1: 2008/10/01(水) 19:27:40.98 ID:XssejhR00
ジュン「何食ってんだ翠星石?」

翠星石「プリングルスのサワークリームオニオンですぅバリバリボリボリ」

ジュン「その長いのを食いきる気か?」

翠星石「一度食べだしたらキャントストップですぅガツガツムシャムシャ」

ジュン「…その小さな体のどこへ入っていくんだ?」

翠星石「ちょっと喉が渇きましたね」

ジュン「僕もちょっと飲み物欲しいな、ウーロン茶でいいのか?」

翠星石「今日はセブンアップかドクターペッパーの気分ですぅ」

3: 2008/10/01(水) 19:31:03.30 ID:XssejhR00
のり「はい翠星石ちゃん、おかわりよ」

翠星石「のり、今日のはなまるハンバーグはソースが違いますね」

のり「和風ソースにしてみたのよぅ」

翠星石「白いご飯によく合うですぅ、最高ですぅガツガツムシャムシャ」

真紅「よく食べるわね」

翠星石「新米の輝きは、まるでお茶碗の中の宝石ですぅ」

6: 2008/10/01(水) 19:35:35.75 ID:XssejhR00
翠星石「お米は素晴らしいですね、まさに日本人の魂ですぅ」

翠星石「その魂を汚す、汚染米事件。まったく嘆かわしいですぅ。日本はどうなってしまうことやら」

ジュン「お前は外国産の人形だろ」

翠星石「のり、おかわりですぅ」

雛苺「これで4杯目なのー」

10: 2008/10/01(水) 19:39:42.48 ID:XssejhR00
翠星石「またご飯に味噌汁をぶっかけて食べるのがたまらんですぅズズッザクザク」

真紅「お行儀が悪いわね」

翠星石「この味噌汁ご飯が持つ、魔性の魅力が悪いんですぅ」

雛苺「それは通称ねこまんまなのー。猫さんのエサなのよ」

翠星石「こんな美味しい物を食べるなんて猫は贅沢ですね。のり、おかわりですぅ」

11: 2008/10/01(水) 19:43:18.14 ID:XssejhR00
翠星石「やっぱり最後の締めはお茶漬けですね。のり、煎茶を淹れて欲しいですぅ」

