403:◆qqtckwRIh. 2014/02/10(月) 19:04:24 ID:IrVKJRZA
404: 2014/02/10(月) 19:05:07 ID:IrVKJRZA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガサガサガサッ…ガランガラン!!!ドサドサッ!!
女錬金師「…あった!」
マスター「何だ?」
女剣士「?」
女錬金師「これ…何だかわかるかい?」トプンッ
マスター「青い…水か?」
女錬金師「ふっふーん。エレメンタル元素だよ」
マスター「…エレメンタル元素?」
405: 2014/02/10(月) 19:05:44 ID:IrVKJRZA
女錬金師「そう。属性着火ライターに充填する練成されたオイルの前のモノだよ!」
マスター「ややこしいな。わかりやすく言え」
女錬金師「簡単にいえば、魔法を具現化して、そのエネルギーだけ抽出したもんさ」
マスター「なるほど」
女剣士「属性着火ライター…?」
マスター「武器に属性を付与するライターのことだ。だがお前は維持ができないのが問題なんだ」
女剣士「な…なるほど」
女錬金師「とりあえず、普通はこれを練成してライターに注入する」
女錬金師「そしてライター内部の魔石と弾けて武器に属性として付与出来るんだ」
マスター「で…そのエレメンタル元素がどうしたんだ?」
女錬金師「これをさ…女剣士ちゃん、ちょっとおいで」
女剣士「は、はい」
406: 2014/02/10(月) 19:06:17 ID:IrVKJRZA
女錬金師「手を出して…そう。一滴だけ…」
…ポタッ
女剣士「…!」パァッ!!
マスター「!」
パァァ…ジャバァッ!!!
女剣士「わわっ!?手から…み、水が!」
マスター「今のは…水魔法!」
女錬金師「…」ニコッ
407: 2014/02/10(月) 19:06:58 ID:IrVKJRZA
女剣士「な、何ですか今の!」アワワ
女錬金師「…今の感覚、どうだった?」
女剣士「ちょ、ちょっと体の芯がくすぐったかったです。今のは一体…?」
女錬金師「今の感覚が、水魔法を練る感覚さ」
女剣士「!」
マスター「どういう事だ?」
女錬金師「火魔法は使えるんだろう?だったら、他の魔法だって使えない訳じゃないと思ったんだ」
マスター「だ、だが人によって属性魔法には良し悪しがあると…。コイツの親も使えないんだぞ?」
408: 2014/02/10(月) 19:08:15 ID:IrVKJRZA
女錬金師「基本の一属性の魔法が使えれば、基本的には他の属性の魔法も練りはできるはずなんだよ…」
女錬金師「親は苦手だっただけで、本当ならきっかけがあれば魔法自体は使えたんだと思うよ」
女錬金師「そもそも使えないなら、このエレメンタル元素は零れるだけ。さっきみたく魔法は発動しないのさ」
マスター「…なるほど、水魔法自体は使えなくはないわけか。だが…少ない魔力はどうにもならんぞ」
女錬金師「だから…一滴だけ与えたのさ」
マスター「何?」
女錬金師「…」ニヤニヤ
マスター「だからどういうことだよ」イラッ
女錬金師「確かに属性魔法の維持は魔力が要る。だが…一瞬だけ放てれば?」
マスター「そ、そうか!無理に維持させる必要はない…か…」
409: 2014/02/10(月) 19:09:10 ID:IrVKJRZA
女錬金師「アンタもバカだねぇ。感覚を覚えさせるってのは、そういう風に使えるようにさせるって事なんだよ」
マスター「くっ…、あれだけの説明で分かるか!」
女錬金師「ふふん」
女剣士「あ…あの…それで私は…」
女錬金師「あ、そうそう。えーとね…ほら、コレ」スッ
女剣士「これは…」
女錬金師「青いのが水、緑が風のエレメンタル元素。毎日一滴ずつ手に垂らすんだ」
女剣士「そうすると…?」
女錬金師「一瞬だけ魔法が具現化する。そして、その感覚は体に馴染んでいくはずさ」
女剣士「馴染んでいく…」
410: 2014/02/10(月) 19:10:16 ID:IrVKJRZA
女錬金師「慣れれば元素液がなくてもその魔法が使えるようになるはずだ」
女錬金師「そして、一瞬の発動の技術は自然と体に刷り込まれる」
女剣士「…!」
女錬金師「それを応用して武器に一瞬の付与をさせれば、少ない魔力で属性攻撃が可能になるよ」
女剣士「ほ、本当ですか!」
女錬金師「魔法の感覚をつかみ、それを武器に付与する。…長い鍛錬が必要になりそうだけどね」
女剣士「努力あるのみってことですか」
女錬金師「しかもこの方法も確実じゃないけど…やってみる価値はあると思うけどね」
女剣士「やります。やらせてください!」
411: 2014/02/10(月) 19:11:29 ID:IrVKJRZA
女錬金師「そういうと思ったよ。じゃあ、この元素液…これはアタシからのプレゼントだ」ニコッ
女剣士「えっ!でも…高そうですよこれ」
女錬金師「マスターの弟子はアタシの弟子も一緒さ。遠慮なく受け取りな」
女剣士「…う、うーん」
マスター「女剣士。冒険者たるもの…受け取る心得を教えただろう」
女剣士「あっ」
女錬金師「…ふふ」
女剣士「じゃあ…ありがたく…いただきますね」ペコッ
女錬金師「うん、素直に受け取ってよろしい!」
412: 2014/02/10(月) 19:12:02 ID:IrVKJRZA
マスター「…感謝するぞ、女錬金師」
女錬金師「いいっていいって!」
マスター「…時間は必要になるが、何とか解決の糸口が見えたようで良かったな」
女剣士「はいっ♪」
マスター「魔法を習得してきたら、完全な属性付与はゆっくりかつ確実に教えてやる。焦るなよ」
女剣士「わかりました!」
女錬金師「ふふ…良い弟子をもったじゃないか」
マスター「店員だが…まぁ、本当に弟子みたいなもんかもな」
女剣士「弟子ですね♪」
413: 2014/02/10(月) 19:13:14 ID:IrVKJRZA
マスター「さて、のんびりしてる暇もない。そろそろ豪火山に向かって出発するぞ」
女剣士「あ、はい!」
マスター「それじゃ女錬金師、俺らは行くとするよ。また用事が出来たら寄りに来る」
女錬金師「はいよ。いつでも待ってるよ」
女剣士「ありがとうございましたっ」
マスター「…じゃっ」
ガチャッ…
女錬金師「…」
女錬金師「…!」
女錬金師「女剣士ちゃん!ちょっと待って!」ボソボソ
414: 2014/02/10(月) 19:13:58 ID:IrVKJRZA
女剣士「はい?」
女錬金師「えーとね…」ゴソゴソ
ゴソ…ゴソゴソゴソ…
女錬金師「あとでこの箱開けな。マスターには内緒でね」
女剣士「な、何ですかこれ?」
女錬金師「いいものだよ。説明書は別途ついてるけど、必要になるときが絶対あるから、持っていきな!」
女剣士「…は、はい?」
415: 2014/02/10(月) 19:14:44 ID:IrVKJRZA
マスター「ん…何やってる!遠いからな、日が暮れる前に1つの山を越すぞ!」
女剣士「あ…い、今行きます!」
女剣士「それじゃ、失礼します!色々お世話になりました~!」ダッ
ガチャッ…バタンッ…
女錬金師「ばいばーい♪」
女錬金師「ふふ…行っちゃったか」
女錬金師「がんばるんだよ。あの男が、ここまで入れ込む冒険者だ…。私も応援するからね」
女錬金師「…今月もこれで赤字か。支払いどーしよ」ハァ
416: 2014/02/10(月) 19:15:31 ID:IrVKJRZA
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
417: 2014/02/10(月) 19:17:00 ID:IrVKJRZA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕方・山道 】
ザッザッザッザ…ピタッ
マスター「ふむ…」
カァ…カァ…!!
女剣士「…日が暮れてきましたね」
マスター「今日はここで一泊だ。道に迷う前にキャンプを張るぞ」
女剣士「キャンプですか?」
418: 2014/02/10(月) 19:17:53 ID:IrVKJRZA
マスター「バックパックに入ってるので準備はできる。分かるか?」
女剣士「はい。テントはえーと…」ゴソゴソ
マスター「その間に俺は火をたてよう。食料はあるし、俺が腕によりをかけて作ろう」
女剣士「わーい!」
マスター「ったく…本当に食べ物に目がないやつだな」フゥ
女剣士「し…趣味なんですから放っといてくださいよぉ!」
マスター「食道楽って感じだな。さ、それよりテントきちんと張ってくれよ」
女剣士「任せてくださいっ!」
419: 2014/02/10(月) 19:18:23 ID:IrVKJRZA
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 30分後 】
ホウ…ホウ…
女剣士「やっとテント設置し終わったぁ!」
マスター「えらい時間かかったな…ご苦労さん」
女剣士「このテントの打ち込む部分…抜けるんですもん」
マスター「ビスか。慣れるまではよく抜けるからな」
女剣士「でもなんとか出来ました。手がドロドロです」
420: 2014/02/10(月) 19:18:54 ID:IrVKJRZA
マスター「…手、出せ」
女剣士「は、はい」スッ
マスター「…」
ゴソゴソ…スッ
マスター「感覚の鍛錬がてら、泥を洗い流そう。ほら」
…ポタッ
女剣士「…んっ」ピクッ
パァァ!!…ジャバァ…
女剣士「…よかった、上手く水が具現化された…」ホッ
421: 2014/02/10(月) 19:19:30 ID:IrVKJRZA
マスター「どんどん覚えろよ。その感覚1つ1つがレベルアップに繋がるからな」
女剣士「はいっ♪」
マスター「さて、こっちに座れ」
女剣士「あ、はい」
チョコチョコ…ストンッ
マスター「夜は少し冷えるからな。暖を取ることは大事だぞ」
女剣士「…あったまります」ホクホク
422: 2014/02/10(月) 19:20:02 ID:IrVKJRZA
ボォォ…パチパチ…
マスター「…もうすぐ鍋が出来る。少しだけ待ってろ」
女剣士「…はい」
マスター「…」
ボォ…パチッ!!グツ…グツグツ…
女剣士「…」
マスター「…」
女剣士「…」
マスター「…」
423: 2014/02/10(月) 19:20:38 ID:IrVKJRZA
女剣士「…マスターさん」
マスター「ん?」
女剣士「お店…燃えちゃって…。やっぱり哀しいですよね」
マスター「当たり前のことを聞いてどうするんだ」
女剣士「あうっ…すいません…」
マスター「…」
女剣士「…」
マスター「まぁ今はちょっと哀しくもあり…常連方には悪いが、少し嬉しくもある」
女剣士「お店が焼けたことがですか?」
424: 2014/02/10(月) 19:21:15 ID:IrVKJRZA
マスター「こうして火を"冒険者同士"で組む事は、何だかんだ言って楽しいんだ」
女剣士「マスターさん…」
マスター「…」フッ
女剣士「…えへへ」
マスター「…」
女剣士「…」
マスター「…」
425: 2014/02/10(月) 19:21:51 ID:IrVKJRZA
女剣士「…あっ!」
マスター「ん?」
女剣士「今、"冒険者同士"って!」
マスター「何…?い、言ってないぞ」
女剣士「言いましたよ!」
マスター「言ってない、気のせいだ」
女剣士「言ったー!」
マスター「…ほら、鍋がもう出来る。取り皿はあるからサクっと食べろ」ゴソゴソ
女剣士「誤魔化すんですかぁ!」
マスター「…いつまでも言うなら食わせないぞこらぁー!」
426: 2014/02/10(月) 19:22:28 ID:IrVKJRZA
女剣士「あーっ、食べ物を盾にするなんて酷い!」
マスター「お前が変なことを言うからだろうが!」
女剣士「言ったのを認めてくださいよぉ!」
マスター「き…気のせいだ」
女剣士「…むぅ」
マスター「ほら早く食べるぞ」イソイソ
女剣士(…やっぱり、心の奥底ではまだまだマスターさんは冒険者なんだなぁ)クスッ
マスター「…おい」
女剣士「はい?」
427: 2014/02/10(月) 19:23:02 ID:IrVKJRZA
マスター「今、なんで俺のほう見てクスっと笑った!」
女剣士「何でもありませーん!」
マスター「くっ…、さっさと食べてさっさと寝る!明日は早くから山を越えるからな!」
女剣士「はーいっ♪」
マスター「ったく…」ブツブツ
女剣士(何を恥ずかしがってるんでしょうか…マスターさんもまだまだ冒険者だと思うんですよね)
女剣士(まぁ…今は食べて、明日に向けて力をつけよっと!)
428: 2014/02/10(月) 19:23:38 ID:IrVKJRZA
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
433: 2014/02/10(月) 22:55:46 ID:IrVKJRZA
皆様ありがとうございます。
>>432 の質問に関して再書き込みするのを忘れてました。
前述していた通り、次の更新は今週の土曜日となります。
多忙の為ですが、お待ち頂ければ幸いです。
それでは失礼致しました。
>>432 の質問に関して再書き込みするのを忘れてました。
前述していた通り、次の更新は今週の土曜日となります。
多忙の為ですが、お待ち頂ければ幸いです。
それでは失礼致しました。
444: 2014/02/15(土) 19:03:27 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 4日後・豪火山付近の山道 】
ザッザッザッザ…
女剣士「…ふぅ、ふぅ」ゴシゴシ
マスター「大丈夫か?水、飲め」
女剣士「頂きます…」グビッ
マスター「裏山道は思ったより酷いな…、まるで舗装されてないか…」
445: 2014/02/15(土) 19:04:06 ID:4b86t3qY
女剣士「表参道もあるんですか…?」
マスター「もちろん。だが短縮しようとしてこっちの道を進んできたんだが…」
女剣士「日に日に温度が上がってって…、凄い暑いですねこの辺…」タラッ
マスター「だな…少し失敗だったか」
女剣士「どうしてこんなに暑いんですか…?」ハァハァ
マスター「豪火山の山脈付近は、地下にあるマグマ群で地上を熱してるんだ。地熱ってやつだな」
女剣士「へ、へぇ…」
マスター「所々湯気が出てるのが地熱の塊だ。この辺一帯は暑いわけだな」
女剣士「そ…そうなんですねぇ。マスターは平気そうですが…」
446: 2014/02/15(土) 19:04:45 ID:4b86t3qY
マスター「ん?あぁ、俺はこのくらいはな。"熱い"くらいになったら抵抗魔法もかけるんだろうが」
女剣士「つまり…今は余裕ってことですか…」フラフラ
マスター「ん、まぁな。お前…相当倒れそうだが…大丈夫か?」
女剣士「当たり前です…冒険者たるもの…!これくらいでヘバっては…!」
マスター「そうだな…って」
女剣士「っ~…」フラッ
マスター「お、おい!」バッ
…ガシッ!!
