1: 2016/12/13(火) 19:15:44.02 ID:mv53QBKo.net
【六月】

教師「このように切断したプラナリアは、二週間ほどで…」

真姫(初歩的な実験ね。小学生の頃には知ってたわ)カキカキ

花陽(一匹が二匹になるって、すごいなぁ…でも切ったりするのは、ちょっとかわいそう…)

凛「…」Zzz

【屋上】

凛「あー。赤くなったにゃ♪」

真姫「…」チョップ

パカッ

凛「にゃ><」

「いたたた…」
「痛いよぉ…ふぇーん」
「えーん><。」

真姫「あなたが悪…い?」

ことほのうみまきぱな「!?」

「にゃ?」
「んー?」

真姫「私…目が疲れてるのかしら?」

花陽「コンタクトがズレて…ないよね?」

穂乃果「凛ちゃんが二人に見える…」

ことり「うん。私も…」

海未「凛が…二人!?」

凛「…?」

凛「あれー?…凛?」

凛「え?…なにこれ、鏡…?」ペタペタ

凛「くすぐったいにゃ」

花陽「えーと…人が増える病気ってある?」

真姫「ないわよ。そんなもの!」

穂乃果「ど、どどどどーいうことぉ!?」

海未「私に訊かれても…」

ことり「どっちも凛ちゃん…だよね?」
ラブライブ!2期

2: 2016/12/13(火) 19:21:03.25 ID:mv53QBKo.net
にこ「あんたたち!ビッグニュースよ!いよいよ──」

「あ」
「にこ先輩」

にこ「凛。あんたたちも…?」

凛「にゃ?」

にこ「左に凛がいて、右も凛で…」

「にこせんぱーい♪」
「にこ先輩♪」

にこ「えーと…あ、あれね。こういう舞台効果っていうか、映像的演出…」

海未「何もしていませんが…」

穂乃果「強いて言うなら、真姫ちゃんが凛ちゃんにチョップしただけだよね」

真姫「わ、私のせいだって言うの!?」

ことり「普通はチョップで人が増えたりしないと思うけど…」

花陽「でも実際、凛ちゃんは二人いるし…」

凛「まあ、減るよりはいいんじゃないかにゃ?」

凛「二人いたら便利なこともありそうだし♪」

真姫「そのまま家に帰るつもり…?」

希「うーん…両方とも、ちゃんとした実体やな…見分けもつかないし」

凛「普通に生活してても大丈夫ですよね?」

希「まあそうなんだけど…混乱を招くといけないし、このことはまだ知らない人には内緒にして…片方は誰かの家で預かったほうがいいんやない?」

凛「かよちんの家なら安心だね♪」

花陽「だ、大丈夫かなぁ?」

「学校の許可ぁ?」
「認められないわぁ!」

海未「どちらの凛も、思考はほとんど同じですね…」

真姫「見た目も中身も凛そのものって感じね」

にこ「とりあえずラブライブのエントリーよ。生徒会室に行くの?」

穂乃果「んー。あ、凛ちゃんを中心に二手に分かれて行こうか?」

花陽「じゃあ、片方は生徒会室で…」

ことり「もう片方はお母さんのところへ行こうよ」

海未「では理事長室には凛、真姫、ことり、穂乃果」

真姫「生徒会室には凛、花陽、海未先輩、にこ先輩ね」

3: 2016/12/13(火) 19:23:25.05 ID:mv53QBKo.net
【生徒会室】

海未「誰も居ませんね…」

にこ「絢瀬はともかく、希までどこ行ってんのよ。ったく…」

花陽「穂乃果先輩たちの方、見に行ったほうがいいかも…」

海未「そうですね。行きましょう」

凛「理事長室へ行くにゃ♪」

にこ「バカね。凛が行ってどーすんのよ」

凛「え」

花陽「向こうにも凛ちゃんがいるし…理事長がびっくりしちゃうと思うよ」

凛「あ…そっか」

海未「私たち三人だけで行きます。凛は先に戻っていてください」

凛(つまんないにゃ…理事長先生ってキレイだし、凛も会いたかったのに)

