魔道士「…そ、そりゃあね」

武道家「仕方ねーだろうが」

剣士「はぁ…」

252: 2014/06/27(金) 21:07:35 ID:yb62nmts
 
トコトコ…

僧侶「僕は支援魔法系だし、魔術の授業は苦手じゃないけど、やっぱり格闘術は苦手だよ」

剣士「俺はある程度、格闘術なら着いていけるな」

魔道士「向き不向きがあるんだし、仕方ないよ」

剣士「うーむ…」


武道家「つーか剣士、魔法とか本とかあれほど嫌ってたのに、最近頑張ってるな?」

剣士「おうよ」

武道家「…魔道士のためか」ニヤニヤ

剣士「おいコラ」


魔道士「そ、そんなんじゃないでしょ!!」

武道家「何で魔道士が答えるのかな」ニヤニヤ

253: 2014/06/27(金) 21:08:46 ID:yb62nmts
 
魔道士「そのニヤついた顔に、火炎魔法ぶっぱなされたいの?」

武道家「申し訳ございませんでした」

 
剣士「…とりあえず、真剣に覚えようと思っただけだ」

武道家「実践演習まで、もう10日もないしなー」

剣士「相変わらず苦手なまんまだが、何かしらはしっかり覚えたい」

武道家「確かに、剣術一択の剣士は、遠距離攻撃の1つは欲しい気持ちは分かる」


剣士「ん~…そういや、話は変わるけども、午後の授業ってなんだっけ?」

剣士「また共通のなんかとか?魔法とか支援魔法の共通だったらパンクしちまうよ」


魔道士「今日の午後は確か…」

魔道士「…」

魔道士「…あっ」

254: 2014/06/27(金) 21:09:28 ID:yb62nmts
 
剣士「…ん?」

魔道士「…期待してるよ、剣士」ポンッ

剣士「何が?」

魔道士「んふふ~…、午後の授業はね…」

剣士「?」


……………
………

255: 2014/06/27(金) 21:10:03 ID:yb62nmts
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 午後 武術実践 】


武装先生「お前たちが入学して、早くも1か月が過ぎようとしている!」

武装先生「そこで、今日は午後の授業時間を目いっぱい使い、模擬実践をして貰おうと思う」

武装先生「クジを引いてもらい、それぞれの番号が一致したものと戦ってもらう!」

武装先生「ルールは相手が参ったと言ったら、そこまで!それ以上の打撃や魔法は禁止だ!」

武装先生「武器は模擬武器、魔法は中級魔法以下のみ!」


ザワザワ…

剣士「…うひょおおお!」

武道家「お前の出番じゃん!」

魔道士「私だってやってやるんだからね!」

僧侶「ぼ、僕だって!」

256: 2014/06/27(金) 21:10:38 ID:yb62nmts
 
武装先生「それでは一番端のお前からクジを引け!番号は大声で言うこと!」

生徒「はいっ!」

ゴソゴソ…

生徒「7番です!」バッ

武装先生「よし!次!」


生徒「15番!」

生徒「6番!」

生徒「19番!」

生徒「14番!」

257: 2014/06/27(金) 21:11:26 ID:yb62nmts
 
ザワザワ…ガヤガヤ…


剣士「お前と当たっても良いんだぜ?」

武道家「いや別にいいんだけど、ちょっと気になったことがあるんだが…」

剣士「何よ」

武道家「お前さ、模擬武器って片手剣か…大鎌しかないじゃん」

剣士「あ…」


武道家「俺は模擬武器でナックルあるけど…」

武道家「最新の模擬武器の大剣は軽いだろうし、お前にとっちゃ片手剣になるんじゃね?」


剣士「やっべ…。軽すぎるのは本当に慣れないんだよな…」

258: 2014/06/27(金) 21:12:00 ID:yb62nmts
 
ザッザッザッ…

武装先生「さて、お前の番だぞ剣士」

剣士「…お、おう」

ゴソゴソ…

剣士「…12番!」


武装先生「…よし。では次に武道家が引け…の、その前に、剣士に話がある」

剣士「ん?」


武装先生「お前の為に、大鎌クラスの重さで、大剣の模擬武器を特注しておいた」

武装先生「それを使って戦うがいい。幾分かは、お前にとっての実践に近い形でやれるはずだ」

武装先生「もちろん、他の模擬武器と一緒の威力しか出ない加工はしてあるから、有利不利はつかん」

259: 2014/06/27(金) 21:12:34 ID:yb62nmts
 
剣士「…まじか!?」

武装先生「特別だからな」

剣士「ありがとう、オッサン!!抱きしめてやろうか!」

武装先生「い、いや…結構だ。…それじゃあ次!武道家!」


武道家「うしっ、俺だ!」

ゴソゴソ…

武道家「4番!」

武道家「…っちぇ、お前と戦えなかったか」


剣士「まぁ誰とやっても、お互いに絶対勝つだけだろ」ニヤッ

武道家「…まぁな」ニヤッ


…………
……

260: 2014/06/27(金) 21:13:21 ID:yb62nmts
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生徒A「おりゃああっ!」ブンッ!