真紅「よくそんなに食べられるわね、3合くらい食べてるんじゃない?」

翠星石「成長期だからしょうがねーですぅ」

ジュン「人形に成長期なんてあるのか?」

翠星石「うるせーですね。ジュン、梅干をたたいて持ってくるですぅ。あと塩昆布もですよ」

12: 2008/10/01(水) 19:46:30.91 ID:XssejhR00
翠星石「ペチャペチャクチャクチャ、食後のフォション手摘み抹茶は最高ですぅ」

ジュン「……おい翠星石」

翠星石「どうしました?アイスならあげませんよ」

ジュン「お前、太ってないか?」

翠星石「……何を言ってますか?翠星石はお人形ですよ。太ったりするわけないですぅ」

ジュン「都合のいい時だけ人形設定を持ち出すな」

15: 2008/10/01(水) 19:49:47.28 ID:XssejhR00
真紅「確かに……顔がふっくらしてるわね」

雛苺「ふっくらというよりはでっぷりなのー」

ジュン「ちょっと顔を下に向けてみろ」

翠星石「……こうですか?」

 ムニュ

ジュン「……二重アゴになってるぞ」

翠星石「…………」

16: 2008/10/01(水) 19:53:09.00 ID:XssejhR00
ジュン「ちょっと体重を量ってみろ」

翠星石「……いやですぅ!女の子の体重を知ろうとするなんてジュンは変態ですぅ!」

ジュン「真紅、雛苺。このピザデブの豚を体重計に連れて行け」

翠星石「チビ人間!なにさらっとひどいこと言ってますか!」

17: 2008/10/01(水) 19:55:57.64 ID:XssejhR00
真紅「はいはいどうどう。大人しくしなさい、出荷したりはしないから大丈夫よ」

雛苺「うわぁー。このメス豚、引っ張る体にかなりの重みを感じるのー」

 ズルズルズルズル

翠星石「嫌ですぅ!翠星石は太ってなんかいないですぅ!」

21: 2008/10/01(水) 19:59:35.99 ID:XssejhR00
ジュン「どうだ、計量結果は?」

真紅「ドールの平均体重からかけ離れた重さを示してたわね」

翠星石「………」

ジュン「放心状態になってるな」

雛苺「もうローゼンメイデンは辞めて、北斗の拳にハート様役で出るしかない重さだったのよ」

25: 2008/10/01(水) 20:03:36.11 ID:XssejhR00
翠星石「……どうして、かわいいかわいい翠星石が太ったりするですぅ……」

雛苺「ピザデブが自分をかわいいとか言うと、心の底から殺意が生まれるの……」

ジュン「屠頃して肉屋に並べるぞ……この緑豚……」

真紅「まぁまぁ二人とも。雛苺、その肉切り包丁をしまいなさい」

26: 2008/10/01(水) 20:06:08.21 ID:XssejhR00
真紅「翠星石、これはきっとお父様からの罰が下ったのよ」

翠星石「……罰ですか?」

真紅「最近のあなたは食っちゃ寝、食っちゃ寝。まるで毎日がお正月だわ」

雛苺「夜中に鞄から抜け出して、冷蔵庫を漁ってるのも知ってるのー」

30: 2008/10/01(水) 20:09:44.44 ID:XssejhR00
翠星石「……でも秋はお腹が空くんですぅ」

真紅「そこを意思の力で自重出来ない愚かさに、お父様は怒ったのよ」

真紅「だから太ったんじゃないかしら?」

ジュン「あんな堕落した食生活のやつがアリスになれるとも思えないしな」

34: 2008/10/01(水) 20:12:05.61 ID:XssejhR00
翠星石「雛苺も苺大福をたくさん食べてるじゃないですか!」

雛苺「ヒナは毎日ジュン登りをしてるのー」

真紅「あれはかなりの全身運動だわ」

雛苺「ハイレベルな有酸素運動なのよ」

37: 2008/10/01(水) 20:16:01.07 ID:XssejhR00
翠星石「じゃあ翠星石もジュンに登るですぅ!」

ジュン「うわっ!やめろ骨が折れる!あと豚臭い!」

翠星石「骨が折れる……ぶ…豚臭い……ひどい!ひどいですぅジュン!うわぁぁぁぁぁぁ!」

真紅「本当のことを言われて泣き出したわ」

ジュン「うーん、普通女の子が泣いてるのは心が痛むもんなんだけど……」

雛苺「うぜぇこの緑豚、としか思えないのー」

40: 2008/10/01(水) 20:20:15.17 ID:XssejhR00
真紅「翠星石、泣き止みなさい。とりあえずあなたの体をチェックするわよ」

翠星石「…ううっ…ぐすっ…チェック?」

真紅「そうよ。ドレスと下着、全部脱ぎなさい」

翠星石「でも……ジュンがいますけど……」

ジュン「ん?僕は今の翠星石に何の性的興味もないし、家畜としか思えないんだけど?」

翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

真紅「ジュン、分からなくもないけど一応は部屋から出て行きなさい」

47: 2008/10/01(水) 20:24:27.55 ID:XssejhR00
真紅「ちょっと!なんなの、このお腹は!何か宝物でもこの中に隠してるの!?」

 ポコンポコン

雛苺「叩くといい音がするのー。金糸雀のバイオリンに合わせて叩きたいのー」

真紅「翠星石、ちょっと下を向いてみなさい」

翠星石「………」

 ムニュ

雛苺「うわぁ……二重…いや三重アゴなのよ」

52: 2008/10/01(水) 20:26:41.19 ID:XssejhR00
真紅「どう?自分の股が見える?」

翠星石「……お腹が邪魔で見えません」

真紅「これはひどいお腹の出具合ね、隠れてビールでも飲んでたんじゃない?」

翠星石「そんなもの飲んでねーです。でも胸も大きくなりましたよ!巨Oですぅ!」

54: 2008/10/01(水) 20:29:20.01 ID:XssejhR00
雛苺「大きくはなったけど垂れ下がってるのー」

真紅「おばあさんのおっOいだわ」

雛苺「デブの巨Oは決して巨Oとは呼ばないのー。おっOい星人のタモさんが怒るのよ」

 モミモミ

真紅「そんなものよりは、このお腹を揉んだ方が気持ちいいわね」

 モミモミ

雛苺「なかなかの揉み応えなの、こっちならタモリさんも納得なのー」

58: 2008/10/01(水) 20:32:20.38 ID:XssejhR00
翠星石「お腹で遊ぶのはやめてほしいですぅ……」

真紅「あとはこの足ね。大根足ってレベルじゃないわよ」

雛苺「まさに豚の足なの、蹄があってもおかしくないのー」

真紅「二の腕もひどいわね。タプタプだわ」

雛苺「腕というよりは豚の前足なのー」

翠星石「…………うぅっ……ぐすっ」

61: 2008/10/01(水) 20:34:05.28 ID:XssejhR00
翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

真紅「あら、また泣き出したわ」

雛苺「ちょっと心に突き刺さる言葉を言い過ぎたかもしれないのー」

真紅「はいはい翠星石、チェックは終わりよ。服を着なさい」

64: 2008/10/01(水) 20:36:21.46 ID:XssejhR00
ジュン「どうだ調査結果は?」

真紅「一言でいえば完璧なピザデブの豚なのだわ」

雛苺「どうしようもない堕落が腹に詰まってたのー」

翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

67: 2008/10/01(水) 20:38:39.96 ID:XssejhR00
真紅「さて、これから翠星石はどうするべきかしら?」

ジュン「とりあえず、もう毒舌の小動物系キャラというのは無理だろ」

雛苺「ツンデレを発揮しても殺意しか生まれないのー」

ジュン「あと、語尾の『ですぅ』もやめるべきだな」

真紅「これからは『でぶぅ』…『ぶひぃ』…こんな所ね……」

雛苺「いっそのこと、台詞無しでブヒブヒ言ってるだけもいいと思うのー」

72: 2008/10/01(水) 20:41:43.08 ID:XssejhR00
ジュン「これからはいじられデブキャラで攻めるべきだな」

雛苺「人気が急落しそうなのよ」

真紅「例えばシリアスなバトルの最中にいきなり『それよりもお腹が空いたでぶぅ』という台詞を言って……」

ジュン「そこで全員からの『黙れ、帰れ豚』というツッコミ……」

78: 2008/10/01(水) 20:43:42.39 ID:XssejhR00
雛苺「ばっちりなの!そのキャラで行くべきなのよ!」

真紅「翠星石、これからのあなたのキャラ設定が決まったわよ!」

翠星石「……どうして痩せさせるという意見が出てこないんですか?」

79: 2008/10/01(水) 20:46:35.86 ID:XssejhR00
ジュン「え?痩せたかったのか?」

翠星石「こんな醜い体型じゃ薔薇乙女の名折れですぅ!なんとかするべきですぅ!」

雛苺「……そうなの、なんとかするべきでぶぅ」

真紅「プッ…ククッ…やめなさい雛苺……翠星石は真剣なのよ…クククッ……」

翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!みんなが翠星石を馬鹿にするですぅぅぅぅぅぅ!!」

81: 2008/10/01(水) 20:49:17.65 ID:XssejhR00
 ふわふわ

真紅「ホーリエ、ご苦労だったわね」

雛苺「ベリーベルも帰ってきたのー」

翠星石「……どこに行かせてたんですか?」

真紅「他のドール達の所よ。私達だけじゃどうにも出来ないかもしれないわ」

翠星石「まさか水銀燈は呼んでないですよね、馬鹿にするに決まってるですぅ」

85: 2008/10/01(水) 20:52:03.00 ID:XssejhR00
真紅「そこは一応空気を読んだわよ」

雛苺「水銀燈、はみられっ子なのー」

ジュン「お、さっそく来たみたいだぞ」

 ガチャ

蒼星石「こんにちわー。なんだい真紅?緊急事態って……」

翠星石「…………」

蒼星石「…………」

91: 2008/10/01(水) 20:55:03.75 ID:XssejhR00
蒼星石「…………」

翠星石「…………」

蒼星石「……なんだいこの豚?塩コショウで焼いたら美味しそうだね、晩御飯?」

翠星石「黒いジョークはやめるですぅ蒼星石!翠星石ですぅ!」

蒼星石「驚いたな、言葉を喋るよ。翠星石っていうブランドの肉なの?」

99: 2008/10/01(水) 20:58:02.39 ID:XssejhR00
雛苺「現実から逃避してるみたいなのー」

真紅「蒼星石、ちゃんとあれを直視しなさい。あなたの双子の姉、翠星石よ」

蒼星石「いやだなぁ、エイプリルフールはまだまだ早いよ真紅」

蒼星石「僕らはお父様の作った薔薇乙女だよ。その僕の姉がこんな醜い豚のはずないじゃないか」

102: 2008/10/01(水) 21:01:28.54 ID:XssejhR00
ジュン「ハハハハハ、蒼い子は真面目だからなぁ。あまりの翠星石の有様に壊れちゃったかな?」