447: 2014/02/15(土) 19:05:23 ID:4b86t3qY
女剣士「…」ダラン
マスター(…この暑さに負けてしまったか)
マスター(すまんが、お前の体力を知るには追い込むしかないんだ…悪く思わないでくれ)
マスター(氏なない為にも、限界を知り、伸ばす事が俺たちには必須だからな…)
マスター「さて、ここから町も近い。バッグを前に回して…背負って行くとするか…」
448: 2014/02/15(土) 19:05:56 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 ふもとの町 】
ヒヤッ…
女剣士「ん…冷たい」
女剣士「…」
女剣士「…えっ!」ガバッ
マスター「ん、気づいたか」
女剣士「あれ…ここは…」
449: 2014/02/15(土) 19:06:41 ID:4b86t3qY
マスター「町の宿。もうとっくに着いたぞ」
女剣士「あれれ…。わ、私…」
マスター「途中でぶったおれたから運んだんだ。丸一日寝てたんだぜ」
女剣士「えぇぇっ!ご、ごめんなさい!」
マスター「まぁ考えがあった事だし、別に気にするな」
女剣士「は…はぁ?」
マスター「んなことより、こっちのギルドに顔出しに行くぞ。仕事ないか聞くからな」
女剣士「私もいいんですか?」
マスター「何言ってる。お前も行って、クエストの依頼とか見たほうがいいだろう」
女剣士「はい~♪」
450: 2014/02/15(土) 19:07:11 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 町の中 】
…ガヤガヤ
女剣士「わぁ~人が多いですねえ。それに町並みが独特です」
マスター「温泉街って名目で再始動した町だからな。雰囲気も穏やかなものがある」
女剣士「豪火山の目の前なのに、暖かさも丁度いいですね?さっきみたいな暑さはないです」
マスター「だから町があるんだ。そこら中から熱気が噴出したら町なんか作れないだろう」
女剣士「う…そうですね」
451: 2014/02/15(土) 19:07:57 ID:4b86t3qY
マスター「俺らが泊まった宿にも温泉が付いてるからな。あとで入るといい」
女剣士「本当ですかっ!やったー!」
マスター「…うむ」
女剣士「それにしても…」キョロッ
ワイワイ…ガヤガヤ…
女剣士「さっきから歩いて行く人が持ってる茶色い卵みたいなのは…なんでしょう」ジュルリ
マスター「温泉饅頭だな」
女剣士「…」ジュルリ
マスター「…食べるか?」
女剣士「いえいえ、そんな悪いですよぉ!」
452: 2014/02/15(土) 19:08:37 ID:4b86t3qY
マスター「じゃあ、いらないんだな」プイッ
女剣士「あぁっ!うそ、うそです!食べたいですお願いします!」
マスター「…そこに売ってるから、買って来い。ほら、お金だ」スッ
女剣士「ありがとうございますー♪」ダッ
ダダダダダッ…
マスター「早っ」
453: 2014/02/15(土) 19:09:11 ID:4b86t3qY
女剣士「お饅頭1つくーださい!」
販売員「お、いらっしゃいませー。1個150ゴールド、5個で600ゴールドで1個分お得だよ!」
女剣士「…」
女剣士「5個で」
販売員「…、10個なら1200ゴールドで2個分お得だ!」
女剣士「…」
女剣士「じゅ…10個入りで」
販売員「毎度ありがとー!」
454: 2014/02/15(土) 19:09:43 ID:4b86t3qY
女剣士「お金と…はい、ありがとうございます」ガサガサ
販売員「またごひいきにー!」
タッタッタッタ…
女剣士「マスターさん!買えましたー!」
マスター「お、そうか…って、随分…袋がでかくないか」
女剣士「ま…マスターさんの分もと思いまして。ね?」
マスター「そうか悪いな。じゃあ1個もらおうか」
女剣士「どうぞっ!」スッ
455: 2014/02/15(土) 19:10:20 ID:4b86t3qY
マスター「んむ…」モグッ
女剣士「…じゃあ私も」パクッ
…モグモグ
女剣士「…!」パァァ
マスター「相変わらず美味いな」
女剣士「あんこがとーっても甘くて美味しいですねぇ♪」
マスター「温泉饅頭…もとい、薄皮饅頭は苦手な人が多いんだが」
女剣士「あんこたっぷりなほうが美味しいんですけどね?」
456: 2014/02/15(土) 19:11:38 ID:4b86t3qY
マスター「んむ…とりあえずギルドに向かうぞ」モグモグ
女剣士「はーいっ!」モグモグ
トコトコトコトコ…
457: 2014/02/15(土) 19:12:32 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 豪火山ギルド 】
…ガヤガヤ
女剣士「ここが豪火山のギルドですか?随分小さいんですね」
マスター「確かに小規模だが…」
マスター「そりゃお前は中央にある世界でも有数な巨大ギルド見たからな…。余計に小さく感じるんだ」
女剣士「…かもしれませんねぇ」
マスター「それにこの辺にはココしかないんでな。貴重な存在っちゃ貴重な存在だ」
女剣士「そうなんですね」
458: 2014/02/15(土) 19:13:47 ID:4b86t3qY
マスター「えーと…そんなに混んでないし受付にさっさと行くか」
女剣士「この間みたいな横入りはしないんですね」クス
マスター「ありゃ色々あっただろうが!」
女剣士「ですねっ」
マスター「さて、こっちだ」
スタスタ…
459: 2014/02/15(土) 19:14:26 ID:4b86t3qY
マスター「受付サン」
受付「はい」
マスター「今、この辺で一般で受付してる依頼はあるか?」
受付「えーと…少々お待ちを」ゴソゴソ
女剣士「そういえば、一般とかの概念はあるんですね」
マスター「ギルドに所属してない人とかの一般冒険者でもクエスト自体は受ける事はできるんだ」
女剣士「へえ~」
マスター「まぁギルドメンバーが厄介だと思って無視したりして、放っとかれたやつだがな」
女剣士「どんなのがあるんだろぉ」ワクワク
460: 2014/02/15(土) 19:15:10 ID:4b86t3qY
受付「えーと、よろしいですか」
マスター「うむ」
受付「最初に紹介出来るのは町内の掃除ですね」
マスター「却下」
受付「次は…、ギルドの加入紹介です。直接雇用なので賃金がいいですよ」
マスター「却下」
受付「では、猫の捜索などいかがでしょうか」
マスター「却下」
461: 2014/02/15(土) 19:15:54 ID:4b86t3qY
受付「では、今のところは紹介できるのはありませんねぇ…」
マスター「…エレメンタル討伐とかはないのか?数年前まで出してたはずだが」
受付「近年は冒険者も増え、当ギルドの基本討伐にまわされてます」
マスター「何…、豪火山付近の魔物討伐の依頼ってのは何もないのか?」
受付「ですね、山脈に関連するクエストの大半はメンバーで処理させていただいています」
マスター「そうか…」クルッ
受付「あれ、お帰りですか?クエストの受注はよろしいのでしょうか」
マスター「ちょっと目に付くものがなかった。また来れたらくるよ」
受付「わかりました」
462: 2014/02/15(土) 19:16:39 ID:4b86t3qY
トコトコトコトコ…
マスター「…はぁ」
女剣士「何もありませんでしたねえ」
マスター「そうだな、うーん…」
女剣士「勝手にエレメンタルの討伐を行うのは違法なんですか?」
マスター「違法じゃないが、この辺はあのギルドが動いてる。いざこざになるからな…」
女剣士「そうなんですかぁ…残念です」
マスター「仕方ない、豪火山のカルデラ湖でものんびり観光してくか」
女剣士「それは嬉しいですけど、戦えなかったのは少し残念ですね」
マスター「…」
マスター「山脈の途中には、小さな村もある。その辺で休憩しながらとかやるか?」
463: 2014/02/15(土) 19:17:35 ID:4b86t3qY
女剣士「あ、それでも充分ですよ!」
マスター「本当なら設備もあるこの辺から始めるのが良かったんだが…ま、仕方ないことだ」
女剣士「気にしませんよ、戦える場が設けてくれるだけで嬉しいことですから」
マスター「ふっ…じゃあ、観光に行くとするか」
女剣士「はーいっ!」
464: 2014/02/15(土) 19:18:56 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 カルデラ湖への山道 】
ザッザッザッザ…
女剣士「…」
マスター「観光客が多いな。昔来た時より増えている気がするぞ」
女剣士「今は賑わってますけど…昔、この山道も人と魔物との戦いで…血路を開いたんですかねえ」
マスター「そうだろうな。当時の人がいたら、よっぽど平和で驚くかもしれん」
女剣士「その時代に生まれてたら、生き残る自信はないです…」
マスター「俺だってそうだ。だがまだまだ人に迷惑をかける魔物はいるからな」
マスター「例え弱くても、俺らみたいなのは必要なんだよ」
女剣士「…ですね!」
465: 2014/02/15(土) 19:19:31 ID:4b86t3qY
ザッザッザ…
マスター「この山道をまっすぐ行くとカルデラ湖なんだが…」
女剣士「大通りっぽいですしね」
マスター「そこに脇道があるだろ?」
女剣士「はい」
マスター「昔はそこが遠回りのカルデラ湖への道だったんだ。今は冒険者しか通らないがな」
女剣士「ってことは、さっき言ってたこの辺のギルドメンバーの?」
マスター「今はそうなるな。足跡もあるし、つい最近エレメンタルの討伐に出発したんじゃないか」
女剣士「むむぅ…羨ましいですね」
466: 2014/02/15(土) 19:20:41 ID:4b86t3qY
マスター「…」ククッ
女剣士「…?」
マスター「お前もよっぽどだな」
女剣士「何で笑ったんですか?」
マスター「自分が危険な目に合うかもしれないのに、その相手と戦えないで悔しいとか羨ましいとかな」
女剣士「冒険者なら当たり前です!」
マスター「よっぽどお前は戦士の血が流れてるらしい。早氏にすんなよ」コツン
女剣士「あいたっ!…へへ」
467: 2014/02/15(土) 19:22:22 ID:4b86t3qY
…ザワ
マスター「…おや?」
ザワザワ…ガヤガヤ…
女剣士「どうしました?」
マスター「…見ろ。下から誰か登ってくるぞ」
女剣士「え?」クルッ
マスター「…ありゃ豪火山のギルドメンバーだな。火炎のマークが入ってるだろ?」
女剣士「確かに登ってきてますね。ちょっと…慌ててる?」
マスター「こりゃ何かあったな…」
女剣士「どうしたんでしょうか?」
マスター「ふむ…おーい!」
468: 2014/02/15(土) 19:23:09 ID:4b86t3qY
ギルド員「…何だ?俺たちは急いでるんだ」
マスター「その様子だと何かあったな。教えてくれないか」
ギルド員「一般人相手に話しをしてる暇はない、どいてくれ」
マスター「…」スッ
クルクルクル…ドスンッ!!!
ギルド員「!」
マスター「この大剣を見ても一般人だと?」
ギルド員「…他所の冒険者か」
469: 2014/02/15(土) 19:23:57 ID:4b86t3qY
マスター「見た所、3人しかいないようだが人手不足じゃないか?」
マスター「…良ければ手伝わせて欲しいんだが」
女剣士「!」
ギルド員「他所の奴に手伝わせる事はない、お前ら行くぞ!」
ギルド員「はい」
ギルド員「わかりました」
ダッ…タッタッタッタッタ…
女剣士「あっ…行っちゃいましたね…」
470: 2014/02/15(土) 19:25:37 ID:4b86t3qY
マスター「…ふ」
女剣士「?」
マスター「面白そうなことだ、俺らが行って足手まといになるという事はあるまい」ニヤッ
女剣士「ま、まさか」
マスター「…着いて行くぞ!」ダッ
女剣士「あっ、待ってくださいよぉ!」ダッ
女剣士(なんか、マスターさん…急に子供っぽくなっちゃった気がします)クスッ
タッタッタッタッタ…
………
……
…
471: 2014/02/15(土) 19:27:42 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ザッザッザッザ…
女剣士「とはいえ…本当にこんなの着いてって大丈夫なんですか?」アセアセ
マスター「大丈夫だろ。たまたま道に迷いましたとか言えばいい」
女剣士(それはさすがに通らない気がしますよ!)
マスター「…むっ」ピタッ
女剣士「どうしました?」
472: 2014/02/15(土) 19:28:45 ID:4b86t3qY
マスター「見ろ、あいつら…武器を用意し始めた」
ギルド員「…準備しろ」スチャッ
ギルド員「あぁ」スチャッ
ギルド員「余計な奴のせいで時間食ったな。急ごう」スチャッ
マスター「…」
女剣士「やっぱり何か討伐するみたいですね」
マスター「大方、他の面子の救助っていったところじゃないか」
女剣士「救助ですか?」
473: 2014/02/15(土) 19:29:26 ID:4b86t3qY
マスター「ギルド内でのいざこざは、他所の奴には手伝って欲しくないもんなんだ」
女剣士「人手が欲しかったら素直に言えばいいのに…」
マスター「プライドがあるんだろうよ。気持ちは分からなくはないが」
女剣士「う~ん…」
マスター「それに簡単な救助なのかもしれん。それなら人手もいらんかもな」
マスター「まぁ今は着いてくぞ」
女剣士「あ、はいっ」
ザッザッザ…
474: 2014/02/15(土) 19:30:09 ID:4b86t3qY
マスター「…」コソコソ
女剣士「…」コソコソ
マスター「…お」
女剣士「あっ!」
エレメンタル『…』ゴォォ
マスター「見ろ…あれが火のエレメンタルだ。真っ赤に燃え上がってるだろ?」
女剣士「精霊の一種でしたね。初めて見たけど綺麗ですねぇ…」
マスター「とはいえ、触れただけで燃え上がる危険なヤツだ。処理はせんとな」
女剣士「あのギルド員さんたち、剣士と騎士と魔法使いですね。剣士の動き見ないとっ」
マスター「属性付与の戦い方を見るといい」
女剣士「はいっ」
475: 2014/02/15(土) 19:30:51 ID:4b86t3qY
ギルド員「…エレメンタル如き、ジャマだ」スチャッ
ギルド員「水炎装っ!」ボワッ!!
女剣士「あれが水の属性付与…、蒼い炎…」
ギルド員「はぁっ!」ブンッ
…ズシャアッ!!
