221: 2013/08/27(火) 07:25:38 ID:uCsWD1v6
皆様、ありがとうございます。
前回:冒剣士「僕は最高の冒険者になる」【前編】

222: 2013/08/27(火) 07:26:45 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「…横にさせるところ……あった!」


…スッ

女メイジ「っ…!」


孤高騎士「キズ、見せてみろ」

女メイジ「…」ハァハァ


…ビリビリッ…


冒剣士「…」

孤高騎士「こりゃひでえ…、腕全体が熱傷してやがる…」

冒剣士「…」
葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)
223: 2013/08/27(火) 07:27:32 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「くそっ!冒剣士、バッグだ!」

冒剣士「はい!」

孤高騎士「薬草擦り付けて、ヒーリングポーションを飲ませろ!」


冒剣士「…」

…ガサガサ……


孤高騎士「俺は外を見てみる。一応敵は蹴散らしてから中に入ったから、大丈夫だとは思うが…」

冒剣士「わ、わかりました!」

224: 2013/08/27(火) 07:28:06 ID:uCsWD1v6
 
女メイジ「…ごほっ……」ハァハァ

冒剣士「女メイジ…薬草塗るよ…少し痛いかも…ごめん!」


…ゴシッ…

女メイジ「っっっ~~~!!」ブルブル

冒剣士「痛いよね…くっ…」

孤高騎士「構うな!痛くても塗れ!腕が使い物にならなくなる前に、押さえつけてでもやるんだ!」

冒剣士「…はい!」


…ゴシゴシ……

女メイジ「…っっ……」ズキズキ

225: 2013/08/27(火) 07:28:43 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「…よし…」

孤高騎士「塗り終わったら、上から包帯を巻くんだ。魔法耐性のある包帯だから、上から軽く冷やす」

冒剣士「わかりました!」


…グルグル……ギュッ…

女メイジ「…っ!」ズキン!


冒剣士「女メイジ…これ、飲めるかな。ヒーリングポーション…口、開けて…」

…キュポンッ


女メイジ「…」

……ビチャビチャッ

226: 2013/08/27(火) 07:29:17 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「孤高さん…ポーション飲んでくれません…どうすれば…」

孤高騎士「女メイジの意識が飛び掛ってるんだ…」

冒剣士「…!」

孤高騎士「口移しでもいい…とにかく飲ませろ!ちっ…敵がまた集まってきやがった…」


冒剣士「女メイジ…助けるからね…絶対に…」

…ガバッ………


女メイジ「っ…」

冒剣士「っ…」


女メイジ「…」ゴクン

227: 2013/08/27(火) 07:29:49 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「…」プハッ

女メイジ「…」ハァハァ


孤高騎士「飲んだか!?」

冒剣士「飲ませました…次にどうすれば!」

孤高騎士「氷の魔石を小さくして、包帯に着けておくんだ」

冒剣士「わかりました…!」


…ガサガサ…キラッ…

…スッ…


女メイジ「…」スゥッ

冒剣士「少しだけ、落ち着いた…かな…」

228: 2013/08/27(火) 07:30:38 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「よし…、それじゃ冒剣士、ちょっとだけこっち来て窓見てみろ」

冒剣士「は、はい…」

…トコトコ


冒剣士「…うわっ……」


ウィスプ『…』

ランタン『…』

スライム『…』


孤高騎士「ウィスプやランタンだけならマシだったが、スライムまで出てきたか…」

229: 2013/08/27(火) 07:31:27 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「スライムならなんとか…なるんじゃないですか?」

孤高騎士「そりゃ一般的な知られてるスライムならな」

冒剣士「…?」


孤高騎士「今でこそ弱くなってるが、魔界の魔力が満ちたスライムは、最前線の歩兵だったんだ」

冒剣士「そうなんですか…?」

孤高騎士「火の魔力が満ちている今、生半可じゃ倒せない相手だぞ…」

冒剣士「…」


孤高騎士「打撃じゃキズつかない、魔法以外で倒す手立てはない」

冒剣士「魔法ですか…」

230: 2013/08/27(火) 07:32:43 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「本来なら火の魔法がよく効くんだが…まさかファイアスライムとはな…」

冒剣士「倒す手立てがない…んですか」

孤高騎士「…」


…ガチャッ

孤高騎士「!?」バッ

冒剣士「誰だ!」


紅少女「…あなたたち……なぜ、ここに…」

231: 2013/08/27(火) 07:33:44 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「く…紅少女?」

孤高騎士「お前、帰ったんじゃなかったのか」

紅少女「…まさか……」

冒剣士「なんでここにいるの…?」


紅少女「…ちょっと用事」

孤高騎士「ちょっとした用事で来れる場所じゃないんだがな。聞かせてもらえないか」

紅少女「…」

孤高騎士「それに、あの魔獣や魔物は簡単に捌けるような相手じゃなかった。どうやってココまで来た?」

232: 2013/08/27(火) 07:34:31 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「…」

紅少女「それは…」

孤高騎士「…」


女メイジ「…はぁっ……はぁはぁ…」ガタンッ

冒剣士「女メイジ、気づいたの!?…動いちゃだめだ!」

女メイジ「…あ、ありがとう…ちょっとだけ…楽にな…った…」


紅少女「女メイジさん…どうしたの…?」

233: 2013/08/27(火) 07:35:12 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「ウィスプの爆発にやられたんだ。僕らも体力が限界で、ようやくここまで辿り着いた」

紅少女「…」

孤高騎士「…」


紅少女「…キズ、見せて」

冒剣士「…?」


…スッ

女メイジ「ああっ…!」ズキズキ


冒剣士「女メイジが痛がってる!やめてくれ!」

234: 2013/08/27(火) 07:36:08 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「…ダメ」

冒剣士「え?」

紅少女「ひどい…火傷で腕が…壊氏してる。このままだと…」

冒剣士「や、薬草も塗ったし、ポーションだって…。目が覚めたし…治るよ!」


紅少女「ポーションで一時的に気づいただけ…。壊氏はこの薬草じゃ治せない…」

冒剣士「…」

紅少女「壊氏した場所から…感染症になったら…すぐに終わるよ…?」


女メイジ「はぁ…はぁ…」

235: 2013/08/27(火) 07:37:00 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「じゃあ、どうすればいいんだ。お前なら、それがわかるのか」

紅少女「…」

冒剣士「…わかるの?」


紅少女「私だったら…治せる」


孤高騎士「…なんだって?」

冒剣士「ほ、本当に!?」

紅少女「…本当」

236: 2013/08/27(火) 07:37:36 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「じゃあ、お願い…治してよ…。この通り…女メイジを助けたいんだ…」

孤高騎士「…」


紅少女「別に良いよ…だけど、条件があるの…」

冒剣士「な、何!?」


紅少女「"山"を下りて」


孤高騎士「…」

冒剣士「山を…下りて…?」

237: 2013/08/27(火) 07:38:53 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「私なら…この子のキズを…すぐに治せる。変わりに、山を下りてほしい…」

冒剣士「な、なんで…?」

紅少女「…」

孤高騎士「…なんでだ」


紅少女「…言えない」

孤高騎士「言えないんじゃ、俺らもお前の事を信用できない」

冒剣士「…」


紅少女「じゃあ…勝手にして…」

…スッ……トコトコ…

238: 2013/08/27(火) 07:40:17 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「…どこに行く」

紅少女「…」


…ガチャッ…バタン…


冒剣士「どこかの部屋に…入っちゃいましたね…」

孤高騎士「…あいつ、一体なんなんだ?会った時から不思議な感じはしてたが…」

冒剣士「…」チラッ


女メイジ「…」ハァハァ

239: 2013/08/27(火) 07:41:58 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「本当に…女メイジを治せるんでしょうか…」

孤高騎士「どうだかな…、そもそも山を降りる手段なんか存在しねえよ」

冒剣士「スライム…と、敵の多さですよね」

孤高騎士「…」


女メイジ「…っ」ズキズキ


孤高騎士「…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女娘「…私、将来…パパと結婚するの!」

騎士嫁「そればっかり、ダーメ。私の素敵な旦那さんなんだから!」

男息子「へーん、パパと僕は一緒に旅に出るんだもん!」

女娘「だめー!パパを連れてっちゃいやー!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

240: 2013/08/27(火) 07:42:58 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「…」チラッ


冒剣士「…」

女メイジ「…」


孤高騎士(…今回ので軍を世間に知らしめるいい機会になると思ったんだが……くそっ!)

…トコトコ…


冒剣士「…孤高さん?」

孤高騎士「…おい、紅少女。いるんだろ」

241: 2013/08/27(火) 07:43:37 ID:uCsWD1v6
 
…ガチャッ

紅少女「…なに」

孤高騎士「本当に、山を下りるなら、女メイジを助けてくれるのか」

紅少女「約束する」


孤高騎士「…ちっ……頼む」

紅少女「…」


冒剣士「孤高さん…」

孤高騎士「大事な家族だと思って接してるお前らを、ここで氏なせる訳には…いかねえだろうが…!!」

242: 2013/08/27(火) 07:44:41 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「…」

孤高騎士「ただし、それがウソだったらお前を拘束する。何故ここにいるのか…教えてもらう」

紅少女「それはない。なぜなら…私は治せるから…」


…トコトコ……

女メイジ「…?」ハァハァ


紅少女「…」ボソボソ


…パァァッ!!