蒼星石「もう出荷の時期だよね、今日の鋏は血に飢えてるんだ」

真紅「笑ってる場合じゃないわよジュン!蒼星石を止めなさい!」

 ジャキン

翠星石「ひぃぃぃぃぃぃ!」

蒼星石「僕の双子の姉の名を騙るなんてひどい豚だよね、ここは僕がきちんと示しをつけないと」

106: 2008/10/01(水) 21:04:38.52 ID:XssejhR00
ジュン「ちょっとまずいな、おいやめろ蒼星石!」

蒼星石「この豚!僕はバラ肉が大好きなんだ!お前のバラ肉はどんな味なんだよ!」

雛苺「やめるのー蒼星石!これじゃ共食いのカニバリズムなのよー!!」

真紅「二人とも!蒼星石を押さえてなさい!ハァッ!」

 ドグッ

蒼星石「うぐっ!!」

110: 2008/10/01(水) 21:07:31.58 ID:XssejhR00
 ガクガクブルブル

翠星石「……怖いですぅ蒼星石怖いですぅ怖いですぅ蒼星石怖いですぅ怖いですぅ怖いですぅ」

雛苺「翠星石が肉を揺らしながら震えてるのー」

真紅「今後の双子関係に影響があるかもしれないわね」

蒼星石「…………」

 ピクッピクッ

ジュン「蒼い方も倒れて震えてるぞ」

真紅「急所は外したからそのうち目覚めるわ」

112: 2008/10/01(水) 21:11:14.53 ID:XssejhR00
雛苺「やっぱり蒼星石に見せるのはまずかったかもしれないのー」

真紅「大丈夫、翠星石?落ち着きなさい」

翠星石「はぁはぁ……そんなに今の翠星石は翠星石に見えないんですか?」

ジュン「ハハハハハ、豚が9割に翠星石1割って所かな」

翠星石「もう氏ぬですぅ!」

真紅「やめなさいジュン!大丈夫よ翠星石、今の恐怖できっと1㎏くらいは痩せたはずよ」

117: 2008/10/01(水) 21:14:03.10 ID:XssejhR00
 ガチャ

金糸雀「お呼ばれしたから正々堂々と玄関からこんにちわー、かしらー」

ジュン「お、次は金糸雀か」

金糸雀「緊急事態っていったい何が起こったのかしら……」

翠星石「…………」

金糸雀「…………」

124: 2008/10/01(水) 21:18:26.67 ID:XssejhR00
翠星石「…………」

金糸雀「……ゴクリ」


 ※時間が止まりました


金糸雀(……落ちつくかしら、頭のいいカナはここで脳ミソをフル回転かしら)

金糸雀(あそこにいる物体は一見、翠星石に見える……でも同時に豚にも見えるかしら)

金糸雀(あれは一体…?あんな生き物はカナの脳内アーカイブに記録されてないかしら)

金糸雀(豚と仮定しても、一体なぜ翠星石の格好を?疑問が多いかしら。なんとかこの謎を解くキーポイントを……)

128: 2008/10/01(水) 21:21:59.62 ID:XssejhR00
金糸雀(ハッ!なるほどカナを嵌める気かしら!)

金糸雀(ここであれを翠星石と呼んだら、きっと後ろに隠れてる本物の翠星石が怒鳴りつける……)

金糸雀(『チビカナにはあれが翠星石に見えるんですか!ひどいですぅ!侮辱されて心が深く傷ついたですぅ!』)

金糸雀(『賠償としてこれから一ヶ月卵焼きをよこしやがれですぅ』…意地汚い翠星石だから…こんな所かしら)

金糸雀(ふぃーあぶないあぶない……この孔明ばりの策士カナを嵌めようなんて10年早いかしら)


 ※時間が戻りました


金糸雀「この翠星石の格好をした豚はなにかしら?」

翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

138: 2008/10/01(水) 21:25:29.65 ID:XssejhR00
金糸雀「えぇ、この豚が翠星石?いや翠星石が豚かしら?」

真紅「どっちでもいいわ。とにかく翠星石が太ったのよ」

金糸雀「ところで床に転がってる蒼星石はどうしたのかしら?」

雛苺「ちょっと色々あったのー、あんまり気にしないで欲しいのー」

141: 2008/10/01(水) 21:28:01.86 ID:XssejhR00
 ぷにっ

金糸雀「うわぁ。ほっぺたにあいまい3センチくらい指が入っていくかしら」

翠星石「……コンプレックスで遊ぶなですぅ」

真紅「なにか痩せさせる方法を知らない?このまま放っておくわけにもいかないわ」

金糸雀「みっちゃんがビリー隊長のDVDを持ってるけど、残念ながら持ち出し禁止かしら」

ジュン「……また懐かしい物を。あの人も色々気にしてるんだな」


 ガチャ

水銀燈「緊急事態ってなんなのよ?来てやったのに下らない事だったら、ただじゃおかないわよぉ」

154: 2008/10/01(水) 21:30:47.15 ID:XssejhR00
ジュン「あれ?水銀燈?」

水銀燈「なによぉ?」

真紅「……私は呼んでないわ……雛苺?」

雛苺「ベリーベル?……うんうん……なるほどなのー」

雛苺「間違えて声をかけちゃったらしいのー。もう、めっめっなのよベリーベル」

157: 2008/10/01(水) 21:32:17.06 ID:XssejhR00
翠星石(……水銀燈にまで豚と呼ばれて馬鹿にされる……)

翠星石(ううっ……もう氏ぬですぅ……首吊り、焼身、樹海、身投げ、どれがいいですかねぇ……)

水銀燈「あら、翠星石どうしたのぉ。なんだかずいぶん太ったじゃない」

翠星石「…………!!」

166: 2008/10/01(水) 21:34:49.87 ID:XssejhR00
翠星石「水銀燈は……翠星石って分かるんですか?」

水銀燈「……?……あたりまえじゃない」

翠星石「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!お姉ちゃぁーーーーーーーーーーーーーん!!」

 ガシッ

水銀燈「ちょっと!重いわよ!(それに豚臭い!)なんなのよこの子!」

174: 2008/10/01(水) 21:37:45.95 ID:XssejhR00
雛苺「うう……とってもいい話なの……ねぇカナさん?」

金糸雀「グスッ…まったくかしらヒナさん……姉妹のなせる心の通じ合いかしら……」

ジュン「お前も姉なのに、豚って呼んだけどな」


翠星石「もう!もう!水銀燈だけが心の支えですぅ!」

水銀燈「なんなのよ一体!誰か説明しなさい!」

179: 2008/10/01(水) 21:40:44.06 ID:XssejhR00
水銀燈「ははぁ、つまり食っちゃ寝の怠惰な生活を送ってたら太ったわけね」

翠星石「水銀燈水銀燈!大好きですぅ!」

金糸雀「翠星石が水銀燈に抱きついて離れないかしら」

雛苺「なんだか転がってる蒼星石が哀れなのー。本来なら水銀燈がしてる役割のはずなのに」

ジュン「まぁ鋏をつきつけて頃しかけちゃなぁ」

183: 2008/10/01(水) 21:43:27.37 ID:XssejhR00
真紅「さすが長女と言った所ね、水銀燈。今回は褒めておくわ」

水銀燈「相変わらず馴れ合ってベタベタした子達ねぇ。うっとうしいわぁ」

水銀燈(ま…たまには悪くないわね)