生徒B「あっ!」

バキィッ!!…ドサッ!

 
生徒A「…もう1回やるかい」チャキッ

生徒B「ま…参った」

カランカランッ…


武装先生「そこまでっ!」

261: 2014/06/27(金) 21:14:28 ID:yb62nmts
 
魔道士「お~…」

剣士「いい動きしてるなー」

武道家「だけど、今の勝った奴…いまいち足腰が弱い感じじゃなかったか?」

剣士「確かにもっと足腰鍛えて、踏み込み早ければ余裕で勝てたんじゃねーかな」

僧侶「あ、あれ以上の動きを求めるなんて…」


武装先生「次、剣士と弱気騎士!」


剣士「おっ!」

武道家「お前の出番じゃん」

魔道士「頑張って!」

僧侶「フレー!」

262: 2014/06/27(金) 21:14:59 ID:yb62nmts
 
生徒たち「おぉ、剣士の出番か!」

生徒たち「アイツ強いもんなぁ…相手が気の毒だ」
 
 
ザッザッザッ…

剣士「くくく…俺の時代!」

弱気騎士「よ…よろしくお願いしますぅ…」ガタガタ


武装先生「よし、試合開始する…って、おい、剣士!」

魔道士「…あぁっ!け、剣士…武器、ココに忘れてるって!」

武装先生「折角作ってもらった武器を、忘れてどうする!」

僧侶「剣士くん、武器ナシでやるの!?」
 

剣士「待てぃ!!…あわてるな!これは作戦なのだ!」バッ

魔道士「は、はい?」


剣士「武道家あぁっ!」パチンッ!

武道家「よし来たっ!」グイッ

263: 2014/06/27(金) 21:15:30 ID:yb62nmts
 
魔道士「武道家が大剣を持って…どうするの?」

武道家「こうするのさ、はいやッ!!」ブンッ!!

ビュッ…ビュウウウウンッ!!

魔道士「な…」

僧侶「投げたー!?」


クルクルクルッ…!!

剣士「そおりゃっ!」ガシッ!


生徒たち「おぉ、武器を上手くつかんだぞ!」

生徒たち「って…」

264: 2014/06/27(金) 21:16:04 ID:yb62nmts
 
剣士「ぬぅおおおっ!!」

ギュンギュンギュンッ!!

クルクルクル!モワモワッ…!


生徒たち「おぉ!?なんか、すげぇ体の周り回してるぞ!?」

生徒たち「土埃がやべぇ、どんだけあの大剣重いんだよ!」

生徒たち「あの剣捌き…、サーカスも真っ青だぜ…」

265: 2014/06/27(金) 21:16:38 ID:yb62nmts
 
魔道士「…ただのかっこつけ?」

武道家「儀式だ」

魔道士「何のよ…」

僧侶「かっこいい!!」パチパチパチ


剣士「おりゃあああっ!!」

ギュンギュンギュンッ…ドスンッ!!!!


剣士「ほぁぁ~…」フゥゥ


武装先生「…」

武装先生「…終わったか?」


剣士「あぁ、いつでもいいぜ!」チャキッ

266: 2014/06/27(金) 21:17:30 ID:yb62nmts
 
武装先生「…ごほん」

武装先生「それじゃ、試合開始だ!!」


剣士「行くぞオラァァッ!!」ダッ!


弱気騎士「あ、参りました」

剣士「」

ズザザザァァ!!ドォン!!ドシャアアッ…


武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

生徒たち「…」

武装先生「…」

267: 2014/06/27(金) 21:18:25 ID:yb62nmts
 
ムクッ…

剣士「な…何だと、おい!!」

弱気騎士「だ、だって僕みたいのが君に勝てるわけないし…」

剣士「お前…!」


武装先生「参ったら終わりというのはルールだ…」

武装先生「残念だが、元の位置に戻っていてくれ…」

ガシッ…ズリズリ…

剣士「う、うおおぉ離せぇぇ!戦えぇぇ!」

バタバタ…


武道家「不幸な奴…」

魔道士「…かっこ悪い」

僧侶「剣士くん…」

274: 2014/06/29(日) 21:20:40 ID:VoI58HtA
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

武装先生「…では次ッ!魔道士対、闘術騎士!」


魔道士「!」

武道家「おっ、魔道士の出番だな。頑張ってくれよ!」

僧侶「頑張って!」

魔道士「うん、任せて!」

剣士「がんばれ~」フリフリ

魔道士「…」


武道家「お前いつまでスネてんだよ」

剣士「はぁ…」

275: 2014/06/29(日) 21:21:25 ID:VoI58HtA
 
魔道士「よぉっし、頑張るぞ!」

トコトコトコ…スタッ


闘術騎士「…」

魔道士「…」

 
武装先生「では、準備はいいかな?」


闘術騎士「いつでも」

魔道士「いつでも」


武装先生「始めっ!」バッ

276: 2014/06/29(日) 21:22:31 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…」チャキッ

魔道士(武器は槍…。槍術か…、攻撃範囲大きいし少し厄介な相手ね…)


闘術騎士「…戦う前に、少しいいかな」

魔道士「何?」

闘術騎士「君、あの剣士くんのパーティなんだろ?」

魔道士「…そうだけど」

闘術騎士「じゃあ、君も相当やれるほうなんだ」

魔道士「…どうかしらね」

闘術騎士「楽しみだよ」

魔道士「そんなに期待されても、困るんだけど」

闘術騎士「先ずはやってみようか」ググッ


魔道士(…来る!)