243: 2013/08/27(火) 07:45:32 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「うわっ!眩しい!」

孤高騎士「こ…こいつは……!」


…パアアアッ……シュンッ…

紅少女「…終わり」


冒剣士「え?こ、これだけ…?」

孤高騎士「今の光は…、ヒールの…最上位魔法だ。信じられん…」

冒剣士「お、女メイジは…」


女メイジ「…!」ハッ

244: 2013/08/27(火) 07:46:23 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「お、女メイジ…?」

女メイジ「腕…痛くない…、体、熱くない…」

冒剣士「…!」


…ガバッ

女メイジ「ち、ちょっと!」

冒剣士「良かった、良かった…女メイジ…!」

女メイジ「恥ずかしいから離れ…」


…ギュウウウッ

245: 2013/08/27(火) 07:47:11 ID:uCsWD1v6
 
女メイジ「…」

冒剣士「…」

女メイジ「…うん。ありがとう、冒剣士…」

…ギュッ


孤高騎士「…本当に治すとは…ありがとうよ。また、大事なものを失うところだった…」

紅少女「別に…。それじゃ、約束…」

孤高騎士「あ、あぁ…下りるよ。だけどな、俺らも登ってきたばっかで体力が…」

246: 2013/08/27(火) 07:48:03 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「…大丈夫のはず」

孤高騎士「ん?」


冒剣士「…あ、そういや、僕も腰の痛みが…」

孤高騎士「…言われれば、俺も魔力が戻って…」

女メイジ「私も…」


紅少女「…下りられるでしょ」

247: 2013/08/27(火) 07:48:36 ID:uCsWD1v6
 
孤高騎士「…本当に何者なんだ…お前…」

紅少女「それは…ナシって言ったはず」

孤高騎士「…そうだったな」


冒剣士「…紅少女、ありがとう」

紅少女「いい、早く山から下りて」


冒剣士「あ、う…うん…」

孤高騎士「それじゃ…戻るか…」

248: 2013/08/27(火) 07:49:24 ID:uCsWD1v6
 
冒剣士「…あ、そうだ…紅少女、お礼にコレでも…うわっ!」

…ドサドサッ

孤高騎士「あーあー、バッグぶちまけやがって…」

冒剣士「開けたまんまなの忘れてた…」


…コロコロ……キラッ

孤高騎士「あーあ、おいおい、ほうぎょ…いや、この玉…これは大事に持っとけよ」

冒剣士「す、すいません」


紅少女「…!」

249: 2013/08/27(火) 07:50:09 ID:uCsWD1v6
 
女メイジ「手伝うから、ちゃんとしまって…そう…」


…カチャカチャッ…

冒剣士「…ふう、ありがと。…お礼の氷の魔石をあげる。余ってるからさ…」


紅少女「…」

冒剣士「…どうしたの?」

紅少女「…」

冒剣士「おーい…」

250: 2013/08/27(火) 07:51:01 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「…った」

冒剣士「えっ?」


紅少女「…気が変わった。私が支援する。あなた達と一緒に…頂上へ行く」

冒剣士「…え!?」

孤高騎士「…気が変わった?」

251: 2013/08/27(火) 07:52:16 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「うん」

孤高騎士「…いやまあ、それは俺らとしたら…ありがたい事なんだが…」
 

紅少女「…決まり。あなた達、体力はもう…大丈夫?」


孤高騎士「問題…ないが…」

冒剣士「僕も」

女メイジ「一応…私も…」

紅少女「そう。それじゃ…、私が案内する。道はわかってるから…」


孤高騎士「…?」

冒剣士「…う、うん、じゃあスグに…いく?」

252: 2013/08/27(火) 07:53:05 ID:uCsWD1v6
 
紅少女「…行こう、早く」


冒剣士「わかった…よいしょっと…」

孤高騎士「…」


女メイジ「よろしくね、紅少女ちゃん!」

紅少女「…うん、よろしく…」


冒剣士「それじゃ武器を準備して…」チャキッ

孤高騎士「…」スチャッ

女メイジ「…」スッ

253: 2013/08/27(火) 07:53:53 ID:uCsWD1v6
 
…ギィィィ……ガチャッ…


冒剣士「行きましょう!」

孤高騎士「…一人走りしすぎるなよ、爆発をもう1度受けたら洒落にならん」

冒剣士「もちろんです」


女メイジ「気をつけます…」

紅少女「後ろ。回復は…は任せて…」


冒剣士「…よし…行きましょう」


…タッタッタッタッタ……

…………………………

254: 2013/08/27(火) 07:54:31 ID:uCsWD1v6
本日はここまでです。ありがとうございました。

264: 2013/08/28(水) 09:16:20 ID:XTjEsDuU
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

冒剣士「…だああっ!」

…ズバッ!!!


孤高騎士「やるじゃねーか…うおっ!」


ウィスプ『…』ピカッ

…ドゴォォン…!!


孤高騎士「っぶねえ、カスった!」


紅少女「…」ボソボソ

…パァァッ

265: 2013/08/28(水) 09:17:12 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「すぐにキズが癒えていく…ありがてぇ!」

紅少女「支援…任せて…」


冒剣士「って、こっちにも来たぁ!」

ウィスプ『…』ピカッ


女メイジ「…小氷結魔法!」

…キキキィン!!…カキン!!

ウィスプ『』


冒剣士「女メイジ、ナイス!」

女メイジ「任せてよ!」

266: 2013/08/28(水) 09:17:45 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「山頂までどれくらいだ!?」

紅少女「あとほんの少し…」


女メイジ「…何が待ってるんでしょうか」

孤高騎士「さあな。今までの流れからして、まともなもんじゃないのは確かだろうな…」

紅少女「…」

孤高騎士「ま、紅少女がいれば何とかなるだろう」


冒剣士「そうですね…、もう午後を回ってます。急ぎましょう」

孤高騎士「そうだな」

267: 2013/08/28(水) 09:18:31 ID:XTjEsDuU
 
紅少女「…」

冒剣士「…あ!」


ランタン『…』ボワッ!!


冒剣士「…紅少女、危ない!」

…ドォン!!


女メイジ「冒剣士!」

冒剣士「いっつ…大丈夫、紅少女は!?」

紅少女「…大丈夫」

268: 2013/08/28(水) 09:19:17 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「…うおおおっ!」ビュッ

…ズバァン!!…ドサッ


紅少女「…ありがと」

冒剣士「無事ならいいんだよ、よし…進もう」


紅少女「…なんで、助けたの?私一人でも大丈夫だっ…」


冒剣士「え…なんでって…そりゃ、仲間…でしょ?」キョトン


女メイジ「…」クスッ

269: 2013/08/28(水) 09:19:48 ID:XTjEsDuU
 
紅少女「…仲間」

冒剣士「うん。だから、気にしなくていいよ。助け合いだよ」ニコッ

紅少女「…」

冒剣士「…紅少女?」


紅少女「…何でもない。ただ、ちょっとだけ…うん…」

冒剣士「…?」

270: 2013/08/28(水) 09:20:37 ID:XTjEsDuU
 
…タッタッタッタ

孤高騎士「お!?…あれか、あそこが山頂か!?」

 
紅少女「…そう」


孤高騎士「ゴールが見えたぞ!」

冒剣士「もう少しですね…頑張りましょう」

女メイジ「はぁ…はぁ…!」

冒剣士「女メイジ、大丈夫?」


女メイジ「…うん…大丈夫……、行くわよ!」

冒剣士「…」ニコッ

271: 2013/08/28(水) 09:21:25 ID:XTjEsDuU
 
…ズゥゥン!!…グラグラ…


孤高騎士「うおっ!?」

冒剣士「なんですか!?」

紅少女「…」

女メイジ「……あれは…?」


紅少女「…スライム」

女メイジ「す、スライム…でかすぎでしょ!!ただの巨大な炎の塊に見えるんだけど!?」

272: 2013/08/28(水) 09:22:12 ID:XTjEsDuU
 
メラメラ…ゴォォォォッ……!!


孤高騎士「…あっつ!こんなに離れてても熱いって…」

紅少女「溶岩の塊みたいなの…だからね」

孤高騎士「こっちは氷属性の魔道士なんざいねーぞ…、どうやったら倒せるってんだ…」

紅少女「…」


冒剣士「ってか、そもそも近づけないですよあんなの…」

孤高騎士「打撃は効かねえ、氷魔法はねぇ、近づけねぇ…詰んでるじゃねーか」

273: 2013/08/28(水) 09:22:50 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士「…」

…ノソッ…ノソッ…


孤高騎士「足が遅いのが助かってるな…さて、どうするか」

女メイジ「…小氷結魔法!」


…キィン!!……ジュワッ…

女メイジ「うっそー…氷、一瞬で蒸発しちゃった…」

孤高騎士「あと一歩だってのに…くそ!」

274: 2013/08/28(水) 09:23:42 ID:XTjEsDuU
 
紅少女「…」

冒剣士「うーん…、孤高さん」

孤高騎士「なんだ?」

冒剣士「さっきの属性ライターって、重ね掛けできますか?」

孤高騎士「二重属性、ってことか?」


冒剣士「はい」

孤高騎士「わからんが…」

275: 2013/08/28(水) 09:24:17 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士「ちょっと試したいことがあるので、お願いできますか?」

孤高騎士「分かった。もう、お前のカタナには水属性が入ってるが…」

冒剣士「風属性お願いします」


紅少女「…?」


カチッ……ビュウッ!!


孤高騎士「うおっ!風属性ってこんな感じになるのか」

冒剣士「…よし、刀身の上に纏わりついてるから、水属性と反発しませんね」

276: 2013/08/28(水) 09:25:05 ID:XTjEsDuU
 
女メイジ「それで、どうするつもり?」

冒剣士「魔法って、イメージと技術を上手く合致させて発動するんだよね」

女メイジ「そう、だけど…」


冒剣士「出来るか分からないんだけど、ちょっと危ないかもしれないから離れてて…」


全員「?」

…スッ

277: 2013/08/28(水) 09:25:35 ID:XTjEsDuU
 
スライム『…』ゴォォォ

冒剣士「…」

…チャキッ


孤高騎士「そんな所で構えても、届かないぞ?」

冒剣士「…」

女メイジ「…?」


冒剣士「…おりゃあああっ!」

ビュンッ!!

…ギュンッ…!!!ゴォォォォッ!!

278: 2013/08/28(水) 09:26:13 ID:XTjEsDuU
 
女メイジ「氷の刃が飛んだ!?」

冒剣士「…!上手くいった!…けど」

孤高騎士「擬似的に氷結刃を作ったのか…、良い考えだな…だが…」

紅少女「ライター程度の魔力じゃ…」


…キキィン!!…ジュワッ…


冒剣士「くっそ…ダメか…」

紅少女「…」

279: 2013/08/28(水) 09:26:55 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「…考えは良かったんだが」

冒剣士「水属性って、炎みたく燃える水、みたくなりませんかね…」

孤高騎士「…ん?」

冒剣士「いやー…本当は、風と水をあわせれば、氷結旋風が出来るかなとか思ったんですけど…」


孤高騎士「氷結旋風…」

冒剣士「ここは岩壁もありますし、気流の変化でなるかなーとか思ったんですが…」


紅少女「…魔法の状態変化は、かなり難しい」

280: 2013/08/28(水) 09:27:30 ID:XTjEsDuU
 
スライム『…』ゴォォォッ

…ピョンッ


孤高騎士「…!?」

冒剣士「と、飛んだー!?」

女メイジ「ちょっ…」

紅少女「…」


…ダァン!!!…グラグラグラッ!!


孤高騎士「うおお、揺れる!」

281: 2013/08/28(水) 09:28:53 ID:XTjEsDuU
 
…パラッ

冒剣士「…ん?」チラッ

…ゴロゴロゴロ!!


冒剣士「落石…!?紅少女、女メイジ、危ない!」

ドンッ…ゴツンッ!