【理事長室】

理事長「そう?簡単なことよ?」

絵里「…」

希「エリち!」

パタン

凛(何か面白いこと、ないかにゃー)

絵里「…あなた」

凛「えっ。…あ、生徒会長さん」

絵里「どうして私を追いかけてきてくれたの…?」

凛「?」キョトン

絵里(私が先に理事長室を出たのに、先回りしてるなんて…μ'sで一番、足が速いとは聞いてるけど)

絵里「そこまでして、私に話したいことがあるの…?」

凛「え、えーと…(どうしよう…先輩たちを呼び戻したほうがいいのかにゃ?)」

絵里(何か悩んでいるの?…一人で来たということは、他の人にも言えない事?)

絵里(そうね…相手は一年生。私は生徒会長として、この子の悩みを真剣に聞いてあげるべきよね)

絵里「星空さん。何か悩みがあるんじゃない?…私でよかったら、何でも話して」

凛「はあ。えっと、じゃあ…」

4: 2016/12/13(火) 19:26:08.00 ID:mv53QBKo.net
【生徒会室】

絵里「…帰れない?」

凛「はい。もし事情があって家族に会えない状況になったら…どうすればいいと思いますか?」

絵里(かなり深刻な悩みのようね…家族と何があったのかしら?)

絵里「そうね…私なら、とにかく連絡するかしら(亜里沙に)…お互い元気だって確認して安心できるように」

凛「連絡…そっか(お母さんがもう一人の凛と一緒に居ない時なら、電話くらいしても大丈夫だよね)」

絵里「星空さん。つらいことがあっても独りで抱えこまないで。あなたには仲間がたくさんいるでしょう?」

凛「はあ」

絵里「もちろん私も、いつでも話くらい聞くし…そうだ、連絡先教えておくわね」

凛「ありがとうございます♪(生徒会長さんって、思ってたより優しい人なのかなぁ?)」

凛「なんか変なのいる!?ってびっくりして…でもよく見たら、ダシ取った煮干しをお母さんがうっかりそのまま入れちゃっただけで」

絵里「ふふふ。確かに想定してない状況で、いきなり出てきたらちょっとびっくりしそう…」

凛「危うくひっくり返すところだったにゃ。実際はひっくり返ったのは凛だけだったけど…」

絵里「そんなに苦手なの?お魚…」

凛「見るだけだったら平気ですよ。水族館も好きだし…でもそのときは一瞬何だかわかんなくてびっくりしちゃったから」

絵里「煮干しって頭が取れやすかったりするものね…使った後の煮干しはちょっと不気味かもね」

凛「あ、もうこんな時間…長話しちゃってごめんなさいにゃ」

絵里「いいのよ。いつでも気軽に会いに来て」

キーンコーンカーン…

5: 2016/12/13(火) 19:29:13.49 ID:mv53QBKo.net
凛「え、今日は凛が家に帰っていいの?」

凛「うん。凛、生徒会長さんの家にお邪魔することにしたから」

花陽「せ、生徒会長さん!?」

にこ「あの絢瀬が?…いつの間にそんな…」

真姫「生徒会長とは話したの?」

凛「凛は全然話したことないけど…」

海未「生徒会室には居ませんでしたが…」

凛「廊下で偶然ばったり会って、そのあと生徒会室で二人きりで話したの。連絡先も交換してくれたんだー♪」

凛「凛が話しても大丈夫かな…?」

凛「もちろんだよ。だって凛は凛だし…今度生徒会長さんに会ったら声かけてみるといいにゃ。凛にはすっごく優しいよー♪」

ことり「確かに見分けはつかないもんね…」

穂乃果「ホントに二人とも凛ちゃんだね…不思議だけど」

希(凛ちゃんが二人に増えたおかげで、皆とエリちの関係も良い方向に変わりそうや)

【正門】

凛「待たせちゃってごめんなさいにゃ」

絵里「いいのよ。気にしないで…さ、行きましょう」

凛「はい。…えへへ♪」ギュ

絵里(星空さんって可愛いわね…中学生みたいに素直で初々しくて…)