277: 2014/06/29(日) 21:23:03 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「小突っ!!」ビュッ

魔道士「きゃっ!」ヒョイッ

闘術騎士「おっと、避けられたか。…意外に早いね?」

魔道士「…ありがと」


闘術騎士「君には、魔法なんか使わせる暇は与えないよ!」ビュッ!

魔道士「どうかしらね、小火炎魔法っ!」パァッ

闘術騎士「おっ、詠唱が早い!」

…ボォンッ!!


闘術騎士「おっとっと…」

魔道士「避けられた…、まだまだ!小風刃魔法っ!」パァッ!

ビュウウッ…スパスパッ!

闘術騎士「っと!」

278: 2014/06/29(日) 21:23:38 ID:VoI58HtA
 
魔道士「小水流魔法っ!」パァッ!

…ジャバァッ!!

闘術騎士「うわっ!」

魔道士「くっ…当たらない…!」

闘術騎士「魔法をどこに撃つか、見えてるからね」

魔道士「…なら、数で勝負!小火炎…」

闘術騎士「やらせないよ。小突連弾!」ビュビュビュッ!!

魔道士「!」


武道家「あぶねぇ!」

剣士「…避けろ!」

279: 2014/06/29(日) 21:24:13 ID:VoI58HtA
 
魔道士「うっ…くっ!!」

ヒュンッ、ヒュンヒュンッ!ズザザ…


闘術騎士「ひゅうっ♪…全部避けられちゃったよ」

魔道士「はぁ、はぁ…。あ、危なかった…」

闘術騎士「やるね、君」

魔道士「…くっ!」バッ


武装先生「うむ、いい試合だ」

剣士「危なっかしいな…。さっさと、大魔法とかでこの校庭ごと、吹き飛ばしちまえばいいのに」

武道家「いやそれ反則負けになるし、俺らも吹き飛ぶし」

280: 2014/06/29(日) 21:25:30 ID:VoI58HtA
 
サァァ…

魔道士「…」

闘術騎士「…」

魔道士「…」

闘術騎士「うん。思った通りだ」

魔道士「何が」

闘術騎士「君、いいね。うちのパーティに入らない?」


魔道士「…」
 
魔道士「…はい?」


闘術騎士「いや、うちにも魔法メインの子はいるんだけど、いまいちでさぁ」

闘術騎士「剣士くんの目に適った魔道士さんなら、是非活躍してくれそうで」

281: 2014/06/29(日) 21:26:16 ID:VoI58HtA
 
武道家「…おい、魔道士がスカウトされてるぞ」

剣士「だ、大丈夫だろ。多分…」


魔道士「…残念ながら、お断り。私、今のパーティのほうがいいかな」

闘術騎士「僕たちも悪いようにはしないよ?」 

魔道士「既にパーティ仲間の人を捨てようとしてるのに、悪いようにしないってどういうことなのかしら?」

闘術騎士「あはは、痛いところを突かれたね」

魔道士「残念ながら、お断りさせていただきます!小火炎魔法っ」パァッ 

…ボォンッ!!キィンッ!!


闘術騎士「!」


武道家「あっ」

剣士「おっ」

282: 2014/06/29(日) 21:26:52 ID:VoI58HtA
 
クルクルクル…ザシュッ!

闘術騎士「っと…僕の武器が…」ビリビリ

魔道士「これで勝負あり、かな」


剣士「…いい隙をついたな。それにしても、武器だけを狙って弾いたのか…」

武道家「やっぱり正確に打ち抜く技術はすげーと思うぜ」

僧侶「あれで二人とも、何度も頭燃やされたよね…」


魔道士「へへっ♪」


闘術騎士「…やっぱり素晴らしい技術を持ってるね。ますます欲しくなった」

魔道士「それでも仲間にはならないわよ」

闘術騎士「…君を参ったと言わせたら、入ってくれるかな?」

魔道士「武器もないのに?」

283: 2014/06/29(日) 21:27:46 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…さぁね」

魔道士「普通なら、その条件を飲むんだろうけど…。私は何を言おうと、貴方のパーティに入らないからね」

闘術騎士「…そうか。じゃあ、武器ナシでも君にイエスと言わせてみせる」

魔道士「言わせられるの?」

闘術騎士「…」クスッ

…トーン、トーン


魔道士「小刻みのジャンプ…?」


武道家「むっ…」

剣士「あれは…!」


闘術騎士「確かに僕のメイン武器は槍だけど、元々は格闘術のほうが得意なんだ」スッ

284: 2014/06/29(日) 21:28:28 ID:VoI58HtA
 
武道家「…ハイブリッドか!」

剣士「…魔道士、気をつけろ!距離を詰められたら終わりだぞ!」

僧侶「頑張れーー!!」


魔道士「なるほど、そういうこと…」

闘術騎士「近づけさせなければどうにかなると思ってる?」

魔道士「どういう意味?」

闘術騎士「…はぁっ!」パァッ


武道家「あれは…闘気か!やべぇ!」


闘術騎士「はあっ!」ブンッ!!