紅少女「…っ!」

女メイジ「冒剣士!何するの…って、大丈夫!?」

冒剣士「…だ、大丈夫、それより落石が!」フラフラ


孤高騎士「防御しながら下がれ!こっちは女メイジを守る!」

冒剣士「く…分かりました、紅少女はこっちに!」


紅少女「…わかった」

282: 2013/08/28(水) 09:29:52 ID:XTjEsDuU
 
…キィン!!…ゴロゴロ……キィン!!

……パラパラ…


冒剣士「…ふう」

孤高騎士「…なんとかなったな」

紅少女「…ヒール」

…パァッ!!


冒剣士「…ありがとう!」

紅少女「…別に」

283: 2013/08/28(水) 09:30:35 ID:XTjEsDuU
 
女メイジ「で、どうしますか…スライム」

紅少女「…」


冒剣士「…あと一歩だってのに…」
 
 
紅少女「…何とかならないことも…ない」

冒剣士「…え?」

紅少女「…」


孤高騎士「…何か案があるのか?」

紅少女「…」

女メイジ「な、何!?紅少女ちゃん、教えて!」

284: 2013/08/28(水) 09:31:23 ID:XTjEsDuU
 
…グラグラッ…


孤高騎士「んお…また揺れが…」

冒剣士「…あ」

孤高騎士「どうした?」

冒剣士「…あれ」


孤高騎士「?」チラッ

285: 2013/08/28(水) 09:31:56 ID:XTjEsDuU
 
スライム『…』ゴォォォ

スライム『…』ゴォォォ


女メイジ「で、出口側にもスライムが…」

孤高騎士「あつっ…、おい、洒落にならんぞ…」

冒剣士「挟まれましたね…近づかれたら…」


孤高騎士「…、紅少女、頼む、この場を切り抜ける手立てがあるなら教えてくれ」

紅少女「…予定と違ったけど、これならあっちしかない…」

286: 2013/08/28(水) 09:32:37 ID:XTjEsDuU
 
紅少女「…く」ボソボソ

冒剣士「…聞こえなかった、もう1度お願い」


紅少女「…宝玉」


孤高騎士「!」

冒剣士「!」

女メイジ!」

287: 2013/08/28(水) 09:33:49 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「お前…さっきの玉が宝玉だって…知ってたのか?」

紅少女「…知ってた」

孤高騎士「…なんで知ってるんだ」

紅少女「…」


冒剣士「…」

紅少女「…」

孤高騎士「また、だんまりか…」

288: 2013/08/28(水) 09:34:20 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士「…そんなことより、このままじゃ本当に氏んじゃいますよ!」

孤高騎士「…っ!わかった、もう何も聞かん…、だから、どうにかしてくれ!」


紅少女「…宝玉、出して」

冒剣士「わ、わかった!」


…ガサガサッ……コロン

紅少女「…」

冒剣士「はい、これ…どうするの?」スッ


紅少女「…」

289: 2013/08/28(水) 09:34:56 ID:XTjEsDuU
 
孤高騎士「…」


スライム『…』ジリッ

スライム『…』ジリジリ…

ゴォォォ…


女メイジ「…」ブルッ


紅少女「…」

冒剣士「…」

290: 2013/08/28(水) 09:35:43 ID:XTjEsDuU
 
紅少女「封印を…解く」

冒剣士「…!」

紅少女「それしか、ない。良い?」


冒剣士「なんでそれに封印がされてるって…」

紅少女「私は魔法が得意…、だから分かる。封印も解ける」

冒剣士「で、でもそれは…」


紅少女「…ここで全員、蒸し焼きになって氏にたいなら、別にいい」

291: 2013/08/28(水) 09:36:23 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士「…」チラッ

孤高騎士「…任せるぜ、冒剣士」ニカッ

女メイジ「私たちも、覚悟は出来てる。人類の遺産なんでしょ…?アナタに任せる」グッ


冒剣士「…っ」

紅少女「…どうするの」

冒剣士「…」

紅少女「もう、時間がない」

292: 2013/08/28(水) 09:37:07 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士(仲間…皆…、人類の遺産…、謎の封印…)

紅少女「…」


冒剣士(本当に解いてもいいんだろうか…いいのか…?)

女メイジ「冒剣士…」


冒剣士(何もしなければ氏ぬ……これを巡って何か…くっそ……)

孤高騎士「…冒剣士」


冒剣士「…」スゥッ…

紅少女「…」

293: 2013/08/28(水) 09:38:09 ID:XTjEsDuU
 
冒剣士「…決めました」

紅少女「…」

孤高騎士「…」

女メイジ「…」


冒剣士「封印を、解いて」

300: 2013/08/29(木) 09:36:01 ID:jNEObuSE
 
紅少女「…わかった」

孤高騎士「決めたんだな」

冒剣士「はい。確かに何が起こるかは分かりません…ですが…」


女メイジ「…」

冒剣士「…」


孤高騎士「大丈夫だ。分かってる」

女メイジ「…うん」

301: 2013/08/29(木) 09:36:36 ID:jNEObuSE
 
紅少女「…」ボソボソ

…バシュウ!!

紅少女「…!」


冒剣士「うわっ!」

孤高騎士「な、なんていう魔力…!」

女メイジ「目に見える魔力なんて…!」

302: 2013/08/29(木) 09:37:16 ID:jNEObuSE
 
…ギュゥゥゥゥ…!!


紅少女「…っ!」

冒剣士「…」

孤高騎士「…」

女メイジ「…」


…スゥッ……

女メイジ「光が消えた…」

303: 2013/08/29(木) 09:38:17 ID:jNEObuSE
 
紅少女「…これで封印は解けた」

冒剣士「こ、こんなアッサリ?」

紅少女「古い術式だから…ね。それより、持ってみて…」


…コロッ


冒剣士「…っ!!」


…ゴォォォォォッ……

冒剣士「…」

女メイジ「…冒剣士?」

304: 2013/08/29(木) 09:38:47 ID:jNEObuSE
 
紅少女「暁の記憶…、古き魂」

孤高騎士「…?」

紅少女「今、冒剣士の心に、技術が授けられている。失われた技術、古代の魔力…」

女メイジ「ちょっ…それって大丈夫なの…!?」

紅少女「…」


冒剣士「…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魔法…
古代…秘術……
歴史………記憶…
暁………力……魔力……世界…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

305: 2013/08/29(木) 09:39:24 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
力が欲しいのか…
お前の思い…しかと受け取った…

授けよう…そして、もう1つの鍵を…解くがいい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


冒剣士「…」ハッ

女メイジ「…冒剣士、大丈夫!?」

冒剣士「…こ、これは…」


紅少女「今なら、倒せる?」

冒剣士「…紅少女、コレ、持ってて」コロッ

紅少女「…」

306: 2013/08/29(木) 09:40:35 ID:jNEObuSE
 
女メイジ「…」

孤高騎士「…」


…チャキッ

冒剣士「…」ググッ


スッ…ズバァッ!!!

……ギュン…ギュンギュン!!!

307: 2013/08/29(木) 09:42:08 ID:jNEObuSE
 
孤高騎士「!」

女メイジ「さっきのと威力も全然違う!?」

孤高騎士「これは…氷結…旋風!?」


グングングン……ゴォォォォッ!!


冒剣士「…っ」

孤高騎士「…本当に燃え上がる氷だな…これが宝玉の力なのか…?」

308: 2013/08/29(木) 09:42:40 ID:jNEObuSE
 
女メイジ「熱さより冷たさが体を覆う…」ブルッ


スライム『!!』

…ドォォォンッ!!ベシャァッ!!


孤高騎士「スライムが一撃で潰れた!」

女メイジ「これが…宝玉の力なんだ…」

紅少女「正確にいえば…宝玉は魔力の糧。技術の種。使えるかどうかは…冒剣士次第だった」

309: 2013/08/29(木) 09:43:28 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「…」

女メイジ「…もう、冒剣士はその"力"を手に入れたの?」

紅少女「いや…魔力は一時的なものだと…思う。ただ…技術の種のほうは…記憶に植え付けられた…」


冒剣士「…」

女メイジ「…冒剣士…」

冒剣士「…大丈夫。僕は僕のまま。それより、もう1匹のスライムを…」キッ

310: 2013/08/29(木) 09:44:26 ID:jNEObuSE
 
孤高騎士「…」

冒剣士「…」

スチャッ…


…ズバァ…!!!ゴォォォォ!!!


スライム『』ベシャアッ!!


…ドシャッ


冒剣士「…ふぅ」チャキン

311: 2013/08/29(木) 09:45:00 ID:jNEObuSE
 
孤高騎士「…よし」

女メイジ「…やった」ヘナヘナ

紅少女「…ご苦労様」

冒剣士「…うん」
 
 
孤高騎士「体、なんともないか?」

冒剣士「大丈夫…ただ、一気に記憶を入れられて…クラクラします」

孤高騎士「知識…?」

冒剣士「歴史っていうんですかね…なんか、不思議な感じです。今ならどんな技術でも使える気がします」

312: 2013/08/29(木) 09:45:35 ID:jNEObuSE
 
孤高騎士「はははっ、そりゃ結構だ!」ポンポン

冒剣士「それと…気になることが」

女メイジ「どうしたの?」


冒剣士「…知識の渦の中で、確かに人の声がしました」

孤高騎士「俺らの声じゃなくてか?」

冒剣士「いいえ…、鍵…とか…、なんとか…」

孤高騎士「…鍵?」


紅少女「…」

313: 2013/08/29(木) 09:46:39 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「いえ、気のせいだと思います」

孤高騎士「それなら良いんだがな…」

紅少女「…」


女メイジ「それじゃ…頂上、あと一歩…行きますか?」

孤高騎士「そうだな…」

紅少女「…行こう」


冒剣士「うん」


紅少女「…」

314: 2013/08/29(木) 09:47:24 ID:jNEObuSE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・・
・・

315: 2013/08/29(木) 09:48:06 ID:jNEObuSE
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【豪火山・頂上】

…パチパチ……ゴォォォ…


孤高騎士「うっぷ…!」

女メイジ「今までの非じゃない…何この熱さ…焼ける…」

冒剣士「…抵抗魔法!」ピカッ


孤高騎士「…お?」

女メイジ「…!」

316: 2013/08/29(木) 09:48:47 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「これで少しはマシになったかな…」

女メイジ「な、なーんか…私より魔道士っぽい魔道士なんだけど…」ジロジロ

冒剣士「あ、あはは…」


女メイジ「あーあ、私も宝玉を使って強くなるかなー!」

孤高騎士「はっは…って、お前宝玉はどうした?」


冒剣士「あ…、そうだ、紅少女に預けました。紅少女ー…?」


…シーン

317: 2013/08/29(木) 09:49:43 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「く、紅少女は!?」

女メイジ「え…あ、あそこに!」


紅少女「…」


孤高騎士「何してるんだ…?」

紅少女「皆さん…まだ、山は下りませんか…?」


孤高騎士「…?」

女メイジ「また…?どうして、そんなに下りてほしいの!?」

318: 2013/08/29(木) 09:50:19 ID:jNEObuSE
 
紅少女「出来れば…やさしい皆さんを…、そして…あの方を…守ってあげたかったんです」


冒剣士「ど、どういうこと!?」

紅少女「ですが…宝玉があった事で、考えが変わりました」

冒剣士「…」


孤高騎士「口調が変わった…」

319: 2013/08/29(木) 09:51:11 ID:jNEObuSE
 
紅少女「すいませんでした。遅すぎた」

冒剣士「…?」


紅少女「…プロメテウス様」

…ドゴォン!!!!