エレメンタル『!』
ボボボ…ボフンッ…
女剣士「消えた!…倒したんですか?」
476: 2014/02/15(土) 19:31:44 ID:4b86t3qY
マスター「エレメンタルは下級精霊。切り込むだけで基本的に倒せる」
女剣士「…」
マスター「…どうした?」
女剣士「私、その下級精霊にも勝てないんですよね。ちょっとだけ…悲しくなっちゃいました」
マスター「…焦るなって言っただろ。何のために、今ここに俺がいると思ってる?」
女剣士「えへへ…ですよね!」
ザワザワ…
ギルド員「…もう少し上だな。避難小屋あたりか?」
ギルド員「確かその辺だ。…俺らに対処できるといいんスけどね」
ギルド員「あまり聞かない魔物だ…、用心に越したことはないんでしょうが」
477: 2014/02/15(土) 19:32:21 ID:4b86t3qY
マスター「あまり聞かない魔物…?」
女剣士「そんなのがいるんですか?」
マスター「表に出てこないヤツは多いが、この辺で地元の面子が聞かない魔物とは…」
女剣士「この辺にはどんなのがいるんですか?」
マスター「俺が知ってるのはエレメンタル、その上位のウィスプくらいだな」
女剣士「私にとっては十分に脅威ですね…」アハハ
マスター「それにしても聞かない魔物か…面白そうじゃないか」
女剣士「お…面白そうですか」
マスター「…ワクワクしないか?こういうの」
女剣士「確かに、ちょっと楽しくはありますけど…」
478: 2014/02/15(土) 19:32:52 ID:4b86t3qY
マスター「こういうのも楽しめるようになってこそ一人前だぞ!」
女剣士「そ、そうですかねえ?」
マスター「今に分かるさ…行くぞ」ダッ
女剣士「あ、はいっ!」ダッ
479: 2014/02/15(土) 19:33:34 ID:4b86t3qY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 避難小屋 】
ジリジリ…
女剣士「う…わ、頂上付近まで来ると暑いですね」タラッ
マスター「正規ルートじゃない分、地熱が多いんだ。大丈夫か?」
女剣士「この間と比べたら大分楽です」
マスター「それならいいんだ」
ガヤガヤ…
女剣士「…あ、さっきの人たちがあそこに」
480: 2014/02/15(土) 19:34:05 ID:4b86t3qY
マスター「あそこの小屋が、避難小屋だな。数人のギルドメンバーも待機しているようだが…」
女剣士「単に集合して、珍しい魔物を団体で討伐するとかじゃないんですか?」
マスター「さっき俺が、遠まわしに問題があったな?と聞いた時に違うとは言わなかっただろ?」
女剣士「あ、そういえばそうですね」
マスター「少なくとも、あいつらにとって想定外の出来事があったのは間違いない」
女剣士「一体何があったんでしょうか」
マスター「シッ…耳を澄ませてみろ。話が聞こえる」
…ザワザワ
ギルド員「…本当に出たのか?」
ギルド員「あぁ、新人のメンバーも数人やられた。ココまで何とか退避してきたんだ」
481: 2014/02/15(土) 19:34:52 ID:4b86t3qY
女剣士「…?」
マスター「ほう…」
ギルド員「観光客に避難指示はいいのか?」
ギルド員「出してないぞ。伝令役にそこまで聞いてない」
ギルド員「…俺らで止められるか?というか倒せるのか?」
ギルド員「分からん。だがやるしかないだろう…」
女剣士「一体、何の話でしょうね」
マスター「恐らく、新人の研修中に強力な魔物が出たんだ。あいつらでも手を焼く程のな」
女剣士「えっ!」
482: 2014/02/15(土) 19:35:22 ID:4b86t3qY
マスター「地元のメンバーで手を焼くっていうのは相当だぞ」
女剣士「想定外…ってことですね」
マスター「まだ詳細が分からんが…少し話を聞かせてもらおう」ジッ
ギルド員「こっちの数は8。人が出払ってなければ…」
ギルド員「…一番の実力者のギルドマスターさんさえいればな」
ギルド員「中央の東と西の話し合いに参加だろ?そんなのより人を救う方を優先してほしいぜ…」
女剣士「…」
マスター「飛び火…ってやつか。だが…」
女剣士「?」
マスター「これならいけるぞ、来い」ダッ
女剣士「えっ、大丈夫なんですか!」
483: 2014/02/15(土) 19:36:01 ID:4b86t3qY
…ガヤガヤ
ギルド員「…ん?」
ザッザッサッ゙…
マスター「さっきぶりだな」
ギルド員「あ!お前…着いて来たのか!?」
マスター「…話を聞かせてもらった。是非、俺らにも手伝わせて欲しいんだが」
ギルド員「他所に手伝わす事なんてねぇよ。俺らで何とかする」
マスター「…東西の話合いで実力者がいないんだろ?それは俺も聞き捨てならないんだよ」
ギルド員「ん…?お前、中央のギルドメンバーなのか?」
484: 2014/02/15(土) 19:37:14 ID:4b86t3qY
マスター「まぁそんなもんだ。それに中央東のマスターとは顔馴染みでな…是非手伝わせて欲しい」
女剣士(なるほど)
ギルド員「…ダメだ。俺らにも俺らのプライドがある」
マスター「プライド如きで倒せるか分からない相手に挑んで、一般人を危険に巻き込むんだな」
ギルド員「何ぃ!?」
マスター「俺なら市民を守る為に、受け取れる戦力は受け取るぜ?…人の為の冒険者ならな」
ギルド員「…っ」
マスター「どうだ?正論だろう?」
ギルド員「…ちっ」
485: 2014/02/15(土) 19:38:03 ID:4b86t3qY
マスター「決まった。参加させてもらう…足手まといにはならんよ」
女剣士「ですっ!」
ギルド員「あんた…名前は」
マスター「マスター、と呼んでくれ」
戦士長「…俺は戦士長。…ギルドリーダーだ」
マスター「そうか、宜しく」
女剣士「私は女剣士です、どうぞ宜しくお願いします」ペコッ
戦士長「女か…よろしく」
女剣士「…はい」
486: 2014/02/15(土) 19:38:42 ID:4b86t3qY
マスター「で、相手について知りたいんだが」
戦士長「…"スルト"、だ」
マスター「…何?」
戦士長「新人研修をしている所に、突然現れたんだ。研修官も含めて…やられたよ」
マスター「きょ…巨人族がここに?」
戦士長「…どこから現れたのかも分からん」
女剣士「…巨人族ですか」
マスター「魔物の中でも上位の一種だ」
女剣士「上位の魔物…」
487: 2014/02/15(土) 19:40:04 ID:4b86t3qY
戦士長「こっちの戦力は8人…いや、お前らを含めて10人か」
マスター「…巨人族との戦いの経験は?」
戦士長「俺も含め、全く未経験。そうじゃなかったら既に特攻してるさ」
マスター「…」
戦士長「あんたはあるのか?」
マスター「何度か。直接対峙で、数体の巨人族との対峙の経験もある」
戦士長「…本当か!」
マスター「これでも俺らは役不足だと思うか?」
女剣士(私は全く未経験なんですが)ブルブル
488: 2014/02/15(土) 19:41:05 ID:4b86t3qY
戦士長「…奴等に弱点はあるのか?」
マスター「巨人族は基本的に共通で物理に抵抗力がある。更に魔法は根本的に弾く程の防御だ」
戦士長「ち…力は」
マスター「見たまんまさ。頭を抜かれたらクリーンヒットも関係なく一撃で俺らは氏ぬだろうな」
戦士長「なら、どうすればいい…」
マスター「関節…。奴らは唯一、膝や肘といった間接部分の防御が薄い」
戦士長「はは…そこを狙って切れと?」
マスター「出来ない事はない。それに今は…やるしかないんだろう?」
戦士長「…」
マスター「俺なら市民を救い、かつギルドメンバーも守らせてもらう立ち回りを指南するが」
戦士長「お、お前が俺らのパーティリーダーになると!?」
489: 2014/02/15(土) 19:41:54 ID:4b86t3qY
マスター「別に請け負わないなら、先にお前らだけで行けばいい。俺はこの女剣士と二人だけでやる」
マスター「だが勝手に突っ走って、氏んだからって恨みはなしだぞ?」
マスター「俺としては、仲間が多ければ作戦も速やかに終わると思っただけだからな」
戦士長「ぐぬ…」
マスター「そもそも、この豪火山ギルドのせいで市民が氏傷しました…なんて公表したくないだろう」
戦士長「…そ、それはそうだが…」
490: 2014/02/15(土) 19:42:52 ID:4b86t3qY
…ポンッ
ギルド員「…戦士長」
戦士長「ん?」
ギルド員「俺らは市民を守る為の団体でもあります。誰かが犠牲にならねば…なりませんよ」
戦士長「…」
ザワ…ガヤガヤ…
ギルド員「マスターさんが本当に戦ってくれるなら、指南してもらうべきです!」
ギルド員「そうですよ、僕らがただ突っ込んで犬氏するくらいなら…教えていただきましょう」
ギルド員「プライドとか言ってる場合じゃないんですから!」
491: 2014/02/15(土) 19:43:45 ID:4b86t3qY
戦士長「…そ、そうだな…。何よりも市民を…守るべきだものな…」
戦士長「ま…マスター…さん、是非、助けていただきたい…」ペコッ
マスター「…決まったな。俺がこの戦闘…パーティを仕切らせてもらう」スチャッ
女剣士(か…かっこいい!!)
501: 2014/02/16(日) 19:00:49 ID:evGmHZsU
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ザッザッザ…
マスター「こっちの道で合ってるのか?随分、山奥で新人研修もやってるもんだ」
ギルド員「年々…魔物は少なくなってる…からな…」
マスター「…お前が先の巨人の襲われて生き残った奴なのか」
ギルド員「…あぁ」
マスター「どういう状況だったんだ」
502: 2014/02/16(日) 19:01:25 ID:evGmHZsU
ギルド員「エレメンタルの討伐をしていて…急に地鳴りが聞こえた…」
ギルド員「気がつけば…目の前に…スルトがいた…」
ギルド員「だが…、俺らの実力では…やられるばかり…で」ブルッ
マスター「逃げた面子はお前と、下に報告に行った伝令役だけ、か。しかし深くまで歩くな」
ギルド員「もうすぐ…そこだ…」
マスター「分かった。相手の姿が見えたら作戦は改めて考える」
戦士長「改めて!?リーダーになったんだ、そのくらいは先にきちんと考えて欲しいものだな!」
マスター「相手の姿を見えずに考えて何が作戦だ。なら、その巨人の特徴を教えてくれ」
戦士長「む…ぐ」
マスター「落ち着け。別に手柄をどうしようっていうんじゃない…人を救う気持ちは一緒のはずだぞ」
戦士長「…」
503: 2014/02/16(日) 19:02:05 ID:evGmHZsU
…ズドォン!!グラグラ
女剣士「きゃあっ!?」
マスター「む…揺れがひどいな。スルトが暴れているのか」
ギルド員「…マスター…さん、そこの岩陰だったはずです。覗いてみてください」
ギルド員「俺は…怖い…。後ろに下がる…」
マスター「ん…」
コソコソ…スッ
スルト『…グオオオッ!!』ブンッ
…ズドン!!!ミシミシミシ…
504: 2014/02/16(日) 19:02:37 ID:evGmHZsU
マスター「あいつがスルトか…真っ黒な容姿…珍しいタイプの巨人だな」
戦士長「ほう、あれが何とか出来ると?」コソッ
マスター「思ったよりも小さいな。まだ一般的なのと比べて戦いやすいと思うぞ」
戦士長「…」
…ポンポン
マスター「ん?」
ギルド員「さて…マスターサン、俺らは何をすればいい?」ニヤッ
マスター(む…えらい前向きなギルド員だな。この状況の中、やる気に満ち溢れてやがる)
505: 2014/02/16(日) 19:03:25 ID:evGmHZsU
ギルド員「マスターサン?」
マスター「あ、あぁ。見た所、あいつは打撃頼りだな。遠距離魔法も無理だろうし、主流の戦い方で行く」
ギルド員「というと、前衛と中衛、後衛でいいのか?」
マスター「それでいい。ええと…君の名前はなんだ?」
豪騎士「豪騎士だ。以後よろしくな」
マスター「豪火山の名前を入れてもらった騎士か…いい名前だな」
豪騎士「ふっ、ありがとう」
506: 2014/02/16(日) 19:04:32 ID:evGmHZsU
マスター「なら、戦士長と以下3人。豪騎士と以下3人でパーティを作ってくれ」
豪騎士「あんたらは?」
マスター「どうしても4人同士だと2人が余る。そこは俺と女剣士のペアで抑える」
豪騎士「分かった」
戦士長「…ふん、先ずはどうするつもりだ?」
マスター「まずは俺が先制して、相手のスキルを見極めよう」コキコキ
女剣士「一人で…危険じゃないですか?」
マスター「言っちゃ悪いだろうが、ココで一番動けるのは俺だと思うんでな」
507: 2014/02/16(日) 19:05:06 ID:evGmHZsU
戦士長「何を!?貴様のようなよそ者なんぞに!」グイッ
豪騎士「戦士長サン!今は内輪もめしてる場合じゃないでしょう!」
戦士長「ぐ…」
マスター「…」
マスター「気持ちは分かるが、実力と現実を受け入れてくれ」
戦士長「…くそっ」
豪騎士「マスターさん、悪かった。とりあえず相手の見極めは…お願いしたい」
マスター「期待して待ってろ」スチャッ
508: 2014/02/16(日) 19:05:40 ID:evGmHZsU
女剣士「気をつけて下さいね…」
マスター「この状況、前にもあったろ?力任せの相手っていうな」
女剣士「あ…東ギルドのですか!」
マスター「いつでも、どんな時でも鍛錬だと思って挑めばこういう場面でも過去が生かせる。覚えておけ」
女剣士「…はい!」
マスター「んじゃちょっくら見てくる。よっ!」ダッ
ダダダダダッ!!!
豪騎士「な…早っ!あの大剣を持ったままあの速度なんて!」
女剣士「さすがマスターさん!」
509: 2014/02/16(日) 19:06:42 ID:evGmHZsU
スルト『…ムッ!』
マスター「何で人里まで出てきたのかは知らんが…倒させて貰うぞ!」
スルト『グヌオオオッ!!!』クワッ
マスター「…ん?」
スルト『ハァッ!!』ブンッ
…ズドォン!!!ビリビリ…グオオオオッ!!!
マスター「うおっ!」
女剣士「えっ!?」
510: 2014/02/16(日) 19:07:31 ID:evGmHZsU
豪騎士「地面に打撃を当てて、そのまま衝撃波を繰り出した!?」
…ゴ゙ォォォォォ!!
マスター「…上手い技出すじゃねえか!」
女剣士「衝撃波が地面を滑りながらマスターさんに向かってく!」
マスター「ふ…衝撃波なんてな…弾き飛ばすだけだ!」ブンッ
ガキィンッ!!!ゴワッ!!!
スルト『!』
マスター「ぐ…」ビリビリ
511: 2014/02/16(日) 19:08:13 ID:evGmHZsU
女剣士「…良かった」ホッ
豪騎士「まさか打撃から衝撃波を出すなんて…」
マスター「地面を流す衝撃波か…予想以上の威力…。大きさもでかくて厄介か」
スルト『…』ニヤッ
マスター「…もう一度!突っ込ませて貰う!」ダッ
スルト『…グオオオッ!』ググッ
女剣士「また来ますよ!マスターさん!」
512: 2014/02/16(日) 19:09:08 ID:evGmHZsU
マスター「分かってるよ…相手がアレで出せるなら…!」ググッ
女剣士「えっ」
マスター「こっちも似たような動きで出せるんじゃねえか!?気合の一撃だしな!」ブンッ!!
スルト『グオオオアッ!!』ブンッ!!!
ズドォン!!!…ゴォォォォ!!!
豪騎士「ま、マスターさんも衝撃波を!」
女剣士「…!」
豪騎士「あの大剣の扱う力と、気合の練りが半端じゃなく上手いんだ…すげぇ…」
513: 2014/02/16(日) 19:09:42 ID:evGmHZsU
カッ…ドゴォン!!!グラグラ!!