ボッ…ビュウゥゥゥンッ!!

285: 2014/06/29(日) 21:29:18 ID:VoI58HtA
 
魔道士「!」

ドォン!!ズザザザァ…


闘術騎士「…」ニコッ

魔道士「いつっ…!」

闘術騎士「びっくりした?」

魔道士「…少しね」

闘術騎士「次は狙うよ。参ったとは言わないかい?」

魔道士「…言わない!」

闘術騎士「では、言わせるまで!!」


…パァァッ

闘術騎士「闘気連弾っ!!」

ビュンッ!!ビュビュビュンッ!!

286: 2014/06/29(日) 21:29:55 ID:VoI58HtA
 
ボォン!!ボボボボォォンッ!!

魔道士「きゃああっ!」


剣士「魔道士!」


闘術騎士「さぁて…とっ!」タァンッ!

ダダダダダッ…!

魔道士「くっ…ダメージが…!」フラッ

闘術騎士「悪いけど、女性だからって手抜きはしないよ」ブンッ!!

…バキィッ!!


魔道士「あう゛っ!」

287: 2014/06/29(日) 21:30:25 ID:VoI58HtA
 
剣士「…っ!」

武道家「あいつ…!」


魔道士「…っ」クラッ

闘術騎士「君の得意な魔法は、この距離だと当たらない。体術は僕に分がある。さぁ、どうする?」

魔道士「ふ、ふんっ…。体術なら少し習ってるから…!」ブンッ!

闘術騎士「…」ヒョイッ

…ガシッ!


魔道士「あっ…」

闘術騎士「自ら捕まりに来るとはね」

魔道士「は、離して!」

288: 2014/06/29(日) 21:31:05 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…」ジー

闘術騎士「うーん、剣士君じゃないけど…君は可愛いと思うし、僕の仲間に欲しいんだよなぁ。なーんて」


魔道士「なっ…」
 

剣士「魔道士、何とかして逃げろ!」

武道家「その近くじゃ一発受けたらダウンしちまう、距離を置くんだ!」


魔道士「…分かってるけど!」ググッ

闘術騎士「逃げられないよねぇ」ニタァッ

…グイッ!!ギュウッ

魔道士「やっ、やだっ…!」

闘術騎士「へへ…」


剣士「こ、この…」

289: 2014/06/29(日) 21:31:40 ID:VoI58HtA
 
武道家「武装先生、あれだめでしょ!止めろよ!」

武装先生「…ルールはルールだ…が…」


武道家「くそっ、魔道士!参ったと言え!」

剣士「それで終わるんだ!さっさと言っちまえ!!」


魔道士「…っ」

闘術騎士「仲間になりなよ…ね…?」ボソボソ

魔道士「耳もとで…話かけるなぁ…!」

闘術騎士「弱いの?」

魔道士「うっさい!!」


剣士「早く言えっつーの!!」

武道家「…これ、止めにいってもいいんじゃねえの」

290: 2014/06/29(日) 21:32:17 ID:VoI58HtA
 
剣士「そ、そうか…なら…!」チャキッ

武装先生「…仲間が必至に耐えてる時に、水を差すのか?」

剣士「あれは戦いじゃねえだろ!」

武装先生「だがな、魔道士はまだ諦めてないようだぞ?」

剣士「あぁ!?」


闘術騎士「…さぁ、どうする…」

魔道士「い…」プルプル

闘術騎士「い…?」

魔道士「いい加減にしろぉっ!ら…雷撃魔法ぅ~~っ!!」パァッ!!


剣士「!?」

武道家「!?」

僧侶「!?」


闘術騎士「なっ!!」

291: 2014/06/29(日) 21:32:54 ID:VoI58HtA
 
バチッ…バチバチバチィッ!!!

闘術騎士「ぐがぁぁっ!!」

魔道士「食らえぇぇっ!!」パァァッ!!