…グラッ…グラグラグラ!!!


冒剣士「なんだ!?」

孤高騎士「あの巨岩が割れるぞ!」

女メイジ「今度は何!?」

320: 2013/08/29(木) 09:51:49 ID:jNEObuSE
 
…バキバキッ……ドォォン…


紅少女「…お目覚めになりましたか」

プロメテウス『…』


冒剣士「な、何だあれ!?」

孤高騎士「頭いてぇぜ…。二度あることは三度あるってよく言ったもんだ」

女メイジ「あれは…なんですか?」

321: 2013/08/29(木) 09:58:41 ID:jNEObuSE
 
孤高騎士「プロメテウス…火族の精霊の最高位…」

女メイジ「…なんで、そんなやつが紅少女ちゃんと…?」

孤高騎士「…わからん」


紅少女「…」スッ

プロメテウス『…オマエは…』

紅少女「プロメテウス様の魔力で、私たちは再びこの地へ蘇ることが出来ました」

322: 2013/08/29(木) 09:59:24 ID:jNEObuSE
 
プロメテウス『…』

紅少女「あなたが眠りになっていた間の事、お覚えになってますか?」

プロメテウス『…』

紅少女「…」


プロメテウス『…なぜ人間のスガタをシテイル?』

紅少女「…こ、これは……」チラッ


冒剣士「…?」

323: 2013/08/29(木) 10:01:40 ID:jNEObuSE
 
紅少女「…分かりました」

…パァァッ……


サラマンダー『…これで、宜しいでしょうか』


冒剣士「!」

孤高騎士「あいつ…サラマンダー…だったのか…」

女メイジ「…そんな…」

324: 2013/08/29(木) 10:02:24 ID:jNEObuSE
 
プロメテウス『ワガ復活の前、何がアッタ。なぜ、ワレの中にヒトの魔力が宿っている?』

サラマンダー『…』

プロメテウス『…』


サラマンダー『…お覚えになっていませんか。軍の調査部隊が訪れ、我らがその調査隊を拘束しました』

孤高騎士「…」

サラマンダー『その軍人らが命乞いし、プロメテウス様は代わりに地元の町の人間を捧げるように…』


孤高騎士「…な」

325: 2013/08/29(木) 10:02:55 ID:jNEObuSE
 
サラマンダー『軍はそれを快諾し、調査隊が戻った後、軍は町を閉鎖。そこにプロメテウス様の部下が向かいました』

プロメテウス『成るホド。その時のマリョクを我がカラダに宿し、目覚めた…という訳か』

サラマンダー『…そうです』


孤高騎士「軍が……裏切りやがったのか…また!」ドクン

冒剣士「信じられない…」

女メイジ「そんな…」

孤高騎士「そのクソ共が裏切らなければ…、あの町人は…あの子供は…氏ななくて…済んだ…ということか…!」ドクン

326: 2013/08/29(木) 10:03:33 ID:jNEObuSE
 
サラマンダー『…』

プロメテウス『……所デ、あそこにイル、人間ドモは何だ。我の食事か?』

サラマンダー『!』


冒剣士「…!」チャキッ

孤高騎士「…」スチャッ

女メイジ「!」スッ


サラマンダー『い、いえ…違います!プロメテウス様の復活を…お手伝い下さった人間です!』

327: 2013/08/29(木) 10:04:07 ID:jNEObuSE
 
プロメテウス『我が目をミロ』

サラマンダー『…』

プロメテウス『キサマ、イツから我に嘘をツクようになった?』

サラマンダー『そ、そんなことは…!』


プロメテウス『ならば、コロセ』

サラマンダー『…はっ?』

プロメテウス『コロセ。それでキサマの真実を、証明してミセロ』

328: 2013/08/29(木) 10:04:55 ID:jNEObuSE
 
サラマンダー『…』チラッ

冒剣士「…」


プロメテウス『…』


孤高騎士「…来るか?」スチャッ

冒剣士「紅少女…」


サラマンダー『わ…私は…』

329: 2013/08/29(木) 10:05:49 ID:jNEObuSE
 
プロメテウス『…』

サラマンダー『貴方と…、一緒に無事に魔界へと帰りたかっただけです…』


プロメテウス『…』

サラマンダー『ただでさえ今は人間の天下。暴れれば、今度は貴方は封印ではなく、殺されてしまう…!』


プロメテウス『…』

サラマンダー『お願いします…帰る手立ては見つかりました…だから、事を荒立てず…一緒に、帰りましょう…』

330: 2013/08/29(木) 10:06:42 ID:jNEObuSE
 
プロメテウス『…オマエの気持ちはワカッタ』

サラマンダー『そ、それじゃ…!』ホッ


プロメテウス『その様な魔族、部下にすらいらん』

サラマンダー『!』


…ズバァッ……ドシャッ…

サラマンダー『…プ…プロメテウス…様…』


冒剣士「く、紅少女!!」

女メイジ「紅少女ちゃん…!!」

331: 2013/08/29(木) 10:08:02 ID:jNEObuSE
 
…ボトッ…ドサッ……

…コロコロ………キラッ


冒剣士「…っ!」ダッ

女メイジ「あっ、待って!」


冒剣士「紅少女、なんで……!」

サラマンダー「…ごほっ」

冒剣士「…」

サラマンダー「…」

332: 2013/08/29(木) 10:09:22 ID:jNEObuSE
 
女メイジ「なんで…一体あなたは…何であそこにいたの?町を襲ったのはあなただったの?」

サラマンダー「違う…」

女メイジ「…」

サラマンダー「私の予想では…静かに事を運ぶつもりだった…」ゴホッ


孤高騎士「ふん、結局お前らは人を頃してるだろうが!」

サラマンダー「そんなつもり…なかった。軍人を拘束したのも…、すぐに帰すつもりだった…」

孤高騎士「…」

333: 2013/08/29(木) 10:11:44 ID:jNEObuSE
 
サラマンダー「軍人が勝手にしゃべりだして…、それを聞いた他の魔族は勝手に暴れて…止める事ができなかった…」

孤高騎士「あ?さっきはプロメテウスが脅したと…」

サラマンダー「貴方の心は軍を恨んでた……だから、できる…だけ、傷を負わせたくなかった…」

孤高騎士「…」

334: 2013/08/29(木) 10:12:23 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「紅少女は…なぜあそこに…?」

サラマンダー「他の魔族を止めに…そして、出来るだけ…助けようとした…だけど…遅かった…」


女メイジ「紅少女ちゃん、ヒールして!自分を治すのよ!!」

サラマンダー「…それは出来ない……」

女メイジ「なんで!!」


プロメテウス『ふっ…私には逆らえる訳がないからな。そのまま氏ぬがいい、愚族が」

サラマンダー「…プロメテウス…様…」

335: 2013/08/29(木) 10:13:03 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「だめだ!氏んだら何にもならないよ…生きて!」

サラマンダー「…あなたのせい…」

冒剣士「えっ…僕の…?」

サラマンダー「あなたの言った…助け合いって…いうの…かな…?長い間、眠ってて……優しさと会えて…嬉しかった…」


女メイジ「それはプロメテウスに対しての裏切りじゃないの!?だったら、ヒール使ってよ!!」

336: 2013/08/29(木) 10:14:57 ID:jNEObuSE
 
サラマンダー「…ありがとう…」ニコッ

冒剣士「…紅少女!!」


サラマンダー「…」


女メイジ「…あ……」

冒剣士「紅…少女……」

孤高騎士「…」

337: 2013/08/29(木) 10:16:05 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「…」ブルブル

プロメテウス『さて…私は腹が減っている。そこの人間共、私の胃袋に納まるがいい』

冒剣士「…なぜ、頃した」


プロメテウス『む?…部下には必要ないと思ったからな。あのような愚族、いらぬ』

冒剣士「…お前…」

プロメテウス『ふはははは!』

338: 2013/08/29(木) 10:16:55 ID:jNEObuSE
 
冒剣士「…」ギリッ

プロメテウス『なんだその眼は?人間は我の力の前に、ただただ悲鳴をあげればいいのよ!』

冒剣士「…」

プロメテウス『人間の悲鳴は、いつ聞いても気持ちいいものだ…。サラマンダーのは笑えただけだったがな?』


冒剣士「…」

プロメテウス『…さあ、お前らはどんな声で鳴いてくれるのか…聞かせてもらおうか?』

339: 2013/08/29(木) 10:17:27 ID:jNEObuSE
 
…コロコロ…

冒剣士「…宝玉……!」

スッ…

……ドクン…ドクン……ドクンッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勝ちたいか?教えてやろう…もう1つの鍵を…力を…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴォォォッ…!!!


冒剣士「…」

女メイジ「な、なんて魔力…!」

孤高騎士「…冒剣士」


冒剣士「お前を…倒す!」

340: 2013/08/29(木) 10:18:24 ID:jNEObuSE
本日は終了です。ありがとうございました。

348: 2013/08/30(金) 08:35:47 ID:TeWV/MUM
 
プロメテウス『う、うははは!貴様のような人間のガキに、私を倒す事など出来るものか!』

冒剣士「どうかな…やってみなければ…分からない!」


…ダダダダッ!!

プロメテウス『ほう、中々の早さだな…だが…極火炎魔法…!』


ピカッ…ゴォォォォッ!!!!ドゴォォォォォン!!!


プロメテウス「我が紅蓮の炎に焼かれるがよい!』

349: 2013/08/30(金) 08:36:18 ID:TeWV/MUM
 
…ゴォォォ…

女メイジ「ぼ…冒剣士…」

孤高騎士「いや…まだだ…」

 
冒剣士「こんな程度…じゃ、僕は倒せない…」

プロメテウス『な、何!?』

冒剣士「極氷結魔法!』


…カキン…カキン!!カキン…キキキキキィン!!!