マスター「ぬっ!」ビリビリ…
スルト『グヌッ…!』
パラパラ…
マスター「ちっ…相殺か。いけたと思ったんだが」
スルト『ヤルナ…』
マスター「…」
514: 2014/02/16(日) 19:10:26 ID:evGmHZsU
女剣士「しゃべ…るんですか!?」
豪騎士「人語の理解があるくらいは珍しくないさ」
女剣士「じゃあ、なんで私たちを襲ったか…聞きましょうよ!」
豪騎士「理解はあっても、知性は低い。ただただ食べる為だとか、そういうだけだよ」
女剣士「…っ」
マスター「…一旦退かせて貰うぞ」ダッ
スルト『ニガスカ!』ググッ…
マスター「ふんっ!」ブンッ!!
…ゴォォォ!!ドゴォン!!!
スルト『ヌアッ…!!』
マスター「…」
ダッ…タタタタタッ…
515: 2014/02/16(日) 19:10:58 ID:evGmHZsU
女剣士「マスターさん!」
ズザザ…
マスター「…ふぅ」
女剣士「ご苦労様です。見た感じ、対抗できそうですね」
マスター「思ったよりも実力自体は高くないが、巨人族特有の硬さは健在のようだ」
豪騎士「…マスターサンなら、そのまま倒せたんじゃないか?」
マスター「…」
豪騎士「マスターサン、どうした?」
マスター「さっきの道案内した奴に聞きたい事がある。新人達を襲ったのはあいつらだけか?」
516: 2014/02/16(日) 19:11:39 ID:evGmHZsU
ギルド員「…え?」
マスター「相手はアレだけか?」
ギルド員「…そうだ」
マスター「…お前、ちょっと来い」グイッ
ギルド員「おわっ…な、何をするんだ…」
マスター「相手は本当にアレだけか?」
ギルド員「だからそうだって!」
マスター「…」スチャッ
517: 2014/02/16(日) 19:12:09 ID:evGmHZsU
女剣士「!」
豪騎士「!」
戦士長「!」
ギルド員「ひっ!?」
女剣士「ま…マスターさん?仲間に武器を構えて何を!」
マスター「なぁに…、ちょっとな!」ブンッ!!
…ザシュッ!!!
ギルド員「ひぎっ!!」
518: 2014/02/16(日) 19:12:52 ID:evGmHZsU
女剣士「な…仲間を斬ったー!?」
豪騎士「マスターさん一体何を!…って!」
ギルド員「…」ヒュッ
戦士長「き…消えた!?」
マスター「…戦士長、後ろだ」
戦士長「へっ?」クルッ
519: 2014/02/16(日) 19:13:27 ID:evGmHZsU
ギルド員「…」ヌッ
戦士長「のわっ!き、貴様いつの間に背後に!」ビクッ
女剣士「今確かに斬ったと思ったんですが…な、何が起きたんですか!」
マスター「…そいつはもうギルドメンバーじゃねえよ。恐らく魔物の類が化けてるぜ」トントン
ギルド員「…」
戦士長「な、何!?」バッ
女剣士「ほ、本当ですか!?」
マスター「現に今切り裂いたのに、生きてるだろうが」
女剣士「た、確かにそうですが…」
520: 2014/02/16(日) 19:14:21 ID:evGmHZsU
戦士長「お、おのれ!我がギルドの仲間に化けるとは不届きな…姿を現せ!」スチャッ
ギルド員「…」ドロッ
戦士長「うおっ!?」
ドロドロ…ベチャッ…
女剣士「こ、今度は溶けたー!?」
マスター「物理が効かないって事は、スライム種のどれかだな。知性はそれなりのようだが」
マスター「いつの間に化けてやがったんだか…、そいつの"元になった奴"は既に氏んでるな」
戦士長「く、くそ!俺の仲間に化けるとは…水炎装っ!氏ねぃ!」ブンッ!!
スライム『!!』
…ドシャッ!ドロッ…ドバァ…
戦士長「ふー…ふー…」
521: 2014/02/16(日) 19:15:10 ID:evGmHZsU
女剣士「マスターさん、何でスライムが化けてるって気づいたんですか?」
マスター「…スルトとさっき対峙した時、氏んだと聞いた仲間の遺体がそこにはなかった」
マスター「まず、ここが新人研修をやってた場所ではないと踏んだ」
マスター「それにあの一体だけなら襲われたギルドメンバーでも善戦処理はできたんじゃないかと思ってな」
女剣士「それだけで…」
マスター「それに、ちょっとこの展開は不味いぞ」ギリッ
女剣士「何故ですか?」
マスター「恐らく…俺ら人間を罠にハメる為じゃないかと…」
女剣士「え?罠…」
…ドォン!!!ミシミシ…
522: 2014/02/16(日) 19:15:59 ID:evGmHZsU
マスター「今の音は…」
女剣士「今のは衝撃波の音とは少し違いますね…何の音でしょうか」
マスター「これは、"足音"だな」
女剣士「え…」
ズゥン!!…ズゥン!!…ボォォ…
戦士長「…な、何だありゃ」
女剣士「う、うわっ…!」
マスター「女剣士」
女剣士「はい」
マスター「早い段階でこんな相手をさせるとは…少し反省してるよ」ハァ
523: 2014/02/16(日) 19:16:29 ID:evGmHZsU
女剣士「い、いえ…。経験の糧になりますからね…!」
マスター「そうか。全力でサポートしよう」
女剣士「いりません!とは言いたい所ですが…、是非、お願いします」タラッ…
524: 2014/02/16(日) 19:17:24 ID:evGmHZsU
キメラ『…ギィィ』
ウィスプ『…』フヨフヨ
スルト『…ククク』
エレメンタル『…』
スライム『…』
マスター「おーおー…勢ぞろいだな」
豪騎士「な…新たな巨人族!?それに、他の取り巻きの数が尋常じゃないぞ…」
戦士長「い、一体どうなってるんだ!」
マスター「さっきのも合わせてスルトが2体、他は何匹だ?ふーむ…」
525: 2014/02/16(日) 19:18:50 ID:evGmHZsU
女剣士「どうしましょうか…私が対抗できそうなのは…」
マスター「俺の後に着け。スルトの討伐に回るぞ」
マスター「それと…豪騎士!戦士長!それと残った7人は周りを頼む!」
戦士長「…分かった」
豪騎士「うじゃうじゃとどこから現れやがった…。これ以上進ませる訳にはいかないな」スチャッ
マスター「その通りだな。俺らがやられたら一般市民を巻き込む事になるぞ」
豪騎士「…マスターさん」
マスター「ん?」
豪騎士「俺一人で2人分の戦いをする。だから、1人を避難の呼びかけに使いたい」
マスター「…大丈夫か?」
豪騎士「これでも長い間、ここで戦い続けてきた。任せて欲しい」
526: 2014/02/16(日) 19:19:43 ID:evGmHZsU
マスター「うし…分かった。じゃあ、お前!急いで本部と今現在観光に来ている市民に呼びかけてくれ」
ギルド員「僕ですか…了解しましたっ!」ビシッ
マスター「それと出来れば山の入り口の封鎖。一応のため、近隣からの応援も頼む」
ギルド員「了解しました。では…、ご武運を…」ペコッ
ダッ…タッタッタッタッタッタ…!!
マスター「さぁて、準備はいいか。出来るだけ固まって戦ってくれ」
豪騎士「アドバイスはそれだけかな?巨人は任せたよ、君らが崩れたら俺らも危険だからね」ニヤッ
マスター「任せろ。働くさ…女剣士!遅れるなよ!」
女剣士「当たり前です!」スチャッ
527: 2014/02/16(日) 19:21:17 ID:evGmHZsU
マスター「…全員、準備を頼む!」
戦士長「全員、武器を準備しろ!武器への水属性着火用意っ!」
豪騎士「数人は俺に着け!マスターさんの支援に回る!」
ギルド員達「はっ!」ボワッ!!
マスター「事態はまだ不明だが、今はとにかく敵を抑え殲滅する!」
マスター「女剣士と俺は先行するぞ、行くぞ!」ダッ!!
女剣士「…はいっ!」ダッ!!
ダダダダダダッ…!!
528: 2014/02/16(日) 19:23:15 ID:evGmHZsU
キメラ『ギィィ!!』クワッ
マスター「邪魔だぁぁ!」ブンッ!!
…ドシャアッ!!!
マスター「…女剣士、このペースで着いて来れそうか!?」
女剣士「余裕です!ですけど、精霊に私の攻撃は…」
マスター「お前は道中はキメラを狙え!胴体を切り裂けば落とせる…スルトまでの道中の精霊は俺が相手をする!」
女剣士「わかりました!」
…ダダダダダッ!!!
529: 2014/02/16(日) 19:24:07 ID:evGmHZsU
キメラ『ギィッ!!』バッ
女剣士「…小斬っ!」
ビュッ…ズバァッ!!
マスター「いいぞ、その調子だ。それとな…こんな時だが指南の1つだ!」
女剣士「なんでしょうか!」
マスター「水魔法が少しでも使えるようになれば、こういう使い方もある!」
女剣士「ど、どんな方法ですか!」
マスター「小水流魔法っ!」パァッ!!
エレメンタル『…ッ』
…バシャアッ!!
マスター「弱点属性を受けた精霊は、一時的に本来の防御が薄くなりー…」スッ
530: 2014/02/16(日) 19:24:40 ID:evGmHZsU
ブンッ…ズバァッ!!
エレメンタル『』ジュワッ…
女剣士「…!」
マスター「確実な的中と一瞬の攻撃間合いが必要だが、いずれ使うようになるだろう。覚えておくんだ」
女剣士「はいっ!」
マスター「さぁスルトも目の前だ…、相手の攻略法は覚えているか」
女剣士「関節を狙う…でしたよね」
マスター「そうだ…、スルトの衝撃波もお前なら避けられるだろう。足の関節から上手く切り込め」
女剣士「わかりました!」
531: 2014/02/16(日) 19:25:37 ID:evGmHZsU
マスター「こっちはいいとして…そっちに逃がした魔物はお前らで処理を頼んだぞ!!」
…スチャッ
豪騎士「当たり前。一匹もココを通しやしない!」
戦士長「…俺の斧の前に平伏すがいい」
ウィスプ『…』ボォッ!!
豪騎士「水炎装っ!小突っ!!」ビュッ…
ボシュゥンッ!!
532: 2014/02/16(日) 19:26:26 ID:evGmHZsU
戦士長「我流、水属衝撃ィィィ!」
…ズドォォンッ!!!
ギルド員「中水流魔法っ!」パァッ!!
ギルド員「皆さん!抵抗魔法を!」パァッ!!
豪騎士「いいぞ!見える限りの相手を倒すのを目標に、確実に倒していこう!」
豪騎士「任せてくれよマスターサン!」
533: 2014/02/16(日) 19:27:31 ID:evGmHZsU
マスター「…ようし、いいぞ!」
女剣士「上手くいってるみたいですね…って、マスターさん正面!」ハッ
マスター「!」
スルト『グオオオッ!』ググッ
スルト『ヌゥゥゥ!』ググッ
女剣士「に…二体同時に来たー!?」
マスター「スルトも1匹増えやがってたからな…。横に並んで俺らの逃げ口をなくすつもりだ」
マスター「…俺が片方の衝撃波を抑える!俺の後ろにつけ!」
女剣士「はいっ!」
マスター「ふんっ!!」ブンッ!!
534: 2014/02/16(日) 19:28:05 ID:evGmHZsU
ゴッ…ゴォォォォ!!!
カァッ!!…ドゴォォン!!!パラパラ…
女剣士「うわ…凄い衝撃…」グラグラ
マスター「くそ…1匹ならまだしも、2匹の同時となるとキツいな…」
女剣士「どうしましょうか」
マスター「…お前はまだ俺の後ろからピッタリと着いてこい」
女剣士「わかりました」
535: 2014/02/16(日) 19:28:39 ID:evGmHZsU
スルト『ヌオオオォッ!』
スルト『ウウゥオオ!』
マスター「やらせるかよ!」ブンッ
…ゴォォォォ!!!
マスター「こっちからの先制の衝撃波だ!距離を詰めさせてもらうぞ!」
スルト『ヌウッ!』ガゴォ!!
スルト『…』クルッ
ザッザッザッザッ…
女剣士「ま、マスターさん!一体が逃げていきます!」
マスター「逃げた…だと?」
ザッザッザ…ピタッ
536: 2014/02/16(日) 19:29:34 ID:evGmHZsU
スルト『…』ニタッ
マスター「いや…違う」
スルト『…』ググッ
マスター「これは…」
スルト『カァッ!』ブンッ!
スルト『ヌゥアッ!!』ブンッ!
ゴォッ…ゴォォォォォォ!!!!
マスター「横のラインじゃなくて2連の縦のラインで攻撃してきたんだ!!」
537: 2014/02/16(日) 19:30:09 ID:evGmHZsU
女剣士「えぇっ!?」
マスター「一発目を防いでも二発目が来るぞ!横によけろ!」ダッ
女剣士「はいっ!」ダッ
ドゴォン!ドゴォォン!!!ズザザ…
女剣士「ふぅ…ふぅ…危なかった…」
マスター「少ない知性で考えやがったなスルトめ…」
女剣士「縦っていうのは厄介ですね」
マスター「…そうでもないんだなこれが」
女剣士「え?」
538: 2014/02/16(日) 19:30:47 ID:evGmHZsU
マスター「横に並ばれた方が俺らにとっては辛かったんだぜ?」ククク
女剣士「え?」
マスター「次の攻撃が来たら…手前のスルトを倒す。着いてこいよ」
女剣士「そ、そりゃ着いていきますが…」
スルト『ヌオッ!』ブンッ
スルト『ハァッ!!』ブンッ
ガツッ…ゴォォォォォォ!!
女剣士「きたぁ!」
マスター「横に避けろ!そして…次のが来る前に手前のスルトを切り落とす!」ダッ
女剣士「は、はい!」ダッ
539: 2014/02/16(日) 19:31:21 ID:evGmHZsU
スルト『!』
マスター「お前らやっぱり少し頭が足りないな」
ダッ…ダダダダダダダッ!!!
マスター「大斬っ!!!」ヒュッ…
ズバァァッ!!!…ドシャドシャッ…
スルト『ガァァアァ!!』
女剣士「関節を落とした!」
マスター「横で近くに並んでいたら、援護しあえて疑似タイマンになる事もなかったのにな」
女剣士「あ…そういうこと…」
540: 2014/02/16(日) 19:31:57 ID:evGmHZsU
マスター「お前の頭はスルト以下か」コツッ
女剣士「いたいっ!そ、そんな咄嗟に言われても考え付きませんよぅ…」
マスター「そりゃそうか。こうして経験を積けばいいさ」
女剣士「でも考えが浮かばなかったのは少し悔しいですけどね」
マスター「…くく」
女剣士「とりあえずあと1体ですね」キッ
スルト『グ…クソ…』
マスター「行くぞ!」スチャッ
541: 2014/02/16(日) 19:32:31 ID:evGmHZsU
スルト『グオオオッ!!』ビキビキッ
マスター「やらせるか!」ブンッ!!
ゴォォォッ!!ドゴォン!!
スルト『グヌッ!』
マスター「怯め怯め。この隙に前進を…」ダッ
スルト『グ…グオォォ!』ブンッ
ゴ…ゴォォォォッ!!!
542: 2014/02/16(日) 19:33:12 ID:evGmHZsU
マスター「な…怯まずに撃ってくるとは!技の発動も早い…!」
女剣士「…マスターさん!危ない!」ダッ
…ガキィン!!ドゴォン!!