バチバチバチッ!!…バチッ…

闘術騎士「がっ…」

魔道士「…っ」


…ドシャッッ

闘術騎士「…」ダランッ


魔道士「はぁ…はぁ…」

292: 2014/06/29(日) 21:33:44 ID:VoI58HtA
 
剣士「お…おぉ…」

武道家「か、雷魔法…」

僧侶「難易度の高い魔法だよ…あれ…」


魔道士「…どうだっ!」ビシッ


武装先生「…見事だ」

剣士「すげぇぞ魔道士!」

魔道士「当たり前でしょ!」

武道家「よく勝ったな…」

魔道士「えへへ…」

293: 2014/06/29(日) 21:34:29 ID:VoI58HtA
 
 
ザワザワ…

生徒たち「おぉ…やるな…」

生徒たち「少しやべぇ展開かと思ったけど、闘術騎士のやつ、雷に打たれるとは…」

生徒たち「天罰ってやつだな…」


武装先生「うむ、これは納得だな。魔道士のしょう…!」バッ


「…待てよ、おい!!」


武装先生「…ん?」


剣士「…」

剣士「…!」

294: 2014/06/29(日) 21:35:12 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…く、くそが…」ムクッ

魔道士「うそっ!」

闘術騎士「俺はまだ参ったとは言ってねえし、気絶もしてねぇ!」

魔道士「くっ…!」バッ

闘術騎士「遊びたかったが、もういい」スッ


魔道士「雷撃まほ…!」

闘術騎士「掌底波ぁっ!!」ブンッ!!

…ボゴォッ!!

魔道士「あぐっ!」ヨロッ

闘術騎士「連撃ィっ!」ビュビュッ!

ガツッ…バキィッ!!!ドコォッ!

295: 2014/06/29(日) 21:35:44 ID:VoI58HtA
  
魔道士「…~っ!」

フラッ…

闘術騎士「闘気ー…」パァァッ!


武装先生「おい、闘術騎士…待て!」


武道家「…剣士ッ!」

剣士「…分かってる!」

…バッ!


闘術騎士「連弾っっ!!」

ビュッ…ビュビュンッ!!

ドドド…ドゴォォッ…!!…モクモク…

296: 2014/06/29(日) 21:36:41 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…ふん」ペッ


武装先生「…っ!」

武装先生「…闘術騎士!いくら何でもやりすぎだ!」グイッ


闘術騎士「参ったを言ってない彼女が悪い」

武装先生「そういう問題ではない!」

闘術騎士「ルールはルールだ。それに氏んではいないだろうし、問題はないだろ?」

武装先生「だから、そういう事では…!」


剣士「…オッサン、まぁそういうなよ。ルールは…ルール、仕方ないだろう」

武道家「…大丈夫か、魔道士」


…モクモク…サァァ…

 
武装先生「お、お前ら…!」

297: 2014/06/29(日) 21:37:14 ID:VoI58HtA
 
…チャキンッ…

剣士「危ねぇ危ねぇ、最後の闘気連弾は全部弾かせてもらったから大丈夫だ」

武道家「武装先生、魔道士は気絶してる。休憩室に運んでもいいか」

武装先生「あ、あぁ…。そうか…、いいぞ…」


闘術騎士「なっ…」

闘術騎士「ありゃ…反則だろうがよ!勝負中に割り込むなんて、パーティ単位での減点だろ!!」


武装先生「…」


闘術騎士「何で黙ってるんだよ」

闘術騎士「…ひいきするつもりか。ルールはルールに乗っ取ってやってたんだぞ俺は…」


武装先生「…」

298: 2014/06/29(日) 21:38:26 ID:VoI58HtA
 
剣士「…オッサン」

武装先生「何だ」

剣士「悪いんだけど、俺さ…このままコイツと試合していいかな」

武装先生「…それは」


闘術騎士「いいぜ」

剣士「…だとよ」

 
武装先生「…おい、待て」


剣士「…待たない」チャキンッ

闘術騎士「そもそも、初日から目立ってたお前は、気に食わなかったからな」

剣士「それが本音か」

闘術騎士「パーティでも崩してやれば、少しは気が晴れると思ったんだが、失敗だったな」ハハハ

299: 2014/06/29(日) 21:39:17 ID:VoI58HtA
 
剣士「…」

剣士「武道家、魔道士の介抱…頼んだぞ。早く連れて行ってくれ」


武道家「…わかった。任せてくれ」

タッタッタッタッタッ…


闘術騎士「こんな時まで仲間の心配とは、よっぽど温かい心を持ってるんだな?ははは!」

剣士「…途中に起きられたら困るしな」

闘術騎士「どういう意味だ」

剣士「…」チャキッ


闘術騎士「…」スッ

剣士「…また、冒険先生に怒られるかな」

闘術騎士「あ…?イライラするな…、人の話聞けよ屑が」

300: 2014/06/29(日) 21:39:48 ID:VoI58HtA
 
剣士「…」ダッ!


…ダダダダダッ!!

剣士「…」ブンッ!!!


ゴッ…ゴオオォオオオッ!!!!


闘術騎士「なっ…!!」


バキィッ!!ベキャッ…!!

301: 2014/06/29(日) 21:40:25 ID:VoI58HtA
 
………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 休憩室 】

…ガバッ!