冒剣士「あああああっ!」

プロメテウス『なんという魔力…、くっ…極抵抗魔法!』

350: 2013/08/30(金) 08:37:15 ID:TeWV/MUM
 
……カキィィン………ボトッ…

冒剣士「…」

プロメテウス『ぐ…』

冒剣士「…やっぱりね。全体で効くとは思わなかったから、腕だけ狙わせてもらったよ」


プロメテウス『き、貴様ぁ…』

冒剣士「…やっぱりその程度じゃ…"俺"は倒せないよ?」

プロメテウス『…』

351: 2013/08/30(金) 08:37:51 ID:TeWV/MUM
 
女メイジ「こ、孤高さん、冒剣士…大丈夫なんでしょうか。様子が…」

孤高騎士「…宝玉に飲み込まれているのかもしれないな…」


冒剣士「さあ、次だ。立ち上がって、彼らの痛みは"こんなもの"じゃないよ」

プロメテウス『人間風情が…しねえぇ!』

冒剣士「遅いよ…」


…ズバァッ……ドサドサッ


プロメテウス『がああああっ!』

冒剣士「へえ…、魔族も体は人間に近いんだね。これ…何?」グイッ

352: 2013/08/30(金) 08:38:24 ID:TeWV/MUM
 
ドリュッ…

プロメテウス『ぬああ…!』

冒剣士「…切ってみようよ」

…ズバッ…ドシュッ……ポタポタ…


プロメテウス『…ぐ……あ…』


女メイジ「…も、もう…やめて…」


冒剣士「じゃ、次はこうしよう」

プロメテウス『や…め…』

…ドスッ…

353: 2013/08/30(金) 08:39:07 ID:TeWV/MUM
 
女メイジ「お願い!もうダメ…、冒剣士、そこまでにして!」ガシッ

冒剣士「…女メイジ、ダメだよ。こいつはたくさんの人を頃した。だから、その報いは受けてもらわないと…」

女メイジ「…だめ!そんな事ばっかりしたら…あなたが…堕ちてしまう…」

冒剣士「…だから?僕は、氏んだ人たちの気持ちを表して…」


…ギュッ…

女メイジ「だめ…なの。だめなの…冒剣士、お願い。正気に戻って」グスッ

冒剣士「…」

女メイジ「…冒剣士…」

354: 2013/08/30(金) 08:39:58 ID:TeWV/MUM
 
パッ……コロン…コロンコロン…

冒剣士「…女メイジ?」ハッ

女メイジ「…冒剣士!」


冒剣士「ど、どうしたの…泣いて…」

女メイジ「う、ううん……いいの、いいから…気にしないで…」


冒剣士「…ってプロメテウス!?な、何これ!?」

女メイジ「…」グスッ


孤高騎士「やれやれ…一件落着なのか…?」ハァ

355: 2013/08/30(金) 08:40:29 ID:TeWV/MUM
 
…オイ

孤高騎士「…ん?」

…ダヨ…オマエダヨ…


孤高騎士「どこだ…?誰だ?」

…ココダヨ

孤高騎士「ここって…」チラッ


…コロコロ…キラッ

356: 2013/08/30(金) 08:41:03 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「宝玉…?」

…オレヲ、ヒロイアゲルンダ


孤高騎士「何でだ」

…アノショウネンデハ、ワタシヲ、ツカウコトハ…デキナカッタヨウダ

孤高騎士「…」

ニクシミガ…タリヌ…


孤高騎士「…」

サア…ヒロイアゲロ…チカラヲヤロウ…!!


……スッ

357: 2013/08/30(金) 08:42:09 ID:TeWV/MUM
 
冒剣士「…女メイジ…ありがとう」

女メイジ「ううん…いっつも助けてくれてばっかで…少しは役に立てた…のかな?」

冒剣士「もちろん…うん」


女メイジ「よかった…」エヘヘ

冒剣士「…あれ?宝玉は?」


女メイジ「さっきそっちに転がって…あ、孤高さんが持ってる」

冒剣士「孤高さーん!」

358: 2013/08/30(金) 08:42:39 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「…」


冒剣士「…孤高さん?」

女メイジ「な…何、この感じ…」ゾクッ

孤高騎士「…」


冒剣士「…孤高さん……?」

359: 2013/08/30(金) 08:44:07 ID:TeWV/MUM
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
孤高騎士「お前、何者だ」

宝玉「私はただの魔力の塊、宝玉さ」

孤高騎士「宝玉がしゃべるかよ」

宝玉「まあ確かにね。君は、力が欲しいんだろう?」

孤高騎士「力…?」


心の奥底から聞こえるぞ…
君の望む声が…、怨念が…、恨みが…、闇が…!!
そして、愛する者を失った…"復讐心"!!

孤高騎士「やめろ…俺の頭の中を覗くな!」


大丈夫、遅すぎることはない。
私が全て受け入れ、君の代わりとなり復讐を果たしてやろう…
力を与えよう…、さあ…、こっちを見て…

孤高騎士「…っ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

360: 2013/08/30(金) 08:45:39 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「…成るほど」

 
冒剣士「孤高…さん…?」


孤高騎士「成るほど成るほど成るほど…成るほど……成るほど!!」

女メイジ「…!」ビクッ


孤高騎士「これは…面白い…、これは…良い…」

冒剣士「孤高さん!どうしたんですか!」

孤高騎士「…」クルッ


女メイジ「えっ!」

冒剣士「孤高さん…なんですよね…?」

361: 2013/08/30(金) 08:46:24 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「…そうだが?」


女メイジ「な、なんか…違う…」

冒剣士「…」ゴクッ

孤高騎士「ふむ?ああ、そうか…成るほど」


女メイジ「どうしたん…ですか…」

冒剣士「孤高さん…なんですよね!?!?孤高さん!!」

362: 2013/08/30(金) 08:46:58 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「…」スッ


女メイジ「!」

冒剣士「な、何を…」


孤高騎士「…波動……」ブワッ!!!


……ドゴォォォ…

女メイジ「きゃああっ!」

冒剣士「うわああっ!」

363: 2013/08/30(金) 08:47:56 ID:TeWV/MUM
 
…ゴロゴロ……ドン!!

冒剣士「いっつつ…、女メイジ、大丈夫!?」

女メイジ「何とか…かすり傷…」


孤高騎士「素晴らしい…くく…ハハハハハ!!」


冒剣士「何で…なんでだよ…今度は何だよ…全部終わったと思ったのに…」

女メイジ「…孤高さんまで宝玉に飲み込まれるなんて……」

冒剣士「こうなることも…フィルボルグさんはわかっていたの…?」


孤高騎士「この力なら…できるか…?軍を潰せるか…?」

364: 2013/08/30(金) 08:48:27 ID:TeWV/MUM
 
冒剣士「…こんな運命だったら…僕は…受け入れたくない!」

女メイジ「…」


孤高騎士「…ふむ。冒剣士、女メイジ……」

冒剣士「…」

女メイジ「…」


孤高騎士「今回の事で、軍がどれほど腐ってるか…分かっただろう?」

冒剣士「…」

366: 2013/08/30(金) 08:50:12 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「俺の家族を失わせ、民を捨て、自らだけを救う…そういう連中だ…。お前らも…俺と一緒に来い…!」

女メイジ「…え?」

冒剣士「…」


孤高騎士「一緒にこの世界に復讐しよう…、この世界を握ろう…そうだ…それがいい…世界を掌握…するんだ…」

冒剣士「…っ」

孤高騎士「…これでは人類の敵か…?まるで魔王…そうか…俺が…再び…災厄の王、魔王となる…悪くない…」


冒剣士「…そ、そんな…」

女メイジ「嫌ぁ!」

367: 2013/08/30(金) 08:51:06 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「東方には、こういう言葉があったな…そうだ、俺は…"第六天魔王"となる…いいんじゃないか…?」ハハッ


冒剣士「…」

女メイジ「…もう、何もかも嫌…」


孤高騎士「世界を変えよう…、言ってくれただろ…?俺じゃない、"俺ら"だってな…」

冒剣士「…」

女メイジ「…」


孤高騎士「手を握れ…俺と一緒に…来い!」スッ

368: 2013/08/30(金) 08:53:03 ID:TeWV/MUM
 
冒剣士「…」

女メイジ「…」


…スッ……


孤高騎士「そうか…一緒に来るか…!?」

…バシッ!!

孤高騎士「…」


冒剣士「僕は…あなたとは行かない」キッ

女メイジ「私も…行きません」

369: 2013/08/30(金) 08:53:52 ID:TeWV/MUM
 
孤高騎士「…」ドクン


冒剣士「…」

女メイジ「…」

孤高騎士「…」ドクン…ドクン…


冒剣士「…」


孤高騎士「…そうか。残念だ…ならば…」スッ

…ブワッ!!!

370: 2013/08/30(金) 08:54:41 ID:TeWV/MUM
 
冒剣士「…女メイジ、ごめんね…守ってあげられなかった」ギュッ

女メイジ「…冒剣士…ううん。そんなことない…」ギュッ


…ゴォォォォォォッ!!!

冒剣士「…」

女メイジ「…」

371: 2013/08/30(金) 08:55:37 ID:TeWV/MUM
 

………
…………
……………キキキィン!!!!

孤高騎士「…む?」


???「良く、言ったぞ。冒剣士」


冒剣士「…え?」


……スタッ…

…スタッ……タン!!…タン!!…


???「すまない、君たちの後の船に乗ったんだが、事故があって遅れてしまったんだ」

???「ちょっとケガしてるけど、大丈夫!?後で治してあげるから、我慢しなさいよ!」


冒剣士「…っ!」 
 
女メイジ「み…皆さん…!!」

372: 2013/08/30(金) 08:56:07 ID:TeWV/MUM
 
オーナー「…待たせたね」

聖剣士「…よく、頑張ったよ」


僧侶戦士「…やはりこうなったか」

武道家「…よっ、初めましてだな」


吟遊詩人「…ケガ、大丈夫?」

魔法使い「…後は、私たちに任せなさい」



オーナー「…孤高騎士……こんなことになって…残念だ…」

380: 2013/08/31(土) 09:50:26 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「これはこれは…英雄剣士とそのご一行様!」

オーナー「…」チャキッ

孤高騎士「おぉ怖い怖い…、怖い怖い…、それで俺の体を切り刻むつもりか…?」


聖剣士「兄さん、もう彼は…」

オーナー「分かってる」


魔法使い「…支援するわよ。勝負は一瞬で決める」

吟遊詩人「はい!」

381: 2013/08/31(土) 09:50:56 ID:iY06alOQ
 
魔法使い「…極攻撃増大魔法!極抵抗魔法!」ピカッ

吟遊詩人「衝撃軽減波動!」ギュゥゥゥン


聖剣士「…あああっ!聖斬っっ!」

オーナー「竜波動!」

武道家「特掌底波ァ!!」

僧侶戦士「…特斬っ!」


…ズバァ!!!ドゴォン!!!ブワッッ!!!

