666: 2014/10/24(金) 21:20:35 ID:dkX.bV2c
667: 2014/10/24(金) 21:21:36 ID:dkX.bV2c
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2日後 夕方 中央軍本部 】


…バタァンッ!!

中尉「ご、ご報告です!!」

剣聖少将「どうした」

中尉「…視察隊より、東方大陸側より、竜族の1体が率いる魔族の大群を確認!」

剣聖少将「…何だと」ピクッ

中尉「ど、どのように対応すればよろしいでしょうか!」
葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)
668: 2014/10/24(金) 21:22:37 ID:dkX.bV2c
 
…バタンッ!!

少尉「…報告です!」

剣聖少将「何だ」

少尉「バンシィが率いたと思われる魔族の大群が、南方側へ向かっていると!」

剣聖少将「…確実か」

少尉「はいっ!」


剣聖少将「…」

剣聖少将「…本当だとしたら、少し予想外な展開だ」


中尉「…予想外?」


剣聖少将「アリオクとやらの動きは、どちらかというと落ち着いて行動していた」

剣聖少将「それを、このタイミングで大群による強襲紛いの事をするとは…予想外なんだ」

669: 2014/10/24(金) 21:23:16 ID:dkX.bV2c
 
中尉「…し、しかし」


剣聖少将「分かってる。実際に起きてる以上…予想外もクソもない」

剣聖少将「…アリオクが何か急いだのか、刺激されたのか…」


中尉「ど、どうすればよろしいでしょうか」


剣聖少将「…」
 
剣聖少将「…」

剣聖少将「…」

剣聖少将「……よし!中尉、少尉…良く聞け!」


2人「はっ!」ビシッ

670: 2014/10/24(金) 21:23:52 ID:dkX.bV2c
 
剣聖少将「…この事態は非常に不味い」

剣聖少将「中尉は中央都市の東側に、戻ってきていた大隊を配備し、緊急迎撃準備!」

剣聖少将(…剣士が戻してくれた大隊が出撃準備が出来ていて良かったぜ)


中尉「了解っ!」


剣聖少将「少尉は、南方側にこの情報を緊急伝達!」

剣聖少将「各支部にも通達し、各前線にいる待機部隊を中央都市へ移動、迎撃準備にあたらせろ!」

剣聖少将「それと同時に、中隊や小隊は南方大陸の砂漠地帯に散り散りに避難場所を設置!」

剣聖少将「エルフ族および避難民を、そこへ上手く分散して緊急避難だ!」


少尉「はっ!」

671: 2014/10/24(金) 21:24:28 ID:dkX.bV2c
 
剣聖少将「更に共通事項とし、冒険者や戦闘のできる者も集えるよう、各情報を展開っ!」

剣聖少将「また、中央都市全域に緊急避難の呼びかけだ!」

剣聖少将「…以上、迅速に準備しろ!」


2人「…承知致しました!」

 
剣聖少将(…また夕刻に現れたか)

剣聖少将(相手の誰かが、闇にしか生きれぬ者がいる可能性があるな)

剣聖少将(ま、それを抜きにしてもちょっとヤバイ状態だ)

剣聖少将(上手く切り抜けられるか…どうか……)


………

672: 2014/10/24(金) 21:25:01 ID:dkX.bV2c
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 東側 】
 
ザワザワ…ガヤガヤ……!!

中央軍人たち「慌てずにお願いします!」

中央軍人たち「道は大変混んでおりますので、足元に気を付けてください!」


…ワイワイ

街人たち「お、おいおい…中央都市で緊急避難とか聞いてないぞ…」

街人たち「なんで急にこんな…。ここは安全じゃなかったのかよ…」

街人たち「都市にはかなりの人数がいるんだぞ…?大丈夫なのか…」

673: 2014/10/24(金) 21:25:46 ID:dkX.bV2c
 
…ザッ!

戦士「…まさか、中央都市に攻め込んでくるなんて」

剣豪「さっき、戦闘の志願者への協力通達が依頼一般受付所にも貼り付けられてたみたいだしな」

戦士「…敵側も大群だっていうし、本気なんだろう」

剣豪「それこそ、俺らの出番ってか」

戦士「…見ろよ」


ザワ…ザワザワ…

冒険者たち「…魔族とやって人の為になるなら、いくらでもやってやるぜ」

冒険者たち「あの黄金パーティだって頑張ってるんだもんな。やってやるさ!」

…ビシッ!

中央軍人たち「…冒険者に後れを取るわけにはいかないな」

中央軍人たち「そうさ。俺らが率先してやってやらねば、どうするってな!」チャキッ

674: 2014/10/24(金) 21:26:39 ID:dkX.bV2c
 
戦士「…少将さんと、剣士さん。うまくやってるみたいだ」

剣豪「さすがだ」

…ポンッ

戦士「ん?」クルッ


神官「…二人とも、やっぱりここにいたんだね」


戦士「あっ、僧侶さん!」

剣豪「僧侶さん、どうしてここに…」


神官「そりゃあんな情報出たら、元冒険者としてココへ来るさ」

戦士「…でも、教会の子供たちは」

神官「もう、避難させたよ。でも、帰る場所を守るために…僕も戦わないとね」グッ

戦士「僧侶さん…」

675: 2014/10/24(金) 21:27:43 ID:dkX.bV2c
 
剣豪「…そうだな」

戦士「俺らが戦わないと、大勢の命が…失われることになるんだから」

神官「子供たちのため、この国のため、世界のため…戦うさ」


…ザワッ!!!

神官「ん…」


大隊長「…ここにいる者全員へ告ぐ!」

大隊長「もう直、魔族の大群が押し寄せ、我々と衝突するだろう!」

大隊長「ここにいる全ての人々へ、君たちは勇者となりて、この戦いに勝利するべし!」

大隊長「中央軍代表とし、この言葉を捧ぐ!ありがとう!」


オ…オォォォ!!!ウオォォォオオオッ!!!

676: 2014/10/24(金) 21:28:47 ID:dkX.bV2c
 
剣豪「…士気も充分。兵力もある」

戦士「あとは相手次第…」

神官「どれだけの数が来るのか…」

中央軍人たち「…どんな相手でも、中央は俺らが守る」

冒険者たち「さぁ…どんな奴らが来るのか……」


戦士「…」

戦士「…」

戦士「……あれだ!見えたぞ!」バッ!

677: 2014/10/24(金) 21:33:04 ID:dkX.bV2c
 
…バサッ!バサッバサッ!!!


『…ほう』


中央軍人たち「そ、空を飛んでやがるぞ…」

冒険者たち「あれは…?」

戦士「…一体だけ?」

剣豪「いや、情報によると大群らしいが…」

神官「…?」


バサッ…バサバサッ……


バハムート『…人間たちよ。我の名は…バハムート』

678: 2014/10/24(金) 21:34:08 ID:dkX.bV2c
 
剣豪「っ!?」

戦士「ば、バハムート!」


バハムート『…奇襲といえども、どうやら情報は伝わっていたらしい』

バハムート『その心意気や良し、君たちの勇気に敬意を表する』


中央軍たち「な…何が敬意だ!」
 
冒険者たち「貴様らのせいで、俺の仲間や家族は…!」

中央軍たち「大隊長!相手は見える限りあの一体だけ…命令を!」

冒険者たち「俺らは命令なんざ知らねぇ!やってやるぞ!」

ワァァァアッ!!!

679: 2014/10/24(金) 21:35:57 ID:dkX.bV2c
 
バハムート『…』

バハムート『…すまないとは思う。少しばかり辛いだろうが……」

バハムート『君たちには、消えてもらうこととなる…』

バハムート『……』スゥゥッ


大隊長「何か…来るぞ!」

大隊長「魔法隊!発動準備だっ!急げ!!」


魔法隊「はっ!」

魔法隊「大…雷…撃……っ!」パァァッ!

680: 2014/10/24(金) 21:37:20 ID:dkX.bV2c
 
バハムート『…』スゥゥ!!

バハムート『…ッ』

バハムート『……ガァァァッ!!!』ボッ

ゴッ…ボォォォォォオッ!!!


魔法隊「魔法ぉぉっ!!」

パァァッ!!!バチッ…バチバチバチィッ!!!


大隊長「…雷魔法の前に、その身を落とすがいいバハムート!!」

681: 2014/10/24(金) 21:38:39 ID:dkX.bV2c
 
魔法隊「ぬぅぅぅっ!!」パァァァッ!!

バチバチバチッ…ゴォォォッ!!!!


バハムート『…』

…ゴォォォォォォオッ…!!!


大隊長「ただの火球、火炎など、我が魔法隊の前には!!」


ズッ…ズドォォォォォォンッ!!パラパラ…!


大隊長「…くっ!?相殺か…!」

682: 2014/10/24(金) 21:39:23 ID:dkX.bV2c
 
戦士「おぉ…。竜族の攻撃だろうと、さすがに魔法隊の一撃の前には相殺で……」

剣豪「…って!お、おいっ!」

神官「だ、だめだっ!!」

戦士「…ッ!」ハッ!



ゴッ……ゴォォォォオオオッ!!!!


大隊長「へっ?」


バハムート『…愚かな』


大隊長「な、何で攻撃が止まってな……」


ゴッ…ズドオオォォォォオオンッ!!!

グラグラグラッ……!!

683: 2014/10/24(金) 21:42:48 ID:dkX.bV2c
 
中央軍人たち「ぬああああっ!」

冒険者たち「ぐあああっ!!」


ドッ…ドォォォンッ……!!

モクモク…ッ

…パラパラ…


戦士「なっ…!」

剣豪「た、ただの火球であの威力かよ……!」

神官「今の火球を受けたのは前進してる部隊…!あの軍の大隊長の場所じゃ!」

戦士「じゃあ、前衛部隊は壊滅か!?」


神官「分からない!だけど、怪我人も多いはずだし、すぐに治療に当たらないと!」バッ

神官「…」

神官「…って!」

神官「えっ…!?」ハッ

684: 2014/10/24(金) 21:43:39 ID:dkX.bV2c
 
…ボォンッ!!ドゴォンッ!!

中央軍人たち「ぬあああっ!?」

中央軍人たち「な、なんだぁ!」


剣豪「こ、今度はどうした!」


軍広報員「…全体へ通達!東部側より、魔族の軍が出現!」

軍広報員「前進部隊は壊滅的被害、各個、迎撃に当たれとのことっ!!」


神官「…っ!」

剣豪「は……」

戦士「最初のバハムートの一撃で、主力部隊の壊滅が目的だったのか…!」

685: 2014/10/24(金) 21:44:23 ID:dkX.bV2c
 
剣豪「ど、どうする!」

戦士「既に、ここから見えないが前方では戦闘が始まってるはずだ!」

剣豪「じゃあ俺らも!」ダッ!

戦士「…行くしかない!」ダッ!

ダダダダダッ……!!


神官「…この状態じゃ、前に出たら足手まといか…!」

神官「僕は、後方から支援をさせてもらうよ!」

神官「僕だって、黄金パーティの一人なんだからっ……!」


…………
………

686: 2014/10/24(金) 21:44:58 ID:dkX.bV2c
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央軍本部 会議室 】 
 
 
剣聖少将「…戦況はどうなっている」


中尉「前進させていた主力部隊の2割が壊滅的被害」

中尉「引き続き、戦闘は中衛、後衛の待機部隊が変わる形で前進」

中尉「相手側の数は相当数」

中尉「更に、竜族と思われる相手の空中から行われる火球の一撃を防ぐ手段がなく…。」

中尉「もしも次に攻撃を受ければ、本当に危機的状況です…」


剣聖少将「…本部の魔法隊の攻撃が、ただの火球で押し負けたのか」

中尉「…とのことです」

687: 2014/10/24(金) 21:45:46 ID:dkX.bV2c
 
剣聖少将「はは…。予想以上に、相手のリーダーさんは強いみてぇだな」

中尉「このままでは、いずれ我々の敗北は必須です!」

剣聖少将「…中央軍の援軍に、ある程度は集まる予定だ。持ちこたえは出来るだろう」

中尉「ですが、それでは犠牲を増やすばかりですよ……!」

剣聖少将「…ここを陥落させられたら、完全に俺らの負けだぞ」

中尉「…っ」


剣聖少将「冒険者たちもいて助かったな。あいつらがいなけりゃ、もっと早く決してただろう」

剣聖少将「そうそう…剣士たちの動向は分かるか?」


中尉「剣士様たちは、最後に確認したのは西方側の支部にて休憩をとっております」

中尉「その後、東方側へ向かったと…」

688: 2014/10/24(金) 21:46:18 ID:dkX.bV2c
 
剣聖少将「…東方側だ?」

中尉「西方の星降の丘にあります、魔力の塔にてデュラハンを討伐したのは聞いておりますよね?」

剣聖少将「何っ!?聞いてないぞ!」


中尉「…ほ、本当ですか!?れ、連絡を差し上げるよう、部下に命令してたはずなのですが…!」

中尉「も、申し訳ございませんっ!!」


剣聖少将「…」

剣聖少将「あ…あぁっ!?」ガタッ!


中尉「申し訳ございませんっ!!」バッ!


剣聖少将「なるほどな!そういうことか!」

中尉「へ…」

剣聖少将「…はっはっは!なるほどな!」

中尉「…け、剣聖少将殿?」

689: 2014/10/24(金) 21:46:49 ID:dkX.bV2c
 
剣聖少将(そうか、そういうことか。アリオクのやつも、焦ったんだな)ニヤッ

剣聖少将(…剣士の野郎、やるじゃないか。なら、俺も俺自身で…勝利をつかまねーとな!)


中尉「け、剣聖少将殿……?」

剣聖少将「…俺ばかり、こんな安泰の場所にいるわけにゃあいかんよなぁ」

中尉「へ?」

剣聖少将「…俺の武器を持て。やっぱり俺は、前線にいないと落ち着かないみてーなんだよ」

中尉「ま、まさか…!」


…………
……

690: 2014/10/24(金) 21:48:48 ID:dkX.bV2c
 

………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 その頃 東方側 前線 臨時拠点 】


剣士「…ここが今の、東方祭壇町に一番近い臨時拠点だが…」

武道家「うっ…」ツンッ

魔道士「げほっ…!ひ、酷い臭い…。あらゆる物が焼けて……」

乙女格闘家「一体ここで何が…」


剣士「…人の気配もなし。だけど、戦いの跡が酷いな…」

魔道士「さっきまで戦ってたのかな。西方側と同じ感じだね……」

691: 2014/10/24(金) 21:49:44 ID:dkX.bV2c
 
武道家「…軍は退いたのか?」

剣士「…そんなわけあるか?前線区域だぞ?」

武道家「だが、魔族の姿もないし…。ちょっと気になるな」

剣士「…」キョロキョロ


乙女格闘家「…目立つものはないけど、そこら中に人が……」ブルッ

乙女格闘家「かなり見てきたけど、いつまでも慣れないよ……」


武道家「…慣れなくていい。俺だって、辛いさ」

武道家「それと、遺体っつっても見た感じ…古いのと新しいのが混じってる」

武道家「…どういうことだろうか」


乙女格闘家「まだ…回収出来てないんじゃないかな」

692: 2014/10/24(金) 21:50:44 ID:dkX.bV2c
 
魔道士「…」

魔道士「…ここは、臨時拠点の前に確か、中央軍の第二防衛線だった場所だったはず」

魔道士「その多くが、この戦争の最初に犠牲になった人たちで…」

魔道士「ほとんど、冒険者から募集されたものだって…武装中将さんが言ってた気がする……」


剣士「…」


ザッザッザッ…スッ…


剣士「だとすると、この倒れてる古い遺体の二人組みは…冒険者か何かだったんだろうな」

剣士「……同じ仲間として、誇りに思う」


冒険者A「…」

冒険者B「…」

693: 2014/10/24(金) 21:51:32 ID:dkX.bV2c
 
剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


剣士「ん~…。それにしても、祭壇町への道がここまで不気味な雰囲気だとは」

剣士「…進んでいいものか」


武道家「一度、中央へ戻るか?」


剣士「…」

剣士「…ちっとばかし、突っ込むのは危険な気がするんだよな」

剣士「近くに、冒険傭兵や俺のいた村があるし、冒険者が待機してたら、そこで情報の収集を……」

694: 2014/10/24(金) 21:53:15 ID:dkX.bV2c
 
…ズゥンッ!!!


剣士「ん…!」ピクッ

武道家「なんだ、今の音…」

魔道士「何か…落ちたような」

乙女格闘家「…近かったよね」


…ズンッ…ズンッ……ズシンスジンズシンッ……!!


剣士「ま…待て……」

武道家「これは…あの時と同じじゃないか……!」

魔道士「もしかして…。ううん、もしかしなくても……」

乙女格闘家「し、しかも…これって……!」

695: 2014/10/24(金) 21:54:16 ID:dkX.bV2c
 
ズシンズシンズシンッ……コォォ……


バジリスク『…みーつけた』ニタッ


剣士「…竜族ッ!!!」バッ!

武道家「おいおい…!」

魔道士「…ッ!」

乙女格闘家「な、なんでっ!」


バジリスク『あぁん…?』

バジリスク『おやおや…。前に会った、冒険者一行じゃねーか……』

バジリスク『ん、何でその女が生きて……』ピクッ

696: 2014/10/24(金) 21:56:16 ID:dkX.bV2c
 
剣士「な、何でお前がこんなところに!」


バジリスク『あァ?そりゃお前…。そりゃいるだろうが……』

バジリスク『つーか俺はバジリスクだ。名前を呼べや』


剣士「ここの臨時支部に倒れてる新しい遺体は、お前の仕業か……!」

バジリスク『…』ニタリッ


剣士「…てめぇ」チャキッ

バジリスク『おォ?今度は逃げないのか……?』

剣士「誰が逃げるものか…。俺はお前を…ココで斬るっ!」

バジリスク『…出来るのかな?』

剣士「…ッ」

バジリスク『ま、丁度いい。逃げた腰抜け軍人より、よっぽど相手になる…』

697: 2014/10/24(金) 21:58:07 ID:dkX.bV2c
 
剣士「…に、逃げた?」

バジリスク『おうよ…。すこーし前までは俺と戦ってたクセに、その途中で一部を残して退いたのよ…』

剣士「…退いただと」

バジリスク『…おかげで暇になっちまってたところだ』フワァ


魔道士「ま、待って!軍がこの状況で退いた?そ、そんなわけ……」


バジリスク『…』


魔道士「…」

魔道士「!」ハッ

魔道士「…まさか、退く事態…どこかで何かあったんじゃ!」

698: 2014/10/24(金) 21:59:59 ID:dkX.bV2c
 
バジリスク『勘がいいなァ…。』

バジリスク『いいぜ、教えてやるよ』

バジリスク『主によると、中央都市と南方大陸にバハムートとバンシィの奴が向かったらしいぜェ…』


魔道士「ま、魔族を率いてる4体のマスターのうちの2体も一緒にってこと…!?」


バジリスク『…おッ。知ってる奴だなぁ…。そうそう、大群を引き連れてなァ…』


魔道士「…そ、そんな!」

武道家「な、南方ってまさか!それに中央都市だって!?」

乙女格闘家「今、避難してる皆が……!」

剣士「そういう…ことかよっ……!」ギリッ


バジリスク『まァなんだ…。今のお前らにゃ、関係ねーことさ』

バジリスク『…その闘気、ちょっとは出来るようになったみてーだし…俺と遊ぼうぜッ!!』クワッ!

705: 2014/10/26(日) 21:09:47 ID:rHyoqWGo
 
バッ…バァァァッ!!!ビリビリビリッ…!!!


剣士「ぐっ…!」ビリビリッ

武道家「相変わらずの…オーラ……!」ビキッ

魔道士「…くうぅっ!」バチバチッ

乙女格闘家「でも、やるしかないんだよね…!」ググッ


バジリスク『はははァーッ!!そう来ねェとなァ!!』

バジリスク『さァて……!』スゥゥッ


剣士「…火球か!」


バジリスク『…カァッ!!』ボッ

ゴッ…ボォォォオッ!!!


剣士「…」スチャッ

706: 2014/10/26(日) 21:10:40 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『はァーっはっはっはっ!!燃えろォッ!!』


剣士「おぅりゃあぁぁっ!!!」


カッ…ビュォォンッ!!!!

…ズバァンッ!!ドゴォォンッ!!!


バジリスク『!』


パラパラ……


剣士「…しっ!」グッ!