6: 2016/12/13(火) 19:31:16.28 ID:mv53QBKo.net
【部室】

真姫「引っかかると思ってる?」チョップ

パカッ

「にゃ><」
「いたっ><」

真姫「ヴェぇ…(またやっちゃった)」

花陽「炊きたてなのか!?」

真姫「花陽ー!何とかして!」

花陽「え?」

「かよちん♪」
「真姫ちゃーん♪」

花陽「あれ?もう一人の凛ちゃんは帰ったはずじゃ…まさか」

真姫「…」

凛「たぶん、凛は三人目だと思うにゃ」

花陽「真姫ちゃぁん…」

真姫「し、仕方ないでしょ。まさか、まだ増えると思ってなかったし…っていうか、そもそもなんで増えるのよ!?」

希「もう一人誰かに預かってもらう必要がありそうやね」

凛「言い出しっぺの法則にゃ」

希「え。…ウチ?」

7: 2016/12/13(火) 19:32:23.84 ID:mv53QBKo.net
【外】

亜里沙「μ'sの星空凛さんですよね!?」

凛「う、うん。…えっと」

絵里「妹の亜里沙よ」

亜里沙「はじめまして!亜里沙です♪」

凛(可愛いにゃ…お姉さんに似て優しそうな子だよね)

絵里「少し買い物してから帰りましょうか」

凛「ラーメン!?」

亜里沙「ラーメン?」

絵里「いえ、ロシア料理を作るつもりなんだけど…二人ともラーメンが食べたいの?」

亜里沙「ううん。亜里沙はお姉ちゃんの料理がいいけど…」

凛「え、えーと…買っておいて家に帰ってから食べようかなって…エヘヘ」

絵里「もう。しょうがないわね…一つだけよ?」

凛「わあ、ありがとう生徒会長さん♪」

絵里「ふふふ…絵里でいいわよ。少しの間でも一緒に過ごすんだから」

凛「じゃあ、絵里さん…凛のことも名前で呼んでほしいにゃ」

絵里「そうね。あらためてよろしく…凛♪」ナデナデ

亜里沙「Хорошо」

凛「いっぱい入ってるチキンラーメン♪」

絵里「そんなに食べきれるの?」

凛「みんなで食べようよー♪明日でも明後日でもいいし…」

絵里「…」

凛「あ…凛は帰らなくちゃダメですよね…エヘヘ」

絵里「じゃあ…とりあえず明日は帰って、また来てくれる?」

凛「いいんですか…?」

絵里「もちろんよ。私はいつでも凛を待ってるから」ナデナデ

亜里沙「亜里沙も凛さんに会えて嬉しいです♪」

ヴヴヴ

凛(かよちんから連絡…凛は三人に増えちゃったみたい。二人は誰かの家に泊めてもらって、家に帰れるのは一人だけ…競争率が上がっちゃったにゃ)