翠星石「やっぱり水銀燈はお姉ちゃんですぅ!」

186: 2008/10/01(水) 21:47:30.41 ID:XssejhR00
水銀燈「なるほど……お父様の罰。そう考えるしかないわねぇ」

真紅「ドールが太るなんて他にありえないもの。この際あなたにも頼るわ、痩せる方法を知らない?」

水銀燈「簡単よぉ」

翠星石「本当ですか!さすが大好きな水銀燈ですぅ!これから蒼星石って呼んでいいですか!?」

水銀燈「……それは嫌よ、蒼星石が起きたらちゃんと仲直りしなさい……」

190: 2008/10/01(水) 21:52:10.30 ID:XssejhR00
水銀燈「お父様を怒らせたままじゃアリスになれないかもしれないし、今回は協力してあげるわぁ」

水銀燈「翠星石。これからしばらく私と生活を交換しなさい」


金糸雀「なるほど……その手があったかしら!」

雛苺「水銀燈の生活はローゼンメイデンの中でもっとも過酷なの!」

真紅「お腹が空けば生ゴミ漁り!のどが渇けばトイレの水道水だわ!」

ジュン「痩せる痩せないじゃない!痩せるしかないんだ!」


水銀燈「褒めてるの…?なんだかムカつくわねぇ……」

197: 2008/10/01(水) 21:56:12.45 ID:XssejhR00
水銀燈「とにかく、私の厳しい生活を過ごして反省すれば、お父様もきっと許してくれるわぁ」

翠星石「水銀燈の地を這いずるような生活を……翠星石に出来るでしょうか……?」

水銀燈「(いちいちカンに触るわね…)いいからやりなさい!痩せたいんでしょぉ!」


蒼星石「ううっ……ううーん……」

200: 2008/10/01(水) 21:58:43.86 ID:XssejhR00
ジュン「まずい、豚頃しのシザーマンが目覚めるぞ」

翠星石「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!怖いですぅ!」

金糸雀「ここは策士に任せるかしら!ジュン、その眼鏡を蒼星石に!」

ジュン「蒼星石に眼鏡をかければいいのか?」

202: 2008/10/01(水) 22:01:00.17 ID:XssejhR00
蒼星石「うう、頭がクラクラする……あれ?なんだか視界がぼんやりしてる?」

金糸雀「付近一帯に濃霧警報が発令されたから、そのせいかしら!」

蒼星石「へぇ……環境破壊の影響かな、地球はどうなるんだろう?」

蒼星石「ところで翠星石の名を騙るあの豚はどこへ行ったの?」

204: 2008/10/01(水) 22:03:36.62 ID:XssejhR00
真紅「荷馬車に揺られ、売られて行ったわ。きちんと出荷されたわよ」

蒼星石「そうなんだ。あの豚は許せないから僕の手でしめたかったんだけど」

翠星石「……蒼星石」

蒼星石「その声は翠星石?大丈夫なの?」

蒼星石「てっきりあの豚に喰われて、成り代わられたのかと思って心配したんだよ」

205: 2008/10/01(水) 22:05:33.86 ID:XssejhR00
蒼星石「無事で良かったよ翠星石、体に噛み付かれた歯形とか残ってない?」

翠星石「……いつもの優しい蒼星石ですぅ……」

翠星石「蒼星石……これから姉は自分自身を取り戻す旅に出ます」

翠星石「遠くから見守ってほしいですぅ」

蒼星石「良くわからないけど、声から真剣さは伝わるよ」

蒼星石「何か事情があるんだね。帰ってくるのを待ってるよ、翠星石」

翠星石「……蒼星石」

210: 2008/10/01(水) 22:07:36.47 ID:XssejhR00
雛苺「うう……素晴らしい双子の絆なの…ねぇカナさん?」

金糸雀「グスッ……まったくかしらヒナさん…姿は見えずとも思いは以心伝心かしら…」


ジュン「僕、たまに蒼星石って実はすごく腹黒いんじゃないかと感じるんだ」

真紅「全部分かってるのに、演技して遊んでる気もしてくるのだわ」

水銀燈「意外と夜神月タイプかもしれないわねぇ」

215: 2008/10/01(水) 22:11:57.03 ID:XssejhR00
翠星石「おはようですぅ」

翠星石「…………」

翠星石「そうか、昨日から水銀燈と生活を交代したんですね」

翠星石「埃の積もった薄暗い教会ですぅ……」

翠星石「なんだか、ここにいるだけで神経すり減らして痩せそうです……」

223: 2008/10/01(水) 22:14:47.01 ID:XssejhR00
翠星石「……とりあえず朝ごはんですね、お腹空いたですぅ」

翠星石「どれどれ、水銀燈からもらった野良生活メモを」


・基本は朝ごはん抜きよぉ。午前中の活動能率向上なんてしったこっちゃないわぁ。

・水でも飲んで耐えなさい。どうしても耐え切れないなら、繁華街の生ゴミよぉ。
 
・24時間経営の店や、朝方までやってる水商売の生ゴミが新鮮で狙い目よぉ。

229: 2008/10/01(水) 22:17:51.50 ID:XssejhR00
翠星石「生ゴミ……話には聞いてましたけど、そんなもの食べられるんですか?」