女剣士「きゃああっ!」
マスター「女剣士!!」
女剣士「いつつ…だ、大丈夫です。剣で何とか衝撃を緩めました…」ヨロッ
マスター「あの衝撃波は重い。俺の事よりもまずは自分の身を案じるんだ」
女剣士「は…はい」
543: 2014/02/16(日) 19:33:53 ID:evGmHZsU
マスター「だが…助かったぞ。ありがとうな」
女剣士「い、いえ!」
スルト『…グオオオッ!!』ググッ
女剣士「いけない!また衝撃波が来る!」ハッ
マスター「女剣士、奴の実力はどうやら少し高いらしい」
マスター「俺が最初の衝撃波を抑える。その隙を見て、奴の関節を切り落とすんだ」
女剣士「私に…出来るでしょうか」
マスター「…出来る。お前の実力なら、確実に」
女剣士「はいっ…やってみます!」
544: 2014/02/16(日) 19:34:53 ID:evGmHZsU
スルト『ヌオォォ!』ブンッ!!
ゴッ…ゴォォォォ!!!
マスター「来たな…ぬあああっ!」ブンッ!!
ゴォ…ゴォォォ!!!
カッ…ドゴォォォン!!グラグラグラ…
マスター「今だ…行けぇぇ!」
女剣士「やぁぁぁっ!!」ダッ
ダダダダダダッ!!
545: 2014/02/16(日) 19:36:08 ID:evGmHZsU
スルト『ヌッ!?』
女剣士「私の間合いです!悪いですが、その全てを切り落とさせて頂きますよ!」タァンッ!!
マスター「飛んだか…いいぞ、高い!そのまま後ろを取るんだ!」
クルクル…スタッ!
スルト『ヌ…』
女剣士「貰ったぁ!」ブンッ!
マスター「よし!」
バッ…ガキィン!!
女剣士「!?」
546: 2014/02/16(日) 19:36:50 ID:evGmHZsU
スルト『クク…オソイゾ…?』
女剣士「な、何て早い反応…け、剣が、弾かれ…」
スルト『ザンネン…』ヒュッ
ドゴォッ!!!!
女剣士「うあ…っ!!」
マスター「なっ…!」
スルト『…』ニタッ
女剣士「…ごほっ」
…ドサッ
547: 2014/02/16(日) 19:38:08 ID:evGmHZsU
マスター「あ…あのスルトの実力を…甘く見すぎた…!」
女剣士「ま…ます…たー…さん…」ゴホッ
マスター「今行くぞ!待ってろ!」ダッ
スルト『グオッ!!』ヒュッ
ゴォォォォォ!!!ドゴォン!!
マスター「ぬ…ぐ…、奴のモーションが早すぎて近づく事が出来ん…!」
マスター「豪騎士!戦士長!そっちから誰か1人援軍を…」チラッ
548: 2014/02/16(日) 19:39:08 ID:evGmHZsU
ゴォォォ!!ボォン!!
豪騎士「…がはっ!」
戦士長「敵の炎が合わさって威力の増大が尋常じゃない!火の消化に当たれ!」
ギルド員「目一杯やってます!これ以上は魔力が…持ちません!」
豪騎士「前衛で巨人族と戦っているマスターサン達を見習え!氏んでも道を氏守するんだぁぁ!」
ゴォォォ…パチパチ…
マスター「はっ…参ったね…。この数とあんなスルトは予想外だった…」
…スチャッ
マスター「…あの衝撃波を抑えて進むには…アレしかないか…」
マスター「だが…持つか…?」
549: 2014/02/16(日) 19:39:52 ID:evGmHZsU
女剣士「…ごほっ…」
マスター「…どうこう考えてる場合じゃねえか。今行くぞ!」ダッ
スルト『ヌッ!』ピクッ
マスター「衝撃波なんて出させるか!だ…、大火炎魔法っ!!!」パァッ…
カッ…ドゴォォォォン!!!
スルト『ヌグオォ!』プスプス
マスター「ごほっ…、た、大したダメージじゃねえだろうが…」
マスター「お前に近づくのは十分だ…!」
ダダダダダッ!!
550: 2014/02/16(日) 19:40:41 ID:evGmHZsU
スルト『!』ハッ
マスター「大火炎にびっくりしたか…?反応が鈍いぞ…切り落としてやるからな!」ブンッ!
ズバッ…ブシャアアッ!!!
スルト『グアァァッ!』グラッ
…ズズゥン…
スルト『ク…クソ…』
マスター「はぁ…はぁ…、氏んでおけ…」ヒュッ
…ドスドスドスッ…ボトッ…ドシャッ…
スルト『…』
551: 2014/02/16(日) 19:41:24 ID:evGmHZsU
マスター「ち…、すまん女剣士…、完全に俺の誤算だった…」ソッ
女剣士「…」
マスター「ひ…ヒール…」パァッ!
女剣士「…」
マスター「足りないか…ひ、ヒールッ!!」パァッ!!
女剣士「…う…うぅ…?」…ドクン
マスター「間に合った…か…。はぁ、はぁ…」
マスター「だがこれでスルトは倒しきった…。何とか持ったか…これで…」ハッ
フヨフヨ…
ウィスプ『…』
エレメンタル『…』
552: 2014/02/16(日) 19:42:02 ID:evGmHZsU
マスター「なっ、精霊種!いつの間に近くに…!」
女剣士「ま…マスターさん…?」
マスター「…ちっ、女剣士じゃまだ相手には出来ない…か…」
女剣士「マスターさん!?あれ…私…」ガバッ
マスター「お…女剣士、気づいたか…」
女剣士「は、はい」
マスター「お…俺が倒れたら、厳しいと思うが…戦士長の場所まで運んでくれる…か?」
女剣士「え?どういうことですか?」
553: 2014/02/16(日) 19:42:37 ID:evGmHZsU
マスター「し…小水流魔法っ!!」パァッ!!パァッ!!
ジャバッ!!
ウィスプ『!』
エレメンタル『!』
マスター「ぬあああっ!」
ブンッ…ドシャドシャアッ!!…ジュワッ…
マスター「よ…し…倒した…か…」
マスター「あと…は…、た、頼んだ…ぞ…」グラッ
女剣士「マスターさん!?」
554: 2014/02/16(日) 19:43:09 ID:evGmHZsU
…ドサッ
マスター「…」
女剣士「マスターさん!?マスターさん!どうしたんですか!」ガバッ
マスター「…」
女剣士「マスターさん!」ユサユサ
マスター「…」
女剣士「な、何で!マスターさぁん!」
女剣士「…っ」
女剣士「そ、そうだ…戦士長のところに運んでくれって…」
…グイッ
女剣士「え、えい…!背負って…連れて行きますからね…!待っててください…!」ブルブル
…ザッ、ザッ、ザッ
555: 2014/02/16(日) 19:44:12 ID:evGmHZsU
豪騎士「お、おい!みんな…向こうを見ろ!スルトが全部倒れたぞ!」
ギルド員「うおおっ!マスターさん達がやってくれたんだ!」
豪騎士「もうひと踏ん張りだ!目に見える精霊を倒せば俺たちの勝ちなんだ!!踏ん張れぇ」
戦士長「ぬおおっ!」ブンッ!!
豪騎士「うらああっ!」ヒュッ!!
ギルド員「中水流魔法っ…、全身から魔力を捻じりだすんだぁぁ!」パァァッ!
豪騎士「その調子だ…って、ん?」
556: 2014/02/16(日) 19:44:55 ID:evGmHZsU
女剣士「はぁ…はぁ…」
ズリッ…ズリッ…
豪騎士「…マスターさんが運ばれてる…?どうしたんだ!!」
女剣士「わ、わかりません…急に…倒れて…」
豪騎士「くっ…今行く!」ダッ
タタタタタタッ…ズザザ…
豪騎士「一体どうしたんだ…マスターサン!」
マスター「…」
女剣士「わ、わかりません。どうしたんでしょうか…!」グスッ
557: 2014/02/16(日) 19:45:50 ID:evGmHZsU
豪騎士「血の気がない…。息も薄い…、まさか…」
女剣士「な、何ですか!?」
豪騎士「魔力の枯渇じゃないか…。魔力を使いすぎて、気を失っているんだ…」
女剣士「えっ!?で、でも…マスターさんは魔法をそんなに使ってませんよ!」
豪騎士「だ、だが…。実際にこの症状は…」
女剣士「…っ」
豪騎士「このままじゃ不味いぞ。だが…下山までにこれでは間に合わなくなる…!」
女剣士「じゃあどうすればいいんですかっ!」
豪騎士「魔力の充填薬があれば…」
558: 2014/02/16(日) 19:47:20 ID:evGmHZsU
女剣士「…充填薬!?」
豪騎士「あぁ…魔力を回復させる物だ。さっきまであったんだが、俺らも戦いで…」
女剣士「そ…そんな…」
豪騎士「時間がたつほど症状は重くなる。やばいぞ…」
女剣士「ど…どうすれば…」ブルッ
豪騎士「…充填薬がないことにはどうしようもない!」
559: 2014/02/16(日) 19:48:01 ID:evGmHZsU
女剣士「…充填薬!?」
豪騎士「あぁ…魔力を回復させる物だ。さっきまであったんだが、俺らも戦いで…」
女剣士「そ…そんな…」
豪騎士「時間がたつほど症状は重くなる。やばいぞ…」
女剣士「ど…どうすれば…」ブルッ
豪騎士「…充填薬がないことにはどうしようもない!」
560: 2014/02/16(日) 19:48:49 ID:evGmHZsU
女剣士「で、でも…私たちにそんなもの…ある訳が…」ハッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女錬金師「必要になる時があるからね。内緒で…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女剣士「…まさか」
ゴソゴソ…パカッ
女剣士「豪騎士さん…こ、これ…。細瓶に入ってるんですが…」スッ
…トプンッ
豪騎士「ま…魔力の充填薬!しかも…こりゃ軍部に卸される特注品じゃないか!」
女剣士「!」
豪騎士「…どこでコレを?」
女剣士「ま、まぁ色々と…」
561: 2014/02/16(日) 19:49:23 ID:evGmHZsU
豪騎士「とにかく今は…マスターさん!」
マスター「…」
豪騎士「これを飲まさせてもらうぞ」
女剣士「で、でも気を失ってますよ!どうするんですか…?」
豪騎士「口移しで空気と一緒に押し込んだりもあったんだろうが…今はこれで大丈夫だ」グイッ
女剣士「!」
豪騎士「細瓶のおかげで、喉の奥に反射運動を起こして直接流し込める」
豪騎士「普通はこんな細口じゃないんだが…こういう場合に備えてたような道具だな…」
562: 2014/02/16(日) 19:50:25 ID:evGmHZsU
マスター「…」
ゴクッ…ゴクッ…
女剣士「こ、これでマスターさんは…助かるんですか…?」
豪騎士「早い処置だろうから、大丈夫だろう」
女剣士「よ…良かった…」ヘナヘナ
豪騎士「しかし…、マスターさんが魔力枯渇するのは普段からなのか?」
女剣士「え?い、いや…初めて見ましたよ。枯渇したことも、今聞いて知ったくらいですし」
豪騎士「じゃあ…なんでこんな特注品を?一般に手に入る代物じゃないぞ」
女剣士「それはー…」
563: 2014/02/16(日) 19:51:00 ID:evGmHZsU
マスター「ごほっ!ごほごほごほ!!」
豪騎士「いけね、飲ませすぎた。マスターサン…大丈夫か?」
マスター「む…」パチッ
豪騎士「アンタ、魔力枯渇でぶっ倒れてたんだぜ。たまたま充填薬があったから良かったものを…」
マスター「充填薬は…豪火山のギルドメンバーが…?」
豪騎士「違う。マスターサンの身内から受け取った」
マスター「女剣士が!?」ガバッ
女剣士「マスターさん!良かった…生き返ったんですね!」ギュウッ!!
マスター「おい、人を勝手に氏んだ事にするな」
女剣士「だ、だってぇ…」
564: 2014/02/16(日) 19:51:32 ID:evGmHZsU
マスター「た、戦いはどうなったんだ?」
豪騎士「あとは残っている少しの精霊を退治すれば…」チラッ
…ウオォォ!!