382: 2013/08/31(土) 09:51:34 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「…っっ!」


冒剣士「孤高さん…」

女メイジ「…」


孤高騎士「…」ニタッ


オーナー「な…に…!」

孤高騎士「…はぁっ!!」ブワッ

383: 2013/08/31(土) 09:52:08 ID:iY06alOQ
 
…ドォォォォッ!!!


聖剣士「くううっ!」

吟遊詩人「くっ…」

魔法使い「なんて力…!」


武道家「おいおい、あんなヤベーヤツだって聞いてねーぜ」ググッ

僧侶戦士「なんつう…」


孤高騎士「…なんだ?今の世界のエースは、こんなものなのか…?」

384: 2013/08/31(土) 09:52:43 ID:iY06alOQ
 
オーナー「…君は、孤高騎士…なのか?」

孤高騎士「ふ…肉体はな」

オーナー「君の"中身"は一体誰なんだ…」


孤高騎士「冥土の土産に教えてやろう。私は"堕落魔道"。聞いたことくらいは…あるんじゃないか…?」

女メイジ「堕落魔道!?」

魔法使い「堕落…魔道!?」


オーナー「…」

385: 2013/08/31(土) 09:53:33 ID:iY06alOQ
 
魔法使い「そんなハズはない!魔法の始祖…彼は大昔に闇に堕ちて、処刑されたはず!」

孤高騎士「…ああ、されたね。いや…されたんだろう」

魔法使い「どういうこと…」


孤高騎士「正確に言えば、私は堕落魔道の人格だ。本体が処刑される前に、宝玉に魔力と人格を封印したのだ」

魔法使い「そんな事できるわけが!」

孤高騎士「出来たんだよ…、私はな…」

386: 2013/08/31(土) 09:54:04 ID:iY06alOQ
 
オーナー「そうか…その魔力も、しゃべってるお前自身も…その堕落魔道ってわけか…」

孤高騎士「いかにも…」

オーナー「孤高騎士の人格、意識はどうした」

孤高騎士「私と入れ替わり、その宝玉の中へと閉じ込めた。もう、助け出す手段はないぞ…?」ククク


冒剣士「孤高さん…」

女メイジ「そん…な…」

冒剣士「お前の目的は…何なんだ…」

387: 2013/08/31(土) 09:55:10 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「人類への復讐。それだけだ。私は堕落魔道の意思そのもの」

オーナー「…」

孤高騎士「…丁度、恨みを持った人間のお陰で、2つ目の鍵を解くことができたのだ…」ギロッ


冒剣士「僕の…せい…」

孤高騎士「だが、それは思ったほどではなかったようだ。元々目をつけていたのが…この男よ…」

冒剣士「…」


孤高騎士「家族を失い、人を失い、そして最後は仲間に手を切られた!」

冒剣士「…さっき、僕が…手を…弾いた…から…?」

388: 2013/08/31(土) 09:55:41 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「その瞬間、残っていたわずかばかりの男の人格は失われ、完全に宝玉へと封じられた!それによって完全なる肉体を手に入れた!」

オーナー「…」ギリッ

孤高騎士「…ふ、どうする?」


冒剣士「…ください……」

オーナー「…冒剣士?」

冒剣士「…返して下さい…孤高さんの魂を…孤高さんの心を…孤高さんの……全てを!!」


孤高騎士「…ああ、うーん」ニタニタ

…スッ

389: 2013/08/31(土) 09:56:13 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「これが、欲しいんだろ…?」

冒剣士「宝玉…孤高さんの心…」

孤高騎士「…」ニタッ


ググッ…ビキ……ビキビキ…

オーナー「ま、まさか!」

冒剣士「待っ…」


…パリンッ!!……パラパラ……パラッ…

390: 2013/08/31(土) 09:56:52 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「…あ……あ…、あぁ…ああああっ!」

オーナー「…っ」

孤高騎士「魔力は体に宿した。意識も交換された。最早、このような玉は無用!…くく、蘇り、とでもいうか…?」


冒剣士「あああああっ!!!」

孤高騎士「…ふふ、ふははは!その叫び…いいねえ…嫌いじゃないぞ…!」

冒剣士「うわああああっ…ああぁぁ…」


聖剣士「冒剣士の心も壊れてしまう!落ち着かせないと!」

391: 2013/08/31(土) 09:58:15 ID:iY06alOQ
 
オーナー「冒剣士…落ち着くんだ!しっかりしろ!」

冒剣士「あああっ…なんで…なんで……」

オーナー「冒剣士…!」バシッ

冒剣士「…っ」ドサッ


オーナー「…落ち着いてくれ、頼む。冒剣士、俺の目を見てくれ」

冒剣士「…うう」ハァハァ…

392: 2013/08/31(土) 09:58:50 ID:iY06alOQ
 
オーナー「…幸い、でもないが…、冒剣士、君の体には今…あいつの魔力が充填されているようだ」

冒剣士「…」

オーナー「あの宝玉を使った時の名残だ。それと、さっきの戦いで分かったことがある」

冒剣士「…」

オーナー「あいつは独自の魔力を保持しているせいで、俺らの攻撃は効きにくいんだ」

冒剣士「…」


オーナー「だから、あいつの魔力をまだ持っている…"冒剣士"、君がトドメを刺すことになる…」

393: 2013/08/31(土) 10:00:02 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「僕…が…?」

オーナー「これは君と旅をしてきた孤高騎士への思いやりだ。君が最期を見届ける…出来るか?」

冒剣士「僕が…孤高さんを…頃すって…ことですよね…」

オーナー「違う!あれはもう孤高騎士じゃない!」


聖剣士「冒剣士、辛い思いをさせてすまない。だけど、君がやらなければ…世界は再び"魔王"と会う事になるだろう」

吟遊詩人「…気を落ち着かせる演奏。コレくらいしか…私は出来ないけど…」


…~♪……♪♪…


冒剣士「…」

394: 2013/08/31(土) 10:00:32 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「何をぶつぶつといっている…何を弾いている…何をしているんだ…!あーーー!?」


オーナー「やって…くれるか…?」

冒剣士「…魔王…孤高さんが…それだけは…だめです…。わかりました…」コクン

オーナー「ありがとう…皆、再び攻撃の準備だ!」


武道家「…」スッ

僧侶戦士「…頼むぞ、冒剣士」スチャッ

聖剣士「今一度…人類の刃を受けてみろ!」チャキッ

395: 2013/08/31(土) 10:01:03 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「ほう…まだ刃向かうか…」


オーナー「…うおおおっ!火炎刃っ!」

…ブゥン!!…ドォン!!

孤高騎士「ふん、小ざかしい!」ブンッ


聖剣士「…見えた、聖斬っ!!」

武道家「続くぜ、掌底波ァ!!」

…キキィン!!


孤高騎士「そんなもの…効かぬわ!」

396: 2013/08/31(土) 10:02:16 ID:iY06alOQ
 
僧侶戦士「十字斬っ!!」

…ズバッ…ズバァッッ!!!

孤高騎士「くっ…光の攻撃か…小賢しい…」


オーナー「…攻撃がわずかに効いた…!魔法使い!吟遊詩人!」


魔法使い「言われなくっても!光矢魔法!!」ビュンッ!!

吟遊詩人「…波動音っ!」

ギュィィィィン……!!!

397: 2013/08/31(土) 10:02:57 ID:iY06alOQ
 
…ズバン!!ズバンズバンズバン!!

孤高騎士「ぬっ…ぐっ………がぁぁ!」


…スタッ

……スタスタッ…


武道家「…よっし!」

僧侶戦士「…」

孤高騎士「動けぬ…!?くっ…離せ!!」


吟遊詩人「音の攻撃なんて、昔にはなかったでしょう…?」

398: 2013/08/31(土) 10:03:34 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「…ぬあああ!」ビキビキッ


吟遊詩人「な、なんて力…私の波動を弾こうとするなんて…」

魔法使い「私の光矢が抜けそう!」


オーナー「その格好で、氏ぬのは本望じゃないか?墜落魔道…」

僧侶戦士「本体のお前が処刑されたのも、今のような十字架に張付けられて…だったな」


オーナー「あとは冒剣士…頼めるか…」ポンッ

冒剣士「…はい」チャキッ

399: 2013/08/31(土) 10:04:21 ID:iY06alOQ
 
孤高騎士「離せ…やめろおおお!」

冒剣士「…」スッ

オーナー「あいつの魔力を底から搾り出すんだ。枯渇状態になったら、俺らが回復させてやる…だから、全力で…だ」

冒剣士「…分かりました」


孤高騎士「な、なあやめろよ…俺だよ…孤高騎士だ…」

冒剣士「…」ググッ

孤高騎士「本当はもう意識が戻ってて、ちょっと、お遊びでよ…だから、やめろって…!」

400: 2013/08/31(土) 10:04:51 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「この刃に全てを乗せます。孤高さん…ありがとうございました…」ブルブル

……ダダダッ!!!


孤高騎士「くそおおおおおおっ!!」

401: 2013/08/31(土) 10:05:49 ID:iY06alOQ
 
オーナー「…」

聖剣士「…」

魔法使い「…」

吟遊詩人…」

武道家「…」

僧侶戦士「…」

女メイジ「…」

 
…ズバァンッ!!………

……………………ドサッ…

402: 2013/08/31(土) 10:06:53 ID:iY06alOQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



…ケンシ…

ボウケンシ…ボウケンシ………!!