翠星石「でも背に腹は代えられねーですぅ」


・ちなみに繁華街のゴミ回収は朝の7時くらいよぉ。早起き必須←ココがポイント


翠星石「…………」

翠星石「……もう8時じゃねーですか」

237: 2008/10/01(水) 22:21:38.22 ID:XssejhR00
 桜田家

ジュン「姉ちゃん、一応紹介しておくよ」

真紅「翠星石としばらくコンバートする水銀燈よ」

水銀燈「しょうがないからお世話になってあげるわぁ」

のり「…………」

雛苺「なんだかのりが固まってるのー」

242: 2008/10/01(水) 22:24:14.82 ID:XssejhR00
のり「……水銀燈ちゃんはどれくらい食べるの?」

水銀燈「え?」

のり「翠星石ちゃんより大きいもの!1回の食事にお米を4合!?まさか5合!?」

のり「もしかして!ひょっとしたら!1升くらい食べるんじゃ!?」

のり「食パンは1斤まるごと!?」

のり「もう駄目だわ!桜田家のエンゲル係数は天井知らず!」

のり「パパ、ママ!のりは家計のやりくりも出来ない駄目な娘なのよぅ……うぅ…ううぅ…」

247: 2008/10/01(水) 22:27:31.44 ID:XssejhR00
水銀燈「……どうしたのぉ、これ?」

真紅「どうやら翠星石の食費が、思ってた以上に心労を与えてたみたいだわ」

雛苺「のりは笑顔の裏で罪作りな緑豚に脅えていたのね」

ジュン「姉ちゃん大丈夫だ、この水銀燈は野良ドールの路上生活者だ」

真紅「ご飯にたくわんでも与えておけば、十分満足してくれるはずだわ」

251: 2008/10/01(水) 22:29:32.73 ID:XssejhR00
のり「本当なのジュン君!?」

のり「もう部活をさぼってスーパーのタイムサービス巡りをしなくてもいいのね!」

真紅「……ずいぶん苦労してたのね。もう大丈夫よ、さぁ朝食にしましょう」

256: 2008/10/01(水) 22:32:37.62 ID:XssejhR00
水銀燈「ちょっと!たくわんどころか、お味噌汁に目玉焼きまでついてるじゃない!」

水銀燈「それにひじきの煮付け!小松菜のおひたし!塩鮭!」

水銀燈「なんなのよぉ朝ごはんからこの贅沢さは!」

水銀燈「今日は何か記念日なの!?お祭りの日!?」


雛苺「……水銀燈もずいぶん苦労してたみたいなの」

261: 2008/10/01(水) 22:35:34.18 ID:XssejhR00
のり「水銀燈ちゃんはご飯これくらいでいいのかな……?」

水銀燈「なによこれ?」

のり「……ひいっ……少ないのね……やっぱり少ないのね……」

水銀燈「雑穀や野草が入ってないじゃない!100%お米!?」

 グサ

水銀燈「箸が立つわ……ドロドロしてない!!」

268: 2008/10/01(水) 22:38:55.63 ID:XssejhR00
水銀燈「いわゆる銀シャリじゃない!」

水銀燈「銀シャリ!水銀燈と銀シャリ!銀つながりぃ!」

水銀燈「あら!?わたし面白いこと言っちゃったかしらぁ!?」

水銀燈「ちょっと!ねぇ!今の面白くなかった!?」


ジュン「水銀燈ってこんなキャラだったか?」

雛苺「なんだかテンションあがってるみたいなのー」

真紅「ウザいのだわ。放っといて食べましょう」

275: 2008/10/01(水) 22:42:14.36 ID:XssejhR00
 グビグビ

翠星石「水場があるから飲み放題ですけど、所詮は水ですぅ」

翠星石「お腹が膨らんでも、食欲は消えませんね」

翠星石「朝ごはん抜きなんて久しぶりです、お腹空いたですぅ……」

翠星石「……メモに何か書いてないですかね」


・オススメの食料調達ポイントはコンビニよぉ

・大体11時くらいに検品して期限切れの食品を廃棄してるわぁ

277: 2008/10/01(水) 22:45:00.41 ID:XssejhR00
翠星石「コンビニ……お弁当とか手に入るんですかねぇ?」


・その時間シフトに入ってる独身男性フリーターを手なづけてあるわぁ

・太もも見せたりとか、少しサービスすれば廃棄のお弁当をくれるわよぉ


翠星石「水銀燈……けっこう体張ってたんですね……」

翠星石「薔薇乙女としてはどうかと思うけど、その生活力は尊敬するですぅ……」

283: 2008/10/01(水) 22:47:29.71 ID:XssejhR00
翠星石「太もも見せたりとか……色気のあるサービスってことですか」

翠星石「…………」

 チラッ

翠星石「……無理ですぅ!プライドはともかく、この大根足で落ちる男なんていねーですぅ!」

翠星石「うぅぅ、今の翠星石はかわいさという生きるための武器を失ってるですぅ」

291: 2008/10/01(水) 22:51:05.54 ID:XssejhR00
翠星石「……お腹空いたですぅ……」

翠星石「……なんだかこればっかり言ってますね」

翠星石「もう……本格的にデブキャラへの転向を考えた方がいいかもしれんですぅ」


翠星石「それにしても、このメモは役に立たない情報ばっかり書いてありますね……」

 ・寒くて寝れない時は鞄に新聞紙を敷き詰めるのよぉ

翠星石「まだそんなに寒くねーですぅ」

 ・暇な時はアリの行列をながめなさい、案外楽しいから空腹も紛れるわぁ

翠星石「試したら3分で飽きたですぅ」

 ・どれだけ追い詰められても春を売っちゃ駄目よ
  それは薔薇乙女が捨ててはいけない最後のプライドよぉ

翠星石「春を売る……ってなんですか?意味が分かんねーですぅ」

297: 2008/10/01(水) 22:53:40.62 ID:XssejhR00
翠星石「もっと有益な情報はないんですか……ん?」


・いちおう周辺の食べられる木の実を教えておくわぁ


翠星石「食べられる……木の実?」

300: 2008/10/01(水) 22:56:27.68 ID:XssejhR00
翠星石「木の実ってドングリですか……」

 パキパキ

翠星石「殻がかてーですぅ。か弱い翠星石は中身を出すのに一苦労ですぅ」

翠星石「むぐむぐ……へぇ……意外と食べられる味じゃないですか」

翠星石「粉にしてクッキーにしたら美味しそうですね」

308: 2008/10/01(水) 22:59:14.23 ID:XssejhR00
翠星石「殻をむいたドングリを、石で挽いて粉にして」

翠星石「スィドリーム、如雨露に出来るだけ甘いお水を溜めるんですよ」

翠星石「この水で粉をよく捏ねて」

翠星石「形を整えたら、持ってきた100円ライターの火にかけて」

翠星石「あちっ!オーブンが無い時代はお菓子を作るのも大変だったでしょうね……」

翠星石「もういいですかね、それではドングリクッキー試食ですぅ」


翠星石「もぐもぐ……苦労したわりにはボソボソして……不味いですぅ……」


翠星石「はぁ……みんな美味しいもの食べてるんでしょうね……」

313: 2008/10/01(水) 23:01:35.61 ID:XssejhR00
水銀燈「雛苺、何食べてるのぉ?」

雛苺「うまい棒なのよ。翠星石が溜め込んでたけど、今はいないから手を付け放題なのー」

水銀燈「うまい棒……?なんだかちくわみたいな食べ物ね?」

真紅「ボリボリ 私のおすすめはこのサラミ味だわ」

水銀燈「(サラミってなにかしら?)じゃあ1本もらうわぁ」

水銀燈「ボリボリ 美味しいじゃない!」

真紅(やっぱりジャンクな駄菓子がしっくり来るのね)