戦士長「俺らの勝ちだ!良くやったぞ皆!」
ギルド員「大丈夫か…立てるか?」
ギルド員「あぁ…」
豪騎士「…ってな訳で終わったみたいだね。無事に」ハハ
マスター「そうか…良かった」
565: 2014/02/16(日) 19:52:09 ID:evGmHZsU
豪騎士「あんたらが巨人族を相手してくれたおかげだ…」
マスター「何を。あの数の精霊を倒してこそだ」
豪騎士「はは…何て謙遜する人だ」
マスター「…女剣士、ところで話を戻すが…」
女剣士「は、はい」
マスター「何故、特注品の充填薬を持っていたんだ?」
女剣士「じ…実は…」
566: 2014/02/16(日) 19:53:18 ID:evGmHZsU
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マスター「…」
女剣士「…」
マスター「…女錬金師が、ね」
女剣士「どうして準備が出来たんでしょうね」
女剣士「それに、マスターさん…そんなに魔法使ってませんでしたよね?」
567: 2014/02/16(日) 19:54:14 ID:evGmHZsU
マスター「…」
女剣士「…?」
マスター「お前は戦いの力が高くても、別の面で劣ってるよな」ハァ
マスター「本当にスルト以下か」
女剣士「むっ、どういう意味ですかぁ!」
マスター「…あのな」
女剣士「はいっ」
マスター「俺はな…」
568: 2014/02/16(日) 19:55:36 ID:evGmHZsU
戦士長「…おおい!おーい!」
マスター「ん…」
ザッザッザッザ…
戦士長「どうした!何で戻って来ないんだ。そっちで戦いは終わったんだろ?」
豪騎士「あ…戦士長サン」
戦士長「この報告も含めて、一旦ギルド本部に戻ろう。…マスター、言いたくはないが…感謝するよ」
マスター「ん…あ、あぁ…」
569: 2014/02/16(日) 19:56:16 ID:evGmHZsU
戦士長「…助かった。本当に」
マスター「…」
戦士長「本当に強かったんだな…あんたら」
戦士長「最初の無礼、少しは詫びたい。二人とも、良ければ一緒にギルド本部に来てくれないか」
マスター「俺らがか?」
戦士長「お前たち以外にいないだろう」
マスター(無駄にプライドの高い人間だな…、実質、豪騎士がリーダーみたいなもんか)
570: 2014/02/16(日) 19:56:58 ID:evGmHZsU
女剣士「私は構いませんが…」
戦士長「なら決まった。今回の事、何かしらの魔物の問題にも関係がありそうだ…重く見るよ」
マスター「それがいいな。普段見せない魔物らが出てきたのは何かこちら側にも問題があったからだろう」
戦士長「…あぁ」
豪騎士「んじゃ、帰りますか!…二人とも立てるのか?」
マスター「よっ…大丈夫…だ」ヨロッ
女剣士「私も…大丈夫です…」ヨロッ
豪騎士「…二人ともダメそうだな」ハハッ
571: 2014/02/16(日) 19:57:40 ID:evGmHZsU
マスター「そ…そんなことは…」フラッ
女剣士「ないですよっ!」フラフラ…
豪騎士「…戦士長サン」
戦士長「わ…分かったよ。ほら…」
グイッ…ガシッ
マスター「…む」
女剣士「あはは…お手数かけます」
マスター「…すまんな」
572: 2014/02/16(日) 19:58:20 ID:evGmHZsU
豪騎士「あんたらは俺ら、そして町を救ってくれたのはアンタあってこそだ」
豪騎士「このくらいさせてくれ」
戦士長「…じゃあ行くか」
女剣士「はいっ…ありがとうございます」
マスター(ズタボロになるまで戦ったのは何年ぶりだろうか…)
マスター(それとあの話は…やはり…するべきだろうな…)
ザッザッザッザ…
ザッザッ…
……
…
577: 2014/02/17(月) 18:58:30 ID:EqbYBAk2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夜・豪火山ギルド 】
…ザワザワ
ギルド員「生き残れて良かったよ…あんな戦いは久しぶりだ…」
ギルド員「俺だって…。亡くなったのも付近から見つかったし…良かったな…」
ギルド員「いいのかどうなのか…。仲間を失ったのには変わりはないんだ」
戦士長「何故今回のような事が起きたのかはまだ捜索中だ。早い解決が望まれるな」
豪騎士「…ですね」
578: 2014/02/17(月) 18:59:32 ID:EqbYBAk2
マスター「恐らく…だが」
戦士長「ん?」
マスター「…新人研修は定期で行っているんだろう?」
戦士長「そりゃそうだが」
マスター「魔物の生息域の変化とかあったんじゃないか?」
マスター「例えば…山奥にしかウィスプ等がいなくなったとか」
戦士長「…よく知っているな?近年、付近にいた魔物はめっきり少なくなったんだ」
マスター「多分だが、新人研修や依頼で生息域が減少したんだろう」
マスター「このギルドの実践研修は山の中で行わなければならなくなったろう?」
マスター「そして…奴らの縄張りに足を踏み入れた」
579: 2014/02/17(月) 19:00:03 ID:EqbYBAk2
戦士長「…なるほど」
マスター「大体はそんな感じだろう。この山脈は広大だ…そりゃ魔物のパライダスだって存在してるさ」
戦士長「…」
マスター「俺だって人だし、人の味方だ。だが、そいつらの気持ちもわかる」
戦士長「…」
マスター「難しい問題さ。答えなんか出るわけがないんだ」
戦士長「そうだな。冒険者っていうのは、人っていうのは…、魔物っていうのは…複雑だよ」
マスター「…」
戦士長「…そういえば近隣への応援は保留させたのと、観光の封鎖解除はどうするべきか」ハァ
マスター「少なくとも近辺にはまだ群れはいそうだ。応援も含めて討伐隊は必須だろう」
マスター「あとは応援も混ぜてアンタらでやれるはずだ。観光解除は問題なさそうに見えるぞ」
580: 2014/02/17(月) 19:00:52 ID:EqbYBAk2
戦士長「そ、そうか。色々助かる」
マスター「いやなに、冒険者同士…仲間だろう」
戦士長「あぁ…そうだな」
マスター「…」
豪騎士「ま…まぁまぁ!そんな染みったれた話をするんじゃないでしょう!」
戦士長「そ、そうだったな」
豪騎士「今は生き残った喜び、マスターサン、女剣士サンへの感謝でしょ!」
戦士長「…うむ」
581: 2014/02/17(月) 19:01:49 ID:EqbYBAk2
豪騎士「ささっ、女剣士サン!グイっと飲んじゃって!」トクトク
女剣士「わ、私はまだ飲めませんよ!」
豪騎士「あ…そうなの?まぁ細かい事は気にしないで!」
女剣士「無理ですってばぁ!マスターさん助けてぇ~!」
マスター「そいつはまだ16歳だしな…あんまりイジメないでやってくれ」ククク
豪騎士「ありゃま随分と若いのね…」
マスター「それで実力も高くて、勇気もある。全く…今の若い奴らはどんなに将来有望なんだか」
582: 2014/02/17(月) 19:02:28 ID:EqbYBAk2
豪騎士「若いって…、マスターサンもそんなに歳いってないでしょ?」
女剣士(あ、そういえばマスターさんって何歳なんだろう)
マスター「さぁ~な。まぁ若く見られがちだが」
豪騎士「あーっ!教えてよー!」
マスター「いいからお前が飲め」グイッ
豪騎士「むぐぐ…。わかった、わかったって!飲むから!」
マスター「…」
女剣士「…?」
583: 2014/02/17(月) 19:03:05 ID:EqbYBAk2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【1時間後・テラス】
ソヨソヨ…
女剣士「…はぁ~。テラスは少し涼しいですね」
マスター「ギルドの中は熱気で溢れてたしな。豪火山といえど、夜風は少し涼しいか」
女剣士「いっぱい食べましたし、冒険者仲間に囲まれて楽しかったです」
マスター「…昼間はすまなかったな。俺の見誤りでお前を危険な目に…」
女剣士「いいんです。ああいう体験もなかったですし…いい経験です。怖かったですけどね」ヘヘ…
584: 2014/02/17(月) 19:03:45 ID:EqbYBAk2
マスター「そうか…」
女剣士「これからも色々教えてくださいね。マスターさん!」
マスター「…あぁ」
女剣士「~♪」
マスター「…その前にな、1つ。話したい事があるんだ」
女剣士「…何ですか?まさか、このいい雰囲気の中…」ゴクッ
マスター「違うわ!」
女剣士「じゃあ何です?」
585: 2014/02/17(月) 19:04:26 ID:EqbYBAk2
マスター「…俺が、戦いの途中で倒れたのは分かってるよな」
女剣士「あ…魔力の枯渇でしたっけ」
マスター「お前はさほど気にしてなかったようだが…。何も思わなかったか?」
女剣士「いえ…」
マスター「…」ハァ
女剣士「?」
586: 2014/02/17(月) 19:05:03 ID:EqbYBAk2
マスター「いいか…良く聞け。俺はな…」
女剣士「はい」
マスター「お前と一緒で、魔力が極端に少ない…いわゆる万能に不向きな人間なんだ」
587: 2014/02/17(月) 19:05:57 ID:EqbYBAk2
女剣士「…えっ?」
マスター「…」
女剣士「で、でも!ヒールとか、大火炎とか、水魔法とか…色々やってたじゃないですか」
マスター「技術面はな。魔力とは別だ」
女剣士「え…えっ…?」
588: 2014/02/17(月) 19:06:55 ID:EqbYBAk2
マスター「…少し、昔話をしよう。聞いてくれるか?」
女剣士「も…もちろんです」
マスター「ありがとう。俺が東ギルドのメンバーだった事は話をしたよな」
女剣士「はい」
マスター「その頃、俺はまだ普通の剣…お前のようなカットラス風の片手剣で戦っていた」
女剣士「!」
マスター「その頃はまだ魔力のハンデも感じる事なかった…誰かさんのようにな」
女剣士「…」
589: 2014/02/17(月) 19:07:59 ID:EqbYBAk2
マスター「やがて実力も上がり、上位依頼を請け負い始めると…それは急に来た」
女剣士「…」
マスター「前にも言った、魔法が使えない事によって自分の身を守れず、更に仲間への負担だ」
マスター「そういう事が増えつつも俺は、必至に戦った…」
女剣士「…」
マスター「だがある時、どうにもない失敗をしちまってな」
マスター「俺自身の限界を感じ、軽い片手剣を捨てて…新たな道を探した」
女剣士「それが…今の…」
マスター「そう。大剣だ」
590: 2014/02/17(月) 19:08:58 ID:EqbYBAk2
女剣士「…!」
マスター「元々才能があったというか…人よりも気力を上手く練ることが出来たし」
マスター「力も人並み以上にあった俺は、すぐに大剣を扱うことは出来るようになったんだ」
女剣士「…」
マスター「そして、俺は改めて上位依頼を受けた」
マスター「魔力のいらない戦い方に切り替え、力でねじ伏せるようになった事で」
マスター「辛かった上位依頼はサクサクとこなせるようにはなった。嬉しかったよ」
女剣士「それで…」
591: 2014/02/17(月) 19:10:57 ID:EqbYBAk2
マスター「…それからは成功続きで、俺のした事は正解だと思っていた。だがな…」
女剣士「…はい」
マスター「所詮、付け焼刃の立ち回りだ。ある時のクエストでボロが出て、仲間を巻き込む大失敗をしたんだ」
女剣士「…!」
マスター「それからは簡単だ。俺が自分自身に耐えられなくなって…逃げた」
女剣士「逃げ…た…?」
マスター「ギルドの脱退。いわゆる冒険者として引退を決意したってワケだな」ククク
女剣士「…」
592: 2014/02/17(月) 19:12:44 ID:EqbYBAk2
マスター「仲間は止めてくれたさ。それが当時の固定のパーティメンバーだ」
女剣士「あっ、もしかして女錬金師さんや、マスターさんが前に紹介してくれるって言ってた…?」
マスター「そう。それと今回、女錬金師が俺に薬を渡さなかった訳だが…」
マスター「表立って俺に薬を渡しても受け取らない事は分かってたんだろう。だから内緒にしたんだ」
女剣士「…」
マスター「まぁ…何が言いたいかっていうとな」
マスター「お前は俺とそっくりなんだ。才能を持ち、魔法を使えない。そして…まだ若かったということ」
女剣士「…はい」
マスター「魔法を使えないで、他の才能に後々から移動しても俺と同じ道を辿るだけ」
マスター「その前に、お前を今までの道から外れることなどないよう…」
マスター「剣士としてずっと見据えられるように教えようと思ったんだ」
593: 2014/02/17(月) 19:14:43 ID:EqbYBAk2
女剣士「…」
マスター「…ちなみにな、俺が冒険者だと言われる事を嫌がってた理由もこれさ」
女剣士「え?」
マスター「逃げた事を責められているようで、嫌だったんだ」
マスター「…何を言ってるか、わからんよな」
女剣士「いえ…わかります。わかる気がします」
マスター「…っふ」
女剣士「マスターさんは、もう自分で冒険者だとは思ってないんですか?本当に」
594: 2014/02/17(月) 19:15:30 ID:EqbYBAk2
マスター「何?」
女剣士「何で冒険者の仕事依頼を副業としてきたんですか?」
女剣士「何でまた私と世界を歩こうと決めたんですか?本当に…引退したと思ってるんでしょうか」
マスター「…そ、それは」
女剣士「…今、本当のことを教えてほしいです」
マスター「…」
マスター「…表向きには引退したんだと言っているが…」
マスター「本心くらい、わかっているだろう…」
595: 2014/02/17(月) 19:16:40 ID:EqbYBAk2
女剣士「…っ!」
マスター「皆だって俺の気持ちを分かってみてくれていた。それもまた、分かっている」
女剣士「…」
マスター「本当ならスッパリ足を洗うべきだったんだろうとも思う」
マスター「…俺と一緒にギルドを止めてくれた仲間のためにも」
女剣士「…マスターさん」
マスター「女錬金師は笑顔で今も迎えてくれるがな」
マスター「ほかの仲間とは顔合わせだってしない奴だっている」
マスター「今も俺が冒険者と一緒の仕事をしてる事は知ってるだろうし…な」
女剣士「…」
596: 2014/02/17(月) 19:17:50 ID:EqbYBAk2
マスター「情けない話だが…正直…怖い。女錬金師も、普段は明るいが…俺の仕事を快くなんか…」
女剣士「…マスターさん」
カツ…カツ…カツ…ポンッ!
マスター「ん?」クルッ
女錬金師「そんなこと・・・思っちゃいないよ!!」
マスター「なっ!?」
女剣士「女錬金師さん!?」
女錬金師「このバカ…やっぱり倒れたんだってね。一応充填薬を持たせて良かったよ」ハァ
マスター「なな、何でお前がここにいるんだ!」
女錬金師「このギルドは私の店のご用達だよ?仕事がてらさ」
597: 2014/02/17(月) 19:18:46 ID:EqbYBAk2
マスター「…そ、そういや…そうだったな…」
女錬金師「外で聞いた事ある声と、聞いた事ある話をしてると思えば…やっぱりアンタだったかい」
マスター「くっ…」
女錬金師「アンタと一緒に引退をしたのに、まだ冒険者稼業をやってるからって快く思わないだって?」
マスター「う…」
女錬金師「当たり前だよ!!」
マスター「…」
女錬金師「…なんて、冗談だよ。皆…アンタが冒険者を止められないのは知ってたさ」
マスター「な、何…?」
598: 2014/02/17(月) 19:20:42 ID:EqbYBAk2
女錬金師「特にパーティだったアタシと…」
女錬金師「仲間だった剛腕武道家、魔僧侶…全員、アンタに冒険者は止められないってずっと言ってたさ」アハハ
マスター「…」
女錬金師「たまに、魔僧侶とは仕事で顔を見せるんだけどね、アンタの話をよくするよ」
マスター「お、俺の?」
女錬金師「未だに冒険者として活躍してる、実力があっても小さな村を救うヒーローだって」
女錬金師「毎回、笑いながら言ってるよ。所詮、アンタは一生冒険者だってね」
マスター「…!」
女錬金師「アンタは魔僧侶とは全然会わないし、心配もしてるだろうけど、別に恨んじゃいないさ」
女錬金師「もちろん、アンタが心配してる当時の面子…みんなそうさ。今度遊びに来て、自分で話も聞けばいい」
マスター「…」
599: 2014/02/17(月) 19:21:33 ID:EqbYBAk2
女剣士「マスターさん…良かったじゃないですか…!」
マスター「あ…あぁ…」
女剣士「♪」
マスター「…」
女剣士「むぅ…もう!マスターさん!!」
マスター「ん…お。おう?」
600: 2014/02/17(月) 19:22:27 ID:EqbYBAk2
女剣士「逃げたと思ってるのはマスターさんだけですよ」
女剣士「私も、マスターさんは趣味だろうが副業だろうが…今も立派な冒険者だと思ってますから」
マスター「…女剣士」
女剣士「これからも、私に道を教えてください。先輩として!」ペコッ
マスター「いいのか…俺でも。こんな卑屈な性格もしてるんだぞ?」
女剣士「…もちろんです。何があろうと…もう、あなたは私の師匠だと思ってますから!」
マスター「…っ」
女錬金師「いい弟子を持ったんじゃないかい。本当にね」
601: 2014/02/17(月) 19:23:07 ID:EqbYBAk2
マスター「…そうだな」
女剣士「えへへっ!」
女錬金師「…ひと段落ついたところで、ちょっとついでに聞きたい事があるんだよ」
マスター「何だ?」
女錬金師「アンタは魔僧侶とは会わないけど、逆に私は剛腕武道家と会わないんだ」
女剣士「昔のパーティだった人ですね」
マスター「あ~…剛腕武道家な」
女錬金師「今は中央軍に務めてるってのは聞いたんだけど、どんな様子なんだい?」
602: 2014/02/17(月) 19:23:40 ID:EqbYBAk2
マスター「あいつは今、軍の左官だか将官じゃなかったか?」
女錬金師「へぇ!女なのによくそこまで」
女剣士(女性なのに軍の幹部クラスですか。ってか剛腕武道家って凄い名前…)
マスター「今は"上官"とかって名乗ってるみたいだがな」
女錬金師「ほぉ~」
マスター「かなぁり前に、竜騎士っつー弟子が出来たって相当喜んでたな」
女錬金師「へぇ~」
女剣士(私と似たような感じなんですかね?兄弟子って感じ…。今度会ってみたいなぁ)
603: 2014/02/17(月) 19:24:18 ID:EqbYBAk2
マスター「さぁなて。さて、夜風に当たりすぎると体に毒だ…中に戻るか」クルッ
女錬金師「…また、いつでもおいでよ」
マスター「あぁ、今度は…みんなにまた…会いに行くよ」
女錬金師「…ふふ」
マスター「ほら、行くぞ」
スタスタスタ…
女剣士「あ、待ってくださいよ!」
マスター(ありがとよ。女剣士、女錬金師…)
604: 2014/02/17(月) 19:25:02 ID:EqbYBAk2
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
616: 2014/02/18(火) 19:18:41 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・宿 】
ユサユサ…
マスター「おい、朝だぞ」
女剣士「むにゃ…朝早くないですか…」
マスター「お前、温泉に入りたいって言ってただろ。朝風呂だと日の出が綺麗だぞ」
女剣士「昨日夜中まで飲みでしたし…、ふしぶしが…」
マスター「お前飲んでないだろ!」
女剣士「むむぅ…」ガバッ
618: 2014/02/18(火) 19:19:45 ID:7Uv30VZk
マスター「ほら…起きろ」グイッ
…パサッ
マスター「!!」
女剣士「あ…下着のままでしたね…」ニヘラ
マスター「はぁ~…」
女剣士「今着替えますぅ…」ゴソゴソ
マスター「お前寝起きだとか、そのおっとりしすぎる性格なんとかしろ!」
女剣士「むぅ~…」
619: 2014/02/18(火) 19:20:30 ID:7Uv30VZk
マスター「戦う時と違いすぎるぞ…」
女剣士「でも、お父さんとお母さんどっちも似てるって言われるんですけどねぇ…」モゾモゾ
マスター「どんな親だか見てみたいわ…」ハァ
女剣士「よっし、着替えました。温泉に行きましょう!」ダッ
マスター「あ、おい!コラ!」
620: 2014/02/18(火) 19:21:04 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 温 泉 】
…ガラッ!!