バジリスク『お、俺の火球を…切り裂いただと……!?』


剣士「…どうだ、この野郎!」

707: 2014/10/26(日) 21:11:11 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『…そんなバカな話があるか!たかが大剣如き、俺の火球を…』

バジリスク『…』

バジリスク『…!』ハッ

バジリスク『貴様…その大剣の印…!魔族のモノか…!』


剣士「…」


バジリスク『なるほど…。魔の血を打ち込んだ武器かァ…!』

バジリスク『それを易々と使いこなすとは…。そこは褒めてやろう…』


武道家「…アリオクも似たような事を言ってたな」

魔道士「たぶん、あの武器には特別な加工がしてあるのかな……」

乙女格闘家「…それを剣士が使い切ってることを不思議とアリオクも言ってたし、凄いことなんだね…」

708: 2014/10/26(日) 21:11:43 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『何?貴様ら、主に会っているのか…?』


剣士「…幻影だったけどな。俺の大剣に切り裂かれて、首が吹き飛んでたぜ?」ククク


バジリスク『…嘘を言うな』

剣士「…冗談を言うと思うか」

バジリスク『…』

剣士「…」


バジリスク『…』

バジリスク『あァ…。だからか…。その大剣にやられて、主が急にな……』


剣士「…」

バジリスク『まァ…今は関係ないことだ……ッ!』スゥゥッ!!

剣士「来るか…」ググッ

709: 2014/10/26(日) 21:12:24 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『ガァァァッ!!!』


ゴッ…ゴオオォォォォオオッ!!!!


剣士「っ!!」

魔道士「今までのより遥かに大きい!?」

乙女格闘家「こ、これはまずいんじゃ!」


武道家「…剣士!合わせろ!」パァァ

剣士「…いけるのか!」

武道家「…」ニヤッ

剣士「…わかったぜ」ニヤッ


…チャキッ

…スチャッ

710: 2014/10/26(日) 21:12:59 ID:rHyoqWGo
 
武道家「闘気……!!」パァァ!

剣士「いっ…せー…のぉぉぉ…!!」グググッ…


武道家「…連弾ッ!!!」

剣士「……せいッ!!!」


ゴッ…!!


バジリスク『ッ!?』


ゴォォォォォオッ!!!

ズッ…ズドォォォォォオオンッ!!!!

パラパラ…

711: 2014/10/26(日) 21:13:48 ID:rHyoqWGo
 
剣士「相…!!」

武道家「殺ッ!!」


魔道士「…す、凄い!そっか、武道家はエルフ族の魔力を受け継いで……」

乙女格闘家「さすが…!」


バジリスク『大火炎を止められたのは予想外だが……隙も多いようだぜ?』ボソッ

剣士「!」ゾクッ

バジリスク『ふんっ!!』

…グォォオオッ!!!

剣士「炎からの連撃…!尾の攻撃かよっ!」

武道家「やらせるかぁっ!」ブンッ

…ガキャァンッ!!!

712: 2014/10/26(日) 21:14:28 ID:rHyoqWGo
 
武道家「ぐっ…!次から次へと…早くて重い……!」ギリギリッ

バジリスク『…小賢しいッ!』グンッ!!

武道家「げ…!押し負け…っ!」

ドゴォッ!!…ズザザザァッ……!! 
 

剣士「武道家っ!」


バジリスク『貴様も吹き飛べッ!』

…ギュオンッ!!シュパァッ!

剣士「今度は爪かよ!うおらあぁっ!」ブンッ!


ガキィンッ!!ビリビリッ…!


バジリスク『よく…止められたな。だがァ……!』スゥゥ!

713: 2014/10/26(日) 21:15:10 ID:rHyoqWGo
 
剣士「げっ!ここで火球っ!?」

バジリスク『ガァ…ッ!』


ヒュッ…ボォォンッ!!!


バジリスク『グオッ!?』グラッ


剣士「!」


バジリスク『貴様ら……』ギロッ


魔道士「…私の火炎魔法。ようやく…あなたに当てられた」

乙女格闘家「私の闘気の味は、どうかにゃー!」

714: 2014/10/26(日) 21:15:51 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『…邪魔な女どもがァ!また真空波で切り裂いてやるぜッ!』

…ブォンッ!!ヒュオオオッ!!


剣士「爪の真空波ッ!やべえ、避けろッ!」


バジリスク『氏んでおけェッ!』


ヒュオオオオッ!!


魔道士「くっ!」


乙女格闘家「…」ニコッ

乙女格闘家「…えへへ、大丈夫だよ魔道士ちゃん!」


魔道士「えっ?」

715: 2014/10/26(日) 21:16:28 ID:rHyoqWGo
 
…バスバスゥッ!!ヒュオオッ…


バジリスク『何っ、かき消しただと!?』


…ザッ!

武道家「相殺…っ!はははー!」

バジリスク『貴様…俺の一撃で吹き飛んでいたはず……!』

武道家「あの程度でやられるかっつーの!ぶぁぁぁっか!!!」

バジリスク『…ッ!』


魔道士「武道家!」

乙女格闘家「やっるー♪さすがっ!」


剣士「はは…。いつの間にアイツ……」


バジリスク『…』ギリッ!

716: 2014/10/26(日) 21:17:24 ID:rHyoqWGo
 
剣士「…どうだ、俺の仲間は。強いだろ…クソトカゲ」ニヤッ

バジリスク『…ッ』ギロッ

剣士「っと!」

タァンッ!クルクルクル…ズザザザァ……


剣士「…うはははっ!どうだ、見たか!」ビシッ

武道家「もう、あの時の俺たちじゃねえんだよ!」

魔道士「…もう、逃げないんだから!」

乙女格闘家「かかってこぉーい!」


バジリスク『こ…この……!』ギリギリッ

バジリスク『…ッ』

バジリスク『あァ…もう面倒くせェ……!』

717: 2014/10/26(日) 21:18:12 ID:rHyoqWGo

 
剣士「…?」


バジリスク『ク…クククッ!これならどうだっ!』

バサッ…バサッバサッバサッ!!ヒュオオオオッ!!


武道家「た、たけぇぇっ!!」

魔道士「それに早いっ!」

乙女格闘家「あんなに高かったら、攻撃が届かないよ!」

剣士「…」


バジリスク『この一帯を全て…焼き払ってやる……ッ!』

バジリスク『覚悟しやがれ…クソどもがッ!!』

バジリスク『ぬっ…!ぬぅぅぅぅ……ッ!』スゥゥゥッ!

718: 2014/10/26(日) 21:18:50 ID:rHyoqWGo
 
武道家「あ、あれはやべぇぞ!」

魔道士「…ど、どうするればいいの!?」

乙女格闘家「闘気も届かないし、止められない!」


剣士「…なぁに、届くさ」

武道家「何?」


剣士「……でぁぁぁっ!!」


ブンッ!!!…ヒュオオオッ!!


魔道士「武器を空高く投げたっ!?」

武道家「お、おい!どうするつもり……」

719: 2014/10/26(日) 21:19:37 ID:rHyoqWGo
 
剣士「…」

グググッ…ダァンッ!!!!! 
 
 
乙女格闘家「…け、剣士も飛んだーっ!?」

武道家「おいおい、むちゃくちゃな…」

魔道士「まさか……」


バジリスク『…ッ』スゥゥゥ!!


ヒュオオ…クルクルッ…


バジリスク(んッ!?こいつはアイツの大剣……)ピクッ

720: 2014/10/26(日) 21:20:09 ID:rHyoqWGo
 
…ヌッ!グワッ!!

剣士「どんな高さだろうが、逃さねえぞコラァ!!」


バジリスク『ッ!?』


…ガシィッ!!

剣士「っしゃあ!大剣も掴んだっ!!」

ググッ…!

剣士「…ちぃと踏ん張りは効かないが、その首…落とさせてもらう!」


バジリスク(…こ、攻撃の溜めのせいで反応が遅っ……!)


剣士「…うおらあああっ!!!」

ビュッ……!!!

721: 2014/10/26(日) 21:21:04 ID:rHyoqWGo

………
……

 
……ズバァンッ!!!……ブシュッ……


……
………

722: 2014/10/26(日) 21:21:45 ID:rHyoqWGo
 
剣士「よっしゃああっ!!手応えあり……!」

剣士「…って!な、何っっ!」
 

バジリスク『…ッ!!』

ドクッ…ドクッ……!!


剣士「う、嘘だろっ!避けやがったのか!?腕一本しか切れてねぇっ!」


バジリスク(危ねェ!!寸前で…身体は反らせた!)

バジリスク(そして溜めた攻撃は……呑み込めたっ!)

バジリスク『…ぶはぁっ!』


剣士「…っ!」


…ギロッ!!

バジリスク『てめぇ!!空中で俺に敵うと思うなァッ!!』クワッ!


剣士「やっべ…」

723: 2014/10/26(日) 21:22:32 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『俺の腕をよくも……!』

バサバサッ!!…ガシッ!!…


剣士「つ、つかまっ…!」


バジリスク『このまま地上に頭から落下して、叩き潰してやるッ!!』

バジリスク『その無残な遺体と血を、下の仲間にぶちまけるがイイッ!!』


剣士「ぐっ……!!」ギリギリッ

剣士「こ、この高さから思い切り落ちたら、お前だってどうにかなるんじゃねえのかっ!」


バジリスク『俺ら竜族の皮膚は、鱗はッ!その全てを防ぐ硬さを持ってんだよッ!』

剣士「…その割には、俺の大剣に腕の一本も斬られたな…虫の皮膚の間違いじゃねぇのか……!」

724: 2014/10/26(日) 21:23:03 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『…ッ!』ギリッ

バジリスク『どうとでも言っておけッ!貴様はこのまま…氏ぬんだからよォォォッ!!』


バサッバサッ……グッ…ヒュオオオオオオッ!!!!


剣士(この距離じゃ、この勢いじゃ剣もふるえねぇ…!)

剣士「…く、くっそぉぉっ!!」


バジリスク『ハハハハハッ!!!』


ヒュオオオッ…グオオオォォォォォオオッ!!!


剣士(地面がどんどん近づいてくるっ…!だ、ダメだ…やられるっ……!!)

725: 2014/10/26(日) 21:24:08 ID:rHyoqWGo
 
魔道士「け、剣士ぃぃっ!」

武道家「ど、どうやって止めろっつーんだ、あのバカッ!!」

乙女格闘家「な、何かないのっ!?」 
 

…ヒュオオオオオォオオッ!!…


バジリスク『ハハハーッ!!』


剣士「…っ」

剣士「…ッ」

剣士「…ッッ!!」

剣士「…あ、諦めてたまるかぁぁぁぁあっ!!!」カッ!


バジリスク『氏ねぇぇっ!!』


剣士「し、氏ぬくらいなら…!掴まれているこの両腕…くれてやるっ!!!」

726: 2014/10/26(日) 21:26:35 ID:rHyoqWGo
 
ブチッ…ゴリゴリゴリッ…ゴキャッ!!!メキメキッ…!!

剣士「少しでも大剣が動けば、この切れ味だ…!俺の腕くらいっ!!!」ギリッ!!

バジリスク『なっ!!お、大剣で自ら腕をッ!?』

剣士「あ゛…あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!!!』

ゴリッ…ブチブチッ…!!!ブチュッ!!

バジリスク『正気かてめェッ!!』


剣士「だらぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」

…ブツッ


シュルッ…


剣士「がぁっ!!」


バジリスク『ぬ…ぬけやがっ……!だが、それでは大剣も掴めんだろうがッ!』

727: 2014/10/26(日) 21:28:33 ID:rHyoqWGo
 
剣士「ぐっ…!」グワッ!!

…ガチィッ!!

剣士「…んぐぅ゛ぅ゛っ!」


バジリスク『落ちていく武器を口で取りやがッ……!』

剣士「がぁぁぁっ!!!」


ビュッ…!


バジリスク『…ッ!!』


ヒュッ…ヒュオオオオオオッ!!!


…ドッ…ズドォォォオオオンッ!!!!ミシミシミシッ……!


パラパラ…

728: 2014/10/26(日) 21:29:24 ID:rHyoqWGo
 
魔道士「け…剣士が落ち……」

武道家「あのバカ、もろに地面に!!」

乙女格闘家「け、剣士っ!!」


モワモワ…モクモク……

……モワッ……


魔道士「け…剣士……?」

武道家「くっ…!途中からきりもみで、何がなんだか見えなかった!」

乙女格闘家「ぶ…無事なの…?」


サァァッ……

729: 2014/10/26(日) 21:29:54 ID:rHyoqWGo
 
魔道士「…」

魔道士「…」

魔道士「……あっ!」


…スクッ


剣士「…がはっ…!はぁ…!はぁ……!」

魔道士「けん…し……!」


バジリスク『…』

ドクドク……


魔道士「剣士…っ!!」

武道家「…み、見ろ!バジリスクの首に大剣が刺さってやがる!」

乙女格闘家「た、倒したの…!?」

730: 2014/10/26(日) 21:30:46 ID:rHyoqWGo
 
武道家「待て、だけど様子が……」

乙女格闘家「様子って…いうか…」

魔道士「け、剣士の…腕……!」


ドクンドクン…ポタッ…ドロッ……


剣士「…」


魔道士「う、腕が…!腕がっ……!!」


剣士「…」

…フラッ

731: 2014/10/26(日) 21:31:19 ID:rHyoqWGo
 
武道家「…やべぇっ!」

ダッ……ズザザザァ…ガシィッ!!


武道家「お、おい!しっかりしろっ!」

剣士「はぁ…はぁ……!お、男のお姫様抱っこなんざ…趣味じゃねえぞ……」

武道家「乙女格闘家!バッグから止血剤と回復薬だっ!」

乙女格闘家「わ、わかった!」

ゴソゴソッ…


武道家「しっかりしろ、バカ野郎っ!おいっ!!」

剣士「あ゛ー…。大丈夫大丈夫…」クラッ


魔道士「け…剣士……っ」ヘナッ

732: 2014/10/26(日) 21:32:11 ID:rHyoqWGo
 
剣士「…心配すんなっ…って。大丈夫だっつーの…大丈夫……」

魔道士「…っ」

剣士「ちっと、意識が…とびそ…う…だ…が……」


乙女格闘家「武道家っ!止血剤と回復薬…これっ!」バッ!

武道家「…おう!剣士、ちょっと沁みるぞ……!」


…グリッ!


剣士「…ッ!!」


…………
……

733: 2014/10/26(日) 21:32:43 ID:rHyoqWGo
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 】


剣士「…」スゥッ


武道家「はぁ…はぁ~…!」

魔道士「だ、大丈夫…なんだよね……」

武道家「おう。これで血は止まったしな…。寝てるだけだ……」

魔道士「よ、よかった…けど……」

武道家「…っ」


乙女格闘家「こ、これからどうすればいいんだろ……」

乙女格闘家「剣士の腕、元に戻さないと…!」

734: 2014/10/26(日) 21:33:31 ID:rHyoqWGo
 
武道家「小さな支部でもいいから、どこかの治療院に持ってけばなんとかなるはず…!」

武道家「時間との戦いになりそうだ、とにかく急いで行くしか……」


…ググッ…ピクッ…


武道家「…」

武道家「…っ!」ハッ


乙女格闘家「どうしたの?」


武道家「い、今…動いたような…」

乙女格闘家「えっ?」

735: 2014/10/26(日) 21:34:09 ID:rHyoqWGo
 
…グググッ…ムクッ……!!


バジリスク『……ッ!!』


…ォォォ……!


武道家「冗談…だろっ……」

魔道士「…え?」

乙女格闘家「う…うそっ……!」


…ゴゴゴッ……!!ググッ!!

バジリスク『ゴ、ゴホッ……ッ!や、やってくれたな…クソ共…ッ!!』


武道家「うっそだろ…」

736: 2014/10/26(日) 21:35:05 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『この野郎ォ…!俺がこの程度…で…氏ぬと思うか……ッ!!』


武道家「く、首にエルフ族の大剣が刺さってんだぞ!」


バジリスク『あァ…?』


グイッ…ズチュッズリュッ……!!


バジリスク『…ッ!!』


ズボォンッ!!…ガシャアンッ!!


バジリスク『っと…血がいけねェな……』

ドプッ…ドロッ……

バジリスク『…ふんっ!』ググッ

ポタッ…ポタッ……ビタッ…

737: 2014/10/26(日) 21:35:55 ID:rHyoqWGo
 
武道家「じ、自分の肉圧で血を止めやがった!」

魔道士「そんな……」

乙女格闘家「け、剣士があんなに頑張ったっていうのに…」


バジリスク『ク…クク……』

バジリスク『……ガハッ!』ゲホッ!

バジリスク『グッ…!』フラッ

バジリスク(す、少し血を流しすぎた…!こんな人間に、お、俺が…!)

バジリスク(それと、この魔の大剣の傷…!内部で血が…俺の力で完全に止められてはいない……!)

バジリスク『…ッ』ギロッ


武道家「ち…!剣士ばっかにいい恰好…!今度は俺がやるしかねえな…!」スクッ

魔道士「…私だって!」パァァ

乙女格闘家「私もやるよ!」スチャッ

738: 2014/10/26(日) 21:36:35 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『…』


武道家「…」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


バジリスク(ちっ…!俺の腕も治さにゃいけねえし…この武道家の相手はちとやべェか…)

バジリスク(大剣と同じ、エルフ族の魔力とぶつかるわけには……)

バジリスク『…クソがァッ!!』

…クルッ


武道家「お…」

739: 2014/10/26(日) 21:37:07 ID:rHyoqWGo
 
バジリスク『…ちっ!』


ググッ…!バサッ!ヒュオオオッ!!

バサバサバサッ…バサッバサッバサッ……

バサッバサッバサッ………

バサッ……


………

740: 2014/10/26(日) 21:37:44 ID:rHyoqWGo
 
武道家「…行ったか」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


剣士「う、うぐっ……!」モゾッ


武道家「…っと、腑抜けてる場合じゃねえ!一番近い支部でもいいから、治療してもらわねぇと!」

魔道士「うんっ!」

乙女格闘家「急ごうっ!」


…………
……

741: 2014/10/26(日) 21:38:25 ID:rHyoqWGo
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 最寄の支部 】


…ガチャッ!

武道家「失礼!」

魔道士「お邪魔します!」

乙女格闘家「こんにちわ!」


武道家「誰かいないか!治療員がいるなら、見てほしい患者がいるんだっ!!」

742: 2014/10/26(日) 21:40:29 ID:rHyoqWGo
 
…シーン…


武道家「…無人なのか?」

魔道士「そ、そんなわけは……」


…ガタッ!

武道家「!」


支部軍人「…ど、どなたでしょうか!魔族ですか!?」


武道家「良かった!この支部に治療員はいないか!?」

武道家「ちっとやべぇ事態なんだ…!」


剣士「…」ゼェゼェ

743: 2014/10/26(日) 21:42:25 ID:rHyoqWGo
 
支部軍人「こ、この傷は……」

武道家「頼む!助けてくれっ!」

支部軍人「…申し訳ないですが、今ここに治療員はいないんです」

武道家「なんだって!?」


支部軍人「今、中央都市と南部大陸の砂漠地帯に魔族の大群が攻撃を仕掛けてきているらしく…」

支部軍人「自手を空いている者はかり出されているんです。自分はここの守りで残っておりますが」


武道家「そ、そういやそんなことアイツが……」


支部軍人「それで…。えっと、この方の状況は芳しくないようですね」

支部軍人「確か、中央軍本部では現在…戦闘で傷ついた人を一般に関わらず、臨時増設で請け負ってるはずです」

支部軍人「今、ここの支部の転移装置は動きますので、すぐに行ってあげてください!」

744: 2014/10/26(日) 21:42:59 ID:rHyoqWGo
 
武道家「わ、悪い!助かる!」

支部軍人「いえ」


武道家「じゃあ皆、急ごうぜ!」

魔道士「うん!剣士…っ!」

乙女格闘家「大丈夫だよ、きっと…!」


タッタッタッタッタッ………


…………
………

753: 2014/10/28(火) 23:12:49 ID:QEliV.o.
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 中央軍本部 治療院 】


ガヤガヤ…ワイワイ……!!


治療員たち「おーい!早くこっちに戻って来てくれ!」

治療員たち「こっちはもうダメだな…。遺体置き場に投げておけ!」

治療員たち「ヒールが効かない魔法…?魔法研究家の人とかはいないのかっ!」


武道家「な、なんじゃこりゃ…」

魔道士「治療員と患者の数が…ぎゅうぎゅうだよ……」

乙女格闘家「この状況で、剣士を見てもらえるのかな…」

754: 2014/10/28(火) 23:14:33 ID:QEliV.o.
 
ヒュオォォッ…!

…ドォォンッ!!グラグラッ…!


武道家「なんだっ!?」

魔道士「きゃ…!」

乙女格闘家「爆発音…?」


…ザワザワ…!