318: 2008/10/01(水) 23:03:25.60 ID:XssejhR00
水銀燈「ボリボリ うまい棒おいしいわねぇ」

ジュン「ドンキで買った一袋、全部食っちまったぞ……」

水銀燈「ちょっと喉が渇いたわね、お水が1杯欲しいわぁ」

雛苺「グビグビ……ぷはー、やっぱりコカよりもペプシなのよ」

326: 2008/10/01(水) 23:05:08.71 ID:XssejhR00
水銀燈「雛苺……なに飲んでるの?」

雛苺「翠星石が溜め込んでたペプシなのー」

水銀燈「ペプシ?ちょっともらっていいかしら……グビグビ」

水銀燈「甘いわ!?それに口の中ではじけるわよ!?なにこの新感覚!?」

337: 2008/10/01(水) 23:07:06.02 ID:XssejhR00
真紅「……ジュン、ちょっと嫌な予感がしない?」

ジュン「あぁ、僕もひしひしとそれを感じている所だ」


水銀燈「あなた達、ずいぶん美味しいものを食べて過ごしてたのね」

水銀燈「この時期の私はドングリばっかりだったのに……いいわねぇ」

345: 2008/10/01(水) 23:09:23.10 ID:XssejhR00
真紅「なんだかハングリー精神を失った発言をしているわ」

ジュン「飼いならされた猫のように野性味を失ってきたな」

真紅「ナイフのような尖りが甘い蜜に漬かり始めてるわ」

ジュン「……また姉ちゃんが心労で泣くことになるかもしれないな」

349: 2008/10/01(水) 23:11:24.76 ID:XssejhR00
 一週間後


翠星石「ドングリのクッキー」

翠星石「ドングリの水煮スープ」

翠星石「ドングリの中華風炒め(油・味付けなし)」

翠星石「ドングリの素材を生かしたシンプルなステーキ(焼きドングリ)」

翠星石「全部食い飽きたですぅ」

355: 2008/10/01(水) 23:13:35.73 ID:XssejhR00
翠星石「というかブナの木のドングリも食い尽くしたですぅ」

翠星石「翠星石はこのまま即身仏になるんじゃないですか?」

翠星石「……少しは痩せたんですかね」

 ムニュ

翠星石「相変わらずの腹の出具合ですぅ……」

361: 2008/10/01(水) 23:15:56.59 ID:XssejhR00
翠星石「お腹空いたですぅ……」

翠星石「……この鞄……焼いたら食べたり出来ないですかね」

翠星石「…あれ?」

翠星石「鞄の中のすみっこに……紙切れが?」

翠星石「水銀燈のメモですか?」


 ・もう本当に限界を感じたら、そばにある病院の316号室へ行きなさい


366: 2008/10/01(水) 23:18:30.42 ID:XssejhR00
めぐ「えーと、翠星石ちゃん?それとも呼び捨てでいいの?」

翠星石「モグモグ……呼び捨てでいいですぅ」

翠星石「ガツガツ……ものすごくおいしいですぅ!」


めぐ「……そんなに美味しいの?それなら翠星石が全部食べていいわよ」

翠星石「いいんですか?めぐ…さんの分が無くなっちゃいますけど?」

めぐ「めぐでいいわ」

めぐ「そんなゲロみたいなもの食べる気しないからあげるわよ」

翠星石「ゲロって言うんですかこれ?おいしいですぅ」

めぐ(……スルーされた?……それともこの子、天然?)

373: 2008/10/01(水) 23:21:04.46 ID:XssejhR00
めぐ「痩せるためって、水銀燈も無茶なアイデア出すわね」

翠星石「モグモグ 一週間過ごしたけど成果が見られんですぅ」

めぐ「その話によると……水銀燈はいま、その桜田さんの家に入り浸ってるわけね……」

翠星石「この翠星石の代わりなわけですから、そういうことですぅ」

 ブルブルブルブル

めぐ「…………」

翠星石「どうしたんですか?布団を握り締めて……」

めぐ「……盗られた」

377: 2008/10/01(水) 23:23:50.29 ID:XssejhR00
翠星石「え?」

めぐ「盗られた盗られた盗られた盗られた水銀燈が盗られたァァァァァァァァァァッ!!」

翠星石「…………ちょっと大丈夫ですか?」


めぐ「わたしよりもその桜田ジュンって子の方が魅力があるわけ水銀燈
   この病室の窓際に佇む薄幸の美女よりもその桜田ジュンとかいう腐れチンポが良いわけなの水銀燈
   どうして水銀燈私を捨てたのあんなに分かり合ったのにベッドで一夜も共にすごしたのにどうしてどうしておかしいじゃないどうして私を捨てるのよ水銀燈
   ねぇどうしてよ私とは遊びだったの水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈」


翠星石「…………」

381: 2008/10/01(水) 23:25:58.26 ID:XssejhR00
めぐ「私と水銀燈は前世からの運命なのよ結ばれる運命だったのよ」

めぐ「私達は誓ったのよ永遠に二人は一つであることを」

めぐ「この完璧な文学的抒情詩のような美しき世界を壊した桜田ジュン」

 ギギギギギ

めぐ「許せんけぇのぉ……腐れオス犬……」

翠星石「この人間、クレイジーですぅ」

388: 2008/10/01(水) 23:27:55.49 ID:XssejhR00
翠星石「めぐ、落ち着くですぅ。水銀燈は盗られたわけじゃないですよ、帰ってきますよ!」

めぐ「ゴホッゴホッ…興奮して容態が!」

めぐ「そこにある、病に苦しむ美女を演出する薬を取って!翠星石!」

翠星石「変な薬名ですね……これですか?」

 ゴクッ

めぐ「ふぅ……ごめんねちょっと錯乱したみたい」

めぐ「わたし病気だもの。仕方ないわよね」

翠星石「頭のですか?」

めぐ「それでしっかりと聞き逃さなかったけど、水銀燈は私の腕の中に帰ってくるのね?」

395: 2008/10/01(水) 23:30:05.22 ID:XssejhR00
翠星石「翠星石が痩せることが出来たら、交代も終わって帰ってくるんじゃないですか?」