女メイジ「冒剣士っ!」

冒剣士「!」ガバッ

女メイジ「わっ!良かった…気がついた…」

403: 2013/08/31(土) 10:07:31 ID:iY06alOQ
 
僧侶戦士「ただの魔力枯渇だ。俺らのも分けてやったし、大丈夫だろう」

冒剣士「…」ボケーッ

僧侶戦士「冒剣士、大丈夫か?意識はハッキリしてるか?」


冒剣士「…!」ハッ


女メイジ「…」

冒剣士「そうだ…孤高さん…いえ、墜落魔道は…どうなりましたか?」

僧侶戦士「ご苦労だったな…といえば良いか…言葉が見つからない」

冒剣士「いえ…」

404: 2013/08/31(土) 10:08:07 ID:iY06alOQ
 
…トコトコ

大魔道「…ご苦労様でした。冒剣士くん」

冒剣士「あ、アナタは…?」

大魔道「…私は大魔道と呼んで下さい。…実は、墜落魔道は私の祖先にあたる人なのです」


冒剣士「…」

大魔道「本当は処理は私がせねばならなかった。ですが、偶然という偶然が重なりすぎました」

オーナー「大魔道を恨まないでくれ。次々と過去の魔物たちの封印が解け、その処理をしていたんだ」

405: 2013/08/31(土) 10:08:43 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「誰も…恨みませんよ」

オーナー「そして、こうなるまで放っておいたのは俺が原因でもある」

冒剣士「オーナーが…?」

オーナー「本当は、あの時見た赤い紙、あれは俺宛の国家反逆をした孤高騎士の調査と監視のクエストだった」


冒剣士「…」

オーナー「だが、心を入れ替えていく孤高騎士を見て、これからも何とかなるんじゃないかと思っていた」

冒剣士「…はい」

406: 2013/08/31(土) 10:09:31 ID:iY06alOQ
 
オーナー「しかし、宝玉の反応を聞いて緊急的に同志を集った。その前から、孤高騎士の動きは見張っていたんだけどな」

冒剣士「見張って…あ、雪山の山小屋とか、フィルボルグの洞窟…の気配…まさか…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「海の遺跡が沈んだとき、連絡をしたのも…?」

武道家「…」


オーナー「結果的には、最悪なものを迎えてしまったな…俺の責任でもあるんだ。すまん」

冒剣士「…誰のせいでもないんです。宝玉の存在が、宝玉さえなければ…」

407: 2013/08/31(土) 10:11:20 ID:iY06alOQ
 
オーナー「あぁ。孤高騎士も悪くなんかない。腐っていたのは彼の周りの軍人たちと、宝玉だったということだな」

冒剣士「…」

オーナー「そして俺も、お前たちを結果的に不幸に導いてしまった…ってわけだ…」

冒剣士「…」


オーナー「…」

冒剣士「…でも、孤高さんを信じてくれていたんですよね」

オーナー「…言い訳には、なりそうだから言いたくないのだが…そうだな」

408: 2013/08/31(土) 10:11:55 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「…本当は、孤高さんはどんな人だったんですか?何をしたから反逆罪になったんでしょうか?」

オーナー「…彼の家族に何があったかは聞いたか?」

冒剣士「はい」

オーナー「その恨みの為、支部を一人で壊滅させ、支部長を拷問し、殺害した」

冒剣士「…」


オーナー「確かに裁かれるべき事をした支部長だが…結果的に孤高騎士は、殺人と軍への反逆罪、拷問による罪などで拘束された」

冒剣士「…」

オーナー「だが、支部長のやった事は許されない。孤高騎士は、それを考慮され短い期間で解放されたんだ」

409: 2013/08/31(土) 10:12:38 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「当たり前です…」

オーナー「だが、軍は一人で実力のある孤高騎士を危険分子と定め、秘密裏に国家クエストを出回した。それが今回のことに繋がった」

冒剣士「宝玉がなければ、今回のことにはならなかったってことですよね」

オーナー「…ああ」


冒剣士「あの時、やはり封印を解除するべきじゃなか…」

女メイジ「…」

冒剣士「いや…女メイジを守るためにも…、いや…でも…!それで結果的に孤高さんは…!」


オーナー「本当に、すまなかったな…」

410: 2013/08/31(土) 10:13:13 ID:iY06alOQ
  
冒剣士「…いえ、そんなに謝らないでください…」

オーナー「…」

冒剣士「…」


大魔道「ちょっと、シリアスな場面で悪いのですが…冒剣士くんに聞きたい事があります」

冒剣士「…なんですか?」

大魔道「気を悪くするかもしれませんが、孤高さんの体を斬った時、妙に軽くはなかったですか?」

冒剣士「…そ、そういえば…思ったより…は…」ブルッ

大魔道「…それだけ聞ければ十分です、ありがとう」

スタスタ…

411: 2013/08/31(土) 10:13:50 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「…?」


オーナー「…さて、と。帰ろうか…俺らの家、にさ」

女メイジ「はい…」

冒剣士「…そうです…ね」


僧侶戦士「…なあ」

オーナー「…ん?」


僧侶戦士「いやお前じゃなくて…、冒剣士」

冒剣士「僕?は、はい…?」

412: 2013/08/31(土) 10:14:21 ID:iY06alOQ
 
僧侶戦士「今回の事、前の冒険から思っていたが…お前の運命ってのは、どうやら厳しいものらしい」

冒剣士「…」

僧侶戦士「お前が冒険を続ける事で、お前自身が幸せになるか…正直俺も分からん」

冒剣士「…何が、言いたいんですか」


僧侶戦士「冒険者を辞めて、一般人へと戻るのも…悪くないんじゃないか」

冒剣士「…」

僧侶戦士「…いや辞めろと言ってる訳じゃない。だが、冒険酒場へ戻って、お前自身が耐えられるかということだ」

冒剣士「…」

僧侶戦士「何にせよ、お前が見てきたもので、いつショック状態に戻るかも分からない…そういう事をいっているんだ」

413: 2013/08/31(土) 10:14:51 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「ぼ…僕は…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「…負けません」

僧侶戦士「…」

冒剣士「負けませんよ。大丈夫です。僕は、周りがどう言おうと孤高さんを最高の冒険者だと思ってます。そして、あの人のように…」

僧侶戦士「…」


冒剣士「僕は最高の冒険者になる」
 
 
僧侶戦士「…そうか。その思い、忘れるなよ」ニカッ

冒剣士「…はい」

414: 2013/08/31(土) 10:15:56 ID:iY06alOQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

415: 2013/08/31(土) 10:16:26 ID:iY06alOQ
 
――――あれから数日たち、母親と別れを告げると…再び冒剣士は冒険酒場へと戻った

…あっという間の出来事だったが、冒剣士と女メイジのショックはしばらくの間続いていた


冒剣士は孤高騎士の座っていた…いつもの"席"を見るたび

小さく、小さく、「はぁ」とため息をつく

女メイジも、それを見て同じようにため息をついた


そして…更に…幾日がたち…

416: 2013/08/31(土) 10:16:57 ID:iY06alOQ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ガランガラン!

冒剣士「いらっしゃいませ!」

オーナー「いらっしゃいませー」


女メイジ「お泊りのお客様でしょうか?」

お客「そうそう。はい、これ連泊証」

女メイジ「ありがとうございます、少々お待ちください」

417: 2013/08/31(土) 10:18:08 ID:iY06alOQ
 
女メイジ「では、また夕食の時間になったらお呼び致します」ペコッ

お客「はいよ」

…ギシッ……トコトコトコ…


女メイジ「…」

冒剣士「あそこの席、誰が座ってても…まるで空席のようにしか見えません」

オーナー「…」

女メイジ「私も…」

418: 2013/08/31(土) 10:18:39 ID:iY06alOQ
 
オーナー「人が人と別れる事は、出会った時からの始まりでもある」

冒剣士「…」

オーナー「終わりの始まりっていうのかな、必ず始まりには終わりがある」

女メイジ「哀しい…言葉ですね」


オーナー「だけどな、人は人の中で生き続ける事が出来る。それは終わり…だと思うか?」

冒剣士「人が人の中で…」

オーナー「俺も昔、沢山の人の氏と向き合ってきた」

419: 2013/08/31(土) 10:19:10 ID:iY06alOQ
 
冒剣士「オーナー、英雄剣士…だったんですよね。本、読みました」

オーナー「ああ、俺が書いた自伝だね。色々あったよ。本当は…書いてない事、書けない事がいっぱいある」

冒剣士「…」


オーナー「だけど、出会ってきた人の心は俺の中でもしっかり生きてる。明日の希望に繋がってる」

冒剣士「…」

女メイジ「…」

オーナー「何より、別れた人々が、今の自分を見て"どう思うか"が大事でもあると思うんだ」

420: 2013/08/31(土) 10:19:52 ID:iY06alOQ
 
 
冒剣士「…」

オーナー「今すぐにでもとは言わない。毎日が辛いのも分かる。だけど、もう1度会った時、"自分は立派になった"と言える人間でありたいと思わないか?」

冒剣士「…確かに、そうですね」

女メイジ「…」


オーナー「今は目の前の事に真剣に。1日の積み重ねが、より良い明日の自分を作るんだ」

女メイジ「…はい!」

冒剣士「…はい!」

421: 2013/08/31(土) 10:20:45 ID:iY06alOQ
 
…コンコン


オーナー「お…ほら、お客さんだ。精一杯の笑顔で、お客さんも幸せにしてあげよう、ね」

冒剣士「そうですね、幸せを与える立場が、いつまでも元気がなかったら…ダメですよね」

女メイジ「うん、冒剣士…一緒に、頑張ろう…!」

冒剣士「うん…!」

オーナー「その意気だよ。さ、元気良く…!お客様…どうぞ!」


…ガチャッ

冒剣士「…いらっしゃいませ!」

女メイジ「いらっしゃいませ!」

422: 2013/08/31(土) 10:21:16 ID:iY06alOQ
 
【Still, does not end】
PLUS STORY……

…"SPECIAL STORY"…

429: 2013/09/01(日) 07:13:50 ID:cUnJwn8Y

【SPECIAL STORY】


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…チチチッ……

孤高騎士「…ここは、どこだ」


…キョロキョロ

孤高騎士「花畑に暖かい日差し…天国…ってやつなのか…?」


…ポンポン

孤高騎士「…ん?誰だ?冒剣士か…?」

430: 2013/09/01(日) 07:14:21 ID:cUnJwn8Y
 
…クルッ

女娘「…パパ!!」

男息子「パパァ!」

騎士嫁「あなた…久しぶり」ニコッ


孤高騎士「お…お、おおお…お前ら…」ドクン

431: 2013/09/01(日) 07:14:52 ID:cUnJwn8Y
 
女娘「…パパ、どうしたの?」

男息子「パパ、僕らと会えて嬉しくないの…?」


孤高騎士「嬉しくないなんて…そんな訳…ないだろう…」

騎士嫁「…」ニコッ

孤高騎士「…ここは、天国なのか?」

騎士嫁「いいえ…、ここは現世とあの世の狭間です」

432: 2013/09/01(日) 07:15:45 ID:cUnJwn8Y
 
女娘「…」

男息子「…」


孤高騎士「お前たち、俺を…迎えに来たのか?」

騎士嫁「…」


孤高騎士「…?」


騎士嫁「はい……と言えれば、本音は嬉しい限りです…が」

孤高騎士「…?」

433: 2013/09/01(日) 07:16:27 ID:cUnJwn8Y
 
騎士嫁「ですが、やっぱり貴方はまだ…こっちの世界は似合わないようです」クスッ

孤高騎士「何言ってんだ?俺はお前らと一緒にいることが幸せで…」

騎士嫁「…うそ」

孤高騎士「…」


騎士嫁「昔っから、あなたはウソをつくのが下手。分かってますよ」

孤高騎士「…そうか」

騎士嫁「残してきた、あの2人の事が気になるんですよね」ニコッ

434: 2013/09/01(日) 07:16:59 ID:cUnJwn8Y
 
女娘「パパ…行ってあげて」

男息子「…僕たちは大丈夫。また、いつか会えるよね?」


孤高騎士「…お前たち……」


騎士嫁「行ってあげてください。出口は…この道を…まっすぐ…」

…パァァァッ…

435: 2013/09/01(日) 07:17:29 ID:cUnJwn8Y
 
女娘「…」

男息子「…」

孤高騎士「…行く前に、お前たちのこと、抱きしめても…いいか…?」

騎士嫁「…」フルフル

孤高騎士「…」


騎士嫁「抱きしめてしまったら、貴方はここから出られなくなってしまう。私たちは…待ってます。いつまでも」

孤高騎士「…わかった。長く待たせるかもしれない…それでもいいか…?」

騎士嫁「私はあなたの妻ですよ。そして、あの子たちは私たちの子供…それくらい分かっているはずです」

436: 2013/09/01(日) 07:17:59 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「そうか…わかった。それじゃ…俺は…」


女娘「パパ…頑張れ!」

男息子「頑張れぇぇ!!」

騎士嫁「頑張ってください…」


孤高騎士「あぁ…行ってくるぜ!」


…タッタッタッタッタ……

…………………………

437: 2013/09/01(日) 07:18:32 ID:cUnJwn8Y
 
男息子「パパ、行っちゃったね」

女娘「パパ…大丈夫かな…」

騎士嫁「ふふ…きっと、大丈夫。私たちは、私たちの還るべき場所で、待ってましょう…」


……パァァァッ…

438: 2013/09/01(日) 07:19:07 ID:cUnJwn8Y
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・
・・・
・・

439: 2013/09/01(日) 07:19:38 ID:cUnJwn8Y
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


…チュンチュン……サァァッ…


大魔道「…気がつきましたか?」

孤高騎士「……」

大魔道「やれやれ…砕け散った魔力のピースを探すのは骨が折れましたよ」

孤高騎士「…」


大魔道「…孤高さん?」

孤高騎士「俺ぇ……生きてるのか?氏んだんじゃないのか?」

大魔道「…正確にいえば、氏んではいませんでした」

440: 2013/09/01(日) 07:20:09 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「…どういうことだ?」ムクッ

大魔道「心が宝玉に封印され、体は古代の魔力同士の打ち合いで削り取られました。ですが、それが幸いでした」

孤高騎士「…」


大魔道「削り取られたのは古代の魔力として空中へと分散しました。古代の魔力は感覚が違うので…感覚を探り、集めました」

孤高騎士「…」

大魔道「砕け散った心も、割れた宝玉から漏れ、魔力として空中へと分散され、それを集めたんです」

孤高騎士「…ふん、どうせならそのままでも…」

441: 2013/09/01(日) 07:20:54 ID:cUnJwn8Y
 
大魔道「…勘違いしないでください。貴方の為じゃない。冒剣士くん、女メイジさんの為です」

孤高騎士「…」


大魔道「…気分はどうですか」

孤高騎士「…正直、悪くはねえよ。集めるの、大変だったんだろ」

大魔道「そうですか。それは何よりです」


孤高騎士「俺がこうなってることは、他のやつは知ってるのか?」

442: 2013/09/01(日) 07:21:25 ID:cUnJwn8Y
 
大魔道「いえ。他の方はやさしい人たちですから…言ったらまた酒場がまた休業しちゃいますので」ハハハ

孤高騎士「…そうか」

大魔道「それと…謝らなければならないことがあります」

孤高騎士「なんだ?」


大魔道「恐らく、あなたは宝玉との繋がりで…冒剣士と同じように古代の記憶を持ってまったはずです」

孤高騎士「ああ…妙に頭がスッキリしてるのはそのせいか…」

大魔道「はい…申し訳ない」

443: 2013/09/01(日) 07:21:58 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「何で謝る必要がある?良いことじゃないのか?」

大魔道「力を持った人間の末路、辿る道は…厳しく、険しくなります。冒剣士くんも…まだ未来がある少年だと言うのに…」


孤高騎士「人って生きてる限り、何かと戦うだろ?それは誰にとっても、厳しいもんなんじゃないか?」

大魔道「…」

孤高騎士「冒険者としての道を選んだ時点で、どんな道を辿ろうが…覚悟は出来ていた。大丈夫だ、心配すんな」

大魔道「そう、それなら…いいんです」

444: 2013/09/01(日) 07:22:29 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「んで、あの時からどれくらいたつんだ?それと…ここはどこだ」

大魔道「もう数ヶ月です。ここは中央大陸の反対側…人類にとっては未踏とも呼ぶべき場所でしょうかね」

孤高騎士「お前…なんでそんな場所に…」


大魔道「仕方ないでしょう。分散した貴方の心、身体がココへと辿りついたのですから。私はそれを追ったまで…です」


孤高騎士「一体何者…、いや…いいか。今は感謝だけしておくぜ」

大魔道「ふふ、それがいいです。貴方が私を知るには、まだ少し…早すぎますから…」

孤高騎士「…言ってくれるぜ全く。さて、帰れるのか…?」


大魔道「帰れますよ。案内します」

445: 2013/09/01(日) 07:22:59 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「ああ。早く帰ろうぜ…」


「俺…いや、俺らの冒険酒場によ!」

446: 2013/09/01(日) 07:23:37 ID:cUnJwn8Y
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【数週間後・酒場前】


孤高騎士「…久々に戻ってくると、なんだか緊張するな。どんな顔すっかな…」ククク

大魔道「はは…ん?」

孤高騎士「どうした?」

大魔道「…ドア越しに聞こえますが、冒剣士とオーナーが貴方の話題をしているようですよ」


孤高騎士「まじか…」

大魔道「少しだけ、待ちましょうか」

447: 2013/09/01(日) 07:24:08 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「喜んでくれるか…呆れ顔か…どっちかだろうな…」

大魔道「…大丈夫ですよ」

孤高騎士「俺も記憶がないわけじゃない。あいつらに…ひどい事してるもんな…」

大魔道「仕方ないことです。みんな、分かってますから」


孤高騎士「…俺のこと、迎えてくれるか…」

大魔道「きっと大丈夫ですよ。あなたのせいではなく、宝玉のせいだと分かってるはずです」


孤高騎士「その言葉…信じさせてもらうぜ?」

448: 2013/09/01(日) 07:25:11 ID:cUnJwn8Y

大魔道(それにしても今回の騒動…、全ては軍の下位のしつけがなってなかった事から始まった…)チラッ

孤高騎士「?」

大魔道(町を見捨てた支部長を頃した孤高騎士…本来なら普通に許されるべきであるはずなのですが…)

孤高騎士「なんだよ人の顔をじろじろと…」


大魔道(…私が知っている未来……と、段々と近くなってきている気がします)

孤高騎士「聞いてるのか、おい」

大魔道(英雄剣士が孤高騎士を軍に従い行動を抑えていれば、冒剣士、孤高騎士の未来はこうはならなかった。彼自身でこの世を荒廃へと向けているということか…?)

449: 2013/09/01(日) 07:25:55 ID:cUnJwn8Y
 
孤高騎士「あのよ、無言でこう見られると恥かしいんだが」

大魔道「…あ、自分にはそういう趣味はないので大丈夫ですよ」

孤高騎士「俺だってねえよ!」


大魔道(運命には抗えないってことなのですかね。軍は既に腐り始めている。世界の均衡が崩れてきた…いやしかし)


孤高騎士「…」


大魔道(未来というのは無数に広がっている。必ず同じ線にはならない…とは思うんですが…はてさて、これからどうなることやら)


孤高騎士「もう、勝手に見てろ…」プイッ

450: 2013/09/01(日) 07:26:25 ID:cUnJwn8Y

 
大魔道「はは…すみません。…さ、オーナー達の話が、ひと段落つきそうですね…では」

…コンコン


オーナー「その意気だよ。さ、元気良く…!お客様…どうぞ!」


…ガチャッ

冒剣士「…いらっしゃいませ!」

女メイジ「いらっしゃいませ!」

451: 2013/09/01(日) 07:27:03 ID:cUnJwn8Y
 
【The end really】

…FIN…

452: 2013/09/01(日) 07:27:34 ID:cUnJwn8Y
 
■後書き
お付き合い頂きまして、有難うございました。冒剣士編は従来の3幕構成ではなく、2幕で終了となります。
本編という名目で書きましたが、実際は"一人の冒険少年のお話"としての外伝的な位置づけのイメージなってしまいました。

今回は元々2幕で完結を目指していまして、従来より1幕・2幕ともに多少長めにしました(少年剣士の3幕構成なみに長かったですねw)。

予定していた東方編を終えて、新主人公を含め、従来シリーズのような展開とは異なった世界を描けて満足です。
読者の皆さまは、つまらなかった方などもいるとは思いますが、お付き合い頂けたこと、ありがたく思います。

辞典,修正分などで今回は終了です。

453: 2013/09/01(日) 07:31:08 ID:cUnJwn8Y
 
【ファンタジー辞典】

■サラマンダー
火のトカゲの意です。作品によって、精霊、または美しい人間に化ける事があるなど、作品によって扱いは様々です。
精霊として固定されたのは、中世の錬金術師「パララケルスス」が著書「妖精の書」に書いたことが始まりです。

■プロメテウス
ギリシアの神話に登場する神の1つです。
ゼウスの命令に背き、人類の幸せのために信じて"火"を与えたとされ、それが元で戦争が起きてしまったという話があります。

■スライム
某有名なゲームにも登場し、本シリーズでも度々出るスライム。
実際はかなり強く、物理攻撃は効かず、魔法(しかも火の攻撃しか効かない場合がある)という厄介な相手なのです。
体内に飲み込まれた相手は、内部の溶解液で溶かされたりと、かなり凶悪なモンスターです。

★火災旋風
実際にある災害です。日本でも大震災の時、目撃または巻き込まれ、多数の人が亡くなりました。
都市部など、狭い場所で火があがると、酸素を求め上に上に気流が発生し、それが竜巻となったのが火災旋風です。

456: 2013/09/01(日) 07:32:40 ID:cUnJwn8Y
 
短めながら、これで終了になります。

ないとは思いますが、何かご質問(設定でも)があればお答えしますので(A´ω`)
それでは、ありがとうございました!

473: 2013/09/06(金) 10:39:33 ID:DrZhZqe2
白剣士「毎日が平和なこと」

新シリーズスタートしました

引用: 冒剣士「僕は最高の冒険者になる」