10: 2016/12/13(火) 19:40:00.39 ID:mv53QBKo.net
【星空家】

凛「ただいま!お母さーん!」タタタ

凛ママ「おかえり凛…きゃ」ギュー

凛「えへへ。お母さん♪」スリスリ

凛ママ「り、凛…どうしたの?」ナデナデ

凛「なんでもなーい♪(しばらく家に帰れるのは三人で交代制だし…今のうちにいっぱい甘えちゃおーっと)」

【東條家】

凛「お邪魔しますにゃ」

希「どうぞ。…と言ってもウチら以外誰もいないけど…」

凛「え…二人きり!?」

希「うん。だから気軽に、自分の家みたいなつもりで…まあ、勉強はしっかりしてもらうけど♪」

凛「うぐっ(忘れてたにゃ)」

【絢瀬家】

凛「えー?勉強ー?><」

絵里「そうよ。ラブライブに出たいんでしょう?」

凛「そうだけど…」

絵里「ちゃんとやらないと、ラーメンは没収」

凛「そんなぁ!?血も涙もないにゃ><」

絵里「凛のためよ。赤点を取ったらみんなに迷惑をかけることになるんだから…」

凛「でも絵里さんはμ'sが嫌いじゃなかったのー?」

絵里「あなたたちの活動を全面的に認めるわけじゃないけど…部活動として真面目に全国大会を目指す気があるなら、それを邪魔する理由はないわ」

凛「ふーん…」

絵里「だから頑張って。テストまでは、できるだけ私が手伝うから」ナデナデ

凛「絵里さん…えへへ♪」

凛(やっぱり絵里さんって優しくて素敵な人だよね♪…今まで凛たちが誤解してただけなのかにゃ)

凛「ごちそうさま!美味しかったー♪」

絵里「ふふ…気に入ってくれたみたいで良かったわ♪」

凛「絵里さんってお料理も上手なんですねー♪」

絵里「ロシア料理は祖母に教わったのよ。亜里沙も手伝ってくれるし」ナデナデ

亜里沙「えへへ」

11: 2016/12/13(火) 19:42:13.64 ID:mv53QBKo.net
絵里「じゃあ私は食器を洗っちゃうから、二人はお風呂に…」

凛「あ、あのっ…凛も、お手伝いしたいにゃ」

絵里「え?…でも凛はお客さんだし、そんな事しなくてもいいのよ?」

凛「してもいいでしょ?…その方が早く終わって…ほら、勉強も教えてもらえるし!」

絵里「凛…わかったわ。手伝ってくれる?」ナデナデ

凛「はい♪」

亜里沙「Хорошо」

凛(なんでかな…ちょっとだけ亜里沙ちゃんがうらやましくて…凛、もっと絵里さんのそばにいたいなって思ったんだ)

キュキュッ カチャ

絵里「洗い終わったのをここに置くから、凛は拭いてくれる?」

凛「はい」

凛(使ってる洗剤が違うからかな?…凛の家や、かよちんの家とも違う…いい匂いがするみたい)

絵里「すこーしずーつでもいーんだね♪胸張って進もうよ♪」キュキュッ

凛「それ…μ'sの…」

絵里「え?…あ、いや…これは亜里沙が、いつも歌ってるから…つい」

凛(きっと、いつも亜里沙ちゃんと一緒に歌ってるんだ…)クス

絵里「あ、亜里沙はμ'sが好きみたいだけど…私は、別に…」

凛「ねえねえ、絵里さんはμ'sで誰が一番好き?」

絵里「そ、そんなの…いないわよ」

凛(でも歌ってくれるくらいだもん…きっと好きになってくれるよねー?)

えりりん「つまずいたらどーする♪」

チャプ

亜里沙「笑ってみる?えーがおで♪」

えりりん「わーいわーいわーい♪」

ジャー カチャカチャ

亜里沙「お姉ちゃん。お風呂あいたよ」ホカホカ

絵里「じゃあ、凛。私たちも入りましょうか」

凛「え」

絵里「出たらすぐ勉強よ?…さ、早く行きましょ」

凛(これって…もしかして…)

12: 2016/12/13(火) 19:45:33.22 ID:mv53QBKo.net
パタン

凛「一緒に入るの!?」

絵里「?…当たり前でしょ。一人ずつ入ってたら、いつまで経っても勉強できないじゃない」

凛「そ、それはそうだけど…」

絵里「ほら、早く脱いじゃって。それとも手伝ったほうがいい?」

凛「じ、自分で脱げるにゃ><」

凛(絵里さんの肌、白くてすっごくキレイ…胸とかも…///)ドキドキ

凛「あ、あのっ…背中、洗ってあげるねっ」

絵里「あら、そう?ありがとう♪」

凛(見るのも見られるのも恥ずかしいし…しばらく後ろに居たい気分///)