めぐ「なるほど、じゃあ今すぐ痩せなさい」

翠星石「そんな簡単に痩せられるなら苦労はしてねーですよ」

めぐ「話によると食っちゃ寝の怠惰な生活を送ってたから、あなた達のお父様が怒った」

めぐ「罰として太らされた、そういうことね」

398: 2008/10/01(水) 23:32:30.75 ID:XssejhR00
翠星石「おそらくそうですぅ、お父様がお怒りなんですぅ……」

めぐ「まったく、父親なんてどいつもこいつも自分勝手なもんね」

めぐ「私の意見を言うわね。翠星石は食べ物への感謝が足りなかったんじゃない?」

翠星石「……感謝ですか?」

399: 2008/10/01(水) 23:34:27.12 ID:XssejhR00
めぐ「あなたはこの一週間で食べ物のない辛さを味わったわ」

めぐ「そして空腹の中で食べた、ゲロという名の病院食。とても美味しかったでしょう?」

翠星石「最高だったですぅ、ゲロ」

めぐ「そこには食べることへの感謝があったはずよ」

404: 2008/10/01(水) 23:36:46.39 ID:XssejhR00
めぐ「食べることが出来る、というのは当たり前のことじゃないの」

めぐ「作ってくれる人への感謝、生命を奪われた家畜や植物への感謝」

めぐ「そういう心が物を食べる時には大事なのよ」


翠星石「……驚いたですぅ、ただのイカれた人間じゃなかったんですね」

めぐ「はっきり言う子ね」

めぐ「病人は思想や哲学ぶったことを考える傾向があるのよ、暇人だもの」

407: 2008/10/01(水) 23:38:52.51 ID:XssejhR00
翠星石「食べ物への感謝の心ですか……なかなか難しい話ですね」

めぐ「そういう謙虚な心を無くしそうだったのが、あなたのお父様は嫌だったのかもしれないわね」

翠星石「………?」

めぐ「簡単に言うと、一般的に見てもそれはかわいい女の子じゃないのよ」

翠星石「わかりやすく納得ですぅ」

412: 2008/10/01(水) 23:40:52.21 ID:XssejhR00
めぐ「…………」

翠星石「どうしたんですか?」

めぐ「うーん、ここまで偉そうに説教してなんだけど」

めぐ「かなり自分自身にも身につまされるなーと思ったわ」

翠星石「そういうことってよくあるもんですぅ」

415: 2008/10/01(水) 23:43:12.73 ID:XssejhR00
めぐ「その辺りを反省して、早く痩せて欲しいわね」

めぐ「もう一週間もこの腕の中に水銀燈を抱いてないのよ」

めぐ「水銀燈のためだけにある私の手が、このままじゃ腐り落ちるわ」

 クイクイクイクイ

翠星石「どうして中指を小刻みに動かしてるんですか?」

421: 2008/10/01(水) 23:45:32.13 ID:XssejhR00
翠星石「ちょっと勉強になったですぅ」

翠星石「またどうしようも無くお腹が空いたら来ますね」

めぐ「病院食でよかったら、いつでもあげるわよ」

翠星石「それじゃ翠星石は寝ぐらに帰るですぅ」

422: 2008/10/01(水) 23:48:22.92 ID:XssejhR00
めぐ「…………」

めぐ「翠星石か……水銀燈みたいに根暗じゃないから、話してると明るい気分になってくるわね」

めぐ「水銀燈が天使なら、あの子は騒がしい妖精みたいな感じかな。ちょっと太いけど」


めぐ「それにしても私の根暗な、いやクールな天使様はいまごろ何してるのかしら……?」

めぐ「まさか……桜田ジュンとかいうオス犬と、いちゃこいてないでしょうね……」

425: 2008/10/01(水) 23:50:41.67 ID:XssejhR00
水銀燈「やぁん、だめぇ、壊れちゃうぅぅ」


真紅「……気持ち悪い声出さないでちょうだい」

水銀燈「だってこのケーキの生クリームが私をとろかすのよぉ」

ジュン「ところでもう一週間になるけど、翠星石は大丈夫なのか?」

水銀燈「大丈夫じゃなぁい?困ったらめぐを頼れってメモに書いておいたから」

雛苺「めぐって誰なのー?」

水銀燈「一応私のミーディアムよぉ」

水銀燈「でも頭のイカれた子で、私もたまに身の危険を感じるわねぇ(性的な意味で)」

432: 2008/10/01(水) 23:53:06.81 ID:XssejhR00
真紅「身の危険って……翠星石は大丈夫なの?」

水銀燈「うーん、銀ちゃんわかんなぁい」

水銀燈「それより、のり。ケーキのお代わりお願いできるかしらぁ?」


雛苺「……なに今の?……こいつマジでうぜぇの……キャラ変わり過ぎなのよ……」

真紅「……争い始めて長いけど……ここまで殺意を感じたのは初めてだわ……」

ジュン「まぁ落ち着けお前ら。真紅、その出刃包丁をしまえ」

443: 2008/10/01(水) 23:57:01.27 ID:XssejhR00
のり「ブツブツブツブツ……明日は隣町のスーパーへ行って、特売の食パンを……」

水銀燈「あぁ、このショートケーキの苺がキュンと私の胸を撃つわぁ」

のり「ブツブツブツブツ……まだ翠星石ちゃんの方がましだったわ帰ってきて翠星石ちゃん……」


ジュン「予想通りに姉ちゃんの心労がよみがえったな」

真紅「やれやれ……翠星石は大丈夫かしらね」

451: 2008/10/01(水) 23:59:29.41 ID:XssejhR00
翠星石「ふぅ、お腹は満たされたけど、子猫のように人見知りな翠星石は疲れたですぅ」