治療員たち「ちっ、またか!集中治療室のほうは大丈夫だろうな…」

治療員たち「怪我人の傷に障るから、優しくしてほしいもんだぜ」

治療員たち「…前線の人たちよりマシだろ。住んで20年にもなるが、こんなの初めてだ…」


武道家「…っ!」

乙女格闘家「本当に中央都市で戦いが……」

755: 2014/10/28(火) 23:16:52 ID:QEliV.o.
 
武道家「…そ、それより!剣士の今だ!一体どうすればいいんだよ…!」

武道家「こんな状況じゃよ…!」


剣士「…」ゼェゼェ

魔道士「剣士…っ!しっかりして…!」

乙女格闘家「剣士…!」


武道家「クソッ…!誰か、知ってるやつでもいれば…!」

魔道士「割り込む」

武道家「…治療は平等だ。だけど…!だけどよっ……!!」

乙女格闘家「…っ」

756: 2014/10/28(火) 23:18:54 ID:QEliV.o.
 
???「…」

???「…!」ハッ

???「…あ、あれっ?ね、ねぇっ!」


武道家「ん?なんだ…今俺らは忙しいんだよ!」

魔道士「ちょっと武道家、そんな言い方…」


???「あ…。な、なんかゴメン…。でも、そのさ…僕なんだけど……」


武道家「…あん!?」


神官「武道家くんたち…!だよね!」


武道家「そ、僧侶っ!?」

757: 2014/10/28(火) 23:20:01 ID:QEliV.o.
 
神官「一体どうしてここに!」

神官「ー…って、いうか!け、剣士くんっ!?」


剣士「…」ゼェゼェ


武道家「そ、僧侶がなんでこんなところに…!とはいえ、光明だ!助かった!」

魔道士「僧侶、お願い!剣士のこと見て欲しいの!」

乙女格闘家「僧侶、お願い!」


神官「剣士くんの…腕…が……!」


武道家「お前なら、何とかできるんじゃないか!頼むっ!」

神官「こ、ここまで酷い傷…!一体何があったの!?」

武道家「…竜族と戦った」

神官「!」

758: 2014/10/28(火) 23:21:25 ID:QEliV.o.
 
武道家「東方側で、バジリスクっつーやつと対峙したんだ」

武道家「何とか引き分けには持って行けたが、剣士は……」


神官「…そうだったんだね。分かった…。剣士くんのこと、僕が治療にあたるよ。ううん…。やらせてほしい」


武道家「すまない!助かる…!」


神官「…今、この中央軍本部には最先端の治療魔法器具が集まってる」

神官「この傷なら、まだ新しいし…大丈夫だと思う」


武道家「…よかったっ!」

魔道士「よかった…」

乙女格闘家「腕…くっつくんだ。よかった……」


神官「うん。絶対に治すよ!」

759: 2014/10/28(火) 23:22:53 ID:QEliV.o.
  
武道家「…」

武道家「…と、安心したところで、話を戻したいんだが、お前がなんでここにいるんだ…?」


神官「あ、うん。最初、僕も中央都市の迎撃作戦に加わってたんだけどね…」

神官「あまりにも怪我人が多くて、治療技術のある人はここに移動させられたんだよ」


武道家「な、なるほど…。そんなにヤベー状況なのか」


神官「戦士や剣豪も戦ってるよ。相手側も本気で、僕らを落としにかかってるみたいなんだ」

神官「竜族の1体を筆頭に、かなりの大群で……」

神官「さっきから多くの患者が運ばれてくるけど、そのほとんどが……」


武道家「…」

760: 2014/10/28(火) 23:24:08 ID:QEliV.o.
 
魔道士「武道家…」

武道家「…分かってる。じゃあ、俺らも参戦するしかねーっつーことだろ」

魔道士「うん…」

乙女格闘家「だね。私たちの世界は、私たちで守らないと」


神官「…僕はここで戦う。武道家くんたちも、頑張って!」


武道家「おうっ!剣士のこと…任せたぞ」

魔道士「しっかり治してあげてね!」

乙女格闘家「勝利の二文字を引っ提げて、帰ってくるよ!」


ダッ…タタタタタッ……


神官「みんな、頼んだよ……。僕も、剣士くんを…絶対に治すから……!」


…………
……

761: 2014/10/28(火) 23:25:02 ID:QEliV.o.
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 前線 】

ゴォォォッ…ズドォンッ!!!ドゴォォンッ!!


中央軍人たち「退くなぁっ!俺らの背中には、多くの命があることを忘れるなぁっ!」

冒険者たち「お前らの好きになど、させないっ!!」


魔族兵たち『諦めろ人間共がっ!』

魔族兵たち『どのみち…あの方たちがいれば貴様らなど、一瞬よ!』

762: 2014/10/28(火) 23:26:17 ID:QEliV.o.
 
戦士「…うおおおっ!」ビュオッ!

…ズシャッ!!ドスッ!!

魔族兵『ぐっ!』

…ドシャアッ…


戦士「…おしっ!」

剣豪「っしゃあ!」

戦士「はぁ、はぁ……!見ろよ、この光景…信じられるか」

剣豪「…この都市部で戦争。そのうえ、中央軍と冒険者が入り乱れて戦ってやがる」

…ワァァァッ!!!

戦士「世界中から集まった軍、冒険者が力を合わせて戦う…。二度と見れない光景かもな…」


剣豪「世界を守るためなら…ってな!」

剣豪「……っと!」

…ビュオッ!!ガキィィンッ!!

魔族兵『くはは…!何が世界を守るだ。所詮お前らなど、相手になる存在ではない!さっさと諦めろォ!』

763: 2014/10/28(火) 23:27:03 ID:QEliV.o.
 
剣豪「この…雑魚はすっこんでろ……!!」ググッ!

魔族兵『ぐっ!?な、なんて力…!』

ブンッ!!バスゥッ!!ズザザザァ……!


剣豪「…っけ。粋がる雑魚の相手はいくらでも出来るんだよ」

剣豪「だが、あの空で傍観してる…アイツ…!」


戦士「……竜族っ!」バッ!

剣豪「バハムート…!」


ヒュオオオッ…バサッ…バサバサッ……!!


バハムート『…』


ォォ…ォォォ……

764: 2014/10/28(火) 23:27:36 ID:QEliV.o.
 
剣豪「最初の火球以降、ずっとあぁして眺めてやがる……」

戦士「一体何を考えてる……」

剣豪「…」

戦士「…」


バサッ…バサッ……


バハムート『…』

バハムート『…』

バハムート『……!』ピクッ


バサッバサッバサッ……バッ!!ヒュオオオッ!!!

765: 2014/10/28(火) 23:28:30 ID:QEliV.o.
 
剣豪「…動いた!?」

戦士「どこへ!」

剣豪「追ってみるぞ!」

戦士「おう!」


ダッ…タタタタッ……

………

766: 2014/10/28(火) 23:29:08 ID:QEliV.o.
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タタタタッ…ズザザァ……


戦士「この辺のはずだが…」キョロキョロ


剣豪「…」

剣豪「…!」ハッ

剣豪「お、おい!あれ見ろよ!」


戦士「!」

767: 2014/10/28(火) 23:29:53 ID:QEliV.o.
 
コォォォ……オォ………


剣聖少将「…」

バハムート『…』



戦士「な、なんであんな所に少将がっ!」

剣豪「…待て。何か話してるみたいだぞ」



……ヒュウゥ……

剣聖少将「…お前がバハムートってやつか?」

バハムート『お初にお目にかかる。貴殿は、剣聖少将か。前線へ姿を現すとは、勇敢なことだ』

剣聖少将「…よく御存じで。思ったより魔族ってのは、頭もまわるようでビックリだ」

バハムート『これでも、無駄に攻め入っているわけではないのでね』

768: 2014/10/28(火) 23:30:30 ID:QEliV.o.
 
剣聖少将「…」

バハムート『…』


剣聖少将「……で!俺の場所へ来たっつーことはアレか。俺を頃しにきたか」

バハムート『少なくとも、貴殿を倒せばこれ以上の犠牲もお互いに出さないだろう』

剣聖少将「…へぇ、"互いの犠牲"か。俺らのことも考えてくれんのか?」

バハムート『我らとて、その犠牲は哀しむべきものだ』

剣聖少将「その気持ちがあるなら、こんな戦争けしかけたりしねーと思うんだけど?」

バハムート『…それは』


???「…待てっ!」


剣聖少将「ん…?」

バハムート『む……』

769: 2014/10/28(火) 23:31:22 ID:QEliV.o.
 
ダダダッ…ズザザァ…!

武道家「…っしゃ!親父さんっ!」

魔道士「剣士のお父さんっ!」

乙女格闘家「黄金の卵、ただいま参上っ!」


剣聖少将「お、お前ら…」

バハムート『お前たちは…』


武道家「久しぶりだな。まさか、こんな場所まで攻めてくるとは思わなかったぞ」コキコキ

バハムート『…ふむ。久方ぶりだが、その実力はだいぶ違うようだな』

武道家「…強くなったってか」

バハムート『あの時よりも、遥かにな』

武道家「へへ、嬉しいこと言うな。じゃあ、これも教えてやろうか」

バハムート『…何だろうか』

770: 2014/10/28(火) 23:32:10 ID:QEliV.o.
 
武道家「お前の仲間…バジリスク。剣士のやつが、そいつの腕を切り落とした」ニヤッ

バハムート『…何?』ピクッ

武道家「しかも、あいつは俺らから逃げちまったぜ。実質、俺らが勝ったんだよ』

バハムート『バジリスクのやつが……』


剣聖少将「ほぉ…。剣士がやったのか?」

武道家「あぁ。だけど、剣士も痛手を負って…。今は本部で治療を受けてる」

剣聖少将「そうか、よくやったな」

武道家「ははは、当たり前っす。というか、何で親父さんがこんな前線に……」

剣聖少将「部下が戦う中、俺も戦わないで威厳も何もないだろう」

武道家「…さすがっすね」

剣聖少将「ふっ…」

771: 2014/10/28(火) 23:33:06 ID:QEliV.o.
 
バハムート『…その様子では、本当にバジリスクを倒したのだな』

バハムート『ふむ…。バジリスクがやられるとは、どこか…慢心でもあったか』


武道家「おいおい、俺らが強かったっていう認識はないのかよ」

バハムート『…失礼とは思うが、それはない』

武道家「おいおい、ずいぶんバシっと言ってくれるな」

バハムート『なぜなら…。我ら竜族は、かの主以外の全てに負けを知らぬ存在だからだ……!』


…パァァッ!!


武道家「!」

剣聖少将「なんだ…」

魔道士「光…?」

772: 2014/10/28(火) 23:34:10 ID:QEliV.o.
 
…ストンッ

バハムート『…だが、我が本気でやってはこの一帯を燃やし尽くしてしまう』

バハムート『多少、手を抜いて戦ってやろう…』

バハムート『君たちが中央都市における、最大の敵とみなそう。存分に…戦おうではないか…』


武道家「…人になった!?」

魔道士「そ、そうだ!前に会った時も、確か人間に……」

乙女格闘家「そうだったよね…。ど、どういうことっ!?」


バハムート『…竜族は、常にあの姿であるわけではない』

バハムート「君たちと同じように、いわゆる"人型"で生活をしている』

バハムート『この格好はそうだな…。そのまま竜人と言おうか』

773: 2014/10/28(火) 23:36:24 ID:QEliV.o.
 
武道家「…人型は、見たところ竜の力も使えないってことでいいのか」


バハムート『防御の要となる竜鱗はないし、攻撃面もそれほどではなくなっただろう』

バハムート『だが……。スピードや戦闘技術はそれほど変わっていないぞ…?』スッ


武道家「…なら、試してやる!」ダッ!

ダダダダダッ…!!

武道家「掌底波ぁぁっ!!」グォッ!!

バハムート『…ほう、良い速度だ。だが…』

スッ…ビシィッ!!

武道家「うおっ…!俺の掌底波を簡単に……!」


バハムート『…』

バハムート『…ふむ』ピクッ

バハムート『珍しいな…。その血に、純粋なエルフ族の魔力が宿っているのか。拳から伝わってくるぞ』

774: 2014/10/28(火) 23:37:23 ID:QEliV.o.
 
武道家「…だから、どうした!!連撃ッッ!!」

バッ…バババババッ!!

バハムート『…』

ビシィッ!!バシバシバシィッ!!

バハムート『一つ一つが速度を維持し、正確な打撃だ。しかし……』

…ブォンッ!!バキィッ!!

武道家「ぐあっ!?」


バハムート『もう1歩、不足しているな』


武道家「くっ…!よ、余裕かよ!だけどな、いいのか?余所見してて…」ニヤッ


バハムート『ふむ?』

775: 2014/10/28(火) 23:39:06 ID:QEliV.o.
 
…パァァッ!!

魔道士「極…火炎魔法っ!!」


ゴッ…ゴオオオオォォォォオオオオッ!!!!!


バハムート『…』

…スッ…

バシュゥゥゥウンッ!!


武道家「はっ!?」

魔道士「えっ!?か、片腕だけで私の魔法をかき消し…た…!?」


バハムート『大きな魔力の変動は、大気を揺るがす。気付かぬはずがない』シュウ…

バハムート『だが、魔力の密度もよく、詠唱も早く、その若さでこのレベルの魔法…。』

バハムート『君は、とても見込みがある女性のようだ』

776: 2014/10/28(火) 23:41:19 ID:QEliV.o.
 
…ダダダダッ!!タァンッ!!

乙女格闘家「好機っ!落下掌ぉぉぉっ!!」


バハムート『…チャンスを逃さない動きは素晴らしい。だが、君は威力が甘い』

…ガシッ

乙女格闘家「ゆ、指先で!?」

バハムート『君はそこの武道家と夫婦か。戻るといい』

…ブォンッ!!

乙女格闘家「きゃ……!」


ヒュオオオオ…ッ!!ガシィッ!!


武道家「っと…!」

乙女格闘家「…っ!」

777: 2014/10/28(火) 23:42:27 ID:QEliV.o.
 
ダッ…ダダダダッ…!!!


???「俺らもやらせてもらうっ!」

???「行くぞコラァ!」
 

バハムート『…参戦者が増えたのか』
 
 
ズザザァ……!!

戦士「…すみませんみなさん!俺らも参戦します!」

剣豪「あんたたちだけに、いい恰好させてられないからな!」

 
武道家「…剣豪たちか!」

魔道士「そういえば、前線にいるって僧侶が言ってたっけ…!」

乙女格闘家「やっちゃえ二人ともっ!」

778: 2014/10/28(火) 23:43:14 ID:QEliV.o.
 
ダダダダダダッ!!!


戦士「あぁぁぁっ!」

剣豪「おぉぉぉっ!」
 

…ビュォンッ!!ブォンッ!!


バハムート『…』


…パシッ!!

戦士「!」

剣豪「!」

バハムート『…その勇気は認めよう。だが、君たちにこのフィールドはまだ早い』


武道家「か、片腕ずつで二人の斬撃を止めやがった!」

779: 2014/10/28(火) 23:43:45 ID:QEliV.o.
 
バハムート『…ここに立つ技量ではない。下がっているといい』

…ブンッ!!

戦士「ぐっ!」

剣豪「ぬあっ!」

ズザザザァ…!ドシャアッ…!

戦士「こ、こんな簡単に…!」

剣豪「ウソだろ…」


武道家「お、おいおい……」

780: 2014/10/28(火) 23:44:30 ID:QEliV.o.
 
バハムート『…戦闘意欲やよし。技術もそれなり。人間といえども、我らが押される理由もわかる」

バハムート『だが…。』

バハムート『……所詮、この程度だ』


武道家「…っ!」

魔道士「ウソでしょ…」

乙女格闘家「私たちの攻撃が……」

戦士「一切通用しないなんて…」

剣豪「こ、これでも手を抜いてるっつーのか!」


剣聖少将「…何て強さだ。格が違う…」

781: 2014/10/28(火) 23:45:23 ID:QEliV.o.
 
バハムート『…剣聖少将。我が本気になれば、一帯など消し去ることが出来ることを分かってくれただろうか』

バハムート『ここは大人しく、全ての軍と世界政府として降伏の宣言をー…』


戦士「…黙れぇぇっ!」

…ブンッ!!!ガキィンッ!!

バハムート『…』

戦士「黙れ黙れ黙れっ!!」

バハムート『…』

…バキィッ!!

戦士「ぐあっ!!」

ズザザァ……!


戦士「……まだまだぁぁっ!!!」ダッ!!

ビュオッ!…ガキィンッ!!…

782: 2014/10/28(火) 23:45:55 ID:QEliV.o.
 
戦士「くっ、くそぉぉっ…!」グググッ!!

バハムート『無駄なことだ。君にはこのフィールドはまだ少し早いと言ったはず』

戦士「う、うるさいっ!お前は…俺が倒すんだっ!」

バハムート『…我に何かあるのか?』

戦士「俺の師匠…!お父さん!大戦士師匠を頃したのはお前だろうっ!」

バハムート『大戦士…。その名前は、あの時の……』

 
戦士「お前だけは…許さない……!!許せないんだぁぁぁっ!!」グググッ!


バハムート『…』
 

…パッ


戦士「っ!?」

783: 2014/10/28(火) 23:46:28 ID:QEliV.o.
 
…ズブシュッ!!…


バハムート『…』


ポタッ…ポタッ…… 
 

戦士「なっ……!?」


バハムート『…』

784: 2014/10/28(火) 23:47:49 ID:QEliV.o.
 
武道家「は……」

魔道士「え…?バハムートが、自ら攻撃を受けたの…?」

乙女格闘家「…ど、どうしたのかな」

剣聖少将「あいつ…」


バハムート『…』

バハムート『…せめてもの、償いだ』


戦士「つ、償いだと!?」


バハムート『大戦士は君の師匠とし、親だったのか。それはすまないことをした』

バハムート『その一撃は、君の哀しみとして、君の気持ちとして受け入れよう』

785: 2014/10/28(火) 23:49:13 ID:QEliV.o.
 
戦士「そんな戯言を……!」

バハムート『だが、戦いでの決着という以上、それは仕方ないことだと思わないか』

戦士「…ッ!」


バハムート『…いいだろう。君がここのフィールドが少し早いという言葉は撤回させてもらう』

バハムート『その全力をもって、かかってくると良い。そして我も、その気持ちに応え…相手をしよう』

 
戦士「な…に……っ!!」ギリッ


バハムート『…それが君に対しても、大戦士に対しても償いになるだろうと思う』


戦士「良いさ…!やってやるよ…!!後悔すんなよ……!!」

786: 2014/10/28(火) 23:51:15 ID:QEliV.o.
 
剣聖少将「……待て!戦士っ!!バハムートも!!」バッ!


戦士「!」


剣聖少将「その言葉は有難いが、バハムート…。お前がそこまでの知性と想いが分かるなら、分かって欲しい」

剣聖少将「若き者を先に逝かせるわけにはいかないんだ。そいつと戦わせるわけにはいかない」

剣聖少将「そして戦士も落ち着け。お前に出来る戦いじゃないのは、分かっているだろう」


バハムート『…』


戦士「…っ!」

戦士「…」

戦士「…めです」ギリッ


剣聖少将「む…」


戦士「ダメです!それは従えません!俺が、俺自身で!バハムートに一矢報いたいんだ!」

787: 2014/10/28(火) 23:52:21 ID:QEliV.o.
 
剣聖少将「…やめろと言っているだろうがっ!!」

戦士「…!」


剣聖少将「お前では、あいつに勝てない!」

剣聖少将「お前が自分で自分を失っては、大戦士もあの世で満足に笑えないだろう!」


戦士「…っ」

戦士「……ッ!」

戦士「……そ、それでも!ここで、敵に会ったことは…偶然なんかじゃないからっ!!」

…グワッ!!!
 

バハムート『…その気持ち、しかと受け取った』

戦士「あぁぁぁっ!!」

…ビュオオッッ!!!

788: 2014/10/28(火) 23:53:15 ID:QEliV.o.
 
バジリスク『…命までは取らぬ。その師の為に、命を紡ぐといい』

剣聖少将「この…馬鹿野郎が……」


戦士「倒れろぉぉぉっ!!」




……ザシュウッ!!!ドシュッ!!!……




戦士「…」

バハムート『…』

戦士「…」

バハムート『…』

戦士『…』

バハムート『…』

790: 2014/10/28(火) 23:54:44 ID:QEliV.o.
 
戦士「…」

戦士「……がっ……!!」


ブシュッ……ドシャアッ……!!