ゴシゴシ

凛「絵里さんは…は、恥ずかしくない?」

絵里「え?…そうね、何ていうか凛は…妹みたいな感じがして」

凛「亜里沙ちゃんみたいな…?」

絵里「ええ。素直で可愛くて…だから」

凛「凛は全然、可愛くないよ…亜里沙ちゃんとは違うもん」

絵里「そんなことないわ。さっき訊かれた事だけど…」

凛「?」

絵里「μ'sで誰が好きって。つい居ないって言っちゃったけど…私は、凛が好きよ♪」

凛「…絵里さん///」

絵里「μ'sの動画も見たりするけど…やっぱり凛は可愛いと思う♪」

凛(り、凛も…そうだ)キュ

ザー バシャバシャ

凛「凛も、絵里さんが好きだよ…」

絵里「え?…なあに凛?」

凛「えへへ。なんでもなーい♪」キュ

13: 2016/12/13(火) 19:48:03.38 ID:mv53QBKo.net
トプン ザバー

えりりん「ふー」

凛(うぅ…やっぱり恥ずかしいよ///)ドキドキ

絵里「知らない言葉を覚えるのって大変よね…亜里沙も最初は、なかなか正しい日本語が身につかなくて苦労してたし」

凛「そうなんだ?…えーと、絵里さんたちは…ロシア人?」

絵里「祖母がロシア人なの。だから私たち姉妹はクォーターだけど…亜里沙は去年までロシアに居たから」

凛「へー」

絵里「祖母は音ノ木坂の卒業生で日本語も上手だから、亜里沙にも教えてくれてたんだけどね」

凛「日本語を話すロシア人のおばあちゃんかあ…会ってみたいにゃ♪」

絵里「ふふふ…私たちと一緒にロシアに来る?」

凛「えっ。でも…いいの?」

絵里「きっと祖母も凛を気に入ってくれると思うわ♪」

凛(いつか本当に行けるのかな?…でも、それって…なんか///)

絵里「凛?…のぼせちゃった?」

凛「だ、大丈夫にゃ!」ザバ

絵里「…ハラショー」

【東條家】

凛「わあ、ラーメン?」ワクワク

希「いや、焼きそば。もう夏やし、ラーメンは熱すぎるやん?」

凛「えー?><…暑い夏こそ、熱いラーメンだよ!」

希「でも夏祭りの屋台とか、焼きそばは夏の風物詩やろ?」

凛「一年中あるイメージだけど…」

希「凛ちゃんは焼きそば嫌い?」

凛「ううん。凛、焼きそばも好きだよ♪」

希「そ。じゃあ手伝ってくれる?」

凛「はーい。凛は何すればいいのー?」

ジュー

14: 2016/12/13(火) 19:50:17.58 ID:mv53QBKo.net
【絢瀬家】

絵里「今日覚えた単語で、この空欄は埋められるはずよ。次は、この問題を…凛?」

凛「…」ウトウト

絵里「凛…眠いの?」ペタ

凛「にゃっ!?」ドキ

絵里「仕方ないわね…続きは明日にしましょうか」

凛「う、うん」ドキドキ

パタン

絵里「ごめんね。ちょっと狭いけど…私のベッドでいい?」

凛「はい♪」

絵里「じゃあ、おやすみ。凛」ナデナデ

凛「おやすみなさい…」ギュ

凛(家に毎日帰れないって、ちょっと不安だったけど…なんか今は、まだ帰りたくないな…)

凛(やっぱり…いい匂いがするよ…絵里さん…♪)

絵里「あ。そういえば…凛、お家の人には連絡したの?」

凛「…」スー

絵里(もう寝ちゃってる…まあ、何かあれば凛のスマホが鳴るわよね)

えりりん「…」Zzz

チュン(・8・)チュン

絵里「凛?…あら、お手洗いかしら?」モゾモゾ

亜里沙「おはよう。お姉ちゃん」

絵里「おはよう亜里沙。凛は?」

亜里沙「見てないけど…まだ寝てるんじゃないの?」

絵里「凛!」ガチャ

絵里「いない…まさか、黙って帰っちゃったの…?」

亜里沙「μ'sの朝練があるんじゃないかな?」

絵里「でも今は練習より勉強優先って…朝練の予定は無かったはずよ」

絵里(もし昨日、凛が家に連絡してなくて…そのことで叱られたとしたら…私のせいだわ)