翠星石「水銀燈もジュン以上に変な人間と契約してますね……」

 パキッ

翠星石「ドングリの殻……」

翠星石「食べ物への感謝、でしたっけ」

翠星石「……スィドリーム、如雨露に水を入れるですぅ」

454: 2008/10/02(木) 00:01:32.80 ID:7KVDt7p30
 ジョロジョロ

翠星石「あのドングリも、翠星石に食べられなかったら……」

翠星石「こんな立派なブナの樹になってかもしれませんね」

 ジョロジョロ

翠星石「この樹にしたら、子供を食べられたようなもんですよね」

翠星石「翠星石に出来るのは、感謝に水をあげることくらいですぅ」

459: 2008/10/02(木) 00:03:27.44 ID:XssejhR00
翠星石「ドングリに夢中だったけど、よく見ると本当に立派な樹ですね」

翠星石「ここまで育つのにずいぶん時間がかかったはずですぅ」

翠星石「…………」

翠星石「こういう時は樹になんて言えばいいんですかね?」

翠星石「食べてごめんなさい……なんか違うですぅ……」

翠星石「…………」

翠星石「ごちそうさまでした」

467: 2008/10/02(木) 00:06:08.64 ID:7KVDt7p30
 次の日

翠星石「おはようですぅ……って誰もいませんけど」

翠星石「…………!?」

翠星石「体が軽い?」

翠星石「……腹に醜い肉の塊が無いですぅ!」

翠星石「……ほっぺたに指が入っていかない!?」

翠星石「…………」

翠星石「許してくれたんですか……お父様?」

473: 2008/10/02(木) 00:08:54.69 ID:7KVDt7p30
翠星石「めぐ!めぐ!見るですぅ!翠星石やせたですぅ!」

めぐ「…………」

めぐ「……ころころと太ってたのも愛嬌があったけど」

めぐ「やせたらずいぶんかわいい女の子だったのね」

475: 2008/10/02(木) 00:10:36.64 ID:7KVDt7p30
翠星石「これで水銀燈もめぐの所に帰ってきますよ、良かったですね」

めぐ「……ちょっと残念かな」

翠星石「え?」

めぐ「昨晩にね、水銀燈が桜田ジュンとかいうオス犬といちゃついてる夢を見たのよ」

めぐ「顔も知らないけど……そのオス犬は……下卑た顔で笑いながら……水銀燈を……」

480: 2008/10/02(木) 00:12:03.24 ID:7KVDt7p30
めぐ「どうしてよどうしてなのよ水銀燈あっさりそんなオス犬に手名付けられてそんなに良かったの私より良かったの
   私達は永遠の愛を誓った仲じゃない体の隅々まで見せ合った仲じゃないどうしてよ私を裏切るの水銀燈どうしてよ
   許せない許せない許せない私だけを見てればいいのよ水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈水銀燈」

翠星石「めぐ、落ち着くですぅ。ほら、病室にたたずむ深窓の美女を演出する薬ですよ!」

 ゴクッ

めぐ「ふぅ……ごめんねまた取り乱しちゃった。心臓病ってこれだから嫌よ」

翠星石「頭の方も診てもらったほうがいいですよ」

484: 2008/10/02(木) 00:15:04.70 ID:7KVDt7p30
めぐ「まぁそんな夢を見ちゃったから。もういっそのこと翠星石に乗り換えようかと思ったんだけど」

翠星石「うーん、お断りですぅ」

めぐ「もう一晩くらいここにいない?そして一緒に結婚式の真似をしましょう」

めぐ「そしてそのまま初夜へなだれ込むコースよ」

 チロチロチロチロ

翠星石「どうして舌を出して激しく動かしてるんですか?」

492: 2008/10/02(木) 00:18:22.56 ID:7KVDt7p30
めぐ「冗談よ。私の手も舌も水銀燈のためだけにあるものだから」

翠星石「良かったですぅ……ちょっと身の危険を感じてたですぅ」

めぐ「それにしても変な夢みちゃった……私の水銀燈はどうしてるのかしらね?」

翠星石「……もしかしたら、前の翠星石みたいに食っちゃ寝で太ってるかもしれませんね」

翠星石「そうだったらどうするですぅ?」

めぐ「それはそれで良いわね。言葉責めが出来るわ」

めぐ「豚!この豚!薄汚い黒豚!あなたを飼ってくれるのは私ぐらいよ!ブヒって鳴いてみなさい!」

めぐ「……ハァハァ……最高じゃない……」

翠星石「やっぱりこの人間、クレイジーですぅ」

496: 2008/10/02(木) 00:20:22.72 ID:7KVDt7p30
 その頃の桜田家


水銀燈「フォションのショコラフレーバー、美味しいわねぇ。ペチャペチャ」

ジュン「おい……水銀燈?」

ジュン「太ってないか?」

505: 2008/10/02(木) 00:22:40.15 ID:7KVDt7p30
 病院316号室


翠星石「翠星石は帰るですぅ、お世話になりました」

めぐ「また私に会いに来てね。姉妹どんぶりというのも悪くないから」

翠星石「それじゃクレイジーめぐ。さよならですぅ」

めぐ「そこはまた遊びに来るとか言うべき所じゃない?」


翠星石「…………それと」

翠星石「病院食、ごちそうさまでした」

めぐ「…………どういたしまして」

511: 2008/10/02(木) 00:24:25.32 ID:7KVDt7p30
 桜田家


蒼星石「……また緊急事態って呼ばれてきたけど、この豚のこと?」

蒼星石「だからまだまだエイプリルフールには早いよ」

蒼星石「僕らはお父様の作りし薔薇乙女、その長女がこんな醜い豚のはずないじゃないか」

蒼星石「さて、この豚のカルビはどんな味なのかな?」

 シャキン

水銀燈「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

518: 2008/10/02(木) 00:27:12.68 ID:7KVDt7p30
 ※時間が止まっています

金糸雀(以前は同じような状況で、実は本物の翠星石だったかしら)

金糸雀(ということは本物の水銀燈、そう判断するのは早計かしら)

金糸雀(カナは裏を読む。策は虚をもって実を突く、ならば虚を返せばそれは実!)

金糸雀(今回こそ、本物の豚かしら!!)


 ※時間が戻りました


金糸雀「この水銀燈の格好をした豚は何かしら?」

水銀燈「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

525: 2008/10/02(木) 00:29:08.28 ID:7KVDt7p30
 ガチャ

翠星石「真紅!雛苺!ジュン!見事に痩せましたよ!元の翠星石……ですぅ……?」

水銀燈「…………」

翠星石「…………」

翠星石「……なんですか?本当に今度は水銀燈が太ったんですか?」

530: 2008/10/02(木) 00:31:04.21 ID:7KVDt7p30
水銀燈「翠星石!あなたは私が水銀燈って分かるのねぇ?」

翠星石「……あったりまえじゃねぇですか」

水銀燈「うわぁぁぁぁぁぁ!翠星石大好きよぉぉぉぉぉぉ!」

 ガシッ

翠星石「ちょっと!重いですぅ!」

538: 2008/10/02(木) 00:33:21.72 ID:7KVDt7p30
真紅「痩せることが出来たのね翠星石、良かったわ」

雛苺「でも今度は水銀燈がピザデブになったのー、重みで飛べないただの豚なのー」

ジュン「もう水銀燈はローゼンメイデンを辞めて、宮崎アニメに出るしかないな」

水銀燈「うわぁぁぁぁぁぁぁ!もう翠星石だけが心の支えよぉ!」



翠星石「……まったくしょうがないお姉ちゃんですね、いいですか?食べ物というのは」




おしまい

542: 2008/10/02(木) 00:34:23.52 ID:VMCNZR1h0
乙だ

太った銀様とか可愛すぐる

543: 2008/10/02(木) 00:34:28.54 ID:1Ea5Vpff0

おもしろかったぞw

引用: 翠星石「バクバクボリボリガツガツムシャムシャ」