魔道士「…」パチッ

魔道士「あっ…あれ…?」ハッ

魔道士「ここは…」


武道家「よー、起きたか」

魔道士「あ…武道家…?」

武道家「傷、大丈夫か。血は止まってるな」

魔道士「うん…痛みはないよ…」

302: 2014/06/29(日) 21:41:18 ID:VoI58HtA
 
武道家「それならよかった」

魔道士「わ、私…どれくらい寝てたの…?」

武道家「ほんの数十分くらいだ。安心しろ」


魔道士「そ、そっか…」

魔道士「…」

魔道士「私、負けちゃったんだ…」


武道家「いや、頑張ったろ。それで充分だって」

魔道士「…」


武道家「お前が無事で何よりだったが…。それより少し、ヤバイんだよなぁ」ポリポリ

魔道士「やばいって…何が?」

303: 2014/06/29(日) 21:42:33 ID:VoI58HtA
 
武道家「剣士のこと」

魔道士「剣士がどうしたの…?」

武道家「あいつ、静かになった時が一番やべぇんだよなぁ…」

魔道士「…どういうこと?」

武道家「魔道士の事だし、本気になったのかもな…。いや、俺もアイツがいなかったら…ああなってたか…」

魔道士「…だから、どういうこと…!」
 

武道家「覚えてるか?お前が闘術騎士に倒された時のこと」

魔道士「…掌底波から、覚えてない」

武道家「その後、連撃からボコボコにされてな。更に闘気連弾を食らったんだ」

魔道士「う、うん…」

304: 2014/06/29(日) 21:43:32 ID:VoI58HtA
 
武道家「本来なら治療院送りだろうな。俺らが間に入って止めれて良かったぜ」

魔道士「…ありがとう」

武道家「うん、まぁそれはいい。だけど、それを見た剣士が本気で怒っちゃったんだよ…」

魔道士「…怒ってくれるのはうれしいよ。でも、それが不味い事なの?」

武道家「不味い」

魔道士「…だから、どういう風に?」

武道家「えっと…」


ダダダダダッ…!!ガヤガヤ…!

聖魔先生「ごめん、通して!魔道士さん、起きたんですか!

聖魔先生「ベッド二つ合わせたいから、元気ならどけてくれますか!」


魔道士「えっ、は…はい…」

305: 2014/06/29(日) 21:44:21 ID:VoI58HtA
 
ムクッ…ヒョコッ…ヨロヨロッ

魔道士「あっ…」

…ガシッ

武道家「肩かすよ」グイッ

魔道士「うん、ありがとう。それより…、この騒ぎ、なんだろ…」


タッタッタッタッ…ガヤガヤ…

聖魔先生「早く連れてきて下さい!ついでに、町の薬屋からも縫合薬と大量の痛み止めもお願いします!」

生徒A「わ、わかりました!別の生徒にお願いしますね!」

生徒B「じゃあ先にえーと…」

聖魔先生「もたもたしない!早く寝かせて!」


魔道士「なんかみんな、凄い慌ててるね…、本当にどうしたんだろ?」

武道家「…」

306: 2014/06/29(日) 21:45:21 ID:VoI58HtA
 
タタタタッ…!

生徒「じゃあそこに寝かせますよ!」

聖魔先生「早く寝かせて!あと、最寄の治療院にいって、緊急治療セットも!すぐに処置しなければ!」

生徒「は、はいっ!」

タッタッタッタッ…ゴロンッ


魔道士「一体何が…」ヒョコッ

魔道士「…」

魔道士「……ひっ!?」


闘術騎士「が…がぁぁ!こ…頃す…アイツ…絶対にぶっ頃す…!!あ゛ぁ゛ぁ゛ッ…!」

ドクッ…ドクッ…!ブシュッ…!!

307: 2014/06/29(日) 21:46:01 ID:VoI58HtA
 
武道家「…見ないでおけ」ギュッ

魔道士「何あれ…何なの!?なんで闘術騎士が…!」ギュウッ


聖魔先生「血を流しすぎてる!チェック急いで!」

聖魔先生「まだなの、薬は!?早くして!!」

タッタッタッタッ…!!


武道家「…」

魔道士「どうしたの…何なのよぉ…、これ…!」グスッ

武道家「…」

魔道士「何なの…、これ…剣士がやったの…?」

武道家「…」

魔道士「…ッ」

308: 2014/06/29(日) 21:46:36 ID:VoI58HtA
 
トコトコ…

冒険先生「…おい」


武道家「あっ…冒険先生」

魔道士「冒険先生…?」


冒険先生「ちょっといいか。こっちに来てくれ」クイッ


武道家「…はい」

魔道士「…」


…………
………

309: 2014/06/29(日) 21:47:17 ID:VoI58HtA
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 重 役 室 】

…コンコン


「入れ」


ガチャッ…

冒険先生「…失礼します」ペコッ

武道家「失礼します」

魔道士「失礼いたします…」


剣士「…」

僧侶「…」

310: 2014/06/29(日) 21:48:41 ID:VoI58HtA
 
武道家「…剣士!僧侶!」

魔道士「剣士!!」

剣士「…おう」

僧侶「…うん」


剣士「…よかった、魔道士…元気そうだな」

ヨロッ…

剣士「おっと…」

…ダキッ

魔道士「け、剣士…。あなたが闘術騎士をあんな風にしたの…!?」


剣士「…」

武装先生「…」

311: 2014/06/29(日) 21:50:57 ID:VoI58HtA
 
魔道士「そ、それに剣士の顔の傷…!ど、どうしたの!?闘術騎士にやられたの!?」

剣士「…」
 
魔道士「な、何とか言ってよ…」

剣士「それは…」


武装先生「剣士、何も言うな。俺から説明する。そうだな…闘術騎士は、俺がやったんだ」


魔道士「!!」

武道家「!?」


武装先生「…」

冒険先生「バカな人です…あなたは…」ブルッ


魔道士「ど、どういうことですか?剣士がやったんじゃないのか…!?」


武装先生「…」

312: 2014/06/29(日) 21:51:59 ID:VoI58HtA
 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 少し前 】


…ベキャアッ!!


剣士「…あっ!?」

闘術騎士「…おや」


武装先生「ぐっ…!ま、待て。剣士…!」ググッ

剣士「…オッサン!邪魔するんじゃねえよ!」

武装先生「試合開始の合図もなければ、ルールも何もないだろう」

剣士「…止めるんじゃねえ!」

武装先生「今のお前に試合をさせる事は出来ん。相手を頃し兼ねない目だ」

剣士「…ルールには乗っ取ればいいんだろ?」

313: 2014/06/29(日) 21:53:01 ID:VoI58HtA
 
武装先生「…頃すつもりか?」


剣士「頃すつもりはねえよ!だが…相手にしゃべらせなければ、何してもいいっつー事だろ?」

剣士「魔道士の序盤の時も、そうしたじゃねえか」


武装先生「…お前まで、闘術騎士と一緒になる気か?」

剣士「…何?」


闘術騎士「…」ニタニタ


武装先生「確かにルール上は問題ない。だが、同じ事をしてはお前も闘術騎士と一緒ということだ」

剣士「…俺がそんなクソ野郎と一緒なわけねぇだろ」

武装先生「なら、やめておけ。今のお前に、試合開始の合図を出すわけにはいかん」

剣士「…ッ」

武装先生「気持ちは分かる。痛いほどわかる。だからこそ…落ち着くんだ」

剣士「な…」

314: 2014/06/29(日) 21:53:36 ID:VoI58HtA
 
武装先生「…」

剣士「なら、この気持ちはどうすればいい!どうしろっつうんだよ!」

武装先生「…俺を殴れ。許可する」クイッ

剣士「!?」


武装先生「男として、本当は戦わせてやりたい。だが、それではダメなんだ」

武装先生「お前の気持ちはよくわかる。…俺の言葉で落ち着くものではないことくらい」

武装先生「そして、お前の煮えたぎる想いをどうすればいいか…」

武装先生「だったら…俺を、思い切り殴り飛ばせばいい」


剣士「なっ…にっ…!!」

武装先生「それでも納得しないのは分かっている。だが、少しでも気分が晴れるなら…今はこうする他ないんだ」

剣士「ぐっ…ぐうぅ…!」

315: 2014/06/29(日) 21:54:28 ID:VoI58HtA
 
武装先生「…」ズキンッ

武装先生(最初の一撃で、既に肩が壊れかかっている…、何て力だ…)

武装先生(この距離で、お前の本気の一撃を受けたら俺とてタダじゃ済まない。だが…)


剣士「う、うおぉぉぉっ!!」ググッ

武装先生(少しでも、落ち着けるなら、受けてやる!)ギリッ


ブンッ…!!

バキャアッ!!プシュッ…!


武装先生「…」

武装先生「…なっ!?」


剣士「ぐ…、ぐぐっ…!」ドクドク…

武装先生「お前、自分で自分の顔を…!」

剣士「ぬがっ…」ゴホッ

ポタッ、ポタッ…

316: 2014/06/29(日) 21:55:16 ID:VoI58HtA
 
剣士「お、俺があんなクズと一緒のレベルに落ちるわけには…いかねぇよなぁ…」

闘術騎士「…」


剣士「それに、オッサンを殴っても一緒のレベルになるだろ…!」

剣士「だったら…我慢する…ッ!俺があいつを殴ったら、折角の仲間が…哀しむと思うから…!!」ギリギリ


武装先生「剣士…!」

僧侶「剣士くん…!」


剣士「ぐ、ぐぅぅぅ…」ブルブル


武装先生「…有難う、剣士。俺のわがままに付き合ってくれて…」

剣士「お…オッサンこそ…。有難うよ…俺の間違いを止めてくれて…!!」

317: 2014/06/29(日) 21:56:12 ID:VoI58HtA
 
闘術騎士「…」

闘術騎士「ぷっ…バカじゃないの。やりたかったらやればいいのに」


武装先生「…おいっ!!」


闘術騎士「ルールとかさ、マナーとかさ。そんなの戦いの前じゃ無意味なのは知ってるはずだろ?」

闘術騎士「一度、剣士くんは僕に刃を向けたのは事実だし、これは開戦の合図ととっていいんだよね?」スッ


武装先生「待てっ!」

闘術騎士「待たない。それに、消沈しかけてる剣士くんなら、倒せるかもしれないしね」ニコッ

ダッ…タァンッ!!

闘術騎士「あぁぁっ!闘気…ッッ!!!」パァッ!

318: 2014/06/29(日) 21:56:43 ID:VoI58HtA
 
武装先生「このっ……!!」

武装先生「し…掌底波ぁぁぁっ!!」

…ビュッッ!!ゴバァッッ!!


闘術騎士「…へっ?」


…………
………

319: 2014/06/29(日) 21:57:17 ID:VoI58HtA
  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


武装先生「…」

冒険先生「…」

剣士「…」

僧侶「…」


武道家「…ッ」

魔道士「そんな…」

320: 2014/06/29(日) 21:58:51 ID:VoI58HtA
 
武装先生「…理由がどうあれ、生徒に手を挙げたのは事実だ」

武装先生「さっき、この件に関して中央にある冒険学校の管理部に連絡をした」

武装先生「俺はクビだな。よくて地方へ飛ばされるか…どうか」


剣士「…オッサン、お、俺…。ご…ごめん…」

武装先生「何を謝る。お前はちっとも悪くないんだぞ」

剣士「だけど…。だけどさ…」

武装先生「…気にするな」


武道家「…本当に、そんな事で武装先生がやめないといけないのかよ」

武装先生「…そうなるだろう」

魔道士「わ、私が悪いんだよぉ…」グスッ

武装先生「お、おいおい。泣くことじゃないだろう」

321: 2014/06/29(日) 22:00:07 ID:VoI58HtA
 
魔道士「で、でもぉ…」ポロポロ

武装先生「…ふっ」

…パサッ、ゴシッ…

武装先生「オッサンのハンカチは、少し嫌だろうが…。女性の涙は苦手でなぁ」

魔道士「…そんなこと」ギュッ

武装先生「…ふっ。君は感情が豊かで、いい子なんだな。長く色々と教えてやりたかったよ」


剣士「本当に…やめるのか…」

武装先生「何がどう転ぼうと、俺は俺の責任をとらねばならん」

剣士「…っ」

武装先生「…闘術騎士には悪いことをしたな」

剣士「オッサンは何も悪くねぇよ!あいつが悪いんだろ!!」

322: 2014/06/29(日) 22:00:53 ID:VoI58HtA
 
武装先生「…手を出したのは監督者である俺の間違いだ」

武装先生「いかなる理由があろうとも、それはやってはいけなかった」


剣士「…」

魔道士「…」

武道家「…」

僧侶「…」


冒険先生「これから、どうするんですか」

武装先生「連絡が来るまではココにいるが、その後は新しい責任者が来るだろうな」

冒険先生「…あなたのようにな担当を出来る人は、いないんですよ」

武装先生「総合的にできる人は寄越すだろう。心配するな」

323: 2014/06/29(日) 22:01:40 ID:VoI58HtA
 
剣士「…お、俺はオッサンに教えてほしいんだよ!まだ全然だろうが!」

武装先生「…」

剣士「勝負のケリだってつけてねえし!」

武装先生「…」

剣士「何だよ、これからだろ!!こんな俺を庇ったばっかりに…!」

武装先生「…おいおい」

剣士「何だよ!」


武装先生「お前が"こんな俺"って言ったら、俺が救われないだろうが」

…コツンッ

剣士「いてっ…」

324: 2014/06/29(日) 22:02:17 ID:VoI58HtA
 
武装先生「何度もいうが、気にするな」

武装先生「…今回の事、全ての責任は俺にある。そうだな、冒険先生」


冒険先生「はい、そうでしょうね…」

武装先生「事を荒げたくはないが、仕方ない面もある。君に迷惑をかけるな…」

冒険先生「いえ…」


武装先生「…さて」クルッ

武装先生「君たちは教室に戻っていい。色々聞かれると思うが、その辺は臨機応変にな」


剣士「…わかった」

魔道士「わかりました」

武道家「あぁ…」

僧侶「はいっ…」

325: 2014/06/29(日) 22:02:59 ID:VoI58HtA
 
ギィィ…ガチャッ、バタンッ…


武装先生「…」

冒険先生「…」


…ストンッ

武装先生「…今まで、ご苦労だった。俺の下に着くのは、大変だったろう」

冒険先生「辛くもあり、楽しくもありでしたよ」

武装先生「これから…頼んだぞ。もっと長く教えてやりたかったよ。楽しみな原石だったんだが…」

冒険先生「…はい。任せてください」

武装先生「…」

冒険先生「…」


…………
………

326: 2014/06/29(日) 22:03:36 ID:VoI58HtA
 
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327: 2014/06/29(日) 22:06:31 ID:VoI58HtA
本日はここまでです、有難うございました。

>>311
魔道士「どういうこと、剣士がやったんじゃないのか…!?」

武道家の間違いです。修正致します。

328: 2014/06/29(日) 22:09:58 ID:btOSxWwY
武装先生ェ…

329: 2014/06/29(日) 22:14:22 ID:oY8bQHRc

次回:


引用: 剣士「冒険学校…!」