『もし事情があって家族に会えない状況になったら…どうすればいいと思いますか?』

絵里(何も無ければいいけど…心配ね)

16: 2016/12/13(火) 19:57:28.86 ID:mv53QBKo.net
【音ノ木坂・アイドル研究部部室】

絵里「凛!」ガチャ

にこ「ぅわ!?…あ、あんた…なんで」

凛「生徒会長さん…?」

絵里「絵里でいいって言っ…た?」

凛「あ、アハハ…おはようございます…」

にこ「ど、どーすんのよコレ…私は知らないわよ」

絵里「目の前に凛がいるのに…後ろにも凛が…私、疲れてるのかしら?」

凛「そ、そーですよ!疲れてるんです。休んだほうが」
凛「ご、ごめんなさいっ!…絵里さん」

絵里「どういうことなの…?」

希「こっちの凛ちゃんは、まだエリちを生徒会長さんって呼んでたやろ」

絵里「ええ。…なあに、まさか過去から来た凛だとでも言うの?」

希「いや、まだエリちと仲良くなる前に凛ちゃんが二人に分かれたんや。今エリちのそばにいる方の凛ちゃんは…」

凛「絵里さん…」

絵里「こっちの凛が、ゆうべ私の家に泊まった凛なのね?」

希「いや、厳密にはちょっと違うよ」

絵里「何が違うっていうのよ?」

花陽「生徒会長さんが凛ちゃんを連れて帰ったあと、学校に残ったもう一人の凛ちゃんが…また二人に分かれたんです」

穂乃果「真姫ちゃんのチョップでね」

絵里「意味がわからないけど…凛は三人になったっていうの?…あと一人は?」

希「消えた。…いや、正確には戻ったんやな。そっちの凛ちゃんは、家に帰った凛ちゃんとエリちの家に泊まった凛ちゃん、両方の記憶を持ってるん」

絵里「じゃあ、黙って帰ったわけじゃなくて…」

凛「うん…凛、絵里さんと一緒に居たくて…帰りたくないなって思ったの。でも気づいたら家でお母さんと一緒に寝てて…」

真姫「でも、なんで生徒会長の家に泊まった凛だけが消えたのかしら?」

希「バランスやないかな?」

絵里「バランス?」

希「三人に分かれても凛ちゃんは凛ちゃんや。今そっちの凛ちゃんが二人分の記憶を持ってるように、結局は同じ凛ちゃんなん。でもエリちのそばにいた凛ちゃんだけ、気持ちに大きな変化があったんやない?」

絵里「気持ちの変化…?」

希「そう。だから、完全に別物になってしまわないように防衛本能が働いて、元に戻った…まあ、あくまでウチの推測やけど」

凛「…」

18: 2016/12/13(火) 20:02:06.95 ID:mv53QBKo.net
絵里「凛…」

凛「こんなの…気持ち悪いですよね…」

絵里「え…?」

凛「凛…二人になったり、三人になったり、突然消えたり…人間じゃないみたいで…」

絵里「…そんなことないわ」ギュ

凛「!…え、絵里さん!?///」ドキ

絵里「二人でも三人でも…凛は凛でしょ?…昨日も言ったけど…私は凛が好きよ」

凛「絵里さん…凛も、絵里さんが…大好き♪」ギュー

絵里「あ…凛!?」

真姫「消えた…」

絵里「そんな…どうして」

凛「絵里さん」

絵里「えっ」

凛「凛は、ここにいるよ…絵里さんと亜里沙ちゃんとお買い物して、一緒に帰って…絵里さんが作ってくれたゴハン食べて、英語も教えてもらって…」

絵里「凛…記憶が…」

凛「食器洗いのお手伝い…凛は拭いただけだけど。それから二人でお風呂に入って、凛が絵里さんの背中を…」

絵里「凛!」ギュ

凛「えへへ。…勉強、ちゃんとするから。絵里さんちで一緒に、チキンラーメン…食べてもいい?」

絵里「もちろんよ。ハラショー♪」

真姫(こうして…凛は一人に戻った)