剣豪「せ、戦士っ!!」

武道家「戦士ッ!」

魔道士「戦士!」

乙女格闘家「戦士っ!?」

剣聖少将「…」


バハムート『…脚の腱に、魔力を打ち込んだ一撃を与え、切り裂いた』

バハムート『その両足は歩けることはあっても、二度と戦えぬ身体となろう……』

791: 2014/10/28(火) 23:55:34 ID:QEliV.o.
 
戦士「がっ…!!ぐ、ぐぅ゛ぅ゛う゛っ…!」ズキンズキンッ!

戦士「お、俺の脚が…!あし…!あっ……!!俺の…脚…!!!」ブシュッ…!


剣豪「し、しっかりしろっ!!戦士ィっ!!!」


バハムート『…戦士を連れて下がれ。今ならまだ、命は助かるはずだ』


剣豪「くっ…!」


バハムート『…』


剣豪「……せ、戦士、行くぞ!」

戦士「く、くそぉぉぉぉっ……!!うあああああっ……!!!」

戦士「…っ!!」


ザッザッザッザッザッ………

……………
………

792: 2014/10/28(火) 23:57:22 ID:QEliV.o.
 
剣聖少将「…」

剣聖少将「……はぁ。味な真似もするじゃないの。」ポリポリ


バハムート『…』

剣聖少将「…」

バハムート『…』


…チャキッ

剣聖少将「…若者ばかり。そろそろ、俺の出番っちゅーことだ」

バハムート『やはりこうなるか…。それでは、相手をしよう…』スッ

剣聖少将「おいおい、人間の姿のままでいいのか?」

バハムート『本気でやっては、全てが廃墟になりかねないと言っているだろう』

剣聖少将「そのくらいなら、俺も出来るんだけどな」

バハムート『…兎に角、先ずはこのまま戦えってもらおう。実力差が分かるはずだ」

剣聖少将「後悔すんじゃねーぞコラァ!」

793: 2014/10/28(火) 23:57:55 ID:QEliV.o.
 
バハムート『…来い』

剣聖少将「いくぜぇっ!!」

ダダダダダッ…ガキィインッ!!!


武道家「…っ」

魔道士「ど、どうなっちゃうんだろ……」

乙女格闘家「少将さん…勝って……!」


…………
………

802: 2014/10/30(木) 21:15:27 ID:1B4aTXJ6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央軍本部 第四集中治療室 】


神官「…っ」

カチャ…カチャ…パァァッ……


剣士「…」


神官(…何て酷い傷だ。しかもこの傷のつなぎ目…一体何で切り裂いたんだ…?)

神官(縫合できるはずの魔法の糸を受け付けないし、魔法治療具の魔力が弾かれる…!)

神官(何か、特殊な魔術式を打ち込んだように…傷つけられたみたいだ…)

神官(くっ…!剣士くん…!)

803: 2014/10/30(木) 21:15:58 ID:1B4aTXJ6
 
剣士「う……」モゾッ

神官「!」

剣士「ここは……ど…こだ……」

神官「…集中治療室だよ!今、剣士くんの腕を治療してたから…!」

剣士「うぐっ……!」ゴホッ


神官「剣士くん、辛いだろうけど…教えてほしいんだ!この傷は一体どうやってつけたのか…」

神官「治療用の魔法糸、どの種類でも縫合が効かないし、治療用の道具が受け付けないんだ…」


剣士「そ、それ…だ……」


…ギラッ


神官「それって…」

神官「た、大剣……!?」

804: 2014/10/30(木) 21:16:29 ID:1B4aTXJ6
 
剣士「自分で…つけ…た。エルフの…魔力の血が…打ち込んで……」

神官「!?」

剣士「う……」ガクッ


神官「…剣士くんっ!」


神官(い、いま確かに、エルフ族の大剣で切り裂いたと…!)

神官(だからか…!特殊な術式で打ち込まれた剣の傷だから、どの施術も受け付けないんだ!)

神官(ど、どうすればいいんだ…。エルフ族に術式の話を訊きに行く…?)

神官(ダメだ!そんな時間はない…。遅すぎたら、腕が動かなくなってしまうかもしれない!)

神官(冷凍させれば…。いや、そんなことで無事に動く確証はない…)

神官(ど、どうすれば……!)


コンコン…ガチャッ!!

805: 2014/10/30(木) 21:17:19 ID:1B4aTXJ6
 
治療員「失礼いたします!…っと」

治療員「既にこの部屋は使われておりましたか、失礼いたしました!」


神官「…また重症の急患だね。大丈夫、気にしないで」

神官「……って、待って!ハッ


戦士「ぐぅぅ……」ズキズキ

神官「せ、戦士…!?」

戦士「し、神官…さん……!?」

神官「戦士、まさか…!そ、その脚の傷っ!」

戦士「はは…ドジっちゃって……!くっ…そぉぉお……!」ズキンッ!!

神官「治療員さん、その人はココで大丈夫!僕が見る!」


治療員「い、いや…しかし、既にそこに別の患者が…」

神官「いいんです、任せて下さい!」

治療員「…わ、わかりました」

806: 2014/10/30(木) 21:18:21 ID:1B4aTXJ6
 
ガチャッ…バタンッ……


神官「戦士!」バッ

戦士「うぐっ…。そ、そこに寝てるのは…け、剣士さん…ですか……」

神官「…っ」

戦士「俺より先に…まず…そっちを……」

神官「…どっちがどっちはないよ。今、隣に運ぶから」

ガラガラッ……


神官(せ、戦士まで、こんな…!)

神官(剣豪や、みんなは無事なんだろうか…!)

神官(い、いや。きっと大丈夫だよね。僕は今、僕に出来ることに集中する!)ギラッ

807: 2014/10/30(木) 21:19:47 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…」フゥゥッ!

神官「…落ち着け、僕。よし…戦士の傷から消毒して、先に怪我の応急処置だけ済ますよ」

神官「上級魔法糸をセット。戦士の傷口が化膿する前に、止血剤とヒーリングの…」スッ

…パキャアッ!

神官「うわっ!?」

戦士「ぐっ!?」ズキッ


神官「ま、魔法糸を弾いた…!?」

戦士「…っ!」

神官「剣士くんと同じ…。もしかして、戦士!君の傷も、何か魔力を受けて…?」

戦士「竜族に…魔力を…打ち込んだ…一撃を……」

神官「!」

808: 2014/10/30(木) 21:20:33 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「ははっ…!脚が全く……動きません……!」ギリッ

神官「そ、そんな!」

戦士「冒険者として…終わり……ですかね……」

神官「り、竜族の魔傷だって…!?」

戦士「…っ」


神官「…ど、どうすればいいんだ」

神官「ち、治療方法なんて聞いたこともない…!」

神官「…っ!!」

神官「なんて…無力な…」ヘナッ

神官「剣士くんも…戦士も……!」

神官「僕に出来ることは…ないのか……っ!」

809: 2014/10/30(木) 21:21:28 ID:1B4aTXJ6
 
剣士「…」


…ポロッ…

キィーン…!カランッ…カランカランッ…


神官「今、剣士くんのポケットから何か落ち……」スッ

神官「…」

神官「な、何…これ…!」ゾワッ


戦士「…」

戦士「…そ、それ…は……!」


神官「戦士、これが何か知ってるの!?」

810: 2014/10/30(木) 21:22:20 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「く、黒魔石……!」

神官「黒魔石!?」

戦士「し、衝撃や魔法を吸収し…て……しまう…こちらにはない…魔石で…す……」

神官「魔界のものってこと…?」

戦士「は…い……」


神官「…」


…パァァッ!…


神官「あれ…黒魔石が光って……」

戦士「…!」

812: 2014/10/30(木) 21:23:51 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…せ、戦士の傷も…仄かに光ってる!?」

戦士「な…んで……」


神官「…」

神官(…衝撃や魔法を吸収する魔石って言ったっけ)

神官(この戦士の傷の光は、恐らく放出系のもの)

神官(…ということは…まさか…)


戦士「…?」


神官「…そ、そうかっ!」ハッ

813: 2014/10/30(木) 21:25:09 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「どうか…したんですか……」


神官「…戦士」

神官「このまま放っておけば、脚は動かないままだと思う」


戦士「そう…です…よね……」

神官「だけど、その魔の傷だけは治せる可能性を見出した」

戦士「どういう…ことでしょうか……ごほっ……!」


神官「…僕は、今から卑怯なことをしようと思う」


戦士「ひ…きょう……?」

神官「君に、僕の友達のため、世界のため…実験台になってもらうってことなんだ」

戦士「…どういうことか…教えてください……」

814: 2014/10/30(木) 21:25:52 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…黒魔石の特性を生かす。」

神官「この感じとしても恐らく、放出された魔力を中心にして反応し、それを吸収するんだと思う」

神官「だから、君の傷に宿った魔力を吸収すれば、その治療も上手く進むはず」

神官「だけど、危険がないわけじゃないし、僕もしたことはない」

神官「…どうなるかは運次第。治験体のようにして進める。だから君が…決めてほしい」


戦士「はは…。そういうこと…ですか……」

戦士「俺で…成功したら剣士さんに…。つまり、俺で…試すと……」

815: 2014/10/30(木) 21:26:53 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…」コクン


戦士「…」

神官「…」

戦士「…」

神官「…」


戦士「…卑怯ですね」

神官「…わかってる」

戦士「ちが…いますよ…。そんなこと言われたら……拒否する理由がないから……」

神官「!」

816: 2014/10/30(木) 21:27:41 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「剣士さんしか…」

戦士「剣士さんしか…!この戦場はきっと…もう、戦える人はいない…から…!」ブルッ

戦士「戦えるのは、剣士さんだけって分かってるから…!」

戦士「あとは…」

戦士「……お願いしますっ……!」

…ガクンッ

戦士「…」スゥッ


神官「…あっ」ブルッ

神官「ありがとう、戦士…っ!」ギュッ

817: 2014/10/30(木) 21:28:32 ID:1B4aTXJ6
 
…スッ

神官「あと、僕は…僕に出来ることを…全力でやるだけ…!!」

神官「絶対に成功させる」

神官「…絶対に」


…………
……

818: 2014/10/30(木) 21:29:30 ID:1B4aTXJ6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 】


…ガキィインッ!!ビリビリッ…!


剣聖少将「…まだ、本気を出さないっつーのか?おぉ?」

バハムート『…早い。単純な速度では、我に遅れをとっていないな』

剣聖少将「だから言ってんだろうが…。そんなナメた真似してていいのかってな!」

バハムート『ふむ……』


武道家「す、すげぇ…。親父さん、あんなに強かったのか……」

魔道士「凄い…!」

乙女格闘家「が、頑張れぇっ!」

819: 2014/10/30(木) 21:29:30 ID:1B4aTXJ6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央都市 】


…ガキィインッ!!ビリビリッ…!


剣聖少将「…まだ、本気を出さないっつーのか?おぉ?」

バハムート『…早い。単純な速度では、我に遅れをとっていないな』

剣聖少将「だから言ってんだろうが…。そんなナメた真似してていいのかってな!」

バハムート『ふむ……』


武道家「す、すげぇ…。親父さん、あんなに強かったのか……」

魔道士「凄い…!」

乙女格闘家「が、頑張れぇっ!」

820: 2014/10/30(木) 21:30:58 ID:1B4aTXJ6
 
剣聖少将「…今更、俺の強さに気付きやがったのかガキども!うははは!」


武道家「い、いや…強いのは知ってたスけど。まさかそれほどとは……」

乙女格闘家「凄いパワーもあるのが分かるのに、私たちより早く動けてるし…」

魔道士「剣士みたく、大剣っていう大剣じゃなくて普通の剣武器で…そこまでの力が…」


剣聖少将「…俺のいた前線は、今回のような前線区に近いところだったからな」

剣聖少将「元々、純粋な力はあったが、そこでは危険指定種の魔獣がうじゃうじゃいやがった」

剣聖少将「出来るだけ軽い装備で相手を翻弄し、戦う。無論、切り落とすには力を加える」

剣聖少将「俺はそれが当たり前だった。歳とってからも、そんな場所だったしメキメキと経験だけは伸びてったぜ」


武道家「…!」


バハムート『…なるほどな』

821: 2014/10/30(木) 21:31:54 ID:1B4aTXJ6
 
剣聖少将「…見た目より、繊細な戦い方するんだぜ俺は!」バッ!

ダダダッ!!ビュオッ!!

バハムート『…それは少し意味が違うのではないか?』

…ガキィンッ!!


剣聖少将「どっちでもいいっつーの!」

バハムート『…』


剣聖少将「…剣撃乱舞!!」

バッ…バババッ!!ビュオォォッ!!

バハムート『…』

ガガガガキィンッ!!ガキィンッ!!

822: 2014/10/30(木) 21:33:44 ID:1B4aTXJ6
 
剣聖少将「足元がお留守だ!」

…ビュオッ!!

バハムート『…』

ガキィインッ!ビリビリッ……


剣聖少将「…っ!」

剣聖少将「かってぇなチクショウ!何が防御力は皆無だよ!」

剣聖少将「素足を打ち込んでも、ビクともしねえじゃねえか!」


バハムート『魔力を具現化し、その剣術による物理攻撃を防いでいるのだ』

バハムート『いくら我でも、相当な集中力を要するものでね。それだけで本気ではないと思ってくれ』


剣聖少将「…よく分からなねぇな!硬いものなら、それを切り裂く力があればよぉ!!」

823: 2014/10/30(木) 21:34:44 ID:1B4aTXJ6
 
バハムート『…』

剣聖少将「…どりゃあああっ!!!」

ビュッ…ゴォォッ!!ガッキィィンッ!!!

バハムート『無駄だ』

剣聖少将「…もう一丁ッ!!」

ビュッ…!!ガキィンッ!!

剣聖少将「…くそっ!」


バハムート『…威力が不足している限り、どうしようもない!』ググッ

剣聖少将「!」


武道家「なっ…!あ、あれは!」

乙女格闘家「…武術の闘気の構え!」

魔道士「バハムートが、闘気を!?」

824: 2014/10/30(木) 21:35:56 ID:1B4aTXJ6
 
バハムート『……発ッ!!』グワッ!!

ゴッ!!ブワッ!!

剣聖少将「のああぁぁっ!?」

ビュオオオッ!!ビリビリッ……!


武道家「うおっ…!」ビリビリッ

魔道士「離れてるこっちまで、バハムートの力が…!」ググッ

乙女格闘家「私たちの気とは全然違う…!これが竜気…!」バチッ


バハムート『…ふんっ!!』

ビュッ…ズンッ!!

剣聖少将「ぐおっ…!!」

825: 2014/10/30(木) 21:36:42 ID:1B4aTXJ6
 
ズッ…ズドォォォンッ!!ズザザザァ…!ゴロゴロッ……


武道家「お、親父さんっ!?」

魔道士「少将さんっ!」

乙女格闘家「す、凄い一撃をモロに……!」


バハムート『…』フゥッ

バハムート『竜気を宿した一撃の拳だ。威力のある攻撃とは、こうするものだ』


剣聖少将「…」


武道家「…お、おい。親父さん、動かねぇぞ…」

魔道士「ま、まさか……!」

乙女格闘家「し、少将さんっ!!」

826: 2014/10/30(木) 21:37:33 ID:1B4aTXJ6
 
バハムート『手ごたえは深い。普通の人間ならば内臓をも吹き飛ばし……』

…ムクッ

剣聖少将「…いってぇなコラァ!!」クワッ!

バハムート『…!』


武道家「…元気っぽいぞ」

魔道士「えぇ……」

乙女格闘家「さ、さすが剣士のお父さん…」


バハムート『…どうして立ち上がれた。さすがに、少し驚いたぞ』


剣聖少将「あ゛~…」コキコキ

剣聖少将「オメーがやってたことだろうが」ゲホッ

827: 2014/10/30(木) 21:38:39 ID:1B4aTXJ6
 
バハムート『我が……?』

バハムート『…』

バハムート『まさか…』


剣聖少将「オメーほど上手く魔力は練れねぇが、魔力の具現化した防御ってやつだ」

剣聖少将「あんなバスバス攻撃を受けてくれれば、その仕組みくらいは分かるっつーの」


バハムート『…なるほど。戦闘の中で成長出来るか』


剣聖少将「…」ニヤッ

剣聖少将「だが、完璧じゃねぇからな……。ちょっと……」

…フラッ

剣聖少将「くっ…!」

ガクッ!

828: 2014/10/30(木) 21:39:34 ID:1B4aTXJ6
 
武道家「親父さんっ!」

魔道士「膝をついた…!」

乙女格闘家「…っ」


バハムート『…その一撃を受け、ただのダメージに抑えたことだけで賞賛に値する』

剣聖少将「くそっ…!褒められてるんだか、けなしてるんだか…!」

バハムート『…』


剣聖少将「ひ、ヒール……!」パァァッ

剣聖少将「…」シュワシュワ

剣聖少将「……うっし!」

剣聖少将「別に切り傷で直接受けたわけじゃねーし……」

剣聖少将「魔傷じゃなけりゃ、物理打撃ならヒールでいくらでも修正が効くな」

…スチャッ


バハムート『…戦いの技術は、相当なものだな』

829: 2014/10/30(木) 21:41:09 ID:1B4aTXJ6
  
剣聖少将「はぁ…バハムートよ。いい加減、退いちゃくれないか」ボリボリ

バハムート『出来ぬ相談とは分かっているだろう』

剣聖少将「お前にゃ、想う心もある。それがあれば、違う道だってあるだろう」

バハムート『…共存しようというのか』

剣聖少将「お前が言ってくれれば、そうなるんじゃないのか」

バハムート『無理だ。我にそれほどの力はない』


剣聖少将「…なんでだ。どうしてそれほど、こちら側へ固執する」

剣聖少将「お前だって、魔族としての同胞が失われるのは哀しいことなんだろう」


バハムート『…』

830: 2014/10/30(木) 21:42:30 ID:1B4aTXJ6
 
剣聖少将「無益な争いなど…ただの犠牲を生むだけだぞ」

剣聖少将「お前は、こんな戦いは望んでないんだろう?犠牲は、哀しむものだとお前自身で……」


バハムート『…!』

バハムート『そ、それは分かっていると言っているだろう…!』


剣聖少将「!」

バハムート『…だが、従わねばならぬ理由がある』

剣聖少将「その、魔族の王…アリオクとやらか」

バハムート『…主の言い分は絶対なのだ。それに抗うことは出来ぬ』

剣聖少将「…どうしてだ」
 

バハムート『…気にする必要はない』

バハムート『お前たちが降伏すれば、それですべては終えるのだから』

831: 2014/10/30(木) 21:43:41 ID:1B4aTXJ6
 
剣聖少将「魔族の王、アリオク。」

剣聖少将「それに従うバハムート。争いが無益だと思ってもやらねばならない理由…。」

剣聖少将「…」

剣聖少将「…どこか繋がるな」


バハムート『…』


剣聖少将「…戦いの中で、お前の攻撃には邪念らしい邪念がない」

剣聖少将「それよりも…辛さ。何か、背負うものを感じる」


バハムート『…』


剣聖少将「…この戦い、終わらせることが出来るなら終わらせたいと思うのは一緒のはずだ」

剣聖少将「どうだ…。理由を話せねぇか?』

832: 2014/10/30(木) 21:44:33 ID:1B4aTXJ6
 
武道家「…」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


剣聖少将「…こうしている間にも、お前の同胞と俺の部下は命を落としていっているんだ」


バハムート『…』

バハムート『…さっきも言ったはずだ。お前に話す理由はない……!』

バハムート『はぁ……っ!』

ピカッ…!!


剣聖少将「!」

833: 2014/10/30(木) 21:45:32 ID:1B4aTXJ6
 
…ズドォンッ!!ミシミシッ…!!

ォォォ…オォォ……ォォ……!!


バハムート『……いい加減、犠牲も増えていく…!もう、容赦はせぬ……』


武道家「竜に戻りやがった!」

魔道士「ここからは本気ってこと…」

乙女格闘家「…剣士のお父さん、大丈夫だよね…」


剣聖少将「…本気になるか。いいぜ…受けて立つ!」チャキッ

バハムート『我が炎に焼かれ、悶え氏ぬがいい…!』

剣聖少将「…そんな終わりはゴメンだな!どうせなら、好いた女の腕の中で逝きたいもんだ!』チャキッ

バハムート『…その願い、敵わぬこと…己を呪え!』

剣聖少将「…やなこった!」


ダッ…ダダダダッ!!!ガキィィンッ…!!!

834: 2014/10/30(木) 21:46:32 ID:1B4aTXJ6
 
バハムート『…ッ!』

剣聖少将「くっ……!」


ガキィンッ!!バキィッ!!

ザシュッ…!

バスッ…!

