602: 2013/07/27(土) 03:01:49.84 ID:7+pu9xjvo
●帝国軍北部地方兵団所属・曹長それがしの戦果(1)


まどろみから覚醒したわたしは、何度かのまばたきの後に遅れて思考を開始した。
数か月ぶりかの、ふわふわのベッドシーツの感触。ぬくもりを抱くその純白に、わたしはすっかり包まれていた。
身に纏っているのは、血と汗と泥と硝煙にまみれた野戦服ではない。しみひとつない清潔なパジャマだった。
辺りを見回すと、野戦病院とは到底思えないような内装の部屋が広がっている。暖かみのある木造建築だ。
ベッドの横の窓からは、朱い陽の光が差していた。そういえば、今は黎明なのか。それとも薄暮なのか。

薄手の掛け布団をめくると、そこには見るのも憚られる銃創が……無かった。
右わき腹に2発、右腿に3発。連合の兵が放った9ミリが、私の肉を貫いていった筈なのだ。
被弾してからは必氏に身を隠し、歯を食いしばりながら連中が過ぎ去るのを待った。その時の寒さも、熱さも、痛みも鮮明に覚えている。
……ああ、そこまでだ。そこから先はまさしく五里霧中、恥も見聞も小銃も投げ捨て、一心不乱に駆けだした。
氏にたくない一心で、どれだけ走ったか。樹の根につまずき額をしこたま打ち、獣の遠吠えに怯えるあまり吐き下し、
それでも走って走って……気が付けば、いささか質素ではあるが、これまでの状況と比べれば天国もかくやと言うべき環境にある。

試しに右脚を大きく曲げ、そして伸ばしてみる。目を凝らせば、若干の痕が残っているのが見える程度である。
適切な治療を受けたにせよ、施術後の自然治癒でここまで回復するとは。それとも、予想するよりも遥か長期間を寝て過ごしていたのか。

ベッドの傍らに置かれている小さな丸テーブルの上には、古びた室内灯。そして、鮮やかな紫を携えたスミレが活けられた花瓶。
誰かが私を看病してくれた。それだけで、胸がいっぱいだ。ここに来て人間扱いされた事が、胸を突くほどに嬉しかった。
最新鋭の武装に身を包んだ連合の兵たちとの泥沼の塹壕戦、そんな環境では性差など二の次である。
女のわたしが叩き返されなかったのは、それほどまでに地方戦力が枯渇しかかっていたからだろう。
一部では、共同体との国境沿いの現地民による反東方パルチザンが各地で決起するまでに逼迫していたと聞く。
そうまでして守るものが、あんな北部の辺境にあったのだろうか。わたしにはわからなかった。

窓の外からの木洩れ陽の中で生の実感を噛み締めていると、部屋に来客が訪れた。

「おはよう、のどは乾いていないかしら」

ナイチンゲールのさえずり。ふと、わたしはそんな単語を想起した。
アクセントひとつをとっても、溢れんばかりの慈愛や哀憐の情を孕ませたる美声の持ち主は、
まばゆいブロンドの三つ編みを揺らして、私のそばへ歩み寄った。
手にしている盆の上には、たっぷりと水が注がれたガラスの水差し。そして、大粒の葡萄の実が積まれた皿。

「おひとついかが?」

ブドウの実の一粒をつまむと、淑女はにこりと微笑んだ。
清楚な雰囲気を醸す彼女の白いエプロンドレスの下から、こんもりとした弧を描く腹部、
その上に鎮座する豊満なO房が、それぞれその存在を誇示していた。
来月には新たな命を産み落とす事になるであろう彼女は、続いてブドウの実を口に放り込んだ。
咀嚼の為の舌や顎、歯を噛みあわせる動きが、わたしにはやたらと艶めかしく、熱っぽく見えた。
そしてまた、見る者みな安堵に包まれるであろう笑顔を、わたしに向けた。

私の心臓が、ばくんと高鳴った。
田んぼで拾った女騎士、田舎で俺の嫁だと思われている(1) (マガジンポケットコミックス)

≪過去スレ≫

女騎士「いやだ!死にたくない、仲間の居場所でも何でも話すから!」
女騎士「いやだ!死にたくない、仲間の居場所でも何でも話すから!」第二章
女騎士「絶対に死んでたまるか!!絶対にだ!!」第三章
女騎士「いやだ!死にたくない、仲間の居場所でも何でも話すから!」第四章
608: 2013/07/27(土) 03:37:43.25 ID:7+pu9xjvo
●帝国軍北部地方兵団所属・曹長それがしの戦果(2)

彼女の来訪に心躍らせるわたしは、もはや餌付けされた犬だ。

行き倒れていた私を救われたる救世主は、その身に子を宿した淑女であった。
彼女の懐の広さにも驚いたが、発見されてからわずかに七日しか経っていない事にも吃驚した。
聞けば、この周囲を流れる河川は帝国の用水路と繋がっておらず、清らかなまま。
それが関係しているらしいと彼女は言うのだが、専門ではないらしく、申し訳なさげに目をしばたかせていた。

彼女には、感謝のことばも見つからない。
起きて話せるようになってからも、彼女は一日もかかさずに食事の用意をしてくれる。
節々が凝ったと言えば、マッサージもしてくれた。見かけによらぬ力強い指圧に、わたしは至福を味わった。

今日も彼女は太陽が真上にさしかかるころには、大きなO房とお腹を抱えてわたしの部屋へやってきた。
魅力の虜。そんなものになるのは、男だけだと思っていた。しかし今のわたしを表現するには、その単語以外に存在しまい。
ドアがノックされる音を聞くだけで、動悸が激しくなる。髪を手櫛で撫ぜられるだけで、わたしの肌は汗を帯びる。

わたし自身は中背ほどの体格だが、彼女の背丈はわたしよりも頭ひとつぶんほど高い。
そのせいもあってか、わたしは彼女を前にすると、いつも包み込まれるような錯覚を感じていた。
ふわふわとした、柔らかな感情に揉まれる、ここちよい抱擁をおぼえる錯覚である。

この建屋は彼女の所有物らしく、別荘として使用しているのだという。今は一時的に滞在しているだけに過ぎないとの事で、
私が一命を取り留めたのは、まさしく神の思し召しと言ったところであろう。ちなみに、彼女の部屋は私の間借りしている部屋の隣にある。
夫はどこにいるのか聞くと、ここから少し離れた集落にいるという。彼女だけが、臨月に備えて養生しているというわけだ。

稚児に童話を語り聞かせるような、慈しみに満ちた声色。そんな美声が夫の存在を示唆したとき、わたしは恐らく嫉妬した。
なぜ? 誰に? どうして? そもそも、嫉妬するのも初めてであった。
こんなに美しい彼女を娶る事ができただなんて、なんて幸せなのだろう。ああ、羨ましい。
同性の私ですらこうなのだ。この淑女の伴侶が彼女を射止めた時の悦びたるや、尋常ではなかったであろう。

「どうかしたの? 気分でも悪い?」

つまらないやきもちで俯いていると、いつの間にか彼女はベッドへ上り込み、横たわるわたしの上に四つん這いで被さっていた。
こんなに間近で彼女の顔を見た事はない。長い睫毛に彩られたサファイアのような碧眼がわたしをまっすぐ見据え、
こぼれた髪が黄金のカアテンのように私を包んだ。石鹸の香りが、半開きになっていた小窓からの風とともに流れてきた。

615: 2013/07/27(土) 04:07:46.68 ID:7+pu9xjvo
●帝国軍北部地方兵団所属・曹長それがしの戦果(3)

我慢ができない。
一晩だけのつもりだったのに、気が付けば私は足を引きずりながらも彼女の部屋の前にいる。
もう、いつものベッドで自分を慰めるだけでは済まない。

あの、わたしの両手でも掴みきれないくらい大きなO房。ふかふか、もちもちした感触が忘れられない。
あの、わたしの頭よりも大きなお腹。ともすれば痛ましく見えてしまうほど、ぱんぱんに張り詰めた肌の感触が忘れられない。
あの、わたしの浅黒く日焼けした肌を、優しく揉み解し愛撫する彼女の愛が忘れられない。

鏡の向こうには、そこには軍属の頃に比べ劇的に変化した私の顔があった。
張り艶の出た健康的な肌に包まれた頬を始め、ほのかな生気の色味が見てとれた。
しかし、その真っ当な外面の内側でくすぶる劣情が、わたしを常に苛んでいる。
彼女と一緒にいたい、身重な彼女の為に何かがしたい、庇護されるだけじゃ物足りない、もっともっと彼女に愛されたい、抱かれたい!!

出会った時には感じられなかった、母性の持つ暗部のようなものを持つ彼女に、わたしはすっかり惹かれてしまっていた。
ずっと彼女に甘えていたい。頭にあるのはただそれだけだった。原隊への帰還などクソっくらえだ。
親指をしゃぶりながら、片方の手で陰部をいじくりつづける。あの晩に見た彼女のじっとりとした視線を思い出すと、
腰が跳ねるほどの快感がわたしを襲う。彼女は罵倒なんかしない。空想の彼女は、あの甘美なる声で優しく愛の言葉を囁いてくれるのだ。


何度目かの彼女による愛撫を楽しんだ後、部屋に戻るととある違和感に気づいた。
家具に異常などない、なんの変化もないはずだ。部屋を一回りしても、ちりちりした焦燥感は拭えないままだ
まるで、そこで認識できて然るべきはずの異常になぜか気づけない、そんなもどかしさ――――

何度か部屋をふたたび見回すと、やがてわたしはその異常に気付いた。いいや、魅入られたと言うべきか。
その異常……怪異は、ほんの一瞬だけわたしの視界に飛び込んだ。次の瞬間、まばたきした直後には、そいつは姿をくらましていた。

顔がなく、真っ白な肌をした、異様なまでに手足が長いその怪異。そいつは、窓から数百メートル離れた木の陰で佇んでいた。
遠近が狂っていると錯覚するほど、そいつのフォルムはおかしかった。言い知れぬ不安と恐怖が、わたしの背筋を這いまわった。
姿を見たのはほんの一瞬。しかし、やつのひょろ長い姿は、未だにわたしの脳裏に焼き付いている……!!

618: 2013/07/27(土) 04:19:45.00 ID:7+pu9xjvo
●帝国軍北部地方兵団所属・曹長それがしの戦果(4)

祖霊、と彼女は言った。
この土地で代々祀られるカミの一柱、という事だった。
土地の繁栄を脅かすもの……あるいは停滞させる者の前に現れ、罰を与えるというのだ。
彼女は祖霊とやらの説明を一通り終えると、さめざめ泣き始めた。

「黙っていて本当にごめんなさい、赦して、赦して……」

無論、彼女を責める気など毛頭なかった。そもそもカミの一柱が何だと言うのだ。
こちとらは唯一神より王権を賜った皇帝に仕える兵士なのだ、そんなものは土着信仰のまやかしに過ぎん。

――――そう、彼女には嘯いた。
「ひょろ長」を一目見てから、わたしは彼女の部屋に行かなくなった。
夜が更ける前に、ベッドへと潜るようになった。日課となっていた、彼女を想っての自慰の回数も少なくなっていった。

ある夜。窓を見ると「ひょろ長」がいた。

ある夜。窓を見ると「ひょろ長」がいた。違う木の陰に隠れている。

ある夜。窓を見ると「ひょろ長」がいた。

ある夜。窓を見ると「ひょろ長」がいた。納屋の裏手に立っていた。

ある夜。窓を見ると「ひょろ長」がいた。納屋の裏手から少し動いていた。


ある夜。「ひょろ長」の姿が見えなくなった。私は震えながら、数日ぶりに彼女の部屋へ向かう事にした。
もう、限界だ。あれだけ健康的だった顔は、塹壕戦に参加していた頃に戻ってしまっていた。
「ひょろ長」、「ひょろ長」、「ひょろ長」。勘弁してくれ、お願いだから……やめてくれ……!!