【夏合宿】

花陽「でも…どうして真姫ちゃんのチョップだけ、凛ちゃんが分裂しちゃうのかなぁ?」

希「それもバランスやないかな?…たとえば、昔から鍛えてる人間の全力のチョップでは…」

海未「はあっ!」

ドシャァ

にこ「ぅわ!?…あ、危ないでしょ!?」

希「このようにスイカも真っ二つや」

花陽「す、すごい…」

19: 2016/12/13(火) 20:03:33.97 ID:mv53QBKo.net
【後日】

亜里沙「えいっ」ポテ

亜里沙「いたっ><」

希「全く鍛えてない子がチョップしても、手が痛いだけやんな」

花陽「梨には傷ひとつついてない…」

真姫「当たり前よ」

希「ところが真姫ちゃんの場合、最初から腕力にもちょっとだけ自信があって」

真姫「まあね。私は、こう見えても…」

希「さらに、今までの練習でちょっとだけ鍛えられてるやろ?」

絵里「チョップの練習なんてしてたの?」

希「ダンスレッスンでは止める練習をするやろ。力任せのフルスイングで振りきるんやなくて、指先までぴんと伸ばした手をピタッと止める」

絵里「そうね」

希「そして相手は凛ちゃんやから、真姫ちゃんは意識的に手加減してる」

凛「優しいにゃ♪」

真姫「そ、そんなんじゃないわよ」プイッ

希「チョップの威力を高める腕力、止めるための練習、そして手加減する優しさ。この黄金比…言い替えればどれも中途半端な力が──」

真姫「悪かったわね。中途半端で…」

希「物理的なダメージを与えるのではなく、凛ちゃんを分裂させたというわけやな」

絵里「やっぱりよくわからないけど…」

凛「よかったぁ。変なのは凛じゃなくて真姫ちゃんだったんだよねー♪」

真姫「分裂するほうが変でしょ!」チョップ

パカッ

「にゃ><」
「いたっ><」

真姫「…あ」

20: 2016/12/13(火) 20:06:25.93 ID:mv53QBKo.net
【冬】

凛「絵里ちゃん。一緒に帰るにゃー♪」

絵里「そうね。…たまにはラーメンでも食べに行く?」

凛「ううん。あのね、今日は凛…」

絵里「なあに?」

凛「えっと…クリスマスの料理の練習してるの。絵里ちゃんに味見してほしいにゃ」

絵里「凛が、料理…?」

凛「あっ、大丈夫なの?って思ってるでしょー?><」

絵里「お、思ってないわよ。凛の手料理だったら、私も食べてみたいし…」

凛「えへへ。凛がお料理上手になるまで、絵里ちゃんに教えてもらうからねー?」

凛(今の凛は絵里ちゃんが大好きだから…真姫ちゃんのチョップで分かれても、すぐには元に戻らなくなっちゃった)

絵里「じゃあ信号まで競走よ。負けた人が料理の後片付け担当!」ダッ

凛「あっ、ずるいにゃ!><」

タタタ…

凛(でも…片方の凛がずっと絵里ちゃんと一緒に居ると、うらやましくて…我慢できなくて元に戻っちゃうみたい)

真姫「でも私のチョップって…凛にしか効かないのかしら?」

穂乃果「え…?」

真姫「凛が二人いるから、いつも一人はエリーが連れて帰れるでしょ」

穂乃果「うん」

真姫「…ってことは」ゴクリ

穂乃果「あ、あのー。真姫ちゃん?…目が怖いんだけど…アハハ」

真姫「そのまま、じっとしてなさい。穂乃果」

穂乃果「ちょっ…冗談でしょ?…ま、真姫ちゃん」

\ダレカタスケテー!/

凛「チョットマッテテー」



おわり

24: 2016/12/13(火) 20:30:41.78 ID:mv53QBKo.net

引用: 凛「十二月十三日は」絵里「双子の日!?」