女剣士「うわぁ~!露天風呂が広~~い!!」
マスター「!?」
女剣士「…あれ?」
マスター「…!?!?」
女剣士「あれれ、マスターさん?何で女風呂に…まさか、覗きですか!?」
621: 2014/02/18(火) 19:21:54 ID:7Uv30VZk
マスター「はっ!?いや、ここは男風呂だぞ!」
女剣士「えぇっ!?女風呂ですよ!」
マスター「ま…」
女剣士「…まさか」
マスター&女剣士「混浴…」
622: 2014/02/18(火) 19:22:41 ID:7Uv30VZk
女剣士「まっ、気にしませんけどね」
スタスタスタ…ジャブンッ!!
マスター「うわっぷ!」
女剣士「あ、タオル着けたままの入浴はダメですよね。よいしょ」
マスター「…」
女剣士「あ~…マスターさん、どうせ濁り湯なんで期待してもダメですよぉ?」
マスター「…はぁ」
女剣士「見えなくてため息ついちゃいましたか?」クスクス
マスター「違うわ!もう何でもいいよ…」
623: 2014/02/18(火) 19:23:14 ID:7Uv30VZk
女剣士「えへへ…温泉、気持ちいいですねぇ。昨晩の疲れによく効きそうです」ハフー
マスター「疲労には良く効くからな。ゆっくり浸かればいい」
女剣士「それに他のお客さんもいないし、開放感~!」ザバッ!
マスター「ば、バカ立つな!」
女剣士「あ…」ザボンッ!
マスター「何で俺がこんなに気を使わなければならんのだ…」
女剣士「マスターさんは別に気にしなくていいんですよ?」
マスター「気にするだろうが!」
624: 2014/02/18(火) 19:23:53 ID:7Uv30VZk
女剣士「そうですか?」
マスター「お前な、俺がまともなじゃなかったら色々と危ういだろう」
女剣士「え~…」
女剣士「まぁ…そうなったらその時ですよね」エヘヘ
マスター「…」
マスター「…!!」ザバッ!!
女剣士「きゃあっ!?ちょ、ちょっと急に…そんな、ココでですか!?それはそれで心の…」
マスター「…お前!」
女剣士「…え?誰かいるんですか?」クルッ
625: 2014/02/18(火) 19:24:39 ID:7Uv30VZk
冒険戦士「…やぁ、マスター」ハハ
マスター「冒険戦士!?」
女剣士「冒険戦士さん!?」ザバッ!!
冒険戦士「…マスター、それにお姉さん久しぶりだね」ニコッ
女剣士「良かった…無事でしたか…。色々聞いて、心配してたんですよ…」
冒険戦士「心配してくれてたの?嬉しいなぁ…っと待って!」
ザボザボ…ドボンッ…
女剣士「…?」
冒険戦士「お姉さん…、全部見えてる…」
女剣士「え…?あ…」
626: 2014/02/18(火) 19:25:36 ID:7Uv30VZk
冒険戦士「あはは…僕もまだ健全な男子なんで…。ちょっと濁り湯に隠れるよ…」
タタタタタッ…ザボンッ…
女剣士「…」カァァ
ザボザボ…ブクブク…
マスター「それより…どうしてここにいる?逃げたんじゃないのか?」
冒険戦士「逃げてたよ。森の中を抜けて、山脈を通ってさ」
マスター「ふむ」
冒険戦士「でもね、山脈でたくさんの魔物に追いかけられてさ。仕方なく町に抜けたんだ」
マスター「…あー」
冒険戦士「そしたら町の中は、マスターとお姉さんの話でもちきりだったから」
マスター「どこにいるか聞いて、この宿に来たわけか」
627: 2014/02/18(火) 19:26:20 ID:7Uv30VZk
冒険戦士「うん。久々に顔でも見せようかなって」
マスター「わざわざ嬉しいぞ。…生活のほうはどうだ?まだ戻れる見込みもないんだろう?」
冒険戦士「そうだね…まだ話し合いも進んでないみたいだし」
マスター「…そうか」
冒険戦士「そんな顔しないでよ。僕だって一人前の冒険者だし!」
マスター「すぐドジをするから心配には変わらん」
冒険戦士「もう…マスターはいっつもそうなんだから…」
女剣士「…」ブクブク
冒険戦士「でもまぁ、そこに沈んでるお姉さんに良い物見せてもらったしね」ニカッ
女剣士「ま…またこういうの…」ブクブクブク…
628: 2014/02/18(火) 19:27:26 ID:7Uv30VZk
冒険戦士「お姉さん、自信持っていいと思うよ!」
女剣士「それ、フォローになってませんよぉぉ」
ザバザバザバ…!!
冒険戦士「!」
マスター「おーい、女剣士。向こう側に隠れるのはいいが、背中側が丸見えだぞ」
女剣士「う…うわぁぁんっ!」
ザバザバ…コケッ…ジャボォン!!!
冒険戦士「あ~あ…転んだ…」
629: 2014/02/18(火) 19:28:21 ID:7Uv30VZk
マスター「さっきまで開放感とか、別に気にしないって言ってた奴が急にどうしたんだか」
冒険戦士「そりゃマスターだからじゃないの?」
マスター「何がだ?」
冒険戦士「いーや、何でも」
マスター「…まぁそれはそうと、いつ出発するつもりだ?早くここも出なければならないだろう」
冒険戦士「う~ん…次はエルフの町に行ってみるよ。大陸自体が違うし、落ち着きそうだし」
マスター「それがいいな」
冒険戦士「でも、お姉さんはマスターと冒険かぁ…ちょっぴり羨ましいや」
マスター「なんだったら、お前も来るか?」
冒険戦士「…ボクも?」
630: 2014/02/18(火) 19:29:14 ID:7Uv30VZk
マスター「あぁ。俺らは別に気にしないぜ」
冒険戦士「…止めとくよ。もっと落ち着いて、マスターに本当に認められるようになったら…ね」
マスター「…そうか」
冒険戦士「さて…僕はそろそろ行くよ。顔が見れて良かった」ザバッ
女剣士「ふぁ、ファイトーですよー!」
冒険戦士「お姉さん…遠すぎて声が小さいよ…」
マスター「…気を付けてな。あ、そうだ…ちょっとロビーで待ってて貰えるか?」
冒険戦士「…あ、うん」
マスター「女剣士!俺らはあがってるから、あとでロビーに来いよ!」
女剣士「は、は~い…」
631: 2014/02/18(火) 19:30:04 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
冒険戦士「は~いいお湯だった…。マスター、それで何か用?」
マスター「待たせたな…ほら」
冒険戦士「…こ、これって…」
マスター「お前が好きだったいつもの一杯だ。淹れたてだぜ」
冒険戦士「…」
マスター「当、青空喫茶店のサービスとなっております。どうぞご遠慮なく」
冒険戦士「…頂きます」
632: 2014/02/18(火) 19:31:05 ID:7Uv30VZk
…ゴクッ
冒険戦士「うん…やっぱり、美味しいや…」
マスター「そりゃ良かった」
冒険戦士「でも、青空喫茶店て…何?」
マスター「まぁ色々あってな。気にするな」
冒険戦士「そっか」
グビッ…グビッ…
マスター「…」
冒険戦士「また、この味を飲めるといいな」
マスター「飲めるさ」
冒険戦士「…うん」
633: 2014/02/18(火) 19:31:59 ID:7Uv30VZk
タッタッタッタッタ…
マスター「おっ」
女剣士「お待たせしました。髪の毛乾かすのに時間かかっちゃって」ホクホク
冒険戦士「湯上りのいい女性って感じだね、お姉さん」
女剣士「そ、そうですか?」テレッ
冒険戦士「うん、お風呂の中でも見た時も、思わず目がいっちゃったくらい!」
女剣士「う…うわあぁぁん!」ダッ
ダダダダダッ…!!
マスター「…あーあ。あんまりうちの弟子をいじめないでくれるかな」
634: 2014/02/18(火) 19:33:16 ID:7Uv30VZk
冒険戦士「あはは…。ああいうお姉さん見ると、ついつい…ね」
マスター「昔っから変わらないな本当に」
冒険戦士「はは…それじゃ、僕はそろそろ出発しようかな!」
マスター「うむ。改めて…気を付けて行けよ」
冒険戦士「もちろん。お姉さんにもよろしくね」
マスター「わかった」
冒険戦士「じゃ…」
カツ…カツカツカツカツ…
635: 2014/02/18(火) 19:33:56 ID:7Uv30VZk
マスター「…」
女剣士「はぁ…はぁ…」トコトコ
マスター「戻ってきたか。もう、冒険戦士は出発しちまったぞ」
女剣士「声かけたかったのに…」
マスター「行く所を見られたくないんじゃないか。…俺と一緒でな」
女剣士「え?」
マスター「逃げる事を見られたくないんだよアイツは…多分な」
女剣士「…」
マスター「さ、どうせアイツとはいつか会える。俺らも次の町に行く準備をするぞ」
636: 2014/02/18(火) 19:34:35 ID:7Uv30VZk
女剣士「!…、次はどこへ行くんですか!?」
マスター「さぁて…どこに行きたい?このまま東方側に抜けてもいいんだが…希望とかあるか?」
女剣士「え、えっとぉ~…」
マスター「まだ落ち着きも取り戻してないみたいだし、時間はあるしな」
女剣士「マスターさんはどこかに行きたい所とかないんですか?」
マスター「そうだな…あぁ、お前の故郷とかどうだ?親に直接話もしたほうがいいんじゃないかと思ってな」
女剣士「わ…私の実家ですかぁ…」
637: 2014/02/18(火) 19:36:06 ID:7Uv30VZk
マスター「そういやお前の実家って…どこだったか?」
女剣士「田舎町っていう小さな場所ですよ」
マスター「ふむ…ふむ?おい、ここからそう遠くもないじゃないか」
女剣士「あ…そ、そうですか?」
マスター「何だ、乗り気じゃないな」
女剣士「中央で頑張るとか言ってたのに、世界に旅立ってるとか…なんか…ね?」エヘッ
マスター「…」
女剣士「…」
マスター「お前、手紙で伝えるって言ったのに伝えてないのかぁ!?」
638: 2014/02/18(火) 19:36:41 ID:7Uv30VZk
女剣士「ひーっ、ごめんなさいごめんなさいぃ!」
マスター「…決定、お前の実家に戻る。次の旅はそこからだ」
女剣士「ほ、本気ですか!?」
マスター「当たり前だ。さて、部屋に戻って準備するぞ」
女剣士「うぅ~…」
マスター「お前の親に会ったら、美味い珈琲でも淹れて飲ませてやるさ」
女剣士「マスターさんの珈琲は美味しいですからねぇ」
マスター「それにお前の親は手練なんだろう?いっぺん、手合わせをしてみたいもんだ」
女剣士「あっ!強いですよぉ?」
639: 2014/02/18(火) 19:37:12 ID:7Uv30VZk
マスター「あぁ、そうだろうな」
女剣士「…仕方ない、行きますか」ハァ
マスター「当たり前だって言ってるだろう」
女剣士「…」
マスター「…」
女剣士「…マスターさん!」
マスター「なんだ?」
640: 2014/02/18(火) 19:37:44 ID:7Uv30VZk
女剣士「これから、冒険者同士…冒険者の師匠として…よろしくお願いしますねっ!」
マスター「…それも」
マスター「…当たり前だ」
641: 2014/02/18(火) 19:38:42 ID:7Uv30VZk
あ…そういえば借金とか…どうなりますか…?
ん~?そんなのあったか…?
えっ…
今はお前を教える方が大事だ…そんなもん忘れた…
で、でも…どうやって親に紹介すれば…
ギルドに紹介された師匠と弟子でいいんじゃないのか
あ~…それで大丈夫かな…
さぁ~な…
642: 2014/02/18(火) 19:39:19 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
643: 2014/02/18(火) 19:39:52 ID:7Uv30VZk
再び冒険者として走り出した師匠と
駆け出し剣士の冒険劇ははまだまだ続く
さぁて、次は何が待っているんだろうか…
――ランプが燃えているうちに、
人生を楽しみたまえ、
しぼまないうちにバラの花を摘みたまえ
…ヨハン・マルティン・ウステリ
………
……
…
644: 2014/02/18(火) 19:40:24 ID:7Uv30VZk
【 E N D 】
645: 2014/02/18(火) 19:41:13 ID:7Uv30VZk
2章が終了し、これで今回の女剣士編の本編は一旦終了となります。
読んで下さった方々、楽しんでくれた方々、皆様に感謝の意を。
更新速度が遅くはなりましたが、ここまで書けた事をうれしく思います。
P.S
最後に、いつも通りにアフターストーリーと、修正分をアップ致します。
646: 2014/02/18(火) 19:41:57 ID:7Uv30VZk
【 アフターストーリー 】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 田舎町 】
マスター「…ここが、お前の実家?」
女剣士「そうですけど?」
マスター「…お前が親に言えば返してくれるって意味が分かったよ」
マスター「地方とはいえ、この豪邸。金持ちじゃないか…」
女剣士「ま…まぁ…」アハハ…
マスター「家に親はいるのか?」
648: 2014/02/18(火) 19:42:39 ID:7Uv30VZk
女剣士「いると思いますよ。入りましょう」
マスター「う、うむ…」
…ガチャッ
女剣士「おかあさーん!」
女剣士「…」
女剣士「おかあさ~~ん!!!」
マスター「…いないのか?」
女剣士「いえ、今出てくると思います」
649: 2014/02/18(火) 19:43:17 ID:7Uv30VZk
ガタッ…ガタガタガガタッ!!ドタンッ!!!