622: 2013/07/27(土) 04:43:17.82 ID:7+pu9xjvo
●帝国軍北部地方兵団所属・曹長それがしの戦果(5)

部屋に彼女はいなかった。
わたしをいつも抱いてくれたベッドに、彼女はいなかった。
静寂の中に、わたしの荒い呼吸音と心臓の鼓動が響き渡る。聴覚が麻痺してしまったかのようだ。

窓には施錠がされている事から、私用で集落にでも戻ったのだろう。
彼女が使っていたバスケットが部屋にない事を確認し、安堵の息を吐いた。
そして、顔を上げると、心臓を握りつぶされたような感覚に陥った。

「ひょろ長」がいた。建屋のすぐそばの、木陰に。

わたしはすぐさま建屋から飛び出した。
支給されていた護身拳銃でもあれば心強かったのだが、ないものは仕方がない。
月が出ていた事は、幸か不幸かわたしには判断できなかった。
月明かりに照らされた「ひょろ長」の姿を正面から目にし、わたしはついに泣きだした。

許して、許して、出て行くから許してください、お願いします、赦して下さい神様。

息絶え絶えに周囲を見回すと、「ひょろ長」
樹の根につまずいて、顔を上げると木陰に「ひょろ長」

あんな、場所から場所へ移動できるなんて、考えられない。人間じゃない。
人間じゃなけりゃ神様しかいない。わたしに怒っているんだ、わたしを……

がちがち歯の根を震わせながら、半べそをかきながら、わたしは走った。
あいつの姿を見ないように目をつむって、とにかく走った。
やがて限界が訪れ、酸素を求めて立ち止まると、わたしの肩が誰かに叩かれた。

「お姉……様……たすけて……」

振り向いたそこにはお姉様の顔はなく、卵のように白い頭の「ひょろ長」が、わたしを見下すように佇んでいた。







「なるほどなあ、『こうなる』って事か。こりゃ、今の私の知識じゃ解明は無理だわ。あーあ、グチャボロじゃねぇか。
ともあれ、『実験』は成功だ。お前の戦果は忘れないよ。恨むなら事実を黙ってた私の旦那様を恨むんだなあ。
あのやぶ医者もすぐにそっちに叩き込んでやる、あの世で復讐するがいいさ。私は……当分この世を離れる気なんか毛頭ないがね」

773: 2013/07/30(火) 15:02:48.35 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「というわけで、間接的ではあるが、6年前に中央広場で起こったテロがきっかけで、東西戦争は一応の幕引きとなったって事だ」

ガキE「……?」

敵兵「テロ首謀者も、その目的もうやむやのまま。当事者の魔王軍側も無実を訴え続けている。
加えて、西側勢力と連合の争いも膠着状態。北方共同体は東へ、教皇領は西へ……このまま続けてもメリットは薄いから、いったんやめにしようぜってね」

ガキA「まだ終わってないの?もう連合の兵隊さんも見なくなったけど」

敵兵「まだまだ帝国の東側には駐留してる部隊がいるはずさ。あくまで帝国領を折半したに過ぎないからね」

ガキB「せっ……ぱん……?」

敵兵「西側は共和国や北西諸島、東側は連合のものっていう風に、分けっこしたんだよ」

ガキA「へえ……」

ガキC「慰謝料分配みたーい」

敵兵「やめてァ!!先生そんな事言う子に育てた事ないァ!!」

ガキD「(たまにこの先生、変な訛り出るんだよな……)」

ガキE「ねー、せんせーには子供いないのー?折半しないのー?」

敵兵「なんておぞましい事を!!そういう事言うのやめろァ!!きみ達は共和国の優しい子なんだからァ!!」

776: 2013/07/30(火) 15:15:46.08 ID:MJ9Uqa6Mo
司祭「おお、これは先生。もう授業は終わりですかな?」

敵兵「一通りの重要案件はおしまいです……そちらの方は?」

おかっぱ「今日もお疲れ様デス、センセイ」

敵兵「……なんか、アクセントがおかしいような。東洋の人……ですよね」

司祭「ええ、極東列島からいらした方で。しばらくはこの街に滞在するらしく、うちで部屋をお貸ししようと思いましてね」

敵兵「はあ。オレと同じパターンですねえ。まだ、大陸に来て日は浅いでしょうに」

おかっぱ「まだ、一週間デス。船旅の感覚、まだ抜けてないデス」

敵兵「(鼻ぺっちゃんこだし丸顔だし……これ、その辺の子どもに混じってたらわかんねえな。東洋人の顔の区別つかねえ)」

おかっぱ「大きな戦争、終わってほんとに良かったデス。これでわたし達、大陸の事、いっぱい勉強できマス」

敵兵「なんと勤勉な。学生さんなのですか」

司祭「実を言えばわたしのセフレなのです。軽かったんで持って帰ってきたんです」

敵兵「」

司祭「冗談です」

敵兵「冗談を信じられないオレに向かってなんて事を」

781: 2013/07/30(火) 15:26:12.09 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「ああ、わたしも授業、聞いておけば良かったデス」

敵兵「あなたが?」

おかっぱ「わたし達、現代の大陸の情勢、とても疎いデス。わたし達の国、近くに北西諸島の植民地、ないデスから」

司祭「それは……その筈ですなあ。位置関係的にも、極東列島というのは……その、植民地化するメリットは薄いと言いますか」

おかっぱ「イナカだからこそ、強い国に、イジメられずに済んだのデス」

敵兵「そういう事ならいいですよ。オレの授業ノート、お貸ししますんで。教科書と合わせれば、大体わかります」

おかっぱ「よ、よろしいんデス?」

敵兵「ええ。開戦から休戦条約の締結まで、大まかには。各国都市の需要も、箇条書きですけど書いてありますんで」

司祭「さすが、心が広いですな。最近色気づいたせいもあるんでしょうが……」

敵兵「(いちいち俗っぽいのがめんどくせえんだよな……この人)」

おかっぱ「色気づいた。誰かに恋してるデスカ」

司祭「実は男子生徒の一人に……彼、授業中は四六時中勃起してるんです」

敵兵「根も葉もないデマァ!!」

784: 2013/07/30(火) 15:32:32.68 ID:MJ9Uqa6Mo
司祭「そんなチェリボの先生がありがたく貸してくださったのです、良かったですね」

おかっぱ「ありがとうございマス!筆下ろし、頑張ってくだサイ!!」

敵兵「言いふらさないでくださいよ!!この学校つぶれますよ!!」

司祭「君のせいだな……とんだ口リ……いや、ガチぺド疫病神だ」

おかっぱ「センセイは男色家でもいらっしゃるのデス?」

司祭「神職を前にしてそこまで教義にケンカを売るのは楽しいかね」

敵兵「(どこに行ってもオレはオモチャなのかな……生活できてるからいいけど)」

786: 2013/07/30(火) 15:45:10.10 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「ほら、あそこが6年前の演説の舞台になった広場です」

おかっぱ「石造りで立派ではないデスカ。この近くでテロが発生したと?」

敵兵「ここから西だから……あっちの方ですね。北西諸島の待機地点が爆破されたんです」

おかっぱ「それで犯人は不明……直後に魔王軍のトップが姿を消したとなると、かなり魔王軍側は怪しいデスヨネ」

敵兵「普通に考えれば、そうですよね。でも、今じゃなんの手掛かりも残っちゃいない。困ったもんです」

おかっぱ「連合側がこの件について魔王軍に対して言及していないのも不自然……妙デス」

敵兵「ま、一般市民のオレ達にとっては、日々の暮らしが安定すれば何でもいいんですがね」

おかっぱ「その通りデス」



敵兵「(本当に、気味が悪いぜ。連合側が手のひらを返したように、帝国の領地折半に応じて……
あのドラグーン……ほの字の対抗演説があった事実がどこにも公表されてない事を見れば、意図的な改竄があったのは明白だな……)」

おかっぱ「センセイ?顔が苔生した色になってマス」

敵兵「(更に気持ち悪ィのは……停戦協定を結んでからというものの、あの悪魔の情報をまったくと言っていいほど見なくなった事だ……
人知れずどこかで氏んだのならまだいいが、奴がもし生きていたするなら……もし……)」

おかっぱ「センセイ?」

敵兵「オェェェェッ!!!ヴェッ、ヴェェェェッ!!」

おかっぱ「センセイィー!!センセイィィー!!」

788: 2013/07/30(火) 15:53:01.24 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「い、いやっ、ゴメン。何でもないんだ、ちょっと6年前から日常的に嘔吐反応が襲い来る症状に罹患してるだけなんだ」

おかっぱ「まあ……お大事にしてくだサイ」

敵兵「くそ……胃潰瘍は完治したと思ってたのに……また再発か……」

おかっぱ「……」

敵兵「……」

おかっぱ「……」

敵兵「(苦痛だ。ただでさえ珍しい東洋人を連れてる上に服が吐瀉物まみれとは。まじで通報される、早く水道探さなきゃ)」

おかっぱ「大陸の人は、公衆の往来でモドすのは一般的なのデス?」

敵兵「違います……オレだけがおかしいだけです……」

791: 2013/07/30(火) 16:01:12.20 ID:MJ9Uqa6Mo
街娘「あら先生!おかえりなさい、今日は早いのね」

敵兵「あ、ああ。ただいま……あの子たちは?」

街娘「今日はちょっと二人でお出かけ。街道沿いで遊んでるんだと思いますわ」

敵兵「は、ははは……」

街娘「……そちらの方は……東の人?」

おかっぱ「ハイ。貴重な経験をさせていただきマシタ、日常的に嘔吐反応が襲……」

敵兵「つ、つい最近大陸に来たばっかりだって言うからさ。軽く案内してあげてたんだ」

街娘「まあ。初めまして、この国はどう?」

おかっぱ「ハイ、見た事ないものたくさんありマス。人も建物も、スゴク大きいです」

敵兵「そりゃあなあ……基準がキミくらいだとすると、オレ達から見た極東列島の街並みはミニチュアみたいだろうし」

おかっぱ「嘔吐物の内容もずいぶんと異……」

敵兵「見んといて!!変な事覚えて帰らんといて!!あと汚いからそれ!!」

795: 2013/07/30(火) 16:07:15.02 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「……センセイ。わたし、感づきマシタ」

敵兵「な、何を?」

おかっぱ「センセイが恋い焦がれているのは……あの女性デス。きっとそうデス」

敵兵「……ふ、ふふふ」

おかっぱ「やはりセンセイは、ぺOフィリアでもウOフィリアでもコOロフィリアでもなかったのデスネ……」

敵兵「オレそんなヤバい人間じゃないからァ!!」

おかっぱ「先ほどの嘔吐で……若干エメトフィリアの気を連想したのデスガ……」

敵兵「やめて!!嘔吐の流れ引っ張んないでよ!!オレ日常的に公衆の面前でゲロぶちまいてる変態みたいじゃん!!」

おかっぱ「センセイさっきそうおっしゃいマシタ!」

敵兵「そんな事言っ……たか?」

おかっぱ「おっしゃいマシタ!」

敵兵「言ってねえ!!言ってないもん!!」

796: 2013/07/30(火) 16:22:00.11 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「にしても、子連れのお方デスカ。連れ子が一辺に二人、四人家族とは賑やかになりそうデス」

敵兵「さ、察しがいいな……まったく」

おかっぱ「彼女の旦那様は?」

敵兵「……大きな戦争の後だからな。そういう事は詮索してない」

おかっぱ「賢明な判断デス」

敵兵「(世の中、妊婦さんに腹パンするクソ野郎がいるからな……お子さんのいる女性は労わってやらんと……)」

おかっぱ「して、いつ告白なさるのデス?文は当然、毎月送っていらっしゃるのデショウ?」

敵兵「ふ、文……?あ、ああ……手紙ね。そんなん送ってないけど……」

おかっぱ「まあ……大陸にも恋文の慣習はありましょうに……かの醜き鼻の剣士の名筆ぶりは、共和国のお方なら御存知デハ?」

敵兵「(オレ、もともと共和国民じゃないしなぁ……)」

おかっぱ「文のやりとりというのは重要なものデス、ロクサアヌも剣士のしたためた一文で気を失ってしまうほどですカラ」

敵兵「(……文……文字のやりとり……文字を書く……そういえば……名前を書けないほどのバカが……)」

おかっぱ「センセイ?」

敵兵「ヴェッ!!ヴェェェェッ!!ヴェェェ!!」

おかっぱ「センセイィー!!センセイィー!!」

799: 2013/07/30(火) 16:31:31.63 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「ゴメンッ、本当にゴメン!ちゃんと掃除するから許してくれ!!」

街娘「いいのよ、気にしないで、大丈夫よ!気分が悪くなることくらい誰にでもあるわ!」

敵兵「でもこれじゃあキミの住んでるアパートメントの前の通りが嘔吐物腐臭ストリートとかいう汚名を被ってしまう!」

街娘「そんな公害みたいなレベルには行かないわよ!考えすぎよ!」

敵兵「しかし!物事は常に最悪の状況を想定して動かねばならない……!」

おかっぱ「センセイはこの通り非常に真面目デス、過失でやった事ですので、許してあげてクダサイ……」

街娘「そんなに私の心は狭くないわ!」

敵兵「もう吐かないから!!ここでは吐かないから!!」

街娘「ここ以外では吐き散らかすつもりなの!?それだったらもう会う事考えるけど!」

敵兵「ああ違うんだ、そういう事じゃないんだ!!」

おかっぱ「大陸の皆さんはアグレッシブでいらっしゃいマス……」

800: 2013/07/30(火) 16:40:52.88 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「すまない……キミの案内がこんな酸っぱいニオイを振りまいての行脚になってしまって……」

おかっぱ「そんな、笑い話で済む事デス。通報されなかっただけ御の字デス」

敵兵「(ああ……まともだ……いや……これまでがヒドすぎただけか……連合の戸籍、ポイして良かった……)」

おかっぱ「さて……服も一新したところで、百貨店にでも向かいマショウ。共和国の百貨店、わたしの国にも資料来るほどデス」

敵兵「ひゃ、百貨店?」

おかっぱ「時代は徐々に、市民による大量消費の思想へと移り変わっていってイマス。まさしく、共和国の百貨店(デパート)はその体現と言えますカラ」

敵兵「あ、ああ……オレにはあんまり縁のない所だけどな。近所のモールやアーケードで十分だし」

おかっぱ「何を言いマス……これから所帯を持たんとする男(おのこ)がそんなではいけまセン!きちんとした身なりできちんとした贈り物を用意するべきデス!」

敵兵「ま、まじか……」

808: 2013/07/30(火) 16:55:38.02 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「お子さんへのプレゼントも忘れてはイケマセン!息子さん?それとも娘さんデスカ?」

敵兵「む、娘が二人だよ。顔つきがそっくりだったから、双子なんだと思う」

おかっぱ「となれば……同じものを贈るのがいいでしょうネ……何がいいデショウ……」

敵兵「と、とりあえず花束は確定だな。それに簡単な菓子折も……」

おかっぱ「洒落てきたではありまセンカ。その調子デス」

敵兵「(……ああ、楽しい……)」



おかっぱ「それでは、私は一足先に部屋に戻りマス。ちゃんと結果聞かせてくださいネ!」

敵兵「あ、ああ!付き合ってもらってしまってすまなかったな」

おかっぱ「イエ、色々見て回れただけでスゴク勉強になりマシタ。ありがとうゴザイマス!」

敵兵「こちらこそ。じゃあ、また明日……」


敵兵「……よし、よし、よし!決行は明日!彼女が仕事から戻ってくるであろう時間から2時間後!よし!!」

812: 2013/07/30(火) 17:06:01.39 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「……ふむ、すこし早く来すぎてしまったか。彼女は……」

敵兵「まだ帰っていない……のか?部屋の灯りが点いてないな」

敵兵「……もう7時を回るのに、どうかしたのか……?」


敵兵「フフフ……6年前を思い出すぜ、単独でのスニーキングミッションだな」

敵兵「……」


敵兵「……遅すぎやしないか?」

敵兵「……」

敵兵「……直接行ってみるか」

816: 2013/07/30(火) 17:14:00.33 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「(人の気配はするな……しかし灯りは……小さな室内灯だけ点いているのか?だとすれば、中に……)」

敵兵「おうい、誰か!誰かいるか?」

敵兵「……反応なし……いや、これは……施錠されていない?ノブが回る……!」



息子「……」

敵兵「や、やあ……久しぶり、ごきげんよう……」

息子「……」

敵兵「な、何週間ぶりかな……キミ達とはなかなか会えなくて……」

息子「……」

敵兵「そ、そうだ……今日はキミらにプレゼントがあるんだ、だから……」

息子「……」

敵兵「……お願いだから、その銃をしまってくれ……氏にたくない……」

818: 2013/07/30(火) 17:21:31.27 ID:MJ9Uqa6Mo
娘「……何してるの、お兄ちゃん」

息子「いつもの人。たぶん、この人がお母様のお知り合いだよ」

娘「この人が?」

敵兵「(お……お兄ちゃん?娘二人じゃなかったのか!?どう見ても女の子にしか……!)」

娘「ふうん……じゃあ、コイツがそのクソ童Oのクソ野郎ってわけね」

敵兵「ひ……や、やめてくれ……撃つな、撃つな……!」

息子「何が目的だ、言え。ここにはあなたにくれてやるカネもなければ権利書もないぞ」

敵兵「き、キミ達の……お母さんに用があって来ただけだ……!」

娘「お母様に……あなたが?」

敵兵「あ、ああ……ほら、見てくれよ!花束と贈り物!これしか持ってない!」

息子「あなたがお母様に……?」

娘「人間の雄が考える事は……わからないわね……」

敵兵「(何、何これ、これどんな状況なん?嘔吐はおろかお小水までしそう怖い怖い怖い)」

息子「……ちょっと、待ってて」

敵兵「(『いつもの人。たぶん、この人がお母様のお知り合いだよ』って……意味がわからん……なんかこの台詞、オカシイぞ……!?)」

821: 2013/07/30(火) 17:34:52.20 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「(それに、妹の方が言ってた『じゃあ、コイツが』って……そもそもオレの事、どう思われてたんだ……!?この子達……!)」

娘「なんだァ?オトナの癖に情けねェツラしやがって……タマついてんかよ、おい」

敵兵「……」

娘「シカト決めこんでんじゃねェ、ぞッ!!」バキ グジュ

敵兵「!!!!」

娘「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

敵兵「(おにんにんが!!!!お、お、おれのムスコと精巣が!!!!つ、潰っ……!!!)」

娘「そんなに痛がんじゃねェよwwwwwwwww腹いてえwwwwwwwwww」

敵兵「腹が捻じれる……痛てえええええ……!!!」

娘「いいじゃねェか、生きてたってどうせ使わねェだろ?それ以前に、生きてこっから出れるかわかんねェしよォ」

敵兵「(この子の薄汚い口調……なんだ……既視感……オレは……この口調を知ってる……なぜだ……!?)」

娘「あー、それとも何か?オXXー猿の連合兵は、タマ袋に脳みそが詰まってたってか?そりゃ失礼したわwwwwwww」

敵兵「(い、いやだ……思い出したくない……やだ、やだやだやだ……オレは、共和国のいち教師なんだ……ただの善良な……)」


息子「……奥に来い。妹に妙な事、しなかっただろうな」

娘「お兄ちゃん、聞いて……こいつったら……」

敵兵「」

娘「おら、立てよボケ。グズグズしてんじゃ……」

敵兵「ヴェエエエエエエエエッ、エッ、エッ、ェエエエエエエッ!」

824: 2013/07/30(火) 17:42:27.28 ID:MJ9Uqa6Mo
街娘「あら……あなただったの……?部屋の前でウロウロしてたの……」

敵兵「」

娘「つっ立ってンじゃねェ!!床でも舐めてやがれ!」

敵兵「」

息子「下手なマネはするなよ。簡潔に、目的を言え」

敵兵「」

娘「夜這いにでも来たかァ?残念だったなァ、このベッドはもう満員でェす」

街娘「ん……それで、何の御用……?わたし……今……手が離せなくて……」

敵兵「な……ん……だと……」

娘「なンだァ?マジに脳ミソ潰れっちまったかァ?ネジくれたカエルみてェな声出しやがって」

街娘「騎士様に……愛していただくのに……忙しくて……」


敵兵「何でお前がここにいる……何で……」


女騎士「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

834: 2013/07/30(火) 17:52:30.94 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「何で、何でだァ!!彼女から離れろォ!!消えろ、氏ねェェ!!」

娘「るせェンだよッ、この三下がッ!!」

息子「口を慎め。静かにしろ」

敵兵「何で……どこから……お前……」

女騎士「おやぁ?おやおやおやァ?何か床の方でゲリの音みてぇな声が聞こえるなァ……なあ、何だろうなァ」

街娘「さあ……存じません……」

敵兵「……な……何を……」

女騎士「あーあーあー、思い出した。6年前にこの私を裏切りやがったクソ童Oのクソ野郎だ。
しばらく見ねェ間にずいぶんショボくれたもんだなァ、氏にゃあ良かったのに」

息子「お母様、それではこの男が?」

女騎士「そうよ、コイツがそう。あなた達も知ってる男なの」

娘「ハァーン……身の程知らずここに極まれりだなァ、ホント何しに来たンですかねェ……」

敵兵「この……子達……彼女の子じゃ……」

街娘「……え、私?まさか……何言ってるの?」

敵兵「え……」

女騎士「お前はホンットにフシアナ野郎だなぁ。この二人の美貌、どっからどう見ても私譲りだろーがよォ」

敵兵「お前が……こ、こ、子どもを……!?」

女騎士「ナリは十二、三だが、頭ン中は六歳に毛が生えた程度だ。楯突くと何するかわかんねーぜwwwwwwwwwwwww」

841: 2013/07/30(火) 18:00:58.58 ID:MJ9Uqa6Mo
女騎士「で?何の用だ?マジに夜這いに来たのか?」

敵兵「……」

女騎士「花束?プレゼント?って事ァ何だ?上着の内ポケットには指輪かァ!?」

敵兵「……うう」

娘「先ェェェェン生ェェェェイよォォォォォ!!!メソメソしてンじゃねェ、懐にあるもん出せッつってンだよォ!!」

息子「いや、いい。ボクが調べる」

敵兵「や、いやだ、やめろ!!やめて、やめてくれえ!!」



息子「……お母様の言った通りだ」

娘「何か仕込まれている可能性は?」

息子「ない。いたって普通の……そこらの百貨店で売られているガラクタだ」

娘「だってサァ。良かったなァ、何か企んでやがったら、この場でペーストにしてやってたところだァ」

敵兵「……」

女騎士「そうすっと何か、お前はまんまと……この私のコマした開発済みの女に貢ぎに来たってわけかァ」

敵兵「ウソだ……こんな偶然……夢だ……」

女騎士「偶然じゃねーよタコwwwwwwお前がコイツ狙ってるの確認してから開発したんだからよォwwwwwwwwwwww」

敵兵「」

850: 2013/07/30(火) 18:07:16.02 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「ほ……本当……なのか……?」

街娘「何が……?」

敵兵「本当に……キミは……こんなゴミ野郎に……」

街娘「ゴミ野郎……人に向かってその呼び方は何!?あなた何様なの!?」

敵兵「」

街娘「他人の事をよく知りもしないで、よくもまあゴミ野郎ですって!?
育ちを疑うわ、少しは良識のある男性だと思っていたのに。あなたが一番のゴミ野郎だわ!!」

敵兵「」

女騎士「ああ……もう傷ついちゃったわ……ゴミ野郎だって……ひどいわ……」

街娘「騎士様……お気になさらないで、彼は少しおかしいんです。この前の通りでいきなり吐き戻すし……
昼間からお酒でもあおっていたのかしら……ひどい人です」

敵兵「」

娘「おゥい、聞いたかァ!?クソ童Oのゲロ野郎だってよォ!!」

息子「下劣な……品性を疑うな、ゲスが」

敵兵「(一体どういう事……だってばよ……)」

863: 2013/07/30(火) 18:22:26.57 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「……何でだよォ……何で……何でオレなんかにここまで……」

女騎士「あー!?あんだってー!?耳が遠くて聞こえねェよォー!?」

敵兵「もう放っておいてくれよォ……お願いだァ……」

娘「寝言ブッこいてンじゃあねェェェぞ!?テメェ、忘れたのかァ!?お母様の腿をぶち抜いたテメェ自身の大罪をよォ!?」

敵兵「……そ、それ……だけ……!?」

息子「それだけ……だと?」

娘「どこまでもザケた野郎だなァ、あァ!?」

息子「……あなたの元連合兵としてのポストを利用したいが為に、こうして罠をしかけた」

敵兵「……」

息子「とでも言えば満足か!?どうなんだよクズ野郎ォが!!!」

敵兵「ひ……」

息子「いいか低能、お母様の悲願が成就されんとする場所で、キサマがいらん邪魔をしなければだ!!下賤な魔族の王と、
それに与する勇者とやらの息の根を止める事ができたんだよ!!キサマのせいで!キサマのせいで大陸は未だ混乱の渦の中にあるんだよ!!」

女騎士「まあ……親想いの良い子に育ってくれて嬉しいわ」

敵兵「(怖いよォ……恫喝で言えばコイツ本人より怖い……)」

873: 2013/07/30(火) 18:36:05.40 ID:MJ9Uqa6Mo
息子「……とはいえ、あなたのポストは今となっては役に立たない。というより、存在しない」

敵兵「は……?」

息子「不自然には思っていただろう?お母様の偉業が、何一つ明るみになっていない事について」

敵兵「い、偉業……だと……!?」

娘「おンやァ?口答えする気ならもうちょい我慢してからにして頂けませンかねェ!?」

敵兵「は、はい……」

息子「あなたの上官……禿頭の中佐があの後どのような末路を辿ったか、御存知ですか?」

敵兵「し……知ら、ない……」

息子「本国で銃殺されたそうです。『ありもしない虐殺事件』や『ありもしない歴史的大敗』によってね」

敵兵「ありもしない……!?」

娘「有体に言やァ、停戦条約を交わした際に揉み消されたンだよォ!!お母様の努力の全てが灰燼に帰したワケだ!!
連合の連中が北西諸島や共和国とのくだらねェ融和を実現したがったからなァ!!」

息子「要は、だ。お母様の付近に存在するポストそのものが抹消されたと言っていい。あなたは、連合では『存在しない人間』なんだよ」

敵兵「」

女騎士「いやはや。にしても一応の目付け役……連合の捨て石であるテメェがあんな事しでかすとはなぁ。
ちょいと警戒が足りなかったわ。反省してるわ、ホント」

敵兵「おい……じょ、冗談……だろ、オレが存在しないって……」

879: 2013/07/30(火) 18:46:38.05 ID:MJ9Uqa6Mo
娘「一度で話理解しろよなァ、このキンタマ脳がよォ!!テメェは!親玉に!ポイされたンだよォ!!」

敵兵「」

息子「本国に戻ったところで戸籍がない。名前もない。福祉サービスも受けられない。ご理解いただけましたか?」

敵兵「う、う、ウソだァ!!名前はあるぞ!!家だってある、親父やおふくろだっている!!」

娘「果たしてどうなッてンのかなァ……テメェと関わりを持ったが為に不幸な目に遭うバカども、どう思ってッかなァ……」

敵兵「」

女騎士「いやーwwwww身から出たサビだなァwwwwwwwwwwどーすんのお前wwwwwwwこれからどーすんのwwwwwwwwww」

敵兵「」

街娘「ここで自殺とかしないでね、借家汚されたら困るし……」

敵兵「……オレ……どうしたら……いいの……どうしてオレ……こんな目に……」

娘「どうしてこんな目にィ?あァ?ンなもん決まってンじゃあねェかよ、テメェが敗者だから悪ィんだよスッタコがァ!!
テメェは何か努力をしたのかァ!?いつか誰かが何とかしてくれるとか思ってたんじゃあねェのかァ!?
甘ったれてンじゃあねェぞクソッタレ野郎がよォ!!テメェ、どの口が『こんな目に』とか言ってやがンだよォ!?」

敵兵「……」

娘「テメェは少しでも敗けねえ為の努力をしたのかッて聞いてンだよォ!!」

敵兵「(六歳児に脅されてる……三十路なのに……オレ……)」

889: 2013/07/30(火) 18:58:43.96 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「……もう、もういいだろォ……じゃあ、もうほっといてくれぇ……」

女騎士「は?何を?」

敵兵「こんな、こんなゴミみたいなオレなんか相手にするだけ無駄だろ……何でこんな…・・・6年越しでこんな事を……」

女騎士「決まってんじゃねーか、落とし前だボケ」

敵兵「おとしまえ……」

娘「どこのどいつがお母様に盛大にケンカ売ったかってンだよボケが!!
その足りねえ股間の脳ミソフル回転させてよっく考えンだなァ!!」

敵兵「そんな……し、仕返しってんじゃ……ないだろうな……」

女騎士「……」

敵兵「おい……おいぃ、どうなんだよォ!!」

女騎士「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

娘「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

息子「……」

女騎士「御wwwwww名wwwwwww答wwwwwwテメェにはwwwww私の夢が叶うのをwwwww特等席で見せてやるwwwwwww」

娘「その椅子もちろんwwwwwwww電気椅子wwwwwwセレモニーと同時にwwwwwwwテメェは瞬間加熱wwwwwローストビーフだぜェwwwwwwww」

敵兵「」

895: 2013/07/30(火) 19:05:27.34 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「はっ……」



敵兵「……夢……か……」

敵兵「……いやー。いやいやいやいや」

敵兵「まさかこんな悪夢あるわけないよなー、いやいや疲れてんのかな、オレちょっと働きすぎかなー……」

敵兵「……」

敵兵「寝よう……寝ちまおう……酒飲む気にもならねえ……」


敵兵「……目が覚めたら新しい一日が始まるんだ……」

敵兵「子ども達に囲まれて……昼ごはんは駅前のパン屋のサンドイッチ……礼拝の終わった司祭様や……
ああ、そうだ……あのおかっぱの子と一緒にティータイムだ……」

敵兵「はははは……あはははは」

敵兵「氏にたくない……氏ぬのは嫌だ……」

899: 2013/07/30(火) 19:10:41.34 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「……」

教員「……」

敵兵「オレの机……その……机がないんですけど……」

教員「……」

敵兵「あの……」

教員「ヒッ!?」

敵兵「……」



敵兵「クビ……ですか……?」

司祭「あー……その、ですね。何も、事実だとは私も思いたくはないんですが……その……」

敵兵「……」

司祭「……公共施設に……連合の人間がいるなんていう噂がこれ以上流れたら……どうなるかお分かりでしょう?」

敵兵「……」

司祭「いや、何もあなたが連合の人間だと決めつけているわけではなくですね……お子さんを預ける親御さんの目もありますし……」

敵兵「……」

907: 2013/07/30(火) 19:15:59.08 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「」

おかっぱ「元気出してくだサイ、働き口なんか……そう、コネ!司祭様から斡旋先の住所、貰ったんですヨネ!」

敵兵「……どこも雇っちゃくれないよ……たぶん……」

おかっぱ「あーうー……」

敵兵「……」


おかっぱ「あれ、ここは……あっ、そうだ!昨日、結局プロポーズ行かれたんデスカ!?」

敵兵「……ああ?ああ……」

おかっぱ「どうでシタ!?うまく行きマシタ!?」

敵兵「……」


敵兵「いかん吐く」

おかっぱ「えっ」

914: 2013/07/30(火) 19:22:01.12 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「そうでスカ……だめだったデスカ……残念デス」

敵兵「……」

おかっぱ「……」


おかっぱ「シテ、あなたはホントに、連合の人間なのデスカ?」

敵兵「……え?」

おかっぱ「イエス、カ、ノー、で、答えてクダサイ」

敵兵「……」

おかっぱ「……単なる風説。そう考えるには不自然なくらい、真実らしい噂が流れてイマスから……」

敵兵「な、何だ、それ……」

おかっぱ「さ、どうなんデスカ?心配せずとも、わたしは……」



おかっぱ「お前ら大陸のノータリンどもに比べりゃあ、ずっとずっとずっとずっと理知的で良心的で誠実だからなァ」

925: 2013/07/30(火) 19:36:06.10 ID:MJ9Uqa6Mo
敵兵「なッ……!?」

おかっぱ「ククク……技術先進と聞いて来てみりゃあ……素晴らしい民度だな、共和国というのは……
やはり大陸で人頃しを生業にマラこすってるクソザルどもに理性を期待するのが大間違いってんだ」

敵兵「何……言ってんだよォ……」

おかっぱ「何か間違った事……言ってるかねェ……?それとも、文法間違ってて伝わってねェか?
テメェらが使ってる屁みてぇな言語なんか、口にしたくもねェんだ。勘弁しろよなァ」

敵兵「キ、キミ……が、が、学生じゃ……ないのか……!?」

おかっぱ「頭ン中の推察だけで事実を組み立てるのも、お前らクソ大陸人の特徴だなァ。自己が未発達のポンコツがよォ。
いつアタシ自身がバカ学生だって名乗ったァ?遊び半分で学びに……いや、ほとんど物見遊山で来たのァ合ってるけどよォ」

敵兵「じゃあ……じゃあ、一体……」

おかっぱ「アンタから名乗ったら教えてやらんでもないなあ……」

敵兵「……うう、れ……連合だよ、元連合の……兵隊だ」

おかっぱ「クク……言葉が通じねえってわけでもなさそうか」

敵兵「……」

おかっぱ「極東列島幕府陸軍……そこの小間使いとでも思ってくれればいい」

敵兵「ば、幕府……陸軍?」

おかっぱ「声がでけぇなプータローさんよォ。もっとも、未開のアホ大陸人にゃあ何のこっちゃだろうが……」

敵兵「(え、何!?スパイ!?何が起きてんの!?)」

929: 2013/07/30(火) 19:49:13.46 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「……周りのカスども、ホントウゼーな。そんなに東洋人が珍しいのかねェ」

敵兵「極東列島の文化はそれだけ一目を集めるんだよ……百貨店でも特設会場が組まれてたし……」

おかっぱ「クソが……茶屋に入りゃあ出てくるのはこの泥水だ。イカレてんなァ」

敵兵「(他人にカネ出させといてなんて奴だ……)」

おかっぱ「……なあ無職クン。話の続きだ。何でアタシ、わざわざアンタに近づいたと思うね」

敵兵「なぜって……オレが分かるわけ、ないだろ」

おかっぱ「出た出た、これだけは雄ってだけで万国共通なのかァ?都合が悪くなると思考を放棄する。うぜえうぜえ」

敵兵「……」

おかっぱ「ククク……機嫌悪くすんなよ……まあ、あれだ。6年前の東西戦争、あれについて調べてんだよ」

敵兵「わざわざ極東列島がか?何の為に……」

おかっぱ「そうさなぁ……お前らの言葉を借りんなら、啓蒙だよ。魔王軍とかいう連中が今も続けてるアレだ。
帝国法をある程度原型にした法律を使ってる私らが、ちょいと頭を貸してやろうと思ってなあ」

敵兵「……」

おかっぱ「脳が処理し切れてねェか?ならパープリンなテメーの為に簡単に言ってやるよ」

敵兵「ひどい」

おかっぱ「せっかく法をもてあましてるテメーら殺人サルどもの為に、アタシ達が教育し直してやるってこったよ。
いつまでもいつまでも戦争!戦争!戦争!よく飽きねェなあ、早く絶滅してくれよテメェら、マジで鬱陶しいんだわ」

敵兵「こわい」

931: 2013/07/30(火) 19:56:22.46 ID:MJ9Uqa6Mo
おかっぱ「列島幕府は世界最強の無血政治形態だ。成立以降四世紀、大規模な戦争を許しちゃいない」

敵兵「それは……」

おかっぱ「国土の狭さだとか言うつもりか?違うな、テメェら大陸人の小きたねえ小便みてぇな血のせいだ。
現に見てみやがれ、アタシ達が使っている現行法はほとんど帝国法をイジくっちゃいない。罪刑法定主義を始めとした近代刑法を実装している。
だが、見てみろよ。帝国(笑)、前に一度資料で目にしたが……ヒデェなぁ、まるでクソが発酵して煮立ってるって有様だ」

敵兵「……否定できない」

おかっぱ「そんなクソ煮込み帝国を中心に……テメェらは何十年も何百年もぶっ頃し合い。
ああ、宗教戦争も度々やってたよなァ。そんなアタシら、何百年も前に克服してんぜ?」

敵兵「そんなの……やりたくてやってる訳じゃねぇよ」

おかっぱ「ハイ出たー、責任転嫁ー。あーあ、これだから大陸は……」

敵兵「(誰か……オレに優しくしてよう…… )」

936: 2013/07/30(火) 20:04:24.77 ID:MJ9Uqa6Mo
第5部 女騎士おかっぱ編 序


第5部 女騎士おかっぱ編 破へ

174: 2013/08/02(金) 17:24:04.80 ID:lZZySyIno
敵兵「人魔の断絶……?」

おかっぱ「その通り。今までの我々の魔族への対応を、お前達にもやってもらう事になる」

敵兵「だ、断絶って……お前らはそんな事ができてたって言うのか?」

おかっぱ「別に、一本線を引いてこれがボーダー、こっからここまでが人間の土地、こっからここまでが魔族の土地。
だなんて事をするわけじゃあない。物質的ならぬ、観念的な隔離を行う」

敵兵「……?」

おかっぱ「つまりだ。人外の存在を超自然的な『災害』として人民に把握させるんだよ。
どこどこのどんな、どういう奴がどういう手口でどういう事をされたっていう詳細な被害を出させずにな」

敵兵「(意味がわからん)」

おかっぱ「魔族……魔物どもを、カミの領域へとシフトさせるんだよ。物質的ボーダーを用いないと言ったが、
それでもやはり連中をある一定箇所に押し込める必要があるがな。なに、そちらはそこまで厳格にする必要はない」

敵兵「かか、カミって……!お前、本当にそんな事ができると思ってんのか!?」

おかっぱ「実行もできねえような世迷言を携えて、わざわざこんなコエダメみてぇな土地に来るか?そんなマゾだよそりゃ」

敵兵「だ、だってよう……」

177: 2013/08/02(金) 17:35:02.63 ID:lZZySyIno
おかっぱ「これほど合理的なガス抜きっていうのは、古今東西探しても我々の列島にしかないと思うがね」

敵兵「……今の話を聞いても、何をどのように計らうのかまったくわからなかったんだが」

おかっぱ「ふん……まあ、一応クソ無職とはいえ情報提供者か。いいだろ、教えてやらんでもない」

敵兵「ひでえ」

おかっぱ「いいか、今さっきガス抜きと言ったがな。人間の社会で凝り固まる有害なガス……
行政システムなどに募る不平不満ってェのは、どこの社会体系にも当たり前のように存在するものなわけだ」

敵兵「まあな。帝国なんて、それが原因で内部崩壊したようなもんだ。南部も魔王軍に取られちまったし」

おかっぱ「疫病、飢饉、内乱。いかに土地が豊かだろうが、為政者が善政を敷こうが、イナゴのようにやってきて平穏を食い尽くす」

敵兵「(……まさにあの糞騎士だな)」

おかっぱ「そんな時、お前達のようは一神教徒はどうする?神様、どうかこんな事をする深淵の悪魔を追っ払ってください、か?」

敵兵「そんな直接的な言い回しじゃあないだろうが……」

おかっぱ「我々はそうした人に仇なす出来事を隠(オン)、もしくは鬼と呼称する。そして、その災厄そのものを崇め奉るのよ」

敵兵「……」

おかっぱ「北方共同体のケンタウリ達も、似たような事をやっていると聞くぞ。人身御供の概念は、どこも共通らしい。
ただ、お前達一神教徒のせいでそうした思想もペイガニズムと名を変えてしまっているようだがな」

178: 2013/08/02(金) 17:47:27.53 ID:lZZySyIno
おかっぱ「だがな、やられっぱなしじゃあない。どこの英雄伝承を見てもそうだろ、人に仇なすものを[ピーーー]のは必ず人なのだ。
聖ゲオルギアス、聖ジョージ、ベイオウルフ……カミの加護を受けた只人が魔を討つ」

敵兵「……数百年前の、勇者と魔王軍の闘いもそういう事だって言うのか?」

おかっぱ「どれだけ史実が歪曲されているかどうかは知らんがな。実際のところは、帝国と教皇領の仕組んだ失業者政策だったのかもしれん。
大量の人材を安く買い叩き、聖地奪回の名目で魔王軍や異教徒相手にドンパチやらせる。
ありがたーい教義で、中世期にも関わらず戦場における氏傷者はウナギ昇り。勇者なんてモンは、共和国の出まかせなのかもしれねえ」

敵兵「まさか」

おかっぱ「ああ、まさかンな事あるわけがない。だが、無いとは言い切れねえ」

敵兵「……」

おかっぱ「その頃はまだ帝国は善政やってたんじゃねェか?得体の知れない魔王軍に敢然と立ち向かう……」

敵兵「その頃は、国教会の汚職も目立ってなかっただろうしな」

おかっぱ「だが、今はどうかな。中途半端に民主化・近代化なんぞを北西から輸入しちまったおかげで、
歪な貴族第一主義を強いる羽目になり……お前ら連合に取り入る隙を与えた」

敵兵「……」

おかっぱ「要はな。人間には得体のしれない神性ってものが必要なんだよ。触れも見えもしねえ、考えすら及ばねえ。
お前らの言うカミでもない、魔王でもない、魔人でもない、聖人でも竜神でもない。そんなカミが必要なんだ」

179: 2013/08/02(金) 17:56:09.38 ID:lZZySyIno
敵兵「……い、いきなりそんな事言われてもな。こちとら、産まれた時から天の神様信じてるんだぜ?」

おかっぱ「その結果がこれじゃあな。その神様とやらも草葉の陰でのたれ氏んでるぜ」

敵兵「罰当たりな……」

おかっぱ「見えもしない、触れられもしない、そんな存在を、我々はカミだと思っていた。
神職以外は、コンタクトもできない超自然的存在だ。少なくとも、今まではそう思っていた」

敵兵「今までは?」

おかっぱ「我々も我々で、少し一悶着があったのさ。お前ら大陸人のちょっかいのおかげでな」

敵兵「何でも俺達のせいかよ……」

おかっぱ「おかげで、今まで保っていた人と神性の均衡が少しばかり崩れっちまったんだ。あーあ、ご先祖様はなんて言うかな」

敵兵「均衡とは?」

おかっぱ「ガス抜きの構造だ。魔を頃す人という方式を舞台裏で支援、演出する為の機構が、少しばかりばれちまった」

敵兵「え、演出ぅ?」

おかっぱ「信仰され、畏れられるだけの筈である『魔』の側が、自分の姿を白日にさらしちまったのよ」

184: 2013/08/02(金) 18:10:23.25 ID:lZZySyIno
おかっぱ「日常的に魔物と頃し合いをしてるお前らには驚きかい?」

敵兵「驚きも何も……それじゃ何か、列島には魔物がそれまではいなかったって言うのか?」

おかっぱ「そんなわけ無かろう、井戸の釣瓶にもいたし天井裏にもいた。そこらじゅう物の気だらけだぞ」

敵兵「(列島怖すぎワロタ)」

おかっぱ「ふん、お前ら大陸人に我々の『怪』を魔物呼ばわりされるのは心外だな。
零落したカミとは言え、敬われるべき神性だ。一緒にするんじゃない」

敵兵「(ぶっちゃけ区別なんかつかねえよ……)」

おかっぱ「ところで……大陸人どもの来航によって、列島幕府がどれだけ荒れたか想像が付くか?」

敵兵「これっぽちも。革命でも起きたのか?大規模な内乱が起こったとか」

おかっぱ「……さすがにそこまでは行かなんだが、識者は数名犠牲になった。元首を帝(みかど)に据えるか、
このまま列島幕府が封建体制の頂点に君臨し続けるかでな。だが、幸いにも大規模な革命は起きずに済んだのよ」

敵兵「み……かど?幕府にエンペラーがいるんじゃないのか」

おかっぱ「これだから大陸人は。北西諸島の連中はミカド概念を一言で呑み込んだというのに」

敵兵「(あーこれ、『これだから大陸人は』って気に入ってるパターンだわこれ)」

186: 2013/08/02(金) 18:27:50.58 ID:lZZySyIno
おかっぱ「その混乱も、『カミ』側の鶴の一声で事なきを得た。おかしな話だろ、語りえぬ存在の筈のカミからお声がかかるなんて」

敵兵「……?」

おかっぱ「あーもういいや、そのまんま聞いてろ」

敵兵「待て待て、ええと……するってーと何か、お前らの良い分では、お声がかかると、ホントの意味でのカミじゃないわけで。
だからおかしな話ってんだろ?ワケわかんねーけど」

おかっぱ「ホントの意味でのカミってのも、定義されてるわけじゃないがな。まあ、とにかくその物の気どもからお声がかかったわけだ。
幕藩に借りを作っていたと証言する連中からな。隠神刑部、白面、金長……ほとんどが西部地方の魔族だ」

敵兵「とほほ、人間にはかな……」

おかっぱ「よせやめろ」

敵兵「」

おかっぱ「……でだ。連中、生意気にも国防を手を貸すから列島内で混乱を広げるのはやめろと言いだした。
事実、中世期の禁教令で大陸にアレルギーを持っていた大名も多かったからな。正直言って助かった。
そうして成し遂げたのが幕藩帰化。憲法を為政の中枢に置いたうえで政治を行う体制が実現された」

敵兵「……じゃあ、何か。オレ達にも、その真似事をしろって言いたいのか」

おかっぱ「バカが。お前らがするのは断絶、隔離だ。現にその試みは6年前に盛大に失敗したんじゃないのか?」

敵兵「あ……」

おかっぱ「そもそも、教会にバカに育てられたお前らが我々のマネなんぞハナッからできるなんて思っちゃいない、安心しろ」

敵兵「(そろそろキレていい時期じゃないかな……こいつ何様だよホントに……)」

190: 2013/08/02(金) 18:47:04.70 ID:lZZySyIno
おかっぱ「本来なら、我々が数百年前に通った道のりだぞ。居もしない絶対神だけを盲信した結果がこれだよ」

敵兵「そばに敬虔な信者がいたら殺されるぞ……」

おかっぱ「そんなんが、魔王軍のクソみたいな言い分を聞いたらどうなる。水と油、もう悲惨な事になるね。
バカ同士のクソタレ連鎖反応だ。周囲に血の混じったビチグソが飛び散るぞ、オェェェ」

敵兵「あははは、笑えねぇー」

おかっぱ「その通り笑えねえ。そこでだ、我々はまず帝国を押さえたい」

敵兵「ふむ、帝国……帝国!?」

おかっぱ「ああ、正確には西側をな。可能ならば、連合側から皇族をかすめ取っておきたいところだが」

敵兵「いやいやいやいや、ナニイテンダ!?」

おかっぱ「かつての覇権国だ、まだその威光は完全には失われてはいまい。共和国の暫定政府なんぞより、
帝国の貴族の方が発言力が強い場合だってあろう。最終的には魔王軍を懐柔せにゃならんのだぞ」

敵兵「そこじゃ……いや、そこもおかしいけど、そうじゃなくて!」

おかっぱ「我々の最終目標は、お前ら連合の目的の一つでもあった信教のアカルチュレーションだ。
無論、お前らと違って無用な殺戮を行う気はないがな。それに……」

敵兵「だからさ!何言ってんですかってこったよ!あんた一人でそんな事できんのかよ!?オレにやれってんじゃないだろうな!
無理だろ!オレは単なる元士官の元教師のプータローさんだぞ!今すぐにでも日雇いの募集を探さにゃならんのだぞ!」

おかっぱ「何言ってんですかてなァ、アタシの台詞だ失業者!!アタシがそもそも何のためにテメェのようなプーさんに近づいたと思ってる!」

敵兵「何の為……って……」

おかっぱ「6年前の歪な共和国テロ……テメェがもしかしてその中心人物なんじゃねェかって言ってんだよ」

193: 2013/08/02(金) 19:02:21.98 ID:lZZySyIno
おかっぱ「東西戦争末期……連合の手が共和国領にまで及んだ際に起こった出来事だ。
共和国東部に滞在していた北西諸島の部隊が、テ口リストに襲われたってェ話……実行犯は未だ不明、
魔王軍側も犯行を否認。共和国側も関係を否定。じゃあ連合側のとった対応はどうだ?」

敵兵「オレが……わかるわけないだろ?」

おかっぱ「先遣隊の一部による命令無視、越権行為……その程度にしか残っちゃいねぇんだ。
当時の指揮系統を担っていた佐官の銃殺という事実はあったが……それで許してくれよ、チャンチャン♪って風にしか見えなかったわ」

敵兵「(中佐……かわいそうなハゲ……)」

おかっぱ「だが、おかしいとは思わねェか?その当時、北西諸島のドラグーンとの交戦での戦力比は15対1。
だが、北西諸島に残されている書類では9対1にまで巻き返されちまってるんだよ。ただのいち先遣隊が、どうなったらそこまでの実力を持てる?」

敵兵「……」

おかっぱ「最新鋭の後送式ライフル……帝国や連合が末端兵に持たせてるガラクタとは段違いのオモチャの存在があったらしいんだよ。
加えて、異様なまでの的中率を誇る夜襲部隊の存在。いくら目下を警戒しても、適格にワイバーンの目をぶち抜く兵士たち……」

敵兵「そりゃ……おっかないなぁ」

おかっぱ「結果的には大勝で終わったものの、ごく一部の戦場ではドラグーンが20騎近くも撃墜されている。不自然たぁ思わねェか?」

敵兵「……魔王軍か……それとも、エルフが連合に肩入れしてたとでも言いたいのか?」

おかっぱ「状況から判断すれば……そうなるなァ」

195: 2013/08/02(金) 19:30:03.46 ID:lZZySyIno
おかっぱ「共和国領での戦闘はドラグーンによる挑発が原因。手を出したのは先遣隊……連合の言い分だ。
しかし、その後のテロは?これに関しては知らぬ存ぜぬ……」

敵兵「……」

おかっぱ「テロ直後の騒動で起こった恣意的とも思えるデマは……まあ、これは国内の帝政派やレイシストどもの便乗もあろうよ。
しかしだ。その中でちょいと妙な点が一つだけあったんだよ」

敵兵「妙な点?」

おかっぱ「共和国を流れる河川のずっと下流……男の変氏体が見つかっているんだよ」

敵兵「……」

おかっぱ「全裸で、口ン中に銃痕。少なくとも、他殺体には見えなかったが……如何せん損壊が激しく、身元の特定には今の今まで至らなかった。
だが、怪しすぎるよなァ?氏亡推定日時はテロが発生した日にちの前後と一致する」

敵兵「何が言いたい?」

おかっぱ「当時のデマでは、『井戸に毒を撒いたヤツがいる』という風説が異常なまでに強調されて流布されていたらしい。
その影響もあってか、共和国もかなりの気合を入れて河川の立ち入りを制限している」

敵兵「……」

おかっぱ「さて、ここで私が不自然に思ったのは全裸の不憫なホトケさんだ。まだまだお高い9ミリでできた口射創、
それに、水底から発見されたカラの薬莢。なあ、カラの薬莢だぜ?」

敵兵「まさか……自動拳銃だってのか?」

おかっぱ「帝国で試験的に製造された7,65ミリ拳銃とも違う、連合が大々的に宣伝してる最新型の自動拳銃のモンだ。
それが6年前の犯行に使われていたとあれば……こりゃ、やたらと謎の多い『単なる先遣隊』との繋がりも考えちまうわ」

敵兵「……う……うう」

198: 2013/08/02(金) 19:52:58.90 ID:lZZySyIno
おかっぱ「あんたも使った事あるんじゃないのかァ?ピッカピカの9ミリ銃をよォ」

敵兵「……」

おかっぱ「兵籍も戦果も抹消された、先遣隊メンバーさんよぉ。ネタは挙がってんだよ。
テロの後で共和国に亡命して、しばらくは橋の下で雨風凌いで、東部の汚染水で身体洗ってたて・き・へ・い・さん」

敵兵「ひ……」

おかっぱ「逃げんなよォ、取って食う気はねェんだから。ここまでは全部幕府側の推察に過ぎねえ……
情報のほとんどは北西諸島の外務省からいただいたモンだ、あいつらは確証を持っちゃいない」

敵兵「ほ、ほ、北西諸島が……!?ななな、何で……!」

おかっぱ「ありゃ、その日暮らしが板についちまって……知らねえのか。外務省が大々的に指名手配している、ある男を」

敵兵「しめい……てはい……!?」

おかっぱ「重要参考人の殺人未遂で国際指名手配……手配の似顔絵まで出回っちまって」

敵兵「……」

おかっぱ「アンタが髭生やして、もうちょっと肉付けたら……こんな感じかもなぁ」

202: 2013/08/02(金) 20:06:00.62 ID:lZZySyIno
敵兵「」

おかっぱ「おいおいおいおい、どうしたァ?顔色ワリィぞぉ、こんなとこで吐くんじゃねェぞ」

敵兵「お、お、おれは、おれは悪くない……おれは……」

おかっぱ「言っただろ、取って食やしねぇよ。ちったぁ落ち着け」

敵兵「お願いだ、お願いだ助けてくれ、氏にたくない!氏にたくない!!」

おかっぱ「ふん、確定か。まじにヒミツの先遣隊とやらがあるとはな」

敵兵「な、何でもする……何でもするから……ころ、殺さないでくれ……」

おかっぱ「心配すんじゃねェよ……幕府の……アタシ達の目的は、お前らの教育だからなァ」

敵兵「……」

おかっぱ「で、何でもするって言ったな、あんた。言ったよな?」

敵兵「あ、ああ!」

おかっぱ「エクレアとかいうのが食べたい。向こうの通りで売ってた、買ってこい。あと茶。泥水はダメだぞ」

敵兵「」

212: 2013/08/02(金) 20:54:17.91 ID:lZZySyIno
おかっぱ「まずい」

敵兵「え?」

おかっぱ「くどい、気持ちが悪い。何だコレは」

敵兵「いや……エ、エクレア」

おかっぱ「アホタレ、味だ。お前らはこんなものをありがたがって食っているのか」

敵兵「……」

おかっぱ「オマケに付け合せはまたこの泥水だ!客を舐めているのか、この国の茶屋は」

敵兵「ははは……」

おかっぱ「……居心地が悪そうだな、お前も何か食ったらどうだ」

敵兵「……」

おかっぱ「フフ、もう少し嬉しそうな顔をするといい。お前に価値があるうちは、我々幕府が命の保証をするんだぞ?
連合だろうが北西諸島だろうが……まあ、今のうちは手は出させんよ」

敵兵「(吐くものが残ってないよォ……)」

214: 2013/08/02(金) 21:06:07.16 ID:lZZySyIno
おかっぱ「ククク……クカカカ、面白い、面白いじゃないか。エルフを抱き込んで戦争だ?楽しいなあお前らは」

敵兵「……」

おかっぱ「北西諸島が探しているアジ・ダハーカとか言うのは、恐らくはそのブロンド女だろうな。ふむ……」

敵兵「アジ・ダハーカ……?」

おかっぱ「魔王軍側が非難している、非人道的掃討作戦の発案者……スラングようなものだと思っていたが、実在していたとは。
元来は謀略を司る中東の悪鬼だと聞く。魔王が悪鬼を恐れるとは、おかしなものだ

敵兵「(あいつそんな名前で呼ばれてたのかよ……)」

おかっぱ「いやはや、会ってみたいものだ。さぞかし敬虔な国教徒か、それともとんでもない野心家か……」

敵兵「あっ、会う……!?」

おかっぱ「当然だろ、人魔の共存だとかいう世迷言を謳う魔王軍を焼き払うなどと言う大陸人……
融和派が幅を利かせんとする中、声を大にしてそれを主張するなど並みの神経ではできんぞ」

敵兵「……あ、会う……会う、ねえ……」

おかっぱ「(……元貴族とのコネクション、もとい人質は帝国を確保するに必要なファクターだからな。
こればかりは北欧諸島や北方共同体との協調ではできん事だ。元帝国の王政主義者を味方に付けるのが最優先だ……)」

217: 2013/08/02(金) 21:17:34.78 ID:lZZySyIno
おかっぱ「アジ・ダハーカとは現在でも関わりが……その様子では無さそうだな」

敵兵「あるわけないだろ……思い出したくもない……」

おかっぱ「だろうな……とでも言ってほしいか?アタシゃ、あんたがその悪鬼の信奉者じゃないと信じたわけじゃねえ」

敵兵「ほ、本当だ、こればっかりは!!」

おかっぱ「まあ、テメェの信心には興味はない。奴とのコンタクトの足掛かりが見つかりゃ万々歳なんだ」

敵兵「……」

おかっぱ「どこにいるか、目星はつかねぇのか?」

敵兵「いや……その……」

おかっぱ「潜伏先……どの地方くらいはわからねえか?」

敵兵「……そ、そこのアパート」

おかっぱ「は?」

敵兵「アパートに……」

おかっぱ「……」

221: 2013/08/02(金) 21:27:39.47 ID:lZZySyIno
おかっぱ「……まさか、昨日のプロポーズってそのアジ・ダハーカにか!?やっぱり大陸人の思考はイカレてやがる!」

敵兵「やだ!やめろ!ふざけるな!!誰があんな悪魔と!!」

おかっぱ「ないわー」

敵兵「……」

おかっぱ「ホンット、ないわー。気持ち悪い……」

敵兵「うぅっ……うう……」

おかっぱ「泣いてる場合かクソ野郎。また明日、この喫茶で待っていろ。今日明日のメシ代くらいは工面してやる、必ず来いよ」

敵兵「(変わってない……6年前とあんまり変わってないよぉ……)」

おかっぱ「そういや……職と同時に部屋も叩きだされたんだってなァ。お気の毒wwwwwwwwwwwwww」

敵兵「……」

おかっぱ「ふん、とっとけ。部屋代込みで色付けてやる」

敵兵「……こ、こんなに!?」

おかっぱ「(……クク、せいぜい動けよクソ男。一宿一飯、恩義は果たして頂くぞ)」

223: 2013/08/02(金) 21:38:14.73 ID:lZZySyIno
敵兵「……うう……怖い……いやだ……怖い……」

敵兵「……夢じゃないよな……夢じゃ……」

敵兵「……金的食らった時……ムッチャクチャ痛かったからな……ああ……いやだ……」



敵兵「そもそも、あいつ……どうやってオレの居場所を知ったんだ……」

敵兵「おおよその目星は……まあ、共和国って事なら付くだろうが……」

敵兵「……」

敵兵「まさか、見られてる……?誰に……?」



ホテルマン「お客様、お手紙が届いております」

敵兵「……は?俺にですか」

ホテルマン「ええ、部屋だけが指定されておりまして……お客様宛にと」

敵兵「……」

no title

226: 2013/08/02(金) 21:41:57.01 ID:lZZySyIno
敵兵「……」

敵兵「ひどいよ……こんなのってないよ……ひどすぎるよ……」

敵兵「しかも封筒に9ミリ弾……」

敵兵「……多分エルフどもかな……エルフならエルフらしく矢文とかにしろよ……」



ホテルマン「お客様、またお手紙が」

敵兵「……」

no title

敵兵「」

230: 2013/08/02(金) 21:55:09.32 ID:lZZySyIno
敵兵「……」

おかっぱ「……(早くしろ、ノックしろノロマ)」

敵兵「怖い怖い怖い怖い……」

おかっぱ「……(グズが、開けろ。蹴破っちまえ)」

敵兵「(あのチビ……!自分だけあんな物陰に隠れやがって……)」



敵兵「あのう……すいませェん」

敵兵「すいま」

娘「いねェーーーーよ!!!ルスだよ!!!帰れボケェ!!!」

敵兵「」

232: 2013/08/02(金) 22:03:11.42 ID:lZZySyIno
敵兵「ルスだって言ってた」

おかっぱ「お前ホントふざけんじゃねェぞこの野郎」

敵兵「だってルスだって……」

おかっぱ「……ああもううぜえ、持っとけ。兵隊だったら使い方分かるだろ」

敵兵「うう……ああ……ピッカピカの自動拳銃だあ」



おかっぱ「あのう、スイマセェン」

おかっぱ「スイマセェン」

おかっぱ「開けろボケェーー!!」

娘「ルスだオ゛ラァーーー!!」

おかっぱ「開けろァァァァ!!!」

娘「帰れァァァーーー!!!」

おかっぱ「撃つぞオラァーーー!!!」

娘「やったれダラァーーーー!!!」


敵兵「」

234: 2013/08/02(金) 22:13:27.40 ID:lZZySyIno
娘「ンだオラケンカ売ってんのかテメェァ!!!」

おかっぱ「うるせぇガキが!」パンッ

娘「がうっ!!」

敵兵「」

娘「うおああああああああッ、や、や、焼ける゛ぅぅぅ」

おかっぱ「うるせェーーーんだよ、一度で黙れズベ公がよォ!!」

敵兵「あ、あの……」

おかっぱ「舐められる訳にはいかんだろうが。相手はアジ・ダハーカ様だぞ?」

敵兵「(子ども相手に……あ、2発、3発……うう……発砲するかね……)」

娘「て、てめえええ……こ、細切れにしてやる……ぶち殺……」

おかっぱ「ブロンドはどこかなっと……おい無職、寝室はあっちか?」

敵兵「……」

おかっぱ「おいプー助!!」

敵兵「はあ……」

おかっぱ「……テメェはお姫様か。制圧されんの早すぎだろうが」



敵兵「こ、この子……は、離してくれなくて……」

息子「あなたは……わざわざ殺されに来たのか?」

237: 2013/08/02(金) 22:28:33.39 ID:lZZySyIno
おかっぱ「話しがあんのはガキじゃねぇ、ブロンド出しな」

息子「……」

敵兵「あ、あの……オレは頼まれただけで……こここ、これっぽちも……」

おかっぱ「まだそいつには使い出がある、頃すんじゃねェよジャリガキ。いいからとっととブロンド呼べ」

息子「ち……」

おかっぱ「人質ってんなら持ってても構わん。そいつは貸してやる」

息子「……」



息子「……本当に……いつか……ブッ殺……クソが……」

敵兵「は、ははは……」

息子「ザケんな……母様……調子こきゃあがって……氏ね……」

敵兵「怖い(迫真)」

240: 2013/08/02(金) 22:36:20.06 ID:lZZySyIno
街娘「はぁぁ……」

敵兵「」

街娘「あら……またアナタなの……何の用……?」

敵兵「ど、どうも……」

街娘「これ、一本どう……?私が巻いて作ったの……」

敵兵「……(あいつまだくすり売ってんのかよ……!)」

息子「銃をよこせ。動くんじゃないぞ」

敵兵「はい……(……ホントにあの糞騎士の子ども……だよなぁ……見た目は完璧なのに……)」


女騎士「……」

おかっぱ「……」

女騎士「あ?」

おかっぱ「お?」

女騎士「……ア゛ァーーー!?」

おかっぱ「ハァ゛ーーーー!?」

女騎士「ンだオラ゛ァーーーー!?」

おかっぱ「るせェァァ゛ーーーー!!」


敵兵「(こうなるよなぁ……)」

245: 2013/08/02(金) 22:51:15.50 ID:lZZySyIno
女騎士「何の用だマメチビがァ、ピッケルハウベみてぇな前髪しやがってよォー」

おかっぱ「これはこれは、お元気そうで何よりでございます、アジ・ダハーカ!ガキを囲って母親気取りか?」

女騎士「何言ってんのかわかんねェよ。おい童O、テメェも何しにきやがった。コイツはテメェの女か?」

敵兵「滅相もございません」

おかっぱ「ちょいとお近づきになりたく思いまして、手前ども参上した次第にございます」

女騎士「お行儀のいい事で感心するなァガキ、ご褒美に風穴の一つ二つくれてやろうか?」

敵兵「(だめだ! はなしにならない!)」

街娘「あぺぺぺwwwwwwwwwwww」

敵兵「えっ」

250: 2013/08/02(金) 23:08:41.05 ID:lZZySyIno
女騎士「……童Oがァ、バラしやがって」

敵兵「……へへへ」

息子「にやついてんじゃ……この野郎……お母様に……無礼者……」

敵兵「(何この子爪齧ってて怖い)」

女騎士「ふん……じゃあ何か?そのド田舎列島の連中も、魔王軍の連中にケンカを売りに来たと?」

おかっぱ「噂に違わぬ短絡さだな……いい、それで構わん。大陸の魔物どもがどうなろうが構わんと言うのは、アタシも同じだからな」

女騎士「ははは、違いない」

娘「か……母様ァ……」

女騎士「なあに、どうしたの」

娘「ここ、肩ァ……撃たれた」

女騎士「唾でもつけときなさい。前はそれで治ったでしょ」

敵兵「えっ」

254: 2013/08/02(金) 23:16:17.25 ID:lZZySyIno
おかっぱ「しかし……アジ・ダハーカ。この子供は一体なんだ?どこかで拾ってきたのか?」

敵兵「……それはオレも非常に、非常ォォーに気になる」

女騎士「まさか。この私がイキんでひり出したに決まってるだろうが」

敵兵「(うわ……嫌な事言うなぁ……)」

おかっぱ「クク……父親の顔が見てみたいな」

女騎士「あれは痛かった、洒落になんねぇ。下痢の時みてえな腹痛がずっと続いてさあ……」

おかっぱ「そんなに痛いのか」

女騎士「やっべーよ。氏にゃしなかったが氏ぬほど痛かった。足もげるかと思ったぞ」

おかっぱ「そんなにもか……」

女騎士「まさか初産が二人まとめてとかさすがの私も予想外だったわ……産まれて初めてうぎゅううううwwwとか言っちまったわ」

おかっぱ「女体の神秘だな」

敵兵「(こんなカスでも子供産んだのか……信じられん……)」

264: 2013/08/02(金) 23:23:34.65 ID:lZZySyIno
~6年前~

リンドヴルム「やった、よく頑張ったな」

ハイエルフ助産師「おめでとう、男の子と……それに女の子、元気な双子よ」

女騎士「」

リンドヴルム「……良かった……母子ともに無事そうだ……本当に良かった」

ハイエルフ助産師「さ、抱いてあげてくださいまし」

女騎士「……」


女騎士「そぉい!!」ガシャーン

ハイエルフ助産師「」

ハイエルフ医師「お前……お前!!」

リンドヴルム「うわあああああああ」

女騎士「きったねーーーもん渡すんじゃねーーーよボケェェ!!」

ハイエルフ医師「自分の子どもだろ!!なんて事言ってんだよ!!!」

女騎士「あんな股から出てきたもん触れっかよ!!」

リンドヴルム「坊やァー!!坊やァー!!」

ハイエルフ助産師「あなたそれでも母親!?」

女騎士「うっせーゴミ野郎!!あんなもん腹に溜まってた尿路結石と同じだろうが!!」

ハイエルフ医師「自分の子どもに尿路結石はないだろ!!!」

女騎士「動いて叫ぶ以外は変わりねえわ!!」

275: 2013/08/02(金) 23:33:10.46 ID:lZZySyIno
女騎士「けっこう何回か夜泣きがうぜえから肥溜とかに捨ててたけど、毎回勝手に戻ってきやがる。赤ん坊って頑丈なんだなって思ったね」

敵兵「そんなわけねぇだろ!!明らかに変な血混じってるパターンだろそれ!!」

おかっぱ「子育てでそれ以上に苦労した事はないのか?」

敵兵「食いついちゃったよ!!興味持っちゃったよ!!」

女騎士「いやー……ないな。その辺の草とか枝とか石とか食って勝手に育ってたし」

敵兵「旦那さんに面倒丸投げしてただけだろ!!!つーか石はまずいだろ石は!!」

女騎士「るっせぇなぁ、ガキなんか経血の延長みてぇなもんだろ?」

敵兵「自分の子ども前にしてそれはねぇだろ!!」

おかっぱ「……大陸の女の観念は凄まじいな」

敵兵「納得!納得しちゃった!!遠路はるばる来てクソみたいな理論に納得しちゃった!!」

282: 2013/08/02(金) 23:43:40.83 ID:lZZySyIno
女騎士「二人もデキやがったせいで、妊娠線が取れやしねえ。散々だよまったく」

敵兵「マジだ……」

おかっぱ「おお……痛々しいな……」

女騎士「私のこの美しい肉体美も、そこの尿結石のせいで一時期崩れちまって。今のこの状態に戻すのには少し骨が折れたぞ」

敵兵「(ほんとコイツ自分大好きだよな……)」

息子「……」

敵兵「(……え、何?今なんか興奮するとこあった!?なんで息子さんもぞもぞしてんの?)」

おかっぱ「ふむ……見事な腹直筋だな。見直したぞ」

女騎士「正直私より綺麗な腹筋持ってる奴いたら出てこいってレベルやろ?」


敵兵「(あーーーー腹フェチかーーーー、息子さん腹フェチかーーーー、ニッチだなぁーーー、なんかエルフと仲良くできそうだなぁーーー)」

289: 2013/08/02(金) 23:51:22.38 ID:lZZySyIno
~5年前~

リンドヴルム「この樹上から見る景色、この子らも気に入ってくれたようだ。ここに来ると、途端におとなしくなる」

女騎士「ええ、そうね……」

リンドヴルム「……ここからなら、郷を一望できる。どうかな、君は……少しは慣れたかな」

女騎士「ええ。でも……少し帝国が恋しいですわ」

リンドヴルム「……」

女騎士「すみません、責めるつもりなどなくってよ……」

リンドヴルム「案ずるな。わたしの生涯をかけて、君と子供達の事は護ってみせる」

女騎士「まあ……」

リンドヴルム「君に不自由などさせない……まあ、この田舎では限界はあるがな」

女騎士「あなた……うふふ、嬉しい!」

リンドヴルム「フフ……」



女騎士「その言葉を待ってましたwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

295: 2013/08/03(土) 00:00:16.54 ID:bf40Z9qSo
ハイエルフα「火事だァァァ!!」

ハイエルフβ「病院から火の手が上がったァァァァ!!」

リンドヴルム「」

ハイエルフγ「は、早く逃げろォォォ!!」

リンドヴルム「な、何が起こった……!?」

女騎士「おっとwwwwwwwwwww動くんじゃねーぞこのデカギツネがwwwwwwwww」

リンドヴルム「!!」

女騎士「さあ旦那様、このシケったタン壺からおさらばいたしましょう。全部全部焼き尽くしてなあ!!」

リンドヴルム「ま、まさか君がこんな事を……!?」

女騎士「おっと!黙って言う事聞きなァ?妙な事したら、ガキども二匹この上から叩き落すぜwwwwwww」

リンドヴルム「な……に……」

女騎士「あーあーあー、天下のリンドヴルム様最悪ー、女の子レOプして子供産ませて、その子供ぶっ頃すとか最悪ー」

リンドヴルム「か、考え直すんだ……やめてくれ……」

女騎士「あらー、レOプ野郎が何か言ってまちゅわねー、怖いでちゅわー。
あーあ、こんな事なら氏んどけばよかったなー、そうすればこんな事しないで済んだのになー。誰のせいかなー?」

リンドヴルム「う……」

女騎士「クックク……地に憑くのが祖霊なんだろ?だったら文字通りサラ地にしてやりゃハゲ散らかして出てこれねえよなぁ!!
これで存分にフラフラ出歩けるってか?あーーーーダリィ1年だった!!表出たらゴルフ場でもブッ建ててやらあ!!」

309: 2013/08/03(土) 00:10:58.60 ID:bf40Z9qSo
女騎士「ってな事があってさぁー。今じゃ伐採され尽くされてあそこ荒地だわwwwwwなぁーにが祖霊だよバァーカwwww」

おかっぱ「」

敵兵「」

おかっぱ「(……地神を……焼き頃したとでも言うのか、この女……信仰や畏れといった感情が欠落しているのか?)」

敵兵「(6年も経ったのに全然変わってない……)」

女騎士「いやぁー……よく知り合いが言ってたんだわ、人間子供産むと考え方とか変わるってさァ」

おかっぱ「……それはまあ、確かに聞くな」

女騎士「あれインチキだよなァ、私とか全然変わってねーもん。世の中で一番美しいのはまず私だし、偉いのも私なわけじゃん。
そもそも元から世界って私を中心に回ってるわけでしょ?変わりようがないじゃん」

敵兵「」

女騎士「それともあれか?子どもを産む前から私の精神は完全な人間として成熟しきってたって事?それなら納得できるわー。
参ったな、選ばれた人間とは思ってたけどここまでとは。そりゃ周りがゴミに見えてもしょうがねぇわ……自分の才能が怖いわ……」

おかっぱ「」

320: 2013/08/03(土) 00:20:32.23 ID:bf40Z9qSo
敵兵「(何だこの状況)」

女騎士「うーん……いや、どう他の連中を贔屓してもさぁ……私ってヤベェ……超美人だよなぁ……」

息子「はい……お母様、お美しいです……」

女騎士「これ……ヤベェなぁ、なぁ!」

息子「はい……」

おかっぱ「」

敵兵「(えっと……あんま6年前と状況変わって無くない?直接的じゃなくてもエルフとも繋がりあるよねこれ)」

息子「お母様の血が流れてるって想像しただけで……ボク、すごく……すごく嬉しいです……」

敵兵「(オレだったら多分自害してるな……)」

333: 2013/08/03(土) 00:25:19.24 ID:bf40Z9qSo
おかっぱ「ちょっとタンマ」



おかっぱ「あの……あの……何?」

敵兵「はあ」

おかっぱ「はあじゃねェよ、何だよあれ」

敵兵「あれと言いますと」

おかっぱ「何だよあの……あの……あのクズ」

敵兵「あ、やっぱそう思った?」

おかっぱ「他に形容が浮かばねぇ」

敵兵「ですよねーwwwww」

おかっぱ「テメェは何で笑ってられんだよ……」

敵兵「何かもうwwwww6年もビクビクしてたらwwwwもう限界なのオレwwwwwそろそろwwwwww」

おかっぱ「」

344: 2013/08/03(土) 00:36:43.52 ID:bf40Z9qSo
女騎士「よし、決ーめたっ。幕府と組もっか」

おかっぱ「えっ」

女騎士「帝国西部の奪回という指針を打ち出せば、北西諸島傘下の遠征師団も引っ張り込める。
それに、魔王軍への打撃という面だけを強調すれば、ドラフェチだって味方にできらあ。だろ?」

敵兵「だろ?って言われてもなあ……」

女騎士「何より先立つものは人材だ。カネなんかはどうにでもなる、ガキ二人で散々学ばせてもらった」

おかっぱ「えっ」

敵兵「お前まさか、子供二人を売っ……」

女騎士「は?どうした、なんかおかしかったか?」

敵兵「……」

女騎士「いやー。世の中クソ変態って多いんだよなァ、特に金持ち犯罪者に多くいてびっくりだぜ、稼ぎ放題だ。
野郎が生きてるうちで一番油断する瞬間ってのは、品はねえがイく瞬間なわけだろ。その隙を突いてカミソリで……」

敵兵「……」

女騎士「いやいやいや、誤解すんなよ。さすがにガキどもは新品だぜ。妙な病気貰ってきたらキモいじゃん」

敵兵「クズ!!ばか!!この女騎士!!」

357: 2013/08/03(土) 00:48:07.05 ID:bf40Z9qSo
女騎士「だってさー、口リコンだ何だに預けときゃこいつらの面倒見なくて済むじゃん。
ほら、ツラだけは私に似たっていう天恵レベルの奇跡のおかげで女装でも稼げるんだぜ」

息子「あふん」

敵兵「じ、自分の息子のだからって……スカートまくるなよ……って、しし、尻尾……?」

女騎士「ああ、表出歩くときに目立つのもうぜえだろ?だから体幹に巻きつけて、コルセットで固定してあるんだよ。
スカートの部分はペチコートで空間を作ってあるから余裕がある、ついでに……」

息子「あふん」

女騎士「これだこれ。角もあるぞ角も。きもちわり」

敵兵「なんか明らかにぶった切った跡なんですけど」

女騎士「高く売れるっつーからさー、ノコギリでぶった切って粉末にして叩き売ったわ」

おかっぱ「り……竜の……末裔の角を……たたたた、叩き……叩き売った……?ここ、こ、国宝を……!?」

敵兵「あははは」

367: 2013/08/03(土) 00:54:57.80 ID:bf40Z9qSo
おかっぱ「……」

敵兵「……」

おかっぱ「あれが……アジ・ダハーカか……なるほどな……」

敵兵「はあ……」

おかっぱ「……」

敵兵「(なんかやつれたなぁ……ムリもないか……オレも6年前と比べて体重20キロ減ったもん)」

おかっぱ「……こちらの戦力も、じきに補充される。お前にはもう少し付き合ってもらうからな」

敵兵「はあ……それはまあ、願ったりです。食う寝る所にも困ってますんで」

おかっぱ「……はぁ」

敵兵「やばい吐」

おかっぱ「ヴェッ、ヴェエェェェェッ!!ヴェエッ!!」

敵兵「」

377: 2013/08/03(土) 01:05:30.94 ID:bf40Z9qSo
マフィアA「ハッハー、小生意気な女がこんな所にまで潜り込みやがって!!」

女「いやッ、やめて!離してェ!!」

マフィアB「誰の許しで入ってきやがったんだァ!?」

女「ふ、ふん!誰があんた達なんかに!」

マフィアC「威勢だけはいいようだなぁ……おゥ、この女ァどうする」

マフィアA「クックック……」

女「(こんな……こんな時……男君さえいてくれたら……二人でならこんな奴らになんか負けないのに!)」



女騎士「何やってんだお前ら」

マフィアA「あッ、騎士さん!おはようございます!!」

マフィアB「おはようございます!!」

女「」

マフィアC「何の御用でしょう騎士さん!!」

女騎士「いやァ、つまんねぇ野暮用だよ。知り合い連れて来ただけだ。取り込んでんのか?」

マフィアB「騎士さんのお友達だァ!!無礼のねェようにしろ!!」

マフィアP「へい!」

マフィアQ「こちらですぜ!!」

マフィアR「お荷物はお預かりしますぜ!!」

女「(なんか思ってたより多い)」

女騎士「あ?なんだ、この女。どいつのだ?」

マフィアA「それが、延々とシラを切っていやがって……」

女騎士「じゃあ頃しちゃえ、時間の無駄やん」

マフィアA「えっ」

女「えっ」

383: 2013/08/03(土) 01:15:05.38 ID:bf40Z9qSo
敵兵「この建物……ワイン蔵か?」

おかっぱ「確かに共和国のワイン製造は我々の間でも有名だが……ブドウのニオイなどしないな、何故だ……」

敵兵「何だかケモノ臭いというか……牧場ほどではないにしろ、なんだか香しいな」

おかっぱ「何があると言うんだ……?」



女騎士「どうだ、今月分は全部孵化したか」

騎士は「あら、お帰りなさいまし、お姉様」

騎士ち「待ちくたびれましたわ。早くご報告がしたくて……」

敵兵「お、お、お前ら……!!」

騎士は「あら大尉殿、お久しぶりです。生きていて恥ずかしくないのですか?」

騎士ち「どのツラ下げて公衆の面前を歩いているのでしょうか?」

敵兵「お前らにだけは言われたくねぇわ!!」

女騎士「まあまあ、お前らなんか私に比べたら平等にゴミみたいなもんなんだからケンカすんな」

騎士は「お姉様……」

敵兵「(腹立つな……)」

386: 2013/08/03(土) 01:22:37.93 ID:bf40Z9qSo
おかっぱ「……孵化……とは?」

敵兵「まさか養鶏場でもやってるわけじゃあるまいに……」

騎士は「ああ、お姉様。お話ししてませんの?」

女騎士「渡来人がいるんだ、見せた方が早いと思ってな」

騎士ち「まあ……それなら……」

ゴンッ

騎士ち「これでわかって頂けますわ」

敵兵「でっけぇ卵……卵……なのか?つーか何の卵だコレ……デカすぎて気持ち悪いな」

騎士ち「検体名はエア・バシリスク。翼竜と毒牙竜のハイブリッド、その卵ですわ」

敵兵「……ん……ん?」

女騎士「なんか地味だなぁ。やっぱ3年前のティアマトーなんか可愛げがあったんだが」



敵兵「えっと……何やってんのかな?」

女騎士「養殖」

敵兵「……何の?」

女騎士「ドラゴン」

おかっぱ「」

398: 2013/08/03(土) 01:31:05.11 ID:bf40Z9qSo
女騎士「これまでで実用化に耐え得るのはメリジェーヌ型にティアマトー型に……」

騎士ち「お姉様、エアニズヘグもです」

女騎士「ああ、そんなんもあったな。いやー、くすりの代わりの代替資源にと思って始めたら予想以上に儲かっちまって」

おかっぱ「」

敵兵「ドラゴンってそんなカエルみたいなお手軽さで増えるのか……」

女騎士「有能な種馬がいるからなぁ。元手はほとんどゼロだったぜ」

敵兵「種……馬……も、もしかして……お前の旦……」

女騎士「今も多分作業中かなぁ。見てくか?」

敵兵「やめとく」

407: 2013/08/03(土) 01:40:39.40 ID:bf40Z9qSo
息子「やあ、みんな。元気だった?寒くない?」

娘「お兄ちゃん!メリジェーヌ達が2頭増えてる!あの子が孵ったんだよ」


敵兵「……じゃ、じゃあ……ここのドラゴンのほとんどが……あの子らの腹違いの……」

女騎士「兄弟って事になるなあ」

おかっぱ「」

敵兵「(あー、口の中胃液でいっぱいだなこれ。ちょっと揺らしたら吐くな)」

女騎士「メリジェーヌもティアマトーもヒトの上半身を持つ、ケンタウリにほど近い竜なんだけどな。
連中ほど小賢しくないから扱いやすいんだ、ほとんどの個体がメスだから好事家が高値で買ってくし、まさしく看板娘だな」

息子「お母様!べスがたまご産みそうだって!」

娘「お母様ぁ!エイミーの赤ちゃんかわいいよ!!」

敵兵「あー……さすがきょうだい」

女騎士「私にゃ個体差なんかわかんねーのになあ」

414: 2013/08/03(土) 01:53:27.29 ID:bf40Z9qSo
おかっぱ「……どうも……私はティアマトーとやらは好きにはなれん……」

敵兵「ああ、なんか分かります……」

おかっぱ「半人というのはいい……人間のO房が八個垂れ下がっているのが見るに堪えん……」

女騎士「そんな事言うんじゃねーよー、そういうのが好きって奴もいるんだぞー。あのガキどもとかさあ」



息子「ただいま、スタンダール。うん、元気そうでよかった!」

娘「おいで、ヴォルテール!ビシッと決めてやりましょ!」



おかっぱ「……これは!」

敵兵「たくさんのおっOいはしっかりそれぞれ布で包まれている!」

おかっぱ「竜人(ドラゴニュート)を騎手に据えた新世代のドラグーン……!これが目的か!?」

女騎士「なかなかサマになってるだろ?母性……とりわけO房信仰ってのはあながちバカにはできねえシロモノだ。
首から下がO房で埋まってるような女人像も見つかってるくらいだからな、心理的効果も期待できよう」

おかっぱ「ふむ……北西諸島の猿真似でなく……むしろ祝祭的要素を取り払い、文化侵略に長けた形態と言えるか」

敵兵「おっOいがいっぱいだ!!!やったー!!!」

423: 2013/08/03(土) 02:10:17.12 ID:bf40Z9qSo
女騎士「このティアマトー、最高速度では北西諸島のワイバーンに劣る。しかしだ、特筆すべきはこの脚部の強さにある。
飛行速度こそヒト型という形態が邪魔をするが、地に足を付けた状態での立ち回りならば負けはしない」

おかっぱ「翼竜の前足でなく、人間の腕が使えるという利……ケンタウリ、それも姑獲鳥やハーピィに近いか」

女騎士「そんな鶏ガラと一緒にしてもらっては困る。こちとらはドラゴンだぞ?」

騎士ち「携行火器はトレンチガン及び大口径対戦車ライフル。胴体部にベルトを巻きつけ収納いたします。
また、白兵戦時には銃剣、並びに大型の斬馬太刀を使用。前面のO房の為、弓などは論外。もっとも、使う必要などないでしょうが」

女騎士「積載量もハーピィなんぞとはけた違いだ。あんな連中は手紙だけ運んでりゃいいんだよ」

騎士ち「ただし、対戦車ライフルについては開発間もない武装であるため、あくまでも実装予定に過ぎません。
万一暴発してO房がだめになってはいけませんから」

敵兵「どういう思考経路持ってんのかもうついて行けねえや……」

432: 2013/08/03(土) 02:24:07.60 ID:bf40Z9qSo
騎士は「お姉様、お客様にございます」

騎士ち「お早いお付きで……やはり翼竜は便利ですわね、馬よりも早く移動が可能とは」

女騎士「客……?」



エルフ三男「騎士様!騎士様!騎士様!騎士様ぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!騎士様騎士様騎士様ぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!女騎士様のブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
身ぐるみ剥がれた騎士様かわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
表に出てこられてよかったね騎士様!あぁあああああ!かわいい!騎士様!かわいい!あっああぁああ!
ドラグーンの実用化の目途も立って嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!春画なんて現実じゃない!!!!あ…小説も活動写真もよく考えたら…
処 O の 騎 士 様 は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!兄者ぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?目の前の騎士様が僕を見てる?
騎士様のお嬢様が僕を見てるぞ!騎士様の坊ちゃんが僕を見てるぞ!経産婦の騎士様が僕を見てるぞ!!
うるわしの騎士様が僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕には騎士様がいる!!やったよ兄者!!ひとりでできるもん!!!
あ、騎士様ああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ騎士様ぁあ!!き、騎士様ー!!騎士様ぁああああああ!!!騎士様ァぁあああ!!
ううっうぅうう!!ぼくの想いよ騎士様へ届け!!この目の前の騎士様へ届け! 」

女騎士「うるせー」

436: 2013/08/03(土) 02:28:49.36 ID:bf40Z9qSo
エルフ三男「あああああっ、騎士様ァ!!6年ぶりにございます!!ああ、御無事で本当に良かった……」

敵兵「ひっ……」

エルフ三男「本来ならば、居場所が分かり次第すぐにでも駆けつけたかったのですが……立場上それも難しくてですね……」

女騎士「まあまあ……ご苦労様にございます」

息子「こ、こんにちは」

娘「……はじめまして」

エルフ三男「やあ、あなた達が騎士様のお子さんだね。お近づきの印におこづかいをあげよう」

敵兵「……いいなあ」

エルフ三男「何でも好きなものを買いなさい」

敵兵「(なんか札束が見えたんだけどあれ国費じゃないの?)」

439: 2013/08/03(土) 02:34:18.97 ID:bf40Z9qSo
エルフ三男「ふふ。ほら、あの方が騎士様だ、御挨拶して」

魔子「……あ、あのう」

女騎士「……?」

敵兵「あらかわいい」

女騎士「(え、誰?何このガキ。割とマジで誰だかわかんない)」

魔子「あなたが、騎士様ですか……?本物、ですか!?」

女騎士「ええ、そう。本物」

魔子「すごい、すごいすごいすごい!本物です、本物の騎士様っておっしゃいました、閣下!」

エルフ三男「すごいだろう、僕の言った通り綺麗な人だろう」

魔子「思っていたより、ずっときれいです……」

女騎士「(……誰?)」

エルフ三男「(ほら、あの勇者のやつのカキタレの……」

女騎士「あーーーー豚煮込みか!!」

敵兵「声でかいっ!!」

442: 2013/08/03(土) 02:42:38.11 ID:bf40Z9qSo
エルフ三男「高次オーク種……ウルク・ハイの上物です。このまま健康に育てば、オーガに匹敵するスペックになりましょう」

女騎士「ククク……ようやくか。ぶっちゃけ手駒としては忘れてたが、使えるもんなら使うとしようじゃないか」

エルフ三男「幸い、顔の作りは母親寄りで崩れてはいません。褐色の皮膚を除けば、人間として通用します」

騎士ち「その母親はどうしているんです?共和国で人質として使用した後、再びあなた方が回収したと聞いていますが」

エルフ三男「あー……あれですか……」

女騎士「つーか、まだ生きてたのか。しぶてえなあ」

エルフ三男「……魔術行使者の末裔という事でね、色々と投薬の臨床試験に用いてはいたんですよ。
あれでいてかなり頑丈でね、いつぞやの騎兵の女なんかよりずっとタフです。自白剤を用いても、二日後にはもう回復している」

女騎士「勇者や魔王と同じで、単体ではかなりの能力の持ち主って事か」

エルフ三男「まあ、それでも所詮は人間ですからね……今となっては、正直見るのもおぞましいようなものに……」

女騎士「?」

447: 2013/08/03(土) 02:51:31.20 ID:bf40Z9qSo
エルフ三男「……大規模な不作から発生する飢餓への対策という名目で進めていた、高熱量食品の開発に利用しましてね。
その弊害で、その……まあ、使い物にならなくなったと言いますか。何であれで生きていられるのか不思議なくらいです」

騎士は「高熱量食品……安価かつ高熱量、高たんぱくを目指したものと推察します」

エルフ三男「まあ、そんな感じです。ぼくらが開発したのは流動食タイプでした、乳幼児から老人でも摂取が可能でなければいけませんから」

女騎士「それで、なんでそんなもんで使い物にならなくなるんだ?」

騎士ち「……毒でも入ってました、だとか」

エルフ三男「いやぁー……効きすぎてしまったと言いますか。投与から三ヶ月で、腹部の贅肉が床につくようになってしまいました」

女騎士「うげぇ……」

エルフ三男「ぼくが覚えている限りでは、そうですね……投与五か月目で自立できなくなっていました。もうラードを上から積み重ねた感じですね、
人間のパーツなんか肉襦袢から突き出た手足くらいなものです。全身だるだるのブヨブヨですよ。
その当時の重量は……ええと、確か投与開始時が43㎏だったから……872㎏ですね。いやはや、人間あそこまで太れるとは」

女騎士「お前らって本当にゲスな民族だよなぁ、帰ったらその肉塊見せてくれよ」

エルフ三男「よく言われますwwwwwww」

敵兵「」

452: 2013/08/03(土) 03:02:12.26 ID:bf40Z9qSo
騎士は「……して、大将。クロウクルアッハの試乗はいかがでしたか?」

エルフ三男「旋回、直線飛行、加速、どれを取っても北西諸島のワイバーンに勝るとも劣りませんよ。
さすがは神格の末裔の竜というのは違いますね、大陸におけるリンドヴルム信仰が存在する圏内ならば恐らく負けなしです」

おかっぱ「クロウ……クルアッハ?」

騎士ち「……北西諸島国内から、匿名で送られてきた贈り物、それを掛け合わせた新たなワイバーンです」

おかっぱ「ばかな……我々よりも早く、北西諸島とパイプを構築していたというのか!?」

女騎士「いやぁ……私ゃよく知らねえんだけどな」

騎士ち「すでに……円卓の座を掻っ攫う準備までは済ませているんですよ、私たちは」

騎士は「そうです。私たちの相手は何も連合や魔王軍だけではないんですから……ククク……」

女騎士「さすが、よくやってくれるぜ。ほの字よぉ……!」

騎士ち「これが、帝国のドラグーン兵団計画です。幕府の方、いかがですか?一度ご試乗なられては……」

おかっぱ「……」

454: 2013/08/03(土) 03:03:33.65 ID:bf40Z9qSo
第5部 女騎士おかっぱ編 破



第5部 女騎士おかっぱ編 ⑨へ

460: 2013/08/03(土) 03:15:41.85 ID:bf40Z9qSo
こんな内容になったのは間違いなくガルマがMS開発に口出ししまくるSS読んだせい




引用: 女騎士「いやだ!死にたくない、仲間の居場所でも何でも話すから!」