……

835: 2014/10/30(木) 21:47:29 ID:1B4aTXJ6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央軍 第四集中治療室 】


神官「…」


…パチンッ


神官「…」

神官「…」

神官「で、でき…た……!」

836: 2014/10/30(木) 21:48:16 ID:1B4aTXJ6
 
剣士「…」

戦士「…」


神官「やった…!やったよっ!!剣士くんに、戦士…。治療施術…終了っ!!」

神官「…っ!」

神官「剣士くんの腕は…完璧に戻った!戦士の命も…救えた…!

神官「よし…!よぉぉおっし…!!」グッ!


戦士「う…?」パチッ

神官「…あ、戦士!目が覚めた?」

戦士「終わったん…ですか……」

神官「…うん。戦士も、剣士くんも。命に別条はないし、剣士くんは腕もつながったよ…!」

837: 2014/10/30(木) 21:48:50 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「…」 
 
戦士「…"剣士くん"は?」


神官「あっ……」ハッ


戦士「ち、ちょっと待って下さい…。俺の脚は……!」バッ

戦士「…」

戦士「…!」 

戦士「…な、なぁんだ!あるじゃないですか!」ハハハッ


神官「…っ」


戦士「びっくりさせないでくださいよ。ち、治療が終わったなら…すぐに行かないと…」

ググッ……ガタァンッ!!!

戦士「いっ…!」

838: 2014/10/30(木) 21:49:31 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…っ!」

戦士「…はは。ご、ごめんなさい。ちょっとまだ上手く動かないみたいで…」

神官「…せ、戦士」

戦士「い、今立ちますよ。待って下さい…」

ググッ…!

戦士「…ッ!」ギリギリッ

…ドシャッ!


戦士「あ、あれ?おかしいな…。僧侶さんに治して貰ったんだから…すぐに立たないと…!」

グググッ…!

839: 2014/10/30(木) 21:50:19 ID:1B4aTXJ6
 
神官「戦士…!」

戦士「待って下さいって!今…!」

神官「戦士っ!!話を聞いてくれっ!!!」

戦士「!」


神官「き、君の脚は…。魔の傷の前に、その傷は腱を削り取られ、もう…動かないんだ……!」


戦士「…ッ!」


神官「…今の君の脚は、魔具のボルトを差し込んである」

神官「それが、今の君の身体を支えている。本来ならその両足…切り取ってもおかしくなかった」


戦士「…っ」

840: 2014/10/30(木) 21:50:52 ID:1B4aTXJ6
 
神官「たまたま、今日という日。この場所へ最新の治療用の道具が集まっていたこと」

神官「魔具を打ち込めるよう、黒魔石がたまたま手に入ったこと」

神官「…僕が優先的に処理できたこと」

神官「それだけで、その脚が繋がったことを分かって欲しい」

神官「だけど、君がどんな気持ちかは分かる…。痛いほど……!」

神官「だから……!」


戦士「僧侶…さん……」

神官「ごめん…」

戦士「…」

神官「ごめんっ……!!」

841: 2014/10/30(木) 21:51:29 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「…」

戦士「…僧侶さん。俺は、もう歩けないのでしょうか」


神官「…君に施術した魔具のボルトは、その肉体が徐々に浸透していく」

神官「その後、体内の魔力を利用して、いずれ松葉杖くらいでは動けるようになる…はず」


戦士「…つまり」

戦士「それは、歩けるということ。今まで通り戦える可能性があるってことですよね…?」


神官「治療者の観点から言えば、前例がない以上…絶対とはいえない」

戦士「…僧侶さんからの観点からで言うと」

神官「動ける…。戦える。そう信じてる」


戦士「…なら、問題ないですね」ニカッ

神官「戦士…」

842: 2014/10/30(木) 21:52:42 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「俺は、諦めないですよ!まだまだ、この脚には頑張ってもらわないといけないんで!」パンッ!

神官「戦士……」

戦士「…リハビリってやつでしたっけ。それをすればいいんでしょ!」

神官「…」

戦士「なら余裕です!大戦士さんの修行のほうが辛いくらいでしょうしね…はは…」

神官「はは…」


戦士「…」

戦士「…ごめんなさい」


神官「え?」


戦士「さっき倒れたりしたのは、子供のようでした」

戦士「実は目覚めた時から動かないのは分かってたし、斬られた時にどうなるかなんて…分かってた」

戦士「だけど…。どうしてもあんな風にしないと…気が済まなかったんです……」ブルッ


神官「…っ」

843: 2014/10/30(木) 21:53:50 ID:1B4aTXJ6
 
戦士「…俺は納得しました。ですが僧侶さん、剣士さんは…どうなってるんでしょうか」

神官「剣士くんは、今そこに寝てるけど…両腕も無事に施術は終わってるよ」

戦士「…よかった」


神官「黒魔石で、傷にあった魔力を吸収することにも成功したし、傷自体はすぐに治せるものだったからね」

神官「最新の治療技術なら、身体の部位がきちんと残っていたなら、施術自体は簡単にいくしね」


戦士「…」

戦士「…あれ?」


神官「だけど、剣士くんの傷の深さは、すぐ動けるようなものじゃないんだけどー……」

戦士「…そ、僧侶さん?」

神官「どうしたの?」

戦士「剣士さん、寝てませんけど……?」

844: 2014/10/30(木) 21:54:21 ID:1B4aTXJ6
 
神官「…」

神官「えっ?」クルッ


戦士「……ほ、ほら」


…シーン…


神官「…」

戦士「…」


神官「…た、大剣は!?」バッ

戦士「な、ないですよ!」


神官「ま、まさか…!」

戦士「今、話してる最中に……」


………
……

851: 2014/11/01(土) 21:24:32 ID:uIUby842
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ブシュッ!

剣聖少将「ぐはっ……!」

バハムート『…』


ポタッ…ポタッ……


剣聖少将「ま、参ったね……」フラッ

バハムート『諦めろ。所詮、人間の力では我が力を打ち破ることなど出来ぬ』

剣聖少将「だ、だが…!貴様を葬らねば、人間の未来に明日はない!」

バハムート『…何を格好つけても、結果は変わらぬ』

852: 2014/11/01(土) 21:25:15 ID:uIUby842
 
剣聖少将「た、確かにな。お前と俺とじゃ、決定的な差がある……」

バハムート『…』

剣聖少将「だが、俺らにゃ俺らの意地がある。俺がトップとして、諦めるわけにはいかねえんだよ!」

バハムート『…まだ挑むというのか』

剣聖少将「おうよ…!当たり前じゃねえか!!」チャキンッ!!


タァンッ!…ズザザァ!


剣聖少将「ん…」


…バッ!

中尉「…剣聖少将殿!」

少尉「お待たせいたしました!」


剣聖少将「お、お前ら!?」

853: 2014/11/01(土) 21:25:47 ID:uIUby842
 
中尉「剣聖少将殿はまだ、逝ってはいけません!」

少尉「ならば、自分たちが代わりに戦います!」

剣聖少将「…引っ込んでろ!お前らが戦える相手じゃねえ!」


バハムート『…茶番とは言わぬぞ。戦いたくば、来るがいい』


中尉「…茶番と言葉にして言っているだろうが!」ダッ!

少尉「少将殿!せめて、自分たちの中に勝機を見てくれれば…っ!」ダッ!

ダダダダダダッ…!!!


剣聖少将「よせっ!!」

854: 2014/11/01(土) 21:26:22 ID:uIUby842
 
バハムート『…お前たちでは遅すぎる』

…グォッ!!ズバズバァンッ!!


中尉「がっ…!」

少尉「ぐっ…!」


…ドシャドシャアッ…!


バハムート『何と意味のないことを。負けると分かって突っ込むのは、勇気とは違うー……』

バハムート『…!』ハッ


タァンッ…ビュオオオッ!!


剣聖少将「…っだらあああああ!!」


バハムート『…何っ!二人に隠れて…!』

855: 2014/11/01(土) 21:27:10 ID:uIUby842
 
…ズブシュッ…!!


バハムート『…ぬぐッ!!』


剣聖少将「…くっ!頭に刺さったか!?」

ゴロゴロゴロ…ズザザァ……!バッ!


武道家「や、やったのか!?」

魔道士「バハムートの頭に剣が刺さった!?」

乙女格闘家「ち…違うよ!よく見て二人とも!」


バハムート『…ッ!』

ポタッ…ポタッ…

856: 2014/11/01(土) 21:27:53 ID:uIUby842
 
剣聖少将「ちっ…!」


バハムート『…惜しかったな』

ズボッ…カランカランッ……


剣聖少将「あの状況から…顔をそらしたのか……」


バハムート『…片目など、時間もたてば再生する。どのみち、我の頭部は防御が最も硬い』

バハムート『防御の薄い眼球に刺さったことを幸運と思うがいい』


剣聖少将「部下の二人を犠牲にしたっつーのに……!!」ギリッ


武道家「…」

武道家「…ん!?」ハッ

武道家「……お、親父さん!」


剣聖少将「なんだ!」

857: 2014/11/01(土) 21:28:35 ID:uIUby842
 
武道家「少尉と中尉…!生きてるぞ!」


少尉「ご、ごほっ…!」

中尉「ゲホッ…っ!」


剣聖少将「い、生きてる……?」


バハムート『…』


剣聖少将「バハムート…お前……」

 
バハムート『…今の戦いは我とお前の戦い。他の命、容易く奪うまではせぬ』


剣聖少将「くく…。そういうなら、最初の一撃で何人も殺さないでほしかったのだがな」


バハムート『あれは我らの軍の命を守るための、必要な一撃だ』

バハムート『だが元々、あのようなことも我のするべきことではないのだろうが…』

858: 2014/11/01(土) 21:29:19 ID:uIUby842
 
剣聖少将「…やっぱり変だぜ、お前。血の通った…あったけー奴なんじゃねーのか」

バハムート『ははは…。大勢を頃し、それのどこが温かいか』

剣聖少将「…」

バハムート『……見ろ。この状況を!』バッ!


………
……

…ワァァァッ!!

魔族兵たち『…はははー!』

人間たち「ぐああっ!」ズバァンッ!

魔族兵たち『や、やめろぉぉ!』

人間たち「氏ねっ!!友の敵だぁぁ!」


ガキィンッ…バシュゥッ…!!ドゴォンッ………!

……
………

859: 2014/11/01(土) 21:30:12 ID:uIUby842
 
バハムート『魔族、人間。どちらも…多くの命が今も奪われていっている!』

バハムート『…これを率いたのは、まぎれもなく我だ。今更、後戻りも出来ぬのよ…!』


剣聖少将「そんなことを言えば、俺だって一緒だろうが」

バハムート『…お前の行動は、守る為のことだ。お前と我は違う』

剣聖少将「犠牲のもとに、勝利を得る。戦争を受け入れた時点で、何も変わらん」

バハムート『…その犠牲は、我らが起こしたせいだろう』

剣聖少将「…戦いを受け入れた時点で、俺とお前は一緒なんだよ」


バハムート『…我々は、エルフ族を生贄にしてこちらの世界の自由を手に入れた』

バハムート『そのうえで配下は人とエルフ族を頃し、遊び、快楽を得た…』

バハムート『親をなくし、子をなくし、故郷をなくし、その全ては我らがしたこと…』

バハムート『その魔族を率いたマスターのうち、我もそれにあたる。それでも、温かいと言うのか…!?』

860: 2014/11/01(土) 21:31:43 ID:uIUby842
 
武道家「…っ」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


剣聖少将「…」

剣聖少将「……温かい」


バハムート『!』


剣聖少将「…俺は、お前の中にわずかな温かさ…優しさの火を見た」

剣聖少将「それがどんな小さな火でも、俺は見つけりゃそれに油を注いでやる」

剣聖少将「…小さな火なら、でかくさせてやりゃいい。お前はそれに値すると思っている」


バハムート『くっ…!くははっ…!バカなやつだ…!』

861: 2014/11/01(土) 21:32:43 ID:uIUby842
 
剣聖少将「…だがな、バハムート」

バハムート『…』

剣聖少将「ちっとお前はやり過ぎた。その報いの一撃だけは、受けないといけねぇとな」ニヤッ

バハムート『…報いの一撃だと』
 
剣聖少将「…意外と、報いっつー天罰はちゃんと降ってくるもんなんだぜ?」

バハムート『ふっ…。確かに、天罰というものがあれば我にー……』


ゴォォォ…!!

ヒュオンヒュオンヒュオンッ!!!


……ザシュウッ!!……


バハムート『がはッ!?』

862: 2014/11/01(土) 21:33:28 ID:uIUby842
 
武道家「な、何だぁっ!?」

魔道士「ば、バハムートに剣が刺さって…っていうか…!」

乙女格闘家「あ、あの大剣って…!」


バハムート『…っ!』

ドクッ…ドクッ……


剣聖少将「…見ろ。報いはこうして飛んでくるもんなんだぜ」ハハハ!


バハムート『ゲホッ…!』ドクッ…

バハムート『こ、これは……!』バッ

863: 2014/11/01(土) 21:34:06 ID:uIUby842


……
………
 
剣士「…どうだクソ竜ッ!…!想いの籠った大剣の一撃はよっ!!」

………
……

864: 2014/11/01(土) 21:34:42 ID:uIUby842
 
武道家「…剣士っ!?」

魔道士「け、剣士っ!?怪我は…!」

乙女格闘家「り、両腕がきちんとついてるよ!」


タァンッ!!クルクルクル…スタッ!


剣士「…うむ。身体の調子はすこぶる良好!」

剣士「最初は魔創傷とか言われて、両腕がつくか分からなかったんだが…」

剣士「拾った黒魔石が役にたってな、あとは簡単な治療で終わったんだ」ニカッ


武道家「デュラハンの時のか!」


剣聖少将「……ったくよ!おせぇぞクソ息子!」

剣士「うるせぇぞクソ親父!」

剣聖少将「はは…はははっ!」

剣士「はっはっはっ!」

865: 2014/11/01(土) 21:35:24 ID:uIUby842
 
バハムート『…お前は、剣士か』

…ジュワッ

バハムート『ぐおっ!?』シュウウッ
 
 
剣士「…いてぇだろ。お前、こんな一撃…食らったことないんじゃねえのか」

バハムート『こ、これは…っ!』


ジュウウッ…!


バハムート『これが例の大剣か……!』

バハムート『な、なるほど…!この大剣…特別な魔術式を……!』ゴホッ!

866: 2014/11/01(土) 21:36:08 ID:uIUby842
 
剣士「…報いの一撃だ。その痛み、味わいやがれ!」


バハムート『…ッ!』


…ガシッ!グググッ……!!


バハムート『…ぬんっ!』


ズボォッ!!ボタボタッ……

ブンッ…ガランガランッ…!!


バハムート『いい…攻撃だったぞ……!』

867: 2014/11/01(土) 21:37:02 ID:uIUby842
 
剣士「…」

ザッザッザッ…スチャッ


剣士「…俺の実力だけじゃ、到底お前らを倒せないことは分かってる」

剣士「だから、俺はみんなの力を借りても…戦う」

剣士「俺は自慢じゃないが、誰よりも我がままで…誰よりも卑怯な人間なんだろうよ」

剣士「それに…誰よりも負けず嫌いさ」ニヤッ 
 
 
バハムート『…使えるものを使い、戦いに勝利するのは普通のこと…』

バハムート『誰が卑怯と、誰が使うなと言うものか……』

868: 2014/11/01(土) 21:37:32 ID:uIUby842
 
剣士「そりゃ有難い。んじゃ、俺の出番っつーことっしょ!」コキコキッ

武道家「お、おい剣士!」

魔道士「剣士…。腕、大丈夫なの…?」

乙女格闘家「ちゃんとくっついてるの…?」


剣士「おうよ。不思議と傷も痛まねえし…。エルフの爺ちゃんの武器のおかげかもしれねえぞ」

剣士「…まぁ、自分自身で大剣の強さは嫌というほど味わったが」ハハ…


バハムート『…』

バハムート『…人とエルフ族は、いがみ合っていると聞いていた』

バハムート『だが、どうやら少し違うらしいな…。剣士とやら、お前はエルフ族の信頼を得ているのか』

869: 2014/11/01(土) 21:38:18 ID:uIUby842
 
剣士「…信頼?」

バハムート『…』


剣士「…どうだろうな。ただ、俺は運命に流されるままに、平和のために…」

剣士「ただただ、戦うと決めただけさ」


バハムート『…』


剣士「そのことで、エルフ族が認めてくれた。」

剣士「それで、みんなが着いてきてくれた。」

剣士「そして、今。俺はこうしてみんなの為に、戦っている…。」

剣士「偶然だろうが、運命だろうが。…ま、考えるだけムダだ」

剣士「とにかぁぁく!俺は今!お前を…倒すだけだ!!」ビシッ!


バハムート『なるほど。真っ直ぐな心か』


剣士「…」

870: 2014/11/01(土) 21:38:51 ID:uIUby842
 
バハムート『…お前の思う通り、お前の傷は、その武器から発せられた魔力によって治癒を早めているのだ』

バハムート『自らもそれを味わっただろうが、それで強さは充分にわかったはず』

バハムート『何という武器…道具よ。それを造ったのは、さぞや名のある鍛冶師なのだろう』

バハムート『それを扱う男として、お前を心から認めたい』


剣士「…」


バハムート『……バジリスクでは勝てぬわけだ』

バハムート『お前のような男が、その武器を手にし、あのバジリスクが勝てるわけがないか……』


剣士「…武器のおかげっぽい言い草だな」

剣士「それは俺をほめてるのか、バカにしてるのか微妙なところだな、オイ」


バハムート『自分の力でそれを手に入れ、その力を見事に使いこなしている。ほめているのだ』


剣士「…そうかよ」

871: 2014/11/01(土) 21:39:43 ID:uIUby842
 
剣聖少将「…さて、横槍を入れるが…バハムート!」

バハムート『…何かな』


剣聖少将「無駄話はここまでにしよう。わずかな時間でも、戦いの犠牲は増えていく」

剣聖少将「…それとも、お前が戦うことをやめてくれるというのなら、これ以上のことはないがな」


バハムート『はは…そうだったな。我が時間も惜しいと言っておいて、話をするとは…すまない』

バハムート『このバハムート…!"竜族の王"とし、全身全霊をもって相手をしよう…!』


剣士「な、なんだと!?」

武道家「竜族の王っ!?つ、つえぇはずじゃねえか!バジリスクすら従えてるのか!?」

魔道士「そういえば、竜族は繁栄種族って言ってた…!」

乙女格闘家「あ、あんなのがうじゃうじゃいるって…!」

872: 2014/11/01(土) 21:41:08 ID:uIUby842
 
バハムート『…では、改めて!全身全霊を持って…相手をしよう……!』

バハムート『いざ……』スゥゥッ


剣士「…っ」チャキッ


魔道士「剣士…!」


剣士「なぁに大丈夫だ!一瞬でケリはつく…はずだ」ニヤッ


魔道士「…え?」

873: 2014/11/01(土) 21:41:52 ID:uIUby842
 
バハムート『…』スゥゥゥッ!

バハムート『……我が炎に焼かれよ』ピタッ

バハムート『がぁぁぁっ!!』ゴッ!!


ゴッ…ゴォォォオォォォォオオッ!!!


剣士「おらあああっ!」

バッ…ビュオオオンッ!!

バスッ…ズバァンッ!!ドゴォオンッ!!!


バハムート『…うぬっ!我が炎を切り裂くとは!』

874: 2014/11/01(土) 21:42:41 ID:uIUby842
 
剣士「竜の炎は、俺の相手にならんっ!」ダッ!

ダダダダダダッ…ブォンッ!!

バハムート『早いっ!』

…ガキィンッ!!

剣士「やはり防ぐか!」ビリビリッ


バハムート『この距離ならば……!』スゥゥ


剣士(…来た!)


バハムート『がぁっ!』ゴッ…


剣士「であぁぁぁっ!!」ブンッ!!

…バクッ!!

バハムート『むぐっ!?』ゴクッ

875: 2014/11/01(土) 21:43:20 ID:uIUby842
 
剣士「…の、呑み込んだか!?」

バハムート『何を……』


…ドクンッ!

バハムート『ぐおっ!?』


剣士「…っ!」


バハムート『ぬ…!?ぬぐっ…!!』グラッ

ドクン…ドクンッ…ドクンッ……!!


剣士「…き、効いてるのか!?」


武道家「け、剣士!一体、何をした!?」

剣士「…バジリスクの攻撃パターンと同じと読んだんだよ!」

武道家「何っ?」

剣士「俺が近接を振った時、バジリスクは大剣を防いで、炎を吐こうとしたのを覚えてるか!?」

876: 2014/11/01(土) 21:44:04 ID:uIUby842
 
武道家「あ、あぁ…!」

剣士「だから、その一瞬を狙ってアレを呑ませたんだよ!」

武道家「あれ?」

剣士「…黒魔石の欠片さ」


武道家「!」

魔道士「!」

乙女格闘家「!」

剣聖少将「…なるほど」


剣士「いくらバハムートといえども、内部からの黒魔石の鋭利での傷は、どうしようもねーんじゃねぇか!?」

剣士「あのタフさもあるし、どこまで効くかは知らねーけどよ…!」

剣士「まさかあの状況で、何か食わせようとするなんてバハムートでも思いつかねーだろうって!」

877: 2014/11/01(土) 21:45:00 ID:uIUby842
 
バハムート『…ッ!!』

ドクンドクンドクンッ……!!


剣士「…下手すりゃ、内部で消化もしてるかもしれん」

剣士「もし黒魔石を消化したらどうなるか……!」


バハムート『…が、がぁぁあああっ!』ゴホッ!!

バハムート『ごほっ…!!』

ベチャッ…!!ブシャアッ!!


剣士「血…!ダメージはあるか……!」

武道家「効いてるのか…!?」

878: 2014/11/01(土) 21:45:51 ID:uIUby842
 
バハムート『ぐ、ぐぬぅぅ……!!』ググッ
 

剣士「…」
 
剣士「…」ギリッ

剣士「…すまねぇ、バハムート。お前とはもっと、正々堂々と勝負したかったぜ」


バハムート『…っ!』
 

剣士「卑怯な人間と恨め。情けない人間だったと恨め。」

剣士「…覚悟しろ」シャキンッ!


武道家「…」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」

879: 2014/11/01(土) 21:46:34 ID:uIUby842
 
バハムート『…く…くはははっ!勝利した者こそ…正しいのだ…!』ゴホッ!

バハムート『勝利者が全てというもの…!誰が…恨むものか……!』


剣士「そうかよ。なら…いくぞッ!!」

剣士「…いぃぃぃっ……!!」スゥゥゥ!
 
…パァァァッ!!


武道家「ま、また剣士から光が!」

剣聖少将「大剣が、あいつの心に反応しているんだ…」

魔道士「…剣士」ギュッ

乙女格闘家「剣士…!」

880: 2014/11/01(土) 21:47:17 ID:uIUby842
 
バハムート『ぐっ…!』フラッ

バハムート『情けない…!』

バハムート『我が故郷の産物を…上手いように使われるとは……!』


剣士「せぇぇぇっ……!!」グググッ…!!!

パァァッ…!!!!


バハムート『だ、だが……!!』


剣士「のぉぉーーーっ……!!!」ググググッ!!

パァァァァァッ!!!


バハムート『これしきでは、我は負けぬっ!!』

バハムート『ぬぅぅぅううっ!!!』

スゥゥゥゥゥゥッ……ッ!!!

881: 2014/11/01(土) 21:48:22 ID:uIUby842
 
剣士「せいやぁぁぁぁああああっ!!!」バッ…

ゴッ…グゥゥゥオオオオオオオオッ!!!!!


バハムート『があぁぁぁああああああっ!!!』

ゴッ…ゴォォォオオオオオオオオッ!!!!


剣士「…ッ!!!」

バハムート『…ッ!!!』


武道家「…巨大な竜炎!?剣士には効かないっつってんだろうがよ!剣士、いけぇぇぇっ!」

乙女格闘家「勝って、剣士っ!!」

魔道士「剣士…っ!」

882: 2014/11/01(土) 21:48:52 ID:uIUby842
 
…グォォオオオッ!!

…ゴォオオオッ!!!!

カッ……ドゴォォォォォオオンッ!!!!!


剣士「らぁぁぁぁあああっ!!!」ビリビリッ

バハムート『ぬぅぅううううっ!!!!』ビリビリッ


剣士「…俺が、負けるかよぉぉおお!」グググッ!
 
バハムート『…ッ!!』ググッ

883: 2014/11/01(土) 21:49:48 ID:uIUby842
 
剣士「らぁぁぁあああぁぁっ!!」ギリギリッ


バハムート『こ、この打ち合い…!ただの炎ならば…負けていただろう…!』グググッ!!

剣士「何っ!!」

バハムート『だが、我らの竜気…!それを交えた炎との衝突を、エルフ族の魔力では!!』グワッ!!

…グンッ!!

剣士「うおっ…!?」

バハムート『…それだけか、その程度かぁぁあっ!!!』


グッ…ググググッ!!!


剣士「…っ!!」

剣士「ま…負けるわけには…!いかねぇぇんだぁぁぁぁっ!!!」グオッ!!!!


バハムート『…ッ!』

884: 2014/11/01(土) 21:50:37 ID:uIUby842
……ピカッ……
 

 
…ドゴォォォォォオオッ!!…

………………
…………
……




……
…………
………………

…パラパラッ………



……サァァッ……

885: 2014/11/01(土) 21:51:34 ID:uIUby842
 
武道家「…っ!」

剣聖少将「…な、なんて火力だ…!都市部ぶっ飛ばすつもりかあいつらは…!」

乙女格闘家「け、剣士は…!」

魔道士「…ッ」


…サァァァアッ…


魔道士「…人影!み、見えた!」バッ!

乙女格闘家「どっちも立ってる!?」

武道家「引き分けたのか…?」

剣聖少将「…!」

886: 2014/11/01(土) 21:52:06 ID:uIUby842
  
剣士「…」

バハムート『…』

剣士「…」

バハムート『…』

剣士「…」

バハムート『…』


…ヒュオオオッ…


剣士「…バハムート…」

バハムート『…何だ…』

887: 2014/11/01(土) 21:52:36 ID:uIUby842
 
剣士「…笑ってもいいよな」

バハムート『構わぬ……』

剣士「…ふっ」ニヤッ

バハムート『よ、よくぞ…ここまで……』ニカッ


武道家「…剣士が勝ったのか…!?」

魔道士「剣士…ッ!」

乙女格闘家「多分…!やったんじゃない…かな…!」

剣聖少将「…」

888: 2014/11/01(土) 21:53:59 ID:uIUby842
 
剣士「…」


剣士「ちっ…」


剣士「マジ…かよ……」


剣士「…卑怯なマネまでして…」


剣士「だっせぇ…な……」


剣士「……げほっ!」ブシュッ!


フラッ…!


…ドシャアッ…

889: 2014/11/01(土) 21:54:47 ID:uIUby842
 
魔道士「えっ…?」

武道家「は…?」

乙女格闘家「…え?」

剣聖少将「参ったね…こりゃ……」



剣士「…」



バハムート『見事な一撃だったぞ…」

バハムート『だが、まだ…我は倒れるわけにはいかんのだ……!』ゴホッ!!

バハムート『よ、よくぞココまで…!』ゴボッ…!

890: 2014/11/01(土) 21:55:54 ID:uIUby842
 
魔道士「…そだ…」ボソッ

乙女格闘家「!」

魔道士「ウソ…だ……!」ダッ!

乙女格闘家「あっ!魔道士ちゃん!」


魔道士「ウソだ…ウソだ…!ウソだよ!剣士っ!」

タタタタッ…!ガバッ!

魔道士「剣士…!起きてよ…!剣士!剣士っ!!」

剣士「…」ユサユサ

魔道士「ウソだよね…剣士!!剣士!!剣士ぃっ!!!」


武道家「さ、作戦こそ完璧なものだっただろうがっ!!なんで倒れないんだよ!!」

乙女格闘家「あそこまでやったのに!それでも倒れないなんて!!」

剣聖少将「俺らの思ってたところよりも、アイツはずっと高くにいるっつーことだ……」ギリッ

891: 2014/11/01(土) 21:56:48 ID:uIUby842
 
バハムート『ぐっ…。そ、そうとも言えぬ…!』

武道家「…どういうことだコラァ!俺らをバカにして……!」


バハムート『そういうことでは…ない…!』
 
バハムート『…ぐぬっ!』

…ズブシュッ!!


武道家「じ、自分の胸に手を突っ込んだ!?」


ポイッ…ベチャッ!

ゴォォオッ…!


武道家「な、なんだよこれ……」 
 

バハムート『我が竜族の体内に宿る、炎の核の一部。欠片だ…』

バハムート『これが我が力の源であり、全ての根源……。』

892: 2014/11/01(土) 21:58:02 ID:uIUby842
 
武道家「炎の核…!?」


バハムート『…作戦は見事なものだった。』

バハムート『だが、黒魔石を飲み込んだ瞬間、それを核に包んだ』

バハムート『無論、消化もせず、体内の傷もついてはいない…』

バハムート『その上で、あの威力の打ち合いだ…。それをあそこまで耐えるとは…』

バハムート『誰が高みにいると言えるものか……』

バハムート『しかし、体内に入れるだけで身体全体がきしむようだ……』

バハムート『…さすが黒魔石といったところか……』ゴホッ


武道家「…はは、マジ…かよ…」

剣聖少将「…っ!」

魔道士「そ、そんな…」

乙女格闘家「つ、強すぎるよ…!」

893: 2014/11/01(土) 21:59:26 ID:uIUby842
 
剣聖少将「…あと、一歩ともいえないな。完璧に…やられたぜ……」


バハムート『…たかだか、人の一人に、ここまで押されるとは思わなかった』

バハムート『最後の一撃の勝負、我が思った以上の攻撃だったぞ…』

バハムート『我が渾身の一撃を受け切ったこと…。素晴らしいの一言だろう……』

バハムート『だがこれで、戦いは終わりなのだ…!お前たちの負けを認め、諦めるがいい!!」


武道家「くっ…!おいおい!俺のことを忘れてないか!?」バッ!

乙女格闘家「まだ…私たちだって!」スチャッ!

剣聖少将「…俺の命だって、まだ尽きちゃいねぇ。最後までやらせてもらう」チャキッ


バハムート『…どこまで向かって来れば気が済むのだ』

バハムート『降伏の一言で、戦いは終わるというのに……!』

バハムート『己が命を燃やすまで、戦おうというのか!』

894: 2014/11/01(土) 22:01:05 ID:uIUby842
 
魔道士「け、剣士の大剣があれば…!私だって、戦える…!」グスッ

魔道士「…剣士が戦えないなら、剣士の代わりになれるのは…私だけだからっ…!」フラッ

魔道士「剣士だったら…!最後まで…みんなを守るために…あきらめないはずだから……!」

魔道士「に、人間が…魔族に屈したら…ダメだから……!!」

…グイッ!チャキッ!


バハムート『…!』


魔道士「私が…みんなを守るために…一人で…戦うっ……!!」


バハムート『なんと…強き心よ……』


魔道士「私が、バハムートを倒すから……っ!!」ブルッ…

895: 2014/11/01(土) 22:01:53 ID:uIUby842
 
…ギュウッ…!


魔道士「えっ…?」ハッ


剣士「へ…へへ。魔道士…。それでこそ、俺の…女だなぁ……」ヨロッ

魔道士「け、剣士…ッ!」


剣士「よく言ったぜ…魔道士。そうだな…戦うしか……ないもんな……!」

剣士「一緒に…守ろうぜ……世界をよ……」


武道家「…ッ」

乙女格闘家「剣士…!魔道士ちゃん…!」

剣聖少将「剣士……」


バハムート『…っ』


剣士「ば、バハムートッ!まだ俺は…倒れちゃいない……!」

剣士「もう1度だ…!諦めねえよ…絶対に……!次の一撃は…必ず…勝つ!!」

896: 2014/11/01(土) 22:03:00 ID:uIUby842
 
バハムート『…』

バハムート『…ッ』

バハムート『…よしておけ。無駄に命散らすだけ…。お前のような人間を失いたくはない』


剣士「はは…!バカいうなよ……」

剣士「まだ俺は氏んじゃ…いない……。つまり、俺自身の覚悟が…なかったんだろ……」


バハムート『…その命散らすまで、この世界の為に戦おうというのか』


剣士「…氏ぬまで本気を出してこそ…だろうが…!」

剣士「氏ぬ覚悟がなかったから…!俺は氏んじゃいないし…お前を倒せなかった……!」


バハムート『…!』


剣士「さぁ……もう1度だ……。やろうぜ……っ!」チャキッ

897: 2014/11/01(土) 22:03:41 ID:uIUby842
 
バハムート『…』

バハムート『…ッ』

バハムート『…お前たちの強い心…よくわかった……』

バハムート『もういい。よせ……』


剣士「…何を言ってる…!」


バハムート『…お前たちを見ていると、自分が情けなくなる…』


剣士「あ…あァ…!?ご、ごほっ…!」ゲホッ!


バハムート『…っ』

898: 2014/11/01(土) 22:04:15 ID:uIUby842
 
剣聖少将「…」

剣聖少将「…バハムートよ。やはりお前は、どこか違う。何か…隠しているのだろう…?」

剣聖少将「お前のことを話をしてくれないか」


バハムート『…』

バハムート『…負けたようなものか』


剣士「な…何っ……!?」


バハムート『…我は気高き、竜族の王。そんな言葉、自分を保つための言い訳よ…』


剣士「ど、どういうことだ……」


バハムート『良かろう。少しばかり、話をさせて欲しい…』

バハムート『……元々、魔界は我ら竜族が支配をしていたのだ』


剣士「…!」

899: 2014/11/01(土) 22:05:03 ID:uIUby842
 
武道家「…ってことは、バハムートが竜族の王だとしたら」

魔道士「魔族の王ともいうべき存在は…」

乙女格闘家「バハムートだったってことになるんだね……」

剣聖少将「…格が違うはずだ。俺らは元魔王と対峙してたっつーことか」

剣士「…」


バハムート『…まぁ、そのようになってしまうな』 
 
バハムート『そして、我ら竜族の竜の姿は違えど、人型でもあり、同じような知性もある』

バハムート『無論、バジリスクのような闘争本能のある竜族もいる』

バハムート『…だが、我を筆頭にしてその竜族のほとんどは、温厚な同族と思ってもらいたい…』

900: 2014/11/01(土) 22:05:40 ID:uIUby842
 
剣士「…」

魔道士「…」

武道家「…」

乙女格闘家「…」


バハムート『…我ら竜族は、魔界を統治し、その平和を保っていた』

バハムート『だが突然…。あいつが現れたのだ……』


剣士「…アリオクか」

901: 2014/11/01(土) 22:06:13 ID:uIUby842
 
バハムート『あいつは、魔界の果て…荒れ果てた荒野の、貧しい場所で産まれたと聞く』
 
バハムート『…魔界の果てで、我らの声も届かぬ場所…』

バハムート『まるで地獄ともいうべきか。そこで、幾年も…暴力の世界に生きたらしい』


剣士「…」


バハムート『…それが、生半可にアリオクの"暴力が全て"という重いを増長させたんだろう』

バハムート『そして、矛先は魔界の全て…。知性のある、魔族らへと向けられた』

バハムート『既に魔界の果てで力を得ていたアリオクは、力の限り魔界の侵攻を進めてきたのだ』


剣士「…」

902: 2014/11/01(土) 22:06:54 ID:uIUby842
 
バハムート『…我らは平和な生活の前に、その戦いに打ち勝つことが出来なかった』

バハムート『竜族や魔界統治に携わってた繁栄種族らは、アリオクの監視下におかれた』


剣士「…」


バハムート『…こちらの世界への侵攻だって、一部の魔族は反対していただろう』

バハムート『だが、従うしかなかった』

バハムート『…力が全てという考えを持ったアイツは、支配欲に支配されていたのではないかと思う』


剣士「…そういうことか」


バハムート『お前たちの諦めぬ心を見て、我もあの時、全力で向っていればと…そう思ったのだ』

バハムート『…こんなこと、話す気などなかったが……』

903: 2014/11/01(土) 22:07:29 ID:uIUby842
 
剣士「はは…バハムートさんよ…。今ならまだ…やれるんじゃないのか…」

バハムート『何?』

剣士「遅くないだろうが…。あんたが…魔界の王に戻れば…平和になるんだろ……?」

バハムート『それは……』


剣士「それとも…。まだ、犠牲を伴い…戦いを続けるというのか……」

剣士「本音を話してくれた今なら……。アンタと一緒に…戦いを終わらせられる気がするんだ……」


バハムート『剣士……』


ヒュッ…ヒュオオオオオッ!!!


バハムート『!』ハッ

バハムート『ふんっ!!』ビュオッ!!

904: 2014/11/01(土) 22:08:11 ID:uIUby842
 
ガキィインッ!!!…パキャアンッ!!!…


剣士「な、なんだ…!?」

魔道士「空から、何か…!」

武道家「振って来た…?」

乙女格闘家「え…。っていうか…あれ……!」

剣聖少将「あ、あらら……」


フワフワ…


バハムート『…これは、招かざる客というもの』ギロッ

905: 2014/11/01(土) 22:09:14 ID:uIUby842
 
武道家「…あれが、幻影でもない…本物ってわけか…!」

乙女格闘家「…な、なんでこんな時に!」

魔道士「なんでココに……!」

剣聖少将「…全てを終わらせにきたというのか」



剣士「…アリオクッ!!!」



アリオク『…ご機嫌よう』

アリオク『クソ冒険者どもに、裏切りのクソ竜……』ニコッ

911: 2014/11/03(月) 21:16:49 ID:pzEVgYV6
 
バハムート『…ッ!』


ヒュオオォォォオオ……!

…ストンッ…


アリオク『…よもや、貴様が人間に気持ちを削がれるとはな…』

バハムート『…元々我は、こんな戦いは反対だったのは知っているはずだ』

アリオク『だが、それでいいのか?貴様の種族の命、俺が預かってるんだということを忘れたか…』

バハムート『…ッ』

アリオク『お前の愛するアイツの腹の子は…娘だったか…』

バハムート『よせ!』

アリオク『どちらに似ている娘かな…。赤髪の可愛い女の子か…?』

バハムート『…ッ!』

912: 2014/11/03(月) 21:17:30 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『貴様では俺に勝てないことを知っているだろうに……』

バハムート『そ、それは…!』


アリオク『…それと、そこのクソ冒険者ども…!』ギロッ
 

剣士「!」
 
魔道士「!」

武道家「…!」

乙女格闘家「!」


アリオク『…多少、力のある武器を手に入れ、我が同胞配下を打ち破ったようだが…』

アリオク『それも終わりだ。魔族の血を得る武器は、もう…造らせんっ…!』

913: 2014/11/03(月) 21:18:03 ID:pzEVgYV6
 
剣士「なにっ…!」


アリオク『…バンシィのやつは、既に南方に逃げたエルフ族を全て根絶やしにしているはずだ』

アリオク『バンシィは深き闇の魔族。これでもう、人間どもに少しの光も与えんっ!!』


剣士「え、エルフ族を根絶やし…だと……!!」


アリオク『…多少、道具を上手く造れたところで、戦いに不慣れな奴らよ』

アリオク『既に、一瞬で蹴りもつき、エルフ族は全て頃しているだろうよ……』ククク


剣士「…て、てめぇっ!!」バッ

…ガシッ!

剣聖少将「…落ち着け」

剣士「親父…!」

914: 2014/11/03(月) 21:18:56 ID:pzEVgYV6
 
剣聖少将「アリオクっつったか?お前」

アリオク『…』

剣聖少将「お前、俺らが本当にそう簡単にエルフ族をやらせると思うか?」

アリオク『…何?』
 
 
剣聖少将「俺の軍は、南方大陸に即座に防衛線の準備と、避難を進めさせてもらった」

剣聖少将「…少なくとも、エルフ族は南方のいたる場所に分散させている」

剣聖少将「いくら魔族が空飛んだり、強かったりしても。そう簡単にいかないだろうな」


アリオク『…』


剣聖少将「つまりなんだ、お前はそうだな」

剣聖少将「多少つえー、多少有能な部下がいる、少しばかり最初だけうまくいった」

剣聖少将「それだけで余裕をぶっこいた、大馬鹿野郎ってことだよ!はーっはっはっはっ!」

915: 2014/11/03(月) 21:19:48 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『貴様…。俺をバカにするとは、いい度胸だ……』パァッ!


ビュオッ…!!


剣聖少将「うおっ!無詠唱で早っ…!」


ブンッ…バキィンッ!!パラパラ…


剣聖少将「……おろ?砕けた?」


アリオク『!』

アリオク『貴様……』ギロッ

シュウウ……

バハムート「…剣聖少将。まだ、貴殿を失うわけにはいかない」

916: 2014/11/03(月) 21:20:20 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『バハムート…。貴様、裏切ったな……』

バハムート「…」

アリオク『いいだろう…!ならば、貴様から頃してやるッ!!』パァッ!

…ビュオンッ!!

バハムート「…その程度では、我は殺せぬっ!!」

…ガキャアンッ!!!


アリオク『ぐっ…!』ビリビリッ

バハムート「ぐぬっ…!」ビリビリ…!

917: 2014/11/03(月) 21:20:58 ID:pzEVgYV6
 
武道家「…お、おいおい!仲間割れかよ…」

剣聖少将「……好機だ」

武道家「え?」

剣聖少将「これは、バハムートが味方についたと同じこと!勝機だ!」

武道家「…!」

剣聖少将「とはいえ、この戦いに今は干渉するべきじゃないだろう」

武道家「…っ」


剣士「…」

乙女格闘家「…」

魔道士「バハムート…」

918: 2014/11/03(月) 21:21:38 ID:pzEVgYV6
 
…ズブシュッ!!

アリオク『ちっ!…ふんっ!』

バシュッ…!!

バハムート「ぐおっ!」

バハムート「…ッ」スゥゥ

バハムート「…がぁぁぁっ!!」ゴッ!!

ゴォォォオォオオォッ!!!


アリオク『こんなもの、防御するまででもない…!はぁっ!』

ゴッ!!…バシュゥッ!!


バハムート「我が炎を気合で打ち消すか。だが、百も承知…はいやっ!!」

ググッ…ブォンッ!

アリオク『火炎からの爪の連撃とは、型にはまった戦い方。そんなものでは、俺には通用せん!』ビュッ!!

…ガキィンッ!!

919: 2014/11/03(月) 21:22:20 ID:pzEVgYV6
 
バハムート「基本に忠実だからこそ、勝利も見えるものだ!食らえっ!!」

グォッ!!ブォォォォッ!!!

アリオク『炎、爪、それを防御させてからの尾の物理程度。こんなもの、指一本で止められるぞ…?』

…ビシィッ!!

バハムート「!」


アリオク『…甘い』パァァッ

ボヒュウッ……!!!


バハムート「…光速無詠唱魔法っ!!くっ!!」

…ヒュンッ!!

バハムート「相変わらず、強力な魔法を…!」

920: 2014/11/03(月) 21:22:59 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『さて…バハムートくん』

アリオク『…避けさせてからの基本に忠実は、こうだったか?』ボソッ


バハムート「…ッ!」ゾクッ

バハムート「いつの間に、後ろへ!」バッ!!


アリオク『…ふんっ!!』

ビュッ!…ズブシュッ!!

バハムート「ッ!!」

アリオク『…俺の手刀で、貴様の中身を引きずりだしてやろうか…!』グリッ!


バハムート「ぐっ…あっ……!!」

バハムート「ぬっ…!ぬぅうおあああっ!!発っ!!!」ゴッ

ゴバァァァアアッ!!!

921: 2014/11/03(月) 21:24:25 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『ぬぐっ!竜気を…!』ビリビリッ!


バハムート「…一瞬を逃さん!我が爪の前に、砕け散れッ!!」ビュッ!!

ブンッ…ズバァンッ!!

アリオク『ぐおっ!?』

バシュッ…ポタポタッ……

アリオク『貴様、俺の身体を……!』


バハムート「…身体の半分を切り裂けば、いくらお前とて」


アリオク『お、おのれ!』

バハムート「…」

アリオク『なんてな…』ニタッ

…ブゥゥンッ…


バハムート「ッ!」

バハムート「何っ!斬ったアリオクの身体が霞んで……!」

922: 2014/11/03(月) 21:25:21 ID:pzEVgYV6
 
…ヒュンッ!!ゴツッ!!

バハムート「がっ!?う、上から…!?」


アリオク『俺が、幻影魔法も無詠唱で使えることを忘れたか』


バハムート「いつの間に……」

アリオク『クククッ…!』


バハムート「…くっ!」

アリオク『…まだ、遊ぶのか?』ククッ


ゴゴッ…ゴゴゴッ……!!

923: 2014/11/03(月) 21:26:07 ID:pzEVgYV6
 
剣士「…!」

剣士「ちっ、ちくしょう…!み、見てるしかないのか…!」


武道家「なんて戦いだ…」

魔道士「援護したいけど、戦いが複雑でそんな隙が……」

乙女格闘家「どうすれば……」


剣聖少将「…っ」


剣士「バハムート…!」

924: 2014/11/03(月) 21:26:40 ID:pzEVgYV6
 
グググッ…!!

アリオク『…はははっ!どうした!その程度か!』

バハムート「アリオク…!」

アリオク『お前が氏んだら、お前の嫁は腹の子と一緒に公開処刑をしてやろうぞ!』

バハムート「なんだと……!!」

アリオク『そして、竜族は根絶やしだ…!くははははっ!』

バハムート「させる…ものかっ!!竜気…火炎っ!!」スゥゥッ


…ゴッ!ゴォォオッ!!
 

アリオク『はぁっ!!』

バシュウッ!!!…シュウゥゥ……

アリオク『甘いぞバハムート!その程度、どうにもならんぞ…ははは!』

925: 2014/11/03(月) 21:27:10 ID:pzEVgYV6
 
バハムート「や、やはり、我だけでは……!」

バハムート「…」

バハムート「…っ!」ハッ

バハムート「…そうか、黄金の卵たちよ!」


剣士「!」

武道家「!」

魔道士「!」

乙女格闘家「!」


バハムート「我は、アリオクをここで食い止めている!」

バハムート「今すぐ、エルフ族の元へ行き、彼らを救い、彼らの武器を用いてくれぬか!」

バハムート「かの大剣の職人のモノならば、お前たちの力でこのアリオク、打ち破れるはずだっ!」

926: 2014/11/03(月) 21:27:40 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『…させると思うか?』

バハムート「お前は…我がここで食い止めると言っているっ!」

アリオク『その前に、腐った卵共など、一瞬で滅させてやるわっ!!』パァッ!!

ビュボッ!!ヒュボヒュボヒュボッ!!!


剣士「!」

魔道士「えっ!?」

武道家「うお…」

乙女格闘家「あっ…」


剣聖少将「…光速魔法っ!?くっ…!!」バッ!

927: 2014/11/03(月) 21:28:10 ID:pzEVgYV6
 
…ザシュザシュザシュッ!!!ドシュッ!!


剣聖少将「…ッ!」

剣聖少将「…ごふっ…」

ズザザ…ドシャアッ……!


剣士「…っ!?」

武道家「!」

魔道士「っ!」

乙女格闘家「…!」



アリオク『なに……っ!!』ギリッ

928: 2014/11/03(月) 21:28:49 ID:pzEVgYV6
 
剣士「お…親父…?」

武道家「親父さん!?」

魔道士「少将さん!?」

乙女格闘家「わ、私たちを……!」


剣聖少将「…ち、ちっくしょ、いってぇな…!」ゲホッ!


剣士「親父っ!!な、何やってんだよ!!」バッ


剣聖少将「アホが…。お前らはやっぱまだ卵のままだな…」

剣聖少将「大事にしねーと…割れちまうとこだったじゃねえか…」


剣士「そ、そんなこと言ってる場合かよっ!傷の手当しねえと!」

剣聖少将「いいから…早くエルフ族を守るよう…援護に行って来い…!」

剣士「…!」

929: 2014/11/03(月) 21:30:11 ID:pzEVgYV6
 
剣聖少将「お前らがやらないで…!誰がやるんだよ…!」

剣士「親父…っ!」


アリオク『…ならば、もう1度!』パァッ

ブンッ!…バキィンッ!!ズバァッ!!

バハムート「…やらせるものか!」

アリオク『ちっ…!』


剣聖少将「い、いくらバハムートが強くても…長い時間はもたないだろうよ…!」

剣聖少将「早く…行けぇっ!!」


剣士「…わかった。だけど、必ず生きて顔見せろよ…バカ親父!」

剣聖少将「くくく…!うるせーよ、バカ息子が……」

930: 2014/11/03(月) 21:31:37 ID:pzEVgYV6
 
バハムート「…剣士たちよ!我が炎の核、何かに使えるであろう!持っていくがいい!」

…ブンッ!!

剣士「!」パシッ!

バハムート「…頼んだぞ」

剣士「…ありがとう」


バハムート「…それを焼かれずに持てるのは、本当の強者のみ」

バハムート「自信をもって、闘うがよい」

バハムート「待っているぞ……!」


剣士「…」コクン


剣聖少将「ふっ…」

931: 2014/11/03(月) 21:32:44 ID:pzEVgYV6
  
剣士「じゃあ…行くぞ、みんな!」
 
武道家「…おう!」

魔道士「生きてくださいね…剣士のお父さんっ…!」

乙女格闘家「氏んじゃだめですからね!」

ダッ…タタタタタッ………

………
……



剣聖少将「行ったか…馬鹿息子どもが……」ゴホッ!

剣聖少将「…防御の魔法、うまぁく働いたが、やっぱいてぇ…。覚えてなかったら氏んでたぜ」ハハハ


バハムート「…剣聖少将、あれを受けて平気なのか。相当なダメージに見えたが」

剣聖少将「いくら俺でも、あいつらがやる気出すには、充分なきっかけになっただろ?」

バハムート「…あの状況で判断し、そう魅せたのか…。何という男だ……」

932: 2014/11/03(月) 21:33:52 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『…やってくれたな、貴様ら!だが、南方にはアイツがいる…!』

アリオク『あやつらでは、闇に潜みし、無氏のバンシィに太刀打ちなど出来ぬだろうよ…!』


バハムート「…アリオクよ、あのパーティを舐めすぎないほうがいいのではないか?」

アリオク『何ィ…?』

バハムート「黄金とは、光。剣士たちの輝く光に、バンシィのような闇の存在が勝てるものか」

アリオク『…戯言よ!あいつは暗闇の中なら無敵の存在だ!いくら魔法の剣術とて…!』

バハムート「…貴様は、まだ少し考えが及ばなかったようだな」

アリオク『…どういうことだ』ピクッ

バハムート「あやつらは既に、黒魔石の効果が我らに絶大なものだということも認知しているぞ…」

アリオク『!』


バハムート「貴様が余裕をもって伝えたりしたのではないか…?」

バハムート「自ら墓穴を掘るとは、物好きな奴といったところか…」

933: 2014/11/03(月) 21:34:27 ID:pzEVgYV6
 
アリオク『黙れッ!!』

ビュオッ!!バキィッ!!


バハムート「…」

バハムート「…お前の終わりも近いということだ…!」ギロッ


アリオク『…ッ!』

アリオク『…笑わせてくれる…』


…………
………

934: 2014/11/03(月) 21:36:09 ID:pzEVgYV6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 南方大陸 砂漠港 】

ゴォォ…!!


剣士「…!」

魔道士「あ…あぁ……!」

武道家「ま、町並みが…」

乙女格闘家「ひどい…!全部…燃えちゃってるよ……」

ゴォォ…パチパチッ……!


剣士「…だが、今は干渉してる暇は」

武道家「…ないが」ギリッ

935: 2014/11/03(月) 21:36:43 ID:pzEVgYV6
 
剣士「…」



…ズドォンッ…

ピカッ…



剣士「…少し遠くに戦ってる音と、明かりが見える」

剣士「…完全に干渉しないなんて、俺らには無理だ…」

剣士「加勢しながら、ジイちゃんの臨時の村を目指そう!」


魔道士「うんっ!」

武道家「…みんな、無事でいることを願うぜ」

乙女格闘家「大丈夫だよ。きっと…!」


…………
……

936: 2014/11/03(月) 21:37:16 ID:pzEVgYV6
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 砂漠付近の村 】


剣士「…おいおい」

魔道士「着いた…けど……」

武道家「…っ」

乙女格闘家「これって……」


…ガキィンッ!!

 
軍人たち「くっ!」

魔族兵たち『ぬううぅっ!』

937: 2014/11/03(月) 21:37:51 ID:pzEVgYV6
 
剣士「せ、戦火がこんな場所まで…!」

魔道士「…っ」

武道家「少女エルフや、職人さん、鍛冶長さんは無事なのか!?」

乙女格闘家「…見た感じ、軍人さんと冒険者、魔族兵ばっかだよ!」


剣士「…っ」

剣士「なら、分かるやつに聞けばいいんだろっ!」ダッ!


魔族兵『ククク…氏ねェッ!!』ブンッ!!

軍人「う、うわああっ!」


ビュッ!…ガキィンッ!!

938: 2014/11/03(月) 21:39:06 ID:pzEVgYV6
 
魔族兵『!』

軍人「!」


剣士「へへ…」ググッ

魔族兵『なんだ貴様…!』

剣士「……だらぁっ!!」

ビュオッ…ザシュウッ!!

魔族兵『がっ…!』

ドシャアッ…!


軍人「あ、ありがとう!助けてくれたのか……!

939: 2014/11/03(月) 21:39:58 ID:pzEVgYV6
 
剣士「ま、そりゃ助けるさ」

剣士「それより、アンタは軍人さんだよな。話を聞きたいんだ」


軍人「な、何を聞きたいんだ?」

剣士「…ここは西海岸村のエルフ族の住んでいた村のはずだろ?」

軍人「あぁ…」

剣士「見たところ、エルフ族の姿がないようだが」


軍人「エルフ族の民なら、戦況が悪化する前に少し遠くの砂漠の上に作った臨時拠点へ移動させている」

軍人「…一般市民も、多くはそこへ避難してるはずだ。数か所に分けて避難所を造ってるが…」


剣士「…無事なのか」

軍人「あそこは警備も強固にしてあるし…。エルフ族を守るよう、少将殿にきつく言われてるからな…」

940: 2014/11/03(月) 21:41:14 ID:pzEVgYV6
 
剣士「…そうか。ここの村のエルフ族に会うには、どう行けばいい?」

軍人「この道の通り、真っ直ぐに向えば、明かりが見えてくるはずだ」

剣士「ありがとうよ」

軍人「…お、おいおい!行くつもりか!」

剣士「行かないといけない理由があるんだ」

軍人「この暗闇に、魔族が多く潜んでいる!危険だぞ!」


剣士「…その程度なら、どうにでもなるさ」

魔道士「うん」コクン

武道家「余裕だな」ニヤッ

乙女格闘家「問題なし!」

 
軍人「あ、あんたたちは一体……」

剣士「…名乗るほどじゃねえさ。」

941: 2014/11/03(月) 21:42:06 ID:pzEVgYV6
 
軍人「そ、そうか……」


剣士「…」

剣士「…そうだ、もう1つ聞きたいんだが」


軍人「な、なんだ?」

剣士「バンシィっつーやつが相当な手練れってきいたんだが…どこにいるか分かるか?」


軍人「あぁ、バンシィならさっきまでこの辺で暴れてたがー……」

軍人「…」

軍人「…そういや、姿が見えないな。どこへ消えたんだ…?」


剣士「…」

剣士「ま、まさか…!」


…………
………

948: 2014/11/05(水) 19:43:39 ID:CO9K1ROQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 第二臨時避難所 】
 
ザワザワ…!!


エルフ族たち「…夜は、怖い…」ガタガタ

エルフ族たち「火の明かりだけじゃ、乏しいよ…」

エルフ族たち「軍の人間や、他の避難民もいるが…どうにもこうにも……」


避難民たち「ど、どうして急に安全だった南方大陸へアイツらが攻めてくるんだ!」

避難民たち「神様、仏様…!俺らがしてきたことを謝るから、助けてください…!」ブルブル

避難民たち「…氏にたくない、氏にたくないぃぃ!」

949: 2014/11/05(水) 19:44:22 ID:CO9K1ROQ
 
ガヤガヤ…

守人軍人たち「…っ」

守人軍人たち「俺らだって、怖くないわけじゃないんだけどな…。」

守人軍人たち「出来るだけ言葉は聞きたくないんだがな…。だけど、俺らがしっかりしないでどうするってな」

守人軍人たち「おうよ…。俺らだって誇り高き軍人だ。守ってみせるさ」


ザワザワ…ガヤガヤ……!!


職人エルフ「…大丈夫か」

少女エルフ「う、うん…」ガタガタ

鍛冶長「…大丈夫じゃ。きっと、軍の方たちが守ってくれるでな」

職人エルフ「だといいんだがな。戦争ってのは…こんなになるのかよ……」

950: 2014/11/05(水) 19:45:35 ID:CO9K1ROQ
 
少女エルフ「怖いよ……」


職人エルフ「…っ」

職人エルフ(…暗闇ん中、淡い炎は揺れ、わずかばかりの明かりが照らしてる)

職人エルフ(俺も、少女エルフも、人も、みな、そのわずかな明かりに映る顔は氏に怯えてる……)

職人エルフ(まさか…。俺自身、こんな体験をするなんてー……)


……バチィンッ!!!……


職人エルフ「!?」

職人エルフ「…な、なんの音だ!?」


…ザワッ!!

守人軍人たち「…な、なんだあれは!」

守人軍人たち「う…うそだろ…!」

ザワザワ…!!

951: 2014/11/05(水) 19:46:37 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「な、なんだ!どうした…!」

鍛冶長「来たんじゃ。感じるだろう、同じ魔の血を持つ者として……」 

少女エルフ「や…嫌だ…!何、この感覚…!寒い……!!」ブルブル


エルフ族たち「な、なんだこの寒気…!」

エルフ族たち「なんだよこの感覚…!何か…来てるぞ…!!」

エルフ族たち「…ま、待て」

エルフ族たち「…あ、あれを見ろ!あそこ…!」


…チャキッ!

守人軍人たち「…少しばかり、もしかしたら戦わなくて済むんじゃないかと思ってた」

守人軍人たち「俺もだ。だけど、どうやら戦わないといけない運命だったらしいな…」

守人軍人たち「…氏ぬかもしれねえな」

952: 2014/11/05(水) 19:48:01 ID:CO9K1ROQ
 
ォォォォ……!!!


バンシィ『…イるぞいルぞ!!オ楽しミな時間だ…!!』


リッチ『暗闇ニ堕チル時ノ、アイツラノ顔ハ、何ヨリモ楽シインダ…!』


グールたち『ァ…ア゛ァ゛……』


ヘルハウンドたち『グルルッ……!』


ファントムたち『…』


レイスたち『…』


スペクターたち『…』

953: 2014/11/05(水) 19:49:26 ID:CO9K1ROQ
 
守人軍人たち「ははっ…!ま、まるで闇の世界の住民じゃないか……。笑えてくるな……」

守人軍人たち「あ…あいつらが闇なら、俺らは太陽だ!」

守人軍人たち「そうとも!俺らが倒すぞ!守るんだ!」

オッ…ウオオオオォォオオッ!!!



バンシィ『…さァ…ヤるぞ…!行ケ…ッ!!』バッ!!

闇魔族兵たち『ウオオオオオッ!!』



守人軍人たち「うおおおおおっ!!やらせるかぁぁぁ!!」


キィンッ!!…ズバァンッ!!バシュッ!!ドォンッ…!!

ガキィンッ!!

ビリビリッ……!!

954: 2014/11/05(水) 19:50:34 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「は、始まった……!」

少女エルフ「…っ!」ギュッ

鍛冶長「…」


少女エルフ「怖い…!怖い怖い怖い…っ!」ガタガタ


エルフ族たち「か、勝てるんだろうな…!」

エルフ族たち「勝ってくれよ…!」


避難民たち「頼んだぞ…軍人さんたち…!」

避難民たち「…っ」

955: 2014/11/05(水) 19:52:13 ID:CO9K1ROQ
 
守人軍人「…これ以上、お前らの好き勝手にさせるかぁぁ!」

守人軍人「うおおおっ!大斬ッ!!」ブンッ!!

…ズバァンッ!!!

グール『グオッ…!』ヨロッ

守人軍人A「ははは!どうだ!」


…ギロッ

グール『ギッ…』


守人軍人A「…は?」


グール『ガアアッ!』グワッ!!

守人軍人A「…な、なんで氏なな…ッ!!」

…ズチュッ!!ブチブチッ……!!

守人軍人A「うああああああっ!!」

956: 2014/11/05(水) 19:53:43 ID:CO9K1ROQ
 
拠点長「…こいつらに物理は効かない!魔法を撃てぇ!」

拠点長「バラけるな!固まって迎撃しろ!お互いのフォローに回り、団結力で戦うんだっ!!」


…ヌッ

バンシィ『…クク』


拠点長「ぬおっ!?」

バンシィ『無駄ナ足掻きは…ヤめてオきな…!』

拠点長「…何だと!そうか…貴様がこの群れの長だな!」

バンシィ『だっタら…どうシた…?』

拠点長「わかりきったこと!はぁぁっ!大火炎っ……!!」パァァ!

バンシィ『遅イ…!』

パッ…ズオォォオッ!!

957: 2014/11/05(水) 19:54:26 ID:CO9K1ROQ
 
拠点長「な、何っ…!?」

ズォォオオッ…!!

拠点長「ち、力が抜け……!」ガクガク

バンシィ『クハハハ…!』


守人軍人たち「…いかん!拠点長を守るんだ!」

守人軍人たち「やらせるかよぉぉ!」ダッ!

ダダダダダッ…!!


ヘルハウンド『…ガァァッ!!』

…ガブッ!!ブチブチッ!!

守人軍人たち「うあっ!?」

守人軍人たち「ただの犬じゃねぇ…!なんて力…!うああっ!!」

…ブチッ…ズチュッ!!

958: 2014/11/05(水) 19:55:20 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『…クク、お前ラ如きでハ、相手ニなど…なラぬ!』

バンシィ『さァ…己ノ欲望ノまマ動くガ良い!亡者ドも!!』


グール『ァ゛…!』

…ガシッ!

避難民A「や、やだ!離して…!」

グール『ア゛………!』クワッ!

避難民A「ひ……!」

ズチュッ!ブチブチィッ…!!
 
 
ファントム『…』

…ビュオッ!!

エルフ族たち「い…いやぁぁぁぁっ!」

…バスッ!ドシュッ!!…ゴロゴロッ…

959: 2014/11/05(水) 19:56:52 ID:CO9K1ROQ
 
避難民たち「うっ……!」

エルフ族たち「うわああああっ!みんな…氏んでいく…!助けてくれえぇぇ!」


バンシィ『…いイ悲鳴だ。気持チがイイ……』ゾクゾクッ


守人軍人たち「な、なんてことだ…!」

守人軍人たち「お…落ち着いてください皆さんっ!」

守人軍人たち「パニックになるのが一番危険です!すぐに守りますのでー……」ハッ!


…グワッ!

スペクター『…』ニタッ

守人軍人「あ……」


……ズバッ……

960: 2014/11/05(水) 19:58:00 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「…ッ!」

少女エルフ「み…みんな……やられちゃう……!殺されちゃう……!」

鍛冶長「…」


職人エルフ「…親父!俺らもこんな場所にいたら殺されるっ!」

少女エルフ「なんで…どうして……」ヘナッ

職人エルフ「に、逃げるんだよ!立てっ!」

少女エルフ「ダメ…。腰が…抜け……」

職人エルフ「…ッ!!」


鍛冶長「…これも、運命か」


職人エルフ「…な、何が運命だ!!こんなの、俺は認めねぇっ!!」

961: 2014/11/05(水) 19:58:43 ID:CO9K1ROQ
 
タタタタッ…ズザザァッ!


ヘルハウンド『…』ギロッ


職人エルフ「うっ!?」


ヘルハウンド『グルッ……!』


職人エルフ「げっ…!」

少女エルフ「…ッ!」

鍛冶長「…」


…フワッ

バンシィ『…クク。おヤおや…この犬、可愛ラしイ娘さンに目をツけたヨうで…』

962: 2014/11/05(水) 19:59:13 ID:CO9K1ROQ
 
少女エルフ「ひっ…!」

職人エルフ「な、なんだと!」


ヘルハウンド『…グルルッ…!』ギロッ


バンシィ『…柔かイ肉モ好きだガ、意外ト遊びっ子デね…』

バンシィ『弄ぶノが、大好キなんダよ…!』

バンシィ『クク…。泣イた顔に、少しズつ肉を削ぎ落シ…食ウ…!』


職人エルフ「や、やめろっ!!」


バンシィ『たダの欲望ヲ満タすだケ…。純粋ナやツなんダ…』

バンシィ『見てイて…面白イぞ……』ニタリッ

963: 2014/11/05(水) 20:00:15 ID:CO9K1ROQ
 
ヘルハウンド『グルッ…!ガァァアアッ!!』グワッ!!


少女エルフ「…っ!」

職人エルフ「…やらせると思うか!お、俺らだってやられるだけじゃねぇんだよ!」チャキッ!

鍛冶長「…」


バンシィ『マ、せいぜい頑張っテくレ…ハハハッ!!』


ヘルハウンド『ガッ…ガァアアアアッ!!!』ダッ!

ダダダダダッ…!!!グワッ!!!


職人エルフ「…っ!」

964: 2014/11/05(水) 20:01:12 ID:CO9K1ROQ
 
鍛冶長「…」

鍛冶長「…」

鍛冶長「…!」ハッ

鍛冶長「慌てるな、息子よ。来たぞ…?あいつがのう……」


職人エルフ「何!?」


………


…ズバシュッ!!バシュッ!!!ズバズバァンッ!!!


………


ヘルハウンド『…ッ!?』


ズリッ…ドシャアッ…!

965: 2014/11/05(水) 20:02:37 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「…へ?」

少女エルフ「犬が…倒れた……?」

鍛冶長「…やはり、信じていた」


職人エルフ「な、何が…」

職人エルフ「…」

職人エルフ「……!」ハッ!


バンシィ『何ッ…!?』

  
…ズサザザァ゙ッ!!

剣士「…危なかった。だけど既に戦いが始まってたか!くっそぉ!」

魔道士「酷い…!絶対に許せない…っ!」

武道家「クソ魔族が…!」

乙女格闘家「許さないよ…!」

966: 2014/11/05(水) 20:04:21 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「け…!」

少女エルフ「剣士ィっ!!!!」グスッ

鍛冶長「小僧…」ニヤッ


剣士「…待たせた!犠牲もあったが、とりあえず無事でよかった……」

剣士「それと、かなりの数だな。だが、所詮は雑魚の群れ…」

剣士「武道家と乙女格闘家は、それぞれ他の応援に向ってくれ!」


武道家「わかった!」

乙女格闘家「倒してくる!」

ダダダダッ……!!

967: 2014/11/05(水) 20:05:22 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『…ヘルハウンド種を一撃で…!貴様、何者ダ……』


剣士「お前らを頃しにきた、通りすがりの勇者様さ」ニカッ

バンシィ『貴様ノようなヤツに、ヤられルと思うカ…?』

剣士「…さすが個体種族。言うことが違うねぇ」

バンシィ『何ッ!?』


剣士「…おっと、身体が砕けたらしばらくは戻れないんだったっけ?」

剣士「それに、実は黒魔石が苦手だったりするんだっけ?」

剣士「お前の名前は…バンシィだっけ…?」


バンシィ『な、何デ…ソレを知っているッ!!』

968: 2014/11/05(水) 20:06:21 ID:CO9K1ROQ
 
剣士「…ははは!デュラハンは既に俺が葬ったぜ?」

剣士「それに、バジリスクも片腕を斬られて逃げていった」

剣士「バハムートは、まさかのアリオクに反逆。中央都市で激闘してるぜ」ククク


バンシィ『…ッ!?』


職人エルフ「お、おい!それって本当なのか!?」


剣士「本当さ。残る魔族のマスターは、コイツだけだ」

剣士「それと、アンタとジイちゃんにどうしてもお願いがあるんだ…」


職人エルフ「こ、こんな時に…なんだ?」

鍛冶長「…」

969: 2014/11/05(水) 20:07:17 ID:CO9K1ROQ
 
剣士「…俺の大剣と同じ、エルフ族の血の通った武器が欲しい」

職人エルフ「な、何…?」

剣士「アリオクを、魔族の王を倒すために魔族の血を受け継いだ武器が必要なんだ!」

職人エルフ「…」

剣士「…む、無理なお願いって分かってる!だけど!」

職人エルフ「…無理な願いではないだろ」


剣士「!」

魔道士「!」


鍛冶長「息子の言うとおりだ」

鍛冶長「…世界の為ならば、己の血潮を使い、それを打つことなど引き受けるわい」

970: 2014/11/05(水) 20:08:50 ID:CO9K1ROQ
 
剣士「し、職人のオッサン…!ジイチャン…!」


職人エルフ「だが直ぐにはできねぇ…!道具もねえし、炉もねぇ…!」

職人エルフ「それに、鉄鋼も必要だ。時間はかからないが、村に戻らないと何もできねえよ!」


剣士「…っ!」


バンシィ『…』

バンシィ『話ヲしていルとこロ悪イがー……』

バンシィ『…なルほどナ。とにカく、お前ラを止メればイイのは何トなしに分かった』ギロッ


剣士「!」

971: 2014/11/05(水) 20:10:36 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『時間は与エぬ…!闇の波動ッ!!』グワッ!!

ズォォォッ…!!


剣士「…しゃらくせぇぇっ!!」ブンッ!!

…バシュウッ!!
 
 
バンシィ『何ッ!?我が魔法を切り裂イた…だト…!?』

剣士「…てめぇなんざ、切り刻んでやるよ!闇の中でしか生きられない、クズが!」

バンシィ『言っタな、貴様ァ…!!』

剣士「かかってこい!」クイッ

972: 2014/11/05(水) 20:12:00 ID:CO9K1ROQ
 
少女エルフ「お、おじちゃん!」

職人エルフ「どうした?」

少女エルフ「ほ、本当に今すぐに武器が出来ないの!?」

職人エルフ「…いくらなんでも、道具も何もなけりゃどうしようもねぇよ!」


魔道士「職人エルフさん、何が必要か教えていただけませんか」

魔道士「もし、自分たちで集められるものなら準備を手伝います…!」


職人エルフ「必要なもの…。だが、今すぐ揃えるのは絶対に無理だ!」

職人エルフ「…魔力を含んだ鉄鋼、溶かす高温の魔力炉、それを打つハンマー」

職人エルフ「それに炉があったとしても魔力を宿した火種がねぇ……」


魔道士「ハンマーに、鉄に、炉…。それに、魔力の火種って……!」

973: 2014/11/05(水) 20:13:21 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ「ただの魔法じゃダメなんだ。俺らにしか扱えない、特別なものがある」

職人エルフ「火属性の宿った魔石を、俺らの技術で加工したものが必要だ…」


魔道士「そんな…。どれも今、準備出来る代物じゃないですね……」

職人エルフ「だから言っただろう…」


剣士「…職人のオッサン!これは使えないか!」ブンッ!!

ヒュオオッ…パシッ!
 
 
職人エルフ「…な、なんだこれは」

剣士「竜族の炎の核だ!それも、竜族の王とやらの、とびきりのモンだと思うぜ!」

職人エルフ「な、何っ!?」

974: 2014/11/05(水) 20:14:14 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『…!』

バンシィ『余計ナことヲ、させルものか……!!』グワッ!


剣士「…お前の相手は俺だろうが!おらああっ!」ビュオッ!

…バスゥッ!バシュッ!!

バンシィ『グッ…!』



少女エルフ「…お、おじちゃん!それ、使えるの!?」

ゴォォ…!!

職人エルフ「…」

職人エルフ「……な、なんだこれは…。まるで全身から炎が溢れてくるような…」

職人エルフ「こんなもの…見たことも聞いたこともねぇ…!」

975: 2014/11/05(水) 20:15:48 ID:CO9K1ROQ
 
魔道士「…使えそうでしょうか」

職人エルフ「つ、使えるとは思うが…」

魔道士「何か…」

職人エルフ「俺に、この核を扱える自信がねよぇ…!俺のレベルじゃ無理だ…っ!」

魔道士「!」

職人エルフ「それにこれが使えたとしても、道具もねぇし、根本から全部ー…!」


…スクッ

鍛冶長「…やれやれ」


職人エルフ「お、親父?」

976: 2014/11/05(水) 20:16:53 ID:CO9K1ROQ
 
鍛冶長「鍛冶師たるもの、常に商売道具は身に着けておくもんじゃぞ」


ゴソゴソ…スッ


職人エルフ「み、ミスリルハンマー!」

鍛冶長「…鍛冶長の名、まだまだお前に渡すわけにはいかんようじゃの」ニカッ

職人エルフ「だが、魔力の鉄もなし、容(かたち)を整える嵌めもないんだぞ!」

鍛冶長「鉄ならば、そこら中にあるだろう。散って逝った人間たちの、形見ともいえる血に塗れた鉄がな」

職人エルフ「そ、そりゃただの鉄だろうが!」


鍛冶長「…別の職人や、ワシが加工した魔力の鉄が欲しいのか?」

鍛冶長「お前は、自分の腕に宿るエルフ族としての魔力を信じてないのか…」


職人エルフ「!」


鍛冶長「ワシは自分の腕を信じ、自分の腕に任せ、自分の思うがままに打ってきたぞ…?」

鍛冶長「そしてお前はそれを受け継いでるはず。自信を持たぬか!」

977: 2014/11/05(水) 20:18:24 ID:CO9K1ROQ

 
職人エルフ「だ、だが…!容を整える嵌めが……」

鍛冶長「…容の嵌め?そんなもの、いらぬ。ただ己がまま打てば、それは容となる」

職人エルフ「…そ、そんなことが」

鍛冶長「信じろ。お前は…誰の息子だとおもっとるんじゃ」ニカッ

職人エルフ「…!」


鍛冶長「ワシも、手伝おう」

鍛冶長「…さぁ、落ちた亡骸の鉄を集めるんじゃ。最高の作品を造ろうぞ…!」


職人エルフ「…っ」

978: 2014/11/05(水) 20:19:31 ID:CO9K1ROQ
 
…バキャアンッ!!

剣士「…くっ!」

バンシィ『な、何テ奴しぶトい奴だ!いイ加減…!』

剣士「…ちっ!確かにお前は強い。だが、今まで会ったやつらと比べれば…!」

バンシィ『…俺ノ強サは不氏の名の元ニ!』

剣士「なぁにが不氏だ!黒魔石の一発でも刺されば、てめぇは消し飛ぶだろうが!」

バンシィ『…ハハ!ドこニ黒魔石が有るト言うんだ!』

剣士「…もう少し待ってろ、クソ野郎!ちょっとばかし、時間がかかんだよ…」

バンシィ『…?』


剣士(…あの竜炎の核は、どうやら黒魔石の影響は受けないようで安心した)

剣士(職人のオッサンとジイちゃんが核を使い切ってくれれば、黒魔石が現れるはず……)

剣士(そしたら、あとは俺が…コイツに止めを刺す…!)

979: 2014/11/05(水) 20:20:30 ID:CO9K1ROQ
 
ゴソゴソ…チャキッ

職人エルフ「…て、鉄は集めたぞ!これでいいのか親父!」


鍛冶長「あとは炎の核とやらを、これに一緒に打ち込めばいい」

鍛冶長「さすれば、思った容へとそれは変わり、その腕からエルフ族の魔力も宿るはずじゃぞ…」


職人エルフ「…こんなこと、失敗ありきだぜ…!」

職人エルフ「どうなっても…知らねえからな!」スチャッ


鍛冶長「己のやってきたことを信じろ」

鍛冶長「今、ここでお前自信…世界を救う手だてをしたいという心!それを想い、それを打てっ!」

980: 2014/11/05(水) 20:21:13 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ(…っ!)

職人エルフ(ちっ…。最初はクソ人間どもなんざ…と思っていたが)

職人エルフ(まさか、こんなことになるなんてな…)

職人エルフ(それに…剣士たち。あいつらに、心を許しちまってる俺がいる…!)

職人エルフ(しかし、俺はエルフ族として、奴らのしてきたことは絶対に許したくない…)

職人エルフ(…だ、だが。今はそんなことを言ってる場合じゃない…!)


職人エルフ(そして親父が、平和の為にその想いをぶつけて、あの立派な大剣が出来たとしたら…)

職人エルフ(俺は……この葛藤を……!)


ググッ…ググググッ……!!


職人エルフ「…打つっ!!」バッ!

981: 2014/11/05(水) 20:21:55 ID:CO9K1ROQ
 
ビュオッ……!

…ガチィィィィンッ!!!!…


職人エルフ(…俺があいつらと同じ、魔族だったこと…!)


…ガチィインッ!!…


職人エルフ(人間がやられるのを見て、少し笑っちまったこと…!)


…ガチィンッ!!!…


職人エルフ(なのに、剣士を見て…少し安心しちまったことも…!)


…ガチィンッ!!!…

982: 2014/11/05(水) 20:22:37 ID:CO9K1ROQ
 
職人エルフ(…何が、どうすればいいのか!)

職人エルフ(何もかも、俺の気持ちが…無になれるよう!打つっ!!)

…ガチィィィィンッ!!!…


鍛冶長(…やれやれ、平和へ想い打てというのに…全くコイツは…)

鍛冶長(じゃが、こいつはこいつの打ち方がある。葛藤を、その力に変えるんじゃろう)

鍛冶長(ならば、それでいい。お前はお前、それで表現するなら…そうすりゃええ)

鍛冶長(…)

鍛冶長(…むっ)ピクッ

983: 2014/11/05(水) 20:24:30 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『…ッ』


剣士「はは…。俺の体力は奪えない。だが、お前も氏なない」

剣士「今、俺の仲間が必氏に他の魔族を討ってる。お前の仲間じゃ、俺の仲間には絶対に勝てん」

剣士「…つまり、このまま続けばお前の敗北は確定するってわけだ」


バンシィ『…黙レッ!!!』


剣士「嫌だね」ニカッ

剣士「氏神のような見かけのくせに、俺の命一つも奪えない」

剣士「何が、四天王だ?何が、魔族のマスターの一匹だ?おぉ?」

剣士「…そのへんの冒険者以下の、クソ雑魚じゃねえか…ぶわぁぁぁっか!!」


バンシィ『き…貴様ァァァッ!!』

984: 2014/11/05(水) 20:25:49 ID:CO9K1ROQ
 
魔道士(…剣士が、凄く強くなってるんだ)

魔道士(本当なら、あの軍の偉い人たちやココにいる人たちじゃ全然相手にならなかったはず)

魔道士(…武器のおかげとか言われてるけど、それを扱う剣士はもっともっと凄いよ…!)


剣士「…諦めて退散したら?尻尾でも巻いて逃げてみるか?」


バンシィ『…ッ』ギリッ!
 
バンシィ『…』

バンシィ『…!』ハッ

バンシィ『…ク、ククッ』ニタァッ


剣士「お?どうした、逃げ道でも見つけたか?」

985: 2014/11/05(水) 20:26:57 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『…ククク。確かニ、このマまデは負ケは必須カも知れヌ……!』

バンシィ『な、ナら。主のタめ、せメテ…!!』クワッ!!


剣士「!」

魔道士「!」


バンシィ『…氏ぬガ良イ!!』

ズッ…パァァッ!!


剣士「…黒色の槍!?面倒そうな隠し技を…!」


バンシィ『…はァッ!!!』ブンッ!

ビュオッ!!!

986: 2014/11/05(水) 20:28:34 ID:CO9K1ROQ
 
剣士「…っと、槍が…消えた!?」

魔道士「闇の中にまぎれた!目で追えない!」


バンシィ『…』ニヤッ


剣士「…ど、どこに…!俺に刺さってないっつーことは…後ろのほうか!?」バッ!

魔道士「…ま、まさかっ!」ハッ!


ビュッ…ビュオオオオッ!!!


職人エルフ「っ!?」

987: 2014/11/05(水) 20:31:17 ID:CO9K1ROQ
 
ビュオォォッ…!!
 
剣士「風を切る音が、職人のオッサンのほうに…!ま、まずいっ!!」

魔道士「狙いはあっちだったんだ!だ、だめっ!魔法が間に合わないっ!」

少女エルフ「お、おじちゃんっ~!!」


…ビュオオオッ!!

職人エルフ「う、うあああっ!!」


鍛冶長「…」

鍛冶長「やれやれ…最期まで見届けるのは、敵わなそうじゃの」


…ドンッ!

職人エルフ「は……」


…ドシュッ!…

988: 2014/11/05(水) 20:34:18 ID:CO9K1ROQ
 
バンシィ『!』

剣士「!」

魔道士「!」

職人エルフ「!」

少女エルフ「!」


ポタッ…ポタッ……

鍛冶長「……っ!!」


魔道士「あっ…!!」

剣士「じ…ジイちゃんっ!?」

少女エルフ「か、鍛冶長さんっ!!!」

職人エルフ「お……!親父ィィっ!!」

990: 2014/11/05(水) 20:36:00 ID:CO9K1ROQ
 
鍛冶長「…」


…………フラッ………


職人エルフ「お、親父っ!待っ……!!」


鍛冶長「…」


…………ドシャアッ…………

991: 2014/11/05(水) 20:37:19 ID:CO9K1ROQ
本日はここまでです。
また、今回で次回新スレとなります。

ここまでお付き合いくださった方々皆様へ、
毎度の挨拶とはなっておりますが、ありがとうございました。

992: 2014/11/05(水) 20:38:11 ID:vqT4cfvg
鍛治長…

おつかれさまでした!

993: 2014/11/05(水) 22:20:41 ID:eZOZy7Kk
じいさん格好良すぎだよ…(´Д`)

次回:

引用: 剣士「冒険物語…!」