マスター「!」ビクッ
ドタドタドタ…
母親「お、女剣士!?お帰りなさい!」
女剣士「ただいま。今のすごい音は何?」
母親「そこで転んじゃって…あはは…」
マスター(に、似てる…)
女剣士「もー、お母さんったら…」
母親「いつものことでしょ…って、どなたですか?」
マスター「ど…どうも」ペコッ
女剣士「あ、お母さん。こちらはね…」
650: 2014/02/18(火) 19:44:00 ID:7Uv30VZk
母親「…お赤飯!」
女剣士「ちがーう!!」
マスター「違います!!」
651: 2014/02/18(火) 19:44:34 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親「あ…そ、そうだったんですか。私てっきり…」
女剣士「もー…」
マスター「はは…仕方ないですよね。いきなり来たんですから」
女剣士「お父さんは?」
母親「もうすぐ起きてくる…かな?」
ガタガタ…
母親「って言ってれば。お父さんにも紹介しなくちゃ♪」
652: 2014/02/18(火) 19:45:15 ID:7Uv30VZk
ガチャッ…
父親「ん~…よく寝た」フワァ
マスター「!?」
母親「あ、おはようございますっ。女剣士が戻ってきてますよ♪」
父親「ん、お…おぉ!女剣士!」
女剣士「お父さん、ちょっと報告したい事があって戻ってきたんだ」
父親「そうか、何か用か?…お隣の男性は?」
マスター「あ…は…初めまして!」
653: 2014/02/18(火) 19:45:49 ID:7Uv30VZk
父親「…まさか、もう…そんな男が…。お赤飯か…」ガクッ
母親「違いますよ!」
女剣士「違うっての!!」
マスター「違いますから!!!」
654: 2014/02/18(火) 19:46:31 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マスター「…っていうわけです」ハァハァ
父親「あぁ、そうでしたか。それは娘が世話になって」
マスター「いえいえ…予想以上の実力を持っていてビックリしていますよ」
父親「迷惑をかけてなければいいんですが」
マスター「そんな全然!…ところで」
父親「はい?」
655: 2014/02/18(火) 19:47:30 ID:7Uv30VZk
マスター「…まさかとは思いました。これでも冒険者の端くれですので…」
父親「…?」
マスター「あなたは十数年前に…亡くなった…、竜き…」
父親「いやぁ!!人違いでしょう!!」
マスター「…」
父親「彼は私のあ…兄でしてね。よく似ているって言われるんですよ」
マスター「…そう、ですか」
父親「そ…その兄譲りの負けん気を引いたようでしてね…娘も」
656: 2014/02/18(火) 19:48:19 ID:7Uv30VZk
女剣士「そうなの!?」
父親「う…うむ。そうだ」
マスター「…」
マスター(まさか…な。国家予算に匹敵する報酬を得た、武道家と騎士の話…)
マスター(騎士は氏に、その仲間の武道家が全てを引き継いだと聞く)
マスター(そしてこの女剣士の才能。当時の騎士に容姿がそっくりなこの父親…。いや、深くは追求しないでおこう…)
父親「…マスターさん?」
マスター「あ…い、いえ!それより、おふた方はとても強い方だとお聞きしました」
657: 2014/02/18(火) 19:48:53 ID:7Uv30VZk
父親「あぁ…女剣士がそんなことを?」
女剣士「お父さん、昔の事故で目が見えないんでしょ?足も義足だし…なのに私、勝てた事ないじゃん」
父親「そりゃお前がまだまだ経験不足だからだ」
女剣士「わかんないよぉ~?今やったら、私に負けるかも!」
父親「負けるわけないだろ、やってみるか?お?」
女剣士「いいよ!久々に手合わせしよっか!」
マスター「ちょっと待ってください!」
マスター「…その勝負、自分とやって頂けませんか」
父親「へっ?」
マスター「あなたと…一度、お手合わせしてみたい」ゴクッ
父親「…」
658: 2014/02/18(火) 19:49:26 ID:7Uv30VZk
マスター「どうでしょうか…是非、お願いします」
父親「…いいですよ。ただし、私は見ての通りの義足で…更に目が見えません。お手柔らかに頼みますよ」ハハハ
マスター「…是非もありません。感謝します」
女剣士(えーっ!お父さんとマスターさんが手合わせ!?)
659: 2014/02/18(火) 19:50:12 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 近くの広場 】
…クルクルクル…ドスンッ!!
マスター「この広さなら、十分に戦えそうですね。大剣でも暴れられそうだ」
父親「はは…。まぁ田舎ですので広さだけはありますから」スチャッ
マスター(…槍か。この男…やはり騎士…)
父親「さて、やりますか。お手柔らかに」スッ
マスター「いえいえ…では。お願いします」
660: 2014/02/18(火) 19:52:07 ID:7Uv30VZk
女剣士(…)ドキドキ
母親(…)ドキドキ
父親「…はぁ!」ダッ
ダダダダダダッ!!!
マスター(始まった…だが、思ったほどの速度ではない)
マスター「おりゃあっ!」ブンッ!
父親「ぬっ!」ビュッ!!
…ガキィン!!!
661: 2014/02/18(火) 19:53:16 ID:7Uv30VZk
父親「"それほどの大剣"を、軽く振り回すとはやりますね…」
マスター(見えないのに、感じだけで全てが見えるのか!)
マスター(そういえば…俺がいることも言葉を発する前にわかっていた…もはや達人の域の感覚じゃないか…)
父親「久々に楽しめそうだ…本気でいかせて頂きますよ。龍突っ!!」
ビュッ…ビュオオオオッ!!!
マスター「竜技…!?…ぐっ!ふ、防ぎ切れない!」タァンッ!
女剣士「マスターさんが飛んで逃げた!」
母親「わぁ~高い…」
662: 2014/02/18(火) 19:54:29 ID:7Uv30VZk
マスター「相手の苦手なのをつかせて頂く!轟音と共に上からならば…」
マスター「いくら気配を読んでも、どこから攻めるか難しいはずだ!」ヒュウッ
父親「…ふむ」
スタスタスタ…トスッ
父親「この辺…か」
マスター「はっ!?」
父親「そのまま落下してきたら槍に刺さりますよー。どうしますか」
マスター「な、何故…うらぁぁっ!」グルンッ!!
父親「ほう、空中で落下位置を変化するとは。やりますね」
…ズズゥン…!!
663: 2014/02/18(火) 19:55:21 ID:7Uv30VZk
マスター「…ぬぐっ」バッ
父親「空中の攻めの威力は高いが、落下時に硬直が生まれるのはキツイですよね」ダッ
ダッ…ダッダッダッダッダッ!!
父親「龍突っ!!」ビュッ!!
マスター「ぬぅぅ…大斬っ!!!」ブンッ!!!
…ガガキィィン!!!
マスター「…っ!」ビリビリ
父親「つつ…大剣の威力は対したもんですね。貰ったと思ったんですが弾かれるとは…」ビリビリ
父親「さすがの振り速度だ。攻撃速度が尋常じゃない」
664: 2014/02/18(火) 19:56:27 ID:7Uv30VZk
マスター「…ふふ、親父さん」
父親「むっ」ピクッ
マスター「この間合いなら、剣が有利だっ!」ブンッ
…ヒュンッ
マスター「外れた!?」
ズザッ…ズザサァ…
父親「ふぅ…危ない危ない。今のはちょっと危なかったな」
マスター「い…一瞬であそこまで…引いたのか…」タラッ
665: 2014/02/18(火) 19:57:07 ID:7Uv30VZk
女剣士「お父さん…本当に強い…。あのマスターさんが…」
母親「あらあら、女剣士。強いに決まってるでしょ、私の夫であなたのお父さんなんだから♪」
女剣士「…うん」
父親「さて…小火炎魔法っ!」パァッ
マスター「!」
…ボォン!!
マスター「おっとっと…」プスプス
父親「ありゃ、避けもしない」
マスター「…すみませんが、貴方が魔法を苦手なのは聞いてます。脅威にはなりません」
父親「そうでしたか、全く…女剣士のやつめ」
666: 2014/02/18(火) 19:57:45 ID:7Uv30VZk
女剣士「ご…ごめんなさーい」
父親「確かに私は魔法が苦手ですけどね、苦手なら苦手なりにやる手段があるんですよ」ニコッ
マスター「へえ、見せて頂きたいですね」
父親「…はっ!」ブンッ!!
女剣士「えっ!?」
マスター「や…槍を空高く投げた!?」
父親「…小火炎魔法っ!」パァッ
…ボォン!!!
667: 2014/02/18(火) 19:59:10 ID:7Uv30VZk
マスター「…おっ!?どこに撃ちましたか、明後日の方向ですよ!」
父親「2つの注意は、1つの隙を生ませるのに十分なんですよ。小火炎魔法っ!!」パァッ
…ドゴォン!!…
マスター「あ、足元を!うわっ!」
…ドシャアッ!!
女剣士「マスターさんを転がした!」
ダダダッ…タァンッ!!
父親「今度は私が上からとらせて頂きますかね」
ヒュウウッ…ガシッ…
668: 2014/02/18(火) 20:00:44 ID:7Uv30VZk
女剣士「さっき投げた槍を…取った…まさか…!」
父親「…龍落っ!!!」
ヒュウウウッ…!!
マスター「ぐ…!」ダッ…
父親「一度転んだ相手には、こんな小さな魔法でも…小火炎魔法っ!!」パァッ…ボォン!!
マスター「うあっ!」グラッ
女剣士「頭を揺らして…」
父親「…中々強かったですよ」
マスター「う…うおっ…防御がまにあわな…」
ヒュウウウウウウッ…ボコンッ…!!!
669: 2014/02/18(火) 20:01:29 ID:7Uv30VZk
マスター「がっ…」
父親「柄での叩きつけに途中から切り替えましたが…私の勝ち…ですね?」
マスター「がはっ…」
…ドサァッ
父親「…ふぅ。女剣士、魔法は最小でも幾らでも戦いの手段はあるんだぞ。覚えておけよ」
女剣士「お…お父さん…」
父親「どうした…俺を見直したか?」ハハハ
670: 2014/02/18(火) 20:02:04 ID:7Uv30VZk
女剣士「小斬~~!!!」ブンッ
…バシュウッ!!
父親「ぬおおぉっ!?な、何をする!」
女剣士「マスターさんをイジめるなんて、最低ですよ!!もっと手を抜いてもいいじゃないですか!」
父親「だ、だが男同士の真剣勝負で…」
女剣士「問答無用~!」
父親「な、何でだぁぁ!」
671: 2014/02/18(火) 20:03:05 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕 方 】
マスター「あいつつつ…」
父親「申し訳ありませんね…大丈夫でしたか?」
マスター「い、いえ。自分の実力も劣っているのが分かって良かったですよ」
父親「はは…」
母親「でも、まだ本気じゃありませんでしたよね?武器も違いますし」
父親「ば、バカッ!」
女剣士「え?」
マスター「え?」
672: 2014/02/18(火) 20:03:39 ID:7Uv30VZk
母親「あれは少し前に貰った、お祭りで使うような軽い凡槍ですよ。本気なら龍槍使うじゃないですか」
父親「そういうことを人の前で言うんじゃないっつーの!」
母親「あ、あう…すいません…」
マスター(ま…マジか…)
女剣士「お父さん…どんだけ強いの…」
父親「まだまだお前には負けんよ」ハハハ
女剣士「む…むぅぅ…」
673: 2014/02/18(火) 20:04:13 ID:7Uv30VZk
父親「それにしても、あなたのような人なら娘も安心だ。是非、娘を鍛えて頂きたいですよ」
マスター「そんな恐れ多い…」
父親「いえいえ」
マスター「…」
女剣士「ま、まぁさ。そういう訳だから、一応報告にね」
父親「んむ…励むんだぞ」
母親「頑張ってね♪」
女剣士「うん!」
674: 2014/02/18(火) 20:05:12 ID:7Uv30VZk
父親「これからはどこに向かうんですかね?」
マスター「予定では、東方へ抜けるのも有りかと。大きく東からグルっと回るのも悪くはないですね」
父親「東方へ抜け、ジパング、更に大海を渡って遊休王国、星降町、西地方…やがてココへ戻ると」
マスター「その頃には1年…2年もたってるでしょう。立派な剣士に彼女も成長してますよ」
女剣士「…楽しそうですねぇ!」ウキウキ
父親「全く…誰に似たんだか」ハハ
マスター(どっちにも似てるよ!)
父親「それじゃ…娘を宜しくお願いしますね」ペコッ
母親「宜しくお願いします」ペコッ
マスター「いえいえ…」ペコッ
女剣士「釣られて…」ペコッ
675: 2014/02/18(火) 20:06:04 ID:7Uv30VZk
母親「それで今日はどうするの?泊まってくの?」
マスター「しばらく離れる事になりますし、是非…今日は家族水入らずでいかがでしょうか」
女剣士「いいんですか?そりゃ少しはお話もしたいですが…」
父親「そんなこと言わず、マスターさんも一緒に飲みましょう」
マスター「いえいえ!ですが、家族水入らずというものが…」
父親「冒険家業として、冒険者同士…仲間でしょうよ」ニカッ
母親「…ですね」ニコッ
マスター「!」
女剣士「!」
676: 2014/02/18(火) 20:06:57 ID:7Uv30VZk
マスター(全く…この人といい、女剣士といい…)ハハ
女剣士「お父さん…」
マスター「いいでしょう、是非…今晩は…飲み明かしましょうか!」
女剣士「おーっ!」
父親「…いやお前はダメだろ」
女剣士「えーっ!」
父親「いやいや」
女剣士「むぅぅ…」
マスター「やれやれ…これからも楽しませてくれそうだ」
677: 2014/02/18(火) 20:08:51 ID:7Uv30VZk
女剣士「…何か言いましたか?」
マスター「いや何でもないさ」
女剣士「…えへへ、さぁ…明日も楽しく、これからも冒険者として頑張りましょうねっ!」
マスター「あぁ…そうだな!」ニカッ
678: 2014/02/18(火) 20:09:21 ID:7Uv30VZk
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・
・・・・
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・
679: 2014/02/18(火) 20:10:12 ID:7Uv30VZk
【 E N D 】
680: 2014/02/18(火) 20:10:56 ID:7Uv30VZk
ここまでお付き合いしてくださった皆様、ありがとうございました。
過去の作品との繋がりを持ちつつ、ちょっと変わった王道ファンタジーで描いたつもりです。
まだまだ描き切れてない部分はありますが、
次の機会があればまた、目に通してくれれば嬉しいです。
新作等がある時は、現存しているスレにご報告はさせていただきます。
本当にありがとうございました。
後は修正分のアップをしておきます。
それでは…失礼致します。
698: 2014/02/18(火) 22:19:00 ID:SMe1ks6I
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります